以下に、本発明の実施の形態に係る空気清浄機を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる空気清浄機50の断面図である。図2は、本発明の実施の形態1にかかる空気清浄機50の機能構成を示す図である。実施の形態1にかかる空気清浄機50は、電動機1a及び羽根車1bを備えたファン1と、羽根車1bが回転することによって室内空気を取り込む給気口2と、清浄化した室内空気を室内へ供給する排気口3と、給気口2から取り込んだ室内空気を排気口3まで導く風路4と、風路4の途中に配置され、給気口2から取り込んだ室内空気に対して電気集塵を行って清浄化する電気集塵機5と、を有する。また、空気清浄機50は、遠隔操作用のリモートコントローラ6と、室内空気中の塵の量を測定するダストセンサ7と、電気集塵機5の電極間の短絡を検知するために電気集塵機5の電極間の電気的特性値を計測する計測部であって電気集塵機5の電極間を流れる電流の電流値を計測して計測結果である電流値情報を出力する電流センサ9と、リモートコントローラ6からの操作指令、リモートコントローラ6が備えるダストセンサ7の測定結果及び電流センサ9からの電流値情報に基づいてファン1、電気集塵機5及びランプ8を制御する制御部10とを有する。
リモートコントローラ6は、室内空気中の塵の量を測定するダストセンサ7と、制御部10から電気集塵機5が短絡故障状態である旨の情報を通信で取得した場合に短絡故障を使用者に通知するランプ8を備えている。ランプ8には、発光ダイオード(Light Emitting Diode, LED)を適用できるが、これに限定されない。以下の図では、リモートコントローラをリモコンと略記する場合がある。リモートコントローラ6からの操作指令は、リモートコントローラ6の操作による指示である。
制御部10は、ファン1、電気集塵機5、リモートコントローラ6、ダストセンサ7および電流センサ9と通信可能である。制御部10には、電流センサ9から受け取った電流値情報を記憶する記憶部である記憶素子11を搭載している。また、リモートコントローラ6から受け取った操作指令と、ダストセンサ7から受け取った測定した塵の量と、電流センサ9から受け取った電流値情報及び記憶素子11から読み出した過去の電流値情報とに基づいて、ファン1および電気集塵機5の運転内容を決定して制御信号を発信する処理回路12を搭載している。制御部10は、処理回路12が発信する制御信号に基づいて、空気清浄機50の構成機器であるファン1および電気集塵機5等を制御する。
また、処理回路12には、短絡故障による過電流検知か付着物の吸湿による過電流検知かを判定する処理、制御モードを選択する処理、短絡故障による過電流検知の場合に電気集塵機5を停止させて異常を通知する処理等、以下において説明する制御部10における制御を実現する論理回路が組み込まれている。
処理回路12が演算装置の場合、短絡故障による過電流検知か付着物の吸湿による過電流検知かを判定する処理、制御モードを選択する処理、短絡故障による過電流検知の場合に電気集塵機5を停止させて異常を通知する処理等は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
電気集塵機5は、10kV程度の高電圧が印加される金属製のプラス電極と、アース電位と同等電位となる金属製のアース電極とを備える。電気集塵機5は、プラス電極とアース電極との間に放電空間を形成することで、放電空間を通過する塵を帯電させる。電気集塵機5は、放電空間よりも後段の風路に、アース電位と同等電位となる導電性の集塵フィルタが配置されており、帯電させた塵をアース電極及び集塵フィルタにクーロン力で吸着させて集塵する。
制御部10は、電流センサ9が出力する電流値情報を受け取ることにより、電気集塵機5の電極間に流れる電流の大きさである電流値を監視しており、電流値が第1の閾値電流値以上となった場合に、過電流と判定する。第1の閾値電流値の一例は、200mAである。
第1の閾値電流値は、電流センサ9で計測された電流値と比較して、電気集塵機5が過電流であるか否かを判定するための閾値である。第1の閾値電流値は、計測部で計測された電気的特性値と比較して、電気集塵機5が過電流であるか否かを判定するための第2の基準値である。
ここで過電流とは、電気集塵機5の電極間に放電空間を形成せずに、リーク電流が流れることによって電流値が増加した状態である。過電流が発生している場合には、電気集塵機5は、空気清浄機能を発揮できない。第1の閾値電流値には、電気集塵機5の電極間に放電空間を形成した際に、リーク電流が流れない範囲の電流上限値が設定される。電流上限値は、空気清浄機50の性能評価によって予め求めておいたものが用いられる。
以下では、制御部10が電流センサ9から受け取る、電気集塵機5の電極間を流れる電流の電流値情報を検知電流値と称する。また、制御部10は、検知電流値を記憶素子11に記憶する。制御部10は、記憶素子11に記憶している検知電流値と現在の検知電流値とを比較することで、電気集塵機5の電極間を流れる電流の電流値の増加量を算出する。すなわち、制御部10は、記憶素子11に記憶している検知電流値と現在の検知電流値との、検知電流値の増加量を算出する。
