JP7018621B2 - 生体信号解析装置、生体信号解析方法及び生体信号解析システム - Google Patents

生体信号解析装置、生体信号解析方法及び生体信号解析システム Download PDF

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Description

本発明は、生体センサを用いて心拍等の生体信号を解析する生体信号解析装置等に関するものである。
心拍リズムが一過性あるいは継続して不規則になる状態を不整脈といい、治療の必要のないものから、突然死の引き金になるものまで、さまざまな不整脈がある。なかでも、心房細動は慢性の不整脈の中では最も頻度が高く、高齢化の進展とともに、近年その罹患患者数が増加している。70歳代の5%、80歳代の10%程度が心房細動に罹患し、国内での罹患者は約130万人にのぼるという。心房細動は、心房が1分間に450~600回もの高い頻度で不規則に興奮し、それが心室へ無秩序に伝わるために、心室興奮が不規則になる不整脈である。心房細動は、心臓の拍動が不規則になるだけでなく、この疾患は脳梗塞のリスクを上げることが最も警戒されており、その予防や治療は臨床上重要な課題となっている。
一方、睡眠中に10秒以上の無呼吸が繰り返し起こる状態は、睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)として知られており、日本における潜在患者数は250万人にのぼるとされている。近年、SASや居眠り運転が原因の交通事故がマスコミ等でも多く取り上げられており社会的関心を集めている。SASには、しばしば睡眠中の不整脈が併発する。洞停止、房室伝導障害などの徐脈性不整脈や、心房細動、心室性期外収縮、非持続性心室頻拍が多くみられ、これらの不整脈はSASの重症度に依存してその頻度が増加すると言われている。
睡眠呼吸障害に併発した不整脈に対するSAS治療の効果を評価した大規模な臨床試験は報告されていないものの、これまでの多くの研究の結果から、SASの治療が夜間睡眠中の不整脈に対しても有用である可能性が示されている。一方、不整脈治療がSASに及ぼす効果についての定量的な評価は行われていない。
不整脈の確定診断は心電図によらざるを得ない。従って、慢性かつ継続的な不整脈では医療機関受診時の心電図検査にて即座に診断されるが、一過性不整脈の場合24時間心電計など、持続的なモニターが必要となる。心房細動の約40%は無症候性であり、他の疾患で医療機関を受診した際や健診時に偶然発見される場合が多い。一方、SASの確定診断はポリソムノグラフィー検査が一般的であるが、装置そのものが大がかりという欠点がある。心拍リズム及び呼吸リズムの異常について、早期発見のための簡易かつ信頼しうる検出手段が待たれている。
本願の発明者らは、接触型生体センサを用いて生体信号を測定する装置や方法を考案している(特許文献1及び2)。これらは、医療従事者等の被験者以外の人間によって測定の準備が行われることが想定されている。一方、介護や在宅医療の現場では、被験者が普段の生活の活動様式を維持しつつ、無拘束かつ非接触により測定することが望まれている。そのため、非接触型生体センサを用いて生体信号を測定する方法の研究が行われている。
近年、いくつかの方法が開発され、介護や在宅医療の現場における高齢者の見守りや離床確認に利用されつつある。非接触型生体センサとしては、現在までに、電波型非接触生体センサ、静電容量型フィルム状近接センサ、赤外半導体レーザを用いたセンサ、圧電素子センサ等が報告されている。
電波型非接触性生体センサには、マイクロ波ドップラセンサやVHF帯を用いるものがあるが、いずれも心拍・心音の検出において圧電素子センサに劣る。静電容量型フィルム状近接センサは、床やベッドの裏に貼ったフィルム状のセンサにより、人の動きや呼吸を検出するが、心拍の検出能については未だ報告されていない。認知症患者の見守りシステムとして、赤外半導体レーザを利用した非接触・無拘束ベッド見守りシステムが市販されているが、体動及び離床検知に限られている。
圧電素子を利用したセンサは、ベッドの脚下に設置するものやマット下に設置するもの、ベッドの上に敷くマットセンサ等がある。特許文献3及び4には、呼吸センサにより呼吸運動を記録し、呼吸周期又は呼吸周波数の不安定性を示す指標(RSI)を用いて、心不全の予後の予測又は心不全の重症度の定量的な評価を行う方法が記載されている。
特許第5509422号公報 特願2016-056512号公報 特許第5679971号公報 特開2014-210034号公報
しかしながら、依然として、非接触型生体センサを用いて心拍等の生体信号を精度良く解析し、心拍不整や異常呼吸の定量的な評価を支援することが可能な装置や方法は開示されていない。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすることは、非接触型生体センサを用いて心拍等の生体信号を簡易かつ精度良く解析し、心拍不整や異常呼吸の定量的な評価を支援することが可能な生体信号解析装置等を提供することである。
前述した目的を達成するための第1の発明は、振動伝達板に接着された圧電フィルムを含む非接触型生体センサから得られる電気信号に基づくデジタル信号を入力する信号入力手段と、前記デジタル信号に対してフィルタ処理を行い、心拍信号を抽出する心拍信号抽出手段と、前記心拍信号に対してノイズ低減処理を行い、解析用心拍信号を生成する第1ノイズ低減手段と、前記解析用心拍信号に対してフーリエ変換を行い、心拍パワースペクトルを生成する第1パワースペクトル生成手段と、前記心拍パワースペクトルのピークに基づいて、心拍数を算出する心拍数算出手段と、を備え、前記第1ノイズ低減手段は、第1の所定時間間隔で前記心拍信号の分散値又は包絡線を算出し、前記分散値又は前記包絡線の対数値の波形から、前記第1の所定時間間隔よりも長い第2の所定時間間隔ごとの移動平均値を差し引いた波形を、前記解析用心拍信号とすることを特徴とする生体信号解析装置である。第1の発明によって、心拍の生体信号を簡易かつ精度良く解析し、心拍不整の定量的な評価を支援することが可能となる。また、体動等に起因するアーチファクトの低減が可能となり、長時間連続して心拍のモニタリングを解析することができる。
第1の発明は、心拍の規則性を評価する指標である心拍規則性指標として、前記心拍パワースペクトルの尖度又は前記心拍パワースペクトルのピーク周波数における相対的振幅を算出する第1指標算出手段、を更に備えても良い。これによって、心拍規則性の評価を支援する情報を提供することができる。また、精度良く心拍規則性を数値化できる。
第1の発明は、前記心拍パワースペクトルの一部の周波数帯に対して逆フーリエ変換を行い、心拍のゆらぎを示す波形を生成する波形生成手段、を更に備えるようにしても良い。これによって、心電図のデータを用いることなく、心拍のゆらぎ解析が可能となる。
