JP7014943B2 - 炭化水素油の増量方法、炭化水素油の製造方法、炭化水素油の増加量を推算する方法、炭化水素油の増加量を推算する方法を実行させるプログラム、及び、炭化水素油の増加量を推算する装置 - Google Patents

炭化水素油の増量方法、炭化水素油の製造方法、炭化水素油の増加量を推算する方法、炭化水素油の増加量を推算する方法を実行させるプログラム、及び、炭化水素油の増加量を推算する装置 Download PDF

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Description

この発明は、炭化水素油の増量方法、炭化水素油の製造方法、炭化水素油の増加量を推算する方法、炭化水素油の増加量を推算する方法を実行させるプログラム、及び、炭化水素油の増加量を推算する装置に関する。
近年、二酸化炭素排出による地球温暖化問題が深刻化し、化石燃料の使用の増加は二酸化炭素の排出に拍車をかけることになる。
燃料炭化水素の燃料効率を改善させる発明として、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に開示された発明は、天然植物性複合酵素を水に混合して作成された酵素水を油と反応させて燃料油を製造する燃料製造方法及びその装置を提供する。特許文献1の発明において、天然植物性複合酵素を水に混合して作成された活性水を油と反応させ、酵素による原料油の加水分解反応により、反応した水も燃料として機能させている。このため、特許文献1の発明によって、燃料効率を向上させることができ、有害物質の発生を抑制することが容易であり、しかも安定している燃料油を製造することが可能となる。
特許文献2には、水及び酵素を空気のバブリングにより攪拌混合して生成された活性水を、原料油及びメタノールと混合して乳化液を生成し、該乳化液を二酸化炭素に接触させることにより炭化水素油を増量する方法が開示されている。
特開2012-72199号公報 国際公開第2015/147322号公報
二酸化炭素を含む気体又は液体を原料として炭化水素油を増量する技術において、炭化水素油をより効率よく増量する技術、及び、炭化水素油の増加量を推算する技術が求められている。
本発明は、以下の実施形態の炭化水素油の増量方法、炭化水素油の製造方法、炭化水素油の増加量を推算する方法、炭化水素油の増加量を推算する方法を実行させるコンピュータプログラム、及び、炭化水素油の増加量を推算する装置を提供する。
[1]
触媒の存在下で空気をバブリングさせた水とメタノールとを混合し、得られる混合液と炭化水素油とを混合して乳化液を作製し、この乳化液と、二酸化炭素を含む気体又は水溶液と接触させ、
下記(式1)及び(式2):
(1)CnHm+ CH3OH → Cn+1Hm+2+ H2O
(2)(1-α)×(式3)+α×(式4)
(3)CnHm+ CO2 + H2O → Cn+1Hm+2 + 3/2O2
(4)CnHm+ CO2 + 2H2O → Cn+1Hm+4 + 2O2
に示される反応に基づいて増量されることを特徴とする炭化水素油の増量方法。
[2]
触媒の存在下で空気をバブリングさせた水とメタノールとを混合し、得られる混合液と炭化水素油とを混合して乳化液を作製し、この乳化液と、二酸化炭素を含む気体又は水溶液と接触処理し、
下記(式1)及び(式2):
(1)CnHm+ CH3OH → Cn+1Hm+2+ H2O
(2)(1-α)×(式3)+α×(式4)
(3)CnHm+ CO2 + H2O → Cn+1Hm+2 + 3/2O2
(4)CnHm+ CO2 + 2H2O → Cn+1Hm+4 + 2O2
に示される反応に基づいて得られる処理物から炭化水素油を採取することを特徴とする炭化水素油の製造方法。
[3]
触媒の存在下で水とメタノールとを混合して得られた乳化液を炭化水素油と混合し、その混合液を二酸化炭素と接触させることにより増加した炭化水素油の増加量を推算する方法であって、
メタノールの減少量を測定するステップと、
水の減少量を測定するステップと、
炭化水素油の増加量を推算するステップと、
を有し、
前記推算するステップは、下記(式1)及び(式2)に基づいて、炭化水素油(Cn+1m+4)の増加量を推算するステップを有し、
(1)CnHm+ CH3OH → Cn+1Hm+2+ H2O
(2)(1-α)×(式3)+α×(式4)
(3)CnHm+ CO2 + H2O → Cn+1Hm+2 + 3/2O2
(4)CnHm+ CO2 + 2H2O → Cn+1Hm+4 + 2O2
αは、-1<α<1、好ましくは-0.1<α<0.1、より好ましくは-0.02<α<0.02の値をとり、炭化水素油の増量条件に応じて変化する定数であることを特徴とする炭化水素油の増加量を推算する方法。
[4]
コンピュータに[3]に記載の炭化水素油の増加量を推算する方法を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
[5]
触媒の存在下で水とメタノールとを混合して得られた乳化液を炭化水素油と混合し、その混合液を二酸化炭素と接触させることにより増加した炭化水素油の増加量を推算する装置であって、
メタノールの減少量(M3)を測定する第1測定部と、
水の減少量(W3)を測定する第2測定部と、
炭化水素油の増加量を推算する推算部と、
を備え、
前記推算部は、下記(式1)及び(式2)に基づいて、炭化水素油(Cn+1m+4)の増加量を推算し、
(1)CnHm+ CH3OH → Cn+1Hm+2+ H2O
(2)(1-α)×(式3)+α×(式4)
(3)CnHm+ CO2 + H2O → Cn+1Hm+2 + 3/2O2
(4)CnHm+ CO2 + 2H2O → Cn+1Hm+4 + 2O2
αは、-1<α<1、好ましくは-0.1<α<0.1、より好ましくは-0.02<α<0.02の値をとり、炭化水素油の増量条件に応じて変化する定数であることを特徴とする炭化水素油の増加量を推算する装置。
[6]
前記推算部は、前記(式1)から、
メタノールに起因する炭化水素油の増加量D4(kg)=M3×14/32
水の増加量W4(kg)=M3×18/32
を求め、前記(式2)から
水に起因する炭化水素油の増加量
D5(kg)=(W3+W4)×{14/18×(1-α)+(16/36)×α}
を求め、前記炭化水素油の増加量(kg)をD4+D5から求めることを特徴とする[5]に記載の炭化水素油の増加量を推算する装置。
[7]
触媒の存在下で空気をバブリングさせた水とメタノールとを混合して得られる混合液と炭化水素油とを混合して作製された乳化液であって、
前記乳化液の二酸化炭素の取り込み速度が、前記混合液の二酸化炭素の取り込み速度よりも大きい、前記乳化液。
[8]
前記乳化液の二酸化炭素の取り込み速度が、前記混合液の二酸化炭素の取り込み速度よりも1.4~5倍大きい、[7]に記載の乳化液。
[9]
触媒の存在下で空気をバブリングさせた水とメタノールとを混合して得られる混合液と炭化水素油とを混合して作製された乳化液を、室温及び常圧下で、二酸化炭素を含む気体又は水溶液と接触させながら攪拌するステップを含み、
前記攪拌開始後120秒の前記乳化液の二酸化炭素の量が、前記乳化液100mlあたり1500ml以上である、ことを特徴とする炭化水素油の増量方法。
本発明の一実施形態は、温暖化の原因の一つとされている二酸化炭素を原料として炭化水素油を一層効率よく増量することを可能にする。また、本発明の他の実施形態は、炭化水素油の増加量を推算することを可能にする。
活性水を生成する活性水生成装置の構成図である。 均質混合装置の構成図である。 油混合槽の構成を示す構成図である。 攪拌器の構成を説明する説明図である。 攪拌器の内部を示す縦断面図である。 パルスフィルタと精密フィルタの構成を説明する説明図である。 ニュートン分離槽の縦断面図である。 別の実施例の攪拌器を示す縦断面図である。 一実施例のCLA-CLの測定結果を示すグラフである。 一実施例のCLA-CLの測定結果を示すグラフである。 一実施例のCLA-CLの測定結果を示すグラフである。 一実施例のCLA-CLの測定結果を示すグラフである。 一実施例の吸光度の測定結果を示すグラフである。 一実施例のCLA-CLの測定結果を示すグラフである。 一実施例のCLA-CLの測定結果を示すグラフである。 一実施例の炭化水素油の増加量を推算する装置を示すブロック図である。 一実施例の炭化水素油の増加量を推算する方法を示すフロー図である。 一実施例の溶液中の二酸化炭素の濃度と攪拌時間との関係を示すグラフである。
本発明の一実施形態においては、水と触媒としてのゼオライト又はゼオライト様物質とを攪拌混合して触媒懸濁液を準備し、該触媒懸濁液を酸素で通気処理等を行って活性水を生成する。炭化水素油の炭素源である二酸化炭素から炭素ラジカル種の生成に寄与する活性酸素種の量は、触媒懸濁液中よりも酸素で通気処理等を行った後の活性水中の方が多い。そして、活性水、アルコール、及び原料の炭化水素油の混合溶液を二酸化炭素を含む気体又は水溶液(炭酸水)に接触させることにより、炭化水素油を増量する。
ここで、ゼオライト又はゼオライト様物質の細孔内に含まれる金属は、触媒として働き、空気又は酸素を活性化させ、水中に活性酸素種(ROS)を生成するのに寄与すると考えられる。活性酸素種には、スーパーオキシドアニオンラジカル(O )、ヒドロキシラジカル、過酸化水素(H)、及び一重項酸素のうちの少なくとも1種が含まれる。また、ゼオライト様物質として公知の合成ゼオライトを用いることができ、CDS-1(cylindrically double saw-edged zeolite)(例えば特開2004-339044号公報、特開2005-145773号公報)や、PLS-1(pentagonal-cylinder layered silicate)(例えば特開2008-162878号公報)等の合成ゼオライトを用いてもよい。