電流値の増加量の算出方法は、記憶素子11に記憶している過去の検知電流値と、現在の検知電流値とを比較すること以外に、記憶素子11に記憶している過去の数回分の検知電流値と現在の検知電流値とを用いて、電流増加量の傾きを計算する方法を用いてもよく、特定の方法に限定されない。また、記憶素子11に記憶する検知電流値及び電流値の増加量の算出に用いる電流値は、電流センサ9にノイズが印加されることなどによる検知電流値のブレに起因した誤判定を防ぐ目的で、複数回検知した電流値の平均値としてもよい。
実施の形態1にかかる空気清浄機50は、以下の4つの制御モードを持つ。1つ目の制御モードは、運転モードである。運転モードは、リモートコントローラ6からの操作指令が運転であり、電気集塵機5に高電圧を印加し、集塵している状態である。運転モード中は、電流センサ9は、後述する停止モード時よりも大幅に短い時間間隔で電気集塵機5の電極間を流れる電流値を計測している。また、運転モード中は、制御部10は、同時に電流値の増加量を算出している。ただし、電流値の増加量を算出するタイミングは、必ずしも電流センサ9が電流値を計測するタイミングと同期させる必要はない。運転モード中において電流センサ9が電流値の計測する時間間隔の一例は、100m秒である。すなわち、電流センサ9は、100m秒毎に電流値を計測する。
2つ目の制御モードは、停止モードである。停止モードは、リモートコントローラ6からの操作指令が停止であるため、電気集塵機5を停止させている状態である。停止モード中は、過電流が解消しているかを確認するリトライ運転が行われる。すなわち、停止モード中は、既定時間毎に、電極間を流れる電流値の計測に必要な期間のみ電気集塵機5を運転する間欠運転を行うことで、電流センサ9での電流値の計測と、制御部10での電流値の増加量の算出とを行う。そして、電気集塵機5は、算出した電流値の増加量に基づいて、付着物の吸湿による過電流の発生と判断して後述する待機モードへ遷移するか、短絡故障の発生と判断して後述する異常モードへ遷移するか、過電流の発生がないと判断して停止モードを継続するかの判定を行う。既定時間の一例は、10分である。
3つ目の制御モードは、異常モードである。異常モードは、電気集塵機5が短絡故障の状態であり、電気集塵機5を停止するとともに、リモートコントローラ6に搭載されたランプ8により異常を通知する。
4つ目の制御モードは、待機モードである。待機モードは、リモートコントローラ6からの操作指令が運転であるが、制御部10が過電流を検知し、過電流の原因が付着物の吸湿であると判定したため、電気集塵機5を停止させている状態である。待機モード中は、過電流が解消しているかを確認するリトライ運転が行われる。すなわち、待機モード中は、既定時間毎に、電極間を流れる電流値の計測に必要な期間のみ電気集塵機5を運転する間欠運転を行って、電流センサ9での電流値の計測と、制御部10での電流値の増加量の算出とを行う。そして、電気集塵機5は、算出した電流値の増加量に基づいて、付着物の吸湿による過電流の発生と判断して待機モードを継続するか、短絡故障の発生と判断して異常モードへ遷移するか、過電流の発生がないと判断して運転モードまたは停止モードへ遷移するかの判定を行う。既定時間の一例は、10分である。
制御部10は、待機モードのリトライ運転時に、検知電流値が第1の基準値未満となった場合は、空気清浄機50が空気清浄機能を発揮できる状態に復帰したと判定し、リモートコントローラ6から受信する操作指令に従って運転モード又は停止モードに移行する。制御部10は、待機モードでは、ランプ8による異常の通知は行わない。
制御部10は、検知電流値が第1の閾値電流値未満である場合には、電気集塵機5が正常に集塵できる状態であると判定し、運転モードまたは停止モードを選択する。一方、制御部10は、検知電流値が第1の閾値電流値以上である場合には、電気集塵機5が正常に集塵できない状態であると判定し、異常モードまたは待機モードを選択する。
制御部10は、検知電流値が第1の閾値電流値以上である場合において、電流値の増加量が第1の閾値電流値増加量以上である場合に、電気集塵機5が短絡故障したと判定して、異常モードを選択する。制御部10は、検知電流値が第1の閾値電流値以上である場合において、電流値の増加量が第1の閾値電流値増加量未満である場合に、付着物の吸湿による過電流が発生したと判定して、待機モードを選択する。すなわち、制御部10は、検知電流値と、算出した電流値の増加量とに基づいて、上述した4つの制御モードのいずれかを選択する。
第1の閾値電流値増加量は、電流センサ9で計測された電流値が変化した量である電流値の増加量と比較して、電気集塵機5が短絡故障したか否かを判定するための閾値である。そして、第1の閾値電流値増加量は、計測部で計測された電気的特性値が変化した量である電気的特性値の変化量と比較して、電気集塵機5が短絡故障したか否かを判定するための第1の基準値である。第1の閾値電流値増加量の一例は、250mA/10分である。
ここで、短絡故障による過電流の検知と、付着物の吸湿による過電流の検知と、の差異に関して説明する。短絡故障による過電流の場合は、電気集塵機5の電極間の抵抗値が、正常値から急に概ね0Ωになる。このため、検知電流値は、付着物の吸湿による過電流の場合と比べて、急激に増加する。電極間の抵抗値の正常値の一例は、100MΩ以上である。検知電流値が急激に増加する場合の検知電流値の変化の一例は、1000mA/1秒である。
