JP7025864B2 - Glp-1分泌促進剤 - Google Patents
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Description
また、膵臓以外の組織では、GLP-1とGIPは異なる生理作用を有している。
GLP-1の膵外作用としては、肝・筋での糖取り込み増加、インスリン抵抗性改善、中枢神経系での食欲抑制、消化管における胃排泄遅延等が報告されている(非特許文献1~3)。従って、GLP-1の効果を高めることは血糖調節に有利に働くと同時に肥満の改善につながる可能性が考えられる。
それに対し、GIPは、脂肪組織における糖質や脂質の取り込み亢進、インスリン感受性低下、胃酸分泌抑制、胃運動抑制等の作用を有することが報告されている(非特許文献2、4)。さらに、GIP受容体の欠損マウスは野生型マウスと比較して、エネルギー代謝が亢進することが示されている(非特許文献5)。エネルギー代謝が低下すると、疲労が取れにくくなることも知られている。
そのため、肥満や糖尿病等の改善を目的とすれば、GLP-1の作用は増強、GIPの作用は減弱されることが望ましいと考えられる。
これまでの研究では、GLP-1の分泌を促進する物質として、パルミチン酸、オレイン酸、肉加水分解物、ガストリン放出ペプチド、カルバコール、フォルスコリン、イオノマイシン、酢酸ミリスチン酸ホルボール、必須アミノ酸、ロイシン、イソロイシン、スキムミルク、カゼイン、レプチン、ムスカリン性受容体M1およびM2、キラヤ、リゾホスファチジルイノシトール、マジョラム、カワラヨモギ、フェルラ酸、ユッカ、糖セラミド、βカロチン、植物ステロール、ビート、菊花、パプリカ、オレンジ、高麗人参、ビワ茶等が報告されている。
また、GIPの機能を阻害する物質として、3-ブロモ-5-メチル-2-フェニルピラゾロ[1,5-a]ピリミジンー7-オール(BMPP)が知られ、食後GIPの分泌を抑制するものとして、グアガム等が知られている。
しかしながら、カテキン類とクロロゲン酸の併用摂取によるGLP-1及びGIPに対する作用については何ら報告されていない。
また、本発明は、(A)カテキン類と(B)クロロゲン酸類を有効成分とするGIP上昇抑制剤を提供するものである。
また、本発明は、(A)カテキン類と(B)クロロゲン酸類を有効成分とするGLP-1分泌促進用食品組成物を提供するものである。
また、本発明は、(A)カテキン類と(B)クロロゲン酸類を有効成分とするGIP上昇抑制用食品組成物を提供するものである。
本発明で用いられる(A)カテキン類の例としては、カテキン、カテキンガレート、ガロカテキン及びガロカテキンガレート等の非エピ体;エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン及びエピガロカテキンガレート等のエピ体が挙げられる。ここで、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレートはガレート体、カテキン、ガロカテキン、エピカテキン及びエピガロカテキンは非ガレート体と称する。
(A)カテキン類は、上記に挙げた非重合体カテキン類のいずれか1種または2種以上の組み合わせであり得る。(A)カテキン類は上記8種を含むのが好ましい。本明細書において、(A)カテキン類の含有量は上記8種の合計量に基づいて定義される。
また、(A)カテキン類は、(A)カテキン類中の(A2)ガレート体の割合([(A2)/(A)]×100、以下、「ガレート体率」とも称する)は、GLP-1分泌促進の点、GIP上昇抑制の点から、好ましくは5~95質量%、より好ましくは10~85質量%、更に好ましくは25~60質量%、更に好ましくは35~53質量%である。
カテキン類の分析は、通常知られている非重合体カテキン類の分析法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することができる。例えば、液体クロマトグラフィー法で分析することが可能であり、具体的には、後掲の実施例に記載の方法で分析することが可能である。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
カテキン類は、一般的には茶葉から抽出した茶抽出物、その濃縮物又はそれらの精製物(以下、これらを包括的に「茶抽出物等」とも称する)に含まれているため、これらから得られるものが好ましく使用される。ここで、「茶抽出物」とは、茶葉から水又は親水性有機溶媒を用いて抽出したものであって、濃縮や精製操作が行われていないものをいう。
なお、水としては、例えば、水道水、天然水、蒸留水、膜ろ過水、イオン交換水等が挙げられる。親水性有機溶媒としては、例えば、エタノール等の低級アルコールを挙げることができる。
また、抽出方法としては、ニーダー抽出やカラム抽出等の公知の方法を採用することができる。
