JP7025706B2 - 水石鹸供給装置 - Google Patents

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Description

本発明は水石鹸供給装置に関し、特に、被取付面に固定され、使用者の操作に基づいて水石鹸を吐出させる水石鹸供給装置に関する。
特開2017-13846号公報(特許文献1)には、吐出容器が記載されている。この吐出容器においては、使用者がノズルヘッドを押圧操作することにより、容器本体内に収容されたシャンプー、ボディーソープ、ハンドソープ等の内容液が、内容液用ポンプによって汲み上げられ、吐出される。また、特許文献1記載の吐出容器においては、ノズルヘッドを押圧操作することにより、円形断面の樹脂製の小径筒体が、円形断面の樹脂製の中空ピストンに対して摺動して、ノズルヘッドが下方に移動される。
特開2017-13846号公報
しかしながら、特許文献1記載の発明においては、押圧操作によるノズルヘッドの移動が、樹脂製の小径筒体と樹脂製の中空ピストンとの間の摺動により実現されているため、強度が低く耐久性に乏しいという問題がある。特に、洗面台のカウンターボード等に固定して使用される水石鹸供給装置では、ボード上に載置して使用する吐出容器とは異なり、押圧すべき操作部(ノズルヘッド)を支持する支持機構に大きな力が作用する可能性がある。特に、水石鹸供給装置がパブリックスペースで使用される場合には、乱暴に使用されることも想定され、要求される耐久性の水準も高くなる。
そこで、水石鹸供給装置の耐久性を向上させるために、摺動部を金属で構成することが考えられるが、金属同士の接触では円滑な摺動は困難であり、水石鹸供給装置の操作感が低下するという問題がある。また、金属製の摺動部が摺動しやすいように、摺動部のクリアランスを大きくとると、摺動部にガタが生じて使用感が悪くなると共に、水石鹸供給装置の高級感が損なわれてしまうという問題がある。
加えて、特許文献1記載の吐出容器では、容器本体に対するノズルヘッドの回転位置が固定されておらず、ノズルヘッドは容器本体に対し任意の位置に回転することができる。これに対して、洗面台のカウンターボード等に固定して使用される水石鹸供給装置においては、操作部(ノズルヘッド)が本体部分に対し回転してしまうと、スパウト部材(ノズル)の先が近傍に設置された鏡等にぶつかったり、ノズルから吐出された水石鹸が洗面ボウルの外側にこぼれたりしてしまう等の不都合が生じる。
従って、本発明は、良好な操作感を確保しながら、耐久性が高く、操作部の回転を拘束することができる水石鹸供給装置を提供することを目的としている。
上述した課題を解決するために、本発明は、被取付面に固定され、使用者の操作に基づいて水石鹸を吐出させる水石鹸供給装置であって、吐出させるべき水石鹸を収容したタンクと、被取付面に固定される金属製の外殻部材と、この外殻部材に対して摺動可能に設けられ、使用者の操作により所定の摺動軸線に沿って変位可能な操作部と、この操作部に対する操作に基づいて、タンクに収容された水石鹸を加圧して送り出す液体ポンプと、操作部から延び、液体ポンプによって加圧された水石鹸を吐出させる水石鹸吐出口が設けられたスパウト部材と、操作部から延び、その一部が外殻部材に設けられた挿入開口の中に延びる金属製の挿入部と、この挿入部又は外殻部材に固定され、挿入部の外周面と挿入開口の内周面との間に配置された樹脂製の摺動スリーブと、を有し、挿入部の外周面と摺動スリーブの内周面、又は、摺動スリーブの外周面と挿入開口の内周面は、操作部の摺動軸線に沿った摺動を許容し、且つ摺動軸線を中心とする回転を阻止するように、互いに合致した形状に形成され、挿入部には延出部が設けられ、摺動スリーブは外殻部材に固定され、摺動スリーブは、摺動軸線の方向に離間した2箇所以上で、挿入部及び上記延出部に接触することを特徴としている。
このように構成された本発明によれば、金属製の外殻部材と、この外殻部材に設けられた挿入開口の中に延びる金属製の挿入部によって摺動部が構成されているので、水石鹸供給装置の耐久性を向上させることができる。また、挿入部の外周面と挿入開口の内周面との間には樹脂製の摺動スリーブが配置されているので、挿入部は、外殻部材の挿入開口に対して円滑に摺動することができ、良好な操作感を得ることができる。さらに、挿入部の外周面と摺動スリーブの内周面、又は、摺動スリーブの外周面と挿入開口の内周面が、摺動軸線に沿った摺動を許容し、且つ摺動軸線を中心とする操作部の回転を阻止する互いに合致した形状に形成されているので、操作部の円滑な摺動を確保しながら、特別な機構を設けることなく操作部の回転を阻止することができる。
