JP2013220405A - 化学物質分解方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水素消費量を低減して、効率的かつ実用的に硝酸イオン、亜硝酸イオンを分解する化学物質分解方法を提供すること。
【解決手段】本発明の化学物質分解方法は、硝酸イオン又は亜硝酸イオンが溶存する水溶液中に、水素ガスを含む微小気泡を導入する微小気泡導入工程と、前記微小気泡が導入された前記水溶液と触媒とを反応させ、前記硝酸イオン又は前記亜硝酸イオンを分解する触媒反応工程と、を有し、前記微小気泡導入工程において前記水溶液中に導入される前記微小気泡の平均気泡半径を25μm以下とすることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、微小気泡を利用して水溶液中に溶存する硝酸イオン(NO )又は亜硝酸イオン(NO )を還元分解する化学物質分解方法に関する。
近年、硝酸イオン、亜硝酸イオン等の硝酸態窒素、亜硝酸態窒素による地下水汚染が深刻になっている。これらは、発ガン性であるニトロソアミンに変化する可能性があることや、新生児に対するチアノーゼ発症(メタヘモグロビン症)の原因となるため、飲料水中の許容濃度が厳しく制限されている。即ち、現段階における、厚生労働省水道水質基準における硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の許容濃度は、10mg/L以下とされ、また、厚生労働省水道水質管理目標値における亜硝酸態窒素の許容濃度は、0.05mg/L以下(暫定値)とされている。
したがって、水中に含まれる汚染物質としての硝酸イオン、亜硝酸イオンを除去、無害化する方法の開発が求められている。
これまで硝酸イオン、亜硝酸イオンを除去する方法としては、水素と触媒を用いてこれらイオンを窒素に分解する水素還元触媒脱窒法が提案されている。
この水素還元触媒脱窒法は、硝酸イオン、亜硝酸イオンを含む水溶液中に水素ガスを吹き込みながら、Pd触媒等の触媒に接触させ、下記式(1)又は(2)に示す反応により、これらイオンを窒素(N)に分解する方法である。
この触媒反応は、反応速度が速く、反応後の水溶液の二次処理が不要であるなどの利点を有する。
したがって、この触媒反応を用いて硝酸イオン、亜硝酸イオンを効率的に分解することができれば、これらイオンを含む水溶液の無害化に大きく貢献でき、実用的な実施に対しても大きな貢献を期待できる。
現段階で、前記水素還元触媒脱窒法により、硝酸イオン及び亜硝酸イオンを還元分解する具体的な方法としては、容器に充填した硝酸イオン、亜硝酸イオンを含む水溶液中に純水素ガス又は水素を含む混合ガスを吹き込んだ後、この水溶液を触媒を固定した固定床に通水する方法や、この水溶液中に触媒微粉末を直接分散させてスラリー状の懸濁液とし、撹拌して反応させる方法が用いられている。このとき、水溶液に吹き込む純水素ガス又は水素を含む混合ガスの気泡径については、特に制御がされておらず、25μmを超える通常気泡径の気泡(以下、「通常気泡」)が用いられていた(以上につき、例えば、非特許文献1及び2を参照)。
こうした方法では、純水素ガスの場合は勿論のこと、混合気体を用いる場合でも水素濃度が80%程度と高く、水素消費量が高いという問題がある。
したがって、実用的に分解反応における水素消費量を低減させ、また、取扱う水素量を低減させることで安全性を向上させることが求められる。
この点、混合ガス中の水素濃度を低くして使用することも考えられるが、通常気泡を用いる場合、該気泡内の水素分圧が下がり、これに伴い水溶液中に溶解する水素濃度が減少するため、反応速度が減少し、反応効率が低下する問題がある。
高純度ガスに代えて混合ガスを用いた固体触媒反応により、水溶液中の化学物質を高効率で分解する方法として、微小な半径の気泡を水溶液中に注入し、光触媒(酸化チタン)と紫外線を用いて水溶液中の有機物(シュウ酸)を酸化分解する方法が開示されている(特許文献1参照)。
ここでは、高純度の酸素ガスに代えて空気(酸素と窒素等の混合ガス)を用い、触媒反応に必要な酸素消費量を低減させている。
しかしながら、この方法は、前述の硝酸イオン、亜硝酸イオンの還元分解反応とは、全く異なる反応機構に基づくため、前記水素還元触媒脱窒法に適用することができない。
したがって、水素消費量を低減して、効率的かつ実用的に硝酸イオン、亜硝酸イオンを分解する方法としては、満足できるものが提案されていない状況である。
特開2009−233635号公報
Wenliang Gao et al.: AppliedCatalysis B: Environmental, 46, (2003) 341-351. Christodoulos P. Theologides et al.: Applied Catalysis B: Environmental, 102, (2011) 54-61.