一方、付着物の吸湿による過電流の場合は、付着物の吸湿量に応じて電気集塵機5の電極間の抵抗値が徐々に低下する。このため、検知電流値は、短絡故障の場合と比べて緩やかに増加する。検知電流値が緩やかに増加する場合の検知電流値の変化の一例は、0.01mA/1秒である。上述した電流値の増加量の違いによって、制御部10は、短絡故障が検知されたか、または付着物の吸湿による過電流が検知されたかを判定することができる。
付着物の吸湿によって増加する、電気集塵機5の電極間を流れる電流の電流値の増加量の上限値は、空気清浄機50の性能評価によって予め求めておく。電流値の増加量の上限値の一例は、200mA/10分である。なお、上記において第1の閾値電流値増加量の一例として示した250mA/10分は、電流センサ9における電流の計測誤差等も考慮して、上記の電流値の増加量の上限値の一例である200mA/10分より高い値に設定している。
図3は、本発明の実施の形態1にかかる制御部10が運転モード及び停止モードを選択する場合における検知電流値の推移の一例を示す特性図である。図3に示す例では、検知電流値が常に第2の基準値である第1の閾値電流値を下回っている。したがって、制御部10は、リモートコントローラ6からの操作指令に従って運転モード又は停止モードを選択する。
図4は、本発明の実施の形態1にかかる制御部10が運転モード時に異常モードを選択する場合における検知電流値の推移の一例を示す特性図である。図5は、本発明の実施の形態1にかかる制御部10が停止モード時に異常モードを選択する場合における検知電流値の推移の一例を示す特性図である。
図4および図5において、第2の基準値である第1の閾値電流値未満の状態から第1の閾値電流値以上の状態に変化した検知電流値は、いずれも第1の閾値電流値増加量よりも上に位置している。すなわち、図4に示す例および図5に示す例のいずれの場合も、検知電流値は、第1の閾値電流値未満の状態から第1の閾値電流値以上の状態となる際に、付着物の吸湿による過電流の場合と比べて急激に増加しており、電流値の増加量が第1の基準値である第1の閾値電流値増加量以上である。したがって、図4に示す例および図5に示す例のいずれの場合も、制御部10は、電気集塵機5が短絡故障したと判定して、異常モードを選択する。
図6は、本発明の実施の形態1にかかる制御部10が運転モード時に待機モードを選択する場合における検知電流値の推移の一例を示す特性図である。図7は、本発明の実施の形態1にかかる制御部10が停止モード時に待機モードを選択する場合における検知電流値の推移の一例を示す特性図である。
図6および図7において、第2の基準値である第1の閾値電流値未満の状態から第1の閾値電流値以上の状態に変化した検知電流値は、いずれも第1の基準値である第1の閾値電流値増加量よりも下に位置している。すなわち、図6に示す例および図7に示す例のいずれの場合も、検知電流値は、第1の閾値電流値未満の状態から第1の閾値電流値以上の状態となる際に、短絡故障の場合と比べて緩やかに増加しており、電流値の増加量が第1の閾値電流値増加量未満である。したがって、図6に示す例および図7に示す例のいずれの場合も、制御部10は、付着物の吸湿による過電流が発生したと判定して、待機モードを選択する。
図6に示す例では、制御部10は、待機モード時において例えば10分ごとに電気集塵機5を間欠運転させてリトライ運転を行う。制御部10は、待機モードのリトライ運転時に、検知電流値が第2の基準値未満となった場合は、空気清浄機50が空気清浄機能を発揮できる正常状態に復帰したと判定し、リモートコントローラ6から受信する操作指令に従って運転モードに移行する。したがって、制御部10は、運転モード時に付着物の吸湿による過電流を検知した場合は待機モードでの制御を行う。そして、制御部10は、待機モード時にリトライ運転を行うことによって、空気清浄機50の使用環境の湿度の低下後に自動で運転モードに復帰し、異常を誤発報することなく空気清浄機能を再度発揮できる。
図7に示す例では、制御部10は、待機モード時において例えば10分ごとに電気集塵機5を間欠運転させてリトライ運転を行う。制御部10は、待機モードのリトライ運転時に、検知電流値が第2の基準値未満となった場合は、空気清浄機50が空気清浄機能を発揮できる正常状態に復帰したと判定し、リモートコントローラ6から受信する操作指令に従って停止モードに移行する。したがって、制御部10は、停止モード時に付着物の吸湿による過電流を検知した場合は、待機モードでの制御を行う。そして、制御部10は、待機モード時にリトライ運転を行うことによって、空気清浄機50の使用環境の湿度の低下後に自動で停止モードに復帰することができる。
図8は、本発明の実施の形態1にかかる制御部10が、待機モードのリトライ運転時に異常モードを選択する場合における検知電流値の推移の一例を示す特性図である。図8において、1回目のリトライ運転時及び2回目のリトライ運転時の検知電流値は、緩やかに増加しており、電流値の増加量が第1の基準値である第1の閾値電流値増加量未満である。したがって、制御部10は、付着物の吸湿による過電流が発生したと判定して、待機モードを選択する。一方、3回目のリトライ運転時の検知電流は、急激に増加しており、電流値の増加量が第1の閾値電流値増加量以上である。したがって、制御部10は、電気集塵機5が短絡故障したと判定して、異常モードを選択する。
つぎに、本実施の形態1にかかる空気清浄機50の制御部10における制御について説明する。図9は、本発明の実施の形態1にかかる空気清浄機50の制御部10の制御の流れを示すフローチャートである。図9のフローチャートは、電流値の増加量が第1の閾値電流値増加量以上であるか否かで、空気清浄機50が短絡故障したか否かを判定する制御を有している。
