JP7025871B2 - ソレノイド用コア組立部品とその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の第1の態様は、
それぞれ円筒状をなす少なくとも2つのコア部材を用意する準備工程と、
前記少なくとも2つのコア部材を嵌合し、ろう材を所定の位置に配置する組立工程と、
前記嵌合部をろう付けすることにより、前記少なくとも2つのコア部材を接合する接合工程と、を含み、
前記準備工程では、前記組立工程で前記少なくとも2つのコア部材を嵌合したときに、前記嵌合部の外周側の端部から大径方向に外周側張り出し部が張り出すとともに、前記嵌合部の内周側の端部から小径方向に内周側張り出し部が張り出すように、前記少なくとも2つのコア部材を形成しておき、
前記組立工程では、前記少なくとも2つのコア部材を嵌合するとともに、前記外周側張り出し部および前記内周側張り出し部のうちいずれか一方の張り出し部にろう材を設置し、
前記接合工程では、前記ろう材を加熱により溶融させることにより、前記嵌合部に対して前記一方の張り出し部から前記ろう材を浸透させ、他方の張り出し部において前記嵌合部の端部の略全域に前記ろう材をはみ出させる、
ソレノイド用コア組立部品の製造方法である。
(第2の態様)
本発明の第2の態様は、
前記組立工程では、前記外周側張り出し部に前記ろう材を設置する、
上記第1の態様に記載のソレノイド用コア組立部品の製造方法である。
(第3の態様)
本発明の第3の態様は、
前記準備工程では、前記少なくとも2つのコア部材を互いに熱膨張率の異なる金属材料で形成し、
前記組立工程では、前記少なくとも2つのコア部材を圧入により嵌合し、
前記接合工程では、前記ろう材を加熱により溶融させるときの、前記金属材料の熱膨張率の違いを利用して、前記嵌合部に隙間を形成する、
上記第1又は第2の態様に記載のソレノイド用コア組立部品の製造方法である。
(第4の態様)
本発明の第4の態様は、
前記接合工程の後、前記ろう材による接合状態を検査する検査工程を有し、
前記検査工程では、前記一方の張り出し部および前記他方の張り出し部のうち少なくとも前記他方の張り出し部において前記嵌合部の端部の略全域に前記ろう材がはみ出しているかどうかを目視で確認する、
上記第1~第3の態様のいずれか1つに記載のソレノイド用コア組立部品の製造方法である。
(第5の態様)
本発明の第5の態様は、
前記ろう材に銅ろう又は銅合金ろうを用いる、
上記第1~第4の態様のいずれか1つに記載のソレノイド用コア組立部品の製造方法である。
(第6の態様)
本発明の第6の態様は、
それぞれ円筒状をなす少なくとも2つのコア部材を備え、
前記少なくとも2つのコア部材は、互いに嵌合状態で固定され、その嵌合部がろう材によって接合されているとともに、前記嵌合部の外周側の端部から大径方向に外周側張り出し部が張り出して配置され、前記嵌合部の内周側の端部から小径方向に内周側張り出し部が張り出して配置されており、且つ、前記外周側張り出し部において前記嵌合部の端部の略全域には前記ろう材の一部がはみ出し、前記内周側張り出し部において前記嵌合部の端部の略全域には前記ろう材の他部がはみ出している、ソレノイド用コア組立部品である。
(第7の態様)
本発明の第7の態様は、
前記ソレノイド用コア組立部品は、3つのコア部材を備え、
前記3つのコア部材のうち、第1コア部材と第2コア部材が、互いに嵌合状態で固定されるとともに、前記第2コア部材と第3コア部材が、互いに嵌合状態で固定されており、
前記第1コア部材と前記第2コア部材とが嵌合する第1の嵌合部の内周側の端部から小径方向に張り出す第1の内周側張り出し部と、前記第2コア部材と前記第3コア部材とが嵌合する第2の嵌合部の内周側の端部から小径方向に張り出す第2の内周側張り出し部とが、前記ソレノイド用コア組立部品の直径方向で互いに位置をずらして配置され、且つ前記ソレノイド用コア組立部品の中心軸方向で互いに同じ方向を向いて配置されている、
上記第6の態様に記載のソレノイド用コア組立部品である。
(第8の態様)
それぞれ円筒状をなす3つのコア部材を用意する準備工程と、
前記3つのコア部材のうち、第1コア部材と第2コア部材を嵌合して第1のろう材を所定の位置に配置するとともに、前記第2コア部材と第3コア部材を嵌合して第2のろう材を所定の位置に配置する組立工程と、
