以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によって実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも1つを得ることが可能である。
本実施形態にかかる駐車支援装置を搭載する車両は、内燃機関(エンジン)を駆動源とする自動車(内燃機関自動車)であっても良いし、電動機(モータ)を駆動源とする自動車(電気自動車、燃料電池自動車等)であっても良いし、それらの双方を駆動源とする自動車(ハイブリッド自動車)であっても良い。また、車両は、種々の変速装置、内燃機関や電動機の駆動に必要な種々の装置(システム、部品等)を搭載可能である。また、車両における車輪の駆動に関わる装置の方式、個数、レイアウト等は、種々に設定可能である。
図1は、本実施形態にかかる周辺監視装置を搭載する車両の車室の一部が透視された状態の一例が示された斜視図である。図1に示すように、車両1は、車体2と、操舵部4と、加速操作部5と、制動操作部6と、変速操作部7と、モニタ装置11と、を備える。車体2は、乗員が乗車する車室2aを有する。車室2a内には、乗員としての運転手が座席2bに臨む状態で、操舵部4や、加速操作部5、制動操作部6、変速操作部7等が設けられている。操舵部4は、例えば、ダッシュボード24から突出したステアリングホイールである。加速操作部5は、例えば、運転手の足下に位置されたアクセルペダルである。制動操作部6は、例えば、運転手の足下に位置されたブレーキペダルである。変速操作部7は、例えば、センターコンソールから突出したシフトレバーである。
モニタ装置11は、例えば、ダッシュボード24の車幅方向(すなわち、左右方向)の中央部に設けられる。モニタ装置11は、例えば、ナビゲーションシステムまたはオーディオシステム等の機能を有していても良い。モニタ装置11は、表示装置8、音声出力装置9、および操作入力部10を有する。また、モニタ装置11は、スイッチ、ダイヤル、ジョイスティック、および押しボタン等の各種の操作入力部を有しても良い。
表示装置8は、LCD(Liquid Crystal Display)やOELD(Organic Electroluminescent Display)等で構成され、画像データに基づいて各種画像を表示可能である。音声出力装置9は、スピーカ等で構成され、音声データに基づいて各種音声を出力する。音声出力装置9は、車室2a内において、モニタ装置11以外の異なる位置に設けられていても良い。
操作入力部10は、タッチパネル等で構成され、乗員による各種情報の入力を可能とする。また、操作入力部10は、表示装置8の表示画面に設けられ、表示装置8に表示される画像を透過可能である。これにより、操作入力部10は、表示装置8の表示画面に表示される画像を乗員に視認させることを可能とする。操作入力部10は、表示装置8の表示画面上における乗員のタッチ操作を検出することによって、乗員による各種情報の入力を受け付ける。
図2は、本実施形態にかかる車両の一例の平面図である。図1および図2に示すように、車両1は、四輪自動車等であり、左右2つの前輪3Fと、左右2つの後輪3Rと、を有する。4つの車輪3の全てまたは一部が、転舵可能である。
車両1は、複数の撮像部15を搭載する。本実施形態では、車両1は、例えば、4つの撮像部15a~15dを搭載する。撮像部15は、CCD(Charge Coupled Device)またはCIS(CMOS Image Sensor)等の撮像素子を有するデジタルカメラである。撮像部15は、所定のフレームレートで車両1の周囲を撮像可能である。そして、撮像部15は、車両1の周囲を撮像して得られた撮像画像を出力する。撮像部15は、それぞれ、広角レンズまたは魚眼レンズを有し、水平方向には、例えば、140°~220°の範囲を撮像可能である。また、撮像部15の光軸は、斜め下方に向けて設定されている場合もある。
