以下、本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置101について図面を参照して説明する。図1は、レンズ駆動装置101の分解斜視図である。図2(A)は、レンズ駆動装置101の上方斜視図であり、図2(B)は、Y2側から見たレンズ駆動装置101の正面図である。図3(A)は、レンズ駆動装置101の上面図であり、図3(B)は、レンズ駆動装置101の底面図である。図4(A)は、ヨーク4を省略した状態のレンズ駆動装置101の上方斜視図であり、図2(A)に対応する。図4(B)は、X2側から見た、ヨーク4を省略した状態のレンズ駆動装置101の側面図である。
レンズ駆動装置101は、図1に示すように、レンズ体(図示せず。)を保持可能なレンズ保持部材2と、レンズ保持部材2をレンズ体に関する光軸方向JD(Z軸方向)に沿って移動させる駆動機構MKと、レンズ保持部材2を光軸方向JDに移動可能に支持する板ばね6と、板ばね6が固定される固定側部材RGと、外部との電気的な接続をもたらす端子7とを含む。レンズ体は、例えば、少なくとも1枚のレンズを備えた筒状のレンズバレルであり、その中心軸線が光軸方向JDに沿うように構成されている。
駆動機構MKは、図1に示すように、八角環状に巻かれたコイル3と、矩形箱状の外側ケースを兼ねたヨーク4と、コイル3の二辺と対向して配置された2つの磁石5とを含む。固定側部材RGは、ヨーク4と、端子7が埋め込まれたベース部材18とを含む。板ばね6は、レンズ保持部材2とヨーク4との間に配置される上側板ばね16と、レンズ保持部材2とベース部材18との間に配置される2つの下側板ばね26A、26Bとを含む。
レンズ駆動装置101は、略直方体形状を有し、撮像素子(図示せず。)を実装した基板(図示せず。)の上に取り付けられる。レンズ駆動装置101と、レンズ保持部材2に装着されたレンズ体と、レンズ体に対向するように基板に実装された撮像素子とはカメラモジュールを構成する。また、基板もカメラモジュールを構成する。コイル3は、下側板ばね26A、26B、端子7及び基板を介して電源に接続される。コイル3に電流が流れると、駆動機構MKは、光軸方向JDに沿った電磁力を発生させる。
レンズ駆動装置101は、この電磁力を利用し、撮像素子のZ1側(被写体側)で、光軸方向JDに沿ってレンズ保持部材2を移動させる。レンズ駆動装置101は、撮像素子から離れる方向にレンズ保持部材2を移動させてマクロ撮影を可能にし、撮像素子に近づく方向にレンズ保持部材2を移動させて無限遠撮影を可能にしている。
次に、レンズ保持部材2と駆動機構MKについて説明する。図5(A)は、レンズ保持部材2の上方斜視図であり、図5(B)は、図5(A)のレンズ保持部材2にコイル3が巻かれた状態を示す上方斜視図である。図6(A)は、レンズ保持部材2の下方斜視図であり、図6(B)は、図6(A)のレンズ保持部材2にコイル3が巻かれた状態を示す下方斜視図である。図7(A)は、レンズ保持部材2の上面図であり、図7(B)は、X1側から見たレンズ保持部材2の側面図である。図8(A)は、レンズ保持部材2の下方斜視図であり、図8(B)は、図8(A)に示すレンズ保持部材2にコイル3が巻かれた状態を示す下方斜視図である。図9(A)は、図8(B)に示す部分Sの拡大図であり、図9(B)は、図6(B)に示す部分Pの拡大図である。図10(A)は、端子7及びベース部材18が省略された状態のレンズ駆動装置101の底面図であり、図10(B)は、更に下側板ばね26A、下側板ばね26B及びレンズ保持部材2が省略された状態のレンズ駆動装置101の底面図である。
本実施形態では、レンズ保持部材2は、液晶ポリマー(LCP)等の合成樹脂を射出成形することで作製されている。具体的には、レンズ保持部材2は、図5(A)に示すように、光軸方向JDに沿って貫通されるように形成された筒状部12と、光軸方向JDにおける撮像素子側(Z2側)に形成されたフランジ部(鍔部)52とを含む。筒状部12は、光軸方向JDにおける被写体側(Z1側)においては、円筒状に形成されている。
筒状部12は、レンズ体が装着されるように、円筒状の内周面を有している。レンズ体は、例えば、接着剤によって筒状部12に固定される。また、筒状部12には、被写体側の端面に2つの窪み12dhを有した台座部12dが光軸を挟んで2箇所に設けられている。台座部12dには、図4(A)に示すように、上側板ばね16の内側部分16iが載置される。
筒状部12の外周面には、図5(A)に示すように、コイル3を内側から支持する外壁部としてのコイル支持部12jが設けられている。本実施形態では、コイル支持部12jは、八角環状のコイル3を支持できるよう、上面視で八角形状の外形を有する。コイル支持部12jの被写体側には、光軸方向JDにおいてフランジ部52と対向するように径方向外側に突出した庇部12h(図7(A)及び図7(B)参照。)が4箇所形成されている。そして、図5(B)に示すように、コイル3は、コイル支持部12jに支持され且つ光軸方向JDにおいて庇部12hとフランジ部52との間に挟まれるようにしてレンズ保持部材2の外周面側に八角環状に巻かれている。
フランジ部52は、筒状部12の撮像素子側(Z2側)における外周面から径方向外側に突出している。フランジ部52の被写体側にはコイル3が配置されている。フランジ部52には、図6(B)に示すように、レンズ体の光軸を挟んで切欠部52kが2つ形成されている。そして、切欠部52kの一方にはコイル3の巻き始め側の線材である延在部33Aが通され、切欠部52kの他方にはコイル3の巻き終わり側の線材である延在部33Bが通されている。切欠部52kを形成するフランジ部52の縁部は、湾曲するように構成されている。縁部と接するコイル3の線材が断線するのを防止し或いは抑制するためである。
フランジ部52は、図6(A)に示すように、撮像素子側(Z2側)の面から下方(Z2方向)に突出した、角形凸状の2つの保持部72と、6つの板ばね支持部2sと、丸形凸状の6つの突設部2tと、3つの壁部(内側壁部82u、外側壁部82v、側壁部82w)で形成された2つの突堤部82とを含む。突設部2tは、板ばね支持部2sから更に下方(Z2方向)に突出するように形成されている。
保持部72は、図6(B)に示すように、コイル3(巻回部13)の巻き始め側に対応する保持部72Aと、コイル3(巻回部13)の巻き終わり側に対応する保持部72Bを含む。コイル3の両端は、保持部72に巻き付けられて保持されている。
板ばね支持部2sは、下側板ばね26A、26Bと接触して下側板ばね26A、26Bを支持する。具体的には、6つの板ばね支持部2sのそれぞれの端面は、同一平面に含まれ、下側板ばね26A、26BのZ1側の面と接触して下側板ばね26A、26Bを支持する。
突設部2tは、図6(A)及び図10(A)に示すように、下側板ばね26Aに対応する3つの突設部2tと、下側板ばね26Bに対応する3つ突設部2tとを含む。突設部2tには、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれの内側部分26iが装着されて固定されている。下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれの内側部分26iの固定は、内側部分26iに形成された貫通孔に挿通された突設部2tに熱かしめ又は冷間かしめ(以下、「熱かしめ等」とする。)を施すことによって実現される。図6~図10では、突設部2tは、熱かしめ等が施された後の先端が変形した状態で図示されている。
突堤部82は、図6(A)に示すように、レンズ保持部材2の中心側に位置する内側壁部82uと、内側壁部82uと対向して外側に位置する外側壁部82vと、保持部72に近い側で内側壁部82uと外側壁部82vとの間に位置する側壁部82wとを含む。保持部72から遠い突堤部82の側には、図9(A)に示すように、壁部が切り欠かれた開放部82zが形成されている。そして、3つの壁部(内側壁部82u、外側壁部82v、側壁部82w)で囲われた空間が収容部82sを形成している。収容部82sは、コイル3の延在部33A、33Bと下側板ばね26A、26Bとを接続する導電性接着剤を収容できるように構成されている。本実施形態では、突堤部82が保持部72と隣り合う位置に形成されているので、保持部72の側壁(側面)は、突堤部82の側壁部82wとして好適に利用されている。すなわち、保持部72は、突堤部82の内側に配置されると共に、保持部72の外側に位置する外側壁部82v及び側壁部82wと隣接して設けられている(図17(A)参照。)。したがって、保持部72の側壁(側面S3、S4)は、収容部82sを囲む突堤部82(側壁部82w)の一部を構成する。そして、収容部82sは、保持部72と隣り合う位置に設けられている。また、本実施形態では、開放部82zの外側に段部82xが形成されている。段部82xは、突堤部82の内側から外側に導電性接着剤が漏れ出すのを防止する。但し、段部82xは省略されてもよい。
