JP7023790B2 - フォトマスク検査装置およびフォトマスク検査方法 - Google Patents

フォトマスク検査装置およびフォトマスク検査方法 Download PDF

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Description

この発明は、フォトマスク検査装置およびフォトマスク検査方法に関する。
近年では、半導体基板または表示ディスプレイ用の基板などの基板に対して高い解像度でパターンを転写するために、位相シフトマスクが利用されている。この位相シフトマスクには、半波長だけ光の位相を遅らせる位相シフト膜が形成されている。
特許文献1には、位相シフト膜による位相の遅れ(位相差)を測定するフォトマスク検査装置が記載されている。このフォトマスク検査装置においては、可変開口絞りを介して光がフォトマスクに照射され、フォトマスクを透過した光はフーリエ変換レンズを介して光電変換器(センサ)に結像する。これにより、光電変換器はフーリエ変換像(回折パターン)を検出する。
フォトマスク検査装置は、まず、フォトマスクにおいて位相差が生じない領域(透明部だけの領域または位相部材(位相シフト膜)だけの領域)に光を照射して、位相差が生じない場合のフーリエ変換像を基準像として記憶しておく。そして、フォトマスク検査装置はフォトマスクの透明部と位相部材との両方に光を照射し、この照射によって得られたフーリエ変換像と、基準像との比較に基づいて、位相部材による位相差を算出している。
特開平4-229863号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、位相差の算出に適切なフーリエ変換像(回折パターン)を検出できるとは限らない。なぜなら、可変開口絞りとフォトマスクとの相対位置が最適となるように、これらを位置決めできるとは限らないからである。この位置決めの要求精度はパターンの幅が狭くなるほど高まるので、特に、微細なパターンを有するフォトマスクに対して、最適なフーリエ変換像(回折パターン)を得ることは難しい。
そこで、本発明は、より測定に適した回折パターンを検出できるフォトマスク検査装置およびフォトマスク検査方法を提供することを目的とする。
フォトマスク検査装置の第1の態様は、光を透過させる透光部、光を遮断する遮光部、および、前記透光部と前記遮光部との間に設けられ、光を透過させるとともに前記透光部を透過した光に対して位相をシフトさせる位相シフト部が所定のパターンで形成された位相シフトマスクの、前記位相シフト部のパターン特性を測定するフォトマスク検査装置であって、前記位相シフトマスクを保持する保持部と、前記透光部と前記位相シフト部とを含む領域に光を照射する照射部と、スリットを有し、前記透光部の幅方向における一部および前記位相シフト部の幅方向における全体を透過した光が前記スリットを通過する位置に配置されるスリットマスクと、前記スリットを通過した光が入射されるフーリエ変換レンズと、前記フーリエ変換レンズからの光の回折パターンを複数のタイミングで検出する第1光学センサとを備え、前記第1光学センサは、前記透光部を透過する光による前記スリット内の透光部像と、前記位相シフト部を透過する光による前記スリット内の位相シフト部像との境界位置が、前記スリットマスクと前記位相シフトマスクとの相対位置の変化によって前記スリット内で変化している最中に、複数のタイミングで回折パターンを検出する
フォトマスク検査装置の第2の態様は、第1の態様にかかるフォトマスク検査装置であって、平面視における前記スリットマスクと前記位相シフトマスクとを相対的に移動させる移動機構を更に備え、前記第1光学センサは、前記移動機構が前記スリットマスクと前記位相シフトマスクとを相対的に移動させている最中に、複数のタイミングで回折パターンを検出する。
フォトマスク検査装置の第3の態様は、第2の態様にかかるフォトマスク検査装置であって、前記移動機構は、前記幅方向に対して傾斜した方向に沿って、前記スリットマスクと前記位相シフトマスクと相対的に移動させる。
フォトマスク検査装置の第4の態様は、第1から第3のいずれか一つの態様にかかるフォトマスク検査装置であって、前記第1光学センサによって検出された複数の回折パターンのうち中央位置における光の強度が最も小さい回折パターンを、選択回折パターンとして選択し、前記選択回折パターンに基づいて前記位相シフト部の幅および前記位相シフト部による位相差の少なくともいずれか一方を、前記パターン特性として求める演算処理部を更に備える。
フォトマスク検査装置の第5の態様は、第4の態様にかかるフォトマスク検査装置であって、前記演算処理部は、前記選択回折パターンにおける光の強度の強弱のピッチに基づいて、前記位相シフト部の幅を算出する。
フォトマスク検査装置の第6の態様は、第4または第5の態様にかかるフォトマスク検査装置であって、前記演算処理部は、前記選択回折パターンにおける光の強度の複数のピーク値または複数のボトム値のうち二者の差に基づいて、前記位相シフト部による位相差を算出する。
フォトマスク検査装置の第7の態様は、第4の態様にかかるフォトマスク検査装置であって、前記演算処理部は、前記透光部および前記位相シフト部を透過する光の強度分布、前記位相シフト部の幅、および、前記位相シフト部による位相差を設定する第1工程と、前記強度分布、前記幅および前記位相差に基づいて、高速フーリエ変換を用いて演算回折パターンを算出する第2工程と、前記演算回折パターンが前記選択回折パターンに類似しているか否かを判定する第3工程と、前記第3工程おいて、前記演算回折パターンが前記選択回折パターンに類似していないと判定したときには、前記幅および前記位相差を変更して前記第2工程及び前記第3工程を実行する第4工程とを実行する。
フォトマスク検査装置の第8の態様は、第7の態様にかかるフォトマスク検査装置であって、前記演算処理部は、前記第1工程において、前記位相シフト部および前記透光部の各々を透過する光の強度が一定となるように前記強度分布を設定する。
フォトマスク検査装置の第9の態様は、第7の態様にかかるフォトマスク検査装置であって、前記演算処理部は、前記第1工程において、前記位相シフト部と前記透光部との境界部にて、光の強度が、前記位相シフト部から前記透光部に向かうにしたがって徐々に増大するように、前記強度分布を設定する。
フォトマスク検査装置の第10の態様は、第7の態様にかかるフォトマスク検査装置であって、第2光学センサと、前記スリットマスクと前記位相シフトマスクとの間に設けられ、前記位相シフトマスクからの光の一部を前記第2光学センサへ導く光学素子とを更に備え、前記演算処理部は、前記第1工程において、前記第2光学センサによって撮像された画像に基づいて、前記強度分布を設定する。
フォトマスク検査方法の第11の態様は、光を透過させる透光部、光を遮断する遮光部、および、前記透光部と前記遮光部との間に設けられ、光を透過させるとともに前記透光部を透過した光に対して位相をシフトさせる位相シフト部が所定のパターンで形成された位相シフトマスクの、前記位相シフト部のパターン特性を測定するフォトマスク検査方法であって、照射部が前記透光部と前記位相シフト部とを含む領域に光を照射する工程と、第1光学センサが、スリットマスクに形成されたスリット、および、フーリエ変換レンズを介して、前記透光部の幅方向における一部および前記位相シフト部の幅方向における全体を透過した光の回折パターンを複数のタイミングで検出する工程とを備え、前記第1光学センサは、前記透光部を透過する光による前記スリット内の透光部像と、前記位相シフト部を透過する光による前記スリット内の位相シフト部像との境界位置が、前記スリットマスクと前記位相シフトマスクとの相対位置の変化によって前記スリット内で変化している最中に、複数のタイミングで回折パターンを検出する
フォトマスク検査装置の第12の態様は、光を透過させる透光部、光を遮断する遮光部、および、前記透光部と前記遮光部との間に設けられ、光を透過させるとともに前記透光部を透過した光に対して位相をシフトさせる位相シフト部が所定のパターンで形成された位相シフトマスクの、前記位相シフト部のパターン特性を測定するフォトマスク検査装置であって、前記位相シフトマスクを保持する保持部と、前記透光部と前記位相シフト部とを含む領域に光を照射する照射部と、スリットを有し、前記透光部の幅方向における一部および前記位相シフト部の幅方向における全体を透過した光が前記スリットを通過する位置に配置されるスリットマスクと、前記スリットを通過した光が入射されるフーリエ変換レンズと、前記フーリエ変換レンズからの光の回折パターンを複数のタイミングで検出する第1光学センサと、平面視における前記スリットマスクと前記位相シフトマスクとを相対的に移動させる移動機構とを備え、前記第1光学センサは、前記移動機構が前記スリットマスクと前記位相シフトマスクとを相対的に移動させている最中に、複数のタイミングで回折パターンを検出し、前記移動機構は、前記幅方向に対して傾斜した方向に沿って、前記スリットマスクと前記位相シフトマスクと相対的に移動させる。
フォトマスク検査装置の第13の態様は、光を透過させる透光部、光を遮断する遮光部、および、前記透光部と前記遮光部との間に設けられ、光を透過させるとともに前記透光部を透過した光に対して位相をシフトさせる位相シフト部が所定のパターンで形成された位相シフトマスクの、前記位相シフト部のパターン特性を測定するフォトマスク検査装置であって、前記位相シフトマスクを保持する保持部と、前記透光部と前記位相シフト部とを含む領域に光を照射する照射部と、スリットを有し、前記透光部の幅方向における一部および前記位相シフト部の幅方向における全体を透過した光が前記スリットを通過する位置に配置されるスリットマスクと、前記スリットを通過した光が入射されるフーリエ変換レンズと、前記フーリエ変換レンズからの光の回折パターンを複数のタイミングで検出する第1光学センサと、前記第1光学センサによって検出された複数の回折パターンのうち中央位置における光の強度が最も小さい回折パターンを、選択回折パターンとして選択し、前記選択回折パターンに基づいて前記位相シフト部の幅および前記位相シフト部による位相差の少なくともいずれか一方を、前記パターン特性として求める演算処理部とを備える。