具体的には、撮像部15aは、例えば、車体2の後側の端部2eに位置し、リアハッチのドア2hのリアウィンドウの下方の壁部に設けられている。そして、撮像部15aは、車両1の周囲のうち、当該車両1の後方の領域を撮像可能である。撮像部15bは、例えば、車体2の右側の端部2fに位置し、右側のドアミラー2gに設けられている。そして、撮像部15bは、車両1の周囲のうち、当該車両の側方の領域を撮像可能である。撮像部15cは、例えば、車体2の前側、すなわち、車両1の前後方向の前方側の端部2cに位置し、フロントバンパやフロントグリル等に設けられている。そして、撮像部15cは、車両1の周囲のうち、当該車両1の前方の領域を撮像可能である。撮像部15dは、例えば、車体2の左側、すなわち、車幅方向の左側の端部2dに位置し、左側のドアミラー2gに設けられている。そして、撮像部15dは、車両1の周囲のうち、当該車両1の側方の領域を撮像可能である。
図3は、本実施形態にかかる車両の機能構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、車両1は、操舵システム13と、ブレーキシステム18と、舵角センサ19と、アクセルセンサ20と、シフトセンサ21と、車輪速センサ22と、車内ネットワーク23と、ECU(Electronic Control Unit)14と、を備える。モニタ装置11、操舵システム13、ブレーキシステム18、舵角センサ19、アクセルセンサ20、シフトセンサ21、車輪速センサ22、およびECU14は、電気通信回線である車内ネットワーク23を介して電気的に接続されている。車内ネットワーク23は、CAN(Controller Area Network)等により構成される。
操舵システム13は、電動パワーステアリングシステムやSBW(Steer By Wire)システム等である。操舵システム13は、アクチュエータ13aおよびトルクセンサ13bを有する。そして、操舵システム13は、ECU14等によって電気的に制御され、アクチュエータ13aを動作させて、操舵部4に対して、トルクを付加して操舵力を補うことによって、車輪3を転舵する。トルクセンサ13bは、運転者が操舵部4に与えるトルクを検出し、その検出結果をECU14に送信する。
ブレーキシステム18は、車両1のブレーキのロックを制御するABS(Anti-lock Brake System)、コーナリング時の車両1の横滑りを抑制する横滑り防止装置(ESC:Electronic Stability Control)、ブレーキ力を増強させてブレーキをアシストする電動ブレーキシステム、およびBBW(Brake By Wire)を含む。ブレーキシステム18は、アクチュエータ18aおよびブレーキセンサ18bを有する。ブレーキシステム18は、ECU14等によって電気的に制御され、アクチュエータ18aを介して、車輪3に制動力を付与する。ブレーキシステム18は、左右の車輪3の回転差等から、ブレーキのロック、車輪3の空回り、および横滑りの兆候等を検出して、ブレーキのロック、車輪3の空回り、および横滑りを抑制する制御を実行する。ブレーキセンサ18bは、制動操作部6の可動部としてのブレーキペダルの位置を検出する変位センサであり、ブレーキペダルの位置の検出結果をECU14に送信する。
舵角センサ19は、ステアリングホイール等の操舵部4の操舵量を検出するセンサである。本実施形態では、舵角センサ19は、ホール素子等で構成され、操舵部4の回転部分の回転角度を操舵量として検出し、その検出結果をECU14に送信する。アクセルセンサ20は、加速操作部5の可動部としてのアクセルペダルの位置を検出する変位センサであり、その検出結果をECU14に送信する。
シフトセンサ21は、変速操作部7の可動部(バー、アーム、ボタン等)の位置を検出するセンサであり、その検出結果をECU14に送信する。車輪速センサ22は、ホール素子等を有し、車輪3の回転量や単位時間当たりの車輪3の回転数を検出するセンサであり、その検出結果をECU14に送信する。
