以下に図面を参照して、バッテリパック、電動工具、およびバッテリパックと電動工具と外部機器とを含むシステムの実施の形態を詳細に説明する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
図1は、本実施例におけるバッテリパックと電動工具と外部機器とを含むシステム(以下、無線連動システム)1000の構成例を示す概略斜視図である。図1に示すように、無線連動システム1000は、外部機器の一例である集塵機1と電動工具の一例である丸のこ2とが集塵用ホース4で接続され、丸のこ2で発生した切屑等を、集塵機1により吸引することができるようになっている。集塵機1のヘッド部は、取付機構としてのクランプ機構5によってタンク部の上部に着脱可能に固定されている。
集塵機1と丸のこ2とは、電源ケーブル3により接続され、丸のこ2は集塵機1からの電源供給が可能となっている。また、丸のこ2には、電源ケーブル3により電源供給がされない場合でも動作が可能なように、バッテリパック6が設けられている。なお、以下では、電動工具として丸のこを例示しているが、ジグソー、グラインダ、ハンマドリルをはじめとする他の様々な電動工具についても同様に適用することができる。まず、集塵機1について説明する。
図2は、外部機器の一例である集塵機(AC集塵機)の回路構成の概略図である。図2に示すように、AC集塵機は、交流電源201と、交流電源201をモータ204に供給するためのメインスイッチ202と、交流電源201から供給される交流電力を、操作パネル206、表示パネル207、無線通信部208、制御部209の各部が利用できる直流電力に変換して出力する電源回路203と、操作パネル206からの指示信号に従って、モータ204の駆動を制御するためのスイッチ205とを有している。
また、集塵機1は、使用者から集塵機1に対する操作を受け付ける操作パネル206と、操作パネル206を介して受け付けられた上記操作を受けた集塵機1の操作状態を表示する表示パネル207と、集塵機1とバッテリパック6との間で無線通信する無線通信部208と、集塵機1の各部を制御する制御部209とを有している。
操作パネル206は、無線通信部208による無線通信のオン/オフを切り替える通信モードスイッチ206aと、モータ204の駆動力の強弱の設定や、単動/連動を切り替える強弱スイッチ206bとを備えている。単動とは、バッテリパック6と連動せずに集塵機1が単独で動作するモードであり、連動とは、集塵機1がバッテリパック6と連動した連動作業で動作するモードである。
表示パネル207は、操作パネル206の各スイッチの押下を受けて制御部209が設定した通信状態、モータの回転数の強弱、単動/連動といった、集塵機1の通信状態(非通信、接続試行中、通信確立)、駆動状態、動作モードに関する情報を表示するパネルである。例えば、制御部209は、通信速度が一定以上である場合には、表示パネル207に良好な通信状態で通信確立されたことを示す緑色のランプを表示し、通信速度が一定未満である場合には、表示パネル207に通信状態が不良であることを示す赤色のランプを表示する。また、例えば、制御部209は、モータ204の回転数が所定の閾値以上である場合には、表示パネル207にモータの出力が高いことを示す「強」を表示し、モータ204の回転数が所定の閾値未満である場合には、表示パネル207にモータの出力が低いことを示す「弱」を表示する。また、例えば、制御部209は、強弱スイッチ206bにおいて操作された動作モード(単動/連動)を表示する。
無線通信部208は、Wi-Fi通信やBluetooth(いずれも登録商標)通信等の無線通信規格に従って、電動工具に装着されたバッテリパックとの間で所定の情報を送受信するユニットである。無線通信部208は、例えば、上記規格で無線通信を行うための通信モジュールが搭載されたチップと、上記規格で定められた周波数帯の電波を送受信するためのアンテナとを有した回路ユニットとして構成される。
制御部209は、集塵機1の各部を制御するユニットである。制御部209は、電動工具に装着されたバッテリパックから連動信号を受信したか否かに応じて、モータ204の制御を行う。また、制御部209は、強弱スイッチ206bが操作されて連動モードに設定されている場合、バッテリパック6との間で無線通信の試行、接続、解除の各処理を行う。制御部209が行う具体的な処理については後述する。
図2では、AC電源から電力供給される集塵機について説明したが、図3に示すように、集塵機1に備えられたバッテリ等のDC電源から電力の供給を受ける集塵機1’として構成することもできる。