空気清浄機50の電源が投入されると、ステップS1において、制御部10は、制御パラメータの初期化処理を行う。初期化処理においては、制御部10は、ファン1を停止させる処理と、電気集塵機5を停止させる処理と、制御モードを停止モードにする処理と、停止モード時にリトライ運転を実施するまでの時間を計測する停止モードタイマの設定時間を既定時間である第1の閾値時間に設定するとともに計測時間をクリアしてスタートする処理と、待機モード時にリトライ運転を実施するまでの時間を計測する待機モードタイマの設定時間を既定時間である第2の閾値時間に設定する処理と、記憶素子11に記憶された過去の検知電流値を0mAに設定する処理と、を行う。停止モードタイマおよび待機モードタイマは、制御部10に備えられている。
停止モード時にリトライ運転を実施するまでの時間は、電気集塵機5が停止している停止モード時に、制御モードの選択の判定を再度行うまでの待機時間と換言できる。したがって、停止モードタイマの設定時間を第1の閾値時間に設定する処理は、停止モード時に制御モードの選択の判定を再度行うまでの待機時間を第1の閾値時間に設定する処理と換言できる。第1の閾値時間の一例は、10分である。
待機モード時にリトライ運転を実施するまでの時間は、付着物の吸湿による過電流を検出した待機モード時に、制御モードの選択の判定を再度行うまでの待機時間と換言できる。したがって、待機モードタイマの設定時間を第2の閾値時間に設定する処理は、待機モード時に制御モードの選択の判定を再度行うまでの待機時間を第2の閾値時間に設定する処理と換言できる。第2の閾値時間の一例は、10分である。
つぎに、ステップS2において、制御部10は、制御モードが異常モードであるか否かを確認する。制御モードが異常モードであれば、ステップS2でYesとなり、現状を維持してステップS2に戻る。制御モードが異常モードでなければ、ステップS2でNoとなり、ステップS3に進む。
ステップS3において、制御部10は、制御モードが待機モードか否かを判定する。制御モードが待機モードであればステップS3でYesとなり、ステップS4に進む。制御モードが運転モード又は停止モードであればステップS3でNoとなり、ステップS5に進む。
ステップS4では、制御部10は、待機モードタイマの計測時間が第2の閾値時間以上であるか否かを判定する。ここでは、第2の閾値時間が10分であるので、制御部10は、待機モードタイマの計測時間が10分以上であるか否かを判定する。待機モードタイマによる計測時間が10分未満であれば、ステップS4でNoとなり、ステップS2に戻る。一方、待機モードタイマによる計測時間が10分以上であれば、ステップS4でYesとなり、ステップS9に進む。
ステップS5では、リモートコントローラ6からの操作指令が運転であるか否かを判定する。リモートコントローラ6からの操作指令が停止であれば、ステップS5でNoとなり、ステップS6に進む。一方、リモートコントローラ6からの操作指令が運転であれば、ステップS5でYesとなり、ステップS8に進む。
ステップS6では、制御部10は、ファン1を停止させ、ステップS7へ進む。なお、空気清浄機50の電源の投入直後においてはファン1が停止しているため、ステップS6が行われずにステップS7へ進む。
ステップS7では、制御部10は、停止モードタイマによる計測時間が第1の閾値時間以上であるか否かを判定する。ここでは、第1の閾値時間が10分であるので、制御部10は、停止モードタイマによる計測時間が10分以上であるか否かを判定する。停止モードタイマによる計測時間が10分未満であれば、ステップS7でNoとなり、ステップS2に戻る。一方、停止モードタイマによる計測時間が10分以上であれば、ステップS7でYesとなり、ステップS9に進む。
ステップS8では、制御部10は、ファン1を運転させ、ステップS9へ進む。なお、ファン1が運転している場合は、ステップS8が行われずにステップS9へ進む。
ステップS9では、制御部10は、電気集塵機5を運転させてステップS10へ進む。そして、制御部10は、電気集塵機5の運転を開始してから電気集塵機5の電極間の電流が安定するまでの第3の閾値時間は電流検知しないようにする。
すなわち、ステップS10では、制御部10は、電気集塵機5の運転後、第3の閾値時間が経過したか否かを判定する。第3の閾値時間の一例は、300m秒である。ここでは、第3の閾値時間が300m秒であるので、制御部10は、電気集塵機5の運転後、300m秒が経過したか否かを判定する。電気集塵機5の運転後の経過時間は、制御部10の備えられた運転時間タイマで計測される。
電気集塵機5の運転後の経過時間が300m秒未満であれば、ステップS10でNoとなり、ステップS2に戻る。一方、電気集塵機5の運転後の経過時間が300m秒以上であれば、ステップS10でYesとなり、ステップS11に進む。
ステップS11では、制御部10は、検知電流値が第2の基準値である第1の閾値電流値以上か否かを判定する。検知電流値が第1の閾値電流値未満であれば、ステップS11でNoとなり、制御部10は、電気集塵機5が正常に集塵できる状態であると判定し、ステップS12に進む。検知電流値が第1の閾値電流値以上であれば、ステップS11でYesとなり、制御部10は、電気集塵機5が正常に集塵できない状態であると判定し、ステップS22に進む。
