JP7022039B2 - 車両割当支援システム、方法、およびプログラム - Google Patents

車両割当支援システム、方法、およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、鉄道の車両基地における車両の割当計画の作成を支援する技術に関する。
鉄道の車両基地では、各車両の検査が行われる。車両の検査は、どの車両をいついつ検査するかを定めた検査計画に基づいて行われる。また、鉄道の車両基地では、ダイヤの各列車にどの車両を割り当てるかを決定する車両割当が行われる。車両割当では、各車両の運用を事前に計画した車両運用計画に基づき、予め計画されたダイヤの各列車にどの車両を割り当てるかを決定している。
しかし、ダイヤが乱れた場合や、車両の検査に遅延が発生した場合、車両運用計画に定めた車両割り当ての変更や検査計画の変更が必要になる。また、車両の運用や検査の計画を変更すると、翌日の検査計画や運行計画にまで影響を及ぼす可能性もある。
特許文献1には、当日急きょ列車の運行に車両を使用する際に、翌日の車両の運用および検査種別を考慮することで使用可能な車両を絞り、翌日への影響を軽減する技術が開示されている。
特開2014-151849号公報
しかし、特許文献1に開示された技術は、当日の検査にかかった所要時間と、翌日の検査計画とに基づいて車両の割当を決定するものであり、列車に割り当てる車両が、そのときに列車により運搬可能にすべき旅客の人数である需要人数や、そのときに列車に求められる設備である需要設備を満たす車両であるかどうかを考慮していない。
例えば、イギリスでは、通勤時間帯の列車には通勤旅客に対してケータリングサービスを提供するのが一般的となっている。そのため、通勤時間帯の列車には、ケータリングサービスを実施するためのケータリング設備を備えた車両を優先するのが好ましい。一方、日中時間帯には、長距離の移動を目的として列車を利用する旅客が多く、そのような旅客は荷物や自転車を列車内に持ち込む場合がある。そのため、日中時間帯には荷物や自転車を置けるスペースを設備として備える車両を優先するのが好ましい可能性がある。特許文献1の技術では、そのような需要設備を考慮した車両割当を行うことができない。
また、車両基地側では、新たに列車に割り当てる車両を手配する必要が発生した時点の車両基地の状況に応じて、車両割当を決定する上での条件となる制約自体が変わる可能性がある。例えば、日中は検査計画や乗務員計画が比較的容易なので、日中の混雑緩和を理由として追加の車両を要請された場合であれば、予定を変更して車両の検査を実施し、その検査した車両を提供することが可能な場合がある。しかし、夜間では、車両を出すことによって列車の回送など乗務員に追加作業が発生したり、保守作業者のスキルや人数不足で検査の実施が困難となったりして、車両を提供するコストが高くつきすぎる可能性がある。そのような場合には運行事業者の望むダイヤに合わせて車両を提供しない方が良いという場合もありえる。
また、列車を運行する会社(運行事業者)と、車両を管理する会社(車両管理事業者)とが異なる場合、それらの会社間でどのような契約が結ばれているかによっては、要請に応じて車両を提供できる時間帯が制限される可能性がある。また、各車両基地の車両管理事業者が異なる場合、運行事業者は、複数ある車両基地の各担当者と交渉して、より良い条件で車両を提供できる車両基地を探す必要が生じる可能性もある。そのような交渉には時間がかかる。
本発明の目的は、車両基地毎に定められた車両割当に課される制約と、時間や路線毎に定められた車両が有すべき設備と、列車によって運搬可能とすべき旅客の人数と、車両の運用に要するコストとを勘案した車両割当を実施することを支援する技術を提供することである。
上記目的を達成するために本発明のひとつの態様による車両割当支援システムは、鉄道の列車に対して車両を割り当てる作業を支援する車両割当支援システムであって、車両基地毎に定められた該車両基地にある車両を列車に割り当てる場合に満たされるべき事項を示す制約条件と、時間および/または路線毎に定められた、列車に割り当てる車両が有すべき設備を示す設備条件と、を管理する制約管理部と、列車ダイヤの列車への車両の割り当てを実施する割り当て実施要求と共に、列車により運搬可能にすべき旅客の人数である需要人数の情報が与えられると、前記制約条件および前記設備条件を満たし、前記需要人数の旅客を運搬可能にするように前記列車ダイヤにおける列車へ割り当てることが可能な車両を探索することにより、前記列車ダイヤにおける前記列車に割り当てる車両の候補を抽出する車両候補抽出部と、前記抽出された候補について、車両の融通に関する計画である入換計画と、列車への乗務員の割り当てに関する計画である乗務員計画と、車両の検査を含む作業に関する計画である作業計画と、に与える影響の度合いである影響度に基づく運用コストを算出する影響判定部と、前記抽出された候補における、該候補に関する前記運用コストを表示する表示部と、を有する。
本発明のひとつの態様によれば、車両基地毎に定められた車両割当に課される制約と、時間や路線毎に定められた車両が有すべき設備と、列車によって運搬可能とすべき旅客の人数と、車両の運用に要するコストとを勘案した車両割当を実施することができる。
本実施形態の車両割当支援システムを示す図である。 図1に示した車両割当支援装置をはじめとするサーバ装置のハードウェア構成を示す図である。 図1に示した車両割当支援装置のソフトウェア構成を示す図である。 図1および図3に示した車両割当支援システムにおける処理の流れとデータの関係性を説明するための図である。 図3に示した基地条件データのデータ構造を示す図である。 図3に示した設備条件データのデータ構造を示す図である。 図3に示した車両データのデータ構造を示す図である。 図3に示した車両割当候補データのデータ構造を示す図である。 図1に示した動作割当支援システムにおいて車両割当支援装置が車両割当候補を出力して割当を完了するまでの動作フローを示す図である。 図3に示した車両候補抽出部の動作フローを説明するための図である。 図3に示した影響判定部の動作フローを説明するための図である。 図1に示した車両割当支援システムにおける、車両割当支援装置、需要管理装置、運行管理装置、計画作成装置、検査管理装置および表示装置間のデータのやりとりを含めた動作フローを説明するための図である。 図1に示した表示装置に表示される車両設備選択画面の一例を示す図である。 図1に示した表示装置に表示される基地管理画面の一例を示す図である。