第2の発明は、振動伝達板に接着された圧電フィルムを含む非接触型生体センサから得られる電気信号に基づくデジタル信号を入力する信号入力手段と、前記デジタル信号に対してフィルタ処理を行い、呼吸信号を抽出する呼吸信号抽出手段と、前記呼吸信号に対してノイズ低減処理を行い、解析用呼吸信号を生成する第2ノイズ低減手段と、前記解析用呼吸信号に対してフーリエ変換を行い、呼吸パワースペクトルを生成する第2パワースペクトル生成手段と、前記呼吸パワースペクトルのピークに基づいて、呼吸数を算出する呼吸数算出手段と、を備え、前記第2ノイズ低減手段は、第1の所定時間間隔で前記呼吸信号の包絡線を算出し、前記包絡線の対数値の波形から、前記第1の所定時間間隔よりも長い第2の所定時間間隔ごとの移動平均値を差し引いた波形に基づいて前記解析用呼吸信号を生成することを特徴とする生体信号解析装置である。第2の発明によって、呼吸運動の生体信号を簡易かつ精度良く解析し、異常呼吸の定量的な評価を支援することが可能となる。
第2の発明は、呼吸安定性を評価する指標である呼吸安定性指標として、前記呼吸パワースペクトルによって特定される呼吸周波数の尖度、又は前記呼吸パワースペクトルに含まれる呼吸振幅の変動成分のうち所定の周波数帯の総和を算出する第2指標算出手段、を更に備えるようにしても良い。これによって、呼吸安定性の評価を支援する情報を提供することができる。
第2の発明は、前記呼吸信号の包絡線を算出し、前記包絡線に基づく波形から低呼吸及び無呼吸を検出するとともに、見かけの低呼吸・無呼吸指標を算出する第3指標算出手段、を更に備えるようにしても良い。これによって、低呼吸及び無呼吸の評価を支援する情報を提供することができる。
第3の発明は、コンピュータが、振動伝達板に接着された圧電フィルムを含む非接触型生体センサから得られる電気信号に基づくデジタル信号を入力する信号入力ステップと、前記デジタル信号に対してフィルタ処理を行い、心拍信号を抽出する心拍信号抽出ステップと、前記心拍信号に対してノイズ低減処理を行い、解析用心拍信号を生成する第1ノイズ低減ステップと、前記解析用心拍信号に対してフーリエ変換を行い、心拍パワースペクトルを生成する第1パワースペクトル生成ステップと、前記心拍パワースペクトルのピークに基づいて、心拍数を算出する心拍数算出ステップと、を実行し、前記第1ノイズ低減ステップは、第1の所定時間間隔で前記心拍信号の分散値又は包絡線を算出し、前記分散値又は前記包絡線の対数値の波形から、前記第1の所定時間間隔よりも長い第2の所定時間間隔ごとの移動平均値を差し引いた波形を、前記解析用心拍信号とすることを特徴とする生体信号解析方法である。第3の発明によって、心拍の生体信号を簡易かつ精度良く解析し、心拍不整の定量的な評価を支援することが可能となる。また、体動等に起因するアーチファクトの低減が可能となり、長時間連続して心拍のモニタリングを解析することができる。
第4の発明は、コンピュータが、振動伝達板に接着された圧電フィルムを含む非接触型生体センサから得られる電気信号に基づくデジタル信号を入力する信号入力ステップと、前記デジタル信号に対してフィルタ処理を行い、呼吸信号を抽出する呼吸信号抽出ステップと、前記呼吸信号に対してノイズ低減処理を行い、解析用呼吸信号を生成する第2ノイズ低減ステップと、前記解析用呼吸信号に対してフーリエ変換を行い、呼吸パワースペクトルを生成する第2パワースペクトル生成ステップと、前記呼吸パワースペクトルのピークに基づいて、呼吸数を算出する呼吸数算出ステップと、を実行し、前記第2ノイズ低減ステップは、第1の所定時間間隔で前記呼吸信号の包絡線を算出し、前記包絡線の対数値の波形から、前記第1の所定時間間隔よりも長い第2の所定時間間隔ごとの移動平均値を差し引いた波形に基づいて前記解析用呼吸信号を生成することを特徴とする生体信号解析方法である。第4の発明によって、呼吸運動の生体信号を簡易かつ精度良く解析し、異常呼吸の定量的な評価を支援することが可能となる。
第5の発明は、振動伝達板と、前記振動伝達板に接着された圧電フィルムを含む非接触型生体センサと、前記非接触型生体センサから得られる電気信号に基づくデジタル信号を入力する信号入力手段と、前記デジタル信号に対してフィルタ処理を行い、心拍信号を抽出する心拍信号抽出手段と、前記心拍信号に対してノイズ低減処理を行い、解析用心拍信号を生成する第1ノイズ低減手段と、前記解析用心拍信号に対してフーリエ変換を行い、心拍パワースペクトルを生成する第1パワースペクトル生成手段と、前記心拍パワースペクトルのピークに基づいて、心拍数を算出する心拍数算出手段と、を備える生体信号解析装置と、を含み、前記第1ノイズ低減手段は、第1の所定時間間隔で前記心拍信号の分散値又は包絡線を算出し、前記分散値又は前記包絡線の対数値の波形から、前記第1の所定時間間隔よりも長い第2の所定時間間隔ごとの移動平均値を差し引いた波形を、前記解析用心拍信号とすることを特徴とする生体信号解析システムである。第5の発明によって、心拍の生体信号を簡易かつ精度良く解析し、心拍不整の定量的な評価を支援することが可能となる。また、体動等に起因するアーチファクトの低減が可能となり、長時間連続して心拍のモニタリングを解析することができる。
の発明における前記振動伝達板は、前記圧電フィルムよりも弾性率が高くしても良い。これによって、圧電フィルムを高感度化することができる。
の発明における前記圧電フィルムは、ポリフッ化ビニリデン製にしても良い。これによって、圧電フィルムは、応答速度が早く、広い周波数特性を持つ。
の発明における前記振動伝達板は、ポリカーボネート製にしても良い。これによって、振動伝達板は、ポリフッ化ビニリデン製の圧電フィルムよりも弾性率が高くなり、圧電フィルムを高感度化することができる。
の発明における前記生体信号解析装置は、心拍の規則性を評価する指標である心拍規則性指標として、前記心拍パワースペクトルの尖度又は前記心拍パワースペクトルのピーク周波数における相対的振幅を算出する第1指標算出手段、を更に備えるようにしても良い。これによって、心拍規則性の評価を支援する情報を提供することができる。また、精度良く心拍規則性を数値化できる。
の発明における前記生体信号解析装置は、前記心拍パワースペクトルの一部の周波数帯に対して逆フーリエ変換を行い、心拍のゆらぎを示す波形を生成する波形生成手段、を更に備えるようにしても良い。これによって、心電図のデータを用いることなく、心拍のゆらぎ解析が可能となる。
第6の発明は、振動伝達板と、前記振動伝達板に接着された圧電フィルムを含む非接触型生体センサと、前記非接触型生体センサから得られる電気信号に基づくデジタル信号を入力する信号入力手段と、前記デジタル信号に対してフィルタ処理を行い、呼吸信号を抽出する呼吸信号抽出手段と、前記呼吸信号に対してノイズ低減処理を行い、解析用呼吸信号を生成する第2ノイズ低減手段と、前記解析用呼吸信号に対してフーリエ変換を行い、呼吸パワースペクトルを生成する第2パワースペクトル生成手段と、前記呼吸パワースペクトルのピークに基づいて、呼吸数を算出する呼吸数算出手段と、を備える生体信号解析装置と、を含み、前記第2ノイズ低減手段は、第1の所定時間間隔で前記呼吸信号の包絡線を算出し、前記包絡線の対数値の波形から、前記第1の所定時間間隔よりも長い第2の所定時間間隔ごとの移動平均値を差し引いた波形に基づいて前記解析用呼吸信号を生成することを特徴とする生体信号解析システムである。第6の発明によって、呼吸運動の生体信号を簡易かつ精度良く解析し、異常呼吸の定量的な評価を支援することが可能となる。