図3は、外部機器の一例である集塵機(DC集塵機)の回路構成の概略図である。図3に示すように、DC集塵機は、電池セル等により構成される直流電源301と、直流電源301から得られる直流電力をモータ304に供給するためのメインスイッチ302と、直流電源301から供給される直流電力を、操作パネル306、表示パネル307、無線通信部308、制御部309の各部に出力する電源回路303と、操作パネル306からの指示信号に従って、モータ304の駆動を制御するためのスイッチ305とを有している。操作パネル306、表示パネル307、無線通信部308、制御部309の各部の構成については、図2に示したAC集塵機と同様であるため、ここではその説明を省略する。実際には、直流電源301を構成する電池セルの電圧や温度、電流等を検出する各種検出回路や、電池セルに対する過充電・過放電・過電流を保護する保護回路、放電を制御する制御回路が設けられている。
図4は、電動工具の一例である丸のこ2a(MCU(Micro Controller Unit)なし)とバッテリパック6の接続回路構成の概略図である。図4に示すように、MCUなし丸のこ2aは、工具側プラス端子401と、バッテリパック6から供給される電力をモータ404に供給するためのメインスイッチ402と、バッテリパック6から電力が供給されていることを検出するための工具側トリガ検出端子403と、MCUなし丸のこ2aを駆動するためのモータ404と、工具側プラス端子401から工具側マイナス端子406への充電電流の通過、遮断を切り替えるためのスイッチング素子405と、工具側マイナス端子406と、電動工具の電圧値を出力する工具側LD端子407と、を有している。スイッチング素子405は、例えば、Pチャネル型のFET(Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolor Transistor)である。
バッテリパック6は、定格出力電圧が、18Vのセルユニットを2つ備え、36Vと18Vの2種類の電圧に対応可能なバッテリである。図4に示すように、バッテリパック6は、上記18Vのセルユニットのうちの1つのユニットである第1のセルユニットと上記工具側プラス端子401とを接続するための上プラス端子601a(電動工具へ電力を供給するため端子)と、上記18Vのセルユニットのうちの他の1つのユニットである第2のセルユニットと上記工具側プラス端子401とを接続するための下プラス端子601bと、プラス端子601にかかる電圧を検出するための電圧検出回路602とを有している。電圧検出回路602は、上プラス端子601aにかかる電圧を検出するための上プラス電圧検出回路602aと、下プラス端子601bにかかる電圧を検出するための下プラス電圧検出回路602bとを備える。
また、バッテリパック6は、工具側トリガ検出端子403に接続するためのバッテリ側トリガ検出端子603と、バッテリ側トリガ検出端子603が電動工具からの電力の供給を受けていることを検出するためのトリガ検出回路604と、Wi-Fi通信やBluetooth(いずれも登録商標)通信等の無線通信規格に従って、外部機器(例えば、集塵機1)との間で通信するための回路である無線通信部605と、上記第1のセルユニットと上記工具側マイナス端子406とを接続するための上マイナス端子606aと、上記第2のセルユニットと上記工具側マイナス端子406とを接続するための下マイナス端子606bと、を有している。さらに、バッテリパック6は、電動工具の電圧値を入力するバッテリ側LD端子607と、バッテリ側LD端子607が電動工具の電圧値を検出するための機器電源検出回路608とを有している。
また、バッテリパック6は、上記上プラス端子601aに接続された上記第1のセルユニットであるセルユニット609aと、セルユニット609aを保護する上段セルユニット保護回路610aとを有している。セルユニット609aは、複数の電池セルが直列に接続されている。上段セルユニット保護回路610aには、過充電検出回路611aと過放電検出回路612aとが接続される。
また、バッテリパック6は、上記下プラス端子601bに接続された上記第2のセルユニットであるセルユニット609bと、セルユニット609bを保護する下段セルユニット保護回路610bとを有している。セルユニット609bは、複数の電池セルが直列に接続されている。下段セルユニット保護回路610bには、過充電検出回路611bと過放電検出回路612bとが接続される。
これらの保護回路は、個々の電池セルの電圧を監視し、その中の一つでも過放電又は過充電になることを防止するためのものである。充電に伴い電池セルの電圧は上昇するため、充電を継続し、満充電となる閾値電圧(充電限界電圧)に達すると、上記保護回路から信号が出力される。これらの保護回路は、電池セルの少なくとも1つが過放電のおそれがある閾値電圧(放電限界電圧)まで低下した場合にも信号を出力する。一例として、上記保護回路は、バッテリパック6が過放電及び満充電のいずれでもない通常の使用電圧ではハイ信号を出力し、過放電又は満充電を知らせる場合等、通常状態以外では、設置電圧などのロー信号を出力する。