次に、レンズ駆動装置101の駆動機構MKについて説明する。駆動機構MKは、図10(B)に示すように、コイル3と、ヨーク4と、ヨーク4の二辺のそれぞれと対向するように配置された2つの磁石5とを含む。そして、駆動機構MKは、コイル3に流れる電流と磁石5が発生する磁界とで駆動力(推力)を発生させ、レンズ保持部材2を光軸方向JDに沿って上下に移動させる。
コイル3は、図6(B)に示すように、レンズ保持部材2の外周に導電性の線材を巻回して形成されている。コイル3は、八角環状に巻かれて形成された巻回部13と、巻回部13から延びて保持部72に巻き付けられる延在部33とを含む。図6(B)は、明瞭化のため、巻回部13に関しては、絶縁部材で表面を被覆された導電性の線材の詳細な巻回状態の図示を省略している。巻回部13を図示する他の図についても同様である。なお、コイル3(巻回部13)は、前述したように、庇部12hとフランジ部52との間で、レンズ保持部材2の外側に保持されている。そして、本実施形態では、コイル支持部12jと巻回部13とは接着剤により固定されている。
延在部33は、コイル3の巻き始め側で巻回部13の内周側に位置する巻回部13の端部(巻き始め部分)に繋がっている延在部33Aと、コイル3の巻き終わり側で巻回部13の外周側に位置する巻回部13の端部(巻き終わり部分)に繋がっている延在部33Bとを含む。
具体的には、延在部33Aは、図9(A)に示すように、保持部72Aに巻き付けられる巻き付け部33mと、収容部82sの内底面BS(Z1側の面)と対向して延びる接続部33cと、切欠部52kに挿通されてフランジ部52の撮像素子側(Z2側)から被写体側(Z1側)に延びる挿通部33kとを含む。延在部33Bは、図9(B)に示すように、保持部72Bに巻き付けられる巻き付け部33mと、収容部82sの内底面BS(Z1側の面)と対向して延びる接続部33cと、切欠部52kに挿通されてフランジ部52の撮像素子側(Z2側)から被写体側(Z1側)に延びる挿通部33kとを含む。
本実施形態では、延在部33Aは、コイル3の線材がレンズ保持部材2の外周に巻き付けられる前に、レンズ保持部材2の保持部72Aに巻き付けられる。図9(A)に示す例では、コイル3の線材の一部が保持部72Aに3ターン巻き付けられている。これにより、巻き付け部33mが保持部72Aに形成され、延在部33Aの一部が保持部72Aに保持される。但し、延在部33Aは、コイル3の線材がレンズ保持部材2の外周に巻き付けられた後で、保持部72Aに巻き付けられてもよい。すなわち、巻回部13が形成された後で、巻回部13の巻き始め部分から延びている延在部33Aが保持部72Aに巻き付けられてもよい。なお、この場合には、保持部72Aへの巻き付けに必要な長さより長い延在部33Aが確保された状態で巻回部13が形成される。
次に、レンズ保持部材2の外周に線材が巻き付けられる。その際には、図9(A)に示すように、巻き付け部33mから延びる線材は、収容部82sの内底面BSと対向するとともに、壁部が切り欠かれた開放部82zを通る。そして、線材は、フランジ部52の下側から切欠部52kを通ってフランジ部52の上側に延びる。このとき、収容部82sの内底面BSと対向する部分が延在部33Aの接続部33cを構成し、切欠部52kを通る部分が延在部33Aの挿通部33kを構成する。
延在部33Aの挿通部33kは、フランジ部52の下側から上側に延びる際、図9(A)に示すように、フランジ部52の縁部に接するように構成されている。そのため、落下等により強い衝撃がレンズ駆動装置101に加えられた際には、コイル3の延在部33Aはフランジ部52の縁部に押し付けられる。本実施形態では、フランジ部52の縁部は湾曲するように構成されている。そのため、延在部33Aは、フランジ部52の縁部で切断され難い。延在部33Bと接するフランジ部52の縁部も湾曲するように構成されていてもよい。
レンズ保持部材2の外周に巻回されたコイル3の巻回部13は、図5(B)に示すように、レンズ保持部材2の周囲を囲む位置に配置されている。また、巻回部13は、コイル支持部12j(図5(A)参照。)により内側から支持された状態で、庇部12hとフランジ部52に挟まれるようにして、フランジ部52の被写体側に固定されている。また、巻回部13の内周面がコイル支持部12jにより等方的にバランス良く支持されるため、巻回部13は、コイル3の中心軸とレンズ保持部材2の中心軸とが一致した状態で、レンズ保持部材2に保持される。したがって、レンズ保持部材2に保持されたレンズ体の光軸は、レンズ保持部材2及びコイル3のそれぞれの中心軸と容易に一致するように構成されている。
レンズ保持部材2の外周への線材の巻き付けが終了すると、巻回部13の巻き終わり側の端部に繋がる延在部33Bは、図9(B)に示すように、フランジ部52の被写体側から切欠部52kを介してフランジ部52の撮像素子側に引き出される。具体的には、挿通部33kが切欠部52kを通過し、接続部33cが突堤部82の開放部82zを通過するとともに収容部82sの内底面BSと対向して延び、巻き付け部33mがレンズ保持部材2の保持部72Bに巻き付けられる。図9(B)に示す例では、延在部33Bは、保持部72Bに3ターン巻き付けられている。
突堤部82には、保持部72Bから遠い側に、壁部が切り欠かれた開放部82zが形成されている。延在部33Bの接続部33cは開放部82zを通って延びる。この構成により、突堤部82と延在部33Bとの干渉が回避され、レンズ保持部材2と下側板ばね26Bとの間隔の増大が回避され、レンズ駆動装置101の寸法が光軸方向JDにおいて大きくなるのが抑制され得る。
次に、駆動機構MKを構成するヨーク4について説明する。本実施形態では、ヨーク4は、鉄等の軟磁性体材料で形成された板材に抜き加工及び絞り加工を施して作製されている。具体的には、図1に示すように、収納部4sを定める箱状の外形を有する。そして、ヨーク4は、矩形環状の外壁部4Aと、外壁部4Aの上端(Z1側の端)と連続するように設けられた平板状の上面部4Bとを有する。上面部4Bは、磁石5と対向する部分に複数(本実施形態では4つ)の受け部4Rを有する。受け部4Rは、ヨーク4と磁石5との間に配置される上側板ばね16の外側部分16e(図11(A)参照。)を受ける部分、すなわち、上側板ばね16の外側部分16eと接触する部分である。本実施形態では、上面(Z1側の面)が窪むように、すなわち、下面(Z2側の面)が磁石5側(Z2側)に突出するように形成されている。この構成により、受け部4Rは、上側板ばね16の内側部分16i(図11(A)参照。)が動ける空間を形成するためのすスペーサとしての機能を果たす。このように構成されたヨーク4は、図10(B)に示すように、コイル3及び磁石5を収納部4sに収容し、且つ、図2に示すように、ベース部材18に結合されてベース部材18とともに筐体を構成する。但し、ヨーク4は、オーステナイト系ステンレス鋼等の非磁性体で形成されたカバーで置き換えられてもよい。
次に、駆動機構MKを構成する磁石5について説明する。磁石5は、図1に示すように直方体形状を有する。そして、2つの磁石5は、図10(B)に示すように、コイル3の外側に位置するとともに、ヨーク4を構成する矩形環状の外壁部4Aの対向する二辺のそれぞれに沿うように配置されている。そして、接着剤により、ヨーク4に固定されている。また、磁石5は、例えば、内側がN極、外側がS極となるように配置されている。
次に、板ばね6及び固定側部材RGについて説明する。図11は、板ばね6を説明する図である。図11(A)は、上側板ばね16の上面図であり、図11(B)は、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bの上面図である。図12は、下側板ばね26Aとコイル3との接続状態の一例を説明する図である。具体的には、図12(A)は、図10(A)に示す部分Tの拡大図であり、図12(B)は、図10(A)に示す部分TをX2側から見たときの下側板ばね26A、コイル3及びレンズ保持部材2の拡大図である。なお、図12(A)及び図12(B)では、説明を分かり易くするため、導電性接着剤CAがクロスハッチングで示されている。図13は、固定側部材RGのベース部材18を説明する図である。具体的には、図13(A)は、ベース部材18の上方斜視図であり、図13(B)は、ベース部材18に下側板ばね26A及び下側板ばね26Bを組み付けた状態の上方斜視図である。
板ばね6は、銅合金を主な材料とした金属板から作製されている。板ばね6は、図1に示すように、レンズ保持部材2とヨーク4との間に配置される上側板ばね16と、レンズ保持部材2とベース部材18との間に配置される下側板ばね26A及び下側板ばね26Bとを含む。レンズ保持部材2と板ばね6(上側板ばね16、下側板ばね26A、下側板ばね26B)のそれぞれとが係合された状態で、板ばね6は、レンズ保持部材2が光軸方向JD(Z軸方向)へ移動可能となるように、レンズ保持部材2を空中で支持している。下側板ばね26A及び下側板ばね26Bは、コイル3に電流を供給するための給電部材として機能する。そのため、下側板ばね26Aはコイル3の一端に電気的に接続され、下側板ばね26Bはコイル3の他端に電気的に接続されている。上側板ばね16とヨーク4との間にはスペーサが配置されていてもよい。レンズ保持部材2がZ1方向に移動したときにレンズ保持部材2とヨーク4とが衝突するのを防止するためである。
