JP7017935B2 - スライディングノズル装置用のプレート - Google Patents
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Description
この面圧に関しては,例えば特許文献1に,プレートれんが裏面及びプレートれんがを装着する金枠のわずかな凸凹を吸収してより密着性を良くすることなどのために,裏面クッション材(クッション材+金属製薄板又は多層式金属製薄板も含む)をプレート外形以上の大きさ,すなわちプレート背面全体に取り付けることが示されている。
この摺動面間への地金差しは,内孔エッジ部の膨れないしは欠け,摺動面の摩耗・化学的侵蝕・酸化等に起因した損傷による摺動面間での隙間発生が原因として指摘されている。
特許文献3には,窒化珪素鉄0.1~50wt%、残部が耐火材料及び炭素材料を主材とした配合物を成形したプレート耐火物が提案されている。この窒化珪素鉄により,プレートの耐酸化性を向上させ,酸化による摺動面の損傷を軽減することができるとされている。
このずれ防止対策として,特許文献4にはプレート背面側の吐出口(本発明でいう「内孔」に相当。)の近傍に,吐出口と同心円の凸状部を形成して,フレーム(本発明でいう「金枠」に相当。)に形成した凹部に嵌合させてセンタ合わせを行う(すなわち正確な位置に設置する)ことが示されている。
なお,この特許文献4の凸状部はリブを折り曲げて形成したもので,前記縦方向(面圧付加側)には圧力(面圧)を及ぼすものではない。
1.
摺動面に対し反対側の面(以下「背面」という。)の,プレート摺動方向が短尺側端部を起点とする前記短尺側端部から内孔中心までの長さの2倍の長尺側位置までの範囲内である内孔周囲のダボ部近傍の一部又は全部の領域に,当該背面の他の平面部よりもプレートの厚さ方向に突出するように,シート状の耐熱材料が設置されているか,又は,当該プレート本体の厚さが他の領域より厚い領域を備えており,
前記のシート状の耐熱材料が設置されているか,又は,当該プレート本体の厚さが他の領域より厚い領域は,前記プレートの背面側を固定するスライディングノズル装置の金枠の少なくとも一部に接触しており,前記のシート状の耐熱材料が設置されているか,又は,当該プレート本体の厚さが他の領域より厚い領域に,前記金枠との間の,前記摺動面に垂直な方向の圧着力が前記の他の領域よりも強く伝達される,スライディングノズル装置用のプレート。
2.
前記プレートは,スライディングノズル装置の溶鋼容器側の固定金枠に接して装着される上プレート,及び下方のスライド金枠に接して装着される下プレートのいずれか一方又は両方である,前記1に記載のスライディングノズル装置用プレート。
3.
前記のシート状の耐熱材料は,繊維状の無機質材料を成形したシート及び板状の金属質材料のいずれか又はこれらの複層構造物である,前記1又は前記2のいずれかに記載のスライディングノズル装置用のプレート。
4.
前記の他の領域より厚いプレート本体の厚さ,又はシート状の耐熱材料の,前記の他の領域よりも前記プレートの厚さ方向に突出する厚さは,0.1mm以上1.6mm以下である,前記1から前記3のいずれかに記載のスライディングノズル装置用プレート。
5.