ECU14は、車両1の駐車位置までの目標経路を算出し、算出した目標経路に従って車両1の走行を制御する駐車支援処理を実行する。ECU14は、コンピュータ等で構成され、ハードウェアとソフトウェアが協働することにより、車両1の制御全般を司る。具体的には、ECU14は、CPU(Central Processing Unit)14a、ROM(Read Only Memory)14b、RAM(Random Access Memory)14c、表示制御部14d、音声制御部14e、およびSSD(Solid State Drive)14fを備える。CPU14a、ROM14b、およびRAM14cは、同一の回路基板内に設けられていても良い。
CPU14aは、ROM14b等の不揮発性の記憶装置に記憶されたプログラムを読み出し、当該プログラムに従って各種の演算処理を実行する。例えば、CPU14aは、表示装置8に表示させる画像データに対する画像処理、駐車位置までの目標経路に従った車両1の走行の制御等を実行する。
ROM14bは、各種プログラムおよび当該プログラムの実行に必要なパラメータ等を記憶する。RAM14cは、CPU14aでの演算で用いられる各種データを一時的に記憶する。表示制御部14dは、ECU14での演算処理のうち、主として、撮像部15から取得してCPU14aへ出力する画像データに対する画像処理、CPU14aから取得した画像データを表示装置8に表示させる表示用の画像データへの変換等を実行する。音声制御部14eは、ECU14での演算処理のうち、主として、CPU14aから取得して音声出力装置9に出力させる音声の処理を実行する。SSD14fは、書き換え可能な不揮発性の記憶部であって、ECU14の電源がオフされた場合にあってもCPU14aから取得したデータを記憶し続ける。
図4は、本実施形態にかかる車両が有するECUの機能構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、ECU14は、検出部401、目標値算出部402、実測値算出部403、走行制御部404、および変更部405を備える。例えば、回路基板に搭載されたCPU14a等のプロセッサが、ROM14bまたはSSD14f等の記憶媒体内に格納された駐車支援用のプログラムを実行することにより、ECU14は、検出部401、目標値算出部402、実測値算出部403、走行制御部404、および変更部405の機能を実現する。検出部401、目標値算出部402、実測値算出部403、走行制御部404、および変更部405の一部または全部を回路等のハードウェアによって構成しても良い。
検出部401は、車両1に乗車した乗員の有無を検出する。本実施形態では、検出部401は、車室2aに設けられかつ車室2a内を撮像可能に設けられるデジタルカメラ等の撮像部を有するドライバモニタシステム、座席2bに着座した乗員を拘束するシートベルトが乗員により着用されたことを検出するシートベルト着用センサ、座席2bにかかる荷重を検出する体重検知センサ等を用いて、車両1に乗車した乗員の有無を検出する。
目標値算出部402は、操作入力部10がユーザにより操作されて、車両1の目標とする駐車位置(以下、目標駐車位置と言う)が指示されると、目標駐車位置までの車両1の経路(以下、目標経路と言う)を算出する。そして、目標値算出部402は、算出した目標経路に従った車両1の走行に関わるパラメータの目標値を算出する。
実測値算出部403は、車両1の走行に関わるパラメータの実測値を算出する。本実施形態では、パラメータは、目標経路上における車両1の移動距離に関わるパラメータ(例えば、車両1の位置、車両1の速度)、および目標経路上における車両1の向きに関わるパラメータ(例えば、車両1の向き、車両1が有する操舵部4の舵角)の少なくともいずれか一方である。
走行制御部404は、目標値算出部402により算出される目標値に対する、実測値算出部403により算出される実測値の偏差が所定値以下となるように、車両1の走行を制御するフィードバック制御(例えば、PID制御)を実行する。ここで、所定値は、予め設定された偏差である。例えば、所定値は、目標駐車位置に対する車両1の駐車位置の誤差が許容誤差の範囲内となる偏差である。