上側板ばね16は、図11(A)に示すように、略矩形状を有し、レンズ保持部材2に固定される可動側支持部としての内側部分16iと、固定側部材RGに固定される固定側支持部としての外側部分16eと、内側部分16iと外側部分16eとの間に位置する4箇所の弾性腕部16gとを含む。具体的には、内側部分16iは、中心を挟んで対向する2箇所に設けられている。外側部分16eは、4箇所の角部分16bと、角部分16bを繋ぐ2つの桟部16rとを有している。桟部16rは、ヨーク4の受け部4Rと磁石5とで挟持されて固定される。ヨーク4及び磁石5は、固定側部材RGとして機能する。
上側板ばね16がレンズ駆動装置101に組み込まれた際には、図4(A)に示すように、内側部分16iは、レンズ保持部材2の台座部12d(図5(A)参照。)に載置される。そして、内側部分16iと台座部12dとを接着剤で固定することにより、内側部分16iはレンズ保持部材2に固定される。外側部分16eは、図4(B)に示すように、磁石5の上面(Z1側の面)に接し、ヨーク4(図示せず。)と磁石5との間に挟持されて固定される。
上側板ばね16は、図11(A)に示すように、略左右対称に形成されている。そして、内側部分16iでレンズ保持部材2に固定され、外側部分16eでヨーク4に固定されている。そのため、上側板ばね16は、レンズ保持部材2をバランス良く空中で支持できる。
下側板ばね26A及び下側板ばね26Bは、図11(B)に示すように、それぞれの内側形状が半円形状となるように構成されている。そして、レンズ保持部材2の撮像素子側に固定される可動側支持部としての内側部分26iと、固定側部材RGに固定される固定側支持部としての外側部分26eと、内側部分26iと外側部分26eとの間に位置する弾性腕部26gとを含む。
下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれの内側部分26iは、図11(B)に示すように、レンズ保持部材2と係合される3つの内側接合部分26cと、3つの内側接合部分26cの間を繋ぐ2つの第1連結部26pと、コイル3の延在部33と対向する接続板部26hとを含む。
下側板ばね26A及び下側板ばね26Bがレンズ駆動装置101に組み込まれた際には、図6(A)に示すレンズ保持部材2の6つの突設部2tのそれぞれは、図11(B)に示す下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれの内側接合部分26cに設けられた円形の貫通孔に挿通されて嵌合される。これにより、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれの内側部分26iは、レンズ保持部材2に位置決めされ且つ固定される。下側板ばね26A及び下側板ばね26Bは、例えば、レンズ保持部材2の突設部2tに熱かしめ等を施すことで、レンズ保持部材2に固定される。
以下では、主に下側ばね26Aとレンズ保持部材2及びコイル3との関係を説明する。但し、下側ばね26Aに関する説明は、下側ばね26Bにも同様に適用される。
下側板ばね26Aの内側部分26iの接続板部26hは、図12(B)に示すように、レンズ駆動装置101が組み立てられた際には、レンズ保持部材2の突堤部82と対向する。すなわち、接続板部26hの被写体側(Z1側)の面は、図12(A)に示すように、突堤部82で形成された収容部82sと対向する。そして、コイル3の延在部33Aの接続部33cは、図12(B)に示すように、下側板ばね26Aの内側部分26iの被写体側の面とレンズ保持部材2のフランジ部52の撮像素子側(Z2側)の面との間を通って延びる。
内側部分26iの接続板部26hには、図12(A)に示すように、突堤部82の開放部82zと対向する位置に、両側から切り欠かれた貫通部26tが設けられ、且つ、外側壁部82vと対向する位置に、U字形状(半円形状)の切欠部26kが設けられている。貫通部26tは、底面視で、突堤部82の内側壁部82u及び外側壁部82vの端部に対応する位置に設けられ、且つ、貫通部26tを構成している壁端面26xがこれらの端部を覆うように設けられている。この配置により、貫通部26tは、導電性接着剤CAが下側板ばね26AのZ1側の表面を伝ってY2側に広がるのを防止している。また、切欠部26kは、収容部82sに対応する位置に形成されている。この配置により、切欠部26kは、導電性接着剤CAが下側板ばね26AのZ1側の表面を伝って外側壁部82vの側(X2側)に広がるのを防止している。すなわち、内側壁部82uの側(X1側)に広がり易くしている。
下側板ばね26Aがレンズ保持部材2に組み付けられた際には、図12(B)に示すように、保持部72Aは、その先端が下側板ばね26Aの内側部分26iの撮像素子側(Z2側)に位置するように、内側部分26iよりも下方(Z2方向)に突出している。また、巻き付け部33mの一部も内側部分26iの撮像素子側(Z2側)に位置するように保持部72Aに巻き付けられている。
下側板ばね26Aとコイル3の延在部33Aは、合成樹脂中に銀粒子等の導電性フィラーが分散された導電性接着剤CAで電気的且つ機械的に接続されている。具体的には、下側板ばね26Aをレンズ保持部材2に組み込む前に、レンズ保持部材2の突堤部82で囲まれた収容部82sに導電性接着剤CAが充填され、その後、下側板ばね26Aがレンズ保持部材2に装着される。そして、レンズ保持部材2の突設部2tに熱かしめ等が施され、且つ、導電性接着剤CAが熱硬化される。導電性接着剤CAの収容部82sへの充填から導電性接着剤CAの熱硬化までは、保持部72が鉛直上方に突出するようにレンズ保持部材2が逆さまにされた状態で行われる。そのため、導電性接着剤CAは、流動性を有する場合であっても、所望の位置(収容部82s内の位置)に適切に保持され得る。そして、接続部33cの一部は、収容部82s内に配置されているため、導電性接着剤CA内に埋設される。なお、導電性接着剤CAは、熱硬化型に限らず、紫外線硬化型のものであってもよい。
下側板ばね26Aの外側部分26eは、図11(B)に示すように、ベース部材18と係合される2つの外側接合部分26dを含む。下側板ばね26Aの外側接合部分26dに設けられた貫通孔は、ベース部材18の上面に設けられた突設部18t(図13(A)参照。)と嵌合する。これにより、下側板ばね26Aの外側部分26eは、ベース部材18に位置決めされ且つ固定される。
下側板ばね26A及び下側板ばね26Bは、図11(B)に示すように、略左右対称に形成されている。そして、下側板ばね26Aは、3つの内側接合部分26cでレンズ保持部材2に接続され、2つの外側接合部分26dでベース部材18に接続されている。下側板ばね26Bについても同様である。この構成により、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bは、レンズ保持部材2を光軸方向JDへ移動可能な状態でバランス良く空中で支持することができる。
次に、固定側部材RGについて説明する。固定側部材RGは、上側板ばね16を固定するヨーク4及び磁石5と、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれを固定するベース部材18とを含む。
ベース部材18は、液晶ポリマー等の合成樹脂を用いた射出成形によって作製される。本実施形態では、ベース部材18は、図13(A)に示すように、矩形板状の外形を有する部材であり、中央に円形の開口18kが形成されている。また、ベース部材18の被写体側(Z1側)の面(上面)には、上方に向けて突出する6つの突設部18tが設けられている。突設部18tは、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれにおける外側接合部分26dに設けられた貫通孔に挿通され且つ嵌合される。この際、突設部18tは熱かしめ等が施されて外側接合部分26dに固定される。
ベース部材18には、図13(A)に示すように、銅若しくは鉄又はそれらを主成分とする合金等の材料を含む金属板から形成された端子7がインサート成形されて埋め込まれている。端子7は、端子7A~7C(図3(B)参照。)を含み、端子7A~7Cのそれぞれは、一部がベース部材18の上面(Z1側の面)に露出している。そして、互いに電気的に絶縁されている端子7A~7Cのそれぞれは、撮像素子を実装した基板(図示せず。)に電気的に接続されている。また、端子7Aは下側板ばね26Aに電気的に接続され、端子7Bは下側板ばね26Bに電気的に接続され、端子7Cはヨーク4に電気的に接続されている。更に、下側板ばね26Aはコイル3の一端に電気的に接続され、下側板ばね26Bはコイル3の他端に電気的に接続されている。そのため、コイル3は、端子7と下側板ばね26A及び下側板ばね26Bとを介して電流の供給を受けることができる。