また、このように構成された本発明によれば、外殻部材に固定された摺動スリーブが、摺動軸線の方向に離間した2箇所以上で、挿入部及び延出部と接触するので、摺動軸線を傾ける方向の操作部のガタを少なくすることができ、操作感が良く、高級感のある水石鹸供給装置を得ることができる。
本発明において、好ましくは、挿入部の外周面と摺動スリーブの内周面、及び、摺動スリーブの外周面と挿入開口の内周面は互いに合致する形状に形成されていると共に、挿入部の外周面と挿入開口の内周面の間の隙間は、ほぼ一定の大きさに形成され、この隙間を埋めるように摺動スリーブが配置される。
このように構成された本発明によれば、挿入部の外周面と挿入開口の内周面の間の隙間が、ほぼ一定の大きさに形成され、この隙間を埋めるように摺動スリーブが配置されているので、樹脂製の摺動スリーブには、実質的に圧縮応力のみが作用し、実質的に剪断応力等が作用せず、耐久性を高くすることができる。例えば、挿入部に回転止めのキーを設け、摺動スリーブにキーを受けるキー溝を設けることにより操作部の回転を阻止したとすれば、キー溝の肩部分には剪断応力が作用する。このような、樹脂製の摺動スリーブに剪断応力が作用する構成を採用した場合には、摺動スリーブの剪断応力が作用する部分が摩耗したり、操作部に大きな回転力が作用したとき、摺動スリーブが破壊されたりして、耐久性が低下してしまう。上記のように構成された本発明によれば、樹脂製の摺動スリーブには実質的に剪断応力等が作用せず、耐久性を向上させることができる。
本発明において、好ましくは、挿入部の延出部は、操作部を外殻部材に対して所定の回転位置に回転させた状態においてのみ、操作部を外殻部材から引き抜き可能にする形状に構成されている。
このように構成された本発明によれば、挿入部に延出部が設けられており、操作部は容易に取り外すことができない。このため、水石鹸供給装置をパブリックスペース等で使用した場合において、悪戯により操作部が紛失するのを防止することができる。
本発明において、好ましくは、延出部の外周面は、摺動スリーブの内周面と合致する形状に形成されており、延出部が外殻部材に対して所定の回転位置に回転されると、摺動スリーブと上記延出部の係合が解除される。
このように構成された本発明によれば、延出部が外殻部材に対して所定の回転位置に回転されたとき、摺動スリーブと延出部の係合が解除されるので、使用時において操作部の回転を阻止する機構の一部が、操作部の引き抜きを防止する機構と兼用にされ、簡単な構成で操作部の回転阻止と、操作部の引き抜き防止を実現することができる。
本発明の水石鹸供給装置によれば、良好な操作感を確保しながら、耐久性が高く、操作部の回転を拘束することができる。
本発明の第1実施形態による水石鹸供給装置全体の外観を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態による水石鹸供給装置の上部を拡大して示す断面図である。 本発明の第1実施形態による水石鹸供給装置を分解して示す分解斜視図である。 本発明の第1実施形態による水石鹸供給装置において、操作部の本体部への取り付けを説明する分解斜視図である。 本発明の第1実施形態の水石鹸供給装置に使用されている流路縮小部材の斜視図である。 流路縮小部材をスパウト部材の水石鹸通路内に配置した状態を示す断面図であり、(a)は流路縮小部材の下流側端部における断面を示し、(b)は流路縮小部材の中央部における断面を示し、(c)は流路縮小部材の上流側端部における断面を示している。
次に、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による水石鹸供給装置全体の外観を示す斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態による水石鹸供給装置の上部を拡大して示す断面図である。図3は、本発明の第1実施形態による水石鹸供給装置を分解して示す分解斜視図である。図4は、本発明の第1実施形態による水石鹸供給装置において、操作部の本体部への取り付けを説明する分解斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の水石鹸供給装置1は、水石鹸を収容したタンク2と、カウンターボードCの上側に固定された本体部4と、この本体部4の上側に設けられ、使用者によって押圧操作される操作部6と、を有する。
