ここで、例が添付図面に示される、本開示の例示的な実施形態に対して詳細に参照がなされる。同じ構成要素又は類似する構成要素を参照するために図面を通して、可能な限り同じ参照番号が使用される。複数の名称が開示の異なる部分に提供される場合、これらは単に本願での特定のテーマを強調するためであり、本発明の概念を決して制約又は制限するものではない。
本開示の実施形態は、概してエネルギーの送達により組織を調節するためのシステム及び方法に関する。神経調節又は神経性調節を含む、組織調節/刺激は、例えば、活動及び活動のパターンの抑制(例えば遮断)、興奮、変更、調節、及び/又は治療改変を生じさせることがある。これらの変化は中枢神経系、末梢神経系、又は自律神経系で発生することがある。組織調節は、電圧変化を生じさせるために組織にエネルギーを提供することを含んでよく、神経の場合、神経が活性化する、又は電気信号(活動電位(複数可)を伝搬するのに十分であることがある。神経調節/神経刺激はまた神経抑制の形をとってもよく、これは神経が電気信号を伝搬するのを妨げるため、又は「神経ブロック」に十分なエネルギーを神経に提供することを含むことがある。神経抑制は、ほぼ連続的な又は継続中のエネルギーの印加を使用して実行されてよく、及び印加後のある時間の間神経の機能を抑制するために十分なエネルギーの印加によって実行されてもよい。他の形の神経調節は神経の機能を変更してよく、例えば感受性の程度の高まり又は減少を生じさせる。本明細書に参照されるように、神経の調節は、全体的な神経の調節及び/又は神経の一部分の調節を含んでよい。例えば、運動ニューロンの調節が実行されてよく、エネルギー場が印加される場所に近位である、又は遠位であるニューロンのそれらの部分での変化のみを起こすことがある。
図1a及び図1bは、神経系の多様な構成要素等の標的生物組織の選択的調節を改善するための新規のシステム及び方法である、本発明の一実施形態を示す。図1aは、後脛骨神経等の組織標的12の近くに位置する皮膚表面電極14を示す。組織標的12の神経興奮性の選択的な増加(つまり、低下した刺激閾値)は、図1b(神経上膜の中に埋め込まれたインプラント10を示す、図1aの標的12の接写)に示されるように、標的神経組織12に十分に近接して生物学的に適合する『インプラント』10を設置することにより達成される。特定の状況では、このインプラント10の存在は、標的の近傍に位置する非標的神経16a、16bを活性化するために必要とされる電荷又はエネルギーの量を増加させることもあり、それにより刺激の選択性又は特異性の増加を支援する(注記:解剖学的には、16a及び16bは後脛骨静脈及び動脈血管であるが、本例では説明のために、これらを非標的神経として扱っている)。大部分の実施形態では、インプラント10(つまり埋め込み可能な受動部品「IPC」)は少なくとも部分的に導電性であり、且つ導電面であってよい少なくとも1つの導電性部を有する。導電性部は好ましくは、電気的な神経活性化を促進するための高度に導電性の材料である。IPCはいかなる電源とも物理的に接続されていないが、むしろ標的(神経)組織12に影響を及ぼす電場、エネルギー、又は電力を変更するために配置される。IPCは、例えば縫合糸によって、神経組織又は周囲結合組織に物理的に固定されてよい。IPCは、その埋め込み及び固定を支援するためにコネクタ部分を有してよい。一実施形態では、IPCは、外部神経刺激装置(神経刺激装置又はパルス発生器とも呼ばれる)18から神経信号を受信する電極等の皮膚に位置する刺激装置14によって生成される場を変更するのに役立つ。
例えば治療パラメータを試験、調整、及び選択するために使用できる本発明の別の実施形態では、システム構成要素及び標的組織は、例えば人間の下腿の有限要素モデル等、コンピュータ中のプロセッサによって実行できるコンピュータコードから成るソフトウェアモデルを使用して、シミュレーションされてよい。人間の下肢の類似の有限要素モデルは、定電流(例えば、-1mA、陰極)で仮想表面電極、及び戻り(陽極)として仮想脚の近位切断面を設定することによって、この状況に近づくことができる。しかしながら、現実世界では、対電極は患者上のどこにでも設置され得る、又は1対の電極によって皮膚(表面)刺激が送達され得る(バイポーラ構成)。電極14は、間に非導電材料を有し、陽極部分と陰極部分(例えば、同心リング電極)の両方を有するバイポーラであってよく、又は遠位位置に位置する戻り電極を有するモノポーラであってよい。図1aは、電極14がIPC10に近い皮膚20の高さに設置される、電極構成を示す。
図1cは、一方の電極が陽極(+)として働き他方が陰極(-)として働くバイポーラ構成で皮膚表面20に設置される、少なくとも2つの表面電極22a、22bを有する改良型の神経刺激システムの代替実施形態を示す。この例では、刺激装置長さL1及びL2、並びに刺激装置幅W1/W2がそれぞれ5mm及び2mmに設定されるが、2つの電極の幅及び長さは異なってよく、且つ電極刺激装置も異なる形状であってよい(ともに矩形であるよりもむしろ)。IPC10は、神経12を部分的に又は完全に包み込む中空の円筒形のカフとして実現され、且つ神経の外面と密に接触する、半環状タイプ又は環状のカフ型の電極として実行されてよい。電極間(「IE」)距離は2つの刺激装置22a、22bの間に位置するD1両矢印により示され、一方、深さ(表面刺激装置とIPCとの間の距離)はD2両矢印により表される。電源18は、少なくとも1つのIPC10に近い患者の皮膚20に固着される1対の皮膚電極に接続される。電極は、電流が少なくとも2つの電極の間の組織を通って流れ、且つ神経12等の標的組織に電気的刺激を提供し、且つ患者の中に置かれた少なくとも1つのIPCによって影響を受けるように、少なくとも1つの陽極電極22a及び少なくとも1つの陰極電極22bを含んでよい。示されるように、治療システムの特定の特徴(及びモデルの対応するパラメータ)は、神経12を刺激するために外部刺激装置22a、22bの能力に影響を与えることがある。例えば、a)表面電極刺激装置22a、22bの幅W1、W2、及び長さL1、L2、b)IPCの長さに対する2つの刺激装置間の距離D1、c)少なくとも1つの刺激装置とIPCとの間の距離D2、d)少なくとも1つの刺激装置の端縁とIPCの少なくとも1つの端縁すなわち「端部」の間の配置、e)IPCと神経との間の距離、及びf)IPCの導電性は、すべて神経組織12の電気的調節の強化に貢献できる。少なくとも1つの刺激装置に対するIPCの厚さ、形状、及び向き等の他の要因も、標的神経の興奮性を改変し得る。図1cに示されるシステムは、それが患者の神経活動を調節するために使用される場合に、どのようにして物理的に実行され得るのか、及びそれが、治療パラメータを試験/評価し、且つ選択するためにプロセッサによって計算されるコンピュータモデルとしてどのようにしてシミュレーションされ得るのかの両方を示す。本実施形態では、IPCは神経の外面の回りに、及び神経の外面との接触を含んで設置される中空の円筒形のシェルとしてモデル化された。
刺激システムを臨床的に実行するための方法の実施形態は、IPCが使用される場合に、IPC評価プロセスと呼ばれることがある評価プロセスを含むことがある。プロセスの最初のステップは、例えば少なくとも1つの刺激装置、患者、及び患者組織、標的組織及び非標的組織の少なくとも1つ、並びにIPCなし又は少なくとも1つのIPCのどちらかをシミュレーションする、コンピュータ又は物理的なモデル(又はこの2つの混合物)を作成することを含むことがある。IPCが存在する場合の刺激、及びIPCが存在しない場合の刺激の2つの刺激が比較される場合、次いで2つのモデル化された結果がIPCの影響を評価するために比較されてよい。次のステップで、モデルは、各モデル化されたパラメータでの変化が刺激される組織にどのように影響を及ぼし得るのかをシミュレーションするために調整でき、したがって適切な刺激プロトコル及びパラメータが、患者での以後の使用のために導出されてよい。続くステップでは、モデル及びシミュレーションされた結果が、個々の患者での使用のために改善された刺激システムをカスタマイズするために次いで使用される。モデルパラメータは、患者測定値に基づいて調整できる。例えば、患者測定値は、光/レーザー、超音波、MRI、X線、又は他の画像診断法に関係する画像データを含む検知されたデータを入手することによって等、患者の特徴を物理的に測定することによって入手される構造上の且つ解剖学的な測定値を含んでよい。また、患者測定値は、インピーダンスの機能測定値、血流(例えば、赤外線分光法測定値)、EMG、筋肉(例えば膀胱)収縮に関係するデータ、膀胱容量に関係するデータ等を含んでもよい。まさに開示される評価プロセス等のIPC評価プロセスは、図17のステップ34及び/又は48で実現され、及び/又はこのプロセスは、図に示される他のステップの中で、前に、又は外で行われてよい。患者測定データはまた、個々の患者に従って、治療中に使用される刺激プロトコルパラメータ及びシステム構成要素(例えば、IPC形状)を調整するために使用できる。これは、治療を改善するために行うことができ、例えば図22cのステップ250においてのように、初期の治療評価のステップの間に発生してよい。患者測定値は、適切な刺激設定値が維持される又は調節を必要とすることを確認するために間欠的に(例えば保守PTN刺激の6カ月~1年毎に)使用されてよい。
本発明の一態様の多数の優位点は、計算モデルによって立証できる。刺激は、電気的な刺激により標的神経組織に沿って生成される細胞外電位勾配を操作することによって神経興奮性を選択的に強化する考えを支援する。この電圧勾配は、相対的な神経興奮性を予測するために文献で広く参照されるモデルに従って特徴付けられてよい(Rattay,F(1989年)。「Analysis of models for extracellular fiber stimulation」、IEEE Trans Biomed Eng 36(7):676~682)。これは、『活性化関数』(AF)と呼ばれ、軸索に沿った細胞外電位の第2の空間導関数として定義される。本発明に係るプロセッサを有するコンピュータによって処理されるコンピュータコードとして実行される1つのコンピュータモデルでは、モデルは、ユーザが、少なくとも1つのIPCの長さ、位置、形状、厚さ、及び導電性、IPCから神経までの距離等のモデル化されたパラメータ、例えば導電率、少なくとも1つの刺激装置からのIPCの距離、刺激装置の形状、使用され得る追加の刺激装置、刺激装置間の3次元の距離、並びにモノポーラ又はバイポーラ及びシミュレーションされた信号発生器が、シミュレーションされた刺激信号の提供において陰極若しくは陽極として刺激装置を活用するかどうか等の刺激のモードを含む、神経及び周囲の生物組織を特徴付けるためのパラメータを改変できるようにする。モデルの出力は、神経の活性化関数等の結果を含むことがある。
本明細書に示されるシミュレーションされたデータは、刺激プロトコルの限られたセット(例えば単一の定常状態パルス)を使用して入手された。システムは多くの場合、刺激プロトコルのより大きいセットを使用する場合に刺激装置-IPCの対がうまく動作できるようにするために線形に動作してよいが、システム構成及び刺激装置+IPCの対形成は調整される必要がある(特に、例えば1kHZを超える等の、非常に高い周波数刺激の場合)。モデル化は、代替刺激信号の範囲(例えば、周波数、パルス形状、極性、及び持続時間)について繰り返すことができ、システム構成はこれらに対応するために調整できる。又は、所与のシステム構成について成功すると経験的に決定される刺激信号のみを、刺激処置の提供の間に用いてもよい。さらに、異なる刺激信号及びシステム構成のためにルックアップテーブルが導出されてよく、これによりシステム構成要素は特定の治療のために以後容易に選択又は適切に調整できる。ルックアップテーブルのデータは、刺激信号/パラメータ、及びシステム構成要素の幾何学形状に従ってIPC及び刺激装置の特性を決定するために使用されてよい。システム構成の調整/評価は、図17のステップ48、又はステップ250で発生することがある。神経活性化に対するIPCの非導電性部分の影響もモデル化できる。
図2aから図8、図9b、及び図9cに示される計算上導出された刺激データは、表面電極(複数可)、末梢神経(神経内膜層、神経周膜層、及び神経上膜層)、IPC(カフタイプ中空シリンダ又は中実ロッド)、生物組織(例えば脚の遠位切離端)、及び大型塩水浴から構成された3次元有限要素モデルを実行することによって入手された。電気刺激はモノポーラ式で又はバイポーラ式のどちらかで印加された。モノポーラ刺激(図1aに従ってモデル化された)は、陰極として皮膚界面に表面電極を、陰極として他の解剖学上のオブジェクト(例えば脚の遠位切離端)をセットすることによって達成された。バイポーラ刺激(図1cに従ってモデル化された)の場合、一方の電極が陰極としてセットされ、他方の電極が陽極としてセットされた。すべての導電率値は文献(Yoo及びDurand、Selective Recording of the Canine Hypoglossal Nerve Using a Multi-contact Flat Interface Nerve Electrode、IEEE Trans Biomed Eng.2004年)から入手された。有限要素モデルから入手された、結果として生じる細胞外電位(神経内膜領域内の)が個々の神経線維のAFを計算するために使用された。MATLABでは、これは細胞外電位の第2の空間的差異として計算された。
IPCがない場合、表面電極により提供される電気刺激信号は、神経標的組織12、及び表面刺激装置の近接内のあらゆる非標的神経を通常刺激するだろう。IPCを提供して標的神経(複数可)の神経興奮性を増加させ、それによって治療効果を生じさせる1つ又は複数の神経回路を効果的に調節することは、本発明の優位点である。システム及び方法のこの態様の基礎である、新規現象についての正確な仕組みは完全に理解されていないが、以下のようにシステムを概念化することは役立つことがある。一実施形態では、IPCは、電場を集中させ(つまり、「避雷針」の機能を果たし)それによって所与の標的神経に沿ってこの場の第2の空間導関数を「強化する」ために、表面電極により生成される細胞外電位を変更するよう作用することがある。この強化は、神経の活性化関数(AF)の変化に関してみられる。AFは神経組織の興奮を定量化するために通常使用される。このようにして、本発明は、刺激により引き起こされる副作用がより少ない改善された療法を生じさせるために、意図された組織標的に向かって、及び隣接組織から離れて場を集中させる等の、いくつかの優位点を提供するために役立つことがある。別の優位点は、システム及び方法が、療法を提供するために、且つ、より多くの電力なしでは通常は達成できない、又はIPCがない場合にまったく達成できないことがあるかのどちらかである所与の効果を入手するために、1つ以上の刺激装置で、電気療法がより少ない電力を使用できるようにする点である。刺激部位でより少ない電力を使用することは、患者のより大きい快適さ等の他の優位点を提供することもできる。
追加の優位点は、図17のステップ48、又は図22cのステップ250の一部のように、多様な実施形態で、発生することがある、性能改善のためにIPC物理特性が構成される場合に得られてよい。例えば、示されるように、IPCは、それが適切なサイズ、形状、材料、及び電気特性(例えば周囲組織よりも高い導電率)である場合に性能のより大きい改善を提供できる。特定の考慮事項(例えば、少なくとも1つの刺激装置のサイズ及び場所)に従って構成される場合、IPC10の存在は、標的神経組織の正味活性化閾値を低減できる。本発明に係る刺激フィールドの「変更」は、標的神経に達するエネルギーが印加される刺激の効果を、IPCがない場合に達成される可能性があるものよりも大きい程度に強化できるように、刺激フィールドを機能的に調節すること(例えば、リダイレクトする、遮断する、集中させる、中継する、整形する、及び/又は別の影響を与える)を含んでよい。
本発明の一実施形態は、ステップ36において等、多様な経皮刺激装置、経皮的刺激装置(例えば針電極)、埋め込まれた刺激装置、又は他の電気刺激装置と併せて使用される、図17のブロック30に示されるようなIPC(例えば、特定の神経枝の回りに部分的に又は完全に外科的に設置される金属神経カフ)を埋め込むことを含む。これらは従来の経皮電気神経刺激(TENS)装置、埋め込まれた多接点鉛電極(例えば、Medtronic Interstim装置)、血管内神経刺激システム、埋め込み可能な脊髄神経刺激装置、及び脳深部刺激システムを含んでよい。IPCの多様な物理的なパラメータ(例えば、形状、長さ、幅、厚さ、密度、曲率、材料(複数可)、抵抗性/伝導性、相対誘電率)も、場を整形、強化、及び/又は変更するために使用されてよく、且つパラメータは少なくとも1つの刺激装置(つまり、「刺激装置-IPC対形成」)に関してブロック34で設定又は調整されてよい。実施形態では、場は、経頭蓋磁気刺激装置(TMS)で使用される刺激装置等の、電気刺激装置、音刺激装置、又は磁気刺激装置等によって生成されてよい。磁気刺激装置とともに使用される場合、IPCは、1つ以上の刺激フィールドを生成する1つ以上のコイルに対して整形、位置決め、及び配向されてよい。IPCがTMS刺激装置とともに使用される場合、方法及びシステムは改良型TMS(eTMS)と呼ばれてよい。eTMS実施形態の一部として実現される場合、IPCは、eTNSのために使用される材料よりも低い導電率を有する材料を使用して構築されてよい。実施形態では、図1cの電源18は、時間的に変化する磁場等の磁場を提供するために、刺激装置22a、22bとして磁気コイルを活用する(及びD2+D3と名付けられたパラメータにより表される距離だけ、IPCから分離されるであろう)磁気源によって置き換えられてよい。図1cのセットアップがモデルとして実現され、電源18が少なくとも1つの磁気源生成器によって置き換えられる場合、追加のモデルパラメータは、1つ以上の磁気コイルの強度、向き、距離(例えばD2/D3)、3次元位置、及び形状に関係付けられることがある。少なくとも1つのコイル152とともに磁気刺激装置を使用すること(これは例えば図24c又は図18aの50の刺激装置400’によって実現できる)は、図21で、インプラント#3、142cを刺激することにより、患者の迷走神経刺激を提供することに関係して示される。
以下は、本発明の理解を容易にするために提供される、本開示で使用されるいくつかの用語の非制限的な定義である。本開示の部分で、用語は、それらの部分で明らかであるはずであるようにわずかに異なって使用されてよい。
標的。興奮強化のための標的は、人間の神経系の任意の解剖学的な構成要素を含んでよい。標的の活性化は、神経回路又は神経反射を調節して所望される臨床効果又は治療効果を達成するために使用されてよい。これらは、末梢神経系の1つ又は複数の神経又は交感神経鎖及び/又は交感神経鎖と連絡するすべての関連する構造及び神経を含んでよい。特定の標的は、移動若しくは回転する標的又は小さい標的等、本発明によって非常に有利に標的とされてよい。例えば、電極がある期間にわたって固定され壊れないでいることを必要とする経路に沿って電力を伝達できる電極を長期に埋め込もうと試みるよりも、眼球の外部に位置する刺激装置に結合される、眼球の一部に埋め込まれているIPCを刺激する方がより容易であることがある。別の例は、相対的により大きい固定電極の使用を困難にするであろう移動の影響を受けやすい、前庭神経系、又は顔面神経又は脳神経の中にあるかもしれない標的である。別の標的は、小型IPCを外部刺激装置とともに使用することが、刺激装置につながれ且つ剪断する力又は引く力を経験する電極の電極移動の同じ損傷又はリスクを受ける傾向がない、足に、又は踝の近くにあってよい。開示されるように、IPCを使用する標的刺激のための標的もまた、筋肉又は骨等の多様なタイプの組織であることがある。
条件。本システム及び方法の方法によって治療できる医学的状態は、骨格の、免疫学的な、血管の/血液学の、睡眠関係の、代謝の、筋肉の/結合性の、神経学の、視覚の、聴覚の/前庭の、皮膚の、内分泌的な、嗅覚の、心臓血管の、性的な、泌尿器の、排尿の、精神の、胃腸の、呼吸器の/肺の、炎症の、感染の(細菌の、ウィルスの、真菌の、寄生性の)、外傷性の、医原性の、骨盤底の状態及び機能不全、薬剤誘発性の及び腫瘍性の医学的状態及び外科的状態等であるが、これに限定されない多数の状態を含む。本技術が適用されてよい他の状態は、本明細書を通して開示される。
治療。本明細書で使用されるように、医学的状態を用語「治療する」は、例えば医学的状態の症状を治療的に調節すること、妨げること、改善すること、緩和すること、医学的状態の影響を低減すること、及び/又は医学的状態を診断することを包含する。本明細書に使用されるように、用語「医学的状態」は、任意の状態、病気、疾患、機能、以上、又は神経系により影響を受ける障害を包含する。さらに、本発明の方法は、1つより多い医学的状態を並行して治療するために使用できる。本発明に従って治療できる医学的状態の非制限的な例は、遺伝的な、骨格の、腎臓の、歯の、免疫学的な、血管の又は血液学の、筋肉組織若しくは結合組織、神経学の、目の、(同時視覚刺激を用いて又は用いずに治療される)視覚的な、聴覚の又は前庭の、(同時聴覚刺激を用いて又は用いずに治療される)耳鳴り、皮膚の、内分泌的な、嗅覚の、心臓血管の、生殖器の、泌尿器の、糞便の、精神の、胃腸の、呼吸器の/肺の、腫瘍性の、又は炎症の医学的状態を含む。さらに、医学的状態は、血管の、虚血性の、血栓性の、塞栓症の、(細菌の、ウィルスの、寄生性の、真菌の、abscessalのを含む)感染症の、腫瘍性の、薬剤誘発性の、代謝の、免疫学的な、膠原性の、外傷性の、外科的な/医原性の、特発の、内分泌的な、アレルギー性の、変性の、先天的な、又は異常な奇形の原因を含む任意の病因の結果であることがある。さらに、治療は刺激を含んでよい。刺激は、生理学的に関係する活動又は生物学的に関係する活動の任意のタイプの調節を含んでよい。したがって刺激及び調節は、意図が人間の組織上に生じたフィールドの影響を説明するためである場合には、交互に使用されてよい。本技術が「治療」のために適用されてよい他の状態は、本明細書を通して開示される。また、治療は、体重損失を促進するために提供される刺激等、所望される効果を生じることによって人間に利益を提供することを含んでもよい。
インプラントの構成要素。多くの場合埋め込み可能な受動部品「IPC」と呼ばれる埋め込まれる構成要素は、受動導電素子のように単純であってよい。IPCはまた、IPCを定位置に位置付け固定するために機械的に折り畳むことができる、フラップ等の固定構造を有してもよい。IPCは、IPCを定位置に固定するための少なくとも1つの縫合糸穴を有してよい。IPCは多くの形状及びサイズであってよく、それが使用される組織標的、刺激装置からの標的の距離、及び刺激装置のサイズ、並びに他の要因に基づいて構成される物理的寸法を有してよい。IPCは、異なる導電性のセクションと電気的に連続していない、導電性の及び非導電性の表面及び部分、並びに複数の導電性部を有してよい。IPCが電場又は磁場により駆動される回路網を有する又は回路網等の能動部品を有する場合、次いでIPCは、外部から電源を供給される又は内部電源による電源内蔵式である神経刺激装置等の、埋め込み可能な能動部品「IAC」になる。IPCは、神経カフとしてIPCが使用される、又は後に使用される場合に、恒久的な埋め込み可能なパルス発生器をIPCに取り付けることができるように構成されてよい。この場合、IPCは埋め込まれた神経刺激装置の電極として機能する。IPCを埋め込み可能な神経刺激装置に接続できるようにすることは、例えばIPCと組み合わされて提供された皮膚刺激が効果的でないと判明する、又は経時的に非効率的になり別の電極を埋め込む必要なくIPCに刺激信号を提供するために埋め込み可能な刺激装置が次いで使用される場合に発生することがある等、有利であることがある。本発明の多様な実施形態では、IPC、IAC、神経カフ、又は埋め込み可能な神経刺激装置は、標的組織に刺激信号を提供するために使用されてよい。これらの例が非制限的であることが理解されるべきである。例えば、選択的な神経枝刺激の場合、本発明の実施形態は、以下の:IPC、IAC、多接点神経カフと機能する電源内蔵式又は外部電源式の神経刺激装置のいずれかを使用し、ほぼ実現され得る。
刺激装置。刺激装置は、組織に刺激信号を供給するシステム構成要素である。刺激装置は、tens電極、少なくとも1つの電気接点を有する電極リード線、1つ以上の電極接点、神経カフ、多接点電極、脊髄刺激リード線、磁気コイル、音響変換器、振動変換器、若しくは光変換器、又は組織を調節するためにエネルギーを放出するための他の構成要素を指してよい。刺激装置は、例えば電気信号発生器、磁気信号発生器、又は超音波信号発生器、パルス発生器、又は埋め込まれた神経刺激装置により提供される、少なくとも1つの刺激信号を組織に伝送する。神経刺激システムでは、神経刺激装置が少なくとも1つの電極として実現されてよい刺激装置に刺激信号を供給することが概して理解される。
刺激装置-IPC対。少なくとも1つの刺激装置及び少なくとも1つのIPCは、これらが、IPCが使用されない場合に発生するものと比較して、強化された標的刺激を組織標的に提供するために意図された方法で共にうまく機能するように選択又は調整できる。例えば、刺激装置-IPC対は、2つがうまく「適合される」ように、IPCに対して設定された物理的な寸法を有する刺激装置を含むことがある。IPC又は(少なくとも1つの)刺激装置の物理的寸法は、例えば、少なくとも1つの導電性部の形状、サイズ、長さ、向き、及び厚さを含むことがある。さらに、刺激装置-IPC対は、配列される少なくとも1つの端縁を有するように刺激装置及びIPCが構成されることによって適合されて、これは、刺激フィールドにおける標的に対する効果の強化の増加を提供すると、いくつかの例で示されている。
電場及びIPC-刺激装置の向き。多様なタイプの信号及びフィールドは、電気的、磁気的、又は両方(及び(超)音波、振動、又はレーザー/光であることもある)を含んでよい。いくつかの実施形態では、調節信号は適度な振幅及び適度な持続時間を含んでよく、一方他の実施形態では、調節信号はより高い振幅及びより短い持続時間を含んでよい。88、90等の刺激装置によって提供されるフィールド誘導信号の多様な振幅及び/又は持続時間は、機能的(つまり、超閾値(super-threshold))調節信号を生じさせてよい。フィールド誘発信号が調節信号のレベルに上昇するかどうかは、多くの要因(例えば、刺激される特定の神経からの距離、神経が分岐しているかどうか、神経に対する誘発電場の向き、電極刺激装置と神経との間に存在する組織の種類、IPCのサイズ、刺激装置とIPCとの対形成の適切性等)に依存することがある。フィールド誘導信号が調節信号を構成するのか(神経調節を生じさせることがあるエネルギー場を生じる)、それとも副調節信号(神経刺激を生じさせることを意図しないエネルギー場を生じる)を構成するのかは、IPC及び刺激装置の少なくとも1つの端縁の適切な配列(例えば、x軸、y軸、及び/又はz軸の向き及び/又は変位)によって影響されることがある。調節フィールドと副調節フィールドの両方が、本発明の一部として作成されてよい。
