JP7016323B2 - Pd-l1結合ポリペプチドを用いるpet造影 - Google Patents

Pd-l1結合ポリペプチドを用いるpet造影 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2016年6月1日出願の米国仮出願62/344,258に基づく優先権を主張する。前記出願の内容を、引用により本明細書に包含させる。
背景
計画細胞死リガンド-1(PD-L1)は、活性化TおよびB細胞により発現され、免疫抑制を仲介する重要な免疫チェックポイント受容体であるPD-1の表面糖タンパク質リガンドであり、抗原提示細胞およびヒト癌の両者で見られ、PD-1への結合によりT細胞活性化およびサイトカイン分泌を下方制御する(Freeman et al., 2000; Latchman et al, 2001)。PD-L1/PD-1相互作用の阻害は、前臨床モデルで強力な抗腫瘍活性を可能とし、この相互作用を妨害する抗体が、癌処置に関する治験に入っている(米国特許8,008,449および7,943,743;Brahmer et al., 2010; Topalian et al., 2012b; Brahmer et al., 2012; Flies et al., 2011; Pardoll, 2012; Hamid and Carvajal, 2013)。
PETまたは陽電子放出断層撮影は、体内の種々の分子過程のまたは疾患病理に関連するタンパク質の位置の三次元画像を取得する非侵襲的核医学技術である。この方法は、体内に導入された生物学的活性分子のポジトロン放出放射性核種(トレーサー)により間接的に放出されるガンマ線の対を検出する。PET造影ツールは、医薬品開発で広範な用途を有し、同じツールが前臨床および臨床の両段階で使用し得るという、特有のトランスレーショナル医療上の利点を有する。その例は、インビボ標的の飽和化;毒性または患者間変動予測のための、正常組織取り込み追跡;罹病組織の定量化;腫瘍転移;経時的薬効または経時的耐性追跡などの直接的可視化を含む。
本明細書で説明するのは、例えば、陽電子放出断層撮影において、診断/造影剤としての使用に適する新規抗PD-L1アドネクチンである。
概要
本発明は、少なくとも一部、例えば、陽電子放出断層撮影において、診断/造影剤として有用である新規抗ヒトPD-L1アドネクチンおよびその対象への投与方法の発見に基づく。これらの薬剤は、例えば、PD-L1発現細胞と非PD-L1発現細胞、例えば、腫瘍細胞または腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)の区別およびPD-L1発現組織と非PD-L1発現組織、例えば、癌組織の区別に有用である。
ある態様において、ここに提供されるのは、フィブロネクチンIII型第10ドメイン(10Fn3)を含むポリペプチドであり、ここで、(a)10Fn3ドメインはAB、BC、CD、DE、EFおよびFGループを含み、(b)該10Fn3は、ヒト10Fn3ドメイン(配列番号1)の対応するループの配列と比較して改変されたアミノ酸配列を有するループBC、DEおよびFGから選択される少なくとも1つのループを有し、そして(c)該ポリペプチドはPD-L1に特異的に結合する。ある実施態様において、このポリペプチドはPD-L1に500mMまたはそれ未満、例えば、100mMまたはそれ未満のKで結合する。
ある実施態様において、10Fn3ドメインは、次のアミノ酸配列からなるBC、DEおよびFGループを含む。
(1)それぞれ配列番号6、7および8;
(2)それぞれ配列番号21、22および23;
(3)それぞれ配列番号36、37および38;
(4)それぞれ配列番号51、52および53;
(5)それぞれ配列番号66、67および68;
(6)それぞれ配列番号81、82および83;
(7)それぞれ配列番号97、98および99;
(8)それぞれ配列番号113、114および115;
(9)それぞれ配列番号124、125および126;
(10)それぞれ配列番号135、136および137;
(11)それぞれ配列番号146、147および148;
(12)それぞれ配列番号157、158および159;
(13)それぞれ配列番号168、169および170;
(14)それぞれ配列番号179、180および181;
(15)それぞれ配列番号190、191および192;
(16)それぞれ配列番号201、202および203;
(17)それぞれ配列番号212、213および214;
(18)それぞれ配列番号223、224および225;
(19)それぞれ配列番号234、235および236;
(20)それぞれ配列番号245、246および247;
(21)それぞれ配列番号256、257および258;
(22)それぞれ配列番号267、268および269;
(23)それぞれ配列番号278、279および280;
(24)それぞれ配列番号289、290および291;
(25)それぞれ配列番号300、301および302;
(26)それぞれ配列番号311、312および313;
(27)それぞれ配列番号322、323および324;
(28)それぞれ配列番号333、334および335;
(29)それぞれ配列番号344、345および346;
(30)それぞれ配列番号355、356および357;
(31)それぞれ配列番号366、367および368;
(32)それぞれ配列番号377、378および379;
(33)それぞれ配列番号388、389および390;
(34)それぞれ配列番号399、400および401;
(35)それぞれ配列番号410、411および412;
(36)それぞれ配列番号421、422および423;
(37)それぞれ配列番号432、433および434;
(38)それぞれ配列番号443、444および445;
(39)それぞれ配列番号454、455および456;
(40)それぞれ配列番号465、466および467;
(41)それぞれ配列番号476、477および478;
(42)それぞれ配列番号487、488および489;
(43)それぞれ配列番号498、499および500;
(44)それぞれ配列番号509、510および511;
(45)それぞれ配列番号520、521および522;
(46)それぞれ配列番号531、530および531;
(47)それぞれ配列番号542、543および544;
(48)それぞれ配列番号553、554および555;または
(49)それぞれ配列番号564、565および566。
ある実施態様において、ポリペプチドは、表3に示す配列、例えば、配列番号5、20、35、50、65、80,96、112、123、134、145、156、167、178、189、200、211、222、233、244、255、266、277、288、299、310、321、332、343、354、365、376、387、398、409、420、431、442、453、464、475、486、497、508、519、530、541、552および563の何れかと少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、ポリペプチドは、配列番号5、20、35、50、65、80、96、112、123、134、145、156、167、178、189、200、211、222、233、244、255、266、277、288、299、310、321、332、343、354、365、376、387、398、409、420、431、442、453、464、475、486、497、508、519、530、541、552または563の非BC、DEおよびFGループ領域と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、ポリペプチドは、配列番号9~15、24~30、39~45、54~60、69~75、84~91、100~107、116~122、127~133、138~144、150~155、160~166、171~177、182~188、193~199、204~210、215~221、227~232、237~243、248~254、259~265、271~276、291~287、292~298、303~309、314~320、325~331、337~342、347~353、358~364、369~375、380~386、391~397、402~408、413~419、424~430、435~441、446~452、457~463、468~474、479~485、490~496、501~507、512~518、523~529、534~540、545~551および556~562からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、ポリペプチドは、配列番号9~15、24~30、39~45、54~60、69~75、84~91、100~107、116~122、127~133、138~144、150~155、160~166、171~177、182~188、193~199、204~210、215~221、227~232、237~243、248~254、259~265、271~276、291~287、292~298、303~309、314~320、325~331、337~342、347~353、358~364、369~375、380~386、391~397、402~408、413~419、424~430、435~441、446~452、457~463、468~474、479~485、490~496、501~507、512~518、523~529、534~540、545~551および556~562からなる群から選択されるアミノ酸配列の非BC、DEおよびFGループ領域と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、ポリペプチドは配列番号574~583からなる群から選択されるN末端リーダーおよび/または配列番号584~618からなる群から選択されるC末端テイルまたはPを含み、ここで、Pはプロリンであり、mは少なくとも0である整数(例えば、0、1または2)であり、nは少なくとも1である整数(例えば、1または2)である。
ある実施態様において、ポリペプチドは、ポリエチレングリコール、シアル酸、Fc、Fcフラグメント、トランスフェリン、血清アルブミン、血清アルブミン結合タンパク質および血清免疫グロブリン結合タンパク質からなる群から選択される1以上の薬物動態(PK)部分を含む。ある実施態様において、PK部分とポリペプチドは、少なくとも1つのジスルフィド結合、ペプチド結合、ポリペプチド、重合糖またはポリエチレングリコール部分を介して結合される。ある実施態様において、PK部分とポリペプチドは、配列番号629~678からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するリンカーを介して結合される。
ここに提供されるのは、ここに記載する、ポリペプチドをコードする核酸、ならびに核酸を含むベクターおよび細胞である。ある実施態様において、核酸は、配列番号16~19、31~34、46~49、61~64、76~79、92~95および108~111からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む。
ここに提供されるのは、ここに記載するポリペプチドおよび担体を含む組成物である。例えば、ここに記載する組成物は、配列番号5、9~15、20、24~30、35、39~45、50、54~60、65、69~75、80、84~91、96、100~107、112、116~122、123、127~133、134、138~144、145、150~155、156、160~166、167、171~177、178、182~188、189、193~199、200、204~210、211、215~221、222、227~232、233、237~243、244、248~254、255、259~265、266、271~276、277、291~287、288、292~298、299、303~309、310、314~320、321、325~331、332、337~342、343、347~353、354、358~364、365、369~375、376、380~386、387、391~397、398、402~408、409、413~419、420、424~430、431、435~441、442、446~452、453、457~463、464、468~474、475、479~485、486、490~496、497、501~507、508、512~518、519、523~529、530、534~540、541、545~551、552および556~562からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドおよび担体を含む。
ここに提供されるのは、ここに記載するポリペプチドを含む造影剤である。ある実施態様において、造影剤は、配列番号5、9~15、20、24~30、35、39~45、50、54~60、65、69~75、80、84~91、96、100~107、112、116~122、123、127~133、134、138~144、145、150~155、156、160~166、167、171~177、178、182~188、189、193~199、200、204~210、211、215~221、222、227~232、233、237~243、244、248~254、255、259~265、266、271~276、277、291~287、288、292~298、299、303~309、310、314~320、321、325~331、332、337~342、343、347~353、354、358~364、365、369~375、376、380~386、387、391~397、398、402~408、409、413~419、420、424~430、431、435~441、442、446~452、453、457~463、464、468~474、475、479~485、486、490~496、497、501~507、508、512~518、519、523~529、530、534~540、541、545~551、552および556~562からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
ある実施態様において、造影剤は、検出可能標識を含む。ある実施態様において、造影剤は、ここに記載するポリペプチド、キレート剤および検出可能標識を含む。ある実施態様において、造影剤はここに記載するポリペプチド、二機能性キレーターまたは接合(BFC)部分および検出可能標識を含む。ある実施態様において、検出可能標識は、放射性核種を含む補欠分子族である。ある実施態様において、検出可能標識は、陽電子放出断層撮影により検出可能である。
ある実施態様において、キレート剤および/または二機能性キレーターまたは接合(BFC)部分は、DFO、DOTA、CB-DO2A、3p-C-DEPA、TCMC、DBCO、DIBO、BARAC、DIMAC、Oxo-DO3A、TE2A、CB-TE2A、CB-TE1A1P、CB-TE2P、MM-TE2A、DM-TE2A、diamsar、NODASA、NODAGA、NOTA、NETA、TACN-TM、DTPA、1B4M-DTPA、CHX-A’’-DTPA、TRAP、NOPO、AAZTA、DATA、Hdedpa、Hoctapa、Hazapa、Hdecapa、Hphospa、HBED、SHBED、BPCA、CP256、PCTA、HEHA、PEPA、EDTA、TETAおよびTRITAからなる群から選択される。
ある実施態様において、検出可能標識は、放射性核種、例えば、64Cu、124I、76/77Br、86Y、89Zr、68Ga、18F、11C、125I、124I、131I、123I、131I、123I、32Cl、33Cl、34Cl、68Ga、74Br、75Br、76Br、77Br、78Br、89Zr、186Re、188Re、90Y、177Lu、99Tcまたは153Smである。
ある実施態様において、キレート剤はNODAGAであり、放射性核種は64Cuである。ある実施態様において、造影剤は抗PD-L1ポリペプチド(例えば、ここに記載する抗PD-L1アドネクチン、例えば、配列番号80または96に示すアミノ酸配列を含む抗PD-L1アドネクチン)、キレート剤NODAGAおよび放射性核種64Cuを含む。
ある実施態様において、造影剤は、抗PD-L1ポリペプチド(例えば、ここに記載する抗PD-L1アドネクチン、例えば、配列番号80または96に示すアミノ酸配列を含む抗PD-L1アドネクチン)、二機能性キレーターまたは接合(BFC)部分および放射性核種18Fを含む補欠分子族を含む。ある実施態様において、造影剤は、次の構造
Figure 0007016323000001
を有するかまたはその薬学的に許容される塩である。
ある実施態様において、造影剤は、次の構造
Figure 0007016323000002
を有する。
ある実施態様において、BFCは、タンパク質のアミン、カルボキシル、カルボニルまたはチオール官能基と共有結合を形成する反応性基を含むシクロオクチンである。ある実施態様において、シクロオクチンは、ジベンゾシクロオクチン(DIBO)、ビアリールアザシクロオクチノン(BARAC)、ジメトキシアザシクロオクチン(DIMAC)およびジベンゾシクロオクチン(DBCO)からなる群から選択される。ある実施態様において、シクロオクチンはDBCOである。
ある実施態様において、BFCはDBCO-PEG4-NHS-エステル、DBCO-スルホ-NHS-エステル、DBCO-PEG4-酸、DBCO-PEG4-アミンまたはDBCO-PEG4-マレイミドである。ある実施態様において、BFCはDBCO-PEG4-マレイミドである。
ある実施態様において、造影剤は次の構造を有する。
Figure 0007016323000003

ここで、Xは配列番号13、28、43、58、73、88、104、120、131、142、153、164、175、186、197、208、219、230、241、252、263、274、285、296、307、318、329、340、351、362、373、384、395、406、417、428、439、450、461、472、483、494、505、516、527、538、549、560および571の何れかのアミノ酸配列を含むポリペプチドである。ある実施態様において、ポリペプチドは、配列番号88に示すアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、ポリペプチドは、配列番号104に示すアミノ酸配列を含む。
ここに提供されるのは、ここに記載する抗PD-L1アドネクチン組成物および/または造影剤および使用指示を含むキットである。
ここに提供されるのは、サンプルにおけるPD-L1を検出する方法であって、方法は、サンプルと抗PD-L1アドネクチンを接触させ、PD-L1を検出することを含む。
ここに提供されるのは、対象に抗PD-L1アドネクチンを含む造影剤を投与し、造影剤を検出することを含み、検出された造影剤が対象におけるPD-L1陽性細胞の位置を規定する、対象におけるPD-L1陽性細胞を検出する方法である。
ここに提供されるのは、対象に抗PD-L1アドネクチンを含む造影剤を投与し、造影剤を検出することを含み、検出された造影剤が対象における腫瘍の位置を規定する、対象におけるPD-L1発現腫瘍を検出する方法である。ある実施態様において、造影剤は陽電子放出断層撮影により検出される。
ここに提供されるのは、抗PD-L1アドネクチンを含む造影剤の画像を得る方法であって、
a)対象に造影剤を投与し;そして
b)陽電子放出断層撮影により造影剤の分布をインビボで造影する
ことを含む、方法である。
ここに提供されるのは、PD-L1を発現する組織または細胞の定量的画像を得る方法てあって、方法は、細胞または組織と抗PD-L1アドネクチンを含む造影剤を接触させ、陽電子放出断層撮影を使用してPD-L1発現組織を検出または定量することを含む。
ここに提供されるのは、造影有効量の抗PD-L1アドネクチンを含む造影剤をPD-L1発現腫瘍を有する対象に投与し、該造影剤の腫瘍における放射線放出を陽電子放出断層撮影を使用して検出することを含む、PD-L1発現腫瘍を検出する方法であって、ここで、放射線放出が腫瘍において検出される。
ここに提供されるのは、対象におけるPD-L1発現腫瘍の存在を診断する方法であって、方法は、
(a)それを必要とする対象に抗PD-L1アドネクチンを含む造影剤を投与し;そして
(b)造影剤の存在または非存在を検出するために、対象の少なくとも一部の放射線画像を得る;
ことを含み、ここで、背景を超える造影剤の存在および位置が、対象におけるPD-L1発現腫瘍の存在および位置の指標である。
ここに提供されるのは、癌を有する対象を処置する方法であって、
(a)それを必要とする対象に抗PD-L1アドネクチンを含む造影剤を投与し、そして1っ以上の腫瘍におけるPD-L1の存在を決定するために対象の少なくとも一部の画像を得て;そして、PD-L1が1っ以上の腫瘍で検出されたならば、
(b)対象に抗腫瘍治療、例えば、PD-1とPD-L1の相互作用を阻害する薬剤(PD-1またはPD-L1アンタゴニスト)を投与する
ことを含む、方法である。
ここに提供されるのは、対象におけるPD-L1発現腫瘍に対する抗腫瘍治療の進行をモニタリングする方法であって、
(a)それを必要とする対象に、第一の時点で抗PD-L1アドネクチンを含む造影剤を投与し、腫瘍のサイズを決定するために対象の少なくとも一部の画像を得て;
(b)対象に抗腫瘍治療剤を投与し;
(c)対象に造影剤をその後1以上の時点で投与し、各時点で対象の少なくとも一部の画像を得ることを含み;ここで、各時点の腫瘍の寸法および位置が、疾患進行の指標である、
方法である。
ここに記載する例示抗PD-L1アドネクチンのコアアミノ酸配列の模式図である。BC、DEおよびFGループに下線を付す。野生型(WT)(配列番号2)、ATI-968(配列番号5)、ATI-964(配列番号20)、ATI-967(配列番号65)、A02(配列番号80)、E01(配列番号96)、ATI-965(配列番号35)およびATI-966(配列番号50)。
[18F]-E01-4PEG-DBCO-FPPEGAの化学合成の模式図である。分子のE01部分は、配列番号104に示す配列を有する。
は、64Cu-E01抗PD-L1アドネクチン(NODAGAキレーター有り)でのhPD-L1陽性L2987細胞とhPD-L1陰性HT-29細胞の鑑別を示すグラフである。特異性は、過剰の冷(非標識)E01アドネクチンと共インキュベートしたときの細胞関連64Cu-E01の減少により確認した。
NODAGA-64Cu標識A02抗PD-L1アドネクチンでの両側性異種移植マウスにおけるhPD-L1(+)とhPD-L1(-)腫瘍の鑑別を示すPET画像である。プローブ滞留面積を示す積算0~2時間画像を示す。明るい領域は暴露中最大占拠の組織である。
hPD-L1(+)[L2987]腫瘍における腫瘍標識の時間経過を示すグラフである。hPD-L1(-)[HT29]腫瘍およびhPD-L1(+)系[L2987遮断]におけるパルスチェイス実験は、標識の特異性を示す。
ガンマカウンターによりエクスビボで測定した両側性hPD-L1(+)L2987およびhPD-L1(-)HT-29異種移植変担持マウスにおける18F標識A02抗PD-L1アドネクチン放射性トレーサーの組織分布を示すグラフである。
カニクイザルにおける18F標識E01抗PD-L1アドネクチン分布の多層画像である。
記載する濃度の冷A02アドネクチンと共インキュベートした0.25nM 18F-DBCO-A02抗PD-L1アドネクチンで標識した異種移植およびヒト肺組織のインビトロオートラジオグラフィーを示す画像である。
hPD-L1の腫瘍発現を示すために抗PD-L1アドネクチンで標識した異種移植およびヒト肺腫瘍検体の免疫組織化学画像を示す。
[18F]-A02-4PEG-DBCO-FPPEGA合成の反応スキームを示す。同じ反応スキームを使用して、E01アドネクチンを標識した。
[18F]-FPPEGAの自動化合成のためのGE TRACERlab FX2 N合成モジュールの模式図である。
[18F]-FPPEGAの自動化合成のためのSynthera合成モジュール(IBA)の模式図である。
抗PD-L1アドネクチンの例示的競合曲線を記載する。
詳細な記載
定義
異なる定義がされない限り、ここで使用する全ての技術的および科学的用語は、一般に当業者により理解されるのと同じ意味を有する。ここに記載するものに類するまたは等価なあらゆる方法および組成物を、本発明の実施または試験に使用できるが、好ましい方法および組成物は、ここに記載される。
“計画細胞死リガンド-1(PD-L1)”は、PD-1への結合によりT細胞活性化およびサイトカイン分泌を下方制御する、PD-1の2つの細胞表面糖タンパク質リガンドの一方である(他方はPD-L2)。ここで使用する用語“PD-L1”は、ヒトPD-L1(hPD-Ll)、hPD-Llのバリアント、アイソフォームおよび種ホモログおよびhPD-Llと少なくとも1つの共通エピトープを有するアナログを含む。完全hPD-Ll配列は、GenBank Accession No. Q9NZQ7下に見られる。PD-L1はCD274、B7-H、B7H1、PDCD1L1およびPDCD1LG1とも称される。
ここで使用する“ポリペプチド”は、長さ、翻訳後修飾または機能に関わらず、2以上のアミノ酸のあらゆる配列をいう。ポリペプチドは、天然アミノ酸および米国特許6,559,126(引用により本明細書に包含させる)に記載のものなどの非天然アミノ酸を含み得る。ポリペプチドはまた種々の標準的化学方法で修飾もされ得る(例えば、アミノ酸を保護基で修飾でき;カルボキシ末端アミノ酸を末端アミド基に修飾でき;アミノ末端残基を、例えば、親油性を増加するために修飾でき;またはポリペプチドを化学的にグリコシル化または他に修飾して、安定性またはインビボ半減期を延長し得る)。ポリペプチド修飾は、環状化合物または他の分子ポリペプチドなどの他の構造の結合を含み、立体配置が変えられた(すなわち、RまたはS;または、LまたはD)1以上のアミノ酸を含むポリペプチドも含む。ここに記載するペプチドは、フィブロネクチンIII型第10ドメイン由来のタンパク質であり、これは、ヒトPD-L1に特異的に結合し、ここで、“抗PD-L1アドネクチン”または“PD-L1アドネクチン”と称する。
ここで使用する“ポリペプチド鎖”は、そのドメインの各々が、他のドメインと非共有結合相互作用またはジスルフィド結合ではなく、ペプチド結合により結合される、ポリペプチドをいう。
“単離”ポリペプチドは、その天然環境の成分から同定、分離および/または取得されたものである。その天然環境の夾雑成分は、該ポリペプチドの診断または治療使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモンおよび他のタンパク質的または非タンパク質的溶質であり得る。好ましい実施態様において、ポリペプチドは、(1)ローリー法で測定して、95重量%を超える、最も好ましく99重量%を超えるポリペプチドまで、(2)スピニングカップシークエネーターの使用により少なくともN末端または内部アミノ酸配列の残基を得るのに十分な程度までまたは(3)クマシブルーまたは、好ましくは、銀染色を使用して、還元または非還元条件下のSDS-PAGEにより均一まで精製される。単離ポリペプチドは、ポリペプチドの天然環境の少なくとも1成分が存在しないため、組み換え細胞内の生体内でのポリペプチドを含む。しかしながら、単離ポリペプチドは、通常、少なくとも1精製工程により調製される。
ここで使用する10Fn3ドメインの“領域”は、ヒト10Fn3ドメインのループ(AB、BC、CD、DE、EFおよびFG)、β鎖(A、B、C、D、E、FおよびG)、N末端(配列番号1のアミノ酸残基1~7に対応)またはC末端(配列番号1のアミノ酸残基93~94に対応)の何れかをいう。
“足場領域”は、ヒト10Fn3ドメインの非ループ領域の何れかをいう。足場領域は、A、B、C、D、E、FおよびG β鎖ならびにN末端領域(配列番号1の残基1~7に対応するアミノ酸)およびC末端領域(配列番号1の残基93~94に対応するアミノ酸および所望によりヒトフィブロネクチンにおけるFn3ドメインの第10と第11間の反復天然リンカーを構成する7アミノ酸を含む)を含む。
ここでの“パーセント(%)アミノ酸配列同一性”は、配列を整列させ、最大パーセント配列同一性を達成するために、必要であれば、ギャップを挿入した後の、配列同一性の一部として保存的置換を何ら考慮せず、選択配列におけるアミノ酸残基と同一である、候補配列におけるアミノ酸残基のパーセンテージとして決定される。パーセントアミノ酸配列同一性決定の目的でのアラインメントは当分野の技術の範囲内である種々の方法により、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、ALIGN-2またはMegalign(DNASTARTM)ソフトウェアなどの公的に利用可能なコンピューターソフトウェアを使用して、達成できる。当業者は、比較する配列の完全長にわたり最大アラインメントを達成するための何らかのアルゴリズムを含む、アラインメント測定のための適切なパラメータを容易に決定できる。例えば、あるアミノ酸配列Aとあるアミノ酸配列Bについての、それとのまたはそれに対する%アミノ酸配列同一性(これは、あるアミノ酸配列Bについての、それとのまたはそれに対する%アミノ酸配列同一性を有するまたは含むあるアミノ酸配列Aと言い換えることができる)は、次のとおり計算される:100×分数X/Y(式中、Xは、配列アラインメントプログラムALIGN-2において、そのプログラムのAおよびBのアラインメントにより同一マッチとして点数化されたアミノ酸残基数であり、YはBの総アミノ酸残基数である)。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくないならば、A対Bの%アミノ酸配列同一性は、B対Aの%アミノ酸配列同一性と同一でないことが理解される。
ここで使用する用語“アドネクチン結合部位”は、特定のアドネクチンと相互作用または結合するタンパク質(例えば、PD-L1)の部位または部分をいう。アドネクチン結合部位は、隣接アミノ酸またはタンパク質の三次元折りたたみにより並置される非隣接アミノ酸から形成され得る。隣接アミノ酸により形成されるアドネクチン結合部位は、一般に変性溶媒暴露に際して保持されるが、一方三次元折りたたみにより形成されたアドネクチン結合部位は、一般に変性溶媒処理により喪失する。
ここに記載する抗PD-L1アドネクチンのアドネクチン結合部位は、プロテアーゼマッピングおよび変異解析を含むが、これらに限定されない、抗体のエピトープマッピングに一般に使用される標準的技法の適用により決定され得る。あるいは、アドネクチン結合部位を、同一ポリペプチド、例えば、PD-L1に結合する対照アドネクチンまたは抗体を使用する競合アッセイにより決定できる(下記“交差競合アドネクチンおよび/または同一アドネクチン結合部位に結合するアドネクチン”なる表題の章でさらに説明される)。試験アドネクチンおよび対照分子(例えば、他のアドネクチンまたは抗体)が競合するならば、それらは同一アドネクチン結合部位または一方の分子の結合が他方により妨害されるのに十分に近位のアドネクチン結合部位に結合する。アドネクチン結合部位は、それを同定するために使用する方法により定義される。例えば、アドネクチンは、HDXにより決定される、ある結合部位に結合し得る;アドネクチンは、結晶学により決定される、ある結合部位に結合し得る;またはアドネクチンは、定方向変異解析により決定したある結合部位に結合し得る。
ここでPD-L1へのアドネクチン結合に関連して相互交換可能に使用する用語“特異的に結合する”、“特異的結合”、“選択的結合”および“選択的に結合する”は、スキャッチャード分析および/または競合的結合アッセイ(例えば、競合ELISA、BIACOREアッセイ)を含むが、これらに限定されない当分野で利用可能な技法により測定して、PD-L1に親和性を示すが、異なるポリペプチドには顕著に結合しない(例えば、約10%未満の結合)アドネクチンをいう。本用語はまた例えば、ここに記載するアドネクチンの結合ドメインがPD-L1に特異的であるときも適用可能である。
PD-L1へのアドネクチン結合に関連して使用する用語“優先的に結合する”は、スキャッチャード分析および/または競合的結合アッセイ(例えば、競合ELISA、BIACOREアッセイ)を含むが、これらに限定されない当分野で利用可能な技法により測定して、ここに記載するアドネクチンがPD-L1に異なるポリペプチドより少なくとも約20%多く結合する状況をいう。
アドネクチンに関連してここで使用する、用語“交差反応性”は、同一または極めて類似するアドネクチン結合部位を有する1を超える異なるタンパク質に結合する、アドネクチンをいう。
PD-L1へのアドネクチン結合に関連して使用する用語“K”は、表面プラズモン共鳴アッセイまたは細胞結合アッセイを使用して測定して、特定のアドネクチン-タンパク質(例えば、PD-L1)相互作用またはアドネクチンのタンパク質(例えば、PD-L1)への親和性の解離平衡定数をいう。ここで使用する“所望のK”は、意図する目的に十分であるアドネクチンのKをいう。例えば、所望のKは、インビトロアッセイ、例えば、細胞ベースのルシフェラーゼアッセイにおいて、機能的効果を発揮するのに必要なアドネクチンのKをいう。
タンパク質のアドネクチン結合に関連してここで使用する用語“k”は、アドネクチンのアドネクチン/タンパク質複合体への会合についての会合速度定数をいうことを意図する。
タンパク質のアドネクチン結合に関連してここで使用する用語“k”は、アドネクチン/タンパク質複合体からのアドネクチンの解離についての解離速度定数をいうことを意図する。
アドネクチンに関連してここで使用する用語“IC50”は、インビトロまたはインビボアッセイの何れかで、最大阻害応答の50%であるレベルまで、すなわち、最大阻害応答と未処置応答の半分まで応答を阻害するアドネクチンの濃度をいう。
