JP7023494B2 - 波浪観測通知システム - Google Patents

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Description

本発明は、海洋や湖沼における波の高さである波高を観測して解析し、波浪の観測結果を必要とするユーザーに通知する波浪通知システムに関する。
海洋や湖沼においては、風、海流、気圧など様々な気象条件や物理現象によって、波が生じる。波は、水位の変化であり、水位の最低位置から最高位置までの高低差が波高である。また波は、波の周期も含んでいる。すなわち、波浪は、波高や周期などの要素を、その状態を表す指標として含んでいる。
海洋や湖沼においては、水面が凪いでいることもあるが、多くの場合は波が生じており、その波高が大きい状態や小さい状態など、様々である。また、この波の状態は、時間的に変化しうる。
このような海洋や湖沼において、様々な事業を営む事業者が存在する。海洋や湖沼の上においては、漁業者や船舶の運航を行う運航業者が事業を営んでいる。このような海洋や湖沼の上で事業を行う事業者にとっては、波の状況を把握したり、波の状況を予測したりすることは重要である。波の状況によっては、事業に危険が生じることもあるからである。
漁業者は、波の状況によっては、当然に自身の事業に直接的な危険が生じる。波高が大きい(波が高い)状況では、漁船の転覆や操作困難などが生じうるからである。また、漁獲にも影響が出る。
船舶の運航業者(海運業者)は、貨物や人員を輸送するに際して、波高が大きいなどの状況があれば、安全な運航が難しくなる。運航における定時制や安全性が低下したり、輸送する人員に不安を与えたりすることもある。運航業者は、自身の取決めでこのような安全や不安に対応するために波の状況によって、運航を取りやめたり、運航条件を変更したりする必要がある。あるいは、法律などの規制によって、波の状況によっては、運航の取りやめや条件変更を行う必要があることもある。
漁業者や海洋などでの運航業者以外にも、海洋や湖沼の上で事業を営む事業者にとっては、波の状況の把握は非常に重要である。
このような海洋や湖沼の上での事業を営む事業者以外でも、海洋や湖沼の近辺で事業を営む事業者にとっても、波の状況を把握することは重要である。例えば、港湾施工業者や港湾倉庫業者などである。これらの事業者は、海洋や湖沼に隣接した場所で作業を行う必要があり、波高が高い場合には、作業への危険性が生じることがある。
あるいは、波の状況によっては、作業に困難が生じることがある。施工ができなくなったり、倉庫と船舶との荷物の受け渡しができなくなったりするからである。
また、港湾施工業者や運航業者にとっては、法律などによって、波高が所定値以上の場合には作業を停止しなければならないなどの規制を受けていることもある。この規制に対応しつつ作業を行う必要がある。
このように、海洋や湖沼の上や近接した場所で事業を営む事業者(以下、必要に応じて「海洋事業者」という)にとっては、波の状況を把握することが重要である。
日本においては、行政が沿岸地域に波の観測機器を設置しており、波高の観測を行っている。しかしながら、非常に数が少なく(日本全体で数10カ所)、多くの事業者にきめ細かく対応ができない。また、この観測機器は、海底に設置されて、海底ケーブルによってデータ通信がなされる。このため、設置やメンテナンスに多くのコストが掛かる問題がある。この点もあり、波の状況を把握する必要のある多くの事業者に対応できない問題がある。
このような中、波の観測についてのいくつかの技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
特開2007-171146号公報 特開2003-185743号公報 特開平08-278130号公報 特開平08-110226号公報
特許文献1は、X軸方向の加速度を測定するX軸加速度計と、Y軸方向の加速度を測定するY軸加速度計と、Z軸方向の加速度を測定するZ軸加速度計と、X軸加速度計の測定値同士の積と、Y軸加速度計の測定値同士の積と、Z軸加速度計の測定値から地球重力加速度を減算したベクトル同士の積と、の和を求めるベクトル合成手段と、前記ベクトル合成手段により合成されたベクトルに基づいて、波高を求める波高測定手段と、を備える波高測定装置を開示する。
しかしながら、特許文献1の技術は、海上に浮かせたブイの中で波高の演算までを行う。このため、一つ一つの観測機器のコストやメンテナンスコストが高くなる問題がある。また設置や保守が難しくなる問題もある。このため、多くの事業者のそれぞれに対応することが難しい問題がある。
また、波高のみの観測であり、様々な海洋事業者にとって安全維持のために必要な波の情報の全てを提供することができない。結果として、海洋事業者にとって必要な情報の全てを提供することができない問題がある。
特許文献2は、波高算出方法は、レーダー画像信号及び船体応答関数に基づく第1のパワースペクトルと、船体運動情報に基づく第2のパワースペクトルとを求める工程と、第2のパワースペクトルの縦軸に対する前記第1のパワースペクトルの縦軸の大きさ比率を求める工程と、比率に基づいて波高値を求める工程を含み、レーダー画像信号と船体運動情報とを組み合わせることによって、実測に基づく較正が不要とし、また、高い波高についても高精度で安定した波高値の算出を可能とする波高算出方法を開示する。
しかしながら、特許文献2は、レーダー画像に基づいた波高と実際の船舶の揺れを用いて算出する。このため、海洋事業者において、港湾施工業者や港湾倉庫業者などの船舶を直接作業対象としない事業者にとっては、対応できない問題がある。
また、レーダーを必要とするなどコスト面の問題もあり、多くの海洋事業者に細かく対応することができない問題もある。特許文献1と同様の問題も有している。
特許文献3は、円筒型の標体の上部にリング状フロートを取付け、標体下端に重錘兼用十字状抵抗板を設け、フロート外径を0.6m以下でブイの重量を40kg以下とし、フロート没水部側面投影の縦横比を5分の1以下とし、ブイの固有周期を1.5秒以下にし、加速度計の感心点をブイの重心位置に一致するように固定した波高計測ブイである波高観測ブイを開示する。
