JP7019257B2 - 振出式シャープペンシル - Google Patents
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Description
ところで、このような振出式シャープペンシルは、軸筒を振った際に、重量体が該軸筒内の前方当接体及び後方当接体に当接することで衝撃音が生じ、また、重量体が前後に移動する際に他の部材と摺接する摺接音が生じてしまうものであった。
しかしながら、特許文献1の振出式シャープペンシルでは、当接体に設けた弾性片によって重量体の衝撃が吸収され、その際に発生する衝撃音は軽減されるものの、完全には防ぐことができていなかった。また、重量体が前後に移動する際、該重量体が他の部材と摺接することで発生する摺接音は考慮されていなかった。
この特許文献2の構成は、芯を軽く保持する芯ホルダーを内蔵した先部材と、前部に先部材を取り付けた軸筒と、前スプリングにより長手方向後方に付勢され芯を前進方向には許容するが後退方向には阻止する芯保持チャックと、芯保持チャックに設けられたボールをテーパー面により受け止める締具と、締具を長手方向に適宜移動可能に内蔵する連結具と、連結具の前部に長手方向に適宜摺動可能に連結された前リングと、前記締具と係合可能な前部を有し前記連結具と長手方向に適宜移動可能に連結されたコネクターと、前記前スプリングより強い力でコネクターを長手方向後方に付勢するコイルスプリングと、コネクターに連結された芯タンクと、芯タンクの外側に長手方向に摺動可能に内蔵された重量体とからなり、軸筒を振ることにより発生した重量体の慣性力によりコネクターが長手方向前方に移動され、コネクターによりコイルスプリングを介して押圧された連結具、締具、芯保持チャックが前スプリングを圧縮しながら前進することにより芯を繰り出すことができるものである。
「1.芯を保持する芯ホルダーを内蔵した先部材と、前部に前記先部材を装着した軸筒と、前記軸筒内に配設され前記芯の移動を前進方向には許容するが後退方向には阻止する芯保持チャックと、前記芯保持チャックの外面部に配設されたボールを軸方向後方へ向って縮径するテーパー面により受け止める筒状の締具と、前記締具に対して前記芯保持チャックを後方へ弾発するチャックスプリングと、前記締具の外方に配設され当該締具に対して長手方向に適宜移動可能且つ当接可能に形成された筒状体と、前記筒状体の後部に装着された重量体と、前記締具を前後動自在に把持する前方把持部を有し前記筒状体に対して長手方向に適宜移動可能に係止されたコネクターと、前記コネクターの後方に装着され前記芯を収容する芯タンクと、前記筒状体または重量体と前記軸筒との間に配設され当該筒状体を後方へ弾発する第一の弾発部材と、を備え、
前記筒状体または前記重量体と前記コネクターとを当接可能に構成すると共に、前記軸筒を振ることで発生する慣性力により前記筒状体と前記重量体と前記コネクターと前記芯タンクとが一体的に前進し、前記筒状体または前記重量体に押圧された前記締具及び前記芯保持チャックが前記第一の弾発部材の弾発力に抗して前方へ移動することにより前記芯を前方へ繰り出すことを特徴とする振出式シャープペンシル。
2.前記筒状体または前記重量体と前記芯タンクとの間に配設され当該芯タンク及び前記コネクターを後方へ弾発する第二の弾発部材を備え、前記第一の弾発部材の弾発力をA、前記第二の弾発部材の弾発力をBとしたとき、5×A<Bの関係式を満たすように構成したことを特徴とする前記1項に記載の振出式シャープペンシル。」である。
また、重量体を軸筒内に遊嵌せずに筒状体に装着していることで、振り動作時に重量体が軸筒内を自由に前後動することで発生する加速度を得られないため、一般的な振出式シャープペンシルより重量体に掛かる慣性力は低くなるものの、芯繰り出し時にチャックスプリングにより後方へ弾発されている芯保持チャックを締具に対して相対的に前進させ、芯保持チャックを開き芯の保持状態を解除する必要がないことから、振り動作時に重量体により得られる慣性力が低くとも芯保持チャックと締具とを前進させることで芯を繰出すことができる。
更に、軸筒を振った際、筒状体と重量体とコネクターと芯タンクとが慣性力で一体的に前進するよう構成しているため、重量体以外の部品の重さが慣性力として付加されることから、重量体を軸筒内で遊嵌させなくとも高い慣性力が得ることができる。
また、本実施例では、軸筒の長手方向において、先部材がある方を前方と表現し、その反対側を後方と表現する。更に、軸筒の軸径方向において、芯がある方を内方と表現し、その反対側を外方と表現する。
尚、説明を分かりやすくするために、図面中の同様の部材、同様の部分については同じ符号を付してある。