前記のシート状の耐熱材料は,繊維状の無機質材料を成形したシート及び板状の金属質材料のいずれか又はこれらの複層構造物である他のシート状の耐熱材料の表面に重ねて設置されている,前記1から前記4のいずれかに記載のスライディングノズル装置用プレート。
前述の通りプレートの摺動面間には,摺動面に対して垂直方向の圧力,いわゆる面圧を付加した状態で使用される。しかし,一般にプレートの背面には亀裂防止等の目的からこの面圧を分散させるようにクッション材や鉄板等を設置することが多く,また熱間での使用中にはこれらのクッション材や鉄板等が収縮し,変形する等のさまざまな要因により,面圧付加方向の寸法変動が生じ易く,これもプレートの長手方向の反りの一因となる。
さらに,前記のシート状の耐熱材料が設置されているか,又は,当該プレート本体の厚さが他の領域より厚い領域は,上プレートの背面側を固定するスライディングノズル装置の上方の固定金枠,及び下プレートの背面側を固定する下方のスライド金枠のいずれか一方又は両方の少なくとも一部に接触している。このように接触することで,前記摺動面に垂直な方向のプレートの背面側のシート状の耐熱材料面又はプレート本体の厚さが他の領域より厚い面と前記金枠との間の隙間を形成しないようにし,又は圧着力を前記ダボ部近傍以外の領域よりも強く伝達する。
例えば,(1)摺動方向に直角方向,すなわち内孔中心をプレート幅方向に通過する仮想線上のプレート両端部付近にのみ対称(2箇所)に設置してもよい(図1C参照)。また,(2)内孔中心をプレート摺動方向に通過する仮想線上のプレート両端部付近にのみ対称(2箇所)に設置してもよい(図1D参照)。
その他この領域は,(3)ダボ部周囲のリング状の領域(図1E,図7参照),(4)プレートの幅方向端部の外形に合わせて,少なくとも内孔幅をプレート幅方向に覆う領域(図1C参照),又は(5)前記のダボ部近傍の全領域(図1A(a)の斜線部分)とすることができる。
内孔付近に亀裂が生じやすい条件等の場合には,面圧を内孔付近に集中的に作用させつつも局部に集中することを避けて,より均等に分散させるために,前記(4)又は(5)の領域を選択することが好ましい。
この場合,この本体の厚さが他の領域よりも厚い領域には,シート状の耐熱材料又はセラミックシート(他のシート状の耐熱材料)をさらに貼付してもよいが,貼付しなくてもよい。面圧付加時の応力分散効果ないし亀裂抑制のためには,さらにこれらシートを1層以上貼付することが好ましい。
なお,この第2の手段としての当該プレート本体の厚さを他の領域より厚くするには,プレートを成形する際に,厚さに応じて金型の成形面の高さを変える,成形後に加工する,等の方法を採ることができる。
すなわち,一の個々のプレートの変形やセット状態がそれぞれ異なっていて,撓み程度も異なる場合には,他のプレートで増厚(突出する厚さ)の程度を調整することで,プレート間に隙間が発生することを抑制ないしは防止することが可能となる。
また,シート状の耐熱材料等の可縮性の大きさに応じて,厚くする領域の増厚程度を調整する,すなわち可縮性が大きい程増厚程度を大きくしてもよい。
実験例Aは,従来技術すなわち本発明の「シート状の耐熱材料」を設置していない状態のプレート摺動面間の隙間に関する状態を,摺動面間にかかる圧力の違いにより観察した実験例である。
プレートの形状は,長辺(摺動方向の長さ):約414mm,短辺(長辺に垂直方向(幅方向)の長さ):約209mm,平面部の厚さ:約35mm(上下プレート),約40mm(中プレート),内孔径:75mmφ,プレートの材質は,Al2O3が約75質量%,ZrO2が約10質量%,炭素が約5質量%の耐火物を選択し,その物性は,音速弾性率40GPa,室温曲げ強さ13MPaである。プレート固定はエッジ四隅からの押さえ金物と固定ボルトによる固定で締付けトルク20N・mとし,面圧は総荷重6tf弱まで段階的に付加した。
実験例Bは,本発明の「シート状の断熱材料」を上下両方のプレートのダボ部周囲に設置したときの摺動面間の圧力への効果を観察した例である。実験には,図7にイメージを示すように,上下2枚のプレートから構成される実際のスライディングノズル装置を用い,プレート摺動面間に感圧紙を設置して一定面圧(6tf)を付加し,加圧状態を比較した。