の発明における前記生体信号解析装置は、呼吸安定性を評価する指標である呼吸安定性指標として、前記呼吸パワースペクトルによって特定される呼吸周波数の尖度、又は前記呼吸パワースペクトルに含まれる呼吸振幅の変動成分のうち所定の周波数帯の総和を算出する第2指標算出手段、を更に備えるようにしても良い。これによって、呼吸安定性の評価を支援する情報を提供することができる。
の発明における前記生体信号解析装置は、前記呼吸信号の包絡線を算出し、前記包絡線に基づく波形から低呼吸及び無呼吸を検出するとともに、見かけの低呼吸・無呼吸指標を算出する第3指標算出手段、を更に備えるようにしても良い。これによって、低呼吸及び無呼吸の評価を支援する情報を提供することができる。
本発明により、非接触型生体センサを用いて心拍等の生体信号を簡易かつ精度良く解析し、心拍不整や異常呼吸の定量的な評価を支援することが可能な生体信号解析装置等を提供することができる。
生体信号解析システム1の概要を示す図 生体信号解析処理の概要を示す図 心拍信号解析処理の流れを示すフローチャート 心拍信号解析処理におけるフィルタ処理及びノイズ低減処理を説明する図 心拍パワースペクトルとノイズ低減処理の効果を説明する図 心拍周波数の計算に必要な時間を示す図 心音成分の数と振幅がパワースペクトルに及ぼす影響を説明する図 正常洞調律及び心房細動被験者の解析用心拍信号と心拍パワースペクトルを示す図 心拍規則性の評価を説明する図 HBKurt及びHBRPによる心拍規則性の評価を説明する図 自律神経活動の評価を説明する図 呼吸信号解析処理の流れを示すフローチャート 呼吸信号解析処理におけるフィルタ処理及びノイズ低減処理を説明する図 補正呼吸信号、CS呼吸波形及び補正呼吸信号+CS呼吸波形とそれらのパワースペクトルを示す図 解析用呼吸信号と呼吸パワースペクトルを示す図 呼吸規則性の評価を説明する図 RKurt及びRAUSIを説明する図 RKurt及びRAUSIの算出結果を示す図 無呼吸及び低呼吸の検出を示す図 無呼吸閾値及び低呼吸閾値を説明する図 生体センサの断面の模式図
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、生体信号解析システム1の概要を示す図である。図1に示すように、本発明の実施形態における生体信号解析システム1は、臥床中の被験者の背面に設置される生体センサ2と、生体センサ2から得られる電気信号をデジタル信号として出力する生体信号出力装置3と、生体信号出力装置3からデジタル信号を入力し、生体信号を解析する生体信号解析装置4と、によって構成される。
生体センサ2は、例えば、圧電素子振動センサであり、この実施形態では、圧電効果を有するポリフッ化ビニリデン(PVDF:PolyVinylidene DiFluoride)製フィルムを、厚さ1mm×縦25cm×横3cmのポリカーボネート製プレートに固定されたものを用いる。生体センサ2は、信号ケーブルを介して生体信号出力装置3と電気的に接続される。
生体センサ2はマットレス51と床板52の間に載置され、例えば、被験者がベッド5に仰向けの状態で寝ることによって、生体センサ2は臥床中の被験者の背面に非接触の状態で設置される。被験者は、うつ伏せや横向きの状態で寝ても良く、生体センサ2が被験者の正面や側面に非接触の状態で設置されても、被験者の生体信号を取得することができる。また、生体センサ2はマットレス51の上に設置されても良く、生体センサ2とマットレス51との上下関係は問わない。いずれの場合も、被験者と生体センサ2は非接触の状態で測定されるため、被験者が普段の睡眠様式と変わらない状態で測定可能である。
生体信号出力装置3は、生体センサ2から得られる電気信号に帯域制限をかけるフィルタ部31と、フィルタ部31を通過する電気信号をデジタル信号に変換するAD変換部32と、デジタル信号を外部に出力する信号出力部33と、を備える。フィルタ部31は、100~500Hzの範囲内の周波数を遮断周波数とする低域通過フィルタ(LPF:Low Pass Filter)である。AD変換部32は、200~1000Hzの範囲内の周波数をサンプリング周波数とするAD変換を行う。信号出力部33は、無線又は有線によって生体信号解析装置4とデータ送受信可能に接続される。
生体信号解析装置4は、生体信号出力装置3から出力されるデジタル信号を入力する入力部41と、生体信号解析装置4全体を制御するとともに、デジタル信号の信号処理や解析処理を行う制御部42と、プログラムやデータを記憶する記憶部43と、データを表示する表示部44と、データを外部に出力する出力部45と、を備える。
生体信号解析装置4は、例えば、PC(Personal Computer)やサーバである。制御部42は、例えば、信号処理専用のプロセッサであるDSP(Digital Signal Processor)と、信号処理以外の処理を実行し、各部を制御するCPU(Central Processing Unit)と、によって構成される。記憶部43は、フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)等であり、予め制御部42による処理を実行するためのプログラムやデータを記憶する。表示部44は、液晶ディスプレイ等である。出力部45は、無線LAN(Local Area Network)、有線LAN、Bluetooth(登録商標)通信、インターネット等を介して他のコンピュータとのデータの送受信を行う通信手段を備える。
生体信号解析装置4は、ベッド5の脇に設置されても良いし、遠隔に設置されても良い。遠隔に設置される場合、生体信号出力装置3と生体信号解析装置4は、インターネット等を介してデータの送受信を行う。
図2は、生体信号解析処理の概要を示す図である。生体信号解析処理は、生体信号解析装置4の制御部42によって実行される。図2に示すように、生体信号解析装置4の制御部42は、生体信号出力装置3から得られる原波形に対して、フィルタ処理、ノイズ処理、波形分離等の波形処理を行い、主に体動に関する周波数帯の波形を示す信号(以下、「体動信号」と表記する。)、主に心臓の拍動に関する周波数帯の波形を示す信号(以下、「心拍信号」と表記する。)、主に呼吸運動に関する周波数帯の波形を示す信号(以下、「呼吸信号」と表記する。)に分離する。分離された各信号は、生体信号解析装置4の記憶部43に記憶される。
制御部42は、体動信号に基づいて体動解析を行い、体動や寝返りの回数を算出するとともに、離床やいびきの有無等を検出し、表示部44に結果を表示する。また、生体信号解析装置4は、心拍信号に基づいて、スペクトル解析、継時解析、自己相関分析等の時系列解析を行い、心拍安定性、不整脈、自律神経機能等の評価を支援する情報を算出し、表示部44に結果を表示する(=心拍信号解析処理)。同様に、制御部42は、呼吸信号に基づいて時系列解析を行い、呼吸安定性等の評価を支援する情報を算出するとともに、無呼吸の有無等を検出し、表示部44に結果を表示する(=呼吸信号解析処理)。以下では、心拍信号解析処理及び呼吸信号解析処理の詳細について説明する。