以下に、本実施形態による車両割当支援システムについて図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の車両割当支援システムを示す図である。
本形態における車両割当支援システムは図1に示すように、車両割当支援装置10と、需要管理装置20と、運行管理装置30と、計画作成装置40と、検査管理装置50と、表示装置60とがネットワーク70を介して接続されて構成されている。なお、表示装置60は複数であってもよい。
需要管理装置20は、需要情報となる時間帯別の旅客の需要人数を管理する。
運行管理装置30は、本線を走る列車の運行情報を管理する装置であり、車両の故障や事故に伴う車両割当変更、および、旅客の需要拡大に伴う運行列車の増発に伴う車両割当追加が発生した場合に、列車ダイヤの列車への車両の割り当てを実施する割り当て実施要求を車両割当支援装置10に通知する。
検査管理装置50は、車両基地内で実施される検査計画や検査の進捗状況を検査情報として管理する装置であり、検査の遅延などにより計画していた車両割当を変更する必要性が発生した場合に、列車ダイヤの列車への車両の割り当てを実施する割り当て実施要求を車両割当支援装置10に通知する。
計画作成装置40は、車両基地内の計画情報を作成する。
車両割当支援装置10は、需要管理装置20から列車の需要情報を取得し、また、運行管理装置30から列車の運行管理情報を取得し、さらに、検査管理装置50から車両基地で管理する車両の検査情報を取得する。そして、計画作成装置40から得られる車両基地内の計画情報に基づいて、鉄道の列車に対して割り当てる車両の候補を示す車両割当候補情報を生成し、ユーザ80が操作する表示装置60に結果を表示する装置である。なお、車両割当支援装置10は、計画作成装置40または検査管理装置50上の一機能として構成してもよい。また、複数の車両基地にて車両割当支援装置10を利用する場合、管轄地域ごとに車両割当支援装置10を設ける装置構成としてもよく、その場合は、接続する各種装置もそれぞれネットワークを介して接続することができる。
表示装置60は、車両割当支援装置10にて生成された車両割当候補情報を表示する。
図2は、図1に示した車両割当支援装置10をはじめとするサーバ装置のハードウェア構成を示す図である。
図1に示した車両割当支援装置10をはじめとするサーバ装置は図2に示すように、主制御部11と、主記憶部12と、入力部13と、出力部14と、通信部15とを備えている。
主制御部11は、主記憶部12に記録されたプログラムコードをプロセッサが実行することで、サーバ装置10Aにおける情報処理を制御する。
主記憶部12は、サーバ装置10Aに関する情報を不揮発的に記憶する。
入力部13は、サーバ装置10Aに関する情報を手動で入力する必要がある際に、ユーザがサーバ装置10Aに対して入力する。
出力部14は、サーバ装置10Aに関する情報を出力する必要がある際に、サーバ装置10Aがユーザに対して出力する。
通信部15は、ネットワーク70を介して、他サーバ装置の通信部15と接続し、他サーバ装置と情報を伝達しあう。
本構成は、例えば、主制御部11をCPU(CENTRAL PROCESSING UNIT)とRAM(RANDOM ACCESS MEMORY)で、主記憶部12をハードディスクで、入力部13をキーボードで、出力部14をモニタで、通信部15をイーサネット(登録商標)で、実現することにより、従来からよく知られた装置で構成可能である。
図3は、図1に示した車両割当支援装置10のソフトウェア構成を示す図である。
図1に示した車両割当支援装置10は図3に示すように、制約管理部101と、監視部102と、車両候補抽出部103と、影響判定部104と、基地条件データ111と、設備条件データ112と、車両データ113と、車両割当候補データ114とを備えている。これらの実態は、図3に示した主記憶部12に格納されたソフトウェアプログラムおよびデータであり、実行時にはRAMに読み込まれてCPU(プロセッサ)によって実行される。
制約管理部101は、車両基地毎に定められたその車両基地にある車両を列車に割り当てる場合に満たされるべき事項を示す制約条件と、時間や路線毎に定められた、列車に割り当てる車両が有すべき設備を示す設備条件とを管理する。制約管理部101は、基地の制約条件と、時間ごとに設定した車両に優先される設備条件との入力を受け付け、それぞれ基地条件データ111と設備条件データ112として格納する。
監視部102は、検査管理装置50や運行管理装置30から通知される割り当て実施要求を監視し、検査管理装置50や運行管理装置30から割り当て実施要求が通知された場合は、監視部102は、車両候補抽出部102を動作させる。
車両候補抽出部103は、検査管理装置50や運行管理装置30から割り当て実施要求が通知されるとともに、列車により運搬可能にすべき旅客の人数である需要人数の情報が需要管理装置20から与えられると、運行管理装置30から取得した車両を割り当てる運行情報に対し、制約管理部101にて基地条件データ111と設備条件データ112として管理される制約条件および設備条件を満たし、需要人数の旅客を運搬可能にするように列車ダイヤにおける列車へ割り当てることが可能な車両を探索し、それにより、列車ダイヤにおける列車に割り当てる車両の候補を抽出する。