前記第1コア材と前記第2コア部材とが嵌合する第1の嵌合部をろう付けすることにより、前記第1コア部材と前記第2コア部材を接合するとともに、前記第2コア部材と前記第3コア部材とが嵌合する第2の嵌合部をろう付けすることにより、前記第2コア部材と前記第3コア部材を接合する接合工程と、を含み、
前記準備工程では、前記組立工程で前記第1コア部材と前記第2コア部材を嵌合したときに、前記第1の嵌合部の外周側の端部から大径方向に第1の外周側張り出し部が張り出すとともに、前記第1の嵌合部の内周側の端部から小径方向に第1の内周側張り出し部が張り出し、かつ、前記組立工程で前記第2コア部材と前記第3コア部材を嵌合したときに、前記第2の嵌合部の外周側の端部から大径方向に第2の外周側張り出し部が張り出すとともに、前記第2の嵌合部の内周側の端部から小径方向に第2の内周側張り出し部が張り出すように、前記3つのコア部材を形成しておき、
前記組立工程では、前記第1コア部材と前記第2コア部材を嵌合して、前記第1の外周側張り出し部および前記第1の内周側張り出し部のうちいずれか一方の張り出し部に前記第1のろう材を設置するとともに、前記第2コア部材と前記第3コア部材を嵌合して、前記第2の外周側張り出し部および前記第2の内周側張り出し部のうちいずれか一方の張り出し部に前記第2のろう材を設置し、
前記接合工程では、前記第1のろう材および前記第2のろう材を加熱により溶融させることにより、前記第1の嵌合部に対して前記第1の外周側張り出し部および前記第1の内周側張り出し部のうち一方の張り出し部から前記第1のろう材を浸透させ、他方の張り出し部において前記第1の嵌合部の端部の略全域に前記第1のろう材をはみ出させるとともに、前記第2の嵌合部に対して前記第2の外周側張り出し部および前記第2の内周側張り出し部のうち一方の張り出し部から前記第2のろう材を浸透させ、他方の張り出し部において前記第2の嵌合部の端部の略全域に前記第2のろう材をはみ出させる、
ソレノイド用コア組立部品の製造方法である。
(第9の態様)
それぞれ円筒状をなす3つのコア部材を備え、
前記3つのコア部材のうち、第1コア部材と第2コア部材が、互いに嵌合状態で固定されるとともに、前記第2コア部材と第3コア部材が、互いに嵌合状態で固定されており、
前記第1コア部材と前記第2コア部材とが嵌合する第1の嵌合部が第1のろう材によって接合されるとともに、前記第1の接合部の外周側の端部から大径方向に第1の外周側張り出し部が張り出して配置され、前記第1の接合部の内周側の端部から小径方向に第1の内周側張り出し部が張り出して配置されており、且つ、前記第1の外周側張り出し部において前記第1の嵌合部の端部の略全域には前記第1のろう材の一部がはみ出し、前記第1の内周側張り出し部において前記第1の嵌合部の端部の略全域には前記第1のろう材の他部がはみ出し、
前記第2コア部材と前記第3コア部材とが嵌合する第2の嵌合部が第2のろう材によって接合されるとともに、前記第2の接合部の外周側の端部から大径方向に第2の外周側張り出し部が張り出して配置され、前記第2の接合部の内周側の端部から小径方向に第2の内周側張り出し部が張り出して配置されており、且つ、前記第2の外周側張り出し部において前記第2の嵌合部の端部の略全域には前記第2のろう材の一部がはみ出し、前記第2の内周側張り出し部において前記第2の嵌合部の端部の略全域には前記第2のろう材の他部がはみ出している、ソレノイド用コア組立部品である。
図1は本発明の第1実施形態に係るソレノイド用コア組立部品の構成を示すもので、(A)はその平面図、(B)はその半断面図である。
図示したソレノイド用コア組立部品10は、第1コア部材11、第2コア部材12の2つを用いて構成されている。第1コア部材11は円筒状に形成され、第2コア部材12も円筒状に形成されている。第1コア部材11と第2コア部材12は、互いに嵌合状態で固定され、その嵌合部13がろう材14によって接合されている。
まず、第1コア部材11と第2コア部材12を準備する。第1コア部材11と第2コア部材12は、たとえば、鋳造、圧延、鍛造、切削などの加工方法により、図2および図3のように形成される。