図3は、心拍信号解析処理の流れを示すフローチャートである。生体信号解析装置4の入力部41は、生体センサ2から得られる電気信号に基づくデジタル信号を入力する(ステップS1)。生体信号解析装置4の制御部42は、ステップS1において入力されるデジタル信号に対してフィルタ処理を行い、心拍信号を抽出し(ステップS2)、ステップS2において抽出される心拍信号に対してノイズ低減処理を行い、解析に用いる心拍信号(以下、「解析用心拍信号」と表記する。)を生成する(ステップS3)。
図4は、心拍信号解析処理におけるフィルタ処理及びノイズ低減処理を説明する図である。図4(a)は第1の手法、図4(b)は第2の手法に関する。第1の手法では、制御部42は、原波形に対して、15~70Hzの範囲内の周波数を通過帯域とする帯域通過フィルタ(BPF:Band Pass Filter)を用いてフィルタ処理を行い、心拍信号を抽出する。心拍信号の主要成分は、心室の収縮に伴う振動波形である。図4(a)に示す例では、制御部42は、15~40Hzの周波数を通過帯域とする帯域通過フィルタを用いている。図4(a)の心拍信号(=BPF(15-40Hz)の波形)では、房室弁閉鎖に起因するI音と動脈弁閉鎖に起因するII音の心音成分を確認できる。
図4(a)の心拍信号(=BPF(15-40Hz)の波形)は、体動等に起因するノイズが含まれているため、そのままフーリエ変換を行っても心拍周波数に相当する周波数で鋭いピークを取るパワースペクトルを得ることができない。そこで、この実施形態では、制御部42は、第1の所定時間間隔で分散値を算出し、その分散値の対数値の波形から、第1の所定時間間隔よりも長い第2の所定時間間隔ごとの移動平均値を差し引いた波形を、解析用心拍信号とする。第1の所定時間間隔は50~200msの範囲、第2の所定時間間隔は1000~5000msの範囲である。
図4(a)に示す例では、制御部42は、100msごとに分散値を算出し、その分散値の対数値の波形から、2000msごとの移動平均値を差し引いた波形を、解析用心拍信号としている。
次に、第2の手法について説明する。図4(b)に示す例では、制御部42は、15~70Hzにカットオフ周波数を有する3つの帯域通過フィルタを用いている。図4(b)に示す心拍信号の1つであるBPF(15-30Hz)の波形では、図4(a)の心拍信号と同様、房室弁閉鎖に起因するI音と動脈弁閉鎖に起因するII音の心音成分を確認できる。また、他の2つの心拍信号(=BPF(30-70Hz)及びBPF(20-45Hz)の波形)では呼吸に伴ういびき信号が混入している。制御部42は、入力されるデジタル信号に対して所定のフィルタ処理を行い、フィルタ処理後の信号に対して分散値または包絡線を算出し、分散値または包絡線の対数値の所定時間間隔ごとの移動平均波形を、いびき信号とするようにしても良い。これによって、呼吸運動に伴って生じるいびきを解析することができる。
第2の手法では、制御部42は、第1の所定時間間隔で心拍信号の包絡線を算出し、その包絡線の対数値の波形から、第1の所定時間間隔よりも長い第2の所定時間間隔ごとの移動平均値を差し引いた波形を、解析用心拍信号とする。包絡線とは、曲線群が与えられたときに、全ての曲線とどこかで接するような曲線のことである。包絡線は、例えば、ヒルベルト変換を用いて算出することができる。第1の所定時間間隔は50~200msの範囲、第2の所定時間間隔は1000~5000msの範囲である。
図4(b)に示す例では、制御部42は、100msごとにBPF(15-30Hz)の波形の包絡線を算出し、その包絡線の対数値の波形から、2000msごとの移動平均値を差し引いた波形を、解析用心拍信号としている。
図3の説明に戻る。制御部42は、ステップS3において生成される解析用心拍信号に対してフーリエ変換を行い、心拍に関するパワースペクトル(以下、「心拍パワースペクトル」と表記する。)を生成し(ステップS4)、ステップS4において生成される心拍パワースペクトルのピークに基づいて、心拍数を算出する(ステップS5)。
図5は、心拍パワースペクトルとノイズ低減処理の効果を説明する図である。図5(a)は、第1の手法のノイズ低減処理による算出結果、図5(b)は、第2の手法のノイズ低減処理による算出結果を示している。図5(a)及び図5(b)の上段は比較的体動が少ない時間帯から得られたデータに対する処理結果、図5(a)及び図5(b)の下段は測定中に体動等によるアーチファクトが混入したデータに対する処理結果を示している。図5(a)の左側の波形は、それぞれ、原波形、15~40Hzの周波数を通過帯域とする帯域通過フィルタによる処理結果(=心拍信号)、100msごとの分散値、分散値の対数、分散値の対数から2000ms幅の移動平均値を差し引いた波形(=解析用心拍信号)を示している。図5(a)の右側の波形は、左側の各波形に関する5分間のデータについてフーリエ変換を行った結果、すなわち心拍パワースペクトルを示している。図5(b)の左側の波形は、それぞれ、原波形、15~30Hzの周波数を通過帯域とする帯域通過フィルタによる処理結果(=心拍信号)、心拍信号の包絡線、包絡線の対数及び移動平均値、解析用心拍信号を示している。図5(b)の右側の波形は、左側の各波形に関する心拍パワースペクトルを示している。
図5(a)の上段の例では、分散値、分散値の対数、解析用心拍信号のいずれの場合も、フーリエ変換の結果、0.85Hzにピークを有する心拍パワースペクトルが得られている。図5(b)の上段の例でも、包絡線、包絡線の対数、解析用心拍信号のいずれの場合も、0.85Hzにピークを有する心拍パワースペクトルが得られている。この結果から、制御部42は、心拍数を0.85×60=51回/分と算出する。
図5(a)及び図5(b)の下段の例では、原波形においてアーチファクトが混入している。アーチファクトの一つ一つは数秒程度の短時間の波であるものの、振幅が非常に大きい。帯域通過フィルタによる処理結果(=心拍信号)の波形で見ると、アーチファクトの方が心拍成分よりもはるかに大きいことが分かる。従って、心拍信号やその分散値又は包絡線の波形に対するフーリエ変換の結果では、心拍数の周波数成分を特定することができない。一方、解析用心拍信号に対するフーリエ変換の結果では、0.85~0.90付近に心拍スペクトルのピークが存在し、心拍周波数に相当する周波数成分が抽出されている。このように、体動等に起因するアーチファクトが数秒程度、かつアーチファクトの前後で心拍成分の振幅に大きな差が無い場合、この実施形態におけるノイズ低減処理によってノイズの低減が可能となり、長時間連続して心拍のモニタリングを解析することができる。
図6は、心拍周波数の計算に必要な時間を示す図である。一般に、周波数解析を行うためには、ある程度の時間が必要である。図6では、心拍パワースペクトルに対する測定時間の影響を示している。図6に示すように、測定時間が短くなるにつれて、心拍周波数に相当する周波数における心拍パワースペクトルのピークが鈍化していくものの、20秒程度の測定時間を確保できれば、問題なく心拍周波数を特定し、心拍数の算出が可能であることが分かる。
図7は、心音成分の数と振幅がパワースペクトルに及ぼす影響を説明する図である。図7(a)は、第1の手法のノイズ低減処理による算出結果、図7(b)は、第2の手法のノイズ低減処理による算出結果を示している。図3のステップS2において、15~70Hzの範囲内の周波数を通過帯域とする帯域通過フィルタを用いる場合、フィルタ後の心拍信号は、主としてI音及びII音の心音成分から成る(図4参照)。I音及びII音に相当する振動波形の強弱は被験者によって異なり、I音及びII音の両方が取得できる場合や、どちらか一方の成分しか取得できない場合がある。また、被験者によっては、III音又はIV音等に相当する心音成分が混入する場合もある。