また、天然ゼオライトとしては、ホウ沸石、モルデナイト、クリノプチロライト、ZSM-5等どのような種類のものを用いてもよく、好ましくはフェリエライト類(ferrierites)を用いるとよい。天然のフェリエライト類は、斜方晶系(Orthorhombic)な構造を有するカチオン性の鉱物であり、主要カチオン種がマグネシウム、ナトリウム、カリウムの場合、ferrierite-Mg, ferrierite-Na, ferrierite-Kなど称される。天然のフェリエライト類には、カルシウムやその他のミネラルがカチオンとして含まれる場合も多く、置換により任意のカチオンを実装することもできる。ここで、天然ゼオライトのフェリエライト類にはCO吸着能を示すものがあり(例えば、ナトリウム置換フェリライト)、CO濃縮に用いられている(下記参考文献1)。このようなCOの濃縮能を併せ持つ素材を上記のCO由来炭素ラジカル種の生成反応に利用することでより大きな効果が期待できる。
(参考文献1)Pulido, A., Nachtigall, P., Zukal, A., Dominguez, I., and Cejka, J. (2009) Adsorption of CO2 on Sodium-Exchanged Ferrierites: The Bridged CO2Complexes Formed between Two Extraframework Cations. J. Phys. Chem. C, 2009, 113 (7), pp 2928-2935
本発明の一実施形態の炭化水素油の増量方法は、(i) ゼオライト又はゼオライト様物質と水とを空気のバブリングにより攪拌混合し、触媒懸濁液を生成する工程;(ii) 触媒懸濁液を酸素で通気処理し、活性水を生成する工程;並びに(iii) 活性水、アルコール、及び原料の炭化水素油の混合液を二酸化炭素を含む気体又は水溶液(炭酸水)に接触させる工程を含む。
本発明において、上記(i)から(iii)までの工程における反応式は、下記(式1)及び(式2)によって示される。
(1)CnHm+ CH3OH → Cn+1Hm+2+ H2O
(2)(1-α)×(式3)+α×(式4)
(3)CnHm+ CO2 + H2O → Cn+1Hm+2 + 3/2O2
(4)CnHm+ CO2 + 2H2O → Cn+1Hm+4 + 2O2
このとき、αは、-1<α<1、好ましくは-0.1<α<0.1、より好ましくは-0.02<α<0.02の値をとり、炭化水素油の増量条件に応じて変化する定数である。後述する実施例に記載されているように、αの値が0に近いほど、最終的な炭化水素油の重量変化が大きい。-1<α<1とするとこの重量変化が大きく、-0.1<α<0.1とするとよりよく、-0.02<α<0.02とするとさらによりよいことが分かった。
例えば、上記(1)及び(2)に示す式の反応が常温常圧化でなされるようにするために、常温常圧下で24~72時間程度、水及びゼオライト(又はゼオライト様物質)を空気のバブリングにより攪拌混合して活性水を生成することが好ましい。ただし、原料の水の状態等により攪拌混合の時間を適宜変更しても構わない。ここで、空気のバブリングは、直径が数μm~数百μm程度の微小な空気の気泡を多量に発生させ、気泡により溶液を攪拌混合することである。なお、空気の代わりに、酸素を用いてもよい。
本発明において、炭化水素油とは、炭化水素を主成分とし、常温常圧下(例えば温度15度及び1気圧)において液状を呈し、化学式C又はCn+1m+2で示される物質である(鎖式飽和炭化水素)。nは、1~40であり、好ましくは1~20である。このような炭化水素油としては、重油、軽油(例えばn=10~20)、ガソリン(例えばn=4~10)、ナフサ、ケロシン(例えばn=10~15)、灯油(例えばn=9~15)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の一実施形態に係る炭化水素油の増量装置は、ゼオライト又はゼオライト様物質と水とから活性水を生成する活性水生成装置1と、該活性水、アルコール、及び原料の炭化水素油から燃料油を製造する燃料油製造装置2とを含む。
図1は、本発明の一実施形態にかかる炭化水素油の増量に用いる活性水を生成する活性水生成装置1の概略構成図である。活性水生成装置1は、1つ又は複数の触媒混合槽11(11a~11d)、1つ又は複数のフィルタ12(12a~12b)、安定化槽14、触媒混合槽11に空気を送り込むブロワーポンプ15、各槽間で液体を移動させるポンプP、及び液体の移動の際に不純物等を除去するフィルタFを備える。なお、活性水生成装置1は、触媒混合槽11dからの触媒懸濁液を酸素で通気処理する通気処理槽をさらに備えていても良い。
触媒混合槽11a~11dは、図示上下に2系統設けられており、両系統とも、触媒混合槽11a,11b,11c,11dの順にポンプPとフィルタFとで接続されている。なお、触媒混合槽11は、その数が1つであっても2つ以上であってもよいし、2系統ではなく1系統であっても2系統以上に分けて設けてもよい。また、フィルタ12a、12bは、各系統で共通の1つであっても良いし、各系統ごとに設けてもよい。
触媒混合槽11では、水とゼオライト又はゼオライト様物質とが、所定の割合(例えば水1000リットル、ゼオライト500g等)で供給され、これらがブロワーポンプ15から供給される空気のバブリングによって、24~72時間攪拌混合される。また、触媒混合槽11において、酵素粉末(例えばEP-10)をさらに追加してもよい。水としては水道水を用いてもよいが、好ましくは軟水、イオン交換水、又は純水を用いる。
水とゼオライト又はゼオライト様物質との比率は、水95%(重量比)に対してゼオライト又はゼオライト様物質5%(重量比)、好ましくは水99%(重量比)に対してゼオライト又はゼオライト様物質1%(重量比)、さらに好ましくは水99.95%(重量比)に対してゼオライト又はゼオライト様物質0.05%(重量比)とするとよい。
また、触媒混合槽11に酵素を加える場合には、酵素は、動物由来であると植物由来であると又は微生物由来であるとを問わない。酵素は、リパーゼを主原料とすることが好ましく、リパーゼとセルラーゼで構成し、リパーゼを98%(重量比)、セルラーゼを2%(重量比)とすることがより好ましい。
触媒混合槽11aにおける水とゼオライト又はゼオライト様物質との混合水(触媒懸濁液)は、一定時間経過後にポンプPによって次の触媒混合槽11bへ移動される。この移動の際、フィルタFで不純物が取り除かれる。そして、触媒混合槽11bでは、再度ブロワーポンプ15から供給される空気のバブリングによって攪拌混合される。これを触媒混合槽11dまで繰り返す。触媒混合槽11a~11dにおける攪拌時間の合計は24~72時間程度である。
触媒混合槽11dで攪拌混合された触媒懸濁液は、フィルタ12a、12bに送られる。フィルタ12a、12bは、10μm以下mの目開き(孔径)を有するフィルタであり、触媒混合槽11dから送られてきた触媒懸濁液を濾過する。ここで、フィルタ12で濾過した触媒懸濁液を活性水と称する。
フィルタ12a、12bにおいて濾過された触媒懸濁液(即ち、活性水)は安定化槽14に移され、安定化槽14にて活性水にアルコールが添加される。このアルコールは、例えばメタノールやエタノールとすることができ、メタノールを用いることが好ましい。このアルコールの配合率は、例えば活性水に対してメタノール5%~20%(重量比)程度とすることが好ましい。活性水に添加するアルコールの役目は、主に、水と油の混和を助ける役目と、炭化水素油増量の初期反応において消費される役目である。
安定化槽14にてアルコールが添加された活性水は、安定化槽14からポンプPにより取り出される。その際、1つ又は複数のフィルタFによりさらに不純物やゼオライト又はゼオライト様物質が取り除かれる。取り出された活性水は、適宜の容器に移すか、あるいは、次の図2に示す燃料油製造装置2の活性水タンク22に貯留する。
活性水生成装置1によって活性化された水(活性水)は、常温においても、反応工程において、原料油(炭化水素油)を加えたときに反応式(1)及び(2)の反応がなされるように活性化されている。また、詳細には後述するが、活性水中の活性酸素種の量は、目開き10μm以下のフィルタ12で濾過することにより、該フィルタ12で濾過しない場合に比べて増加する。
図2は、燃料油製造装置2の構成図を示す。燃料油製造装置2は、原料の炭化水素油を貯留する油貯留部としての原料油タンク21、活性水を貯留する活性水貯留部としての活性水タンク22、1つ又は複数の油混合槽23、制御盤24、パルス付与部25、ニュートン分離槽26、分離タンク27、精密フィルタ部28、完成タンク29、および排液タンク30により構成されている。
原料油タンク21は、原料となる油を貯留するタンクであり、貯留している原料の炭化水素油を必要量ずつ油混合槽23へパイプRを通じて注ぎ込む。原料の炭化水素油は、例えばA重油、B重油、C重油、軽油、灯油等とすることができる。
活性水タンク22は、活性水生成装置1で精製した活性水を貯留するタンクであり、貯留している活性水を必要量ずつ油混合槽23へパイプRを通じて注ぎ込む。
二酸化炭素供給部31は、気体の二酸化炭素又は二酸化炭素が溶けた水(炭酸水)を充填するボンベ又はタンクを備え、気体の二酸化炭素又は炭酸水を油混合槽23へ供給する。油混合槽23に供給される二酸化炭素の濃度は、大気中の二酸化炭素濃度(約0.03~0.04%、300~400ppm)を超える濃度であって、濃度が高ければ高いほど反応に使用される二酸化炭素が増えるためよい。例えば、二酸化炭素供給部31から供給される気体の二酸化炭素(又は炭酸水)の濃度は、90%以上であり、好ましくは99%以上、さらに好ましくは99.5%以上の濃度である。なお、二酸化炭素供給部31は、二酸化炭素を充填したボンベであってもよいし、発電所や製鉄所、石油プラント等の二酸化炭素の大規模発生源等で生じる燃焼ガスから二酸化炭素を回収する装置そのもの、又は当該装置で回収された二酸化炭素を供給する装置等であってもよい。
油混合槽23は、原料油タンク21から供給された原料の炭化水素油及び活性水タンク22から供給された活性水を混合攪拌し、その混合液を二酸化炭素供給部31から供給された二酸化炭素を含む気体又は水溶液に接触させて、増量した炭化水素油(「燃料油」という。)を生成するタンクである。油混合槽23内では、主に活性水中の活性酸素種(O 、ヒドロキシラジカル、H、及び一重項酸素のうちの少なくとも1種を含む。)が二酸化炭素(並びに重炭酸イオン、炭酸イオン等、及び二酸化炭素由来イオン)と反応し炭素ラジカル種を生じさせ、炭素ラジカル種が原料の炭化水素油と反応し、炭化水素油の炭素鎖を伸長させると考えられる。