フォトマスク検査装置の第1の態様およびフォトマスク検査方法の第11の態様によれば、スリットマスクと位相シフトマスクとの相対位置は実際には微小に変動するので、第1光学センサが複数のタイミングで回折パターンを検出することにより、複数の相対位置に対応した複数の回折パターンを検出することができる。したがって、1回しか回折パターンを検出しない場合に比べて、位相シフト部のパターン特性の算出に適した回折パターンを検出しやすい。
フォトマスク検査装置の第2の態様によれば、移動機構によって、スリットマスクと位相シフトマスクとの相対位置を制御できるので、その移動範囲に最適な相対位置を含めることができる。よって、第1光学センサは位相シフト部の特定の算出により適した回折パターンを検出しやすい。
フォトマスク検査装置の第3および第12の態様によれば、幅方向における相対速度成分を低く設定することができる。よって、第1光学センサは最適な相対位置に近い相対位置での回折パターンを検出しやすい。
フォトマスク検査装置の第4および第13の態様によれば、高い精度で位相シフト部の幅および位相シフト部による位相差の少なくともいずれか一方を算出できる。
フォトマスク検査装置の第5の態様によれば、簡易な演算で位相シフト部の幅を算出できる。
フォトマスク検査装置の第6の態様によれば、簡易な演算で位相シフト部による位相差を算出できる。
フォトマスク検査装置の第7の態様によれば、さらに高い精度で位相シフト部の幅および位相シフト部による位相差を算出できる。
フォトマスク検査装置の第8の態様によれば、簡易に強度分布を設定できる。
フォトマスク検査装置の第9の態様によれば、さらに高い精度で位相シフト部の幅および位相シフト部による位相差を算出できる。
フォトマスク検査装置の第10の態様によれば、さらに高い精度で位相シフト部の幅および位相シフト部による位相差を算出できる。
フォトマスク検査装置の構成の一例を概略的に示す斜視図である。 フォトマスク検査装置の構成の一例を概略的に示す図である。 スリットマスクの構成の一例を概略的に示す平面図である。 複数の回折パターンの一例を概略的に示すグラフである。 複数の回折パターンの一例を概略的に示すグラフである。 フォトマスク検査装置の動作の一例を示すフローチャートである。 パターン特性の算出方法の一例を示すフローチャートである。 スリットマスクと位相シフトマスクとの相対的な移動方向の一例を説明するための図である。 シミュレーションモデルの一例を概略的に示す図である。 演算回折パターンの一例を概略的に示すグラフである。 パターン特性の算出方法の一例を示すフローチャートである。 シミュレーションモデルの一例を概略的に示す図である。 フォトマスク検査装置の動作の一例を示すフローチャートである。 パターン特性の算出方法の一例を示すフローチャートである。
以下、図面を参照しつつ実施の形態について詳細に説明する。なお図面においては、理解容易の目的で、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。また同様な構成及び機能を有する部分については同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。また図面においては、各構成の位置関係を示すべく、XYZ直交座標が適宜に示されている。例えば、Z軸は鉛直方向に沿って配置されており、X軸およびY軸は水平方向に沿って配置されている。また下記説明では、Z軸方向の一方側を+Z側とも呼び、他方側を-Z側とも呼ぶ。X軸およびY軸についても同様である。
図1は、フォトマスク検査装置1の構成の一例を概略的に示す斜視図であり、図2は、フォトマスク検査装置1の構成の一例を概略的に示す図である。このフォトマスク検査装置1は、位相シフトマスク80を検査する装置である。ここではまず、検査対象となる位相シフトマスク80の一例について説明する。
<位相シフトマスク>
位相シフトマスク80は不図示の露光装置に用いられるフォトマスクである。当該露光装置は位相シフトマスク80を用いて所定の基板に対して露光処理を行うことにより、当該所定の基板にパターンを転写することができる。所定の基板は、例えば、半導体基板またはフラットパネルディスプレイ用の基板などである。
図2に例示するように、位相シフトマスク80は基材81と位相シフト膜82と遮光膜83とを有している。基材81は露光用の光(例えばi線などの紫外線)についての透光性を有しており、例えば石英ガラス等によって形成される。基材81は板状の形状を有しており、平面視において(つまり厚み方向に沿って見て)、例えば矩形状の形状を有している。位相シフトマスク80の一辺の長さは例えば数[m]程度に設定される。
位相シフト膜82は基材81の一主面の上に所定のパターンで形成されている。位相シフト膜82は露光用の光についての透光性を有しているものの、その透過率は基材81の透過率よりも小さい。位相シフト膜82の透過率は例えば数[%](より具体的には5[%])程度である。位相シフト膜82は、自身を透過した光の位相を、透光部8aを透過した光の位相に対しておよそ180度だけシフトさせる。このような位相シフト膜82は例えばタンタルオキサイド等によって形成される。
遮光膜83は、例えば、位相シフト膜82の上に所定のパターンで形成されている。この遮光膜83は平面視において位相シフト膜82の輪郭よりも内側の領域に形成されている。遮光膜83は露光用の光についての遮光性を有しており、例えばクロムまたは酸化クロム等によって形成される。
以下では、位相シフトマスク80のうち、平面視において位相シフト膜82が形成されていない領域を透光部8aと呼び、平面視において遮光膜83が形成された領域を遮光部8cと呼び、透光部8aと遮光部8cとの間の領域を位相シフト部8bと呼ぶ。透光部8a、位相シフト部8bおよび遮光部8cは平面視においてそれぞれ所定のパターンで形成される。透光部8aの幅(図2ではX軸方向に沿う幅)は例えば2~4[μm]程度に設定され、位相シフト部8bの幅(図2ではX軸方向に沿う幅)は例えば0.3~0.5[μm]程度に設定される。
この位相シフトマスク80を用いて露光装置で露光が行われると、基板上では、透光部8aを透過した光と位相シフト部8bを透過した光がその境界部で干渉し、干渉縞(暗)を生ずる。その結果として透光部8aの投影像のコントラストを高くすることができる。したがって、露光装置はこの位相シフトマスク80を用いることで、この位相シフトマスク80を用いない場合に比べて、より高い解像度でパターンを所定の基板に転写することができる。
この位相シフトマスク80において、位相シフト部8bのパターン形状は転写能力に直結する。例えば位相シフト部8bにおける位相シフト膜82の厚みが設計値からずれる場合には、位相シフト部8bによる位相差が180度からずれる。これは、干渉の効果が減り、解像度が低下、さらには、転写された基板上のパターンの解像が不安定となって、最終的には、製造の歩留まりが低下したり、製品の品質が損なわれるなど、多くの支障を生じてしまう。また、位相シフト部8bの幅が設計値からずれても、同様の事態に至る。そこで、位相シフトマスク80の良否を判定すべく、この位相シフトマスク80に形成された位相シフト部8bのパターン特性(具体的には、位相シフト部8bの幅および位相シフト部8bによる位相差)を測定し、マスク製造プロセスを正しく管理することがすることが好ましい。また位相シフト膜82は酸化により経時的に変化し、この変化に起因して、位相シフト膜82による位相差も経時的に変化し得る。よって、位相シフトマスク80は定期的に検査されることが好ましい。
<フォトマスク検査装置>
フォトマスク検査装置1は、この位相シフトマスク80に形成された位相シフト部8bのパターン特性を測定する。図1および図2に例示するように、フォトマスク検査装置1は照射部10と検出部20と移動機構40と制御部50と昇降機構60と表示部70と保持部90とを備えている。
保持部90は位相シフトマスク80を保持する部材である。この保持部90は位相シフトマスク80の厚み方向がZ軸方向に沿うように、位相シフトマスク80を保持する。図1の例では、保持部90は位相シフトマスク80の周縁部のみを保持している。なお、保持部90は、透光性の部材によって位相シフトマスク80の下面を全体的に支持しても構わない。
照射部10および検出部20はZ軸方向において位相シフトマスク80に対して互いに反対側に設けられている。図1および図2の例では、照射部10は位相シフトマスク80に対して-Z側に設けられ、検出部20は位相シフトマスク80に対して+Z側に設けられている。
照射部10は光をZ軸方向に沿って照射して、当該光を位相シフトマスク80の一部へ入射させる。当該光としては、例えば露光用の光(例えばi線)と同程度の波長を有する光を採用する。照射部10は例えば光源11と集光レンズ12とバンドパスフィルタ13とリレーレンズ14とピンホール板15と反射板16とコンデンサレンズ17とを備えている。
光源11は光を照射する。光源11は例えば紫外線照射器である。この紫外線照射器としては例えば水銀ランプを採用することができる。光源11の光の照射/停止は制御部50によって制御される。