刺激/治療/療法プロトコル。プロトコルは、療法の間に患者又は別の方法により調整又は選択されるように、医師の指示の下で、埋め込み可能な神経刺激装置の処理回路網によって実行される閉鎖ループアルゴリズム又は開放ループアルゴリズムの制御下で実施できる。埋め込み可能な神経刺激装置について本明細書で説明されるプロトコルの多くは、開示される本発明の精神から逸脱することなく、適切な変更を伴い、クリニックで医師によって又は自宅で患者によって等しくうまく達成されると理解される。電極を有する埋め込み可能な装置により実施されるとして開示される任意のプロトコルは、部分的に又は完全に外部刺激システムによって達成されるための候補として通常は見なされてもよく、その逆も同じである。本明細書に開示される刺激の方法のステップは、例えば、完全に埋め込み可能なシステムによって達成される刺激プロトコルの中で実施できることが概して理解される。療法/治療プロトコルは、刺激プロトコルだけではなく、検知プロトコルも含んでよく、且つ、検知されたデータを処理する方法及び検知されたデータの評価結果に基づいて刺激パラメータを変更する方法のための、規則及びアルゴリズムを含んでもよい。療法プロトコルはまた、医師の管理下で又は患者により並行して供給される薬剤療法の提供を含んでもよい。
図2aは、表面電極刺激装置により印加されたシミュレーション電流パルス(-1mA)に応える、後脛骨神経の中に位置する単一の軸索のモデル化されたAFの結果のグラフを示す。計算有限要素モデルが、PTNの興奮性の強化を評価するために使用された。モデルは、表面電極がPTN上に設置された、3次元的に再構築された人間の下肢から成った。陽極は下腿の近位切離端(表面電極から最も遠い)であった。図1aに示されるように、IPC10は神経に近接して置かれた高度に導電性の材料としてシミュレーションされ、直径=0.2mm及び長さ=5mmのロッドとしてモデル化された。グラフは、IPC10と標的神経12との間の距離を変えることの、計算されたAFに対するシミュレーションされた影響を示す。すべてのシミュレーションで、最大AF値が標的神経の興奮性を決定するために使用された。AFが一連のシミュレーションのために計算され、ここでインプラントとPTNとの間の距離が(神経上膜外の)8mmから(神経束、神経周膜と直接的に接触する)0mmに減少された。図2aの結果は、-所与の長さ、直径、形状、及び伝導性について-IPCが、神経から約3mmの距離で神経興奮性を強化し始めることを示している。この強化は、インプラントが神経自体を取り囲む結合組織層(「神経上膜」)の中に埋め込まれる場合ほぼ8倍まで上昇し続ける。グラフは、このセットアップを使用して、IPC対神経の距離が2mm未満に低減されると大幅な利益が得られることを示唆している。モデル化されたシステム構成又は現実世界のシステム構成(例えば、刺激装置、IPC、又は神経のサイズ及び場所)に対する変更は、グラフの形状を変える可能性がある。しかしながら、IPCの典型的な実施形態では、導電部品は、その全長が神経に隣接するように、それが刺激する神経に沿って存在するように埋め込まれる可能性が高い。実施形態では、IPCは標的神経にほぼ平行に存在するよう埋め込まれ、且つ移動及び回転を防ぐために、その近端部と末端部の両方で等の、2つ以上の部位で固定される。
図2bは、IPCと神経の組合せ(「インプラント+神経」)と刺激電極の少なくとも1つとの間の距離が増加する際のAFの変化を反映するシミュレーションされた結果を示す。神経興奮性に対するインプラントの影響は、対照群ケース(図中「IPCなし」と名付けられる)と、IPCが神経に近接して(つまり、神経上膜の内側に)設置されたケースとの間の最大AFを比較することによって定量化された。インプラントは、皮膚表面(つまり刺激電極の部位)から7mmに位置する神経についてAFの184%の増加を生じさせた。IPCなしの神経(「IPCなし」と名付けられた、破線)と比較すると、AFは、神経の近くに設置されたIPC(「神経上膜内部のIPCと名付けられた、実線」で終始一貫して大きい。さらに、30mmの刺激装置対IPCの距離でIPCにより達成されるAFは、IPCが使用されない場合に、10mm未満の刺激装置対神経の距離で達成されるAFに類似している。利益は、このグラフ(及び制限的であることを意図しない、本明細書に開示される他のグラフ)に示される距離を超える、より大きい距離でも得られることがある。
最大3cmまでの刺激装置対神経の距離での繰り返されるコンピュータシミュレーション(図2bのような)は、AFが最初の15mmを超えると急激に減少すること、及び約25mmでの漸近線を示した。この傾向は両方のケース(IPCあり及びIPCなしの)で同じであるが、IPCがすべての神経深さで神経興奮性を強化することを明確に示している。
図3aは、「IPC不在(ロッドなし)」状態(図2bを参照)に比較される「IPC存在(ロッド)」状態のAFの比率として計算された、標的神経の「相対興奮性」のモデル化された結果を示す。正の傾きは、IPCに起因する強化された神経興奮性の影響が、表面電極刺激装置からさらに遠く離れて位置する神経で相対的により大きいことを示す。図3aの刺激結果は、経皮神経活性化に必要とされる刺激振幅が、iPCを使用すると大幅に低減できることを示唆する。図3aのデータは、相対興奮性(RE)が約1.8xから約4xに移動するので、表面での刺激振幅が元の刺激強度の約25~50%に低減され得ることを示唆する。
図3bは、標的神経のRE(相対興奮性)に対するIPC(ロッド型インプラント)の導電率の影響を示す。神経興奮性の強化(相対興奮性として定量化される)は、IPCの導電率が4E+2S/m(又はグラフ上では約1.00E+3)に等しい又は超える場合に最大で達成される。このより低い境界は、神経(例えば神経上膜)の導電率よりも約5桁大きい導電率に相当する。これらの結果は、最も高度に導電性である金属が、TENSを強化するための適切なIPC材料としての機能を果たし、プラチナ又は金が良い候補であることを示唆する。多様な導電性合金及び適切にドープ塗料を塗られてよい半導体材料が、IPCの少なくとも部分を作成するために使用され得ることは言うまでもない。
図4aは、神経深さの(皮膚表面からの)、2つの表面電極刺激装置間の電極間距離に対する影響を示す(バイポーラ刺激、図1cを参照すること)。影響は、単に表面刺激装置だけを含みIPCの皮下設置を取り入れなかったラットPTNのコンピュータシミュレーションから計算された、最大AFによって定量化された。これらの結果は、バイポーラ表面電極を有する本発明の経皮刺激実施形態に関連する。図1aに示され、且つ図2a、図2b、及び図3a、図3bに示される結果を生じさせるために使用されたモノポーラセットアップを有する、有限要素モデルは、ラットでのPTNの経皮電気刺激に近づくように変更された。この変更は、モデルのすべての構成要素を、齧歯動物のモデル:神経半径(0.38mm)、神経深さ(1.5mm)、皮膚厚さ(0.46mm)、陽極電極及び陰極電極を含む表面電極(2mm×1mm)の対、に拡大縮小することを単に含んだ。このコンピュータモデルの結果は、最適な神経活性化(最大AF)が、電極(刺激装置)間距離が皮膚表面から神経の深さ(1~3mm)に近づく場合に達成されることを示す。1mmの刺激装置間距離での最大AFは、すべての神経深さについて低い神経興奮性を示した。これは、電流が陰極電極と陽極電極との間で効果的に短縮されることを示唆する。IPCが使用される場合、結果は、絶対的に及び相対的にの両方で、IPC及び刺激装置の物理的な寸法のため変化する可能性がある。
これらの結果は、より大きい分離が使用される場合、より深い神経がバイポーラ電極対によってより容易に活性化されることを示す。図1cに示されるシステム6の一実施形態では、刺激装置間距離D1は、表面刺激装置と神経との間の距離D2に比例して変えられるべきである。刺激される組織標的の深さに対する、表面電極の間隔に関係する影響は、IPCが使用されるのか、又は使用されないのかに関わりなく適用可能であってよい。一般的には、電極が互いにより近くに設置される場合、最高電流密度の領域は相対的に表面的になり、一方で、さらに離間された電極は、電流密度をより深い組織でより高くするであろう。電極刺激装置のサイズもまた電流密度を変化させ、より小さい電極と比べてより大きい電極が電流密度を減少させる。したがって、より大きな電極(分散電極)が組織標的から遠く離れた(さらに遠い)状態で、より小さい電極を神経又はIPCのより近くに設置すると、電流密度はより小さい電極の近く(組織標的の近く)でより高くなるはずである。したがって皮膚に適用される電極のサイズ及び位置の特性は、電流密度及び経路の特性を改変する。IPCが使用される場合、この関係性もIPCの仕様に関して考慮されるべきである。IPC及び刺激装置が、刺激の効果を増加させるために、選択された特性に関して「対に」される場合、次いでこれらの対形成はIPC/神経の深さ等の要因に関して考慮されるべきであり、且つステップ250の一部であってよい。より深い神経の刺激は、表面刺激装置のより大きい間隔を必要とすることがあり、このことは今度はIPCの長さの増加を必要とすることがある。これらの、及び他の考慮事項が、患者に療法を提供する本発明の刺激システム及び方法に対する調整で使用されてよい。
図4bは、IPCの厚さの影響を調査する、計算的に生成されるシミュレーション結果のグラフを示す。これらのIPCの物理的特性は、IPCの形状特性に関連し、調整IPCの形状特性を誘導するために使用できる。神経上膜の中に設置される固形円柱ロッドとしてモデル化されたIPC(図1b)の代わりに、IPCは神経を包み込む簡略なシリンダ形状のカフとしてモデル化された(図1c)。この実際的且つ簡略な設計は、現在、多くの埋め込み可能な神経カフ電極に使用されている。カフ長を5mmに設定して、シリンダの厚さがゼロ(IPCなしを反映する)から最高で1.2mmまで変えられた。この研究の結果は、少なくとも長さ5mmのインプラント及び2mmの相対的に浅い神経深さでの場合に、神経興奮性がより薄いIPC(例えば、厚さ20μm)により最大に強化されることを示唆する。IPCの物理的特性を変更する多様な方法はまた、薄いIPCを作成するために形状特性を調整することに加えて、興奮性を増加させるために役立つこともある。例えば、物理的特性は、メッシュから又は異なる導電率を有する材料を使用して作成されたIPCも性能を評価するためにシミュレーションされる、及び/又は改善された興奮性を提供する使用のために選択されてよいように、選択できる。一実施形態では、インプラントの質量を減少させ、IPCの柔軟性及び適応性を高め、且つ患者の快適さを高め、又は他の優位点を有するメッシュ等の材料を使用することは、システムの性能を改善し、且つ有害事象の可能性を減少させ得る。さらに、研究で調査されたシミュレーション信号及びパラメータについて、0.3mm未満のIPCの厚さがAFを増加させ、一方0.3mmを超える厚さは神経興奮性を低減させることが判明したことに留意されたい。バイポーラ刺激構成を使用する場合、療法システムは、標的神経(複数可)を「選択的に」活性化するために異なるIPC厚さに依存してよい。IPCの厚さを特定の寸法(例えば、IPC厚さ=0.3mm)を超えて増加させることは活性化閾値を増加させることが判明したので、一実施形態では、閾値厚さを超えて増加した厚さのIPCは、この特定の神経深さでの隣接する非標的神経の活性化を抑制するために使用できる。これと組み合わせて、神経の興奮性を増加させるように構成された、より薄いIPCは、標的神経に対して使用できる。
図4cは、様々な深さで設置された末梢神経を活性化するために使用されるモノポーラ刺激装置を含む、コンピュータシミュレーションからのデータを示すグラフ表現である。本実施形態では、正規化されたMAF(最大活性化関数)は、IPC(カフ型インプラント)が2mm及び3.5mmの神経深さ(ND)で減少するのにつれて増加した。これらの相対的に浅い神経深さでIPC厚さを低減させることの強化された影響は、バイポーラ刺激装置(図4b)を使用した我々の刺激を裏付ける。しかしながら、より深い神経深さ(5mm及び10mm)では、正規化されたMAFは、IPC厚さが増加すると、増加した。神経興奮性のこの強化は、IPCのより大きい全体的な導電率が皮膚表面から相対的により遠くに位置する神経に関して重要な役割を果たす可能性があることを示している。結果として、これは、相対的により大きい神経深さでの神経のeTENS活性化が、例えば異なるIPC材料(例えば、より高い導電率)及びより大きい寸法(例えば、厚さ又は長さ、図8を参照すること)を使用することによって、さらに強化され得ることを示唆する。
図5aは、効果的な末梢神経活性化(つまり、最低活性化閾値)を達成するための、電極間距離及びIPC長さの組合せのシミュレーションされた結果のグラフを示す。ラットPTN刺激モデル(例えば図1bのセットアップのような)では、各トレースのピークは、電極間距離に対する物理的な寸法に非常に類似するIPC長さに相当する。データは、示されるIPC長さの範囲について、並びに使用される刺激波形及びプロトコルについて、電極間距離がIPCの長さに近い又はIPCの長さより少し短い場合に神経興奮性の増大が改善されることを示唆する。AFの変化が、0mm(インプラントなし)から最大で15mmまでインプラントの長さを変化することに応えて研究された。これらの刺激は、異なる電極間距離:2.75mm、5mm、及び7.5mmについて繰り返された。所与の電極間距離及びバイポーラ構成のそれぞれについて、インプラント長がこの距離に近づいた場合に(例えば、7.5mmの電極間距離では8mmインプラント長)最大AFが達成された。したがって、eTENS療法6を提供するためのシステムでは、IPC長さは、例えば2つの電極間の距離に等しい、又は2つの電極間の距離に少し満たない、又は2つの電極間の距離に対する他の関係を有する等の、少なくとも2つの刺激装置間の距離に応じて設定できる。
図5aでは、ゼロmmデータポイントは、いずれのIPCも使用しないこと(「IPCなし」)に同等である。したがって、IPCなし状態を超えてAFを増加させるIPCを活用する任意のシステム及び方法は、強化された神経興奮性を提供できる。さらに、IPCなし状態を下回る任意のAF、例えば、電極間距離が図中の試験されたもののいずれかである場合に約12~15mmのIPC長は、その神経の興奮性を減少させるのに役立つ。したがって、非標的神経に対する興奮性の減少を生じさせるIPCを提供することは、標的神経の選択的な活性化をさらに増すための戦略を提供し得る。明示的に説明されていない場合でも、本願のすべての他の図で、AFがIPCなし状態未満に低下する場合、結果は、IPCが非標的神経で使用される場合に標的神経刺激のより大きい選択性を提供することに関連すると理解できるだろう。
追加のコンピュータシミュレーションも、IPC10の中心に配列された単一のモノポーラ表面電極を使用して実施された。幅(W)は同じままであったが、長さが変えられた。陽極(戻り)電極は、活性陰極から遠く離れて設置されるとしてモデル化された。この研究の結果は、最大AF(つまり最低刺激閾値)が、単一電極の長さ(L)がIPCよりも大きかった場合に達成されたことを示した。言い換えると、モノポーラ電極が図1cの電極の対の間にちょうど収まるような大きさに作られた場合、最適活性化は検出されなかった。図5aの結果は、最適神経刺激は、IPCの対向する端縁が表面電極の対向する端縁と(ほぼ)並ぶ場合に達成されることを示唆するが、これはバイポーラに対して当てはまるが、モノポーラ刺激には当てはまらないことがある。臨床システムの一実施形態では、IPC及び少なくとも1つの電極の端縁はほぼ並ぶ(例えば、空間的及び角の配列)必要があり、一方2つの平行した端縁の配列はバイポーラ刺激しか改善しないことがある可能性がある。初期データは、モノポーラ刺激の場合、活性化増加は、モノポーラ電極がIPCより長い場合に達成されることを示唆している(データ不図示)。したがって、モノポーラ電極を使用するシステムの一実施形態では、刺激装置の少なくとも長さ又は幅はIPCよりも大きくされるべきであり、さらにIPCの1つの端縁だけが刺激装置電極の端縁と並べられるべきである。
図5bは、より大きい物理的寸法に変換されるラットPTNモデルの結果を確認する、本来の人間のPTNモデル(電極間距離範囲:2cm~8cm)を使用するコンピュータシミュレーションのグラフを示す。
図6aは、モノポーラ表面電極を使用してeTENSをシミュレーションしたコンピュータモデルからのデータを示す。電極(神経に沿って1mmの長さ)及びIPC(1mmの神経カフ長)の端縁の両方が並べられる(ずれ=0mm)場合、AFは実際には、IPCなしのTENSのAF未満である。しかしながら、IPCが神経に沿って移動すると、AFは従来のTENSのAFよりも約1.25倍大きくなる。この例(神経深さ=2mm)では、IPCの『増強する影響』は、最大1mm(つまり、ずれ=2mm)までの端縁隙間(電極の右端縁とIPCの左端縁との間の距離)でも持続する。このずれを超えると、IPCは神経興奮性にほとんど影響を与えない。したがって、モノポーラ電極を使用するシステムの一実施形態では、IPC及び刺激装置の配列は、例えば、図17のステップ48のように調整されるべきであり、これにより端縁間隙間は改善されたAFを提供する。この例での神経深さは2mmにすぎず、異なる相対興奮性結果が、他の神経深さについてシミュレーションされる場合に得られることがあり、これを次いで本発明のシステム及び方法の臨床実施形態を調整するために使用できる。
図6bは、図6aに類似するが、より長いIPC(神経カフ長=5mm)を用いるコンピュータモデルからのデータを示す。これらの結果は、IPCが表面電極よりも長く、及び電極が神経カフと重なる(最大で2.5mmまでのずれ)場合、標的神経のAFは従来のTENSの1.4~1.8倍強化されることを示す。最大の強化は、端縁間隙間(電極とIPCの端縁の間の)が0.0mmと1.0mmの間である場合(ずれが約3mmであるときに発生する)に達成される(2.2倍増加したAF)。2.5mmより大きい端縁間隙間(5mmを超えるずれ)では、IPCは神経興奮性に影響を及ぼさない。IPCが使用されないときと比較して興奮性の少なくとも25%の増加を生じさせる端縁間隙間で、治療中に本発明を実施することは実に容易であるはずである。より深い神経場所でのIPCの配列の影響はここでは調査されないが、初期の結果は、配列の影響は、皮膚表面から遠い神経についてあまり顕著ではない(神経カフ厚さで見られることと同様に、図4c)ことがあることを示す。
図7は、モノポーラ刺激(神経深さ=2mm、IPC厚さ0.02mm)を使用して相対神経興奮性に対するIPCの導電率の影響を調査する計算で生成された結果のグラフを示す。9.43E+2を超える導電率の場合、強化された神経興奮性が観察される(図3bに示されるように)。しかしながら、9.43E-4と9.43E-1の間の導電率値では、IPCのごくわずかな影響(相対興奮性の変化なし)が観察され;一方で9.43E-5未満の導電率で、IPCが埋め込まれる神経の興奮性の低減が観察される。これらの調査結果は、高度に導電性のIPCが標的神経に埋め込まれる、標的神経の選択的活性化を増加させる新規のシステム及び方法を示唆する。さらに、不必要な活性化を防ぐために、導電性が十分ではないIPCが1つ以上の非標的神経に又は1つ以上の非標的神経の近くに設置されてよい。システムの他の特性と同様に、1つ以上のIPCについての適切な導電特性は、シミュレーションされるモデル化に基づいて、又は例えば治療中に使用されるIPC及び刺激装置の数及び位置を含むシステム構成に基づいて、選択又は調整できる。
図8は、IPCの長さと神経の深さ(ND)との関係性を示す。この計算モデルでは、IPCは厚さ0.02mmの神経カフであり、IPC+神経は4つの異なる神経深さ:皮膚表面からND=2mm、3.5mm、5mm、及び10mmに置かれた。モノポーラ刺激のこの例の場合、データは、IPCの長さを増加させることが、神経興奮性を著しく増加させることがあることを示す。この『強化影響』は、皮膚表面からさらに離れて位置する神経でより顕著である。浅い神経深さ(2mm)の場合、IPC長さを増加させることの影響は4mmを超えると減少し、神経興奮性の増加は従来のTENS(IPCなし)の約1.5xでプラトーを示す。対照的に、より深い場所(10mmND)では、AFは最大で9.5mmのIPC長さまで増加し続け、そこで神経興奮性は従来のTENSの6.5倍数に達する。eTENS刺激を提供するシステム及び方法の実施形態では、IPCの長さは、神経興奮性の所望される増加を引き出すために、図17のステップ48のように調整できる。さらに、いくつかの実施形態では、より深い神経に関して、神経興奮性の改善された強化を提供するためにより長いIPCが選択されるべきである。さらに、より深い神経標的に関して、IPCの厚さを増加させることは、標的神経の興奮性の増加を提供し得る(神経標的は相対的に表面的であったため、図4bは、より高い厚さに比較してより低い厚さで、増加したMaxAFを示す)。
図9a、図9b、図9cは、経皮神経刺激の動員特性に対するIPCの影響を示す。これらの結果はラット実験(図9a)及びコンピュータシミュレーション(図9b、図9c)から得られた。図9aは、麻酔されたラットでのインビボ検査から得られた、強化されたIPC興奮性を裏付けるデータを示す。モノポーラ表面(陰極)刺激電極(5mm×10mm)は、踵骨(距骨)のすぐ腹側の左脚のPTN上に設置された。戻り(陽極)電極は、活性陰極電極に同側の腹部脂肪体を通して挿入された針に接続された。1対のシースが外された(desheathed)ステンレス鋼ワイヤが、陰極電極に同側の足の中に挿入され、低ノイズ増幅器に接続された。この電極は、経皮PTN刺激により引き起こされる筋電図(EMG)を記録するために使用された。1つの実験からの結果が図9aに示され、これはPTNの回り(踝のすぐ腹側)のIPC10の存在が、神経刺激閾値を、IPCが使用されなかった場合に見られた値の30%下げることを示す。図は、神経の回りに設置されるIPCがある(実線)及びない(破線)場合の、経皮PTNSにより引き起こされた脚のEMG活動の動員を特徴付ける。インプラントは実験的にアルミカフとして実行された。データは、より多くのPTNファイバの動員、又は経皮刺激による、改善された論理一貫した活性化により発生することがあるように、本発明のIPC10が効果的に(1)PTNを活性化するための刺激閾値(図中「A」と名付けられる)を引き下げ(2000uA対2800uA)、且つ(2)より大きいEMG活動(37mV対21mV)を生じることができること、を示している。より低い振幅の刺激で発生する閾値に加えて、IPCなし状態の神経での最大足EMG活動は、IPC状態で達成される最大値に到達することはない。EMGは、IPCが神経刺激に応えて位相のそろった同期の活性化又はファイバの最大総数の動員を改善することを示唆するプロキシインデックスとしての機能を果たす。
図9bは、非標的神経(a2~a5及びa12~a15)の神経興奮性に対するIPC(標的神経「a1」に埋め込まれた)の影響を調査するために使用された、コンピュータモデルの図を示す。図9cは、複数の神経の計算で引き出された活性化関数(つまり神経興奮性)を比較し、ここで1つ(a1)がIPCを備えている。IPCの長さが0.1mmから4mmに増加すると、標的神経の興奮性はAFの50%~100%の増加を示し;一方、非標的神経の興奮性にはほとんど変化がなかった。さらに、10mm~60mmのIPC長さでは、標的神経(a1)及び非標的神経の興奮性特性はより劇的に異なり始める。標的A1のAFのパーセント変化は20mmでピークに達する(342%増)が、一方、残りの神経はこのIPCの長さを超えて興奮性で40%~60%の減少を示す。このデータは、刺激に対する感受性を増加させるためにIPCが標的神経に設けられ、且つ特定の範囲内でIPCが非標的神経に対する電場の影響を減少させることによって刺激特異性を増加させることがある、eTENS刺激を提供するシステム及び方法の実施形態をサポートする。
実験データ(図9a)は標的神経の回りに設置されたIPCにより達成される強化された神経興奮性を確認するが、コンピュータモデル結果(図9b)は、IPCが周囲(非標的)神経の興奮性を同時に低減できることを示す。したがって、単一の高度に導電性のIPCは、隣接する神経組織の不必要な活性化により通常引き起こされる、刺激により引き起こされるあらゆる副作用を最小限に抑え得る。所与の刺激レベルでの強化選択性の機構はまだ完全に理解されていないが、IPCはより低い抵抗性の経路を電場に提供し、それによりIPCの領域の回りのフィールドの分散を減少させる可能性がある。したがって、後に開示されるように、1つ以上のIPCを使用する実施形態は、組織を通る電気的な経路(又は磁場)を整形する、偏向させる、変形する、集中させる、又は誘導するために使用されてよい。異なる標的を刺激するために人間で使用される場合に、改善された対形成を生じさせるための指針は異なる場合がある可能性がある。例えば、ここで試験されたよりも長いIPCでは、刺激装置端縁の配列は、IPCの端縁よりもむしろ中間で配列される場合に対形成を改善すると判明することがある。モデル化された結果及び経験的結果の両方が、1つ以上のIPCを使用する刺激システムを改善するために使用できる。さらに、少なくとも1cmの長さを使用して試験されるIPCを用いた、Yoo博士の実験室からの最近の未公開データは、より長いIPCがより優れていることを示し、したがって実施形態では、IPCは少なくとも長さ1cmであるべきである。追加の実施形態では、神経標的がその長さにわたってアクセス可能である場合、刺激の改善された強化を提供するために、IPCはさらに長くてもよい可能性がある。
失禁及び関係する障害の治療
本発明のシステム及び方法の中心的な使用は、過活動膀胱及び尿閉に関係する排尿筋活動低下等の慢性下部尿路機能障害の治療に関する。簡略にするために、用語、過活動膀胱(OAB)は、制限的となることを意図せずに、多様なタイプの排尿障害及び泌尿器絹不全(例えば骨盤底障害)を指すために使用されることがある。障害の治療のための本発明の以下の例の実施形態は、実施形態及び原理が多様な利益を提供するために他の障害の組織調節治療に対して一般化できる状況で提供される。
図10a及び図10bは改良型神経刺激システムの多様な実施形態を示し、ここで標的神経の選択的な活性化は、これらの神経の束に近接して、直接的に接触して、これらの神経の束の中に埋め込まれて、これらの神経の束に巻き付けられてIPC10を設置することにより達成できる。特定の治療プロトコルに応じて、1つ以上の部位での強化された経皮神経刺激のために1つ以上のIPCを使用できる。実施形態では、標的神経は、例えば、陰部神経、骨盤神経、後脛骨神経、内側足底神経、外側足底神経、踵骨神経、伏在神経、仙骨神経根及び腰髄神経根を含むことがある。