「茶抽出物の濃縮物」とは、上記茶抽出物から溶媒の少なくとも一部を除去して非重合体カテキン類濃度を高めたものをいう。茶抽出物の濃縮物は、例えば、特開昭59-219384号公報、特開平4-20589号公報、特開平5-260907号公報、特開平5-306279号公報等に記載の方法により調製することができるが、三井農林(株)の「ポリフェノン」、伊藤園(株)の「テアフラン」、太陽化学(株)の「サンフェノン」等の市販品を使用することもできる。
「茶抽出物の精製物」は、茶抽出物又はその濃縮物を溶剤や吸着剤を用いて精製処理し固形分中の非重合体カテキン類の純度を高めたものをいい、例えば、特開2004-147508号公報、特開2007-282568号公報、特開2006-160656号公報、特開2008-079609号公報等に記載の方法により調製することができる。
茶葉は、その加工方法により、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶に大別することができる。
不発酵茶としては、例えば、煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜炒り茶等の緑茶が挙げられ、茎茶、棒茶、芽茶等も使用することができる。また、半発酵茶としては、例えば、鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の烏龍茶が挙げられる。更に、発酵茶としては、ダージリン、アッサム、スリランカ等の紅茶が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、非重合体カテキン類の含有量が高いという点から、緑茶が好ましい。
(B)クロロゲン酸類は、上記に挙げた化合物のいずれか1種または2種以上の組み合わせであり得る。(B)クロロゲン酸類は上記6種を含むのが好ましい。本明細書において、(B)クロロゲン酸類の含有量は上記6種の合計量に基づいて定義される。
従って、(A)カテキン類と(B)クロロゲン酸類の組み合わせは、食後におけるGLP-1分泌促進剤、GIP上昇抑制剤となり得る。また、GLP-1分泌促進剤、GIP上昇抑制剤を製造するために使用することができる。また、(A)カテキン類と(B)クロロゲン酸類の組み合わせを経口投与又は摂取して、食後におけるGLP-1分泌を促進し、また、GIP上昇を抑制することができる。斯様に、(A)カテキン類と(B)クロロゲン酸類の組み合わせは、食後におけるGLP-1分泌促進、GIP上昇抑制のために使用することができ、尚且つ、これらGLP-1分泌促進、GIP上昇抑制の作用を介して様々な状態の制御、例えば、肥満、糖尿病等の生活習慣病の予防及び/又は改善のため、肝・筋での糖取り込み増加のため、インスリン抵抗性改善のため、中枢神経系での食欲抑制のため、消化管における胃排泄遅延のため、食後の消化促進のため、胃もたれや胃酸分泌能の改善のため、エネルギー代謝を亢進するため、抗疲労のために使用することができる。
ここで、本明細書において、「GLP-1分泌促進」とは、食事を摂取することで引き起こされる生体内でのGLP-1分泌を促進することを意味する。「GLP-1分泌促進」は、食後に生じる生体内でのGLP-1分泌に伴う血中GLP-1濃度上昇の促進、上昇したGLP-1濃度の維持、又は上昇したGLP-1濃度の低下抑制、すなわち血中GLP-1濃度の安定化のいずれをも含む概念である。
また、「GIP上昇抑制」とは、食事を摂取することで引き起こされる生体内でのGIPの上昇を抑制することを意味する。「GIP上昇抑制」は、食後に生じる生体内でのGIP分泌を抑制することでGIP上昇を抑制するGIP分泌抑制、及び血中GIP濃度を低下させることによりGIP上昇を抑制するGIP低下のいずれをも含む概念である。
「食後」とは摂取した食事中の炭水化物がおおむね吸収されるまでの時間を指し、食事の摂取後の直後(0分)から6時間後まで、好ましくは5時間後まで、より好ましくは4時間後まで、更に好ましくは3時間後までの時間を指す(Diabete Care, 24(4), 2001, 775-778)。
「使用」とは、ヒトを含む動物への投与又は摂取であり得、また治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念、より具体的には医師又は医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。
本発明の(A)カテキン類と(B)クロロゲン酸類を組み合わせてなる剤は、(A)カテキン類と(B)クロロゲン酸類を配合剤として一の剤型に製剤化したものでも、また単独に製剤化したものを同時に又は間隔を空けて別々に使用できるようにしたキットであってもよい。
このような種々の剤型の製剤は、必要に応じて、薬学的に許容される担体、例えば、賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、乳化剤、防腐剤、安定剤、保存剤、増粘剤、流動性改善剤、嬌味剤、発泡剤、香料、被膜剤、希釈剤等や、カテキン類とクロロゲン酸類以外の薬効成分を適宜組み合わせて調製することができる。