電源回路613は、上記第1のセルユニットおよび上記第2のセルユニットの電圧に基づいてこれらのセルユニットの動作電圧を生成し、充電/放電制御部620に供給する回路である。
セル温度検出回路614は、セルユニット609aおよびセルユニット609bを構成する各電池セルの近傍に配置された不図示のサーミスタ等の温度検出素子を含み、各電池セルの温度を検出し、充電/放電制御部620に送信する。
電流検出回路615は、セルユニット609bと直列接続された抵抗621(固定抵抗)の両端の電圧に基づいてセルユニット609bの電流を検出し、充電/放電制御部620に送信する。
残量スイッチ616は、使用者がバッテリパック6の残容量を確認するためのスイッチである。通信スイッチ617は、被操作部の一例であり、使用者がバッテリパック6の通信状態を確認したり、バッテリパック6と外部機器との間における通信を制御(非通信、接続試行中、通信確立の切替)するためのスイッチである。なお、外部機器との間における制御(非通信、接続試行中、通信確立の切替)を単一の通信スイッチ617で行う必要はなく、各制御に対応した通信スイッチを設けてもよい。
残量表示パネル618は、使用者により残量スイッチ616が押下された場合に、充電/放電制御部620がその時点のバッテリパック6の残容量を表示するためのパネルである。例えば、充電/放電制御部620は、バッテリパック6の残容量が所定の閾値以上である場合には、残量表示パネル618に残容量が多いことを示す緑色のランプを表示し、バッテリパック6の残容量が所定の閾値未満である場合には、残量表示パネル618に残容量が少ないことを示す赤色のランプを表示する。
通信状態表示パネル619は、使用者により通信スイッチ617が押下された場合に、無線通信する外部機器とのペアリング状態を表示したり、充電/放電制御部620が無線通信部605の通信状態(非通信、接続試行中、通信確立)を表示するためのパネルである。例えば、充電/放電制御部620は、通信速度が一定以上である場合には、通信状態表示パネル619に良好な通信状態で通信確立されたことを示す緑色のランプを表示し、通信速度が一定未満である場合には、通信状態表示パネル619に通信状態が不良であることを示す赤色のランプを表示する。また、例えば、ペアリング処理が成功した場合には、通信状態表示パネル619にその旨を示す青ランプを表示し、ペアリング処理が失敗した場合には、通信状態表示パネル619にその旨を示す赤ランプを表示する。
充電/放電制御部620は、プログラムとデータに基づいて駆動信号を出力する中央処理装置(CPU)、プログラムとデータを記憶するROM(Read Only Memory)、データを一時記憶するRAM(Random Access Memory)、及びタイマ等を含む回路であり、バッテリパック6の各部の動作を制御する。
図4では、電動工具の一例であるMCUなし丸のこ2aとバッテリパック6の接続について例示したが、以下、電動工具の他の例の接続回路構成について説明する。
図5は、電動工具の他の一例であるMCUあり丸のこ2bとバッテリパック6の接続回路構成の概略図である。図5におけるバッテリパック6の通信接続端子622以外の構成については、図4で示した構成と同様であるため、ここでは同一の符号を付してその説明を省略している。通信接続端子622は、バッテリパック6の充電/放電制御部620が、MCUあり丸のこ2bの制御部422と通信して各種制御情報を送受信するための接続端子である。
図5に示すように、MCUあり丸のこ2bは、工具側プラス端子411と、バッテリパック6から供給される電力をモータ414に供給するためのメインスイッチ412と、バッテリパック6から電力が供給されていることを検出するための工具側トリガ検出端子413と、MCUあり丸のこ2bを駆動するためのモータ414と、工具側プラス端子411から工具側マイナス端子416への充電電流の通過、遮断を切り替えるためのスイッチング素子415と、工具側マイナス端子416と、電動工具の電圧値を出力する工具側LD端子417と、を有している。スイッチング素子415は、図4の場合と同様、例えば、Pチャネル型のFETやIGBTにより構成される。
また、MCUあり丸のこ2bは、電池電圧検出回路418と、電源回路419と、トリガ検出回路420と、電流検出回路421と、制御部422と、通信接続端子423とを有している。