用語“PK”は、“薬物動態(pharmacokinetic)”の頭字語であり、例として、対象による吸収、分布、代謝および排せつを含む、化合物の性質を包含する。ここで使用する“PK調節タンパク質”または“PK部分(moiety)”は、生物学的活性分子に融合したときまたはそれと共に投与したとき、該生物学的活性分子の薬物動態性質に影響するあらゆるタンパク質、ペプチドまたは部分をいう。PK調節タンパク質またはPK部分の例は、PEG、ヒト血清アルブミン(HSA)結合剤(米国公報2005/0287153および2007/0003549、PCT公報WO2009/083804およびWO2009/133208に開示のとおり)、ヒト血清アルブミンおよびそのバリアント、トランスフェリンおよびそのバリアント、FcまたはFcフラグメントおよびそのバリアントおよび糖(例えば、シアル酸)を含む。
タンパク質または化合物の“血清半減期”は、例えば、天然機構による配列または化合物の分解および/または配列または化合物のクリアランスまたは隔離による、インビボでの、ポリペプチドの血清濃度が50%減少するまでにかかる時間である。半減期は、薬物動態分析などの、それ自体知られる任意の方法で決定され得る。適当な技法は当業者に明らかであり、例えば一般に対象に適当な用量のここに記載するアミノ酸配列または化合物を投与し、対象から一定間隔で血液サンプルまたは他のサンプルを得て、該血液サンプルにおけるここに記載するアミノ酸配列または化合物のレベルまたは濃度を決定し、そして、こうして得たデータ(のプロット)から、ここに記載するアミノ酸配列または化合物のレベルまたは濃度が、投与の初期レベルと比較して50%まで減少する時間を計算することを含む。例えば、Kenneth, A. et al., Chemical Stability of Pharmaceuticals: A Handbook for Pharmacists and in Peters et al., Pharmacokinete Analysis: A Practical Approach (1996)などの標準的ハンドブックを参照のこと。Gibaldi, M. et al., Pharmacokinetics, 2nd Rev. Edition, Marcel Dekker (1982)もまた参照のこと。
半減期は、t1/2-アルファ、t1/2-ベータ、HL_ラムダ_zおよび曲線下面積(AUC)などのパラメータを使用して表し得る。
用語“検出可能”は、背景シグナルを超えてシグナルを検出する能力をいう。用語“検出可能シグナル”は、陽電子放出断層撮影(PET)などの、しかし、これに限定されない非侵襲性造影技法由来のシグナルである。検出可能シグナルは、検出可能であり、対象から生じ得る他の背景シグナルと区別可能である。換言すると、検出可能シグナルと背景との間に測定可能かつ統計的有意差がある(例えば、統計的有意差は、検出可能シグナルと背景の間の約0.1%、1%、3%、5%、10%、15%、20%、25%、30%または40%またはそれ以上の差などの検出可能シグナルと背景の区別に十分な差異である)。標準および/または検量曲線を使用して、検出可能シグナルおよび/または背景の相対強度を決定し得る。
ここに記載する造影剤を含む組成物の“検出可能有効量”は、臨床使用で利用可能な装置を使用して、許容される画像を作成するのに十分な量として定義する。ここに提供する造影剤の検出可能有効量を、1回を超える注射で投与し得る。検出可能有効量は、個体の感受性の程度、個体の年齢、性別および体重、個体の特異な応答などの因子により変わり得る。造影組成物の検出可能有効量は、また使用する装置および方法によっても変わり得る。このような因子の最適化は、十分に当分野の技術レベルの範囲内である。ある実施態様において、PD-L1造影剤、例えば、ここに記載するものは、2またはそれ以上、例えば、3、4、5またはそれ以上の識別係数(すなわち、特異的シグナル対背景シグナル)を有する。
用語“生体直交型化学”は、天然生化学的過程を妨害せずに、生存系内で生じ得るあらゆる化学反応をいう。本用語は、水中でまたは水の存在下、インビトロで生理学的pHで生じる化学反応である化学反応を含む。生体直交型と見なされるには、反応は選択的であり、出発化合物で見られる他の官能基との副反応を回避する。さらに、これら反応パートナー間の得られた共有結合は、強く、生物学的反応に化学的に不活性でなければならず、所望の分子の生物学的活性に影響してはならない。
用語“クリック化学”は、新規化合物およびコンビナトリアルライブラリの迅速な合成のための一連の信頼でき、かつ選択的な生体直交型反応をいう。クリック反応の性質は、生理学的条件下で安定な化合物を産生するための、モジュール性、範囲の広さ、高い収率、立体特異性および単純生成物単離(非クロマトグラフ法による不活性副産物からの分離)を含む。放射化学および放射薬品において、クリック化学は、選択的およびモジュラー構成要素を利用し、触媒なしで、生物学的に関連する化合物への放射標識の化学選択的結合を可能とする、一連の標識反応についての一般的用語である。“クリック反応”は銅を用いてよくまたは無銅クリック反応であり得る。
用語“補欠分子族”または“二機能性標識剤”は、ペプチドまたはタンパク質に結合され得る、放射性核種(例えば、18F)を含む小有機分子をいう。
放射性医薬品化学に関連してここで使用する用語“キレーターリガンド”は、放射標識補欠分子族を生物活性ターゲティング分子(例えば、ペプチドまたはタンパク質)に共有結合により結合する、二機能性キレーターまたは接合(BFC)部分(これらは、ここで相互交換可能に使用する)をいう。BFCは、アミドカップリングについてはカルボン酸または活性化エステル、チオ尿素カップリングについてはイソチオシアネートおよびチオールカップリングについてはマレイミドなどの官能基を使用する。
ここで相互交換可能に使用する用語“個体”、“対象”および“患者”は、ヒトをいう。
“癌”は、体内の非制御の異常細胞増殖により特徴付けられる、種々の疾患の広い一群をいう。非制御の細胞分裂および増殖分裂および増殖は、隣接組織を侵襲し、リンパ系または血流をとおって体の離れた場所に転移もし得る、悪性腫瘍の形成をもたらす。
“免疫応答”は、脊椎動物体内で、侵入病原体、病原体に感染された細胞もしくは組織、癌細胞もしくは他の異常細胞、またのは、自己免疫もしくは病的炎症の場合、正常ヒト細胞または組織の選択的ターゲティング、結合、損傷、破壊および/または排出をもたらす、細胞または肝臓(Ab、サイトカインおよび補体を含む)の何れかにより産生される、免疫系細胞(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好酸球、肥満細胞、樹状細胞および好中球)および可溶性巨大分子の作用をいう。
“免疫調節因子”は、免疫応答を制御する物質、薬剤、シグナル伝達経路またはその成分をいう。免疫応答の“制御”、“修飾”または“調節”は、免疫系の細胞またはそのような細胞の活性の何らかの変化をいう。このような制御は、種々の細胞型の数の増加または減少、これらの細胞の活性の向上または低下または免疫系内で生じ得る他の何らかの変化により顕在化し得る、免疫系の刺激または抑制を含む。阻害性および刺激性両方の免疫調節因子が同定されており、そのいくつかは、癌微小環境で機能が増強され得る。
用語“免疫療法”は、免疫応答の誘発、増強、抑制または他の修飾を含む方法による、疾患を有する、発症するもしくは再発するリスクにある対象の処置をいう。
対象の“処置”または“治療”は、疾患と関連する症状、合併症、状態もしくは生化学的徴候の発症、進行、発生、重症度もしくは再発の回復、軽減、寛解、阻止、遅延もしくは阻止を目的とする、対象へのあらゆるタイプの介入または実施される過程または活性剤の投与をいう。
抗PD-L1アドネクチンと関連してここで使用する“投与”または“投与する”は、ここに記載するPD-L1アドネクチンまたはPD-L1アドネクチンベースのプローブまたは標識プローブ(ここでは“造影剤”とも称する)の対象への導入をいう。あらゆる投与経路が適当であり、例えば、静脈内、経口、局所、皮下、腹腔、動脈内、吸入、膣、直腸、鼻腔、脳脊髄液への導入または体区画への注入が使用され得る。
用語“治療有効量”は、対象に治療的利益を与えるのに必要である、薬剤の少なくとも最小用量であるが、毒性用量未満をいう。
ここで使用する“有効量”は、所望の結果を達成するのに、必要な投与量および時間で、少なくとも有効である量をいう。
ここで使用する“十分量”は、所望の結果の達成に十分である量をいう。
ここで使用する“陽電子放出断層撮影”または“PET”は、トレーサーの体内位置の三次元画像を作成する、非侵襲性、核医学技術をいう。方法は、生物学的活性分子上に体内に導入されたポジトロン放出放射性核種(トレーサー)により間接的に放出されるガンマ線の対を検出する。PET造影ツールは、医薬品開発で広範な用途を有し、同じツールが前臨床および臨床の両方で使用し得るとの、特有のトランスレーショナル医療上の利点を有する。適用例は、標的のインビボ飽和の直接可視化;毒性または患者間変動予測のための、正常組織取り込みモニタリング;疾患組織定量;腫瘍転移;経時的薬物効果または経時的抵抗性モニタリングを含む。
概要
ここに提供されるのは、ヒトPD-L1に結合し、放射標識などの異種分子にカップリングできる、ポリペプチドである。このようなポリペプチドは、例えば、診断アッセイのために、例えば、サンプルまたは組織、例えば、対象(例えば、PD-L1を選択的に発現する癌組織などの組織)における、PD-L1の検出に有用である。
本発明は、患者のPD-L1発現の全身可視化を可能にする、非侵襲性臨床的造影剤の開発に基づく。ある実施態様において、患者の全身の一日“仮想的生検”が、PD-L1発現レベルのモニターおよび局在化のために実施される。ここに記載するPD-L1造影剤は、一日で高コントラスト全身仮想的生検を提供するために使用され得る。
I. フィブロネクチンベースの足場
Fn3は、フィブロネクチンからのIII型ドメインをいう。Fn3ドメインは、小さく、単量体であり、可溶性であり、かつ安定である。ジスルフィド結合を欠き、それ故に、還元条件下安定である。Fn3は、全体的構造は免疫グロブリンフォールドに類する。Fn3ドメインは、N末端からC末端の順で、ベータまたはベータ様鎖、A;ループ、AB;ベータまたはベータ様鎖、B;ループ、BC;ベータまたはベータ様鎖、C;ループ、CD;ベータまたはベータ様鎖、D;ループ、DE;ベータまたはベータ様鎖、E;ループ、EF;ベータまたはベータ様鎖、F;ループ、FG;およびベータまたはベータ様鎖、Gを含む。7逆平行β鎖が2ベータシートとして配置され、これが安定なコアを形成し、同時にベータまたはベータ様鎖を接続するループからなる2“面”を作る。ループAB、CDおよびEFは一面に位置し(“南極”)、ループBC、DEおよびFGは逆面に位置する(“北極”)。少なくとも15の異なるFn3モジュールがヒトフィブロネクチンにあり、モジュール間の配列相同性は低いが、全て三次構造で高度の類似性を共有する。
ここに記載するのは、溶媒到達可能ループの1以上が無作為化または変異されている、Fn3ドメインを含む抗PD-L1アドネクチンである。ある実施態様において、Fn3ドメインは、ヒトフィブロネクチンIII型ドメインの野生型第10モジュール(10Fn3)由来のFn3ドメインである。
Figure 0007016323000004
(配列番号1)(94アミノ酸;AB、CDおよびEFループは下線を付す;コア10Fn3ドメインはアミノ酸9(“E”)から始まり、アミノ酸94(“T”)で終わり、86アミノ酸ポリペプチドに対応する)。コア野生型ヒト10Fn3ドメインは、配列番号2に示す。
バリアントおよび野生型両方の10Fn3タンパク質は、同一構造、すなわちA~Gと指定された7ベータ鎖ドメイン配列および7ベータ鎖ドメイン配列を接続する6ループ領域(ABループ、BCループ、CDループ、DEループ、EFループおよびFGループ)により特徴付けられる。N末端およびC末端に最も近く位置するベータ鎖は、溶液でベータ様コンフォメーションをとり得る。配列番号1において、ABループは残基14~17に対応し、BCループは残基23~31に対応し、CDループは残基37~47に対応し、DEループは残基51~56に対応し、EFループは残基63~67に対応し、FGループは残基75~87に対応する。
従って、ある実施態様において、ここに記載する抗PD-L1アドネクチンは、配列番号1に示すヒト10Fn3ドメインまたは配列番号2に示すそのコア配列と少なくとも40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%または90%同一である10Fn3ポリペプチドである。ばらつきのほとんどは、一般にループの1以上またはベータ鎖の1以上またはN末端もしくはC末端領域で生じる。10Fn3ポリペプチドのベータ鎖またはベータ様鎖の各々は、本質的に配列番号1または2のベータ鎖またはベータ様鎖に対応する配列と少なくとも80%、85%、90%、95%または100%同一であるアミノ酸配列からなるが、但しこのような多様性は生理学的条件でポリペプチドの安定性を妨害しない。
ある実施態様において、本発明は、フィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含む抗ヒトPD-L1アドネクチンを提供し、ここで、10Fn3ドメイはループ、AB;ループ、BC;ループ、CD;ループ、DE;ループEF;およびループFGを含み;ヒト10Fn3ドメインの対応するループの配列と比較して改変されたアミノ酸配列を有するループBC、DEおよびFGから選択される少なくとも1ループを有する。“アドネクチン”は、非修飾ヒト10Fn3ドメインにより結合されない標的に結合する修飾ヒト10Fn3ドメインである。ある実施態様において、ここに記載する抗PD-L1アドネクチンは、配列番号1または2の非ループ領域と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む10Fn3ドメインを含み、ここで、BC、DEおよびFGから選択される少なくとも1っのループが改変されている。ある実施態様において、BCおよびFGループが改変されており、ある実施態様において、BCおよびDEループが改変されており、ある実施態様において、DEおよびFGループが改変されておりおよびある実施態様において、BC、DEおよびFGループが改変されており、すなわち、10Fn3ドメインは、天然に存在しないループを含む。ある実施態様において、AB、CDおよび/またはEFループが改変されている。“改変”により、鋳型配列(対応するヒトフィブロネクチンドメイン)に対する1以上のアミノ酸配列改変を意味し、アミノ酸付加、欠失、置換またはそれらの組み合わせを含む。アミノ酸配列改変は、一般に、核酸コード配列の意図的、盲検的または自然配列変動により達成でき、あらゆる技法、例えば、PCR、エラープローンPCRまたは化学DNA合成により生じ得る。
ある実施態様において、BC、DEおよびFGから選択された1以上のループが対応するヒトフィブロネクチンループと比較して長さが長くても、短くてもよい。ある実施態様において、ループ長は2~25アミノ酸延長され得る。ある実施態様において、ループ長は1~11アミノ酸減少され得る。抗原結合を最適化するために、それ故に、10Fn3のループ長を、抗原結合において可能性のある最大の柔軟性および親和性を得るために、長さにおよび配列で改変し得る。
ある実施態様において、ポリペプチドは、配列番号1または2の非ループ領域と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%同一である非ループ領域のアミノ酸配列を含むFn3ドメインを含み、ここで、BC、DEおよびFGから選択される少なくとも1ループが改変されている。ある実施態様において、改変BCループは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10までのアミノ酸置換、1、2、3または4までのアミノ酸欠失、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10までのアミノ酸挿入またはそれらの組み合わせを有する。
ある実施態様において、インテグリン結合モチーフ“アルギニン-グリシン-アスパラギン酸”(RGD)(配列番号1のアミノ酸78~80)の1以上の残基は、インテグリン結合を破壊するために置換され得る。ある実施態様において、ここに提供するポリペプチドのFGループは、RGDインテグリン結合部位を含まない。ある実施態様において、RGD配列は、極性アミノ酸-中性アミノ酸-酸性アミノ酸配列(N末端からC末端方向で)に置き換えられる。ある実施態様において、RGD配列はSGEに置き換えられる。ある実施態様において、RGD配列はRGEに置き換えられる。
ある実施態様において、フィブロネクチンベースの足場タンパク質は、一般に次の配列により定義される10Fn3ドメインを含む。
Figure 0007016323000005
ここで、ABループは(Z)により表され、CDループは(Z)により表され、EFループは(Z)により表され、BCループは(Z)により表され、DEループは(Z)により表され、そしてFGループは(Z)により表される。Zは任意のアミノ酸を表し、Zの後の下付き文字は、アミノ酸数の整数を表す。特に、aは1~15、2~15、1~10、2~10、1~8、2~8、1~5、2~5、1~4、2~4、1~3、2~3または1~2アミノ酸のどこかであってよく;そしてb、c、x、yおよびzは各々独立して2~20、2~15、2~10、2~8、5~20、5~15、5~10、5~8、6~20、6~15、6~10、6~8、2~7、5~7または6~7アミノ酸のどこかであってよい。ベータ鎖の配列は、配列番号1または2に示す対応するアミノ酸に対して、全7足場領域にわたり、0~10、0~8、0~6、0~5、0~4、0~3、0~2または0~1のどこかの置換、欠失または付加を有し得る。ある実施態様において、ベータ鎖の配列は、配列番号1または2に示す対応するアミノ酸に対して、全7足場領域にわたり、0~10、0~8、0~6、0~5、0~4、0~3、0~2または0~1のどこかの保存的置換を有し得る。ある実施態様において、コアアミノ酸残基は固定され、あらゆる置換、保存的置換、欠失または付加は、コアアミノ酸残基以外の残基で生じる。
ある実施態様において、ここに記載する抗PD-L1アドネクチンは10Fn3足場に基づき、一般に次の配列により定義される。
EVVAATPTSLLISW(Z)xYRITYGETGGNSPVQEFTV(Z)yATISGLKPGVDYTITVYA(Z)zISINYRT(配列番号4)
ここで、BCループは(Z)により表され、DEループは(Z)により表され、そしてFGループは(Z)により表される。Zは任意のアミノ酸を表し、Zの後の下付き文字は、アミノ酸数の整数を表す。特に、x、yおよびzは各々独立して2~20、2~15、2~10、2~8、5~20、5~15、5~10、5~8、6~20、6~15、6~10、6~8、2~7、5~7または6~7アミノ酸のどこかであってよい。好ましい実施態様において、xは11アミノ酸であり、yは6アミノ酸であり、そしてzは12アミノ酸である。ベータ鎖の配列は、配列番号1または2に示す対応するアミノ酸に対して、全7足場領域にわたり、0~10、0~8、0~6、0~5、0~4、0~3、0~2または0~1のどこかの置換、欠失または付加を有し得る。ある実施態様において、ベータ鎖の配列は、配列番号1または2に示す対応するアミノ酸に対して、全7足場領域にわたり、0~10、0~8、0~6、0~5、0~4、0~3、0~2または0~1のどこかの保存的置換を有し得る。ある実施態様において、コアアミノ酸残基、例えば、1以上のループの外は固定され、あらゆる置換、保存的置換、欠失または付加は、コアアミノ酸残基以外の残基で生じる。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは配列番号3または4に示す配列を含み得て、ここで、それぞれ(Z)、(Z)および(Z)により表されるBC、DEおよびFGループの少なくとも1つが改変されている。上記のとおり、配列番号1の残基23~31、51~56および75~87に対応するアミノ酸残基は、それぞれBC、DEおよびFGループを規定する。しかしながら、所望の標的(例えば、PD-L1)に対する強い親和性を有する10Fn3バインダーを達成するために、ループ領域内の全ての残基の修飾を必要とするわけではないことが理解されるべきである。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは配列番号3または4に示す配列を含み、ここで、それぞれ(Z)、(Z)および(Z)により表されるBC、DEおよびFGループは、それぞれ配列番号21、22および23に示すBC、DEまたはFGループ配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を有する。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは配列番号3または4に示す配列を含み、ここで、それぞれ(Z)、(Z)および(Z)により表されるBC、DEおよびFGループは、それぞれ配列番号21、22および23のアミノ酸配列を有するBC、DEおよびFGループを含む。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは配列番号3または4に示す配列を含み、ここで、それぞれ(Z)、(Z)および(Z)により表されるBC、DEおよびFGループは、それぞれ配列番号36、37および38に示すBC、DEまたはFGループ配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を有する。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは配列番号3または4に示す配列を含み、ここで、それぞれ(Z)、(Z)および(Z)により表されるBC、DEおよびFGループは、それぞれ配列番号36、37および38のアミノ酸配列を有するBC、DEおよびFGループを含む。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは配列番号3または4に示す配列を含み、ここで、それぞれ(Z)、(Z)および(Z)により表されるBC、DEおよびFGループは、それぞれ配列番号51、52および53に示すBC、DEまたはFGループ配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を有する。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは配列番号3または4に示す配列を含み、ここで、それぞれ(Z)、(Z)および(Z)により表されるBC、DEおよびFGループは、それぞれ配列番号51、52および53のアミノ酸配列を有するBC、DEおよびFGループを含む。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは配列番号3または4に示す配列を含み、ここで、それぞれ(Z)、(Z)および(Z)により表されるBC、DEおよびFGループは、それぞれ配列番号66、67および68に示すBC、DEまたはFGループ配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を有する。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは配列番号3または4に示す配列を含み、ここで、それぞれ(Z)、(Z)および(Z)により表されるBC、DEおよびFGループは、それぞれ配列番号66、67および68のアミノ酸配列を有するBC、DEおよびFGループを含む。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは配列番号3または4に示す配列を含み、ここで、それぞれ(Z)、(Z)および(Z)により表されるBC、DEおよびFGループは、それぞれ配列番号6、7および8に示すBC、DEまたはFGループ配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を有する。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは配列番号3または4に示す配列を含み、ここで、それぞれ(Z)、(Z)および(Z)により表されるBC、DEおよびFGループは、それぞれ配列番号6、7および8のアミノ酸配列を有するBC、DEおよびFGループを含む。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは配列番号3または4に示す配列を含み、ここで、それぞれ(Z)、(Z)および(Z)により表されるBC、DEおよびFGループは、それぞれ配列番号81、82および83に示すBC、DEまたはFGループ配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を有する。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは配列番号3または4に示す配列を含み、ここで、それぞれ(Z)、(Z)および(Z)により表されるBC、DEおよびFGループは、それぞれ配列番号81、82および83のアミノ酸配列を有するBC、DEおよびFGループを含む。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは配列番号3または4に示す配列を含み、ここで、それぞれ(Z)、(Z)および(Z)により表されるBC、DEおよびFGループは、それぞれ配列番号97、98および99に示すBC、DEまたはFGループ配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を有する。ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは配列番号3または4に示す配列を含み、ここで、それぞれ(Z)、(Z)および(Z)により表されるBC、DEおよびFGループは、それぞれ配列番号97、98および99のアミノ酸配列を有するBC、DEおよびFGループを含む。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは配列番号3または4に示す配列を含み、ここで、それぞれ(Z)、(Z)および(Z)により表されるBC、DEおよびFGループは、それぞれ配列番号113、114および115;それぞれ配列番号124、125および126;それぞれ配列番号135、136および137;それぞれ配列番号146、147および148;それぞれ配列番号157、158および159;それぞれ配列番号168、169および170;それぞれ配列番号179、180および181;それぞれ配列番号190、191および192;それぞれ配列番号201、202および203;それぞれ配列番号212、213および214;それぞれ配列番号223、224および225;それぞれ配列番号234、235および236;それぞれ配列番号245、246および247;それぞれ配列番号256、257および258;それぞれ配列番号267、268および269;それぞれ配列番号278、279および280;それぞれ配列番号289、290および291;それぞれ配列番号300、301および302;それぞれ配列番号311、312および313;それぞれ配列番号322、323および324;それぞれ配列番号333、334および335;それぞれ配列番号344、345および346;それぞれ配列番号355、356および357;それぞれ配列番号366、367および368;それぞれ配列番号377、378および379;それぞれ配列番号388、389および390;それぞれ配列番号399、400および401;それぞれ配列番号410、411および412;それぞれ配列番号421、422および423;それぞれ配列番号432、433および434;それぞれ配列番号443、444および445;それぞれ配列番号454、455および456;それぞれ配列番号465、466および467;それぞれ配列番号476、477および478;それぞれ配列番号487、488および489;それぞれ配列番号498、499および500;それぞれ配列番号509、510および511;それぞれ配列番号520、521および522;それぞれ配列番号531、530および531;それぞれ配列番号542、543および544;それぞれ配列番号553、554および555;またはそれぞれ配列番号564、565および566のアミノ酸配列を有するBC、DEおよびFGループを含む。このような抗PD-L1アドネクチンの足場領域は、配列番号4の足場アミノ酸残基と比較して、0~20、0~15、0~10、0~8、0~6、0~5、0~4、0~3、0~2または0~1のどこかの置換、保存的置換、欠失または付加を含み得る。このような足場修飾は、抗PD-L1アドネクチンが所望のKでPD-L1に結合できる限り、製造し得る。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンのBCループは、6、21、36、51、66、81および97からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンのDEループは、7、22、37、52、67、82および98からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンのFGループは、8、23、38、53、68、83および99からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは、それぞれ配列番号6、21、36、51、66、81および97;配列番号7、22、37、52、67、82および98;および配列番号8、23、38、53、68、83および99の何れかと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%同一であるBC、DEおよびFGループアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは、配列番号5、20、35、50、65、80、96、112、123、134、145、156、167、178、189、200、211、222、233、244、255、266、277、288、299、310、321、332、343、354、365、376、387、398、409、420、431、442、453、464、475、486、497、508、519、530、541、552および563の何れかと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、ここに記載する抗PD-L1アドネクチンは、5、20、35、50、65、80または96の非BC、DEおよびFGループ領域と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは、配列番号9~15、24~30、39~45、54~60、6975、84~91、100~107、116~122、127~133、138~144、150~155、160~166、171~177、182~188、193~199、204~210、215~221、227~232、237~243、248~254、259~265、271~276、291~287、292~298、303~309、314~320、325~331、337~342、347~353、358~364、369~375、380~386、391~397、402~408、413~419、424~430、435~441、446~452、457~463、468~474、479~485、490~496、501~507、512~518、523~529、534~540、545~551および556-562の何れかと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、ここに記載する抗PD-L1アドネクチンは、配列番号9~15、24~30、39~45、54~60、69~75、84~91および100~107の何れかの非BC、DEおよびFGループ領域と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは、それぞれ配列番号6、7および8に示すBC、DEおよびFGループを含む。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは、それぞれ配列番号21、22および23に示すBC、DEおよびFGループを含む。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは、それぞれ配列番号36、37および38に示すBC、DEおよびFGループを含む。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは、それぞれ配列番号51、52および53に示すBC、DEおよびFGループを含む。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは、それぞれ配列番号66、67および68に示すBC、DEおよびFGループを含む。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは、それぞれ配列番号81、82および83に示すBC、DEおよびFGループを含む。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは、それぞれ配列番号97、98および99に示すBC、DEおよびFGループを含む。