図10aでは、膀胱28及び尿道29が、その電気活性化がそれぞれIPC10a及びIPC10bによって強化できる、骨盤24神経及び陰部26神経等の神経標的によっておもに刺激されるとして図の左側に概略で示される。選択的な骨盤神経又は陰部神経の刺激のシステム及び方法の一実施形態は、膀胱内(intravesicle)電極又は尿道内電極の少なくとも1つである刺激装置を使用して、又は少なくとも1つの電極アレイを使用することによって電気パルスを送達するための療法プロトコルに従う療法を提供することによって達成されてよい。刺激装置は、IPCが前もって埋め込まれた神経標的(例えば、陰部神経)を刺激するだろう。このセットアップは、IPCが神経標的に関してうまく位置付けられたままである間、刺激電極がわずかに移動することを可能にする等の、優位点を可能にしてよい。刺激装置は、恒久的に埋め込まれるか導尿と同様に一時的に挿入されることもあり(例えば、二分脊椎、神経性の腸、又は膀胱機能不全の場合でのように)、パルス発生器を有する神経刺激装置から刺激信号を受信できる。陰部神経の中の少なくとも1つの神経の部分集合を含む神経標的(例えば、背側の生殖器神経、尿道括約筋への神経、及び外肛門括約筋への神経)の選択的な活性化も、IPCを戦略的に埋め込み、パルス発生器を使用してIPCに対にされた埋め込まれた電極を刺激することによって達成されてよい。パルス発生器は患者の外部であってよく、有線接続性又は無線接続性を使用して刺激信号を提供する。療法刺激はまた、後面上(大臀筋上方の)等の多様な場所からIPCに刺激信号を提供するためにTENS又はTMSを使用して提供することもできる。IPC及び刺激電極の対にされた使用のための潜在的な臨床的適応は、例えば尿閉、尿失禁、便失禁、腹圧性失禁、並びに泌尿器の痛み及び骨盤の痛みを含むことがある。
図10bは、下腿及び足を刺激する例示の神経を示す。後脛骨神経(PTN)は内側足底神経(MPN)、外側足底神経(LPN)、及び踵骨神経に分岐する前にふくらはぎの後内側面を下方に下る。伏在神経(SAFN)は、大腿上部の大腿神経で分岐する皮膚感覚神経である。神経は脚の内側前面を下方に移動し、膝に感覚枝を提供し、下腿の内側後面の知覚神経支配を与えるために脚を下方に続行する。埋め込まれた神経刺激装置に接続される、又は本発明のIPC(10c~f)としての機能を果たす、神経カフのための適切なインプラント場所は、個々の神経に近接して示される(カフは図の混乱を避けるために踵骨神経上に示されていない)。MPN又はLPNの選択的な刺激はまた、PTNがMPN及びLPNに分割する接合部に隣接してIPCを埋め込むことによっても実現できる。少なくとも1つの刺激装置14は、eTENS療法を提供するためにいずれかのIPCの隣の皮膚に設置できる。図中で、刺激装置は踝のすぐ上方に表示され、図の混乱を避けるために後方ではなくむしろ、踝の前方部分に示される。多様な解剖学的ランドマークが、例えば、経皮的針電極、TENS電極、埋め込まれた刺激装置、IPC神経刺激装置を正しく位置決めすることによるSAFN及びその枝の刺激の提供を支援するために使用されてよい。図50eの説明としてさらに見直されるように、例示の臨床実施形態では、刺激装置は、SAFNの遠位部分の前方枝の刺激を提供するために、約1cm~3cm頭の方に、及び約1cm前方から内側に設置される。別の実施形態では、刺激装置は、伏在静脈のすぐ側方で、内果と前脛骨腱との間に埋め込まれてよい。代わりに、頭側(例えば3又は5cm)で且つ内果のより後方、且つPTNに対して表面的な場所が、SAFNの遠位部分の後枝を標的にするために使用できる。外科手術においては、SAFNは、足で麻酔を提供するために踝の近くで薬理学的に遮断されてよく、このことは、SAFNのこの最も遠位部分に対する位置設定及びアクセスが相対的に表面的であり予測可能であることの両方を示唆する。SAFNの遠位部分の前枝又は後枝のどちらかに対するアクセスは、PTNに対し表面的に位置し、これは通常踝領域の皮膚表面から1.5cm~2cmであり、実施形態では、皮膚の下0.5~1.5cmに刺激装置を位置決めすることは適切な標的位置を提供してよい。一部の個人では、内果に対して3cmを超える頭側の位置での前枝及び後枝へのSAFNの遠位部分の分割、したがってこれらの枝に対するアクセスは、患者ごとに異なることがある。刺激の追加の場所は、複数の場所:内果の先端の近位にある外皮、内果の後面に近い大伏在静脈の後端に近い内果の前面、及び第一趾に近い皮膚領域で終端することがあるSAFNの遠位部分を含む。したがって、SAFNは、内果で又は内果に隣接して標的にされる場所で針、IPC、又は刺激装置を使用して刺激されてよい。さらに、複数のより小さいSAFN枝は、それらが刺激する皮膚の近くで刺激されてよい。SAFNが経皮的に又は皮膚を通して刺激される場合、戻り電極は、例えば、脚の甲又はSAFNが刺激される同じ脚の上の踵骨の内側面、又は膝の内側面に取り付けられる使い捨ての電極として実現できる。超音波誘導は、SAFNを正しく且つ容易に配置するための成功率を改善するだろう。実施形態では、SAFNを標的とする刺激装置の正しい設置は患者の『皮膚のうずき又は錯感覚』の報告によりさらに確認でき、それは、足を放散する感覚又は足の筋肉の活性化として多くの場合知覚されるPTN刺激によって引き起こされるものとは異なるであろう。実施形態では、PTN又はSAFNの選択的な電気活性化は、知覚される皮膚感覚が伴い患者により報告される場合うまく発生するであろう。対照的に、PTN刺激は通常足に沿って放散する感覚を引き起こし、一方、SAFNの活性化は下腿の内側表面に皮膚感覚を生じさせる。IPCのための他の場所はまた、伏在神経等の神経の刺激を強化するために、患者の膝の高さで又は患者の膝の下にIPCを位置決めする等、選択できる。多様な下肢神経(本発明のいくつかの実施形態にとって適切な標的である)を刺激し、且つ神経応答を測定するために刺激に対する応答を記録するためのいくつかの部位及び方法は、本明細書に参照により援用される、Electrodiagnosis in Diseases of Nerve and Muscle:Principles and Practice(2013年)、第4、Jun Kimura(編集)、Oxford University Pressの第6章、125~145ページに説明される。
膀胱障害の治療のためのPTN刺激の本臨床モデルは、PTN「幹」の刺激を提供することによって、この神経幹に集中しこの神経幹を通過する複数の神経枝(例えば、LPN及びMPN)に刺激が提供されるということである。1つの刺激標的が複数の関係する神経経路を刺激するために役立つことがあるので、PTNの、経皮的刺激等の刺激は、OABの治療において神経刺激を提供する効率的な方法と見られる。図13~図15に示される実験結果は、膀胱機能の他のモデルよりもより現実的な結果を提供することがある、連続膀胱充填パラダイム(繰り返される充填及び排尿)に依存する、新規の動物モデルを使用して導出された。このモデル、結果、及び行われた実験の神経枝刺激パラダイムは、末梢刺激及びPTN刺激並びにOAB治療の新しい理解を集合的に提供し、且つ初めて、神経枝の選択的刺激が完全なPTN幹刺激に優る臨床的な利点を提供できることを示す。例えば、特定の周波数について、MPN及びLPN両方の刺激は、刺激前のベースラインレベルに比較して膀胱収縮活動において、全体的なPTN神経幹を刺激するよりもより大きい抑制的変化を示す。選択的なPTN神経枝刺激は、より大きい治療効果及びより少ない非応答の患者をもたらすことがある。これらの調査結果及びそこから提供される洞察は、治療の新しいシステム及び方法の設計を支援し、且つ本発明の優位点として役立つ。
ここに提示される実験調査結果の新規性は、これらの結果と他者により報告された結果(例えば、Suら、2013年)との間の相違により部分的に裏付けられてよく、他者の報告では膀胱が一定容量で維持されたのに対し、ここで使用されるモデルは膀胱の連続的な充填及び排尿に依存する。この相違は、現実的なタイプの排尿が動物モデルで提供されない場合には、多様な頻度で評価される刺激の影響は、ここで示される影響とは異なる影響を有することがあるという考えを裏付ける。これらのデータを得るために使用される「連続膀胱充填パラダイム」は、先行技術のモデルに比較して新規であり、膀胱の連続充填は、刺激プロトコルに先行技術で一般に使用されるモデルで発生するものとは異なる影響を生じさせることがある。したがって、図12及び図13~図15に示される刺激に関係する結果は、他者により従前に見出された結果と比較して、特定の刺激プロトコルの臨床的な効能には存在せず、特定の刺激プロトコルの臨床的な効能と対照的であり、特定の刺激プロトコルの臨床的な効能についての異なる結論につながることがある。
図11は、集中して陰部(S2~S4)神経及び後脛骨(L4~S3)神経を形成する脊髄神経根である、刺激標的を示す。2つの外科的に設置されたIPC(10f~10g)は、S3根及びL4根に近接して示される。電気刺激は脊髄の外で発生してよく、又は孔を通って標的にアクセスすること(例えば、仙骨刺激)により神経標的を刺激する(例えば、椎弓切断術に続いて、又は電極の手術による設置若しくは経皮的接地によって)システムを使用して実現されてよい。この例の実施形態では、IPCに近い神経は、患者の皮膚(つまり腰部)表面的IPC場所の上等の、患者の外部の刺激装置によって修飾される。IPCが疼痛の治療のための療法の一部として埋め込まれる場合、次いでIPCは、疼痛に関係する信号を抑制するために、等通信号伝達経路に関連する1つ以上の神経根(又は脊髄自体)の上に又は近くに埋め込まれ得る。IPCが、埋め込まれた神経刺激装置とともに使用するためである神経カフとして埋め込まれる場合、IPCは神経刺激装置110又は神経刺激装置自体の筐体上の電極接点に接続される1つ以上のリード線の多接点電極として実現され得る。
図12は、PTNの直接的な電気刺激が周波数に依存した方法で膀胱機能を調節できることを示す、麻酔されたラットでの実験の結果を示す。このデータを生成するために使用された実験セットアップは、ウレタン麻酔されたラットでの膀胱頂部のカテーテル挿入を伴った。カテーテルは圧力変換器及び生理食塩水で充填されたシリンジに直列で接続される。新規の「連続膀胱充填パラダイム」を実現するために輸液ポンプが次いで使用され、ここで、繰り返される反射性膀胱収縮が生じる(図12、上部トレース)。上部グラフは、5HzでPTNに送達された電気パルスの10分の列を示す。5HzのPTNのこの例では、膀胱収縮頻度におけるわずかではあるが、注目に値する低減を、10分の刺激試験中に視覚的に見ることができる(刺激前ベースラインに比べて「急性の」変化)。これに、PTNS試験の終わりを超えて持続する膀胱の完全な抑制が続く(「長期的な」刺激後抑制)。対照的に、下部グラフは、50Hzで印加されたPTNSの10分の試験に続く膀胱活動の回復を示す。この特定の例は、PTNSの前の弛緩した(受動的に漏れる)膀胱から、このラジオ波(RF)PTNSに続く力強い持続的な膀胱収縮を生じる膀胱への急激な移行を示す。膀胱興奮効果はPTNSの終了後も持続したままである。上部トレースは、膀胱活動を減少させるために治療中に使用できる刺激プロトコルの例を示すが、下部は、刺激プロトコルが膀胱を調節して収縮を増すためにどのようにして使用できるのかを示す。
このモデルでは、PTNは外科的にアクセスされ、バイポーラ刺激神経カフ電極は神経の上に直接的に埋め込まれた。刺激振幅は足のけいれんを引き起こすために必要とされる閾値の6倍に設定された(つまり、この実験セットアップのために作用する最小振幅、又は「6xTm」)。この例では観察されないが、この膀胱の興奮応答は刺激中に通常発生し、引き起こされた活動は10分のパルス列の終了後、刺激後期間中まで続いた。
図13a、図13b、及び図13cは、同じPTN刺激プロトコル及び図12で使用された「連続膀胱充填パラダイム」に従った11の実験の集合からの要約データを示す。PTNについて図13aに、内側足底神経(MPN)について図13bに、及び外側足底神経(LPN)について図13cに示されるように、選択的な神経枝刺激と比較するとはっきり異なる、PTN幹の電気刺激に応える膀胱の明確な周波数依存的調節がある。図13a~図13c及び図14a~図14fは、参照により本明細書に援用される、Kovacevic M及びYoo PB、Reflex neuromodulation of bladder function elicited by posterior tibial nerve stimulation in anesthetized rats、Am J Physiol Renal Physiol. 2015;308(4):F320-9に示されるデータに類似する。
各刺激周波数範囲が固有のPTNSにより引き起こされる応答を示し得ることに留意することが重要である。図13aは、膀胱興奮が50Hz等のよりラジオ波(RF)の周波数での刺激に応えて観察されるのに対し、PTNSが、5Hz~20Hz等の低周波数で膀胱抑制を生じさせたことを示す。5Hz及び20Hzでの刺激はともに急性の(図中「刺激」と名前が付けられた)膀胱抑制及び長期の(「後」と名前が付けられた)膀胱抑制を生じさせ;10Hzの刺激は、より弱い長期抑制を伴う主に急性の膀胱抑制を引き起こし;50Hzの刺激は急性膀胱興奮と長期膀胱興奮の両方を生じさせる。約5~20Hzの範囲内で調節された少なくとも1つの信号を提供する刺激プロトコルを膀胱機能不全のための療法として使用することが活用されてよいが、代替実施形態では、刺激プロトコルはさらに調整される。例えば、刺激中に生じる膀胱活動の調節について見られる急性の結果と、刺激の後に得られる長期の結果が区別されてよい。急性応答は、OABの治療での刺激後応答とまさに同程度に関連してよい。例えば、刺激の持続時間がここで使用される10分を超えて増加される場合、及び/又は周期的に繰り返される若しくは治療中に連続的に提供される場合には、急性応答が治療応答より優位に立つことがある。さらに、システム及び方法が膀胱状態の急性の調節(例えば患者が、膀胱の緊急症状が激しすぎることを示す外部プログラマでボタンを押す等、調節が対応して提供される事象の検出)を提供するために使用される場合には、急性応答は、刺激プロトコルの両方パラメータを決定する上で長期応答よりもより関連性がある場合がある。したがって、これらの結果に基づいて、一部の個人では、PTN刺激のための5Hz又は20Hz範囲のどちらかで少なくとも1つの信号を提供する刺激プロトコルを含むPTNS療法が、特発の過活動膀胱症状を治療するために適していることがある。PTN刺激のために10Hzの範囲の信号を使用する刺激プロトコルは、神経性の膀胱症状(例えば、脊髄損傷、多発性硬化、又は糖尿病)の治療に適しているだろう。より高い刺激周波数に関しては、データは、PTN刺激のための50Hz範囲(例えば、50+/-10Hz)の信号を使用する刺激プロトコルが尿閉(排尿筋活動低下に関係する)、又は腸鬱帯(つまり便秘)を調節するために適しているだろうことを示唆する。50Hzが使用されたが、100Hz(以上)等のより高い周波数範囲も膀胱活動の調節(つまり興奮)を生じさせてよい。
図13bは、MPNが直接神経刺激により活性化された実験(図12及び図13aと同じセットアップ)からの要約データを示す。これらのラット実験では、MPNの選択的な活性化が、5Hz(長期)及び10Hz(急性及び長期)で力強い膀胱抑制を引き起こした。MPNの50Hzの刺激はPTNの場合のような膀胱の興奮応答を引き出すことができなかったが、20Hzの刺激は長期興奮効果を生じさせるように見える。一実施形態では、5~20Hzの範囲から選択される少なくとも1つの周波数を有するMPN刺激プロトコルを使用する方法が、OABを治療するために使用でき、一方、約5~10Hzの範囲に制限することは、刺激が連続的に提供されない場合に好まれてよく、10Hzは、刺激が連続的に発生する場合に好まれてよい。これらのデータは-PTN全体を刺激する代わりに-MPNの低周波数刺激がOAB症状を治療するためによく適していることを示唆する。さらに、20HzのMPN刺激を使用する刺激プロトコルは、尿閉の治療で役立つことがある。20Hzでの興奮応答の一貫性のなさは、少なくとも20Hzで、PTN又は他のPTN枝(例えば、LPN又は踵骨神経)の電気刺激が、MPNよりもこの膀胱興奮反射の良好な仲介のためのより優れた候補であることがあることを示唆する。MPNを刺激するために、単独で又はIPCと併せて刺激を提供するTENS電極等の外部刺激装置は、足の親指に近い領域で、足の内側足底面に沿って、又はPTNがLPN及びMPNに分岐する接合部の近く若しくはそれぞれの脊髄神経根で等の他の適切な場所で、位置付けされてよい。経皮的タイプ、光学タイプ、(超音波)ベースタイプ、又は他のタイプの刺激もまた、適切に構成された刺激装置を使用して提供されてよい。
図13cは、LPNが直接液な神経刺激により活性化された実験(図13a、図3b、及び図14a、図14b、図14cと同じセットアップを使用する)からの要約データを示す。これらのラット実験では、LPNの選択的な活性化は10Hz及び20Hz(急性及び長期的)で力強い膀胱抑制を引き起こし、一方、50Hzの刺激(PTN刺激に類似する、図13a)は急性の及び長期的な興奮効果を生じさせる。このデータは-PTN又はMPN全体を刺激する代わりに-LPNの低周波数刺激(10Hz~20Hz)が過活動膀胱症状を治療するために適しており、一方50HzのMPN刺激が尿閉の治療に役立つことを示唆する。LPNを刺激するために、一実施形態では、表面刺激が、足の側方足底面、足の小指に近い領域、又はPTNがLPN及びMPNに分岐する接合部の近く若しくはそれぞれの脊髄神経根で等の他の適切な場所に沿って送達され得る。
図14a~図14cは、神経刺激の間に生じた急性膀胱抑制の正の応答率(膀胱収縮率(BCR)の10%減少の最小値として定義される)の要約データ(11のラット実験からの)を示す。これは、PTN、MPN、及びLPNの刺激に応えて変化を引き起こした実験のパーセンテージとして表される。総じて、神経刺激がBCRの統計的に有意な低減、図13a、図13b、図13cを生じさせた周波数は、50%~67%の範囲の応答率を生じさせた。興味深いことに、10HzのMPN刺激はあらゆる実験で急性膀胱抑制応答を生じさせ、このことは、この刺激パラメータ設定が、OABを治療するために、及び特にMPNに急に刺激を提供して尿意切迫又は失禁等の急性の膀胱症状を緩和するために、患者の応答率を最大限にするのに使用できるだろうことを示唆する。実施形態では、経皮的刺激は、LPN/MPNの中へのPTNの接合後に内果の下方に針を挿入することによって、MPNに提供できる。追加の実施形態では、このMPN刺激は、PTNの経皮的刺激が効果的ではない場合に提供できる。さらに追加の実施形態では、療法は、PTN刺激のための従来の部位で例えば20Hzで最初に、次に応答しない人のためにMPNで例えば10Hzで提供できる。代わりに、療法は患者の応答の率を改善するために、単一の治療セッションの間にこれらの部位の両方で刺激を提供することを含むことがある。
図14d~図14fは、以下のそれぞれの神経刺激試験の間に生じた長期的な膀胱抑制の正の応答率(BCRの10%減少の最小値として定義される)の要約データ(11のラット実験からの)を示す。これは、PTN、MPN、又はLPNの刺激に応えて変化を引き起こした実験のパーセンテージとして表された。総じて、神経刺激がBCRの統計的に有意な低減を生じさせた周波数(図13d、図13e、図13f)が、75%~82%の範囲の応答率を生じさせた。興味深いことに、10HzのLPN刺激はあらゆる実験で長期的な膀胱抑制応答を生じさせ、このことは、この刺激パラメータ値が、OAB、特に慢性的な過活動膀胱症状を治療するために使用される経皮的療法又は他の療法の長期的な患者応答率を最大限にするためにLPNを刺激する場合に使用できるだろうことを示唆する。
図15は、継続中の膀胱機能に対する伏在神経刺激の影響を立証するサンプルデータを示す。この研究は、我々の「連続膀胱充填パラダイム」を活用した、麻酔されたラットで実行された。電気パルス(パルス幅=0.2ms、周波数=5Hz、振幅=0.3mA)の10分の列が、神経カフ電極を使用して伏在神経に印加された。この単一刺激試験では、反射的な膀胱抑制を示したBRCの注目に値する減少(約25%の減少)が検出された。この実験証拠は、伏在神経刺激が、単一の神経標的として、又はそれぞれが効果的な刺激パラメータに従って電気的に活性化される他の神経基質(例えば、PTN、MPN、LPN、陰部神経)と組み合わせてのどちらかで、OABを治療するための治療標的を提供できるだろうことを示唆する。結果はまた、SAFN標的が、PTN、MPN、及びLPNの部位に使用される振幅の25%である刺激信号を使用して膀胱調節を生じさせ得ることを示唆し、療法を提供する上で特に効果的であることがあり、且つPTN等の他の標的に応答しなかった患者に対して成功することがある、より敏感な膀胱反射を示す。
図12~図15に示される実験結果は、OABの治療のための末梢神経刺激の新規理解を提供する。図13a、図13b、図13cに示されるように、選択的な神経刺激は、例えば、特定の周波数でMPNとLPNの両方が刺激前レベルに比してBCRのより大きい刺激後の低下を示すため、完全なPTN幹刺激に優る治療優位点を提供できる。臨床的に、人間では、選択的神経刺激を使用する療法は、治療刺激のより大きい臨床効果につながり、維持療法間のより大きい時間を可能にすることもあり、且つ応答しない人の数の減少につながることがある。さらに、図13a、図13b、図13cのデータを図14a、図14b、図14cと組み合わせることは、PTN幹刺激に比較される場合に、選択的なMPN刺激療法及びLPN刺激療法が、より大きい生理応答をもたらすだけではなく、より多くの割合の患者のためになることがあることをさらに示唆する。10Hzに対する全体的な急性応答はPTNとMPNの両方について約-40%BRCであったが、選択的なMPN刺激は、PTNが75%未満であったのに対し、11の実験すべての間で100%の応答率を示し、MPNがPTNSよりもより多くの患者数に対し成功する療法、つまり急性療法を提供し得ることを示唆する。同様に、図13d、図13e、図13fのデータを図14d、図14e、図14fのデータと組み合わせることは、10Hzに対する全体的な刺激後(つまり長期的な)応答のグループ平均レベルが、刺激後期間中のMPNとLPNの両方に対して約-30%であったことを示す。しかしながら、MPN刺激と比較される場合、選択的なLPN刺激はBRCの「20%を超える低減」について類似する応答率を示しただけではなく、残りの実験でBRCの最小10%の低減(つまり、総じて100%の応答率)を示した。これは、LPNが、OABの長期的な治療(例えば、刺激が慢性的に発生しないことがある)で少なくとも最小レベルの療法をより広く提供するための優れた標的である場合があることを示唆する。
多数の追加の結論を、図13a、図13b、図13c、図13d、図13e、図13f及び図14a、図14b、図14c、図14d、図14e、図14fの新規データを組み合わせることから引き出すことができる。例えば、データは、PTN刺激を使用する治療プロトコルが、応答者のより低い総割合及びより小さい生理的効果(例えば、10Hzで長期的な)に反映されるように、選択的なLPN又は/及びMPN枝刺激よりも劣った治療効能を提供することがあることを示唆する。第2に、PTN標的、LPN標的、及びMPN標的の少なくとも2つの選択的刺激を組み合わせる刺激プロトコルを使用するOAB治療のシステム及び方法は、単一の部位で刺激プロトコルを使用することよりも改善された(サイズ及び患者数の)結果を生じさせることがあり、係るプロトコルは本発明の実施形態である。第3に、PTN標的、LPN標的、及びMPN標的の少なくとも1つに印加される、少なくとも2つの周波数(例えば交互)の刺激を組み合わせる刺激プロトコルを使用するOAB治療のシステム及び方法は、単一の部位及び単一の刺激周波数を活用する刺激プロトコルを使用することよりも、改善された療法を提供することがあり、係るプロトコルは本発明の実施形態である。さらに、例えば20Hz等の周波数を有するPTN幹の刺激プロトコルを使用する治療は、BRCを減少させるよりもむしろ増加させ(例えば、図13bを参照)且つBRCの正味変化を減少させる信号に寄与する様式で、神経枝(例えばMPN)を同時に調節してよい。対照的に、神経枝の内の1つだけの選択的な神経刺激は、このタイプの意図されない副作用なしに、BRCの所望される減少を生じさせることがある。これらの調査結果、並びにこれらのデータに基づいた他の洞察は、部分的に、本発明の多数の方法及びシステムの革新的で新規の且つ自明ではない基礎としての機能を果たす。これらの結果に関係して、PTNの一般的なUroplastyの治療は、20Hzで調節される0.5~9.0mAの電流レベルの信号を有する経皮的刺激プロトコルを使用することに留意することが興味深い。図13aのデータは、5Hz、及び刺激が継続的に発生する場合おそらく10Hzが、OABの治療でPTN刺激のより大きい効果を提供し得ることを示唆する。
図13a~図13cのデータを評価することは、PTN膀胱活動応答がLPN応答とMPN応答の単純な総計ではない(例えば、PTNでの10Hzの刺激後応答はどちらかの個々の枝について検出されるものよりも小さい)ことを示唆する。これは、少なくとも一部の患者では、選択的な枝刺激が、完全な幹を刺激することよりも優れている(及び/又は完全な幹を刺激することとは異なる結果を提供する)ことがあることを示唆する。追加の選択的なMPN又はLPNの刺激は、固有の治療結果を提供することがある。したがって、特定の標的の調節に十分に応答しない患者が、異なる周波数又は標的神経束に対してより良く応答することがあるということになる。外部刺激装置を使用するクリニックで実行される神経刺激プロトコル、又は埋め込み可能な神経刺激装置によって実行される神経刺激プロトコルは、評価期間中に個人の異なる神経を選択的に最初に刺激でき、次いで治療提供中に成功する部位及び周波数のパラメータで刺激プロトコルを使用できる。
医学的症状及び医学的障害を治療するためにSAFNを電気的に刺激するための実施形態では、IPC10fが内果の近くの神経(図10b)に埋め込まれ、且つ表面電極刺激装置14と電気的に結合される、eTENSの使用を伴うことがある。IPC又は神経刺激装置を外科的に埋め込むための他の可能性がある場所は、(1)膝に近い、(2)大腿上部、(3)骨盤領域、及び(4)脊髄神経(L2~L4)、のレベルでの皮下の場所を含んでよい。表面電極によりこれらの領域で印加される刺激パラメータ(振幅、周波数、デューティーサイクル等)は、経皮的PTN療法に臨床的に使用される刺激パラメータに類似してよい。
膝に近い高さでSAFNを刺激することは、埋め込み可能な治療及び経皮的治療の両方のために踝の近くで刺激することに優る優位点を保持してよい。例えば、一部の患者は踝の近くに、膝まで拡張しない又は膝の近くでひどくならない浮腫を有することがある。さらに、一部の被験者では、SAFNの遠位部分は内果の近くに局所化又はアクセスするのが単に困難である場合がある。踝と比較されると、SAFN枝の中の軸索のサイズ及び数は膝の近くでは著しく多く、より容易な刺激とより大きい治療効果の両方を可能にし得る。埋め込み可能な実施形態に関して、踝部位は膝に近い組織よりもより大きい移動にさらされ、移動のより大きいリスクにつながることが判明することがあり、患者は踝に近い埋め込まれた装置を快適であると感じないことがある。したがって、患者の快適さ、臨床効果、神経を識別し標的にする容易さの検討事項のため、膝の近くのSAFNを治療することは優位点を保持してよい。