形状等の実験条件は,実験例Aと同様である。
実施例2は,実施例1と同じ構造,領域に,「シート状の断熱材料」としての0.5mm厚さの鉄板を設置した例である(図7(a)参照)。
いずれの例も内孔付近に近づくほど圧力が低くなる傾向を示したが,実施例が比較例よりも全体的に色が濃く,内孔付近では色が薄い部分の領域が狭く,かつ色が濃い傾向になっていると共に内孔の輪郭も観察することができる。また実施例2が実施例1よりもさらに色が濃くなっていて,すなわち圧力がより高くなっていたことがわかる。この結果から,実施例1,実施例2共に内孔周辺すなわちダボ部近傍には比較例よりも高い圧力がかかっており,かつ,隙間がなかったことがわかる。
実験例Cは,実操業において,前述実験例Bの比較例1,実施例1(上下両方のプレートに0.24mm(合計して0.48mm)の鉄板),実施例2(上下両方のプレートに0.5mm(合計して1mm)の鉄板),並びに鉄板の厚さを変えた実施例3(上下両方のプレートに0.1mm(合計して0.2mm)の鉄板),実施例4(上下両方のプレートに0.8mm(合計して1.6mm)の鉄板),実施例5(上下一方のプレートにのみ0.1mmの鉄板)をダボ部周囲に設置したときの摺動面間への地金差し抑制効果を観察した例である。
形状等の実験条件は,実験例A,Bと同様である。
実施例1,実施例2,実施例3,実施例4,実施例5はいずれも地金差しがなく,またプレートに顕著な又は特異な損傷も生じなかった。
比較例1では摺動面間のダボ周辺の一部に地金が侵入した。
2a 凸状部(ダボ部の一部)
2b 凸状部に嵌合する上ノズル,下ノズル等の他のノズルがプレートの背面に接する部分(ダボ部の一部)
3 シート状の耐熱材料
4 セラミックシート(他のシート状の耐熱材料)
5 鉄板(他のシート状の耐熱材料)
6 フープ
10 固定金枠
11 スライド金枠
12 プレート本体
Claims (5)
- 摺動面に対し反対側の面(以下「背面」という。)の,プレート摺動方向が短尺側端部を起点とする前記短尺側端部から内孔中心までの長さの2倍の長尺側位置までの範囲内である内孔周囲のダボ部近傍の一部又は全部の領域に,当該背面の他の領域よりもプレートの厚さ方向に突出するように,シート状の耐熱材料が設置されているか,又は,当該プレート本体の厚さが他の領域より厚い領域を備えており,
前記のシート状の耐熱材料が設置されているか,又は,当該プレート本体の厚さが他の領域より厚い領域は,前記プレートの背面側を固定するスライディングノズル装置の金枠の少なくとも一部に接触しており,前記のシート状の耐熱材料が設置されているか,又は,当該プレート本体の厚さが他の領域より厚い領域に,前記金枠との間の,前記摺動面に垂直な方向の圧着力が前記の他の領域よりも強く伝達される,スライディングノズル装置用のプレート。 - 前記プレートは,スライディングノズル装置の溶鋼容器側の固定金枠に接して装着される上プレート,及び下方のスライド金枠に接して装着される下プレートのいずれか一方又は両方である,請求項1に記載のスライディングノズル装置用プレート。
- 前記のシート状の耐熱材料は,繊維状の無機質材料を成形したシート及び板状の金属質材料のいずれか又はこれらの複層構造物である,請求項1又は請求項2のいずれかに記載のスライディングノズル装置用のプレート。
- 前記の他の領域より厚いプレート本体の厚さ,又はシート状の耐熱材料の,前記の他の領域よりも前記プレートの厚さ方向に突出する厚さは,0.1mm以上1.6mm以下である,請求項1から請求項3のいずれかに記載のスライディングノズル装置用プレート。
- 前記のシート状の耐熱材料は,繊維状の無機質材料を成形したシート及び板状の金属質材料のいずれか又はこれらの複層構造物である他のシート状の耐熱材料の表面に重ねて設置されている,請求項1から請求項4のいずれかに記載のスライディングノズル装置用プレート。
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