JP7026250B2 - カメラ用ドライブ基板及び放送用カメラ - Google Patents

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Description

本発明は、高速クロックで動作するハイスピードカメラ用のドライブ基板に係り、特に、製造コストの増大を抑え、短い開発期間で、低温から高温まで映像にビットエラーが発生することがないカメラ用ドライブ基板及び放送用カメラに関する。
[従来の技術]
カメラ用ドライブ基板は、FPGA(Field Programmable Gate Array)を搭載し、カメラ用のR(赤)G(緑)B(青)の撮像センサを備えるセンサ基板からの映像信号(映像データ)を読み込み、信号処理を行う。
[従来のセンサ基板とドライブ基板:図10]
従来のセンサ基板とドライブ基板の関係について図10を参照しながら説明する。図10は、従来のセンサ基板とドライブ基板の概略図である。
カメラ用のセンサ基板は、赤(R)用のセンサR基板100と、緑(G)用のセンサG基板200と、青(B)用のセンサB基板300とを備えている。
各センサ基板は、コネクタ(CN)を備え、ドライブ基板1´に接続している。
また、ドライブ(Drive)基板1´には、Drive-FPGA10´が搭載されている。
また、ドライブ基板1´には、センサ基板のコネクタ(CN)に接続するコネクタ(CN)が設けられ、センサ基板からのデータをDrive-FPGA10´内に取り込むようになっている。
ドライブ基板1´には、R,G,Bデータ及びクロックが入力され、それらをDrive-FPGA10´に出力し、Drive-FPGA10´では、R,G,Bデータを同時に入力されたクロックで駆動している。
また、Drive-FPGA10´は、駆動の基本となる主クロック(MCLK)を生成してセンサR基板100に提供し、その主クロックを用いて第1のクロックと第2のクロックが生成されるようになっている。
尚、ハイスピードカメラ(スローモーションカメラ)に、既存のHD(High Definition:高精細度)カメラのセンサ基板を駆動するドライブ基板を流用していたが、通常のカメラに比べて2倍以上の高速なクロックを使用する必要があった。
[温度変化によるクロック位相の変化:図11]
ここで、従来のドライブ基板をハイスピードカメラに用いた場合の温度変化によるクロック位相の変化について図11を参照しながら説明する。図11は、温度変化によるクロック位相の変化を示す図である。
Drive-FPGA10´内のPLL(Phase Locked Loop)で生成されたクロックは、PLLの Dynamic Phase Shift 機能により一周期40ステップで位相をずらして(シフトして)ラッチできる。ビットエラーが発生しないステップは「〇」で、ビットエラーが発生するステップは「×」で、中央値を「◎」で示している。
ハイスピードカメラでは、センサ基板とドライブ基板との間の伝送レート、PLLで生成されるクロックが高速になるため、クロック位相が適正でないとコンパイル時にセットアップ/ホールド違反が発生し、ビットエラーが発生する。
ビットエラーが発生するか否かは、温度によって変化するものである。
図11に示すように、常温時には、クロック位相がステップ3~13(中央値がステップ8)でビットエラーは発生しない(〇の状態)が、その他のステップではビットエラーが発生している(×の状態)。
また、高温時には、クロック位相がステップ36~6(中央値がステップ1)でビットエラーは発生しない(〇の状態)が、その他のステップではビットエラーが発生している(×の状態)。
また、低温時には、クロック位相がステップ9~19(中央値がステップ14)でビットエラーは発生しない(〇の状態)が、その他のステップではビットエラーが発生している(×の状態)。
このように、常温時にビットエラーが発生しない範囲のクロック位相ステップ3~13(中央値ステップ8)を用いた場合、高温時及び低温時にはビットエラーが発生することになる。
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特開2010-219638号公報「データ転送装置及び撮像装置」(特許文献1)、特開2013-165369号公報「位相調整装置および撮像装置」(特許文献2)、国際公開第2008/111395号公報「クロックレス伝送システムおよびクロックレス伝送方法」(特許文献3)、特開2013-000450号公報「電子内視鏡装置」(特許文献4)がある。