集光レンズ12、バンドパスフィルタ13、リレーレンズ14、ピンホール板15、反射板16およびコンデンサレンズ17は、光源11と位相シフトマスク80との間において、この順で配置されている。
集光レンズ12は凸レンズであって、その焦点が光源11に位置するように配置されている。光源11から照射された光は集光レンズ12によって、コリメート光または広がり角の小さい光になり、この光はバンドパスフィルタ13に入射される。バンドパスフィルタ13は当該光のうち所定の波長帯域(透過帯域)を有する光のみを透過させる。この波長帯域としては露光用の光の波長帯域(例えばi線を含む波長帯域)を採用できる。バンドパスフィルタ13の波長帯域は狭く設定されており、実質的に単波長の光(いわゆる単色光)がバンドパスフィルタ13を透過する。バンドパスフィルタ13を透過した光はリレーレンズ14に入射される。
リレーレンズ14は凸レンズであって、入射された光をピンホール板15のピンホール151に集光させる。ピンホール151はピンホール板15をその厚み方向に貫通している。ピンホール板15はピンホール151がリレーレンズ14の焦点となる位置に配置されている。ピンホール151を通過した光は、実質的に点光源から照射された光となり、反射板16の反射面に入射される。反射板16は光の進行方向を変更するために設けられており、当該光をコンデンサレンズ17に入射させる。コンデンサレンズ17は凸レンズであって、その焦点が実質的にピンホール151となる位置に配置される。コンデンサレンズ17は入射された光をコリメート光または広がり角の小さい光に変換する。コンデンサレンズ17からの光のNA(開口数)はコンデンサレンズ17とピンホール151により適度な値に設定される。照射部10はこの光をZ軸方向に沿って位相シフトマスク80の一部に照射する。
検出部20は位相シフトマスク80を透過した光を検出して、当該光による回折パターンを検出する。検出部20は例えば対物レンズ21と結像レンズ22とプリズム23とスリットマスク24とフーリエ変換レンズ25とリレーレンズ26とイメージセンサ(光学センサ)27,28とを備えている。
対物レンズ21、結像レンズ22、プリズム23、スリットマスク24、フーリエ変換レンズ25およびイメージセンサ27はZ軸方向において位相シフトマスク80から離れるにしたがってこの順で配置されている。
位相シフトマスク80の当該一部を透過した光は対物レンズ21および結像レンズ22を介して拡大される。結像レンズ22からの光の一部はプリズム23によってイメージセンサ28側へと反射される。つまり、プリズム23は位相シフトマスク80からの光の一部をイメージセンサ28へと導く光学素子である。この光学素子はプリズム23に限らず、ミラーまたはハーフミラーなどであってもよい。
スリットマスク24は結像レンズ22の焦点に配置される。結像レンズ22からスリットマスク24に入射された光は、スリットマスク24に形成されたスリット24aを通過する。このスリットマスク24はスリット24a以外の領域において光を遮断し、スリット24aのみで光を通過させるので、視野を絞る視野絞りの機能を発揮する。このスリット24aは、位相シフト部8bとその近傍のみを含む領域からの光のみを透過させる程度の広さを有している。
図2に例示するように、スリットマスク24は基材241と遮光膜242とを有している。基材241は露光用の光についての透光性を有しており、例えば石英ガラス等によって形成される。基材241は板状の形状を有しており、平面視において例えば矩形状の形状を有している。基材241はその厚み方向がZ軸方向に沿う姿勢で設けられている。
遮光膜242は基材241の一方の主面の上に形成されている。遮光膜242は露光用の光についての遮光性を有しており、例えばクロムまたは酸化クロム等によって形成される。この遮光膜242は平面視において基材241の一部の領域を避けて形成される。当該一部の領域は、光を通過させるスリット24aを形成することとなる。スリット24aは平面視において長尺状の形状を有している。
図3は、スリットマスク24の構成の一例を概略的に示す平面図である。図3では、スリットマスク24に対する位相シフトマスク80の光学的な位置関係の一例を示すべく、仮想的に二点鎖線で透光部8aおよび位相シフト部8bも示されている。つまり、この二点鎖線は、透光部8aおよび位相シフト部8bが対物レンズ21および結像レンズ22を介してスリットマスク24に投影された投影像を示している。以下では、透光部8aをスリットマスク24に投影した投影像を透光部像80aと呼び、位相シフト部8bをスリットマスク24に投影した投影像を位相シフト部像80bと呼ぶ。
図3の例では、スリット24aの長手方向が透光部8aの延在方向に沿っており、スリット24aは位相シフト部8bと対向している。より具体的には、スリット24aの内部には、一つの位相シフト部像80bの幅方向(ここではX軸方向)における全体と、その一つの位相シフト部像80bに隣接する透光部像80aの幅方向における一部とが含まれている。言い換えれば、位相シフト部8bの幅方向における全体、および、その位相シフト部8bに隣接する透光部8aの幅方向における一部を透過した光が、スリット24aを通過する。
再び図2を参照して、スリット24aを通過した光はフーリエ変換レンズ25を介してイメージセンサ27の撮像面に結像される。イメージセンサ27は、その撮像面がフーリエ変換レンズ25の焦点に位置するように配置されている。
イメージセンサ27は例えばCCDイメージセンサなどであって、自身の撮像面に結像された光に基づいて、撮像画像IM1を生成し、その撮像画像IM1を制御部50に出力する。光がフーリエ変換レンズ25を介してイメージセンサ27に結像するので、この撮像画像IM1には、透光部8aを透過した光と位相シフト部8bを透過した光とに起因した回折パターンが写る。なおイメージセンサ27は2次元に配置された画素を有する撮像センサに限らず、1次元に配置された画素を有するラインセンサであってもよい。要するに、X軸方向に形成される光の強度パターン(回折パターン)の輝度分布をデジタルデータに変換できる光学センサであればよい。
制御部50はこの回折パターンに基づいて位相シフト部8bのパターン特性(幅および位相差)を算出する。回折パターンの具体例および算出方法の具体例については後に詳述する。
プリズム23からリレーレンズ26を経由した光はイメージセンサ28の撮像面に結像される。イメージセンサ28は、その撮像面がリレーレンズ26の焦点に位置するように配置されている。イメージセンサ28は例えばCCDイメージセンサなどであって、自身の撮像面に結像された光に基づいて、撮像画像IM2を生成し、その撮像画像IM2を制御部50へと出力する。撮像画像IM2には、位相シフトマスク80の測定対象領域が写る。制御部50はこの撮像画像IM2を表示部70に表示させてもよい。これにより、作業員が位相シフトマスク80のどの領域を測定しているのかを視認することができる。
移動機構40は保持部90をXY平面内で移動させる。これにより、保持部90に保持された位相シフトマスク80もXY平面内で移動する。移動機構40は例えばボールねじ機構を有しており、制御部50によって制御される。位相シフトマスク80がXY平面内で移動することにより、照射部10および検出部20を位相シフトマスク80に対して走査させることができる。よって、位相シフトマスク80の複数の測定領域で位相シフト部8bのパターン特性を測定することができる。なお移動機構40は、照射部10および検出部20に対して位相シフトマスク80を相対的に移動させる機能および構造を有していればよく、例えば、照射部10および検出部2を一体的に移動させてもよい。
昇降機構60は保持部90をZ軸方向に昇降させる。これにより、保持部90に保持された位相シフトマスク80も昇降する。昇降機構60は例えばボールねじ機構を有しており、制御部50によって制御される。昇降機構60が位相シフトマスク80を昇降させることにより、位相シフトマスク80を対物レンズ21の焦点に移動させることができる。なお昇降機構60は、検出部20に対して位相シフトマスク80を相対的に昇降させる機能および構造を有していればよく、例えば、検出部20を昇降させてもよい。
表示部70は例えば液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイなどの表示装置であって、その表示内容が制御部50によって制御される。例えば制御部50は、測定結果を含んだ画像信号を表示部70に出力する。表示部70は画像信号に基づいて測定結果を表示する。また上述のように、表示部70は制御部50の制御によって撮像画像IM2を表示してもよい。
プリズム23、スリットマスク24、フーリエ変換レンズ25、リレーレンズ26およびイメージセンサ27,28は図1の光学ヘッド30に内蔵されている。
ところで、位相シフトマスク80に形成される透光部8aのパターンは基板の設計によって適宜に設定されるので、その透光部8aの延在方向はパターンの測定対象位置により相違する。そこで、XY平面の各位置において、スリット24aの長手方向を透光部8aの延在方向に沿わせるべく、スリットマスク24は回転可能に設けられていてもよい。
例えば光学ヘッド30は、互いに回転可能に連結される上部材31および下部材32を有しており、光学ヘッド30に内蔵される上記の光学素子が上部材31に内蔵されていてもよい。下部材32はフォトマスク検査装置1の筐体に対して回転不能に固定され、上部材31がこの下部材32に対して回転可能に連結されていてもよい。これによれば、上部材31をXY平面において回転させることにより、この上部材31に内蔵されたスリットマスク24のスリット24aの長手方向を調整することができる。なお上部材31を下部材32に対して回転させる回転駆動機構(例えばモータ)が設けられてもよい。この回転駆動機構は制御部50によって制御される。
