JP7027585B1 - 香りディスプレイ、コンピュータプログラム、及び香りディスプレイを動作させる方法 - Google Patents

香りディスプレイ、コンピュータプログラム、及び香りディスプレイを動作させる方法 Download PDF

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Abstract

【課題】香りディスプレイからの香りの放出を適度に保ちながら、香りを含む空気の噴出音が気にならないようにする。【解決手段】香りディスプレイは、香源を保持する香りカートリッジ130、…、140と、駆動信号に応答して、香りカートリッジ130、…、140から香りを噴射させるための空気流を生成するマイクロブロア180、…、190と、外部から与えられる香り発生指示信号に応答して、マイク72により得られる環境音のレベルにしたがった強さで空気流を噴出するように駆動信号を生成してマイクロブロア180、…、190に与えるための制御基板98とを含む。【選択図】図8

Description

この発明は香りディスプレイに関し、特に複数の香りカートリッジを装填し様々な香りを放出可能な香りディスプレイの改良に関する。
人間のコミュニケーションには、人間の持つ感覚に応じた様々なモードがある。これらの中で最もよく使用されているのは、視覚及び聴覚を用いたコミュニケーションである。これに対し、嗅覚は人間の生活では比較的よく使用されているにもかかわらず、これをコミュニケーションに使用している例は極めて少ない。しかし、コミュニケーションで視覚及び聴覚に加えて嗅覚まで利用できるようになれば、コミュニケーションはより効率的になり、様々な人がより深く体験を共有できるようになると考えられる。
こうした点に着目して、最近では、テレビジョン受像機、パーソナルコンピュータ、ゲーム機等、映像と音声とを再生できる装置とともに使用され、場面にあわせて香りを発生する装置が提案されている。この明細書では、そのように場面にあわせて香りを発生する装置を香りディスプレイという。
例えば何らかの集会を行うときには、その会場でその集会の目的に合致して定めた特定の香りを出すように香りディスプレイを使用することが考えられる。その他に、例えば就寝時には心が休まる香りを、起床時には清々しい気分を誘うような香りを、それぞれ発生させることで、毎日をより快適に暮らすことができる。
したがって、こうした香りディスプレイでは、複数の香りを自由に切替える機能を持たなければ十分に香りを活かすことができない。そこで、それぞれ予め選択された香りの発生源(これを香源という)を封入した複数のカートリッジ(香りカートリッジという)を準備し、これを香りディスプレイに装填し、所望のカートリッジから香りを発散させることが考えられる。
カートリッジには内部の香源からの香りを外部に放出する香り通路を設け、所望のタイミングでカートリッジ内部に空気を送り込む機構を香りディスプレイ側に設けることで、香り通路を通して外部に香りが放出される。これらカートリッジからの香り放出の機構とは別に、香りディスプレイにカートリッジの香り通路の近くに放出口を持つ香り成分を含まない空気の放出機構を設ける。ある香りを放出した後、次の香りに切替えるときには、この空気の放出機構から空気を放出して周囲の香りを含んだ空気を吹き払い、その後に次の香りを放出する。こうすることで任意のタイミングで香りが混ざることなく香りを切替えることができる。
こうした技術が後掲の特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された技術は概略上記したとおりである。ただし、香りディスプレイの筐体には外部への香り等の放出のための開口が形成されており、各香りカートリッジの香り通路と、空気の放出口とがいずれもこの開口につながっている。各香りカートリッジは香りディスプレイの筐体に着脱可能な形で装填される。各香りカートリッジの所定部には、空気を香りカートリッジ内部に吹き込むための開口が形成されている。香りディスプレイに香りカートリッジが装填されたときに、香りディスプレイ側でこの開口に相対する部分には、圧電素子を取付けたダイアフラムを内蔵する風力源が各香りカートリッジに対応する形で内蔵されている。この圧電素子に交流電圧を印加すると、ダイアフラムが振動し、風力源に設けられたノズルと香りカートリッジの開口を介して香りカートリッジ内部に空気を送り込む。空気が送り込まれた香りカートリッジからは、内部の香源に応じた香りを含む空気が香り通路を通じて外部に放出される。香りカートリッジの内部に空気を送り込む機構はこれ以外にも種々考えられる。
特開2014-92673号公報
上記したような構成を持つ香りディスプレイによれば、どの風力源を動作させるかによって香りを自由に切替えることができる。したがってどの時刻にどの香りを放出するかをプログラムしておけば、上記したように毎日を快適に過ごすことができるという優れた効果がある。
しかし、特許文献1に開示された装置は、香りカートリッジ内部に空気を送り込み、香りカートリッジ内部の圧力を高めて香りカートリッジから香り含む空気を放出させるという機構を採用している。そのために香りディスプレイから香りが放出されるときに、小さいながらも噴出音がするという問題がある。環境音がある程度ある場合にはこの音はあまり目立たない。しかし、例えば就寝時又は瞑想時等のように周囲が非常に静かなときには、人によってはこうした音が気になることがある。一方、香りを放出して所期の目的を達成するためには、香りを含む空気の噴出にはある程度のパワーが必要なので、音を静かにするために空気の噴出力をあまり弱くすることはできない。両者を同時に達成する技術が求められている。
それ故にこの発明の目的は、香りディスプレイからの香りの放出を適度に保ちながら、香りを含む空気の噴出音が気にならないような香りディスプレイ、そのためのコンピュータプログラム、及び香りディスプレイの動作方法を提供することである。
本発明の第1の局面に係る香りディスプレイは、香源を保持する香源保持手段と、駆動信号に応答して、香源保持手段から香りを噴射させるための空気流を生成する空気流生成手段と、外部から与えられる香り発生指示信号に応答して、環境音のレベルにしたがった強さで空気流を噴出するように駆動信号を生成して空気流生成手段に与えるための駆動信号生成手段とを含む。
好ましくは、駆動信号生成手段は、香り発生指示信号に応答して、空気流生成手段を駆動するための駆動制御信号を生成する駆動制御信号生成手段と、環境音のレベルにしたがって駆動制御信号のパワーを制御して駆動信号として出力するためのパワー制御手段とを含む。
より好ましくは、パワー制御手段は、環境音のレベルを示すレベル信号の電圧レベルを所定のしきい値と比較するための比較手段と、比較手段の出力を用いて駆動制御信号を変調して駆動信号として出力するための変調手段とを含む。
さらに好ましくは、変調手段は、比較手段の出力により駆動制御信号の振幅又は波長、若しくはその双方を変調するための手段を含む。
好ましくは、香りディスプレイは、環境音のレベルを測定してレベル信号を出力するためのレベル測定手段をさらに含む。
より好ましくは、香りディスプレイは、レベル信号を香りディスプレイの外部から無線通信又は有線通信により受信して比較手段に与えるための通信装置をさらに含む。
さらに好ましくは、比較手段は、ヒステリシスを持つ比較器を含む。
本発明の第2の局面に係るコンピュータプログラムは、香源を保持する香源保持手段と、駆動信号に応答して、香源保持手段から香りを噴射させるための空気流を生成する空気流生成手段とを含む香りディスプレイを制御するためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、環境音の強度レベルを示すレベル信号をサンプリングするためのサンプリング手段と、サンプリング手段の出力を所定のしきい値と比較するための比較手段と、外部からの香り発生指示信号に応答して、比較手段の出力により振幅又は波長若しくはその双方を制御して駆動信号を生成するための駆動信号生成手段として機能させる。
好ましくは、コンピュータプログラムは、比較手段の出力に応じて所定のしきい値を変化させるためのしきい値制御手段としてコンピュータをさらに機能させる。
本発明の第3の局面に係る方法は、香源を保持する香源保持手段と、駆動信号に応答して、香源保持手段から香りを噴射させるための空気流を生成する空気流生成手段とを含む香りディスプレイを動作させる方法であって、環境音のレベルを示すレベル信号を生成するステップと、外部から与えられる香り発生指示信号に応答して、レベル信号の電圧レベルに応じた強さで空気流を噴出するように駆動信号を生成して空気流生成手段に与えるステップとを含む。