図7(a)のAに示す被験者では、一心拍に伴ってI音及びII音が同等の大きさで取得できている。図7(a)のBに示す被験者ではI音のみ、図7(a)のCに示す被験者ではI音及びII音に加えて、おそらくIII音が取得できている。いずれの被験者においても、解析用心拍信号に対するフーリエ変換によって得られる心拍パワースペクトルでは、心拍周波数に相当する周波数で大きなピークが形成されている。この結果から、本実施の形態における心拍数算出処理は、一心拍中に現れる心音成分の数及び振幅に影響されないことが分かる。
図8は、正常洞調律及び心房細動被験者の解析用心拍信号と心拍パワースペクトルを示す図である。図8(a)は、第1の手法のノイズ低減処理による算出結果、図8(b)は、第2の手法のノイズ低減処理による算出結果を示している。心拍が規則的な被験者については、図8(a)及び図8(b)のいずれにおいても、心拍周波数に相当する周波数に鋭いピークを持つ心拍パワースペクトルが得られる。一方、心房細動の被験者については、図8(a)及び図8(b)のいずれにおいても、ピークが鈍く、平坦な波形を持つ心拍パワースペクトルが得られる。これは、心拍が不規則なため、一定の周波数を有していないことに起因する。
図9は、心拍規則性の評価を説明する図である。図9では、正常洞調律の被験者、心房細動の被験者、就寝中に一過性心房細動が見られる被験者、人工ペースメーカー埋込み患者に対して、就寝中連続して計測を行い、2~5分ごとの心拍パワースペクトルを算出した時系列データを示している。上段は、横軸に周波数を取り、各経過時間における心拍パワースペクトルの波形を3次元で連続的に図示している。黒く見える部分が心拍パワースペクトルのピークを示している。下段は、ある経過時刻における心拍パワースペクトルの波形を図示している。
正常洞調律の被験者は、心拍周波数に相当する周波数をピークとする心拍パワースペクトルが就寝中継続している。心房細動の被験者は、一定のピークを示すことが無く、幅広い周波数の心拍パワースペクトルが測定中継続している。一過性心房細動の被験者の心拍パワースペクトルは、周波数のピークが断続的に変化している。人工ペースメーカー埋込み患者の心拍パワースペクトルは、心拍は常に一定で、変動が全く見られないことが分かる。このように、本実施の形態において得られる心拍パワースペクトルによって、心拍規則性の評価が可能となる。
図3の説明に戻る。制御部42は、心拍規則性指標(HBRI:Heart Beat Regularity Index)を算出する(ステップS6)。HBRIとしては、例えば、心拍パワースペクトルの尖度(HBKurt)あるいは心拍パワースペクトルのピーク周波数における相対的振幅(HBRP)を用いる。
心拍パワースペクトルの尖度(HBKurt)は、心拍パワースペクトルの平均値まわりの4次のモーメントをμ、標準偏差をσとすると、例えば、β=μ/σ(μとσの4乗の比)-3で算出する。
心拍パワースペクトルのピーク周波数における相対的振幅(HBRP)は、ピーク周波数の振幅を心拍パワースペクトルの総和(=心拍パワースペクトルの曲線下の面積)で割った値ある。
図10は、HBKurt及びHBRPによる心拍規則性の評価を説明する図である。図10では、3人の被験者の就寝中におけるHBKurt及びHBRPの算出結果を示している。HBKurtがゼロ以上であれば、規則正しい心拍を示しており、ゼロ未満の場合は不整脈が疑われる。また、HBRPが10%以上であれば、規則正しい心拍を示しており、5%以下の場合は不整脈が疑われる。正常洞調律の被験者は、就寝中常にHBKurt>0及びHBRP>10の値を示している。一方、心房細動の被験者は、就寝中ほとんどの時間帯でHBKurt<0及びHBRPが2~6%の値を示している。就寝中に一過性心房細動が見られる被験者は、心房細動に該当する時間帯において、HBKurt<0及びHBRPが2~6%の値を示している。このように、HBKurt及びHBRPによって精度良く心拍規則性を数値化できることが分かる。
図3の説明に戻る。制御部42は、ステップS4において生成される心拍パワースペクトルの一部の周波数帯に対して逆フーリエ変換を行い、心拍のゆらぎを示す波形を生成する(ステップS7)。
図11は、自律神経活動の評価を説明する図である。従来の技術では、心拍のゆらぎの解析は、心電図のRR間隔の測定によって行われ、自律神経機能評価又はストレスチェック等に利用されている。本実施の形態では、制御部42は、3分以上の安定した心拍信号を用いて心拍パワースペクトルを生成することでノイズ部分を除去し、心拍パワースペクトルの中心となる周波数帯に対して逆フーリエ変換を行うことで心拍のタイミングを正確に検出する。これによって、心電図のデータを用いることなく、心拍のゆらぎ解析が可能となる。
図11に示す例では、制御部42は、心拍パワースペクトルの中心周波数fを算出し、0.5f~1.5fの範囲に対して逆フーリエ変換を行っている。逆フーリエ変換を行う範囲は、この例に限定されるものではなく、被験者によって適宜変更しても良い。
逆フーリエ変換によって得られた波形はスムーズな曲線となり、この曲線の正のピークを示す時間を検出し、ピーク間の間隔を心拍間隔として算出する。こうして求めた、1心拍ごとの心拍間隔から成る時系列波形を用いて、従来の心電図のRR間隔を用いた解析と同様に、高速フーリエ変換によるスペクトル解析を行うことが可能である。心拍変動はストレス負荷や自律神経活動に関連するとされており、図11に示すように、周波数分析により主に低周波成分(LF: Low Frequency、0.04~0.15Hz)と高周波成分(HF: High Frequency、0.15~0.5Hz)が確認できる。低周波成分は副交感神経活動よりも主に交感神経活動の影響を受け、精神的ストレスによって増加することが知られている。一方、高周波成分は呼吸の影響を受け、副交感神経活動と関係するとされている。また、LF/HFやL/(HF+LF)は交感神経活動の指標として利用されている。本実施の形態によれば、生体センサ2によって得られる心拍信号から心拍間隔を割り出し、心拍変動解析に応用することができる。
以上の通り、生体信号解析装置4は、非接触型の生体センサ2を用いて心拍の生体信号を簡易かつ精度良く解析し、心拍不整の定量的な評価を支援できる。
図12は、呼吸信号解析処理の流れを示すフローチャートである。生体信号解析装置4の入力部41は、生体センサ2から得られる電気信号に基づくデジタル信号を入力する(ステップS11)。生体信号解析装置4の制御部42は、ステップS11において入力されるデジタル信号に対してフィルタ処理を行い、呼吸信号を抽出し(ステップS12)、ステップS12において抽出される呼吸信号に対してノイズ低減処理を行い、解析に用いる呼吸信号(以下、「解析用呼吸信号」と表記する。)を生成する(ステップS13)。