特開2010-219638号公報 特開2013-165369号公報 国際公開第2008/111395号公報 特開2013-000450号公報
しかしながら、従来のカメラ用のドライブ基板では、上述したとおり、ハイスピードカメラに用いると高速クロックを使用する必要があるため、常温時には問題はないものの、低温時と高温時に映像にビットエラーが発生するという問題点があった。
尚、ハイスピードカメラ用により高性能、高機能のFPGAをドライブ基板に搭載するようにすれば問題はないが、基板の改良、再設計が必要になり、コスト増となる問題点があった。
尚、特許文献1~4には、映像信号のフレーム毎のブランキング期間中に温度に応じてクロック位相をシフトし、ビットエラーが発生しない位相に設定することは記載されていない。
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、製造コストの増大を抑え、短い開発期間で、低温から高温まで映像にビットエラーが発生することがないカメラ用ドライブ基板及び放送用カメラを提供することを目的とする。
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、センサ基板からの映像データを入力して信号処理を行うカメラ用のドライブ基板であって、クロックの位相をシフトさせる機能を有するPLL回路と、映像データのフレームにおいて、実効画素データが使用しないブランキング期間内の第1の期間で、PLL回路にクロックの位相をシフトさせるよう制御を行い、ブランキング期間内の第2の期間で、シフトさせたクロックの位相でビットエラーの発生の有無を検出する位相シフト制御部とを有するものである。
本発明は、上記カメラ用ドライブ基板において、位相シフト制御部が、第2の期間でビットエラーが発生した場合に、ブランキング期間内の第3の期間で、PLL回路にクロックの位相をシフトさせるよう制御を行い、第1の期間から第3の期間までの処理をフレーム毎に繰り返してクロックの位相を調整するものである。
本発明は、上記カメラ用ドライブ基板において、位相シフト制御部が、第2の期間における複数のラインについてライン開始コードとライン終了コードをカウントし、当該カウントした値が予め定められた設定値より小さい場合にビットエラーの発生を検出するものである。
本発明は、放送用カメラにおいて、上記カメラ用ドライブ基板を備えるものである。
本発明は、カメラ用ドライブ基板におけるクロック位相制御方法であって、映像データのフレームにおいて、実効画素データが使用しないブランキング期間内の第1の期間で、PLL回路にクロックの位相をシフトさせ、ブランキング期間内の第2の期間で、シフトさせたクロックの位相でビットエラーの発生の有無を検出し、第2の期間でビットエラーが発生した場合に、ブランキング期間内の第3の期間で、PLL回路にクロックの位相をシフトさせ、第1の期間から第3の期間までの処理をフレーム毎に繰り返してクロックの位相を調整するものである。
本発明によれば、クロックの位相をシフトさせる機能を有するPLL回路と、映像データのフレームにおいて、実効画素データが使用しないブランキング期間内の第1の期間で、PLL回路にクロックの位相をシフトさせるよう制御を行い、ブランキング期間内の第2の期間で、シフトさせたクロックの位相でビットエラーの発生の有無を検出する位相シフト制御部とを有するカメラ用ドライブ基板としているので、製造コストの増大を抑え、短い開発期間で、低温から高温まで映像にビットエラーが発生することを防止できる効果がある。