医薬又は医薬部外品における(A)カテキン類の含有量は、一般的に、0.5質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは6質量%以上、更に好ましくは7質量%以上、より更に好ましくは10.0質量%以上、また、好ましくは20質量%以下、好ましくは17質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは14質量%以下、より更に好ましくは13.5質量%以下である。
医薬又は医薬部外品における(B)クロロゲン酸類の含有量は、製剤の種類によっても異なるが、摂取、投与のしやすさから一般的に、0.5質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは6質量%以上、更に好ましくは7質量%以上、より更に好ましくは10.0質量%以上、また、好ましくは20質量%以下、好ましくは17質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは14質量%以下、より更に好ましくは13.5質量%以下である。
種々の形態の食品は、必要に応じて、他の食品材料、例えば、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、酸味料、甘味料、苦味料、pH調整剤、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤、流動性改善剤、発泡剤、香科、調味料等や、カテキン類とクロロゲン酸類以外の有効成分を適宜組み合わせて調製することができる。
食品における(A)カテキン類の含有量は、その使用形態により異なるが、飲料の形態では、好ましくは0.04~0.6質量%であり、より好ましくは0.09~0.4質量%であり、更に好ましくは0.12~0.3質量%であり、より更に好ましくは0.15~0.2質量%である。
食品における(B)クロロゲン酸類の含有量は、その使用形態により異なるが、好ましくは0.080~0.40質量%、より好ましくは0.080~0.35質量%、更に好ましくは0.085~0.25質量%、より更に好ましくは0.090~0.20質量%、殊更好ましくは0.090~0.15質量%である。
錠剤や加工食品等の固形食品の形態では、(B)クロロゲン酸類の含有量は、0.5~30質量%であり、好ましくは5~25質量%であり、より好ましくは7~20質量%であり、更に好ましくは7.5~18質量%であり、より更に好ましくは12~17質量%である。
飼料は、必要に応じて、他の飼料材料、例えば、肉類、蛋白質、穀物類、ぬか類、粕類、糖類、野菜、ビタミン類、ミネラル類、ゲル化剤、保型剤、pH調整剤、調味料、防腐剤、栄養補強剤等や、カテキン類とクロロゲン酸類以外の有効成分を適宜組み合わせて常法により調製することができる。
また、通常、成人1人(60kg)に対して1日あたり、(B)クロロゲン酸類として、好ましくは10~10000mg、より好ましくは50~5000mg、更に好ましくは100~1000mgである。
本発明では斯かる量を1日に1回~複数回、好ましくは1日に1回で投与又は摂取するのが好ましい。
投与又は摂取期間は特に限定されないが、反復・連続して投与又は摂取することが好ましく、2週間以上、更に4週間以上、更に8週間以上、連続して投与又は摂取することが好ましい。
投与又は摂取対象者としては、それを必要とする若しくは希望するヒト又は非ヒト動物等であれば特に限定されない。対象の好ましい例として、単純性肥満者や糖尿病患者、それの予備軍が挙げられる。
緑茶(Camellia sinensis)葉熱水抽出物の乾燥粉末を熱水に溶解した後、当量のクロロホルム、3倍量のエタノールを加えて混合し水相を回収、再乾燥して得られた茶カテキンを用い、カテキン類を含む飲料(以下、試験飲料AT)を調製した。また、カテキン類を含まないこと以外は試験飲料ATと同じ組成を有する飲料(以下、試験飲料PT)を調製した。
調製した飲料中のカテキン類定量は、各飲料をフィルター(0.45μm)で濾過し、高速液体クロマトグラフ(型式LCVP、島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム(L-カラムTM ODS、4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により分析した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
濃度勾配条件(体積%)
時間 移動相A 移動相B
0分 97% 3%
5分 97% 3%
37分 80% 20%
43分 80% 20%
43.5分 0% 100%
48.5分 0% 100%
49分 97% 3%
62分 97% 3%