本実施例の振出式シャープペンシル1は、図1から図3に示すように、前軸2の後方に着脱自在に後軸3を螺合することで軸筒4を構成してあり、また、前軸2の前方に先部材5を配設して着脱自在に螺合し、更に、後軸3の後部に、側面にクリップ6aを形成した後部筒部材6と、後部筒部材6の後端開口部から後方へ向かって突出するキャップ21と、を備えたノックユニット30を装着してある。そして、軸筒4内には芯50を前方へ繰出可能な芯保持チャック8を備えた芯繰出機構40が配設してある。
また、重量体17の後端は後軸4の前端に当接するよう構成することで、重量体17の後退を規制してある。
また、ノック体20の後部内孔には消しゴム装着部20bが形成してあり、消しゴム装着部20bには、消しゴム23を装着し、ノック体20の後部にはキャップ21を着脱自在に装着してある。
図1の状態から、振出式シャープペンシル1の軸筒4を指で把持し、軸筒4の軸心に沿った方向(図1における矢印F方向)に後方から前方へ向けて振り動作を行い、前方へ振られた状態で振出式シャープペンシル1の振り動作を止めると、慣性力が働き軸筒4に対して第1コイルスプリング16により後方へ弾発している筒状体11が重量体17と共に第1コイルスプリング16の弾発力に抗して前進する。この際、第2コイルスプリング18の弾発力を大きく形成してあるため、第2コイルスプリング18は収縮することがないことから、筒状体11を含めた振り出しユニット42が一体的に前進する。そして、筒状体の前端11dと締具10の外段11dが当接していることから、振り出しユニット42に押されて締具10が前進し、楔力により芯50を保持している芯保持チャック8も芯50と共にチャックユニット41ごと前進する。このとき芯ホルダー19により芯50は保持されているが、芯ホルダー19の保持力より芯保持チャック8が芯50を保持する力のほうが高いため、芯50は芯保持チャック8に保持されたまま前進する。そして、筒状体11の外段部11bが前軸2の後部内段2bに当接すると、筒状体11と共に振り出しユニット42の前進が停止し、それにより、締具10を含めてチャックユニット41の前進が停止される図4の状態となる。
また、チャックユニット41及び振り出しユニット42の前進が停止すると、第1コイルスプリング16の弾発力でチャックユニット41と振り出しユニット42が同時に後退を始める。この際、芯50は芯ホルダー19により保持されているため、チャックユニット41の後退により芯50には前方へ引っ張る力が発生する。前述したように、芯保持チャック8は芯50を後方への移動は阻止するが前進は許容しているため、芯50は芯ホルダー19に保持されたまま後退することなく前進した位置を維持したまま、チャックユニット41と振り出しユニット42は図1の位置まで戻り、結果として、軸筒4を振ることにより芯50はチャックユニット41が前進した長さ前方へ移動し、芯50が前方へ繰出されることとなる。
また、一般的な振出式シャープペンシルでは、軸筒内で遊嵌している重量体を振り動作により発生する慣性力で加速させ、その力を直接ないし間接的に芯保持チャックに伝え、締具に対して後方へ弾発されている芯保持チャックを前進させることで芯の繰り出しを行っているが、本発明では芯の前進は許容するが芯の後退は阻止する芯保持チャック8を採用しているため、チャックユニット41ごと前進させることで芯50の繰り出しができる。このため、重量体17を筒状体11に固定し、第1コイルスプリング16(第一の弾発部材)で後方へ弾発していることで振り動作時の慣性力を得難い本発明構造でも芯を前方へ容易に繰出すことができると共に、重量体が振り動作後も軸筒内で何度も前後動することがなく、余計に芯50が繰出されてしまうことを防止できた。
図1の状態から、ノックユニット30の後端であるキャップ21を前方へ押圧すると、キャップ21とノック体20とがノックスプリング22の弾発力に抗して前進する。そして、ノック体20の内段部20dと芯タンク15の後端15cが当接すると、芯タンク15がコネクター14と共に前進を開始する。この際、第1コイルスプリング16の弾発力より第2コイルスプリング18の弾発力が大きくなるように設定しているため、コネクター14の前端に当接している重量体17が筒状体11と共に外段部11bが前軸2の後部内段2bに当接するまで前進する。そして、筒状体11の前進が止まると、筒状体11及び重量体17に対して芯タンク15とコネクター14とが第2コイルスプリング18の弾発力に抗して前進を開始する。更に、コネクター14は前部の前方把持部14aにより締具10を一定の力で把持しており(本実施例では1.0N)、このため、コネクター14の前進に合わせて締具10が芯50及び芯保持チャック8と共に前進する。そして、締具10の前端に固定している抜け止めリング13の前端が先部材5の内段5bに当接すると締具10の前進が止まる図5の状態となる。