影響判定部104は、車両候補抽出部103にて抽出された候補について、検査管理装置50から取得した検査情報と、計画作成装置40が判断した検査計画の変更有無に基づき、車両候補抽出部103にて抽出された候補を選択した場合における車両基地の影響を定量的に算出する。具体的には、影響判定部104は、車両の融通に関する計画である入換計画と、列車への乗務員の割り当てに関する計画である乗務員計画と、車両の検査を含む作業に関する計画である作業計画とに与える影響の度合いである影響度に基づく運用コストを算出する。また、影響判定部104は、車両候補選択により、基地内の検査計画の変更がある場合には、計画作成装置40に再度計画を計算させる。
次に、図1および図3に示した車両割当支援システムにおける処理の流れとデータの関係性について詳細に説明する。
図4は、図1および図3に示した車両割当支援システムにおける処理の流れとデータの関係性を説明するための図である。
まず、制約管理部101は、ユーザが入力した基地条件および設備条件を取得し、基地条件データ111と設備条件データ112とをそれぞれ更新する。
次に、監視部102は、運行管理装置30または検査管理装置50から車両の割り当ての実施要求を受け付けると、車両候補抽出部103を起動させる。なお、監視部102は、車両の割り当ての実施要求を受け付けると共に、運行管理装置30から変更ダイヤデータを取得し、車両候補抽出部103に送信する。また、監視部102は、検査管理装置50から車両の割り当ての実施要求を受け付けた場合は、車両検査データを取得し、車両候補抽出部103に送信する。
次に、車両候補抽出部103は、需要情報となる時間帯別の旅客の需要人数を需要管理装置20から取得するとともに、車両割当支援装置10内の車両データ113を取得し、列車ダイヤにおける列車に割当可能な車両を割当候補車両として抽出する。なお、車両データ113の詳細については後述する。その際、車両候補抽出部103は、抽出した各割当候補車両について、制約管理部101にて基地条件データ111と設備条件データ112として管理される制約条件および設備条件を満たるかどうかを判断し、条件の満足度を判定する。
次に、影響判定部104は、車両候補抽出部103で抽出した車両割当候補に対して、候補列車を割り当てた場合の影響を判定する。具体的には、予定している検査計画や車両基地内の線路の占有計画、構内運転士や乗務員などの人的リソース計画が、車両割当によりどの程度変更されるかを特定し、前記計画変更などに伴い発生する業務から車両基地の運用コストを算出し、車両割当候補データ114を更新する。なお、予定していた計画との運用コストの差異が少なく、変更に伴う車両運用への影響が少ない車両ほど優先度が高い列車となる。
その後、影響判定部104は、車両割当候補データ114を表示装置60に送信し、ユーザに表示する。ユーザが表示された車両割当候補と、その車両割当候補を選択した際の車両基地への影響を確認した上で車両を選択すると、表示装置60は、ユーザが選択した車両の情報を運行管理装置30および検査管理装置50に通知する。
図5は、図3に示した基地条件データ111のデータ構造を示す図である。
図3に示した基地条件データ111は、車両基地の制約を管理するものであって、図5に示すように、車両基地を一意に特定可能な基地ID501を持ち、各基地に対して、路線ID502と、制約503と、制約の評価値504、優先度505とを格納してする。
路線ID502は、路線限定で適用される制約であれば路線IDを設定し(図5に示す例ではTまたはTT)、路線を問わず適用可能な制約であれば「-」などの表現で設定可能とする。制約503には、例えば、列車を構成する車両の編成を変更する際の車両の割当の有無や、予備車両の利用条件数などの内容を設定する。評価値504には、制約503にて設定される制約を判定するための評価値を格納する。なお、評価値は制約の適用有無(「あり」または「なし」)、あるいは、上限値や下限値として利用可能な数値を格納する。優先度505は必ず守るべき制約であれば1、調整により変更可能な場合は2とするなど、優先度の程度に応じて設定する。
例えば、図5に示す基地条件データ111のそれぞれについて説明すると、図5に示す一段目においては、基地IDがXである車両基地では、路線IDがTの路線について、車両編成を変更して車両を割り当てることができ、その際の制約条件は優先度が1(MUST)と高いものとして設定されている。また、図5に示す二段目においては、基地IDがXである車両基地では、任意の路線について、予備車両を利用する上限の車両数が一日に3車両であり、その際の制約条件は優先度が2として設定されている。また、図5に示す三段目においては、基地IDがXである車両基地では、路線IDがTTの路線について、検査途中の車両を割り当てることが可能であり、その際の制約条件は優先度が3として設定されている。また、図5に示す四段目においては、基地IDがXである車両基地では、路線IDがTの路線について、列車に車両を割り当てるときの運用コストを+2000とし、その際の制約条件は優先度が1(MUST)と高いものとして設定されている。
図6は、図3に示した設備条件データ112のデータ構造を示す図である。
図3に示した設備条件データ112は、路線や時間帯ごとに異なる旅客の需要についての車両の設備条件を格納するものであって、図6に示すように、図5に示した基地条件データ111と同様の路線ID601を持ち、この路線ID601のそれぞれについて、時間帯602と、設備リスト603とを格納している。
時間帯602には、設備リスト603に記載の設備を有する車両が望まれる時間帯を格納する。時間帯の粒度は柔軟に変更でき、平日と休日とをわけてもよい。また、設備リスト603に格納する設備とは、車内設備や編成数のことを指す。例えば、Wi-Fi設備や自転車車両、車いすスペース、ケータリング設備、などがある。なお、本設備リストについては自由に設定でき、後から変更することも可能である。
例えば、図6に示す設備条件データ112の二段目においては、平日、休日を問わず、8時~10時までは、Wifiとケータリングの設備は必須であり、車椅子の設備はできればあった方がよく、8両以上の車両数が要求される旨が設定されている。
図7は、図3に示した車両データ113のデータ構造を示す図である。