第1コア部材11は、円筒状の部材であって、第1金属材料によって構成されている。第1コア部材11の内周側には、貫通孔21と、小径凹部22と、大径凹部23が形成されている。貫通孔21は、平面視円形に形成されている。小径凹部22は、(図2(B)における)第1コア部材11の下端部から所定の深さ位置に平面視円形に形成されている。大径凹部23は、第1コア部材11の下端部から小径凹部22よりも浅い位置に平面視円形に形成されている。貫通孔21と小径凹部22と大径凹部23は、第1コア部材11の中心軸を中心に同心状に形成されている。貫通孔21と小径凹部22は、第1コア部材11の中心軸(に平行な)方向で隣接し、且つ空間的につながっている。また、小径凹部22と大径凹部23は、第1コア部材11の中心軸(に平行な)方向で隣接し、且つ空間的につながっている。
第2コア部材12は、円筒状の部材であって、上記第1金属材料とは熱膨張率の異なる第2金属材料によって構成されている。ここで、第1金属材料の熱膨張率をα1、第2金属材料の熱膨張率をα2とすると、これらの関係は、α1>α2となっている。これにより、後述する接合工程で熱を加えた場合は、第1コア部材11が第2コア部材12よりも大きく熱膨張することになる。第1金属材料には、たとえば、ステンレス鋼などの非磁性材料を用いることができ、第2金属材料には、たとえば、純鉄などの磁性材料を用いることができる。
組立工程では、まず、図4(A),(B)に示すように、第1コア部材11と第2コア部材12を嵌合する。これにより、小径凹部22に小径凸部26が嵌まり込むとともに、大径凹部23に大径凸部27が嵌まり込む。その際、第1コア部材11の直径D4とフランジ部28の直径D8の関係を上記のとおりD4<D8に設定すると、それらの寸法差に応じて(第2コア部材に)外周側張り出し部15が形成される。また、貫通孔21の直径D1と貫通孔25の直径D5の関係を上記のとおりD1>D5に設定すると、それらの寸法差に応じて(第2コア部材に)内周側張り出し部16が形成される。
次に、接合工程では、ろう材14を設置した嵌合体を加熱炉に投入して加熱する。加熱炉は、上記嵌合体を搬送する搬送装置を備え、この搬送装置によって嵌合体を加熱炉内で移動させることにより、所定の条件(温度、時間、雰囲気など)に従って嵌合体を加熱する。上記図5(A),(B)は加熱炉による加熱を開始した後で、且つ、ろう材14が溶融し始める前の状態を示している。図示した状態では、第1コア部材11と第2コア部材12との嵌合部13に隙間17が生じている。この隙間17は、ろう材14を溶融させるときの加熱により、第1コア部材11と第2コア部材12の熱膨張率の違いにより形成される。具体的には、第1金属材料の熱膨張率α1と第2金属材料の熱膨張率α2との関係をα1>α2として、第1コア部材11と第2コア部材12を加熱すると、第1コア部材11が第2コア部材12よりも大きく熱膨張する。その結果、第1コア部材11と第2コア部材12の嵌合部13に隙間17が形成される。隙間17の寸法は、好ましくは、0.001~0.9mm、より好ましくは、0.005~0.5mm、さらに好ましくは、0.005~0.1mmである。なお、嵌合部13の隙間17は、上記熱膨張率の違いによって、主に直径方向に生じる。ただし、中心軸方向においても、各部材の表面粗さ(凹凸)によって隙間が生じたり、部材同士を嵌合するときに若干の隙間が生じたりする。よって、加熱によりろう材14が溶融する時点では、直径方向と中心軸方向のいずれにも隙間17が存在することになる。
加熱温度:1000~1150℃
加熱時間:1~30分
雰囲気:水素100%
次に、上記工程により製造したソレノイド用コア組立部品(中間製品)を対象に、ろう材14による接合状態を検査することができる。この検査では、第1コア部材11と第2コア部材12の嵌合部13全体にろう材14が行き渡っているかどうかを確認する。具体的には、第1コア部材11の上方から貫通孔21の中を覗き、その貫通孔21の内周面より内側に張り出している円環形状の内周側張り出し部16にろう材14が図1(A)に示すように(円環形状の)前記嵌合部13の内周側の端部の略全周(略全域)にはみ出しているかどうかを目視(または画像認識等)で確認する。