JP7025253B2 - アルミニウムの製造方法 - Google Patents
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Description
Rf1及びRf2は、互いに独立してCF3又はC4F9であり、
Mは、H、アルカリ金属、第四級アンモニウム又はイミダゾリウムである)で表されるパーフルオロアルキルスルホンイミド型又はパーフルオロアルキルスルホンアミド型のイオン液体と、ハロゲン化アルミニウム水和物とを含む混合物から、アルミニウムパーフルオロアルキルスルホニルイミド又はアルミニウムパーフルオロアルキルスルホニルアミドのアルミニウム化合物を合成する工程と、
前記アルミニウム化合物をニトリル系の有機溶媒中に溶解させてアルミニウム電解液を作製する工程と、
前記アルミニウム電解液中でアノードとカソード間に通電することによりアルミニウムをカソード上に電析する工程と、
を含むことを特徴とする、アルミニウムの製造方法である。
Rf1及びRf2は、互いに独立してCF3又はC4F9であり、
Mは、H、アルカリ金属、第四級アンモニウム又はイミダゾリウムである)で表されるパーフルオロアルキルスルホンイミド型又はパーフルオロアルキルスルホンアミド型のイオン液体と、ハロゲン化アルミニウム水和物とを含む混合物から、アルミニウムパーフルオロアルキルスルホニルイミド又はアルミニウムパーフルオロアルキルスルホニルアミドのアルミニウム化合物を合成する工程と、
前記アルミニウム化合物をニトリル系有機溶媒中に溶解させてアルミニウム電解液を作製する工程と、
前記アルミニウム電解液中でアノードとカソード間に通電することによりアルミニウムをカソード上に電析する工程と、を含む。
まず、本発明に係るアルミニウムの製造方法において行われるアルミニウム化合物の合成について説明する。アルミニウムパーフルオロアルキルスルホニルイミド又はアルミニウムパーフルオロアルキルスルホニルアミドのアルミニウム化合物(以下、単に「Al化合物」ともいう)は、式(1)で表される所定のイオン液体と、ハロゲン化アルミニウム水和物とを混合し、その混合物を加熱することにより、副生成物である、ハロゲン化アルミニウム由来の水分と塩化水素の蒸発を経て合成される。イオン液体とハロゲン化アルミニウム水和物との混合比率は、特に限定されるものではないが、イオン液体:ハロゲン化アルミニウム水和物のモル比が、0.1:1~10:1であることが好ましく、0.5:1~5:1であることがより好ましい。また、混合物の加熱温度も特に限定されるものではないが、80℃以上200℃以下が好ましく、100℃以上150℃以下がより好ましい。また、加熱した混合物からさらに不純物を除去すべく、必要に応じて蒸留が行われていてもよい。このような工程を経て、所望とするAl化合物が合成される。このようなAl化合物は、例えば、アルミニウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド等のアルミニウムパーフルオロアルキルスルホニルイミド(アミド)である。
本発明において、イオン液体とは、カチオン種とアニオン種との組み合わせからなる液体のイオン性化合物(塩)の総称であり、100℃以下の比較的低温で液相が形成される化合物を意図する。このようなイオン液体は、蒸気圧が非常に低く、SEM等の真空中でも使用可能な場合もある。アニオン種を適切に選定することにより、イオン液体に疎水性を発現させることも可能である。
Rf1及びRf2は、互いに独立してCF3又はC4F9であり、
Mは、H、アルカリ金属、第四級アンモニウム又はイミダゾリウムである)で表されるパーフルオロアルキルスルホンイミド型又はパーフルオロアルキルスルホンアミド型のイオン液体が使用される。このようなイオン液体として、例えば、一般式(1)中、Rf1及びRf2が互いにCF3であるビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド系、Rf1及びRf2が互いにC4F9であるビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド系、Rf1がCF3であり、Rf2がC4F9であるノナフルオロ-N-[(トリフルオロメタン)スルホニル]ブタンスルホニルアミド系のイオン液体等が挙げられる。これらのイオン液体の中でも、一般式(1)中、Rf1及びRf2が互いにCF3であるイオン液体、すなわち、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下、「TFSI」ともいう)のアニオンを含むイオン液体が好ましく、カチオンとしてのMが、H、K(カリウム)、Li(リチウム)又はNa(ナトリウム)であるイオン液体、すなわち、HTFSI、KTFSI、LiTFSI又はNaTFSIのイオン液体が特に好ましい。尚、本発明に使用されるイオン液体における「イミド」とは、Rf1及びRf2が互いに同じ構造である場合を意味し、「アミド」とは、Rf1及びRf2が互いに異なる構造である場合を意味する。