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、水素消費量を低減して、効率的かつ実用的に硝酸イオン、亜硝酸イオンを分解する化学物質分解方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を行い、以下の知見を得た。
即ち、水素を含む気泡をその気泡径が小さくなるように制御して、水溶液中に導入することにより、高効率で前記水素還元触媒脱窒法を利用した硝酸イオン又は亜硝酸イオンの分解が可能であることを見出した。これは、以下の理由に基づく。
先ず、前記気泡径を小さく制御された前記気泡においては、内部圧力の増大に伴い、該気泡内部の水素分圧が増大する。これにより、前記気泡中の前記水素が溶解する際の平衡濃度を増大させるとともに、前記水溶液中への前記水素の溶解速度及び触媒表面への拡散速度を増大させることができる。
また、前記気泡径を小さく制御することで、同一量の水素を用いた場合に前記気泡の表面積を、前記気泡径の大きなものよりも増大させることができる。したがって、前記水溶液中への前記水素の溶解速度及び拡散速度を増大させることができる。
前記気泡の半径と前記気泡内部の気体の圧力は、下記式(3)のヤング−ラプラスの式で表される。
ただし、前記式(3)中、pは、前記気泡内部の圧力を示し、pは、気泡がないときの水圧を示し、σは、前記気泡表面(前記気泡と前記水溶液の界面)の表面張力を示し、rは、前記気泡の半径を示す。
また、前記水溶液中の前記水素の平衡濃度は、下記式(4)で表される。
ただし、前記式(4)中、Hは、Henry定数を示し、Cは、前記気泡と前記水溶液の界面における前記水溶液中の前記水素の平衡濃度を示す。
前記式(3)及び(4)から、前記気泡の半径が減少すれば、前記気泡の内部圧力が増大し、前記水溶液中の前記水素濃度が増大する。これにより、前記硝酸イオン及び前記亜硝酸イオンの還元分解反応の反応速度が増大する。
前記気泡の半径と前記気泡の内部圧力の関係、及び前記気泡の半径と前記水溶液中の前記水素の平衡濃度の関係を計算した結果を図1に示す。この図に示されるように、前記気泡の半径が25μmから小さくなるにつれて、前記内部圧力と前記平衡濃度が増大する。
したがって、前記気泡の半径をこれ以下にすることにより、前記水溶液中の水素濃度を増大させ、前記式(1)及び(2)で表される前記硝酸イオン、前記亜硝酸イオンの前記還元分解反応の反応速度を増大させることができる。
また、前記気泡の直径と前記気泡の全表面積の関係は、下記式(5)及び(6)で表される。
ただし、前記式(5)、(6)中、Sは、前記気泡の表面積を示し、εは、前記水溶液中の前記気泡の体積分率を示し、dは、前記気泡の直径を示し、Vは、前記水溶液の単位体積当たりの液相体積を示し、Vは、前記水溶液の単位体積当たりの気相体積を示す。
これらの式で表されるように、前記気泡の直径dが小さいほど、前記気泡の表面積が増大し、前記気泡の表面から前記水溶液中へ前記水素が拡散する拡散速度及び溶解速度が増大する。
したがって、前記水溶液中の前記水素濃度が飽和濃度(平衡濃度)になるまでの時間が短縮されるとともに、前記式(1)及び(2)で表される還元分解反応で消費された前記水素が速やかに前記気泡から供給され、前記水溶液中の前記水素濃度が常に平衡濃度に保たれる。
その結果、前記式(1)及び(2)で表される還元分解反応の反応速度が速くなり、高効率で前記硝酸イオン、前記亜硝酸イオンを分解して無害化させることができる。また、前記水素を高濃度で用いなくとも、効率的に前記硝酸イオン、前記亜硝酸イオンを分解させることができ、前記水素の消費量を低減させるとともに、前記水素の取扱いに関する安全性を向上させることができる。
本発明は、前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 硝酸イオン又は亜硝酸イオンが溶存する水溶液中に、水素ガスを含む微小気泡を導入する微小気泡導入工程と、前記微小気泡が導入された前記水溶液と触媒とを反応させ、前記硝酸イオン又は前記亜硝酸イオンを分解する触媒反応工程と、を有し、前記微小気泡導入工程において前記水溶液中に導入される前記微小気泡の平均気泡半径を25μm以下とすることを特徴とする化学物質分解方法。