本ドライブ基板のドライブFPGAの概略図である。 エラー判定回路の構成ブロック図である。 sol,eol検出・算出回路の構成ブロック図である。 映像期間と垂直カウンタの関係を示す図である。 位相シフトの処理(1)を示すフロー図である。 位相シフトの処理(2)を示すフロー図である。 位相シフトの処理(3)を示すフロー図である。 Stageごとのシフト方向とSTEP数を示す図である。 Stage信号内訳を示す図である。 従来のセンサ基板とドライブ基板の概略図である。 温度変化によるクロック位相の変化を示す図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係るカメラ用ドライブ基板(本ドライブ基板)は、映像信号におけるフレーム毎の実効画素データが使用されないブランキング期間内の第1の期間でクロック位相をシフトさせ、ブランキング期間内の第2の期間で位相シフトさせたクロックに基づくビットエラーの発生の有無を検出し、ブランキング期間内の第3の期間で更にクロック位相をシフトさせ、これら処理を繰り返してクロックの位相を適正となるよう調整するものであり、これにより、製造コストの増大を抑え、短い開発期間で、低温から高温まで映像にビットエラーが発生することを防止できるものである。
また、本発明の実施の形態に係る放送用カメラは、本ドライブ基板を備えるものである。
[本ドライブ基板のドライブFPGA:図1]
本ドライブ基板のドライブFPGAについて図1を参照しながら説明する。図1は、本ドライブ基板のドライブFPGAの概略図である。
本ドライブ基板1は、図1に示すように、ドライブFPGA(Drive-FPGA)10を備えている。
尚、本ドライブ基板1とセンサR基板100、センサG基板200、センサB基板300との関係は、図10と同様であるが、各センサ基板から映像データと共に送信されるクロック(CLK)をドライブFPGA10では用いず、内部で生成され、位相が調整されたクロックを用いるようにしている点が相違している。
また、図1では、赤(R)の映像データを処理する構成について主に説明し、緑(G)と青(B)の映像データを処理する構成は省略している。
ドライブFPGA10は、図1に示すように、シリアル/パラレル(S/P)変換部11,21と、クロック乗替部12,22と、バイト(byte)同期部13,23と、(プログレッシブ/インターレース)p/i変換部14,24と、R,B位相シフト制御部15と、G位相シフト制御部25と、第1のPLL回路26と、第2のPLL回路16と、第3のPLL回路20とを有している。
ドライブFPGA10の動作の概要は、映像データのフレームの中で映像データとして使用していないブランキング期間にクロックの位相シフトを行い、当該位相でビットエラーが出るか否かを判定して、この処理を繰り返すことで、適切なクロック位相を見つけ出して設定するというものである。
[Drive-FPGA10内の各部]
[S/P変換部11]
S/P変換部11は、第1の赤の映像データ(R1)を入力し、第2のPLL回路16からの第1の赤の映像データ(R1)用のR1位相シフトクロックに基づいてシリアルデータをパラレルデータに変換し、パラレルデータをクロック乗替部12に出力する。
[S/P変換部21]
S/P変換部21は、第2の赤の映像データ(R2)を入力し、第2のPLL回路16からの第2の赤の映像データ(R2)用のR2位相シフトクロックに基づいてシリアルデータをパラレルデータに変換し、パラレルデータをクロック乗替部22に出力する。
[クロック乗替部12]
クロック乗替部12は、第2のPLL回路16のR1位相シフトクロックに従ってS/P変換部11からのデータを内部のRAM(Random Access Memory)等のメモリに書き込み、第3のPLL回路20からのシステムクロックに従ってデータを読み出してbyte同期部13に出力する。つまり、クロック乗替部12は、システムクロックへの乗せ替えを行うものである。
[クロック乗替部22]
クロック乗替部22は、第2のPLL回路16のR2位相シフトクロックに従ってS/P変換部21からのデータを内部のRAM等のメモリに書き込み、第3のPLL回路20からのシステムクロックに従ってデータを読み出してbyte同期部23に出力する。つまり、クロック乗替部22は、システムクロックへの乗せ替えを行うものである。
[byte同期部13]
byte同期部13は、第3のPLL回路20からのシステムクロックを入力し、R1についてbyte同期を行い、byte同期されたデータ(R1)と映像データのフレームのsof(start of frame:フレーム開始コード),sol(start of line:ライン開始コード),eol(end of line:ライン終了コード)信号をp/i変換部14に出力する。ラインは、フレームの水平方向のラインである。
また、byte同期部13は、R1についてのsof,sol,eol信号をR,B位相シフト制御部15に出力する。