制御部50はフォトマスク検査装置1を全体的に統括することができる。例えば制御部50は上述のように、照射部10による照射、移動機構40による移動、昇降機構60による昇降および光学ヘッド30の回転を制御する。また制御部50は、イメージセンサ27によって生成された撮像画像IM1に基づいて位相シフト部8bのパターン特性を算出する演算処理部としても機能する。
制御部50は電子回路機器であって、例えば演算処理装置および記憶媒体を有していてもよい。演算処理装置は例えばCPU(Central Processor Unit)などの演算処理装置であってもよい。記憶部は非一時的な記憶媒体(例えばROM(Read Only Memory)またはハードディスク)および一時的な記憶媒体(例えばRAM(Random Access Memory))を有していてもよい。非一時的な記憶媒体には、例えば制御部50が実行する処理を規定するプログラムが記憶されていてもよい。処理装置がこのプログラムを実行することにより、制御部50が、プログラムに規定された処理を実行することができる。もちろん、制御部50が実行する処理の一部または全部がハードウェアによって実行されてもよい。
<回折パターンに基づく測定方法>
図4は、複数の回折パターンDP1~DP5の一例を概略的に示すグラフである。図4において、縦軸は光の強度を示し、横軸はX軸方向の位置を示すことから、回折パターンは輝度プロファイルである、とも言える。
回折パターンDP1~DP5は、スリット24aと位相シフトマスク80との平面視における相対位置を変化させたときの回折パターンである。ここで、相対位置を示すパラメータとして、距離d(図3参照)を導入する。図3の例では、平面視においてスリット24aの内部に透光部像80aおよび位相シフト部像80bが位置している。具体的には、スリット24aの内部において、-X側に透光部像80aが位置しており、+X側に位相シフト部像80bが位置している。距離dは、スリット24aの-X側の端辺から、透光部像80aと位相シフト部像80bとの間の境界までの距離である。この距離dが大きいほど、スリット24aにおいて透光部像80aが占める割合が大きい。つまり、スリット24aを透過する光の多くを、透光部8aからの光が占める。
回折パターンDP1~DP5は、距離dを変化させたときに得られる回折パターンである。回折パターンDP1~DP5に対応する距離dはその回折パターンの符号の末尾の数字が小さいほど短い。つまり、回折パターンDP1は最も短い距離dに対応する回折パターンであり、回折パターンDP5は最も長い距離dに対応する回折パターンである。
なお、距離dの変化範囲は次のように設定される。即ち、位相シフト部像80bの幅方向における全体がスリット24aの内部に含まれているように、変化範囲が設定される。つまり、位相シフト部像80bの一部が幅方向においてスリット24aからはみ出さないように、距離dの変化範囲が設定される。言い換えれば、スリット24aの幅(X軸方向に沿う幅)は、距離dを変化範囲内で変化させたときに位相シフト部像80bの幅方向における全体がスリット24aの内部に含まれるように設定される。
図4に例示するように、回折パターンDP1,DP2は、上に凸となる形状(つまり一山形状)を有している。これは距離dが短いときには、透光部8aからの光はスリット24aで遮蔽されるので、スリット24aを通過するのは、位相シフト部8bからの光のみとなる。よって、回折パターンは、単純な矩形開口による回折パターンとなり、このような分布形状となる。また、回折パターンDP1,DP2において、光の強度のピーク値は比較的小さい。これは、開口が小さく、かつ、位相シフト部8bの透過率が低いからである。
図4の例示では、回折パターンDP3~DP5は2つのピークを有する二山形状を有している。これは、距離dが長くなることによって、位相シフト部8bからの光のみならず透光部8aからの光も十分にスリット24aを通過し、これらの位相がほぼ180度ずれている2光束による干渉パターンが生成されるからである。なお図4の例では、二山形状が示されているものの、横軸の領域をより広くとると、その両側に新たなピークが現れる(図5も参照)。
以下では、最も高いピーク値と次に高いピーク値との間で光の強度がボトム値をとるときの位置を中心位置x0と呼ぶ。
回折パターンDP3~DP5の各ピーク値および中心位置x0におけるボトム値は距離dが長くなるほど増大する。これは、スリット24aを通過する光において、透過率の高い透光部8aから光が増大するからである。
回折パターンDP3では、中心位置x0における光の強度(ボトム値)は零である。これは、透光部8aおよびスリット24aをこの順に通過する光束の複素振幅と、位相シフト部8bおよびスリット24aをこの順に通過する光束の複素振幅とが互いに等しいことを意味している。つまり、両複素振幅が互いに等しい場合には、光は中心位置x0において互いに同量で弱め合うので、光の強度(ボトム値)が零となるのである。
上記複素振幅が互いに一致する場合には、以下の式が成立する。
ws’=w’・√t ・・・(1)
ここで、図3も参照して、ws’は、透光部像80aのうちスリット24aの内部に位置する領域の幅(つまり距離d)を示し、w’は、位相シフト部像80bの幅を示し、tは、位相シフト部8bの透過率を示す。
対物レンズ21および結像レンズ22による拡大率αを考慮して、実際の位相シフト部8bの幅w(=w’/α)と、スリット24aに対応する透光部8aの幅ws(=ws’/α)とを導入すると、式(1)から式(2)が導かれる。
ws=w・√t ・・・(2)
例えば位相シフト部8bの幅wが0.4[μm]であり、位相シフト部8bの透過率tが0.05(=5[%])である場合、スリット24aに対応する透光部8aの幅wsは0.089[μm]である。つまり、幅wsが0.089[μm]となるようにスリットマスク24を位相シフトマスク80に対して位置決めできれば、イメージセンサ27は、回折パターンDP3を含んだ撮像画像IM1を生成することができる。つまり、回折パターンDP3を検出できる。
ところで、回折パターンDP3における強弱のピッチ(例えば光の強度のピーク位置の間の距離)Δdxは、スリット24aの内部における透光部像80aと位相シフト部像80bとの中心間距離(ピッチ)Δx’(図3も参照)に依存する。具体的には、ピッチΔdxは理論的には中心間距離Δx’に比例する。その比例係数β1は予めシミュレーションまたは実験等により求めることができる。よって、回折パターンDP3からピッチΔdxを求めれば、そのピッチΔdxに基づいて中心間距離Δx’を求めることができる。
また、この中心間距離Δx’は幾何学的に以下の関係式を満たす(図3も参照)。
w’+ws’=2・Δx’ ・・・(3)
式(3)はスリットマスク24における各透光部像80aおよび位相シフト部像80bについてのパラメータであるので、これらを透光部8aおよび位相シフト部8bについてのパラメータに変換する。具体的には、w=w’/α、ws=ws’/αおよびΔx=Δx’/αを式(3)に代入すると、以下の式を導くことができる。
w+ws=2・Δx ・・・(4)
式(2)および式(4)から以下の式を導くことができる。
w=2・Δx/(1+√t) ・・・(5)
位相シフト部8bの透過率tが膜の設計値または近傍のテストパターンの透過率t^にほぼ等しいとすると、中心間距離Δx(=Δx’/α)を求めることができれば、式(5)に基づいて位相シフト部8bの幅wを算出することができる。
また回折パターンに基づいて位相シフト部8bによる位相差θを求めることもできる。図5は、複数の回折パターンDP3,DP31~DP34の一例を概略的に示すグラフである。回折パターンDP3,DP31~DP34は、式(2)が成立する状態で位相差θを変化させたときに得られる回折パターンである。式(2)が成立しているので、回折パターンDP3,DP31~DP34のいずれにおいても、中心位置x0におけるボトム値は零である。回折パターンDP3は位相差θが180度であるときの回折パターンを示しており、回折パターンDP31~DP34はそれぞれ位相差θが144(=360×0.4)度、162(=360×0.45)度、198(=360×0.55)度および216(=360×0.6)度であるときの回折パターンを示している。
図5に例示するように、位相差θに応じて回折パターンDP3,DP31~DP34の波形が相違する。逆に言えば、検出した回折パターンの波形に基づいて位相差θを求めることができる。例えば中心位置x0は位相差θに応じて変動する。具体的には、中心位置x0は位相差θが大きいほど+X側に移動する。そこで、位相差θが180度であるときの中心位置x0を基準位置として予め設定するとともに、各中心位置x0と基準位置との差と、位相差θとの関係を、例えばシミュレーションまたは実験等により予め設定する。そして、検出した回折パターンの中心位置x0と基準位置との差を求めれば、求めた差と、上記関係とに基づいて、位相差θを求めることができる。
また回折パターンにおける各ピーク値および各ボトム値は位相差θに応じた値をとるので、中心位置x0に替えて、各ピーク値または各ボトム値に基づいて位相差θを求めてもよい。例えば中心位置x0よりも+X側の領域においては、各ピーク値は位相差θが大きいほど低減し、各ボトム値も位相差θが大きいほど低減する。これに対して、中心位置x0よりも-X側の領域においては、各ピーク値は位相差θが大きいほど増大し、各ボトム値も位相差θが大きいほど増大する。
以下では、+X側の領域のうち最も中心位置x0に近いピーク値を1次のピーク値と呼び、-X側の領域のうち最も中心位置x0に近いピーク値を-1次のピーク値と呼ぶ。