試験飲料PTにおけるカテキン類の合計量0mg、カフェインの量は80mgであった。
生コーヒー豆の粉砕物を熱水で抽出後、スプレードライ乾燥し、得られたパウダーをエタノール水溶液に溶解させてろ過し、ろ過液を活性炭およびイオン交換樹脂を用いたカラムで処理することで生コーヒー豆抽出物を得た。
生コーヒー豆抽出物を酸味料、甘味料およびその他材料と配合して、クロロゲン酸類を含む飲料(以下、試験飲料AC)を調製した。また、クロロゲン酸類を含まないこと以外は試験飲料ATと同じ組成を有する飲料(以下、試験飲料PC)を調製した。
調製した飲料中のクロロゲン酸類定量にはHPLC(日立製作所(株)製)を使用した。HPLCでは、試料1gを精秤後、溶離液にて10mLにメスアップし、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A,孔径0.45μm、ジーエルサイエンス(株))にて濾過後、分析に供した。5-カフェオイルキナ酸を標準物質として、3-カフェオイルキナ酸、4-カフェオイルキナ酸、5-カフェオイルキナ酸、3-フェルロイルキナ酸、4-フェルロイルキナ酸及び5-フェルロイルキナ酸を定量した。
試験飲料AC100mLにおけるクロロゲン酸類、3-カフェオイルキナ酸、4-カフェオイルキナ酸、5-カフェオイルキナ酸、3-フェルロイルキナ酸、4-フェルロイルキナ酸及び5-フェルロイルキナ酸の合計量は270mgであった。カフェインの量は90mgであった。
試験飲料PC100mLにおけるクロロゲン酸類の合計量は0mgであった。カフェインの量は90mgであった。
尚、試験飲料ATとPT、及び試験飲料ACとPCは、外観及び香味からは識別できないよう調整した。
〔試験概要〕
(1)被験者及び方法
健常男性11名(平均年齢41.1±2.6歳、平均体格指数BMI23.1±0.8kg/m2)を対象に、2つのフェーズからなるランダム化二重盲検クロスオーバープラセボ対照比較デザインにて実施した。被験者は1週間のRun-in期間後、初期の血液検査(初期値測定試験)を行った。初期値測定試験日は試験飲料の代わりに水(535mL)を摂取した。初期値測定試験日は、規定の朝食(595kcal、P/F/C=19/23.1/77.6)、昼食(589kcal、P/F/C=23.1/11.9/92.8)、間食(512kcal、P/F/C=14.9/16.6/75.7)、及び夕食(716kcal、P/F/C=24.2/14.1/122.6)を21時までに摂取してその後は絶食させた(飲水可)。
翌日の試験当日は、被験者は完全排尿し、絶飲食で参加した。9時の朝食(試験食)摂取の30分前に採血を行った。朝食には、耐糖能試験検査用のミールテストS(592kcal、P/F/C=5/44/51、サラヤ株式会社製)を用いた。5分毎に試験食1/3と水1/3ずつを摂取し、試験食と水280mLを15分間で完食した。朝食後10分以内にカテキン類含有飲料(試験飲料AT)とクロロゲン酸類含有飲料(試験飲料AC)、又はカテキン類非含有飲料(試験飲料PT)とクロロゲン酸類非含有飲料(試験飲料PC)を摂取した後、再度血液検査を行った。これを3週間継続した後、2週間のウォッシュアウト期間を設け、摂取飲料を変えて再び3週間継続摂取試験を行った。試験参加期間中は、試験飲料以外の緑茶・コーヒーの摂取を1日1杯以内に、また、カテキン類・クロロゲン酸高濃度含有飲料の飲用、特定保健用食品・機能性表示食品・ビタミン類及びミネラル類をサプリメントの摂取は控えさせた。試験食以外は普段の食生活を維持させた。
有意差の検定は、群間の比較を対応のあるt検定で評価した。また、混合モデルによる経時測定データの分析を行い、群間の比較及び交互作用について検定を実施した。有意水準は5%以下とした(*p < 0.05、**p<0.01,vs. PT+PC)。有意差の検定には統計解析ソフト(SPSS 18、IBM)を使用した。得られた数値は平均値±標準誤差で示した。
試験食摂取前後のGLP-1及びGIPの変動を図1及び図2に示す。
空腹時(試験食摂取の30分前、0分)の血中GLP-1濃度又はGIP濃度を0とし、食後の血中GLP-1濃度又はGIP濃度変化量をΔ値として表した。0分、30分、60分、120分、180分のΔ値を用いて血中濃度-時間曲線下面積(AUC:area under the blood concentration time curve)を求めた。AUCの計算方法は以下のとおりである。
(Δ0分値+Δ30分値)×30/2+(Δ30分値+Δ60分値)×30/2+(Δ60分値+Δ120分値)×60/2+(Δ120分値+Δ180分値)×60/2
以上の計算方法により、先行研究(特許文献1及び非特許文献6)のカテキン類又はクロロゲン酸類単独摂取によるGLP-1 AUCを算出し、対照群と比較してどの程度の減少率であったのかを調べた。