タンク2は、被取付面であるカウンターボードCの下側に配置された概ね円筒形の容器であり、吐出すべき水石鹸が内部に収容されている。また、メンテナンス時においては、操作部6を取り外すことにより、カウンターボードCの上からタンク2内に水石鹸が補充できるようになっている。
本体部4は、カウンターボードCに固定される概ね円柱形の部材であり、内部にはタンク2内の水石鹸を汲み上げる液体ポンプと、外気を吸い込み加圧する空気ポンプが内蔵されている。また、液体ポンプから送り出された水石鹸と空気ポンプから送り出された空気は、本体部4内に設けられた混合室によって混合され、水石鹸がムース状にされる。
操作部6は、本体部4の上側に、上下に摺動可能に取り付けられた概ね円柱形の部材であり、その側面から横方向に突出するように、ムース状の水石鹸を吐出させるスパウト部材8が延びている。
また、スパウト部材8は、水石鹸吐出口8aから吐出された水石鹸が水石鹸供給装置1の近傍に設けられた手洗器(図示せず)の中に落下するよう、十分な長さを備えている。
本実施形態の水石鹸供給装置1は、使用者が操作部6を押圧操作すると、操作部6が鉛直方向の摺動軸線に沿って下方に摺動し、この摺動により本体部4に内蔵された液体ポンプが作動してタンク2内の水石鹸を吸い上げるように構成されている。吸い上げられた水石鹸は、本体部4に内蔵された空気ポンプによって加圧された外気と混合されてムース状となり、スパウト部材8先端の水石鹸吐出口8aから吐出される。
次に、図2及び図3を参照して、水石鹸供給装置1の本体部4及び操作部6の内部構造を説明する。なお、図3においては、操作部6の外観部分を一部破断して示している。
図2に示すように、本体部4は、外殻部材10と、この内部に収容されたベース部材12と、このベース部材12の上側に配置されたポンプ受け部材14と、ポンプ受け部材14の内側に収容された下側ポンプ室部材16と、を有する。さらに、本体部4の内部には、上側ポンプ室部材18と、上側ポンプ室部材18と共に移動する水石鹸室部材20と、水石鹸室部材20の内部に配置された水石鹸弁体22と、水石鹸室部材20の上側に配置された摺動部形成部材24と、この摺動部形成部材24の内側に配置された混合室形成部材26が内蔵されており、これらの部材は使用者の押圧操作により操作部6と共に上下に摺動する。また、外殻部材10の内側には、摺動部形成部材24の摺動を円滑にするための摺動スリーブ28が配置されている。
まず、操作部6は、円柱状の外観を有する金属製の部材であり、その下端面は開放されており、内側に外殻部材10の上部を受け入れるように構成されている。使用者により操作部6が押下されると、操作部6は下方に移動し、外殻部材10の上部が操作部6の内側に入り込むようになっている。さらに、操作部6の内部には筒状の挿入部6aが設けられ、操作部6は全体として二重筒状に形成されている。この挿入部6aの外周面は、円形を2本の平行な弦で切断した概ね長円形に構成されている(図3)。挿入部6aは、外殻部材10上端の挿入開口10a(図3)の中に挿入されており、使用者により操作部6が押下されると、挿入部6aの先端が挿入開口10aの中に更に入り込むようになっている。
また、操作部6の側面上部には、操作部6に取り付けられる管状のスパウト部材8を受け入れる円形断面の受入ボア6bが形成されており、この受入ボア6bにスパウト部材8の基端部(上流側の端部)を挿入することにより、スパウト部材8が操作部6に取り付けられる。また、操作部6の挿入部6aの内側の空間は、受入ボア6bの内部と連通している。
スパウト部材8は、操作部6から延びる細長い金属製の円管であり、その内部にはムース状の水石鹸を導く水石鹸通路8bが設けられ、水石鹸を吐出する先端の水石鹸吐出口8aまで延びている。この水石鹸通路8b内には、水石鹸通路8b内に水石鹸通路8bよりも流路断面積が狭い狭小流路32(図5)を形成する流路縮小部材30が配置されている。この流路縮小部材30の構成については後述する。また、スパウト部材8は、円柱形の操作部6の側面から水平よりもやや上方に向けて延び、スパウト部材8の先端部は、水石鹸吐出口8aが斜め下方に向くように、下方に向けて「へ」の字形に湾曲されている。また、スパウト部材8の基端部(上流側端部)の側面には、水石鹸通路8bの入口である貫通穴8cが形成され、スパウト部材8の中の水石鹸通路8bは、貫通穴8cを介して挿入部6aの内側の空間と連通されている。