ここでは、位相差θを算出するためのパラメータの一例として、-1次のピーク値から1次のピーク値を減算して得られるピーク差Δpを採用する。図5では、一例として回折パターンDP34についてのピーク差Δpを示している。このピーク差Δpは位相差θが大きいほど大きくなる。例えば回折パターンDP3におけるピーク差Δpは零であり、回折パターンDP31,DP32におけるピーク差Δpは負の値を有し、回折パターンDP31におけるピーク差Δpは回折パターンDP32におけるピーク差Δpよりも小さい。また回折パターンDP33,DP34におけるピーク差Δpは正の値を有し、回折パターンDP34におけるピーク差Δpは回折パターンDP33におけるピーク差Δpよりも大きい。このピーク差Δpと位相差θとの関係は例えばシミュレーションまたは実験等により、予め設定できる。よって、検出した回折パターンのピーク差Δpを求めれば、当該ピーク差Δpに基づいて位相差θを算出することができる。
なお、必ずしも1次のピーク値と-1次のピーク値とのピーク差Δpを採用する必要はなく、複数のピーク値のうちいずれか二者の差を採用すればよい。ただし、1次と-1次とのピーク値のピーク差Δpの位相差θに対する変動量は他の二者の差に比べて大きいので、高い精度で位相差θを求めることができる。
またピーク値に替えてボトム値を採用してもよい。具体的には、複数のボトム値の二者の差を採用してもよい。ただし、ボトム値同士の差の位相差θに対する変動量はピーク差Δpに比して小さいので、精度向上という観点では、ピーク差Δpを採用することが望ましい。
以上のように、中心位置x0におけるボトム値が零であるときの回折パターン(例えば回折パターンDP3,DP31~DP34など)の波形に基づいて、位相シフト部8bの幅wおよび位相シフト部8bによる位相差θを算出することができる。
しかしながら、この回折パターンを検出するためには、透光部8aおよび位相シフト部8bをそれぞれ透過した2光束による干渉パターンが顕著に表れるように、幅wsが最適な値となる位置あるいはその近傍にスリットマスク24を位相シフトマスク80に対して位置決めする必要がある。この位置決めの要求精度は幅wsが狭いほど高く、例えば幅wsが0.089[μm]である場合には、数~十数[nm]程度の精度が要求される。幅wsは位相シフト部8bの幅wにも依存しており(式(2))、より微細なパターン幅を有する位相シフトマスク80ほど、位置決めの要求精度が高くなるといえる。
さて、上述の条件(透過率t=0.05)では、当業者であれば式(5)から理解できるように、算出された位相シフト部8bの幅wには、スリットマスク24と位相マスク80との間の位置決めの誤差(数~十数[nm])の約0.8倍の計算誤差(測定誤差)が生じる。つまり、最大で約16[nm]程度の計算誤差が生じ得る。ところで、線幅の要求精度が特に高いパターンでは、位相シフト部8bも含めた全体の線幅はレジストプロセスに直結していて厳しく管理されるので、5~10[nm]程度の測定精度が要求される。しかしながら、位相シフト部8bの個々の幅wについては、全体の線幅ほど要求精度が高くなく、上記位置決め精度(数~十数[nm])で十分実用に足りる。
そこで、フォトマスク検査装置1では、スリットマスク24と位相シフトマスク80との間の相対位置を時間の経過とともに変化させながら、イメージセンサ27が互いに異なるタイミングで回折パターンを繰り返し検出する。これにより、最適な相対位置あるいはその近傍に対応した回折パターンを検出する。以下、具体的なフォトマスク検査装置1の動作の一例について述べる。
<フォトマスク検査装置の動作の一例>
図6は、フォトマスク検査装置1の動作の一例を示すフローチャートである。ここでは初期的に制御部50は照射部10に光を照射させているものとする。
まずステップS1にて、制御部50は移動機構40を制御して、XY平面において位相シフトマスク80に対する粗い位置合わせを行う。具体的には、移動機構40は照射部10および検出部20が位相シフトマスク80の測定対象領域とZ軸方向において対向するように、位相シフトマスク80をXY平面内で移動させる。この測定対象領域には、透光部8aおよび位相シフト部8bの両方が含まれる。なおこの位置合わせは、中心位置x0におけるボトム値が零となる回折パターンを常に検出できるような精度での位置合わせではなく、より粗い位置合わせである。また制御部50は光学ヘッド30の回転駆動機構を制御して、スリット24aの長手方向が測定対象領域内の透光部8aの延在方向に沿うように、光学ヘッド30を回転させる。
次にステップS2にて、制御部50は昇降機構60を制御して、オートフォーカス処理を行う。具体的には、昇降機構60は、対物レンズ21と位相シフトマスク80との間の距離が焦点距離となるように、位相シフトマスク80の位置をZ軸方向で調整する。
次にステップS3にて、スリットマスク24と位相シフトマスク80とが相対的に微動した状態で、イメージセンサ27が複数のタイミングで回折パターンを撮像し、撮像した撮像画像IM1を制御部50に出力する。言い換えれば、スリットマスク24と位相シフトマスク80との平面視における相対位置を時間の経過とともに変化させながら、イメージセンサ27が複数のタイミングで回折パターンを検出する。より具体的には、制御部50が移動機構40を制御して、スリット24aの幅方向(ここではX軸方向)に沿って位相シフトマスク80をスリットマスク24に対して相対的に移動させる。図3には、位相シフトマスク80の移動方向D1が模式的にブロック矢印で示されている。
なお、この移動範囲には、高い確率で幅wsが最適値(例えば0.089[μm])となる最適な相対位置あるいはその近傍が含まれる。よって、ステップS3において、スリットマスク24と位相シフトマスク80との相対位置が最適となる、あるいは、その近傍となるタイミングが存在する。したがって、イメージセンサ27によって生成された複数の撮像画像IM1のいずれかには、最適な相対位置に近い相対位置に対応した回折パターンが含まれる。
なお撮像中の位相シフトマスク80とスリットマスク24との相対速度(ステップS3における相対速度)は低いことが望ましく、例えばステップS1における相対速度よりも低く設定される。これによれば、最適な相対位置に近い相対位置に対応した回折パターンを検出しやすい。
次にステップS4にて、制御部50は、複数の撮像画像IM1にそれぞれ含まれた複数の回折パターンから、測定に用いる回折パターンを選択する。以下では、選択された回折パターンを選択回折パターンSP1とも呼ぶ。より具体的には、制御部50は中心位置x0における光の強度(ボトム値)が複数の回折パターンのうちで最も小さい回折パターンを、選択回折パターンSP1として選択する。
次にステップS5にて、制御部50は選択回折パターンSP1に基づいて位相シフト部8bのパターン特性(幅wおよび位相差θ)を算出する。図7は、位相シフト部8bのパターン特性の算出方法の具体的な一例を示すフローチャートである。
ステップS51にて、制御部50は選択回折パターンSP1における光の強度の強弱のピッチΔdxを求める。例えば制御部50は、選択回折パターンSP1において、光の強度が1次のピーク値をとるときの位置と、光の強度が-1次のピーク値をとるときの位置との差をピッチΔdxとして算出する。
次にステップS52にて、制御部50は、ステップS51おいて算出したピッチΔdxに基づいて位相シフト部8bの幅wを算出する。より具体的には、制御部50は、ステップS51において算出したピッチΔdxに基づいて中心間距離Δxを求め、この中心間距離Δxと式(4)とに基づいて位相シフト部8bの幅wを算出する。なおピッチΔdxと中心間距離Δxとの関係は例えばシミュレーションまたは実験等により予め設定されており、例えば制御部50の記憶媒体等に記憶される。
次にステップS53にて、制御部50は、選択回折パターンSP1のピーク差Δpを求める。例えば制御部50は、選択回折パターンSP1において、-1次のピーク値から1次のピーク値を減算した値をピーク差Δpとして算出する。
次にステップS54にて、制御部50はステップS53において算出したピーク差Δpに基づいて位相シフト部8bによる位相差θを算出する。なおピーク差Δpと位相差θとの関係は例えばシミュレーションまたは実験等により予め設定されており、例えば制御部50の記憶媒体等に記憶される。制御部50はステップS53において算出したピーク差Δpと、当該関係とに基づいて、位相シフト部8bによる位相差θを求める。
なお、これら一連の計算は、一つの選択回折パターンSP1を元に行っても良く、また、相対位置が最適となる位置の近傍にある複数の回折パターンを元に行ってもよい。具体的な一例として、検出されたM(Mは3以上)個の回折パターンのうち、中央位置におけるボトム値が小さい上位のN(Nは2以上M未満)個の回折パターンを、選択パターンSP1として選択するとよい。あるいは、中央位置におけるボトム値が、予め決められた基準値以下となるN個の回折パターンを、選択パターンSP1として選択してもよい。これによれば、干渉の効果が比較的強く現れたN個の回折パターンを用いることができる。そして、選択されたN個の選択回折パターンSP1の結果より、統計的にパターン特性を求めても良い。例えば、統計としては、平均または回帰分析を採用できる。具体的な一例として、N個の選択回折パターンSP1を平均して一つの回折パターンを算出し、その回折パターンに基づいて上述のように位相シフト部8bのパターン特性を求めてもよい。