膝の高さで又は膝より下の高さで、神経刺激装置又は神経刺激装置のリード線は、膝蓋下枝等の主要なSAFN神経枝、前中央部の下腿を表面的に進むSAFN枝、又は主要な神経から派生し大腿上部及び前中央部脚の皮膚を供給する皮枝のいずれかを刺激するために位置決めできる。膝のすぐ下方の主要なSAFN神経枝は目に見えるが、その多くの小さい枝は皮膚表面を横切って終端する。一実施形態では、SAFN神経は、画像データを使用して、又は候補場所に移動し、皮膚で又は経皮的に刺激し、且つ被験者が自分の下腿又は両方で間隔を感じているかどうかを判断することによって検出される。SAFNは次いで治療を影響するために刺激されてよい。IPC、リード線を有する神経刺激装置、又はその筐体上に接点を有するマイクロニューロスティミュレータ等の埋め込み可能なシステム構成要素を使用する実施形態では、SAFNの主枝は外科的にアクセスでき、関連システム構成要素(複数可)は埋め込むことができる。代わりに、複数のより小さいSAFN枝は、それらが刺激を与える皮膚の近くで刺激されてよい。実施形態では、図50aに見られるような複数の接点を有する電極が、皮膚の下に埋め込まれ、皮膚を刺激する多くのSAFN枝を刺激するために使用される。これらは拡大技術又はソノグラム技術を使用しても目に見えないことがあるため、候補刺激は患者のフィードバックを使用して評価されてよい。埋め込み前に、患者は、1つ以上の候補部位を刺激する経皮的電極によりSAFNの正しい活性化が最初に評価される、評価処置を受けてよい。患者の脚にグリッドが描かれてよく、グリッドの正方形はランドマークとして使用されてよい。適切な応答(例えば、踝に向かって放散する皮膚感覚)を生じた候補部位及び深さは記録できる。次のステップで、外科医は次いで1つ以上の電極又はIPCを1つ以上の選択されたSAFN刺激部位に埋め込む。その間に患者が回復する間隔の後に、1つ以上の刺激プロトコルを次いで評価できる。例えば、複数の接点を有する電極が使用される場合、電極の異なる組合せが、どの電極が皮膚感覚を引き起こす等の基準を満たすのかを判断するために評価されてよい。1つの電極接点が次いで刺激治療を提供するために選択され、第2の電極接点も選択され、又は埋め込まれた神経刺激装置の一部分が第2の電極としての機能を果たすことがある。治療中、刺激は次いで提供され、振幅は、感覚が脚の下部で患者によって感じられるまで増加してよい。以後の治療中に使用される振幅は、患者の快適さ及び、日々の尿意頻数及び/又は治療に続く尿失禁エピソード等の測定に関するベースラインの変化等の療法に対する前の応答等の、感覚に依存する要因を生じさせた振幅より大きく、振幅と等しい、又は振幅未満であるように調整されてよい。この処置は、内果部位で治療を提供するための評価及び埋め込みのために使用されてもよい。
神経刺激装置及びその電極の適切な設置は、次いで皮膚端末ではなくより大きいSAFN神経枝が神経標的である場合に、上述された方法に加えて又は上述された方法の代わりに、多様な局所化方法を使用して行うことができる。実施形態では、刺激装置がどこに埋め込まれるべきかを決定することは、蛍光透視法、x線、及び/又は超音波検査法を使用することである。刺激装置は、標準的な手術技法を使用して埋め込むことができ、又は標的部位に小型神経刺激装置を送達するように設計された、カスタマイズされたカテーテル等のツールで支援されることもある。設置の決定はまた、患者の関連する領域のMRIデータ又は3Dモデルによって支援されてもよく、埋め込みは、定位固定フレームベースの方法によって誘導され、又は埋め込みが誘導カテーテル若しくは拡大針を介して経皮的にではなく外科的に発生する場合は外科医によって単に視覚的に誘導されてよい。
実施形態では、SAFN刺激は、膝の近くに設置された第1の表面TENS電極、及び例えば、脛骨の内側顆の指3本幅下方に設置される戻り電極を使用して経皮で提供できる。少なくとも4cm×8cmである相対的に大きいTENS電極は、不快感を最小限に抑える、及び/又は皮膚表面(下腿の内側面)上に終端するSAFN線維の数を増加させるために使用されてよい。刺激振幅は次いで、感覚が表面電極の場所で及び下腿を下がって感じられるまで、例えば最高で40mAまで、評価閾値に増加される。これが発生しない場合には、TENS電極は別の場所に移動され、動作は繰り返される。脚の感覚が得られる場合、次いで治療刺激が、例えば30~60分の間隔で発生することがある。実施形態では、SAFNは、より頻繁ではない維持訪問若しくは治療応答改善を可能にする等の優位点を生じさせるために、経皮的に行われる臨床治療と組み合わせて、毎日、又はより頻繁にではなく患者による自宅での補足治療として提供される。さらに、Yoo博士の実験室からのまさに開示された最近のデータに類似するTENSセットアップを使用することは、15人の被験者中14人がうずきの皮膚感覚を検出できたことを示唆し、被験者に疼痛を引き起こすだろう刺激のレベルの前にSAFTが外部刺激装置によってうまく刺激されたことを示す。さらに、この感覚を検出しなかった1一人の被験者では、tens電極を移動し再び試すことが、肯定的な結果を生じさせた可能性がある。これらの結果は、約10mAと50mAとの間の振幅を使用する、膝と踝との間、及び好ましくは膝のより近くでのSAFNのTENSベースの刺激を裏付ける。追加の治療利点は、これを両側で提供することにより得られてよい。
IPC、埋め込み可能な電極、及び/又はパルス発生器装置を埋め込むための候補場所は、(1)踝、(2)膝又は膝の下、(3)大腿上部、(4)骨盤領域、及び(5)脊髄神経(L2~L4)、のレベルでの皮下場所を含んでよい。電極刺激装置は、例えば、単一切端又は多接点の(1)リード線タイプの電極(2)カフタイプの電極、(3)ヘリカル状又は螺旋形タイプの神経電極、(4)注入可能なシリンダ若しくはペレットタイプの電極、又は(5)ワイヤタイプの電極であってよい。電極刺激装置は、埋め込まれたパルス発生器、外部電源、TMSソース、音源、又は光源(例えばレーザー)又はエネルギーを提供する他のモダリティから刺激信号を受信してよい。
実施形態では、膀胱活動を調節するために神経標的を調節するための神経修飾システムは、a)二次コイルを含む受信機、磁気エネルギーを電気エネルギーに変換するための回路網、任意選択で電力貯蔵、パルス発生回路網、安全回路網、及びL2、L3、及びL4のグループから選択される患者の少なくとも1つの脊髄神経根標的を刺激できる少なくとも1つの電極接点を有する少なくとも1つの刺激装置を有する埋め込み可能な能動部品、b)電源、磁気信号を発するための回路網、上記磁気信号を制御するための少なくとも2つの所定のプログラム、及び刺激装置としての機能を果たす一次コイルを含む外部神経刺激装置、c)外部神経刺激装置の一時コイル、及び誘導結合により接続を形成できる上記の埋め込み可能な能動部品の二次コイル、を含み、それにより上記外部刺激装置は、減少した膀胱活動を生じさせるために患者の中で示される刺激周波数及び振幅を使用して埋め込み可能な構成要素によって提供される上記の少なくとも1つの脊髄神経根標的の刺激を制御できる。外部刺激装置は、患者の入力を受信し刺激療法を制御するためのプロセッサで構成される、外部装置(EXD)の一部として実現でき、入力は、埋め込まれた能動部品により提供される療法を患者が手動で開始、停止、及び調整できるようにする。EXDは、選択的に操作されてよい少なくとも2つの所定の刺激プロトコルを有するプロトコル選択機構をさらに具備することがあり、第1の刺激プロトコルは、刺激停止後に発生する膀胱活動の長期の刺激後調節に関係する信号を使用し、第2の刺激プロトコルは、刺激中の膀胱活動の相対的に急性の調節を生じさせる信号を使用する。
図16は、標的神経組織に電気パルスを印加するための刺激プロトコルのサンプル実施形態を示す。これらのプロトコルの優位点は、反射膀胱抑制が刺激周波数の関数として変わることがあることを立証した実験データ(例えば、図13~図14)によって裏付けられる。一実施形態では、方法は、患者応答成功率を増加させる優位点を提供するために、成功した患者結果(例えば、その患者又は類似する患者母集団での以前の成功)と関連付けられるなんらかの処理基準を以前に満たした、複数の刺激周波数を活用してよい。神経組織を活性化する「ハイブリッド周波数」刺激方法はケースI及びケースIIに示され、ここで刺激信号の電気パルスは、例えば、波形形状で方形、正弦、又は矩形であることがあり、単相式又は二相式で印加できる。一実施形態では、OAB治療のための刺激プロトコルは、5及び10HzでPTN刺激、5及び10HzでMPN刺激、並びに/又は10及び20HzでLPN刺激を提供する等の、標的部位で2つの周波数を交互に入れ替えることを必要とする。2つ以上の部位は特定の時間に刺激されてよく、又は好ましくは部位は交互に入れ替えることができる。1つの例の刺激プロトコルは、異なる速度(A=5Hz、B=10Hz、及びC=20Hz)並びに2つの異なるパルス列持続時間(例えば、X=1分及びY=6分)で調節される3つの異なる刺激信号を含むことがある。2つの刺激信号(例えばA及びB)はともにX(例えば、ケースI)の持続時間の間発生することがある、又は、異なっている、2つの(又はそれより多い)刺激信号(例えばB及びC)は、Xの持続時間及び他方は持続時間Y(例えば、ケースII)で発生することがある交互の様式で発生することがある。例えば、臨床的に有用な刺激プロトコルは、YがXよりも長くされることがある第2の刺激パターン(C)よりも良好に第1の刺激パターン(B)に患者が耐えることができる場合に使用されてよい。さらに患者の快適さを増すために、その間に刺激が発生しない休止持続時間が、任意の刺激シーケンスの1つ以上の時間間隔の中に挿入できる。快適さに加えて、別の問題は有効性である。例えば、第1の刺激信号(パラメータの第1の刺激信号集合により定義される)は、所望される影響が発生する前に第2のプロトコルによって提供される信号よりも長い間隔で提供される必要がある場合がある。総持続時間に加えて、パルス幅、立ち上がり時間、波形、電流レベル及び電圧レベル等の刺激信号の他の値は、主観的な忍耐、刺激部位、神経標的、治療に対する急性応答、経時的な治療に対する応答等の要因のために、又は患者の排尿日誌記録若しくはクォリティオブライフ調査、埋め込まれた装置によって提供される刺激を制御又は調整することに関係する患者入力データ、又は医師によって若しくは治療システムにより実行されるアルゴリズムによって評価されるセンサから検知されるデータ等の患者データのために調整されてよい。
PTN刺激又はMpN刺激を改善する別の例示的な方法(ケースI)では、刺激プロトコルは、5Hz及び10Hzの刺激信号パルスの1分の列が単一の臨床治療セッションを通して送達される、刺激の交互的パターンから構成される。治療セッション中の総刺激時間は30~60分の範囲であってよい。第2の実施形態(ケースII)では、刺激プロトコルは、10Hzを1分間及び20Hzを6分間の交互的パルス列で刺激信号パターンを定義する刺激パラメータを有するプロトコルでLPNを刺激することによって発生する。これらの2つの例の刺激プロトコルは、療法の利点を増加させるために単一の刺激信号を使用するよりもより優れた患者応答を助長してよい。
これらの刺激パラダイムは、IPC、経皮的神経刺激、超音波刺激信号及びレーザーベースの刺激信号と共に、又はなしに、TENS又はTMSを使用して、及び完全に若しくは部分的に外部の若しくは埋め込まれた神経刺激装置によって送達されてよい。実施形態では、埋め込まれた構成要素は多接点神経カフ電極、多接点リードタイプアレイ、又は多接点パドル型電極の構成から成ってよい。
利点を提供するために設計される2つの刺激パラメータセットの間の交互の刺激プロトコルの使用は、他の障害の臨床治療にも適用できる。例えば、治療は、迷走神経刺激、脳深部刺激、脊髄電気刺激法等を含んでよい。2つ以上の交互刺激パラメータは、改善された治療を提供するために、個々の患者ごとに調整できる。調整は、治療が提供される前(後、若しくは間)に発生する較正若しくは試験/評価処置を使用して引き出された、且つ各治療セッションが発生する前に実施されてよい、刺激パラメータを使用して行われてよい。
別の実施形態(ケースIII)では、電気刺激は、(1)PTN、(2)MPN、(3)LPN、(4)踵骨神経、及び/又は(5)SAFN、等の標的を最もよく活性化する1つ以上の皮膚表面に印加される、正弦波形であってよい。これらの領域は、下腿、下腿の内側後面、足の後面、足の無毛表面の内側面、及び足の無毛表面の外側面を含んでよい。正弦信号の周波数は、例えば、2000Hz、250Hz、及び5Hzに同調されてよい。Kogaら(Kogaら、Molecular Pain、2005年)によると、これらの周波数は、それぞれAβ、Aδ、及び無髄C線維を活性化するために好ましく選択できる。これは、OABのための療法を送達するためにTENS/eTENSを使用する代替実施形態を示唆し、ここで、例えば2kHzの信号を使用して、特に表面的なSAFN標的の場合に、膀胱抑制応答を調節するために線維を優先的に刺激してよい。
刺激プロトコルはまた、皮膚表面近くに位置する標的神経に対し、2つ以上の刺激装置によって提供されてよい干渉刺激信号等の刺激信号を使用してもよい。実施形態では、刺激プロトコルは、SAFN等の標的神経で加重を提供するために刺激装置の幾何学形状に対して、プロセッサの制御下で採用される。さらに、刺激信号の周波数又は他の特性は、チャープ周波数調節刺激で発生する等、経時的に変わってよい。
別の実施形態(ケースIV)では、パルスタイプ及び正弦波形の両方が、複数の神経標的を選択的に標的にするために組み合わされてよい。単一の表面刺激装置14が下腿の内側後面(例えばPTNの場合、内果と踝の間、及びSAFNの場合、踝の前方等)に設置され、且つIPCがPTN10eの上に埋め込まれた状態で、正弦波形及びパルスタイプ波形の交互の刺激パターンが印加される。電気パルスがPTNを標的にするために5Hzで印加されるのに対し、正弦波形はSAFNの中の標的Aδ型線維/受容体に250Hzの周波数で印加されてよい。各標的に印加される各波形(正弦及びパルスタイプ)の持続時間は、それぞれ、5分と1分、ともに1分、又は1分と5分等、同じである又は異なってよい。
図17は、PTN幹の上に設置されたIPC10e及びIPC10eに表面的に設置された表面電極14の組合せを含むeTENSシステムを使用する治療方法を含む、過活動膀胱又は尿閉(つまり排尿筋活動低下)の治療のための本発明の実施形態を示す。IPCがPTN上に設置された患者のeTENS刺激は、これが適切な両方を提供する可能性があることを評価48が示す場合に、選択されてよい。評価48は、これが患者を治療する上で効果的であるのか及び/又は所望される結果を生じさせるのかを判断するためにPTNの経皮的刺激を使用することを含んでよく、数週間又は数カ月の治療セッションにわたって発生することがある。PTN神経幹の刺激が評価の結果として不適切(例えば、不快なPTNSにより引き起こされる感覚又は患者による満足の行かない治療応答)と見なされる場合には、代替刺激プロトコルはステップ48を繰り返すことによって評価できる。例えば、SAFN、MPN、又はLPNの少なくとも1つの刺激が評価でき、これらのいずれかが十分な治療上の利益を提供する場合にIPCをSANF、MPN、又はLPNのいずれかの近くに埋め込むことができる。図12~図14fは、PTNを使用する刺激プロトコルがLPN又はMPNの刺激よりもより良い又はより悪い治療結果を生じさせることがあり、且つさらに、これらの神経枝標的が、PTN幹刺激に応答しなかった患者で成功する可能性があることを裏付けるデータを示す。SAFN、LPN、若しくはMPNの評価は経皮的刺激プロトコル若しくはTENSプロトコル(少なくとも1つのIPCのある若しくはない)を使用して発生することがあり、又は評価48の間に神経を刺激するために光、音、圧力、又は他のモダリティを使用してよい。評価はまた、刺激が発生する間の急性応答、又は刺激後の数分、数時間、数日、又は数週間に発生することがある刺激後応答を含んでもよい。評価は、絶対的に、又は被験者の治療前のベースライン等の異なる期間に比して、又は年齢及び性別が適合した母集団の基準データと比較して、測定(例えば膀胱活動)の評価を伴ってよい。評価プロトコルは、排尿日誌の使用、膀胱収縮の評価、及び他の患者データを含むことがある。評価は、患者の膀胱を充填すること(例えば経尿道カテーテルを使用して)、次いで刺激が提供されている間の基準を格付けするよう患者に依頼することを含むことがある。例えば、患者が1(最も快適)~10(最も快適ではない)の膀胱の快適さを格付けする、視覚的なアナログスケールが使用でき、又は長期の排尿日誌が評価されてよい。評価プロトコルはまた、ステップ38のように治療プロトコルの評価中にも使用できる。評価38、48、又は治療36の間、選択されたSAFN神経枝又はPTN神経枝の刺激のための少なくとも1つの表面刺激装置14の設置は、足の足底面(及び/又はつま先、側方表面、又は足の背面等の他の適切な場所)を含むだろう。評価はまた、本明細書に説明される任意の外部センサ又は内部センサによって検出される任意のデータのアルゴリズム評価(例えば神経刺激装置のプロセッサの制御下で)又は手動評価も含んでよい。
この評価38、48の結果のため(又は係る評価なしで)、改善された治療効果は、本明細書に示される新規データにより裏付けられるように、MPN、LPN、PTN、及び陰部神経(例えば背側生殖器)線維を含むグループから選択される標的の同時活性化(同じ時間又は異なる時間でのどちらか)を含む刺激プロトコルを使用し、提供されてよい。関係する実施形態では、追加刺激はIPCなしで、又は背側(陰核又は陰茎の)神経若しくは対応する脊髄神経根(例えばS3)に近接して位置するIPCを有して発生してよい。別の治療目標は、伏在神経の電気活性化を含む。これは経皮的刺激、TENSによって、又はIPC14が主要なSAFN神経枝の上又は皮膚表面の直下に埋め込まれTENS電極14に結合される、又は埋め込み可能な神経刺激装置から刺激信号を受信する、システムの一部として直接的に刺激できる。この反射経路のための裏付け生理学的データは、図15に示される。追加の実施形態では、PTN、PTN枝及び/又はSAFNの特定の組合せは、各神経標的に個々のIPCを外科的に設置すること、及び標的に特有な刺激パラメータを使用して各神経を選択的に活性化することによって実行されてよい。これらの療法実施形態のいくつかでは、少なくとも1つの埋め込み可能なパルス発生装置が、単独で又はパルス発生装置の療法を改善してよい改良型電気刺激(つまりeTES)の方法及びシステムと組み合わせて、使用されてよい。
追加の実施形態では、図1a及び図1cのモデルは、評価48の間、少なくとも1つの刺激装置及びIPCの物理的寸法、及びおおよその3次元の位置等の特性並びに刺激プロトコルを選択するために使用される。係る方法の例は図17に示され、ここで少なくとも1つの刺激装置がIPC32との使用のために選択されセットアップされ、次いで刺激を提供して患者8の組織を調節するために使用される。刺激は、ステップ34で選択される刺激プロトコルに従って発生する。刺激プロトコルは、膀胱活動を調節するために神経標的に印加される少なくとも1つの刺激信号を作成するために使用される刺激パラメータを定義してよい。ステップ34で定義、調整、又は選択される刺激プロトコルのパラメータは、刺激信号に関係する任意の特性を含んでよい。特性は、電圧、電流、刺激の持続時間、周波数、デューティーサイクル、バーストパターン、バーストパルス列又は非バーストパルス列、刺激パルス又は波形の形状、パルス幅、パルス形状、パルス振幅、極性、及び開示されている多様な波形タイプに関係する他のパラメータのグループから選択されてよい。用語、刺激周波数は、反復率であると理解されてもよい。刺激周波数は、電気パルスが神経に送達される「平均速度」を示してもよい。一定のパルス間間隔(例えば、20Hz=50msパルス間間隔)を有するパルスを印加することに加えて、電気パルスは、バーストで又は記述される「刺激周波数」に近づく変化するデューティーサイクルで印加されてよい。多様な他のパラメータが刺激信号のために設定でき、これらは刺激周波数を調整することを開示する任意のステップで調整されてよい。さらに、刺激の複数の周波数が同時に、連続して、又は異なる時間で提供される、刺激プロトコルが使用できる(例えば図16)。刺激プロトコルは、当日の回数、事前にプログラムされた回数に従って、患者又は医師の好みに従って、患者の症状、検知された患者データに従って応答可能なように、又は別のように提供されてもよい。好ましい実施形態では、刺激は、膀胱活動を減少させること又はOABに関係する状態を治療することである、所望される効果を生じることを意図される。一実施形態では、刺激プロトコルは、患者が十分な治療上の利益を受けるまで、最初は頻発的に、又は頻繁に(例えば、1時間オン、1時間オフ)刺激を発生させることがある。ステップ34で、プロトコルは次いで、副作用若しくは神経刺激装置システムのエネルギー使用を減少させるために(例えば電池寿命を増加させるために)、刺激が発生する持続時間を減少させること(例えば、1時間オン、2時間オフ)、又は波形の振幅を第1のレベルから第2のレベルに減少させることにより治療を低減するために、例えば治療スケジュールに従って、調整できる。
本発明の別の実施形態では、少なくとも1つの選択された刺激装置14は、排尿筋活動低下(例えば尿閉)に関係する状態の治療を所望する患者における膀胱活動を増強するために、PTN又はLPN等の神経標的に刺激波形を提供するために使用される。好ましい実施形態では、刺激は、持続的に膀胱圧を増加させることである、所望される効果を生じることが意図される。これは、その患者においてその効果を生じさせるために示されている周波数である、又はほぼ50Hz以上の範囲(例えば40~200Hz)でのラジオ波(RF)刺激等の、可能性のある候補であるように選択されてよい。システム及び方法は、療法を強化するためにIPCを埋め込んで、又は埋め込まないでのどちらかで皮膚電極を使用して経皮的に、又は別の方法で達成できる。IPCが患者8で使用される場合、これはステップ30で発生することがある。刺激装置は、完全に外部の埋め込まれたシステム又は部分的に埋め込まれたシステムの一部として、ステップ32で選択されてよい。ステップ32は、完全に埋め込み可能な刺激装置及び刺激装置の埋め込みを含むことがある。ステップ32で、システムは、直接的に又はIPCを経由してのどちらかで神経に磁気刺激を提供する少なくとも1つのコイルである、刺激装置を選択することによって実現されてもよい。別の実施形態では、埋め込まれた刺激装置は、外部刺激装置によって提供される磁場又はRF場を電場に変換することがある。ステップ30で、IPCは、使用される刺激装置に従って選択されてよい。刺激は、他の療法(例えば薬物)と組み合わせて、又はスクリーニング試験処置の一部として、治療、治療の誘導、治療維持のために提供できる。図17のステップの少なくとも一部分は、分離して実行される継続中の治療プロトコルよりむしろ、誘導、維持、又はスクリーニングプロトコルを実施するために使用されてよい。例えば、治療プロトコルは、周期的な経皮的治療と併せて、維持プロトコルとして行うことができる(図22bの一実施形態のように)。
母集団の異なる部分は、他より良好に特定の刺激パラメータ(例えば刺激周波数)に応答するであろう。患者にとっての正しい刺激周波数は、例えば、図17に示されるように、第1のプロトコル(ステップ34で選択される候補プロトコル)で開始する方法を使用し、導出されてよい。選択された第1のプロトコル34は、5Hz等の初期周波数を使用できる。方法の次のステップで、その周波数は治療プロトコル36に従って刺激するために使用される。結果は次いで、選択された時間間隔について評価できる38。治療プロトコル38を評価するステップは、刺激が発生する前、刺激が発生する間、及び/又は刺激が発生した後からのデータを比較又は処理することを含むことがあり、単一の評価期間又は、例えば、数分、数時間、数週間、若しくは数カ月に及ぶことがある複数の評価期間を含むことがある。処理されたデータの評価は、医師、患者、又は医師プログラマ等のシステムの装置によって行うことができる70。評価は、プロセッサにより処理し検知されたデータを評価するためのアルゴリズムを使用して達成される等、客観的であってよく、又は患者により提供される主観的なパラメータを活用してよい。ステップ38での治療評価のために収集されるデータは、患者がコンピュータ(プロセッサ、並びに従来のコンピュータ回路網及び容量を有する)、スマートフォン等のシステムデバイスの中にデータを入力すること、若しくは日誌/ログを付けることを要求する、又は任意の他のデータ収集方法による、デバイスメモリ中の検知データの記憶を含むことがある。次のステップは、刺激プロトコルパラメータを調整すること44、再び刺激すること36、且つ治療試験結果を得るために治療のN回の評価を実行することのN回の反復を含むことがある。治療試験結果は、評価中に収集される評価データについて計算できる。例えば、少なくとも2つの治療プロトコルを使用する刺激(ステップ44で調整されるように)の結果が比較される。少なくとも1つの治療プロトコルが肯定的な治療結果(治療基準を満たす結果)を生じた場合、次いで肯定的な治療結果活動が発生することがある40。刺激プロトコルパラメータの調整は、評価が異なる候補刺激周波数、及び/又はPTN、LPN、MPN、及びSAFN(皮膚を刺激する末梢枝を含む)等の候補刺激標的に関係するように、異なる刺激信号を繰り返し選択することを含むことがある。
1つの肯定的な治療結果活動は、患者の状態の最良の改善を生じた刺激プロトコルが、以後の治療のために選択でき34、以後の治療中に適用できる36ことである。以後の治療は、ステップ32~36だけを含んでよく、又は定期的に治療プロトコルは、治療が効果的なままであることを保証するために再び評価できる38。否定的な治療結果の場合には、否定的な治療結果活動が発生することがある42。係る活動は、治療プロトコルを変更し44、刺激プロトコルを繰り返す36ことである。代わりに、否定的な治療結果は、例えばIPCの外植及び/若しくは別の場所でのIPCの埋め込み、又は異なる特性を有するIPCを埋め込むこと、IPCの再配置、追加の刺激部位を追加することにより結果を改善しようとするための別のIPCの埋め込み、又は他の外科的な調整若しくは治療調整を含むことがある。患者の人口統計(年齢及び性別)、症状、並びに他の患者データも、治療効果を生じる上での特定の刺激プロトコルパラメータ(例えば、刺激周波数範囲)の成功に影響を与えることがあり、少なくとも1つの候補プロトコルを選択する34ために、システム及び方法によって使用されてよい。治療のために使用される刺激パラメータ、又は少なくとも1つの臨床的に効果的な刺激パラメータを決定するために使用される試験プロトコルは、患者データ、患者人口統計、症状、又は他の患者若しくは病気の特性に従って選択され、調整できる34。図17の方法は、AOB治療、又は治療が求められることがある任意の他の状態若しくは障害に適用できる(例えば、頭痛の治療のための迷走神経刺激)。
調節パラメータの設定34及び以後の保守又は調整は、多くの有線神経刺激実施形態で使用される方法と同様に、並びに本明細書で及び本明細書で引用される先行技術で開示される関係する方法に従って発生することがある。例えば、いくつかの実施形態では、神経刺激システムで使用される装置のプロセッサ58は、患者で測定又は観察される所望される応答を生じさせる調節信号パラメータを選択するために、反復プロセスを利用してよい。調節信号が生成されるべきであると判断すると、プロセッサ58は治療計画の所定のパラメータ値の集合に基づいて、初期調節制御信号の生成を引き起こしてよい。検知モジュール又は処理モジュールでのフィードバック回路からのフィードバックが、計算された基準が神経が適切に調節されたことを反映することを示す場合(例えば、測定された活動と刺激信号との間の相関基準を使用し、結合度の増加が観察される、又は非刺激状態と刺激状態との間の変化が肯定的な結果40に関係する閾値レベル基準を超える場合)、次いでプロセッサ58は同様に動作するか結果動作の成功に従って動作する。他方で、「フィードバック信号」の評価38が、提供された調節信号の結果として意図された神経調節が発生しなかった42こと、又は神経の調節は発生したが所望される結果を部分的にしか提供しなかった(例えば、無呼吸又は呼吸を治療するために使用される方法での不必要な閉塞を可能にしつつも、患者の気道から部分的にしか離れていない患者の舌の動き)ことを示唆する場合、次いでプロセッサ58は、調節制御信号と関連付けられた1つ以上のパラメータ値(例えば、振幅、パルス持続時間等)を変更してよい44。この方法のステップは、開ループ若しくは閉ループ的に(例えば、検知されたデータを入力として使用する制御法則の誘導下で)、又は2つの混合で発生することがあり、1つ以上の制御法則を活用してもよい。