電池電圧検出回路418は、バッテリパック6の電圧を測定するための検出手段であり、その出力は制御部422のA/Dコンバータに接続される。A/Dコンバータからは、検出した電池電圧に対応するデジタル値が入力され、制御部422は、当該デジタル値とあらかじめ設定した所定値とを比較し、電池残量が所定値より少なくなった場合、即ち過放電状態となった時にFETを遮断状態、即ちFETのゲート信号をLOWにすることで一時的にモータ414が回転しない状態にしてバッテリパック6を保護する。
電源回路419は、制御部422の電源を保持するための回路である。制御部422の電源が入っていない状態で、メインスイッチ412を閉じた場合、制御部422が起動し、制御部422から電源回路419に電源保持の命令が継続的に出されることでメインスイッチ412が戻された状態であっても制御部422への電源供給が維持され、動作を継続する。
トリガ検出回路420は、メインスイッチ412が閉じたことを検出するための回路であり、メインスイッチ412が閉じた旨の信号を制御部422に出力する。
電流検出回路421は、回路内を流れる電流(モータ414に流れる電流)を検出する回路であり、制御部422のA/Dコンバータに接続される。放電経路においてバッテリパック6のマイナス端子に接続される工具側マイナス端子416と、工具側マイナス端子416に対して放電経路の上流側の工具側プラス端子411との電位差(シャント抵抗の両端電圧)を電流検出回路421が検出し、制御部422のA/Dコンバータには電流検出回路421によって検出された電流値に対応するデジタル値が入力される。制御部422は、変換されたデジタル値とあらかじめ設定された閾値とを比較し、電位差が閾値以上であればトリガオン(スイッチオン)と判断し、電位差が所定値以下又はゼロであればトリガオフ(スイッチオフ)と判断する。
制御部422は、例えば、マイコン(マイクロコンピュータ)から構成され、MCUあり丸のこ2bの各部を制御する。
通信接続端子423は、制御部422が、バッテリパック6の充電/放電制御部620と通信して各種制御情報を送受信するための接続端子である。
図6は、電動工具のさらなる他の一例であるMV(Multi-Volt)丸のこ2cとバッテリパック6の接続回路構成の概略図である。図6におけるバッテリパック6の構成については、図5で示した構成と同様であるため、ここでは同一の符号を付してその説明を省略している。
図6に示すように、MV丸のこ2cは、バッテリパック6の上プラス端子601aに接続するための工具側プラス端子431aと、バッテリパック6の下プラス端子601bに接続するための工具側マルチボルトプラス端子431bと、バッテリパック6から供給される電力をモータ434に供給するためのメインスイッチ432と、バッテリパック6から電力が供給されていることを検出するための工具側トリガ検出端子433と、MV丸のこ2cを駆動するためのモータ434と、工具側プラス端子431aから工具側マイナス端子436bへの充電電流の通過、遮断を切り替えるためのスイッチング素子435と、上記工具側マルチボルトプラス端子431bとバッテリパック6の上マイナス端子606aとを接続するための工具側マルチボルトマイナス端子436aと、バッテリパック6の下マイナス端子606bに接続するための工具側マイナス端子436bと、電動工具の電圧値を出力する工具側LD端子437と、を有している。スイッチング素子435は、図5の場合と同様、例えば、Pチャネル型のFETやIGBTにより構成される。
また、MV丸のこ2cは、電池電圧検出回路438と、電源回路439と、トリガ検出回路440と、電流検出回路441と、制御部442と、通信接続端子443とを有している。これらの各部は、図5に示した電池電圧検出回路418と、電源回路419と、トリガ検出回路420と、電流検出回路421と、制御部422と、通信接続端子423と同様であるため。ここではその説明を省略する。
このように、無線連動システム1000では、バッテリパック6に様々な種類の電動工具が接続される。本実施例におけるバッテリパック6は、以下に示すように、電動工具側の回路構成に依存することなく、接続端子である上プラス端子601a、下プラス端子601bの接続状態を検知することができるようになっている。
図7は、電動工具が接続されていない状態でのバッテリパック6の主要部分の接続回路構成図である。
上プラス電圧検出回路602aは、充電/放電制御部620からの指示に従って上プラス電圧検出回路602aをオンオフするスイッチ701a、スイッチ701aがオンのときにおける上プラス端子601aにかかる電圧(上+電圧)を検出するための抵抗702a、抵抗703a、を備える。
下プラス電圧検出回路602bは、充電/放電制御部620からの指示に従って下プラス電圧検出回路602bをオンオフするスイッチ701b、スイッチ701bがオンのときにおける下プラス端子601bにかかる電圧(下+電圧)を検出するための抵抗702b、抵抗703b、を備える。