油混合槽23に原料の炭化水素油と活性水との比率(重量比)は、原料の炭化水素油の種類によって適宜調整するとよく、例えば、A重油60%と活性水40%、軽油70%と活性水30%、あるいは、灯油70%と活性水30%といった比率にすることが好ましいが、原料の炭化水素油の性状により適意調整して構わない。また、油混合槽23への二酸化炭素の供給は、炭化水素油と活性水とが十分に攪拌混合され乳化した混合液となった後に行ってもよいし、炭化水素油と活性水とを攪拌混合中に二酸化炭素を供給し、二酸化炭素との反応がより早く進むようにしてもよい。
制御盤24は、燃料油製造装置2の各部を制御する制御部であり、電力供給のON/OFFなどの各種制御を実行する。パルス付与部25は、油混合槽23で製造された燃料油に振動を与えて残渣物を取りやすくする。残渣物には、反応し切れなかった水や重油中の不純物等が含まれる。
ニュートン分離槽26は、燃料油を貯留して重力によって残渣物を下方へ落とし、上方に残る燃料油を抽出する。
分離タンク27は、燃料油からさらに残渣物を分離する。精密フィルタ部28は、燃料油からフィルタによって残渣物を取り除く。完成タンク29は、完成した燃料油を貯留する。排液タンク30は、パルス付与部25およびニュートン分離槽26で発生した残渣物を含む排液を貯留する。
図3は、油混合槽23の構成を示す構成図である。油混合槽23は、略円筒形の攪拌空間40が設けられ、この攪拌空間40内に、攪拌器43(43L,43R)、及びポンプ44(44L,44R)が設けられている。攪拌器43では、図示左方の攪拌器43Lが攪拌空間40内の下方に設けられ、図示右方の攪拌器43Rが攪拌空間40内の上方に設けられており、それぞれが上下左右に分散配置されている。各攪拌器43は、ポンプ44(44L,44R)が接続されており、このポンプ44から原料の炭化水素油及び活性水、又はこれらの混合物が供給される。また、各撹拌器43には、通気管(又はポンプ)45が接続され、二酸化炭素供給部31から二酸化炭素(又は炭酸水)が撹拌器43内に供給される。
ポンプ44Lは、吸入口41Lが上方に配置されたパイプが接続されており、ポンプ44Lが原料の炭化水素油及び活性水、又はこれらの混合物を攪拌器43Lへ送り出し、攪拌空間40内の燃の炭化水素油及び活性水、及び二酸化炭素(若しくは炭酸水)、又はこれらの混合物を略均等に循環させている。
ポンプ44Rは、吸入口41Rが下方に配置されたパイプが接続されており、ポンプ44Lが原料の炭化水素油及び活性水、又はこれらの混合物を攪拌器43Lへ送り出すことによって、攪拌空間40内の原料の炭化水素油及び活性水、又はこれらの混合物などを略均等に循環させている。このポンプ44L,44Rは、いずれも30気圧~40気圧のポンプを用いることが好ましい。
図4は、攪拌器43の構成を説明する説明図である。攪拌器43は、内部中空の金属製であり、略円筒形の頭部51と、その下に続く逆円錐形の胴部59と、その下の後端部60とで主に構成されている。頭部51の上面中央には、円筒形の中心軸53が設けられている。この中心軸53は、上下方向に貫通する流入孔53a(図5参照)が設けられており、この流入孔53aから原料の炭化水素油及び活性水、又はこれらの混合物が流入する。
頭部51の側面の一部には、原料の炭化水素油及び活性水、又はこれらの混合物が流入する流入口57が設けられている。この流入口57は、外から内へ貫通する孔であり、円筒形の連結カバー55で周囲が囲繞されている。連結カバー55の内面にはネジ溝56が設けられており、ポンプ44と連結するパイプが取り付けられる構成になっている。
また、流入口57の位置および連結カバー55の向きは、図4(B)のA-A断面図に示すように、攪拌器43の中心より偏心して内周へ向かって原料の炭化水素油、活性水、あるいは活性水と油の混合物が流入するように構成されている。これにより、流入口57のから流入した原料の炭化水素油等が、円筒形の中心軸53を軸にして効率よく回転する。
図5のB-B断面図に示すように、攪拌器43の内部には、内周に沿って複数のピン63が立設されている。この複数のピン63は、それぞれが交差しないように隙間を空けて配置されている。例えば、0.03mmのピンを、10mm程度の間隔を開けて55~80本設けるとよい。
攪拌器43の後端部60には、排出孔61が設けられている。このように構成された攪拌器43は、油と活性水を効率よく攪拌して分解反応させることができる。詳述すると、流入口57から流入した原料の炭化水素油及び活性水、又はこれらの混合物は、中心軸53の周囲を回転しつ、排出孔61へ向かって回転半径が徐々に小さくなる竜巻状に移動する。その際、内部に設けられた複数のピン63によって攪拌される。また、竜巻状に回転することによって、中心軸53の下方付近に負圧が発生し、これによって流入孔53aから原料の炭化水素油及び活性水、又はこれらの混合物が流入する。すなわち、図3に示した攪拌器43Lは、吸入口41Lから吸入する主に油をポンプ44Lによって流入口57から取り込み、流入孔53aから主に活性水を取り込んで攪拌する。これと逆に攪拌器43Rは、吸入口41Rから吸入する主に活性水をポンプ44Rによって流入口57から取り込み、流入孔53aから主に油を取り込んで攪拌する。この攪拌器43により、強力な水圧の中で活性水と油を激突させて攪拌し、反応式(1)の反応を促進させることができる。
この攪拌器43を備えた油混合槽23にて所定時間(例えば15分~20分程度)攪拌すると、攪拌器43内で竜巻状に移動して攪拌されている油と酵素が300回から500回接触し、加水分解反応が促進されて分子構造が小さくなり、比重も軽くなる。
図6(A)は、パルス付与部25に設けられるパルスフィルタ70の斜視図である。このパルスフィルタ70は、2つのラインミキサーの間に設けられ、格子状の間仕切り71の間に形成される孔に燃料油を通過させる。このパルス付与部25(特に間仕切り71)は、セラミック焼成体で形成されている。
間仕切り71は、内部でスクリュー状に緩やかにねじれており、流入してきた燃料油を振動させ、反応を促進させる。これにより、不純物を取り除きやすい状態にすることができる。
図6(B)は、精密フィルタ部28に設けられる精密フィルタ80の斜視図を示す。この精密フィルタ80は、メッシュ状の素材で形成された円筒形の筒部82の周囲に、中心から放射状に広がるフィルタ81が設けられている。このフィルタ81に対して外周から筒部82内へ向けて燃料油を通過させることで不純物を取り除くことができる。
フィルタ81は放射状に設けられているため、図6(C)の一部拡大平面図に示すように、基部側81aから先端側81cまでの板状面81b全体で燃料油を通過させることができる。このため、基部側81aに不純物が蓄積してきて通過しづらくなっても、板状面81bで燃料油を問題なく通過させて不純物を取り除くことができる。
図7は、本発明にかかる接触槽としてのニュートン分離槽26の縦断面図を示す。ニュートン分離槽26は、底部付近に設けられた傾斜板96と、その上方位置に交互に複数設けられた高位板92と低位板93とで主に構成され、前段に液体流入口91が、後段に液体排出口95が設けられている。高位板92は、下端と傾斜板96の間に空間が設けられており、燃料油が前後へ移動できるように構成されている。低位板93は、上端が高位板92より低く形成されており、貯留している燃料油の上部を溢れさせて隣の貯留部に移動させることができる。この低位板93は、下端部に可動板94が設けられており、この可動板94の下端が傾斜板96に接触するように構成されている。高位板92と低位板93は、この順で交互に並べて構成されており、傾斜板96の傾斜に合わせて各長さが次々に短くなるように構成されている。
この構成により、液体流入口91から第1貯留部90aに流入した燃料油は、不純物が下方へ蓄積して精製されるとともに、反応式(1)及び(2)により燃料油が生成されて、次の第2貯留部90bへあふれ出る。これを第1貯留部90aから第4貯留部位90dまで繰り返して綺麗になった燃料油は、液体排出口95から排出される。
各貯留部90a~90dで沈殿した不純物は、傾斜板96に沿って下方へ移動する。この際、可動板94が開いて不純物が下方へ移動することを許容する。なお、この可動板94は、逆方向には開かないため、不純物が逆流することはない。
傾斜板96に沿って下方へ移動した不純物は、回収開口部97からバルブ99aを介して回収部98へ移動し、この回収部98内に回収される。バルブ99aは、間欠的に開閉動作し、ある程度残渣が溜まれば開放して回収部98に回収し、閉鎖する。このとき、回収部98の上部付近に設けられた排気バルブ99cより排気される。回収部98に回収した不純物は、回収バルブ99bから取り出して廃棄等するとよい。
なお、攪拌器43は、図8に示すように異なるタイプの攪拌器43Aを用いてもよい。この攪拌器43Aは、後端部60に排出孔が設けられていない。また、上述した実施例の中心軸53の代わりに中心パイプ54が設けられている。この中心パイプ54は、内部に中空部67を有する円筒形状を有しており、その上端67aが燃料油の排出口として機能する。このように構成された攪拌器43Aは、流入口57から流入した活性水と油を回転させ、回転半径を小さくしながら竜巻状に下方へ移動させ、中心パイプ54の下端から上端へ移動して上端から排出される。この攪拌器43Aも、上述した実施例の攪拌器43と同一の作用効果を奏することができる。
以上に説明した活性水生成装置1、燃料油製造装置2及びニュートン分離槽26等を通じて、反応式(1)及び(2)による反応をなさしめ、燃料油を生成することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[1]活性酸素種の定量的評価の方法
ゼオライト又はゼオライト様物質と水とを空気のバブリングにより攪拌混合した触媒懸濁液を触媒として利用することで、原料の炭化水素油及びアルコールと混合した溶液中で活性酸素種の生成が継続的に起こり、該活性酸素種が二酸化炭素から炭素ラジカル種の生成を促し、該炭素ラジカル種が炭化水素油の増加に寄与していると考えられる。即ち、活性酸素種の生成が反応の律速段階の一つである。そこで、本実施例では、触媒懸濁液中で連続的に生成する活性酸素種を定量的に調べた。