組織調節が所望される結果を生じなかった場合、プロセッサ58は、定期的に又はそうでなければ「フィードバック信号」若しくは計算された基準が調節の成功が起こったことを示すまで調節信号の1つ以上のパラメータを調節する等、プロトコル44を変更してよい。さらに、組織調節が発生したが、これが所望された結果を生じなかった場合、プロセッサ58は、異なる結果を提供しようとするために治療計画に定義されている少なくとも1つの他の刺激パラダイムを試してよい。異なる結果が生じない場合、次いで治療計画を実行するために動作する神経刺激システムの装置は、この結果に対してアラート警告信号を患者又は医師に提供する、又はこの結果をそのメモリに少なくとも記憶するように構成されてよい。一実施形態では、このアラートは、患者が、刺激装置とIPCとの間の対形成の適合性を確証するために外部刺激装置を異なる場所に移動すべきであることを示すことがある。これは、内部システム構成要素と外部システム構成要素との間の十分な結合度があることを保証するために役立つことがある。新規に決定された結合度に基づいて、プロセッサ58又は患者は、以後使用される刺激信号のために新しいパラメータを選択できる。
評価ルーチン(例えば、ステップ36、38、44、及び/又は48)である、1つの動作モードでは、プロセッサ58は、所望される神経調節が達成されるまでパラメータ値の範囲で掃引するように構成されてよい。例えば、調節信号の刺激振幅は、より長期間の刺激療法の間に使用されるであろう点よりも高い点まで増加してよい。これは、患者、又は患者からデータを検知するセンサが、標的神経の刺激が患者で所望される変化を生じさせることができることを示す、又は神経刺激システムの外部構成要素及び内部構成要素が正しく配列されていることを示す等の、治療効果を示す効果を容易に測定できるようにしてよい。評価ルーチンが、正しい刺激装置及びIPCの配列等の、うまくいくシステム構成を確認した後、患者は次いで通常のレベル、低減したレベルの調節信号を使用して療法を開始できる。代わりに、結果が調節の標的レベルが発生したことを示さない場合、次いでシステムは再構成されてよく、例えば、外部装置の刺激装置が移動され評価が繰り返されてよい。評価ルーチンは、複数の日等の長時間にわたって発生することがあり、一時的なリード線又はIPC等の一時的なシステム構成要素を活用できる。
図10及び図11に示される神経標的、又は治療中に刺激される他の標的に提供される刺激は、神経に又は神経+意図された神経標的(複数可)の上に、回りに、若しくは近くに外科的に設置されるIPCに経皮電気パルスを提供するために皮膚電極を使用するために構成されたシステムを使用して発生してよい。刺激はまた、例えば、経皮的電極刺激装置、皮膚電極、埋め込まれた電極、磁気手段又はRF手段により動力を供給される埋め込まれた刺激装置、電気的手段により動力を供給される埋め込まれた電極、並びに埋め込み可能なパルス発生器により動力を供給される埋め込まれた電極の1つ以上を使用して、電気パルスを送達するように設計されたシステム及び方法によって提供されてもよい。さらに、神経は、電気的手段、磁気的手段、及び/又は化学的手段によって調節されてよい(例えば、ステップ40の一部として)。薬物は、治療の一部として治療中の電気的な神経調節の前に、間に、又は後に注射によって、経口で、又はそれ以外で提供されてよい。神経活動は、外科的手段、圧力手段、光学(例えばレーザー刺激)手段、(超)音波手段、遺伝学的手段、又は療法中に神経活動に影響を与える他の手段によって調節されてもよい。刺激は、慢性的に、急に、周期的に、又は医師、患者、又は検知能力を有する装置によって応答可能なように提供できる。例えば、刺激は毎日15分間提供でき、又は埋め込まれたセンサ又は患者の外部のセンサによって検知される膀胱圧に応えて提供されてよい。患者のニーズに応える刺激が提供できる。例えば、患者は埋め込み可能な装置と通信するために外部装置を使用し、例えば患者がトイレにいる間に排尿を発生させる(膀胱興奮を生じさせる神経調節の提供に起因して)ために、昼食を食べた後40分で開始する所与の持続時間の間、又はボタンの押下に応じて刺激を提供するために埋め込み可能な装置を動作させてよい。
過活動膀胱及び関係する障害のための療法は、神経刺激装置のプロセッサに通信されるEXD72上でのボタン押下等のユーザ入力に応えて提供できる36、又は患者からの検知されたデータに応えて、検知された圧力、流れ、動き、位置、若しくは他のデータに応えて、又は前回の排尿以来の時間等のクロック時間又は時間間隔等の時間データに応えて埋め込まれた刺激装置によって検出されてよい。OABは、患者が眠っているときに特に問題である場合があり、したがって療法はその時間中に送達できる。眠っている患者に療法を提供することは、患者が、不必要なうずき等の副作用をより少なく経験することを可能にしてよい。療法プロトコルは、患者の入力(患者が就寝しようとするときに提供される)に応えて開始する刺激プロトコルをトリガしてよく、刺激が睡眠開始後1時間で開始し、3時間等の持続時間中継続することを命令してよい。睡眠の発生はまた、例えば患者が横になっており動いていないことを示す、時間データ(例えば、午前12時)、検知されたデータ、運動データ等の評価に応えて検出されてもよい。
陰部神経同時活性化を使用する失禁関係障害の治療
麻酔されたラットでのいくつかの研究は、PTN刺激中の反射膀胱抑制だけを実証し一方で興奮効果を示すことができなかった(例えば、Suら、Am J Physiol Ren Physiol 2012年、Suら、NAU2013年)。これらの以前の研究は、10HzのPTNSだけがラットでの膀胱を抑制することに効果的であったことを発見した。この先行技術の実験セットアップと、本明細書に開示される結果を引き出すために使用される実験セットアップとの相違点は、連続的な尿力学膀胱充填(「連続膀胱充填」)の提供である。先行技術の研究は、膀胱収縮中に尿道を通る流体の流れがない、等容性膀胱モデルを使用した。対照的に、図13~図15及び他の場所のデータを生成するために使用された連続充填モデルは、PTN及び陰部神経(尿道)求心性神経の両方が同時に活性化される場合、これらの予期せぬ膀胱反射(抑制性及び興奮性の両方)が生じる、又は明らかになることを示す。2つの神経の同時刺激を使用する治療のための候補刺激パラメータを引き出すためにこのモデルを使用する方法は、本発明の態様である。
膀胱機能に対するPTN(Suら、Am J Physiol Ren Physiol、2012年、Suら、NAU2013年)及び陰部神経(Pengら、Am J Physiol Reg Int及びComp Physiol、2008年)求心性神経の影響は個別に示されているが、先行技術のモデルは組み合わされた活性化を提供しないので、両方の経路を活性化することの組み合わされた影響は以前に立証されていない。1つの神経だけを使用する、刺激の影響、及び特定の周波数での刺激は、他の神経も活性化される場合とは異なることがあるため、結合された活性化は、複数の反射経路の単なる総計を超える可能性がある。ここで開示される新規モデルは、類似するデータを生じる他の先行技術のモデルの成功の欠如と組み合わされて、開示される発明のいくつかの実施形態の基礎としての役割を果たすこの関係性の発見を可能にした。同時刺激は、これが第2の部位(例えば、PTN又はMPN又はLPN)の刺激の同時活性化とともに発生する場合に、第1の刺激部位(例えば、陰部神経、仙骨神経、及び/又は骨盤神経)によって膀胱が調節されるモデルで、臨床的に効果的な刺激を生じさせることが示されている。さらに、第1の部位による膀胱の調節を取り除くことによって、第2の部位での刺激は、刺激に応える膀胱調節を生じさせる、又は少なくとも立証する、はるかに効果的でなくなることがある。これらの調査結果は、泌尿器系障害を患う患者でSAFN、PTN、LPN、及び/又はMPN並びに陰部神経の求心性神経を同時活性化することによって膀胱機能を調節する新規手法を支援する。したがって、図17に示される方法の一実施形態では、ステップ30~36の少なくとも1つが、陰部(又は仙骨又は骨盤)神経、及びPTN、PTN神経枝、又はSAFN(又は枝)の少なくとも1つの両方がともに刺激されるように採用できる。これらの2つの標的を刺激するように構成された刺激装置に刺激信号を提供するように構成される、少なくとも1つの神経刺激装置の刺激プロトコルは、例えば、同時に又は散発的に、同時活性化を提供するように構成されてよい。さらに、組合せは、PTN、SAFNに関係する神経根脊髄部位の刺激を含んでよく、又はそれらの枝が代用物として機能してよい。
図10a~図10bに示される一実施形態では、電極又はIPCは、足の領域の神経上の、標的部位の回りで又は標的部位に近接して並びに1)陰部神経、尿道感覚神経又は背側生殖器神経、2)PTN、及び3)SAFN、の上又は近く、に埋め込まれる。実施形態では、最大で3つの独立した刺激源が、これらの標的神経に電気刺激を送達するために使用されてよい。さらに実施形態では、少なくとも3つのIPC10又はリード線は、図10a~図10b及び図11に示されるように陰部、PTN、LPN、MPN、及びSAFNの感覚求心性神経を最も良く表す脊髄神経根の上又は回りに外科的に設置されてよい。この後者実施形態の一態様では、表面電極が腰部に適用でき、すなわち仙骨神経及び腰髄神経の場所にほぼ対応してよい。刺激は、外部刺激装置及びIPC10、並びに/又は少なくとも1つの埋め込まれた構成要素を有する少なくとも1つの神経刺激装置によって提供できる。経皮パルスは、2つ以上の電極又は多接点電極の表面アレイ(例えば、2つ以上の電極が図18aのシステムを使用して患者の背中に設置できる)によって送達でき、そこでは電極グリッドの特定の接点(複数可)がIPCを使用することによって標的脊髄根を選択的に活性化するために使用できる。
特定の刺激部位で陰部神経全体を刺激することに加えて、刺激プロトコルによって提供される同時活性刺激が、陰部神経(例えば背側生殖器神経又は尿度感覚神経)の特定の枝のいずれかに、又は骨盤神経枝(例えば、膀胱頸部感覚神経)に印加されてよい。さらに、神経枝のための同時活性刺激パラメータは、完全な陰部神経のために使用されるパラメータと同じであるか、又は異なってよい。両方の経路(例えば、PTN及び陰部)の電気刺激のタイミングは、同期して又は非同期で印加されてよい。
OABのための治療電気刺激は、治療効果及び/又は患者の快適さを最大限にする刺激プロトコル(例えば、持続時間=5分~1時間)及び間隔(例えば、毎日、日に2回、又は毎週)に従って投与量を変える際に印加できる。尿閉の治療の場合、電気刺激は、膀胱を空にするための「予想時間」の前及び間に、最大で30分等の排尿前時間まで印加されてよい。さらに、膀胱容量に関係する患者データを測定するための埋め込まれたセンサ等のセンサは、刺激タイミングを容易にできるだろう。少なくとも1つの埋め込まれた構成要素を有し、且つ刺激モジュール54による療法のフィードバック又は閉ループ制御を提供するために検知されたデータを入手し評価するための検知モジュール55を有する刺激システムは、1つの適切な候補システムであるだろう。センサ634は検知されたデータを埋め込み可能な神経刺激装置に提供するために使用されてよく、これはデータを処理し次いで、評価に値する場合、このデータを外部患者装置に通信し、これが今度は視覚信号、聴覚信号、又は他の信号を、排尿が保証されていることを信号で知らせる患者に提供できるだろう。患者は、埋め込み可能な神経刺激装置に、治療的な膀胱抑制を提供する等の活動を調節するために神経刺激を停止/開始させるために、外部装置を操作できる。
図13~図15の結果に基づいて、膀胱障害の治療の追加の実施形態は、少なくとも1つのPTN及び/又はSAFN枝の刺激626、並びに陰部神経(背側生殖器又は尿道感覚)の同時に起こる活性化を伴う刺激プロトコルを含んでよい。選択的なPTN分岐刺激によるこれらの興奮膀胱反射及び抑制膀胱反射を活性化する能力は、神経経路の組合せ刺激を使用するシステムが、膀胱障害のための療法を改善するために活用できることを示唆する。
図13~図15の結果に基づいて、OABの治療のための追加の代替実施形態は、例えば、PTN、MPN、及び/又はSAFNについて5Hzの範囲で第1の刺激信号を提供すること、及び同時陰部神経刺激を提供するために第2の刺激信号を提供することを含む。第2の刺激信号は、例えば5Hz~20Hz、又は2Hz~50Hzの範囲であることがある。第2の刺激信号は代わりに又はさらに、仙骨神経及び/又は骨盤神経である神経標的を刺激するために使用できる(例えばS3を介して)。
図13~図15の結果に基づいて、OABの治療のためのシステム及び方法の追加の実施形態は、刺激信号、例えば、PTN枝又はSAPH枝を含む少なくとも1つの第1の神経標的の10Hzの刺激を提供することを含んでよい。第2の刺激信号はまた、陰部神経刺激、仙骨神経刺激、及び骨盤神経刺激の同時活性化を提供するために使用することもできる。第2の刺激信号は、例えば1Hz~100Hzで、及び好ましくは2Hz~50Hzの間で発生することがある。
OAB治療の追加の実施形態は、PTN、LPN、又はSAFNである少なくとも1つの第1の神経標的に、約20Hzの第1の刺激信号を提供することを含む。第2の刺激信号は、例えば約2Hz~25Hzで使用する陰部神経のほぼ同時の同時活性化を提供できる。
OABのための治療の追加の実施形態は、PTN又はLPNである第1の神経標的に例えば約50Hzの第1の刺激信号を提供することを含む。第2の刺激信号は、例えば約2Hz~50Hzでの陰部神経刺激である第2の神経標的の同時活性化を提供できる。本実施形態は、患者の膀胱活動を増加させるために使用できる。
別の実施形態では、第1の神経標的(例えばPTN又はMPN)は、周期的に発生する刺激を提供され、一方、第2の神経標的(例えばS3)の刺激は、2つの標的の異なる機構のために後者単独より優れた治療を提供するために、埋め込まれた神経刺激装置によって等、慢性的に提供される。多様な刺激プロトコルが、第1の神経標的及び第2の神経標的での刺激が異なる時間に又は重複する時間に発生するように設計されてよい。しかしながら、開示されているように、第2の部位の刺激によるほぼ同時の同時活性化は、第1の部位での刺激が膀胱活動を調節する上で有する影響を増強することがある。実施形態では、第1の部位及び第2の部位のための刺激パラメータは、図13~図15のデータに基づく第2の部位のための刺激パラメータ、及びより大きい調節を提供することが判明したそれらの周波数を選択することを含むことがある。代わりに、異なる刺激パラメータが使用できる。
治療上の利益の増加
図13~図15の結果に基づいて、多様なPTN神経枝を選択的に刺激する新規のシステム及び方法は、改善された療法を提供してよい。例えば、実施形態では、足の親指の、又は足の親指に近い組織を標的とする刺激電極(足の内側表面上又は他のどこかに位置する戻り電極を有して)が、MPNを選択的に活性化できる。電極は、LPNを活性化するために3つのより小さな足指の近くで標的に刺激を提供するために配置できる(戻り電極が足の外側表面又は他のどこかに位置する状態で)。刺激装置は、TENSで多くの場合行われるように、導電性の電極クリームを使用して適用され定位置に保持されてよく、ゴムバンド、使い捨て電極、又はソックスによって適切な位置に保持されてよい。刺激に対する神経の応答性を高めるために、IPCを標的神経を活性化するために足に埋め込むことができる。IPCはまた、MPN又はLPNの選択的な刺激を可能にするためにPTNの分岐後に内果の下方に埋め込むこともできる。
内果の近くのPTN刺激の限られた効能は、いくつかの選択的なPTN枝刺激利点を強調するために役立つ。PTN刺激中に、踵骨神経等の、PTNに集中する他の神経は、電気的に活性化され患者に大きい不快感を生じさせることがある。係る非標的神経線維の不必要な活性化は刺激信号の完全な振幅を制限し、それによって膀胱症状を抑制するために必要とされる標的線維の十分な動員を制限することがある。より大きい振幅でも、膀胱活動のPTN調節は、選択的な神経枝刺激により可能になるものに満たないことがある。Suら(Am J Physiol Ren Physiol 2012年)は、それを超えてPTNSが膀胱活動を抑制できない、刺激振幅の上限(ラットで4xTm)を示した。選択的な神経枝刺激は、経皮的刺激が膀胱活動を調節するために十分なエネルギーを提供することを必要とするよりむしろ、自宅で又はクリニックでのどちらかでTENS療法が発生できるようにしてよい。
PTN幹刺激で発生するように、複数のPTN枝を電気的に刺激することは、特定の神経線維に、小さい影響、影響なし、不快な/痛い副作用、又は膀胱活動の意図された調節の影響とは反対の影響を生じさせることがある。例えば、5HzでのPTN全体の電気刺激は、LPNの刺激を介してほとんど影響を与えない又は反対の影響を与える一方で、MPNだけを刺激する場合(図13、図14b)に見られる刺激後抑制に類似する刺激後抑制を生じさせる。PTN全体の代わりに特定の神経枝を選択的に活性化することは、より少ない副作用、動員される神経線維の数の増加、及びより大きい治療効果等の優位点を提供してよい。
より高い刺激周波数で、選択的なPTN枝刺激は、膀胱収縮を生成する又は増加させ、このようにして排尿効率を改善する、効果的な手段を提供してよい。膀胱を空にすることができないことは、いわゆる尿閉の特徴であり、ここで無数の要因の中で基礎病理が排尿筋活動低下を含むことがある。例として、50HzでのPTNの刺激は、対照群(刺激前)の%としてBRCの約30%の増加を生じさせ、一方、LPNの刺激は130%の増加を生じさせた(図13Cで応答がグラフの上部をはるかに超えて拡張する)。対照的に、MPN刺激は概して、このより高い刺激周波数で膀胱活動の、増加ではなくむしろ減少を生じさせる。これらのデータは、PTN全体の刺激による膀胱興奮がMPNの同時活性化により部分的に後退することを示唆する(PTN応答はPTN及びLPNの調節の単なる正味の影響ではないが)。したがって、LPNの選択的活性化で少なくとも1つの刺激信号を提供するための刺激装置を使用するシステム及び方法は、PTNに比較して排尿筋活動低下の治療を改善してよい。個々のPTN枝の選択的刺激は、本明細書に開示されるように経皮的方法、TENS、eTENS、磁気方法、及び他の刺激方法を使用し、達成されてよい。さらに、評価プロトコルと刺激プロトコルの両方とも、異なる量の膀胱興奮又は膀胱抑制を固有に生じさせるためにLPN、MPN、及びPTN(並びにSAFN等の他の末梢神経)を刺激できる。特定の周波数及び/又は標的組合せが療法の評価又は提供のどちらかの間に所望される調節効果又は治療効果を提供しない場合には、代替組合せが改善された療法を提供することがあるので、代替組合せを試すことができるだろう。改善された調節を提供する刺激パラメータ及び部位は、記憶され(例えばステップ630の一部として)、療法626の間に使用される刺激プロトコルによって以後使用できる。
図13~図15に示されるデータは、選択的なPTN枝刺激はPTN刺激療法に応答する患者の60%を70%に増加させ、且つ不要な膀胱症状が抑制され腹部膀胱活動が治療される範囲を改善する、手段を提供してよいことを示唆する。選択的なPTN枝刺激は、選択された振幅及び周波数を使用して1つの神経を活性化でき、又は同時に若しくは交互にのどちらかで複数の神経枝に印加できる。これらの実験結果は、麻酔されたラットで足の運動性の移動の閾値の6倍で印加されたパルスを使用して得られた。これは人間で使用されるもの(通常、足のけいれんの閾値)よりもはるかに高いが、麻酔の影響が、係る高い刺激振幅の部分的な原因であることがある。人間で使用される異なる刺激部位及び信号特性の利点は、個々の患者によって耐えられる最大振幅に依存してよい。
OABのための誘導及び維持療法
図22cは、本発明の実施形態を、クリニックの内部又は外部で発生することがある第1の治療間隔中にPTNを経皮的に刺激する等の第1の治療プロトコル252を提供する第1のステップと、少なくとも1つの第2の治療間隔中に、例えばLPN刺激及びMPN刺激を含む選択的なPTN分岐刺激の少なくとも1つを含んでよい追加の療法等の第2の治療プロトコル256を提供する第2のステップとを組み合わせることを含む、OABを治療する方法として示す。第2の治療プロトコル256の間に提供される療法は、経皮刺激又は経皮的刺激のどちらかを使用して実現され、これは刺激を改善するためにIPCを使用してよい。第2の治療プロトコル256は、一次治療プロトコル252(例えば、クリニックでの経皮的刺激)とほぼ同時に又は同じ治療セッションの中で提供できる。代わりに、第2の治療プロトコル256は、療法(例えば、療法の導入中に発生することがある臨床ベースの経皮的治療セッション)を改善するために又は維持療法として第1の療法252の第1の治療プロトコル治療の間に提供できる。二次治療プロトコル256によって提供される追加療法は、異なるタイプの刺激信号を提供するように構成された外部装置(例えば、患者の家庭でのTENS装置)を使用して提供できる。二次療法256の提供は、RF、光/レーザー、音/超音波、又は本明細書に開示される多様な技術を使用する他のシミュレーションのモード等によって実現することもできる。二次療法256の提供は、電気刺激信号、超音波刺激信号、又はレーザー刺激信号に本明細書に開示される他のタイプの強化された神経刺激を与えるために外部刺激装置と併せて使用されるIPCを使用して実施できる。二次療法256は、皮膚に位置する神経枝(例えばSAFN)を刺激する二次刺激プロトコルを含むことがあり、一方、第1の療法プロトコルは、より深い神経(例えばPTN)を刺激する第1の療法を提供する。第1の刺激治療及び第2の刺激治療を提供することに加えて、代替実施形態では、これらの治療の影響が評価され254、258、治療プロトコルの少なくとも1つを調整するために使用できる。例えば、治療が少なくとも1つの治療基準を満たさない場合、次いで第2の治療等の治療は、以下の:LPN刺激からMPN刺激に変更すること、MPN刺激からLPN刺激に変更すること、及び使用される刺激信号の特性を変更すること、の少なくとも1つに従って刺激プロトコルを変更することによって調整できる。代わりに、第1の刺激プロトコルに対する患者の応答が、第2の刺激プロトコル256を調整するために使用できる(矢印E)。例えば、PTNの経皮治療が特定の周波数で大きい治療応答を生じることが判明する場合、次いで同じ周波数を選択的な神経枝刺激で使用できる。代わりに、異なる周波数範囲が、二次刺激プロトコルのために評価され、選択できる。図22c(矢印C及びD)に示されるように、一次治療プロトコル及び二次治療プロトコルは、単に交互の様式で提供されてよい。二次治療プロトコル256が家庭をベースにしている場合、二次治療プロトコルは、第1の(クリニックベースの)プロトコル252が再び繰り返される前に数回繰り返されてよい。このようにして、eTENSの家庭をベースにした療法は、その間にクリニックベースの経皮的療法が発生する持続時間を延長するために、使用されてよい。二次治療プロトコルは、治療に対する患者の応答に応じて、一日に1回以上、毎週1回以上、又は毎月1回以上と同程度にまれに、患者によって提供されることがある。二次治療プロトコルがクリニックで提供されるのか、それとも家庭で提供されるのかに関わりなく、これは30~90分の刺激セッション中に発生してよい。第1の治療及び第2の治療252、256の提供を定義するプロトコルは、例えば、治療の持続時間、治療間の間隔、並びに刺激信号、標的神経、及び標的神経に刺激を提供する方法を定義してよい。これらの刺激パラメータは、患者応答の評価に基づいて患者又は医師に従って調整できる。ステップ254、258、及び260で発生する患者応答の評価は、患者データの評価を含むことがあり、多様な方法で刺激治療プロトコルを調整するために使用できる。例えば、患者応答の評価は、刺激治療間の間隔を増加又は減少させること、波形、電流、電圧、刺激部位、及び各治療の持続時間に関係する刺激パラメータ等の刺激パラメータを変更することにつながることがある。
OABのための療法の追加の実施形態
実施形態では、PTN治療である第1の治療プロトコルに十分に応答しないとして評価されている254抵抗性を認める患者における神経刺激治療効果を改善するための方法及びシステムは、併用療法である第2の治療プロトコル256を管理することを含む。療法は、PTNの刺激をLPN又はMPNの内の1つの刺激と組み合わせることができる(又はLPNはMPNと組み合わせることができる)。刺激は、IPCあり又はIPCなしの経皮、経皮的の少なくとも1つであり、又はパルス発生器を有する少なくとも1つの埋め込まれた神経刺激装置によって提供されてよい。LPN及びMPNはPTN刺激とは異なる効能を提供できるため、組合せ療法刺激は、これらのいずれか単独よりもより大きく、より一貫性がある結果を生じさせることがある。療法はまた、抵抗性を認めない患者にも適用されてよい。組合せ療法は同時に、異なる時間で(交互作用効果を避けるために)発生してよく、且つ一方的に発生してよく、又は一方の刺激信号が体の左側に印加され、一方で他方が右側に印加される(つまり両側刺激)。療法が一方の装置50によって達成される場合、装置は、患者の2つの療法標的を刺激し、且つ各部位でモノポーラ療法又はバイポーラ療法のどちらかを実施するための少なくとも2つの独立した刺激信号を提供するように構成された、信号発生器を具備すべきである。信号発生器モジュール62は2つのパルス発生器を含んでよく、そのそれぞれが、療法プロトコルに定義される組合せ療法に従って、装置50の刺激装置によって刺激される神経に適用される選択された刺激プロトコルを提供するように構成される。
組合せ治療は個々の治療の評価を可能にしないため、膀胱機能不全の患者を治療するシステム及び方法は、第1の期間の間PTNに対する第1の刺激プロトコルを有する治療252を含むことがあり、次いで刺激に対する反応の評価254が、刺激が効果的ではないことを示す場合、代替の第2の治療プロトコルがLPN又はMPNの内の少なくとも1つを提供するために選択される256。代わりに、LPNの治療の後にPTN又はMPNを刺激する第2のプロトコルが続くことがある。
神経刺激を提供するためのシステム及び方法