特許文献3は、特許文献1と同じく海上に浮かせたブイにおいて波高を演算して検出する。このため、特許文献1と同じ問題を有している。
特許文献4は、海上に投入する浮きの内部に、海面に対して浮きの垂直方向の移動加速度を検出する加速度センサ4を設け、この移動加速度を演算回路5で2回積分して波高値を求め、波高値を無線機6からアンテナ11を介して受信局に無線送信する波高観測装置を提供する。
特許文献4も、特許文献1と同じく海上に浮かせたブイにおいて波高を演算して検出する。このため、特許文献1と同じ問題を有している。
以上のように、従来技術においては、波の状況を把握する必要のある、海上や湖沼の上、あるいはこれらの沿岸の陸上において作業を行う様々な海洋事業者に、対応することのできない問題があった。また、作業において必要となる波の状態の様々な要素を提供することができない問題があった。
また、観測機器が高価あるいは複雑であることで、設置場所や設置個数が制限されてしまう。このため、海洋事業者のそれぞれに対応する最適な場所に観測機器が設置されず、海洋事業者のそれぞれに最適な観測結果が得られない問題もある。あるいは、離隔した場所の観測結果からの予測しか得られず、リアルタイムな観測結果の通知が困難である問題もありえる。
本発明は、これらの課題に鑑み、様々な事業者(海洋事業者など)に対応でき、波の状態に対する作業の安全性の確保を可能とする、波浪観測通知システムを提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明の波浪観測通知システムは、
水面に設置されて、所定データを観測する浮遊型観測機器と、
浮遊型観測機器で観測された所定データを受信して、波浪状況を演算する演算機器と、を備え、
浮遊型観測機器は、
所定データとして、所定時間間隔毎に水位データを観測する観測部と、
水位データを送信する送信部と、を有し、
演算機器は、
水位データを受信する受信部と、
水位データに基づいて、波浪状況として浮遊型観測機器の設置場所の波の高さである波高を演算する演算部と、
波高に基づいて、波浪状況および警告の少なくとも一方を通知する通知部と、を有し、
演算部は、水位データの最低位置と最高位置の差分に基づいて、波高を演算し、
演算部は、波高に加えて、波の周期も演算し、
水位データは、所定時間間隔のそれぞれに対応する複数のデータを含んでおり、
演算部は、
複数のデータの最低位置と最高位置との差分値に基づいて、波高を演算し、
複数のデータの最低位置から次の最低位置までの時間、もしくは複数のデータの最高位置から次の最高位置までの時間に基づいて、周期を演算し、
演算部は、波浪に含まれる一つの波における波高と周期の両方を演算可能であり、波浪に含まれる重複された複数の波における波高と周期の両方を演算可能であり、
演算機器は、事業者の事情に対応する波高および周期の両方の基準値を記憶する記憶部を更に備え、
通知部は、
演算部で演算された波高と基準値を比較して、波高に対する警告を通知し、
演算部で演算された周期と基準値を比較して、周期に対する警告を通知し、
記憶部は、複数の事業者の個々に対応して異なる基準値を記憶可能であり、
浮遊型観測機器は、事業者の作業場所に対応して設置され、
複数の浮遊型観測機器が、複数の事業者の作業場所のそれぞれに対応して設置され、
複数の浮遊型観測機器のそれぞれは、観測した水位データを、演算機器に送信する。
本発明の波浪観測通知システムは、様々な海洋事業者のそれぞれに対応して、波の状況を通知することができる。また、様々な海洋事業者のそれぞれが必要とする警戒レベルを通知でき、海洋事業者の個々の事情に合わせた通知を行える。
また、海洋事業者のそれぞれに対応して観測機器を設置できるので、よりリアルタイムでありながら、海洋事業者のそれぞれに最適な場所で最適な観測時刻の情報を通知できる。
これらの結果、海洋事業者のそれぞれに細かく対応した波浪情報を通知でき、海洋事業者は、自身の事情に合わせた活用が可能となる。
また、海洋事業者のそれぞれの事情に対応した警告も行えるので、カスタマイズ性も高い。結果として、リアルタイム性も高くなる。
海洋や湖沼などで生じる波浪の模式図である。 発明の実施の形態1における波浪観測通知システムのブロック図である。 ある水位データを示す模式図である。 本発明の実施の形態1における浮遊型観測機器2の模式図である。 本発明の実施の形態1における波の周期の演算を示す模式図である。 本発明の実施の形態2における演算機器のブロック図である。 本発明の実施の形態2における波浪観測通知システムの模式図である。 本発明の実施の形態2における演算機器のブロック図である。 本発明の実施の形態2における浮遊型観測機器の模式図である。
本発明の第1の発明に係る波浪観測通知システムは、水面に設置されて、所定データを観測する浮遊型観測機器と、
浮遊型観測機器で観測された所定データを受信して、波浪状況を演算する演算機器と、を備え、
浮遊型観測機器は、
所定データとして、所定時間間隔毎に水位データを観測する観測部と、
水位データを送信する送信部と、を有し、
演算機器は、
水位データを受信する受信部と、
水位データに基づいて、波浪状況として浮遊型観測機器の設置場所の波の高さである波高を演算する演算部と、
波高に基づいて、波浪状況および警告の少なくとも一方を通知する通知部と、を有し、
演算部は、水位データの最低位置と最高位置の差分に基づいて、波高を演算する。
この構成により、海洋や湖沼などに簡便な構造の浮遊型観測機器を浮かべておき、演算などについては、演算機器で実行することで波浪状況を観測できる。
本発明の第2の発明に係る波浪観測通知システムでは、第1の発明に加えて、浮遊型観測機器は、事業者の作業場所に対応して設置される。
この構成により、事業者にとって最適な位置での波浪状況を観測できる。
