以下に、本発明の一実施形態に係る運転整理支援装置について説明する。
先ず、図1を用いて本発明の一実施形態に係る列車運行支援システムについて説明する。
本発明の一実施形態に係る列車運行支援システムは、図1に示されるように、運転整理支援装置100と、運行管理システム200が、通信ネットワーク300により相互に通信可能なように接続された形態である。
運転整理支援装置100は、運行管理システム200から取得した情報に基づき、運転整理に関する伝達情報を適宜作成または更新し、表示装置104から出力する装置である。
運行管理システム200は、列車ダイヤに従って、内部の制御情報に基づいて管理対象である列車運行ネットワーク(後述)内の複数の列車を制御するシステムである。運行管理システム200は、内部に予測機能をもち、現在の列車運行情報から、将来の列車運行の予測することができる。運行管理システム200は、通信ネットワーク300を介して列車運行管理に関わる各種情報を運転整理支援装置100に通知する。
運転整理支援装置100は、図1に示されるように、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)101と、メモリ102と、入力装置103と、表示装置104と、通信装置105と、記憶装置106とを有している。
CPU101は、運転整理支援装置100の各部を制御し、記憶装置106に格納されている各種ソフトウェアプログラムを実行する処理部である。メモリ102は、CPU101の作業領域となる記憶装置であり、CPU101の実行中にワークデータとソフトウェアプログラムを保持する。CPU101は、ソフトウェアプログラムを実行する際にメモリ102へデータの書き込みあるいはデータの読み出しを行う。
入力装置103は、PCシステムへの指令やデータ入力を行うために、PCシステムの操作者が操作する装置であり、例えば、キーボードやポインティングデバイスのマウスによって構成される。また、その他の入力装置103でもよく、例えばトラックボールやポインティング・スティック、タッチパッド、タッチパネル、ペンタブレットなどでもよい。
表示装置104は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機ELパネルなどの表示デバイスやプリンタなどの情報を表示して出力する装置である。
通信装置105は、通信ネットワーク300に接続され、運転整理支援装置100による通信ネットワーク300を介した運行管理システム200との通信や他の端末との通信を司る装置である。
記憶装置106は、CPU101が実行する各種プログラムとCPU101が処理に利用する各種データとが格納される大容量の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)やSDD(Solid State Drive)などの装置である。なお、記憶装置106に保存されたデータやプログラムは、CPU101の参照時にメモリ102にロードされ、また、メモリ102に保持されたデータは、記憶装置106に書き込まれる。
記憶装置106には、プログラムとして、運転整理案作成プログラムP01、伝達情報作成プログラムP02がインストールされており、事前計画データD01、運転整理案データD02、変更対象データD03、基本データD04、拡張入力データD05、および実績データD06が格納されている。
運転整理案作成プログラムP01は、CPU101により実行されることにより運転整理案作成処理を実現するソフトウェアプログラムである。運転整理案作成処理は、事前計画データD01、基本データD04、拡張入力データD05、実績データD06に基づき運転整理案を作成する処理である。
伝達情報作成プログラムP02は、CPU101により実行されることにより伝達情報作成処理を実現するソフトウェアプログラムである。伝達情報作成処理は、事前計画データD01、運転整理案データD02、変更対象データD03に基づいて運転整理案に対する伝達情報を作成する処理である。伝達情報作成処理の詳細は、後述する。
事前計画データD01は、各列車が何時にどこに到着あるいは出発する予定で、他のどの列車と関係をもつ予定であるかという事前計画を示すデータである。事前計画データD01には、列車ダイヤテーブル、列車運用テーブルなどのデータ(後述)が含まれる。
運転整理案データD02は、各列車が何時にどこに到着あるいは出発させ、他のどの列車と関係をもたせるかという計画の変更案を示すデータである。運転整理案データD02には、列車ダイヤテーブル、列車運用テーブルなどのデータ(後述)が含まれる。
変更対象データD03は、運転整理案における変更を適用する上で基準となる変更対象を示すデータである。変更対象データD03には、例えば、運行管理者が指定した列車情報などのデータが含まれる。変更対象データD03に含まれるデータは、必ずしも運行管理者が指定しなくてもよく、スケジュール表やプログラムが指定するようにしてもよい。
基本データD04は、設備に関する処理の基礎となる情報である。基本データD04には、例えば、設備の識別情報(駅、番線、線路に対するIDコードなど)、経路情報(路線毎・上り下りの方向毎の駅の並びや、使用する番線、使用する線路、各駅で停車するか通過するかの情報など)、折返し設備情報、時分情報(基準運転時分、最小停車時分、続行時隔など)などのデータが含まれる。折返し設備情報には、走行経路上のどの駅において列車が折返し可能であるかという情報を含むようにする。基準運転時分は、ある列車がある駅を出発してから次の駅に到着するまでに、最低限必要とする時間であり、各隣接駅間に対応する値を、列車走行シミュレータ等を用いて算出し、格納しておく。なお、余裕時分を見込んで、ある列車がある駅を出発してから次の駅に到着するまでに掛かる時間の標準値を基準運転時分として用いてもよい。最小停車時分は、ある列車がある駅に停車する場合に、その列車がその駅に到着してから出発するまでに最低限必要とする時間である。全列車の全駅で共通の値としてもよいし、時間帯や混雑度に応じて異なる値を用いてもよい。
拡張入力データD05は、外部から入力される運転整理案作成時における条件を示すデータである。拡張入力データD05には、例えば、運行障害情報や閾値情報などのデータが含まれる。運行障害情報は、列車が何時にどこを運行することができないかという運行障害を示すデータである。運行障害情報は、列車を運行することができない時間範囲や対象区間(駅間など)などの情報によって指定されてもよいし、事故や故障が発生した設備(駅、番線、線路など)や車両などの情報によって指定されてもよい。閾値情報は、運転整理案作成時に指定される各種パラメータである。閾値情報には、例えば、運転整理案を作成する時間範囲や対象区間などのデータが含まれる。
実績データD06は、各列車が何時にどこに到着あるいは出発したかという実績を示すデータである。
次に、図2ないし図6を用いて運転整理支援装置で用いられるテーブルのデータ構造について説明する。
列車ダイヤテーブルT01は、各列車の運行計画情報を格納するテーブルであり、図2に示すように、列車番号T01a、駅T01b、番線T01c、到着時刻T01d、および、出発時刻T01eの各フィールドを有する。
列車番号T01aには、対象列車の列車番号が記載される。図2に示されているのは、列車番号として、「HR101」および「HR102」に関するものが記述されている。
駅T01bには当該列車の到着・出発・通過などに関わる駅名が記載される。例えば2行目は、駅が「St.A」であるものに関する記述であり、3行目は、駅が「St.B」であるものが関する記述されている。
番線T01cには、当該列車の到着・出発・通過などに関わる番線名が記載される。例えば、2行目は、番線が「Tr.1」であるものに関する記述であり、3行目は、番線が「Tr.2」であるものが記述されている。
到着時刻T01dには、当該列車が当該駅に到着する時刻が記載される。なお、始発駅や通過駅などで到着時刻がない場合、例えば「-」等、データがないということを示すマークが入力される。