この発明の目的、構成、及び効果は、この明細書と添付の図面とにより明らかとなるだろう。
図1は、この発明の第1実施形態に係る香りディスプレイの外観を示す図である。 図2は、図1に示す香りディスプレイを斜め上方から見た斜視図である。 図3は、図2に示す香りディスプレイを斜め上方から見た分解斜視図である。 図4は、香りカートリッジを斜め上方から見た斜視図である。 図5は、マイクロブロアの拡大断面図である。 図6は、図1に示す香りディスプレイの、矢印6-6で示す平面での断面図である。 図7は、香りディスプレイ内における空気の移動経路を示す断面図である。 図8は、香りディスプレイの制御回路に関する概略構成を示すブロック図である。 図9は、第1の実施形態における振幅制御回路の構成を示すブロック図である。 図10は、第1の実施形態における駆動信号の振幅制御を説明するための波形図である。 図11は、第2の実施形態における波長制御回路の構成を示すブロック図である。 図12は、第2の実施形態における駆動信号の波長制御を説明するための波形図である。 図13は、第3の実施形態における振幅及び波長制御回路の構成を示すブロック図である。 図14は、第3の実施形態における駆動信号の振幅及び波長制御を説明するための波形図である。 図15は、第4の実施形態における振幅及び波長制御回路の構成を示すブロック図である。 図16は、第4の実施形態における駆動信号の振幅及び波長制御を説明するための波形図である。 図17は、第5の実施形態における駆動信号の振幅制御を実現するためにプロセッサが実行するコンピュータプログラムの制御構造を示すフローチャートである。 図18は、第6の実施形態における駆動信号の振幅制御回路の構成を示すブロック図である。 図19は、第6の実施形態における駆動信号の振幅制御を説明するための波形図である。
以下の説明及び図面では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。また、当然のことながら、以下に述べる実施形態の全ての部分がこの発明の必須というわけではない。そうした部分はなくてもよいし、他の形態のもので置換してもよい。
[第1の実施形態]
<構成>
図1に、本発明の第1の実施形態に係る香りディスプレイ50の外観図を示す。香りディスプレイ50は、ほぼ六角柱形状の筐体60を持つ。筐体60の六角柱の底板に相当する位置の上部パネル中央部には、開口領域64が配置されている。開口領域64の中央には、香りを含まない空気が放出される開口68が形成されている。その周囲には、香りを含む空気が放出される、開口70を含む6つの開口が形成されている。筐体60中には、香り成分を含まない空気の放出機構が設けられており、その放出機構からの空気が開口から放出される。香りを含む空気は、筐体60の内部に収容された6つの香りカートリッジ(図1には図示せず)から放出される。後述するようにこれら香りカートリッジは内部に香源を保持し、その香源からの空気を外部に放出可能となっている。
この香りディスプレイ50の下面には、香りディスプレイ50の周囲の音(環境音)を電気信号に変換するためのマイク72が設けられている。マイク72の近傍には、カメラの三脚62が取付け可能である。このように三脚62を取付けると、香りディスプレイ50を例えばパソコンのすぐ近くにおき、開口領域64がパソコンのユーザの顔面の直ぐ近くでしかも顔面を向くように香りディスプレイ50を配置でき、ユーザに所望の香りを届ける上で効果的である。
筐体60の側面にはマイクロUSBのコネクタ66が設けられている。このコネクタ66は、本実施形態ではUSBケーブルを通じて香りディスプレイ50に電力を供給するとともに、香りディスプレイ50内蔵のバッテリーに充電するためのものである。USBケーブルを介して香りディスプレイ50の回路が外部と通信するわけではない。香りディスプレイ50の内部の回路は無線通信を通じて外部とデータ通信を行う。もちろん、このUSBケーブルを通じて香りディスプレイ50の内部回路が外部と有線データ通信を行うようにしてもよい。
図2を参照して、筐体60は、ベースパネル82と、ベースパネル82の上部に配置され、ベースパネル82にネジ止めされるベース筐体84と、ベース筐体84の上部からベース筐体84に組み付けられる中間筐体86と、中間筐体86の上部に組付けられ、上部に開口し、内部に図示しない香りカートリッジを収容するカートリッジ収容部を持つ上部筐体88と、上部筐体88の上部開口を覆うように上部筐体88に組付けられる上部パネル90とを含む。上部パネル90をはずすことで上部筐体88の開口が開放され、ユーザが香りカートリッジの収容部にアクセス可能になり、香りカートリッジを収容部内に装填したり、収容部から取外したりできる。
図2及び図3を参照して、この実施形態では、上部筐体88の断面は正六角形状をしており、上部筐体88の内部には6つの香りカートリッジ130、132、134、136、138及び140(カートリッジ138及び140は図3には図示せず)を収容可能なカートリッジ収容部110、112、114、116、118及び120が形成されている。各香りカートリッジの底面には後述するようにNFCタグが設けられており、その近傍の上部筐体88内部にはこのNFCタグと無線通信可能なNFCチップが設けられている。これらについては後述する。
カートリッジ収容部110、…、120と上部筐体88の内壁との間の部分には、それぞれカートリッジ130、…、140の側面に形成された給気口を介してカートリッジ130、…、140の内部に空気を送り込むためのマイクロブロア150、152、154、156、158及び160(図3にはマイクロブロア158及び160は図示せず)が設けられている。
なお、ベース筐体84の側面には、図2及び図3に示すように三脚62(図1)が取付け可能なネジ穴92が形成されている。ネジ穴92はカメラ用の三脚が係合可能なように、適切な規格にあわせて形成されている。
図3を参照して、ベース筐体84には、無線通信により外部と通信可能な通信装置と後述するマイクロブロアを駆動する制御回路とを搭載した制御基板98、及びその電源となるバッテリーが内蔵されている。また中間筐体86と上部筐体88との間には、上面にNFCチップ180、182、184等、6個のNFCチップが取付けられたNFCチップステージ102が設けられている。さらに、ベースパネル82には、香りカートリッジから香りを含む空気を吹き出す動力を生成するための空気を取入れる多数の小孔96が形成されている。ベースパネル82とベース筐体84との間には、取入れた空気から埃及びゴミ等を取除くためのフィルタ94が設けられる。
NFCチップ180、182及び184を含む6個のNFCチップはNFCリーダであって、カートリッジ収容部110、…、120の底部に近接するNFCチップステージ102の所定位置に固定されている。各NFCチップに対応する部分に香りカートリッジが装填されると、NFC通信により、対応する位置に装填された香りカートリッジの下面に貼り付けられたNFCタグからその香りカートリッジの香りを識別するコードを受信できる。なお、各NFCチップの近傍には空気の通路となる開口が形成されている。
これら6個のNFCチップは、制御基板98上に設置された無線通信装置にそれぞれ接続されている。無線通信装置は、その入力のどこにNFCチップが接続されているかに応じてそのNFCチップの位置を識別し、そのNFCチップから受信した香りカートリッジのコードとあわせて香りカートリッジの装填位置を示すデータとして外部に無線送信する。
図3には示されていないが、図6を参照して、上部筐体88の下の面でNFCチップステージ102の上に当る部分には、空気の放出機構を形成するマイクロブロア104が固定されている。このマイクロブロアをはじめ、各香りカートリッジの内部に空気を送り込むマイクロブロアの機構については後述する。
香りカートリッジ130、…、140はいずれも同じ形状を持つ。図4を参照して、例えば香りカートリッジ132は、断面がほぼ正三角形の中空の三角柱状で、互いに平行な上面164及び下面、並びにこれらの周囲をつなぐように形成された側面166とからなる筐体178を持つ。筐体178の縦方向の1つのエッジ162を挟む2つの側面の、エッジ162の近傍には、溝168及び170が形成されている。
