JP5574139B2 - アルカリ金属の製造方法およびアルカリ金属製造装置 - Google Patents
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[1]不純物含有アルカリ金属を電解精製して精製アルカリ金属を製造する方法であって、前記不純物含有アルカリ金属を陽極とし、かつカーボネート系有機溶媒および前記アルカリ金属のイオンを含む溶液を電解液として、前記不純物含有アルカリ金属に含まれるアルカリ金属を陰極に析出させるステップを含むアルカリ金属の製造方法。
[2]前記カーボネート系有機溶媒は、炭酸エチレンまたは炭酸プロピレンである、[1]に記載のアルカリ金属の製造方法。
[3]前記アルカリ金属はリチウムまたはナトリウムである、[1]または[2]に記載のアルカリ金属の製造方法。
[4]前記電解液は、ヘキサフルオロリン酸のアルカリ金属塩を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載のアルカリ金属の製造方法。
[5]前記電解液における前記アルカリ金属イオンの濃度は0.5mol/L以上である、[1]〜[4]のいずれかに記載のアルカリ金属の製造方法。
[6]前記カーボネート系有機溶媒は炭酸エチレンであり、前記電解液の温度は60〜120℃の範囲内である、[1]〜[5]のいずれかに記載のアルカリ金属の製造方法。
[7]前記カーボネート系有機溶媒は炭酸プロピレンであり、前記電解液の温度は40〜100℃の範囲内である、[1]〜[5]のいずれかに記載のアルカリ金属の製造方法。
[8]前記不純物含有アルカリ金属は、リチウム電池、リチウムイオン電池またはナトリウム硫黄電池から得られたものである、[3]に記載のアルカリ金属の製造方法。
[9]不純物含有アルカリ金属を電解精製して精製アルカリ金属を製造するアルカリ金属製造装置であって、カーボネート系有機溶媒および前記アルカリ金属のイオンを含む電解液と、前記電解液を収容する電解槽と、前記不純物含有アルカリ金属を含む陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加する電源手段と、前記電源手段と前記陽極との間、および前記電源手段と前記陰極との間を電気的に接続する一対の導電性部材と、前記電解液を加熱する加熱手段とを有し、前記陽極および前記陰極を前記電解液に接触させた状態で前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加して、前記不純物含有アルカリ金属に含まれるアルカリ金属を陰極に析出させるアルカリ金属製造装置。
本発明のアルカリ金属の製造方法は、不純物含有アルカリ金属を電解精製して精製アルカリ金属を製造する方法であって、不純物含有アルカリ金属を陽極とし、有機溶媒および精製対象のアルカリ金属のイオンを含む溶液を電解液として電気分解を行い、不純物含有アルカリ金属に含まれるアルカリ金属を陰極に析出させるステップを含む。
本発明は、電解精製を行う際に有機溶媒および精製対象のアルカリ金属のイオンを含む電解液を用いることを特徴とする。
本発明のアルカリ金属の製造方法では、陽極(不純物含有アルカリ金属)と陰極との間に直流電圧を印加して電気分解を行う。このとき電極間に印加する電圧は、反応に必要な過電圧以上の電圧であって、かつ陽極においてアルカリ金属のみがイオンの状態で電解液に溶解する電圧であれば特に限定されない。電極間に印加する電圧が大きすぎると、陽極において不純物が電解液に溶出してしまう可能性がある。電極間に印加する電圧は、電解液の温度や導電性部材の材質などに応じて適宜設定すればよい。例えば、電圧を5V程度、好ましくは3〜5V程度として、電流値を0.1〜1A程度とすればよい。
本発明のアルカリ金属の製造方法では、不純物含有アルカリ金属に含まれるアルカリ金属の大半が電解液に溶出してしまうと、不純物含有アルカリ金属中に残存している不純物も電解液に溶出してしまう可能性がある。もし、鉄や硫黄などの不純物が電解液に溶出してしまうと、これらの不純物はアルカリ金属よりも先に陰極の表面に析出してしまうため、アルカリ金属の純度が低下してしまうことになる。したがって、本発明では、不純物含有アルカリ金属からの不純物の溶出を監視するために、定電流電解または定電位(電圧)電解により電解精製を行うことが好ましい。
本発明のアルカリ金属の製造方法は、例えば以下に示す装置を用いて不純物含有アルカリ金属を電解精製することにより実施することができる。
本実施例では、炭酸プロピレンおよびヘキサフルオロリン酸ナトリウム(NaPF6)を含む電解液を用いて、鉄およびナトリウムを添加したナトリウム合金(不純物含有ナトリウム)から精製ナトリウムを製造した例を示す。