トリガ検出回路604は、電動工具が接続されていないときにオンされるスイッチ704、スイッチ704がオンのときにおける上プラス端子601aにかかる電圧(上+’電圧)を検出するための抵抗705と、を備える。
図7において、充電/放電制御部620は、上+電圧の検出値を、以下の算式により算出することができる。 上+電圧の検出値= (上+’電圧の検出値)×(抵抗702a+抵抗703a)/抵抗703a
また、上+’電圧の検出値を、以下の算式により算出することができる。以下の算式において、上セルユニットの電圧は、セルユニット609aの電圧である。 上+’電圧の検出値= (上セルユニットの電圧)×抵抗703a/(抵抗702a+抵抗703a+抵抗705)
これらの算式から、最終的に、上+電圧の検出値は、以下の算式により算出することができる。 上+電圧の検出値= (上セルユニットの電圧)×(抵抗702a+抵抗703a)/(抵抗702a+抵抗703a+抵抗705)
図8は、18V対応の電動工具が接続された状態でのバッテリパック6の主要部分の接続回路構成図である。バッテリパック6の構成については、図7に示した場合と同様であるため、ここでは同一の符号を付してその説明を省略している。図8では、バッテリパック6の上プラス端子601aおよび下プラス端子601bに、それぞれ、工具側プラス端子401(または工具側プラス端子411)が接続され、バッテリパック6の上マイナス端子606aおよび下マイナス端子606bに、それぞれ、工具側マイナス端子406(または工具側マイナス端子416)が接続されている。
図8において、充電/放電制御部620は、上+電圧の検出値を、以下の算式により算出することができる。 すなわち、上+’電圧の検出値は、 上+’電圧の検出値= (上セルユニットの電圧)×抵抗703a/(抵抗702a+抵抗703a+抵抗705) により算出される。ここで、抵抗705が抵抗703aよりも十分小さい(抵抗705<<抵抗703a)とすると、上記算式は次のように表すことができる。 上+’電圧の検出値≒ (上セルユニットの電圧)×抵抗703a/(抵抗702a+抵抗703a)
図8では、上セルユニットと下セルユニットとが並列に接続されているため、 上+’電圧の検出値≒ (下セルユニットの電圧)×抵抗703a/(抵抗702a+抵抗703a) であるといえる。したがって、最終的に、上+電圧の検出値は、以下の算式により算出することができる。 上+電圧の検出値=(上セルユニットの電圧)=(下セルユニットの電圧)
図9は、36V対応の電動工具が接続された状態でのバッテリパック6の主要部分の接続回路構成図である。バッテリパック6の構成については、図7に示した場合と同様であるため、ここでは同一の符号を付してその説明を省略している。図9では、バッテリパック6の上プラス端子601aに、工具側プラス端子431aが接続され、バッテリパック6の下プラス端子601bに、工具側マルチボルトプラス端子431bが接続されている。また、バッテリパック6の上マイナス端子606aに、工具側マルチボルトマイナス端子436aが接続され、バッテリパック6の下マイナス端子606bに、工具側マイナス端子436bが接続されている。このように、工具側マルチボルトプラス端子431bおよび工具側マルチボルトマイナス端子436aを経て、セルユニット609aとセルユニット609bとが直列接続される。
図9において、充電/放電制御部620は、上+電圧の検出値を、以下の算式により算出することができる。 すなわち、上+’電圧の検出値は、 上+’電圧の検出値=(上セルユニットの電圧+下セルユニットの電圧)×抵抗703a/(抵抗702a+抵抗703a) により算出される。したがって、最終的に、上+電圧の検出値は、以下の算式により算出することができる。 上+電圧の検出値=(上セルユニットの電圧)+(下セルユニットの電圧)
このように、本実施例では、バッテリパック6の充電/放電制御部620が、上プラス端子601aにかかる電圧(上+電圧)を算出することにより、電動工具側の回路構成に依存することなく、バッテリパック6に接続された電動工具の種類、電動工具の接続または非接続を判定している。すなわち、充電/放電制御部620が、上プラス端子601aにかかる電圧(上+電圧)の値に応じて、電動工具が接続されている状態、マルチボルト対応でない電動工具が接続されている状態、マルチボルト対応された電動工具が接続されている状態、の3つの状態を検出する。具体的には、図7~9に示した各算式から、充電/放電制御部620は、上+電圧の検出値≧下+電圧の検出値(図8、図9)である場合には、電動工具が接続されたと判定し、上+電圧の検出値<下+電圧の検出値(図7)である場合には、電動工具の接続が解除されたと判定している。