ハロゲン化アルミニウム水和物は、例えば、フッ化アルミニウム(III)六水和物(AlF3・6H2O)、塩化アルミニウム(III)六水和物(AlCl3・6H2O)、臭化アルミニウム(III)六水和物(AlBr3・6H2O)、ヨウ化アルミニウム(III)六水和物(AlI3・6H2O)等を使用することができる。このようなハロゲン化アルミニウム水和物と上述したパーフルオロアルキルスルホニルイミド(アミド)型のイオン液体との混合物から合成されるAl化合物が、後述するアルミニウム電解液中のAl源になり得る。ハロゲン化アルミニウム水和物の中でも、安価かつ容易に入手できる点から、塩化アルミニウム(III)六水和物が好ましい。
Al化合物を合成後、得られたAl化合物をニトリル系の有機溶媒中に溶解させてアルミニウム電解液(以下、単に「電解液」ともいう)を作製する。電解液中に含まれるAl化合物の量は、ニトリル系の有機溶媒中に十分に溶解することができ、かつ、後述する電析により十分な量のAlを析出することができれば、特に限定されるものではないが、電解液100mlに対して0.1g以上100g以下であることが好ましく、0.5g以上50g以下であることがより好ましい。また、Al化合物は、常温下で撹拌することで溶解することができるが、Al化合物を迅速かつ確実に溶解させるため、例えば40℃~80℃の加熱処理が施されていてもよい。
有機溶媒は、ハロゲン化アルミニウム水和物と上記の特定のパーフルオロアルキルスルホニルイミド(アミド)型のイオン液体から合成されるAl化合物を溶解し、電解液の溶液として使用可能な点から、ニトリル系の化合物が使用される。このようなニトリル系の化合物として、例えば、アセトニトリル、アクリロニトリル、ベンゾニトリルが好ましく、アセトニトリルが特に好ましい。
電解液を作製した後、当該電解液中でアノードとカソード間に通電する、すなわち電解によりアルミニウムをカソード上に電析する。この電解は、電解液を入れた電解槽を用意し、電解液中にカソードとアノードとを対向させて配置し、両電極間に電圧又は電流或いはその両方を印加し、通電することにより、カソードの表面上にAlを電析させるものである。なお、本発明では電析時にハロゲン化アルミニウム水和物由来の水分と電析物が反応し、アルミニウム酸化物や水酸化物が電析Alと同時に電析されることも起こり得るが、主としてAlが電析される。
次に、電析条件について説明する。まず、電析温度、すなわち、電析における電解浴の温度は、20℃以上80℃以下であることが好ましく、30℃以上70℃以下であることがより好ましい。下限値の20℃は室温付近の温度として設定される。一方、電析温度が80℃を超えると、電解液中のニトリル系の有機溶剤の揮発が生じるようになり、電解液の組成が不安定になりやすい。その結果、電析不良が生じると、Alが析出されにくくなる。
本発明に係るアルミニウムの製造方法において、カソードは、特に限定されるものではない。例えば、白金、金、銅等の金属材料から構成されるカソードを使用して、Alを金属材料上に析出させて回収してもよく、或いは、チタン、ニッケル、ステンレス等の不働態皮膜(酸化被膜)を有する金属材料から構成されるカソードを使用して、Alを不働態皮膜上に析出させ、不働態皮膜とAlとの密着性の低さを利用することにより、析出したAlを連続的に剥離、回収してもよい。また、カソードの材料は金属材料に限定されるものではなく、カーボン、導電性を付与したプラスチック材料等から構成されるカソードを使用してもよい。
また、アノードも特に限定されるものではないが、溶解性のアルミニウを使用することにより、電析時に電解液中で消費されるアルミニウム源をアノードから補給することができる。不溶性のアノードとしては、白金、チタン等の純金属の電極、或いは、白金、酸化イリジウム、酸化ルテニウム、二酸化鉛等の不溶性金属を被覆したチタン電極等が使用可能である。
以下の手順に従って、アルミニウムを製造した。
表1中に示されるイオン液体及びハロゲン化アルミニウム化合物を使用して、イオン液体:ハロゲン化アルミニウム化合物=3:1(モル比)になるように混合した。次いで、得られた混合物を120℃で加熱し、所望のAl源となるアルミニウム化合物を作製した。一例として、実施例1の合成反応式を式(2)に示す。
表1中に示されるニトリル系の有機溶媒20mlに対して合成したAl化合物2gを溶解し、電解液を作製した。
カソードにCu板、アノードにグラッシーカーボンを使用し、表1に示される電析条件で定電位電解、定電流電解を行った。電解後にカソードを水洗、乾燥し、カソード上にAlを電析した。
本発明における電解液について、以下の評価を行った。