発車時刻T01eには、当該列車が当該駅を発車する時刻が記載される。なお、終点駅などで発車時刻がない場合、例えば「-」等、データがないということを示すマークが入力される。発車時刻には通過時刻を含んでもよいし、図2では分けていないが、通過時刻を別フィールドとして用意してもよい。
列車運用テーブルT02は、各列車についての運用の順序関係を示すテーブルであり、図3に示すように、列車番号T02a、前運用列車T02b、後運用列車T02cの各フィールドを有する。
列車番号T02aには、対象列車の列車番号が記載される。図3には、列車番号が、「HR101」、「HR102」、「HR103」、「HR705」、「HR706」、および「HR707」であるものが記載されている。
前運用列車T02bには、対象列車の前運用列車となる列車番号が記載される。ここで、前運用列車とは、対象列車と同一の車両(または編成)を使用する列車のうち、対象列車の直前に走行する列車である。なお、前運用列車がない場合、例えば「-」等、データがないということを示すマークが入力される。
後運用列車T02cには、対象列車の後運用列車となる列車番号が記載される。ここで、後運用列車とは、対象列車と同一の車両(または編成)を使用する列車のうち、対象列車の直後に走行する列車である。なお、後運用列車がない場合、例えば「-」等、データがないということを示すマークが入力される。
駅間線路使用順序テーブルT03は、各列車の駅間線路の使用順序を示すテーブルであり、図4に示すように、出発駅T03a、到着駅T03b、および、列車番号T03cの各フィールドを有する。
出発駅T03aには、各列車が線路へと進入する際に出発する駅名が記載される。到着駅T03bには、各列車が線路から進出する際に到着する駅名が記載される。列車番号T03cには、各列車を個別に識別する列車番号が記載される。列車番号T03cの値は、出発駅T03aと到着駅T03bの値の組が同一であるレコードに関して、上から順番に時系列順(当該線路を早く使用する順)となるように並べられている。
駅間線路使用順序テーブルT03を参照することにより、各隣接駅間の各線路を使用する列車の運行順序を知ることができる。例えば、図4の1行目と2行目は、「St.A」と「St.B」という二つの隣接する駅間の線路を「HR101」が走行した後に「HR201」が走行することを示しており、2行目と3行目は、「St.A」と「St.B」という二つの隣接する駅間の線路を「HR201」が走行した後に「HR301」が走行することを示している。
図4では、線区が複線となっているような「出発駅」と「到着駅」によって線路が一つに定まる場合について記載しているが、複々線やジャンクションを有する線区では、線路を一つに定めるために、「線路番号」のような識別子を格納するフィールドを駅間線路使用順序テーブルT03に含めてもよい。
番線使用順序テーブルT04は、各列車の駅における番線の使用順序を格納するテーブルであり、図5に示すように、駅T04a、番線T04b、および、列車番号T04cの各フィールドを有する。
駅T04aには、各駅を個別に識別する駅名が記載される。番線T04bには、同一駅内での番線を個別に識別する番線名が記載される。列車番号T04cには、各列車を個別に識別する列車番号が記載される。列車番号T04cの値は、駅T04aと番線T04bの値の組が同一であるレコードに関して、上から順番に時系列順(当該番線を早く使用する順)となるように並べられている。
番線使用順序テーブルT04を参照することにより、各駅における各番線を使用する列車の発着順序を知ることができる。例えば、図5の1行目と2行目は、「St.A」の「1」という番線を「HR101」が使用した後に「HR201」が使用することを示しており、2行目と3行目は、「St.A」の「1」という番線を「HR201」が使用した後に「HR301」が使用することを示している。
車両使用順序テーブルT05は、行路における列車の使用順序を示すテーブルであり、図6に示すように、行路番号T05a、および、列車番号T05bの各フィールドを有する。
行路番号T05aには、各行路を個別に識別する行路番号が記載される。ここで、行路とは、同一の車両(または編成)によって運転される列車の集合である。例えば、図6で示されている「1」という行路番号で表現される行路には、「HR101」、「HR102」、および「HR103」の列車が含まれている。
列車番号T05bには、各列車を個別に識別する列車番号が記載される。列車番号T05bの値は、行路番号T05aの値が同一であるレコードに関して、上から順番に時系列順(当該車両を早く使用する順)となるように並べられている。
車両使用順序テーブルT05を参照することにより、同一の車両を使用する列車の運用順序を知ることができる。例えば、図6の1行目と2行目は、「1」という行路番号に割り当てられる車両を「HR101」が使用した後に「HR102」が使用することを示しており、2行目と3行目は、「1」という行路番号に割り当てられた車両を「HR102」が使用した後に「HR103」が使用することを示している。
次に、図7および図8を用いて運転整理支援装置で用いられるネットワークのデータ構造について説明する。
ここで、ネットワークとは、頂点(ノード)と有向辺(エッジ)を持つデータ構造であり、本実施形態では、列車運行ネットワークN10と変更情報ネットワークN20を取り扱う。
列車運行ネットワークN10は、図7に示すように、列車の運行のイベントのポイントをノードとし、運行の順序関係をエッジとするネットワークである。
列車運行ネットワークN10のノードは、列車の運行のイベントのポイントを表現しており、それに関係する情報を保持する。例えば、図7では、「HR101」、「HR201」、「HR301」、および、「HR401」という列車が「St.X」および「St.Y」という駅に到着するイベントを、「着」という記号を付したノードによって表現しており、同様に、各列車が出発する際のイベントを、「発」という記号を付したノードによって表現している。また、このようなノードは、図示しなかったが、各ノードを識別するノードID、到着、出発の基準時刻、列車運行ネットワークN10と変更情報ネットワークN20発着を関連付けるための重み(詳細は後述)などの情報を保持する。
また、列車運行ネットワークN10のノードは、シミュレーションを行う際の演算ポイントとなるという意義を有する。
列車運行ネットワークN10のエッジは、列車運行の順序関係と制約条件を表している。例えば、図7の最上段の四つのノード間では、「HR101」という列車が「St.X」という駅に到着した後、「St.X」を出発し、さらに、「St.Y」という駅に到着した後、「St.Y」を出発することがエッジによって表現されている。また、図7の右列の四つのノード間では、「HR101」、「HR201」、「HR301」、「HR401」という列車の順番で「St.Y」を出発することがエッジによって表現されている。さらに、「HR101」の(発)というノードから、「HR201」の(着)というノードに引かれたエッジは、「HR101」という列車が、「St.X」という駅を発車後に、「HR201」という列車が、「St.X」を到着しなければならないということを示している。
この列車運行ネットワークN10を参照することにより、各列車の運行の順序、すなわち、列車運行のシミュレーションにおける演算ポイントの実行順序を知ることができる。
本実施形態では、図7のような形態で、列車運行の依存関係をネットワークモデルとして表現したが、隣接リストや隣接行列など、各列車の運行における演算ポイントの実行順序を表現可能なデータ構造を用いて列車運行の依存関係を表現してもよい。
変更情報ネットワークN20は、図8に示されるように、運転整理のための列車運行の変更内容をノードとし、その変更の依存関係をエッジとするネットワークである。