図18aは、本発明の方法及びシステムを実現するために使用できる神経刺激装置50を示す。装置50は、多様な実施形態で含まれてよい又は調整されてよい、多数のモジュール及び構成要素とともに示される。装置50は、ユーザ入力、並びに/又はプロトコル及びパラメータモジュール66に記憶される治療プロトコル及びパラメータに従って、刺激モジュール54及び検知モジュール55等の多様な他のモジュールを制御するためのプロセッサ及び制御回路網を有する、制御モジュール52を含む。治療プロトコルは、刺激プロトコル、検知プロトコル、及び評価プロトコルを含むことがある。これらのプロトコルは、装置50が、検知されたデータの評価、イベント検出、患者入力、時間間隔、及び療法の選択、提供、及び調整を引き起こすことがある他のトリガに関してその動作を応答可能なように調整できるようにしてよい。装置50は、単に連続的に刺激を提供することもできる。制御モジュール52は、リアルタイムクロック及びタイマを含むタイミングモジュール56、ソフトウェアを操作するための少なくとも1つのプロセッサを含む処理モジュール58、並びにメモリモジュール60に記憶され、且つ装置50の動作の制御を可能にする処理情報及びパラメータ設定値を有する。刺激モジュール54は、1つ以上の電気刺激装置、磁気刺激装置、光学刺激装置、音波刺激装置、超音波刺激装置、又は他のタイプの刺激装置によって使用される交流電流(AC)信号及び/又は直流電流(DC)信号を含む出力のためのパルス又は任意の波形を生成するための回路網を含むモジュール62等の、少なくとも1つの波形発生器/シグナルプロセッサを制御できる。検知モジュール55(図18bに図示)は、AD/DA回路網が信号生成と取得の両方を可能にする場合にAD/DAモジュール64の一部として実現されてよく、検知データを調整し分析するための回路網及びプロトコルを含み、またセンサに電力を提供する及び/又はセンサと通信するためであることがある。処理モジュール58は、検知されたデータの評価を可能にし、刺激の送達又は調整を生じさせるために定められるイベントの検出を提供できる。これは閉ループ的に発生することがあり、又は情報(検知されたデータについての情報)又は信号(点滅光)を、外部患者装置72又は次いで療法を提供若しくは調整してよい医師プログラマ70によって等、装置50のユーザに提示させてよい。処理モジュールは、例えば、38、40、42、及び258等のステップの一部としてデータを処理するのに役立つことがある。例えば、検知されたデータは、少なくとも1つの治療基準に比較でき、基準に合格する場合には刺激は変更されず(又は提供されず)、治療基準に合格しない場合は、次いで刺激が治療プロトコルに定義されるように調整又は提供される。処理モジュール58は、患者データ、使用、及びコンプライアンスデータを追跡するために履歴データレコードを記憶するように構成されてよく、これは、患者が家庭でシステムを使用する場合に医師又は患者がコンプライアンスを評価できるようにする上で特に役立つであろう。AD/DAモジュール64は、入力信号及び出力信号の変換並びに増幅、デジタル信号処理、フィルタリング、調整を可能にし、患者の安全を保証するための安全回路網も含む。AD/DAモジュール64は、異なるセンサ又は刺激装置にわたって信号を多重化するための回路網を含んでもよい。装置50はまた、装置50、医師プログラマ70、又は患者外部装置(EXD)72と通信するための通信回路網及び/又はRFID識別手段を有する他の装置(例えばIPC)との有線通信及び/又は無線通信を提供するための通信モジュール68も含む。通信モジュール68は、直接的に、EXD72接続、ブルートゥース接続、又はWiFi接続を介してのいずれかで、遠隔医療施設でのコンピュータ(これは装置の通信及びプログラミングが遠隔で発生できるようにする第2のタイプの医師プログラマ70’としての機能を果たしてよい)と通信できる。通信モジュールは、神経刺激装置等の埋め込み可能な構成要素に無線電力信号及び/又は無線データ信号の片方向通信又は双方向通信を提供するトランシーバに信号を提供できる。すべての優先通信及び無線通信は、インターネット、ローカルエリアネットワークを使用して少なくとも部分的に実現でき、他の装置とのデータ通信及び電力通信の磁気モード、無線周波数(RF)モード、光モード、音波モード、及び/又は他のモードのための手段を含んでもよい。通信モジュール68及び/又はEXD72は、関係する装置を制御してよい通信ポート/インタフェースポート82を使用して、WiFi通信、ブルートゥース通信、セルラー通信、磁気通信、磁気誘導通信、マイクロ波通信、RF通信、電気通信、光通信、音波通信、RFID通信、又は他のタイプの通信を確立するための回路網及びルーチンを含んでよい。通信モジュール68は、USBコネクタ等との使用のために構成される。装置50の通信モジュール68、並びに刺激装置14及び/又はIPC10に設けられてよい通信回路網は、近距離場、遠距離場、誘導、磁気共鳴誘導の構成要素、コイル、アンテナ及び/又はレクタナ、光センサ、及び刺激装置、音波刺激装置、及びセンサ等を使用して信号を送信又は受信するために動作してよい。これは、本発明の特定の実施形態のあらゆる外部構成要素と内部構成要素の間での識別信号、データ信号、又は電力信号の通信の成功を可能にする。装置50はまた、電池、AC変換器及びDC変換器、無線信号のハーベスティング又は伝送に関係してよい電力の変換又は提供に関係するレクタナ又は回路網により利用される無線電力信号を整流するために機能するダイオード等の構成要素を含むことがある電源モジュール74も有し、通信ポート/インタフェースポート82の内の少なくとも1つを通して有線電源に接続するための電源コードを提供できる。実施形態では、療法に関係するシミュレーションを提供するシミュレータのプロセッサは、モデル結果データを計算し提供できるラップトップコンピュータとして実現されてよい医師プログラム70の中に存在する。これらのデータは医師によって使用されてよく、刺激プロトコルに従って患者に刺激を提供するために刺激回路網を調整し制御する、神経刺激装置システムの制御回路網によって使用できる。実施形態では、シミュレーションを実行するコンピュータモジュールは、その中に刺激標的が位置する患者の体の領域の物理的特性を反映するために収集されるMRI又は超音波検査等の、患者からの走査された画像データに基づいて調整される。刺激グリッドアレイ100の活性化及び制御は、IPCが標的組織の刺激を強化するためにうまく役立つであろう確率を増加させるためにシミュレーションによって提供される結果に従って発生してよい。
通信モジュール68は、ユーザ(患者又は医師)に情報を示しユーザから情報/入力を得るためのハードウェア及びソフトウェアを含む、ユーザインタフェースモジュール76と併せて機能することがある。装置50は、特殊な装置、スマートフォン又はタブレットコンピュータによって実現され得る等、医師プログラマ又は患者プログラマ70、72と通信してよいが、装置50はまた、関係する回路網を備えた少なくとも1つの信号伝達モジュール78を有し、テキストフォーマットとグラフィックフォーマットの両方で視覚データを提示するための、及び療法の提供に関係し聴覚信号を提示するためのスピーカを含むアラームを提示するためのディスプレイ79を制御してよい。信号伝達モジュール78は、スピーカ、又は通信モジュール68を介する補聴器等の音響変換器と通信するブルートゥースで有効にされる音響システムを有することがある。装置50はまた、ユーザが、例えばメニュー誘導システムを通して、入力を提供できる、並びに装置の動作に関係するノブを手動で調整することによって装置の動作を調整できるようにするために、キーボード、ノブ、スイッチ等の制御装置を有する患者インタフェースモジュール80を含むこともある。モジュール78、79、及び80等の多様なモジュールもまた、医師プログラマ又は患者プログラマ70、72の中で実現できることは明らかである。
制御モジュール52と波形生成器モジュール62の両方は、装置50を較正するため及び適切な機能を保証するために較正ルーチンを含む、安全ハードウェアルーチン及び安全ソフトウェアルーチンで構成されてよい。いくつかの実施形態では、制御モジュール52は、装置メモリに記憶されたプロトコルに従って、及び患者インタフェースモジュール80によって得られるユーザの手動入力によって調整できるパラメータに従って刺激プログラムを実行できるようにするが、安全ルーチンは、安全であるために調整を制限することがある。
装置50は、第1の刺激装置88及び第2の刺激装置90に信号を通信するために、少なくとも1つの第1の刺激装置コンジット84、第2の刺激装置コンジット86を使用してよい。実施形態では、コンジットは単一ストランド又はマルチストランドの導電性絶縁電極リード線を含み、刺激装置は導電性の皮膚電極であってよい。第1のコンジット84は、インタフェース82の第1の刺激装置インタフェースポート83aに電気的に結合するプラグを含んでよい第1のエンドコネクタ92を有する。第1の刺激装置88は、刺激装置コネクタ89aを使用して刺激装置コンジット84の第2のエンドコネクタ94に好ましく固定される。刺激装置コネクタ89aは、第2のエンドコネクタ94aと接続するように構成される金属性のスナップ等のアダプタであってよい。
第2のコンジット86はまた、第1のエンドコネクタ92b及び第2のエンドコネクタ94bも有する。第2のコンジット86の第1のエンドコネクタ92bは、第2の刺激装置インタフェースポート83bに電気的に結合する。第2の刺激装置90は、導電性コネクタ89bを使用して第2のコンジット86の第1のエンドコネクタ94bに接続できる。第2の刺激装置インタフェースポート83bは、本発明のシステム及び方法の一部として磁気刺激の提供を制御するためにTMS装置に接続されてよい。
別の刺激装置を使用できるようにする追加のワイヤインタフェースポート83cが示される。さらに、刺激装置ではなく、インタフェースポート83がセンサに接続できる。さらに、刺激装置が例えば皮膚電極である場合、次いで電極は、時間の異なる瞬間で刺激装置とセンサの両方としての機能を果たすことがある。言い換えると、刺激電極88は、刺激モジュールではなく検知モジュールが、検知が発生する期間中に特定のポートに対して操作可能である場合、センサとしての機能を果たすことがある。
インタフェースポート83a~83cは、複数のワイヤを有するコンジットにそれぞれ接続するように構成されてよい。刺激装置上で構成されるS個の刺激装置コネクタ89は、複数のコンジットエンドコネクタを受け入れるように構成できる。例えば、コンジット84は、少なくとも1つの刺激装置エンドコネクタ89に付着するように構成された複数の接点を有するエンドコネクタ94aで終端するリボンケーブルとして実現されてよく、他方端部92aは、コンジット84のチャネルに関係する複数の接点を操作するように構成されるインタフェースポート83の中に差し込まれるように構成される。したがって、実施形態では、刺激装置は、1つの極性の単一の導電面を有するよりむしろ、コンジット84の少なくとも1つのエンドコネクタ94aに付着するように構成される、非導電面97によって分離されてよい2つの刺激装置コネクタ89(不図示)によって装置の回路網に接続される、第1の接点96及び第2の接点98を有する少なくとも1つのバイポーラ電極として実現されてよい。実施形態では、接点96、98及びIPC長さと対にされている非導電面97を含むバイポーラ電極構成要素。接点96、98は、それぞれ陽極及び陰極としての機能を果たしてよく、又は他のどこかに位置し、回路を完成するために役立つ別の電極を伴う陽極又は陰極の両方であってよい。好ましい実施形態では、非導電面は、本発明のIPCの幅と同じ幅「W」であった幅を有するだろう。実施形態では、非導電面は、患者への刺激装置の固着中の配列を支援するために、ユーザが皮膚の下のIPC又は皮膚の表面上のマーキングを見ることができるように透明であってよい。さらに、刺激装置は、電極グリッド又はグリッドパターンで又は別の方法で配置される複数の接点を有する多電極アレイ100として構成でき、接点のそれぞれは、刺激中個々に操作可能であるように、コネクタ89の固有の接点、及びしたがってコンジット84のチャネルと通信するように構成されることがある。皮膚表面で使用される実施形態では、神経をインビボで刺激するために通常は針電極を使用する「Utah」アレイとは異なり、接点は柔軟な基板又は剛性の基板上に存在し、約1cmかける1cmであってよく、個々の接点間に0.5cmの非導電材料の距離を有し、装置50と通信する複数の接点を有するインタフェースに個々のワイヤを使用して送ることができる。代わりに、グリッドの個々の接点は、例えばプロセッサ52の制御下で、適切な電極接点に電気信号を送るためにグリッドに組み込まれる信号ルーティング/マルチプレクサ回路網によって活性化できる。実施形態では、電極アレイ100の個々の電極接点は、空間的に又は時間的に定義された刺激パターンを提供するために装置50の刺激モジュール54で信号ルーティング及び制御回路を使用して、患者を電気的に刺激し、IPC又は標的神経との配列を改善するために使用されてよい。グリッドアレイ刺激装置100は、刺激モジュール54の制御下で、グリッドアレイの接点を使用して空間パターン又は空間時間パターンを実施させるために単一のルータを含んでよく、又はモジュール自体がマルチプレクサを含んでよい。電極グリッド100はまた、LED等の光学素子を含んでもよく、それは能動グリッド素子の形状を視覚化すること、及び患者8の皮膚20の領域と、又は埋め込まれたIPCと活性電極グリッドを配列することを支援できる。インタフェースポート83はまた、膀胱活動、膀胱圧、膀胱充満、又は治療されている状態又は障害に関係する他の特徴を測定するように構成されるセンサ等の、多様なセンサと通信する及び/又は多様なセンサに動力を供給するために有線で又は無線で接続してもよい。追加のセンサ及び刺激装置は、図の混乱を避けるためにセンサ/刺激装置電極88、89に加えて図示されていない。治療プロトコルは、プロトコル及びパラメータモジュール66の中に記憶でき、それはグリッドアレイに、IPCの端縁とグリッドの能動素子を並べることを支援するように2つ以上の固有の列活性化を使用して刺激を提供させる。例えば、グリッドアレイ刺激装置100は、10行の接点及び12列の接点のグリッドを有してよい。1つの刺激プロトコルは、刺激信号が行1及び10のすべての素子によって提供される第1のステップ、刺激信号が行4及び10によって提供される第2のステップ、並びに刺激が行8及び10によって提供される第3を有することがある。各ステップで、固有の行活性化が1分間、及び30分内の刺激期間で提供され、アレイ刺激装置の行及び埋め込まれたIPCの端縁がほぼ並ぶ可能性が高い。この例では、30分の刺激期間の内に、この刺激プロトコルの少なくとも10分がeTENSシステム構成要素とうまく対にされるべきである。さらに、活性化中に行全体を使用するのではなく、アレイ刺激装置は行1の電極接点要素1~4、行4の要素5~8、及び行8の要素9~12を活性化できる。グリッド刺激装置はまた、水平行よりむしろ、IPCの端縁に関して正しく配向される刺激アレイを提供するために、斜めの行等の他のパターンを活性化することもできる。最後に、グリッドアレイは、行よりもむしろ任意のパターンを使用でき、グリッド素子は正方形である必要はない。
非導電面97の幅は、IPCによる改善された刺激を提供するために設定できる。例えば、図3A~図8Bのデータはステップ1を有する実施形態をサポートし、そこではIPCの幅又は長さ等の態様がその埋め込まれる深さ(つまり、皮膚刺激装置からIPCまでの距離)に対して調整/選択される。ステップ2で、少なくとも1つの刺激装置の物理的特性(例えば、刺激装置と第2の刺激装置の端縁間の距離、又は刺激装置の端縁の場所)は次いで、標的神経の「対形成」及び改善された活性化を提供するためにIPCの少なくとも1つの物理的態様(例えばIPC長さ)に従って設定できる。ステップ3で、治療は少なくとも1つの適切に対にされた刺激装置を使用してIPCに提供される。
装置50について説明されたモジュールは説明のためだけであり、本発明のシステムによって使用される装置50は、図18a又は図18Bに示され、本明細書に説明されるのに満たない若しくは超えるモジュール及びシステムで実現でき、又は代替実施形態で実現できる。例えば、プロトコル及びパラメータモジュール66を有するよりむしろ、刺激プロトコル及びパラメータに関係する情報をメモリモジュール60に単に記憶できる。同様に、刺激モジュール54及び波形生成器モジュール62を有するよりむしろ、同等の機能性が、これらのモジュール並びに刺激及び検知を提供するために必要とされる他のすべての必要なハードウェア、ソフトウェア、及び/又はコードを含むAD/DAモジュール64で実現できる。したがって、装置50では、開示された構成要素は省略されてよく、モジュールは他のモジュールのリソースと通信し、他のモジュールのリソースを共用してよい。図18aに示される装置50のモジュールのいずれかは、医師/患者プログラマ70、又はEXD72、又は図18bの神経刺激システムで部分的に又は完全に実現できる。モジュールは、装置50筐体の中にあってよく、又は外部に存在し、有線的に若しくは無線的に通信してよい。
装置50は、付属品を制御する携帯計器又はデスクトップ計器として実現されてよい。システムは少なくとも部分的に、スマートフォン又はタブレットコンピュータのポートにつながる、又は図18aに示されるモジュールのいくつかがスマートフォン又はコンピュータで実現されるようにスマートフォン又はコンピュータと通信する、カスタマイズされたハードウェアとして実行できる。装置50は、他のシステム構成要素及び付属品への有線通信及び接続を可能にするために、USBポート等の付属品ポートを有するべきである。
装置50は、装置50に有線で接続されるよりむしろ、それ自体筐体の中に組み込まれる刺激装置を使用できる。このタイプの実施形態の一例では、刺激装置は、使い捨ての電極よりむしろ再利用可能な電極刺激プレートとして構成できる。装置50はまた、針電極を含む経皮的刺激装置を使用してもよい。装置50は、電気刺激及び磁気刺激を含む多様なタイプの刺激を提供するために、Uroplasty及びElectrocore及びMedtronic等の企業により流通させられる電気刺激装置を使用して実現されてよい。本発明の代替実施形態では、刺激装置は、IPC又は磁気的に駆動されるもの等の埋め込み可能な能動部品(IAC)で機能するように構成できる。装置50により使用される刺激装置は、埋め込み可能な構成要素の中及び回りで、並びに組織自体の中で磁場を誘発するコイルであることがある。一般的には、少なくとも1つの接点を有する、IAC、IPC、又は埋め込み可能なパルス発生器及び刺激装置電極を使用する従来の神経刺激システムのいずれかが、本明細書で開示されるプロトコル及び神経標的を使用して刺激を提供するために相対的に交換可能にすべて用いることができることは、療法を提供することに関して明らかである。
経皮組織刺激システムは、刺激信号を生成するための信号発生器を含むことがある。信号発生器は、IPC又はIACと組み合わせて、電気的な方法、磁気的な方法、(超)音波方法、光学的な方法、熱的な方法、又は組織を直接的に刺激する他の方法等の少なくとも1つの刺激のモダリティにとって適切である刺激信号を提供できる。上記信号発生器に結合される少なくとも1つの第1の刺激装置も、患者の標的組織を調節する信号を提供するために患者に隣接して位置決めされるように設けられ適応される。実施形態では、少なくとも1つの第1のIPCは、刺激装置によって提供される信号によって上記標的組織の調節を強化するために、標的組織に隣接して又は標的組織に接して位置する。刺激装置及びIPCは、IPCがない場合に発生する調節に比して組織の調節が強化されるように、対にできる。
刺激装置が磁気刺激又は電気刺激を経皮膚的に提供する実施形態では、IPCは導電性である少なくとも一部分と構成される。磁気刺激を組織に提供するように構成され、少なくとも1つの刺激コイルである刺激装置を有する装置は、そのすべてが参照によりその全体として本明細書に援用される、「Trajectory-based deep-brain stereotactic transcranial magnetic stimulation」と題する米国第8,052,591号に、及び「Transcranial magnetic stimulation for improved analgesia」と題する米国第2013/0317281号に、及び「Magnetic electrode for delivering energy to the body」と題する米国第6,453,204号に、及び「Electrical and magnetic stimulators used to treat migraine/sinus headache, rhinitis, sinusitis, rhinosinusitis, and comorbid disordersと題する米国第8,676,324号に、及び「Systems and methods for vagal nerve stimulation」と題する米国第2014/0247438号に、「Method and Apparatus for magnetic induction therapy」と題する米国第8,435,166号に開示され、本発明のシステムの一部として実現されてよい。磁気コイルが磁場を提供するために使用される場合、信号発生器62は磁気コイル刺激装置に動力を供給できるインパルス発生器としての機能を果たしてよい。
刺激装置が音波刺激を提供する実施形態では、IPCは、音波刺激信号に応える少なくとも一部分で構成される。例えば、IPCは、隣接する神経組織の活動の調節を強化するために、人間の組織よりも多く音エネルギーを吸収する、反射する、又は共鳴することを可能にする物理的特性(サイズ、密度、形状、構造)を有する一部分で構成できる。組織に超音波刺激を提供するように構成される装置は、信号発生器62に結合される超音波変換器である少なくとも1つの刺激装置を使用し、そのすべてがすべての目的のためにその全体として参照により本明細書に援用される「Ultrasound Neuromoduation for Cognitive Enhancement」と題する米国第20140194726号に、「Transcranial ultrasound systems」と題する国際公開公報第WO2014127091号に、「Ultrasound macro-pulse and micro-pulse shapes for neuromodulation」と題する米国第20110270138号に、及び「Ultrasound neuromodulation of the sphenopalatine ganglion」と題する米国第20110190668号に開示され、本発明のシステムの一部として実現されてよい。
刺激装置が光学刺激を提供する実施形態では、IPCは、光(例えばレーザー)刺激信号に応える少なくとも一部分で構成される。例えば、IPCは、IPCが隣接する神経組織の活動を調整できるようにするために人間の組織よりも多く光エネルギーを吸収又は反射することを可能にする特性(サイズ、形状、構造、反射率、吸収)を有する一部分を有することがある。組織に光刺激を提供するように構成される装置は、すべての目的のためにその全体として参照により本明細書に援用される、「Baroreflex modulation using light-based stimulation」と題する米国第8,715,327号に開示され、ダイオード等の光源である刺激装置を使用し、本発明のシステムの一部として実現されてよい。
IPCが電気ベースの刺激、磁気ベースの刺激、音波ベースの刺激、又は光ベースの刺激と併せて使用される場合、IPCは、神経カフ、中実ロッド、中空ロッド、メッシュ構造、又は本発明の刺激装置としての役割を果たす少なくとも1つの変換器によってサポートされるモダリティ特有のエネルギーをIPCが強化できるようにする他の構造として実現されてよい。
少なくとも1つのIPCなしで発生することに比して、1つ以上のIPCによって提供される強化された電気刺激を提供するための方法及びシステムは、「eTENS」と名付けられる。刺激装置及び対にされたIPCが超音波組織刺激を活用する場合、これは「eUltrasound」と名付けられるとして知られ、刺激モダリティが光である場合それは「eLaser」と名付けられ、モダリティが組織標的に印加される磁場である場合、それは頭蓋を通した磁場の伝達を必要とすることもあれば、必要としないこともあり、それは「eTMS」として知られる。組織の調節に対して外部から印加される刺激の影響を強化する、集中させる、又はそれ以外の場合強化するために受動素子を使用することは、他の刺激モダリティにも拡張されてよい。
経皮神経組織刺激を提供する方法は、刺激信号を生成するために信号発生器62を操作すること及び上記発電機62に結合される少なくとも第1の刺激装置を操作すること、及び信号を提供して患者での組織標的を調節するために患者に隣接して刺激装置を位置決めすることと、刺激装置によって提供される信号によって上記標的組織の調節を強化するために標的組織に隣接して又は標的組織と接触してIPCを埋め込むこととを含むことがある。電気変換器、磁気変換器、光変換器、又は超音波変換器によって提供される刺激信号は、IPCがない場合の調節に比して強化された組織の調節を引き起こしてよい。
図18bは、IPCの近くの組織等の、組織標的に電気刺激を提供するように構成された刺激システムを示し、脳深部刺激又は脊髄刺激を使用したもの等、埋め込み可能な神経刺激装置等の埋め込まれた装置110によって実現されてよい。埋め込まれた装置110は、制御52、電極組織界面での問題を妨ぐために荷電平衡回路網を含んでよい刺激54、並びに電流リミッタ、通信68、タイミング56、及び無線電力を得るための電池とコイルベースの及び/又はアンテナベースの再充電回路網との両方を含んでよい電源74等の安全回路網を提供するための構成要素を含む、モデム埋め込み可能な神経刺激装置に通常設けられるすべての電子機器を有する。検知能力はまた、例えば、加速度計、角度センサ/位置センサを含んでよく、それは装置110の筐体の上に配置されたセンサと通信できる検知モジュール55を介して提供されてもよい。刺激モジュール54と同様に、検知モジュール55は、装置ヘッダポート112又は付属品ポートに接続されたコンジット114と通信してよい。埋め込み可能な装置のために働くことがある、図の右側の点線のボックスに示される他のモジュールは、すでに図18aで検討された。埋め込まれた装置110は、電気コンジット114(多様なタイプの埋め込み可能な電極コンジット及びセンサを接続するために介在する接続部材115を有してよい)に確実に接続するための、及びバイポーラ刺激が発生できるようにするために、少なくとも1つの接点を含むが、多くの場合複数の接点を含む刺激電極等の少なくとも1つの刺激装置116にコンジットの長さに沿って刺激パルス波形を通信するための、ポート112を有するであろう。図18bでは、コンジット114の遠位端に複数の接点がある。少なくとも1つのIPCが埋め込まれた装置110とともに使用されるが装置には接続されていない本発明の実施形態では、IPCは、刺激装置116の接点の内の2つの間の接点間距離に比例して設定された長さを有し、優先的にIPC長さは相互接続距離と同じだろう。さらに、少なくとも1つのIPCの端縁が刺激接点の内の1つの端縁と並べられるのが好ましいだろう。モノポーラ刺激(例えば缶までの先端)の場合、電極接点はIPCの長さよりも長くされてよい。本実施形態では、IPCは、コンジットを介して神経刺激装置に物理的に接続される刺激装置リード線にすぐ隣接していない組織標的を刺激するために役立つ。