次に、外殻部材10は、本体部4の外観を構成する概ね円筒状の金属製の部材であり、その内部には、ベース部材12、ポンプ受け部材14、下側ポンプ室部材16、上側ポンプ室部材18、水石鹸室部材20、水石鹸弁体22、摺動部形成部材24及び摺動スリーブ28が収容されている。また、外殻部材10の上部には段部が設けられ、上部の直径が基部の直径よりも僅かに小さくなっている。また、外殻部材10の上端面には、操作部6の一部が挿入される挿入開口10a(図3)が形成されている。この挿入開口10aは、円形を2本の平行な弦で切断した概ね長円形の断面を有し、操作部6の挿入部の6aの外周面と概ね相似形に構成されている。
図2に示すように、ベース部材12は、金属製の段付き円筒形部材であり、その大径部12aはカウンターボードC上に配置され、小径部12bはカウンターボードCに形成された取り付け穴に挿入される。大径部12aは、その外周が外殻部材10の下端部の内周とほぼ同一の直径に形成されており、外殻部材10の中に挿入され、固定される。小径部12bの外周面には雄ねじ山が形成され、この雄ねじに取り付けナット12cを螺合させることにより、本体部4がカウンターボードCに固定される。
ポンプ受け部材14は、外殻部材10の中で、ベース部材12の上に配置される概ね段付き円筒状の部材であり、その下端の小径部がベース部材12の内部に挿入される。また、ポンプ受け部材14の内側には空気ポンプ及び液体ポンプの一部を構成する下側ポンプ室部材16が配置される。
下側ポンプ室部材16は、空気ポンプのポンプ室を構成する大径部16aと、液体ポンプのポンプ室を構成する小径部16bを有する段付きの円筒状の部材である。また、下側ポンプ室部材16の大径部16aと小径部16bの接続部は、小径部16bが大径部16aの内側に入り込んでおり、一部が二重管構造となっている。下側ポンプ室部材16の小径部16bの下端は直径が更にすぼまっており、先端には吸入管15が接続されている。この吸入管15は、下側ポンプ室部材16から下方へ、タンク2の底面まで延びている。また、小径部16bの中の下端部には、ボール弁体16cが配置されており、小径部16b下端の入口を開閉するようになっている。
上側ポンプ室部材18は、空気ポンプのポンプ室を構成する大径部18aと、水石鹸室部材20を受け入れる小径部18bを有する段付きの円筒状の部材である。また、上側ポンプ室部材18の大径部18aは、下側ポンプ室部材16の大径部16aの内側に摺動可能に挿入されている。この上側ポンプ室部材18が下側ポンプ室部材16に対して摺動することにより、これらの間に形成される空気ポンプの空気ポンプ室17の容積が変化する。このように、本実施形態においては、下側ポンプ室部材16の大径部16a、及び上側ポンプ室部材18の大径部18aが、空気ポンプとして機能している。
水石鹸室部材20は円筒状の部材であり、その内側に液体ポンプの液体ポンプ室21が形成される。また、水石鹸室部材20の下端部は下側ポンプ室部材16の小径部16bに摺動可能に受け入れられ、上端部は上側ポンプ室部材18の小径部18bに摺動可能に受け入れられている。さらに、水石鹸室部材20の下端部と下側ポンプ室部材16の小径部16bの下端部との間にはコイルばね19が配置され、水石鹸室部材20はコイルばね19により上方に向けて付勢される。また、水石鹸室部材20の外周面にはフランジ部20aが設けられ、このフランジ部20aと上側ポンプ室部材18が係合することにより、水石鹸室部材20は上側ポンプ室部材18と共に押し下げられる。
水石鹸弁体22は、水石鹸室部材20を貫通するように配置された棒状の部材であり、その上端部は逆円錐形状に拡径している。この水石鹸弁体22の上端の拡径部は、水石鹸室部材20が上方に押し上げられる際、水石鹸室部材20の上端部と当接し、水石鹸室部材20の上端を閉塞するように構成されている。このように、本実施形態においては、下側ポンプ室部材16の小径部16b、水石鹸室部材20、水石鹸弁体22、及びボール弁体16cが、液体ポンプとして機能している。