上面164の、エッジ162と溝168及び170とに挟まれた領域には、筐体178の内部の空間に通じ、筐体178内に封入された香源からの香りを含む空気が放出される開口174が形成されている。側面166の、エッジ162と反対側の部分には、筐体178の内部に外部のマイクロブロアにより空気流を生成して送り込むための給気口172が形成されている。
図4を参照して、筐体178の下面には、NFCチップと近距離無線通信を行うためのNFCタグ(図示せず)がシール176により貼り付けられている。この実施形態では、シール176が下面からはみ出し、その一部が側面166に回り込んでいる。NFCタグがシールに接着されたものが市販されており、この実施形態ではそれを使用している。シール176は筐体178から剥がすことが可能なので、必要に応じNFCタグを筐体178から取外し、別のものと交換できる。
図3及び図6を参照して、各香りカートリッジがカートリッジ収容部に装着されると、香りカートリッジ内部に空気を送り込むための給気口が上部筐体88の外側を向くことになる。例えば、香りカートリッジ132の場合、給気口172が外側を向く。上部筐体88と香りカートリッジ132との間には、給気口172に空気流を送り込むマイクロブロア152が配置されている。このマイクロブロア152を駆動することで香りカートリッジ132の内部に空気が送り込まれ、中心側に位置する香りカートリッジ132の香り放出のための開口174(図4を参照)から香りを含んだ空気が外部に放出される。
マイクロブロア152は、上記特許文献1に開示されたものと同様の構成を持つ。図5を参照して、具体的には、マイクロブロア152は、内部空間であるブロア室252を持つケース250と、ブロア室252を塞ぐようにケース250の上面を覆って取付けられ、上面に形成されたノズル270を持つカバー部材254とを含む。ノズル270内部には空気の流通孔256が形成されており、流通孔256はブロア室252の上部に開口している。
ブロア室252の内部にはブロア室252を上下2つの部分に仕切る仕切り板258が設けられている。仕切り板258の、流通孔256の開口直下には、流通孔256と位置合わせされた開口260が形成されている。
仕切り板258により仕切られたブロア室252の下部空間には、バネ弾性を持つ金属薄板で形成されたダイアフラム262と、ダイアフラム262の下面に接着された圧電素子264とを含む。圧電素子264に交番電圧を印加することでダイアフラム262が上下に振動して開口260を通して空気をブロア室252内に吐出し、さらに流通孔256を通じて外部に吹き出す。ノズル270が香りカートリッジ背面の開口の位置に来るようにマイクロブロア152を上部筐体88の内部に設けることで、香りカートリッジ内に任意のタイミングで任意の時間の間空気を送り込むことができ、香りカートリッジから香りを含んだ空気を放出させることができる。なお、ケース250には空気の取入れ口266が設けられており、取入れ口266の空気が流通路268を介してブロア室252内に供給される。なお取入れ口266へは、図3に示す小孔96から取入れた外気が供給される。
香りカートリッジ132以外についても、背面側の給気口から内部に空気を送り込むマイクロブロアがそれぞれ配置されている。これらを独立に動作させることにより、任意の香りカートリッジから任意のタイミングで、任意の時間だけ香気を外部に放出できる。図6に示すマイクロブロア104もこのマイクロブロアと同様の構造を持ち、任意のタイミングで任意の時間にわたり、香りを含まない空気を図2に示す開口68から放出できる。
図7に、香りディスプレイ50内部における空気の流れを示す。香りカートリッジ132に着目して以下に説明する。ベースパネル82には多数の小孔96が形成されており、これら小孔を通して空気が筐体60内に取込まれる。この空気は、ベース筐体84内及び中間筐体86内に形成された空気の通路300さらに空気の通路302を通って、一部は空気の通路306を経由してマイクロブロア104に供給され、残りはさらに上部筐体88内に形成された空気の通路304を経由してマイクロブロア152のブロア室252に供給される。マイクロブロア152に交番電圧が印加されることによりマイクロブロア152から放出された空気流は流通孔256及び給気口172を通って香りカートリッジ132の内部に導かれる。
香りカートリッジ132にマイクロブロア152によって空気流が導き入れられると、香りカートリッジ132内の香気を含んだ空気が香りカートリッジ132の開口174から上部パネル90の開口70に通じる経路を通って外部に放出される。他の香りカートリッジ、例えばカートリッジ138とマイクロブロア158の場合も同様である。
一方、マイクロブロア104に供給された空気は、マイクロブロア104に交番電圧が印加されると空気の通路310を通って上部パネル90に形成された開口68から外部に放出される。香りカートリッジから香りを含んだ空気を放出した後にこの開口68から香りを含まない空気を放出すると、周囲に残存していた香りを含んだ空気は消散し、別の香りに切替えることができる。
なお、マイクロブロア104を交番電圧により駆動することによって開口68から放出される空気は、周囲の空気を消散させる以外に、開口70から放出される香りを含んだ空気を遠方に到達させるためのブースター機能も果たす。そのためにマイクロブロア104は、香りカートリッジ132に空気を送り込むマイクロブロア152と同じ大きさであってもよいが、マイクロブロア152より大きなサイズを持ち、より強くより多くの空気を送り込むことができる構成を持つことが好ましい。またこのマイクロブロア104による開口68からの空気の放出量を制御することによって、開口70から放出される香りの濃度を制御できる。さらに開口68からの空気と開口70からの空気との放出量の制御によって、香りディスプレイ50の調香機能を果たすこともできる。
図8は、香りディスプレイの制御回路に関する概略構成を示すブロック図である。図8を参照して、香りディスプレイ50の制御系回路は、香りディスプレイ50の外部の制御用システムから香りディスプレイ50を制御するためのコマンドを受けて各部にコマンドに応じた制御信号を送信する制御基板98と、制御基板98からのコマンド信号にしたがって動作する、マイクロブロア150、…、160を含むマイクロブロア群320と、制御基板98からのコマンド信号にしたがってマイクロブロア104の動作を制御する駆動回路基板324とを含む。実際には、コマンドに相当するパラメータは制御用プロセッサ330の内部の、マイクロブロア群320のマイクロブロアの各々及び駆動回路基板324に割当てられた記憶領域に保存され、マイクロブロア150、…、160及び104が動作するときに一定のタイミングでこの値が読出される。その結果、マイクロブロア群320内のマイクロブロアの各々、及びマイクロブロア104は、外部の制御用システムからチャンネルを指定したパラメータが送信されてくると、ほとんど時間遅れなく、ほぼリアルタイムでパラメータに応じて動作する。
前述したとおり、香りカートリッジ130、…、140の各々の底面には、NFCチップ群322の中の対応するNFCチップ180、…、190と近距離通信するためのNFCタグがシール176(図4)により貼り付けられている。香りカートリッジ130、…、140の各NFCチップには、対応する香りカートリッジに封入されている香りの識別コードが記憶されている。この識別コードを香りカートリッジ130、…、140のNFCタグからNFCチップ180、…、190へ、NFCチップ180、…、190からさらに制御基板98に送信し、制御基板98から外部の制御用システムに送信する。外部の制御用システムは、この識別子を使用して、香りカートリッジ130、…、140のいずれから香りを噴射させるかを決定し、制御基板98にそのための制御信号(香り発生指示信号)を送信する。
-制御基板98の構成-
制御基板98は、外部の制御用システムとの間で無線を介して通信を行うための無線通信ユニット332と、無線通信ユニット332を介して外部の制御用システムから受信したコマンドに応じてマイクロブロア群320及び駆動回路基板324を制御するコマンド信号を生成したり、NFCチップ180、…、190等を含むNFCチップ群322から香りディスプレイ50にセットされた各香りカートリッジの香りを特定する識別コードを受信し、無線通信ユニット332を介して外部の制御用システムに送信したりするための制御用プロセッサ330と、制御用プロセッサ330とマイクロブロア群320及び駆動回路基板324との間の入出力I/O336と、制御用プロセッサ330とNFCチップ群322との間の入出力I/O334とを含む。