図3に示した車両データ113は、車両の属性および状態を一意に特定可能なデータであり、運行管理装置30および検査管理装置50においても一意に特定可能なデータを設定する。車両データ113は図7に示すように、車両の形式を示す形式702と、編成ID703と、車両に乗車可能な人数を示す供給数704とからなる車両の属性情報と、前回検査後からカウントした累計走行距離705と、最新検査完了日時706とからなる車両の検査情報と、車両の状態707とを、車両ごとに設定された車両ID701に対応付けて管理する。
車両の状態707は、運行中であればその列車番号、車両基地内に存在していればその所在を示す番号を格納する。つまり、車両の状態707は、該当車両が今どこに存在しているかを示す情報である。車両基地内の車両の所在を示す番号は、例えば線路番号や検査管理番号などである。
なお、車両の検査規定により、検査周期を走行距離や日時以外で管理する場合は、検査の必要性を判断可能なデータ項目を設定してもよい。
図8は、図3に示した車両割当候補データ114のデータ構造を示す図である。
図3に示した車両割当候補データ114は、図8に示すように、図7に示した車両データ113と同様の車両ID801と、制約満足数802と、設備満足数803と、超過乗車数804と、最低準備時間805と、当日検査状況806と、入換計画影響度807と、乗務員計画影響度808と、作業計画影響度809と、運用コスト810とを格納している。
制約満足数802には、基地条件データ111による条件を満たした数を格納し、設備満足数803には、設備条件データ112による条件を満たした数を格納する。超過乗車数804には、車両ID801によって特定される車両を割り当てることにより、需要管理装置20から取得した旅客の需要人数に対して供給できない可能性のある数を格納する。すなわち、超過乗車数804は、車両に乗車できない旅客の人数を示すものであり、そのため、図8の三段目に示す例のように、その数がマイナスであることが好ましい。ただし、その数がマイナスであったとしても絶対値が大きければそれだけ車両の定員が無駄なものとなってしまう。最低準備時間805とは、車両ID801によって特定される車両を割り当てることが決定されてから本線にて車両を利用開始するまでに必要な時間のことを指す。車両の検査状況や乗務員の計画によっては、すぐに利用できない場合もあるため、各種計画と車両の状態を基に判断した結果を格納する。当日検査状況806は、車両を割り当てる日に予定されている検査の有無、または、検査中かどうかを格納する。入換計画影響度807、乗務員計画影響度808および作業計画影響度809については、割り当てた車両の運行と、車両基地内での検査および車両の管理とをするにあたり必要な情報であり、予定していた計画に対し、当該車両を割り当てることで発生する変更の度合を数値化したものである。運用コスト810は、計画変更により発生する総合的なコストを数値化したものであり、入れ替え計画影響度807、常務員計画影響度808、および作業計画影響度809から算出される。
以下に、上記のように構成された車両割当支援システムの動作について説明する。
まず、車両割当支援システム全体の動作について説明する。
図9は、図1に示した動作割当支援システムにおいて車両割当支援装置10が車両割当候補を出力して割当を完了するまでの動作フローを示す図である。
図1に示した動作割当支援システムにおいては、車両割当支援装置10は、運行管理装置30あるいは検査管理装置50から車両の割り当て実施要求を受信すると(ステップ901)、まず、基地の制約条件および車両の条件を満たす車両割当候補を導出する(ステップ902)。なお、この車両割当候補の導出においては、図10を用いて詳細に説明する。
車両割当候補を導出した後、車両割当支援装置10は、導出した車両候補をネットワーク70を介して表示装置60に送信し、表示装置60に車両候補を表示させる。
その後、ユーザが表示装置60を操作することで割り当て車両が決定した場合(ステップ903)、車両割当支援装置10は、決定した車両情報を運行管理装置30に通知する(ステップ904)。
また、表示装置60に表示された車両候補によって割り当て車両が決定しなかった場合は、ユーザが表示装置60に入力した変更情報を受信し(ステップ905)、ステップ902の処理に戻り、再度割当車両候補を導出する処理を実施する。
割当車両が決定した後は、車両割当支援装置10は、検査計画の変更有無を検査管理装置50に通知する(ステップ906)。
次に、図3に示した車両候補抽出部103の動作フローについて説明する。
図10は、図3に示した車両候補抽出部103の動作フローを説明するための図であり、図9に示したステップ902における処理の詳細なフローを示す。
車両候補抽出部103は、まず、ネットワーク70を介して接続された需要管理装置20および運行管理装置30から各種情報を取得する(ステップ1001)。より具体的には、車両候補抽出部103は、需要管理装置20から時間帯別の旅客の需要人数を取得し、運行管理装置30から車両を割り当てるダイヤデータを取得する。なお、ダイヤデータは少なくとも路線名、運行時刻、始発と終点や特急かどうかなどの運行情報を含むものとする。
次に、車両候補抽出部103は、車両データ113に格納された車両について各車両の状態を更新し、需要管理装置20および運行管理装置30から取得された需要人数やダイヤデータを満たすことで要求時間帯に割り当て可能な車両を抽出する(ステップ1002)。このとき、車両は車両基地に滞留中か検査中かは問わない。
次に、車両候補抽出部103は、基地条件データ111と設備条件データ112に基づいて、ステップ1002にて抽出した車両に対して設備条件と基地の制約条件を少なくとも1つ以上満たす車両を抽出する(ステップ1003)。
次に、車両候補抽出部103は、需要管理装置20から取得した旅客の需要人数と、ステップ1003にて抽出した車両の供給数との差分を算出する(ステップ1004)。なお、この差分が車両割当候補データの超過乗車数となる。