図13は、呼吸信号解析処理におけるフィルタ処理及びノイズ低減処理を説明する図である。制御部42は、原波形に対して、0.1~0.7Hzの範囲内の周波数を通過帯域とする帯域通過フィルタを用いてフィルタ処理を行い、呼吸信号を抽出する。図13に示す例では、制御部42は、0.1~0.7Hzの周波数を通過帯域とする帯域通過フィルタを用いている。
次に、制御部42は、第1の所定時間間隔で呼吸信号の包絡線を算出し、その包絡線の対数値の波形から、第1の所定時間間隔よりも長い第2の所定時間間隔ごとの移動平均値を差し引いた波形(=正規化呼吸波形)を算出する。
第2の所定時間間隔ごとの移動平均値は、センサ信号の絶対振幅を反映しており、図13では途中で体位変換により信号全体が小さくなっている。正規化呼吸波形は、こうした体位変換による呼吸振幅の変化を正規化することができる。ただし、これだけではチェーンストークス型呼吸を呈する被験者においては、周期的呼吸の際の呼吸振幅が過大に補正されてしまうため、第1の所定時間間隔ごとの移動平均から第2の所定時間間隔ごとの移動平均を差し引いた波形で、さらに正規化呼吸波形を除し、これを補正呼吸信号とする。
尚、第1の所定時間間隔ごとの移動平均から第2の所定時間間隔ごとの移動平均を差し引いた波形の絶対値fの波形は、呼吸運動の振幅変化を表している。チェーンストークス型呼吸においては、周期的に振幅が変化しているのがわかる。そこで、この波形(以下、「CS呼吸波形」(=チェーンストークス型呼吸波形)と表記する。)について、正の部分はゼロ値とし、負の部分について無呼吸か否かの判定を行うために用いる。
図14は、補正呼吸信号、CS呼吸波形及び補正呼吸信号+CS呼吸波形とそれらのパワースペクトルを示す図である。成人においては、補正呼吸信号xのピーク周波数は0.2Hz付近、CS呼吸波形yのパワースペクトルのピーク周波数は0.05Hz以下の値を示すことが多く、補正呼吸信号xとCS呼吸波形yを加算した波形に対して周波数解析を行うことにより、図14に示すように、「呼吸の基本周波数」と「呼吸/無呼吸の周期的変動」がひとつのパワースペクトル上に表示される。こうして求めた補正呼吸信号x+CS呼吸波形yの波形を正規化呼吸波形に加算したものを解析用呼吸信号とし、呼吸解析にはこの信号を用いている。第1の所定時間間隔は500~2000msの範囲、第2の所定時間間隔は5~10sの範囲である。無呼吸の判定は、CS呼吸波形が負の値を示す部分について、(1)持続時間が10秒以上あり、(2)中心周波数が0.15~0.3Hzの範囲外、(3)全パワーがその前後よりも一定値以下(20~100分の1以下)、を満たすものとする。最終的に得られる解析用呼吸信号は、呼吸の周波数成分に加えて呼吸の振幅の変動が含まれる。
図12の説明に戻る。制御部42は、ステップS13において生成される解析用呼吸信号に対してフーリエ変換を行い、呼吸運動に関するパワースペクトル(以下、「呼吸パワースペクトル」と表記する。)を生成し(ステップS14)、ステップS14において生成される呼吸パワースペクトルのピークに基づいて、呼吸数を算出する(ステップS15)。
図15は、解析用呼吸信号と呼吸パワースペクトルを示す図である。上段は通常の規則正しい呼吸、下段はチェーンストークス型呼吸を示している。通常の規則正しい呼吸においては、0.15~0.3Hz付近に鋭いピークを持つ呼吸パワースペクトルが得られる。一方、30秒~2分を1周期として換気量が増減するチェーンストークス型呼吸においては、0.15~0.3Hz付近の小さなピークとともに、0.01~0.03Hz付近に大きなピークを持つ特徴的な呼吸パワースペクトルが得られる。前者の周波数は呼吸周波数、後者の周波数は呼吸振幅増減の周波数を示している。制御部42は、呼吸周波数を特定し、呼吸数=呼吸周波数×60(回/分)の式によって、呼吸数を算出する。
図16は、呼吸規則性の評価を説明する図である。図16では、比較的安定した呼吸の被験者と、就寝中チェーンストークス型呼吸が頻発する被験者に対して、就寝中連続して計測を行い、5分ごとの呼吸パワースペクトルを算出した時系列データを示している。上段は、横軸に周波数を取り、各経過時間における呼吸パワースペクトルの波形を3次元で連続的に図示している。黒く見える部分が呼吸パワースペクトルのピークを示している。下段は、ある経過時刻における呼吸パワースペクトルの波形を図示している。
比較的安定した呼吸の被験者は、0.2~0.3Hz付近にピークを持つ呼吸パワースペクトルが就寝中継続している。一方、チェーンストークス型呼吸が頻発する被験者は、呼吸/無呼吸の周波数である0.01Hz付近にピークを持つ呼吸パワースペクトルが優位になっている。このように、本実施の形態によって得られる呼吸パワースペクトルによって、呼吸規則性の評価が可能となる。
図12の説明に戻る。制御部42は、呼吸安定性を評価するための呼吸安定性評価指標として、呼吸リズムの尖度(RKurt)及び呼吸振幅不安定性指標(RAUSI:Respiratory Amplitude UnStability Index)を算出する(ステップS16)。
図17は、RKurt及びRAUSIを説明する図である。RKurtは、図17に示すように、補正呼吸信号の呼吸パワースペクトルによって特定される呼吸周波数の尖度として算出される。RAUSIは、補正呼吸信号の呼吸パワースペクトルに含まれる呼吸振幅の変動成分のうち、0.01~0.04Hzの周波数帯の総和(=図17に示す補正呼吸信号の呼吸パワースペクトルの曲線下の面積S)として算出される。
図18は、RKurt及びRAUSIの算出結果を示す図である。図18では、2人の被験者の就寝中におけるRKurt及びRAUSIの算出結果を示している。RKurtは、比較的安定した呼吸の被験者の方が、就寝中、無呼吸が頻発する被験者よりも大きい値を示している。RAUSIは、就寝中、無呼吸が頻発する被験者の方が、比較的安定した呼吸の被験者よりもはるかに大きい値を示している。
図12の説明に戻る。制御部42は、無呼吸・低呼吸の検出と、見かけの無呼吸・低呼吸指標(eAHI値:estimated Apnea-Hypopnea Index)を算出する(ステップS17)。
無呼吸の判定は、CS呼吸波形が負の値を示す部分について、(1)一定値以下(無呼吸閾値)で、(2)持続時間が10秒以上、を満たすものとする。eAHI値は、1時間あたりの無呼吸の回数を示す値として、睡眠中に1時間ごとの無呼吸数を計算し、その平均値として算出される。
図19は、無呼吸及び低呼吸の検出を示す図である。図19の上段は、ポリソムノグラフにおいて中枢性無呼吸と診断された患者の無呼吸と、補正呼吸信号及びCS呼吸波形を示す。低呼吸閾値及び無呼吸閾値よりもCS呼吸波形が小さくなる時間帯を無呼吸と判定している。下段は、閉塞性無呼吸の患者である。上段と同様に、低呼吸及び無呼吸を判定している。それぞれの患者において、ポリソムノグラフにより算出されたAHI値及び本発明により算出したeAHI値を示す。
図20は、無呼吸閾値及び低呼吸閾値を説明する図である。無呼吸判定のための無呼吸閾値は、被験者のボディマス指数に基づいて決定される。図20の左グラフは、無呼吸患者50名において、ボディマス指数と無呼吸検出のための至適閾値との関係を示す。ここで、低呼吸閾値は、0.23-0.23/(1+(23.3/BMI)^4.1)で計算される。無呼吸閾値は、低呼吸の閾値より0.2を差し引いた値である。図20の右グラフは、本発明によって求めたeAHI値とポリソムノグラフによって算出されたAHI値との相関を示す。比較的高い相関が得られている。