ある実施態様において、ここに記載するBC、DEおよび/またはFGループアミノ酸配列(例えば、それぞれ配列番号6、21、36、51、66、81および97;配列番号7、22、37、52、67、82および98;および配列番号8、23、38、53、68、83および99)を、非10Fn3ドメインタンパク質足場に移植する。例えば、1以上のループアミノ酸配列を、抗体重鎖または軽鎖またはそのフラグメントの1以上のCDRループと交換するかまたはそれに挿入する。ある実施態様において、1以上のアミノ酸ループ配列が交換または挿入されたタンパク質ドメインは、コンセンサスFn3ドメイン(Centocor, US)、アンキリン反復タンパク質(Molecular Partners AG, Zurich Switzerland)、ドメイン抗体(Domantis, Ltd, Cambridge, MA)、単一ドメインラクダ類ナノボディ(Ablynx, Belgium)、リポカリン(例えば、アンチカリン;Pieris Proteolab AG, Freising, Germany)、アビマー(Amgen, CA)、アフィボディ(Affibody AG, Sweden)、ユビキチン(例えば、アフィリン;Scil Proteins GmbH, Halle, Germany)、タンパク質エピトープ模倣物(Polyphor Ltd, Allschwil, Switzerland)、ヘリックス束足場(例えばアルファボディ、Complix, Belgium)、Fyn SH3ドメイン(Covagen AG, Switzerland)またはアトリマー(Anaphor, Inc., CA)を含むが、これらに限定されない。
ある実施態様において、ここに提供するポリペプチドのN末端および/またはC末端領域のアミノ酸配列は、野生型ヒト10Fn3ドメインの対応する領域のアミノ酸配列(配列番号1または2)と比較して、欠失、置換または挿入により修飾され得る。10Fn3ドメインは、一般に配列番号1アミノ酸番号1から始まる。しかしながら、アミノ酸欠失を有するドメインも本発明により包含される。さらなる配列も、配列番号1または2のアミノ酸配列を有する10Fn3ドメインのN末端またはC末端に付加し得る。例えば、ある実施態様において、N末端伸長は、M、MGおよびGからなる群から選択されるアミノ酸配列からなる。ある実施態様において、MG配列は、配列番号1により定義される10Fn3のN末端に配置され得る。Mは通常開裂され、N末端にGが残る。さらに、M、GまたはMGは、表3に示すN末端伸長の何れかのN末端にも配置され得る。
実施態様の例示において、1~20、1~15、1~10、1~8、1~5、1~4、1~3、1~2または1アミノ酸長を有する改変N末端領域を配列番号1または2のN末端領域または表3に示す任意のアドネクチンに付加し得る。例示的改変N末端領域は、(1文字アミノ酸コードにより表す)M、MG、G、MGVSDVPRDL(配列番号574)およびGVSDVPRDL(配列番号575)を含む。例えば、アドネクチンコア配列のN末端に結合し得る他の適当な改変N末端領域は、例えば、XSDVPRDL(配列番号576)、XDVPRDL(配列番号577)、XVPRDL(配列番号578)、XPRDL(配列番号579)、XRDL(配列番号580)、XDL(配列番号581)またはXLを含み、ここで、n=0、1または2アミノ酸であり、ここで、n=1であるとき、XはMetまたはGlyであり、n=2であるとき、XはMet-Glyである。10Fn3ドメインのN末端にMet-Gly配列が添加されたとき、Mは通常開裂され、N末端にGが残る。ある実施態様において、改変N末端領域はアミノ酸配列MASTSG(配列番号582)を含む。
実施態様の例示において、1~20、1~15、1~10、1~8、1~5、1~4、1~3、1~2または1アミノ酸長を有する改変C末端領域が、配列番号1または2のC末端領域または表3に示す任意のアドネクチンに付加され得る。改変C末端領域配列具体例は、例えば、EIEK(配列番号584)、EGSGC(配列番号585)、EIEKPCQ(配列番号586)、EIEKPSQ(配列番号587)、EIEKP(配列番号588)、EIEKPS(配列番号589)またはEIEKPC(配列番号590)を含む、本質的にこれからなるまたはこれからなる、ポリペプチドを含む。ある実施態様において、改変C末端領域はEIDK(配列番号591)を含み、特定の実施態様において、改変C末端領域はEIDKPCQ(配列番号592)またはEIDKPSQ(配列番号593)である。さらなる適当な改変C末端領域は、配列番号594~618に示す。
ある実施態様において、アドネクチンは、EおよびD残基を含み、8~50、10~30、10~20、5~10~2~4アミノ酸長であり得るC末端伸長配列に結合される。ある実施態様において、テイル配列は、配列がEDのタンデム反復を含むEDベースのリンカーを含む。実施態様の例示において、テイル配列は、2~10、2~7、2~5、3~10、3~7、3~5、3、4または5 ED反復を含む。ある実施態様において、EDベースのテイル配列は、さらに、例えば、EI、EID、ES、EC、EGSおよびEGCなどのさらなるアミノ酸残基を含み得る。このような配列は、一部、残基DおよびKが除去されているEIDKPSQ(配列番号593)などの既知アドネクチンテイル配列に基づく。実施態様の例示において、EDベースのテイルは、ED反復前にE、IまたはE1残基を含む。
ある実施態様において、N末端またはC末端伸長配列を、既知リンカー配列(例えば、表3における配列番号629~678)で抗PD-L1アドネクチン配列に結合する。ある実施態様において、配列は、薬物動態部分の結合を促進するために、10Fn3ドメインのC末端に位置し得る。例えば、GSGC(配列番号638)などのシステイン含有リンカーを、システイン残基の部位特異的ペグ化を促進するために、C末端に付加し得る。
ある実施態様において、C末端アミノ酸RT(すなわち、アミノ酸94)に結合し得る改変C末端部分は、アミノ酸Pを含み、ここで、Pはプロリンであり、Xは任意のアミノ酸であり、mは少なくとも1の整数であり、nは0または少なくとも1の整数である。ある実施態様において、改変C末端部分は、アミノ酸PCを含む。ある実施態様において、改変C末端部分は、アミノ酸PI、PC、PID、PIE、PIDK(配列番号605)、PIEK(配列番号606)、PIDKP(配列番号607)、PIEKP(配列番号608)、PIDKPS(配列番号609)、PIEKPS(配列番号610)、PIDKPC(配列番号611)、PIEKPC(配列番号612)、PIDKPSQ(配列番号613)、PIEKPSQ(配列番号614)、PIDKPCQ(配列番号615)、PIEKPCQ(配列番号616)、PHHHHHH(配列番号617)およびPCHHHHHH(配列番号618)を含む。C末端にPCを有する例示的抗PD-L1アドネクチンは、実施例および表3に提供する。
ある実施態様において、ここに記載するアドネクチンは、6×hisテイル(配列番号619)を有する。
ある実施態様において、フィブロネクチンベースの足場タンパク質は、改変N末端領域配列および改変C末端領域配列の両方を有する10Fn3ドメインおよび所望により6×hisテイルを含む。
II. 抗PD-L1アドネクチンの生物学的性質
ここに提供されるのは、例えば、SPR(Biacore)により決定して、10nM、1nM、0.5nM、0.1nMまたはそれ未満のKでヒトPD-L1に結合し、次の性質の1以上を示すアドネクチンである。
1. 例えば、ヒトPD-1Fcタンパク質およびL2987細胞などのヒトPD-L1陽性細胞を使用する、例えば、フローサイトメトリーにより決定して、ヒトPD-L1とヒトPD-1の相互作用を少なくとも50%、70%、80%、90%またはそれ以上阻害する;
2. 例えば、ELISAアッセイまたはSPR(Biacore)により決定して、ヒトCD80(B7-1)のヒトPD-L1への結合を少なくとも50%、70%、80%、90%またはそれ以上阻害する;
3. 例えば、ELISAアッセイまたはSPR(Biacore)により決定して、抗PD-L1抗体12A4(例えば、米国特許7,943,743に記載)のヒトPD-L1への結合を少なくとも50%、70%、80%、90%またはそれ以上阻害する;および
4. 混合リンパ球反応(MLR)における細胞増殖を阻害する。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは1nMまたはそれ未満のKでヒトPD-L1に結合し、性質1~4の何れか1つを示す。ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは0.1nMまたはそれ未満のKでヒトPD-L1に結合し、性質1~4の何れか1つを示す。
ここに提供されるのは、ここに記載する抗PD-L1アドネクチンまたはその一部(例えば、BC、DEおよびFGループ)と少なくとも70%、80%、90%、95%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、例えば、SPR(Biacore)により決定して、10nM、1nM、0.5nM、0.1nMまたはそれ未満のKでヒトPD-L1に結合し、次の性質の1以上を示すアドネクチンである。
1. 例えば、ヒトPD-1Fcタンパク質およびL2987細胞などのヒトPD-L1陽性細胞を使用する、例えば、フローサイトメトリーにより決定して、ヒトPD-L1とヒトPD-1の相互作用を少なくとも50%、70%、80%、90%またはそれ以上阻害する;
2. 例えば、ELISAアッセイまたはSPR(Biacore)により決定して、ヒトCD80(B7-1)のヒトPD-L1への結合を少なくとも50%、70%、80%、90%またはそれ以上阻害する;
3. 例えば、ELISAアッセイまたはSPR(Biacore)により決定して、抗PD-L1抗体12A4のヒトPD-L1への結合を少なくとも50%、70%、80%、90%またはそれ以上阻害する;および
4. 混合リンパ球反応(MLR)における細胞増殖を阻害する。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンはここに記載する抗PD-L1アドネクチンまたはその一部(例えば、BC、DEおよびFGループ)と少なくとも70%、80%、90%、95%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、1nM以下のKでヒトPD-L1に結合し、性質1~4の何れか1つを示す。ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンはここに記載する抗PD-L1アドネクチンまたはその一部(例えば、BC、DEおよびFGループ)と少なくとも70%、80%、90%、95%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、0.1nM以下のKでヒトPD-L1に結合し、性質1~4の何れか1つを示す。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは、特定のここに記載する抗PD-L1アドネクチンと、PD-L1への結合について競合(例えば、交差競合)する。このような競合アドネクチンは、標準PD-L1結合アッセイにおいてここに記載するアドネクチンのPD-L1への結合を競合的に阻害するその能力に基づき、同定され得る。例えば、組み換えPD-L1タンパク質がプレートに固定化され、アドネクチンの一方が蛍光標識され、非標識アドネクチンが標識アドネクチンの結合を競合して阻害する能力を評価する、標準ELISAアッセイが使用され得る。
ある実施態様において、競合的ELISA形式を実施して、2抗PD-L1アドネクチンがPD-L1の重複するアドネクチン結合部位に結合するか否かを決定できる。ある形式において、アドネクチン#1はプレート上に被覆され、これが次いで遮断および洗浄される。このプレートにPD-L1単独または飽和濃度のアドネクチン#2とプレインキュベートしたPD-L1が添加される。適当なインキュベーション時間後、プレートを洗浄し、ビオチニル化抗PD-L1ポリクローナル抗体などのポリクローナル抗PD-L1抗体でプローブし、続いてストレプトアビジン-HRPコンジュゲートおよび標準テトラメチルベンジジン発色法で検出する。アドネクチン#2とプレインキュベーションしてもしなくてもODシグナルが同一であるならば、それら2アドネクチンは互いに独立して結合し、それらのアドネクチン結合部位は重複しない。しかしながら、PD-L1/アドネクチン#2混合物を入れたウェルのODシグナルがPD-L1単独を入れたウェルより低いならば、アドネクチン#2の結合は、アドネクチン#1のPD-L1への結合を遮断すると確認される。
あるいは、表面プラズモン共鳴(SPR、例えば、BIACORE)により、類似の実験を行う。アドネクチン#1をSPRチップ表面に固定化し、続いて、PD-L1単独または飽和濃度のアドネクチン#2とプレインキュベートしたPD-L1を注入する。PD-L1/アドネクチン#2混合物の結合シグナルがPD-L1単独と同一かそれより高いならば、それら2アドネクチンは互いに独立して結合し、それらのアドネクチン結合部位は重複しない。しかしながら、PD-L1/アドネクチン#2混合物の結合シグナルがPD-L1単独の結合シグナルより低いならばアドネクチン#2の結合は、アドネクチン#1のPD-L1への結合を遮断すると確認される。これらの実験の特色は、飽和濃度のアドネクチン#2の使用である。PD-L1がアドネクチン#2で飽和されていないならば、上記結論は維持されない。類似実験を使用して、あらゆる2PD-L1結合タンパク質が重複アドネクチン結合部位に結合するか否かを決定できる。
上に例示した両アッセイとも、アドネクチン#2を固定化し、PD-L1-アドネクチン#1がプレートに添加される逆順でも実施し得る。あるいは、アドネクチン#1および/または#2を、モノクローナル抗体および/または可溶性受容体-Fc融合タンパク質と置き換え得る。
ある実施態様において、HTRFサンドイッチアッセイを使用して、競合を決定し得る。
ある実施態様において、競合アドネクチンは、特定のここに記載する抗PD-L1アドネクチンとPD-L1上の同一アドネクチン結合部位に結合するアドネクチンである。プロテアーゼマッピング、変異解析、HDX-MS、x線晶学および2次元核磁気共鳴などの標準マッピング技法を使用して、アドネクチンが対照アドネクチンと同一アドネクチン結合部位またはエピトープに結合するか否かを決定し得る(例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66, G. E. Morris, Ed. (1996)参照)。エピトープは、それを配置させるための方法により規定される。例えば、ある実施態様において、PD-L1アドネクチンまたは抗体は、HDX-MSにより決定してまたはX線晶学により決定して、PD-L1ここに記載するアドネクチンの1つと同一エピトープに結合する。
候補競合抗PD-L1アドネクチンは、ここに記載する抗PD-L1アドネクチンのPD-L1への結合を少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%阻害できおよび/またはその結合が抗PD-L1アドネクチンにより少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%阻害される。%競合は、上記方法を使用して決定され得る。
ここに提供されるのは、例えば、SPR(Biacore)により決定して、10nM、1nM、0.5nM、0.1nMまたはそれ以下のKでヒトPD-L1に結合し、次の性質の1以上を示すアドネクチンである:
1. 例えば、ヒトPD-1Fcタンパク質およびL2987細胞などのヒトPD-L1陽性細胞を使用する、例えば、フローサイトメトリーにより決定して、ヒトPD-L1とヒトPD-1の相互作用を少なくとも50%、70%、80%、90%またはそれ以上阻害する;
2. 例えば、ELISAアッセイまたはSPR(Biacore)により決定して、ヒトCD80(B7-1)のヒトPD-L1への結合を少なくとも50%、70%、80%、90%またはそれ以上阻害する;
3. 例えば、ELISAアッセイまたはSPR(Biacore)により決定して、抗PD-L1抗体12A4のヒトPD-L1への結合を少なくとも50%、70%、80%、90%またはそれ以上阻害する;
4. 混合リンパ球反応(MLR)における細胞増殖を阻害する;および
5. ここに記載する抗PD-L1抗体と、ヒトPD-L1への結合について競合する。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは、ヒトPD-L1に1nM以下のKで結合し、性質1~5の何れか1つを示す。ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは0.1nMまたはそれ未満のKでヒトPD-L1に結合し、性質1~5の何れか1つを示す。
ここに提供されるのは、ここに記載する抗PD-L1アドネクチンまたはその一部(例えば、BC、DEおよびFGループ)と少なくとも70%、80%、90%、95%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、例えば、SPR(Biacore)により決定して、10nM、1nM、0.5nM、0.1nMまたはそれ未満のKでヒトPD-L1に結合し、次の性質の1以上を示すアドネクチン:
1. 例えば、ヒトPD-1Fcタンパク質およびL2987細胞などのヒトPD-L1陽性細胞を使用する、例えば、フローサイトメトリーにより決定して、ヒトPD-L1とヒトPD-1の相互作用を少なくとも50%、70%、80%、90%またはそれ以上阻害する;
2. 例えば、ELISAアッセイまたはSPR(Biacore)により決定して、ヒトCD80(B7-1)のヒトPD-L1への結合を少なくとも50%、70%、80%、90%またはそれ以上阻害する;
3. 例えば、ELISAアッセイまたはSPR(Biacore)により決定して、抗PD-L1抗体12A4のヒトPD-L1への結合を少なくとも50%、70%、80%、90%またはそれ以上阻害する;
4. 混合リンパ球反応(MLR)における細胞増殖を阻害する;および
5. ここに記載する抗PD-L1抗体と、ヒトPD-L1への結合について競合する。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは、ここに記載する抗PD-L1アドネクチンまたはその一部(例えば、BC、DEおよびFGループ)と少なくとも70%、80%、90%、95%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、ヒトPD-L1に1nMまたはそれ未満のKで結合し、性質1~5の何れか1つを示す。ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンはここに記載する抗PD-L1アドネクチンまたはその一部(例えば、BC、DEおよびFGループ)と少なくとも70%、80%、90%、95%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み、0.1nMまたはそれ未満のKでヒトPD-L1に結合し、性質1~5の何れか1つを示す。
III. 薬物動態部分を含む融合物
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは、望ましくは例えば、PET造影に使用するとき、短半減期を有する。ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは、30分~3時間、30分~120分、60分~120分または80分~100分の血中または血清半減期を有する。ある実施態様において、PD-L1アドネクチンの半減期は、それに結合した標識、例えば、18Fに類似する。
ここに記載する抗PD-L1アドネクチンは、薬物動態(PK)部分を含み得る。薬物動態改善は、認知される治療必要性により評価し得る。抗PD-L1アドネクチンを、非修飾抗PD-L1アドネクチンと比較して、ヒトにおけるポリペプチドのクリアランス速度を2倍以上、3倍以上、4倍以上または5倍以上減少させる部分と結合させ得る。薬物動態改善の他の測定値は、しばしばアルファ相およびベータ相に分けられる、血清半減期を含む。相の何れかまたは両方が、適切な部分の添加により顕著に改善され得る。例えば、PK部分は、ポリペプチドの血清半減期を、Fn3ドメイン(またはアドネクチン)単独と比較して、10%、20%、50%、2倍、3倍または5倍延長し得る。
ここでは“PK部分”と称するタンパク質の血中からのクリアランスを遅延させる部分は、ポリオキシアルキレン部分(例えば、ポリエチレングリコール)、糖(例えば、シアル酸)および耐容性良好であるタンパク質部分(例えば、Fcおよびそのフラグメントおよびバリアント、トランスフェリンまたは血清アルブミン)を含む。本発明で使用し得る他のPK部分は、Kontermann et al., (Current Opinion in Biotechnology 2011;22:868-76)引用により本明細書に包含させる)に記載されるものを含む。このようなPK部分は、PAS融合物(すなわち、3アミノ酸プロリン、アラニンおよびセリンに基づく組み換えPEG模倣物)、炭水化物コンジュゲート(例えば、ヒドロキシエチルデンプン(HES))、グリコシル化、ポリシアル酸コンジュゲートおよび脂肪酸コンジュゲートを含むが、これらに限定されない。
IV. 核酸-タンパク質融合テクノロジー
ある態様において、本発明は、PD-L1に結合するフィブロネクチンIII型ドメインを含むアドネクチンを提供する。特定の結合性質を有するFn3ドメインを迅速に製造し、試験する1つの方法は、Adnexus、Bristol-Myers Squibb R&D Companyの核酸-タンパク質融合テクノロジーである。この開示は、‘PROfusion’と称されるインビトロ発現およびタグ付けテクノロジーを使用し、これは、タンパク質の結合に重要な新規ポリペプチドおよびアミノ酸モチーフの同定のために、核酸-タンパク質融合物(RNA-およびDNA-タンパク質融合物)を利用する。核酸-タンパク質融合テクノロジーは、タンパク質をそのコード化遺伝子情報と共有結合的に結合させるテクノロジーである。RNA-タンパク質融合テクノロジーおよびフィブロネクチンベースの足場タンパク質ライブラリースクリーニング方法の詳細について、Szostak et al.、米国特許,258,558、6,261,804、6,214,553、6,281,344、6,207,446、6,518,018および6,818,418;Roberts et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 1997;94:12297-12302; およびKurz et al., Molecules, 2000;5:1259-64を参照のこと(これら全て引用により本明細書に包含させる)。
V. ベクターおよびポリヌクレオチド
本発明にまた包含されるのは、ここに記載するタンパク質の何れかをコードする核酸配列である。当業者には明らかなとおり、第三塩基縮重のため、コードヌクレオチド配列においてほとんど全てのアミノ酸が1を超えるトリプレットコドンにより表され得る。さらに、微小な塩基対変化は、コードされるアミノ酸配列の保存的置換をもたらし得るが、遺伝子産物の生物学的活性を実質的に変えることは期待されない。それ故に、ここに記載するタンパク質をコードする核酸配列において、配列をわずかに修飾し、なお、その各遺伝子産物をコードさせ得る。ここに記載する抗PD-L1アドネクチンおよびその融合物をコードするある例示的核酸は、配列番号16~19、31~34、46~49、61~64、76~79、92~95および108~111に示す配列を有する核酸を含む。
また企図されるのは、配列番号16~19、31~34、46~49、61~64、76~79、92~95および108~111と少なくとも50%、例えば少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であり、PD-L1に結合するタンパク質をコードする核酸配列である。ある実施態様において、得られた翻訳アミノ酸配列を変えないように、ヌクレオチド置換が導入される。
ここに記載する種々のタンパク質またはポリペプチドの何れかをコードする核酸を化学合成し得る。細胞における発現を改善するために、コドン使用頻度を選択し得る。このようなコドン使用頻度は細胞型選択による。特定化コドン使用頻度パターンは、大腸菌および他の細菌、ならびに哺乳動物細胞、植物細胞、酵母細胞および昆虫細胞について検討されている。例えばMayfield et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 100(2):438-442 (Jan. 21, 2003); Sinclair et al., Protein Expr. Purif., 26(I):96-105 (October 2002); Connell, N.D., Curr. Opin. Biotechnol., 12(5):446-449 (October 2001); Makrides et al., Microbiol. Rev., 60(3):512-538 (September 1996); and Sharp et al., Yeast, 7(7):657-678 (October 1991)参照。
核酸操作の一般的技法は、例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989), or Ausubel, F. et al., Current Protocols in Molecular Biology, Green Publishing and Wiley-Interscience, New York (1987)および定期的最新版(引用により本明細書に包含させる)に記載されている。一般に、ポリペプチドをコードするDNAを、哺乳動物、ウイルスまたは昆虫遺伝子由来の適当な転写または翻訳調節エレメントと操作可能に結合させる。このような調節エレメントは、転写プロモーター、任意の転写を制御するためのオペレーター配列、適当なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列および転写および翻訳の停止を制御する配列を含む。通常複製起点により付与される宿主で複製する能力および形質転換体の認識を促進するための選択遺伝子がさらに取り込まれる。
ここに記載するタンパク質を、直接的だけでなく、また、好ましくは成熟タンパク質またはポリペプチドのN末端に特異的開裂部位を有するシグナル配列または他のポリペプチドである、異種ポリペプチドとの融合ポリペプチドとして組み換えにより産生できる。選択異種シグナル配列は、好ましくは宿主細胞により認識および処理(すなわち、シグナルペプチダーゼにより開裂)されるものである。哺乳動物系でのポリペプチド産生のための例示的N末端リーダー配列は、METDTLLLWVLLLWVPGSTG(配列番号583)であり、これは、発現後宿主細胞により除去される。
天然シグナル配列を認識および処理しない原核宿主細胞について、シグナル配列を、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、1 ppまたは熱安定エンテロトキシンIIリーダーから選択される、原核シグナル配列に置き換える。
酵母分泌について、天然シグナル配列を、例えば、酵母インベルターゼリーダー、因子リーダー(サッカロミセスおよびクリベロマイセスアルファ-因子リーダーを含む)または酸ホスファターゼリーダー、カンジダ・アルビカンスグルコアミラーゼリーダーまたは米国特許5,631,144に記載のシグナル配列に置き換える。哺乳動物細胞発現において、哺乳動物シグナル配列ならびにウイルス分泌リーダー、例えば、単純ヘルペスgDシグナルが利用可能である。このような前駆体領域についてのDNAを、リーディングフレーム内で、タンパク質をコードするDNAにライゲートし得る。
発現およびクローニング両方のベクターは、ベクターを1以上の選択宿主細胞で複製可能とする核酸配列を含む。一般に、クローニングベクターにおいて、この配列は、宿主染色体DNAと無関係にベクターの複製を可能とするものであり、複製起点または自己複製配列を含む。このような配列は、種々の細菌、酵母およびウイルスについて周知である。プラスミドpBR322からの複製起点は、大部分のグラム陰性細菌に適し、2ミクロンプラスミド起点は酵母に適し、種々のウイルス起点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSVまたはBPV)は、哺乳動物細胞におけるクローニングベクターに有用である。一般に、複製起点成分は哺乳動物発現ベクターに必要ではない(SV40起点は、それが初期プロモーターを含むことのみを理由として、一般に使用される)。
発現およびクローニングベクターは、選択可能マーカーとも称される選択遺伝子を含み得る。典型的選択遺伝子は、(a)抗生物質または他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサートまたはテトラサイクリンに耐性を与える、(b)栄養要求欠損を補うまたは(c)複合体媒体から利用可能ではない必須栄養素を提供するタンパク質をコードする、例えば、桿菌についてはD-アラニンラセマーゼをコードする遺伝子である。
発現およびクローニングベクターは、通常宿主生物により認識され、ここに記載するタンパク質、例えば、フィブロネクチンベースの足場タンパク質をコードする核酸に操作可能に結合される、プロモーターを含む。原核宿主での使用に適するプロモーターは、phoAプロモーター、ベータ-ラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系およびtanプロモーターなどのハイブリッドプロモーターを含む。しかしながら、他の既知細菌プロモーターが適する。細菌系で使用するプロモーターは、ここに記載するタンパク質をコードするDNAに操作可能に結合したシャイン・ダルガノ(S.D.)配列を含む。真核生物についてのプロモーター配列は知られる。事実上全真核生物遺伝子は、転写が開始される位置から約25~30塩基上流にAT富領域を有する。多くの遺伝子の転写が開始される位置から70~80塩基上流に見られる他の配列は、CNCAAT領域(ここで、Nは任意のヌクレオチドであり得る)である。大部分の真核生物遺伝子の3’末端は、コード配列の3’末端にポリAテイルを付加するためのシグナルであり得るAATAAA配列である。これら配列の全ては、真核生物発現ベクターに好適に挿入される。
酵母宿主で使用するための適当な促進配列の例は、3-ホスホグリセラートキナーゼまたはエノラーゼ、グリセロアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルベートデカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-ホスフェートイソメラーゼ、3-ホスホグリセラートムターゼ、ピルベートキナーゼ、トリオースホスフェートイソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼおよびグルコキナーゼなどの他の解糖酵素のプロモーターを含む。
哺乳動物宿主細胞におけるベクターからの転写は、例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えばアデノウイルス2)、ウシ乳頭腫ウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルスおよび最も好ましくはサルウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノムから得たプロモーター、異種哺乳動物プロモーター、例えば、アクチンプロモーターまたは免疫グロブリンプロモーター、ヒートショックプロモーターにより制御され得るが、ただし、このようなプロモーターは宿主細胞系と適合性である。
高等真核生物によるここに記載するタンパク質をコードするDNAの転写は、しばしば、ベクターにエンハンサー配列を挿入することにより、増加される。多くのエンハンサー配列が哺乳動物遺伝子から知られる(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトタンパク質およびインスリン)。一般に、しかしながら、真核生物細胞ウイルスからのエンハンサーを使用する。例は、複製起点遅発側のSV40エンハンサー(bp 100~270)、サイトメガロウイルス早期プロモーターエンハンサー、複製起点遅発側のポリオーマエンハンサーおよびアデノウイルスエンハンサーを含む。真核生物プロモーター活性化のための増強要素について、Yaniv, Nature, 297:17-18 (1982)も参照のこと。エンハンサーは、ペプチドコード化配列に対して5’位または3’位でベクターにスプライスされるが、好ましくはプロモーターから5’位に位置する。
真核生物宿主細胞(例えば、酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒトまたは他の多細胞生物からの有核細胞)で使用する発現ベクターはまた転写停止およびmRNAに必要な配列も含む。このような配列は、一般に真核生物またはウイルスDNAまたはcDNAからの5’、そして時折3’、非翻訳領域から入手可能である。これら領域は、ここに記載するタンパク質をコードするmRNAの非翻訳部分におけるポリアデニル化フラグメントとして転写されたヌクレオチドセグメントを含む。1つの有用な転写停止成分は、ウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。WO94/11026およびそれに開示の発現ベクター参照。