ベース部材18には、端子7と同様に、銅若しくは鉄又はそれらを主成分とする合金等の材料を含む金属板から形成された接続部材57もインサート成形されて埋め込まれている。接続部材57は、図2に示すように、ヨーク4の四隅の下端部のところで、一部を露出させている。ベース部材18は、ヨーク4の外壁部4Aの内面とベース部材18の外周側面とが組み合わさって位置決めされた後で、接続部材57とヨーク4の四隅の下端部とが溶接されてヨーク4に固定される。ヨーク4とベース部材18とは少なくとも部分的に接着剤で固定されてもよい。なお、本実施形態では、Y1側に位置する2つの接続部材57は、端子7Cを構成する金属板と同じ金属板で形成されている。
次に、図14を参照し、保持部72の詳細について説明する。図14は、図14(A)~図14(F)を含む。図14(A)は、Z2側から見た保持部72Aの底面図である。図14(B)は、Y1側から見た保持部72Aの側面図である。図14(C)は、X2側から見た保持部72Aの側面図である。図14(D)は、Y2側から見た保持部72Aの側面図である。図14(E)は、X1側から見た保持部72Aの側面図である。図14(F)は、図14(A)に示す一点鎖線DLを含む断面を示す。保持部72Aと保持部72Bは、図10(A)に示すように、Y軸に関して左右対称に形成されている。そのため、以下の保持部72Aに関する説明は保持部72Bにも適用される。
保持部72Aは、図14に示すように、四角柱状に形成されている。具体的には、4つの側面S1~S4と端面73を含む。但し、保持部72Aは、三角柱、五角柱、六角柱、七角柱、八角柱等の他の多角柱の形状を有していてもよい。また、図14では、側面S1の幅W1は、側面S2及びS4の幅W2より大きく、側面S3の幅W3は、幅W2より小さい。また、側面S1と側面S2、及び、側面S2と側面S3は垂直となるように形成され、側面S3と側面S4は、二面角が鈍角αとなるように形成されている。すなわち、保持部72Aは、略台形断面を有する四角柱の形状を有するように形成されている。そのため、保持部72Aに巻き付けられた巻き付け部33m(図9(A)参照。)は回転し難い。但し、保持部72Aは、幅W1が幅W3より大きいのであれば、幅W1が幅W2より小さくなるように形成されていてもよく、幅W3が幅W2より大きくなるように形成されていてもよい。
側面S1と側面S2との間の側辺に対応する縁75-1、側面S2と側面S3との間の側辺に対応する縁75-2、及び、側面S3と側面S4との間の側辺に対応する縁75-3は何れもエッジが立つよう(湾曲しないよう)に成形されている。例えば、レンズ保持部材2は、縁75-1~75-3のそれぞれに対応する金型部分が放電加工で形成された金型による射出成形によって形成されている。
一方で、側面S1と側面S4との間の側辺に対応する縁75-4は、エッジが立たないよう(湾曲するよう)に成形されている。本実施形態では、縁75-4は、4つの縁75-1~75-4のうち、延在部33Aの根本部分から最も遠い位置にある。根本部分は、コイル3の巻き始め側にある延在部33Aを構成する1本の線材の一部であり、巻回部13に近い部分(例えば、巻回部13から所定の距離範囲内にある部分)を構成し、巻回部13を構成する線材の一巻き目に繋がっている。そのため、レンズ保持部材2は、例えば、縁75-4に対応する金型部分が放電加工ではなく切削加工で形成された金型による射出成形によって形成されている。エッジが立たないように縁75-4が成形される理由は、コイル3の巻回部13に繋がる延在部33Aの線材が保持部72Aに巻き付けられる際に、縁75-4と接触するその線材の表面に過度の力が掛からないようにするためである。この構成により、コイル3の線材は、保持部72Aに巻き付けられる際に断線し難くなる。
保持部72Aの端面73は、図14(A)に示すように、平坦部73fと、平坦部73fから隆起する隆起部73rとを有する。平坦部73fと側面S1~S4のそれぞれとは直交している。
平坦部73fは、図14(A)に示すように、端面73の縁に沿って環状に形成されている。具体的には、底面視で台形状の外形を有する端面73の四辺に対応する4つの縁76-1~76-4に沿って環状に形成されている。図14(A)では、4つの縁76-1~76-4のそれぞれに沿って連続するように形成された4つの平坦部73fは、等しい大きさの幅Waを有する。但し、4つの平坦部73fは、幅が互いに異なるように形成されていてもよい。
4つの縁76-1~76-4は何れもエッジが立つよう(湾曲しないよう)に形成されている。すなわち、保持部72Aは、縁76のところで先細りしないように形成されている。そのため、レンズ保持部材2は、例えば、縁76に対応する部分に金型の合わせ面が位置するように構成された入れ子構造の金型による射出成形によって形成されている。
隆起部73rは、端部73r1及び連結部73r2を含む。端部73r1は、隆起が始まる部分である。連結部73r2は、2つ以上の端部73r1を連結する部分である。また、連結部73r2は、平坦部73fと平行な平面によって形成されている。図14では、端部73r1は、曲率半径Rの湾曲面を含む。図14(B)~図14(F)においては、理解を容易にするために、曲率半径Rの円(球)を破線で示している。曲率半径Rは、例えば、切削加工で形成された金型で成形可能な最小曲率半径(例えば50μm)である。なお、端部73r1の湾曲面は、曲率半径R以上の異なる曲率半径を有する複数の湾曲面で構成されていてもよい。
隆起部73rは、その高さ(平坦部73fからZ2方向への高さHa)が端部73r1の湾曲面の曲率半径Rよりも小さくなるように構成されている。保持部72Aの側面S1~S4における平面部分の高さH1をできるだけ高くしながら、保持部72Aの全高(H1+Ha)をできるだけ低くするためである。但し、高さHaは、所定値(例えば30μm)以上となるように構成される。高さHaが所定値よりも小さいと、縁76に打痕が付き難くするという効果が失われてしまうためである。
また、隆起部73rは、図14(B)~図14(E)のそれぞれにおいて一点鎖線で示す線分TLと平坦部73f(XY平面)との間に形成される角度が所定角度θ以上となるように構成されている。線分TLは、例えば、端部73r1の湾曲面に関する接線のうち縁76を通る接線である。この構成により、隆起部73rは、保持部72Aの端面73を構成する縁76に他の部材が直接接触するのを抑制或いは防止できる。平坦な表面を有する他の部材は、その表面と保持部72Aの平坦部73f(XY平面)との間に形成される角度が所定角度θ未満であれば、Z1方向に移動しながら保持部72Aに接近する際に最初に隆起部73rに接触するためである。すなわち、隆起部73rに接触することなく縁76のみに接触することはないためである。
同様に、隆起部73rは、図14(F)の一点鎖線で示す線分TLuと平坦部73f(XY平面)との間に形成される角度が所定角度θu以上となるように構成されている。また、隆起部73rは、図14(F)の一点鎖線で示す線分TLvと平坦部73f(XY平面)との間に形成される角度が所定角度θv以上となるように構成されている。線分TLu及び線分TLvは、例えば、端部73r1の湾曲面に関する接線のうち縁75及び縁76を通る接線である。この構成により、隆起部73rは、縁75-2と縁76が形成する角に他の部材が直接接触するのを抑制或いは防止できる。平坦な表面を有する他の部材は、その表面と保持部72Aの平坦部73f(XY平面)との間に形成される角度が所定角度θu未満であれば、隆起部73rに接触することなくその角のみに接触することはないためである。また、隆起部73rは、縁75-4と縁76が形成する角(エッジ部分)に他の部材が直接接触するのを抑制或いは防止できる。平坦な表面を有する他の部材は、その表面と保持部72Aの平坦部73f(XY平面)との間に形成される角度が所定角度θv未満であれば、隆起部73rに接触することなくそのエッジ部分のみに接触することはないためである。
また、縁76-1~76-4に対応する部分に金型の合わせ面が位置する状態で成形されるレンズ保持部材2は、平坦部73fの幅Waが所定幅よりも大きくなるように構成されている。成形品としてのレンズ保持部材2が入れ子構造の金型から確実に取り外されるようにするためである。例えば、図14では、平坦部73fの幅Waは20μmである。そして、隆起部73rは、その高さHaが幅Waよりも大きくなるように構成されている。結果として、隆起部73rは、例えば、平坦部73fの幅Waが小さいほど高さHaが低くなるように構成される。
次に、図15を参照し、保持部72Aと保持部72Aに巻き付けられるコイル3の延在部33Aとの関係について説明する。図15は、保持部72Aと延在部33Aの位置関係を示す図であり、図15(A1)、図15(A2)、図15(B1)及び図15(B2)を含む。図15(A1)及び図15(A2)は、延在部33Aが巻き付けられていない保持部72Aに関する2つの斜視図である。図15(B1)及び図15(B2)は、延在部33Aが巻き付けられた保持部72Aに関する2つの斜視図であり、図15(B1)が図15(A1)に対応し、図15(B2)が図15(A2)に対応する。なお、図15を参照して行われる以降の説明は、最初に線材がレンズ保持部材2の外周に巻き付けられて巻回部13が形成された後に、巻回部13から所定の長さで延びている延在部33Aが保持部72Aに巻き付けられる構成に基づく。