摺動部形成部材24は概ね円筒状の樹脂製の部材であり、その下部に、上側ポンプ室部材18の小径部18bを受け入れている。また、摺動部形成部材24の上部は操作部6の挿入部6aの中に受け入れられ、摺動部形成部材24上端に設けられた爪部により、操作部6の挿入部6aにスナップ止めされている。さらに、摺動部形成部材24の下部は挿入部6aよりも下方まで延びており、その下端には拡径した延出部24aが設けられている。
混合室形成部材26は、上側ポンプ室部材18の上方、且つ摺動部形成部材24の内側に配置された円筒状の部材であり、その内部に混合室26aが形成される。また、混合室形成部材26の上端及び下端の開放部には、夫々、網部材(図示せず)が配置されている。液体ポンプにより送り込まれた水石鹸、及び空気ポンプにより送り込まれた空気は、混合室形成部材26の内部で混合され、水石鹸がムース状にされる。また、混合室形成部材26上端の出口は、操作部6に設けられた挿入部6aの中を通って、スパウト部材8の貫通穴8cに連通している。
摺動スリーブ28は、図4に示すように、外殻部材10の上端部内側に配置される樹脂製の筒状の部材であり、その内側に摺動部形成部材24、及び操作部6の挿入部6aが受け入れられる(図2)。このように、金属製の挿入部6aと外殻部材10との間に、樹脂製の摺動スリーブ28を配置することにより、金属部材同士の摺動が回避され、本体部4(外殻部材10)に対し、操作部6を実質的にガタなく、円滑に摺動させることができる。
この摺動スリーブ28の上端開口28aは、外殻部材10の挿入開口10aと合致した相似形の概ね長円形断面に形成されている。また、図2に示すように、摺動スリーブ28の先端部28bは、操作部6の挿入部6aの外周面と、外殻部材10の挿入開口10aの内周面との間の隙間を埋めるように配置されている。即ち、挿入部6aの外周面と、摺動スリーブ28の上端開口28aの内周面、及び、摺動スリーブ28の先端部28bの外周面と、挿入開口10aの内周面は、互いに合致した形状に形成されている。これら挿入部6a、上端開口28a、及び挿入開口10aの互いに合致した形状は、操作部6が摺動する方向の軸線に対して非軸対称に形成されているため、操作部6の摺動軸線に沿った摺動は許容されるが、摺動軸線を中心とする回転は阻止される。
また、挿入部6aの外周面と挿入開口10aの内周面との間の隙間は、全周に亘りほぼ一定に形成されており、この隙間にほぼ一定の肉厚に形成された摺動スリーブ28の先端部28bが配置されている。このように構成されることにより、操作部6を本体部4(外殻部材10)に対して回転させる力が作用したとき、操作部6の挿入部6aと、外殻部材10の挿入開口10aとの間に挟まれた摺動スリーブ28の先端部28bには、これを肉厚方向に圧縮する力が作用する。このため、摺動スリーブ28の先端部28bには、実質的に圧縮応力のみが作用するので、摺動スリーブ28が樹脂で形成されていても、変形や破損を起こしにくく、十分な耐久性を確保することができる。
さらに、図4に示すように、摺動部形成部材24の延出部24aも、操作部6の挿入部6aと同様に、円形を2本の平行な弦で切断した概ね長円形の断面を有している。この延出部24aの断面形状は、挿入部6aの外周面の形状と同一であり、摺動スリーブ28の上端開口28aの形状とも合致した形状である。しかしながら、延出部24aの断面は、その直線部分の方向が、挿入部6aの外周面の直線部分の方向に対して90゜ずれている。従って、摺動部形成部材24が取り付けられた挿入部6aは、図4に図示されている回転位置であれば、摺動部形成部材24の延出部24aと、摺動スリーブ28の上端開口28aが干渉せず、外殻部材10の中に挿入することができる。しかしながら、図4に示す位置から挿入部6aを90゜回転させた図3に示す状態では、延出部24aと上端開口28aが干渉してしまい、延出部24aを挿入開口10aに挿入することができない。
挿入部6aは、図4に示す回転位置で、先端の延出部24aを上端開口28a(挿入開口10a)の中に挿入した後、図3に示す回転位置に戻すことにより、図2に示す位置まで挿入することができる。換言すれば、操作部6(挿入部6a)は、図2に示す状態からそのまま上方に引き上げることでは抜き取ることはできない。操作部6は、挿入部6aが摺動スリーブ28の上端開口28aを通過するまで引き上げた後、図4に示す回転位置まで操作部6を90゜回転させることにより、抜き取ることが可能になる。このように、操作部6は、摺動部形成部材24の延出部24aが外殻部材10に対して所定の回転位置に回転されると、摺動スリーブ28と延出部24aの係合が解除され、外殻部材10から抜き取ることが可能になる。