次に、車両候補抽出部103は、検査管理装置50から、車両基地にて管理されている全ての車両について実施された検査の履歴を示す検査履歴と、全ての車両について実施する検査の計画を示す検査計画とからなる車両検査データを取得し、ステップ1004にて抽出した車両の検査状態を特定する(ステップ1005)。なお、検査状態とは、各車両の当日検査有無(車両割り当て日に検査が計画されているか)と、検査が計画されていた場合には検査済かどうかのことを指す。
上記のようにして車両および車両の検査状態を特定した後、車両候補抽出部103は、運行管理装置30あるいは検査管理装置50から受信した割り当て実施要求にて列車へ車両の割り当てが要求された時間帯に検査が終了している車両の中から、列車に割り当て可能な車両を抽出し、抽出した車両の中から、制約条件および設備条件を満たし、需要人数の旅客を運搬可能にする車両を抽出し、その車両の車両データを車両割当候補データ114に格納する(ステップ1006)。
このように、検査履歴および検査計画から、列車の時刻までに検査が完了している車両を列車に割り当てるので、検査の実施と整合した列車への車両割当を確実に実施可能にすることができる。
次に、図3に示した影響判定部104の動作フローについて説明する。
図11は、図3に示した影響判定部104の動作フローを説明するための図である。
影響判定部104は、まず、車両候補抽出部103にて車両割当候補データ114に格納された車両データを取得し(ステップ1101)、候補の各車両について計画作成装置40を用いて、車両の融通に関する計画である構内入換計画の再計算を行う(ステップ1102)。構内入換計画とは、車両基地の構内で車両を移動させる作業の実施計画のことである。より具体的には、割り当てる車両情報とダイヤ情報を計画作成装置40に送信し、再計算した結果を取得する。計画作成装置40では、基の計画をなるべく変更しないよう、すなわち、別な車両の入換計画を変更せずに、新たに割り当てる車両の計画のみ追加できるよう再計算を実施する。計算結果を取得した後は、再計算した結果と元の計画とを比較して変更箇所の特定を行う(ステップ1103)。
次に、影響判定部104は、列車への乗務員の割り当てに関する計画である乗務員の割当計画の再計算を行う(ステップ1104)。常務員の割当計画とは、運行する列車に割り当てる常務員の勤務計画のことである。この際、構内入換計画と同様、基の計画をなるべく変更しないよう再計算を実施する。計算結果を取得した後は、再計算した結果と元の計画とを比較して変更箇所の特定を行う(ステップ1105)。
次に、影響判定部104は、検査管理装置50にて管理されている検査計画データを取得し、この検査計画データを参照し、作業計画の再計算の有無を特定する(ステップ1106)。なお、作業計画とは、車両に対する検査や清掃作業の実施計画のことである。これらの作業は、通常、車両基地内で、列車に割り当てる前に実施される。影響判定部104は、取得した検査計画データを参照し、候補車両に関して当日の検査が割り当てられており、かつ、未実施の場合、割り当てる車両情報とダイヤ情報を計画作成装置40に送信し、作業計画を再計算させる(ステップ1107)。計画作成装置40から計算結果を取得した後、再計算した結果と元の計画とを比較して変更箇所の特定を行う(ステップ1108)。
次に、影響判定部104は、これまで特定してきた計画への変更内容から計画影響度と最低準備時間とを計算する(ステップ1109)。なお、計画影響度とは、各種計画を変更することにより、変更前と比べてどのくらい車両基地に運用コストがかかるかを示す指標である。例えば、ステップ1103,1105にて特定した各計画について、他の車両の計画を変更する場合は1ポイント、計画変更により追加作業が発生する場合は5ポイント、など変更の内容に重みづけをして計算し、計画変更による影響の度合いを算出する。また、最低準備時間については、計画変更の結果、割当決定してから車両利用までにかかる時間のことを示す。最低準備時間は、再計画した入換計画から特定する。すなわち、影響判定部104においては、抽出された候補の車両を列車に割り当てる場合に、入換計画と乗務員計画と作業計画とのそれぞれにおいて発生する変更を特定し、特定した変更に要するコストを運用コストとして算出することになる。このように、入換計画と乗務員計画と作業計画とそれぞれ発生する変更を特定し、その変更に要するコストを運用コストとして算出することにより、客観的に比較可能でありかつ変更により生じる部分である運用コストを提示することができる。
なお、上述した運用コストの算出においては、例えば、入換計画の変更に要するコストを入換計画への影響度とし、乗務員の新規割り当ておよび/または乗務員の割り当て変更に要するコストを乗務員計画への影響度とし、新たな作業および/または作業の変更に要するコストを作業計画への影響度としてそれぞれ算出し、入換計画への影響度と、乗務員計画への影響度と、作業計画への影響度とを合計して運用コストとすることが考えられる。
このように、抽出された候補について、入換計画と乗務員計画と作業計画とに与える影響の度合いをそれぞれ算出し、入換計画への影響度と、乗務員計画への影響度と、作業計画への影響度とを総合して運用コストを算出することにより、入換計画への影響と、乗務員計画への影響と、作業計画への影響とを勘案した運用コストを提示することができる。
また、ステップ1106にて、候補車両に検査等の作業が計画されていないと判断された場合は、ステップ1107,1108の処理を行わずにステップ1109の処理を行うことになる。
その後、影響判定部104は、ステップ1103,1105,1108,1109にて特定されたデータを基に車両割当候補データ114を更新し、処理を終了する(ステップ1110)。
次に、図1に示した車両割当支援システムにおける、車両割当支援装置10、需要管理装置20、運行管理装置30、計画作成装置40、検査管理装置50および表示装置60間のデータのやりとりを含めた動作フローについて説明する。
図12は、図1に示した車両割当支援システムにおける、車両割当支援装置10、需要管理装置20、運行管理装置30、計画作成装置40、検査管理装置50および表示装置60間のデータのやりとりを含めた動作フローを説明するための図である。