以上の通り、生体信号解析装置4は、非接触型の生体センサ2を用いて心拍の生体信号を簡易かつ精度良く解析し、心拍不整の定量的な評価を支援できるとともに、呼吸運動の生体信号を簡易かつ精度良く解析し、異常呼吸の定量的な評価を支援できる。
本実施の形態における生体信号解析装置4によれば、非接触型の生体センサ2によって得られる信号を解析することより、以下の評価を行うことができる。
<心拍の検出及び脈不整の評価>
不整脈の確定診断は心電図により行われるが、一過性の不整脈を検出するためにはホルター心電計を、場合によっては数日にわたって装着するなど、被験者にとっては必ずしも快適とは言えない。生体信号解析装置4は、心拍の規則性指標、例えば前述のHBRIを算出し、脈不整の定量的な評価を支援する情報を提供することができる。従って、普段の生活のまま心拍の規則性の評価に用いるデータを得ることができ、簡易的な不整脈のスクリーニングとして用いることができる。とりわけ、慢性不整脈で最も頻度の高い心房細動や発作性頻拍症、伝導障害においては、特徴的なパワースペクトルパターンを示し、早期発見が可能となる。また、既に確定診断がなされた不整脈患者の経過観察あるいは治療効果の確認にも応用できる。
<呼吸数及び呼吸リズム、無呼吸の評価>
現在市販あるいは報告されている非接触型の生体センサはいずれも呼吸運動の検出が可能ではあるものの、本実施の形態のように定量的な解析は行われていない。本実施の形態によれば、無呼吸やチェーンストークス型呼吸の検出が可能であり、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のスクリーニング検査として使用できる。また、前述の心拍信号の解析と組み合わせることで、SASと不整脈を同じ測定データで同時に評価することができる。
<心音解析>
前述の心拍信号には、心音に相当する波形成分が含まれており、I音、II音のほか、III音、IV音といった異常心音の検出が可能である。
<自律神経機能評価>
前述の心拍信号の解析によって得られた心拍間隔を用いて心拍間隔変動のスペクトル解析が可能である。通常、心拍間隔変動は心電図のRR間隔を用いて行われるが、心拍信号を用いることにより、簡易な自律神経機能評価が可能となる。
<睡眠状態の評価>
睡眠中の体動、心拍、呼吸の経時的変化を解析することにより、睡眠の質評価を行うことができる。
以上に説明してきた生体信号解析装置とともに用いるのに好適な生体センサについて説明する。図21に、生体センサ2の断面を模式的に示す。図21の左右方向が、生体センサ2の長辺方向であり、図21の上部側に被験者が臥床する。図21(a)は、外部から力が加えられていない状態であり、図21(b)は、中央部付近に上部から力が加えられた状態である。
振動伝達板であるポリカーボネート製プレート21の下側に、圧電フィルムであるPVDF製フィルム22が接着され、熱収縮チューブ23で覆われている。PVDF製フィルムは、簡単のため図示していないが、上下に電極が銀スクリーン印刷などで設けられており、応力による歪により、上下の電極間に電荷を発生する特性を持つ。ポリカーボネート製プレート21は、上部からの振動をPVDF製フィルム22に伝達する役割を果たす。ポリカーボネート製プレート21は、PVDF製フィルム22や熱収縮チューブ23よりも弾性率が高い。図21(b)に示すように、上部から力が加わると、図21の生体センサ2は、ポリカーボネート製プレート21を中心としてしなる。その結果、PVDF製フィルム22には、膜厚方向に圧縮応力が加わるとともに、長辺方向に大きな引張応力が加わり、PVDF製フィルム22が発生する電荷量が大きくなる。すなわち、応答速度が早く広い周波数特性を持つPVDF製フィルムを、高感度化している。
上述のように、本発明による生体信号解析処理では、ノイズ低減処理が行われるが、高度な解析を行うため、生体信号から得られる信号が十分に精度が高いことが望まれる。図21のような構造の生体センサ2を用いることで、信頼度の高い解析結果が得られる。
この生体センサ2は、被験者の上半身の下に配置することが望ましい。図1の説明では、厚さ1mm×縦25cm×横3cmを、ポリカーボネート製プレート21の寸法例として上げたが、例えば、横幅90cmのベッド用に、縦70cm×横4cmのポリカーボネート製プレート21のように、長い生体センサ2にすることもできる。このときのポリカーボネート製プレート21の厚さは、製造が容易で、局所的にではなく全体的にしなるような4mm程度にするのが良い。また、PVDF製フィルム22の寸法は、例えば、縦15cm×横2cmにして、ポリカーボネート製プレートの中央部に接着する。
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る生体信号解析装置等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1………生体信号解析システム
2………生体センサ
3………生体信号出力装置
4………生体信号解析装置
5………ベッド

Claims (17)

  1. 振動伝達板に接着された圧電フィルムを含む非接触型生体センサから得られる電気信号に基づくデジタル信号を入力する信号入力手段と、
    前記デジタル信号に対してフィルタ処理を行い、心拍信号を抽出する心拍信号抽出手段と、
    前記心拍信号に対してノイズ低減処理を行い、解析用心拍信号を生成する第1ノイズ低減手段と、
    前記解析用心拍信号に対してフーリエ変換を行い、心拍パワースペクトルを生成する第1パワースペクトル生成手段と、
    前記心拍パワースペクトルのピークに基づいて、心拍数を算出する心拍数算出手段と、
    を備え、
    前記第1ノイズ低減手段は、第1の所定時間間隔で前記心拍信号の分散値又は包絡線を算出し、前記分散値又は前記包絡線の対数値の波形から、前記第1の所定時間間隔よりも長い第2の所定時間間隔ごとの移動平均値を差し引いた波形を、前記解析用心拍信号とすることを特徴とする生体信号解析装置。
  2. 心拍の規則性を評価する指標である心拍規則性指標として、前記心拍パワースペクトルの尖度又は前記心拍パワースペクトルのピーク周波数における相対的振幅を算出する第1指標算出手段、
    を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の生体信号解析装置。
  3. 前記心拍パワースペクトルの一部の周波数帯に対して逆フーリエ変換を行い、心拍のゆらぎを示す波形を生成する波形生成手段、
    を更に備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の生体信号解析装置。
  4. 振動伝達板に接着された圧電フィルムを含む非接触型生体センサから得られる電気信号に基づくデジタル信号を入力する信号入力手段と、
    前記デジタル信号に対してフィルタ処理を行い、呼吸信号を抽出する呼吸信号抽出手段と、