酵素水が触媒として働くことにより生成される活性酸素種の定量的評価には、一般的に植物由来酵素(下記参考文献2)や動物由来ペプチド(下記参考文献3)が触媒するスーパーオキシドアニオンラジカル(O )の生成反応や光触媒により生成するO (下記参考文献4及び5)を観察する方法である、ウミホタル由来ルシフェリンアナログ(CLA)の化学発光(CL)を利用する方法を採用した。CLA-CLの積算値は、O の生成量と相関(比例)しており、CLA-CLの積算値が大きいほど、O の生成量も多いと考えられる。
(参考文献2)Kawano, T., Kawano, N., Hosoya, H. and Lapeyrie, F. (2001) Fungal auxin antagonist hypaphorine competitively inhibits indole-3-acetic acid-dependent superoxide generation by horseradish peroxidase. Biochemical and Biophysical Research Communications 288 (3): 546-551.
(参考文献3)Kawano, T. (2007) Prion-derived copper-binding peptide fragments catalyze the generation of superoxide anion in the presence of aromatic monoamines. International Journal of Biological Science 3 (1): 57-63.
(参考文献4)Kagenishi, T., Yokawa, K., Lin, C., Tanaka, K., Tanaka, L. and Kawano, T. (2008) Chemiluminescent and bioluminescent analysis of plant cell responses to reactive oxygen species produced by newly developped water conditioning apparatus equipped with titania-coated photocatalystic fibers. In: Bioluminescence and Chemiluminescence, 2008 (Eds, Kricka, L.J., Stanley, P.E.), World Scientific Publishing Co. Pte. Ltd., Singapore. pp. 27-30.
(参考文献5)Lin, C., Tanaka, K., Tanaka, L. and Kawano, T. (2008) Chemiluminescent and electron spin resonance spectroscopic measurements of reactive oxygen species generated in water treated with titania-coated photocatalytic fibers. In: Bioluminescence and Chemiluminescence, 2008 (Eds, Kricka, L.J., Stanley, P.E.), World Scientific Publishing Co. Pte. Ltd., Singapore. pp. 225-228.
ここで、一般的に活性酸素種としてO のみが生成するとは考えにくく、O の生成とともに、O から派生する過酸化水素(H)やHから派生するヒドロキシラジカル等の他の活性酸素種も生成していると考えられる。そして、O の生成量が多ければ、他の活性酸素種も相関的に多く生成していると考えられる。そのため、O の生成量を基に、触媒懸濁液(又は活性水)中に生じる活性酸素種の生成量をある程度定量的に評価することができると考えられる。
CLAの化学発光を利用する方法の具体的は、下記参考文献6に記載されている。当該方法におけるCLの検出には、ルミノメーターを利用した。なお、CLAは、O に特異的な化学発光プローブとされるが、わずかに一重項酸素()とも反応することが知られている。
(参考文献6)Kawano, T., et al., (1998) Salicylic acid induces extracellular superoxide generation followed by an increase in cytosolic calcium ion in tobacco suspension culture: The earliest events in salicylic acid signal transduction. Plant and Cell Physiology 39 (7): 721-730.
そこで、本実施例では天然ゼオライトとイオン交換水とを2日間(48時間)空気でバブリングして攪拌混合した触媒懸濁液を準備した。実施例1~5では、天然ゼオライトとして、フェリエライト類(ferrierites)の天然ゼオライトを主に含むものを用いた。該触媒懸濁液に、過酸化水素を除去するカタラーゼ(CAT)、O を除去するスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、およびの除去試薬である1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(1,2-diazabicyclo[2.2.2]octane:DABCO)を添加した試料をそれぞれ準備した。各試料についてCLAの化学発光(CLA-CL)の積算値(積算時間3分間、単位:rlu)を測定した(図9)。
図9中、「2dayバブリング」は天然ゼオライトとイオン交換水とを2日間バブリングさせて混合した触媒懸濁液の試料を表し、「DDW」はイオン交換水のみの試料を表し、「4kU/ml CAT」は該触媒懸濁液にCATを4kU/ml添加した試料を表し、「20kU/ml CAT」は該触媒懸濁液にCATを20kU/ml添加した試料を表し、「5kU/ml SOD」は該触媒懸濁液にSODを5kU/ml添加した試料を表し、そして、「DABCO」は該触媒懸濁液にDABCOを添加した試料を表す。
図9に示すように、「2dayバブリング」の試料のCLA-CL積算値は、イオン交換水のみの「DDW」の試料の値よりも4倍以上大きい値であった。このことから、天然ゼオライトとイオン交換水とを2日間バブリングさせて混合した触媒懸濁液中にO の活性酸素種が生成していることがわかった。また、触媒懸濁液に過酸化水素を除去するCATを添加した試料「4kU/ml CAT」及び「20kU/ml CAT」並びにを除去するDABCOを添加した試料「DABCO」のCLA-CL積算値に比べ、O を除去するSODを添加した試料「5kU/ml SOD」のCLA-CL積算値が大きく減少したことから、当該方法が、O の定量的な評価に適していることがわかる。
ここで、CLAは特にO に対して高い選択性を示すが、にたいしても反応することが知られている(下記参考文献7)。CLA-CLがO を特異的に検出していることを示すために、DABCOなどの除去試薬の利用が有効であり、が発生する系であればCLA-CLをDABCOを用いてクエンチすることができる(下記参考文献8)。したがって、図9に示すように、試料「2dayバブリング」のCLA-CL積算値と試料「DABCO」のCLA-CL積算値との間に大きな違いがなかったことから、観察されたCLA-CLはO に特異的であることが示唆されている。また、O の除去酵素SODを添加した試料「SOD」のCLA-CL積算値の結果からも、観察されたCLA-CLはO に特異的であることがわかる。また、過酸化水素(H)を除去するCATを添加した試料「4kU/ml CAT」及び「20kU/ml CAT」のCLA-CL積算値は、試料「2dayバブリング」のCLA-CL積算値とそれほど大きくは違わなかった。ただし、酵素濃度を高めた試料「20kU/ml CAT」の値の方が、試料「4kU/ml CAT」の値よりも小さかった。これらの結果から、O 生成の上流にHが必要ではないと考えられる。
参考として、実際に植物の酵素(ペルオキシダーゼ)によるO 生成の場合には、HをO の前駆物質として(上流に)必要とするため、CATの添加によりCLA-CLが阻害されることが知られている(下記参考文献9)。しかし、このことは、O から派生してHおよびその下流のヒドロキシラジカルが生成することを否定しているものではない。
(参考文献7)Nakano M, Sugioka K, Ushijima Y, Goto T. Chemiluminescence probe with Cypridina luciferin analog, 2-methyl-6-phenyl-3,7-dihydroimidazo [1,2-a] pyrazin-3-one, for estimating the ability of human granulocytes to generate O2-. Anal Biochem 1986; 159:363-9.
(参考文献8)Yokawa K, Suzuki N, Kawano T. Ethanol-enhanced singlet oxygen-dependent chemiluminescence interferes with the monitoring of biochemical superoxide generation with a chemiluminescence probe, Cypridina luciferin analog. ITE Lett Batter New Technol Medic 2004; 5:49-52.
(参考文献9)Kawano, T. and Muto, S. (2000) Mechanism of peroxidase actions for salicylic acid-induced generation of active oxygen species and an increase in cytosolic calcium in tobacco suspension culture. Journal of Experimental Botany 51 (345): 685-693.