[byte同期部23]
byte同期部23は、第3のPLL回路20からのシステムクロックを入力し、R2についてbyte同期を行い、byte同期されたデータ(R2)とsof,sol,eol信号をp/i変換部24に出力する。
また、byte同期部23は、R2についてのsof,sol,eol信号をR,B位相シフト制御部15に出力する。
[p/i変換部14]
p/i変換部14は、第3のPLL回路20からのシステムクロックを入力し、byte同期部13でbyte同期されたデータ(R1)をプログレッシブ形式のデータからインターレース形式のデータに変換して出力する。
[p/i変換部24]
p/i変換部24は、第3のPLL回路20からのシステムクロックを入力し、byte同期部23でbyte同期されたデータ(R2)をプログレッシブ形式のデータからインターレース形式のデータに変換して出力する。
尚、S/P変換部11,21、クロック乗替部12,22、byte同期部13,23、p/i変換部14,24は、緑と青の映像データについても同様の構成を備えているが、図1では省略している。
[R,B位相シフト制御部15]
R,B位相シフト制御部15は、byte同期部13からR1のsof,sol,eol信号を入力し、byte同期部23からR2のsof,sol,eol信号を入力し、更に、第1の青の映像データ(B1)のsof,sol,eol信号と第2の青の映像データ(B2)のsof,sol,eol信号を入力し、ブランキング期間を検出して、R1,R2,B1,B2についてクロック位相を調整するための位相シフトの制御情報(R,Bch用位相シフトコントロール信号)を第2のPLL回路16に出力する。
R,B位相シフト制御部15内には、後述するsol,eol検出・算出回路と位相シフト処理を実行する処理制御部が設けられており、それらの構成と、内部の処理については後述する。
[G位相シフト制御部25]
G位相シフト制御部25は、byte同期された第1の緑の映像データ(G1)のsof,sol,eol信号を入力し、byte同期された第2の映像データ(G2)のsof,sol,eol信号を入力し、G1,G2について位相シフトの制御情報(Gch用位相コントロール信号)を第1のPLL回路26に出力する。
R,B位相シフト制御部15及びG位相シフト制御部25における処理が、本実施の形態の特徴部分であるため、処理の詳細は後述する。
[第1のPLL回路26]
第1のPLL回路26は、G位相シフト制御部25からの位相シフトの制御情報(G1,G2のそれぞれの制御情報)に基づいて、第1の緑の映像データ(G1)用に位相をシフトさせたクロック(G1位相シフトクロック)と、第2の緑の映像データ(G2)用に位相をシフトさせたクロック(G2位相シフトクロック)を生成して出力する。
第1のPLL回路26と第2のPLL回路16は、生成したクロックについて位相を一周期40ステップにシフトすることができる。この機能(Dynamic Phase Shift 機能)によって、PLL回路の出力クロックの位相をずらすことができ、ずらしたクロック位相で映像データをS/P変換部11,21等でラッチするものである。
[第2のPLL回路16]
第2のPLL回路16は、R,B位相シフト制御部15からの位相シフトの制御情報(R1,R2,B1,B2のそれぞれの制御情報)に基づいて、第1の赤の映像データ(R1)用に位相をシフトさせたクロック(R1位相シフトクロック)と、第2の赤の映像データ(R2)用に位相をシフトさせたクロック(R2位相シフトクロッ)と、第1の青の映像データ(B1)用に位相をシフトさせたクロック(B1位相シフトクロック)と、第2の青の映像データ(B2)用に位相をシフトさせたクロック(B2位相シフトクロッ)とを生成して出力する。
R1位相シフトクロックは、S/P変換部11とクロック乗替部12に入力され、S/P変換部11では、そのR1位相シフトクロックのタイミングでS/P変換が為され、クロック乗替部12では、内部のRAMに書き込むタイミングに使用される。
また、R2位相シフトクロックは、S/P変換部21とクロック乗替部22に入力され、S/P変換部21では、そのR2位相シフトクロックのタイミングでS/P変換が為され、クロック乗替部22では、内部のRAMに書き込むタイミングに使用される。