そして、内周側張り出し部16にろう材14が例えば上記のように略全周にはみ出しているソレノイド用コア組立部品は良品と判断し、はみ出していないものは不良品と判断する。検査工程で不良品と判断されたソレノイド用コア組立部品は、接合工程で嵌合部全体にろう材が行き渡らず、所定の品質を保証できないものとなる。なお、外周側張り出し部15におけるろう材14のはみ出し具合については、必要に応じて目視で確認すればよい。その理由は、接合工程で外周側張り出し部15にろう材14を設置した場合、溶融したろう材14が外周側張り出し部15を起点に嵌合部13に浸透し、その一部14aが必然的に外周側張り出し部15にはみ出した状態となるからである。
次に、検査工程で良品と判断されたソレノイド用コア組立部品を対象に、第1コア部材11および第2コア部材12の内周側を切削加工することが好ましい。この切削加工では、ソレノイド用コア組立部品の内部に、例えば中心軸方向の一端から他端にわたって一様な直径を有する貫通孔を形成する。この貫通孔の直径は、第1コア部材11の貫通孔21の直径D1より大きく、且つ、第2コア部材12の小径凸部26の直径D6より小さい寸法に設定される。このような加工条件で第1コア部材11および第2コア部材12の内周側を切削加工することにより、内周側張り出し部16が除去(切除)される。また、加工工程では、必要に応じて第1コア部材11の外周面を切削加工する。
本発明の第1実施形態に係るソレノイド用コア組立部品の製造方法によれば、組立工程で第1コア部材11と第2コア部材12を嵌合させた場合に、外周側張り出し部15は、嵌合部13の外周側の端部から大径方向に張り出して配置され、内周側張り出し部16は、嵌合部13の内周側の端部から小径方向に張り出して配置される。このため、内周側張り出し部16を外部から目視で確認することが可能となる。また、外周側張り出し部15に設置したろう材14を加熱により溶融させると、溶融したろう材14が嵌合部13に吸い込まれる。そして、嵌合部13全体にろう材14が浸透すると、ろう材14の一部14aは外周側張り出し部15にはみ出し、ろう材14の他部14bは内周側張り出し部16にはみ出す。このため、内周側張り出し部16を外部から目視で確認し、そこにろう材のはみ出し部14bが嵌合部13の内周側の端部の略全域(全周)に存在するかどうかによって、嵌合部13全体にろう材14が行き渡っているかどうかを確認することが可能となる。
続いて、本発明の第2実施形態に係るソレノイド用コア組立部品とその製造方法について説明する。
図6は本発明の第2実施形態に係るソレノイド用コア組立部品の構成を示す断面図である。図中の点線は、後述する加工工程において、本発明のソレノイド用コア組立部品の内周側と外周側をそれぞれ切削加工するときの、加工後の仕上げ位置を示している。
準備工程では、図7(A)に示す第1コア部材31と、同図(B)に示す第2コア部材32と、同図(C)に示す第3コア部材33を準備する。
第1コア部材31は、図7(A)に示すように、円筒状の部材であって、たとえば純鉄などの磁性材料により形成されている。第1コア部材31には、直径D11の貫通孔35が形成されている。貫通孔35は、平面視円形に形成されている。第1コア部材31の直径(外径)はD12である。
第2コア部材32は、図7(B)に示すように、円筒状の部材であって、たとえば、ステンレス鋼などの非磁性材料により形成されている。第2コア部材32には、直径D14の貫通孔38が形成されている。貫通孔38は、平面視円形に形成されている。また、第2コア部材32の(図7(B)において)上端側には、凹部39が形成されている。凹部39は、平面視円形に形成されている。貫通孔38と凹部39は、第2コア部材32の中心軸を中心に同心円状に形成されている。貫通孔38と凹部39は、貫通孔21の中心軸方向で隣接し、且つ空間的につながっている。凹部39の直径D15は、貫通孔38の直径D14より大きく、且つ第2コア部材32の直径(外径)D16より小さい。