延在部33Aは、図15(B1)及び図15(B2)に示すように、保持部72Aに3ターン巻き付けられている。具体的には、延在部33Aの巻き付け部33mでは、巻回部13から延びて開放部82zを通過した線材が、最初に側面S4と接触した後、湾曲するように形成されている縁75-4に沿って折り曲げられて第1湾曲部WPを形成した後で側面S1と接触する。第1湾曲部WPは、線材の巻き付け始点に相当する。その後、巻き付け部33mは、縁75-1(図14(A)参照。)で折り曲げられて側面S2と接触し、縁75-2(図14(A)参照。)で折り曲げられて側面S3と接触し、更には、縁75-3(図14(A)参照。)で折り曲げられて再び側面S4と接触する。
図15では、コイル3の線材は、保持部72Aの根本部分から端面73に向かって互いに密接するように3ターン巻き付けられ、且つ、切離部CPのところで引きちぎられている。具体的には、コイル3の線材は、3ターン目のところで縁75-2に沿って折り曲げられ且つ引っ張られて引きちぎられる。そのため、切離部CPは、縁75-2のところに位置し、且つ、端面73の縁76に最も近いところに位置する。
側面S4は、突堤部82に囲まれた空間(収容部82s)を通る線材部分である接続部33cの延在方向に沿うように形成されている。すなわち、接続部33cは、保持部72Aの略台形断面の斜辺を構成する縁76-1(図14(A)参照。)に沿って、保持部72Aと切欠部52kとの間を延びるように配置されている。本実施形態では、接続部33cは、側面S4に接触している。なお、接続部33cは、保持部72Aに巻き付けられた巻き付け部33mに繋がる線材部分であり、突堤部82で囲まれた空間である収容部82sに塗布された導電性接着剤CAを介して下側板ばね26Aに接続される。また、接続部33cは、巻き付け部33mと巻回部13との間に位置している。
このように、保持部72Aの側面S4は、接続部33cをガイドするガイド部GDとして機能する。具体的には、接続部33cが突堤部82に乗り上げないよう、或いは、突堤部82の内壁に接触しないよう、収容部82s内における接続部33cの配索経路をガイドする。なお、延在部33Aを構成する線材が保持部72Aに巻き付けられて巻き付け部33mが形成された後で巻回部13がレンズ保持部材2の外周に形成される場合においても、保持部72Aの側面S4は、ガイド部GDとして機能し、収容部82s内における接続部33cの配索経路をガイドする。
また、本実施形態では、レンズ保持部材2は、ガイド部GDとして機能する突起部77を有する。突起部77は、フランジ部52のZ2側の面からZ2方向に突出し、延在部33Aと接触するように形成されている。具体的には、接続部33cが突堤部82に乗り上げないよう、或いは、突堤部82の内壁に接触しないよう、収容部82s内における接続部33cの配索経路をガイドするガイド部GDとして機能する。
ここで、図16を参照し、ガイド部GDによる効果について説明する。図16は、コイル3が取り付けられたレンズ保持部材2の底面図であり、図16(A)~図16(D)を含む。具体的には、図16(A)のレンズ保持部材2は、ガイド部GDとして機能する側面S4及び突起部77を含む。図16(B)のレンズ保持部材2は、ガイド部GDとして機能する側面S4を含まずにガイド部GDとして機能する突起部77を含む。図16(C)のレンズ保持部材2は、ガイド部GDとして機能する突起部77を含まずにガイド部GDとして機能する側面S4を含む。図16(D)のレンズ保持部材2は、ガイド部GDとして機能する側面S4及び突起部77の何れをも含んでいない。
図16(A)のレンズ保持部材2は、ガイド部GDとして機能する側面S4及び突起部77を含むため、突堤部82の内側壁部82uから距離G1を空けた状態で接続部33cを這わせることができる。この構成により、図16(A)のレンズ保持部材2は、接続部33cが内側壁部82uに乗り上げてしまうのを防止できる。
また、接続部33cは、突堤部82の外側壁部82vから、距離G1よりも大きい距離だけ隔てられた位置に配置されている。そのため、図16(A)のレンズ保持部材2は、接続部33cが外側壁部82vに乗り上げてしまうのを防止できる。
図16(B)のレンズ保持部材2は、接続部33cの延在方向に沿っていない側面S4Xを含むため、ガイド部GDとして機能する側面S4を含んではいないが、ガイド部GDとして機能する突起部77を含んでいる。そのため、内側壁部82uの内壁面に沿った状態で接続部33cを這わせることができる。この構成により、図16(B)のレンズ保持部材2は、図16(A)のレンズ保持部材2と比べると確実性で劣るものの、接続部33cが内側壁部82uに乗り上げてしまうのを防止できる。なお、図16(B)の例では、接続部33cは内側壁部82uの内壁面に接触していない。
図16(C)のレンズ保持部材2は、ガイド部GDとして機能する突起部77を含んではいないが、ガイド部GDとして機能する側面S4を含んでいるため、内側壁部82uの内壁面に沿った状態で接続部33cを這わせることができる。この構成により、図16(C)のレンズ保持部材2は、図16(A)のレンズ保持部材2と比べると確実性で劣るものの、接続部33cが内側壁部82uに乗り上げてしまうのを防止できる。なお、図16(A)及び図16(C)のそれぞれに示すレンズ保持部材2においては、ガイド部GDとして機能する側面S4は、その延長線L1(図17(A)参照。)が突堤部82に形成された開放部82zを通るように構成されている。
図16(D)のレンズ保持部材2は、ガイド部GDとして機能する側面S4及び突起部77の何れをも含んでいない。そのため、この構成では、内側壁部82uの内壁面に沿った状態で接続部33cを這わせることが困難となるおそれがある。具体的には、接続部33cは、図16(D)の破線円DCで示す内側壁部82uの先端部のところで顕著に屈曲している。そのため、図16(D)のレンズ保持部材2は、接続部33cが内側壁部82uに乗り上げてしまうのを防止できないおそれがある。
このように、レンズ保持部材2は、ガイド部GDを備えることで、突堤部82の内側で接続部33cを適切な配索経路に沿って配置できる。また、ガイド部GDを備えない場合に比べ、突堤部82(内側壁部82u又は外側壁部82v)の内壁面と線材(接続部33c)との間に比較的大きな距離を確保できる。そのため、線材の全周囲が十分な厚みの導電性接着剤CAで覆われるようにし、例えば環境試験後に導電性接着剤CAのところで電気抵抗値が上昇してしまうのを抑えることができる。線材(接続部33c)は、突堤部82の内壁面と接触している部分等、突堤部82の内壁面からの距離が小さい部分では、十分な厚みの導電性接着剤CAで覆われることができないためである。そして、電気抵抗値は、線材(接続部33c)と導電性接着剤CAとの接触面積が小さいほど不安定になってしまうためである。
次に、図17を参照し、突起部77の配置例について説明する。図17は、レンズ保持部材2の底面図であり、図17(A)~図17(D)を含む。図17(A)~図17(D)のそれぞれにおける突起部77の配置は互いに異なるが、それ以外の構成は共通している。
具体的には、図17(A)のレンズ保持部材2は、図16(A)のレンズ保持部材2に対応する。図17(A)の突起部77は、Y軸方向において突堤部82の開放部82zと対向する位置に配置されている。また、内側壁部82u及び外側壁部82vから距離D1だけ離れた位置に配置されている。また、保持部72Aの側面S4の延長線L1が突起部77の略中心を通るように配置されている。なお、図17(A)の例では、側面S4は、延長線L1が内側壁部82uと接触しないように形成されている。すなわち、側面S4は、延長線L1が突堤部82の開放部82zを通るように形成されている。図17(B)及び図17(C)の例についても同様である。
この構成により、図17(A)の突起部77は、ガイド部GDとして機能し、収容部82sにおける接続部33c(図16(A)参照。)の配索経路のばらつきを抑えることができる。そのため、接続部33cが内側壁部82uに乗り上げてしまうのを防止できる。
図17(B)の突起部77は、図17(A)の突起部77と同様に、Y軸方向において突堤部82の開放部82zと対向する位置に配置されている。一方で、図17(B)の突起部77は、図17(A)の突起部77と比べ、開放部82zにより近い位置に配置されている。具体的には、内側壁部82u及び外側壁部82vから距離D2(<D1)だけ離れた位置に配置されている。