その他の色の位相シフトクロックも各色のS/P変換部とクロック乗替部に入力されるようになっている。
[第3のPLL回路20]
第3のPLL回路20は、電圧制御水晶発振器(VCXO:Voltage Control Crystal Oscillator)で生成されたクロックを基にDrive-FPGA10内のシステムクロックを生成し、各部に提供している。
[エラー判定回路:図2]
次に、本Drive-FPGA10の評価判定のためのエラー判定回路について図2を参照しながら説明する。図2は、エラー判定回路の構成ブロック図である。
エラー判定回路は、図1のR,B位相シフト制御部15のR1,R2の入力段(A)(B)に設置されるが、評価のための装置であるので、実装するものではない。
また、R,B位相シフト制御部15のB1,B2の入力段、更にG位相シフト制御部24の入力段に設置して、他の色のビットエラーの判定を行ってもよい。
エラー判定回路は、図2に示すように、sol信号とeol信号を入力し、それら信号を検出するとカウント値を出力するカウンタ回路31と、カウンタ回路31からのカウント値とエラーが発生していない場合の正常値とを比較する比較器32とを有している。
エラーが発生すると、sol信号又はeol信号が検出されず、カウンタ回路31から出力されるカウント値は、エラーがない場合の正常値より小さい値となる。
比較器32において、カウント値が正常値と一致しなければ、エラーが発生したとしてエラー判定信号を出力する。
このエラー判定回路を使用すれば、本実施の形態における温度に応じて適正なクロックの位相シフトが為されたか否かが確認できるものである。
[sol,eol検出・算出回路:図3]
次に、本Drive-FPGA10のR,B位相シフト制御部15内に備えられたsol,eol検出・算出回路について図3を参照しながら説明する。図3は、sol,eol検出・算出回路の構成ブロック図である。
sol,eol検出・算出回路は、sol信号とeol信号を検出し、それらの検出回数をカウントしてカウント値を出力するものである。sol信号とeol信号を検出できたか否かで、ビットエラーが発生しているか否かを判定するものである。
また、R,B位相シフト制御部15には、sol,eol検出・算出回路からのカウント値を受けてシフト処理を実行する処理制御部を備えている。処理制御部は、演算部、記憶部を備え、プログラムにより実行される。処理制御部での位相シフト処理は後述する。
sol,eol検出・算出回路は、図3に示すように、sol信号を検出し、検出信号を出力するsol検出回路151と、eol信号を検出し、検出信号を出力するeol検出回路152と、sol検出回路151からの検出信号又はeol検出回路152からの検出信号の入力があると、カウントのための信号を出力する論理和(OR)回路153と、OR回路153からの信号の回数をカウントしてカウント値を出力するsol,eolカウンタ154とを備えている。
尚、このカウンタ値は、後述する図5~7で「36回カウントしたか」どうかの判定処理に用いるものである。
[映像期間と垂直カウンタの関係:図4]
次に、映像データにおける1フレームの映像期間との関係について図4を参照しながら説明する。図4は、映像期間と垂直カウンタの関係を示す図である。
図4に示すように、映像期間:V.FRONTでは、垂直カウンタが「0,1」であり、SOF(Start Of Frame)、SOL(Start Of Line)、EOL(End Of Line)のコード(以下、単純にSOF,SOL,EOLとする)が検出不能のエリアとなっている。
映像期間:無効エリアでは、垂直カウンタ「2」でSOFを検出し、垂直カウンタ「4~21」がSOL、EOL検出エリアであり、18ラインあるので、各ラインにSOL、EOLを1回ずつカウントすると、ビットエラーがなければ、36回検出されることになる。この垂直カウンタ「4~21」の期間が請求項における第2の期間に相当している。
そして、垂直カウンタ「3」には、クロックの位相シフトを行うための第1の位相シフト設定エリア(Phase Shift area(1))を設けている。このエリア(1)は、以下に説明するステージ(Stage)に応じたステップ方向及びステップ数でクロックの位相をシフトする期間となる。この期間が請求項における第1の期間に相当している。