変更部405は、検出部401によって乗員が検出された場合、走行制御部404によるフィードバック制御に用いるパラメータの種類を、乗員の乗り心地の向上に寄与するパラメータ(以下、乗り心地優先パラメータと言う)に変更する。一方、変更部405は、検出部401により乗員が検出されなかった場合、走行制御部404によるフィードバック制御に用いるパラメータの種類を、目標駐車位置に対する車両1の駐車精度の向上に寄与するパラメータ(以下、駐車精度優先パラメータと言う)に変更する。
目標駐車位置への車両1の走行を制御する駐車支援処理を実行する場合、車両1内において乗員が操作入力部10を操作して駐車支援処理の実行を指示し、乗員が車両1に乗車したまま、車両1を目標駐車位置へ走行させることが一般的である。そのため、目標駐車位置までの車両1の走行は、急ブレーキや、移動と停止の連続等を行わず、乗員の乗り心地を優先して駐車支援処理を実行しているため、目標駐車位置に対する車両1の駐車精度が低くなる場合がある。
しかし、車両1外に存在する操作者が、スマートエントリー機能を有するキー等によって、車両1を遠隔操作して、車両1内に乗員が存在しない状態で、車両1を目標駐車位置まで走行させる駐車支援処理が実行されることがある。この場合、車両1内に乗員が存在しないため、乗員の乗り心地を優先した駐車支援処理を実行する必要がなく、目標駐車位置に対する車両1の駐車精度を向上させたいという要望がある。
そこで、変更部405は、検出部401により乗員が検出された場合、走行制御部404によるフィードバック制御に用いるパラメータの種類を、乗り心地優先パラメータに変更する。一方、変更部405は、検出部401により乗員が検出されなかった場合、走行制御部404によるフィードバック制御に用いるパラメータの種類を、駐車精度優先パラメータに変更する。
これにより、車両1内に乗員が存在する状態で目標駐車位置へ車両1を走行させる場合には、乗り心地を優先した制御を実行して、乗員の乗り心地を向上させ、かつ、車両1内に乗員が存在しない状態で目標駐車位置へ車両1を走行させる場合には、乗り心地を優先しない制御(例えば、急ブレーキや、移動と停止の連続)、言い換えると、目標経路に対する車両1の位置精度を優先した制御を実行可能となるので、目標駐車位置に対する車両1の駐車精度を向上させることができる。また、車両1が目標経路に従って移動中に、目標駐車位置が変更されて目標経路が再計算された場合であっても、乗り心地を優先しない制御を行うことで、再計算された目標経路に車両1を近づけることができるので、目標駐車位置に対する車両1の駐車精度を向上させることができる。
本実施形態では、変更部405は、走行制御部404によるフィードバック制御に用いるパラメータの種類を、目標経路上における車両1の移動距離に関わるパラメータ(例えば、車両1の速度、車両1の位置)とする。これにより、車両1内に乗員が存在するか否かに応じて、車両1の前後方向への乗員の乗り心地または目標駐車位置に対する車両1の前後方向の駐車精度を向上させることができる。
図5は、本実施形態にかかる車両における駐車支援処理の流れの一例を示すフローチャートである。本実施形態では、ECU14は、操作入力部10または車両1のキー等によって、駐車支援処理の実行および目標駐車位置が指示されると、駐車支援処理の実行を開始する(ステップS501)。駐車支援処理の実行が指示されると、目標値算出部402は、目標駐車位置までの車両1の目標経路を算出する(ステップS502)。次いで、検出部401は、ドライバモニタシステム、シートベルト着用センサ、体重検知センサ等を用いて、車両1に乗車した乗員の有無を検出する(ステップS503)。
車両1に乗員が存在することが検出された場合(ステップS503:Yes)、変更部405は、走行制御部404によるフィードバック制御に用いるパラメータの種類を、乗り心地優先パラメータに変更する。これにより、変更部405は、駐車支援処理のモードを、乗員の乗り心地を優先する乗り心地優先モードに切り替える(ステップS504)。