第3コア部材33は、図7(C)に示すように、円筒状の部材であって、たとえば純鉄などの磁性材料により形成されている。第3コア部材33には、直径D17の貫通孔41が形成されている。貫通孔41は、平面視円形に形成されている。また、第3コア部材33には、小径筒部42が形成されている。貫通孔41と小径筒部42は、第3コア部材33の中心軸を中心に同心円状に形成されている。小径筒部42は、第3コア部材33の(図7(C)において)上端側に形成されている。小径筒部42の直径D18は、貫通孔41の直径D17より大きく、且つ第3コア部材33の直径(最外径)D19より小さい。第3コア部材33の最外径部分は、小径筒部42よりも大径方向に突出したフランジ部43を形成している。
貫通孔35の直径D11は、貫通孔38の直径D14よりも大きく設定され、第1コア部材31の直径D12は、第2コア部材32の直径D16よりも小さく設定されている。また、貫通孔38の直径D14は、貫通孔41の直径D17よりも大きく設定され、第2コア部材32の直径D16は、フランジ部43の直径D19よりも小さく設定されている。
組立工程では、まず、図8に示すように、第1コア部材31と第2コア部材32を嵌合するとともに、第2コア部材32と第3コア部材33を嵌合する。嵌合の順序はどちらが先でもかまわない。これにより、図8に示すように、凹部39に第1コア部材31の下端部が嵌まり込むとともに、貫通孔38に小径筒部42が嵌まり込む。その際、第1コア部材31の直径D12と第2コア部材32の直径D16の関係を上記のとおりD12<D16に設定すると、それらの寸法差に応じて外周側張り出し部45が形成される。また、貫通孔35の直径D11と貫通孔38の直径D14との関係を上記のとおりD11>D14に設定すると、それらの寸法差に応じて内周側張り出し部46が形成される。
次に、ろう材53,54を設置した嵌合体を加熱炉に投入して加熱することにより、ろう材53,54を溶融させる。このとき、第1コア部材31と第2コア部材32の嵌合部51には、それぞれの構成材料の熱膨張率の違いにより隙間(不図示)が形成され、第2コア部材32と第3コア部材33の嵌合部52にも、それぞれの構成材料の熱膨張率の違いにより隙間(不図示)が形成される。そうすると、嵌合部51の隙間にろう材53が吸い込まれるとともに、嵌合部52の隙間にろう材54が吸い込まれる。嵌合部51の隙間に吸い込まれたろう材53は内周側張り出し部46に向かって徐々に浸透する。そして、ろう材53が嵌合部51全体に行き渡ると、外周側張り出し部45にろう材53の一部53aがはみ出し、内周側張り出し部46にろう材53の他部53bがはみ出した状態になる。また、嵌合部52の隙間に吸い込まれたろう材54は内周側張り出し部48に向かって徐々に浸透する。そして、ろう材54が嵌合部52全体に行き渡ると、外周側張り出し部47にろう材54の一部54aがはみ出し、内周側張り出し部48にろう材54の他部54bがはみ出した状態になる。
次に、上記工程により製造したソレノイド用コア組立部品(中間製品)を対象に、ろう材53、54による接合状態を検査することができる。この検査では、第1コア部材31と第2コア部材32の嵌合部51全体にろう材53が行き渡っているかどうかを確認するとともに、第2コア部材32と第3コア部材33の嵌合部52全体にろう材54が行き渡っているかどうかを確認する。具体的には、第1コア部材31の上方から貫通孔35の中を覗く。そして、貫通孔35の内周面よりも内側に張り出している円環形状の内周側張り出し部46の前記嵌合部51の内周側の端部の略全域(略全周)にろう材53がはみ出しているかどうかを目視で確認するとともに、貫通孔38の内周面よりも内側に張り出している円環形状の内周側張り出し部48の前記嵌合部52の内周側の端部の略全域(略全周)にろう材54がはみ出しているかどうかを目視で確認する。そして、内周側張り出し部46にろう材53が例えば上記のように略全周にはみ出し、且つ、内周側張り出し部48にろう材54が例えば上記のように略全周にはみ出しているソレノイド用コア組立部品は良品と判断し、それ以外のソレノイド用コア組立部品は不良品と判断する。なお、外周側張り出し部45におけるろう材53のはみ出し具合や、外周側張り出し部47におけるろう材54のはみ出し具合については、上記第1実施形態と同様の理由により、必要に応じて目視で確認すればよい。