この構成により、図17(B)の突起部77は、図17(A)の突起部77と同様にガイド部GDとして機能し、収容部82sにおける接続部33cの配索経路のばらつきを抑えることができる。また、図17(A)の突起部77に比べ、接続部33cと内側壁部82uとの距離を大きくすることができる。そのため、接続部33cが内側壁部82uに乗り上げてしまうのをより確実に防止できる。
図17(C)の突起部77は、図17(A)の突起部77と同様に、Y軸方向において突堤部82の開放部82zと対向する位置に配置されている。また、内側壁部82u及び外側壁部82vから距離D1だけ離れた位置に配置されている。一方で、図17(C)の突起部77は、図17(A)の突起部77と比べ、Y軸方向により長い範囲にわたって延びるように配置されている。
この構成により、図17(C)の突起部77は、図17(A)の突起部77と同様にガイド部GDとして機能し、収容部82sにおける延在部33Aの配索経路のばらつきを抑えることができる。また、延在部33Aが突起部77のX1側を通過するのを確実に防止することができる。
図17(D)の突起部77は、図17(A)~図17(C)における突起部77と異なり、内側壁部82uに統合されている。具体的には、図17(D)の内側壁部82u(突起部77)は、図17(A)の内側壁部82uと比べ、フランジ部52に形成された切欠部52kのところまで延びるように形成されている。
この構成により、図17(D)の内側壁部82u(突起部77)は、図17(A)の突起部77と同様にガイド部GDとして機能し、収容部82sにおける接続部33cの配索経路のばらつきを抑えることができる。また、収容部82sに配置される導電性接着剤CAがレンズ保持部材2の内側(内側壁部82uのX1側)に侵入してしまうのを防止できる。
なお、図17(A)~図17(C)のそれぞれにおける突起部77は、突堤部82の外側に配置された状態でガイド部GDとして機能している。したがって、これらの突起部77は、突堤部82で囲まれた空間である収容部82sの外側に位置した状態でガイド部GDとして機能している。これに対し、図17(D)の突起部77は、内側壁部82uに統合されている。そして、ガイド部GDとして機能するのは、内側壁部82uにおける延長されたY2側の先端部である。したがって、図17(D)の構成では、その先端部が、突堤部82で囲まれた空間である収容部82sの外側に位置するガイド部GDとしての突起部77を構成している。
このように、レンズ保持部材2は、ガイド部GDとして機能する突起部77を備えることで、突堤部82の内側で接続部33cを適切な配索経路に沿って配置できる。そのため、線材の全周囲が十分な厚みの導電性接着剤CAで覆われるようにし、導電性接着剤CAによる延在部33Aと下側板ばね26Aとの電気的且つ機械的な接合を安定させることができる。また、例えば環境試験後に電気抵抗値が上昇してしまうのを抑えることができる。
次に、図18を参照し、傾斜内底面TSについて説明する。傾斜内底面TSは、突堤部82に囲まれた内底面BSの一部を構成している。図18は、突堤部82の拡大図であり、図18(A)~図18(E)を含む。図18(A)は、突堤部82の構成例をZ2側から見た底面図である。図18(B)は、突堤部82の別の構成例をZ2側から見た底面図である。図18(C)及び図18(D)は、図18(A)の一点鎖線L2で示される平面をX1側から見たときの断面図であり、図18(D)では、保持部72Aに巻き付けられた延在部33Aと、レンズ保持部材2に取り付けられた下側板ばね26Aとが追加的に図示されている。図18(E)は、傾斜内底面TSが形成されていない突堤部82の断面図であり、図18(D)に対応する。
図18の例では、突堤部82は、3つの壁部(内側壁部82u、外側壁部82v、側壁部82w)で構成されている。3つの壁部は、導電性接着剤CAが配置される空間である収容部82sを囲むように形成されている。導電性接着剤CAは、収容部82sの内底面BSに塗布される。そして、保持部72Aは、突堤部82の内側に連続して配置されている。すなわち、保持部72Aの側面S3、S4は、側壁部82wの一部を構成している。但し、保持部72Aは、突堤部82の外側に配置されていてもよい。また、保持部72Aは、突堤部82から独立して配置されていてもよい。
図18(A)の例では、内底面BSは、平坦内底面FS及び傾斜内底面TSを含む。平坦内底面FSは、光軸方向JDに対して垂直な平面であり、傾斜内底面TSは、光軸方向JDに対して非垂直な平面である。傾斜内底面TSは、平坦内底面FSから側壁部82wの端面ES(Z2側の面)に向かって延び、図18(C)に示すように、平坦内底面FSに対して鋭角βを形成している。すなわち、傾斜内底面TSは、突堤部82に形成された開放部82zから遠ざかるにつれてZ2方向に上るように傾斜している。なお、傾斜内底面TSは、平面ではなく、曲面で形成されていてもよい。
傾斜内底面TSは、図18(A)に示すように、保持部72Aの側面S4に隣接するように配置され、且つ、コイル3を構成する線材の太さよりも顕著に大きい幅W4を有するように構成されている。但し、傾斜内底面TSは、図18(B)に示すように、コイル3を構成する線材の太さと同程度の幅W5を有するように、すなわち、スリットのような溝形状を有するように構成されていてもよい。
また、傾斜内底面TSは、図18(D)に示すように、収容部82sを通る接続部33cの延在方向に沿うように形成されている。すなわち、接続部33cは、傾斜内底面TSに沿って、線材の巻き付け始点である第1湾曲部WPから開放部82zに向かって延びるように配置されている。なお、接続部33cは、開放部82zから第1湾曲部WPに向かって延びているとも言える。そして、接続部33cの一部は、傾斜内底面TSに対向しているとも言える。
このように、傾斜内底面TSは、第1湾曲部WPと開放部82z(平坦内底面FS)との間で接続部33cが適切に配置されるのを可能にしている。具体的には、接続部33cが突堤部82に乗り上げないよう、収容部82s内における接続部33cの配索経路が適切に形成されるようにしている。
より具体的には、図18(D)における傾斜内底面TSを有する構成は、開放部82zのところでの接続部33cと平坦内底面FSとの距離G2を、図18(E)における傾斜内底面TSを有さない構成における距離G2Xよりも小さくすることができる。すなわち、接続部33cを内底面BSに近づけることができる。また、図18(D)の構成は、開放部82zのところでの接続部33cと突堤部82(外側壁部82v)の端面(Z2側の面)との距離G3を、図18(E)の構成における距離G3Xよりも大きくすることができる。すなわち、接続部33cを突堤部82(外側壁部82v)の端面からZ1方向に遠ざけることができる。接続部33cの配索経路がZ1方向にシフトさせられるためである。したがって、図18(D)の構成は、接続部33cが内側壁部82uに乗り上げてしまうのを防止できる。
また、図18(D)の構成は、保持部72Aの近傍での接続部33cと下側板ばね26Aとの距離G4を、図18(E)の構成における距離G4Xよりも大きくすることができる。接続部33cの配索経路がZ1方向にシフトさせられるためである。なお、図18(D)の例では、傾斜内底面TSは、距離G4が線材の太さと同程度となるように構成されている。したがって、図18(D)の構成は、保持部72Aの近傍においても、接続部33cのZ2側の表面を含む線材の全周囲が十分な厚みの導電性接着剤CAで覆われるようにし、導電性接着剤CAによる接続部33cと下側板ばね26Aとの電気的且つ機械的な接合を安定させることができる。そして、接続部33cと下側板ばね26Aとの電気的且つ機械的な接合の安定化は、電気抵抗値の安定化、及び、耐環境性(高温・高湿となり得る周囲環境の変化による影響を受け難い特性)の向上をもたらす。
また、図18(D)の構成は、保持部72Aの近傍での接続部33cと内底面BS(傾斜内底面TS)との距離G5を、図18(E)の構成における、保持部72Aの近傍での接続部33cと内底面BS(平坦内底面FS)との距離G5Xよりも小さくすることができる。内底面BSが底上げされるためである。なお、図18(D)の例では、傾斜内底面TSは、距離G5が線材の太さと同程度となるように構成されている。したがって、図18(D)の構成は、接続部33cのZ1側の空間を満たすために無駄に使用される導電性接着剤CAの量を低減させることができる。また、接続部33cのZ1側の表面を含む線材の全周囲が十分な厚みの導電性接着剤CAで覆われるようにし、導電性接着剤CAによる接続部33cと下側板ばね26Aとの電気的且つ機械的な接合を更に安定させることができる。
なお、保持部72Aにおける線材の巻き付け始点は、図18(D)に第1湾曲部WPとして示されている部分である。すなわち、本実施形態においては、保持部72Aにおける線材の巻き付け始点は、保持部72Aへの線材の巻き付け順序を問わず、保持部72Aに巻き付けられる巻き付け部33mのうち、最も保持部72Aの根元部側(Z1側)に位置する巻き付け部の部分であって、レンズ保持部材2の一部(本実施形態では、側壁部82wの端面ES)に支持されている部分である。