そして、活性酸素種としてO の生成とともに他の活性酸素種も生成していると考えられるので、該他の活性酸素種も、O の生成量に相関的に生成していると考えられる。
[2]活性酸素種の生成に対するバブリングの影響
本実施例では、触媒懸濁液を攪拌混合して生成する際の空気のバブリングの有無が、活性酸素種の生成に対してどのように影響するのかを調べた。
まず、実施例1と同様に天然ゼオライトとイオン交換水とを2日間(48時間)攪拌混合させて触媒懸濁液の試料を準備した。該攪拌混合は、空気のバブリングによる攪拌混合と、バブリングによらずスターラーによる攪拌混合の二種類のパターンで行った。また、空気のバブリングにより準備した触媒懸濁液及びバブリングをせずに準備した触媒懸濁液それぞれに対して、O の除去試薬であるタイロン(Tiron)、ヒドロキシラジカルの除去試薬であるジメチルシオウレア(DMTU)、一重項酸素()の除去剤であるDABCO(1,2-diazabicyclo[2.2.2]octane)並びに金属イオンのキレート剤である2,2'-ビピリジン(Bipy)及びオルトフェナントロリン(O-Phe)をそれぞれ添加した。各試料は、目開き(孔径)0.2μmのフィルタを用いて濾過した。そして、実施例1と同様に、各試料に対してCLAの化学発光の積算値(測定時間3分間、単位:rlu)を測定した(図10)。ここで、Bipy及びO-Pheは金属イオンのキレート剤であり、鉄イオン(とくにBipyは主に2価鉄イオン)や銅イオンを除去する。
図10中、「Air0.2」は空気のバブリングによる攪拌混合で準備した触媒懸濁液の試料を表し、「Air0.2 Tiron2.5mM」は空気のバブリングによる攪拌混合で準備した触媒懸濁液にタイロン2.5mM添加した試料を表し、「Air0.2 Bipy1mM」は空気のバブリングによる攪拌混合で準備した触媒懸濁液に2,2'-ビピリジン1mM添加した試料を表し、「Air0.2 Dabco2.5mM」は空気のバブリングによる攪拌混合で準備した触媒懸濁液にDABCOを2.5mM添加した試料を表し、「Air0.2 DMTU1mM」は空気のバブリングによる攪拌混合で準備した触媒懸濁液にDMTUを1mM添加した試料を表し、そして「Air0.2 o-Phe1mM(1%EtOH)」は空気のバブリングによる攪拌混合で準備した触媒懸濁液にオルトフェナントロリンを添加した試料を表す。また、図10中、「w/o Air0.2」はバブリングせずに準備した触媒懸濁液の試料を表し、「w/o Air0.2 Tiron2.5mM」はバブリングせずに準備した触媒懸濁液にタイロン2.5mM添加した試料を表し、「w/o Air0.2 Bipy1mM」はバブリングせずに準備した触媒懸濁液に2,2'-ビピリジン1mM添加した試料を表し、「w/o Air0.2 Dabco2.5mM」はバブリングせずに準備した触媒懸濁液にDABCOを2.5mM添加した試料を表し、「w/o Air0.2 DMTU1mM」はバブリングせずに準備した触媒懸濁液にDMTUを1mM添加した試料を表し、そして、「w/o Air0.2 o-Phe1mM(1%EtOH)」はバブリングせずに準備した触媒懸濁液にオルトフェナントロリンを添加した試料を表す。
図10に示すように、試料「Air0.2」のCLA-CL積算値が試料「w/o Air0.2」の値よりも大きいことから、空気のバブリングによる攪拌混合がO の生成を向上させることがわかった。同時に、空気のバブリングの攪拌混合によって、O の生成が向上するとともに、他の活性酸素種の生成も向上させると考えられるので、空気のバブリングによりに、O に加えてヒドロキシラジカル等の他の活性酸素種の生成量も向上する。
また、図10に示すように、実施例1のSODとは異なるO の除去試薬であるタイロンを添加した試料「Air0.2 Tiron2.5mM」及び「w/o Air0.2 Tiron2.5mM」とヒドロキシラジカルの除去試薬であるDMTUを添加した試料「Air0.2 DMTU1mM」及び「w/o Air0.2 DMTU1mM」のCLA-CL積算値が比較的低いことがわかった。この結果から、実施例1と同様に触媒懸濁液中にO が生成されることについて更なる確証が得られるとともに、O 生成に至る触媒懸濁液が触媒する反応中でヒドロキシラジカルの生成が生じている可能性があることがわかった。なお、DMTUはヒドロキシラジカルの生成を阻害するものであるが、本実施例では高濃度のDMTUを用いたため、O の生成に関わる活性酸素種の様々な中間体が除去された可能性があり、その結果、DMTUを添加した試料「Air0.2 DMTU1mM」及び「w/o Air0.2 DMTU1mM」のCLA-CL積算値の値が小さくなったと考えられる。
[3]触媒懸濁液に対する酸素による通気処理の影響
本実施例では、触媒懸濁液に対する酸素による通気処理の影響について調べた。
まず、実施例1と同様に天然ゼオライトとイオン交換水とを2日間(48時間)空気のバブリングにより攪拌混合させて触媒懸濁液を準備し、目開き0.2μmのフィルタで濾過した試料を準備した。そして、該濾過した試料に酸素(O)、二酸化炭素(CO)、及び窒素(N)の気体をそれぞれ10秒間通気処理した後、各試料についてCLA-CL積算値(積算時間3分間、単位:rlu)を測定した(図11)。該通気処理は、フィルタで濾過した触媒懸濁液に対して、それぞれ酸素、二酸化炭素、及び窒素のバブリングによる攪拌混合を行った。通気処理に用いた酸素(O)、二酸化炭素(CO)、及び窒素(N)の気体の純度はいずれも99.9%以上のものである。
図11中、「2dayバブリング」は通気処理を行っていない試料、「2dayバブリング+O2 10sec」は酸素で通気処理した試料、「2dayバブリング+CO2 10sec」は二酸化炭素で通気処理した試料、「2dayバブリング+N2 10sec」は窒素で通気処理した試料を表す。
図11に示すように、通気処理を行っていない試料「2dayバブリング」のCLA-CL積算値に比べて、酸素で通気処理した試料「2dayバブリング+O2 10sec」の値が顕著(7~8倍程度)に向上した。このことから、触媒懸濁液を酸素で通気処理することで、酸素で通気処理しない場合に比べて、O の生成量を大幅に向上できることがわかった。O の生成とともに他の活性酸素種も生成していると考えられるので、酸素の通気処理により他の活性酸素種の生成量(単位体積あたりの活性酸素種の量)も、酸素で通気処理する前の触媒懸濁液における生成量(単位体積あたりの活性酸素種の量)よりも大幅に向上すると考えられる。
なお、二酸化炭素で通気処理した試料「2dayバブリング+CO2 10sec」のCLA-CL積算値が小さく、触媒懸濁液を二酸化炭素で通気処理することでO 生成活性を大幅に阻害されることがわかった。これは、通気処理に用いた二酸化炭素由来の炭素成分が、触媒懸濁液中のO と反応したことによる影響であると考えられる。
このように、触媒懸濁液を生成後に酸素で通気処理することによって、活性酸素種の生成量を顕著に(7~8倍に)増加させることができるため、活性酸素種の豊富な活性水を炭化水素油の増量のための触媒として用いることができる。
そして、活性水、アルコール、及び原料の炭化水素油を混合して乳化液を生成し、該乳化液を二酸化炭素を含む気体又は水溶液(炭酸水)に接触させることで、該乳化液中の活性酸素種の量に応じて二酸化炭素から炭素ラジカル種が生成され、該炭素ラジカル種の生成量に応じて炭化水素油の増量が生じる。なお、該乳化液に接触させる二酸化炭素の濃度が高ければ高いほど、乳化液と二酸化炭素を含む気体(又は水溶液)との界面に存在する二酸化炭素分子の量が増えるため、該乳化液中の活性酸素種と反応する二酸化炭素分子の数が増え、その結果、炭素ラジカル種の生成量も増えると考えられる。
[4]触媒懸濁液に対する濾過の影響
本実施例では、触媒懸濁液をフィルタで濾過する処理に用いるフィルタの目開きの大きさの影響について調べた。
まず、実施例1と同様に天然ゼオライトとイオン交換水とを2日間(48時間)攪拌混合させて触媒懸濁液を準備し、様々な目開きのフィルタで濾過した試料を準備した。該攪拌混合は、空気のバブリングによる攪拌混合と、バブリングによらずスターラーによる攪拌混合の二種類のパターンで行った。また、濾過に用いたフィルタは、目開きが0.2μm、5μm、10μm、及び40μmであるものを用いた。そして、各濾過した触媒懸濁液の試料についてCLA-CL積算値(積算時間3分間、単位:rlu)の測定を行った(図12)。本実施例で用いたフィルタは、目開き0.2μmのフィルタがメルクミリポア製のシリンジ用フィルタ(HPLC用マイレクス(登録商標)(マイレクス LG/LH))であり、目開き5μm、10μm、及び40μmのフィルタは、ナイロンメッシュ(網状のクロス)フィルタである。
また、最適な目開きのフィルタを決定するために、天然ゼオライトとイオン交換水とを2日間(48時間)空気のバブリングにより攪拌混合させて準備した触媒懸濁液を、様々な目開きのフィルタで濾過した後、各試料について空気中で波長600nmの光の吸光度(濁度)を測定し、濁度の違いを調べた(図13)。フィルタは、上記と同様、目開きが0.2μm、5μm、10μm、及び40μmのものを用いた。