さらに、図2に示すように、摺動部形成部材24の延出部24aは、摺動スリーブ28下部の内周面に接触するように配置されている。このため、摺動スリーブ28は、操作部6の摺動軸線の方向に離間した2箇所で、挿入部6aと、延出部24aに接触する。このように、摺動軸線の方向に離間した2箇所以上で接触することにより、摺動軸線を傾ける方向の操作部6の移動が強く拘束され、この方向のガタを少なくすることができる。
次に、図5及び図6を参照して、スパウト部材8の内部に配置されている流路縮小部材30の構成を説明する。
図5は、流路縮小部材30の斜視図である。図6は、流路縮小部材30をスパウト部材8の水石鹸通路8b内に配置した状態を示す断面図であり、(a)は流路縮小部材30の下流側端部における断面を示し、(b)は流路縮小部材30の中央部における断面を示し、(c)は流路縮小部材30の上流側端部における断面を示している。
図5に示すように、流路縮小部材30は、全体として、円形断面の段付きの棒状の部材であり、直径が大きい中央部30a、直径が小さい上流側端部30b、及び下流側端部30cから形成されている。また、上流側端部30b及び下流側端部30cは、同一の直径及び同一の長さに形成されており、流路縮小部材30は、その長手方向中央に対して左右対称である。さらに、流路縮小部材30の中央部30aの外径は、スパウト部材8の内径(水石鹸通路8bの直径)とほぼ同一に形成されており、流路縮小部材30はスパウト部材8の中に殆ど隙間がない状態で挿入される。なお、流路縮小部材30はスパウト部材8に対して固定されていないが、スパウト部材8の先端部が湾曲されている(図2)ので、流路縮小部材30が先端の水石鹸吐出口8aから抜け落ちることはない。
さらに、流路縮小部材30の外周面には、長手方向に延びる4本の溝30dが形成されている。これらの溝30dは、流路縮小部材30の上流端から下流端まで直線状に延びている。また、各溝30dは概ね矩形の断面を有しており、流路縮小部材30の鉛直方向の直径に対して左右対称に2本ずつ、水平方向の直径と平行な方向に切り欠かれている。
さらに、流路縮小部材30がスパウト部材8の中に挿入された状態では、図6(b)に示すように、流路縮小部材30の中央部30aの外周面と、スパウト部材8の水石鹸通路8bの内壁面との間には殆ど隙間がない。このため、水石鹸通路8bに流入した水石鹸は、流路縮小部材30に形成された各溝30dと水石鹸通路8bの内壁面によって形成される4本の狭小流路32(図6)を通って流れる。
一方、図6(c)に示すように、水石鹸通路8の基端部には、流路縮小部材30の上流側端部30bが位置する。ここで、流路縮小部材30の上流側端部30bは、中央部30aよりも直径が小さく、細く形成されているため、水石鹸通路8の基端部においては、流路縮小部材30の上流側端部30bの外周面と、水石鹸通路8bの内壁面との間には、環状の隙間が存在する。この環状の隙間が存在することにより、流路縮小部材30が水石鹸通路8bの中に如何なる回転位置で配置された場合でも、スパウト部材8の上流側端部側面に形成された貫通穴8cが流路縮小部材30によって閉塞されることはない。貫通穴8cを通って水石鹸通路8bに流入した水石鹸は、環状の隙間を通って流路縮小部材30の上流側端部30bの周囲に到達し、各溝30d(狭小流路32)の中を通って下流側に流れる。
図6(a)に示すように、流路縮小部材30の下流側端部30cも、上流側端部30bと同様に中央部30aよりも直径が小さく、細く形成されているので、流路縮小部材30の下流側端部30cの外周面と、水石鹸通路8bの内壁面との間には、環状の隙間が存在する。このように、流路縮小部材30の下流側端部30cの外周面と、水石鹸通路8bの内壁面との間にも隙間が形成されるため、流路縮小部材30を水石鹸通路8bに何れの向きで挿入した場合でも(下流側端部30cがスパウト部材8の上流側端部に配置された場合でも)、貫通穴8cが流路縮小部材30によって閉塞されることはない。
次に、図2を参照して、本発明の第1実施形態による水石鹸供給装置1の作用を説明する。