カテキン類摂取によるGLP-1 AUCは対照群と比較して約14.7%の増加、クロロゲン酸類によるGLP-1 AUCは対照群と比較して約19.2%の増加であった。一方、カテキン類とクロロゲン酸類を併用して摂取した場合のGLP-1 AUCは対照群と比較して112.5%の増加であったことから、カテキン類とクロロゲン酸類を併用摂取することによる効果は相乗的であると考えられた。
GIPに関しても同様に、先行研究(特許文献2及び非特許文献6)のカテキン類又はクロロゲン酸類単独摂取によるGIP AUCを算出し、対照群と比較してどの程度の減少率であったのかを調べた。カテキン摂取によるGIP AUCは対照群と比較して15.0%の減少、クロロゲン酸によるGIP AUCは対照群と比較して6.2%の減少であった。一方、カテキン類とクロロゲン酸類を併用して摂取した場合のGIP AUCは対照群と比較して31.5%の減少であったことから、カテキン類とクロロゲン酸類を併用摂取することによる効果は相乗的であると考えられた。
GLP-1の分泌は、通常、迷走神経や他のホルモンによって食後10~15分で速やかに分泌されるものと、腸肝内各種栄養素によって直接的に刺激され、食後3~60分後に分泌されるものがあると考えられている(非特許文献2)。先行研究(特許文献1及び非特許文献6)では、カテキン類又はクロロゲン酸類単独による血中GLP-1濃度上昇は食後30分にピークがみられたが、今回のカテキン類とクロロゲン酸類の併用摂取による血中GLP-1濃度上昇は、食後90分にピークを迎えた。このピークの遅延はカテキン類とクロロゲン酸類を組み合わせたことによる効果であると考えられた。
Claims (6)
- (A)カテキン、カテキンガレート、ガロカテキン、ガロカテキンガレート、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン及びエピガロカテキンガレートから選ばれる1種以上からなるカテキン類と(B)3-カフェオイルキナ酸、4-カフェオイルキナ酸、5-カフェオイルキナ酸、3-フェルロイルキナ酸、4-フェルロイルキナ酸及び5-フェルロイルキナ酸から選ばれる1種以上からなるクロロゲン酸類を有効成分とするGLP-1分泌促進剤であって、(A)カテキン類として1日あたり200~3000mgの量で、且つ、(B)クロロゲン酸類として1日あたり100~10000mgの量で投与又は摂取されるGLP-1分泌促進剤。
- (A)カテキン、カテキンガレート、ガロカテキン、ガロカテキンガレート、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン及びエピガロカテキンガレートから選ばれる1種以上からなるカテキン類と(B)3-カフェオイルキナ酸、4-カフェオイルキナ酸、5-カフェオイルキナ酸、3-フェルロイルキナ酸、4-フェルロイルキナ酸及び5-フェルロイルキナ酸から選ばれる1種以上からなるクロロゲン酸類を有効成分とするGIP上昇抑制剤であって、(A)カテキン類として1日あたり200~3000mgの量で、且つ、(B)クロロゲン酸類として1日あたり100~10000mgの量で投与又は摂取されるGIP上昇抑制剤。
- 食事の摂取後に服用される、請求項1記載のGLP-1分泌促進剤又は請求項2記載のGIP上昇抑制剤。
- (A)カテキン、カテキンガレート、ガロカテキン、ガロカテキンガレート、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン及びエピガロカテキンガレートから選ばれる1種以上からなるカテキン類と(B)3-カフェオイルキナ酸、4-カフェオイルキナ酸、5-カフェオイルキナ酸、3-フェルロイルキナ酸、4-フェルロイルキナ酸及び5-フェルロイルキナ酸から選ばれる1種以上からなるクロロゲン酸類を有効成分とするGLP-1分泌促進用食品組成物であって、(A)カテキン類として1日あたり200~3000mgの量で、且つ、(B)クロロゲン酸類として1日あたり100~10000mgの量で摂取されるGLP-1分泌促進用食品組成物。
- (A)カテキン、カテキンガレート、ガロカテキン、ガロカテキンガレート、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン及びエピガロカテキンガレートから選ばれる1種以上からなるカテキン類と(B)3-カフェオイルキナ酸、4-カフェオイルキナ酸、5-カフェオイルキナ酸、3-フェルロイルキナ酸、4-フェルロイルキナ酸及び5-フェルロイルキナ酸から選ばれる1種以上からなるクロロゲン酸類を有効成分とするGIP上昇抑制用食品組成物であって、(A)カテキン類として1日あたり200~3000mgの量で、且つ、(B)クロロゲン酸類として1日あたり100~10000mgの量で摂取されるGIP上昇抑制用食品組成物。
- 食事の摂取後に経口摂取される、請求項4記載のGLP-1分泌促進用食品組成物又は請求項5記載のGIP上昇抑制用食品組成物。
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