埋め込まれた神経刺激装置デバイス110は、Restore(商標)Neurostimulator等の販売されている承認された装置であってよく、それは患者の姿勢(例えば、座っているから横になる、横になるか立ち上がる)を含む要因に基づいて慢性的な疼痛の治療での刺激を調整できる。装置は、InterStim(登録商標)のSystem for Sacral Neuromodulaton、てんかんの治療で脳に対応する神経刺激を提供するためのNeurospace、又は例えばてんかん及び鬱病の治療のためにCyberonicsにより提供される迷走神経刺激システム等の装置によって実現されてよい。実施形態では、脊髄刺激を提供するために胴の中に、又は胴の近くに位置するよりむしろ、神経刺激装置は、踝と膝との間等の下肢部位に位置する。BION等のマイクロニューロスティミュレ―タも使用できる。
図19は、本発明を実現するために皮膚接続又は経皮的接続のどちらかと使用されてよい、外部電気神経刺激装置120の概略図を示す。例えば、刺激装置は患者の神経(例えば、脳髄又は仙骨)を刺激するために経皮的刺激を電極122a、122bに提供できる(1つ以上の候補部位での刺激に対する患者反応を評価するために試験刺激期間中に発生してよい等)。外部神経刺激装置50はまた、仙骨神経又は腰髄神経等の脊髄神経根上に又は近くに埋め込まれた1つ以上のIPC131a、131bに対し表面的に設置された皮膚電極130と終端する、刺激コンジット84を提供することもある。IPCは刺激電極接点130の近くに設置されてよく、本発明の原理及び革新的なモデルに従って選択された形状、向き、及び刺激電極からの距離であってよく、これにより標的神経が選択的に刺激されてよく一方で刺激の標的ではない近傍の神経の活性化を最小限に抑える又は防ぐ。いくつかのリード線及び脊髄神経根標的等の標的を刺激するためのリード線を埋め込む方法は、本発明により使用されてよく、本明細書に参照によりすべて援用される、(Wechterに対する)米国出願第20140343656号、(Yeに対する)20140324144号、(Deisserothに対する)第20140324133号、及び(Gerberに対する)第20120203308号、(Perrymanに対する)PCT/米国第2014/029683号、及び(Clarkに対する)第20140081363号に開示されている。例えば、「Single and multi-polar implantable lead for sacral nerve electrical stimulation」と題する米国第20010025192号に開示される刺激装置、アプリケータ、及び支持する構造のタイプは、本明細書に開示される多様な脊髄神経根の刺激に使用でき、参照により本明細書に援用される。埋め込み可能な神経刺激装置を使用する神経カフを使用するあらゆる実施形態が、本発明から逸脱することなく神経カフよりむしろ従来のリード線を使用してよいことが理解される。
実施形態では、経皮的刺激電極122a、122bが、それぞれ腰髄神経標的及び仙骨神経標的に位置する神経カフIPC10、131bを刺激する。どちらかの又は両方の部位が有用であることが判明する場合には、神経刺激装置は埋め込まれ神経カフに取り付けられて療法を続行することができる。代わりに、IPCは、外部電極50から刺激信号を受信する外部皮膚刺激装置(130と同様であるが、図の混乱を避けるために図示されない)と併せて、eTENSシステムとして操作されてよい。
神経経路の1つ以上のサブセットをIPC技術で差動的に活性化することは、(1)選択された治療結果の調節を改善すること、(2)少なくとも1つの刺激により引き起こされた副作用を減少させること、(3)特定の体性神経又は自律神経、これらの神経に沿った領域等と関連付けられた生理反応の選択的な調節を提供するために、同時に起こるが、固有の、複数のIPCのそれぞれに関係する刺激を提供すること、(4)IPCが埋め込まれている体性神経又は自律神経と関連付けられた1つ以上の生理反応を抑制するために、同時に起こるが固有の刺激を提供すること、(5)体性神経若しくは自律神経のどちらか、又は両方と関連付けられた異なる生理反応(直接的又は反射的)の活性化及び抑制の両方に役立つ刺激の混合物を提供すること、及び(6)特定の運動反応及び反応経路の改善された選択的調節を提供すること、の優位点を提供できる。一実施形態では、選択的神経活性化は、1つ以上のIPCの物理的寸法(例えば長さ)と1つ以上の対応する刺激装置の概算寸法との関係を管理することにより達成される。この関係は、例えば図4~図8の結果を使用して導出される原則に従うことができる。
図20Aは、複数の神経標的(神経1及び神経2と名前が付けられた)の選択的活性化のために構成されたシステムの実施形態を示す。システム(又はシステムをシミュレーションするモデル)は、体内に位置する単一の又は複数の神経又は組織(例えば、筋肉組織、結合組織、及び脂肪組織)の選択的な活性化を提供することを支援するために神経組織標的に近接して又はその回りに設置される2つ以上のIPCから構成されることがある。実施形態では、この戦略は、表面刺激電極(D1a、D2a)の間の距離がIPC長(L1b、L2b)に近づくバイポーラ電極を使用して実施できる。すべての電極、及び神経の長さに沿って通るIPCは、各システム構成要素の近端部(Pe)及び末端部(De)に対して位置決めされてよい。IPCの皮膚表面からの深さ(D2a、D2b)は変えられてよい。IPCの長さ、厚さ、形状、導電率、及び端縁位置の少なくとも1つは、例えば、表面からの距離、刺激装置端縁の位置、表面刺激装置間の距離、又は神経調節を強化することに関係する本発明の調査結果に従う1つ以上の表面刺激装置の他の寸法等、他のシステム特性に従って設定する(「対にする」)ことができる。表面刺激装置は、刺激発生器等のエネルギー源に接続することができ、適切な刺激装置間間隔及び向き(例えばD1a)を維持するために単一の非導電性支持バッキング構造の上に存在するように構成されてよい。刺激装置の向きはすべて同じとして示されIPCの端縁と並べられているが、ある量、例えば+/-30%で1つ以上の刺激装置を動かすことは、表面刺激装置の端縁の一部分がIPCの端縁を交差する確率を増加させてよく、これは、それがエッジ位置に関して必要とされる精度がより少ないシステムのセットアップを容易にするため、好ましい実施形態であることが判明する場合がある。システムは、刺激パラメータ(例えば、特定の振幅、周波数、パルス幅、バーストパターン、持続時間、波形、及びデューティーサイクル)の所与の一式を使用して単一神経束の活性化を可能にするか、又は2つ以上の異なる神経経路を刺激パラメータの同じ若しくは異なる一式で調整できる。表面刺激装置1、2、及び3は独立して操作できるか、又は刺激装置2は刺激装置1及び3に対する共通の戻りとなることがある。膝下の神経等の神経を刺激するために使用される場合、システム構成は両側刺激を提供するために患者の両脚に関して実現できる。
図20bは、モノポーラ刺激表面電極138a、138bを利用する改良型経皮神経刺激(eTNS)による選択的な神経活性化の別の実施形態を示す。各IPC134、136、及び対応する「対にされた」電極(それぞれ138a及び138b)の物理的な寸法は、選択的なeTNS(つまり、選択された神経標的の神経興奮性の改善)を提供するために適合するように選択される。この場合、2つの受動的なIPC134、136(神経1及び2の回りに設置された神経カフのフォームファクタとして実現される)の長さはそれぞれL1b及びL2bである。各個別神経の選択的活性化は、表面電極1及び2を通して(経皮膚的に)電気パルスを適用することによって達成され、ここで選択的な強化はIPC+刺激装置対の端縁を一致させることによって改善できる。各表面電極を通して送達される刺激は、今度は、そのそれぞれの神経での対応する活動電位の生成を主にもたらす。モノポーラ実施形態の例では、IPCの少なくとも近位端縁(「Pe」)又は遠位端縁(「De」)が対応する表面電極の端縁と好ましくは配列される。刺激装置とIPCの「対」の長さ並びにIPCと表面電極の端縁の配列での相応関係は、いくつかのモノポーラ実施形態及びバイポーラ実施形態での個々の神経の選択的な活性化を改善するための重要な要因であることがある。図中でL4a及びL1bはほぼ同じ長さに見えるが、L4aはL1bよりも大きい又は小さいことがある(つまり、刺激装置長さはIPC長さに比較して>、=、又は<となることがある)。刺激装置-IPC対は、本発明の原理に従って強化された刺激を提供するために適合できる。刺激システムのすべての物理的パラメータは、個々の患者の中での改善された実施例を決定するために本発明で開示されるモデルを使用してシミュレーションできる。
図21は、自律神経系の神経等の、頭、首、及び胸郭上部の神経を活性化するためのシステム実施形態の概略図を示す。システムは、IPC#1 142aを使用して、てんかん、片頭痛、血圧、鬱病、又は呼吸器疾患を治療するために迷走神経140を刺激するために実行されてよい。第2のIPC 142bは、肥満を治療するために(例えば)褐色脂肪組織又は「BAT」148の中の交感神経を活性化するために埋め込まれていると示される。表面電極1 150a及び表面電極2 150bは、図の混乱を避けるために対応する埋め込まれたIPCに対側に示されているが、通常本発明の原理に従ってIPCと同側且つ適切に並べられて位置するだろう。
迷走神経140(若しくは選択された線維)又はBAT148の中の神経組織のどちらかの選択的な活性化は、それぞれ刺激装置電極1 150a又は電極2 150bによって達成でき、そのどちらかが陽極又は陰極としての機能を果たしてよい。モノポーラ構成では、電極1又は電極2のどちらかのための戻り表面電極は、戻り電極部位で最小の不必要な生理作用又は感覚活動(例えばうずき)を生じさせるために解剖学上適切な場所に設置できる。戻り電極は、肩又は臀部の上部に設置されてよい。電気刺激はまた、バイポーラ式で発生することがあり、ここで各表面電極はバイポーラであり(反対の極性の2つの接点を有する)、好ましくは接点の少なくとも1つの端縁がIPCの2つの端縁の内の1つと配列されるように設置される(図20AのIPC#2の刺激装置♯2との配列を参照すること)。
迷走神経刺激がIPCに対して腹側及び尾側の両方に1対の表面電極を設置することを含むのに対し、BAT刺激は、側面方向にIPCに対して1対の表面電極を設置することを含んでよい。別の実施形態では、2つのIPCは両側に外科的に位置決めできる(例えば、左右の頸部迷走神経を刺激するために)。迷走神経、又はBATの中に位置する自律神経の活性化は、第1の表面電極が左IPC上に設置され、且つ第2の表面電極(つまり戻り)が対側IPCの上に設置されるモノポーラ様式で達成できる。各表面電極は、陽極又は陰極としての役割を果たすことがある。間隔をあけることを支援するために、2つ以上の電極を発泡体パッド等の非導電性支持バッキング構造の上に位置決めすることができ、各接点をそれぞれの極性の電源に接続できる。
実施形態では、IPC#3 142cは、開示されるように閉塞性睡眠時無呼吸及び頭痛等の障害を遅漏するために喉上部又は頭、顔、若しくは耳での場所に設置されてよい。実施形態では、磁気刺激装置152は、組織で電場を生じさせ組織標的の選択的活性化を可能にするIPC近くの組織で場を誘発してよい。
能動的且つ分散された実施形態
ここに示されているシステム及び方法は刺激電極に送られるピックアップ電極を有さないが、ここで報告される調査結果は係るシステムに影響を与えることがある。実施形態では、本発明の原理は、Bioness Inc.に譲渡されているGlukhovskyに対する「Implant system and method using implanted passive conductors for routing electrical current」と題する米国第8,332,029号に説明される刺激ルータシステムのような刺激ルータシステム(SRS)を構成し、改善するために使用できる。例えば、SRSの「ピックアップ電極」は、本発明に係る方法で少なくとも1つの選択された刺激装置によって提供される場を受け取るために構成されてよい。例えば、SRSは、本発明の原理に係る物理的寸法及び少なくとも1つの外部刺激装置との配列を有する構成要素を含んでよい。
実施形態では、IACは、外部電磁刺激装置からその電力を入手し、磁気エネルギーを電気エネルギーに変換するための回路網を具備する埋め込まれた神経刺激装置として実現できる。図21の磁気刺激装置152及びIPC#3 142cは受動IPCを使用するが、代替実施形態は、無線受電装置544、及び電気刺激信号を生じさせるために磁場の収集を制御するための関係回路網等の能動部品142c’を有するIACと連動するように構成される刺激装置152’を使用してよい。どちらのシステムも、実施形態では、(通常は大きい方の)装置が、埋め込み可能な長期迷走神経刺激装置等の、患者に長期にわたってその後に埋め込まれるべきかどうかを判断するために、選択された持続時間の間IPCで刺激を提供する図22bに示される方法等の方法を使用して操作されてよい。スクリーニングに関係する本発明の実施形態は、すべての目的のためにその全体として参照により本明細書に援用される、「Neurostimulator system apparatus and method」と題する米国出願第20130310895号に開示される磁気を動力源とした神経刺激装置、又は「Non-invasive electrical and magnetic nerve sitmulators used to treat overactive bladder and urinary incontinence」と題するSimonらに対する米国出願第20120101326号に開示される磁気を動力源と板神経刺激装置に類似するシステムを使用して実現できる。
介在組織を貫通するように設計された電場の生成は、概して調節される1つ以上の神経の長手方向に力線が伸長する電場を生成するように構成された表面刺激装置によって提供されてよい。実施形態では、刺激装置は、係る電場の生成を容易にするために、神経等の組織標的の長手方向軸に沿って分離されてよい。電場はまた、調節される神経又は組織の少なくとも一部の長手方向に実質的に平行な方向に延在するように構成されてもよい。例えば、実質的に平行な場は、神経に比較して横断方向よりもより長手方向で伸長する力線を含んでよい。このようにして電場を配向することは、神経又は組織を通る電流の流れを容易にし、それによって調節を生じさせる活動電位を引き起こす可能性を高める。したがって、実施形態では、少なくとも1つのIPCの向きは、神経の強化された刺激を提供するために同様に配向される少なくとも1つの刺激装置と効果的に対にされたままであるために、神経の長さに沿って配向される。
スクリーニング及び治療のための組織調節
実施形態では、IPC10は、その介在する組織がIPC10と神経12との間に存在するように位置付けされる神経12である、標的組織の調節を可能にする場所での被験者での埋め込みのために構成されてよい。介在する組織は、筋肉組織、結合組織、又は任意の他のタイプの生物組織を含んでよい。IPC10の場所は、効果的な神経修飾を達成するために神経12との接触を必要としない。しかしながら、神経12にすぐ隣接して位置するIPC10の設置は、ほとんど介在する神経が存在しないように、効果的な神経修飾のために好ましい。埋め込み処置中に、刺激の場所及び量は、多様な刺激プロトコルの適合性、インプラント部位、刺激に対する反応、又は療法の有効性を評価するために、IPC10について試験できる。刺激装置のための候補場所も評価されてよい。IPC及び刺激装置の「対」は、選択された基準又は療法基準を満たすための組織標的の十分な刺激を提供するセットアップが発見されるまで連続して試験され調整できる。さらにIPC及び刺激装置の異なるサイズ、形状、及び数が、埋め込み処置中に評価されてよい。
刺激装置14は、患者の皮膚20に直接的に接触して、又は患者の皮膚20に近いかのどちらかで、患者8の外部の場所での使用のために構成できる。IPCに近い組織に、又はIPC自体に磁場を提供する刺激装置は、皮膚のすぐ上にある必要はない。代わりに、刺激装置14は、接着剤又はゴムバンド、ソックス、又は刺激装置14を定位置に保持するために役立つ他の固定機構を介して患者の皮膚20に固着されるように構成されてよい。刺激装置14は、IPCが強化された調節を効果的に提供するように、適切に位置決めされ、配向され、曲げられ、及び/又は物理的寸法で構成されることによって、刺激装置がIPCと対にされるように設置されるべきである。少なくとも1つのIPC及び少なくとも1つの刺激装置の寸法は、患者の刺激中にこれらの2つのシステム構成要素の間に存在する距離に従って調整又は選択されてよい。
スクリーニング
スクリーニング方法として、eTNSは経皮的刺激(PNS)の使用に優る優位点を有する。いったんIPCが埋め込まれると、その効果は、IPCに最も近い神経の特定の部分の活性化機能を増加させることに関して非常に一定のままであることがある。PNSの場合、針は各刺激セッションの始まりで、皮下空間の中に挿入され正しく位置決めされなければならない。さらに、eTNSは、患者が皮膚の繰り返される穿孔を受けることを必要とされないため、スクリーニング期間が家庭で発生できるようにする。したがって、eTNSは、より頻繁な神経刺激を伴うことがあるスクリーニング/治療処置を可能にする。治療は、当日中に複数回、又は数カ月にわたって毎日発生することがある。これは臨床訪問が必要される場合は困難である。さらに、刺激装置が、通常の日常生活の活動中に刺激するために人の皮膚に固着される場合(おそらく毎日数時間の間)、次いでeTNSは、それが患者に不便をかけることなく長期間にわたって発生することがあるので、PNSに優る重要な優位点を提供する。高価で、長期にわたって埋め込まれる神経刺激装置はより侵襲性であるので、IPCの迅速且つ容易な埋め込みは、適切な療法過程を決定する上の第1のステップとして患者及び医師によって望ましいことがある。IPCが簡略で安価な導電性カフとして実施される場合にはなおさらそうである。IPC手法はより少ない感染リスクを有するので、eTNSはまた、一時的な経皮的リード線を必要とする手法に優る優位点も提供する。スクリーニング中に使用されるIPCは、完全に埋め込み可能な長期刺激装置が保証されるとスクリーン結果が判断する場合に埋め込まれた装置に接続できるコネクタ(例えば、IS-1アダプタ)を有する神経刺激装置電極として構成できる。
実施形態では、少なくとも2つの異なるIPCがスクリーニング又は治療療法のために使用できる。図22Aは、長さL1及びL2の第1のIPC200及び第2のIPC202を埋め込み、次いで第1のIPC及び第2のIPCをそれぞれ刺激することが可能であるように少なくとも1つの第1の及び第2の刺激装置204を位置付ける、方法を説明する。構成要素が対にされた後、治療は、2つの対にされた刺激装置-IPC対206、208の内の少なくとも1つにより提供できる。
図22bは、神経収縮療法の多様なタイプ及びモード(例えば完全に埋め込まれたシステム)の恩恵を受ける可能性がある治療候補患者を検査する方法として、eTNSを使用する方法を示す。実施形態では、方法は、患者210の解剖学的な標的の近位の少なくとも1つの導電性インプラントを、患者の中に、埋め込むステップを含む。標的は、方法のステップ中に評価される候補療法標的として選択される。次のステップ212は、少なくとも1つの刺激信号を、スクリーニングプロトコルに従って患者の外部に位置する刺激装置から患者に提供することである。スクリーニング結果214を生じさせるスクリーニングプロトコルに従って提供される刺激信号の提供に応えて患者を評価するステップもある。スクリーニング結果は、刺激の前後のデータの比較から計算でき、又は刺激が起こる前、間、及び/又は後からのデータの評価を含んでよい。スクリーニング結果は、その間に同じ刺激パラメータ又は異なる刺激パラメータのどちらかが使用された、数週間又は数カ月にわたる、単一の刺激セッションから又は複数の刺激セッションからのデータに対して計算できる。スクリーニング方法では、スクリーニング結果が肯定的である場合、次いで少なくとも1つの肯定的なスクリーニング結果活動が実行される216。代わりに、スクリーニング結果が否定的である場合、次いで少なくとも1つの否定的なスクリーニング結果活動を実行する218ことが実行される。肯定的な結果は、スクリーニング結果が少なくとも1つのスクリーニング基準に比較され、データがこの少なくとも1つのスクリーニング基準を無事に合格する場合に得られてよい。否定的な結果は、スクリーニング結果が少なくとも1つのスクリーニング基準に不合格になる場合に得られてよい。スクリーニング基準は、例えば、膀胱漏れの回数又は重症度における特定の減少、尿意切迫のエピソード等の、選択されたタイプの活動又は状態の低減又は増加であってよく、又は頭痛が所与の期間にわたって患者により経験される。肯定的なスクリーニング結果及び否定的なスクリーニング結果の例がここで示される。
方法は、例えば患者が少なくとも1つのスクリーニング基準を満たした場合に、完全に埋め込み可能な刺激システムを埋め込むことを含む、肯定的なスクリーニング結果活動216を含んでよい。肯定的なスクリーニング結果は、完全に埋め込み可能なシステムが示されることを示す。eTNSに肯定的に反応する患者は、患者がより侵襲的な刺激システムに対する良好な候補であることを裏付けると解釈されるからである。
代替の肯定的なスクリーニング結果活動216は、より侵襲的な刺激システムを埋め込まないことである。患者は少なくとも1つのスクリーニング基準を満たしたので、完全に埋め込み可能な、又はより侵襲的な刺激システムを必要としない。したがって、スクリーニング試験の目的に応じて、肯定的な結果は、完全に埋め込み可能なシステムが保証されること又は経皮システムつまりeTNSシステムが十分であることのどちらかを示してよい。
実施形態では、臨床的に適切な介入の決定は、一連のスクリーニングテストを含んでよい。当初、標準タイプの神経刺激が使用され、その第1の試験の結果に基づいて、eTNSが次いで評価されてよい。eTNS試験に基づいて、標準的なシステム、eTNSシステム、又は完全に埋め込まれたシステムのいずれかが選択されてよい。患者がTNS又はeTNSのどちらかに反応しない場合、次いでシステムは埋め込まれないことがある。さらに、従来の刺激及びeTNS刺激の両方が少なくとも1つのスクリーニング基準を満たすことができない場合、異なる療法モード-例えば脳刺激システムを埋め込むこと等-は、eTNS迷走刺激が機能した場合、保証されてよい。これは、患者らが埋め込まれた迷走刺激システムに対して抵抗性であることによってがっかりするのを省略するので、患者のためになることがある。
患者がスクリーニングプロトコルに不合格となった場合、方法は、例えば完全に埋め込み可能な刺激システムを埋め込むという否定的なスクリーニング結果活動218を含んでよい。この場合、患者は少なくとも1つのスクリーニング基準を満たすことができなかったため、スクリーニングは否定的である。この結果は、異なる療法を患者に提供する結果となることがあり、薬物療法が同時に提供されるべきであることを示すことがあり、IPC場所が変更されるスクリーニングプロトコルがやり直されるべきであることを示すことがあり、刺激プロトコルパラメータが、第2のスクリーニング試験が実行される場合調整されるべきであることを示すことがあり、又は他の代替治療経路が評価に値することを示すことがある。
実施形態では、否定的なスクリーニング結果活動218は、応答しない人として患者を分類し、別のタイプの治療を求めることを含む。代わりに、否定的なスクリーニング結果活動は、刺激プロトコルを変更し第2のスクリーニング計画を提供することを含む。刺激プロトコルの変更220は、インプラントが配置される刺激部位の変更を含むことがある。複数のIPCが埋め込まれた場合、刺激プロトコルを変更することは、異なるIPCを刺激するために外部刺激装置の場所を変更することを単に含むことがある。刺激プロトコルの変更は、例えば1日、1週間、又は月次期間の中で提供される治療刺激の刺激振幅、周波数、刺激間間隔、持続時間、及び数を含む刺激信号の変更を含んでよい。
スクリーニング試験結果は、患者のより大きい臨床上の状況で解釈されてよい。薬剤に対する反応の履歴、患者の年齢、症状、好み、及び快適さに関係する問題等の情報は、スクリーニング試験の結果が以後の治療を調整するためにどのようにして使用されるのかを判断する上で、すべてが役割を果たしてよい。いくつかのスクリーニング基準がスクリーニング試験で使用される場合、これらはともに評価されることがある。例えば、第1のスクリーニング基準は、第2のスクリーニング基準よりも小さい閾値を使うことであることがる。患者は、例えばIPCによる迷走神経刺激に患者が反応することを示す第1のスクリーニング基準に合格することがあるが、eTNSシステムよりむしろ埋め込まれたシステムが評価に値すること、又はTNSシステムよりむしろeTNSが必要とされることを示唆する第2のスクリーニング基準に合格できないことがある。スクリーニングで使用される外部刺激装置は、患者の外部の電気刺激装置、磁気刺激装置、音波刺激装置、又は他の刺激装置であってよい。
スクリーニング試験は、臨床試験で試験対象患者基準としての機能を果たす基準として有用なことがある。例えば、eTNS療法に応答する患者だけが、恒久的に及び完全に埋め込まれる神経刺激装置の候補と見なされてよい。このようにして、恒久的な神経刺激装置の臨床研究はeTNSに応答できない患者を含まず、それによって試験はより大きい治療効果を示すことができることがある。
一実施形態では、eTNSについて患者を検査する方法は、スクリーニング計画に従って患者の外部に位置する刺激装置から患者に少なくとも1つの刺激信号を提供するステップ212と、スクリーニング結果を生じさせるためにスクリーニング計画に従って提供される刺激信号の提供に対する患者の応答を評価するステップ214と、肯定的又は否定的であるとしてスクリーニング結果を評価するステップ214とを含むことがある。スクリーニング結果が肯定的である216場合、次いで方法は少なくとも1つの肯定的なスクリーニング結果活動を実行することを含み、一方、スクリーニング結果が否定的である場合、次いで方法は少なくとも1つの否定的なスクリーニング結果活動を実行すること218を含む。肯定的な又は否定的な結果活動の少なくとも1つの場合、方法は、患者の解剖学上の目標の近位の少なくとも1つのIPCを患者の中に埋め込むことであって、標的が候補療法標的として選択される、埋め込むことと、インプラントに刺激を提供するように刺激装置を構成することを含む。実施形態では、患者は脳障害を有し、刺激装置は経頭蓋磁気刺激装置であることがある。IPCは、皮層の表面から最大でも2インチ(又は頭蓋から2インチ)である組織の中に埋め込むことができる。IPCはまた、鬱病等の障害の治療でTENS(例えばtDCS若しくはtACS)又は電気けいれん療法(ECT)のどちらかを強化するために、皮質の標的の上、又は中に埋め込むこともできる。
スクリーニング試験に関わりなく、試験結果は、患者の症状の主観的な評価について、又は電気的な脳活動、心臓活動、血圧、瞳孔拡張等の目の基準、心拍数、又は患者を評価するために使用されてよい他の特徴を含む感知された生理データ等の測定されたデータの評価について計算できる。測定されたデータについて試験結果が計算される場合、装置50の検知55モジュール及び処理58モジュールはデータ収集及び評価を提供してよい。
埋め込み可能な構成要素の設計