ノードは、各種リソース(線路、番線、車両)の使用に関する変更内容および当該変更内容に必要な情報を表現する。例えば、図8の(3)というノードでは「St.X」という駅と「St.Y」という駅の二つの隣接する駅間の線路において、「HR104」という列車が「HR101」という列車の直後に走行するように当該線路の使用順序を変更するという「駅間線路使用順序」に関する変更内容がノードによって表現されている。また、図8の(8)というノードでは、「St.X」という駅において、「HR101」という列車の使用番線を「Tr.1」から「Tr.2」に変更するという「使用番線」に関する変更内容が表現されている。
なお、ノードによって表現される変更内容の種別としては、列車の運用変更(前運用列車または後運用列車を変更すること)や、列車新設(事前計画にない列車を新たに作成し、運転整理案に含めること)および列車運休(事前計画にあった列車を運転整理案から除くこと)などがある。
エッジは、リソースの使用順序の制約条件によって定義されるノード間の依存関係を表現する。例えば、図7では、(3)のノードで表現される(駅間線路使用順序)に関する変更内容を適用する前に、(1)および(2)のノードで表現される変更内容を適用することがエッジによって表現されており、(8)のノードで表現される(駅間線路使用順序)に関する変更内容を適用した後に、(5)のノードで表現される変更内容を適用することがエッジによって表現されている。
変更情報ネットワークN20を参照することにより、事前計画から運転整理案まで遷移するために必要な各変更内容の実行順序を知ることができる。
本実施形態では、図8の形態で、変更情報の依存関係をネットワークモデルとして表現したが、隣接リストや隣接行列など、事前計画から運転整理案まで遷移するために必要な各変更内容の実行順序を表現可能なデータ構造を用いて変更情報の依存関係を表現してもよい。
次に、図9ないし図19を用いて運転整理支援装置の行う処理について説明する。
運転整理支援装置100は、提案モードと承認モードをもち、それぞれのモードで異なる動作をする。
提案モードでは、運転整理支援装置100のCPU101が、運転整理案作成プログラムP01を実行することにより、運転整理案作成を行う。
承認モードでは、運転整理支援装置100のCPU101が、伝達情報作成プログラムP02を実行することにより、モデル作成および伝達情報作成を行う。
運転整理案作成では、事前計画データD01、基本データD04、拡張入力データD05、および、実績データD06を用いて、運転整理案を作成する。作成された運転整理案は、運転整理案データD02に格納される。提案モードにおける運転整理案の作成については、CPU101が運転整理案作成プログラムP01を実行することにより、公知の技術、例えば、特許文献1に基づいて行うことができる。
モデル作成では、事前計画データD01、および、運転整理案データD02、変更対象データD03を用いて、伝達情報作成において利用する各種モデルを作成する。モデル作成の詳細については、後述する。
伝達情報作成では、運転整理案データD02と変更対象データD03を用いて伝達情報を作成する。伝達情報作成の詳細については後述する。
先ず、図9を用いて承認モードにおける運転整理支援装置の処理の概要について説明する。
先ず、運転整理支援装置100は、入力装置103から処理終了要求の入力の有無を調べる(S101)。処理終了要求の入力がなければ(S101:NO)、S102へ進み、処理終了要求の入力がある場合には(S101:YES)、承認モードの処理を終了する。
次に、運転整理支援装置100は、指定列車情報の有無を調べる(S102)。指定列車とは、運転整理案の変更にあたって、ユーザがその列車情報を承認したいために指定する列車であり、指定列車情報とは、その指定列車に関する情報である。指定列車情報が存在する場合には(S102:YES)、S103に進み、指定列車情報が存在しない場合には(S102:NO)、S101に戻る。
次に、運転整理支援装置100は、指定列車に関連するデータを取得する(S103)。この処理で、例えば、指定列車情報の列車番号、出発または到着する駅名、到着時刻または出発時刻を記憶装置106に保存する。
次に、運転整理支援装置100は、伝達情報作成において利用するモデルを作成する(S104)。S104の処理の詳細は、後述する。
次に、運転整理支援装置100は、伝達情報を作成する(S105)。S105の処理の詳細は、後述する。
次に、運転整理支援装置100は、他のシステムまたは入出力装置に伝達情報を送信する(S106)。伝達情報は、運転整理支援装置100で出力されてもよいし、運行管理システム200に出力されてもよいし、ネットワークで接続された別端末に出力されてもよい。
次に、図10を用いてモデル作成処理の詳細について説明する。
これは、図9のS104に該当する処理である。
本実施形態でいう「モデル」とは、図7の列車運行ネットワークN10と、図8の変更情報ネットワークN20で表現される列車運行の表現形態をいうことにする。
先ず、運転整理支援装置100は、運転整理案データD02に対する列車運行ネットワークN10を作成する(S201)。S201の処理では、必要に応じて、事前計画データD01に対する列車運行ネットワークN10を作成してもよい。列車運行ネットワークN10の作成については、公知の技術、例えば、特許文献2に基づいて行うことができる。
次に、運転整理支援装置100は、事前計画データD01と運転整理案データD02を用いて、事前計画から運転整理案まで遷移するために必要な運転整理情報を抽出する(S202)。S202の処理の詳細は、後述する。
次に、運転整理支援装置100は、抽出した運転整理情報を各種変更内容の単位に分解する(S203)。S203の処理の詳細は後述する。
次に、運転整理支援装置100は、分解した変更内容を用いて変更情報ネットワークN20を構築する(S204)。S204の処理の詳細は後述する。
次に、図11を用いて運転整理情報抽出処理の詳細について説明する。
これは、図10のS202に該当する処理である。
先ず、運転整理支援装置100は、列車運行データの読込を行う(S301)。列車運行データは、記憶装置106に記憶されている事前計画データD01および運転整理案データD02に含まれる各種テーブルを参照することによって取得される。読み込まれる事前計画データD01および運転整理案データD02は、列車ダイヤテーブルT01のデータ、また、必要ならば、列車運用テーブルT02、駅間線路使用順序テーブルT03、および番線使用順序テーブルT04、車両使用順序テーブルT05などの予め作成されたデータである。
運転整理支援装置100は、読み込んだ列車運行データを、必要なデータ形式に変換する(S302)。このS302の処理では、例えば、事前計画データD01および運転整理案データD02を参照し、列車ダイヤテーブルT01を用いて、駅間線路使用順序テーブルT03および番線使用順序テーブルT04を生成したり、列車運用テーブルT02を用いて、車両使用順序テーブルT05を生成したりする。生成された駅間線路使用順序テーブルT03、番線使用順序テーブルT04、車両使用順序テーブルT05などは事前計画データD01および運転整理案データD02に登録される。なお、駅間線路使用順序テーブルT03、番線使用順序テーブルT04、車両使用順序テーブルT05などが予め作成されている場合には、各種データに対応するデータ変換処理を行わなくてもよい。
次に、運転整理支援装置100は、差分情報を作成する(S303)。差分情報は、線路、番線、および車両などの各種リソースの使用に関して、事前計画と運転整理案との間で異なる点を示す情報である。S303は、例えば、事前計画データD01に含まれる駅間線路使用順序テーブルT03、番線使用順序テーブルT04、車両使用順序テーブルT05、および運転整理案データD02に含まれる駅間線路使用順序テーブルT03、番線使用順序テーブルT04、車両使用順序テーブルT05を、それぞれ比較することにより、差分情報を作成する。