制御基板98はさらに、入出力I/O336とマイクロブロア群320との間に設けられ、マイク72の出力する音響信号のレベルに応じて入出力I/O336から各マイクロブロアに出力される交番電圧の振幅を制御するための振幅制御回路338を含む。マイク72は環境音を電気信号に変換して出力するために図1に示すように香りディスプレイ50の下面に設けられている。
制御用プロセッサ330は、NFCチップ群322内のNFCチップ180、…、190等から対応する香りカートリッジの識別コードを受信すると、すぐに収容位置を示す情報とその識別コードとを無線通信ユニット332を介して外部の制御用システムに送信する機能を持つ。制御用プロセッサ330はまた、無線通信ユニット332を介して外部の制御用システムからコマンドを受信すると、そのコマンドの種類と宛先とに応じた入出力I/O336の適切なポートを通じ、コマンドに応じた香り発生指示信号を出力する。この香り発生指示信号は振幅制御回路338によって交番電圧に変換されるとともにその振幅が制御された後に駆動対象のマイクロブロアに駆動信号として与えられる。したがって、外部の制御用システムで香りディスプレイ50に対して何らかの操作が行われると、その操作が直ちに香りディスプレイ50の動作にリアルタイムで反映される。
入出力I/O336から各マイクロブロアに向けて送信される香り発生指示信号は、振幅制御回路338で一定周期の交番電圧に変換される。その振幅は入出力I/O336から出力される時点では環境の状況にかかわらず一定である。しかし、振幅制御回路338により、環境音のレベルが所定のしきい値より高ければ駆動信号は入出力I/O336から出力されたときの振幅を持ったまま目的のマイクロブロアに向けて出力される。環境音のレベルがしきい値以下であれば駆動信号はその振幅が振幅制御回路338により小さくされて目的のマイクロブロアに向けて出力される。
なお、この実施形態では、振幅を制御するためのしきい値は一つのみが使用される。そのため、駆動信号のレベルは高いか低いかの2者択一となる。しかしこの発明はそのような実施形態に限定されない。例えば駆動信号のレベルを3以上にすることも容易に行える。
図9にこの実施形態に係る振幅制御回路338の構成を示す。図9を参照して、振幅制御回路338は、マイク72からの音響信号のレベルを示すレベル信号を出力するためのレベル信号出力回路360と、入力される信号の振幅を制御用プロセッサ330(図8)から出力される駆動制御信号の電圧より低い電圧に抑制して出力するためのリミッタ364と、リミッタ364の出力と駆動制御信号とを切り替えるスイッチ362とで構成されており、このスイッチ362は、レベル信号出力回路360の出力するレベル信号に応答し、レベル信号がハイレベル(環境音のレベルがしきい値より高いことを示す)のときにはリミッタ364を通してマイクロブロア150、…、160、104を駆動するための抑制された駆動信号を出力し、ローレベル(環境音のレベルがしきい値以下であることを示す)のときにはリミッタ364を通さずにそのまま出力するよう機能する。
レベル信号出力回路360は、マイク72からの音響信号の電圧レベルを検知し電圧信号として出力するためのレベル検知回路390と、レベル検知回路390の出力信号の電圧と所定のしきい値電圧とを比較して比較結果をハイレベル又はローレベルの電圧として出力するための比較器392とを含む。
<動作>
上記した香りディスプレイ50は以下のように動作する。
各香りカートリッジには、その内部の香源に応じたラベルが貼られ、さらに底面には、その香源に予め割当てられた識別子が書き込まれたNFCタグが貼り付けられているものとする。ユーザは、自分が気に入った香りの香りカートリッジを購入し以下の手順で香りディスプレイ50に装填する。
図3を参照して、上部パネル90を筐体60から取外すことにより、上部筐体88の上部開口が露出する。ユーザはこの中の任意の位置のカートリッジ収容部に香りカートリッジを装填する。例えばユーザは6つ全てのカートリッジ収容部にそれぞれ異なる香りの香りカートリッジを装填する。香りカートリッジの装填後、上部パネル90を筐体60に取付ける。
図6を参照して、各香りカートリッジに貼り付けられたNFCタグは対応する香りカートリッジに装着されたNFCチップとの近距離無線通信によって、その香りカートリッジの香りの識別子をNFCチップに送信する。図8に示す無線通信ユニット332は、香りの識別子を送信してきたNFCチップを特定する情報(NFCチップに対応する収容部の位置が特定できる情報)と、香りの識別子とを組にして外部の制御用システムに送信する。こうして、制御用システム等では、香りディスプレイ50のどのカートリッジ収容部にどの香りの香りカートリッジが装填されたかを知ることができる。
例えば、図示しない外部の制御システムにより、ある時刻から一定の時間の間、カートリッジ130から香りを噴出するための香り発生指示信号が香りディスプレイ50に無線通信により送信されたものとする。図8に示す無線通信ユニット332はこの香り発生指示信号を受信し制御用プロセッサ330に与える。制御用プロセッサ330はカートリッジ130から香りを発生させるために、カートリッジ130に対応するマイクロブロア150を駆動する駆動信号を入出力I/O336を制御して出力する。この駆動信号は一定振幅で一定周期の交番電圧からなる。
一方、マイク72は環境音を示す音響信号を図9に示す振幅制御回路338のレベル検知回路390に与える。レベル検知回路390はこの音響信号の電圧レベルを示す信号を比較器392のプラス端子に与える。比較器392はそのプラス端子への入力電圧とマイナス端子に入力されるしきい値電圧とを比較し、プラス端子への入力電圧がしきい値電圧より高ければハイレベルの電圧を、そうでなければローレベルの電圧をスイッチ362に与える。スイッチ362は、比較器392の出力電圧がハイレベルであれば入出力I/O336からの駆動信号をリミッタ364の入力に与えるよう接続を切替える。スイッチ362は比較器392の出力電圧がローレベルであれば入出力I/O336からの駆動信号をリミッタ364ではなくもう一方の伝送路に与えるよう接続を切替える。したがって振幅制御回路338の出力は、環境音のレベルが所定のしきい値より高ければ高い電圧の駆動信号となり、そうでなければより低い電圧の駆動信号となる。
図10を参照して、駆動信号のレベル制御について具体的に説明する。図10(A)は環境音のレベルを示す信号(図9に示すレベル検知回路390の出力)である。図10(B)は図9に示す比較器392の出力を示す波形図である。
図10(C)は無線通信ユニット332が無線通信により受信した香り発生指示信号である。図10(D)は入出力I/O336からの駆動制御信号を示す。なお図10(D)では図を簡明にするために矩形状のパルス信号として駆動制御信号を示してあるが、実際にはより高い周波数のパルス信号がこの矩形状の部分に存在している。図10(E)は常に図9に示すリミッタ364を経由した場合の駆動制御信号を示す。図10(F)は、最終的に振幅制御回路338から出力される駆動信号の波形を示す。
今、環境音のレベルが図10(A)に示すように変化するものとする。この例では、時刻t0から環境音のレベルの測定を開始し、その時点では環境音レベル信号410は図10(A)に示すようにしきい値411を下回っているものとする。図10(B)に示すように、図9に示す比較器392の出力(比較信号)はローレベルである。図9に示すスイッチ362は駆動信号がリミッタ364を通るように伝送線の接続を切替える。さらに、図10(C)に示すように時刻t0から時刻t11までの間は香り発生指示信号の受信がないものとする。図10(D)に示すように、この間、マイクロブロアの駆動信号は振幅制御回路338に入力されない。その結果、振幅制御回路338からの出力もない。したがって対応のマイクロブロアは動作しない。
図10(C)に示すように、時刻t11から時刻t12までの間、香り発生指示信号414がハイレベルとなるものとする。すなわち、香りを発生させる指示が外部の制御システムからあったものとする。すると、この間、図10(D)に示すように、図8の制御用プロセッサ330が発生するマイクロブロアの駆動制御信号416が図9に示す振幅制御回路338に入力される。図9に示すスイッチ362が駆動制御信号416をリミッタ364側に導くため、図10(E)に示すように振幅制御回路338が出力する駆動信号418は一定の低レベルの振幅に制限された形となる。この駆動信号418を受けたマイクロブロアの圧電素子が比較的小さな振幅で振動するため、ダイアフラムも小さな振幅で振動する。その結果当該マイクロブロアの発生する空気の流れは比較的小さく、香りカートリッジからは香りを含んだ空気が静かに噴射音なく噴射される。すなわち、振幅制御回路338は、マイクロブロアを駆動する駆動信号をマイク72で拾う環境音のレベルにより振幅制御して出力している。