次にステップS6にて、制御部50は、算出した位相シフト部8bのパターン特性(幅wおよび位相差θ)を表示部70に表示させる。これにより、作業員は位相シフトマスク80の位相シフト部8bの良否を判断することができる。なお、制御部50は、算出した位相シフト部8bのパターン特性が予め設定された良好範囲内であるか否かを判定し、その判定結果を表示部70に表示させてもよい。これによれば、作業員は位相シフト部8bの良否を速やかに了知できる。
なおステップS1~S6の処理は、測定対象領域を順次に変化させながら繰り返し実行されるとよい。これにより、位相シフトマスク80の全面を検査できる。
以上のように、フォトマスク検査装置1によれば、スリットマスク24と位相シフトマスク80との平面視における相対位置を変化させながら、複数のタイミングで回折パターンを検出している。よって、その検出された複数の回折パターンには、最適な相対位置に近い相対位置に対応した回折パターンが含まれる。したがって、より適した回折パターンに基づいて位相シフト部8bのパターン特性を算出することができる。
ところで、特許文献1では、位相差がない領域に対して光を照射したときに検出される基準像(基準回折パターン)を用いている。この基準回折パターンを用いる場合には、その基準回折パターンの測定時刻とは異なる時刻で、測定対象領域の回折パターンを測定する必要がある。各測定時刻が相違するので、その期間で装置に生じる熱等に起因して、各測定時刻における光学系の状態に差異(例えば光軸のずれ等)が生じることがある。つまり、両測定時刻における光学条件が互いに相違することがある。このように光学条件が相違すれば、シフト部8bのパターン特性について測定誤差が生じる。これに対して、フォトマスク検査装置1では、そのような基準回折パターンを用いる必要がない。したがって、上記測定誤差の発生を回避することができ、高い精度で位相シフト部8bのパターン特性を算出できる。
また上述の例では、制御部50は選択回折パターンSP1として、複数の回折パターンのうち中心位置x0における光の強度が最も小さい回折パターンを選択している。これによれば、最適位置に最も近い相対位置に対応する回折パターンを選択することができる。よって、他の回折パターンを用いる場合に比して、高い精度で位相シフト部8bのパターン特性を算出できる。
また上述の例では、選択回折パターンSP1における強弱のピッチに基づいて位相シフト部8bの幅wを算出している。これによれば、簡単な処理で位相シフト部8bの幅wを算出できる。
また上述の例では、選択回折パターンSP1におけるピーク値の差に基づいて位相シフト部8bによる位相差θを算出している。これによれば、簡単な処理で位相シフト部8bによる位相差θを算出できる。
また上述の例では、一つのスリット24aを透過した光の回折パターンを解析して幅wおよび位相差θを算出している。よって、2つのスリットを用い、そのスリットを透過した光の干渉に基づいて位相シフト部のパターン特性を算出する場合に比して、透光部8a同士の間の距離(パターン間の距離)が狭い位相シフトマスク80にも適用しやすい。つまり、フォトマスク検査装置1は、間隔の狭いラインアンドスペースパターンまたはホールパターンアレイ用の位相シフトマスク80にも適用できる。
<移動機構の制御の有無>
上述の例では、移動機構40が位相シフトマスク80をスリットマスク24に対して相対的に移動させている最中に、イメージセンサ27が複数のタイミングで撮像画像IM1を生成した(ステップS3)。しかしながら、移動機構40による移動は必ずしも必要ではない。本実施例で必要な微動量程度の揺れは、装置構造材(例えば移動機構20など)の撓み等に起因して恒常的に生じている。あるいは、位相シフトマスク80のスリットマスク24に対する相対的な移動後の装置が静定するまでの期間では残留振動が生じているので、この期間中に回折パターンを検出してもよい。つまり、この残留振動を利用して複数の相対位置にそれぞれ対応した複数の回折パターンを検出してもよい。
要するに、スリットマスク24と位相シフトマスク80との相対位置が可制御の下で変動しているのか否かは問わず、当該相対位置が時間の経過とともに変動する状態でイメージセンサ27が複数のタイミングで順次に回折パターンを検出すればよい。つまり、ステップS3において、移動機構40が移動動作を行っていない状態で、イメージセンサ27が複数のタイミングで順次に撮像画像IM1を生成して、複数の回折パターンを検出してもよい。
これによっても、複数の相対位置にそれぞれ対応した複数の回折パターンを検出することができる。つまり、1回しか回折パターンを検出しない場合に比べて、イメージセンサ27は、位相シフト部8bのパターン特性の算出により適した回折パターンを検出しやすい。そして、複数の回折パターンのうちから、より測定に適した回折パターンを選択することによって、より高い精度で位相シフト部8bのパターン特性を算出することができる。
その一方で、移動機構40による制御がない場合には、その相対位置の変動範囲は周囲の環境等に依存するので、その変動範囲に最適な相対位置が含まれるかどうかは分からない。これに対して、移動機構40が位相シフトマスク80をスリットマスク24に対して相対的に移動させる場合には、その移動範囲内に最適な相対位置が含まれるように、位相シフトマスク80をスリットマスク24に対して相対的に移動させることができる。よって、検出された複数の回折パターンには、最適な相対位置により近い回折パターンを含めることができ、ひいては、より高い精度で位相シフト部8bのパターン特性を算出することができる。
<移動方向>
上述のように、スリットマスク24と位相シフトマスク80との位置決めの精度は数十[nm]以下の精度が要求される場合がある。よって、スリットマスク24と位相シフトマスク80との相対位置が当該精度内となるタイミングで回折パターンを適切に検出するには、位相シフトマスク80とスリットマスク24との相対速度は低いことが望ましい。
そこで、移動機構40はスリット24aの幅方向(言い換えれば、位相シフト部8bの幅方向)に対して傾斜する方向に沿って位相シフトマスク80をスリットマスク24に対して移動させてもよい。図8は、位相シフトマスク80のスリットマスク24に対する移動方向D1を説明するための図である。図8では、移動方向D1が模式的にブロック矢印で示されている。この移動方向D1はスリット24aの幅方向に対して例えば30度~60度程度の範囲内で交差している。この移動方向D1に沿って位相シフトマスク80をスリットマスク24に対して移動させれば、スリット24aの幅方向に沿う相対速度成分を低減することができる。これによれば、より最適な相対位置に対応した回折パターンを検出しやすい。
<位相シフト部8bのパターン特性の算出方法の他の例>
次に、選択回折パターンSP1に基づいた位相シフト部8bのパターン特性の算出方法の他の一例を説明する。ここではまず、その概要を説明する。制御部50は未知の幅wおよび位相差θの値としてそれぞれの初期値を設定し、その初期値を用いて回折パターン(以下、演算回折パターンと呼ぶ)を算出する。そして制御部50は、その演算回折パターンが選択回折パターンSP1に類似しているか否かを判定する。言い換えれば、制御部50は演算回折パターンと選択回折パターンSP1との差異が大きいか否かを判断する。制御部50はこれらが類似していない、つまり、差異が大きいと判定したときには、幅wの値および位相差θの値を変更して再び演算回折パターンを算出する。制御部50は、演算回折パターンが選択回折パターンと類似するまで、つまり、差異が基準値よりも小さくなるまで、上記の動作を繰り返し実行する。演算回路パターンが選択回折パターンと類似したときの幅wの値および位相差θの値は測定値を示すこととなる。
<シミュレーションモデル>
図9は、演算回折パターンを算出するためのシミュレーションモデルM1の一例を概略的に示す図である。このシミュレーションモデルM1は、位相シフトマスク80のうちスリット24aに対応する領域における光の強度分布を示している。透光部8a、位相シフト部8bおよび遮光部8cにおける光の強度は、それぞれの透過率(例えばパターン設計値)に基づいて予め設定される。図9のシミュレーションモデルM1では、透光部8a、位相シフト部8bおよび遮光部8cの各々における光の強度は一定に設定されている。よって、透光部8aと位相シフト部8bとの間の境界において光の強度は急峻に立ち上がっており、同様に、位相シフト部8bと遮光部8cとの間の境界において光の強度は急峻に立ち上がっている。このシミュレーションモデルM1において、幅w,wsは式(2)を満足しており、幅wが未知数となる。また、このシミュレーションモデルM1において、位相シフト部8bにおける位相差θも未知数となる。
<演算回折パターン>
制御部50はシミュレーションモデルM1に対応する回折パターンを、公知なシミュレータを用いて計算する。この計算は、高速フーリエ変換にて容易に行うことができるのは自明である。図10は、演算回折パターンAP1~AP4を概略的に示すグラフである。演算回折パターンAP1~AP4は、位相差θを変更したときに得られる演算回折パターンである。具体的には、演算回折パターンAP1~AP4はそれぞれ位相差が180度、208.8度(=360×0.58)、216度(=360×0.6)および223.2度(=360×0.62)であるときの演算回路パターンである。図10の例では、参考のために選択回折パターンSP1の一例も示されている。図10の例では、選択回折パターンSP1は演算回折パターンAP3に類似している。
<制御部の動作>
図11は、制御部50の上記動作の一例を示すフローチャートである。このフローは図6のステップS5の具体例に相当する。まずステップS501にて、制御部50は位相シフト部8bの幅wの値および位相シフト部8bによる位相差θの値を、それぞれの初期値に設定する。初期値は例えば予め設定されていてもよい。