まず、運用管理装置30または検査管理装置50からダイヤ変更または検査遅れ等により車両の割り当て実施要求が車両割当支援装置10に送信される(ステップ1201)。
車両割当支援装置10は、割り当て実施要求を受信すると、需要管理装置20から需要情報を取得するとともに(ステップ1202)、検査管理装置50から検査情報および検査計画情報を取得する(ステップ1203)。
車両割当支援装置10は、取得したこれらの情報を基に車両割当候補を導出する(ステップ1204)。
車両割当候補を導出した結果、車両基地の計画の変更が必要な場合は、車両割当支援装置10は、計画作成装置40に再計画を要求し(ステップ1205)、再計算された計画データを取得する(ステップ1206)。
次に、車両割当支援装置10は、特定した車両データ候補を表示装置60に送信する(ステップ1207)。
車両割当支援装置10から送信された車両データ候補が表示装置60に表示された後、表示装置60に表示された車両データ候補を確認したユーザ80は、割当車両決定または再割当を要求する(ステップ1208)。
ユーザ80が車両の再割り当てを要求した場合、ステップ1204における車両割当候補導出処理を再度実施する(ステップ1209)。
一方、ユーザ80が割当車両を決定した場合は、表示装置60は、決定した割当車両データを車両割当支援装置10に通知する(ステップ1210)。
車両割当支援装置10は、割り当てる車両が決まった場合、割り当てる車両の車両データを運行管理装置30に通知し(ステップ1211)、検査計画データを検査管理装置50に通知し、処理を終了する。
以下に、図1に示した表示装置60に表示される画面について説明する。
まず、ユーザが列車に割り当てる車両を選択する際の車両設備選択画面について説明する。
図13は、図1に示した表示装置60に表示される車両設備選択画面の一例を示す図である。
図1に示した表示装置60は、車両割当支援装置が導出した車両割当候補を表示する車両設備選択画面を表示する。
図13に示すように、表示装置60に表示される車両設備選択画面には、割当を要求された列車名1302と、その列車に要求される設備条件1303と、その列車に割り当てられる割当候補の車両名1310と、車両名1310の割当候補車両が有する設備情報1311と、車両名1310の割当候補車両が列車名1302の列車に割り当てられた場合の運行における超過乗車数1304と、車両名1310の割当候補車両が列車名1302の列車に割り当てられた場合に列車を基地から本線に出すまでの最短時間1305と、割り当て変更ボタン1306とが表示される。なお、基地から本線に出すまでの最短時間1305は、例えば、予め時間の閾値(例えば10分)が設定されており、その閾値以内であれば、“すぐ出せそう”と判断し、表示する。また、設備条件1303を構成する設備情報1309は、設備条件データ112に格納された設備を表示しており、車両条件から除外したい場合は、アイコンを押下することにより設定を解除することができる。また、車両条件を追加したい場合は、設備条件1303を構成する他設備選択ボタン1312を押下することで、設備条件1303に表示されていない設備を条件として設定することができる。なお、設備条件1309に対し、候補車両における設備情報1311は、“○”,“△”,“×”によって設備の有無を示しているが、表現方法は文字での記述や他の記号を用いてもよい。また、超過乗車数1304や基地から出せる時間1305についても、図6に示した設備条件データ112に登録された項目であれば、画面を参照するユーザの判断に応じて表示する指標を追加や削除することができる。例えば、基地から出せる時間1305においては、5時間など具体的な数値を表示することも考えられる。
また、車両設備選択画面1301には、候補車両については、優先度が最も高い候補車両以外の車両についても、設備条件を満足する度合いと、運用コストとに基づいて順位付けされ、その順位の順に配置して表示されている。この表示は、クローズボタン1314を押下することで非表示とすることができる。このように、列車に割り当てる候補の車両が設備条件の満足度と運用コストと勘案した順位で表示されるので、ユーザは設備条件の満足度と運用コストとを勘案した好適な候補を容易に選択することが可能となる。また、この表示には、優先度が最も高い候補車両以外の車両のそれぞれについて、保守影響確認ボタン1307が表示されている。この保守影響確認ボタン1307が押下されると、基地影響詳細画面1308が立ち上がり、車両基地への影響の詳細情報を確認することができる。車両基地の車両割当検討者は、本画面に表示された車両が供給可能な人数や旅客の需要がある設備の有無と、基地への影響を比較しながら選択することができる。
上記のような内容をユーザが確認し、割り当て変更ボタン1306を押下すると、割当車両名1310の車両が列車名1302の列車に割り当てられることが確定する。
なお、画面を参照するユーザが車両基地の車両割当検討者の場合における操作について説明したが、車両を運行し、車両手配を要求する事業者がこのシステムを使う場合、他の基地の結果を合わせて表示し、車両割当を要求する基地も合わせて選択する使い方をすることも可能である。その場合、基地名1313を合わせて表示することにより、車両手配を要求するにあたり、どの基地のどの車両に要求することが可能かを、本画面を基に判断することができる。事業者が車両手配を要求する際、すぐに車両を利用したい場合であれば、車両基地への影響が大きくても基地から本線に出すまでの最短時間を優先するが、車両を利用するにあたり基地から本線に出すまでの時間に余裕がある場合や多少の変更ができる場合であれば、車両基地への影響が少ない車両を手配したり、より旅客の需要にあった設備を有する車両を優先して要求を出すなどの判断も可能となる。
次に、基地管理画面について説明する。
図14は、図1に示した表示装置60に表示される基地管理画面の一例を示す図である。