まず、炭酸プロピレン−NaPF6系の電気化学挙動を調べるためにボルタモグラム測定を行った。
ガラスビーカーに炭酸プロピレン30mlを入れ、さらにNaPF6を終濃度が0.5〜3mol/Lとなるように加えた。液体全体が透明になるまで攪拌してNaPF6を溶解させて、電解液を調製した。
図8は、3種類の電解液(NaPF6濃度:1mol/L,1.5mol/L,3mol/L)についてのCV測定の結果を示すグラフである。横軸は白金擬似参照電極に対する試料極の電位を示し、縦軸は試料極−対極間の電流密度を示す。
上記ボルタモグラム測定では、電位を経時的に変化させたときの電流値を測定しているため、定常的な反応電流や電圧を知ることができない。そこで、定電流電解を行っているときの電極間の電圧を測定した。
図7に示す電気分解セルとほぼ同様の構成の電気分解セル(参照電極440を含まない)を用意した。陽極420にはナトリウム合金(不純物含有ナトリウム)を用い、陰極430にはガラス状カーボンを用いた。陽極420および陰極430は直流電源装置(不図示)に接続されている。
表1は、4種類の電解液(NaPF6濃度:0.5mol/L,1mol/L,1.5mol/L,3mol/L)についてのNaPF6の濃度と電極間の電圧との関係を示す表である。
(測定方法)
精製前のナトリウム合金(不純物含有ナトリウム)および精製後のナトリウム(析出物)について、ICP発光分光装置を用いて不純物濃度の測定を行った。精製前の試料は、0.1242gのナトリウム合金を水に溶解させたものを用いた。精製後の試料は、NaPF6の濃度が0.5mol/Lの電解液に0.05Acm−2の電流を60分、180Cの電気量を流して得られた析出物を水に溶解させたものを用いた。ナトリウム合金には鉄およびアルミニウムが添加されているため、これら2種類の元素について定量分析を行った。
精製前の不純物含有ナトリウムには、鉄が6.5ppm、アルミニウムが173ppm含まれていた。一方、精製後のナトリウム(析出物)には、鉄およびアルミニウムは検出されなかった。この結果より、本発明の方法により高純度のナトリウムを精製できることがわかる。
本参考実験では、炭酸プロピレンおよびヘキサフルオロリン酸ナトリウム(NaPF6)を含む電解液からナトリウム単体を析出させた例を示す。
110 電解槽
120 隔壁
130 加熱部
140 第一の導電性部材
150,210 第二の導電性部材
160 電源
170 電解液
180,310 不純物含有アルカリ金属
190,320 精製アルカリ金属
400 ガラスビーカー(電解槽)
410 電解液
420 陽極(対極)
430 陰極(試料極)
440 参照電極
450 ヒーター
460 ポテンショスタット
470 PC
Claims (5)
- 鉄、硫黄またはアルミニウムを不純物として含む不純物含有アルカリ金属を電解精製して精製アルカリ金属を製造する方法であって、
前記不純物含有アルカリ金属を陽極とし、かつカーボネート系有機溶媒および前記アルカリ金属のイオンを含む溶液を電解液として、
前記陽極においてアルカリ金属のみがイオンの状態で電解液に溶解する電圧を前記陽極と陰極との間に印加し、
定電流電解または定電位電解により、前記不純物含有アルカリ金属に含まれるアルカリ金属を陰極に析出させるステップを含む、
アルカリ金属の製造方法。 - 前記アルカリ金属はナトリウムである、請求項1に記載のアルカリ金属の製造方法。
- 前記カーボネート系有機溶媒は炭酸エチレンであり、前記電解液の温度は60〜120℃の範囲内である、請求項1に記載のアルカリ金属の製造方法。
- 前記カーボネート系有機溶媒は炭酸プロピレンであり、前記電解液の温度は40〜100℃の範囲内である、請求項1に記載のアルカリ金属の製造方法。
- 不純物含有アルカリ金属を電解精製して精製アルカリ金属を製造するアルカリ金属製造装置であって、
カーボネート系有機溶媒および前記アルカリ金属のイオンを含む電解液と、
前記電解液を収容する電解槽と、
前記不純物含有アルカリ金属を含む陽極と、
陰極と、
前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加する電源手段と、
前記電源手段と前記陽極との間、および前記電源手段と前記陰極との間を電気的に接続する一対の導電性部材と、
前記電解液を加熱する加熱手段と、を有し、
前記陽極および前記陰極を前記電解液に接触させた状態で前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加して、前記不純物含有アルカリ金属に含まれるアルカリ金属を陰極に析出させるアルカリ金属製造装置。
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