本発明の第3の発明に係る波浪観測通知システムでは、第2の発明に加えて、複数の浮遊型観測機器が、複数の事業者の作業場所のそれぞれに対応して設置され、
複数の浮遊型観測機器のそれぞれは、観測した水位データを、演算機器に送信する。
この構成により、水位データのみを浮遊型観測機器が観測し、波浪状況の演算などは、水面に設置されない演算機器が行うとの役割分担ができる。
本発明の第4の発明に係る波浪観測通知システムでは、第1から第3のいずれかの発明に加えて、浮遊型観測機器は、水面に合わせて上下移動することで、水位データを観測する。
この構成により、実際の波浪に合わせた水位データを得ることができる。
本発明の第5の発明に係る波浪観測通知システムでは、第1から第4のいずれかの発明に加えて、所定時間間隔は、可変である。
この構成により、場所や事業者の都合に合わせた水位データを得ることができる。
本発明の第6の発明に係る波浪観測通知システムでは、第1から第5のいずれかの発明に加えて、浮遊型観測機器は、位置測位部を更に有し、
位置測位部は、浮遊型観測機器の漂流および漂流位置を通知可能である。
この構成により、浮遊型観測機器の紛失などに対応できる。あるいは紛失などを未然防止できる。
本発明の第7の発明に係る波浪観測通知システムでは、第1から第6のいずれかの発明に加えて、演算部は、波高に加えて、波の周期も演算する。
この構成により、波の周期による作業等への安全性の確保が可能となる。
本発明の第8の発明に係る波浪観測通知システムでは、第7の発明に加えて、水位データは、所定時間間隔のそれぞれに対応する複数のデータを含んでおり、
演算部は、
複数のデータの最低位置と最高位置との差分値に基づいて、波高を演算し、
複数のデータの最低位置から次の最低位置までの時間、もしくは複数のデータの最高位置から次の最高位置までの時間に基づいて、周期を演算する。
この構成により、水位データから波高と周期を演算できる。浮遊型観測機器は、水位データのみを観測して送信するだけで済む。
本発明の第9の発明に係る波浪観測通知システムでは、第8の発明に加えて、演算部は、波浪に含まれる一つの波における波高と周期の少なくとも一方を演算可能であり、波浪に含まれる重複された複数の波における波高と周期の少なくとも一方を演算可能である。
この構成により、個別の波による影響も検討できる。
本発明の第10の発明に係る波浪観測通知システムでは、第1から第9のいずれかの発明に加えて、演算機器は、事業者の事情に対応する波高および周期の少なくとも一方の基準値を記憶する記憶部を更に備え、
通知部は、
演算部で演算された波高と基準値を比較して、波高に対する警告を通知し、
演算部で演算された周期と基準値を比較して、周期に対する警告を通知する。
この構成により、事業者にとって適切なレベルでの警告が通知できる。
本発明の第11の発明に係る波浪観測通知システムでは、第10の発明に加えて、記憶部は、複数の事業者の個々に対応して異なる基準値を記憶可能である。
この構成により、事業者ごとに応じた警告通知を行える。
本発明の第12の発明に係る波浪観測通知システムでは、第10の発明に加えて、通知部は、携帯端末、パーソナルコンピューター、タブレット端末、スマートフォンおよび専用装置の少なくとも一つの端末に対して、警告の通知を行う。
この構成により、警告を確実に届けることができる。
本発明の第13の発明に係る波浪観測通知システムでは、第1から第12のいずれかの発明に加えて、演算機器は、演算部での演算結果に基づいて、時間的に後の波浪状況を予測する予測部を更に備え、
予測部は、予測結果を、通知部を介して通知可能である。
この構成により、将来的な対応も可能となる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
(波浪について)
図1は、海洋や湖沼などで生じる波浪の模式図である。風、気圧変化、海流などの様々な条件によって、海洋や湖沼の水面に波が生じ、これが波浪となる。図1に示されるように、生じている波浪において、水位の最高位置101と水位の最低位置102との差分が、波の高さである波高として定義される。また、ある波の最高位置101から次の波の最高位置103までの期間が、波の1周期として定義される。周期は、もちろん、波の最低位置から最低位置までを基準としてもよい。あるいは、平均水位と相対水位とから算出することで、波高を算出してもよい。
このように海洋や湖沼の水面において波浪が生じると、従来技術で説明したように、漁業者、運航業者、港湾業者、港湾施工業者などにとっては、大きな影響が生じる。危険性であったり、業務遂行の困難性であったりする。また、業種によっては、法規制などで、波浪状態によっては業務を中止する必要のある場合などがある。例えば、港湾施工業者においては、波高が所定値以上である場合には、業務中止の必要があったりする。
このように波浪は、様々な事業者への影響を与えうる。波浪は、波高と周期などの要素を含んでいる。この波浪を観測して事業者に通知することが求められている。
(全体概要)
図2は、本発明の実施の形態1における波浪観測通知システムのブロック図である。図2は、波浪観測通知システムの設置状態も含めて模式的に、波浪観測通知システムを示している。
波浪観測通知システム1は、浮遊型観測機器2と、演算機器3とを大きな要素として備える。浮遊型観測機器2は、水面に設置されて、所定データを観測する。図2に示されるように、浮遊可能な構成を有しており、水面に浮遊した状態で、所定データを観測する。浮遊可能な浮力を有していることで、水面において波が生じる場合でも、この波の動きに合わせて水面を移動可能であり、上下移動などを行える。この点で、浮遊をしながら観測できる浮遊型観測器2である。
演算機器3は、浮遊型観測機器2と通信可能であって、水面ではなく離隔した場所に設置されている。例えば、観測を行いたい海洋や湖沼などの近くの地上であり、水面に設置された浮遊型観測機器2と電気信号を通信可能な範囲において設置される。