なお、スイッチ704、抵抗705については、以下のように設定することが望ましい。具体的には、電動工具が接続されていない状態では、上+電圧が基準電位Aに対して不定とならないようにする。また、スイッチ704がオンされると、直列接続時には下セルユニットの放電経路ができる。このため、省電力や上下セルユニットの電圧アンバランス防止の観点から、検出するタイミングだけスイッチ704をオンするのが望ましく、直列接続となる電動工具を検出した場合には、スイッチ704をオンする頻度を極力少なくするとよい。
図10は、無線連動システム1000におけるバッテリパック6の処理手順を示すフローチャートである。 バッテリパック6の無線通信部605は、充電/放電制御部620からの指示にしたがって、外部機器(例えば、集塵機1)との間で通信を試行し、通信確立状態にあるか否かを判定する(S1001)。
無線通信部605は、外部機器との間で通信確立状態にないと判定した場合(S1001;No)、現在の通信状態が通信接続試行状態であるか否かを判定する(S1002)。無線通信部605は、例えば、通信の試行を開始してから所定の時間内である場合に、当該通信接続試行状態であると判定したり、バッテリパック6に対する所定の操作として通信スイッチ617が押下された場合に、当該通信接続試行状態であると判定すればよい。
無線通信部605は、現在の通信状態が通信接続試行状態でないと判定した場合(S1002;No)、バッテリパック6に対する所定の操作として通信スイッチ617が押下され、充電/放電制御部620から通信接続を試行する指示信号を受信したか否かを判定する(S1003)。無線通信部605は、充電/放電制御部620から通信接続を試行する指示信号を受信したと判定した場合(S1003;Yes)、通信接続試行状態に移行する(S1004)。一方、無線通信部605は、充電/放電制御部620から通信接続を試行する指示信号を受信していないと判定した場合(S1003;No)、何もせずにそのままS1001に戻り、以降の処理を繰り返す。
S1002において、無線通信部605は、現在の通信状態が通信接続試行状態であると判定した場合(S1002;Yes)、接続試行処理を行う(S1005)。接続試行処理は、例えば、無線通信する外部機器とのペアリング処理を行う処理である。なお、バッテリパック6に対する所定の操作として通信スイッチ617が押下された場合に、当該接続試行処理に移行してもよい。
無線通信部605は、接続試行処理により通信接続が確立したか否かを判定し(S1006)、接続試行処理により通信接続が確立していないと判定した場合(S1006;No)、さらに、所定時間の間通信試行を行ったか否かを判定する(S1007)。
無線通信部605は、所定時間の間通信試行を行ったと判定した場合(S1007;Yes)、当該外部機器との通信接続ができないと判断し、非通信状態に移行する(S1008)。なお、バッテリパック6に対する所定の操作として通信スイッチ617が押下された場合に、当該非通信状態に移行してもよい。一方、無線通信部605は、所定時間の間通信試行を行っていないと判定した場合(S1007;No)、何もせずにそのままS1001に戻り、以降の処理を繰り返す。
S1006において、無線通信部605は、接続試行処理により通信接続が確立したと判定した場合(S1006;Yes)、通信確立状態に移行する(S1009)。なお、バッテリパック6に対する所定の操作として通信スイッチ617が押下された場合に、当該通信確立状態に移行してもよい。
S1001において、無線通信部605が、外部機器との間で通信確立状態にあると判定した場合(S1001;Yes)、充電/放電制御部620は、電圧検出回路602がプラス端子601にかかる電圧を検出(あるいは電流検出回路615がセルユニット609bの電流を検出)したか否かを判定する(S1010)。すなわち、充電/放電制御部620は、電圧検出回路602が検出した電圧が、図8または図9に示すような所定の関係を満たす状態にあるか否かを判定する。
充電/放電制御部620は、電圧検出回路602がプラス端子601にかかる電圧を検出(あるいは電流検出回路615がセルユニット609bの電流を検出)したと判定した場合(S1010;Yes)、S1006において通信接続が確立された外部機器に、連動信号(連動コマンド)を送信する(S1011)。一方、電圧検出回路602がプラス端子601にかかる電圧を検出し、電流検出回路615がセルユニット609bの電流を検出していないと判定した場合(S1010;No)、そのまま何もせずにS1012に進む。