ステップS12では、制御部10は、リモートコントローラ6からの操作指令が運転であるか否かを判定する。リモートコントローラ6からの操作指令が運転であれば、ステップS12でYesとなり、ステップS13に進む。一方、リモートコントローラ6からの操作指令が停止であれば、ステップS12でNoとなり、ステップS17に進む。
ステップS13では、制御部10は、制御モードを運転モードに設定してステップS14に進む。ステップS14では、制御部10は、電流センサ9で100m秒ごとに検知された検知電流値を記憶素子11に記録してステップS15に進む。ステップS15では、制御部10は、ファン1を運転させてステップS16に進む。ステップS16では、制御部10は、電気集塵機5を運転させて、ステップS2に戻る。
ステップS17では、制御部10は、制御モードを停止モードに設定してステップS18に進む。ステップS18では、制御部10は、電流センサ9で10分ごとに計測された検知電流値を記憶素子11に記録してステップS19に進む。ステップS19では、制御部10は、ファン1を停止させてステップS20に進む。ステップS20では、制御部10は、電気集塵機5を停止してステップS21に進む。ステップS21では、制御部10は、停止モードタイマをクリアスタートして、ステップS2に戻る。
ステップS22では、制御部10は、電流センサ9で計測された電流値の増加量、すなわち検知電流値の増加量が第1の基準値である第1の閾値電流値増加量以上か否かを判定する。電流値の増加量が第1の閾値電流値増加量以上であれば、ステップS22でYesとなり、制御部10は、短絡故障による過電流検知と判定し、ステップS23に進む。一方、電流値の増加量が第1の閾値電流値増加量未満であれば、ステップS22でNoとなり、制御部10は、付着物の吸湿による過電流検知と判定し、ステップS27に進む。
ステップS23では、制御部10は、制御モードを異常モードに設定してステップS24に進む。ステップS24では、制御部10は、ファン1を停止させてステップS25に進む。ステップS25では、制御部10は、電気集塵機5を停止してステップS26に進む。ステップS26では、制御部10は、電気集塵機5が短絡故障状態である旨の情報を通信でリモートコントローラ6へ送信し、ステップS2に戻る。なお、電気集塵機5が短絡故障状態である旨の情報を通信で取得したリモートコントローラ6は、ランプ8を点滅させて使用者に異常通知を行う。
ステップS27では、制御部10は、制御モードを待機モードに設定してステップS28に進む。ステップS28では、制御部10は、電流センサ9で10分ごとに計測された検知電流値を記憶素子11に記録してステップS29に進む。ステップS29では、制御部10は、電気集塵機5の電極部に湿気が滞留することを防ぐためにファン1の運転を継続してステップS30に進む。ただし、湿気の滞留防止が必要なければファン1は停止させてもよい。ステップS30では、制御部10は、電気集塵機5を停止してステップS31に進む。ステップS31では、制御部10は、待機モードタイマをクリアスタートして、ステップS2に戻る。
上述したフローにおけるステップS21からの一連の流れでは、停止モードタイマによる計測時間が第1の閾値時間である10分を経過するまでステップS2からステップS7を繰り返し、10分が経過するとステップS7からステップS9に移行して電気集塵機5を運転させ、さらに上述した各処理が実施された後にステップS20で電気集塵機5を停止させる、という処理を繰り返すリトライ運転が実施される。また、上述したフローにおけるステップS31からの一連の流れでは、待機モードタイマによる計測時間が第2の閾値時間である10分を経過するまでステップS2からステップS4を繰り返し、10分が経過するとステップS4からステップS9に移行して電気集塵機5を運転させ、さらに上述した各処理が実施された後にステップS30で電気集塵機5を停止させる、という処理を繰り返すリトライ運転が実施される。
上述したように、本実施の形態1にかかる空気清浄機50は、電極間に電圧を印加して形成した放電空間を通過する塵を帯電させ、帯電した塵を吸着させて電気集塵する電気集塵機5と、電気集塵機5の電極間の電気的特性値である電流値を計測する計測部である電流センサ9と、電気集塵機5を制御する制御部10と、を有する。そして、制御部10は、電流センサ9で計測された電気的特性値である電流値と第2の基準値である第1の閾値電流値との大小関係、および、電流センサ9で計測された電気的特性値の変化量である電流値の増加量と第1の基準値である第1の閾値電流値増加量との大小関係に基づいて、電気集塵機5が短絡故障したか否かを判定する。これにより、空気清浄機50は、湿度検知手段を用いることなく且つ高湿度状態であっても、空気清浄機50に生じている状態が短絡故障による過電流であるか付着物の吸湿による過電流であるかを判定でき、電気集塵機5が短絡故障したと判定した場合にはすぐに使用者に異常を通知することができる。