組み換えDNAはまた、タンパク質精製に有用であり得る、あらゆるタイプのタンパク質タグ配列も含み得る。タンパク質タグの例は、ヒスチジンタグ、FLAGタグ、mycタグ、HAタグまたはGSTタグを含むが、これらに限定されない。細菌、真菌、酵母および哺乳動物細胞宿主での使用に適切なクローニングおよび発現ベクターは、Cloning Vectors: A Laboratory Manual, (Elsevier, New York (1985))に見ることができ、その関連する開示は、引用により本明細書に包含させる
発現構築物を、当業者に明らかなとおり、宿主細胞に適する方法を使用して、宿主細胞に導入する。宿主細胞に核酸を導入するための種々の方法は当分野で知られ、エレクトロポレーション;塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE-デキストランまたは他の物質を使用するトランスフェクション;微粒子銃;リポフェクション;および感染(ベクターが感染因子であるとき)を含むが、これらに限定されない。
適当な宿主細胞は、原核生物、酵母、哺乳動物細胞または細菌細胞を含む。適当な細菌は、グラム陰性またはグラム陽性生物、例えば、大腸菌または桿菌属を含む。好ましくはサッカロマイセス・セレビシエなどのサッカロミセス属からの酵母もポリペプチドの産生に使用し得る。種々の哺乳動物または昆虫細胞培養系も、組み換えタンパク質発現のために用い得る。昆虫細胞における異種タンパク質の産生のためのバキュロウイルス系は、Luckow et al. (Bio/Technology, 6:47 (1988))によりレビューされている。適当な哺乳動物宿主細胞株の例は、内皮細胞、COS-7サル腎臓細胞、CV-1、L細胞、C127、3T3、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、ヒト胚腎臓細胞、HeLa、293、293TおよびBHK細胞株を含む。精製ポリペプチドを、組み換えタンパク質の発現のために、適当な宿主/ベクター系を培養することにより製造する。多くの適用について、ここに記載するポリペプチドの多くの小さいサイズが、発現の好ましい方法として、大腸菌で発現される。次いで、タンパク質を培養培地または細胞抽出物から精製する。
VI. タンパク質産生
またここに記載するのは、抗PD-L1アドネクチンまたはその融合ポリペプチドを発現する細胞株である。抗PD-L1アドネクチンを産生する細胞株の創生および単離は、ここに記載のような、当分野で知られる標準技法を使用して達成され得る。
宿主細胞を、タンパク質産生のためにここに記載する発現またはクローニングベクターでトランスフォームし、誘発プロモーターに適するように修飾した慣用の栄養培地で培養し、形質転換体を選択するかまたは所望の配列をコードする遺伝子を増幅する。
本発明のアドネクチンはまた、例えば、原核細胞(例えば、大腸菌)におけるアドネクチンの産生により、非グリコシル化形態でも得られる。注目すべきことに、ここに記載するアドネクチンの非グリコシル化形態は、インビトロで試験したとき、グリコシル化アドネクチンと同一の親和性、効力および作用機序を示す。
本発明のタンパク質の産生に使用する宿主細胞は、種々の培地で培養し得る。ハムF10(Sigma)、最小必須培地((MEM)(Sigma)、RPMI-1640(Sigma)およびダルベッコ改変イーグル培地((DMEM)(Sigma))などの市販の培地が。宿主細胞培養に適する。さらに、Ham et al., Meth. Enzymol., 58:44 (1979), Barites et al., Anal. Biochem., 102:255 (1980)、米国特許4,767,704、4,657,866、4,927,762、4,560,655、5,122,469、6,048,728、5,672,502または米国特許RE30,985に記載の多くの培地が、宿主細胞の培養培地として使用され得る。これらの培地の何れも、必要に応じて、ホルモンおよび/または他の増殖因子(例えばインスリン、トランスフェリンまたは上皮細胞増殖因子)、塩(例えば塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウムおよびリン酸塩)、緩衝液(例えばHEPES)、ヌクレオチド(例えばアデノシンおよびチミジン)、抗生物質(例えばゲンタマイシン薬物)、微量元素(通常マイクロモル濃度範囲の最終濃度で存在する無機化合物として定義される)およびグルコースまたは同等のエネルギー源を添加し得る。任意の他の必要な添加物も適切な濃度で包含され得て、これは当業者に知られる。温度、pHなどの培養条件は、発現のための宿主細胞選択について先に用いたものであり、当業者に知られる。
ここに記載するタンパク質は、無細胞翻訳系を使用しても産生され得る。このような目的で、ポリペプチドをコードする核酸は、mRNAを産生するためにインビトロ転写を可能とするためにおよび利用する特定の無細胞系(哺乳動物または酵母無細胞翻訳系などの真核生物または細菌無細胞翻訳系などの原核生物)におけるmRNAの無細胞翻訳を可能とするために、修飾されなければならない。
ここに記載するタンパク質は、化学合成によっても産生できる(例えば、Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd Edition, The Pierce Chemical Co., Rockford, Ill. (1984)に記載の方法により)。タンパク質への修飾も、化学合成により実施され得る。
本発明のタンパク質は、タンパク質化学の分野で一般に知られるタンパク質の単離/精製方法により精製され得る。非限定的例は、抽出、再結晶、塩析(例えば、硫酸アンモニウムまたは硫酸ナトリウムで)、遠心分離、透析、限外濾過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ゲル濾過、ゲル浸透クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、電気泳動、向流分配またはこれらの任意の組み合わせを含む。精製後、ポリペプチドを、濾過および透析を含むが、これらに限定されない、当分野で知られる種々の方法の何れかによる異なる緩衝液への交換および/または濃縮をすることができる。
精製ポリペプチドは、好ましくは少なくとも85%純度または好ましくは少なくとも95%純度および最も好ましくは少なくとも98%純度である。純度の正確な数値とは無関係に、ポリペプチドは、医薬品として使用するのに十分に純粋である。
ハイスループットタンパク質産生(HTPP)
選択結合剤を、HISタグの上流にPET9dベクターにクローン化し、大腸菌BL21 DE3 plysS細胞にトランスフォームし、50μg/mL カナマイシン含有5ml LB培地に、24ウェル形式で接種し、37℃で一夜インキュベートする。新鮮5ml LB培地(50μg/mL カナマイシン)培養物を、一夜培養物から200μlの吸引により、誘導性発現のために調製し、適切なウェルに分配する。培養物を、37℃でA600 0.6~0.9まで増殖させる。1mMイソプロピル-β-チオガラクトシド(IPTG)で誘導後、培養物を、6時間、30℃で発現させ、4℃で、10分、2750gの遠心分離により取得する。
細胞ペレット(24ウェル形式)を、450μlの溶解緩衝液(50mM NaHPO、0.5M NaCl、1×CompleteTMプロテアーゼ阻害剤カクテル-無EDTA(Roche)、1mM PMSF、10mM CHAPS、40mMイミダゾール、1mg/ml リゾチーム、30μg/ml DNAse、2μg/ml アプロチニン、pH8.0)に再懸濁し、室温で1~3時間振盪することにより溶解させる。溶解液を浄化し、96ウェル、1.2ml 捕捉板8(catch plate)を備えた96ウェルWhatman GF/D Unifilterに移すことにより、96ウェル形式に再枠付加(re-rack)し、陽圧で濾過する。浄化した溶解液を、平衡緩衝液(50mM NaHPO、0.5M NaCl、40mMイミダゾール、pH8.0)で平衡化した96ウェルニッケルまたはコバルトキレーティングプレートに移し、5分インキュベートする。未結合物質を陽圧で除去する。樹脂を0.3ml/ウェルで、洗浄緩衝液#1(50mM NaHPO、0.5M NaCl、5mM CHAPS、40mMイミダゾール、pH8.0)で2回洗浄する。各洗液を陽圧により除去する。溶出前、各ウェルを50μl 溶出緩衝液(PBS+20mM EDTA)で洗浄し、5分インキュベートし、この洗液を陽圧により廃棄する。タンパク質を、さらに100μlの溶出緩衝液を各ウェルに適用することにより溶出させる。室温で30分インキュベーション後、プレートを、5分、200gで遠心分離し、溶出タンパク質を、溶出前に溶出捕捉板の底に添加した5μlの0.5M MgClを含む96ウェル捕捉板に捕捉する。溶出タンパク質を、タンパク質標品として野生型10Fn3ドメインを用いて、総タンパク質アッセイを使用して定量する。
不溶性フィブロネクチンベースの足場タンパク質結合剤の中規模発現および精製
不溶性クローンの発現のために、クローンを、HISタグ後、pET9d(EMD Bioscience, San Diego, CA)ベクターにクローン化し、大腸菌HMS174細胞で発現させる。20mlの接種培養(単一平板培養コロニーから産生)を、50μg/ml カルベニシリンおよび34μg/mlクロラムフェニコールを含む1リットルのLB培地の接種に使用する。培養物を、37℃でA600 0.6~1.0まで増殖させる。1mMイソプロピル-β-チオガラクトシド(IPTG)で誘導後、培養物を4時間、30℃で増殖させ、30分、>10,000g、4℃での遠心分離により取得する。細胞ペレットを-80℃で凍結させる。細胞ペレットを、25mlの溶解緩衝液(20mM aHPO、0.5M NaCl、1×完全プロテアーゼ阻害剤カクテル-無EDTA(Roche)、1mM PMSF、pH7.4)に、ULTRA-TURRAX(登録商標)ホモジナイザー(IKA works)を使用して、氷上で再懸濁させる。細胞溶解を、モデルM-l 10S MICROFLUIDIZER(登録商標)(Microfluidics)を使用する、高圧均一化(>18,000psi)により達成する。不溶性フラクションを、30分、23,300g、4℃での遠心分離により分離する。溶解物から遠心分離により取得した不溶性ペレットを、20mM リン酸ナトリウム/500mM NaCl、pH7.4で洗浄する。ペレットを6.0M 塩酸グアニジンの20mM リン酸ナトリウム/500M NaCl pH7.4溶液に、超音波処理により再溶解し、37℃で1~2時間インキュベートする。再可溶化ペレットを0.45μmで濾過し、20mM リン酸ナトリウム/500M NaCl/6.0M グアニジン pH7.4緩衝液で平衡化したHistrapカラムに載せる。充填後、カラムを、さらに25CVの同一緩衝液で洗浄する。結合タンパク質を、50mMイミダゾールの20mM リン酸ナトリウム/500mM NaCl/6.0M guan-HCl pH7.4溶液で溶出する。精製タンパク質を、50mM 酢酸ナトリウム/150mM NaCl pH4.5に対して透析する。
可溶性フィブロネクチンベースの足場タンパク質結合剤の中規模発現および精製
可溶性クローン発現のために、クローンを、HISタグ後、pET9d(EMD Bioscience, San Diego, CA)ベクターにクローン化し、大腸菌HMS174細胞で発現させる。20mlの接種培養(単一平板培養コロニーから産生)を、50μg/ml カルベニシリンおよび34μg/mlクロラムフェニコールを含む1リットルのLB培地の接種に使用する。培養物を、37℃でA600 0.6~1.0まで増殖させる。1mMイソプロピル-β-チオガラクトシド(IPTG)で誘導後、培養物を4時間、30℃で増殖させ、30分、>10,000g、4℃での遠心分離により取得する。細胞ペレットを-80℃で凍結させる。細胞ペレットを、25mlの溶解緩衝液(20mM NaHPO、0.5M NaCl、1×完全プロテアーゼ阻害剤カクテル-無EDTA(Roche)、1mM PMSF、pH7.4)に、ULTRA-TURRAX(登録商標)ホモジナイザー(IKA works)を使用して、氷上で再懸濁させる。細胞溶解を、モデルM-1 10S MICROFLUIDIZER(登録商標)(Microfluidics)を使用する、高圧均一化(>18,000psi)により達成する。可溶性フラクションを、30分、23,300g、4℃での遠心分離により分離する。上清を0.45μmフィルターで浄化する。浄化溶解物を、20mM リン酸ナトリウム/500M NaCl pH7.4で予め平衡化したHistrapカラム(GE)に載せる。次いで、カラムを25カラム体積の同一緩衝液、続いて20カラム体積の20mM リン酸ナトリウム/500M NaCl/25mMイミダゾール、pH7.4、次いで35カラム体積の20mM リン酸ナトリウム/500M NaCl/40mMイミダゾール、pH7.4で洗浄する。タンパク質を、15カラム体積の20mM リン酸ナトリウム/500M NaCl/500mMイミダゾール、pH7.4で溶出し、フラクションをAsoでの吸光度に基づきプールし、1×PBS、50mM Tris、150mM NaCl; pH8.5または50mM NaOAc;150mM NaCl;pH4.5に対して透析する。何らかの沈殿を0.22μmでの濾過により除去する。
VII. 組成物
本発明は、さらに、ここに記載する抗PD-L1アドネクチンまたはその融合タンパク質を含む、医薬組成物および放射性医薬組成物などの組成物を提供し、ここで、組成物は本質的に無エンドトキシンであるかまたは少なくとも適切な規制当局(例えば、FDA)により決定されるエンドトキシンの許容されるレベルを超えて含まない。
組成物を製造する当分野で周知の方法は、例えば、"Remington: The Science and Practice of Pharmacy" (20th ed., ed. A. R. Gennaro AR., 2000, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, Pa.)に見ることができる。非経腸投与用組成物は、例えば、添加物、無菌水、食塩水、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物起源の油または水素化ナフタレンを含み得る。生体適合性、生分解性ラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマーまたはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーを、化合物の溶出制御のために使用し得る。ナノ粒子組成物(例えば、生分解性ナノ粒子、固体脂質ナノ粒子、リポソーム)を、化合物の生体分布の制御に使用し得る。他の有用な可能性のある非経腸送達は、エチレン-ビニルアセテートコポリマー粒子、浸透圧ポンプ、埋め込み型溶出系およびリポソームを含む。組成物中の化合物濃度は、投与すべき薬物の投与量、投与経路および組成物の目的(例えば、予防、治療、診断)を含む、多数の因子により変わる。
許容される担体、添加物または安定化剤は、用いる濃度でレシピエンドに非毒性であり、リン酸、クエン酸および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド;ヘキサメトニウムクロライド;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリシンなどのアミノ酸;グルコース、マンノースまたはデキストランを含む単糖、二糖および他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成カウンターイオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);および/またはTween、PLURONICTMまたはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。
本発明のポリペプチドは、所望により、製薬業界で一般的に使用される非毒性酸付加塩などの薬学的に許容される塩または金属錯体として投与され得る。酸付加塩の例は、酢酸、乳酸、パモ酸、マレイン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、コハク酸、安息香酸、パルミチン酸、スベリン酸、サリチル酸、酒石酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸などの有機酸;タンニン酸、カルボキシメチルセルロースなどの重合酸;および塩酸、臭化水素酸、硫酸リン酸などの無機酸を含む。金属錯体は、亜鉛、鉄などを含む。一例において、ポリペプチドは、熱安定性を高めるために、酢酸ナトリウム存在下で製剤化される。
活性成分を、例えば、コアセルベーション技法または界面重合化により、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン-マイクロカプセルおよびポリ-(メチルメタシレート)マイクロカプセルに、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ-粒子およびナノカプセル)またはマクロエマルジョンに、マイクロカプセル封入してよい。このような技法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に開示される。
インビボ投与に使用するための医薬組成物は、一般に無菌でなければならない。これは、滅菌濾過膜での濾過により達成され得る。組成物が凍結乾燥されるならば、この方法を使用する滅菌を、凍結乾燥および再構成の前または後に実施し得る。非経腸投与用組成物を、凍結乾燥形態でまたは溶液で保存し得る。さらに、非経腸組成物は、一般に無菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針で穿刺可能な栓を有する静脈内溶液バッグまたはバイアルに入れられる。
医薬組成物が製剤化されたら、溶液、懸濁液、ゲル、エマルジョン、固体または脱水または凍結乾燥粉末として無菌バイアルで保存され得る。このような製剤を、即時使用型形態でまたは投与前に再構成を必要とする形態(例えば、凍結乾燥)で保存し得る。
VIII. 生物物理学および生物化学的特徴付け
ここに記載する抗PD-L1アドネクチンのPD-L1、例えば、ヒトPD-L1への結合を、平衡定数(例えば、解離、K)の観点で、および速度定数(例えば、結合速度定数、konおよび解離速度定数、koff)により評価し得る。アドネクチンは、一般に標的分子に500nM、100nM、10nM、1nM、500pM、200pMまたは100pM未満のKで結合するが、高いK値も、koffが十分に低いかまたはkonが十分に高いならば、許容され得る。
結合親和性についてのインビトロアッセイ
PD-L1に結合し、拮抗する抗PD-L1アドネクチンを、種々のインビトロアッセイを使用して、同定し得る。ある実施態様において、アッセイは、複数候補アドネクチンの同時のスクリーニングを可能とするハイスループットアッセイである。
抗PD-L1アドネクチンの結合親和性決定のための例示的アッセイは、結合平衡除外アッセイ(KinExA)(Blake et al., JBC 1996; 271:27677-85; Drake et al., Anal Biochem 2004; 328:35-43)、Biacore系(Uppsala, Sweden)での表面プラズモン共鳴(SPR)(Welford et al., Opt. Quant. Elect 1991; 23:1; Morton and Myszka, Methods in Enzymology 1998; 295:268)および均一性時間分解蛍光(HTRF)アッセイ(Newton et al., J Biomol Screen 2008; 13:674-82; Patel et al., Assay Drug Dev Technol 2008; 6:55-68)などの液相方法を含むが、これらに限定されない。
ある実施態様において、生体分子相互作用を、Biacore系を用いてリアルタイムにモニターでき、これは、300nmまで離れた表面の屈折指数の変化により、ガラス支持体上の薄金フィルムの表面での光の共鳴角の変化を検出するための、SPRを使用する。Biacore分析は、会合速度定数、解離速度定数、平衡解離定数および親和性定数をもたらす。結合親和性は、Biacore表面プラズモン共鳴系(Biacore, Inc.)を使用する会合および解離速度定数の評価により得る。バイオセンサーチップは、標的の共有結合カップリングのために活性化される。次いで、標的を希釈し、チップ上に注入して、固定化物質の応答単位でシグナルを得る。共鳴単位(RU)でのシグナルが固定化物質の質量に比例するため、これは、マトリックス上の固定化標的密度を表す。会合および解離データを、1:1二分子相互作用についての正味速度発現を解決するための大域解析に同時に適合させ、kon、koffおよびRmax(飽和での最大応答)での最適フィット値を得る。結合についての平衡解離定数Kを、koff/konとしてのSPR測定値から計算する。
ある実施態様において、ここに記載する抗PD-L1アドネクチンは、実施例2に記載のSPR親和性アッセイで、ヒトPD-L1への結合について500nM以下、400nM以下、300nM以下、200nM以下、150nM以下、100nM以下、90nM以下、80nM以下、70nM以下、60nM以下、50nM以下、40nM以下、30nM以下、20nM以下、15nM以下、10nM以下、5nM以下または1nM以下のKを示す。
上記アッセイは例であり、タンパク質間の結合親和性決定について当分野で知られるあらゆる方法(例えば、蛍光ベース移動(FRET)、酵素結合免疫吸着アッセイおよび競合的結合アッセイ(例えば、ラジオイムノアッセイ))を、ここに記載する抗PD-L1アドネクチンの結合親和性評価に使用できることが理解されるべきである。
IX. 抗PD-L1アドネクチンでのインビボ造影
造影剤
ここに記載する抗PD-L1アドネクチンはまた種々の診断および造影適用に有用である。ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンをインビボで検出可能である部分で標識し、このような標識アドネクチンをインビボ造影剤として、例えば、全身造影のために使用し得る。例えば、ある実施態様において、対象におけるPD-L1陽性腫瘍を検出する方法は、対象に、検出可能標識に結合した抗PD-L1アドネクチンを投与し、適切な時間後、対象における該標識を検出することを含む。
抗PD-L1アドネクチン造影剤を、PD-L1のレベル増加と関連する障害または疾患、例えば、腫瘍が選択的にPD-L1を過発現する癌の診断に使用し得る。類似する方法で、抗PD-L1アドネクチンを、対象、例えば、PD-L1レベルおよび/またはPD-L1陽性細胞(例えば、腫瘍細胞または腫瘍浸潤性リンパ球(TIL))を減少させる処置中の対象または免疫療法、例えば、PD-1アンタゴニストで処置された対象における、PD-L1レベルのモニターに使用できる。抗PD-L1アドネクチン造影剤を、使用して、対象がPD-1またはPD-L1アンタゴニスト処置などのPD-L1の存在を必要とする療法、例えば、免疫療法に応答する可能性があるか否かを決定し得る。抗PD-L1アドネクチンを修飾してまたはせずに使用でき、検出可能部分を共有結合または非共有結合により標識し得る。
使用し得る検出可能部分は、放射性薬剤、例えば、鉄キレートなどの放射性重金属、ガドリニウムまたはマンガンの放射性キレート、酸素、窒素、鉄、炭素またはガリウムの陽電子放射体、18F、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、124I、86Y、89Zr、66Ga、67Ga、68Ga、44Sc、47Sc、11C、111In、114mIn、114In、125I、124I、131I、123I、131I、123I、32Cl、33Cl、34Cl、74Br、75Br、76Br、77Br、78Br、89Zr、186Re、188Re、86Y、90Y、177Lu、99Tc、212Bi、213Bi、212Pb、225Acまたは153Smを含む。
ある実施態様において、放射性薬剤は、1以上のアミノ酸残基でアドネクチンとコンジュゲートされる。ある実施態様において、1以上、例えば2以上、3以上、4以上またはそれより多い数の放射性核種が標識プローブに存在し得る。ある実施態様において、放射性核種を、キレート剤によりアドネクチンに直接結合する(例えば、米国特許8,808,665参照)。ある実施態様において、放射性核種は、二機能性キレーターまたは接合(BFC)部分によりアドネクチンにコンジュゲートした補欠分子族に存在する。ある実施態様において、放射性核種キレート剤および/またはコンジュゲート部分は、DFO、DOTAおよびその誘導体(CB-DO2A、3p-C-DEPA、TCMC、Oxo-DO3A)、DBCO、TE2A、CB-TE2A、CB-TE1A1P、CB-TE2P、MM-TE2A、DM-TE2A、diamsarおよび誘導体、NODASA、NODAGA、NOTA、NETA、TACN-TM、DTPA、1B4M-DTPA、CHX-A’’-DTPA、TRAP(PRP9)、NOPO、AAZTAおよび誘導体(DATA)、Hdedpa、Hoctapa、Hazapa、Hdecapa、Hphospa、HBED、SHBED、BPCA、CP256、PCTA、HEHA、PEPA、EDTA、TETAおよびTRITAベースのキレート剤およびその近似アナログおよび誘導体である。
ある実施態様において、放射性核種キレートまたは接合(BFC)部分は、マレアミド-NODAGAまたはマレアミド-DBCOであり、これは、ポリペプチドのC末端に近いaシステイン残基により、ポリペプチドに共有結合により結合し得る。ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは、システイン付加によりそのC末端を修飾される。例えば、PxCyは、C末端にアミノ酸残基NYRT(ここで、Pはプロリンであり、Cはシステインであり、xおよびyは、少なくとも1である整数である)に結合し得る。C末端にアミノ酸残基PCを有する例示的抗PD-L1アドネクチンは、実施例に示す。マレイミド-NODAGAまたはマレイミド-DBCOをシステインと反応させ、それぞれアドネクチン-NODAGAまたはアドネクチン-DBCOを生じさせ得る。
ある実施態様において、放射性核種キレート剤はDFOであり、これは、例えば、無作為に表面リシンに結合し得る。
ある実施態様において、64CuのキレーターはDOTA、NOTA、EDTA、Df、DTPAまたはTETAである。キレート剤および放射性核種の適当な組み合わせは、Price et al., Chem Soc Rev 2014;43:260-90に広くレビューされている。
ある実施態様において、抗PD-L1アドネクチンは、PETトレーサー18Fで標識される。18Fは、1.8時間放射性半減期を有する魅力的PET放射性核種であり、これは、PET放射性核種がアドネクチンの生物学的半減期と良好に適合する、同日造影ツールの提供を可能とし、患者への低放射線暴露で、優れた画像をもたらす。PD-L1アドネクチンは、実施例および図2および9にさらに記載するとおり、[18F]-3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-フルオロピリジン([18F]-FFPEGA)などの補欠分子族で標識し得る。実施例にさらに示すとおり、18F標識抗PD-L1アドネクチンは、特異的かつ効率的にマウスにおけるヒトPD-L1陽性腫瘍、カニクイザルにおけるPD-L1陽性ヒト肺癌組織およびPD-L1陽性腫瘍を標識した。標識方法の具体的詳細は下におよび実施例に提供する。
ある実施態様において、PD-L1造影剤は、例えば、実施例に記載するとおり、64Cuで標識された抗PD-L1アドネクチンである。64Cuは、NODAGAなどのキレート剤によりアドネクチンに結合され得る。実施例にさらに示すとおり、64Cu標識抗PD-L1アドネクチンは、特異的かつ効率的にマウスにおけるヒトPD-L1陽性腫瘍およびカニクイザルにおけるPD-L1陽性腫瘍を標識した。
ここにおよびPCT出願PCT/US15/62485およびPCT/US15/62502に記載する抗PD-L1アドネクチンベースの造影剤の合成のための、64Cuおよび18Fなどの放射性核種でポリペプチドを標識するための他の当分野で認識される方法も使用し得る。例えば、US2014/0271467;Gill et al., Nature Protocols 2011;6:1718-25; Berndt et al. Nuclear Medicine and Biology 2007;34:5-15, Inkster et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 2013;23:3920-6(これらの内容を全体として引用により本明細書に包含させる)参照のこと。
ある実施態様において、PD-L1造影剤は、抗PD-L1アドネクチンベースの造影剤の造影コントラスト増強またはアビディティ増加のために、わずかな増分で造影剤の血中PKを増加させるために、PEG分子(例えば、5KDa PEG、6KDa PEG、7KDa PEG、8KDa PEG、9KDa PEGまたは10KDa PEG)を含む。
投与および造影
ある実施態様において、標識抗PD-L1アドネクチンを、PD-L1陽性細胞または組織、例えば、PD-L1発現腫瘍の造影に使用できる。例えば、標識抗PD-L1アドネクチンを、目的の組織(例えば、PD-L1発現腫瘍)への標識アドネクチンの取り込みに十分な量で対象に投与する。次いで、対象を、使用する特定の放射性核種に適する時間、PETなどの造影系を使用して造影する。標識抗PD-L1アドネクチン-結合PD-L1発現細胞または組織、例えば、PD-L1発現腫瘍が、こうして、造影系により検出される。
PD-L1造影剤を用いるPET造影は、定性的または定量的にPD-L1を検出するために使用し得る。PD-L1造影剤を、バイオマーカーとして使用でき、対象におけるPD-L1陽性シグナルの存在または不在が、例えば、対象がある治療、例えば、癌治療に応答するか否かまたは対象が治療に応答しつつあるか否かの指標であり得る。
ある実施態様において、疾患(例えば、腫瘍)の進行または退行を、時間または処置の関数として造影し得る。例えば、腫瘍のサイズを、癌治療(例えば、化学療法、放射線療法)を受けている対象でモニターし、腫瘍退行の程度を、標識抗PD-L1アドネクチン検出に基づき、リアルタイムでモニターし得る。1以上の腫瘍または健常細胞内のPD-L1分布も、処置および/または疾患の前および/または途中に可視化およびモニターし得る。
目的の細胞または組織(例えば、腫瘍)への造影剤(例えば,18F-アドネクチン造影剤、64Cu-アドネクチン造影剤)の取り込みをもたらす有効量は、例えば、宿主の年齢、体重、一般的健康、性別および食習慣;投与の時間;投与経路;用いる特定のプローブの排泄速度;処置の期間;用いる特定の組成物と組み合わせるまたは併存する他の薬物の存在;およびその他の因子を含む、種々の因子による。
ある実施態様において、PD-L1発現組織の造影を、対象に対する標識抗PD-L1アドネクチンの投与前、投与中および投与後に行う。
ある実施態様において、PD-L1造影剤を受けている対象は、哺乳動物、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、霊長類、サル、ラットまたはマウスである。
ある実施態様において、ここに記載する抗PD-L1アドネクチンは、肺、心臓、腎臓、肝臓および皮膚および他の臓器またはPD-L1を発現するこれら臓器と関連する腫瘍のPET造影に有用である。
ある実施態様において、抗PD-L1造影剤は、少なくとも50%、75%、2、3、4、5またはそれ以上のコントラストを提供する。複数の実施例で、使用した全抗PD-L1アドネクチンが、2以上のPETコントラストを示し、アドネクチンの親和性は重要ではなかったことを示す。
短半減期放射性核種(例えば、18F)で造影(例えば、PET)に使用したとき、放射標識抗PD-L1アドネクチンを、好ましくは静脈内に、例えば、ボーラス注射により投与する。他の投与経路も適当であり、使用する放射性核種の半減期による。
ある実施態様において、対象にここに記載する抗PD-L1造影剤を投与し、該造影剤を検出し、検出された造影剤が対象におけるPD-L1陽性細胞の位置を規定する、対象におけるPD-L1陽性細胞を検出する方法に使用する。ある実施態様において、造影剤は陽電子放出断層撮影により検出される。
ある実施態様において、抗ここに記載するPD-L1造影剤を、対象にここに記載する抗PD-L1造影剤を投与し、該造影剤を検出し、検出された造影剤が対象における腫瘍の位置を規定する、対象におけるPD-L1発現腫瘍を検出する方法に使用する。ある実施態様において、造影剤は陽電子放出断層撮影により検出される。
ある実施態様において、ここに記載する抗PD-L1造影剤の画像を、対象に造影剤を投与し、陽電子放出断層撮影により造影剤の分布をインビボで造影することにより、得る。
ここに開示するのは、PD-L1を発現する組織または細胞の定量的画像を得る方法であって、方法は、細胞または組織とここに記載する抗PD-L1造影剤を接触させ、PD-L1発現組織を、陽電子放出断層撮影を使用して検出または定量することを含む。
またここに開示するのは、造影有効量のここに記載する抗PD-L1造影剤を対象、例えば、PD-L1発現腫瘍を有するまたは有することが疑われる対象に投与し、陽電子放出断層撮影を使用して、腫瘍における該造影剤の放射性放出を検出することを含み、ここで、放射性放出が腫瘍において検出されるPD-L1発現腫瘍を検出する方法である。
またここに開示するのは、対象におけるPD-L1発現腫瘍の存在を診断する方法であって、方法は
(a)それを必要とする対象にここに記載する抗PD-L1造影剤を投与し;そして