駐車支援処理のモードが乗り心地優先モードに切り替えられると、目標値算出部402は、乗り心地優先パラメータの目標値を算出する(ステップS505)。さらに、実測値算出部403は、乗り心地優先パラメータの実測値を算出する(ステップS506)。そして、走行制御部404は、乗り心地優先パラメータの目標値に対する、乗り心地優先パラメータの実測値の偏差が所定値以下となるように、車両1の走行を制御するフィードバック制御を実行する(ステップS507)。
一方、車両1に乗員が存在しないことが検出された場合(ステップS503:No)、変更部405は、走行制御部404によるフィードバック制御に用いるパラメータの種類を、駐車精度優先パラメータに変更する。これにより、変更部405は、駐車支援処理のモードを、目標駐車位置に対する車両1の駐車精度の向上を優先する駐車精度優先モードに切り替える(ステップS508)。
駐車支援処理のモードが駐車精度優先モードに切り替えられると、目標値算出部402は、駐車精度優先パラメータの目標値を算出する(ステップS509)。さらに、実測値算出部403は、駐車精度優先パラメータの実測値を算出する(ステップS510)。そして、走行制御部404は、駐車精度優先パラメータの目標値に対する、駐車精度優先パラメータの実測値の偏差が所定値以下となるように、車両1の走行を制御するフィードバック制御を実行する(ステップS507)。
図6は、本実施形態にかかる車両の乗り心地優先モードにおけるフィードバック制御の一例を説明するための図である。本実施形態では、検出部401により乗員が検出された場合、変更部405は、走行制御部404によるフィードバック制御に用いるパラメータの種類を、乗り心地優先パラメータの一例である車両1の速度に変更して、駐車支援処理のモードを乗り心地優先モードに切り替える。言い換えると、変更部405は、走行制御部404によるフィードバック制御を、車両1の目標の速度に対する車両1の実際の速度の偏差を小さくするロジックとする。これにより、車両1内に乗員が存在する状態で目標駐車位置へ車両1を走行させる場合に、車両1の前後方向にかかる力の変化を抑制できるので、車両1の前後方向への乗員の乗り心地を向上させることができる。
この場合、目標値算出部402は、目標経路に従って車両1を走行させる際の車両1の目標の速度(以下、目標速度と言う)を目標値として算出する(ステップS601)。また、実測値算出部403は、車輪速センサ22により検出される車輪3の回転数に基づいて、車両1の位置(以下、実位置と言う。本実施形態では、駐車支援処理が開始されてからの車両1の移動距離である。)を算出し、算出される実位置の変化を用いて、車両1の実際の速度(以下、実速度と言う)を実測値として算出する(ステップS602)。本実施形態では、実測値算出部403は、車輪3の回転数を用いて車両1の実速度を算出しているが、GPS(Global Positioning System)受信機を用いて車両1の実位置を求め、当該実位置の変化を用いて車両1の実速度を算出しても良い。
次いで、走行制御部404は、目標値算出部402により算出される目標速度に対する、実測値算出部403により算出される実速度の偏差が所定値以下となるように、PID制御を実行する(ステップS603)。具体的には、走行制御部404は、目標速度に対する実速度の偏差が所定値以下となる制御量を求め、かつ当該制御量に従って、加速操作部5および制動操作部6の操作量を調整する。これにより、走行制御部404は、車両1が目標経路に従って走行するように、目標駐車位置までの車両1の走行経路を間接的に制御する。
図7は、本実施形態にかかる車両の乗り心地優先モードにおける実速度の変化の一例を示す図である。図7において、縦軸は、車両1の実速度を表し、横軸は、駐車支援処理が開始されてからの経過時間を表す。図8は、本実施形態にかかる車両の乗り心地優先モードにおける実位置の変化の一例を示す図である。図8において、縦軸は、駐車支援処理が開始されてからの車両1の移動距離(車両1の位置)を表し、横軸は、駐車支援処理が開始されてからの経過時間を表す。図9は、本実施形態にかかる車両の乗り心地優先モードにおける車両の前後方向にかかる力の変化の一例を示す図である。図9において、縦軸は、加速操作部5または制動操作部6の操作によって車両1の前後方向にかかる力の大きさを表し、横軸は、駐車支援処理が開始されてからの経過時間を表す。