駅間線路使用順序テーブルT03の差分情報は、図4の出発駅と到着駅の組ごとに、事前計画データD01と運転整理案データD02のデータを比較することにより作成する。番線使用順序テーブルT04の差分情報は、図5の駅と番線の組ごとに、事前計画データD01と運転整理案データD02を比較することにより作成する。車両使用順序テーブルT05の差分情報は、図6の行路番号ごとに、事前計画データD01と運転整理案データD02を比較することにより作成する。なお、差分情報は、駅と線路の組ごとに事前計画データD01と運転整理案データD02を比較する、複数の車両が結合された編成ごとに事前計画データD01と運転整理案データD02を比較するなど、各種リソースの単位を、結合または分離した上で作成されてもよい。差分情報の作成については、公知の技術、例えば、特許文献3に基づいて行うことができる。また、差分情報の作成については、CPU101が、CUI(Character User Interface)環境を提供するOS(Operating System)およびコマンドラインツールなどを含むプログラムを使用して行ってもよい。
次に、運転整理支援装置100は、運転整理内容を特定する(S304)。運転整理内容は、運転整理時に行う列車ダイヤ(あるいは,列車運行)の変更であり、駅間線路使用順序変更や使用番線変更、運用変更、列車新設、列車運休などの種別がある。S304の処理では、例えば、S303で作成した差分情報を用いることにより、運転整理内容を特定する。
駅間線路使用順序変更では、駅間線路使用順序テーブルT03に関する差分情報において、削除された列車番号と追加された列車番号の組が存在する場合に、当該列車が当該駅間を走行する上で従う駅間線路使用順序が事前計画で定められた駅間線路使用順序から運転整理案で定められた駅間線路使用順序へと変更するように実施されたと特定される。
使用番線変更では、番線使用順序テーブルT04に関する差分情報において、追加された列車番号が存在する場合に、当該列車が当該駅で使用する使用番線が事前計画で定められた使用番線から運転整理案で定められた使用番線へと変更するように実施された特定される。
運用変更では、車両使用順序テーブルT05に関する差分情報において、削除された列車番号と追加された列車番号の組が存在する場合に、当該列車が当該駅間を走行する上で従う車両使用順序が事前計画で定められた車両使用順序から運転整理案で定められた車両使用順序へと変更するように実施されたと特定される。
列車新設では、駅間線路使用順序テーブルT03において、追加された列車番号のみが存在し、削除された列車番号が存在しない場合に、当該駅間を走行する当該列車の新設が実施されたと特定される。
列車運休では、駅間線路使用順序テーブルT03において、削除された列車番号のみが存在し、追加された列車番号が存在しない場合に、当該駅間を走行する当該列車の運休が実施されたと特定される。
ここで、列車新設および列車運休の特定に、駅間線路使用順序テーブルT03を用いたが、番線使用順序テーブルT04または車両使用順序テーブルT05を用いてもよい。なお、S304は、運転整理内容として、当該列車が使用する当該駅間で使用する線路の変更や走行時に使用する車両の変更を特定してもよい。
次に、運転整理支援装置100は、運転整理情報リストを作成する(S305)。運転整理情報リストは、上記で特定された各列車に対する運転整理内容を実施する上で必要な各種データを格納した運転整理情報のリストである。S305は、例えば、事前計画データD01および運転整理案データD02を参照することにより、運転整理情報を作成し、運転整理情報リストに格納する。
駅間線路使用順序の運転整理情報は、例えば、図8で示した変更情報ネットワークN20のノードの変更内容における「出発駅」、「到着駅」、「基準列車」という要素を事前計画データD01および運転整理案データD02から取得することにより作成される。使用番線の変更は、例えば、図8で示した「駅」、「変更前番線」、「変更後番線」という要素を事前計画データD01および運転整理案データD02から取得することにより作成される。運転整理情報リストの作成は、営業列車と回送列車ごとにデータと処理をわけて行ってもよい。また、運転整理情報リストの作成は、上記で作成した差分情報を用いて行ってもよい。なお、運転整理情報リストは、運転整理内容ごとに作成されてもよいし、全ての運転整理内容を包含するように作成されてもよい。
次に、図12を用いて運転整理情報分解処理の詳細について説明する。
これは、図10のS203に該当する処理である。
先ず、運転整理支援装置100は、変更情報ネットワークN20を初期化する(S401)。S401は、例えば、ノードとエッジが存在していない空のネットワークを変更情報ネットワークN20として定義する。
次に、運転整理支援装置100は、S403からS405までの処理を、図11の運転整理情報抽出処理で作成した運転整理情報リストの要素数だけ繰り返す(S402a-S402b)。S402a-S402bのループでは、繰返し処理の過程で、運転整理情報リストに格納されている運転整理情報を順次選択する。
次に、運転整理支援装置100は、運転整理情報の種別を特定する(S403)。S403では、例えば、S402aによって運転整理情報リストから選択された運転整理情報に対して、運転整理内容を参照することにより、運転整理情報の種別を特定する。
次に、運転整理支援装置100は、運転整理情報を構成する最小単位の変更要素(以下、「最小変更要素」とよぶ)を特定する(S404)。S404では、例えば、上記で特定した運転整理情報の種別(運転整理内容)ごとに必要な最小変更要素を特定する。
駅間線路使用順序の運転整理情報の最小変更要素は、駅間線路使用順序変更である。使用番線変更の運転整理情報の最小変更要素は、使用番線変更である。車両使用順序変更の運転整理情報の最小変更要素は、列車運用変更である。列車新設の運転整理情報の最小変更要素は、列車新設、駅間線路使用順序変更、および車両使用順序変更である。列車運休の運転整理情報の最小変更要素は、列車運休、駅間線路使用順序変更、および車両使用順序変更である。
運転整理情報の種別ごとの最小変更要素の構成は、上記の例に限らず、他システムとの接続や各事業者の運用などに合わせて、適宜組み替えてもよい。
次に、運転整理支援装置100は、最小変更要素に対するノードを変更情報ネットワークN20に追加する(S405)。S405では、例えば、上記で特定した各最小変更要素に対して、その変更を実施するために必要な情報を、運転整理情報リストから選択された運転整理情報から取得し、当該取得された情報に基づいて変更情報ネットワークN20のノードを定義し、変更情報ネットワークN20に追加する。
次に、図13ないし図15を用いて変更情報ネットワーク構築処理の詳細について説明する。
これは、図10のS204に該当する処理であり、図12で作成した変更情報ネットワークN20のノードのエッジをつなぐ処理である。
先ず、運転整理支援装置100は、ネットワーク関連辞書ND01を作成する(S501)。ネットワーク関連辞書ND01は、列車運行ネットワークN10と変更情報ネットワークN20のノードの関係を示す辞書であり、図15に示されように、キーとして列車運行ネットワークN10のノードID(列車運行ネットワークノードID:ND01a)を、バリューとして変更情報ネットワークN20のノードID(変更情報ネットワークノードID:ND01b)を一つ以上有する。ネットワーク関連辞書ND01は、例えば、運転整理案データD02に対する列車運行ネットワークN10上の全てのノードと、事前計画データD01と運転整理案データD02に対応する変更情報ネットワークN20上の全てのノードを比較し、列車番号と駅が同一のノードがあった場合に、列車運行ネットワークN10上の到着ノードまたは出発ノードのいずれかのノードIDをキーとし、変更情報ネットワークN20上のノードIDをバリューとすることにより作成される。列車運行ネットワークN10上の到着ノードと出発ノードの選択は、運転整理情報の種別(運転整理内容)ごとに定めてもよい。運転整理情報の種別ごとに定められる到着情報(または、出発情報)に関するノードの選択は、例えば、駅間線路使用順序変更の場合には出発情報に関するノードを選択し、使用番線変更の場合には、到着情報に関するノードを選択する。