<2> 微小気泡導入工程において導入される微小気泡の平均気泡半径を20μm以下とする前記<1>に記載の化学物質分解方法。
<3> 微小気泡が水素と窒素を含む混合気体、前記水素と空気を含む混合気体、前記水素と不活性ガスを含む混合気体、及び前記水素と炭酸ガスを含む混合気体のいずれかで形成される前記<1>から<2>のいずれかに記載の化学物質分解方法。
<4> 混合気体中の水素濃度が50体積%以下である前記<3>のいずれかに記載の化学物質分解方法。
<5> 触媒として、Pd及びPtのいずれかで形成されるモノメタル触媒、又はPd−Cu、Pd−Sn、Pd−Ni、Pt−Cu、Pt−Sn及びPt−Niのいずれかで形成されるバイメタル触媒を用いる前記<1>から<4>のいずれかに記載の化学物質分解方法。
<6> 触媒が活性炭、又はAl、TiO、SiO、ZrO、Fe及びFeのいずれかから選択される金属酸化物に担持される前記<1>から<5>のいずれかに記載の化学物質分解方法。
<7> 更に、触媒と反応させる水溶液のpHを6.5以下に調整するpH調整工程を含む前記<1>から<6>のいずれかに記載の化学物質分解方法。
<8> 触媒としてPd−Cuバイメタル触媒を用い、微小気泡として水素濃度が31体積%以下の水素と窒素の混合気体を用い、硝酸イオンを分解する前記<5>から<7>のいずれかに記載の化学物質分解方法。
<9> 触媒としてPd−Cuバイメタル触媒を用い、微小気泡として水素濃度が31体積%以下の水素と窒素の混合気体を用い、亜硝酸イオンを分解する前記<5>から<7>のいずれかに記載の化学物質分解方法。
本発明によれば、従来技術における前記諸問題を解決することができ、水素消費量を低減して、効率的かつ実用的に硝酸イオン、亜硝酸イオンを分解する化学物質分解方法を提供することができる。
気泡の半径と気泡の内部圧力の関係、及び気泡の半径と水溶液中の水素の平衡濃度の関係を計算した結果を示すグラフである。 化学物質分解方法の実施装置の概略構成を示す説明図である。 実施例1及び比較例1における分解反応の時間経過に伴う硝酸イオン(NO )の濃度変化を示すグラフである。 比較例3における分解反応の時間経過に伴う硝酸イオン(NO )の濃度変化を示すグラフである。
(化学物質分解方法)
本発明の化学物質分解方法は、硝酸イオン又は亜硝酸イオンを窒素に分解する方法であり、微小気泡導入工程と、触媒反応工程とを有し、必要に応じてその他の工程を有する。
<微小気泡導入工程>
前記微小気泡導入工程は、硝酸イオン又は亜硝酸イオンが溶存する水溶液中に、水素ガスを含む微小気泡を導入する工程である。
本発明の化学物質分解方法では、有害な硝酸イオン及び亜硝酸イオンを分解して無害化することを目的とする。
前記微小気泡導入工程において前記水溶液中に導入される前記微小気泡は、その気泡径が制御されて前記水溶液中に導入され、前記微小気泡の平均気泡半径は、25μm以下であり、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。
本発明の化学物質分解方法では、前記微小気泡の気泡径を制御することで、効率的かつ実用的に前記硝酸イオン及び前記亜硝酸イオンを分解することを特徴の一つとする。
本明細書では、このように気泡径が微小に制御された気泡を「微小気泡」と呼ぶ。
前記微小気泡としては、前記気泡径が異なる2種以上の気泡を用いてもよい。例えば、前記気泡径が比較的大きな第1の気泡と、該第1の気泡よりも前記気泡径が小さい第2の気泡とを併用し、隣接する第1の気泡間の間隔中に前記第2の気泡が充填されるように前記微小気泡を配して、前記水溶液中に充填される単位体積当たりの気泡量を増加させることができる。
この場合の前記平均気泡半径としては、これら2種以上の気泡を平均化して求められる平均気泡半径が該当する。