また、映像期間:実効画素エリアには、実効画素のデータがライン毎に設定されるが、垂直カウンタ「22」では実効画素が設定されず、使用されないエリアになるので、本実施の形態では、クロックの位相シフトを行うための第2の位相シフト設定エリア(Phase Shift area(2))を設けている。このエリア(2)の期間が請求項における第3の期間に相当している。
第1の位相シフト設定エリアと第2の位相シフト設定エリアの使用方法についてはフロー図を用いて後述する。
[位相シフト処理の概略]
本実施の形態の位相シフト処理の概略は、現在の環境(温度状態)に最適なクロック位相を見つけ出して設定するものであり、カメラの電源オンのとき、更に定期的に行われるものである。
特に、以下の位相シフト処理は、現在設定されているクロックの位相をDOWN方向(図11の右方向)とUP方向(図11の左方向)にシフトさせながら、最適の中心のクロック位相を決定するものとなっている。
なお、一方向にシフトが続くと、最終的には循環して戻ってくることになる。
[位相シフト処理:図5~7]
次に、本実施の形態に係る位相シフト処理について図5~7を参照しながら説明する。図5は、位相シフト処理(1)のフロー図であり、図6は、位相シフト処理(2)のフロー図であり、図7は、位相シフト処理(3)のフロー図である。尚、図5~7は、一連の処理であり、図5の(A)は図6の(A)に続いており、図6の(B)は図7の(B)に続いている。
この一連の位相シフト処理は、赤の映像データ(R1,R2)についてR,B位相シフト制御部15で為されるものであり、B1,B2の位相シフト処理は、R,B位相シフト制御部15で、G1,G2の位相シフト処理はG位相シフト制御部25で為されるものである。尚、これら位相シフト制御部の外部の処理部で、位相シフト処理を行うようにしてもよい。
また、図中における「DOWN方向」は、図11におけるクロック位相を右方向にシフト(ステップ)するということであり、「UP方向」は、図11におけるクロック位相を左方向にシフト(ステップ)するということである。
また、処理フローでは、ステージ(Stage)が決められており、ステージによってシフト方向とシフト数が決められている。これについては、図8,9で説明する。
[位相シフト処理(1):図5]
カメラの電源が投入されると、R,B位相シフト制御部15内で、位相シフト処理が開始され(START)、PLL回路(特に第3のPLL回路20)の「locked」と59.94Hz/50Hz切替が安定化期間(本実施の形態では7msec程度)内で安定化しているか否かを確認する。つまり、安定化期間内で信号の変化があるか否かを判定し(S11)、安定化せず信号の変化があれば(Yesの場合)、判定処理S11を繰り返す。
安定化期間内に信号の変化がなければ(Noの場合)、垂直カウンタ4~21の18ラインで、SOLとEOLを合計で36回検出したかどうかを判定する(S12)。
36回の検出というのは、18ラインにSOLとEOLが必ず2回含まれていることであり、つまり、ビットエラーがないと判断している。
SOLとEOLを36回検出しなければ(Noの場合)、DOWN方向に1ステップ位相をシフトするステップ数「1」を第2の位相シフト設定エリア(エリア(2))に設定して位相シフトを行い(S13)、判定処理S12に戻る。
判定処理S12でSOLとEOLを36回検出したならば(Yesの場合)、全てのCh(R1,R2,G1,G2,B1,B2)について、DOWN方向に9ステップエラーがないかどうかを判定し(S14)、エラーがある場合(Noの場合)には、処理S13に移行して、更にDOWN方向に1ステップ位相をシフトして判定処理S12に戻る。
判定処理S14は、9ステップエラーなしとなるまでDOWN方向に循環して行われる。
判定処理S14で、全Chについて、DOWN方向に9ステップエラーがなければ(Yesの場合)、垂直カウンタ4~21の18ラインで、SOLとEOLを合計で36回検出したかどうかを判定する(S15)。SOLとEOLを36回検出しなければ(Noの場合)、DOWN方向に4ステップ位相をシフトするようエリア(2)にステップ数「4」を設定して位相シフトを行い(S16)、エラー処理を行って(S17)、次のChに移行する。尚、エリア(2)で位相シフトしたクロックについてビットエラーがあるか否かの検出は、次のフレームで為されるものである。