次に、図19を参照し、レンズ保持部材2の突設部2tに熱かしめ等を施して下側板ばね26Aをレンズ保持部材2に固定する際に発生し得る、突堤部82からの導電性接着剤CAの漏出について説明する。図19は、突堤部82の拡大図であり、図19(A)~図19(D)を含む。図19(A)~図19(D)は、図18(A)の一点鎖線L2で示される平面をX1側から見たときの断面図に相当する。図19(A)では、保持部72Aに巻き付けられた延在部33Aと、突堤部82の内側に配置された導電性接着剤CAとが追加的に図示されている。図19(B)~図19(D)では、レンズ保持部材2に取り付けられた下側板ばね26Aが更に追加されている。
本実施形態では、レンズ保持部材2は、延在部33Aを保持部72Aに巻き付けて導電性接着剤CAを収容部82sに充填する際に、ひっくり返される。すなわち、保持部72Aが鉛直上方に向かって延びるように配置される。そして、導電性接着剤CAは、図19(A)に示すように、延在部33Aが保持部72Aに巻き付けられた後で、且つ、下側板ばね26Aがレンズ保持部材2の板ばね支持部2s(図6(A)参照。)の上面(Z2側の面)に配置される前に、突堤部82の内側にある収容部82sに配置される。
その後、下側板ばね26Aは、図19(B)に示すように、板ばね支持部2sの上面(Z2側の面)に載せられる。このとき、下側板ばね26Aは、突堤部82(外側壁部82v)の端面から距離G6だけ離れた位置で保持されている。距離G6は、例えば、線材の太さと同程度の距離(例えば50μm)である。延在部33A(接続部33c)のZ2側の表面が十分な厚みの導電性接着剤CAで覆われるようにするためである。
導電性接着剤CAは、下側板ばね26Aの下面(Z1側の面)と接触し、図12(A)に示すように、下側板ばね26Aの下面に沿ってX方向及びY方向に広がる。本実施形態では、下側板ばね26Aは、図12(A)に示すように、突堤部82と対向する部分である接続板部26hのうち、傾斜内底面TSに対向する部分以外の部分に切欠部26kを有する。具体的には、接続板部26hは、傾斜内底面TSに対向する部分(内側壁部82u側であるX1側の部分)の反対側にある部分(外側壁部82v側であるX2側の部分)に切欠部26kを有する。そのため、導電性接着剤CAは、切欠部26kを避けるように、下側板ばね26Aの下面に沿ってX方向及びY方向に広がる。すなわち、導電性接着剤CAは、接続部33cが通る収容部82sの右側(X1側)の部分に偏り易い。その結果、導電性接着剤CAは、収容部82sにおける接続部33cの全周囲が十分な厚みの導電性接着剤CAで覆われるようにし、導電性接着剤CAによる延在部33Aと下側板ばね26Aとの電気的且つ機械的な接合を安定させることができる。
その後、例えばレンズ保持部材2の突設部2t(図6(A)参照。)に熱かしめ等が施されると、下側板ばね26Aは、下方(Z1方向)に変位しようとする。下側板ばね26Aがレンズ保持部材2から浮いた状態で突設部2tに熱かしめ等が施されてしまわないように、下側板ばね26Aが治具等で押さえつけられるためである。このとき、下側板ばね26Aの下方(Z1方向)への移動を止めることができる部材が存在しなければ、下側板ばね26Aは、図19(C)に示すように、下方(Z1方向)に変位して突堤部82(内底面BS)に接近する。図19(C)の矢印AR1は、下側板ばね26Aの移動方向を表し、破線は、移動前の下側板ばね26Aの位置を表している。
下側板ばね26Aが突堤部82に接近すると、導電性接着剤CAは、図19(C)に示すように、下側板ばね26Aに押し潰され、段部82xを乗り越えて突堤部82の外側に漏れ出す。
その後、熱かしめ等が完了すると、下側板ばね26Aは元の位置に戻ろうとする。下側板ばね26Aに作用していた力が消失するためである。具体的には、下側板ばね26Aは、図19(D)に示すように、上方(Z2方向)に変位し、図19(B)のときと同じ位置に戻る。図19(D)の矢印AR2は、下側板ばね26Aの移動方向を表し、破線は、移動前の下側板ばね26Aの位置を表している。
下側板ばね26Aが元の位置に戻ると、導電性接着剤CAの一部は、図19(D)に示すように、下側板ばね26Aと共に元の位置に戻るが、突堤部82の外側に漏れ出してしまった部分は、元の位置に戻ることができない。そのため、導電性接着剤CAは、突堤部82の内側にある接続部33cの全周囲を十分な厚みで覆うことができず、導電性接着剤CAによる延在部33Aと下側板ばね26Aとの電気的且つ機械的な接合を安定させることができなくなってしまう。
そこで、本実施形態では、レンズ保持部材2は、板ばね支持部2sで支持されている下側板ばね26Aの下方(Z1方向)への移動を規制して止めることができるストッパ部SPを含むように構成されている。ストッパ部SPは、例えば、ガイド部GDとして機能する突起部77によって実現される。
ここで、図20を参照し、ストッパ部SPの構成例について説明する。図20は、ストッパ部SPの構成例を示す図であり、図20(A)及び図20(B)を含む。図20(A)は、コイル3及び下側板ばね26Aが取り付けられたレンズ保持部材2をX2側から見たときのレンズ保持部材2の側面図である。図20(B)は、図20(A)に示す部分Qの拡大図である。
図20の例では、ストッパ部SPは、ガイド部GDとして機能する突起部77で構成されている。ストッパ部SPとして機能する突起部77は、図20(B)に示すように、Z2方向において第1湾曲部WPよりも突出している。すなわち、突起部77の端面は、保持部72Aにおける線材の巻き付け始点である第1湾曲部WPのレベルを示す線分L3よりもZ2側に突出している。なお、図20の例では、突起部77の端面は、突堤部82の端面よりもZ2側に突出している。
この構成により、ストッパ部SPは、図19(B)に示すように保持部72Aの近傍で突堤部82と下側板ばね26Aとの間の距離G6を維持しながら、熱かしめ等の組み立て工程の際に下側板ばね26Aが突堤部82に過度に接近するのを防止できる。また、熱かしめ等の組み立て工程の際に下側板ばね26Aによって導電性接着剤CAが突堤部82の外側に押し出されてしまうのを抑制或いは防止できる。すなわち、線材が十分な厚みの導電性接着剤CAで覆われるようにするための空間を確保しながらも、下側板ばね26Aが突堤部82に過度に接近するのを防止できる。
一方で、突起部77は、図20(B)に示すように、Z2方向において板ばね支持部2sよりは突出しないように形成されている。すなわち、突起部77の端面は、板ばね支持部2sの端面のレベルを示す線分L4と同じレベルにあるか、或いは、線分L4よりもZ1側に存在するように形成されている。
この構成により、ストッパ部SP(突起部77)の端面は、下側板ばね26Aから所定距離(例えば0~15μm)の位置に配置され、板ばね支持部2sで支持されている下側板ばね26Aを押してしまうこともない。
次に、図21を参照し、ストッパ部SPの別の構成例について説明する。図21は、ストッパ部SPの別の構成例を示す図であり、図21(A)~図21(C)を含む。図21(A)は、レンズ保持部材2の側面図であり、図20(A)に対応する。図21(B)は、図21(A)に示す部分Rの拡大図であり、図20(B)に対応する。図21(C)は、図21(A)に示す部分Rの下方斜視図である。
図21の例では、ストッパ部SPは、ガイド部GDとして機能する突起部77、及び、突堤部82と一体的に形成されたストッパボス83を含む。
ストッパボス83は、図21(C)に示すように、突堤部82を構成する内側壁部82uの先端に形成されたストッパボス83u、及び、突堤部82を構成する外側壁部82vの先端に形成されたストッパボス83vを含む。
図21の例では、ストッパボス83uは、線材を保持部72に巻き付けるためのコイルワインダ等の装置と干渉しないように、内側壁部82uの先端に形成されているが、保持部72に近接する位置に形成されていてもよい。手作業で線材が保持部72に巻き付けられる場合もあるため、すなわち、コイルワインダ等の装置が利用されない場合もあるためである。ストッパボス83vについても同様である。
ストッパ部SPとして機能する突起部77、ストッパボス83u、及び、ストッパボス83vは何れも、図21(B)に示すように、Z2方向において第1湾曲部WPよりも突出している。すなわち、3つのストッパ部SPのそれぞれの端面は、第1湾曲部WPのレベルを示す線分L3よりもZ2側に突出している。なお、図21の例では、3つのストッパ部SPの突出量は同じである。
この構成により、ストッパ部SPは、線材が十分な厚みの導電性接着剤CAで覆われるようにするための空間を確保しながらも、下側板ばね26Aが突堤部82(内底面BS)に過度に接近するのを防止できる。
また、ストッパボス83uは、内側壁部82uの端面から突出するように形成されているため、接続部33cが内側壁部82uに乗り上げてしまうのをより確実に防止できる。ストッパボス83vについても同様である。
また、ストッパボス83uは、内側壁部82uの内壁面の表面積を大きくするため、導電性接着剤CAが突堤部82の外側に漏れ出すのを抑制できる。ストッパボス83vについても同様である。