また、演算機器3は、浮遊型観測機器2と通信可能な範囲であることを前提にした場所に設置されてもよい。あるいは、気象条件が非常に悪い状況でも問題の無い場所に設置されてもよい。あるいは、波浪観測通知システムからの通知を必要とする事業者10に近い位置あるいは事業者10に通知しやすい位置(通信可能な位置)に設置されてもよい。
このとき、演算機器3は、事業者10のそれぞれに合わせて設置されてもよいし、複数の事業者10をまとめて対応するように設置されてもよい。また浮遊型観測機器2との関係では、演算機器3は、複数の浮遊型観測機器2のそれぞれに対応して設置されることもよい。あるいは、浮遊型観測機器2のそれぞれに対応して設置されてもよい。
波浪観測通知システム1は、波浪が生じる海洋や湖沼などの水面に設置されて、実際の波に関する所定データを観測する浮遊型観測機器2と、浮遊型観測機器2から送られる所定データに基づいて、波浪状況を演算する演算機器3との、大きな2つの要素で、波浪を観測して、必要とする事業者10に通知する。
浮遊型観測機器2が、実際に水面に浮遊して波浪に関する所定データを観測して、この所定データの演算や解析などは演算機器3にて行われる。このため、浮遊型観測機器2は、簡易な構造とでき、低コスト化が図られる。また、水面に浮遊して観測するだけであるので、水底や水中に固定するなどの、設置作業に伴う困難性やコストも低減できる。結果として多くの場所に設置が可能であり、多くの場所にある事業者10の利便性を高めることができる。また、設置密度も上げることができるので、事業者10に応じたきめ細やかな波浪状況の通知が行える。
演算機器3は、所定データを受信した後の、データの加工、演算、解析、通知などの処理を行う。このため、実際の波浪状況の把握は、演算機器3において役割分担され、浮遊型観測機器2での負担を軽減できると共に、波浪状況は演算の正確性も高まる。また、演算機器3は、水面ではなく地上に設置されればよいので、所定データに基づく波浪状況の解析や演算を、より正確に行える。
また、設置後の、演算等における演算式やデータ換算のための表などのアップデートや、ソフトウェアやハードウェアのアップデートも容易となる。この結果、事業者10毎によって異なる要望にも、対応しやすくなる。例えば、ある事業者10は、波高が1m以上で警報を出してほしい状態であったが、法規制などの変更により、3m以上で警報を出してほしいとの要請に変更があることがある。
演算機器3が、地上などの入れ替えやアップデート作業が容易な場所にあって、これらの解析や通知に関する機能の全てを含んでいることで、このような変更にも対応できる。例えば、解析などに関するソフトウェアやデータを入れ替えればよいからである。
このように、本発明の波浪観測通知システム1は、実際に水面において浮遊する浮遊型観測機器2と、所定データに基づいて演算や通知を実行する演算機器3とに分かれていることで、高い精度でかつきめこまやかな範囲での波浪状況の観測と通知を行える。また、浮遊型観測機器2が、水面から得られるデータであって、解析等の余分な演算を施していない取得された状態のままである所定データのみの観測と収集を行い、所定データの演算や解析などは、演算機器3にて行われることで、浮遊型観測機器2のコスト低下を実現できると共に、演算機器3での精度が高く、事業者10のそれぞれにきめ細やかに応じた観測通知を行える。
浮遊型観測機器2は、所定データとして、所定時間間隔毎に水位データを観測する観測部21と、水位データを送信する送信部22を備える。浮遊型観測機器2は、水面に浮く。水面において波が生じていると、その波によって、浮遊型観測機器2は、上下移動できる。この上下移動は、ある瞬間のそれぞれでの水位を示している。
なお、水位データとして送信されるデータ内容は、水位そのもの示すデータでもよいし(例えば、浮遊型観測機器2の実際の高さの位置を示すスカラー値)、この水位そのものを示すデータを算出するための前段階のデータでもよい(例えば、浮遊型観測機器2が高さ移動を見出すための加速度であったりジャイロ検出データであったりする)。もちろん、その前段階のデータであっても、途中段階と前段階のデータが混在しているものであってもよい。
要は、実際の水面の上下移動での位置を示す水位を示すデータを水位データとしている。
観測部21は、この浮遊型観測機器2の波に合わせた(波が無い場合も含めて)上下移動によって水位を検出できる。所定時間間隔毎に、観測部21は、この水位を検出して、水位データとして観測する。観測部21は、この観測した水位データを、送信部22に出力する。
送信部22は、観測部21から受け取った水位データを、演算機器3に送信する。送信部22は、無線通信あるいは有線通信(あるいはその混在)によって、演算機器3に水位データを送信する。
演算機器3は、受信部31、演算部32、通知部33を備える。
受信部31は、送信部22から送信される水位データを受信する。水位データは、観測された生の状態でのデータであり、受信部31は、この水位データを受信して、解析や演算につなげる。なお、送信部22から受信部31への水位データの送信においては、適宜、データ圧縮などの技術が用いられれば良い。受信部31が起点となることで、演算機器3は、独立した状態で、波浪状況の演算や通知を行うことができるようになる。
受信部31は、受信した水位データを演算部32に出力する。演算部32は、波浪状況を演算する。このとき、波浪状況の一つとして、浮遊型観測機器2の設置場所の波の高さである波高を演算する。波高は、図1で示したように、ある一つの波において、最高位置から最低位置までの差分(高低差)によって、演算される。
演算部32は、所定間隔毎の水位データを受け取る。
図3は、ある水位データを示す模式図である。図3に示される波は水位変化を生じさせる。図3におけるA~Iの各点は、観測部21が観測した、所定時間間隔毎の水位データを表している。A~Iのそれぞれは、ある所定時間間隔を示している。
水位A:105cm
水位B:101cm
水位C: 98cm
水位D: 92cm
水位E: 85cm
水位F: 79cm
水位G: 72cm
水位H: 77cm