(b)造影剤の存在または不在を検出するために、対象の少なくとも一部の放射線画像を得ることを含み;
ここで、背景を超える造影剤の存在および位置が、PD-L1またはPD-L1発現腫瘍の存在および位置の指標である。
またここに提供されるのは、癌を有する対象が例えば、PD-1またはPD-L1アンタゴニストでの免疫療法に応答する可能性があるか否かを決定する方法であって、方法は、(a)癌を有する対象に、例えば、ここに記載する、PD-L1造影剤を投与し;そして(b)段階(a)後、対象の少なくとも一部の画像(静的または動的)を得て、対象が、PD-1またはPD-L1アンタゴニスト(例えば、オプジーボTM、キイトルーダTMまたはTECENTRIQTM)での処置を必要とするレベルと同等またはそれ以上のPD-L1レベルを1腫瘍または数腫瘍にわたり有するならば、対象を、抗腫瘍治療、例えば、PD-1またはPD-L1アンタゴニスト例えば、オプジーボTM、キイトルーダTMまたはTECENTRIQTMで処置することを含む。
またここに提供されるのは、癌を有する対象を処置する方法であって、
(a)それを必要とする対象に、例えば、ここに記載する、PD-L1造影剤を含む造影剤を投与し、1以上の腫瘍におけるPD-L1の存在の決定のために対象の少なくとも一部の画像(静的または動的)を得て;対象がPD-1またはPD-L1アンタゴニスト(例えば、オプジーボTM、キイトルーダTMまたはTECENTRIQTM)での処置を必要とするレベルと同等またはそれ以上のPD-L1レベルを1腫瘍または数腫瘍にわたり有するならば、(a)対象に抗腫瘍治療、例えば、PD-1とPD-L1の相互作用を阻害する薬剤(PD-1またはPD-L1アンタゴニスト)、例えば、オプジーボTM、キイトルーダTMまたはTECENTRIQTMを投与することを含む、方法である。またここに開示するのは、対象におけるPD-L1発現腫瘍に対する抗腫瘍治療の進行をモニタリングする方法であって、方法は、
(a)それを必要とする対象にここに記載する抗PD-L1造影剤を第一の時点で投与し、対象の少なくとも一部の画像を得て、腫瘍サイズを決定し;
(b)対象に抗腫瘍治療剤を投与し;
(c)対象に造影剤をその後1以上の時点で投与し、各時点で対象の少なくとも一部の画像を得ることを含み;
ここで、各時点での腫瘍の寸法および位置が疾患進行の指標である。
PET造影
一般に、PET造影目的で、レシピエントに単回静脈内点滴として約0.1mg~200mg範囲の投与のアドネクチンを提供することが望ましが、低または高投与量も、状況に応じて投与し得る。レシピエントに約0.1mg~10mg/体表面積平方メートルの投与量範囲のタンパク質またはペプチドを、典型的成人について提供するのが望ましいが、低または高投与量も、状況に応じて投与し得る。造影目的でヒト対象に投与し得るタンパク質またはペプチドの投与量の例は、10μg~1000μg、100μg~1000μg、100μg~500μg、200μg~500μgおよび300μg~400μgであるが、低または高投与量を使用し得る。例えば、18F標識抗PD-L1アドネクチン、例えば、[18F]-A02-4PEG-DBCO-FPPEGAまたは[18F]-E01-4PEG-DBCO-FPPEGA造影剤を、10μg~1000μg、100μg~1000μg、100μg~500μg、200μg~500μgおよび300μg~400μg範囲の量で、ヒトに、例えば、ボーラス注射として、投与し得る。ある実施態様において、18F標識抗PD-L1アドネクチン、例えば、[18F]-A02-4PEG-DBCO-FPPEGAまたは[18F]-E01-4PEG-DBCO-FPPEGA造影剤を、ヒト対象に、80kg対象で約4.4μg/kgに対応する約350μgの量で投与する。
ある実施態様において、投与を、放射標識アドネクチン、例えば、抗PD-L1アドネクチン、0.005μg/kg体重~50μg/kg体重/日、例えば、1日あたり、例えば、0.02μg/kg体重~10μg/kg、例えば、1日あたり、0.1μg/kg体重~10μg/体重kg、例えば、1日あたり、例えば、1μg/kg体重~10μg/体重kg、例えば、1日あたり、例えば、2μg/kg体重~6μg/体重kg、例えば、1日あたり、例えば、4μg/kg体重~5μg/体重kgで行う。PETトレーサーに関連する質量は、天然同位体(例えば、18F PETトレーサーについて19F)のものである。ある実施態様において、18F標識抗PD-L1アドネクチン、例えば、[18F]-A02-4PEG-DBCO-FPPEGAまたは[18F]-E01-4PEG-DBCO-FPPEGA造影剤を、ヒト対象に例えば、1日あたり、0.1μg/kg体重~10μg/体重kg、例えば、例えば、1日あたり、1μg/kg体重~10μg/体重kg、例えば、例えば、1日あたり、2μg/kg体重~6μg/体重kg、例えば、例えば、1日あたり、4μg/kg体重~5μg/体重kgの量で投与する。
投与量レジメンを、放射標識アドネクチンを取り込む組織または細胞のクリアな画像を得るための最適検出可能量を提供するために調節する。投与の容易さおよび投与量均一性のために、投与量単位形態で非経腸組成物を製剤化するのが特に有利である。ここで使用する投与量単位形態は、放射標識アドネクチンを投与する対象のための単位投与量として適する、物理的に区別された単位をいう。ここに記載する投与量単位形態の仕様は、(a)放射標識アドネクチンのターゲティング部分の特有の特徴;(b)標的となる組織または細胞;(c)使用する造影テクノロジー固有の制限について示され、それらに直接依存する。
放射標識アドネクチン投与のために、使用する投与量は疾患タイプ、使用するターゲティング化合物、対象の年齢、身体的状態および性別、疾患の程度、試験部位およびその他による。特に、対象の被爆についての十分な配慮をしなければならない。飽和用量の放射標識(例えば、18Fまたは64Cu)を患者に投与し得る。例えば、18F標識アドネクチンの放射活性量は、3.7メガベクレル(MBq)~3.7ギガベクレル(GBq)、18MBq~740MBq、100MBq~500MBq、100MBq~400MBq、100MBq~333MBq、100MBq~250MBq、150MBq~250MBq、200MBq~250MBqまたは200MBq~225MBqの範囲であり得る。あるいは、投与量を、例えばミリキューリーで測定し得る。ある実施態様において、造影検査のために投与する18F造影剤の量は、1~10mCi、3~10mCi、3~8mCi、4~7mCiまたは5~6mCiである。ある実施態様において、有効量は、1~10mCi、3~10mCi、3~8mCi、4~7mCiまたは5~6mCi範囲の放出を生じるのに十分な化合物の量である。ある実施態様において、18F標識抗PD-L1アドネクチン、例えば、[18F]-A02-4PEG-DBCO-FPPEGAまたは[18F]-E01-4PEG-DBCO-FPPEGA造影剤を、ヒト対象に1~10mCi、3~10mCi、3~8mCi、4~7mCiまたは5~6mCiの量で投与する。
ある実施態様において、18F標識抗PD-L1アドネクチン、例えば、[18F]-A02-4PEG-DBCO-FPPEGAまたは[18F]-E01-4PEG-DBCO-FPPEGA造影剤を、1~5%の18F標識抗PD-L1アドネクチン、例えば、[18F]-A02-4PEG-DBCO-FPPEGAまたは[18F]-E01-4PEG-DBCO-FPPEGAおよびそれぞれ95~99%の非放射標識アドネクチン前駆体、例えば、PD-L1アドネクチン-4PEG-DBCOを含む組成物として投与する。ある実施態様において、比は、2%の18F標識抗PD-L1アドネクチン、例えば、[18F]-A02-4PEG-DBCO-FPPEGAまたは[18F]-E01-4PEG-DBCO-FPPEGAおよび98%の非放射標識アドネクチン前駆体、例えば、PD-L1アドネクチン-4PEG-DBCOである。比は変わってよいが、ただし、好ましくは、造影のために対象に投与するタンパク質の総量はマイクロドーズ、すなわち、≦30nMのままである。
ここに記載する医薬組成物の活性成分の実際の投与量レベルは、患者に毒性とならずに、特定の患者に、組成物および投与方式での細胞または組織における放射標識アドネクチンの所望の取り込みを達成するのに有効な活性成分の量を得るために変わり得る。しかしながら、本発明の放射標識アドネクチンの総1日使用は、処置医または他の担当専門家により、合理的医学的判断の範囲内で決定されることが理解される。ある特定の対象に対する特定の有効用量レベルは、例えば、用いる特定の組成物の活性;用いる特定の組成物;宿主の年齢、体重、一般的健康、性別および食習慣;投与の時間;投与経路;用いる特定の化合物の排泄速度;処置の期間;用いる特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物および/または物質、処置する患者の年齢、性別、体重、状態、一般的健康および病歴および医学分野で周知の同様の因子を含む、種々の因子による。ある実施態様において、造影を必要とするヒト対象に投与する放射標識アドネクチンの量は、処方医により決定され、投与量は、一般に放射性核種から放出される量により変わる。
ある実施態様において、ここに記載する放射標識アドネクチンを、インビボでの適切な分布を確実にするために、製剤化し得る。例えば、血液-脳関門(BBB)は、多くの高度親水性化合物を排除する。例えば、リポソームに製剤化することにより、薬剤はBBBを通過し得る。リポソームの製造方法について、例えば、米国特許4,522,811;5,374,548;および5,399,331を参照のこと。リポソームは、特定の細胞または臓器に選択的に輸送される1以上の部分を含み得て、こうして、標的化薬物送達を促進する(例えば、V.V. Ranade (1989) J. Clin. Pharmacol. 29:685参照)。例示的ターゲティング部分は、葉酸またはビオチン(例えば、Low et al.の米国特許5,416,016参照);マンノシド(Umezawa et al., (1988) Biochem. Biophys. Res. Commun. 153:1038);抗体(P.G. Bloeman et al. (1995) FEBS Lett. 357:140; M. Owais et al. (1995) Antimicrob. Agents Chemother. 39:180);界面活性剤タンパク質A受容体(Briscoe et al. (1995) Am. J. Physiol. 1233:134);p120(Schreier et al. (1994) J. Biol. Chem. 269:9090)を含み;またK. Keinanen; M.L. Laukkanen (1994) FEBS Lett. 346:123; J.J. Killion; I.J. Fidler (1994)も参照のこと。
PET操作の例示
次の説明的操作を、クリニックで患者のPET造影検査をするとき使用し得る。静脈カテーテル、例えば、20G 2インチ静脈カテーテルを放射性トレーサー投与の対側尺骨静脈に挿入する。PETトレーサーの投与は、血中の抗PD-L1アドネクチン濃度の最大(T max)または最小(T min)の時間と同時になるようにしばしば時間調整される。
患者をPETカメラに位置させ、[18F]-A02-4PEG-DBCO-FPPEGAまたは[18F]-E01-4PEG-DBCO-FPPEGA(<20mCi)などの放射標識抗PD-L1アドネクチンのPETトレーサーのトレーサー用量を、i.v.カテーテルにより投与する。対象は、PETトレーサーの投与前、シグナル対背景比を増加させるために、循環から未結合トレーサーの腎臓クリアランスを促進するために1リットルの水を飲むおよび/または膀胱を空にすることができる。例えば、血漿中の非代謝PETトレーサーの分画を分析および定量するために、PET走査中、動脈血または静脈血サンプルを、15の適切な時間間隔で採り得る。画像を120分まで獲得し得る。放射性トレーサー注射10分以内および造影セッションの最後に、1ml 血液サンプルを、例えば、何らかの標識または非標識抗PD-L1アドネクチンの血漿濃度を決定するために、得てよい。
2タイプのPET操作を使用し得る。一つのタイプは、単一時点での局所トレーサー取込の推定の取得を含むかまたは局所のトレーサー濃度の空間的マップを提供する。静的造影で、平均値のみ測定される(例えば標準化取り込み値、SUV)。第二のタイプは、動的トレーサー造影と称され、これは、トレーサー取り込みの時間的および空間的パターンの両方を表示することにより、インビボ生物学に関して相当多くの情報を提供できる。例えば、Muzi et al. Magn Reson Imaging. 2012 30(9): 1203-1215参照。[18F]-A02-4PEG-DBCO-FPPEGAおよび[18F]-E01-4PEG-DBCO-FPPEGAなどのPD-L1アドネクチン造影剤を、静的トレーサー造影または動的トレーサー造影で使用し得る。
トレーサー取り込みの提供のために、医師は、PETまたはCT走査で腫瘍病変を目視により決定し、これらの病変周囲に注目画像領域(ROI)を決定し得る。これらのROIにおける[18F]PD-L1-取り込みを、体重および注射用量と相関させ、標準化取り込み値(SUVmaxおよびSUV平均)として定量し得る。
断層撮影画像を、画像再構築により得る。放射性トレーサーの分布を決定するために、ROIを、肺、肝臓、心臓、腎臓、皮膚または他の臓器および組織(例えば、癌組織)を含むが、これらに限定されない、再構築画像に引き得る。これらの領域での経時的放射性トレーサー取り込みを使用して、あらゆる介入の非存在または試験した種々の投与パラダイムでの非標識抗PD-L1アドネクチン存在下に得た時間活性曲線(TAC)を作成する。データを放射活性/単位時間/単位体積(μci/cc/mCi注射用量)として表し得る。
PETを、解剖学的基準点目的で低用量または診断的CT走査に付随させ得る。
IX. 18F標識抗PD-L1アドネクチンでのPET操作の例示
PD-L1結合剤をフルオライド-18(18F)で標識することにより、連続[18F]PD-L1-PET走査を使用して、全身分布、薬物動態(PK)および薬力学(PD)を評価し、処置効果の知見と関連付け得る。これは、患者選択を助け、おそらく、将来のPD1/PD-L1チェックポイント阻害剤に対する応答の(早期)バイオマーカーとして働く。
18F標識抗PD-L1アドネクチン造影剤、例えば、[18F]-A02-4PEG-DBCO-FPPEGAまたは[18F]-E01-4PEG-DBCO-FPPEGAなどの18F標識造影剤での例示的PET操作は次の通りである。
ある実施態様において、方法は、(a)対象、例えば、ヒトに、約3~10mCi(100~333MBq)の用量でPD-L1造影剤、例えば、18F標識PD-L1アドネクチン造影剤を投与し;そして(b)操作(a)の後、約1~120分(例えば30~120分、30~60分または60~120分)対象のPET走査を行うことを含む。PET走査は静的PET走査または動的PET走査であり得る。PET走査が静的PET走査であるならば、PET走査を、PD-L1造影剤投与後30~120分、30~60分または60~120分行ってよく、PET走査が動的PET走査であるならば、PD-L1造影剤投与後1~120分、30~120分、30~60分または60~120分、例えば、注射後1分、35分、70分および105分に行い得る。動的PET走査を、30~120分、例えば、30~60分、例えば、30分または60分の総時間、種々のフレーム長で行い得る。走査は全身走査または身体部分走査、例えば、単一腫瘍の走査であり得る。例えば、動的PET走査は単一腫瘍の走査であってよく、静的PET走査は全身走査であってよい。ある実施態様において、投与する用量は約200~225MBq(すなわち、±10%)または約6mCi(すなわち、±10%)であり得る。
ある実施態様において、対象は癌を有する対象であり、方法は、(a)対象に、約3~10mCi(100~333MBq)の用量でPD-L1造影剤、例えば、18F標識PD-L1アドネクチン造影剤を投与し;そして(b)段階(a)の後、約1~120分(例えば30~120分、30~60分または60~120分)対象のPET走査を行うことを含み、ここで、段階(a)および(b)を癌処置開始前に行う。ある実施態様において、対象は癌を有する対象であり、方法は、(a)対象に、約3~10mCi(100~333MBq)の用量でPD-L1造影剤、例えば、18F標識PD-L1アドネクチン造影剤を投与し;そして(b) 段階(a)の後、約1~120分(例えば30~120分、30~60分または60~120分)対象のPET走査を行うことを含み、ここで、段階(a)および(b)は、少なくとも2時点で実際され、例えば、一方は癌処置開始前であり、もう一方は癌処置中でありまたは両時点とも癌処置中である。2時点は、例えば、1~10週、例えば2~8週、例えば5~7週、例えば6週の時間離れる。ある実施態様において、段階(a)および(b)は少なくとも3、4、5またはそれ以上の時点で実施され、ここで、連続する時点は、例えば、1~10週、例えば2~8週、例えば5~7週、例えば6週の時間を置く。
ある実施態様において、対象は癌を有する対象であり、対象は免疫療法、例えば、PD-1アンタゴニストおよび/またはPD-L1アンタゴニストで処置されており、方法は、(a)対象に、約3~10mCi(100~333MBq)の用量でPD-L1造影剤、例えば、18F標識PD-L1アドネクチン造影剤を投与し;そして(b) 段階(a)の後、約1~120分(例えば30~120分、30~60分または60~120分)対象のPET走査を行うことを含み、ここで、段階(a)および(b)は少なくとも2、3、4または5時点実施され、例えば、その一方は免疫療法処置開始前であり、もう一方は免疫療法処置中でありまたは両時点とも免疫療法処置中である。
ある実施態様において、対象は癌を有する対象であり、対象は免疫療法、例えば、PD-1アンタゴニストおよび/またはPD-L1アンタゴニストで処置されており、方法は、(a)対象に、約3~10mCi(100~333MBq)の用量でPD-L1造影剤、例えば、18F標識PD-L1アドネクチン造影剤を投与し;そして(b)段階(a)の後、約1~120分(例えば30~120分、30~60分または60~120分)対象のPET走査を行うことを含み、ここで、段階(a)および(b)は少なくとも1、2、3、4または5時点で実施され、例えば、その一方は免疫療法処置開始前であり、段階(a)および(b)を1回を超えて反復するならば、その一方は免疫療法処置中でありまたは全ての時点は免疫療法処置中であり、PET走査の結果は対象のさらなる処置の情報を与える。例えば、PET走査の結果は処置中に対象の腫瘍のサイズが小さくなっていないことを示めし得て、これは、処置が成功していないことを示し、処置を変更するか中止すべきことを示す。
あるいは、処置前、第一走査が、対象の腫瘍の大部分はPD-L1を発現しておらず、PD-1アンタゴニストおよび/またはPD-L1アンタゴニストでの処置は成功していないことを示し得る。従って、ここに提供されるのは、癌を有する対象を処置する方法であり、
(a)それを必要とする対象に抗PD-L1アドネクチンを含む造影剤を投与し、そして1以上の腫瘍におけるPD-L1の存在の決定のために対象の少なくとも一部の画像(静的または動的)を得て;そして、PD-L1が1以上の腫瘍で検出されたならば、
(b)対象に、抗腫瘍治療、例えば、PD-1とPD-L1の相互作用を阻害する薬剤(PD-1またはPD-L1アンタゴニスト)、例えば、オプジーボTM、キイトルーダTMまたはTECENTRIQTMを投与する
ことを含む、方法である。
また提供されるのは、癌を有する対象がPD-1またはPD-L1アンタゴニストでの治療に応答する可能性があるか否かを予測する方法であって、(a)それを必要とする対象に抗PD-L1アドネクチンを含む造影剤を投与し、そして1以上の腫瘍におけるPD-L1の存在の決定のために対象の少なくとも一部の画像(静的または動的)を得ることを含み;そして、PD-L1が1以上の腫瘍で検出されたならば、対象は、PD-1またはPD-L1アンタゴニストでの治療に応答する可能性がある、方法である。
方法は、腫瘍試料におけるまたは数腫瘍にわたる平均で細胞の少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%がPD-L1陽性であるとき、抗腫瘍治療を行うことを含む。ある実施態様において、対象が腫瘍試料におけるまたは数腫瘍にわたる平均で細胞の少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%がPD-L1陽性でない限り、対象に抗腫瘍治療、例えば、PD-1またはPD-L1アンタゴニストを投与しない。ある実施態様において、1以上の腫瘍で検出されるPD-L1レベルがPD-1またはPD-L1アンタゴニスト治療での処置を受ける必要があるPD-L1レベルと少なくとも同等であるならば、抗腫瘍治療を行う。
段階(a)および(b)を1回を超えて反復する方法は、第一時点で実施したPET走査と第二時点および/またはその後の時点で実施したPET走査を比較することを含み得る。このような比較は、患者の疾患進行、患者の処置に対する応答、患者の有害反応の可能性またはその他の情報を与え得る。
ある実施態様において、対象は癌を有する対象であり、対象は免疫療法、例えば、PD-1アンタゴニストおよび/またはPD-L1アンタゴニストで処置されており、方法は、(a)対象に、約3~10mCi(100~333MBq)の用量でPD-L1造影剤、例えば、18F標識PD-L1アドネクチン造影剤を投与し;そして(b)段階(a)の後、約1~120分(例えば30~120分、30~60分または60~120分)対象のPET走査を行うことを含み、ここで、段階(a)および(b)は少なくとも1、2、3、4または5時点で実施され、例えば、その一つは免疫療法処置開始前であり、段階(a)および(b)を1回を超えて反復するならば、その一方は免疫療法処置中でありまたは全時点は免疫療法処置中であり、ここで、18F標識PD-L1アドネクチン造影剤は、次の1つを含む:
A02アドネクチン(すなわち、配列番号81、82および83)の修飾ループBC、DEおよびFG;またはA02アドネクチンにおける対応するループとこれらループの1つが1アミノ酸欠失、付加または置換で異なる;A02アドネクチンにおける対応するループとこれらループの2つの各々が1アミノ酸欠失、付加または置換(例えば、保存的アミノ酸置換)で異なる;またはA02アドネクチンにおける対応するループとこれらループの3つの各々が1アミノ酸欠失、付加または置換で異なるおよびアドネクチンはBiacoreで決定してヒトPD-L1に特異的に結合する;
E01アドネクチン(すなわち、配列番号97、98および99))の修飾ループBC、DEおよびFG;またはE01アドネクチンにおける対応するループとこれらループの1つが1アミノ酸欠失、付加または置換で異なる;E01アドネクチンにおける対応するループとこれらループの2つの各々が1アミノ酸欠失、付加または置換(例えば、保存的アミノ酸置換)で異なる;またはE01アドネクチンにおける対応するループとこれらループの3つの各々が1アミノ酸欠失、付加または置換で異なるおよびアドネクチンはBiacoreで決定してヒトPD-L1に特異的に結合する;
A02アドネクチン(例えば、配列番号80および84~91の何れか)またはE01アドネクチン(例えば、配列番号96、100~107の何れか)のアミノ酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列、ここで、置換は保存的置換であり得て、アドネクチンはBiacoreで決定してヒトPD-L1に特異的に結合する;および/または
例えば、配列番号80および84~91の何れかを含むA02アドネクチンまたは例えば、配列番号96、100~107の何れかを含むE01アドネクチンのアミノ酸配列と1~10アミノ酸欠失、付加または置換(例えば、保存的置換)で異なるアミノ酸配列、ここで、置換は保存的置換であり得て、アドネクチンはBiacoreで決定してヒトPD-L1に特異的に結合する。
ある実施態様において、対象は癌を有する対象であり、対象は免疫療法、例えば、PD-1アンタゴニストおよび/またはPD-L1アンタゴニストで処置されており、方法は、(a)対象に、約3~10mCi(100~333MBq)の用量でPD-L1造影剤、例えば、18F標識PD-L1アドネクチン造影剤を投与し;そして(b)段階(a)の後、約1~120分(例えば30~120分、30~60分または60~120分)対象のPET走査を行うことを含み、ここで、段階(a)および(b)は少なくとも1、2、3、4または5時点で実施され、例えば、その1つは免疫療法処置開始前であり、段階(a)および(b)を1回を超えて反復するならば、その一方は免疫療法処置中でありまたは全時点は免疫療法処置中であり、ここで、18F標識PD-L1アドネクチン造影剤は[18F]-A02-4PEG-DBCO-FPPEGAであり、ここで、A02アドネクチンは配列番号80および84~91の何れかを含みまたは[18F]-E01-4PEG-DBCO-FPPEGAであり、ここで、E01アドネクチンは配列番号96および100~107の何れかを含み、4PEG-DBCO-FPPEGAの構造は図2または9に提供する構造である。対象に投与する組成物は、分子の2%が[18F]-A02-4PEG-DBCO-FPPEGAまたは[18F]-E01-4PEG-DBCO-FPPEGAおよび分子の98%がそれぞれA02-4PEG-DBCOまたはE01-4PEG-DBCOである組成物であってよく、好ましくは、30nMまたはそれ未満以下の総タンパク質が1トレーサー投与で対象に投与される。
またここに提供されるのは、癌を有する対象が例えば、PD-1またはPD-L1アンタゴニストでの免疫療法に応答する可能性があるか否かを決定する方法であり、方法は、(a)癌を有する対象に約3~10mCi(100~333MBq)の用量でPD-L1造影剤、例えば、18F標識PD-L1アドネクチン造影剤を投与し;そして(b)段階(a)の後、約1~120分(例えば30~120分、30~60分または60~120分)対象のPET走査を行うおよび対象が、PD-1またはPD-L1アンタゴニスト(例えば、オプジーボTM、キイトルーダTMまたはTECENTRIQTM)での処置を必要とするレベルと同等またはそれ以上のPD-L1レベルを1腫瘍または数腫瘍にわたり有するならば、対象は抗腫瘍治療、例えば、PD-1またはPD-L1アンタゴニスト例えば、オプジーボTM、キイトルーダTMまたはTECENTRIQTMに応答する可能性があり、ここで、18F標識PD-L1アドネクチン造影剤は、次の1つを含む:
A02アドネクチン(すなわち、配列番号81、82および83)の修飾ループBC、DEおよびFG;またはA02アドネクチンにおける対応するループとこれらループの1つが1アミノ酸欠失、付加または置換で異なる;A02アドネクチンにおける対応するループとこれらループの2つの各々が1アミノ酸欠失、付加または置換(例えば、保存的アミノ酸置換)で異なる;またはA02アドネクチンにおける対応するループとこれらループの3つの各々が1アミノ酸欠失、付加または置換で異なるおよびアドネクチンはBiacoreで決定してヒトPD-L1に特異的に結合する;
E01アドネクチン(すなわち、配列番号97、98および99))の修飾ループBC、DEおよびFG;またはE01アドネクチンにおける対応するループとこれらループの1つが1アミノ酸欠失、付加または置換で異なる;E01アドネクチンにおける対応するループとこれらループの2つの各々が1アミノ酸欠失、付加または置換(例えば、保存的アミノ酸置換)で異なる;またはE01アドネクチンにおける対応するループとこれらループの3つの各々が1アミノ酸欠失、付加または置換で異なるおよびアドネクチンはBiacoreで決定してヒトPD-L1に特異的に結合する;
A02アドネクチン(例えば、配列番号80および84~91の何れか)またはE01アドネクチン(例えば、配列番号96、100~107の何れか)のアミノ酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列、ここで、置換は保存的置換であり得て、アドネクチンはBiacoreで決定してヒトPD-L1に特異的に結合する;および/または
例えば、配列番号80および84~91の何れかを含むA02アドネクチンまたは例えば、配列番号96、100~107の何れかを含むE01アドネクチンのアミノ酸配列と1~10アミノ酸欠失、付加または置換(例えば、保存的置換)で異なるアミノ酸配列、ここで、置換は保存的置換であり得て、アドネクチンはBiacoreで決定してヒトPD-L1に特異的に結合する。
ここに提供されるのは、癌を有する対象を処置する方法であって、(a)対象に、約3~10mCi(100~333MBq)の用量でPD-L1造影剤、例えば、18F標識PD-L1アドネクチン造影剤を投与し;そして(b)段階(a)の後、約1~120分(例えば30~120分、30~60分または60~120分)対象のPET走査を行い、対象が、PD-1またはPD-L1アンタゴニスト(例えば、オプジーボTM、キイトルーダTMまたはTECENTRIQTM)での処置を必要とするレベルと同等またはそれ以上のPD-L1レベルを1腫瘍または数腫瘍にわたり有するならば、対象に抗腫瘍治療、例えば、PD-1またはPD-L1アンタゴニスト例えば、オプジーボTM、キイトルーダTMまたはTECENTRIQTMを投与することを含み、ここで、18F標識PD-L1アドネクチン造影剤は、次の1つを含む:
A02アドネクチン(すなわち、配列番号81、82および83)の修飾ループBC、DEおよびFG;またはA02アドネクチンにおける対応するループとこれらループの1つが1アミノ酸欠失、付加または置換で異なる;A02アドネクチンにおける対応するループとこれらループの2つの各々が1アミノ酸欠失、付加または置換(例えば、保存的アミノ酸置換)で異なる;またはA02アドネクチンにおける対応するループとこれらループの3つの各々が1アミノ酸欠失、付加または置換で異なるおよびアドネクチンはBiacoreで決定してヒトPD-L1に特異的に結合する;
E01アドネクチン(すなわち、配列番号97、98および99))の修飾ループBC、DEおよびFG;またはE01アドネクチンにおける対応するループとこれらループの1つが1アミノ酸欠失、付加または置換で異なる;E01アドネクチンにおける対応するループとこれらループの2つの各々が1アミノ酸欠失、付加または置換(例えば、保存的アミノ酸置換)で異なる;またはE01アドネクチンにおける対応するループとこれらループの3つの各々が1アミノ酸欠失、付加または置換で異なるおよびアドネクチンはBiacoreで決定してヒトPD-L1に特異的に結合する;
A02アドネクチン(例えば、配列番号80および84~91の何れか)またはE01アドネクチン(例えば、配列番号96、100~107の何れか)のアミノ酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列、ここで、置換は保存的置換であり得て、アドネクチンはBiacoreで決定してヒトPD-L1に特異的に結合する;および/または
例えば、配列番号80および84~91の何れかを含むA02アドネクチンまたは例えば、配列番号96、100~107の何れかを含むE01アドネクチンのアミノ酸配列と1~10アミノ酸欠失、付加または置換(例えば、保存的置換)で異なるアミノ酸配列、ここで、置換は保存的置換であり得て、アドネクチンはBiacoreで決定してヒトPD-L1に特異的に結合する。
ここに提供されるのは、癌を有する対象を処置する方法であり、(a)対象に、約3~10mCi(100~333MBq)の用量でPD-L1造影剤、例えば、18F標識PD-L1アドネクチン造影剤を投与し;そして(b)段階(a)の後、約1~120分(例えば30~120分、30~60分または60~120分)対象のPET走査を行い、対象が、PD-1またはPD-L1アンタゴニスト(例えば、オプジーボTM、キイトルーダTMまたはTECENTRIQTM)での処置を必要とするレベルと同等またはそれ以上のPD-L1レベルを1腫瘍または数腫瘍にわたり有するならば、対象に抗腫瘍治療、例えば、PD-1またはPD-L1アンタゴニスト例えば、オプジーボTM、キイトルーダTMまたはTECENTRIQTMを投与し、18F標識PD-L1アドネクチン造影剤は[18F]-A02-4PEG-DBCO-FPPEGAであり、ここで、A02アドネクチンは配列番号80および84~91の何れかを含みまたは[18F]-E01-4PEG-DBCO-FPPEGA、ここで、E01アドネクチンは配列番号96および100~107の何れかを含み、4PEG-DBCO-FPPEGAの構造は図2または9に提供する構造である。対象に投与する組成物は、分子の2%が[18F]-A02-4PEG-DBCO-FPPEGAまたは[18F]-E01-4PEG-DBCO-FPPEGAおよび分子の98%がそれぞれA02-4PEG-DBCOまたはE01-4PEG-DBCOである組成物であってよく、ここで、好ましくは、30nMまたはそれ未満の総タンパク質が1トレーサー投与で対象に投与される。
X. 抗PD-L1アドネクチンでのPD-L1の検出
PD-L1のインビボでの検出に加えて、ここに記載するもののような抗PDL1アドネクチンを、サンプル中の標的分子の検出に使用し得る。方法は、サンプルとここに記載する抗PD-L1アドネクチンを接触させ、ここで、該接触は、抗PD-L1アドネクチン-標的複合体形成を可能とする条件下で行われ;そして、該複合体を検出し、それにより、該サンプル中の該標的を検出することを含む。検出は、例えば、X線検査、免疫学的アッセイ、蛍光検出、質量分析または表面プラズモン共鳴などの、任意の当分野で認識される技法を使用して実施し得る。サンプルはヒトまたは他の哺乳動物からであり得る。診断目的で、適切な薬剤は、全身造影のための放射性同位体ならびにサンプル試験のための放射性同位体、酵素、蛍光標識および他の適当な抗体タグを含む、検出可能標識である。