まず、使用者が水石鹸供給装置1の操作部6を押下すると、本体部4に内蔵されている上側ポンプ室部材18、水石鹸室部材20、水石鹸弁体22、摺動部形成部材24、及び混合室形成部材26は、コイルばね19の付勢力に抗して操作部6と共に押し下げられた状態となる。この状態では、下側ポンプ室部材16と上側ポンプ室部材18の間に形成される空気ポンプ室17、及び水石鹸室部材20の中に形成される液体ポンプ室21は、容積が縮小された状態となる。
次いで、使用者が操作部6を押下している手指を離すと、コイルばね19の付勢力により、操作部6は図2に示す状態まで上方に押し戻される。この際、コイルばね19の付勢力により水石鹸室部材20の上端部が水石鹸弁体22上端の拡径部に押しつけられるので、水石鹸室部材20の上端が閉塞される。また、水石鹸室部材20が上昇することにより、液体ポンプ室21の容積が増大し、内部の圧力が低下する。これにより、タンク2内の水石鹸が吸入管15を通って液体ポンプ室21内に吸い上げられる。この際、下側ポンプ室部材16の小径部16b下端に配置されたボール弁体16cは、水石鹸の流れにより押し上げられ、水石鹸の流入が許容される。
一方、コイルばね19の付勢力により、操作部6が図2に示す状態まで押し戻されると、上側ポンプ室部材18も上方に移動されるため、空気ポンプ室17の容積が増大する。この際、下側ポンプ室部材16に形成された吸気口(図示せず)を通って、外殻部材10の空気が空気ポンプ室17内に吸入される。
次いで、使用者が操作部6を再び押下すると、液体ポンプ室21の容積が縮小するので、液体ポンプ室21内に充填されていた水石鹸が、水石鹸室部材20の上端から流出する。(この際、液体ポンプ室21下端の流入口は、ボール弁体16cにより閉弁されている。)水石鹸室部材20から流出した水石鹸は、上側ポンプ室部材18の小径部18bを通って混合室形成部材26の中の混合室26aに流入する。
一方、使用者による操作部6の押下により、空気ポンプ室17の容積も縮小され、空気ポンプ室17内の空気は、水石鹸室部材20の上端部外周面と、上側ポンプ室部材18の小径部18b内周面の間の隙間を通って、小径部18bの中に流入する。(この際、下側ポンプ室部材16に形成された吸気口(図示せず)は閉鎖されている。)上側ポンプ室部材18の小径部18bに流入した空気は、上端の開口から流出し、混合室形成部材26の中の混合室26aに流入する。
このように、使用者の押圧操作により、混合室26a内に水石鹸及び空気が同時に流入すると、水石鹸は混合室26a内で多数の気泡を含むムース状にされ、混合室形成部材26上端の混合室出口から流出する。なお、混合室26aに流入する水石鹸と空気は、体積比で約1:9であり、液体状の水石鹸は混合室26aにおいて約10倍の体積を有するムース状にされる。混合室26aから流出したムース状の水石鹸は、混合室26aの上方に位置する貫通穴8cを通ってスパウト部材8の水石鹸通路8b内に流入する。貫通穴8cから流入した水石鹸は、水石鹸通路8b内に配置された流路縮小部材30の上流側端部30bの周囲に流れた後、流路縮小部材30の各溝30dによって形成された4本の狭小流路32(図6)に流入する。
各溝30dによって形成される狭小流路32は流路断面積が狭くされているため、流入した水石鹸は、高い流速で狭小流路32を通って下流側に流れ、流路縮小部材30の下流側に到達する。また、図2に示すように、流路縮小部材30は、水石鹸通路8b内の、水石鹸吐出口8aの側の端部には配置されていない。このため、流路縮小部材30の下流側では流路断面積が広くなり、水石鹸の流れはここで減速された後、ムース状の状態でスパウト部材8先端の水石鹸吐出口8aから吐出される。
また、水石鹸供給装置1の操作部6に、これを回転させる力が作用した場合でも、摺動スリーブ28の、非軸対称形状である長円形の上端開口28aに、これと合致した長円形断面の挿入部6aが挿入されているので、操作部6の、本体部4に対する回転が阻止される。また、操作部6に、これを引き抜く方向の力が作用した場合でも、操作部6に取り付けられた摺動部形成部材24の延出部24aが、摺動スリーブ28の上端開口28aと干渉するので、操作部6が容易に引き抜かれることはない。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、本発明は、水石鹸をムース状にして吐出させる水石鹸供給装置に適用されていたが、水石鹸を液状のまま吐出させる水石鹸供給装置に本発明を適用することもできる。