前記微小気泡としては、前記水素ガスを含む限り特に制限はなく、純水素ガスで形成されてもよいが、前記水素ガスを含む混合気体により形成されることが好ましい。
即ち、前記微小気泡を導入して前記式(1)及び(2)の化学反応を生じさせることとすれば、前記微小気泡中の前記水素濃度を高濃度としなくとも、高効率に前記硝酸イオン及び前記亜硝酸イオンを分解することができる。
前記混合気体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記式(1)及び(2)の化学反応を妨げず、また、取扱いが容易である観点から、例えば、前記水素と窒素を含む混合気体、前記水素と空気を含む混合気体、前記水素とネオン、アルゴン等の不活性ガスを含む混合気体、前記水素と炭酸ガスを含む混合気体が好ましい。
前記混合気体中の前記水素濃度としては、特に制限はないが、前記水素を効率的に利用する観点から、その上限値としては、50体積%以下が好ましく、40体積%以下がより好ましく、35体積%以下が更により好ましく、30体積%以下が特に好ましい。
また、前記式(1)及び(2)の化学反応により効率的に前記硝酸イオン及び前記亜硝酸イオンを分解する観点から、前記混合気体中の前記水素濃度の下限値としては、1体積%以上が好ましく、5体積%以上がより好ましく、10体積%以上が特に好ましい。
前記微小気泡を形成する気体から前記微小気泡を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、旋回流方式、加圧溶解式、エジェクター式、ベンチュリー式、キャビテーション式等の公知の気泡発生装置に、前記微小気泡の形成気体を導入して前記微小気泡を形成する方法が挙げられる。
こうして形成される前記微小気泡は、例えば、前記水溶液が貯留された水槽に前記気泡発生装置を接続して前記水溶液中に導入することができる。
<触媒反応工程>
前記触媒反応工程は、前記微小気泡が導入された前記水溶液と触媒とを反応させ、前記硝酸イオン又は前記亜硝酸イオンを分解する工程である。
前記反応は、前記式(1)及び(2)の化学反応を示し、前記硝酸イオン又は前記亜硝酸イオンを窒素ガスと水酸イオンと水に分解して無害化する。
前記触媒としては、前記式(1)及び(2)の化学反応を生じさせる触媒であれば特に制限はなく、例えば、前記水素還元触媒脱窒法で用いられている公知の触媒が挙げられるが、高効率で前記式(1)及び(2)の化学反応を生じさせる観点から、Pd及びPtのいずれかで形成されるモノメタル触媒、又はPd−Cu、Pd−Sn、Pd−Ni、Pt−Cu、Pt−Sn及びPt−Niのいずれかで形成されるバイメタル触媒が好ましい。
とりわけ、前記亜硝酸イオンを分解する場合には、前記触媒として、前記モノメタル触媒を用いることが好ましく、前記硝酸イオンを分解する場合には、前記触媒として前記バイメタル触媒を用いることが好ましい。
なお、前記触媒としては、1種単独で用いてもよいが、前記水溶液中に前記硝酸イオン及び前記亜硝酸イオンが溶存する場合など2種以上を併用してもよい。
前記触媒を用いて前記式(1)及び(2)の化学反応を生じさせる方法としては、特に制限はなく、例えば、前記微小気泡が導入された前記水溶液を前記触媒が固定された固定床に通水する方法や、前記微小気泡が導入された前記水溶液に前記触媒の粉末を直接分散させてスラリー状の懸濁液とし、これを撹拌して反応させる方法が挙げられるが、前記微小気泡導入工程及び前記触媒反応工程を繰り返し、効果的に前記硝酸イオン又は前記亜硝酸イオンを分解する観点から前者の方法が好ましい。
前者の方法を採用する場合、前記固定床としては、前記触媒を担体に担持させて形成することが好ましい。こうした担体を利用することで、効率的かつ効果的に前記硝酸イオン又は前記亜硝酸イオンを分解することができる。担体とする化合物には特に制限はないが、活性炭、又はAl、TiO、SiO、ZrO、Fe及びFeのいずれかから選択される金属酸化物を用いるのが好ましい。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、本発明の効果を妨げない限り、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、pH調整工程が挙げられる。