さらに制御部10は、電気集塵機5が短絡していないと判定した場合、電流センサ9で計測された電気的特性値である電流値と第2の基準値である第1の閾値電流値との大小関係に基づいて、電気集塵機5を間欠運転させる。そして、制御部10は、間欠運転時において電流センサ9で計測された電流値と第2の基準値である第1の閾値電流値との大小関係および間欠運転時において電流センサ9で計測された電流値が変化した量である電流値の増加量と第1の基準値である第1の閾値電流値増加量との大小関係に基づいて、電気集塵機5が正常に集塵できる状態であるか否かを判定する。これにより、空気清浄機50は、付着物の吸湿による過電流検知の場合は、リトライ運転によって湿度低下後に自動で正常復帰し、異常を誤発報することなく空気清浄機能を再度発揮できる。
なお、上記の説明において、電気集塵機5が短絡故障したか否かを判定するために、電気的特性値として電気集塵機5の電極間を流れる電流値を計測しているが、電気的特性値は、電気集塵機5の電極間を流れる電流値に限定されない。電気的特性値には、電気集塵機5の電極間の電圧値、または電気集塵機5の電極間の抵抗値を計測して用いてもよい。この場合も、上記と同様にして、電気的特性値の基準値と電気的特性値との大小関係、および電気的特性値の変化量の基準値と電気的特性値の変化量との大小関係に基づいて、空気清浄機50に生じている状態が短絡故障による過電流であるか付着物の吸湿による過電流であるかを判定でき、電気集塵機5が短絡故障したと判定した場合にはすぐに使用者に異常を通知することができる。
また、上記の説明ではリモートコントローラ6からの操作指令が停止である停止モード時にリトライ運転を実施するまでの既定時間の一例として10分を示したが、既定時間は特定の値に限定されない。
また、待機モード時にリトライ運転を実施するまでの既定時間の一例として10分を示したが、使用環境及び使用条件に合わせて設定してもよく、特定の値に限定されない。
さらに、停止モード時のリトライ運転を実施するまでの既定時間と、待機モード時のリトライ運転を実施するまでの既定時間は、異なる時間を設定してもよい。例えば、待機モード時のリトライ運転を実施するまでの既定時間を5分として短くすることで、リモートコントローラ6からの操作指令が運転の場合に、付着物の吸湿によって電気集塵機5を一時的に停止させている状態からなるべく早く復帰できるようにすることも可能である。一方、停止モード時のリトライ運転を実施するまでの既定時間を、例えば20分として長くすることで、消費電力を削減することも可能である。
停止モード時に定期的にリトライ運転を実施するまでの既定時間及び待機モード時にリトライ運転を実施するまでの時間は、製品出荷時に設定することもできるが、リモートコントローラ6又は空気清浄機50の本体に対する操作で設定できるようにしてもよい。
また、記憶素子11にマイクロコントローラ(Microcontroller)のRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリーを使用すると、空気清浄機50の電源を遮断すると記憶が失われる。このため、ステップS1で過去の検知電流値を0mAに設定する処理を行っている。しかし、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリーも搭載し、空気清浄機50の電源を遮断時に最新の電流値を不揮発性メモリーに記録することで、ステップS1で過去の検知電流値を0mAに設定せずに、不揮発性メモリーに記録していた電流値を読み出して、過去の検知電流値として設定してもよい。制御部10は、空気清浄機5へ電源投入後に最初に電流センサ9で計測された電流値と、空気清浄機5の電源投入時に不揮発性メモリーに記憶されている電流値とに基づいて、電流値の増加量を算出してもよい。
なお、空気清浄機5は、工場出荷時に通電して動作確認が行われる、市場で初めて動作させるときでも不揮発性メモリーに電流値が記録されており、電流値の増加量が計算可能である。
さらに、コスト増加を防ぐ目的でEEPROMを搭載せず、マイクロコントローラのROM(Read Only Memory)に製品の工場出荷時に電流値情報を書き込んでおき、ステップS1で過去の検知電流値を0mAに設定せずに、ROMから電流値を読み出して、過去の検知電流値として設定してもよい。
また、短絡故障状態を通信で取得したリモートコントローラ6はランプ8を点滅させて異常通知を行うが、リモートコントローラ6の表示部にエラーメッセージ又はエラーコードを表示させることによって異常通知を行ってもよく、特定の方法に限定されない。
上述したように、本実施の形態1にかかる空気清浄機50は、湿度検知手段を用いることなく且つ高湿度状態であっても、空気清浄機50の状態が短絡故障による過電流であるか付着物の吸湿による過電流であるかを判定でき、短絡故障が発生した場合に速やかに異常を通知できる。これにより、速やかに故障部品の交換または修理を行うことができるため、空気清浄機能を早期に回復できる。
また、空気清浄機50は、付着物の吸湿による過電流を検知した場合は、リトライ運転によって湿度低下後に自動復帰し、異常を誤発報することなく空気清浄機能を再度発揮できる。
また、空気清浄機50は、湿度センサを搭載する必要がないため、湿度センサを搭載することに起因した製品コストの増加、組み立て工数の増加および製品の大型化といったデメリットが生じない。
したがって、本実施の形態1にかかる空気清浄機50は、湿度検知手段を用いることなく、高湿度状態でも短絡故障の異常通知ができ、短絡故障による過電流であるか付着物の吸湿による過電流であるかを判定でき、短絡故障が発生した場合に速やかに異常を通知できる、という効果を奏する。
実施の形態2.