図12中、「DDW」はイオン交換水のみの試料、「Air0.2」は空気のバブリングによる攪拌混合で準備した触媒懸濁液を目開き0.2μmのフィルタで濾過した試料、「Air5」は空気のバブリングによる攪拌混合で準備した触媒懸濁液を目開き5μmのフィルタで濾過した試料、「Air10」は空気のバブリングによる攪拌混合で準備した触媒懸濁液を目開き10μmのフィルタで濾過した試料、「Air40」は空気のバブリングによる攪拌混合で準備した触媒懸濁液を目開き40μmのフィルタで濾過した試料を表す。また、図11中、「w/o Air0.2」はバブリングせずに準備した触媒懸濁液を目開き0.2μmのフィルタで濾過した試料、「w/o Air5」はバブリングせずに準備した触媒懸濁液を目開き5μmのフィルタで濾過した試料、「w/o Air10」はバブリングせずに準備した触媒懸濁液を目開き10μmのフィルタで濾過した試料、「w/o Air40」はバブリングせずに準備した触媒懸濁液を目開き40μmのフィルタで濾過した試料を表す。
図12に示すように、最も大きいCLA-CL積算値を示したのは、二日間空気のバブリングによる攪拌混合処理を行い、目開き0.2μmのフィルタで濾過した試料「Air0.2」であった。また、図13に示すように、フィルタの目開きが10μm及び40μmで濾過した試料の吸光度(懸濁度)はほとんど変化しなかった。このことから、本測定の試料に用いた天然ゼオライトの大きさが概ね10μm以下であることがわかる。そうすると、図12において、10μmで濾過した試料「Air10」、「w/o Air10」、及び40μmの目開きのフィルタで濾過した試料「Air40」、「w/o Air40」は、濾過していない触媒懸濁液ともいえる。
図12の説明に戻り、試料「Air0.2」及び「Air5」のCLA-CL積算値が、濾過していない触媒懸濁液とみなせる試料「Air10」、「Air40」のCLA-CL積算値よりも大きく、さらに、試料「Air0.2」のCLA-CL積算値が試料「Air5」のCLA-CL積算値よりも大きかった。バブリングを行わずに準備した試料「w/o Air0.2」~「w/o Air40」についても同様の結果であった。
このことから、天然ゼオライトとイオン交換水とを攪拌混合して準備した触媒懸濁液に対して小さい目開きの(好ましくは目開きが10μm以下、さらに好ましくは0.2μm以下の)フィルタを用いて濾過するほど、触媒懸濁液中の活性酸素種の量を向上させることができることがわかった。さらに言い換えると、外径のより小さい(好ましくは外径が10μm以下、さらに好ましくは外径が0.2μm以下の)天然ゼオライトを使用すればするほど、触媒懸濁液中の活性酸素種の量を向上させることができることがわかった。この理由としては、あるサイズ(とりわけ10μmを超えるサイズ)の粒径を有するゼオライト又はゼオライト様物質が、触媒懸濁液中での活性酸素種を発生させる反応を一部阻害するためであると考えられる。
[5]触媒懸濁液中の金属イオンの影響
本実施例では、触媒懸濁液が触媒する活性酸素種の生成反応に対する金属イオンの影響を調べた。
まず、実施例1と同様に天然ゼオライトとイオン交換水とを2日間(48時間)攪拌混合させて準備した触媒懸濁液を、目開き0.2μmのフィルタで濾過した試料を準備した。該攪拌混合は、空気のバブリングによる攪拌混合と、バブリングによらずスターラーによる攪拌混合の二種類のパターンで行った。また、濾過した試料に、二価の鉄イオン(Fe2+)50μM又は三価の鉄イオン(Fe3+)50μMを添加し、それぞれについてCLA-CL積算値を測定した(図14)。
図14中、「Air0.2」はバブリングによる攪拌混合で準備した触媒懸濁液を濾過した試料を表し、「Air0.2 (Fe2+)50μM」は空気のバブリングによる攪拌混合で準備した触媒懸濁液を濾過し二価の鉄イオン(Fe2+)50μMを添加した試料を表し、「Air0.2 (Fe3+)50μM」は空気のバブリングによる攪拌混合で準備した触媒懸濁液を濾過し三価の鉄イオン(Fe3+)50μMを添加した試料を表す。また、図14中、「w/o Air0.2」はバブリングせずに準備した触媒懸濁液を濾過した試料を表し、「w/o Air0.2 (Fe2+)50μM」はバブリングせずに準備した触媒懸濁液を濾過し二価の鉄イオン(Fe2+)50μMを添加した試料を表し、「w/o Air0.2 (Fe3+)50μM」はバブリングせずに準備した触媒懸濁液を濾過し三価の鉄イオン(Fe3+)50μMを添加した試料を表す。
図14に示すように、鉄イオンを添加した試料「Air0.2 (Fe2+)50μM」、「Air0.2 (Fe3+)50μM」、「w/o Air0.2 (Fe2+)50μM」、及び「w/o Air0.2 (Fe3+)50μM」のCLA-CL積算値は、鉄イオンを添加しない試料「Air0.2」及び「w/o Air0.2」の値よりもいずれも小さかった。このことから、O 生成活性の低下を防ぐ又は低減するために、触媒懸濁液中から鉄成分を除去することにより、活性酸素種の量が低減するのを防ぐことができることがわかった。
即ち、最終的に炭化水素油の増量に用いる活性水中に鉄イオンが含まれないようにしておくことにより、鉄イオンの存在による活性酸素種の量の低減を防ぐことができる。生成する活性水中の鉄イオン成分を除去するために、水としてイオン交換水や純水を用いてもよい。また、活性水中の鉄イオンを除去するために、活性水生成装置1中のフィルタ12a、12bと安定化槽14との間に(又は安定化槽14と燃料油製造装置2との間の流路中に)鉄分除去部を設け、フィルタ12a、12bで生成された活性水中から鉄イオンを除去するようにしてもよい。また、触媒懸濁液中の鉄イオンを除去するために、触媒混合槽11a~11dのうち少なくとも1つの隣接する触媒混合槽の間に(又は触媒混合槽11dとフィルタ12a、12bとの間に)、鉄分除去部を設け、フィルタ12a、12bへ送られる前の触媒懸濁液中から鉄イオンを除去するようにしてもよい。鉄分除去部として、イオン交換樹脂若しくは逆浸透(RO)膜を用いてもよいし、又は、キレート剤や酸化剤で析出させて沈殿させ若しくは濾過することにより除去する装置を用いてもよい。
次に、天然ゼオライトとイオン交換水とを2日間(48時間)攪拌混合して準備した触媒懸濁液を、目開き0.2μmのフィルタで濾過した試料を準備した。該攪拌混合は、空気のバブリングによる攪拌混合と、バブリングによらずスターラーによる攪拌混合の二種類のパターンで行った。また、濾過した試料に、一価の銅イオン(Cu)50μM又は二価の銅イオン(Cu2+)50μMを添加し、それぞれについてCLA-CL積算値を測定した(図15)。
図15中、「Air0.2」は空気のバブリングによる攪拌混合で準備した触媒懸濁液を濾過した試料を表し、「Air0.2 (Cu+)50μM」は空気のバブリングによる攪拌混合で準備した触媒懸濁液を濾過し一価の銅イオン(Cu)50μMを添加した試料を表し、「Air0.2 (Cu2+)50μM」は空気のバブリングによる攪拌混合で準備した触媒懸濁液を濾過し二価の銅イオン(Cu2+)50μMを添加した試料を表す。また、図15中、「w/o Air0.2」はバブリングせずに準備した触媒懸濁液を濾過した試料を表し、「w/o Air0.2 (Cu+)50μM」はバブリングせずに準備した触媒懸濁液を濾過し一価の銅イオン(Cu)50μMを添加した試料を表し、「w/o Air0.2 (Cu2+)50μM」はバブリングせずに準備した触媒懸濁液を濾過し二価の銅イオン(Cu2+)50μMを添加した試料を表す。
図15に示すように、銅イオンを添加した試料「Air0.2 (Cu+)50μM」及び「Air0.2 (Cu2+)50μM」のCLA-CL積算値は、銅イオンを添加しなかった試料「Air0.2」の値と大きな違いはなかった。また、銅イオンを添加した試料「w/o Air0.2 (Cu+)50μM」及び「w/o Air0.2 (Cu2+)50μM」のCLA-CL積算値は、銅イオンを添加しなかった試料「w/o Air0.2」の値と大きな違いはなかった。このことから、銅イオンの影響によるO 生成活性(即ち活性酸素種の量)の低減はほとんど無く、反応液に金属イオンを添加する場合には、鉄イオンではなく、銅イオンが望ましいことがわかった。また、図1~8に示す活性水生成装置、均質混合装置、混合装置、油混合槽、撹拌器、パルスフィルタ、精密フィルタ、及びニュートン分離槽等のうち、触媒懸濁液、活性水、並びに活性水、アルコール、及び原料の炭化水素油との混合液である乳化液が触れる部分には、鉄製の部材をできるだけ使用せずに、もっぱら銅製の部材を使用して構成するようにするとよい。
[6]炭化水素油の増加量を推算する装置
本実施例では、上述した炭化水素油の増量装置に生成された物質の収支結果と、下記反応式とに基づく炭化水素油の増加量を推算する方法について説明する。
炭化水素油の増加量を推算する方法に基づく推算は、当該推算を実行するためのコンピュータプログラムが記憶された推算部としてのコンピュータを備えた炭化水素油の増加量を推算する装置に、炭化水素油の増量装置にて生成された物質の収支結果が入力されて実行される。
炭化水素油の増加量を推算する装置100は、図16に示すように、メタノールの減少量を測定する第1測定部101と、水の減少量を測定する第2測定部102と、炭化水素油の増加量を推算する推算部としてのコンピュータ103と、を備えている。
炭化水素油の増加量は、図17に示すように、第1測定部101によりメタノールの減少量を測定するステップS1と、第2測定部102により水の減少量を測定するステップS2と、第1測定部101及び第2測定部102による測定結果(物質の収支結果)に基づいて、下式により炭化水素油の増加量を推算するステップS3と、を経て炭化水素油の増量装置に生成された炭化水素油の増加量が推算される