次に、検査工程で良品と判断されたソレノイド用コア組立部品を対象に、第1コア部材31、第2コア部材32および第3コア部材33の内周側を切削加工する。この切削加工では、図6の点線で示す仕上げ位置にあわせてソレノイド用コア組立部品の内周側を切削加工することにより、ソレノイド用コア組立部品の内部に、中心軸方向の一端から他端にわたって一様な直径を有する貫通孔を形成する。この貫通孔の直径は、第1コア部材31の貫通孔35の直径D11より大きく、且つ、第1コア部材31の直径D12より小さい寸法に設定される。このような加工条件でソレノイド用コア組立部品の内周側を切削加工することにより、内周側張り出し部46,48が除去(切除)される。また、加工工程では、第1コア部材31と第2コア部材32の外周面を切削加工する。これにより、第1コア部材31と第2コア部材32は、図中点線で示すように同一の外径に仕上げられる。
本発明の第2実施形態に係るソレノイド用コア組立部品の製造方法によれば、組立工程で第1コア部材31と第2コア部材32を嵌合させた場合に、外周側張り出し部45は、嵌合部51の外周側の端部から大径方向に張り出して配置され、内周側張り出し部46は、嵌合部51の内周側の端部から小径方向に張り出して配置される。このため、内周側張り出し部46を外部から目視で確認することが可能となる。また、外周側張り出し部45に設置したろう材53を加熱により溶融させると、溶融したろう材53が嵌合部51に吸い込まれる。そして、嵌合部51全体にろう材53が浸透すると、ろう材53の一部53aが外周側張り出し部45にはみ出し、ろう材53の他部53bが内周側張り出し部46にはみ出す。このため、内周側張り出し部46を外部から目視で確認し、そこにろう材53がはみ出しているかどうかによって、嵌合部51全体にろう材53が行き渡っているかどうかを確認することが可能となる。この点は、第2コア部材32と第3コア部材33の関係についても同様である。
本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
11…第1コア部材
12…第2コア部材
13…嵌合部
14…ろう材
15…外周側張り出し部
16…内周側張り出し部
17…隙間
30…ソレノイド用コア組立部品
31…第1コア部材
32…第2コア部材
33…第3コア部材
45…外周側張り出し部(第1の外周側張り出し部)
46…内周側張り出し部(第1の内周側張り出し部)
47…外周側張り出し部(第2の外周側張り出し部)
48…内周側張り出し部(第2の内周側張り出し部)
51…嵌合部(第1の嵌合部)
52…嵌合部(第2の嵌合部)
53…ろう材(第1のろう材)
54…ろう材(第2のろう材)
Claims (7)
- それぞれ円筒状をなす少なくとも2つのコア部材を用意する準備工程と、
前記少なくとも2つのコア部材を嵌合し、ろう材を所定の位置に配置する組立工程と、
前記少なくとも2つのコア部材が嵌合する嵌合部をろう付けすることにより、前記少なくとも2つのコア部材を接合する接合工程と、を含み、
前記準備工程では、前記組立工程で前記少なくとも2つのコア部材を嵌合したときに、前記嵌合部の外周側の端部から大径方向に外周側張り出し部が張り出すとともに、前記嵌合部の内周側の端部から小径方向に内周側張り出し部が張り出すように、前記少なくとも2つのコア部材を形成しておき、
前記組立工程では、前記少なくとも2つのコア部材を嵌合するとともに、前記外周側張り出し部および前記内周側張り出し部のうちいずれか一方の張り出し部にろう材を設置し、
前記接合工程では、前記ろう材を加熱により溶融させることにより、前記嵌合部に対して前記一方の張り出し部から前記ろう材を浸透させ、他方の張り出し部において前記嵌合部の端部の略全域に前記ろう材をはみ出させる、
ソレノイド用コア組立部品の製造方法。 - 前記組立工程では、前記外周側張り出し部に前記ろう材を設置する、
請求項1に記載のソレノイド用コア組立部品の製造方法。 - 前記準備工程では、前記少なくとも2つのコア部材を互いに熱膨張率の異なる金属材料で形成し、
前記組立工程では、前記少なくとも2つのコア部材を圧入により嵌合し、
前記接合工程では、前記ろう材を加熱により溶融させるときの、前記金属材料の熱膨張率の違いを利用して、前記嵌合部に隙間を形成する、
請求項1又は2に記載のソレノイド用コア組立部品の製造方法。 - 前記接合工程の後、前記ろう材による接合状態を検査する検査工程を有し、