水位I: 83cm
このように水位データを、演算部32は受け取る。演算部32は、水位Gの前後である水位Fと水位Hが、水位Gより大きいことを把握できる。その前後もそのような傾向がある。すなわち、水位Gが最低位置であることを検出できる。同様に、水位Aが最高位置であることも検出できる。この水位Aと水位Gとの差分値は、33cmである。このため、演算部32は、この波の波高を「33cm」として演算する。
あるいは、平均水位から相対水位を求めて、そのうえで波高を算出することでもよい。
水位A: 82cm
水位B: 87cm
水位C: 92cm
水位D:101cm
水位E:105cm
水位F:101cm
水位G: 96cm
水位H: 91cm
水位I: 84cm
水位J: 74cm
水位K: 72cm
水位L: 76cm
水位M: 82cm
水位N: 89cm
これらの水位データからは、平均水位が88cmとして算出される。ここから、ゼロアップクロスとして、平均水位の位置から次の平均水位の位置までの1周期を一つの波の周期(1波)として算出する。この1波に含まれる最低位置と最高位置を相対水位の算出基準とする。最高位置は、水位Eであり、最低位置は水位Kである。
ここでは、水位Eの相対水位は、105cm-88cmで+17cmである。水位Kの相対水位は、72cm-88cmで-16cmである。この相対水位の差分は33cmであり、33cmを波高として算出してもよい。
浮遊型観測機器2の観測部21は、継続して、この水位データを観測して、送信する。受信部31は、継続して時間間隔ごとの水位データを受信しており、この刻々と得られる水位データに基づいて、演算部32は、波の高さである波高を演算する。図3でのある波の波高を33cmと演算し、次の波の波高を例えば50cmなどとして演算していく。
通知部33は、演算部32で演算された波高に基づいて、波浪状況および警告の少なくとも一方を通知する。通知部33は、波浪観測通知システムの対象者である事業者10に、この波浪状況および警告の少なくとも一方を通知する。
事業者10は、この波浪状況や警告を受け取ることで、事業の進捗や中止などの判断を行うことができる。もちろん、事業者10によっては、法規制あるいは自主的な規則により、予め通知部33において波高が所定値以上であれば警告を通知するように設定しておくことも可能である。この場合には、通知部33は、警告を事業者10に通知し、事業者10は、規制や規則への対応を行う。例えば、作業の一時中断などである。
このように、波浪観測通知システム1は、波浪状況を観測して、これについての通知を行う。このとき、図2、図3のように、波浪状況の一つの要素としての波高が測定される。この測定された波高についての情報が通知されると共に、必要に応じて警告も通知される。このような観測と通知が合わせてなされることで、事業者10にとっては、安全安心な事業の実施が可能となる。
また、上述したように、浮遊型観測機器2は、水面の水位データを観測して収集するだけであり、これらのデータの解析等については省略している。このため、浮遊型観測機器2は、単純化かつ簡素化できるので、コストを抑えることができる。また、水面に浮いている状態であればよいので、様々な場所において使用できる。
多数の浮遊型観測機器2を使用することも可能なので、水位データを観測して収集する地点や領域を広げることができる。この結果、様々な事業者10に波浪観測通知システムのサービスを提供できる。また、観測地点や領域が多くなることで、観測精度や、演算機器3での演算精度も向上する。
また、水位データ(収集しただけの情報)を加工、解析、演算等を行うのは、演算機器3であるので、集中的な演算が可能である。演算内容や処理手順のアップデートや変更も集中的かつ事後的に行えるので、事業者10のそれぞれの要望に応じた対応が可能となる。また、演算機器3は、波浪が発生している場所と離隔させて設置できるので、安全性も高まる。
(各部の詳細とバリエーション)
次に、各部の詳細とバリエーションについて説明する。
(浮遊型観測機器)
図4は、本発明の実施の形態1における浮遊型観測機器2の模式図である。浮遊型観測機器2は、図4のように、海洋や湖沼などの水面20に浮いている。浮遊型観測機器2は、水面20に浮かべられることで波に会わせて浮遊が可能となる。すなわち、波に合わせて上下移動するので、この上下移動によって、水位を検出できる。
浮遊型観測機器2は、例えば内部に浮遊体23を備えている。例えば、空気などの比重の軽い内部空間が形成されている。この浮遊体23が水面20において、浮遊型観測機器2を浮かせることができる。
浮遊型観測機器2は、事業者10にとって、必要となる波浪状況を観測する。このため、浮遊型観測機器2は、例えば、事業者10の一つである海洋事業者の作業場所に対応して設置されることが好ましい。もちろん、海洋事業者だけでなく、漁業者、港湾業者、港湾作業者、港湾施工業者などの作業場所に対応して(その近傍に)設置されることが好ましい。例えば、海洋事業者や港湾業者の近接する海面などに設置されることが好ましい。
波浪状況を把握することが必要となる事業者10の近傍での波浪状況が水位データとしてまず観測されていることで、事業者10にとって最適な情報となるからである。
同様に、複数の浮遊型観測機器2が、海洋事業者や港湾事業者などの事業者10の作業場所のそれぞれに対応して設置されることも好適である。例えば、一つの事業者10に対して、5個の浮遊型観測機器2が設置される。複数の浮遊型観測機器2のそれぞれは、個々に観測した水位データを送信する。演算機器3は、それぞれの浮遊型観測機器2からの水位データに基づいて、波高や波の周期などの波浪状況を演算する。
事業者10の周囲における複数個所の波高や波の周期などが演算されて把握されることで、事業者10にとっては、より詳細な情報を得ることができる。状況把握が全体的あるいは俯瞰的になることで、自身の作業継続などに置いて、適切な参考が可能となる。もちろん、より精度の高い警告も受けることができる。