SOLとEOLを36回検出したならば(Yesの場合)、(A)を介して図6の処理S21に移行する。
[位相シフト処理(2):図6]
図5の判定処理S15に続いて、図6に示すように、DOWN方向に4ステップ位相をシフトするようステップ数「4」をエリア(1)に設定して位相シフトを行い(S21)、垂直カウンタ4~21の18ラインで、SOLとEOLを合計で36回検出したかどうかを判定する(S22)。
SOLとEOLを36回検出しなければ(Noの場合)、UP方向に4ステップ位相をシフトするようエリア(2)にステップ数を設定して位相シフトを行い(S23)、更にUP方向に1ステップ位相をシフトするようエリア(1)にステップ数を設定して位相シフトを行う(S24)。
続いて、垂直カウンタ4~21の18ラインで、SOLとEOLを合計で36回検出したかどうかを判定する(S25)、36回検出しなければ(Noの場合)、処理S23に戻り、36回検出したならば(Yesの場合)、処理S21に戻る。
処理S22でSOLとEOLを36回検出したならば(Yesの場合)、UP方向に4ステップ位相をシフトするようエリア(2)にステップ数を設定して位相シフトを行い(S26)、(B)を介して図7の処理S31に移行する。
[位相シフト処理(3)]
次に、処理制御部は、UP方向に4ステップ位相をシフトするようステップ数をエリア(1)に設定して位相シフトを行い(S31)、垂直カウンタ4~21の18ラインで、SOLとEOLを合計で36回検出したかどうかを判定する(S32)。
SOLとEOLを36回検出しなければ(Noの場合)、DOWN方向に4ステップ位相をシフトするようエリア(2)にステップ数を設定して位相シフトを行い(S33)、更にDOWN方向に1ステップ位相をシフトするようエリア(1)にステップ数を設定して位相シフトを行う(S34)。
続いて、垂直カウンタ4~21の18ラインで、SOLとEOLを合計で36回検出したかどうかを判定し(S35)、36回検出しなければ(Noの場合)、処理S33に戻り、36回検出したならば(Yesの場合)、処理S31に戻る。
処理S32でSOLとEOLを36回検出したならば(Yesの場合)、DOWN方向に4ステップ位相をシフトするようエリア(2)にステップ数を設定して位相シフトを行う(S36)。
次に、垂直カウンタ4~21の18ラインで、SOLとEOLを合計で36回検出したかどうかを判定し(S37)、36回検出したならば(Yesの場合)、次のChに移行し、36回検出しなければ(Noの場合)、エラー処理を行って(S38)、次のChに移行する。次のChに移行する際は、STAGE7であり、エリア(1)(2)のシフトするステップ数がリセットされ、最適な範囲の中央値のクロック位相が決定されることになる。
本実施の形態の位相シフト処理は、全てのChを定期的に循環的に行うものであり、温度変化にたえず対応可能となっている。
[Stageごとのシフト方向とSTEP数:図8/Stage信号内訳:図9]
次に、Stageごとのシフト方向とSTEP数とStage信号の内訳について図8、図9を参照しながら説明する。図8は、Stageごとのシフト方向とSTEP数を示す図であり、図9は、Stage信号内訳を示す図である。
各Stageについては、図5~7のフロー図に記載している。
図8には、Stageごとに、位相のUPとDOWNの方向(Phase up down)、エリア(1)(2)におけるシフト数、位相制御情報(位相コントロール信号/Stage信号)の数値が示されており、図9には、その数値(Stage信号)の内訳(意味)が示されている。
特に、数値は、bit1~5に図9の意味を持たせている。
従って、STAGE 0 では、DOWN方向にシフト数「1」であるので、Stage信号は数値「00010」となっている。数値の5bit(MSB)が「0」であるので、DOWN方向であり、4bitが「0」であるので、エリア(1)は有効ではなく、3bitがエリア(1)のシフト数を示すが有効ではないため意味を持たず、2bitが「1」であるので、エリア(2)が有効(enable)となり、1bit(LSB)が「0」であるので、シフト数は1stepとなる。
このようなStageごとにStage信号の数値がR,B位相シフト制御部15から第2のPLL回路16に出力される。