検出可能標識は、コロイド金などの金属ゾル、例えばN、NSまたはNタイプのペプチド性キレート剤と提示されるI125またはTc99などの同位体、蛍光マーカー、ビオチン、発光マーカー、リン光マーカーなどを含む発色団を含む粒子標識ならびにある基質を検出可能マーカーに変換する酵素標識およびポリメラーゼ連鎖反応によるなどの増幅後明らかにされるポリヌクレオチドタグを含む、インビトロ診断分野で現在使用されている種々のタイプの何れでもよい。次いで、ビオチニル化抗体は、アビジンまたはストレプトアビジン結合により検出可能となる。適当な酵素標識は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなどを含む。例えば、標識は、アダマンチルメトキシホスホリルオキシフェニルジオキセタン(AMPPD)、ジナトリウム3-(4-(メトキシスピロ{1,2-ジオキセタン-3,2’-(5’-クロロ)トリシクロ{3.3.1.1 3,7}デカン}-4-イル)フェニルホスフェート(CSPD)の変換後化学発光の存在または形成の測定により検出される酵素アルカリホスファターゼならびにCDPおよびCDP-star(登録商標)などの1,2-ジオキセタン基質または他の当業者に周知の発光基質、例えばテルビウム(III)およびユーロピウム(III)などの適当なランタニドのキレートであり得る。他の標識は、造影セクジョンにおいて上記したものを含む。検出手段は、選択標識により決定される。標識またはその反応産物の出現を、標識が粒子であり、適切なレベルで蓄積する場合、裸眼でまたは分光光度計、ルミノメーター、蛍光光度計などの装置を使用して達成でき、全て慣行に従う。
ある実施態様において、コンジュゲーション方法は、実質的に(またはほぼ)非免疫原性である結合、例えば、ペプチド-(すなわちアミド-)、スルフィド-、(立体障害)、ジスルフィド-、ヒドラゾン-およびエーテル結合をもたらす。これらの結合はほぼ非免疫原性であり、血清内で妥当な安定性を示す(例えばSenter, P. D., Curr. Opin. Chem. Biol. 13 (2009) 235-244; WO2009/059278; WO95/17886参照)。
部分およびアドネクチンの生物化学的性質によって、種々のコンジュゲーション戦略を用い得る。部分が50~500アミノ酸の天然に存在するまたは組み換えポリペプチドである場合、タンパク質コンジュゲートの合成の化学を記載する教科書に標準操作があり、これは当業者が容易に従い得る(例えばHackenberger, C. P. R.およびSchwarzer, D., Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 47 (2008) 10030-10074)。ある実施態様において、マレインイミド部分と、アドネクチンまたは部分内のシステイン残基の反応が使用される。あるいは、アドネクチンのC末端へのカップリングが実施される。タンパク質のC末端修飾は、例えば、Sunbul, M. and Yin, J., Org. Biomol. Chem. 7 (2009) 3361-3371)にキシのとおり、実施され得る。部分がペプチドまたはポリペプチドであるとき、アドネクチンおよび部分を、所望によりここに開示するリンカーと共に、標準遺伝子融合で融合させ得る。
一般に、部位特異的反応および共有結合カップリングは、存在する他の官能基の反応性と直交的である、反応性を有するアミノ酸への天然アミノ酸の変換に基づく。例えば、稀な配列構成内の特定のシステインを、アルデヒドに酵素的に変換し得る(Frese, M. A. and Dierks, T., ChemBioChem. 10 (2009) 425-427参照)。所望のアミノ酸修飾を、ある酵素とある配列構成の天然アミノ酸の特異的酵素反応性を利用して得ることも可能である(例えば、Taki, M. et al., Prot. Eng. Des. Sel. 17 (2004) 119-126; Gautier, A. et al. Chem. Biol. 15 (2008) 128-136参照)。C-N結合のプロテアーゼ触媒形成は、Bordusa, F., Highlights in Bioorganic Chemistry (2004) 389-403に記載される。
部位特異的反応および共有結合カップリングはまた末端アミノ酸と適切な修飾試薬の選択的反応によっても達成され得る。N末端システインとベンゾニトリルの反応性(Ren, H. et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 48 (2009) 9658-9662参照)を使用して、部位特異的共有結合カップリングを達成できる。天然の化学的ライゲーションはまたC末端システイン残基に依存する(Taylor, E. Vogel; Imperiali, B, Nucleic Acids and Molecular Biology (2009), 22 (Protein Engineering), 65-96)。EP1074563は、正に荷電したアミノ酸のストレッチに位置するシステインより負に荷電したアミノ酸のストレッチ内のシステインの反応が速いことを利用するコンジュゲーション方法を記載する。
部分はまた合成ペプチドまたはペプチド模倣体であり得る。ポリペプチドが化学的に合成されているとき、直交的化学反応性を有するアミノ酸を、このような合成中に取り込み得る(例えばde Graaf, A. J. et al., Bioconjug. Chem. 20 (2009) 1281-1295参照)。広範な種々の直交性官能基が議論されており、合成ペプチドに導入され得るため、このようなペプチドのリンカーへのコンジュゲーションは標準的化学である。
単標識ポリペプチドを得るために、1:1化学量論のコンジュゲートを、他のコンジュゲーション副産物からクロマトグラフィーで分離する。この操作は、色素標識結合対メンバーおよび荷電リンカーの使用により促進され得る。この種の標識および高度に負に荷電した結合対メンバーの使用により、単コンジュゲートポリペプチドは、荷電および分子量の違いを分離に使用できるため、非標識ポリペプチドおよび1を超えるリンカーを担持するポリペプチドから、容易に分離される。蛍光色素は、複合体を標識一価バインダーなどの非結合成分から精製するのに有用であり得る。
XI. 18F標識抗PD-L1アドネクチンの合成
18F標識抗PD-L1アドネクチンを、まず18F放射標識補欠分子族を製造し、アドネクチンを二機能性キレート剤に結合させ、次いで、これら2試薬を合わせることにより、製造できる(例えば、図9参照)。
18F放射標識補欠分子族
ある態様において、ここに提供されるのは、水耐性条件下、選択的に進むアジドおよびシクロオクチン間の1,3-二極性シクロ付加を含む、生体直交型反応に使用するための、補欠分子族を含む18F放射標識化合物である。ここに開示する18F放射標識補欠分子族は、100%水溶液に可溶性であり、補欠分子族のここに開示する抗PD-L1アドネクチンへの結合に有機相は必要ない。分解および凝集問題を考えると、少量の有機溶媒でさえ耐えられない抗PD-L1アドネクチンに補欠分子族を結合させるのに有機相が必要ないため、この性質は特に有利である。
さらに、脂肪族補欠分子族と異なり、18Fフッ素付加反応はUVによりモニターでき、ここに記載する18F放射標識補欠分子族は揮発性ではない。さらに、18F放射標識補欠分子族は、例えば、実施例に記載するとおり、無銅クリック化学を使用して抗PD-L1アドネクチンに取り込まれ得て、それ故に、銅介在クリック化学を使用したときに一部生物製剤で見られる安定性問題を回避する。
ある態様において、ここに提供されるのは、次の構造
Figure 0007016323000006
〔式中、xは1~8の整数である〕
でアジドに共有結合したペグ化18F-ピリジンである。ある実施態様において、xは2~6の整数である。ある実施態様において、xは3~5の整数である。ある実施態様において、xは4であるある実施態様において、18Fは、N原子に対してオルトでピリジンに結合する。ある実施態様において、[O(CH)]部分は、ピリジン環の窒素に対して1-3配置で存在する。ある実施態様において、[O(CH)]部分は、ピリジン環の窒素に対して1-2配置で存在する。ある実施態様において、[O(CH)]部分は、ピリジン環の窒素に対して1-4配置で存在する。
ある実施態様において、18F放射標識化合物は構造
Figure 0007016323000007
〔式中、xは1~8の整数である〕
を有する。ある実施態様において、xは2~6の整数である。ある実施態様において、xは3~5の整数である。ある実施態様において、xは4である。
ある実施態様において、18F放射標識化合物は構造
Figure 0007016323000008
〔式中、xは1~8の整数である〕
を有する。ある実施態様において、xは2~6の整数である。ある実施態様において、xは3~5の整数である。ある実施態様において、xは4である。
ある実施態様において、18F放射標識化合物は[18F]-3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-フルオロピリジン(18F-FPPEGA)であり、構造
Figure 0007016323000009
を有する。
ある実施態様において、18F放射標識補欠分子族は、フッ素付加反応を妨害しないさらなる基をピリジン環上に含み得る。ある実施態様において、ピリジン環へのピリジン環は、C1-6アルキル基、例えばメチル、エチルおよびプロピルを含む。
ある実施態様において、18F放射標識補欠分子族は、次の構造
Figure 0007016323000010
〔式中、“OPEG”は[O(CH)]であり、xは1~8の整数である〕
を有する縮合環系である。ある実施態様において、xは2~6の整数である。ある実施態様において、xは3~5の整数である。ある実施態様において、xは4である。
ここに記載する18F放射標識補欠分子族は、ここでの実施例に記載する化学反応を使用して製造し得る。
またここに提供されるのは、次の構造
Figure 0007016323000011
〔式中、xは1~8の整数である〕
でアジドに共有結合したペグ化18F-ピリジンを製造する方法であり、方法は、
(a)次の構造
Figure 0007016323000012
〔式中、xは1~8の整数であり、RはNO2、Br、Fまたは
Figure 0007016323000013
であり、ピリジン環のN原子に対してオルトである〕
を有する化合物を準備し;
(b)18Fの18O水、4,7,13,16,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサンおよび弱塩基中の混合物を準備し;
(c)工程b)からの混合物を乾燥させて、固体を形成させ;そして
(d)工程a)の溶液と工程c)の固体を反応させて、18F標識化合物を形成させる
ことを含む。
ある実施態様において、方法は、次の構造
Figure 0007016323000014
(ここで、18FはN原子に対してオルトである)
を有する18F-ピリジン補欠分子族を製造し、
(a)構造
Figure 0007016323000015
(ここで、XはN原子に対してオルトである)〔式中、XはNO、Brまたは
Figure 0007016323000016
である〕
の化合物の溶液を準備し;
(b)18Fの18O水、4,7,13,16,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサンおよびKCOなどの弱塩基中有の混合物を提供し;
(c)工程b)からの混合物を乾燥させて、固体を形成させ;そして
(d)工程a)の溶液と工程c)の固体を反応させて、18F標識化合物を形成させる
工程を含む。
ある実施態様において、方法は、さらに次の構造
Figure 0007016323000017
の化合物を、次のスキームIに従い製造する工程を含む。
Figure 0007016323000018
ある実施態様において、方法は、次の反応条件により、dから18F-ピリジン補欠分子族[18F]-3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-フルオロピリジン(18F-FPPEGA)eを製造することを含む。
Figure 0007016323000019
18F放射標識PD-L1アドネクチン
ある態様において、ここに提供されるのは、次の構造を有する18F放射標識プローブまたは薬剤である。
Figure 0007016323000020
(式中、タンパク質はPD-L1アドネクチンであり、xは1~8の整数である)。ある実施態様において、xは2~6の整数である。ある実施態様において、xは3~5の整数である。ある実施態様において、xは4である。
BFC
ここに開示する18F放射標識組成物で使用し得る二機能性キレートまたは接合(BFC)部分は、市販されている(例えば、Sigma Aldrich;クリック化学ツール)または周知化学反応により合成し得る。
ある実施態様において、BFCは、シクロオクチンベースのキレート剤(例えば、DBCO、DIBO)、DFO、DOTAおよびその誘導体(CB-DO2A、3p-C-DEPA、TCMC、Oxo-DO3A)、TE2A、CB-TE2A、CB-TE1A1P、CB-TE2P、MM-TE2A、DM-TE2A、diamsarおよび誘導体、NODASA、NODAGA、NOTA、NETA、TACN-TM、DTPA、1B4M-DTPA、CHX-A’’-DTPA、TRAP(PRP9)、NOPO、AAZTAおよび誘導体(DATA)、Hdedpa、Hoctapa、Hazapa、Hdecapa、Hphospa、HBED、SHBED、BPCA、CP256、PCTA、HEHA、PEPA、EDTA、TETAおよびTRITAベースのキレート剤およびその近似アナログおよび誘導体から選択される。キレート剤と放射性核種の適当な組み合わせは、Price et al., Chem Soc Rev 2014;43:260-90に広く記載される。
ある実施態様において、BFCは、ターゲティングタンパク質またはペプチド上のアミン、カルボキシル、カルボニルまたはチオール官能基と共有結合を形成する反応性を含むシクロオクチンである。シクロオクチン上の反応性着は、エステル、酸、ヒドロキシル基、アミノオキシ基、マレイミド、α-ハロゲンケトンおよびα-ハロゲンアセトアミドを含む。
ある実施態様において、BFCは、ジベンゾシクロオクチン(DIBO)、ビアリールアザシクロオクチノン(BARAC)、ジメトキシアザシクロオクチン(DIMAC)およびジベンゾシクロオクチン(DBCO)であるシクロオクチンである。ある実施態様において、シクロオクチンはDBCOである。
ある実施態様において、シクロオクチンは、親水性ポリエチレングリコール(PEG)スペーサーアームを含み、ここで、yは1~8の整数である。ある実施態様において、yは2~6の整数である。ある実施態様において、yは4または5である。
ある実施態様において、BFCは、1級アミンと特異的かつ効率的に反応するDBCO-PEG4-NHS-エステルまたはDBCO-スルホ-NHS-エステルである(例えば、リシン残基の側鎖またはアミノシラン被覆表面)。ある実施態様において、BFCは、安定なアミド結合を形成する、アクティベーター(例えばEDC)存在下で1級または2級アミン基と反応できる、末端カルボン酸(-COOH)を有するDBCO-PEG4-酸である。ある実施態様において、BFCは、アクティベーター(例えばEDCまたはDCC)存在下カルボキシル基とまたは安定なアミド結合を形成する活性化エステル(例えばNHSエステル)と反応する、DBCO-PEG4-アミンである。
ある実施態様において、BFCは、例えば、ポリペプチドのC末端またはその近辺で、システイン残基上のスルフヒドリル基と反応するDBCO-PEG4-マレイミドである。
ある実施態様において、ポリペプチドは、システイン付加により、そのC末端を修飾される。例えば、Pを、ポリペプチドのC末端アミノ酸残基に結合でき、ここで、Pはプロリンであり、Cはシステインであり、mは少なくとも0の整数であり、nは少なくとも1の整数である。このような修飾を行う方法は、当分野で周知である。
ある実施態様において、18F放射標識プローブまたは薬剤は、次の構造a、
Figure 0007016323000021
を有し、ここで、BFCは、システイン残基でタンパク質(例えば、抗PD-L1アドネクチン)にコンジュゲートする。
ここに記載する18F放射標識ターゲティング薬剤は、ここに記載する操作により、インビボでの直接使用に適する媒体(例えば、食塩水)中、生体直交型、無金属クリック化学を使用して製造される。
XIII. キットおよび製品
ここに記載する抗PD-L1アドネクチンは、予定量の薬剤と、ここに記載する方法の使用指示の組み合わせ包装物である、キットで提供され得る。
例えば、ある実施態様において、ここに記載する障害または状態の処置または予防またはここに記載する検出方法に有用な物質を含む製品が提供される。製品は、容器およびラベルを含む。適当な容器は、例えば、ビン、バイアル、シリンジおよび試験管を含む。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの種々の材料から製造され得る。容器は、インビボ造影用のここに記載する組成物を含み、無菌アクセスポートを有し得る(例えば容器は皮下注射針により穿刺可能な栓を有する静脈内溶液バッグまたはバイアルである)。組成物中の活性剤は、例えば、ここに記載の、抗PD-L1アドネクチンまたはその誘導体もしくは前駆体である。製品は、さrない、リン酸緩衝化食塩水、リンゲル液およびデキストロース溶液などの薬学的に許容される緩衝液を含む、第二容器を含み得る。他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジおよび使用指示を含む添付文書を含む、商業的および使用者観点から望ましい他の物もさらに含み得る。
ある実施態様において、キットは、ここにさらに記載するとおり、[18F]-PD-L1アドネクチン-4-PEG-DBCO-FPPEGAなどの、18F標識抗PD-L1アドネクチンインビボ造影剤の形成に必要な1以上の試薬を含む。例えば、キットは、PD-L1アドネクチン-4-PEG-DBCOを含む第一バイアルおよび[18F]FPPEGAを含む第二バイアルを含み得る。キットは、PD-L1アドネクチン-4-PEG-DBCOを含む第一バイアル、[18F]FPPEGAの非放射標識前駆体、例えば、4-PEG-トシル-アジドを含む第二バイアルおよび所望により、18F(例えば、O18水中に)を含む第三バイアルを含み得る。キットは、さらに[18F]-PD-L1アドネクチン-4-PEG-DBCO-FPPEGAの製造に必要なバイアル、溶液および所望によりさらなる試薬を含み得る。キットは、実施例に記載の方法に従い、[18F]-PD-L1アドネクチン-4-PEG-DBCO-FPPEGAを完全合成するための指示を含み得る。
同様に、キットは、ここに記載する試薬のような、64Cu標識抗PD-L1アドネクチン形成に必要な試薬を含み得る。
XIV.実施態様の例示
1. フィブロネクチンIII型第10ドメイン(10Fn3)を含むポリペプチドであり、ここで、(a)10Fn3ドメインがAB、BC、CD、DE、EFおよびFGループを含み、(b)該10Fn3が、ヒト10Fn3ドメイン(配列番号1)の対応するループの配列と比較して改変されたアミノ酸配列を有するループBC、DEおよびFGから選択される少なくとも1つのループを有し、そして(c)そのポリペプチドはPD-L1に特異的に結合する、ポリペプチド。
2. ポリペプチドが500mMまたはそれ未満のKでPD-L1に結合する、実施態様1のポリペプチド。
3. ポリペプチドが100mMまたはそれ未満のKでPD-L1に結合する、実施態様2のポリペプチド。
4. BC、DEおよびFGループが
(a)それぞれ配列番号6、7および8;
(b)それぞれ配列番号21、22および23;
(c)それぞれ配列番号36、37および38;
(d)それぞれ配列番号51、52および53;
(e)それぞれ配列番号66、67および68;
(f)それぞれ配列番号81、82および83;または
(g)それぞれ配列番号97、98および99である、
アミノ酸配列を含む、実施態様1~3の何れかのポリペプチド。
5. ポリペプチドが配列番号5、20、35、50、65、80または96と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施態様1~4の何れかのポリペプチド。
6. ポリペプチドが配列番号80と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施態様5のポリペプチド。
7. ポリペプチドが配列番号96と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施態様5のポリペプチド。
8. ポリペプチドが配列番号5、20、35、50、65、80または96の非BC、DEおよびFGループ領域と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施態様1~7の何れかのポリペプチド。
9. ポリペプチドが配列番号9~15、24~30、39~45、54~60、69~75、84~91および100~107からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施態様1~7の何れかのポリペプチド。
10. ポリペプチドが配列番号9~15、24~30、39~45、54~60、69~75、84~91および100~107からなる群から選択されるアミノ酸配列の非BC、DEおよびFGループ領域と少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、実施態様1~7および9の何れかのポリペプチド。
11. ポリペプチドが配列番号112~121からなる群から選択されるN末端リーダーおよび/または配列番号122~156からなる群から選択されるC末端テイルを含む、実施態様1~10の何れかのポリペプチド。
12. ポリペプチドがポリエチレングリコール、シアル酸、Fc、Fcフラグメント、トランスフェリン、血清アルブミン、血清アルブミン結合タンパク質および血清免疫グロブリン結合タンパク質からなる群から選択される1つまたはそれを超える薬物動態(PK)部分を含む、実施態様1~11の何れかのポリペプチド。
13. PK部分およびポリペプチドが少なくとも1つのジスルフィド結合、ペプチド結合、ポリペプチド、重合糖またはポリエチレングリコール部分を介して結合される、実施態様12のポリペプチド。
14. PK部分とポリペプチドが配列番号167~216からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するリンカーで結合される、実施態様13のポリペプチド。
15. 実施態様1~14の何れかのポリペプチドをコードする核酸。
16. 核酸が配列番号16~19、31~34、46~49、61~64、76~79、92~95および108~111からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、実施態様15の核酸。
17. 実施態様15の核酸を含む、ベクター。
18. 実施態様15の核酸を含む、細胞。
19. 実施態様1~14の何れかのポリペプチドおよび担体を含む、組成物。
20. 実施態様1~14の何れかのポリペプチドおよび検出可能標識を含む、造影剤。
21. 検出可能標識が陽電子放出断層撮影により検出可能である、実施態様20の造影剤。
22. ポリペプチドがDFO、DOTA、CB-DO2A、3p-C-DEPA、TCMC、DBCO、DIBO、BARAC、DIMAC、Oxo-DO3A、TE2A、CB-TE2A、CB-TE1A1P、CB-TE2P、MM-TE2A、DM-TE2A、diamsar、NODASA、NODAGA、NOTA、NETA、TACN-TM、DTPA、1B4M-DTPA、CHX-A’’-DTPA、TRAP、NOPO、AAZTA、データ、Hdedpa、Hoctapa、Hazapa、Hdecapa、Hphospa、HBED、SHBED、BPCA、CP256、PCTA、HEHA、PEPA、EDTA、TETAおよびTRITAからなる群から選択される部分により検出可能標識にコンジュゲートする、実施態様20または21の造影剤。
23. コンジュゲート部分がNODAGAである、実施態様22の造影剤。
24. 検出可能標識が放射性核種である、実施態様20~23の何れかの造影剤。
25. 放射性核種が64Cu、124I、76/77Br、86Y、89Zr、68Ga、18F、11C、125I、124I、131I、123I、131I、123I、32Cl、33Cl、34Cl、68Ga、74Br、75Br、76Br、77Br、78Br、89Zr、186Re、188Re、90Y、177Lu、99Tcまたは153Smからなる群から選択される、実施態様24の造影剤。
26. 放射性核種が18Fである、実施態様25の造影剤。
27. 放射性核種が64Cuである、実施態様25の造影剤。
28. キレート剤がNODAGAであり、放射性核種が64Cuである、実施態様24の造影剤。
29. 造影剤が実施態様6のポリペプチド、NODAGAおよび放射性核種64Cuを含む、実施態様24の造影剤
30. 造影剤が実施態様7のポリペプチド、NODAGAおよび放射性核種64Cuをp含む、実施態様24の造影剤
31. 実施態様1~14の何れかのポリペプチド、18F放射標識補欠分子族および二機能性接合(BFC)部分を含む造影剤であって、該造影剤が次の構造
Figure 0007016323000022
を有し、ここで、18FがN原子に対してオルトであり、xが1~8の整数であるものであるかまたはその薬学的に許容される塩である、造影剤。
32. 18F放射標識補欠分子族が次の構造
Figure 0007016323000023
を有する、実施態様31の造影剤
33. [O(CH)]部分がピリジン環の窒素に対して1-3配置で存在する、実施態様31または32の造影剤。
34. [O(CH)]部分がピリジン環の窒素に対して1-2配置で存在する、実施態様31または32の造影剤。
35. [O(CH)]部分がピリジン環の窒素に対して1-4配置で存在する、実施態様31または32の造影剤。
36. 18F放射標識補欠分子族が次の構造
Figure 0007016323000024
を有する、実施態様31に記載の造影剤。
37. xが2~6の整数である、実施態様31~36の何れかに記載の造影剤。
38. xが3~5の整数である、実施態様37の造影剤。
39. xが4である、実施態様37の造影剤。
40. [O(CH)]部分がピリジン環の窒素に対して1-3配置で存在する、実施態様31~39の何れかの造影剤。
41. ピリジン環がフッ素化反応を妨害しないさらなる置換基を含む、実施態様31~40の何れかの造影剤。
42. ピリジン環の置換基がC1-6アルキルである、実施態様41の造影剤。
43. 置換基がメチル、エチルまたはプロピルである、実施態様42の造影剤。
44. 、18F放射標識補欠分子族が構造
Figure 0007016323000025
を有する、実施態様31の造影剤。
45. 実施態様1~14の何れかのポリペプチド、18F放射標識補欠分子族および二機能性接合(BFC)部分を含む造影剤であって、造影剤が次の構造
Figure 0007016323000026
を有し、ここで、“OPEG”が[O(CH)]であり、xが1~8の整数であるものであるまたはその薬学的に許容される塩であり、ここで、“タンパク質”が実施態様1~14の何れかに記載の造影剤に含まれるポリペプチドである、造影剤。
46. xが2~6の整数である、実施態様45の造影剤またはその薬学的に許容される塩。
47. xが3~5の整数である、実施態様45の造影剤またはその薬学的に許容される塩。
48. xが4である、実施態様45の造影剤またはその薬学的に許容される塩。
49. BFCがタンパク質のアミン、カルボキシル、カルボニルまたはチオール官能基と共有結合を形成する反応性基を含むシクロオクチンである、実施態様31~48の何れかの造影剤。
50. シクロオクチンがジベンゾシクロオクチン(DIBO)、ビアリールアザシクロオクチノン(BARAC)、ジメトキシアザシクロオクチン(DIMAC)およびジベンゾシクロオクチン(DBCO)からなる群から選択される、実施態様49の造影剤。
51. シクロオクチンがDBCOである、実施態様50の造影剤。
52. BFCがさらにポリエチレングリコール(PEG)スペーサーアームを含み、ここで、yが1~8の整数である、実施態様31~51の何れかの造影剤。
53. yが2~6の整数である、実施態様52の造影剤。
54. yが4または5である、実施態様52の造影剤。
55. BFCがDBCO-PEG4-NHS-エステル、DBCO-スルホ-NHS-エステル、DBCO-PEG4-酸、DBCO-PEG4-アミンまたはDBCO-PEG4-マレイミドである、実施態様52の造影剤。
56. BFCがDBCO-PEG4-マレイミドである、実施態様55の造影剤。
57. 造影剤が次の構造
Figure 0007016323000027
〔ここで、Xは配列番号13、28、43、58、73、88および104の何れかのアミノ酸配列を含むポリペプチドである〕
を有する、実施態様31の造影剤。
58. ポリペプチドが配列番号88に示すアミノ酸配列を含む、実施態様57の造影剤。
59. ポリペプチドが配列番号104に示すアミノ酸配列を含む、実施態様57の造影剤。
60. 実施態様1~14および19~59の何れかのポリペプチド、組成物または造影剤および使用指示を含む、キット。
61. サンプルと実施態様1~14の何れかのポリペプチドを接触させ、PD-L1を検出することを含む、サンプルにおけるPD-L1を検出する方法。
62. 対象に実施態様31~59の何れかの造影剤を投与し、造影剤を検出することを含み、検出された造影剤が対象におけるPD-L1陽性細胞の位置を規定する、対象におけるPD-L1陽性細胞を検出する方法。
63. 対象に実施態様31~59の何れかの造影剤を投与し、造影剤を検出することを含み、検出された造影剤が対象における腫瘍の位置を規定する、対象におけるPD-L1発現腫瘍を検出する方法。
64. 造影剤が陽電子放出断層撮影により検出される、実施態様62または63の方法。
65. 実施態様31~59の何れかの造影剤の画像を得る方法であって、
a)対象に造影剤を投与し;そして
b)陽電子放出断層撮影により造影剤の分布をインビボで造影する
ことを含む、方法。
66. PD-L1を発現する組織または細胞の定量的画像を得る方法であって、細胞または組織と実施態様31~59の何れかの造影剤を接触させ、PD-L1発現組織を、陽電子放出断層撮影を使用して検出または定量することを含む、方法。
67. 造影有効量の実施態様31~59の何れかの造影剤をPD-L1発現腫瘍を有する対象に投与し、陽電子放出断層撮影を使用して、腫瘍における該造影剤の放射性放出を検出することを含み、ここで、放射性放出が腫瘍において検出される、PD-L1発現腫瘍を検出する方法。
68. 対象におけるPD-L1発現腫瘍の存在を診断する方法であって、
(a)実施態様31~59の何れかの造影剤をそれを必要とする対象に投与し;そして
(b)造影剤の存在または不存在を検出するために、対象の少なくとも一部の放射線画像を得ることを含み;
ここで、背景を超える造影剤の存在および位置が疾患の存在および位置の指標である、方法。
69. 対象におけるPD-L1発現腫瘍に対する抗腫瘍治療の進行をモニタリングする方法であって、
(a)それを必要とする対象に実施態様31~59の何れかの造影剤を第一時点で投与し、腫瘍のサイズを決定するために、対象の少なくとも一部の画像を得て;
(b)対象に抗腫瘍治療剤を投与し;
(c)対象に造影剤をその後1以上の時点で投与し、各時点で対象の少なくとも一部の画像を得ることを含み;
ここで、各時点での腫瘍の寸法および位置が疾患進行の指標である、方法。
引用による取り込み
ここに記載する、例えば、PCT/US15/62485およびPCT/US15/62502およびウェブサイトを含む全ての文献および引用は、本明細書に完全にまたは一部記載されているのと同程度に、本明細書に引用により包含させる。
ここで、本発明を次の実施例を引用して説明し、これは単に説明であり、本発明を限定すると解釈してはならない。本発明は詳細に、そしてその具体的実施態様を引用して説明されるが、当業者には種々の変化および修飾を、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなし得ることが認識される。
実施例1:PD-L1結合アドネクチンの同定
抗PD-L1アドネクチンをヒトPD-L1タンパク質を用いてスクリーニングしたアドネクチンライブラリーから単離するかまたはライブラリーから同定されたクローンからPROfusionにより親和性成熟させた。これらのアドネクチンの完全長配列、コア配列、BC、DEおよびFGループ配列ならびに“PC”修飾C末端を有するバリアントを図1および表3に示す。
例えば、高親和性、抗PD-L1アドネクチン、ADX_5322_A02(“A02”)を、ATI-964アドネクチンの親和性成熟により得た。ATI-964をコードする遺伝子を、ループBC、DEまたはFGにおける残基をコードする各ヌクレオチド位置で非野生型ヌクレオチドの小フラクションを導入することにより、再多様化させた。次いで、ATI-964に関連する得られたアドネクチン配列のライブラリーを、高ストリンジェンシー条件下、ヒトPD-L1への結合についてPROfusion(mRNAディスプレイ)によりインビトロ選択した。完了した選択を配列決定後クローンを富化し、HTPP形式で発現させ、PD-L1に結合する能力および単量体性のフラクションについてスクリーニングした。PD-L1に対する親和性および強固な生物物理学的性質の最良の組み合わせを有するクローンを、まずC末端配列NYRTPCH6(ADX_5322_A02として同定された形態)および後にC末端配列NYRTPCで変異させてC末端システイ 親和性成熟ATI-967で同じ方法を行い、アドネクチンADX_5417_E01を得た。同様に、親和性成熟ATI_1760_C02、ATI_1760_E01(“E01”)およびATI_1760_F01を、ATI_1422_G05の親和性成熟により得た。