前記pH調整工程は、前記触媒と反応させる前記水溶液のpHを調整する工程である。
前記水溶液のpHとしては、特に制限はないが、6.5以下に調整されることが好ましく、6以下に調整されることがより好ましい。また、4以上に調整されることが好ましい。
前記水溶液がこのようなpHに調整されると、前記水溶液中に溶存する前記硝酸イオンがより有害性の高い前記亜硝酸イオンに変質することを抑制することができる。
前記水溶液のpHを調整する具体的な方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記水溶液中に炭酸ガスを吹き込む方法が挙げられる。
以下に本発明の化学物質分解方法の実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的思想は、以下の実施例に限られない。
先ず、前記水素還元触媒脱窒法を利用した化学物質分解方法の実施装置について説明する。図2は、水素還元触媒脱窒法を利用した化学物質分解方法の実施装置の概略構成を示す説明図である。
該図2に示すように、実施装置100は、主として硝酸イオン及び亜硝酸イオンが溶存する試料水溶液2を貯留する試料水溶液貯槽3と、試料水溶液貯槽3に接続され、試料水溶液2に水素ガスを含む気泡9を供給する微小気泡発生装置13と、気泡9の存在下で前記式(1)及び(2)の化学反応を生じさせる触媒が固定された触媒固定床エレメント7を有する触媒反応槽8とを有する。
試料水溶液貯槽3には、ポンプ4により、試料水溶液貯槽3に貯留された試料水溶液2を触媒反応槽8に導入する配管1と、触媒反応槽8中の触媒固定床エレメント7に通水させた試料水溶液2を試料水溶液貯槽3に戻す配管10とが配される。
また、試料水溶液貯槽3には、弁11の開閉動作に基づき、試料水溶液貯槽3に貯留された試料水溶液2を微小気泡発生装置13に導入する配管12と、弁16の開閉動作に基づき、微小気泡発生装置13により気泡9(微小気泡)が導入された試料水溶液2を試料水溶液貯槽3に戻す配管15とが配される。
微小気泡発生装置13は、旋回流式の気泡発生装置からなり、旋回流剪断効果により水素注入管14から導入される水素ガスを平均気泡半径7μm(7μm±6μm)及び平均気泡半径19μm(19μm±5μm)の2種の微小気泡として試料水溶液2中に導入する。前記2種の微小気泡の試料水溶液2中の濃度は、前記平均気泡半径7μmの微小気泡が1,000個/mL程度とされ、前記平均気泡半径19μmの微小気泡が2,000個/mL程度とされる。これら微小気泡の全平均気泡半径は、14μmであった。
これらの微小気泡が導入された試料水溶液2は、配管15を介して試料水溶液貯槽3内に導入され、試料水溶液貯槽3内に貯留された試料水溶液2は、配管12を介して微小気泡発生装置13に導入される。これを循環させて繰り返すことにより、試料水溶液貯槽3中の試料水溶液2に気泡9(微小気泡)が満たされる。
なお、前記微小気泡の平均気泡半径とその分布は、以下のように求めた。
即ち、気泡9を含む試料水溶液2の一部を、レーザー光遮光方式の液中パーティクルカウンター(粒径測定装置)に導入し、同装置によって、単位体積当たりの試料水溶液2中に含まれる、各半径の気泡9の数を測定することにより求めた。
試料水溶液貯槽3では、COガスを通常気泡で吹き込むことにより、試料水溶液2のpHが酸性に調整される。
この試料水溶液貯槽3中の試料水溶液2は、ポンプ4の吸引動作に基づき、上流側の配管1を介して触媒反応槽8に導入され、触媒固定床エレメント7に通水される。この際、前記式(1)及び(2)で示される化学反応が生じる。触媒固定床エレメント7に通水された試料水溶液2は、下流側の配管10を介して試料水溶液貯槽3に戻される。