浮遊型観測器2は、図4のように水面20に浮いている。浮遊体23によって浮くことで、水面20の変動に合わせて移動できる。すなわち、波が発生すれば水面20は上下に動く。この上下の動きに合わせて、浮遊型観測機器2は上下移動する。この上下移動によって、浮遊型観測機器2は、図3のような水位データを観測できる。
観測部21は、時間計測部(タイマー)を備えている。この時間計測部の時間計測によって、観測部21は、所定時間間隔を把握できる。これとは独立して、浮遊型観測器2は、波に漂うがごとく水面20の変化に合わせて上下移動する。観測部21は、所定時間間隔のタイミングのそれぞれで、上下移動した位置を検出できる。この結果、観測部21は、図3のように所定時間間隔毎の水位データを得ることができる。
ここで、所定時間間隔は可変であることでもよい。観測部21は、時間計測部を制御することで、所定時間間隔を変更できる。これは、浮遊型観測機器2の設定の変更によってもよいし、遠隔操作(信号送信による無線制御)での変更でもよい。
(演算機器)
演算機器3は、事業者10の近隣あるいは波浪観測通知システム1の運営業者の場所において設置されればよい。前者の場合には、事業者10そのものが、波浪観測通知システムを運営、管理等を行う。後者の場合には、サービス業者が運営、管理を行う。
いずれの場合でも、演算機器2が、事業者10へのサービスを提供可能であって、浮遊型観測機器2と通信可能であればよい。
(波の周期の観測)
図5は、本発明の実施の形態1における波の周期の演算を示す模式図である。図3のように、浮遊型観測機器2は、所定時間間隔毎に水位データを検出して観測する。演算機器3は、この水位データを得る。
このとき、水位データの最高位置と最低位置の差分から、波高を演算できる。ここで、水位データは所定時間間隔の時刻情報を含んでいる。図5においては、観測した水位データの各ポイントにおける時刻情報を示している。この水位データは上述の通り水位についての情報も含んでいる。
この水位データに基づいて、演算部32は、波高に加えて、波の周期も演算可能である。水位データは、図3や図5のように複数のデータ(値を)を含んでいる。図5においては、水位Aから水位Nまでのデータを含んでいる。演算部32は、この水位データの内、最低位置から次の最低位置までの時間、もしくは最高位置から次の最高位置までの時間に基づいて、波の周期を演算する。
図5においては、演算部32は、水位A~水位Nを含む水位データにおいて、水位Aが最高位置であり、水位Nが次の最高位置である。水位Aから水位Nまでの時間は、26Sec(26秒)である。この水位データに基づいて、演算部32は、波の周期を26秒として演算する。
もちろん、別の波であれば、別の値としての周期を演算する。
また、既述したように、演算部32は、波の最高位置から最低位置までの差分値に基づいて、波高を演算する。
このように、演算機器2は、波高に加えて、波の周期も演算できる。この波の周期も波浪状況の一つの要素として、事業者10に通知される。波高は、漁業者にとっては漁業の実施に影響がある。港湾事業者や海運業者にとっても同様である。
波の周期も、周期によって船舶の運航が難しくなってしまったり、港湾施工などの作業がやりにくくなったりする。特に、波高はそこまででもなくても、周期が大きかったりあるいは小さかったりすることで、船舶の転覆や運航困難などの問題にもつながりうる。
このような点でも、演算機器3が波の周期も演算して通知することは好適である。また、通知部33は、波の周期に基づく警告を通知することも好適である。
(複数の波からの演算と通知)
図1に示されるような波は、複数の波が重複しているものであることも多い。沖から複数の波が岸に押し寄せる中で、複数の波が重複して見た目上、一つの波になっていることがあるからである。
演算部32は、波浪に含まれる重複された複数の波における波高と周期を測定することも可能である。このとき、浮遊型観測機器2は、波の動きに合わせて上下移動しながら、水位データを観測する。この水位データの観測において、所定時間間隔を細かくすることで、より多くの水位データを得ることができる。
演算部32は、この多くの水位データから、その水位の変位を把握することで、複数の波のそれぞれを分割して検出することができる。この分割して検出した波のそれぞれの波高と周期を演算する。
このようにして、演算部32は、複数の波における波高と周期を演算できる。複数の波のそれぞれの波高や周期が分かることで、船舶や港湾などへの影響度合いをより詳細に図ることができるからである。
例えば、一つの波では波高や周期において問題がなさそうであるが、複数の波の波高や周期が次第に大きくなっているなどの傾向があれば、作業における影響となり得る。通知部33がこのような波浪状況を通知すると、事業者10は、それぞれの事業の特性に応じた判断で、事業の中止などを決めることができる。もちろん、通知部33が、このような警告を通知してもよい。
通知部33は、作業中止や作業の危険性を示す警告を通知すればよい。
あるいは、浮遊型観測機器2を沖合と岸側のそれぞれに設置して、両方での波の波高と周期を測定できる。このとき、沖合では一つの波に重複される前の複数の波のそれぞれについての波高や周期を測定できる。岸側では、重複された一つの波の波高と周期が観測される。
通知部33は、沖合と岸側とのそれぞれの演算結果から、事業者10にとって最適な警告を通知することができる。
例えば、岸側での波の波高や周期は、作業に影響を与えるほどではないが、沖合での波の波高や周期が作業に影響を与える可能性がある場合がある。この場合には、時間的に近いところで、岸側でも問題が生じる可能性がある。このような場合にも、複数の波のそれぞれの波高や周期が演算されることは好ましい。
以上のように、実施の形態1における波浪観測通知システム1は、波高や周期などの波浪状況を観測して通知する。必要に応じて、警告も通知する。これらの結果、運航業者、海運業者、港湾事業者、港湾施工業者などの波の影響を受ける事業者10にとって、作業の安全性や安心を高めることができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2においては、他のバリエーションなどについて説明する。