さらなる抗ヒトPD-L1アドネクチンを単離した。その配列を表3に示す。
hisタグ付抗PD-L1アドネクチンの発現および精製
全DNA構築物は、N末端hisタグと、続くTVMV認識配列を含んだ。上記抗PD-L1アドネクチンのための発現プラスミド(pET-28 NMベクター)をBL21(DE3)細胞(New England Biolabs)にトランスフォームした。細胞を、1L振盪フラスコで、一夜発現自動誘導(Overnight Express Autoinduction)培地(Novagen)で37℃で6時間、続いて20℃で16時間、220RPMで増殖させた。細胞を遠心分離により回収し、PBS pH7.2に懸濁した。細胞を機械的に溶解し、次いで遠心分離により浄化した。可溶性フラクションを、Ni-NTAアガロース樹脂(Qiagen)に重力送りにより結合させ、20mM Tris+10mMイミダゾールpH8.0、続いて20mM Tris+40mMイミダゾールpH8.0で洗浄し、20mM Tris+400mMイミダゾールpH8.0で溶出した。ニッケル溶離液にTVMVプロテアーゼを1:23倍モル過剰のアドネクチンと添加した。TVMV-アドネクチン溶離液混合物を、20mM Tris pH8.0に対して、4℃で16時間透析した。TVMVプロテアーゼおよび開裂hisタグフラグメントを分離するために、サンプルを10mL Histrap FFカラム(GE Healthcare)に載せ、フォロースルーフラクションを回収した。
実施例2:PD-L1アドネクチンの生物物理学評価
ATI-1420D05、ATI-1420D05、AT1-1421E04およびATI-1422G05、ATI_1760_C02、ATI_1760_E01およびATI_1760_E01の結合性を評価した。
Figure 0007016323000028
Biacoreにより決定した精製ATI-964、ATI-967、ATI-968、ADX_5322_A02およびADX_5417_E01アドネクチンのヒトまたはカニクイザルPD-L1への結合性質を表2に示す。細胞結合を、ヒトPD-L1陽性細胞L2987への結合により決定した。
Figure 0007016323000029
結合データは、親和性成熟抗ヒトPD-L1アドネクチンが、1nM未満または0.1nM未満の親和性でヒトPD-L1に結合することを示す。例示的阻害曲線を図12に示す。
抗PD-L1アドネクチンは、次のさらなる特徴を有する:
- フローサイトメトリーによりヒトPD-1FcのPD-L1陽性細胞L2987への結合阻害の測定により決定して、ヒトPD-1のヒトPD-L1への結合を阻害し、例えば、アドネクチンATI-964、ATI-965、ATI-966、ATI-967、ATI-968、A02およびE01について示す;
- ELISAにより決定して、ヒトCD80(B7-1)のヒトPD-L1への結合を阻害する。例えば、ATI-964は41pMのEC50で結合を阻害する;ATI-965は210pMのEC50で結合を阻害する;ATI-966は28pMのEC50で結合を阻害する;およびATI-968は56pMのEC50で結合を阻害する;
- ELISAにより決定して、抗PD-L1抗体12A4のヒトPD-L1への結合を阻害する。
抗PD-L1抗体を混合リンパ球反応(MLR)でも試験した:ATI-964、ATI-965およびATI-968はMLRで活性であり、ATI-966およびATI-967はMLRで活性ではなかった。
次の実施例は、18Fおよび64Cuでの抗PD-L1アドネクチンの標識に関する。
実施例3:2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネートの製造
Figure 0007016323000030
Figure 0007016323000031
((オキシビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(4-メチルベンゼンスルホネート)(5g、9.95mmol)およびナトリウムアジド(0.647g、9.95mmol)の混合物をエタノール(50mL)に溶解し、反応物を90℃で17時間にわたり還流した。溶媒を部分真空で除去し、次いで40グラムシリカカートリッジに載せ、フラッシュクロマトグラフィー(IscoCombiFlash - 45分にわたり10%酢酸エチルのヘキサン溶液から開始して、90%酢酸エチルのヘキサン溶液までの直線勾配方法を使用して溶出)を使用して精製した。プールしたフラクションをTLCで確認し、合わせて、2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネートを無色油状物として得た。2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート生成物の易反応性のため、この物質をさらに特徴付けすることなく“そのまま”次工程で使用した。
実施例4:3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-フルオロピリジンの製造
Figure 0007016323000032
水素化ナトリウム(0.129g、3.21mmol)のDMF(10mL)懸濁液に、0℃で撹拌中の2-フルオロピリジン-3-オール(0.363g、3.21mmol)のDMF(5mL)を滴下し、次いで続いて2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート(1.00g、2.68mmol)のDMF(5mL)溶液を滴下した。懸濁液を0℃で10分維持し、次いで1時間で環境温度にし、続いてさらに60℃で4時間加熱した。溶媒を減圧下除去した。100mlの酢酸エチルを添加し、続いて濃塩水溶液で3の別の洗浄抽出をした。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製物質をフラッシュクロマトグラフィー(IscoCombiFlash - 10~50%EtOAcのHex溶液で抽出)を使用して精製して、無色油状物を得た。3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-フルオロピリジン(702mg、2.233mmol、83%収率)を油状物として単離した。1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ 7.75 (dt, J=4.9, 1.6 Hz, 1H), 7.33 (ddd, J=10.0, 8.1, 1.5 Hz, 1H), 7.10 (ddd, J=7.9, 4.9, 0.7 Hz, 1H), 4.30 - 4.16 (m, 2H), 3.95 - 3.83 (m, 2H), 3.80 - 3.61 (m, 10H), 3.38 (t, J=5.1 Hz, 2H) 13C NMR (101MHz, クロロホルム-d) d 142.3, 137.7, 137.5, 123.4, 123.4, 121.7, 121.6, 77.3, 76.7, 70.9, 70.7, 70.6, 70.0, 69.4, 69.0, 50.6 19F NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ -83.55. HRMS (ESI)理論値:C13H20FN4O4+m/z 315.464;実測値315.1463
実施例5:3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-ニトロピリジンの製造
Figure 0007016323000033
Figure 0007016323000034
水素化ナトリウム(0.121g、3.01mmol)(油中60%懸濁液)をDMF(7.0mL)に溶解し、得られた懸濁液を0℃に冷却した。2-ニトロピリジン-3-オール(0.384g、2.74mmol)のDMF(1.5mL)溶液をゆっくり添加し、続いて2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート(1.023g、2.74mmol)のDMF(1.5mL)溶液を滴下した。懸濁液を0℃で10分維持し、次いで2時間で環境温度にし、続いて60℃で72時間加熱した。10mlのDI水で反応停止させ、続いて酢酸エチル抽出した(3×10mL)。プールしたEtOAc抽出物を濃塩水溶液(10mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下蒸発させて、淡黄色油状物を得た。粗製物をフラッシュクロマトグラフィーで精製した。24gシリカカートリッジ、25mL/分、10%酢酸エチルのヘキサン溶液で開始、続いて25分かけて50%酢酸エチルのヘキサン溶液まで直線的に変化させた。この後、勾配をこの溶媒組成で10分維持し、次いで10分かけて100%酢酸エチルまで変えた。3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-ニトロピリジンが、クロマトグラムの30~40分部分で溶出し、プールしたフラクションを減圧下、次いで真空で2時間蒸発させて、3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-ニトロピリジン(687mg、1.973mmol、72.0%収率)を淡黄色油状物として得た。1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ 8.11 (dt, J=4.9, 1.6 Hz, 1H), 7.60 (ddd, J=10.0, 8.1, 1.5 Hz, 1H), 7.52 (ddd, J=7.9, 4.9, 0.7 Hz, 1H), 4.30 - 4.16 (m, 2H), 3.95 - 3.83 (m, 2H), 3.80 - 3.61 (m, 10H), 3.38 (t, J=5.1 Hz, 2H) 13C NMR (101MHz, クロロホルム-d) d 147.3, 139.5, 128.4, 124.4. 71.1, 70.7, 70.6,70.0, 69.9, 69.3, 50.7. HRMS (ESI)理論値:C13H20N5O6+m/z 342.1408;実測値342.1409
実施例6:3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-ブロモピリジンの合成
Figure 0007016323000035
Figure 0007016323000036
水素化ナトリウム(NaH、25.7mg、0.643mmol)のジメチルホルムアミド(DMF、5mL)懸濁液に、0℃で2-ブロモピリジン-3-オール(112mg、0.643mmol)のDMF(1mL)溶液を滴下し、続いて2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート(200mg、0.536mmol)のDMF(1mL)溶液を滴下した。懸濁液を0℃で10分維持し、次いで環境温度とし、1時間維持し、続いて60℃で4時間加熱した。加熱完了後、粗製反応混合物の溶媒を減圧下除去した。粗製反応物を50mLの酢酸エチルに再溶解し、2×50mLの塩水溶液で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮した。粗製反応物を逆相HPLCを使用して精製して、3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-ブロモピリジン、TFA(112mg、0.229mmol、42.7%収率)を淡黄色油状物として得た。HRMS ESI m/z (M+H), 理論値C13H20BrN4O4 375.0664実測値375.0662 ; 1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 7.97 (dd, J=4.6, 1.5 Hz, 1H), 7.54 (dd, J=8.2, 1.6 Hz, 1H), 7.40 (dd, J=8.1, 4.6 Hz, 1H), 4.24 (dd, J=5.3, 3.9 Hz,2H), 3.85 - 3.78 (m, 2H), 3.68 - 3.62 (m, 2H), 3.62 - 3.52 (m, 8H), 3.42 - 3.34 (m, 2H)
実施例7:トリメチルアミニウム化合物の合成スキーム
Figure 0007016323000037
実施例8:3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-N,N-ジメチルピリジン-2-アミンの合成
Figure 0007016323000038
Figure 0007016323000039
3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-フルオロピリジン(160mg、0.509mmol)、炭酸カリウム(KCO、84mg、0.611mmol)およびジメチルアミン(40%水溶液、0.097mL、0.764mmol)のジメチルスルホキシド(DMSO、2.5mL)の混合物を、密閉耐圧容器中110℃で14時間加熱した。加熱完了後、粗製反応混合物の溶媒を減圧下除去した。粗製反応を50mLの酢酸エチルに溶解し、2×50mLの塩水溶液で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮した。粗製反応物を順相クロマトグラフィーを使用して精製して、3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-N,N-ジメチルピリジン-2-アミン(140mg、0.413mmol、81%収率)を無色油状物として得た。1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ 7.86 (dd, J=4.9, 1.5 Hz, 1H), 7.02 (dd, J=7.8, 1.5 Hz, 1H), 6.73 (dd, J=7.8, 4.9 Hz, 1H), 4.20 - 4.07 (m, 2H), 3.98 - 3.86 (m, 2H), 3.81 - 3.61 (m, 9H), 3.38 (t, J=5.1 Hz, 2H), 3.13 - 2.94 (m, 6H), 1.69 (s, 2H). HRMS (ESI)理論値:C15H26N5O4+m/z 340.1980;実測値340.1979。
実施例9:3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-N,N,N-トリメチルピリジン-2-アミニウムの合成
Figure 0007016323000040
Figure 0007016323000041
メチルトリフルオロメタンスルホネート(0.065mL、0.589mmol)を、密閉容器中、窒素気流下、3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-N,N-ジメチルピリジン-2-アミン(40mg、0.118mmol)のトルエン(1.5mL)溶液に添加した。反応混合物を、室温で14時間撹拌した。溶媒を除去し、得られた残渣を2×10mlのエーテルで洗浄し、2×1mlのジクロロメタンで共沸的に乾燥させ、高圧真空で一夜乾燥させて、3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-N,N,N-トリメチルピリジン-2-アミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸塩を、濃無色油状物として定量的収率で得た。LCMS m/z 354.33; 1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 8.24 - 8.17 (m, 1H), 7.98 (d, J=8.3 Hz, 1H), 7.75 (ddd, J=8.2, 4.6, 3.2 Hz, 1H), 4.44 (br. s., 2H), 3.88 (d, J=3.9 Hz, 2H), 3.69 - 3.45 (m, 21H)
実施例10:3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-N,N,N-トリメチルピリジン-2-アミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸塩の合成を使用する[18F]-3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-フルオロピリジン
Figure 0007016323000042
[18F]-フルオライド水溶液(2.0ml,33.3GBq/900mCi)をP.E.T. Net(登録商標)Pharmaceuticals in West Point PAから購入し、Sep-Pak light QMA[使用前に5mlの0.5M 重炭酸カリウム、5mlの脱イオン水および5mlのMeCNで連続的に前条件化されたSep-Pak light QMAカートリッジ]に直接移した。この移動完了後、[18F]フルオライド水溶液を、炭酸カリウム(15mg/ml;0.1ml)、続いて炭酸カリウム(30mg/ml、0.1ml)、4,7,13,16,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン(15mg、0.04mmol)および1.2mlのMeCNの混合物の連続的添加によりQMA Sep-Pakから遊離させた。溶媒を、90℃で穏やかな窒素気流および減圧下蒸発させた。共沸的乾燥を、各1mlのアセトニトリルで2回繰り返し、無水K.2.2.2/K[18F]F複合体を得た。3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-N,N,N-トリメチルピリジン-2-アミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸塩(2mg、5.6μmolを500μlのDMSOに溶解し、乾燥クリプタンドに添加した。この溶液を120℃で10分加熱した。この後、粗製反応混合物を3mlのDI水で希釈した。次いで、粗製反応混合物の全内容物を移し、充填し、次の条件下、逆相HPLCを使用して精製した:HPLCカラム:Luna C18 250×10溶媒A:0.1%TFAのDI水溶液;溶媒B:0.1%TFAのアセトニトリル溶液を4.6ml/分流速で、定組成方法32%Bを使用し、同時に280nmでUVをモニターした。[18F]-3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-フルオロピリジンをクロマトグラムの24分マークで単離し、2分にわたり回収した。この生成物を10mlのDI水を含む100mlフラスコに集め全内容物をWatersからのSep-Pak Vac tC18 6 cc 1g sep packに送達した。6.1GBq/164mCiの[18F]-3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-フルオロピリジンをこの反応物から単離した。これを3mlのエタノールを使用してsep-pakから遊離させ、この溶液を、98℃の熱源で、穏やかな窒素気流下に15分間減圧蒸発させてフィルム状残渣とした。最終生成物を100%1×PBS緩衝液に再溶解し、この媒体中、1時間、37℃で安定であった。
[18F]-3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-フルオロピリジンを、アルキンを含む適当な生物学的物質との“クリック”アジド-アルキン反応を利用して、18F標識生物学的物質(例えば、下記18F標識抗PD-L1アドネクチン)の産生に使用できる。
実施例11:“クリック化学”を使用する18F放射標識タンパク質の産生
A. [ 18 F]-FPPEGAを産生するための4-PEG-トシル-アジド前駆体のフッ素付加
900mCiの18Fの18O水(3ml)活性(IBA Molecularから購入)を、4,7,13,16,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン(2.8mg、7.44μmol)および炭酸カリウム(1.7mg、0.012mmol)含有マイクロバイアル(QMAなし)に直接添加した。さらに2.0mlのアセトニトリルをこの粗製反応混合物に移し、混合物全体を共沸的に乾燥させた。この工程は、混液を98℃油浴を使用し、穏やかなN気流および部分真空の適用により完了させた。溶液の体積は約2mlに減少した。さらに2mlのアセトニトリルを添加し、この工程を40分にわたり3回繰り返した。溶液の体積が0.3ml未満に減少したとき、0.7ml分のアセトニトリルを添加し、溶液を体積が約0.1mlになるまでさらに共沸蒸留により減少させた。さらに0.9mlのアセトニトリルを添加し、この工程は、白色固体を形成させて完了させた。この工程は約55分を要した。最終段階では、バイアルを油浴から取り出し、その後溶液を乾固させ、バイアル中の残渣を完全真空(N気流を絶ち)に室温で20分置いた。クリプタンド混合物の生成および乾燥の全時間は65分であった。
乾燥クリプタンド混合物に、500μlのDMSOに溶解した3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-ニトロピリジン(2mg、5.86μmol)溶液を添加し、このこの混合物を120℃で10分加熱した。次いで、粗製反応混合物を3mlのDI水で希釈し、全内容物をHPLCカラムに移し次の条件を使用して精製した:HPLCカラム:Luna C18 250×10mm;溶媒A:0.1%TFAのDI水溶液;溶媒B:0.1%TFAのアセトニトリル溶液;流速4.6ml/分;圧力1820PSI;定組成方法32%B;UV-280nm。[18F]-3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-フルオロピリジン([18F]-FPPEGA)生成物をクロマトグラムの24分マークの位置で2分にわたり採取した。この生成物を15mlのDI水を含む100mlフラスコに溶解し、全内容物をSep PakVac tC18 6 cc 1g sep packとした。PN WAT036795。[18F]-FPPEGAを2.5mlのエタノールを使用してSep Pakから遊離させ、この溶液を、乾燥するまで98℃、Nおよび減圧で濃縮した。この化合物を0.1ml 1×PBS(リン酸緩衝化食塩水)に溶解した。この生成物をVarian HPLC HPLCカラムLuna C18 (2)4.6×150mm(溶媒A:0.1%TFAのDI水溶液;溶媒B:0.1%TFAのアセトニトリル溶液;流速1.0ml/分;勾配方法0分90%A 10%B;15分30%A 70%B;17分30%A 70%B;18分90%A 10%B;20分90%A 10%B;UV-280nm)を使用して分析した。220mCiの[18F]-FPPEGAを単離した。
B. E01-4PEG-DBCOの製造
この実施例は、E01抗PD-L1アドネクチンのPEG4-DBCOへの結合を説明する。
マレイミド化学をアドネクチンのPEG4-DBCOへの結合に使用するため、E01アドネクチンを、まずそのC末端にプロリン、続いてシステインを加えることにより修飾した。この修飾E01アドネクチンのアミノ酸配列は、配列番号104に提供する。システインを使用して、アドネクチンをPEG4-DBCOに結合する。
4倍モル過剰のマレイミド-PEG4-DBCO(クリック化学ツール)をDMSOに溶解し、1mM TCEP存在下、精製修飾E01アドネクチンに添加した。最終DMSO濃度は、コンジュゲーション混合物の5%を超えなかった。コンジュゲーション混合物を室温で1時間静置し、その後質量分析した。コンジュゲーションのMS確認後、サンプルを、PBS pH7.2で平衡化したHiLoad 26/60 Superdex 75カラム(GE Healthcare)を使用するサイズ排除クロマトグラフィーにより精製した。
C. [18F]-FPPEGAのアドネクチンへのカップリング
[18F]-E01-4PEG-DBCO-FPPEGA合成の模式図を図2および9に示す。
0.2mlのE01-4PEG-DBCOアドネクチン溶液(セクションBに記載のとおり製造)の5.4mg/ml溶液を200mCiの0.1mlの[18F]-FPPEGA(実施例4)と、1×PBS緩衝液中インキュベートした。溶液を、粗製反応物を数回ピペット内を上下させることにより穏やかに混合し、45分、45℃または室温で共にインキュベートした。この粗製反応混合物の内容物をSECカラムを使用して精製した。Superdex 200 0.5ml/分 1×PBS緩衝液および[18F]-E01-4PEG-DBCO-FPPEGA生成物を、クロマトグラムの37分の位置で、2分にわたり採取した。
[18F]-E01-4PEG-DBCO-FPPEGAを、非放射性標準の共注入を用いるSEC、PLRPSカラムを使用するRP HPLCおよびゲル電気泳動で分析した。
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を次のパラメータを用いて実施した:
Superdex 200カラム;溶媒100%1×PBS緩衝液;0.5ml/分 280UV;
逆相HPLC
カラム:PLRPS 8ミクロン1000A 4.6×250mm
溶媒A:0.1%ギ酸のDI水溶液
溶媒B:アセトニトリル
流速:1ml/分
圧力:1351PSI
勾配:
0分90%A 10%B
30分45%A 55%B
32分25%A 75%B
36分25%A 75%B
50分90%A 10%B
15mCi [18F]-E01-4PEG-DBCO-FPPEGAを、反応を45℃で実施したとき、SECおよびRP HPLC両方の計算で>99%の放射化学純度(RCP)および比放射能0.6mCi/nmolで得た。反応を室温で実施したとき、5.72mCiが得られた。[18F]-FPPEGAの比放射能は、反応を45℃または室温でそれぞれ実施したとき、その合成終了から3時間後、0.512mCi/nmolであり、RCP85.7%であった。比放射能は、Nanodrop(www.nanodrop.com参照)を使用して測定した。生成物は、SECおよびPLRPS両方で非放射性標準と共溶出した。ゲル電気泳動は、11kDa分子 18F放射標識E01-4PEG-DBCOを、診断造影、基礎研究および放射線治療適用を含む、種々のインビトロおよび/またはインビボ造影適用に使用できる。診断造影および放射線治療適用の可能性のある具体例は、哺乳動物またはその臓器もしくは組織サンプルにおけるPD-L1陽性腫瘍の位置、相対的活性決定および/または定量、PD-L1陽性腫瘍のラジオイムノアッセイおよびPD-L1分布陽性腫瘍決定のためのオートラジオグラフィーを含む。
特に、18F放射標識E01-4PEG-DBCOは、ヒトおよび実験動物の肺、心臓、腎臓、肝臓および皮膚および他の臓器におけるPD-L1陽性腫瘍の陽電子放出断層(PET)造影に有用である。18F放射標識E01-4PEG-DBCOを使用するPET造影を使用して、次の情報を得ることができる:患者における候補PD-L1腫瘍処置医薬による組織占拠レベルと、臨床効果の相関;長期臨床試験開始前のPD-L1腫瘍処置医薬治験のための用量選択;構造新規PD-L1腫瘍処置医薬の効果比較;PD-L1腫瘍処置医薬での臨床的標的の処置中のインビボトランスポーター親和性および密度に対するPD-L1腫瘍処置医薬の影響の試験;有効および無効処置中のPD-L1陽性腫瘍の密度および分布変化。
D. 18F標識アドネクチン製造の別方法
[18F]-3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-フルオロピリジンおよびそれでのアドネクチン標識の小改変した方法を提供する。
900mCiのフッ素-18の18O水(2ml)活性をIBA Molecularから購入し、遠隔操作合成ユニットに移した。このサンプルを、4,7,13,16,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン(3.2mg、8.50μmol)および炭酸カリウム(1.4mg、10.13μmol)を含むマイクロバイアルに直接移した。さらに1.5mlのアセトニトリルをこのバイアルに移し、混合物全体を共沸的に乾燥させた。この溶液を、バイアルを90℃油浴に入れ、穏やかなN気流および部分真空の適用により蒸発させた。こ工程を、部分真空を加熱しながら10分で達成した。マイクロバイアルの総体積を約2mlに減少させた。さらに2mlのアセトニトリルを添加し、このこの工程を40分にわたり3回繰り返した。溶液の体積が0.3ml未満に減少したとき、0.7ml分のアセトニトリルを添加し、溶液を、体積が約0.1mlになるまでさらに共沸蒸留により濃縮し、さらに0.9 MeCNを添加し、この工程を、白色固体が形成されるまで続けた。最終段階では、バイアルを油浴から離し、その後溶液を乾固させ、バイアル中の残渣を完全真空(N気流を絶ち)に室温で20分静置した。3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-ニトロピリジン(2mg、5.86μmol)を500μlのDMSOに溶解し、乾燥クリプタンドに添加した。この溶液を120℃で10分加熱した。この後、粗製反応混合物を3mlのDI水で希釈した。次いで粗製反応混合物の全内容物をHPLCカラムに移し、次の条件下で精製した:HPLCカラム:Luna C18 250×10溶媒A:0.1%TFAのDI水溶液;溶媒B:0.1%TFAのアセトニトリル溶液を4.6ml/分流速で、定組成方法32%Bを使用し、同時に280nmでUVをモニターした。[18F]-3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-フルオロピリジンをクロマトグラムの24分の位置で2分にわたり採取した。この生成物を10mlのDI水を含む100mlフラスコに集め、全内容物をWatersからのSep-Pak Vac tC18 6 cc 1g sep packに送達した。224mCiの[18F]-3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-フルオロピリジンをこの反応物から単離した。これを3mlのエタノールを使用してsep-pakから遊離させ、この溶液を、98℃熱源で、穏やかな窒素気流下に15分間減圧蒸発させてフィルム状残渣とした。最終生成を100%1×PBS緩衝液に再構成し、この媒体中、1時間、37℃で安定であった。[18F]-3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-フルオロピリジンを使用し、アルキンを含む適切な生物学的物質との“クリック”アジド-アルキン反応を利用して、いくつかのF-18標識生物学的物質を産生した。
Figure 0007016323000043
実施例12:NODAGA-PD-L1アドネクチンを産生するためのPD-L1アドネクチンのNODAGAへの結合
この実施例は、E01およびA02抗PD-L1アドネクチンのNODAGAへの結合を記載する。マレイミド化学をアドネクチンのNODAGA結合に使用するため、両アドネクチンは、そのC末端にプロリン、続いてシステインを使用した(上でE01について記載のとおり)。修飾E01およびA02アドネクチンのアミノ酸配列を、それぞれ配列番号104および88に提供する。システインを、アドネクチンのNODAGAへの結合に使用する。アドネクチンの64Cu標識のため、50倍モル過剰のマレイミド-NODAGA(CheMatech)をPBS pH7.4に溶解し、1mM TCEP存在下精製アドネクチンに添加した。最終DMSO濃度は、コンジュゲーション混合物の5%を超えなかった。コンジュゲーション混合物を室温で1時間静置し、その後質量分析した。コンジュゲーションのMS確認後、サンプルを、PBS pH7.2で平衡化したHiLoad 26/60 Superdex 75カラム(GE Healthcare)を使用するサイズ排除クロマトグラフィーにより精製した。
実施例13:64Cuベースの抗PD-L1アドネクチンプローブの合成
64Cu-A02-NODAGAの合成
[64Cu]-塩化銅(64CuCl)の0.1N 塩酸溶液を0.8mLの0.1N 酢酸ナトリウム(NaOAc)水溶液で4分、環境温度で中和した。1mLの64Cu/NaOAc溶液をA02-NODAGA(30μLの1.6mg/mL)に添加し、粗製反応物を、混合させるために穏やかにピペッティングし、続いて環境温度で30分静置した。粗製反応混合物の内容物を、サンプル充填前に20mLの1×リン酸緩衝化食塩水(PBS、pH7.4)緩衝液で前活性化したPD-10脱塩カラムに移した。さらに1.5mLの1×PBS、続いてさらに0.8ml 1×PBS溶液をカラムに添加し、これらフラクションを廃棄した次いで。[64Cu]-A02-NODAGAを、PD-10カラムの1.2mL溶出後採取して、10.79mCiを所望の生成物として得た。品質管理数値は、Agilent PLRP-S HPLCカラムサイズ:250×4.60mm、8μm、280nmおよび蒸留水中0.1%ギ酸およびアセトニトリルの移動相を使用する逆相HPLC系を使用して測定した。アセトニトリルのパーセンテージを、30分時間枠で10%~45%に直線的に増加させた勾配方法を使用した。[64Cu]-A02-NODAGAは、HPLCクロマトグラムの22分マークで対照標準と共溶出した。放射化学純度は、この方法を使用して96%と測定された。[64Cu]-A02-NODAGAもサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)カラム:GE Superdex 200 GLサイズ:10×300mm、280nmを使用して、20分マークで対照物質と共溶出した。計算比放射能は、Nanodropタンパク質濃度および精製サンプルの単離放射活性に基づき、956.8mCi/μmolベースであった。