すなわち、推算部では、下記のような、メタノールに係る反応式(式1)及び水に係る反応式(式2)~(式4)に基づいて、炭化水素油(Cn+1m+4)の増加量を推算するためのコンピュータプログラムが記憶され、コンピュータ103上で実行される。
(1)CnHm+ CH3OH → Cn+1Hm+2+ H2O
(2)(1-α)×(式3)+α×(式4)
(3)CnHm+ CO2 + H2O → Cn+1Hm+2 + 3/2O2
(4)CnHm+ CO2 + 2H2O → Cn+1Hm+4 + 2O2
ここで、αは、-1<α<1、好ましくは-0.1<α<0.1、より好ましくは-0.02<α<0.02の値をとり、炭化水素油の増量条件に応じて変化する定数である。
以下、具体的な物質の収支結果に基づいて、炭化水素油の増加量を推算する方法及び検証結果を説明する。
(具体例1)
<物質の収支結果>
反応前
軽油 1869.5kg・・・D1
水 7714.8kg・・・W1
メタノール 200.0kg・・・M1
反応後
軽油 3527.3kg・・・D2
水 7100.5kg・・・W2
メタノール 0.0kg・・・M2
全体の物質収支 -156.1kg・・・OMB
成分ごとの物質収支
軽油 658.2kg・・・D3
水 -614.3kg・・・W3
メタノール -200.0kg・・・M3
メタノールがすべて(式1)にしたがって反応したとすると、
軽油の増加:-(M3)×(14/32)=200.0×(14/32)=87.5kg・・・D4
水の増加:-(M3)×(18/32)=200.0×(18/32)=112.5kg・・・W4
水がすべて(式3)(式4)にしたがって反応し、(式2)における(式4)の比率α=-0.022とすると、
軽油の増加:(-W3+W4)×{(14/18)×(1-α)+(16/36)×α}=(614.3+112.5)×{(14/18)×(1+0.022)+(16/36)×(-0.022)}=570.6kg・・・D5
したがって、メタノールと水の減少量から推算した軽油の増加量は、
軽油の増加:D4+D5=87.5+570.6=658.1kg・・・D6
推算値/実測値=D6/D3=658.1kg/658.2kg=1.000
であり、誤差は0.0%であった。
(式2)の反応では、計測できない気体(COの吸収とOの放出)があるので、その気体の増減分を試算すると、
気体の増減:(-W3+W4)×{(-4/18)×(1-α)+(-20/36)×α}=(614.3+112.5)×{(-4/18)×(1+0.022)+(-20/36)×(-0.022)}=-156.2kg・・・IDG
推算値/実測値=IDG/OMB=-156.2kg/-156.1kg=1.000
であり、誤差は0.0%であった。
(具体例2)
<物質の収支結果>
反応前
軽油 1863.5kg・・・D1
水 7705.9kg・・・W1
メタノール 198.7kg・・・M1
反応後
軽油 2515.9kg・・・D2
水 7092.7kg・・・W2
メタノール 0.0kg・・・M2
全体の物質収支 -159.5kg・・・OMB
成分ごとの物質収支
軽油 652.4kg・・・D3
水 -613.2kg・・・W3
メタノール -198.7kg・・・M3
メタノールがすべて(式1)にしたがって反応したとすると、
軽油の増加:-(M3)×(14/32)=198.7×(14/32)=86.9kg・・・D4
水の増加:-(M3)×(18/32)=198.7×(18/32)=111.8kg・・・W4
水がすべて(式3)(式4)にしたがって反応し、(式2)における(式4)の比率α=-0.007とすると、
軽油の増加:(-W3+W4)×{(14/18)×(1-α)+(16/36)×α}=(613.2+111.8)×{(14/18)×(1+0.007)+(16/36)×(-0.007)}=565.4kg・・・D5
したがって、メタノールと水の減少量から推算した軽油の増加量は、
軽油の増加:D4+D5=86.9+565.4=652.3kg・・・D6
推算値/実測値=D6/D3=652.3kg/653.4kg=1.000
であり、誤差は0.0%であった。
(式2)の反応では、計測できない気体(COの吸収とOの放出)があるので、その気体の増減分を試算すると、
気体の増減:(-W3+W4)×{(-4/18)×(1-α)+(-20/36)×α}=(613.2+111.8)×{(-4/18)×(1+0.007)+(-20/36)×(-0.007)}=-159.5kg・・・IDG
推算値/実測値=IDG/OMB=-159.5kg/-159.5kg=1.000
であり、誤差は0.0%であった。
(具体例3)
<物質の収支結果>
反応前
軽油 1543.4kg・・・D1
水 7608.4kg・・・W1
メタノール 175.7kg・・・M1
反応後
軽油 2250.7kg・・・D2
水 6894.5kg・・・W2
メタノール 5.5kg・・・M2
全体の物質収支 -176.8kg・・・OMB
成分ごとの物質収支
軽油 707.3kg・・・D3
水 -714.0kg・・・W3
メタノール -170.1kg・・・M3
メタノールがすべて(式1)にしたがって反応したとすると、
軽油の増加:-(M3)×(14/32)=170.1×(14/32)=74.4kg・・・D4
水の増加:-(M3)×(18/32)=170.1×(18/32)=95.7kg・・・W4
水がすべて(式3)(式4)にしたがって反応し、(式2)における(式4)の比率α=-0.012とすると、
軽油の増加:(-W3+W4)×{(14/18)×(1-α)+(16/36)×α}=(714.0+95.7)×{(14/18)×(1+0.012)+(16/36)×(-0.012)}=632.8kg・・・D5
したがって、メタノールと水の減少量から推算した軽油の増加量は、
軽油の増加:D4+D5=74.4+632.8=707.2kg・・・D6
推算値/実測値=D6/D3=707.2kg/707.3kg=1.000
であり、誤差は0.0%であった。
(式2)の反応では、計測できない気体(COの吸収とOの放出)があるので、その気体の増減分を試算すると、
気体の増減:(-W3+W4)×{(-4/18)×(1-α)+(-20/36)×α}=(714.0+95.7)×{(-4/18)×(1+0.012)+(-20/36)×(-0.012)}=-176.8kg・・・IDG
推算値/実測値=IDG/OMB=-176.8kg/-176.8kg=1.000
であり、誤差は0.0%であった。
(具体例4)
<物質の収支結果>
反応前
軽油 1551.3kg・・・D1
水 7609.3kg・・・W1
メタノール 176.2kg・・・M1
反応後
軽油 2187.8kg・・・D2
水 6960.3kg・・・W2
メタノール 11.2kg・・・M2
全体の物質収支 -177.5kg・・・OMB
成分ごとの物質収支
軽油 636.5kg・・・D3
水 -649.0kg・・・W3
メタノール -165.0kg・・・M3
メタノールがすべて(式1)にしたがって反応したとすると、
軽油の増加:-(M3)×(14/32)=165.0×(14/32)=72.2kg・・・D4
水の増加:-(M3)×(18/32)=165.0×(18/32)=92.8kg・・・W4
水がすべて(式3)(式4)にしたがって反応し、(式2)における(式4)の比率α=0.050とすると、
軽油の増加:(-W3+W4)×{(14/18)×(1-α)+(16/36)×α}=(649.0+92.8)×{(14/18)×(1-0.050)+(16/36)×0.050}=564.6kg・・・D5
したがって、メタノールと水の減少量から推算した軽油の増加量は、
軽油の増加:D4+D5=72.2+564.6=636.8kg・・・D6
推算値/実測値=D6/D3=636.8kg/636.5kg=1.000
であり、誤差は0.0%であった。
(式2)の反応では、計測できない気体(COの吸収とOの放出)があるので、その気体の増減分を試算すると、
気体の増減:(-W3+W4)×{(-4/18)×(1-α)+(-20/36)×α}=(649.0+92.8)×{(-4/18)×(1-0.050)+(-20/36)×0.050}=-177.2kg・・・IDG
推算値/実測値=IDG/OMB=-172.2kg/-177.5kg=0.998
であり、誤差は0.2%であった。
(具体例5)
<物質の収支結果>
反応前
軽油 1550.6kg・・・D1
水 7607.1kg・・・W1
メタノール 175.4kg・・・M1
反応後
軽油 2190.1kg・・・D2
水 6950.4kg・・・W2
メタノール 4.9kg・・・M2
全体の物質収支 -187.7kg・・・OMB
成分ごとの物質収支
軽油 639.5kg・・・D3
水 -656.7kg・・・W3
メタノール -170.5kg・・・M3
メタノールがすべて(式1)にしたがって反応したとすると、
軽油の増加:-(M3)×(14/32)=170.5×(14/32)=74.6kg・・・D4
水の増加:-(M3)×(18/32)=170.5×(18/32)=95.9kg・・・W4
水がすべて(式3)(式4)にしたがって反応し、(式2)における(式4)の比率α=0.081とすると、