図10は、本発明の実施の形態2にかかる空気清浄機が運転モード時に第2の閾値電流値増加量に基づいて待機モードを選択する場合における検知電流値の推移の一例を示す特性図である。本実施の形態2にかかる空気清浄機は、特に記述しない事項については実施の形態1にかかる空気清浄機50と同様とし、実施の形態1にかかる空気清浄機50と同一の機能及び構成については同一の符号を付し、説明は省略する。本実施の形態2にかかる空気清浄機では、制御部10が、運転モード時、停止モード時および待機モード時のそれぞれにおいて異なる電流値の増加量の基準値を用いて、制御モードを選択することが実施の形態1と異なる。
上述した実施の形態1にかかる空気清浄機50は、検知電流値に検知精度のバラツキである検知誤差があり且つ電流値の増加量を短時間の間隔で算出する場合は、検知精度のバラツキに起因して、短絡故障でないにも関わらず検知電流値が第1の基準値である第1の閾値電流値増加量以上となり、異常モードを誤判定する可能性が考えられる。この場合は、検知電流値の検知誤差よりも大きい補正値で第1の閾値電流値増加量を補正した第2の閾値電流値増加量で制御モードを判定することで、異常モードを誤判定することを防ぐことができる。電流値の増加量を算出する短時間の間隔の一例は、100m秒である。
第2の閾値電流値増加量は、電流センサ9で計測された電流値が変化した量である電流値の増加量と比較して、電気集塵機5が短絡故障したか否かを判定するための閾値である。そして、第2の閾値電流値増加量は、計測部で計測された電気的特性値が変化した量である電気的特性値の変化量と比較して、電気集塵機5が短絡故障したか否かを判定するための第3の基準値である。
図10において、運転モード時に第2の基準値である第1の閾値電流値未満である状態から第1の閾値電流値以上の状態に変化した際の電流値の増加量は、第1の閾値電流値増加量よりも上に位置しており第1の閾値電流値増加量よりも大きく、0.2mA/100m秒である。
検知電流値の検知誤差は、例えば±0.1mAである。検知電流値が第1の閾値電流値以上となった場合の電流値の増加量は、0.2mA/100m秒であるため、第1の閾値電流値増加量を250mA/10分として判定した場合、すなわち第1の閾値電流値増加量を0.04mA/100m秒として判定した場合は、電流値の増加量は第1の閾値電流値増加量以上となり、制御部10は、短絡故障が発生していると判定して異常モードを選択する。
しかし、1秒間の周期で見れば、電流値の増加量は0.01mA/100m秒しかなく、第1の閾値電流値増加量未満であるため、付着物の吸湿による過電流が発生したと判定して、待機モードが選択されるべきである。このような誤判定を防ぐために、運転モード時は、電流値の増加量が検知誤差よりも大きな第3の基準値である第2の閾値電流値増加量、例えば0.5mA/100m秒を用いて短絡故障による過電流検知であるか、または付着物の吸湿による過電流検知であるかを判定して制御モードの選択を行うことで、正しく制御モードを選択できる。
図10において、運転モード時に第1の閾値電流値未満である状態から第1の閾値電流値以上の状態に変化した際の電流値の増加量は、第2の閾値電流値増加量よりも下に位置しており第2の閾値電流値増加量よりも小さい。したがって、制御部10は、付着物の吸湿による過電流検知であると判定して待機モードを選択することができる。
また、待機モード時において正常モードに復帰するまでの時間を短くする目的でリトライ運転の間隔を短くする場合、停止モード時において消費電力を削減する目的で定期運転の間隔を長くする場合など、停止モード時と待機モード時とで電極間の電流値の計測間隔が異なる場合は、第1の閾値電流値増加量とは異なる第2の閾値電流値増加量を設定して、短絡故障による過電流検知であるか、または付着物の吸湿による過電流検知であるかを判定して制御モードの選択を行ってもよい。
このように、各制御モードにおける電流値の増加量を算出する間隔の違い、すなわち電流値の増加量を算出する周期の違いに応じて、電流値の増加量の基準値である第1の閾値電流値増加量を変更することで、誤判定することなく制御モードを選択することができる。
図11は、本発明の実施の形態2にかかる空気清浄機の制御部10の制御の流れを示すフローチャートである。図11のフローチャートは、現在の制御モードによって異なる電流値の増加量の基準値を用いて、次の制御モードを判定する制御を有している。
ステップS11では、制御部10は、検知電流値が第1の閾値電流値以上か否かを判定する。検知電流値が第1の閾値電流値未満であれば、ステップS11でNoとなり、制御部10は、電気集塵機5が正常に集塵できる状態であると判定し、ステップS12に進む。検知電流値が第1の閾値電流値以上であれば、ステップS11でYesとなり、制御部10は、電気集塵機5が正常に集塵できない状態であると判定し、ステップS32に進む。
ステップS32では、現在の制御モードが運転モードか否かを判定する。現在の制御モードが停止モード又は待機モードであれば、ステップS32でNoとなり、ステップS22に進む。一方、現在の制御モードが運転モードであれば、ステップS32でYesとなり、ステップS33へ進む。
ステップS33では、制御部10は、電流値の増加量が第3の基準値である第2の閾値電流値増加量以上か否かを判定する。電流値の増加量が第2の閾値電流値増加量以上であれば、ステップS33でYesとなり、制御部10は、短絡故障による過電流検知と判定し、ステップS23へ進んで制御モードを異常モードに設定する。一方、電流値の増加量が第2の閾値電流値増加量未満であれば、ステップS33でNoとなり、制御部10は、付着物の吸湿による過電流検知と判定し、ステップS27に進んで制御モードを待機モードに設定する。
上述したように、本実施の形態2にかかる空気清浄機は、実施の形態1にかかる空気清浄機50と同様の効果を有する。
また、本実施の形態2にかかる空気清浄機では、制御部10は、電気集塵機5の電極間の電気的特性値を計測する計測部である電流センサ9が計測した電気的特性値の変化量である電流値の変化量を算出する周期を複数有する。そして、制御部10は、電流値の変化量を算出する周期に応じて第1の閾値電流値増加量を変更して用いる、すなわち第2の閾値電流値増加量を用いる。これにより、本実施の形態2にかかる空気清浄機は、短絡故障による過電流検知であるか、または付着物の吸湿による過電流検知であるかを誤判定することなく判定して、制御モードを適切に選択することができる。
実施の形態3.