図1に示した表示装置60は、図14に示す基地管理画面1401を表示する。基地管理画面1401は、基地の稼動状態や運行事業者と共有すべき指標の傾向を把握しやすくするための画面であり、路線別の運行状況1402と、車両基地が管理するKPIグラフ1403とを表示する。
路線別の運行状況1402は、抽出された候補について、候補を適用した場合の路線名14022に対する運行状況となるダイヤをグラフ形式で表示し、運行状況の変化に応じて適宜更新する。車両の割当要求が通知された場合には画面を更新し、車両を要求するダイヤがどれか区別できるよう太字や色を変化させて特定ダイヤ14021として区別できるよう表示する。
車両基地のKPIグラフ1403は、候補を適用した場合のダイヤに関する、混雑率や定時運行率などの運行事業者と共有すべき指標や、運用コストや検査達成率、作業員負荷などの車両基地の管理者が把握して向上すべき指標をグラフ表示する。
このように、抽出された候補の車両について適用後のダイヤと向上すべき指標とをグラフィカルに表示し、ユーザが候補を評価する作業を良好に支援することができる。
また、車両基地のKPIグラフ1403は、路線別の運行状況1402に示される現在時刻14023を変更すると、過去の時間であれば実績のKPI、現在より先の時間であれば予測されるKPIに表示を更新する。これにより、ユーザは、時刻毎の指標の値やその変化をグラフィカルに視認し、候補を評価することができる。
なお、図14に示す基地管理画面1401を図13に示した車両設備選択画面1301と連動させることもできる。
その場合、基地管理画面1401に表示された車両設備選択画面連動ボタン14024を押下することで、表示装置60に車両設備選択画面1301を表示させる。これにより、表示装置60は、設備条件に含まれる項目の条件を指定および変更が可能に表示することになる。表示装置60に表示された車両設備選択画面1301において、基地管理画面1401のKPIグラフ1403にて表示されるKPIを確認したい候補車両を選択すると、基地管理画面のKPIグラフ1403は、予測される変更データに応じて表示を更新し、割当前後のKPIの差分1401が表示される。図14に示す例では、車両を割り当てる前の混雑率14026が85%であったが、車両を割り当てた後の混雑率14026が80%になり、車両割当の効果の1つとして5%混雑率を削減できることを確認できる。ユーザ80は、基地のKPIを管理しつつ、車両割当が発生した場合は、KPIグラフ1403の変化率も併せて確認することで、車両設備選択画面1301を用いて、設備条件に含まれる項目の条件を指定したり変更したりすることができ、より良い車両割当を実施することができる。そして、車両設備選択画面1301を用いて設備条件に含まれる項目の条件の指定や変更が行われた場合は、表示装置60は、車両候補抽出部103によって新たな設備条件により候補が抽出され、抽出された候補について、その候補を適用した場合のダイヤと、その候補を適用した場合のKPIとを表示することになる。これにより、ユーザは設備条件を指定したり変更したりしながら候補にけるダイヤや指標を確認し、候補を評価することができる。
上述した一連の処理を行うことにより、ユーザは車両割当が必要な場合に、車両割当候補がどのような設備をもち、その設備が要求されているダイヤに適しているのかどうかを判断することができる。また、旅客の満足度を確認するにとどまらず、基地への影響として車両割当によるオペレーションコストや効果がどのくらいあるか把握した上で車両割当を確定することができるため、車両割当の検討工数も削減することができる。すなわち、制約条件および設備条件を満たし、需要人数の旅客を運搬可能にするように列車ダイヤにおける列車へ割り当てることが可能な車両の候補を探索し、その車両を割り当てることに要する運用コストを算出し、車両の候補と運用コストとを表示するので、車両基地毎に定められた車両割当に課される制約と、時間および/または路線毎に定められた車両が有すべき設備と、列車によって運搬可能とすべき旅客の人数と、車両の運用に要するコストとを勘案した車両割当を実施することを支援することができる。
また、上述した実施の形態では、車両基地にて車両割当を行うユーザが本システムを利用する場合の例を説明したが、本装置は列車運行を管理し、ダイヤ変更を判断し、基地に車両割当を要求する運行事業者のユーザが使用してもよい。その場合は、図13および図14に示した画面を関連基地分表示し、基地の負荷や旅客の需要に合った車両の提供有無を把握した上で、要求を出す基地を選択するために使うことも可能である。
なお、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
10…車両割当支援装置、20…需要管理装置、30…運行管理装置、40…計画作成装置、50…検査管理装置、60…表示装置、70…ネットワーク、101…制約管理部、102…監視部、103…車両候補抽出部、104…影響判定部、111…基地条件データ、112…設備条件データ、113…車両データ、114…車両割当データ

Claims (8)

  1. 鉄道の列車に対して車両を割り当てる作業を支援する車両割当支援システムであって、
    車両基地毎に定められた該車両基地にある車両を列車に割り当てる場合に満たされるべき事項を示す制約条件と、時間および/または路線毎に定められた、列車に割り当てる車両が有すべき設備を示す設備条件と、を管理する制約管理部と、
    列車ダイヤの列車への車両の割り当てを実施する割り当て実施要求と共に、列車により運搬可能にすべき旅客の人数である需要人数の情報が与えられると、前記制約条件および前記設備条件を満たし、前記需要人数の旅客を運搬可能にするように前記列車ダイヤにおける列車へ割り当てることが可能な車両を探索することにより、前記列車ダイヤにおける前記列車に割り当てる車両の候補を抽出する車両候補抽出部と、
    前記抽出された候補について、車両の融通に関する計画である入換計画と、列車への乗務員の割り当てに関する計画である乗務員計画と、車両の検査を含む作業に関する計画である作業計画と、に与える影響の度合いである影響度に基づく運用コストを算出する影響判定部と、