そして、第2のPLL回路16は、Stage信号の数値によってStageごとのクロック位相のシフト方向、シフト数を読み取り、クロック位相をシフトさせるようになっている。
更に、第2のPLL回路16でクロック位相をシフトさせた結果、R,B位相シフト制御部15のsol,eol検出・算出回路で得られたカウント値によってビットエラーが発生していないと判定されれば、クロック位相は適正にシフトされたものとなるものである。
従って、本実施の形態では、フレーム毎にクロック位相を試行錯誤的にシフトさせ、低温、常温、高温の温度に応じた適正なクロック位相としてビットエラーの発生を防止するものである。
尚、本ドライブ基板は、放送用ハイスピードカメラに好適である。
[実施の形態の効果]
本ドライブ基板によれば、映像信号におけるフレーム毎の実効画素データが使用されないブランキング期間内の第1の期間でクロック位相をシフトさせ、ブランキング期間内の第2の期間で位相シフトさせたクロックに基づくビットエラーの発生の有無を検出し、ブランキング期間内の第3の期間で更にクロック位相をシフトさせ、これら処理を繰り返してクロックの位相を適正となるよう調整するようにしているので、これにより、製造コストを低減し、開発期間を短くして、低温から高温まで映像にビットエラーが発生することを防止できる効果がある。
本発明は、製造コストを低減し、開発期間を短くして、低温から高温まで映像にビットエラーが発生することがないカメラ用ドライブ基板及び放送用カメラに好適である。
尚、本出願は、2018年9月12日に出願された日本出願特願2018-170284を基礎として優先権の利益を主張するものであり、その開示の全てを引用によってここに取り込む。
1,1´…ドライブ基板、 10,10´…Drive-FPGA、 11,21…S/P変換部、 12,22…クロック乗替部、 13,23…byte同期部、 14,24…p/i変換部、 15…R,B位相シフト制御部、 16…第2のPLL回路、 20…第3のPLL回路、 25…G位相シフト制御部、 26…第1のPLL回路、 31…カウンタ回路、 32…比較器、 100…センサR基板、 151…sol検出回路、 152…eol検出回路、 153…OR回路、 154…sol,eolカウンタ、 200…センサG基板、 300…センサB基板

Claims (5)

  1. センサ基板からの映像データを入力して信号処理を行うカメラ用のドライブ基板であって、
    クロックの位相をシフトさせる機能を有するPLL回路と、
    前記映像データのフレームにおいて、実効画素データが使用しないブランキング期間内の第1の期間で、前記PLL回路に前記クロックの位相をシフトさせるよう制御を行い、前記ブランキング期間内の第2の期間で、前記シフトさせたクロックの位相でビットエラーの発生の有無を検出する位相シフト制御部とを有するカメラ用ドライブ基板。
  2. 位相シフト制御部は、第2の期間でビットエラーが発生した場合に、ブランキング期間内の第3の期間で、PLL回路にクロックの位相をシフトさせるよう制御を行い、第1の期間から前記第3の期間までの処理をフレーム毎に繰り返してクロックの位相を調整する請求項1記載のカメラ用ドライブ基板。
  3. 位相シフト制御部は、第2の期間における複数のラインについてライン開始コードとライン終了コードをカウントし、当該カウントした値が予め定められた設定値より小さい場合にビットエラーの発生を検出する請求項1又は2記載のカメラ用ドライブ基板。
  4. 請求項1乃至3のいずれか記載のカメラ用ドライブ基板を備える放送用カメラ。
  5. カメラ用ドライブ基板におけるクロック位相制御方法であって、
    映像データのフレームにおいて、実効画素データが使用しないブランキング期間内の第1の期間で、PLL回路にクロックの位相をシフトさせ、前記ブランキング期間内の第2の期間で、前記シフトさせたクロックの位相でビットエラーの発生の有無を検出し、前記第2の期間でビットエラーが発生した場合に、前記ブランキング期間内の第3の期間で、前記PLL回路にクロックの位相をシフトさせ、前記第1の期間から前記第3の期間までの処理をフレーム毎に繰り返してクロックの位相を調整するクロック位相制御方法。
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