64Cu-E01-NODAGA合成法
[64Cu]-塩化銅([64Cu]CuCl)の0.1N 塩酸溶液(0.25mL中20mCi)を、1.10mLの0.1N 酢酸アンモニウム緩衝液でpH調節し、次いでE01-NODAGAアドネクチンと1×PBS水溶液(40μLの1.2mg/mL、4.62nmol)混合し、30分、環境温度でインキュベートした。30分のインキュベーション後、反応混合物(約1250μL)をPD-10脱塩カラム(GE Healthcare Life Science, Sephadex G25 Medium、14.5×50mm - 40mLの1×PBSで平衡化)に移し、サンプルを、重力により完全にカラムに入れ、1.1mLの1×PBSを続けた。液体が完全にカラムを通った後、生成物をサンプルバイアルあたり1×PBSの1mL増分での溶出により回収した。64Cu-E01-NODAGAを2番目の1mlフラクションで単離し、1mlの1×PBS中9.26mCiと測定された。このサンプルを、UV/vis検出器(λ=280nm)、posi-ram検出器およびSuperdex 200 10/300 GLサイズ排除カラム(GE Healthecare Life Science、ポアサイズ13μm)を備えた分析的サイズ排除HPLC方法で分析した。流速は0.5mL/分であり、水性移動相は、60分、1×PBSと0.02%NaNで定組成であった。放射化学純度は、この系を使用して99%であり、生成物は非放射性対照と共溶出した。比放射能を、3点検量曲線の式に基づき計算した(y=656978x)。バイアル3からの約100μLの生成物溶液を、Superdex-200サイズ排除カラムに注入した。生成物ピークを集め、0.74mCiであると測定され、生成物ピークのUVは156367単位と計数され、比放射能は.1mCi/nmolであった。
実施例14:抗PD-L1アドネクチン造影剤でのPD-L1陽性細胞とPD-L1陰性細胞のインビトロ鑑別
この実験において、64Cu-E01抗PD-L1アドネクチン(NODAGAをキレーターとして使用した)を、インビトロでhPD-L1陽性細胞とhPD-L1陰性細胞を区別する能力について試験した。hPD-L1陰性HT-29細胞と比較して、64Cu-E01とhPD-L1陽性L2987細胞の示差的会合により示されるとおり、細胞標識は特異的であった(細胞付随放射活性は、hPD-L1陽性L2987細胞で44.6倍高かった)。さらに特異性を、過剰の450nM 冷(非標識)E01アドネクチンと共インキュベートしたときの細胞関連64Cu-E01の著しい減少により示されるとおり確認した(99.6%減少)。細胞関連18F-E01の減少は、細胞を450nMの冷(非標識)非PD-L1結合アドネクチンと共インキュベートしたとき、最小であった(9.9%減少、非有意)(図3)。
1×10 hPD-L1陽性L2987ヒト肺癌細胞またはhPD-L1陰性HT-29ヒト結腸直腸腺癌細胞を、5mL 培養チューブ(n=3チューブ/条件)に入れた。64Cu-E01アドネクチン溶液をPBS+0.5%BSA中、300nCi/200μL濃度で調製した。この溶液の一部を冷(非標識)E01アドネクチンまたは冷(非標識)非PD-L1結合アドネクチンで最終濃度450nMまで置き換えた。細胞サンプルを、5分、200×gで遠心分離し、200μLの適切な64Cu-E01アドネクチン溶液に再懸濁し、氷上、1時間インキュベートした。インキュベーション時間後、細胞サンプルを200×gで遠心分離し、上清を廃棄した。細胞ペレットを1mL PBS+0.5%BSAに懸濁し、洗浄操作を繰り返し、計3回洗浄した。最終洗浄後、細胞を再び200×gで遠心分離し、上清を廃棄した。次いで残存細胞ペレットの放射活性をガンマカウンターで測定した。
これらの結果は、64Cu-E01アドネクチンがインビトロでPD-L1(+)対PD-L1(-)細胞を区別する能力を示す。特異性は、450nM非標識抗PD-L1 E01アドネクチンと共インキュベートしたサンプルの細胞関連放射性トレーサーの著しい減少によりさらに示された(そして、450nMの非PD-L1結合アドネクチンと共インキュベートしたとき、統計的に有意ではない減少しかなかった)。種々のアドネクチンバリアントならびに放射性核種としての18Fを使用した同等の実験を行い、類似する結果であった。
実施例15:抗PD-L1アドネクチン造影剤でのPD-L1陽性腫瘍とPD-L1陰性腫瘍の区別
PET造影について、迅速血液クリアランス速度は、非関連組織から“背景”プローブシグナルが枯渇するのに必要な時間を減らすことにより、抗体などのよりゆっくり除去されるタンパク質を超える利点を有する。病院において、長い血中半減期の抗体ベースのPETトレーサーは、画像を集めることができるまで、注射後数日待つ必要があり得る。迅速除去プローブは、プローブ注射と同一の日に集めることができる高コントラスト画像へのドアを開き、より重要なことに、試験動物または検査患者の全体的放射能被爆削減に役立ち得る。
この実験において、上の実施例に記載のとおり製造した64Cu-A01抗PD-L1アドネクチン(NODAGAをキレーターとして使用した)を、マウスにおいてhPD-L1陽性腫瘍とhPD-L1陰性腫瘍を区別する能力について試験した。
両側性異種移植腫瘍担持マウスを、1×10 hPD-L1(+)L2987ヒト肺癌細胞および1.5×10 hPD-L1(-)HT-29ヒト結腸癌細胞を、マウスの逆側部位皮下に注入することにより作製した。腫瘍が約300mm(細胞移植約2~3週後)、動物を造影のために選択した。造影について、動物を2%イソフルランで麻酔し、尾静脈カテーテルを入れた。次いでマウスを慣用の4動物収容能の動物ホルダーに入れ、そこで、試験の間、麻酔下のままにした。動物ホルダーをmicroPET(登録商標)F120TMスキャナー(Siemens Preclinical Solutions, Knoxville, TN)に移した。この装置の体軸方向視野は7.6cmである。この限界で、動物を、走査領域が眼の直ぐ前からほぼ尾の付け根までとなるように配置した。
10分伝達画像を、まず最終PET画像の減衰補正目的で、57Co点源を使用して獲得した。伝達走査後、放射性トレーサー溶液を、先に導入した尾静脈カテーテルから投与し、2時間放射画像を得た。注射放射性トレーサー溶液は、約200μCi 64Cu-A02(NODAGAキレーター有り)または3mg/kg最終濃度の冷、非標識A02アドネクチンを添加した200μCi 64Cu-A02であった(個々の動物体重に基づく)。全注射剤を、注射前200μL 食塩水中に製剤化した。正確な注射用量を、製剤用量を正確に採り、シリンジおよび尾静脈カテーテルに残存する放射活性を減算することにより、計算した。
画像を、回収伝達画像を使用する減衰補正と共に最大事後確率(MAP)アルゴリズムを使用して再構築しおよび放射性同位体減衰について補正した。最終画像において、注目画像領域(ROI)を、ASIProソフトウェア(Siemens Preclinical Solutions)を使用して、腫瘍境界周囲に引いた。時間-活性曲線を各ROIについて計算し、2時間放射画像にわたる腫瘍体積内の放射性トレーサーの定量的図を得た。最終比較について、個々の時間-活性曲線を各特定の動物の注射放射性トレーサー用量に基づき、正規化した。放射性トレーサー取り込みを、各時間-活性曲線の最終10分を使用して、腫瘍で比較した(放射性トレーサー注射後1時間50分~2時間)。この方法を使用して、hPD-L1(+)L2987異種移植における放射性トレーサー取り込みは、64Cu-A02放射性トレーサーしか受けていない動物で見られたhPD-L1(-)HT-29異種移植の3.05倍であった。hPD-L1(+)L2987異種移植に64Cu-A02放射性トレーサーおよび3mg/kg非標識A02を共注射した動物において、アドネクチン取り込みはhPD-L1(-)HT-29異種移植で見られる1.04倍しかなかった(図4Aおよび4B)。
放射性核種として18Fを使用する同様の実験をマウスで行い、類似する結果が得られ、18F-A02アドネクチン放射性トレーサーを使用して、hPD-L1(+)L2987異種移植対hPD-L1(-)HT-29異種移植の最大放射性トレーサー取り込み比3.53:1が得られた。すなわち、ヌードマウスにHT-29およびL2987細胞を皮下にインプラントした。腫瘍が約200~300mmに達したら、動物を造影のために選択した。マウスを、酸素中2%イソフルランで麻酔し、Focus 120 PET造影系(Siemens Preclinical Solutions)の撮影床に置いた。次いで約150μCi 18F-A02を尾静脈から注射し、動物を120分連続的に造影した。次いで10分伝達画像を減衰補正として使用するため、57Co点源を使用して集めた。AsiProソフトウェア(Siemens Preclinical Solutions)を使用する減衰補正と共に3D最大事後確率アルゴリズムを使用して、画像を再構築した。結果は、放射性トレーサーしか受けていないマウスにおけるhPD-L1(-)HT29異種移植と比較して、hPD-L1(=)L2987異種移植における明らかな示差的取り込みを示した。
いくつかの試験で、動物を造影直後頸椎脱臼により屠殺した。次いで動物の剖検を行い、個々の組織(血液、心臓、肺、肝臓、脾臓、腎臓、筋肉、胃、骨、L2987腫瘍およびHT-29腫瘍)を予め秤量したチューブに集めた。次いで、全組織を再び秤量して、各組織の重量を決定した。次いで、各組織の放射活性をPerkin-Elmer Wizard3ガンマカウンターを使用してエクスビボで直接測定した。全組織について、カウント毎分(CPM)で測定した値を個々の動物の注射放射性について正規化し、放射性減衰について補正した。次いでこれらの結果をプロットして、放射性トレーサーの生体分布を示した。18F-A02アドネクチン放射性トレーサーについてのこの分析の例を図5に示す。これらの結果は、hPD-L1(-)HT-29異種移植と比較したhPD-L1(+)L2987異種移植における放射性トレーサーの明らかな示差的取り込みを示す。さらに、高PD-L1取り込みの組織は腎臓のみであり、これは、18F-A02アドネクチンのクリアランスが、この分子の分子量に基づき、腎臓濾過に基づくととして予測される。
まとめると、これらの結果は、インビボでのhPD-L1(+)対hPD-L1(-)異種移植腫瘍の鑑別の直接可視化を提供する。特異性を、3mg/kg非標識抗PD-L1 A02アドネクチンの共注射によりさらに証明し、hPD-L1(-)異種移植レベルに対して、hPD-L1(+)腫瘍における放射性トレーサー取り込みの減少をもたらした。これは、PET造影を使用するPD-L1組織発現の可視化のための抗PD-L1アドネクチンをさらに検証する。
抗PD-L1アドネクチンベースの造影剤はまたカニクイザルで実施したとき、類似する結果を示す。これらの試験において、上の実施例に記載のとおり製造した18F-E01抗PD-L1アドネクチンを、カニクイザルにおいて高コントラスト画像を作成する能力について試験した。ここに記載する抗PD-L1アドネクチンは、カニクイザルPD-L1に高親和性を維持した(しかし、齧歯類PD-L1に低親和性を有した)。さらに、カニクイザルがマウスモデルのようなPD-L1(+)腫瘍を有しないため、造影性能を、主に内因性PD-L1発現(PD-L1(+)組織の高感受性検出の可能性を可能とする低バックグラウンドを有する)の状況での画像で測定した背景レベルで評価した。これらの試験において、得られたPET画像における背景レベルは極めて低く、主に腎臓、脾臓および膀胱に顕著な放射性トレーサー蓄積があった。
血管アクセスポート(VAP)を先に導入したカニクイザル雄サルを0.02mg/kgアトロピン、5mg/kg テラゾールおよび0.01mg/kg ブプレノルフィンI.M.で麻酔した(全て一シリンジに吸引)。次いでi.v.カテーテルを橈側皮静脈に、造影操作中水和を維持するための流体投与のために設置する。動物に気管内チューブ(通常3.0mm)を挿管し、microPET(登録商標)F220TMPET装置(Siemens Preclinical Solutions, Knoxville, TN)の撮影床に移した。イソフルランおよび酸素で麻酔を維持し、I.V.流体(LRS)を造影操作中6ml/kg/時間の速度で注入した。microPET(登録商標)F220TM装置の体軸方向視野がわずか7.6cmであるため、5つの異なる床位置の画像を得て、心臓の直ぐ上からほぼ骨盤までの動物の多層画像を作成した。
各視野について、10分伝達画像を、まず最終PET画像の減衰補正目的で、57Co点源を使用して獲得した。伝達画像が全床位置で得られたら、約1.5mCi(約0.015mg/kg)の18F-E01アドネクチン放射性トレーサーを、挿入VAPから投与した。次いで5分間放射走査を、各床位置で逐次的に開始し、心臓をほぼ中心とする位置1から開始し、動物の骨盤に向かって移動させた。画像が各位置で獲得されたら(1~5)、撮影床を床位置1に戻し、この工程を反復した。この操作を使用して、計5つの異なる画像を、各床位置で造影試験中に得た。
個々の画像を、回収伝達画像を使用する減衰補正と共にフィルタ補正逆投影法(FBP)アルゴリズムを使用して再構築し、放射性同位体減衰について補正した。次いで、最終多層画像を、造影試験の期間をカバーする、単一パス(すなわち単一多層画像は、床位置1~5の連続的画像の各セットから作られた)から得られた全5床位置の画像の整列により得た。最終画像を目視検査して、可視放射性トレーサー取り込み(すなわち脾臓、腎臓、膀胱)および背景組織(筋肉)の領域を記した(図6)。18F-E01アドネクチンの背景蓄積は極めて低く、わずかなシグナルが筋肉などの背景組織で可視であった。さらに、取り込みは脾臓に確認され、これは、mRNA発現に基づくPD-L1(+)であると考えられる。それ故に、カニクイザルでの試験は、内因性PD-L1の存在下での高感受性PD-L1造影の可能性を示す。
全体で、齧歯類およびカニクイザルでのPET試験は、64Cuおよび18F標識抗ヒトPD-L1アドネクチンが、低レベルPD-L1発現の組織の高感受性検出の可能性がある、PD-L1陽性組織のインビボ標識の強くかつ特異的なプローブを提供する。
インビボ造影実験を、抗PD-L1抗体でも行い、この造影剤が検出された領域は、PD-L1造影剤が検出された領域と同一であり、それ故に抗PD-L1アドネクチン造影剤がインビボでのPD-L1陽性細胞を成功裏に検出することを確認する。
実施例16:[18F]-E01抗PD-L1アドネクチンでのヒトおよび異種移植組織のインビトロオートラジオグラフィー
ヒト肺腫瘍組織をOCTに包埋し、凍結するまで2-メチルブタン中で2~5分冷やした。サンプルを、使用するまで-80℃冷凍庫に保管した。ヒト異種移植組織もこのアッセイに包含させた。両側性異種移植を担持するマウスを、4×10 hPD-L1(+)L2987細胞および1.5×10 hPD-L1(-)HT-29t細胞をnu/nuマウスの逆側側面に皮下に注射することにより作製した。適切なサイズ(約200~300mm)に達した異種移植腫瘍が得られたら、マウスを2%イソフルランで麻酔し、頸椎脱臼により屠殺した。新鮮腫瘍組織を切除し、OCTに浸し、2-メチルブタン中、2~5分、凍結するまで冷やした。次いで組織をホイル/ジップロック(登録商標)バッグに包み、使用するまで-80℃で保管した。全組織(ヒト肺腫瘍および異種移植)について、5μm厚の切片(2切片/スライドとして採取)をクライオスタットを使用して作成し、ガラス顕微鏡スライドに融解させて載せ、約30分空気乾燥させた。
それぞれ0.025nM、0.25nM、2.5nMおよび25nMの冷(非標識)A02アドネクチンでおよび25nM非PD-L1結合アドネクチンでの遮断試験を、次の条件を使用して実施した。個々のスライド(1スライド/濃度)をプラスチックスライドカセットに入れ、Dako無血清タンパク質遮断溶液と30分プレインキュベートした。次いでスライドをガラススライドインキュベーションチャンバーにさらなるインキュベーションのために移した。別に、0.25nM 18F-A02アドネクチンの原液を、10.6μlの元の放射性リガンド原液(実験時7064nM)を300mlのPBS+0.5%BSAで希釈することにより調製した。この原液から、40mlを各インキュベーションチャンバーに添加した。これらのチャンバーの1つは放射性リガンド緩衝液溶液しか含まず、これを総結合セクションと称する。他のインキュベーションチャンバーには、40mlのこの原液を各濃度の遮断化合物(0.025nM、0.25nM、2.5nMまたは25nMの非標識A02アドネクチンまたは25nMの非標識非PD-L1結合アドネクチン)と共に入れた。スライドを個々の緩衝液溶液で1時間、室温でインキュベートして、最大結合に到達させた。インキュベーション後、各処置群からのスライドをインキュベーション溶液から除き、氷冷洗浄緩衝液(PBS+0.5%BSA)に3分入れ、4回に分けて洗浄した。次いでスライドを冷空気流下、約30分乾燥させた。空気乾燥スライドをスライドを、一夜、室温で造影プレート(BAS-SR 3545S)に置くことにより暴露した。造影プレートを、バイオ画像解析装置(Fujifilm Fluorescent Image Analyzer, FLA-9000)を使用して走査した。放射線像画像のピクセルサイズは100μmであった。画像解析をMulti-Gaugeソフトウェアを使用して実施した。目的画像領域(ROI)を、全試験群で腫瘍組織全体の周りに設けた。組織関連放射活性からのオートラジオグラフィーシグナルを、これらROIについて定量した。
総結合セクションと比較したとき、18F-A02アドネクチン放射性リガンドの明らかな置換が、ヒト肺腫瘍切片ならびにヒト異種移植切片の両方で、非標識A02アドネクチンの4つの異なる濃度(0.025nM、0.25nM、2.5nMおよび25nM)で決定された。18F-A02の用量依存的置換が非標識A02アドネクチン添加で全組織切片で見られ、25nM非PD-L1結合アドネクチンは総結合と比較して、全組織で最小遮断を示した(図7)。
各組織からの連続5μm組織切片を抗ヒト-PD-L1免疫組織化学操作に付し、サンプルにおけるPD-L1抗原発現レベルを確認した(図8)。
まとめると、これらの結果は、ヒト肺腫瘍サンプルならびにヒト異種移植組織両方におけるPD-L1の直接可視化を提供する。個々の組織における放射性リガンド結合レベルは、IHCによる凍結切片のPD-L1染色の強度に相関する。さらに、非標識抗PD-L1 A02アドネクチンでの受容体の用量依存的遮断(および非標識非PD-L1結合アドネクチンでの遮断欠失)が、PET造影を使用するPD-L1組織発現の可視化のための18F-A02をさらに確認する。
実施例17:市販GE TRACERlab FX2 N合成ユニットを使用する放射性合成のための一般的操作による、[18F]-3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-フルオロピリジンの自動化製造
Figure 0007016323000044
操作:
[18F]-3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-フルオロピリジンの自動化合成を、非カセットタイプGE TRACERlab FX2 N合成モジュールを使用して実施した。合成ユニットの設定を表4に示す。[18F]-フルオライド水溶液(2.0ml、29.6GBq/800mCi)を、Sep-Pak light QMA[Sep-Pak light QMAカートリッジを、使用前5mlの0.5M 重炭酸カリウム、5mlの脱イオン水および5mlのアセトニトリルで連続的に前条件化した]に送達した。この移動完了後、[18F]フルオライド水溶液を、リアクターへの溶出混合物(“V1”から)の添加によりQMA Sep-Pakから遊離させた。溶媒を穏やかな窒素気流および減圧下蒸発させた。前駆体溶液(“V3”から)を乾燥クリプタンド残渣に添加し、この反応混合物を120℃で10分加熱した。次いで4mlの蒸留水(“V4”から)をリアクター中の粗製反応混合物に添加し、混合物を充填の最後を制御する液体センサーを経て、半分取HPLCの5mlサンプル注入ループに移した。混合物を半分取HPLCカラム(Luna C18(2)。250×10mm、Phenomenex)に充填した。35%アセトニトリルの0.1%トリフルオロ酢酸水溶液中の混合物を、4.6ml/分の速度でカラムを通した。このHPLCカラムから生成物を15ml 蒸留水含有希釈フラスコに集め、その全内容物をtC18 1グラム、固相抽出カートリッジに移した。352mCi(13GBq)の[18F]-3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-フルオロピリジンを、このカートリッジ(“V14”から)から3mlのエタノールで遊離させ、アルキンを含む適切な生物学的物質との“クリック”アジド-アルキン反応を利用して、18F標識生物学的物質の産生に使用し得る。
Figure 0007016323000045
実施例18:IBA Synthera合成ユニットでの放射性合成の一般的に操作による[18F]-3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-フルオロピリジンの自動化製造
Figure 0007016323000046
操作:
[18F]-3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-フルオロピリジンの自動化合成を、カセットタイプIBA Synthera合成モジュールおよび適切にアセンブルしたインテクレーター・フルイディック・プロセッサーキットを使用して実施した。インテクレーター・フルイディック・プロセッサー(IFP)キットにこの合成の適切な前駆体を充填し、表5に要約する。精製をVarian HPLCユニットで行った。HPLCの注入ループの充填は、HPLCユニットの窒素の定流により制御された。両自動化の設定を表5に要約する。[18F]-フルオライド水溶液(2.0ml、29.6GBq/800mCi)をSep-Pak light QMA[Sep-Pak light QMAカートリッジを、使用前5mlの0.5M 重炭酸カリウム、5mlの脱イオン水および5mlのアセトニトリルで連続的に前条件化した]に送達した。この移動完了後、[18F]フルオライド水溶液を、リアクターへの溶出混合物(“V1”から)の添加によりQMA Sep-Pakから遊離させた。溶媒を穏やかな窒素流および減圧下蒸発させた。前駆体溶液(“V2”から)を乾燥クリプタンド残渣に添加し、この反応混合物を120℃で10分加熱した。次いで3mlの蒸留水(“V4”から)をリアクター中の粗製反応混合物に添加し、混合物を充填の最後を制御する液体センサーを経て、半分取HPLCの5mlサンプル注入ループに移した。混合物を半分取HPLCカラム(Luna C18(2)。250×10mm、Phenomenex)に充填した。35%アセトニトリルの0.1%トリフルオロ酢酸水溶液中の混合物を、4.6ml/分の速度でカラムを通した。生成物を15ml 蒸留水含有希釈フラスコに集め、その全内容物をその全内容物をtC18 1グラム、固相抽出カートリッジに移した。325mCi(12GBq)の[18F]-3-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-フルオロピリジンをこのカートリッジから3mlのエタノールで遊離させ、アルキンを含む適切な生物学物質との“クリック”アジド-アルキン反応を利用して、18F標識生物学的物質の産生に使用し得る。
Figure 0007016323000047
実施例19:68Gaベースの抗PD-L1アドネクチンプローブの合成
68Ga-E01-NODAGAの合成
0.1N 塩酸溶液中の[68Ga]-ガリウムクロライドを32mgの酢酸ナトリウム(NaOAc)で4分、環境温度で中和し、得られた溶液を全体積が適切に混合されたことを確実にするために、撹拌した。次いでこの溶液をE01-NODAGA(15μLの1.3mg/mL)溶液に添加し、粗製反応を混合を可能とするために穏やかにピペッティングし、続いて環境温度に15分静置した。粗製反応混合物の内容物を、サンプル充填前に20mLの1×リン酸緩衝化食塩水(PBS、pH7.4)緩衝液で前活性化したPD-10脱塩カラムに移した。さらに1.5mLの1×PBS、続いてさらに0.8ml 1×PBS溶液をカラムに添加し、これらフラクションを廃棄した。次いで[68Ga]-E01-NODAGAをPD-10カラムの1.4mL溶出後に回収して、5.78mCi(214MBq)を所望の生成物として得た。品質管理数値は、Agilent PLRP-S HPLCカラムサイズ:250×4.60mm、8μm、280nmおよび蒸留水中0.1%ギ酸およびアセトニトリルの移動相を使用する逆相HPLC系を使用して測定した。アセトニトリルのパーセンテージを、30分時間枠で10%~45%に直線的に増加させた勾配方法を使用した。[68Ga]-E01-NODAGAは、HPLCクロマトグラムの22分マークで対照標準と共溶出した。放射化学純度は、この方法を使用して98%と測定された。[68Ga]-E01-NODAGAもサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)カラム:GE Superdex 200 GLサイズ:10×300mm、280nmを使用して、20分マークで対照物質と共溶出した、(SEC)カラム:GE Superdex 200 GLサイズ:10×300mm、280nm。
Figure 0007016323000048
実施例20:[19F]-E01抗PD-L1アドネクチンの薬物動態
次の実験を、カニクイザル(n=3)における19F標識-E01抗PD-L1アドネクチンおよびE01-4PEG-DBCO(非標識抗PD-L1-アドネクチン-DBCO前駆体)の薬物動態の比較のために実施した。これは、投与の間に2週間のウォッシュアウト期間を挟むクロスオーバー設計試験であった。血清サンプルを集め、[19F]-E01をE01-4PEG-DBCOと区別しない特定のアドネクチン結合試薬を使用するLBAまたはE01-4PEG-DBCOと[19F]-E01を区別するLC/MSアッセイで分析した。
PKパラメータの概要を表6に示す。
Figure 0007016323000049
カニクイザルへのi.v.投与後、[19F]-E01のCLTは両試験で低かった。T-HALFも短く、約1.7時間であった。E01-4PEG-DBCOのPKは[19F]-E01のものと類似した。PKパラメータもLC/MSで類似した。
Figure 0007016323000050
Figure 0007016323000051
Figure 0007016323000052
Figure 0007016323000053
Figure 0007016323000054
Figure 0007016323000055
Figure 0007016323000056
Figure 0007016323000057
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Figure 0007016323000059
Figure 0007016323000060
Figure 0007016323000061
Figure 0007016323000062
Figure 0007016323000063
Figure 0007016323000064
Figure 0007016323000065
Figure 0007016323000066
Figure 0007016323000067
Figure 0007016323000068
Figure 0007016323000069
Figure 0007016323000070
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Figure 0007016323000073
Figure 0007016323000074
Figure 0007016323000075
Figure 0007016323000076
Figure 0007016323000077
Figure 0007016323000078
Figure 0007016323000079
Figure 0007016323000080
Figure 0007016323000081
均等物
当業者は、ここに記載する特定の実施態様の多くの均等物を認識するかまたは日常的レベルを超えない実験で、確認し得る。このような均等物は、添付する特許請求の範囲に包含させることが意図される。

Claims (14)

  1. 対象におけるPD-L1タンパク質を可視化するのに用いる放射標識抗PD-L1アドネクチン造影剤であって、該造影剤にはヒトPD-L1に特異的に結合するフィブロネクチンIII型第10ドメイン(10Fn3)を含み、
    該可視化する方法が、
    (a)該対象に放射標識抗PD-L1アドネクチン造影剤を約3~10mCi(100~333MBq)の用量または約6mCi(±10%)の用量で投与し;そして
    (b)段階(a)の後対象のPET走査を約30~120分または60~100分実施する
    ことを特徴とし、
    抗PD-L1アドネクチンのBC、DEおよびFGループが
    (a)それぞれ配列番号6、7および8;
    (b)それぞれ配列番号21、22および23;
    (c)それぞれ配列番号36、37および38;
    (d)それぞれ配列番号51、52および53;
    (e)それぞれ配列番号66、67および68;
    (f)それぞれ配列番号81、82および83;または
    (g)それぞれ配列番号97、98および99
    のアミノ酸配列を含む、造影剤。
  2. 対象が少なくとも1つの腫瘍と腫瘍におけるPD-L1タンパク質のレベルを有する、請求項1の造影剤。
  3. 対象がPD-1またはPD-L1アンタゴニストでの治療に応答しそうであるかどうかを決定するための請求項2に記載の造影剤であって、1つまたはそれ以上の腫瘍におけるPD-L1のレベルがPD-1またはPD-L1アンタゴニストでの治療に要求されるPD-L1のレベルに等しいかまたはそれ以上、例えば5%、25%、50%またはそれ以上の腫瘍細胞がPD-L1を発現するならば、対象がPD-1またはPD-L1アンタゴニストでの治療応答しそうである、造影剤。
  4. 1つまたはそれ以上の腫瘍におけるPD-L1のレベルがPD-1またはPD-L1アンタゴニストでの治療に要求されるPD-L1のレベルに等しいかまたはそれ以上ならば、対象をPD-1またはPD-L1アンタゴニストで治療する、請求項3の造影剤。
  5. 対象が治療剤で治療されている、請求項1の造影剤。
  6. 治療剤がPD-1アンタゴニストである、請求項5に記載の造影剤。
  7. 抗ヒトPD-L1アドネクチン造影剤が18Fで標識されている、請求項1~6の何れかに記載の造影剤。
  8. 造影剤が治療剤の最初の投与前に対象に投与される、請求項5に記載の造影剤。
  9. 造影剤が治療剤の最初の投与後に対象に投与される、請求項5に記載の造影剤。
  10. 抗PD-L1アドネクチンがポリエチレングリコールおよびシアル酸からなる群から選択される1つまたはそれ以上の薬物動態(PK)部分を含む、請求項1~6の何れかに記載の造影剤。
  11. 抗PD-L1アドネクチン造影剤が18F放射標識補欠分子族および二機能性接合(BFC)部分を含み、該造影剤が次の構造
    Figure 0007016323000082
    を有し、ここで、
    (a)18FがN原子に対してオルトであり、xが1~8、2~6、3~5の整数または4であり、
    (b)[O(CH部分がピリジン環の窒素に対して1~3配置、ピリジン環の窒素に対して1~2配置、またはピリジン環の窒素に対して1~4配置で存在し、
    (c)BFC部分が(i)タンパク質のアミン、カルボキシル、カルボニルまたはチオール官能基と共有結合を形成する反応性基、および(ii)ポリエチレングリコール(PEG)スペーサーアーム(ここで、yは1~8、2~6の整数、または4または5である)を含むシクロオクチンであり、
    (d)該タンパク質が抗PD-L1アドネクチンである、
    請求項1~6の何れかに記載の造影剤。
  12. 18F放射標識補欠分子族が以下の構造
    Figure 0007016323000083
    Figure 0007016323000084
    または
    Figure 0007016323000085
    のいずれか1つを有する、請求項11に記載の造影剤。
  13. BFCがDBCO-PEG4-NHS-エステル、DBCO-スルホ-NHS-エステル、DBCO-PEG4-酸、DBCO-PEG4-アミン、またはDBCO-PEG4-マレイミドである、請求項11に記載の造影剤。
  14. 造影剤が次の構造
    Figure 0007016323000086
    を有し、ここで、Xは抗PD-L1アドネクチンであり、配列番号13、28、43、58、73、88および104の何れかのアミノ酸配列を含む、請求項1~6の何れかに記載の造影剤。
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