また、上述した実施形態においては、摺動スリーブ28は外殻部材10側に固定されていたが、変形例として、摺動スリーブを操作部の挿入部に固定するように本発明を構成することもできる。この場合には、操作部と摺動スリーブが一体となって移動し、摺動スリーブの外周面と外殻部材の挿入開口の内周面の間で摺動が発生する。
さらに、上述した実施形態においては、操作部6の挿入部6aに摺動部形成部材24を取り付けることにより、挿入部6aに延出部24aを設けていたが、変形例として、操作部と摺動部形成部材を一体に形成して延出部を設けることもできる。
また、上述した実施形態においては、挿入部6aの外周面と摺動スリーブ28の内周面、及び、摺動スリーブ28の外周面と挿入開口10aの内周面が互いに合致した形状に形成されていた。これに対し、変形例として、摺動スリーブが外殻部材に固定されている場合には、挿入部の外周面と摺動スリーブの内周面の形状のみが合致し、摺動スリーブが挿入部に固定されている場合には、摺動スリーブの外周面と挿入開口の内周面の形状のみが合致するように、本発明を構成することもできる。
1 水石鹸供給装置
2 タンク
4 本体部
6 操作部
6a 挿入部
6b 受入ボア
8 スパウト部材
8a 水石鹸吐出口
8b 水石鹸通路
8c 貫通穴(水石鹸通路の入口)
10 外殻部材
10a 挿入開口
12 ベース部材
14 ポンプ受け部材
15 吸入管
16 下側ポンプ室部材
16a 大径部
16b 小径部
16c ボール弁体
17 空気ポンプ室
18 上側ポンプ室部材
18a 大径部
18b 小径部
19 コイルばね
20 水石鹸室部材
21 液体ポンプ室
22 水石鹸弁体
24 摺動部形成部材
24a 延出部
26 混合室形成部材
26a 混合室
28 摺動スリーブ
28a 上端開口
28b 先端部
30 流路縮小部材
30a 中央部
30b 上流側端部
30c 下流側端部
30d 溝
32 狭小流路

Claims (4)

  1. 被取付面に固定され、使用者の操作に基づいて水石鹸を吐出させる水石鹸供給装置であって、
    吐出させるべき水石鹸を収容したタンクと、
    上記被取付面に固定される金属製の外殻部材と、
    この外殻部材に対して摺動可能に設けられ、使用者の操作により所定の摺動軸線に沿って変位可能な操作部と、
    この操作部に対する操作に基づいて、上記タンクに収容された水石鹸を加圧して送り出す液体ポンプと、
    上記操作部から延び、上記液体ポンプによって加圧された水石鹸を吐出させる水石鹸吐出口が設けられたスパウト部材と、
    上記操作部から延び、その一部が上記外殻部材に設けられた挿入開口の中に延びる金属製の挿入部と、
    この挿入部又は上記外殻部材に固定され、上記挿入部の外周面と上記挿入開口の内周面との間に配置された樹脂製の摺動スリーブと、を有し、
    上記挿入部の外周面と上記摺動スリーブの内周面、又は、上記摺動スリーブの外周面と上記挿入開口の内周面は、上記操作部の上記摺動軸線に沿った摺動を許容し、且つ上記摺動軸線を中心とする回転を阻止するように、互いに合致した形状に形成され
    上記挿入部には延出部が設けられ、上記摺動スリーブは上記外殻部材に固定され、上記摺動スリーブは、上記摺動軸線の方向に離間した2箇所以上で、上記挿入部及び上記延出部に接触することを特徴とする水石鹸供給装置。
  2. 上記挿入部の外周面と上記摺動スリーブの内周面、及び、上記摺動スリーブの外周面と上記挿入開口の内周面は互いに合致する形状に形成されていると共に、上記挿入部の外周面と上記挿入開口の内周面の間の隙間は、ほぼ一定の大きさに形成され、この隙間を埋めるように上記摺動スリーブが配置される請求項1記載の水石鹸供給装置。
  3. 上記挿入部の上記延出部は、上記操作部を上記外殻部材に対して所定の回転位置に回転させた状態においてのみ、上記操作部を上記外殻部材から引き抜き可能にする形状に構成されている請求項記載の水石鹸供給装置。
  4. 上記延出部の外周面は、上記摺動スリーブの内周面と合致する形状に形成されており、上記延出部が上記外殻部材に対して所定の回転位置に回転されると、上記摺動スリーブと上記延出部の係合が解除される請求項記載の水石鹸供給装置。
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