次にステップS502にて、制御部50は幅wおよび位相差θの値に基づいて演算回折パターンを算出する。具体的には、制御部50はシミュレーションモデルM1に対して高速フーリエ変換を用いたシミュレータを適用して、演算回折パターンを算出する。
次にステップS503にて、制御部50は、ステップS502にて算出した演算回折パターンが選択回折パターンSP1に類似しているか否かを判断する。例えば制御部50は演算回折パターンと選択回折パターンSP1との差異を示す差異情報を生成し、当該差異が基準値よりも小さいか否かを判断する。当該差異情報は特に限定される必要は無いものの、例えば、演算回折パターンと選択回折パターンSP1の各位置における光の強度の差の絶対値の総和を採用することができる。当該総和が小さいほど、差異は小さい。あるいは、差異情報として、例えば、演算回折パターンにおけるピッチΔdxと選択回折パターンSP1におけるピッチΔdxとの第1差、および、演算回折パターンにおけるピーク差Δpと選択回折パターンSP1におけるピーク差Δpとの第2差を採用してもよい。これらの差が小さいほど、演算回折パターンと選択回折パターンSP1との差異は小さい。
演算回折パターンが選択回折パターンSP1に類似していないと判断したときには、ステップS504にて、制御部50は幅wおよび位相差θの値の少なくともいずれか一方を変更して、シミュレーションモデルM1を更新する。次に制御部50はステップS503を実行する。つまり、演算回折パターンが選択回折パターンSP1に類似していないときには、その幅wおよび位相差θの値少なくともいずれか一方は未だ測定値とは離れていると考えられるので、その値を変更して、再び演算回折パターンを算出し(ステップS503)、算出した演算回折パターンが選択回折パターンSP1に類似しているか否かを判断する(ステップS504)。ステップS502~S504を繰り返すことで、いずれ演算回折パターンが選択回折パターンSP1に類似する。
ステップS503にて、演算回折パターンが選択回折パターンSP1に類似していると判定したときには、ステップS6にて、制御部50は、最新の幅wおよび位相差θをそれぞれの測定値として表示部70に表示する。
以上のように、選択回折パターンSP1に類似する演算回折パターンを、シミュレーションモデルM1に対する高速フーリエ変換を用いて算出している。これによれば、より高い精度で位相シフト部8bの幅wおよび位相シフト部8bによる位相差θを求めることができる。
しかもシミュレーションモデルM1において、透光部8aおよび位相シフト部8bの各々の光の強度が一定に設定されている。よって、強度分布の設定が簡易であり、また演算処理も簡易にできる。
<位相シフト部の幅および位相シフト部による位相差の決定方法>
効率よく選択回折パターンSP1に類似した演算回折パターンを算出するためには、制御部50はステップS504にて、差異情報に基づいて幅wおよび位相差θの値を決定するとよい。即ち、制御部50は演算回折パターンと選択回折パターンSP1との差異が小さくなるように、幅wおよび位相差θの値を決定するとよい。例えば差異情報として、第1差および第2差を採用する場合について考慮する。この場合、制御部50は当該第1差が小さくなるように幅wの値を変更し、当該第2差が小さくなるように位相差θの値を変更する。
より具体的には、演算回折パターンにおけるピッチΔdxが選択回折パターンにおけるピッチΔdxよりも大きい場合には、次に算出される演算回折パターンにおけるピッチΔdxを低減すべく、制御部50は幅wをより小さな値に変更する。また演算回折パターンにおけるピーク差Δpが選択回折パターンにおけるピーク差Δpよりも大きい場合には、次に算出される回折演算パターンにおけるピーク差Δpを低減すべく、制御部50は位相差θをより小さな値に変更する。
これによれば、次に算出される演算回折パターンを選択回折パターンSP1に近づけることができる。したがって、選択回折パターンSP1に類似した演算回折パターンをより早期に算出することができる。
<シミュレーションモデルの他の一例>
シミュレーションモデルM1では、透光部8aおよび位相シフト部8bの各々において光の強度は一定に設定された。しかしながら、実際には、透光部8aと位相シフト部8bとの境界部において、光の強度は位相シフト部8bから透光部8aに向かうにしたがって傾斜を有して徐々に増大する、と考えられる。遮光部8cと位相シフト部8bとの境界部も同様である。よって、そのようなシミュレーションモデルを活用してもよい。
図12は、シミュレーションモデルM2の一例を概略的に示す図である。シミュレーションモデルM2においては、光の強度は、遮光部8cと位相シフト部8bとの境界部において、遮光部8cから位相シフト部8bに向かうにしたがって増大しており、その傾斜は位相シフト部8b側ほど急峻になっている。同様に、光の強度は、位相シフト部8bと透光部8aとの境界部において、位相シフト部8bから透光部8aに向かうにしたがって増大しており、その傾斜は透光部8a側ほど急峻になっている。このような光の強度分布は例えば予め設定されてもよい。なおこの場合の位相シフト部8bの幅としては、光の強度が予め設定された第1所定値となる位置から、予め設定された第2所定値となる位置までの幅を採用することができる。
シミュレーションモデルM2を採用すれば、制御部50はより実態に即して演算回折パターンを算出することができ、位相シフト部8bの幅wおよび位相シフト部8bによる位相差θをより高い精度で算出することができる。
このシミュレーションモデルM2は予め設定されてもよい。あるいは、制御部50が位相シフトマスク80のパターン設計値(透光部8aの透過率、位相シフト部8bの透過率、位相シフト部8bの幅wなど)に基づいて、所定のイメージシミュレータを用いてシミュレーションモデルM2(光の強度分布)を生成してもよい。
<シミュレーションモデルの他の一例>
図2を参照して、フォトマスク検査装置1はイメージセンサ28を備えており、このイメージセンサ28は位相シフトマスク80の測定対象領域を撮像して、撮像画像IM2を生成している。そこで、制御部50は、撮像画像IM2に基づいてシミュレーションモデルの光の強度分布を設定してもよい。具体的な一例として、撮像画像IM2に含まれた測定対象領域の各画素の画素値を光の強度分布に採用してもよい。これによれば、より実態に即したシミュレーションモデルを設定することができる。
なお、透光部8aおよび位相シフト部8bを透過する光の強度分布は測定対象領域とその延長上の近傍においてほとんど同じであるので、測定対象領域の近傍における透光部8aおよび位相シフト部8bの各画素の画素値を採用してもよい。例えば、光学系のズレ等により撮像画像IM2において測定対象領域を特定することが困難である場合、または、撮像画像IM2に測定対象領域が含まれておらず、その近傍の領域が含まれている場合などには、その近傍の領域における画素値が採用されてもよい。より具体的な一例として、測定対象領域の延長上に位置する透光部8aおよび位相シフト部8bの各画素の画素値をシミュレーションモデルの光の強度分布に採用してもよい。
<フォトマスク検査装置の動作>
図13は、フォトマスク検査装置1の動作の一例を示すフローチャートである。まずステップS11にて、制御部50は移動機構40を制御してステップ移動を行う。このステップ移動はイメージセンサ28が測定対象領域(またはその近傍の領域)を撮像するのに適した位置への移動を示している。次にステップS12にて、ステップS2と同様に、制御部50は昇降機構60を制御してオートフォーカス処理を行う。
次にステップS13にて、イメージセンサ28は撮像画像IM2を生成し、その撮像画像IM2を制御部50に出力する。
次にステップS14にて、制御部50は撮像画像IM2のうち測定対象領域に相当する画像(あるいはその近傍の画像)を記憶媒体に記憶する。例えば撮像画像IM2のうち予め設定された領域を測定対象領域(あるいは近傍領域)として抽出し、その画像を記憶媒体に記憶する。
次にステップS15にて、ステップS1と同様に、制御部50は移動機構40を制御して、スリット24aが測定対象領域と対向するように、位相シフトマスク80をスリットマスク24に対して移動させて、XY平面における位置合わせを行う。
次にステップS16にて、ステップS3と同様に、スリットマスク24と位相シフトマスク80とが相対的に微動した状態で、イメージセンサ27が複数のタイミングで撮像画像IM1を生成し、その撮像画像IM1を制御部50に出力する。
次にステップS17にて、ステップS4と同様に、制御部50は複数の回折パターンから回折パターン(選択回折パターンSP1)を選択する。
次にステップS18にて、制御部50は選択回折パターンSP1に基づいて位相シフト部8bのパターン特性を算出する。図14は、この算出方法の具体的な一例を示すフローチャートである。まずステップS511にて、制御部50は撮像画像IM2に基づいてシミュレーションモデルの光の強度分布を設定する。より具体的な一例として、ステップS14において記憶した画像の各画素値をシミュレーションモデルの光の強度分布に採用する。位相差θは位相シフト部8bの各位置において一定に設定されてもよく、あるいは、各境界部において光の強度分布と同様の傾斜で設定されてもよい。
次に制御部50はステップS512~ステップS515を実行する。ステップS512~S515はそれぞれステップS501~S504と同様であるので、繰り返しの説明を避ける。
ステップS514において演算回折パターンが選択回折パターンSP1に類似すると判断されたときには、ステップS19にて、ステップS6と同様に、制御部50は最新の幅wおよび位相差θを測定値として表示部70に表示させる。