一方で、突起部77、ストッパボス83u、及び、ストッパボス83vは何れも、図21(B)に示すように、Z2方向において板ばね支持部2sよりは突出しないように形成されている。すなわち、3つのストッパ部SPの端面は何れも、板ばね支持部2sの端面のレベルを示す線分L4と同じレベルにあるか、或いは、線分L4よりもZ1側に存在するように形成されている。
この構成により、3つのストッパ部SPの端面は何れも、下側板ばね26Aから所定距離(例えば0~15μm)の位置に配置され、板ばね支持部2sで支持されている下側板ばね26Aを押してしまうこともない。
なお、図21の例では、ストッパ部SPとして機能する突起部77は省略されてもよい。また、ストッパボス83u及びストッパボス83vの一方は省略されてもよい。
上述のように、本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置101は、レンズ体を保持可能なレンズ保持部材2と、レンズ保持部材2の外部に保持されるコイル3と、コイル3に対向して配置される磁石5とを備える。そして、レンズ駆動装置101は、コイル3に流れる電流と磁石5が発生する磁界とで力を発生させ、板ばね6で支持されているレンズ保持部材2を光軸方向JDに沿って移動させる。コイル3は、レンズ保持部材2に保持される巻回部13と、巻回部13に繋がる延在部33と、を有する。レンズ保持部材2は、延在部33を構成する線材の巻き付け部33mが巻き付けられる保持部72と、巻き付け部33mと巻回部13との間に位置する線材部分である接続部33cを板ばね6に接着させる導電性接着剤CAが配置される空間を囲む突堤部82と、保持部72から離れた位置における突堤部82の一部が切り欠かれて形成された開放部82zと上記空間とを通る線材部分である接続部33cをガイドするガイド部GDとを有する。この構成により、レンズ駆動装置101は、線材と板ばねとの間の電気的な接続をより確実なものとすることができる。ガイド部GDによってガイドされる接続部33cの全周囲が十分な厚みの導電性接着剤CAで覆われるためである。その結果、例えば環境試験後に電気抵抗値が上昇してしまうのを抑えることができる。また、ガイド部GDは、突堤部82で囲まれた空間である収容部82sにおける接続部33cの配索経路のばらつきを抑えることができる。そのため、接続部33cが開放部82zを通過する際に、接続部33cが突堤部82(例えば内側壁部82u)に乗り上げてしまうのを防止できる。接続部33cの配索経路のばらつきを抑える機能は、突堤部82のサイズ(例えばX軸方向における収容部82sの幅)に制約がある場合に特に有効である。
ガイド部GDは、例えば、突堤部82で囲まれた前記空間(収容部82s)の外側に配置される突起部77であってもよい。この構成により、突起部77は、ガイド部GDとして機能し、収容部82sにおける接続部33cの配索経路のばらつきを抑えることができる。そのため、接続部33cが突堤部82に乗り上げてしまうのを防止できる。
保持部72は、例えば、複数の側面を有する角柱の形状(例えば4つの側面S1~S4を有する四角柱の形状)を有していてもよい。そして、ガイド部GDは、保持部72が有する4つの側面S1~S4のうちの1つである、接続部33cの延在方向に沿った側面S4で形成されていてもよい。この構成により、側面S4は、ガイド部GDとして機能し、収容部82sにおける接続部33cの配索経路のばらつきを抑えることができる。そのため、接続部33cが突堤部82に乗り上げてしまうのを防止できる。この構成において、側面S4の延長線が、突堤部82に設けられた開放部82zを通るように形成されていると、側面S4は、接続部33cが突堤部82に乗り上げてしまうのをより確実に防止できる。
保持部72は、略台形断面を有する四角柱の形状を有していてもよい。この場合、保持部72の略台形断面の斜辺を構成する縁76-1を含む側面S4は、ガイド部GDとして機能する。この構成により、側面S4は、収容部82sにおける接続部33cの配索経路のばらつきを抑えることができる。そのため、接続部33cが突堤部82に乗り上げてしまうのを防止できる。
保持部72は、突堤部82の内側に配置されて突堤部82の一部を構成してもよい。この場合、突堤部82に囲まれる内底面BSは、傾斜内底面TSを有していてもよい。そして、保持部72の側面S4に隣接している傾斜内底面TSは、接続部33cに対向し、且つ、突堤部82の開放部82z側から遠ざかるにつれて上るように傾斜していてもよい。この構成により、傾斜内底面TSは、接続部33cを内底面BSに近づけることができる。また、接続部33cを突堤部82の端面からZ1方向に遠ざけることができる。したがって、接続部33cが突堤部82に乗り上げてしまうのを防止できる。
下側板ばね26Aは、図12(A)に示すように、突堤部82と対向する部分である接続板部26hのうち、傾斜内底面TSに対向する部分以外の部分に切欠部26kを有していてもよい。具体的には、接続板部26hは、傾斜内底面TSに対向する部分(内側壁部82u側であるX1側の部分)の反対側にある部分(外側壁部82v側であるX2側の部分)に切欠部26kを有していてもよい。この構成により、下側板ばね26Aは、導電性接着剤CAが下側板ばね26AのZ1側の表面を伝って外側壁部82vの側に広がるのを防止できる。すなわち、導電性接着剤CAが内側壁部82uの側に広がるのを促進できる。そのため、導電性接着剤CAは、接続部33cが通る収容部82sの右側(X1側)の部分に偏り易い。その結果、下側板ばね26Aは、接続部33cの全周囲が十分な厚みの導電性接着剤CAで覆われるようにし、導電性接着剤CAによる延在部33Aと下側板ばね26Aとの電気的且つ機械的な接合を安定させることができる。
レンズ保持部材2は、突堤部82(内底面BS)側への板ばね6の移動を規制する1又は複数のストッパ部SPを有していてもよい。そして、ストッパ部SPは、保持部72における線材の巻き付け始点である第1湾曲部WPよりも板ばね6の側に突出するように構成されていてもよい。また、ストッパ部SPの少なくとも1つは、突堤部82の外側に配置されていてもよい。例えば、突起部77は、突堤部82側への板ばね6の接近等の移動を止める部材であるストッパ部SPとして機能してもよい。この場合、突起部77は、保持部72における線材の巻き付け始点である第1湾曲部WPよりも板ばね6の側に突出するように構成されていてもよい。また、ストッパ部SPの少なくとも1つは、突堤部82の一部を構成していてもよい。この構成により、ストッパ部SPは、例えば図19(B)に示すように保持部72Aの近傍で突堤部82と下側板ばね26Aとの間の距離G6を維持しながらも、熱かしめ等の組み立て工程の際に下側板ばね26Aが突堤部82に過度に接近するのを防止できる。また、熱かしめ等の組み立て工程の際に下側板ばね26Aによって導電性接着剤CAが突堤部82の外側に押し出されてしまうのを抑制或いは防止できる。すなわち、線材が十分な厚みの導電性接着剤CAで覆われるようにするための空間を確保しながらも、下側板ばね26Aが突堤部82に過度に接近するのを防止できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形及び置換が適用され得る。また、上述の実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
例えば、上記実施形態では、保持部72がレンズ保持部材2(フランジ部52)の一端部から光軸方向JDに突出するように構成されているが、この構成に限定されるものではない。保持部72は、光軸方向JDとは異なる方向(例えば側方)に突出していてもよい。
また、上記実施形態では、フランジ部52には、コイル3の延在部33を通す切欠部52kが2つ設けられているが、コイル3の巻回部13を保持可能であれば、3つ以上の切欠部が設けられていてもよい。
また、上記実施形態では、下側板ばね26Aと延在部33Aとを電気的に接続し、且つ、下側板ばね26Bと延在部33Bとを電気的に接続する構成としたが、これに限るものではない。例えば、手振れ補正機能付きのレンズ駆動装置においては、上側板ばねを2つに分割して一対とし、延在部33A及び延在部33Bのそれぞれと電気的に接続する構成であってもよい。この場合には、レンズ保持部材2の上端部側(Z1側)に切欠部を有するフランジ部が設けられていてもよい。
また、上記実施形態では、コイル3は、レンズ保持部材2の外周に直接巻き付けられているが、これに限るものではない。例えば、コイルは、所定の厚さで平板状に形成され、その平板面がレンズ保持部材2の外側の少なくとも1つの側面に沿って保持されるように構成されていてもよい。
また、上記実施形態では、ガイド部GDは、コイル3(巻回部13)の巻き始め側の線材である延在部33A、及び、コイル3の巻き終わり側の線材である延在部33Bのそれぞれに関して設けられている。但し、ガイド部GDは、延在部33Aに関してのみ設けられていてもよい。