このように試料水溶液2を触媒反応槽8に連続して循環させることにより、試料水溶液2中の前記硝酸イオン及び前記亜硝酸イオンが分解され、消失する。
また、本発明を利用した場合と利用しない場合の効果を比較するため、実施装置100では、試料水溶液貯槽3から触媒反応槽8に至る上流側の配管1の経路中に配管5を接続し、弁6の開閉動作に基づき、通常気泡(気泡9)の水素ガスを触媒反応槽8中に導入させるように構成した。即ち、通常気泡の水素ガスにより前記硝酸イオン及び前記亜硝酸イオンを分解する場合、微小気泡発生装置13側の弁11,16を閉じ、弁6を開放することで、触媒反応槽8に導入される試料水溶液2に通常気泡(気泡9)を導入することとした。
(実施例1)
分解対象の化学物質を硝酸イオンとし、水素濃度が約31体積%のHとNの混合ガスを気泡源として微小気泡発生装置13により発生させた気泡9(微小気泡;全平均気泡半径14μm)を用い、触媒としてAl上に担持されたPd−Cuバイメタル触媒を用いて、実施装置100による実施例1における化学物質の分解を実施した。なお、実施の際の環境温度は、約30℃であった。
(実施例2)
分解対象の化学物質を亜硝酸イオンとし、水素濃度が約2体積%のHとNの混合ガスを気泡源として微小気泡発生装置13により発生させた気泡9(微小気泡;全平均気泡半径14μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2における化学物質の分解を実施した。
(比較例1)
実施例1において、水素濃度が約31体積%のHとNの混合ガスを気泡源として微小気泡発生装置13により発生させた気泡9(微小気泡;全平均気泡半径14μm)に代えて、水素濃度が約31体積%のHとNの混合ガスを気泡源として配管5から導入される気泡9(通常気泡;気泡半径1.5mm程度以上)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1における化学物質の分解を行った。なお、用いた混合ガスの量は、実施例1と同量とした。
(比較例2)
実施例2において、水素濃度が約2体積%のHとNの混合ガスを気泡源として微小気泡発生装置13により発生させた気泡9(微小気泡;全平均気泡半径14μm)に代えて、水素濃度が約2体積%のHとNの混合ガスを気泡源として配管5から導入される気泡9(通常気泡;気泡半径1.5mm程度以上)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、比較例2における化学物質の分解を行った。なお、用いた混合ガスの量は、実施例2と同量とした。
(比較例3)
比較例1において、水素濃度が約31体積%のHとNの混合ガスに代えて純水素ガスを気泡源としたこと以外は、比較例1と同様にして、比較例3における化学物質の分解を行った。
<測定結果>
図3に、実施例1及び比較例1における分解反応の時間経過に伴う硝酸イオン(NO )の濃度変化を示す。
該図3に示すように、実施例1では、比較例1よりも速い分解速度で硝酸イオンを分解することができた。
また、図1に示した計算結果に基づいて効果の出現を想定していた気泡半径よりも、比較的大きな気泡半径(全平均気泡半径14μm)で、顕著に速い分解速度での硝酸イオンの分解を行うことができている。これは、定常状態における全平均気泡半径は14μmであるが、これには14μm以下の気泡も多く含まれており、NO の分解にこれらがより効果的に働いたことが原因と考えられる。また、微小気泡の特性として、前記式(3)及び図1で示すごとく、気泡内部の気体の圧力、及びこれと釣り合う気泡界面の表面張力が大きく、内部の気体が溶解するに従って、気泡半径が速やかに減少し消滅する性質があるため、比較的大きな半径で生成した気泡も速やかにその気泡半径が減少し、NO 分解に効果的に寄与したためと考えられる。
図4に、比較例3における分解反応の時間経過に伴う硝酸イオン(NO )の濃度変化を示す。
図3及び図4に示すように、実施例1では、その分解速度が純水素ガスを用いた比較例3の分解速度に匹敵する結果を示せており、水素消費量を勘案すると、実施例1では、極めて効率的に硝酸イオンの分解を行うことができている。