ここで、キャップ21にかけている押圧力を解除すると、芯保持チャック8は芯50を後方への移動は阻止するが前進は許容しているため、芯50は芯ホルダー19に保持されたまま後退することなく前進した位置を維持したまま、第1コイルスプリング16の弾発力で筒状体11と重量体17とが後退し、重量体17の後端が後軸3の前端と当接することで重量体17と筒状体11の後退が停止する。そして、これと略同時に第2コイルスプリング18の弾発力でコネクター14と芯タンク15とコネクター14に把持されている締具10を含めてチャックユニット41ごと後退を開始し、締具10の外段10dと筒状体11の前端11dが当接すると、締具10の後退が止まり、コネクター14は第2コイルスプリング18の弾発力で更に後退し元の図1の状態に戻る。この際、芯50は前進した位置を維持するため、相対的に芯50が前方へ繰出された状態となる。
尚、上記した第1コイルスプリング16(第一の弾発部材)の弾発力Aと第2コイルスプリング18(第二の弾発部材)の弾発力Bの関係式は、各々のスプリングの弾発力が取り付け時だけでなく、振り動作時により第1コイルスプリング16(第一の弾発部材)が収縮して弾発力Aが増大した状態にも適用される。
本実施例において、キャップ21を前方へノックするのに必要な押圧力は、第1コイルスプリング16(第一の弾発部材)の弾発力Aと第2コイルスプリング18(第二の弾発部材)の弾発力Bとノックスプリング22の弾発力Cの総和により算出することができる。このため、3.0N≦A+B+C≦10.0Nとすることが好ましく、3.0N≦A+B+C≦6.0Nとすることがより好ましい。
2…前軸、2a…内段、2b…後部内段、
3…後軸、3a…係止孔、
4…軸筒、
5…先部材、5a…前端開口部、5b…内段、
6…後部筒状体、6a…クリップ、6b…外筒部、6c…内筒部、6d…ガイド孔、
6e…凸部、6f…後孔段部、
7…後筒体、7a…外段部、
8…芯保持チャック、8a…2つの片、8b…芯保持部、8c…凹部、
9…ボール、
10…締具、10a…テーパ部、10b…内段部、10c…後部外周部、
10d…外段、
11…筒状体、11a…前部内周部、11b…外段部、11c…雌螺子部、
11d…前端、
12…チャックスプリング、
13…抜け止めリング、
14…コネクター、14a…前方把持部、14b…スリット部、14c…後部突起、
14d…外方段部、
15…芯タンク、15a…前部外段、15b…内孔係止部、15c…後端、
16…第1コイルスプリング(第一の弾発部材)、
17…重量体、17a…雄螺子部、17b…内段、
18…第2コイルスプリング(第二の弾発部材)、
19…芯ホルダー、
20…ノック体、20a…係止突起部、20b…消しゴム装着部、
20c…スプリング受部、20d…内段部、
21…キャップ、
22…ノックスプリング、
23…消しゴム、
30…ノックユニット、
40…芯繰出機構、
41…チャックユニット、
42…振り出しユニット、
50…芯。
Claims (2)
- 芯を保持する芯ホルダーを内蔵した先部材と、前部に前記先部材を装着した軸筒と、前記軸筒内に配設され前記芯の移動を前進方向には許容するが後退方向には阻止する芯保持チャックと、前記芯保持チャックの外面部に配設されたボールを軸方向後方へ向って縮径するテーパー面により受け止める筒状の締具と、前記締具に対して前記芯保持チャックを後方へ弾発するチャックスプリングと、前記締具の外方に配設され当該締具に対して長手方向に適宜移動可能且つ当接可能に形成された筒状体と、前記筒状体の後部に装着された重量体と、前記締具を前後動自在に把持する前方把持部を有し前記筒状体に対して長手方向に適宜移動可能に係止されたコネクターと、前記コネクターの後方に装着され前記芯を収容する芯タンクと、前記筒状体または重量体と前記軸筒との間に配設され当該筒状体を後方へ弾発する第一の弾発部材と、を備え、
前記筒状体または前記重量体と前記コネクターとを当接可能に構成すると共に、前記軸筒を振ることで発生する慣性力により前記筒状体と前記重量体と前記コネクターと前記芯タンクとが一体的に前進し、前記筒状体または前記重量体に押圧された前記締具及び前記芯保持チャックが前記第一の弾発部材の弾発力に抗して前方へ移動することにより前記芯を前方へ繰り出すことを特徴とする振出式シャープペンシル。 - 前記筒状体または前記重量体と前記芯タンクとの間に配設され当該芯タンク及び前記コネクターを後方へ弾発する第二の弾発部材を備え、前記第一の弾発部材の弾発力をA、前記第二の弾発部材の弾発力をBとしたとき、5×A<Bの関係式を満たすように構成したことを特徴とする請求項1に記載の振出式シャープペンシル。
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Citations (1)
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