なお、図10(E)に示されるパルス状の波形は、実際にはより高い周波数の交番電圧からなる信号を含んでいる点に注意が必要である。
図10(A)に示すように、続いて時刻t1(t11<t1<t12)で環境音レベル信号410のレベルがしきい値411を超えたものとする。図10(B)に示すように比較信号412はハイレベルとなる。図9に示すスイッチ362は駆動制御信号416がリミッタ364を経由しないように接続を切替える。その結果、図10(F)に示すように、時刻t1で振幅制御回路338の出力する駆動信号418のレベルは駆動制御信号416と同じく高くなる。この駆動信号418を受けたマイクロブロアの圧電素子が大きな振幅で振動するため、ダイアフラムも大きな振幅で振動する。その結果、当該マイクロブロアの発生する空気の流れは大きくなり、香りカートリッジからは香りを含んだ空気が比較的強く噴射される。
以下、振幅制御回路338は同様に動作する。時刻t12で香り発生信号の受信がなくなり、時刻t2(>t12)で環境音レベル信号410のレベルがしきい値411を下回り時刻t3で再びしきい値411を上回るものとする。また、時刻t13(t2<t13<t3)で香り発生指示信号414の受信が再開されたものとする。
すると、上記した動作と同様の動作により、時刻t12で駆動信号418の出力が停止し、t13で小さな振幅での出力が再開され、時刻t3で大きな振幅での出力に変化する。
香りディスプレイ50がこのように動作することにより以下のような効果を得ることができる。環境音のレベルが高いときに香りディスプレイ50に対して香り発生指示信号が入力された場合、香りカートリッジを駆動するマイクロブロアには大きな振幅の駆動信号が与えられる。駆動信号のパワーが大きいので香りカートリッジからは香りが強く噴射される。一方、環境音のレベルが低いときに香りディスプレイ50に対して香り発生指示信号が入力された場合、マイクロブロアには小さな振幅の駆動信号が与えられる。駆動信号のパワーが小さいので香りカートリッジからは香りが静かに噴射される。したがって、環境音が静かなときでも香りディスプレイ50が香りを噴射する際の音は小さく、香りディスプレイ50の周囲にいる大部分の人には気にならない程度となる。少なくともマイクロブロアの振幅を制御しない場合と比較してより静かに香りが噴出されることになる。
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、環境音のレベルがしきい値以下(又は未満)の場合にマイクロブロアの駆動信号の振幅を制限(振幅変調)することでそのパワーを制限し、香りディスプレイ50が香りを含む空気を噴出する際の音を小さくしている。しかしこの発明はそのような実施形態には限定されない。例えば、駆動信号の振幅ではなく駆動時間を制御して駆動信号のパワーを制限することもできる。この場合には、駆動信号のエンベロープのパルス幅(以下「波長」という。)を波長変調により小さくすればよい。この第2の実施形態はそのような実施形態である。
図11に、この第2の実施形態に係る香りディスプレイにおける波幅制御回路430の構成を示す。この第2の実施形態に係る香りディスプレイは、ノコギリ波発生回路432と、波幅制御回路430とを第1の実施形態に係る振幅制御回路338に代えて含む点が特徴である。そのほかの点ではこの第2の実施形態の香りディスプレイは第1の実施形態と変わらない。
図11を参照して、波幅制御回路430は、マイク72からの音響信号とノコギリ波発生回路432からのノコギリ波とを入力として、音響信号のレベルがノコギリ波発生回路432からのノコギリ波のレベルを上回る区間にハイレベルとなり、それ以外の区間でローレベルとなるレベル信号を出力するためのレベル信号出力回路450と、レベル信号出力回路450の出力とマイクロブロアの駆動信号とをそれぞれ受ける2つの端子を持つAND回路452とを含む。AND回路452の出力がマイクロブロアの駆動信号となる。
レベル信号出力回路450は、マイク72からの音響信号をプラス端子に、ノコギリ波発生回路432からのノコギリ波をマイナス端子に、それぞれ受ける比較器392とを含む。
図12を参照して、この第2の実施形態に係る香りディスプレイは以下のように動作する。
図12(A)を参照して、音響信号が信号波形470により表され、ノコギリ波発生回路432の出力するノコギリ波が信号波形472により表されるものとする。ノコギリ波は0から一定の傾き周期的に上限に達し、直ちに0に戻るという波形を持つ。
図12(A)に示されるように、信号波形470のレベルが比較的低いときには、信号波形470が信号波形472を上回る時間は短く、信号波形470のレベルが高くなるとその時間は長くなる。したがって図11に示す比較器392の出力(比較器出力)する波形は、図12(B)に示されるように、信号波形470のレベルが高いと波幅が大きく、高いと小さいパルス列からなる信号波形480となる。
図12(C)に示すように、香りの発生指示信号の信号波形490が時刻t0からt1まで、時刻t2からt3まで、時刻t4からt5まで、及び時刻t6以降においてハイレベルとなり、それ以外でローレベルとなるものとする。すると、図11に示すAND回路452の出力する信号波形は、図12(B)に示す信号波形480と図12(C)に示す香りの発生指示信号の信号波形490とのANDをとったものとなる。その波形は図12(D)に示す駆動信号500のようになる。
図12(A)と図12(D)とを比較すると明らかなように、駆動信号500は信号波形470のレベルが低くなったときには小さなパルス幅の波形となり、そうでないときには大きなパルス幅の波形となる。
このような構成により、環境音のレベルが低いときには、そうでないときと比較して、香りディスプレイが香りを含む空気を噴射する時間は短くなる。時間的に香りディスプレイが動作する時間が短くなり、結果として香りディスプレイが発生する音も低くなる。その結果、環境音のレベルが低いときに香りディスプレイを動作させた場合でも、香りディスプレイが発生する音の総量は少なく、より静かに香りを含む空気を噴射できる。
[第3の実施形態]
第1の実施形態では最終的にマイクロブロアを駆動する駆動信号のエンベロープにおいて、パルスの振幅を制御している。また第2の実施形態では駆動信号のエンベロープにおいて、パルスの波幅を制御している。しかしこれらを互いに組み合わせることも可能である。第3の実施形態に係る香りディスプレイは、両者を組み合わせたものである。
図13を参照して、この第3の実施形態に係る香りディスプレイは、第2の実施形態で示した波幅制御回路430及びノコギリ波発生回路432に加え、波幅制御回路430の後段に第1の実施形態に係る振幅制御回路338を設けたものである。ノコギリ波発生回路432の出力は、図9を参照して、振幅制御回路338にマイクロブロア駆動信号として入力される。またマイク72からのレベル信号は振幅制御回路338の制御用プロセッサ330への入力となる。
図14を参照して、この第3の実施形態に係る香りディスプレイの動作を説明する。図14(A)から(D)までは図12とほぼ同様である。この実施形態ではさらに、図14(E)に示すように信号波形470としきい値570とが比較される。信号波形470のレベルがしきい値570より上であれば図14(F)に示すように比較器出力がハイレベルとなり、図14(D)に示す信号波形がそのまま振幅制御回路338から出力される。信号波形470のレベルがしきい値570以下(未満)であれば、図14(F)に示すように比較器出力がローレベルとなり、図14(D)に示す信号波形の振幅が制限され振幅制御回路338から出よくされる。その結果、振幅制御回路338の出力する駆動信号のエンベローブは図14(G)に示すようになる。
図14(G)を参照して、この駆動信号590では、信号波形470がしきい値570より大きな場合には、香りの発生指示信号が香りディスプレイに入力されると振幅が大きく波幅も比較的大きなパルスが駆動信号590のエンベロープとなる。一方、信号波形470がしきい値570より小さな場合には、香りの発生指示信号が香りディスプレイに入力されると振幅が小さくかつ波幅も比較的小さなパルスが駆動信号590のエンベロープとなる。具体的には、例えばパルス592及びパルス群594に示されるように、図14(F)の比較器出力がローレベルのときには、出力される駆動信号590の振幅は小さくされ、かつその波幅も小さくなる。