充電/放電制御部620は、バッテリパック6の通信スイッチ617が押下されたか否かを判定し(S1012)、当該スイッチが押下されたと判定した場合(S1012;Yes)、S1014に進む。一方、充電/放電制御部620は、当該スイッチが押下されていないと判定した場合(S1012;No)、電動工具の接続が解除されたか否かを判定する(S1013)。電動工具の接続が解除されたか否かは、充電/放電制御部620が、電圧検出回路602が検出した電圧が、図8または図9に示すような所定の関係を満たす状態でなくなったか否か、あるいは、トリガ検出回路604から、電動工具からの電力の供給を受けていることを検出するための信号を受信しなくなったか否かにより判定すればよい。このような処理を行うことにより、バッテリパック6側で電動工具の接続が解除されたことを判定することができる。
充電/放電制御部620は、バッテリパック6の通信スイッチ617が押下されたと判定した場合(S1012;Yes)、または電動工具の接続が解除されたと判定した場合(S1013;Yes)、通信確立状態にある外部機器との間の無線通信を解除する無線通信解除コマンドを外部機器に送信して通信接続解除処理を行い、非接続状態に移行する(S1014)。なお、バッテリパック6に対する所定の操作として通信スイッチ617が押下された場合に、当該通信接続解除処理を行ってもよい。一方、充電/放電制御部620は、電動工具の接続が解除されていないと判定した場合(S1013;No)、S1001に戻って以降の処理を繰り返す。
このように、バッテリパック6の充電/放電制御部620が、外部機器との間で無線通信が確立されたか否かを判定する第1の判定処理(例えば、図10のS1001、S1003)を行い、当該無線通信が確立されたと判定した場合に、さらに電圧検出回路602がプラス端子601にかかる電圧を検出し、電流検出回路615がセルユニット609bの電流を検出したか否かを判定する第2の判定処理(例えば、図10のS1010)を行う。そして、上記第1の判定処理および上記第2の判定処理をいずれも満たす場合に、外部機器との間で連動作業を行うための連動信号(連動コマンド)を、当該外部機器に送信する。したがって、無線通信可能な外部機器に対して確実に連動コマンドを送信することができる。また、バッテリパックが上記処理をすべて実行するため、既存の無線通信機能がない電動工具であっても外部機器との互換性を保持することができる。また、図10のS1013、S1014のように、電動工具との接続が解除されると、外部機器との間の無線通信を解除するため、バッテリパック側の操作に起因した連動作業による外部機器の誤動作を防止することができる。
図11は、無線連動システム1000における外部機器(例えば、集塵機1)の処理手順を示すフローチャートである。以下では、外部機器が図2に示したAC集塵機である場合について説明しているが、図3に示したDC集塵機や他の電動工具についても同様に考えることができる。
集塵機1の無線通信部208は、制御部209からの指示にしたがって、バッテリパック6との間で通信を試行し、通信確立状態にあるか否かを判定する(S1101)。
無線通信部208は、バッテリパック6との間で通信確立状態にないと判定した場合(S1101;No)、現在の通信状態が通信接続試行状態であるか否かを判定する(S1102)。無線通信部208は、例えば、通信の試行を開始してから所定の時間内である場合に、当該通信接続試行状態であると判定すればよい。
無線通信部208が、現在の通信状態が通信接続試行状態でないと判定した場合(S1102;No)、制御部209は、操作パネル206の強弱スイッチ206bが操作されて連動モードに設定されたか否かを判定する(S1103)。制御部209は、操作パネル206の強弱スイッチ206bが操作されて連動モードに設定されたと判定した場合(S1103;Yes)、通信接続試行状態に移行する(S1104)。一方、制御部209は、操作パネル206の強弱スイッチ206bが操作されて連動モードに設定されていないと判定した場合(S1103;No)、何もせずにそのままS1101に戻り、以降の処理を繰り返す。
S1102において、無線通信部208が、現在の通信状態が通信接続試行状態であると判定した場合(S1102;Yes)、制御部209は、S1103の場合と同様に、連動モードに設定されているか否かを判定する(S1105)。
制御部209は、連動モードに設定されていると判定した場合(S1105;Yes)、無線通信部208は、接続試行処理を行う(S1107)。接続試行処理は、例えば、無線通信するバッテリパック6とのペアリング処理を行う処理である。一方、制御部209は、連動モードに設定されていないと判定した場合(S1105;No)、無線通信部208は、非通信状態に移行した後(S1106)、S1101に戻って、以降の処理を繰り返す。