S501では、ネットワーク関連辞書ND01を作成する際に、運転整理案データD02に対する列車運行ネットワークN10上で、ネットワーク関連辞書ND01のキーとして登録したノードIDが対応する(すなわち、対応する変更情報ネットワークN20のノードIDが存在する)ノードに重み(例えば、「-1」という値)を付与する。ネットワーク関連辞書ND01のキーとして登録しないノードの重みは、デフォルトとして、0とする。この列車運行ネットワークN10のノードの重みは、後のS504のステップで近傍ノードを算出するときに用いられる。なお、列車運行ネットワークN10への重みの付与は、ノードに対して行うものに限らず、対応するノードを接続先とする各エッジに対して行ってもよい。
S501の処理では、変更情報ネットワークN20上の全てのノードを、運転整理案データD02に対する列車運行ネットワークN10上のノードのいずれかに紐づけ、ネットワーク関連辞書ND01に登録する。変更情報ネットワークN20上のノードは、列車運行ネットワークN10上のノードと列車番号の情報が一致しない場合、駅の情報のみが一致するノード同士を紐づけてもよい。このとき、ノードの紐付けは、事前計画データD01に対する列車運行ネットワークN10を用いて行ってもよい。また、変更情報ネットワークN20上のノードは、列車運行ネットワークN10上のノードと駅の情報が一致しない場合(または、変更情報ネットワークN20上のノードの駅が所与でない場合)、列車番号の情報のみが一致するノード同士を紐づけてもよい。このとき、ノードの紐付けは、運転整理案データD02に対する列車運行ネットワークN10を用いて行ってもよい。これにより、例えば、列車新設のような複数駅にまたがる変更内容に対しても、対象とするイベントの時刻が早いノードに紐付けることができる。
さらに、変更情報ネットワーク上のノードは、運転整理情報の種別ごとに定められた到着情報(または、出発情報)と、列車運行ネットワークN10上のノードの到着情報(または、出発情報)が一致しない場合、列車番号と駅の情報が一致し、到着情報(または、出発情報)が一致しないノード同士を紐づけてもよい。
なお、変更情報ネットワークN20上のノードは、列車番号と駅の情報がともに一致しない場合(または、変更情報ネットワーク上のノードの列車番号と駅の情報がともに所与でない場合)、到着時刻または出発時刻などの別の情報を用いてノードの紐付けを行ってもよいし、運転整理案データD02に対する列車運行ネットワークN10上において特徴的なノード(例えば、変更情報ネットワークN20上のノードと最も多く紐づいているノードや、直前の繰返し処理において変更情報ネットワークN20上のノード紐づけられたノードなど)に対して紐付けを行ってもよい。
次に、運転整理支援装置100は、S503からS506までの処理を、S501で作成したネットワーク関連辞書ND01に含まれるキーの数だけ繰り返す(S502a-S502b)。S502a-S502bのループでは、繰返し処理の過程で、ネットワーク関連辞書ND01に含まれているキーを順次選択する。
次に、運転整理支援装置100は、起点ノードを定義する(S503)。起点ノードは、変更情報ネットワークN20のエッジを追加する際に接続元(矢印の元)となるノードであり、選択されたネットワーク関連辞書ND01のキーを用いて定義される。このS503の処理では、例えば、選択されたキーに対応するバリューをネットワーク関連辞書ND01から一つ以上取得し、そのノードIDに相当するノードを、起点ノードとして定義する。
次に、運転整理支援装置100は、列車運行ネットワークN10上で近傍ノードを算出する(S504)。
S504では、以下三つの手順によって、近傍ノードを算出する。
(1)選択されたキーに対応する列車運行ネットワークN10上のノードを取得する。
(2)ネットワーク関連辞書ND01を作成する際に重み付けられた列車運行ネットワークN10上で、取得されたノード(始点ノード)から他の各ノード(終点ノード)への最短経路の評価値を算出する。
(3)最短経路の評価値が所定の値(例えば、「0」という値)と一致し、なおかつ、終点ノードのノードIDがネットワーク関連辞書ND01のキーに含まれる場合に、終点ノードの全てを近傍ノードとして算出する。
列車運行ネットワークN10上の始点ノードから終点ノードの評価値は、その間に含まれるノードの重みの総和とする。例えば、図15のネットワーク辞書、図14のネットワーク関係図に示すように、列車運行ネットワークN10のノードt01、ノードt03と、変更情報ネットワークN20のノード(1)、ノード(2)がそれぞれ対応し、列車運行ネットワークN10のノードt05と、変更情報ネットワークN20のノード(3)、ノード(8)が対応しているものとする。
このとき、始点ノードをノードt01、終点ノードをノードt03としたときの評価値は、0となり、始点ノードをノードt01、終点ノードをノードt05としたときの評価値は、-1となる(間に、ノードt03が含まれるので)。
したがって、ノードt03は、ノードt01の近傍ノードであり、ノードt05は、ノードt01の近傍ノードでないと評価される。
これにより、例えば、列車運行ネットワーク上で「-1」の重みが付与されたノード(すなわち、ネットワーク関連辞書ND01において、変更情報ネットワーク上のノードと紐づいているノード)を経由する経路が、最短経路として算出された場合には終点ノードを近傍ノードとして算出せずに、重みが付与されたノードを経由しない経路が最短経路として算出された場合のみに終点ノードを近傍ノードとして算出できる。なお、最短経路問題の求解については、公知の技術、例えば、特許文献4に基づいて行うことができる。
次に、運転整理支援装置100は、対象ノードを取得する(S505)。対象ノードは、変更情報ネットワークN20上のエッジを追加する際に接続先となるノードであり、S504はで算出された近傍ノードを用いて取得される。S505は、例えば、上記で算出した近傍ノードのノードIDをキーに対応するバリューをネットワーク関連辞書ND01から一つ以上取得し、そのノードIDに相当するノードを、対象ノードとして取得する。
上で説明した例では、ノードt03は、ノードt01の近傍ノードと判断されたので、ノードt03に対応する変更情報ネットワークN20のノード(2)は、基点ノードが、変更情報ネットワークN20のノード(1)としたときの対象ノードとなる。
次に、運転整理支援装置100は、変更情報ネットワークN20において、上記で定義された起点ノードと対象ノードを有向辺(エッジ)により接続する。上で説明した例では、変更情報ネットワークN20のノード(1)を起点とし、ノード(2)を終点としたエッジが加えられる。
次に、図16を用いて伝達情報作成処理の詳細について説明する。
これは、図9のS105に該当する処理である。
先ず、運転整理支援装置100は、指定列車情報を取得する(S601)。S601では、例えば、ユーザが指定した列車の変更対象データD03に含まれる列車情報を取得し、指定列車情報として記憶装置106に保存する。
次に、運転整理支援装置100は、指定列車情報に影響を与える列車情報群を特定する(S602)。S602の処理の詳細は、後述する。
次に、運転整理支援装置100は、事前計画から運転整理案まで遷移するために必要な変更情報群を特定する(S603)。S603の処理の詳細は、後述する。
次に、運転整理支援装置100は、伝達情報を生成する(S604)。S604の処理の詳細は、後述する。
次に、図17を用いて列車情報群特定処理の詳細について説明する。
これは、図16のS602に該当する処理である。
先ず、運転整理支援装置100は、列車情報群リストを初期化する(S701)。列車情報群リストは、指定列車情報に対して変更を適用する上で、事前に変更を適用することが前提となる列車情報群に含まれる各列車情報を保持したリストであり、指定列車情報の走行に影響を及ぼす一つ以上の列車情報(列車番号、駅、着発情報など)が格納されることにより作成される。