したがってこの第3の実施形態に係る香りディスプレイでは、環境音のレベルが低いいときに香りディスプレイを動作させても発生する音は小さくかつ短い。そのため、香りディスプレイの発生する音が気になる可能性は第1の実施形態又は第2の実施形態と比較してさらに小さくなる。
なお、図14(G)に示すパルス状の波形は、実際にはより高い周波数の交番電圧からなる信号を含んでいる点に注意が必要である。
[第4の実施形態]
第1の実施形態から第3の実施形態のいずれにおいても、香りディスプレイから噴射される香りを含む空気の総量は、環境音のレベルが低いときの方が高いときよりもかなり小さくなる。これはある意味で止むを得ないことである。しかし、環境音のレベルが低いときでも、音を静かに、かつ第1の実施形態から第3の実施形態のいずれと比較してもより多く香りを含む空気を噴射できれば好ましい。この第4の実施形態は、そのような実施形態である。
図15を参照して、この第4の実施形態に係る香りディスプレイは、第3の実施形態に係る香りディスプレイにおいて、図13に示す波幅制御回路430に代えて図15に示す比較回路600を含む点に特徴がある。比較回路600は、第3の実施形態の波幅制御回路430と同様、マイクロブロアの駆動信号の波幅を制御する。ただし、波形制御回路550では環境音のレベルがしきい値以下(未満)のときに駆動信号のパルス幅を小さくしていたのに対して、比較回路600はパルス幅を第3の実施形態と比較して大きくする点に特徴がある。その他の点において、この第4の実施形態は第3の実施形態と同じである。
図15を参照して、比較回路600は、マイク72の出力する音響信号がしきい値より高いときにはハイレベル、それ以外のときにはローレベルとなる振幅を持ち、かつその位相を反転した信号を出力する位相制御回路610と、位相制御回路610の出力を一方端子に、マイクロブロアの駆動信号を他方端子に受けるように接続されたAND回路452とを含む。
位相制御回路610は、マイク72の出力する音響信号を一方端に受けるレベル検知回路390と、レベル検知回路390の出力をプラス端子に、ノコギリ波発生回路432の出力するノコギリ波をマイナス端子に、それぞれ受ける比較器620と、レベル検知回路390の出力をプラス端子に、所定のしきい値信号をマイナス端子に、それぞれ受ける比較器622と、比較器620の出力を反転させるインバータ624と、比較器620の出力を受ける第1の端子と、インバータ624の出力を受ける第2の端子とを持ち、比較器622の出力信号がハイレベルのときには比較器620の出力を、それ以外のときにはインバータ624の出力を、それぞれ選択してAND回路452に与えるセレクタ626とを含む。
図16を参照して、この第4の実施形態に係る香りディスプレイの動作を説明する。図16(A)には、環境音の信号波形470、ノコギリ波の信号波形472及びしきい値650を重ねて示してある。図16(A)及び図16(B)に示すように、この例では測定の最初である時刻t0では環境音のレベルがノコギリ波のレベルより低いが、時刻t31で逆転し、時刻t32で再び逆転する。さらに時刻t33で環境音のレベルがノコギリ波のレベルを上回り、そのままその状態が継続している。
図15に示すセレクタ626は、比較器622の出力がハイレベルのときには比較器620の出力を選択し、そうでないときにはインバータ624の出力を選択する。したがって、比較器622の出力がハイレベルからローレベルに変化したとき、及びローレベルからハイレベルに変化したときにセレクタ626の出力する信号の移動は180度反転する。その結果、図16(B)において、時刻t31からt32、及び時刻t33以降の比較回路600の出力の波形660は、図14(B)に示すものと一致する。一方、時刻t0からt31まで、及び時刻t32からt33までの比較回路600の出力の波形は、図16(B)に示すように、図14(B)に示すものの位相を180度反転したものとなる。その結果、第3の実施形態では環境音のレベルがしきい値を下回ったときには比較器の出力するパルス幅は小さくなったのに対し、第4の実施形態では比較回路600の出力するパルス幅は大きくなり、環境音のレベルがしきい値を上回っているときと同様の幅となる。
比較回路600の出力に対する振幅制御回路338による処理は、第3の実施形態と同様である。ただし上記したように比較回路出力におけるパルス幅が変化しているため、それに応じて図16(D)に示すように比較回路600の出力する波長変調信号の波形670は時刻t32からt33での波長が第3の実施形態より長くなる。最終的に得られるマイクロブロアの駆動信号の波形は図16(E)に示されるように、図14(G)とは異なっている。具体的には、図14(G)においてパルス592及びパルス群594は振幅が小さくなっていると同時にパルス幅も小さくなっている。しかし図16(E)に示される駆動信号680では、パルス682及びパルス群684、特にパルス群684に含まれるパルスについては振幅が小さくなっているものの、パルス幅は比較的大きくなる。なお、図14と図16とではしきい値の高さが変わっており、図16の方が図14と比較してやや低く設定されている。そのため図14(G)の波形と図16(E)の波形とが正確に対応しているわけではない点に注意が必要である。
こうした構成により以下のような効果が得られる。環境音がしきい値を下回った場合、マイクロブロアの駆動信号の振幅は小さくなるが、パルス幅は比較的大きくなる。そのため、マイクロブロアの駆動音は小さくなるが、駆動時間が比較的長くなる。その結果、環境音のレベルが低くなったときにも、駆動音を小さくしながら、第1から第3の実施形態の装置と比較して、香りを含んだ空気をより多く噴射できる。その結果、静かな動作音で十分な香りを放出できるという効果が得られる。
[第5の実施形態]
第1から第4の実施形態では、環境音のレベルと比較するしきい値は変化しないことが前提となっている。しかし、この発明はそのような実施形態に限定されるわけではない。環境音のレベルが比較的頻繁に変化する場合、それに追随して香りディスプレイの噴射を制御すると、その駆動音の変化が目立ってしまうという問題がある。そのため、上記実施形態のいずれでも、通常の比較器に代えて、ヒステリシスをもたせた比較機を用いるようにしてもよい。すなわち、環境音のレベルがしきい値を下回る変化があった場合にはしきい値を高くし、逆の変化があった場合にはしきい値を下げるようにする。
このようにすることで、環境音のレベルが頻繁に変化しても香りディスプレイの運転の強弱の変化を少なくでき、環境音のレベルが比較的低いときでも運転音の変化が目立つという問題を回避できる。
このようなしきい値にヒステリシスを持たせるような制御を含めて、コンピュータであるプロセッサに所定のコンピュータプログラム(以下、単に「プログラム」という。)を実行させることで香りディスプレイの動作を制御させることができる。第5の実施形態はそのようなプログラムに関するものである。
なお、このプログラムでは、プロセッサの負荷を軽減するために、タイマによる駆動信号の生成手法を採用する。この手法は、所定のレジスタに駆動信号の振幅を示す値と信号の継続時間を示す値とを設定することにより指定された振幅と指定された時間だけ継続する一定周波数の信号を出力するようタイマを利用する手法である。信号生成のための負荷がプロセッサにかかることがなく、プロセッサは他の処理を実行できる。
図17を参照して、このプログラムは、初期設定を行うステップ700を含む。ステップ700で設定される変数は、駆動信号の振幅を高い方の第1の値とするか低い方の第2の値とするかを指定する変数R1と、駆動信号を出力するか否かを指定する変数R2と、音響信号のレベルLと、音響信号のレベルと比較するしきい値LTHとを含む。使用する定数として、第1のしきい値LTH1と、第1のしきい値LTH1より大きな第2のしきい値LTH2がある。この実施形態では、変数R1の値が「1」のときには駆動信号の振幅は第1の値、すなわち高い方の値に設定される。変数R1の値が「0」のときには駆動信号の振幅は第2の値、すなわち低い方の値に設定される。また変数R2の値が「1」のときには駆動信号が発生され、変数R2の値が「0」のときには駆動信号は発生されない。
ステップ700では、変数R1及び変数R2の双方に0が設定される。しきい値LTHには第1のしきい値LTH1と第2のしきい値LTH2との平均値が設定される。