軽油の増加:(-W3+W4)×{(14/18)×(1-α)+(16/36)×α}=(656.7+95.9)×{(14/18)×(1-0.081)+(16/36)×0.081}=565.0kg・・・D5
したがって、メタノールと水の減少量から推算した軽油の増加量は、
軽油の増加:D4+D5=74.6+565.0=639.6kg・・・D6
推算値/実測値=D6/D3=639.6kg/639.5kg=1.000
であり、誤差は0.0%であった。
(式2)の反応では、計測できない気体(COの吸収とOの放出)があるので、その気体の増減分を試算すると、
気体の増減:(-W3+W4)×{(-4/18)×(1-α)+(-20/36)×α}=(656.7+95.9)×{(-4/18)×(1-0.081)+(-20/36)×0.081}=-176.8kg・・・IDG
推算値/実測値=IDG/OMB=-187.6kg/-187.7kg=0.999
であり、誤差は0.1%であった。
[7]増加した二酸化炭素の取り込み速度を有する乳化液
本実施例では、触媒の存在下で空気をバブリングさせた水とメタノールとを混合して得られる混合液と、該混合液と原料の炭化水素油とを混合して得られる乳化液を作製し、該乳化液の二酸化炭素の取り込み速度(単位攪拌時間当たりの二酸化炭素の取り込み量)が、該混合液の該速度よりも大きいことが分かった。
まず、触媒としての天然ゼオライトの存在下で空気を48時間バブリングさせた水(7.7kg)とメタノール(0.2kg)とを混合して得られる混合液を作製した。また、該混合液(3.95kg)と軽油(0.85kg)とを攪拌混合して乳化液を作製した。
容器に入れた該混合液(100ml)を空気中大気圧下でマグネットスターラーを用いて攪拌を行い、攪拌直後から、隔膜式ガラス電極法等を利用した炭酸ガス濃度計を用いて容器中の該混合液の二酸化炭素の量を測定していった。測定した結果を、図18の「混合液」に示す。
該混合液中の二酸化炭素の量(該混合液100ml当たりの二酸化炭素の量ml)の値は、攪拌直後は該混合液100ml当たりの二酸化炭素の量がおよそ1000mlであったが、攪拌を続けると線形的に増加し、攪拌開始後600秒に該混合液100ml当たりの二酸化炭素の量がおよそ2000mlとなった。
攪拌開始から600秒までの間、該混合液の空気中からの二酸化炭素気体の取り込み速度は、概ね一定であり、約(2000-1000)/600≒1.67(ml/秒)であった。
次に、容器に入れた該乳化液(100ml)を空気中大気圧下でマグネットスターラーを用いて攪拌を行い、攪拌直後から炭酸ガス濃度計を用いて容器中の該乳化液の二酸化炭素の量を測定していった。測定した結果を、図18の「乳化液」に示す。
該乳化液中の二酸化炭素の量(該乳化液100ml当たりの二酸化炭素の量ml)の値は、攪拌直後はおよそ1000mlであったが、攪拌を続けると非線形的(上に凸の二次関数)に取り込む量が増加し、攪拌開始後およそ120秒で該乳化液100ml当たりの二酸化炭素の量がおよそ2000mlとなり、攪拌開始後およそ390~400秒で該乳化液100ml中の二酸化炭素の量がおよそ3000mlとなり、攪拌開始後600秒で該乳化液100ml中の二酸化炭素の量がおよそ3500mlとなった。
攪拌開始から120秒間の該乳化液の空気中からの二酸化炭素の取り込み速度(線形近似した速度)は、約(2000-1000)/120≒8.33(ml/秒)であった。また、攪拌時間120秒~390秒間の該乳化液の空気中からの二酸化炭素の取り込み速度(線形近似した速度)は、約(3000-2000)/(390-120)≒3.70(ml/秒)であった。また、攪拌時間390秒~600秒間の該乳化液の空気中からの二酸化炭素気体の取り込み速度(線形近似した速度)は、約(3500-3000)/(600-390)≒2.38(ml/秒)であった。該乳化液が空気中からの二酸化炭素を取り込む速度は、該混合液が空気中から二酸化炭素を取り込む速度に比べて、約1.4~5倍大きいことが分かった。
比較例として、容器に軽油(100ml)を入れ、空気中大気圧下でマグネットスターラーを用いて攪拌を行い、攪拌直後から炭酸ガス濃度計を用いて容器内の該軽油の二酸化炭素の量を測定していった。測定した結果を、図18の「原料炭化水素油(軽油)」に示す。
攪拌開始から該軽油中の二酸化炭素の量(該軽油100ml当たりの二酸化炭素の量ml)の値は線形的に減少していき、攪拌開始後600秒で該軽油100ml当たりの二酸化炭素の量がおよそ800mlとなった。
攪拌開始から600秒間の軽油の空気中からの二酸化炭素気体の取り込み速度は、約(800-1000)/600≒-0.33(ml/秒)であった。
なお、図18に示す「乳化液」、「混合液」、及び「原料炭化水素(軽油)」の全ての結果は、同一の攪拌条件下(常温(室温)下、同一の攪拌速度(100rpm)、同一の容器、空気中、常圧(大気圧)下など)で行っている。また、攪拌速度は、10rpm~1000rpmであってもよく、攪拌速度を変えたところで、得られた結果に大きな影響を及ぼすものではない。
図18のグラフに示す結果から分かるように、軽油による二酸化炭素の取り込みには限界があるが、上記混合液と軽油とを混合することにより作製された上記乳化液が、二酸化炭素の取り込み量及び取り込み速度を急増させることがわかった。
上記乳化液を用いることで、空気中(又は二酸化炭素を含む気体若しくは水溶液)から二酸化炭素を取り込む量及びその速度を増加させることができる。また、炭化水素油の増量方法において、該乳化液と二酸化炭素を含む気体又は水溶液とを接触させて攪拌する際に、攪拌後わずか60~120秒程度で該乳化液中の二酸化炭素の濃度が、撹拌前の該濃度の約1.5倍以上となるため、攪拌時間を低減することができ、炭化水素油の増量効率が向上する。このように、温暖化の原因の一つとされている二酸化炭素を原料として炭化水素油を一層効率よく増量することが可能となる。
本発明は、炭化水素油の増量方法、炭化水素油の製造方法、炭化水素油の増加量を推算する方法、炭化水素油の増加量を推算する方法を実行させるプログラム、及び、炭化水素油の増加量を推算する装置に利用することができる。

Claims (4)

  1. ゼオライトの存在下で空気をバブリングさせ水とメタノールとを混合し得られる混合液を目開き10μm以下のフィルタで濾過し、濾過した混合液を酸素で通気処理し、酸素で通気処理した混合液と炭化水素油とを混合して乳化液を作製し、この乳化液と、二酸化炭素を含む気体又は水溶液と接触させ、
    下記(式1)及び(式2):
    (1)C+CHOH → Cn+1m+2+H
    (2)(1-α)×(式3)+α×(式4)
    (3)C+CO+HO → Cn+1m+2+3/2O
    (4)C+CO+2HO → Cn+1m+4+2O
    に示される反応に基づいて増量されることを特徴とする炭化水素油の増量方法。
  2. ゼオライトの存在下で空気をバブリングさせ水とメタノールとを混合し得られる混合液を目開き10μm以下のフィルタで濾過し、濾過した混合液を酸素で通気処理し、酸素で通気処理した混合液と炭化水素油とを混合して乳化液を作製し、この乳化液と、二酸化炭素を含む気体又は水溶液と接触処理し、
    下記(式1)及び(式2):
    (1)C+CHOH → Cn+1m+2+H
    (2)(1-α)×(式3)+α×(式4)
    (3)C+CO+HO → Cn+1m+2+3/2O
    (4)C+CO+2HO → Cn+1m+4+2O
    に示される反応に基づいて得られる処理物から炭化水素油を採取することを特徴とする炭化水素油の製造方法。
  3. ゼオライトの存在下で空気をバブリングさせて水とメタノールとを混合し得られる混合液を目開き10μm以下のフィルタで濾過し、濾過した混合液を酸素で通気処理し、酸素で通気処理した混合液と炭化水素油と混合して乳化液を作製しこの乳化液を二酸化炭素と接触させることにより増加した炭化水素油の増加量を推算する方法であって、
    メタノールの減少量を測定するステップと、
    水の減少量を測定するステップと、
    炭化水素油の増加量を推算するステップと、
    を有し、
    前記推算するステップは、下記(式1)及び(式2)に基づいて、炭化水素油(Cn+1m+4)の増加量を推算するステップを有し、
    (1)C+ CHOH → Cn+1m+2+ H
    (2)(1-α)×(式3)+α×(式4)
    (3)C+CO+HO → Cn+1m+2+3/2O
    (4)C+CO+2HO → Cn+1m+4+2O
    αは、-1<α<1の値をとり、炭化水素油の増量条件に応じて変化する定数であることを特徴とする炭化水素油の増加量を推算する方法。
  4. ゼオライトの存在下で空気をバブリングさせ水とメタノールとを混合して得られる混合液を目開き10μm以下のフィルタで濾過し、濾過した混合液を酸素で通気処理し、酸素で通気処理した混合液と炭化水素油とを混合して作製された乳化液を、室温及び常圧下で、二酸化炭素を含む気体又は水溶液と接触させながら攪拌するステップを含み、
    前記攪拌の開始後120秒の前記乳化液の二酸化炭素の量が、前記乳化液100mlあたり1500ml以上である、ことを特徴とする炭化水素油の増量方法。
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