(基準値との比較)
図6は、本発明の実施の形態2における演算機器のブロック図である。図6の演算機器3は、記憶部34を更に備えている。記憶部34は、事業者10の事情に対応する波高および周期の少なくとも一方の基準値を記憶する。例えば、ある事業者10にとって、波高が3mで危険であるとの基準値を記憶する。すなわち、3mの波高を基準値として記憶する。
記憶部34は、通知部33あるいは演算部32と情報のやり取りが可能である。通知部33が、記憶部34に記憶されている基準値を読み出せる。
通知部33は、演算部32で演算された波高と記憶部34に記憶されている波高の基準値とを比較する。この比較の結果、演算部32で演算された波高が危険レベルであると判断できる場合には、警告を通知する。
あるいは、演算部32で演算された周期と記憶部34に記憶されている周期の基準値とを、通知部33は比較する。この比較の結果、演算部32で演算された周期が危険レベルであると判断できる場合には、通知部33は、警告を通知する。
このように、基準値が予め記憶されていることで、通知部33は、実際の観測された波浪状況が、事業者10にとって危険であるなどの警告を通知できる。
また、一つの事業者10にとって、複数の基準値が記憶されていてもよい。複数の基準値との段階的な比較によって、事業者10にとって危険である、危険性がある、危険になりうるなどの段階での警告を通知できるからである。
記憶部34に記憶される基準値は、事後的に変更されてもよい。事業者10の都合、事業変更、法令変更などによって、警告とすべき段階である基準値を、変更することが適切である場合もあるからである。
また、演算部32での演算結果の積み重ねにより、基準値を決定することでもよい。例えば、ある事業者10に対応して設置されている浮遊型観測機器2で観測された水位データに基づいて、演算部32は、ある事業者10に対応する波浪状況を演算する。このとき、演算結果である波高や周期の演算結果が積み重ねられる。
演算部32は、これら演算された複数の波高や周期の平均値に基づいて、基準値を算出することが可能である。このような実際に演算された波高などの値の積み重ねから、事業者10にとっての基準値を算出するほうが、より適切であることがあるからである。
また、演算機器3は、複数の事業者10に対応する複数の浮遊型観測機器2のそれぞれに対応することも可能である。この場合には、複数の事業者10に対応する複数の浮遊型観測機器2から水位データを受信する。演算機器3は、複数の浮遊型観測機器2からの水位データ(すなわち、複数の場所で観測された水位データ)のそれぞれについて、波浪状況を演算できる。
このため、記憶部34は、複数の事業者10のそれぞれに対応して異なる基準値を記憶することも好適である。演算部32は、複数の浮遊型観測機器2での波浪状況を演算し、通知部33は、複数の事業者10のそれぞれに対応する基準値との比較を実行する。
この複数の事業者10のそれぞれに対応する基準値との比較を行うことで、通知部33は、事業者10のそれぞれに適した警告を通知できる。もちろん、複数の事業者10のそれぞれに対応した基準値は、上述の通り、事後的に変更されたり、演算部32で算出されたものであったりしてもよい。
(演算機器と複数の浮遊型観測機器)
図7は、本発明の実施の形態2における波浪観測通知システムの模式図である。図7では、複数の事業者10のそれぞれに対応する複数の浮遊型観測機器2に、一つの演算機器3が対応する場合を示している。図7は、複数の事業者10のそれぞれに対応する浮遊型観測機器2が備わっている状態を示している。なお、図7においては、見易さのために、重複する符号については、省略している。
複数の事業者10は、それぞれ異なる特性や場所を有することがある。これら事業者10のそれぞれに対応する場所(海岸、湖岸、海洋、港湾など)に、浮遊型観測器2が設置される。これら複数の浮遊型観測機器2は、それぞれの設置位置において、水位データを観測して、演算機器3に送信する。
浮遊型観測機器2は、実際の水面において設置されなければ、水位データを観測できない。このため、それぞれ事業者10に応じた場所に設置されて、水位データを観測する必要がある。
一方で、演算機器3は、様々な場所に設置可能であり、複数の浮遊型観測機器2に集中的に対応することができる。図7のような態様である。演算機器3は、内部の演算部32や通知部33が、時分割あるいは処理の並列化などによって、複数の浮遊型観測機器2からの水位データのそれぞれに対応することができる。
このようにして、演算機器3が複数の浮遊型観測機器2をまとめて対応することができる。図7に示される複数の事業者10のそれぞれには、演算機器3が、波浪状況や警告を通知する。
このように、演算機器3がまとめて対応することで、集中処理が可能となり、システムの運用が容易となる。また、種々のソフトウェアやハードウェアのアップデートや置き換えなども、集中的に行えるメリットがある。
(通知部の通知対象)
通知部33は、事業者10に波浪状況や警告を通知する。このとき、通知部33は、携帯端末、パーソナルコンピューター、タブレット端末、スマートフォンおよび専用装置の少なくとも一つの端末に対して、警告を通知すればよい。これらの端末や装置に警告が通知されることで、事業者10は、警告の受信が確実となり、波浪状況への対応を確実に行うことができるようになるからである。
これらの端末や装置は、事業者10の場所に設置されていてもよいし、事業者10の作業者などが所持していてもよい。また、事業者10の作業場所から離隔した場所にいる管理者が所持していることでもよい。
いずれの場合でも、警告が確実に受信でき、適切な対応を行うことができるからである。
(予測通知)
図8は、本発明の実施の形態2における演算機器のブロック図である。図8に示される演算機器3は、予測部35を更に備えている。