次に、運転整理支援装置100は、S703からS706までの処理を、図10のモデル作成処理で作成した運転整理案データD02に対する列車運行ネットワークN10に含まれるノード数だけ繰り返す(S702a-S702b)。S702a-S702bのループは、繰返し処理の過程で、列車運行ネットワークN10に含まれているノードを順次選択する。
次に、運転整理支援装置100は、指定列車情報に対する上位ノード内における対象ノードの有無を判定する(S703)。対象ノードは、選択された列車運行ネットワークN10上のノードである。S703では、例えば、運転整理案データD02に対する列車運行ネットワークN10を参照することにより、指定列車情報に対応するノードの上位ノード(あるノードからエッジを逆向きにたどった際に取得できる全てのノード)を取得し、対象ノードが当該上位ノードに存在しているか否かを判定する。対象ノードが上位ノードに存在する場合には(S703:YES)、S704に進み、対象ノードが上位ノードに存在しない場合には(S703:NO)、S702aに戻る。
次に、運転整理支援装置100は、対象ノードの保持するデータを取得する(S704)。S704では、例えば、対象ノードのもつ列車番号、駅、着発情報などの情報を取得し、記憶装置106に保存する。
次に、運転整理支援装置100は、取得した対象ノードのデータに基づいて列車情報を作成する(S705)。S705では、例えば、S704で取得した列車番号、駅、着発情報などの情報を用いて、選択された列車運行ネットワークN10のノード(対象ノード)に対する列車情報を作成する。
次に、運転整理支援装置100は、作成した列車情報を列車情報群リストに登録する(S706)。S706では、例えば、S705で作成した列車情報を、列車情報群リストに追加する。列車情報群リストは、列車運行ネットワークにおける全てのノードに対して、S703からS706までの処理を繰り返すことで、指定列車情報に対して変更を適用する上で、事前に変更を適用することが前提となる列車情報を含むように作成される。
次に、図18を用いて変更情報群特定処理の詳細について説明する。
これは、図16のS603に該当する処理である。
先ず、運転整理支援装置100は、変更情報群リストを初期化する(S801)。変更情報群リストは、指定列車情報に対して変更を適用する上で、事前に適用することが前提となる変更情報群に含まれる各変更情報を保持したリストであり、指定列車情報の走行に影響を及ぼす一つ以上の変更情報(例えば、駅間線路使用順序変更では、変更内容、列車番号、出発駅、到着駅、基準列車など)が格納されることにより作成される。
次に、運転整理支援装置100は、S803からS804までの処理を、図17の列車情報群特定処理で作成した列車情報群リストの要素数だけ繰り返す(S802a-S802b)。S802a-S802bのループでは、繰返し処理の過程で、列車情報群リストに格納されている列車情報を順次選択する。
次に、運転整理支援装置100は、図13の変更情報ネットワーク構築処理で作成したネットワーク関連辞書ND01のキーにおける対象列車情報の有無を判定する(S803)。対象列車情報は、選択された列車情報群リストに含まれる列車情報である。S803では、例えば、運転整理案データD02に対する列車運行ネットワークを参照することにより、対象列車情報に対応するノードを取得し、当該ノードのノードIDがネットワーク関連辞書ND01のキーとして存在しているか否かを判定する。当該ノードのノードIDがネットワーク関連辞書ND01のキーとして存在する場合には(S803:YES)、S804に進み、当該ノードのノードIDがネットワーク関連辞書ND01のキーとして存在しない場合には(S803:NO)、S802aに戻る。
次に、運転整理支援装置100は、対象列車情報に関する変更情報を対象変更情報リストに登録する(S804)。
S804では、例えば、以下二つの手順によって、変更情報を対象変更情報リストに登録する。
(1)ネットワーク関連辞書ND01を用いて、列車運行ネットワークN10において対象列車情報に対応するノードのノードIDをキーとして、変更情報ネットワークN20におけるノードのノードIDを一つ以上バリューとして取得する。
(2)取得した変更情報ネットワークN20におけるノードのノードIDを全て対象変更情報リストに追加する。
S802a-S802bのループを抜けると、次に、運転整理支援装置100は、S806からS809までの処理を、上記のモデル作成処理で作成した変更情報ネットワークN20に含まれるノード数だけ繰り返す(S805a-S805b)。S805a-S805bのループでは、繰返し処理の過程で、変更情報ネットワークN20に含まれているノードを順次選択する。
次に、運転整理支援装置100は、対象変更情報リストにおける対象ノードの有無を判定する(S806)。対象ノードは、選択された変更情報ネットワークN20上のノードである。S806では、例えば、対象ノードのノードIDが対象変更情報リストに存在しているか否かを判定する。対象ノードのノードIDが対象変更情報リストに存在する場合には、S807に進み(S806:YES)、対象ノードのノードIDが対象変更情報リストに存在しない場合には(S806:NO)、S805aに戻る。
次に、運転整理支援装置100は、対象ノードの保持するデータを取得する(S807)。S807では、例えば、対象ノードのもつ変更内容、列車番号、駅、番線、基準列車などの種々の情報を取得し、記憶装置106に保存する。
次に、運転整理支援装置100は、変更情報を作成する(S808)。S808では、例えば、S807で取得した種々の情報を用いて、選択された変更情報ネットワークN20のノード(対象ノード)に対する変更情報を作成する。
次に、運転整理支援装置100は、変更情報を変更情報群リストに登録する(S809)。S809では、例えば、S808で作成した変更情報を、変更情報群リストに追加する。変更情報群リストは、変更情報ネットワークN20における全てのノードに対して、S806からS809までの処理を繰り返すことにより、指定列車情報に対して変更を適用する上で、事前に適用することが前提となる変更情報を含むように作成される。
次に、図19を用いて伝達情報生成処理の詳細について説明する。
先ず、運転整理支援装置100は、列車情報群のデータの並び替えを行う(S901)。S901では、例えば、運転整理案データD02に対する列車運行ネットワークのノードに対して、トポロジカルソートなどのソートアルゴリズムを用いてソートを実施し、ソートされたノードの順番にしたがって列車情報群リストのデータを並び替える。
次に、運転整理支援装置100は、列車情報群のデータを変換する(S902)。S902では、例えば、出力先のシステムまたはプログラムのデータ形式(例えば、CSV、XML、JSON、YAMLなど)に合わせて、列車情報群のデータを変換する。
次に、運転整理支援装置100は、変更情報群のデータの並び替えを行う(S903)。S903は、例えば、事前計画データD01および運転整理案データD02に対する変更情報ネットワークN20のノードに対して、トポロジカルソートなどのソートアルゴリズムを用いてソートを実施し、ソートされたノードの順番にしたがって変更情報群リストのデータを並び替える。
次に、運転整理支援装置100は、変更情報群のデータを変換する(S904)。S904では、例えば、出力先のシステムまたはプログラムのデータ形式(例えば、CSV、XML、JSON、YAMLなど)に合わせて、変更情報群のデータを変換する。
次に、運転整理支援装置100は、伝達情報を生成する(S905)。S905では、例えば、上記で変換した列車情報群のデータおよび変更情報群のデータを用いて、ユーザへと提示する伝達情報を作成する。伝達情報は、列車情報群のデータのみまたは変更情報群のデータのみから作成されてもよいし、列車情報群のデータまたは変更情報群のデータ、または両方のデータの一部のみから作成されてもよい。伝達情報の作成は、列車情報群と変更情報群とを個別に処理することで行ってもよいし、ネットワーク関連辞書ND01を用いて、列車情報群と変更情報群を関連付けて処理することで行ってもよい。