図7に示すように、駐車支援処理のモードが乗り心地優先モードに切り替えられた場合、走行制御部404は、目標速度に対する実速度の偏差が所定値以下となるように、車両1の走行を制御する。そのため、図8に示すように、目標経路に従った車両1の移動距離である目標位置に対する車両1の実位置を細かく補正することが難しく、目標経路に対して、車両1の実位置にずれが生じて、駐車位置に対する車両1の駐車精度が下がる場合がある。しかし、車両1の目標速度を、急ブレーキや、移動と停止の連続等を必要としない速度に設定することにより、図9に示すように、車両1の前後方向にかかる力の大きさの変化を小さくして、乗員の乗り心地を向上させることができる。
図10は、本実施形態にかかる車両の駐車精度優先モードにおけるフィードバック制御の一例を説明するための図である。本実施形態では、検出部401により乗員が検出されなかった場合、変更部405は、走行制御部404によるフィードバック制御に用いるパラメータの種類を、駐車精度優先パラメータの一例である車両1の位置に変更して、駐車支援処理のモードを駐車精度優先モードに切り替える。言い換えると、変更部405は、走行制御部404によるフィードバック制御を、車両1の目標の位置に対する車両1の実際の位置の偏差を小さくするロジックとする。これにより、車両1内に乗員が存在しない状態で目標駐車位置へ車両1を走行させる場合に、目標経路に対する車両1の前後方向の位置精度を向上させることができるので、目標駐車位置に対する車両1の前後方向の駐車精度を向上させることができる。
この場合、目標値算出部402は、目標経路に従って車両1を走行させた場合の車両1の移動距離である目標位置を目標値として算出する(ステップS1001)。また、実測値算出部403は、車輪速センサ22により検出される車輪3の回転数に基づいて、車両1の実際の移動距離である実位置を実測値として算出する。本実施形態では、実測値算出部403は、車輪3の回転数を用いて車両1の実位置を算出しているが、GPS受信機を用いて車両1の実位置を求めても良い。
次いで、走行制御部404は、目標値算出部402により算出される目標位置に対する、実測値算出部403により算出される実位置の偏差が所定値以下となるように、PID制御を実行する(ステップS1002)。具体的には、走行制御部404は、目標位置に対する実測値の偏差が所定値以下となる制御量を求め、かつ当該制御量に従って、加速操作部5および制動操作部6の操作量を調整する。これにより、走行制御部404は、車両1が目標経路に従って走行するように、目標駐車位置までの車両1の走行経路を直接的に制御する。
図11は、本実施形態にかかる車両の駐車精度優先モードにおける実速度の変化の一例を示す図である。図11において、縦軸は、車両1の実速度を表し、横軸は、駐車支援処理が開始されてからの経過時間を表す。図12は、本実施形態にかかる車両の駐車精度優先モードにおける実位置の変化の一例を示す図である。図12において、縦軸は、車両1の実位置を表す、横軸は、駐車支援処理が開始されてからの経過時間を表す。図13は、本実施形態にかかる車両の駐車精度優先モードにおける車両の前後方向にかかる力の変化の一例を示す図である。図13において、縦軸は、加速操作部5または制動操作部6の操作によって車両1の前後方向にかかる力の大きさを表し、横軸は、駐車支援処理が開始されてからの経過時間を表す。