    前記呼吸信号に対してノイズ低減処理を行い、解析用呼吸信号を生成する第2ノイズ低減手段と、
    前記解析用呼吸信号に対してフーリエ変換を行い、呼吸パワースペクトルを生成する第2パワースペクトル生成手段と、
    前記呼吸パワースペクトルのピークに基づいて、呼吸数を算出する呼吸数算出手段と、
    を備え、
    前記第2ノイズ低減手段は、第1の所定時間間隔で前記呼吸信号の包絡線を算出し、前記包絡線の対数値の波形から、前記第1の所定時間間隔よりも長い第2の所定時間間隔ごとの移動平均値を差し引いた波形に基づいて前記解析用呼吸信号を生成することを特徴とする生体信号解析装置。
  5. 呼吸安定性を評価する指標である呼吸安定性指標として、前記呼吸パワースペクトルによって特定される呼吸周波数の尖度、又は前記呼吸パワースペクトルに含まれる呼吸振幅の変動成分のうち所定の周波数帯の総和を算出する第2指標算出手段、
    を更に備えることを特徴とする請求項4に記載の生体信号解析装置。
  6. 前記呼吸信号の包絡線を算出し、前記包絡線に基づく波形から低呼吸及び無呼吸を検出するとともに、見かけの低呼吸・無呼吸指標を算出する第3指標算出手段、
    を更に備えることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の生体信号解析装置。
  7. コンピュータが、
    振動伝達板に接着された圧電フィルムを含む非接触型生体センサから得られる電気信号に基づくデジタル信号を入力する信号入力ステップと、
    前記デジタル信号に対してフィルタ処理を行い、心拍信号を抽出する心拍信号抽出ステップと、
    前記心拍信号に対してノイズ低減処理を行い、解析用心拍信号を生成する第1ノイズ低減ステップと、
    前記解析用心拍信号に対してフーリエ変換を行い、心拍パワースペクトルを生成する第1パワースペクトル生成ステップと、
    前記心拍パワースペクトルのピークに基づいて、心拍数を算出する心拍数算出ステップと、
    を実行し、
    前記第1ノイズ低減ステップは、第1の所定時間間隔で前記心拍信号の分散値又は包絡線を算出し、前記分散値又は前記包絡線の対数値の波形から、前記第1の所定時間間隔よりも長い第2の所定時間間隔ごとの移動平均値を差し引いた波形を、前記解析用心拍信号とすることを特徴とする生体信号解析方法。
  8. コンピュータが、
    振動伝達板に接着された圧電フィルムを含む非接触型生体センサから得られる電気信号に基づくデジタル信号を入力する信号入力ステップと、
    前記デジタル信号に対してフィルタ処理を行い、呼吸信号を抽出する呼吸信号抽出ステップと、
    前記呼吸信号に対してノイズ低減処理を行い、解析用呼吸信号を生成する第2ノイズ低減ステップと、
    前記解析用呼吸信号に対してフーリエ変換を行い、呼吸パワースペクトルを生成する第2パワースペクトル生成ステップと、
    前記呼吸パワースペクトルのピークに基づいて、呼吸数を算出する呼吸数算出ステップと、
    を実行し、
    前記第2ノイズ低減ステップは、第1の所定時間間隔で前記呼吸信号の包絡線を算出し、前記包絡線の対数値の波形から、前記第1の所定時間間隔よりも長い第2の所定時間間隔ごとの移動平均値を差し引いた波形に基づいて前記解析用呼吸信号を生成することを特徴とする生体信号解析方法。
  9. 振動伝達板と、前記振動伝達板に接着された圧電フィルムを含む非接触型生体センサと、
    前記非接触型生体センサから得られる電気信号に基づくデジタル信号を入力する信号入力手段と、前記デジタル信号に対してフィルタ処理を行い、心拍信号を抽出する心拍信号抽出手段と、前記心拍信号に対してノイズ低減処理を行い、解析用心拍信号を生成する第1ノイズ低減手段と、前記解析用心拍信号に対してフーリエ変換を行い、心拍パワースペクトルを生成する第1パワースペクトル生成手段と、前記心拍パワースペクトルのピークに基づいて、心拍数を算出する心拍数算出手段と、を備える生体信号解析装置と、
    を含み、
    前記第1ノイズ低減手段は、第1の所定時間間隔で前記心拍信号の分散値又は包絡線を算出し、前記分散値又は前記包絡線の対数値の波形から、前記第1の所定時間間隔よりも長い第2の所定時間間隔ごとの移動平均値を差し引いた波形を、前記解析用心拍信号とすることを特徴とする生体信号解析システム。
  10. 前記振動伝達板は、前記圧電フィルムよりも弾性率が高いことを特徴とする請求項9に記載の生体信号解析システム。
  11. 前記圧電フィルムは、ポリフッ化ビニリデン製であることを特徴とする請求項9に記載の生体信号解析システム。
  12. 前記振動伝達板は、ポリカーボネート製であることを特徴とする請求項9に記載の生体信号解析システム。
  13. 前記生体信号解析装置は、心拍の規則性を評価する指標である心拍規則性指標として、前記心拍パワースペクトルの尖度又は前記心拍パワースペクトルのピーク周波数における相対的振幅を算出する第1指標算出手段、を更に備えることを特徴とする請求項9乃至請求項12のいずれかに記載の生体信号解析システム。
  14. 前記生体信号解析装置は、前記心拍パワースペクトルの一部の周波数帯に対して逆フーリエ変換を行い、心拍のゆらぎを示す波形を生成する波形生成手段、を更に備えることを特徴とする請求項9乃至請求項13のいずれかに記載の生体信号解析システム。
  15. 振動伝達板と、前記振動伝達板に接着された圧電フィルムを含む非接触型生体センサと、
    前記非接触型生体センサから得られる電気信号に基づくデジタル信号を入力する信号入力手段と、前記デジタル信号に対してフィルタ処理を行い、呼吸信号を抽出する呼吸信号抽出手段と、前記呼吸信号に対してノイズ低減処理を行い、解析用呼吸信号を生成する第2ノイズ低減手段と、前記解析用呼吸信号に対してフーリエ変換を行い、呼吸パワースペクトルを生成する第2パワースペクトル生成手段と、前記呼吸パワースペクトルのピークに基づいて、呼吸数を算出する呼吸数算出手段と、を備える生体信号解析装置と、
    を含み、
    前記第2ノイズ低減手段は、第1の所定時間間隔で前記呼吸信号の包絡線を算出し、前記包絡線の対数値の波形から、前記第1の所定時間間隔よりも長い第2の所定時間間隔ごとの移動平均値を差し引いた波形に基づいて前記解析用呼吸信号を生成することを特徴とする生体信号解析システム。
  16. 前記生体信号解析装置は、呼吸安定性を評価する指標である呼吸安定性指標として、前記呼吸パワースペクトルによって特定される呼吸周波数の尖度、又は前記呼吸パワースペクトルに含まれる呼吸振幅の変動成分のうち所定の周波数帯の総和を算出する第2指標算出手段、を更に備えることを特徴とする請求項15に記載の生体信号解析システム。
  17. 前記生体信号解析装置は、前記呼吸信号の包絡線を算出し、前記包絡線に基づく波形から低呼吸及び無呼吸を検出するとともに、見かけの低呼吸・無呼吸指標を算出する第3指標算出手段、を更に備えることを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の生体信号解析システム。
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