次に、図20ないし図24を用いてユーザに提示される運転整理支援情報(伝達情報)の一例について説明する。
表示装置104には、提案モードでは、図20に示されるような列車運行表示画面400が表示される。図20に示された列車運行表示画面400では、事前計画が読み込まれた際にユーザに提示される運転整理支援情報が表示されている。
列車運行表示画面400のモード表示欄401には、運転整理支援装置100の現在のモードが「提案モード」として表示されている。提案モードのときに、運転整理支援装置100は、運転整理案を作成する。
列車運行表示画面400のコマンドボタン表示欄410には、モード切替ボタン411、運行障害入力ボタン412、運転整理案提案ボタン413が表示される。
モード切替ボタン411は、運転整理支援装置100のモードを切り替えるためのボタンであり、このボタンが押下されると、提案モードと承認モードの選択画面(図示せず)が表示される。なお、運転整理支援装置100が有するモードは、提案モードと承認モードに限らない。例えば、運転整理支援装置100は、表示されている事前計画または運転整理案02の列車情報を閲覧するための表示モードなど、別モードを有していてもよい。
運行障害入力ボタン412は、運転整理支援装置100に運行障害情報を入力するためのボタンであり、このボタンが押下されると、運行障害情報の入力画面(図示せず)が表示される。
運転整理案提案ボタン413は、運転整理支援装置100の運転整理案作成プログラムP01を実行するためのボタンであり、このボタンが押下されると、運転整理案作成プログラムP01において使用する各種パラメータの設定画面(図示せず)が表示される。
列車運行表示画面400の列車ダイヤ表示欄410には、指定した列車に関連する列車のダイヤが表示される。図20の例では、運転整理支援情報に関する列車ダイヤとして、横軸を時間、縦軸を駅とした際の事前計画が描画されており、「Station X」や「Station Y」などの駅と「Track 1」および「Track 2」などの各駅における番線によって定められる区間での各列車の運行を示している。
図20の「HR110」、「HR210」、「HR310」、「HR410」、「HR510」は、それぞれ列車番号を示しており、1本の折れ線で表現される1列車にそれぞれ割り当てられている。例えば、「HR110」は、図20の5本の折れ線中、最も左側に位置する折れ線で表現される列車に割り当てられており、「Station Y」に向けて走行した後に、「Station Y」の「Track 1」に停車し、さらに「Station X」と「Station Y」の駅間を走行した後に、「Station X」の「Track 1」に停車し、「Station X」を出発することを示している。
次に、運行障害情報が入力された後は、図21に示されるような列車運行表示画面400が表示される。図21に示された列車運行表示画面400では、運転整理案を作成された後、ユーザに提示される運転整理支援情報が表示されている。
図21の運行障害表示430は、運転整理案上に描画された運行障害情報を示しており、運行障害入力ボタン413を押下して表示された運行障害情報の入力画面で運行障害情報を入力された後に描画される。
図21で示される運転整理支援情報に関する列車ダイヤは、横軸を時間、縦軸を駅とした際の運転整理案が描画されており、「Station X」や「Station Y」などの駅と「Track 1」および「Track 2」などの各駅における番線によって定められる区間での各列車の運行を示している。
図21で示される運転整理案は、事前計画と比較して種々の変更が行われている。例えば、「Station X」から次駅へ向かう際の駅間線路使用順序が、事前計画時の「HR110」、「HR310」、「HR510」、「HR210」、「HR410」という順番から、運転整理案では「HR310」、「HR210」、「HR510」、「HR110」、「HR410」という順番に変更が行われている。また、「Station Y」では、「HR110」の使用番線が、事前計画時の「Track 1」から、運転整理案では「Track 2」に変更されている。
表示装置104には、列車ダイヤ上で列車が選択された際に、図22に示されるような列車運行表示画面400が表示される。図22に示された列車運行表示画面400では、列車運行表示画面400のモード表示欄401には、運転整理支援装置100の現在のモードが「承認モード」として表示されている。承認モードのときに、運行整理案に対するユーザ(司令、運行管理者)による承認が実施される。
図22で示される運転整理支援情報は、選択された列車情報(指定列車情報)が強調表示された運転整理案を示している。強調表示は、列車情報を太線で描画することで行ってもよいし、配色を変更して描画することで行ってもよい。
列車を選択する際には、各駅での到着または出発、線路上での特定箇所の通過、規定される列車両数の変更など、列車の運行に関するイベントの情報を一つ以上含んで選択される。
図22で示される選択された列車(指定列車)は、列車情報として「HR310」の「Station X」での出発および到着、「Station Y」での出発および到着に関するイベントを含んでいる。
列車を選択する際には、1本の折れ線の始点から終点までで表現される1列車分として選択されてもよいし、各駅での出発および到着に関するイベントなどの1本の折れ線上の部分的な列車運行として選択されてもよい。
次に、選択された列車情報で定められた列車の運行に影響を及ぼす列車情報群が特定された際に、図23に示されるような列車運行表示画面400が表示される。図23に示された列車運行表示画面400では、選択された列車情報で定められた列車の運行に影響を及ぼす列車情報群が特定された後、ユーザに提示される運転整理支援情報が表示されている。
図23に示される運転整理支援情報は、特定された列車情報群が強調表示された運転整理案を示している。強調表示は、列車情報を太線で描画することで行ってもよいし、配色を変更して描画することで行ってもよい。
列車情報群は、選択された列車情報(指定列車情報)に対して変更を適用する上で、事前に変更を適用することが前提となる列車情報(当該指定列車の運行に影響を及ぼす列車)を含んだ伝達情報として提示される。
図23に示されている列車情報群は、選択された列車情報(指定列車情報)で定められた列車の運行、例えば、「HR310」の「Station X」での出発に関するイベントに影響を及ぼす「HR210」の「Station X」での到着、「Station Y」での出発および到着に関するイベント、および「HR110」の「Station Y」での到着に関するイベントを含んでいる。
列車情報群は、選択された列車情報(指定列車情報)で定められた列車の運行に直接的に影響を及ぼす列車だけでなく、当該指定列車で定められた列車の運行列車の運行に、間接的に影響を及ぼす列車情報についても含んだ情報として提示される。
なお、運行管理者が承認した列車情報は、強調しないようにしてもよい。
次に、他の例として、選択された列車情報で定められた列車の運行に影響を及ぼす列車情報群に関する変更情報郡が特定された際に、図24に示されるような列車運行表示画面400が表示される。図24に示された列車運行表示画面400では、選択された列車情報で定められた列車の運行に影響を及ぼす列車情報群に関する変更情報郡が、ユーザに提示される運転整理支援情報が表示されている。
図24に示された列車運行表示画面400では、変更情報群表示欄440が表示される。変更情報群表示欄440を表示するタイミングは、指定列車情報を選択してクリックしたとき、指定列車情報で定められた列車の運行に影響を及ぼす列車情報をクリックしたとき、列車ダイヤ上の丸記号「○」と数字によって表わされた箇所をクリックしたときなどとして定めることができる。