図12に示すように、駐車支援処理のモードが駐車精度優先モードに切り替えられた場合、走行制御部404は、目標位置に対する実位置の偏差が所定値以下となるように、車両1の走行を制御する。この場合、急ブレーキや、移動と停止の連続等を行う必要があるため、図13に示すように、車両1の前後方向にかかる力の大きさの変化が大きくなる。また、図11に示すように、車両1の実速度も細かく変化する。しかし、図12に示すように、車両1の実位置を目標位置に近づけた状態で車両1を目標駐車位置まで走行させることができるので、目標駐車位置に対する車両1の駐車精度を向上させることができる。
本実施形態では、変更部405は、走行制御部404によるフィードバック制御に用いるパラメータの種類を、目標経路上における車両1の移動距離に関わるパラメータとしているが、目標経路上における車両1の向きに関わるパラメータとしても良い。これにより、車両1内に乗員が存在するか否かに応じて、車両1の左右方向への乗員の乗り心地または目標駐車位置に対する車両1の左右方向の駐車精度を向上させることができる。
具体的には、駐車支援処理のモードが乗り心地優先モードに切り替えられた場合、変更部405は、走行制御部404によるフィードバック制御に用いるパラメータの種類を、目標経路上における車両1の向きに関わるパラメータを、操舵部4の舵角に変更する。この場合、走行制御部404は、目標経路に従って車両1を走行させる際の操舵部4の目標の舵角である目標値に対する、操舵部4の実際の舵角である実測値の偏差が所定値以下となるように、車両1を走行させるフィードバック制御を実行する。
これにより、車両1内に乗員が存在する状態で目標駐車位置へ車両1を走行させる場合に、車両1の左右方向にかかる力の変化を抑制できるので、車両1の左右方向への乗員の乗り心地を向上させることができる。本実施形態では、走行制御部404は、舵角センサ19により検出される舵角を実測値として取得するものとする。
一方、駐車支援処理のモードが駐車精度優先モードに切り替えられた場合、変更部405は、走行制御部404によるフィードバック制御に用いるパラメータの種類を、目標経路上における車両1の向きに関わるパラメータを、車両1の向きに変更する。この場合、走行制御部404は、目標経路に従って車両1を走行させる際の車両1の目標の向きである目標値に対する、車両1の実際の向きである実測値の偏差が所定値以下となるように、車両1を走行させるフィードバック制御を実行する。
これにより、車両1内に乗員が存在しない状態で目標駐車位置へ車両1を走行させる場合に、目標経路に対する車両1の左右方向の位置精度を向上させることができるので、目標駐車位置に対する車両1の左右方向の駐車精度を向上させることができる。本実施形態では、走行制御部404は、オドメトリ演算によって、車輪3の回転角を用いて車両1の向きを求め、当該求めた向きを実測値とする。または、走行制御部404は、撮像部15の撮像により得られる撮像画像に基づいて、車両1およびその周囲を含む周辺画像を生成し、当該生成した周辺画像に基づいて車両1の向きを求め、当該求めた向きを実測値とする。
また、本実施形態では、変更部405は、走行制御部404によるフィードバック制御に用いるパラメータの種類を、目標経路上における車両1の移動距離に関わるパラメータおよび目標経路上における車両1の向きに関わるパラメータの両方としても良い。この場合、変更部405は、駐車支援処理のモードが乗り心地優先モードに切り替えられた場合、車両1の速度および操舵部4の舵角を、走行制御部404によるフィードバック制御に用いるパラメータとする。一方、変更部405は、駐車支援処理のモードが駐車精度優先モードに切り替えられた場合、車両1の位置および向きを、走行制御部404によるフィードバック制御に用いるパラメータとする。これにより、車両1内に乗員が存在するか否かに応じて、車両1の前後方向および左右方向への乗員の乗り心地、または目標駐車位置に対する車両1の前後方向および左右方向の駐車精度を向上させることができる。
このように、本実施形態にかかる車両1によれば、車両1内に乗員が存在しない状態で駐車位置への車両1の走行を制御する場合に、目標経路に対する車両1の位置精度を優先した制御を実行可能となるので、駐車位置に対する車両1の駐車精度を向上させることができる。