このプログラムはさらに、ステップ700に続き、環境音のレベルを示すレベル信号の値Lを所定アドレスから読出す、すなわちレベル信号の値Lをサンプリングするステップ702と、ステップ702で読出しレベル信号の値Lをしきい値LTHと比較し、その結果にしたがって制御の流れを分岐するステップ704とを含む。
このプログラムはさらに、ステップ704の判定が肯定のときに、変数R1に値「1」を代入するステップ706と、ステップ706に続き、しきい値LTHに第1のしきい値LTH1の値を代入するステップ708と、ステップ704の判定が否定のときに、変数R1に値「0」を代入するステップ710と、しきい値LTHに第2のしきい値LTH2を代入するステップ712とを含む。
これらステップ704からステップ712の処理により、レベル信号がしきい値LTHを上向きにクロスすると、しきい値LTHは小さな値である第1のしきい値LTH1となる。またレベル信号がしきい値LTHを下向きにクロスすると、しきい値LTHはより大きな値である第2のしきい値LTH2となる。したがって、一旦レベル信号がしきい値LTHをクロスすると、次にレベル信号が同じ値となってもすぐにはステップ704の判定結果は反転せず、さらに大きく値を変化させないとステップ704の判定結果は反転しない。すなわちステップ704からステップ712の処理によりヒステリシス効果を得ることができる。
このプログラムはさらに、ステップ708及びステップ712のいずれについてもその後に実行され、香り発生指示信号がオンとなっているか否かを判定しその結果により制御の流れを分岐させるステップ714と、ステップ714の判定が肯定のときに、変数R2に値「1」を代入するステップ716と、ステップ714の判定が否定のときに、変数R2に値「0」を代入するステップ718と、ステップ716及びステップ718のいずれについてもその後に実行され、香りディスプレイ50の動作を終了させる指示、すなわち香りディスプレイ50の電源を切断する指示を受けたか否かを判定しその結果にしたがって制御の流れを分岐させるステップ720と、ステップ720の判定が肯定のときに、変数R2に0を代入する等の後処理を実行してプログラムの実行を終了するステップ722と、ステップ720の判定が否定のときに、このプログラムの実行サイクル時間の終了まで待機した後、制御をステップ702に戻すステップ724とを含む。
このプログラムにより、香りディスプレイ50は以下のように動作する。以下の説明では、環境音のレベルが最初は高く、途中から低くなり、さらにその後で高くなる場合を想定する。また環境音のレベルが高い最初の期間の途中で香り発生指示信号が香りディスプレイ50に与えられ、環境音のレベルが低くなるまで維持され、環境音のレベルが再び高くなる前に中断されたものとする。
まず香りディスプレイ50が起動すると、プロセッサはステップ700で初期設定を行う。特にしきい値LTHとして第1のしきい値LTH1と第2のしきい値LTH2との平均値が設定される。プロセッサは、ステップ702で環境音のレベル信号を読み、ステップ704で環境音のレベルがしきい値LTHより高いか否かを判定する。ここではステップ704の判定は肯定となりステップ706とステップ708とが実行される。すなわち、駆動信号の振幅は大きく設定され、しきい値LTHは低い値である第1のしきい値LTH1に設定される。
香りディスプレイ起動直後は香り発生指示信号がないのでステップ714の判定は否定となり、ステップ718が実行される。ステップ718が実行されてもマイクロブロアの駆動信号は発生されないので、ステップ720の判定は否定となり、ステップ724を経て制御はステップ702に戻る。以下、香り発生指示信号が香りディスプレイ50に与えられるまで上記した処理が繰り返されるので、駆動信号は発生されない。
香り発生指示信号が香りディスプレイ50に与えられると、ステップ714の判定が肯定となり、ステップ716が実行される。その結果、駆動信号の発生が開始されるが、そのときの振幅は大きな値である。以下、環境音のレベルが第1のしきい値LTH1を下回るまで、ステップ702、704、706、708、714、716、720及び724が繰返し実行される。
環境音のレベルが第1のしきい値LTH1を下回ると、ステップ704の判定が否定となる。ステップ710が実行され、駆動信号の振幅は小さな値に設定される。ステップ712が実行されるので、しきい値LTHの値は第1のしきい値LTH1から、より高い第2のしきい値LTH2に変化する。ステップ714の判定はここでは肯定であり、プロセッサはステップ716、720、及び724を実行する。以下、ステップ702、704、710、712、714、716、720及び724が繰返し実行される。その結果、駆動信号が小さな振幅で発生され続ける。しきい値LTHがより大きな第2のしきい値LTH2となっているので、環境音のレベルが多少高くなってもすぐにはステップ704の判定は反転せず、駆動信号の出力が維持される。
その後、香りディスプレイ50への香り発生指示信号が中断されたものとする。ステップ714の判定が否定となり、ステップ718が実行されて駆動信号の出力は終了する。以下、ステップ720及び724が実行されて制御はステップ702に戻る。この後、環境音のレベルが第2のしきい値LTH2を上回るまで、ステップ702、704、710、712、714、718、720及び724が繰返し実行される。その間、駆動信号は出力されない。
やがて環境音のレベルが第2のしきい値LTH2を上回るとステップ704の判定が肯定となり、ステップ706とステップ708とが実行されて香りディスプレイ50の状態は最初の状態に戻る。
以上のようにプロセッサが図17に制御構造を示すプログラムを実行することにより、香りディスプレイ50は第1の実施形態に示したものと同様に動作する。また第5の実施形態では、環境音がしきい値のレベルを下向きにクロスするたびにより高く、上向きにクロスするたびにより低く、しきい値が変化し、その結果、比較処理にヒステリシス効果が生じる。環境音が比較的短い時間に変動したとしても、ただちに香りディスプレイ50の動作がそれによって影響を受けることはなく完全に環境音のレベルが変化して初めて香りディスプレイ50が香りを含む空気を放出するときの強さが変化する。すなわち香りディスプレイ50の動作音が頻繁に変わることがなく、静粛に動作しているときに急に大きくなることを繰り返すようなことが防止できる。その結果、香りディスプレイ50の動作音が頻繁に変化してしまいユーザがそれを気にするような事態の発生が避けられる。
香り発生指示信号がオフのときには常に制御の流れはステップ718を通るので、環境音のレベルにかかわらずマイクロブロアの駆動信号は発生されない。
[第6の実施形態]
上記実施形態では、レベル信号を一定のしきい値、又はノコギリ波のように変化する信号と比較し、その結果を用いて2値的に駆動信号の振幅又は波幅等を決定している。しかしこの発明はそのような実施形態には限定されない。駆動信号の振幅又は波幅を、レベル信号にしたがってアナログ的に変化させるようにしてもよい。この第6の実施形態に係る香りディスプレイはそのような機能を持つ。
図18に、この第6の実施形態に係る香りディスプレイに使用される駆動信号増幅部750の構成をブロック図形式で示す。この駆動信号増幅部750は、図9に示す振幅制御回路338に代えて用いることができる。
図18を参照して、駆動信号増幅部750は、マイク72からの音響信号の電圧レベルを検出しレベル信号を出力するレベル検知回路390と、図8に示す入出力I/O336から受ける駆動制御信号を、レベル検知回路390の出力により変化する増幅率で増幅し駆動信号として出力するための増幅回路760と、増幅回路760により増幅された駆動信号の振幅が大きくなり過ぎてマイクロブロアに悪影響を及ぼすことを防止するために、駆動信号の電圧が一定電圧より大きくならないようにして対応するマイクロブロアに与えるためのリミッタ762とを含む。
駆動信号増幅部750の動作を簡単に説明する。香りディスプレイがある香りカートリッジの香りを放出するよう指示を受けた場合、香りディスプレイの制御用プロセッサ330(図8)は一定周期で一定電圧の交番電圧からなる駆動制御信号を入出力I/O336(図8)を経て出力する。この駆動制御信号は、図18に示す増幅回路760に入力される。