無線通信部208は、接続試行処理により通信接続が確立したか否かを判定し(S1108)、接続試行処理により通信接続が確立していないと判定した場合(S1108;No)、何もせずにそのままS1101に戻って、以降の処理を繰り返す。
S1108において、無線通信部208は、接続試行処理により通信接続が確立したと判定した場合(S1108;Yes)、通信確立状態に移行する(S1109)。
S1101において、無線通信部208が、バッテリパック6との間で通信確立状態にあると判定した場合(S1101;Yes)、無線通信部208は、バッテリパック6から連動信号(連動コマンド)を受信したか否かを判定する(S1110)。制御部209は、無線通信部208が、バッテリパック6から連動信号(連動コマンド)を受信したと判定した場合(S1110;Yes)、モータ204をオンする(S1111)。一方、制御部209は、無線通信部208が、バッテリパック6から連動信号(連動コマンド)を受信していないと判定した場合(S1110;No)、所定時間、無線通信部208が連動信号(連動コマンド)を受信していない状態が継続したか否かを判定する(S1112)。
制御部209は、所定時間、無線通信部208が連動信号(連動コマンド)を受信していない状態が継続したと判定した場合(S1112;Yes)、モータ204をオフする(S1113)。一方、制御部209は、所定時間、上記状態が継続していないと判定した場合(S1112;No)、何もせずにS1114に進む。
制御部209は、S1103またはS1105において連動モードに設定されているか否かを判定し(S1114)、上記連動モードに設定されていると判定した場合(S1114;Yes)、何もせずにそのままS1101に戻って、以降の処理を繰り返す。
一方、制御部209は、上記連動モードに設定されていないと判定した場合(S1114;No)、通信確立状態にある外部機器との間の無線通信を解除する通信接続解除処理を行い、非接続状態に移行する(S1115)。
このように、外部機器の制御部209が、バッテリパックとの間で無線通信が確立されたか否かを判定する第3の判定処理(例えば、図11のS1101)を行い、当該無線通信が確立されたと判定した場合に、さらにバッテリパック6から連動信号(連動コマンド)を受信したか否かを判定し、当該連動信号(連動コマンド)を受信したと判定した場合、モータ204をオンする。したがって、バッテリパック6との間で確実に連動作業を行うことができる。また、制御部209は、モータ204がオンされた状態において連動モードに設定されているか否かを判定し、上記状態において連動モードに設定されていないと判定した場合、バッテリパック6との間の無線通信を解除するため、外部機器側の操作に起因した連動作業による当該外部機器の誤動作を防止することができる。
尚、本実施の形態においては通信接続解除処理として無線通信解除コマンドを外部機器に送信する構成としたが、通信接続解除処理の方法は上記に限定されるものではない。例えば、無線通信状態においてはバッテリパックと外部機器との間で接続確認信号を送受信し合い、いずれか一方が所定時間にわたって接続確認信号を受信できない場合に無線通信を解除する構成とし、通信接続解除処理はバッテリパックが接続確認信号を所定時間以上送信しなくなる処理としてもよい。また、本実施の形態においては、バッテリパックと電動工具との接続が解除されたと判定すると通信接続解除処理を行い非接続状態に移行する構成(図10のS1013;YES、S1014)としたが、バッテリパックと電動工具との接続が解除されたと判断した後、所定時間経過後に通信接続解除処理を行うように構成してもよい。すなわち、バッテリパックと電動工具との接続が解除された後の通信接続解除処理を、すぐに行わず所定時間経過後に行うようにしてもよい。このように構成することで、電動工具へのバッテリパックの接続と接続解除を短時間に連続して複数回繰り返すような場合に、図10の処理を最初から行う必要がなくなり操作性を向上することができるため有効である。例えば、バッテリパックと電動工具が電動工具等の振動によるチャタリングにより端子間に接触不良が生じた場合である。あるいは、接続したバッテリパックが使用予定のものかを確認するため一旦取り外してから再度接続するような場合(電動工具との接続面に付した目印等を確認する等)である。また、バッテリパックと電動工具との接続が解除されていない場合(図10のS1013;NO)であっても、バッテリパック、電動工具、集塵機のいずれかの不使用状態が第2所定時間(例えば数時間)継続すると通信接続解除処理を行うようにしてもよい。このように構成することで、バッテリパックの消費電力を抑えることができる。