これによれば、撮像画像IM2に基づいてシミュレーションモデルの光の強度分布が設定されるので、より実態に即して演算回折パターンを算出することができ、より高い精度で幅wおよび位相差θを算出できる。
以上のように、フォトマスク検査装置およびフォトマスク検査方法は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この開示がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない多数の変形例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
1 フォトマスク検査装置
8a 透光部
8b 位相シフト部
8c 遮光部
10 照射部
24 スリットマスク
24a スリット
25 フーリエ変換レンズ
27 第1光学センサ(イメージセンサ)
28 第2光学センサ(イメージセンサ)
40 移動機構
50 演算処理部(制御部)
80 位相シフトマスク

Claims (13)

  1. 光を透過させる透光部、光を遮断する遮光部、および、前記透光部と前記遮光部との間に設けられ、光を透過させるとともに前記透光部を透過した光に対して位相をシフトさせる位相シフト部が所定のパターンで形成された位相シフトマスクの、前記位相シフト部のパターン特性を測定するフォトマスク検査装置であって、
    前記位相シフトマスクを保持する保持部と、
    前記透光部と前記位相シフト部とを含む領域に光を照射する照射部と、
    スリットを有し、前記透光部の幅方向における一部および前記位相シフト部の幅方向における全体を透過した光が前記スリットを通過する位置に配置されるスリットマスクと、
    前記スリットを通過した光が入射されるフーリエ変換レンズと、
    前記フーリエ変換レンズからの光の回折パターンを複数のタイミングで検出する第1光学センサと
    を備え
    前記第1光学センサは、前記透光部を透過する光による前記スリット内の透光部像と、前記位相シフト部を透過する光による前記スリット内の位相シフト部像との境界位置が、前記スリットマスクと前記位相シフトマスクとの相対位置の変化によって前記スリット内で変化している最中に、複数のタイミングで回折パターンを検出する、フォトマスク検査装置。
  2. 請求項1に記載のフォトマスク検査装置であって、
    平面視における前記スリットマスクと前記位相シフトマスクとを相対的に移動させる移動機構を更に備え、
    前記第1光学センサは、前記移動機構が前記スリットマスクと前記位相シフトマスクとを相対的に移動させている最中に、複数のタイミングで回折パターンを検出する、フォトマスク検査装置。
  3. 請求項2に記載のフォトマスク検査装置であって、
    前記移動機構は、前記幅方向に対して傾斜した方向に沿って、前記スリットマスクと前記位相シフトマスクと相対的に移動させる、フォトマスク検査装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一つに記載のフォトマスク検査装置であって、
    前記第1光学センサによって検出された複数の回折パターンのうち中央位置における光の強度が最も小さい回折パターンを、選択回折パターンとして選択し、前記選択回折パターンに基づいて前記位相シフト部の幅および前記位相シフト部による位相差の少なくともいずれか一方を、前記パターン特性として求める演算処理部を更に備える、フォトマスク検査装置。
  5. 請求項4に記載のフォトマスク検査装置であって、
    前記演算処理部は、前記選択回折パターンにおける光の強度の強弱のピッチに基づいて、前記位相シフト部の幅を算出する、フォトマスク検査装置。
  6. 請求項4または請求項5に記載のフォトマスク検査装置であって、
    前記演算処理部は、前記選択回折パターンにおける光の強度の複数のピーク値または複数のボトム値のうち二者の差に基づいて、前記位相シフト部による位相差を算出する、フォトマスク検査装置。
  7. 請求項4に記載のフォトマスク検査装置であって、
    前記演算処理部は、
    前記透光部および前記位相シフト部を透過する光の強度分布、前記位相シフト部の幅、および、前記位相シフト部による位相差を設定する第1工程と、
    前記強度分布、前記幅および前記位相差に基づいて、高速フーリエ変換を用いて演算回折パターンを算出する第2工程と、
    前記演算回折パターンが前記選択回折パターンに類似しているか否かを判定する第3工程と、
    前記第3工程おいて、前記演算回折パターンが前記選択回折パターンに類似していないと判定したときには、前記幅および前記位相差を変更して前記第2工程及び前記第3工程を実行する第4工程と
    を実行する、フォトマスク検査装置。
  8. 請求項7に記載のフォトマスク検査装置であって、
    前記演算処理部は、前記第1工程において、前記位相シフト部および前記透光部の各々を透過する光の強度が一定となるように前記強度分布を設定する、フォトマスク検査装置。
  9. 請求項7に記載のフォトマスク検査装置であって、
    前記演算処理部は、前記第1工程において、前記位相シフト部と前記透光部との境界部にて、光の強度が、前記位相シフト部から前記透光部に向かうにしたがって徐々に増大するように、前記強度分布を設定する、フォトマスク検査装置。
  10. 請求項7に記載のフォトマスク検査装置であって、
    第2光学センサと、
    前記スリットマスクと前記位相シフトマスクとの間に設けられ、前記位相シフトマスクからの光の一部を前記第2光学センサへ導く光学素子と
    を更に備え、
    前記演算処理部は、前記第1工程において、前記第2光学センサによって撮像された画像に基づいて、前記強度分布を設定する、フォトマスク検査装置。
  11. 光を透過させる透光部、光を遮断する遮光部、および、前記透光部と前記遮光部との間に設けられ、光を透過させるとともに前記透光部を透過した光に対して位相をシフトさせる位相シフト部が所定のパターンで形成された位相シフトマスクの、前記位相シフト部のパターン特性を測定するフォトマスク検査方法であって、
    照射部が前記透光部と前記位相シフト部とを含む領域に光を照射する工程と、
    第1光学センサが、スリットマスクに形成されたスリット、および、フーリエ変換レンズを介して、前記透光部の幅方向における一部および前記位相シフト部の幅方向における全体を透過した光の回折パターンを複数のタイミングで検出する工程と
    を備え
    前記第1光学センサは、前記透光部を透過する光による前記スリット内の透光部像と、前記位相シフト部を透過する光による前記スリット内の位相シフト部像との境界位置が、前記スリットマスクと前記位相シフトマスクとの相対位置の変化によって前記スリット内で変化している最中に、複数のタイミングで回折パターンを検出する、フォトマスク検査方法。
  12. 光を透過させる透光部、光を遮断する遮光部、および、前記透光部と前記遮光部との間に設けられ、光を透過させるとともに前記透光部を透過した光に対して位相をシフトさせる位相シフト部が所定のパターンで形成された位相シフトマスクの、前記位相シフト部のパターン特性を測定するフォトマスク検査装置であって、
    前記位相シフトマスクを保持する保持部と、
    前記透光部と前記位相シフト部とを含む領域に光を照射する照射部と、
    スリットを有し、前記透光部の幅方向における一部および前記位相シフト部の幅方向における全体を透過した光が前記スリットを通過する位置に配置されるスリットマスクと、
    前記スリットを通過した光が入射されるフーリエ変換レンズと、
    前記フーリエ変換レンズからの光の回折パターンを複数のタイミングで検出する第1光学センサと、
    平面視における前記スリットマスクと前記位相シフトマスクとを相対的に移動させる移動機構と
    を備え、
    前記第1光学センサは、前記移動機構が前記スリットマスクと前記位相シフトマスクとを相対的に移動させている最中に、複数のタイミングで回折パターンを検出し、
    前記移動機構は、前記幅方向に対して傾斜した方向に沿って、前記スリットマスクと前記位相シフトマスクと相対的に移動させる、フォトマスク検査装置。
  13. 光を透過させる透光部、光を遮断する遮光部、および、前記透光部と前記遮光部との間に設けられ、光を透過させるとともに前記透光部を透過した光に対して位相をシフトさせる位相シフト部が所定のパターンで形成された位相シフトマスクの、前記位相シフト部のパターン特性を測定するフォトマスク検査装置であって、
    前記位相シフトマスクを保持する保持部と、
    前記透光部と前記位相シフト部とを含む領域に光を照射する照射部と、
    スリットを有し、前記透光部の幅方向における一部および前記位相シフト部の幅方向における全体を透過した光が前記スリットを通過する位置に配置されるスリットマスクと、
    前記スリットを通過した光が入射されるフーリエ変換レンズと、
    前記フーリエ変換レンズからの光の回折パターンを複数のタイミングで検出する第1光学センサと、
    前記第1光学センサによって検出された複数の回折パターンのうち中央位置における光の強度が最も小さい回折パターンを、選択回折パターンとして選択し、前記選択回折パターンに基づいて前記位相シフト部の幅および前記位相シフト部による位相差の少なくともいずれか一方を、前記パターン特性として求める演算処理部と
    を備える、フォトマスク検査装置。
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