前記検査工程では、前記一方の張り出し部および前記他方の張り出し部のうち少なくとも前記他方の張り出し部において前記嵌合部の端部の略全域に前記ろう材がはみ出しているかどうかを目視で確認する、
請求項1~3のいずれか1項に記載のソレノイド用コア組立部品の製造方法。 - 前記ろう材に銅ろう又は銅合金ろうを用いる、
請求項1~4のいずれか1項に記載のソレノイド用コア組立部品の製造方法。 - それぞれ貫通孔を有する円筒状をなす少なくとも2つのコア部材を備え、
前記少なくとも2つのコア部材は、互いに嵌合状態で固定され、その嵌合部がろう材によって接合されているとともに、前記嵌合部の外周側の端部から大径方向に外周側張り出し部が張り出して配置され、前記嵌合部の内周側の端部から小径方向に内周側張り出し部が張り出して配置されており、且つ、前記外周側張り出し部において前記嵌合部の端部の略全域には前記ろう材の一部がはみ出し、前記内周側張り出し部において前記嵌合部の端部の略全域には前記ろう材の他部がはみ出し、
前記ソレノイド用コア組立部品は、3つのコア部材を備え、
前記3つのコア部材のうち、第1コア部材と第2コア部材が、互いに嵌合状態で固定されるとともに、前記第2コア部材と第3コア部材が、互いに嵌合状態で固定されており、
前記第1コア部材と前記第2コア部材とが嵌合する第1の嵌合部の内周側の端部から小径方向に張り出す第1の内周側張り出し部と、前記第2コア部材と前記第3コア部材とが嵌合する第2の嵌合部の内周側の端部から小径方向に張り出す第2の内周側張り出し部とが、前記ソレノイド用コア組立部品の直径方向で互いに位置をずらして配置され、且つ前記ソレノイド用コア組立部品の中心軸方向で互いに同じ方向を向いて配置されている、
ソレノイド用コア組立部品。 - それぞれ円筒状をなす3つのコア部材を用意する準備工程と、
前記3つのコア部材のうち、第1コア部材と第2コア部材を嵌合して第1のろう材を所定の位置に配置するとともに、前記第2コア部材と第3コア部材を嵌合して第2のろう材を所定の位置に配置する組立工程と、
前記第1コア部材と前記第2コア部材とが嵌合する第1の嵌合部をろう付けすることにより、前記第1コア部材と前記第2コア部材を接合するとともに、前記第2コア部材と前記第3コア部材とが嵌合する第2の嵌合部をろう付けすることにより、前記第2コア部材と前記第3コア部材を接合する接合工程と、を含み、
前記準備工程では、前記組立工程で前記第1コア部材と前記第2コア部材を嵌合したときに、前記第1の嵌合部の外周側の端部から大径方向に第1の外周側張り出し部が張り出すとともに、前記第1の嵌合部の内周側の端部から小径方向に第1の内周側張り出し部が張り出し、かつ、前記組立工程で前記第2コア部材と前記第3コア部材を嵌合したときに、前記第2の嵌合部の外周側の端部から大径方向に第2の外周側張り出し部が張り出すとともに、前記第2の嵌合部の内周側の端部から小径方向に第2の内周側張り出し部が張り出すように、前記3つのコア部材を形成しておき、
前記組立工程では、前記第1コア部材と前記第2コア部材を嵌合して、前記第1の外周側張り出し部および前記第1の内周側張り出し部のうちいずれか一方の張り出し部に前記第1のろう材を設置するとともに、前記第2コア部材と前記第3コア部材を嵌合して、前記第2の外周側張り出し部および前記第2の内周側張り出し部のうちいずれか一方の張り出し部に前記第2のろう材を設置し、
前記接合工程では、前記第1のろう材および前記第2のろう材を加熱により溶融させることにより、前記第1の嵌合部に対して前記第1の外周側張り出し部および前記第1の内周側張り出し部のうち一方の張り出し部から前記第1のろう材を浸透させ、他方の張り出し部において前記第1の嵌合部の端部の略全域に前記第1のろう材をはみ出させるとともに、前記第2の嵌合部に対して前記第2の外周側張り出し部および前記第2の内周側張り出し部のうち一方の張り出し部から前記第2のろう材を浸透させ、他方の張り出し部において前記第2の嵌合部の端部の略全域に前記第2のろう材をはみ出させる、
ソレノイド用コア組立部品の製造方法。
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