実施例1,2及び比較例1,2における化学物質の分解に関し、その反応効率をまとめたものを下記表1に示す。なお、実施例1及び比較例1における化学物質の分解では、反応時間を60分、実施例2及び比較例2における化学物質の分解では、反応時間を180分として示している。
また、この反応効率は、下記式(7)に示す転化率として算出した。
ただし、前記式(7)中、Cは、硝酸イオン又は亜硝酸イオンの初濃度を示し、Cは、分解反応開始から60分経過後又は180分経過後における硝酸イオン又は亜硝酸イオンの濃度を示す。反応効率E(転化率)は、初濃度に対する、分解反応に伴う硝酸イオン又は亜硝酸イオンの減少量の割合を示すものであり、この値が大きいほど、高効率で分解反応が進行していることを示す。
この表1に示すように、実施例1における化学物質の分解では、比較例1における化学物質の分解よりも20倍の反応効率を達成することができている。
また、実施例2における化学物質の分解では、比較例2における化学物質の分解よりも約2.7倍の反応効率を達成することができている。
以上のように本発明に係る化学物質分解方法によれば、効率的に硝酸イオン及び亜硝酸イオンを分解することができるため、地下水等の飲料水中、工業廃水中及びイオン交換樹脂等の二次処理水中に含まれる硝酸イオン及び亜硝酸イオンの分解処理に使用でき、更には、硝酸を用いた核燃料処理工程において生成する硝酸イオンの分解処理等にも使用でき、その産業的意義は多大である。
1,5,10,12,15 配管
2 試料水溶液
3 試料水溶液貯槽
4 ポンプ
6,11,16 弁
7 触媒固定床エレメント
8 触媒反応槽
9 気泡(微小気泡又は通常気泡)
13 微小気泡発生装置
14 水素注入管
100 実施装置

Claims (9)

  1. 硝酸イオン又は亜硝酸イオンが溶存する水溶液中に、水素ガスを含む微小気泡を導入する微小気泡導入工程と、
    前記微小気泡が導入された前記水溶液と触媒とを反応させ、前記硝酸イオン又は前記亜硝酸イオンを分解する触媒反応工程と、を有し、
    前記微小気泡導入工程において前記水溶液中に導入される前記微小気泡の平均気泡半径を25μm以下とすることを特徴とする化学物質分解方法。
  2. 微小気泡導入工程において導入される微小気泡の平均気泡半径を20μm以下とする請求項1に記載の化学物質分解方法。
  3. 微小気泡が水素と窒素を含む混合気体、前記水素と空気を含む混合気体、前記水素と不活性ガスを含む混合気体、及び前記水素と炭酸ガスを含む混合気体のいずれかで形成される請求項1から2のいずれかに記載の化学物質分解方法。
  4. 混合気体中の水素濃度が50体積%以下である請求項3のいずれかに記載の化学物質分解方法。
  5. 触媒として、Pd及びPtのいずれかで形成されるモノメタル触媒、又はPd−Cu、Pd−Sn、Pd−Ni、Pt−Cu、Pt−Sn及びPt−Niのいずれかで形成されるバイメタル触媒を用いる請求項1から4のいずれかに記載の化学物質分解方法。
  6. 触媒が活性炭、又はAl、TiO、SiO、ZrO、Fe及びFeのいずれかから選択される金属酸化物に担持される請求項1から5のいずれかに記載の化学物質分解方法。
  7. 更に、触媒と反応させる水溶液のpHを6.5以下に調整するpH調整工程を含む請求項1から6のいずれかに記載の化学物質分解方法。
  8. 触媒としてPd−Cuバイメタル触媒を用い、微小気泡として水素濃度が31体積%以下の水素と窒素の混合気体を用い、硝酸イオンを分解する請求項5から7のいずれかに記載の化学物質分解方法。
  9. 触媒としてPd−Cuバイメタル触媒を用い、微小気泡として水素濃度が31体積%以下の水素と窒素の混合気体を用い、亜硝酸イオンを分解する請求項5から7のいずれかに記載の化学物質分解方法。
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