一方、図18に示すレベル検知回路390は、マイク72からの音響信号のレベルを検出してレベル信号を出力する。増幅回路760は、入出力I/O336から受けた駆動制御信号の振幅を、レベル検知回路390の出力する電圧にしたがって増幅する。通常は、増幅回路760の出力する駆動信号の電圧はマイクロブロアに悪影響を及ぼさない範囲に収まる。しかし、ときに増幅後の駆動信号の電圧が過大になる可能性もある。そこで、増幅回路760の出力の後段にリミッタ762を設け、駆動信号の電圧の絶対値が一定の大きさ以上となったときにはその一定値に駆動信号の電圧を制限してマイクロブロアに与える。
図19(A)に音響信号のレベル信号波形470、図19(B)に香り噴射指示信号の信号波形490、図19(C)にリミッタ762の出力する駆動信号800の波形を、それぞれ示す。図19(A)及び図19(B)は図14(E)及び図14(F)に示したものと同じである。
図19(C)を参照して、駆動信号800は、香り噴射指示信号の信号波形490がオンとなっている期間(時刻t0からt1、t2からt3、t4からt5、及びt6以降)だけ、レベル信号波形470の変化に従属して変化する波形で出力される。ただし、時刻t2直後、時刻t4からt5までの後半部分及び時刻t6以降では駆動信号の電圧が過大となるため、図18に示すリミッタ762により駆動信号の振幅の上下部分が一点鎖線810及び812で示される値に制限されている。
この実施形態によれば、音響信号のレベルに追従して、駆動信号のレベルが変化するすなわち、音響信号のレベルが低ければ駆動信号のレベルも低く、香りディスプレイは静かに動作する。音響信号のレベルが高くなれば駆動信号のレベルも高くなり、香りディスプレイは香りを含む空気をより多く噴射するようになる。その結果、環境音のレベルにあわせてアナログ的に香りディスプレイの動作の強度を制御できる。
なおこの実施形態では、駆動信号の増幅率は音響信号のレベルに忠実にしたがっている。しかしこの発明はそのような実施形態には限定されない。例えば音響信号のレベルが一定値以下になった場合には増幅回路の動作を停止させることもできる。この場合には、周囲が一定レベルより静かになると、香りディスプレイが停止するため、香りディスプレイの動作音が気になることはなくなる。また、上記第6の実施形態では、増幅回路760の増幅率は一定である。しかし増幅率を何段階か、又は連続的に変化させることができるようにしてもよい。
上記実施形態では、香り発生指示信号はいずれも外部から無線通信により香りディスプレイ50に与えられている。しかしこの発明はそのような実施形態には限定されない。香り発生信号が有線通信により香りディスプレイ50に与えられてもよい。また、香り発生指示信号が香りディスプレイ50の内部に設けられてもよい。さらに上記実施形態ではレベル信号は香りディスプレイの周囲の音を収録するマイクの出力をレベル検知回路に通すことで得ている。しかしこの発明はそのような実施形態に限定されない。レベル信号として、例えば音声と映像とを再生する装置において、音響信号を処理するアンプ等の回路の出力信号を直接に利用してもよい。この場合の環境音とは、香りディスプレイの周囲で発生している音というわけではなく、香りディスプレイの周囲で発生されることが予定されている音ということになる。しかしこの場合もその音は香りディスプレイが香りを噴出するときに発せられることが予定されている音であるから、環境音の一種ということができる。
今回開示された実施形態は単に例示であって、本発明が上記した実施形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
50 香りディスプレイ
72 マイク
98 制御基板
102 NFCチップステージ
104、150、152、154、156、158、160 マイクロブロア
110、112、114、116、118、120 カートリッジ収容部
130、132、134、136、138、140 カートリッジ
172 給気口
180、182、184、190 NFCチップ
320 マイクロブロア群
322 NFCチップ群
324 駆動回路基板
330 制御用プロセッサ
332 無線通信ユニット
334、336 入出力I/O
338 振幅制御回路
360、450 レベル信号出力回路
362 スイッチ
364、762 リミッタ
390 ローパスフィルタ
392、620、622 比較器
410 環境音レベル信号
411、570、650 しきい値
412 香り発生指示信号
416 駆動制御信号
418、500、590、680、800 駆動信号
430 波幅制御回路
432 ノコギリ波発生回路
550 波形制御回路
600 比較回路
610 位相制御回路
750 駆動信号増幅部
760 増幅回路

Claims (8)

  1. 香源を保持する香源保持手段と、
    駆動信号に応答して、前記香源保持手段から香りを噴射させるための空気流を生成する空気流生成手段と、
    外部から与えられる香り発生指示信号に応答して、環境音のレベルにしたがった強さで空気流を噴出するように前記駆動信号を生成して前記空気流生成手段に与えるための駆動信号生成手段とを含む、香りディスプレイであって、
    前記駆動信号生成手段は、
    前記香り発生指示信号に応答して、前記空気流生成手段を駆動するための、前記環境音のレベルにかかわらず一定パワーの駆動制御信号を生成する駆動制御信号生成手段と、
    前記環境音のレベルにしたがって前記駆動制御信号のパワーを制御して前記駆動信号として前記空気流生成手段に与えるためのパワー制御手段とを含む、香りディスプレイ
  2. 前記パワー制御手段は、
    前記環境音のレベルを示すレベル信号の電圧レベルを所定のしきい値と比較するための比較手段と、
    前記比較手段の出力を用いて前記駆動制御信号を変調して前記駆動信号として出力するための変調手段とを含む、請求項1に記載の香りディスプレイ。
  3. 前記変調手段は、前記比較手段の出力により前記駆動制御信号の振幅又は波長、若しくはその双方を変調するための手段を含む、請求項2に記載の香りディスプレイ。
  4. 環境音のレベルを測定して前記レベル信号を出力するためのレベル測定手段をさらに含む、請求項2又は請求項3に記載の香りディスプレイ。
  5. 前記レベル信号を前記香りディスプレイの外部から無線通信または有線通信により受信して前記比較手段に与えるための通信装置をさらに含む、請求項2又は請求項3に記載の香りディスプレイ。
  6. 前記比較手段は、ヒステリシスを持つ比較器を含む、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の香りディスプレイ。
  7. 香源を保持する香源保持手段と、
    駆動信号に応答して、前記香源保持手段から香りを噴射させるための空気流を生成する空気流生成手段とを含む香りディスプレイを制御するためのコンピュータプログラムであって、
    コンピュータを、
    環境音の強度レベルを示すレベル信号をサンプリングするためのサンプリング手段と、
    前記サンプリング手段の出力を所定のしきい値と比較するための比較手段と、
    外部からの香り発生指示信号に応答して、前記空気流生成手段を動作させるための、前記環境音の強度レベルにかかわらず一定パワーの駆動制御信号を生成するための駆動制御信号生成手段と
    前記比較手段の出力にしたがって前記駆動制御信号のパワーを制御して前記駆動信号として前記空気流生成手段に与えるためのパワー制御手段と、
    記比較手段の出力に応じて前記所定のしきい値を変化させるためのしきい値制御手段として能させる、ンピュータプログラム。
  8. 香源を保持する香源保持手段と、駆動信号に応答して、前記香源保持手段から香りを噴射させるための空気流を生成する空気流生成手段とを含む香りディスプレイを動作させる方法であって、
    環境音のレベルを示すレベル信号を生成するステップと、
    外部から与えられる香り発生指示信号に応答して、前記レベル信号の電圧レベルに応じた強さで空気流を噴出するように前記駆動信号を生成して前記空気流生成手段に与えるステップとを含み、
    前記駆動信号を生成して前記空気流生成手段に与えるステップは、
    前記香り発生指示信号に応答して、前記空気流生成手段を駆動するための、前記環境音の強度レベルにかかわらず一定パワーの駆動制御信号を生成するステップと、
    前記環境音のレベルにしたがって前記駆動制御信号のパワーを制御して前記駆動信号として前記空気流生成手段に与えるステップとを含む、方法。
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