    前記抽出された候補における、該候補に関する前記運用コストを表示する表示部と、
    を有し、
    前記影響判定部は、
    前記抽出された候補について、前記入換計画と、前記乗務員計画と、前記作業計画と、に与える影響の度合いをそれぞれ算出し、前記入換計画への影響度と、前記乗務員計画への影響度と、前記作業計画への影響度とを総合して前記運用コストを算出するものであり、
    前記抽出された候補の車両を列車に割り当てる場合に前記入換計画と前記乗務員計画と前記作業計画とのそれぞれにおいて発生する変更を特定し、前記特定した変更に要するコストを前記運用コストとして算出するものである、
    車両割当支援システム。
  2. 前記車両候補抽出部は、前記車両基地にて管理されている全ての車両について実施された検査の履歴を示す検査履歴と、前記全ての車両について実施する検査の計画を示す検査計画とを取得し、前記割り当て実施要求にて列車へ車両の割り当てが要求された時間帯に検査が終了している車両の中から、前記列車に割り当て可能な車両を抽出し、前記抽出した車両の中から、前記制約条件および前記設備条件を満たし、前記需要人数の旅客を運搬可能にする車両を抽出する、
    請求項1に記載の車両割当支援システム。
  3. 前記表示部は、複数の前記抽出された候補を、前記設備条件を満足する度合いと、前記運用コストとに基づいて順位付けし、前記順位の順に配置して表示する、
    請求項1に記載の車両割当支援システム。
  4. 前記表示部は、前記抽出された候補について、前記候補を適用した場合のダイヤと、前記候補を適用した場合の前記ダイヤに関する向上すべき指標とをグラフ形式で表示する、
    請求項1に記載の車両割当支援システム。
  5. 前記表示部は、前記ダイヤの表示において時刻の変更が指定されると、該指定された時刻における前記指標を表示する、
    請求項に記載の車両割当支援システム。
  6. 前記表示部は、前記設備条件に含まれる項目の条件を指定および変更が可能に表示し、前記項目の条件が指定または変更されると、前記車両候補抽出部に新たな設備条件により候補を抽出させ、該候補について、当該候補を適用した場合のダイヤと、当該候補を適用した場合の前記指標とを表示する、
    請求項に記載の車両割当支援システム。
  7. 鉄道の列車に対して車両を割り当てる作業を支援する車両割当支援方法であって、
    コンピュータが実行する、
    車両基地毎に定められた該車両基地にある車両を列車に割り当てる場合に満たされるべき事項を示す制約条件と、時間および/または路線毎に定められた、列車に割り当てる車両が有すべき設備を示す設備条件と、を管理する制約管理処理と、
    列車ダイヤの列車への車両の割り当てを実施する割り当て実施要求と共に、列車により運搬可能にすべき旅客の人数である需要人数の情報が与えられると、前記制約条件および前記設備条件を満たし、前記需要人数の旅客を運搬可能にするように前記列車ダイヤにおける列車へ割り当てることが可能な車両を探索することにより、前記列車ダイヤにおける前記列車に割り当てる車両の候補を抽出する車両候補抽出処理と、
    前記抽出された候補について、車両の融通に関する計画である入換計画と、列車への乗務員の割り当てに関する計画である乗務員計画と、車両の検査を含む作業に関する計画である作業計画と、に与える影響の度合いである影響度に基づく運用コストを算出する影響判定処理と、
    前記抽出された候補における、該候補に関する前記運用コストを表示する表示処理と、
    を有し、
    前記影響判定処理は、
    前記抽出された候補について、前記入換計画と、前記乗務員計画と、前記作業計画と、に与える影響の度合いをそれぞれ算出し、前記入換計画への影響度と、前記乗務員計画への影響度と、前記作業計画への影響度とを総合して前記運用コストを算出するものであり、
    前記抽出された候補の車両を列車に割り当てる場合に前記入換計画と前記乗務員計画と前記作業計画とのそれぞれにおいて発生する変更を特定し、前記特定した変更に要するコストを前記運用コストとして算出するものである、
    車両割当支援方法。
  8. コンピュータに、
    車両基地毎に定められた該車両基地にある車両を列車に割り当てる場合に満たされるべき事項を示す制約条件と、時間および/または路線毎に定められた、列車に割り当てる車両が有すべき設備を示す設備条件と、を管理する制約管理手順と、
    列車ダイヤの列車への車両の割り当てを実施する割り当て実施要求と共に、列車により運搬可能にすべき旅客の人数である需要人数の情報が与えられると、前記制約条件および前記設備条件を満たし、前記需要人数の旅客を運搬可能にするように前記列車ダイヤにおける列車へ割り当てることが可能な車両を探索することにより、前記列車ダイヤにおける前記列車に割り当てる車両の候補を抽出する車両候補抽出手順と、
    前記抽出された候補について、車両の融通に関する計画である入換計画と、列車への乗務員の割り当てに関する計画である乗務員計画と、車両の検査を含む作業に関する計画である作業計画と、に与える影響の度合いである影響度に基づく運用コストを算出する影響判定手順と、
    前記抽出された候補における、該候補に関する前記運用コストを表示させる表示手順と、
    を実行させるためのプログラムであり、
    前記影響判定手順は、
    前記抽出された候補について、前記入換計画と、前記乗務員計画と、前記作業計画と、に与える影響の度合いをそれぞれ算出し、前記入換計画への影響度と、前記乗務員計画への影響度と、前記作業計画への影響度とを総合して前記運用コストを算出するものであり、
    前記抽出された候補の車両を列車に割り当てる場合に前記入換計画と前記乗務員計画と前記作業計画とのそれぞれにおいて発生する変更を特定し、前記特定した変更に要するコストを前記運用コストとして算出するものである、
    プログラム
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