カソードに0.5mmφの白金線、参照極にAl線、アノードにグラッシーカーボンを使用し、ポテンショスタット(北斗電工製、商品名:HZ5000)を用いてサイクリックボルタンメトリーを行った。走査速度は100mV/秒、走査範囲は-4.0Vから4.0V、浴温50℃で行った。得られたボルタモグラムを図1に示す。図1おいて、Aは、アセトニトリルとAl化合物を含む電解液のボルタモグラム、Bは、アセトニトリルのみのボルタモグラムである。図1より、Aでは、0Vより卑な電位で還元電流が観察されている。このことから、本発明における製造方法で使用される電解液からAlの製造が可能なことを見出させる。
カソード上の電析物を目視で確認し、電析ムラがなく均一にAlが電析された場合を「◎」、電析ムラは観察されるものの電析物を目視で確認できた場合を「○」、目視で電析物は確認できないものの、電解時に電流又は電圧が確認できた場合を「△」、電解時に電流又は電圧も確認されず、Alの電析が行えなかった場合を「×」とした。すなわち、「△」以上の評価であれば、Alが電析可能であると評価した。
得られた電析物をより詳細に分析するため、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)(日本電子製、商品名:JSM-6010PLUS)と、当該SEMに内蔵されているエネルギー分散形X線分析装置(EDS:Energy Dispersive X-ray Spectroscop)を用いてSEM-EDS分析を行った。Alが検出された場合を「○」、検出されなかった場合を「×」とした。
得られた電析物をより詳細に分析するため、X線回析装置(BRUKER製、商品名:D2 PHASER)を用いてX線回析(XRD:X‐ray diffraction)を行った。Alの強いピークが確認できたものを「◎」、Alのピークが確認できた場合を「○」、Alのピークが確認できない場合を「×」とした。
外観観察、SEM-EDS、XRDの全ての項目のうち、「◎」の評価項目が1つ以上あり、かつ「×」の評価項目がない場合を「◎」、「◎」の評価項目はないものの、「×」の評価項目もない場合を「○」、「×」の評価項目が1つ以上ある場合を「×」とした。
B アセトニトリルのみのボルタモグラム
Claims (5)
- 以下の一般式(1):
Rf1及びRf2は、互いに独立してCF3又はC4F9であり、
Mは、H、アルカリ金属、第四級アンモニウム又はイミダゾリウムである)で表されるパーフルオロアルキルスルホンイミド型又はパーフルオロアルキルスルホンアミド型のイオン液体と、ハロゲン化アルミニウム水和物とを含む混合物から、アルミニウムパーフルオロアルキルスルホニルイミド又はアルミニウムパーフルオロアルキルスルホニルアミドのアルミニウム化合物を合成する工程と、
前記アルミニウム化合物をニトリル系の有機溶媒中に溶解させてアルミニウム電解液を作製する工程と、
前記アルミニウム電解液中でアノードとカソード間に通電することによりアルミニウムをカソード上に電析する工程と、
を含むことを特徴とする、アルミニウムの製造方法。 - 前記電析が、参照電極として用いたアルミニウムに対する電極電位が-4.0V以上0V未満の定電位電解、又は電流密度が10μAcm-2以上1000μAcm-2以下の定電流電解により行われる、請求項1に記載のアルミニウムの製造方法。
- 前記電析における電解浴の温度が、20℃以上80℃以下である、請求項1又は2に記載のアルミニウムの製造方法。
- 前記一般式(1)中、Rf1及びRf2がCF3である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアルミニウムの製造方法。
- 前記ハロゲン化アルミニウム水和物が、塩化アルミニウム(III)六水和物である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアルミニウムの製造方法。
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Non-Patent Citations (1)
Title |
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Nathalie M. Rocher,Aluminium Speciation in 1-Butyl-1-Methylpyrrolidinium Bis(trifluoromethylsulfonyl)amide/AlCl3 Mixtures,Chemistry - A European Journal,ドイツ,Wiley-VCH Verlag GmbH&Co. KGaA,2009年03月17日,Volume 15, Issue 14,3435- 3447 |
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