変更情報群表示欄440の「#」は、変更情報のノードIDを示しており、図24の例では各番号は、運転整理案上に描画された変更箇所(丸記号「○」と数字によって表わされた箇所)に対応している。
変更情報群表示欄440「Change」は、変更内容の項目を示しており、図24の例では「駅間線路使用順序」および「使用番線」に関する変更内容の情報が表示されている。
変更情報群表示欄440の「Train」は、列車番号の項目を示しており、変更情報群表示欄440の例では「HR310」、「HR210」、および「HR110」に関する列車番号の情報が表示されている。
変更情報群表示欄440の「Station」は、駅の項目を示しており、図24の例では「Station X」および「Station Y」に関する駅の情報が表示されている。
変更情報群表示欄440の「Time」は、時刻の項目を示しており、図24の例では「13:00」、「12:30」、および「12:15」に関する時刻の情報が表示されている。
なお、提示される変更情報群に関する項目は、上記に限らず、変更内容や重要視する情報に合わせて、追加・削除されてもよい。
運転整理支援情報は、図24に示されるように変更情報群をリストとして変更情報群表示欄440に別窓で表示するほか、変更箇所が選択された際に対応する変更情報を提示してもよいし、
変更情報群は、選択された列車情報(指定列車情報)に対して変更を適用する上で、事前に変更することが前提となる変更情報(当該列車情報で定められた列車の運行に影響を及ぼす変更情報)を含んだ伝達情報として提示される。
図24に示されている変更情報群は、選択された列車情報(指定列車情報)で定められた列車の運行、例えば、「HR310」の「Station X」での出発に関するイベントに影響を及ぼす「HR310」の「Station X」での「駅間線路使用順序」に関する変更(変更内容の番号「#」が「1」の変更)、「HR210」の「Station Y」での「使用番線」に関する変更(変更内容の番号「#」が「2」の変更)、および「HR110」の「Station Y」での「使用番線」に関する変更(変更内容の番号「#」が「3」の変更)を含んでいる。
変更情報群は、選択された列車情報(指定列車情報)で定められた列車の運行に直接的に影響を及ぼす変更情報だけでなく、当該指定列車情報で定められた列車の運行に間接的に影響を及ぼす変更情報についても含んだ情報として提示される。
上述したように、本実施形態にかかる運転整理支援装置100は、運転整理を支援する運転整理支援装置において、運行管理者が指定した列車情報の走行に影響を及ぼす列車情報群を算出する伝達情報作成部を備えるような構成とした。このような構成とすることにより、運行管理者が指定した列車情報に対して変更を適用する上で同時に変更を適用することが好適な列車情報群を提示することができる。
次に、本実施形態の変形例について説明する。
例えば、承認モードにおける列車運行表示画面400において、列車情報群をリストとして別窓に表示してもよい。列車情報群に関するリストの表示は、S602の列車情報群特定処理において作成した列車情報群リストに基づいて行えばよい。
また、上述した実施形態では、変更情報群をユーザに提示するために、変更情報ネットワークN20を用いて伝達情報を作成している。しかし、本実施形態はこれに限らない。例えば、運転整理案データD02に対する列車運行ネットワークN10のみを用いて伝達情報を作成してもよい。列車情報群のみをユーザに提示する場合には、運転整理案データD02に対する列車運行ネットワークN10のみを用いて伝達情報を作成すればよい。
また、上述した実施形態では、列車情報群をユーザに提示する際に、列車情報を一つずつ別々に扱って伝達情報を作成している。しかし、本実施形態はこれに限らない。例えば、列車情報の集約・順序付けを行った上で伝達情報を作成してもよい。列車情報の集約・順序付けは、S201の列車運行ネットワーク作成処理において、各ノード間の順序に矛盾が生じない範囲で、列車運行ネットワークのノードを予め定めた集約条件に基づいて一つのノードにまとめる、または順序付けることで列車運行ネットワークを作成すればよい。
このように、本発明の実施形態において、列車情報を集約・順序付けすることにより、優等列車(特定の駅にしか停車しない特急列車)に対してある駅の出発を選択した際に、つぎの停車駅まで一括で列車情報を提示するなど、ユーザにとって合理的な「まとまり」や「順序」で列車情報を提示することができる。
また、上述した実施形態では、変更情報群をユーザに提示する際に、変更情報を一つずつ別々に扱って伝達情報を作成している。しかし、本実施形態はこれに限らない。例えば、変更情報の集約・順序付けを行った上で伝達情報を作成してもよい。変更情報の集約・順序付けは、S204の変更情報ネットワーク構築処理において、各ノード間の順序に矛盾が生じない範囲で、変更情報ネットワークN20のノードを予め定めた集約条件に基づいて一つのノードにまとめる、または順序付けることで変更情報ネットワークN20を構築すればよい。
このように、本発明の実施形態において、変更情報を集約・順序付けすることにより、ユーザにとって理解しやすい「まとまり」や「順序」で変更情報を提示することができる。
また、上述した実施形態では、変更情報群をユーザに提示することで、ユーザの理解を助けている。しかし、本実施形態はこれに限らない。例えば、特定した変更情報群を運行管理システム200の保有する列車の制御情報に反映してもよい。変更情報群の制御情報への反映は、S204の変更情報ネットワーク構築処理において、各ノード間の順序に矛盾が生じない範囲で、制御情報に反映できる条件を満たすように、変更情報ネットワークN20のノードを順序付け、S604の伝達情報生成処理において、制御情報に反映するためのデータに変換および並び替えを行えばよい。
このように、本発明の実施形態において、変更情報の順序付け、変換、並び替えを行うことにより、運行管理システム200の保有する制御情報に変更情報を反映することができる。なお、制御情報は運行管理システム200で保有してもよいし、その他のシステムによって保有されてもよい。
また、上述した実施形態では、指定列車情報が存在している場合に、列車運行ネットワークN10や変更情報ネットワークN20を作成している。しかし、本実施形態はこれに限られず、例えば、承認モードでの処理の前に、各種ネットワークのモデルを作成してもよい。例えば、運転整理案作成時に列車運行ネットワークN10を用いている場合は、伝達情報作成時にも当該列車運行ネットワークN10を使用してもよいし、運転整理案作成直後に事前計画データD01および運転整理案データD02を用いて、変更情報ネットワークN20を作成してもよい。
このように、本発明の実施形態において、各種ネットワークのモデルを事前に作成しておくことにより、指定列車情報が選択された後から伝達情報を送信するまでの処理を高速化できる。
また、上述した実施形態では、列車を選択して、列車番号に関する変更対象データD03を特定している。しかし、本発明の実施形態はこれに限られず、例えば、時刻を選択することにより、変更対象データD03を特定してもよい。変更対象データD03は、当該時刻に走行予定の列車を全て特定し、当該列車の運行に関する当該時刻直前のイベントを参照することにより得られる列車情報として特定されてもよい。例えば、変更対象データD03で特定された全ての列車情報に対して伝達情報作成処理を行うことにより、列車情報群や変更情報群を特定すればよい。
このように、本発明の実施形態において、時刻の選択によって変更対象データD03を指定することにより、時刻単位で承認作業を行うことができる。
以上、本実施形態の運転整理支援装置によれば、運転整理案作成後に、任意の列車を指定し、その指定した列車情報に対して、その運転整理案を適用する上で、その指定した列車情報で定められた列車の運行に影響を及ぼす列車情報を提示して、運行管理者の業務を迅速かつ間違いなく行えるようにサポートすることができる