予測部35は、演算部32での演算結果に基づいて、時間的に後の波浪状況を予測する。例えば、演算部32が演算した演算結果の積み重ねから、以降の波浪状況を予測することができる。例えば、波高が次第に大きくなっている傾向がある場合には、予測部35は、以降において波高がより大きくなると予測できる。
以降の時間において、波高が大きくなっていくという状況であれば、事業者10にとっては、対策を立てる必要がある。予測部35は、このような波高が大きくなっていくとの予測結果を、通知部33を介して、事業者10に通知可能である。通知を受けた事業者10は、これに対応する対策を行えばよい。
あるいは、波高が次第に小さくなっていくとの予測を、予測部35が行うこともある。この場合にも、予測部35は、波高が小さくなっていくとの予測を、通知部33を介して通知できる。
例えば、波浪に対して作業を中止していた事業者10は、波高が小さくなっていくとの予測結果を受けて、作業再開の対応を行うことができる。
このように、演算機器3が予測部35による予測も含めて通知できることで、事業者10は、適切な対応を行うことができる。また、事業者10は、作業の継続、中断、再開などを切り替えることができ、適宜の対応が可能となって事業効率を向上させることができる。
(浮遊型観測機器の位置測定)
浮遊型観測機器2は、位置測定部を更に有することも好適である。図9は、本発明の実施の形態2における浮遊型観測機器の模式図である。図9の浮遊型観測機器2は、位置測定部24を更に有している。
位置測定部24は、例えばGPSなどの機能を用いて、浮遊型観測機器2の位置を測定して、送信部22を通じてその位置結果である測位位置を演算機器3に送信できる。この結果、演算機器3は、常に浮遊型観測機器2の位置を把握できる。複数の浮遊型観測機器2を、まとめて対応する場合には、浮遊型観測機器2のそれぞれは、自身の識別子と合わせて測位位置を送信すればよい。
演算機器3が浮遊型観測機器2のそれぞれの位置を把握可能であることで、浮遊型観測機器2の紛失を防止することができる。あるいは、紛失や流されたりした場合においても、浮遊型観測機器2の回収などが可能となる。結果として、システム全体の保全性やメンテナンス性を高めることができるようになる。
なお、実施の形態1~2で説明された波浪観測通知システムは、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
1 波浪観測通知システム
2 浮遊型観測機器
21 観測部
22 送信部
23 浮遊体
3 演算機器
31 受信部
32 演算部
33 通知部
34 記憶部
35 予測部
10 事業者
20 水面

Claims (6)

  1. 水面に設置されて、所定データを観測する浮遊型観測機器と、
    前記浮遊型観測機器で観測された前記所定データを受信して、波浪状況を演算する演算機器と、を備え、
    前記浮遊型観測機器は、
    前記所定データとして、所定時間間隔毎に水位データを観測する観測部と、
    前記水位データを送信する送信部と、を有し、
    前記演算機器は、
    前記水位データを受信する受信部と、
    前記水位データに基づいて、前記波浪状況として前記浮遊型観測機器の設置場所の波の高さである波高を演算する演算部と、
    前記波高に基づいて、前記波浪状況および警告の少なくとも一方を通知する通知部と、を有し、
    前記演算部は、前記水位データの最低位置と最高位置の差分に基づいて、前記波高を演算し、
    前記演算部は、前記波高に加えて、波の周期も演算し、
    前記水位データは、前記所定時間間隔のそれぞれに対応する複数のデータを含んでおり、
    前記演算部は、
    前記複数のデータの最低位置と最高位置との差分値に基づいて、前記波高を演算し、
    前記複数のデータの最低位置から次の最低位置までの時間、もしくは前記複数のデータの最高位置から次の最高位置までの時間に基づいて、前記周期を演算し、
    前記演算部は、波浪に含まれる一つの波における前記波高と前記周期の両方を演算可能であり、前記波浪に含まれる重複された複数の波における前記波高と前記周期の両方を演算可能であり、
    前記演算機器は、事業者の事情に対応する波高および周期の両方の基準値を記憶する記憶部を更に備え、
    前記通知部は、
    前記演算部で演算された前記波高と前記基準値を比較して、前記波高に対する警告を通知し、
    前記演算部で演算された前記周期と前記基準値を比較して、前記周期に対する警告を通知し、
    前記記憶部は、複数の前記事業者の個々に対応して異なる前記基準値を記憶可能であり、
    前記浮遊型観測機器は、事業者の作業場所に対応して設置され、
    複数の前記浮遊型観測機器が、複数の事業者の作業場所のそれぞれに対応して設置され、
    前記複数の浮遊型観測機器のそれぞれは、観測した前記水位データを、前記演算機器に送信する、波浪観測通知システム。
  2. 前記浮遊型観測機器は、水面に合わせて上下移動することで、前記水位データを観測する、請求項1記載の波浪観測通知システム。
  3. 前記所定時間間隔は、可変である、請求項1または2記載の波浪観測通知システム。
  4. 前記浮遊型観測機器は、位置測位部を更に有し、
    前記位置測位部は、前記浮遊型観測機器の漂流および漂流位置を通知可能である、請求項1からのいずれか記載の波浪観測通知システム。
  5. 前記通知部は、携帯端末、パーソナルコンピューター、タブレット端末、スマートフォンおよび専用装置の少なくとも一つの端末に対して、警告の通知を行う、請求項1記載の波浪観測通知システム。
  6. 前記演算機器は、前記演算部での演算結果に基づいて、時間的に後の波浪状況を予測する予測部を更に備え、
    前記予測部は、予測結果を、前記通知部を介して通知可能である、請求項1 からのいずれか記載の波浪観測通知システム。
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