図12は、本発明の実施の形態3にかかる空気清浄機が待機モード時に第2の閾値電流値に基づいて異常モードを選択する場合における検知電流値の推移の一例を示す特性図である。本実施の形態3にかかる空気清浄機は、特に記述しない事項については実施の形態2にかかる空気清浄機と同様とし、実施の形態2にかかる空気清浄機と同一の機能及び構成については同一の符号を付し、説明は省略する。本実施の形態3にかかる空気清浄機では、制御部10が、検知電流値に対して第2の閾値電流値を設ける点が実施の形態2と異なる。第2の閾値電流値の一例は、1000mAである。
第2の閾値電流値は、第1の閾値電流値より大きく、通常の付着物の吸湿では達しない電流値に設定している。すなわち、第2の閾値電流値は、不測の事態によって、電流値の増加量が第2の閾値電流値増加量未満の状態を保ちながら、検知電流値が短絡故障に匹敵する電流値まで上昇したときに達する電流値とする。制御部10は、検知電流値が第2の閾値電流値以上である場合は、電流値の増加量の大小に関わらず、電気集塵機5が異常であると判定して異常モードを選択する。したがって、制御部10は、検知電流値が第2の閾値電流値以上であるか否かによって、空気清浄機が異常であるか否かを判定する。
第2の閾値電流値は、電流センサ9で計測された電流値と比較して、電気集塵機5が短絡故障した異常であるか否かを判定するための閾値である。第2の閾値電流値は、計測部で計測された電気的特性値と比較して、電気集塵機5が短絡故障した異常であるか否かを判定するための第4の基準値である。
図12においては、検知電流値が第2の基準値である第1の閾値電流値以上となって待機モードに移行した後、電流値の増加量は第3の基準値である第2の閾値電流値増加量未満の状態を保ちながら緩やかに増加し続けている。そして、検知電流値が第2の閾値電流値以上となった場合に、制御部10は、短絡故障による過電流検知と判定して異常モードを選択する。
図13は、本発明の実施の形態3にかかる空気清浄機の制御部10の制御の流れを示すフローチャートである。図13のフローチャートは、検知電流値が第2の閾値電流値以上か否かで、空気清浄機が短絡故障したか否かを判定する制御を有している。
ステップS22では、制御部10は、電流センサ9で計測された電流値の増加量、すなわち検知電流値の増加量が第2の基準値である第1の閾値電流値増加量以上か否かを判定する。電流値の増加量が第1の閾値電流値増加量以上であれば、ステップS22でYesとなり、制御部10は、短絡故障による過電流検知と判定し、ステップS23に進む。一方、電流値の増加量が第1の閾値電流値増加量未満であれば、ステップS22でNoとなり、制御部10は、付着物の吸湿による過電流検知と判定し、ステップS34に進む。
また、ステップS33では、制御部10は、電流値の増加量が第3の基準値である第2の閾値電流値増加量以上か否かを判定する。電流値の増加量が第2の閾値電流値増加量以上であれば、ステップS33でYesとなり、制御部10は、短絡故障による過電流検知と判定し、ステップS23へ進んで制御モードを異常モードに設定する。一方、電流値の増加量が第2の閾値電流値増加量未満であれば、ステップS33でNoとなり、制御部10は、付着物の吸湿による過電流検知と判定し、ステップS34に進む。
ステップS34では、制御部10は、検知電流値が第4の基準値である第2の閾値電流値以上か否かを判定する。検知電流値が第2の閾値電流値未満であれば、ステップS34でNoとなり、付着物の吸湿による過電流検知と判定し、ステップS27に進み、待機モードに設定する。検知電流値が第2の閾値電流値以上であれば、ステップS34でYesとなり、制御部10は、検知電流値が短絡故障に匹敵する電流値であると判定し、ステップS23に進み、異常モードに設定する。
このように、第2の閾値電流値を用いることで、不測の事態によって、付着物の吸湿量が多くなり短絡故障に匹敵する過電流が流れる場合でも、制御部10は、空気清浄機を安全に停止して、使用者に異常を通知することができる。
上述したように、本実施の形態3にかかる空気清浄機は、実施の形態1,2にかかる空気清浄機50と同様の効果を有する。
また、本実施の形態3にかかる空気清浄機では、制御部10は、電気集塵機5の電極間の電気的特性値を計測する計測部である電流センサ9が計測した電気的特性値である検知電流値と、第1の閾値電流値と異なる第2の閾値電流値との大小関係のみで、電気集塵機5が短絡故障したか否かを判定する。これにより、本実施の形態3にかかる空気清浄機は、不測の事態によって、短絡故障に匹敵する過電流が流れる場合でも、異常モードを選択できる。そして、本実施の形態3にかかる空気清浄機は、危険を生じる場合は正確に異常の通知を行い、速やかに故障部品の交換や修理を行うことができるため、空気清浄機能を早期に回復できる。
また、本実施の形態3にかかる空気清浄機において、制御部10が第2の閾値電流値によって異常モードを選択した場合に使用者に異常を通知する方法は、実施の形態1と同じとしてもよいし、ランプ8の点滅間隔を変える、ランプ8の発光色を変える、別のランプを点灯又は点滅させるなどの方法でもよく、特定の方法に限定されない。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、実施の形態の技術同士を組み合わせることも可能であるし、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。