いくつかの例示的なIPC設計が本願の図28~図31に示される。IPCは説明のためにここに示されるものとは異なる配向で代替の形状及び構造で構築されてよい。図33に見られる設計のようないくつかのIAC設計は、すべての目的のためにその全体として参照により本明細書に援用される、ともにMashiachに対する「Electrode Configuration for Implantable Modulator」と題する米国第20130085545号、及び「Apparatus and methods for feedback-based nerve modulation」と題する米国第20130079843号に開示される、刺激システムのIACに動力を供給する磁気手段又はRF手段を使用する装置によって動力を供給されることがある。
本発明のIPCの多様な実施形態とは異なり、Mashiachの技術は、彼の発明の実施形態のすべてについて電磁信号の変換に依存しているが、Mashiachにより開示される電極設計のための原理のいくつかは、電磁信号を使用する実施例、及びeTENS実施形態の外部刺激装置から提供される電気信号を単に使用する実施例の両方について、本発明のシステム及び方法の実施形態に関連している。
図28a~図28cに示されるように、IPC10は、患者8の組織の中へのIPC10の埋め込み、配向、及び固定を容易にするために1つ以上の構造要素を含んでよい。固定要素(複数可)517は、組織にIPCを固定する機能を果たす、例えば、縫合糸穴、細長いアーム、フラップ、外科用メッシュ、生物学的グルー、可撓キャリヤのフック又は犬くぎを含んでよい。固定要素は、患者の中の所望される向きでのIPC10の配列を容易にできる。実施形態では、IPC506は、安定性の増加のために、第1の伸長部532a及び第2の伸長部532b等の2つのウィングアンカーを有する変形可能な細長いアーム530を含んでよい。アンカー要素532a及び532bは、標的及び刺激装置に関してIPC506を固定し配向するのに役立つ。細長いアーム530は、患者の皮膚の真下の柔らかい又は固い組織標的(例えば、神経、骨、又は筋肉等)にわずかに遠位にIPCを固定できるようにする。IPC10は、ほぼ楕円形、円形、環状、円筒形、若しくは矩形の形状、又は患者の中の特定の標的に基づいて決定される形状等の、多様な形状として形成されてよく、又はほぼ楕円形、円形、環状、円筒形、若しくは矩形の形状、又は患者の中の特定の標的に基づいて決定される形状等の、多様な形状をとるために手術前に調整されてよい。実施形態では、IPCの形状、サイズ、向き、剛性、及び他の特性は、調節される特定の組織評定、刺激装置の形状、刺激装置の配列、患者の画像データ若しくは測定値、又は刺激装置とIPCとの間の距離に関して、IPCの配向を容易にするために選択又は調整できる。完全に又は部分的にシリンダ形状の神経カフとして実施される場合、シリンダの2つの対向する端縁はIPC長さに垂直であってよく、又は少なくとも1つは曲げられてよい。さらに、平坦ではなく傾いた、尖った、又は曲線的な端縁が実現されてよい。
図33は、埋め込み可能な能動部品(IAC)を示す。IACは、患者に埋め込むことができる小型ロッドフォームファクタとして実施されるマイクロニューロスティミュレータとして実現されてよいが、簡略な実施形態では、完全に受動的なIPCであるよりむしろRFID回路網等の少なくとも1つの能動部品を有するIPCであってよい。より包括的な実施形態では、IACは、IACの筐体に沿って又は筐体の外部に置かれるアンテナ、レクタナ、及び/又はコイル544を含んでよい無線受電モジュール、IAC筐体上又はリード線の末端部で実現されてよい電極接点546a、546b、並びに無線電力ハーベスティング及び変換(無線電力モジュール548)、通信550、安全及び電力調節552を提供することに関係する回路網を有するモジュール、RFIDチップを含む識別情報モジュール554、プロトコル及び情報を記憶するためのメモリ556、並びに制御装置558等の構成部品を有する。モジュール回路網は、筐体が設けられる場合は、IACに、及び/又は多接点電極リード線等の筐体に接続し、及び/又はIAC筐体560の中に含まれるコンジットに、取り付けられてよい、付着されてよい、又は統合されてよい。モジュールは、治療プロトコルを実現するために及び外部装置によって制御されるために、外部神経刺激装置デバイス50と協力して動作及びデータ/電力通信のために構成されてよい。検知モジュールがまた、患者6からの検出される信号の検出を提供するために含まれてもよい。多様な回路網及びコネクタが、IAC電極接点546に回路網を接続するために使用されてよい。患者の体内の環境から多様なIAC部品を保護するために、IACの少なくとも一部分又はその部品のいくつかは、剛性又は非剛性の筐体、保護コーティング、及び/又は非導電支持部材を含んでよい。いくつかの実施形態では、保護コーティング/外層は、電極リード線等の部品の曲げを可能にするために可撓性材料から作られてよい。実施形態では、保護コーティング及び/又は筐体は、例えば合金、シリコーン、シリコーンゴム、及びポリテトラフルオロエチレンポリイミドを有するシリコーン、フェニルトリメトキシシラン(PTMS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、パリレンC、液体ポリイミド、ポリウレタン、ラミネート加工ポリイミド、ポリイミド、カプトン、黒エポキシ、ポリエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、又は滑らかなPVP、抗菌及び抗炎症コーティングから成るグループから選択される他の適切な生物学的コーティングを含んでよい。実施形態では、保護コーティングは、異なる材料又は異なる層での材料の組合せを含む、複数の層を含んでよい。
IAC及びIPCは回路網を有し、金、プラチナ、チタン、プラチナインジウム、窒化ガリウム、窒化チタン、酸化インジウム、又は任意の他の生体適合性導電材料又はヒドロゲル等の材料の組合せ等の導電材料から作られる電極を含んでよい。IAC/IPCは、その筐体を含め、皮膚のただれの大きなリスクなしに、患者の皮膚の下での埋め込みに適した厚さ及び可撓性で製作されてよい。実施形態では、IAC/IPC10は、約4mm未満又は約2mm未満の最大厚さを有してよく、IPCの導電部品は、図7のデータによって裏付けられるように、わずか0.02mmの厚さを有してよい。図33のIACはシリンダ形状として実現され、それはBIONのシリンダの形状、サイズ、及び設計に近づく又はStimwave Technologies SCS neurostimulator(例えば、米国特許出願第20140031837号「Implantable Lead」)又はMicron Devices neurostimulator(例えばDevices and methods for treating urological disordersと題する国際公開公報/米国第2014/029683号)により開示される神経刺激装置等の神経刺激装置として実現されるが、IAC部品は、標的神経に部分的に又は完全に巻き付く神経カフへと形成でき、又は少なくとも1つの電極接点に電気刺激を提供するために神経カフ又は電極と協調するように設計される。標的神経に非常に近接したIAC又はIPCの経皮的注射は、可能であるが、経時的に起こり得る移動の問題を起こしやすいことがある。しかしながら、数日又は数週間だけ提供される刺激等の、一部の使用では、移動は大きな懸念ではないことがある。単に注入される、又は皮膚を通る接続部を有するIPCは、脊椎の高さでInterstim Systemに使用される(及びステップ210に含まれる)ものと同様に、患者の初期スクリーニング中の一時的な刺激装置として使用できるだろう。
配列戦略
本発明のいくつかの優位点は、少なくとも1つの外部刺激装置と正しく配列されているIPCに依存する。図24aは、本発明により使用されてよく、且つGammaCore組織刺激装置で近似される、図24bに示される刺激装置デバイス400を制御するためのスマートフォン420として実施される制御装置を示す。装置400は、例えばその全体として参照により本明細書に援用される、「Non-invasive magnetic or electrical nerve stimulation to treat or prevent dimentia」と題する米国出願第20130066392号に開示される、すべての構成要素を有することがある。代わりに、刺激装置デバイスは、より分散された構成で実行でき、図18に示される装置50のモジュールを取り込むことができる。実施形態では、2つの刺激装置402、404は、それぞれ導電プレートから構成されることがある刺激装置デバイス400の上に設けられ、装置400の制御回路網を使用して動的に割り当てられてよい陽極又は陰極としての機能を果たす。さらに、いずれかの刺激装置402、404は電極グリッドアレイ100として実現されてよい。代替実施形態では、プレート刺激装置402、404の表面は、電気的に活性又は非活性(例えば、絶縁済み、又は浮動)であってよい別々の領域に分割されてよい。例えば、刺激装置プレート404は、その各行が個々に起動されてよく、且つ隆起等の非導電面により分けられてよい、いくつかの水平接触面412を含むとして示される。水平接点412の一部分だけが、刺激装置の機能形状を決定するために起動されてよい。さらに、水平面412は、これらが少なくとも1つの埋め込まれたIPC10とうまく並ぶように、調節可能に起動できる(患者によって、刺激プロトコルによって、コントローラ装置420又はそれ以外にによって)。さらに、水平面412は、調節可能な刺激装置間距離を有する少なくとも1つのバイポーラ電極として機能を果たすことがある。刺激装置404は、例えば、刺激装置接点412及び少なくとも1つのIPCの端縁を並べるために回転されてよい(電動式の調整手段が装置400の筐体の中に設けられる場合に、手動制御下又はモータ制御下で)。刺激プログラムの、刺激プロトコルパラメータ(制御装置420又は装置400によって提供される、は、刺激の間隔中に埋め込まれたIPCの端縁と接点412がうまく配列される可能性を高めるために、療法送達の間に異なる回数で異なる接点412に刺激信号を向けてよい。
コントローラ装置420は、ユーザが刺激を制御し刺激装置及びIPCを配列できるようにする。実施形態では、静止フレーム及びビデオデータを取り込むことができるデジタルカメラ406が提供され、デジタルデータは次いでユーザに表示され、装置400を正しく位置決めするのに役立つ。例えば、装置400は、療法の提供中に、装置400を位置決めすることに関係するソフトウェアを操作するように構成されたタブレット、スマートフォンコントローラ装置420と通信するためにその通信モジュール68を使用できる。通信は、ブルートゥース又はWiFi等のプロトコルを使用する無線であることがある。代わりに、通信信号は、装置400上の少なくとも1つの付属品ポート416を使用して、スマートフォンコントローラ420を装置400に接続し、且つ例えばUSB通信プロトコルを使用して、通信する、物理ケーブル422を使用して送信及び受信できる。動作中、装置400は、ユーザが皮膚のどの領域が刺激されているのかを見て調整することができるように画像を表示するスマートフォンに、ビデオデータを送信する。
実施形態では、手術の痕、又は「+」記号等の恒久的若しくは一時的な入れ墨記号が、IPC用の場所マーカ424としての機能を果たしてよい。図24aでは、刺激装置は図の混乱を避けるために患者を指していると示されていないが、スマートフォンの画面によって表示される「+」記号。IPCの端縁だけではなく軸も装置400の刺激装置とより正確に配列するために、入れ墨等の2つのマーカがあってよい。実施形態では、場所マーカ424は電気伝導性の入れ墨であり、装置400の刺激装置又はセンサが入れ墨と接触すると装置400上の少なくとも1つのセンサが信号を発行できるようにする。本実施形態では、装置400は、装置400によって検出される入れ墨と正しく配列されると閉電気回路を確立するように設計される。例えば、インピーダンス回路は2つの刺激装置間のインピーダンスを検出でき、それは、これらのそれぞれが導電性入れ墨と接触している場合に著しく低くなるだろう。代わりに、入れ墨自体は、1つ以上の刺激装置と連動するように設計され、IPCの端縁と配列される刺激装置の伸長部としての機能を果たすことがある。実施形態では、神経刺激装置デバイス400は、患者の皮膚の上に視覚的な配列信号426としての役割を果たすボックスを投影する。信号は、例えば、刺激フィールドが標的「+」に対してどこに位置するのかを示すことがある。視覚グラフィック信号は、刺激を送達する前に正しい配列を達成するように装置400をどのようにして位置決めするのかをユーザに示すことができる、ナビゲーション矢印428a及び428b等を、スマートフォン420の画面上に重ね合わせることができる。言い換えると、ユーザは、シミュレーションの前及び間に+記号場所マーカ424がボックス426内に存在することを確認しようと試みるだろう。さらに、「+」記号を有する代わりに、装置400は場所誘導モジュール408も提供でき、これはシステム構成要素を配列するのを助けるための回路網及びルーチンを含んでよく且つ配列を支援する(例えば、刺激装置への動脈の近接性を検出することによって)ためにNIRSセンサ及び/又はレーザーを含んでもよい。実施形態では、「+」場所マーカ424は、光学的に又は別の方法でIPC10の位置及び/向きを検出できるコントローラ420又は装置400によって生成されてよく、これは配列を誘導するために使用されてよい。コントローラ装置420上のスピーカ430は、「刺激装置をわずかに上方に移動してください」等の聴覚誘導キュー又は刺激装置とIPCの両方の端縁がうまく配列されると周波数が変化する一連のビープ音を提供してよい。
実施形態では、刺激装置400のプロセッサは、データについての計算の結果により刺激装置プレート402、404の特定の領域を選択し活性化するために、デジタルカメラ406によって収集される視覚画像データを分析できる。刺激装置で活性化される領域は、したがって標的組織の刺激に関係する刺激装置及びIPCの配列を改善するために調整される。実施形態では、装置400は、ユーザが刺激パラメータ又はプロトコルを修正できるように動作するよう構成される、タブレット又はスマートフォンコントローラ装置420と通信する。装置400は刺激を調整するためにその筐体上に位置付けられる制御手段を提供されてよいが、高齢の患者又は身体障害のある患者は刺激の正確な手動制御を容易に達成できないことがある。装置400の筐体の外部に置かれ、有線で(付属品ポート416を介して)又は無線で接続されるスマートフォン又は他のタイプのコントローラ420を使用することは、患者のコンプライアンスを高めることがある、より大きい制御及びよりユーザフレンドリな経験を提供してよい。
実施形態では、GammaCoreに類似する装置は、多機能である付属品ポート416を有することがある。少なくとも1つの付属品ポートは、電極又は他のシステム構成要素又は外部装置等の少なくとも1つの追加システム構成要素への接続を可能にできる。使い捨て電極等の刺激装置又はセンサは、付属品ポート416につながるコンジットに取り付けることができる。装置400は、より遠位に位置する第3の電極と組み合わせて、少なくとも1つの刺激装置402、404から次いで刺激できる。これは、例えば装置400が、刺激と、それが刺激の前、間、又は後に発生することの検知の両方について構成される場合、役立ってよい。これらは双極子の同じ側にあってよいので、第3の電極は、404に対して参照される402を使用して可能なものよりも大きい双極子(402又は404のどちらかに対して参照される第3の電極の)の測定を可能にする。心臓つまりEEGデータの記録では、この追加電極は、改善された測定及び機能性を提供できる。これは、装置400が迷走神経を刺激し、且つ、付属品ポート416に接続されECG活動を確実に測定するために被験者の上に設置される2つ以上の電極を使用して心臓活動を記録することも可能にしてよい。第3の電極の優位点は、2つの固定された刺激装置が好ましくない場合にも刺激に有用であることもある。別の利点は、2つの剛性刺激装置402、404の少なくとも1つが、被験者のこめかみを刺激するために使用できる点であり、一方、第3の電極は、固定された刺激装置から電極へ刺激信号を移動させる(つまり頭の前から後へ、又はその逆)ために頭の後部に位置付けられてよい。これは、互いの近位に位置する2つの固定された刺激装置を使用して発生することがあるよりも、患者の脳又は脳神経の中への信号のより大きな伝送を保証してよい。また、少なくとも1つの遠位に位置する電極が、対側の迷走神経に刺激を提供するために、又は単独で若しくは迷走神経刺激と組み合わせてのどちらかでtDCS等の神経刺激を提供するために使用されてもよい。
実施形態では、ポート416は、表面電極からの信号を記録するために使用でき、それは、療法反応を評価するため又はPTNの近くに埋め込まれたIPCと刺激装置を配列するために使用できるフィードバック信号(例えば、足EMG等の測定)を提供できるだろう。別の実施形態では、EMG電極は、eTNSの間の迷走神経活性化を測定するために咽頭の上に設置できる。実施形態では、装置400は、少なくとも1つの固定された刺激装置402、404、及び固定された刺激装置402、404から少なくとも3インチ離れて位置する少なくとも1つの電極とコンジットを介して通信する少なくとも1つのポートで構成される。
図24cは、携帯装置400’がレーザーベースの刺激、超音波ベースの刺激、電気ベースの刺激、又は磁気ベースの刺激の内の少なくとも1つを提供するために刺激装置402’で構成される代替実施形態を示す。刺激装置は、図中では固定されたプレートとして示されているが、刺激装置は装置400’筐体に関して調整可能であることがある。例えば、筐体内には、曲げられてよい可動磁気コイルが存在することがある。コイルは交換可能且つ調整可能であってよい(例えばヘルムホルツコイルは数字の8のコイルと交換されてよい)。付属品ポート410は多機能であり、且つ装置400’によって制御される多様な刺激装置を提供してよい他のシステム構成要素への接続及び通信を可能にしてよい。携帯可能な実施形態として示されているが、装置400’は、装置50等の研究室ベースの計器として実現されてよい。例えば、超音波刺激装置又は磁気刺激装置は、示されている実施形態よりもはるかに大きくてよい。
図24dは、携帯装置400”がモダリティ特有(例えば、光、超音波、電気、又は磁気)の刺激装置402”で刺激を提供するように構成されている、代替実施形態を示す。装置400”は少なくとも1つの調整可能な刺激装置で構成されてよく、これにより刺激装置の天使、能動素子、又は他の特性等は、それらがうまく対にされるように特定の標的+IPC組合せに対して調整されてよい。被験者に経皮的な刺激療法を提供するための方法は、患者の足の上面若しくは底面又は内果の近く且つ組織標的の近くに位置するIPCの近くの領域の少なくとも1つの上に刺激装置402”とともに装置400”を位置決めしすること、及び標的神経を刺激するために皮膚を通して刺激信号を提供すること、を含む。方法の実施形態では、装置は、被験者の足の親指の近くに位置するIPC及び組織標的はMPN;被験者の3つの小さな足指の近くに位置するIPC及び組織標的はLPN;内果の下方に位置する少なくとも1つのIPC及び標的はMPN及び/又はLPN;内果の頭方向且つ前方に位置するIPC及び標的はSAFN;内果の後部に位置するIPC及び標的はPTN、の1つを刺激するために患者の皮膚の上に設置される。IPCは患者の一方又は両方の下肢に埋め込むことができる。
図25は、例えば、迷走神経又は後脛骨神経の刺激の間に、図24bに示される装置400と使用されてよい皮膚多接点アレイ刺激装置440を有する実施形態を示す。アレイ刺激装置440は一連の電極接点442a~442eを有し、そのすべては独立に活性化されてよい。接点442a及び442bだけが刺激信号を提供するために使用される場合、次いでこれは、442a~442eが使用される場合よりもより小さい機能刺激端子を生じるだろう。接点442a~442eのサブセットは、患者若しくは医師が療法の提供中にどの接点が使用されるのかを制御できるようにすることによって、又は刺激プロトコルの一部としてこれらを定義若しくは決定させることによって、小さい方の長さ又は大きい長さのIPCと刺激装置を対にするために使用できる。刺激アレイ440はまた、皮下に位置するIPCとの改善された配列を提供するのを助けるために、1つ以上の配列ループ444a、444bから成ることもある。例えば、患者は、IPCの場所に従って設置される恒久的な又は一時的な入れ墨を有する可能性があり、これにより穴(444a、444b)は療法中に患者上のマーカと並べられるはずである。図は、シリコーンエラストマ、プラスチック、又はナイロン等の可撓で非導電材料を使用して製作できる、接点442が存在するバッキング基板446を有する刺激アレイ440の上面を示す。底部側は表面接点442a~442eを単に有する。接着面又は糊は、被験者の皮膚への付着を支援することがある。アレイ刺激装置は、使い捨ての簡単に処分できる多電極として構成されてよい。電気接続448は、各接点442a~442eからポート449へ通り、ポート449は、刺激装置440が装置400の第2の付属品ポート416から制御され動力を供給できるように、ケーブル422上でプラグに接続する。使用される電極接点442a~442cのサブセットは、特定の刺激プロトコルを選択することによる、手動調整を介して、又はスマートフォン装置コントローラ420に示される概略図等の視覚的なインタフェースを使用することによって、のどちらかで、装置400によって制御できる。例えば、ユーザは、スマートフォンによって表示される概略図に示される、対応する仮想電極をタップすることによって、電極接点の内の1つ又は複数を起動してよい。
実施形態では、少なくとも1つのビーズ(例えば、生体適合性ペレット)等の物理的なランドマークが、装置400又は刺激装置402、404の正しい設置を支援するために皮膚に固着されてよく、又は皮膚の下に埋め込まれてよい。ランドマークは、少なくとも1つの埋め込まれたIPCに関して外部刺激装置を正しく位置決めするのを助ける触覚表示、視覚表示、又は他の表示を提供してよい。
eTNSフィールドの制御及び整形
実施形態では、刺激装置アレイ440は、等しく間隔をあけられる、又は間隔をあけられない複数の導電性要素から成るIPCに結合されてよく、図26aに見られるようにその長さに沿った接点442a~442e間の距離を有する。電極接点442a~442eの端部の1つを、IPCアレイ452の接点454a~454eの対応する端縁と並べることによって、神経活動の改善された調節が達成されてよい。IPC452はまた、単一のTENS刺激電極が使用される場合にも優位点を提供してよい。実施形態では、IPCは長さ3cmであってよく、2つ等の複数の、非導電部分によって分けられる1.2cmの導電性部452a、452bを含む。この設計は、表面刺激装置が正しく位置決めされる可能性を、その端縁の1つがIPCアレイ452の導電性部の少なくとも1つの端縁とほぼ並ぶ可能性を高めることによって高めることがあってよい。これは、刺激拡張を提供しつつ、外部刺激装置電極をそれほど厳密にではなく位置決めできるようにしてよい。実施形態では、任意の単一の接点に到達する電場がアレイの他の接点に沿って伝送されるように、非導電基板により分けられる2つ以上の導電接点の集合は、電気的に接続される(例えば、IPCの長さに沿って通る導電素子)。改善された調節はまた、例えば、単一の神経又は複数の神経(複数可)に沿った1つ以上の場所で活性化関数(例えば、強化された神経興奮)を無関係に修正することによって提供されてもよい。IPCアレイは、神経の回りに完全に巻き付けられて示されているが、神経に隣接して、又は神経の回りで部分的に巻き付けられた半カフとして、又はリードタイプ多接点電極等の別の方法で存在するシリンダ形状の実施形態で実現できる。電極間の間隔が十分である場合、又は刺激信号が異なる時間で提供される場合、各受動接点452a~452eは、異なる刺激周波数で線維を活性化するために使用できる。このようにして、1つ以上の接点が、一方向の神経活動電位の生成を促進するために、又はより小さい直径の繊維だけを選択的に活性化するために使用されてよい。後者の2つの方法は、ラジオ波(RF)刺激、DC電流、又は擬似台形パルスを使用する等の多様な手段により達成できる(例えば、Fang ZP及びMortimer JT、IEEE Trans ME 1991年:Kilgore KM及びBhadra N. Med Eng Biol Comp.、2004年)。
実施形態では、IPCは、複合神経幹の中に位置する線維のサブセット又は特定の神経束を選択的に活性化するように構成されてよい。係る神経の例は、迷走神経、坐骨神経、陰部神経、後脛骨神経、及び大腿神経を含んでよい。神経線維の係るサブセットのこのタイプの空間的に選択的な電気活性化は、低導電基板材料又は非導電基板材料452(又は非導電塗料で覆われる導電材料)、及びIPCの長さに沿った高導電材料452fのストリップから成る、図26bで等の中空シリンダ形状IPCを設計することにより達成される。本実施形態は、ストリップ452fに近接する神経線維の興奮性を選択的に強化し、一方で、あまり導電性ではない材料又は非導電材料452により近く位置する隣接する線維は、興奮性の変化の減少、又は興奮性の変化なしを示す。複数の標的(例えば、神経幹の中の束)の事前の知識により、複数の導電ストリップ452fは1つ以上のIPCに沿って戦略的に設置されてよい。導電ストリップはまた、幅(神経周辺の回りの)及び厚さでも変化してよい。再び、神経カフはシリンダとして閉じられた位置に示されているが、一般的な実施形態では、カフは埋め込み中に、部分的に又は完全に神経の回りに巻き付けられ、閉じられたシリンダは、単に説明のために簡略化して示されるにすぎないことが理解される。
実施形態では、神経拡張活性化は、非導電塗料を外部IPC表面の少なくとも一部分に塗布することによって高められてよい。非導電層が表面を覆う範囲は、部分的(例えばシリンダ形状のIPCの4分の1)又は完全(表面全体)であってよい。この効果は、この絶縁層をIPCの内面に適用することによっても高められてよい。本実施形態では、周囲環境に電気的に露呈されたままでなければならない領域だけが、IPCの両端でほぼ周縁端縁を含む。神経興奮性を強化するこの方法及びシステムは、外部(例えば経皮)刺激電極(図20a及び図20b)の好ましい設計と併せて機能する。図26cで、部分452g及び452fが線維に沿って連続して繰り返される場合、IPCは、図26aに示されるIPCの代替実施形態として理解されてよい。
刺激装置によって提供されるフィールドを整形するための代替実施形態は、図27に示されるように刺激テンプレートを提供することである。刺激テンプレートは、刺激装置及びIPCの端縁を並べることを支援することによって、改善された神経調節の優位点を提供する。IPCがなくても、整形されたフィールドは、刺激装置402、404の全面のより大きいフィールドを使用することに比較されると、改善された療法を提供してよい。テンプレートは、例えば、組織に適応されるフィールドの整形を可能にするために、刺激装置フィールドを制約することがある。テンプレートは、埋め込み動作中の測定によって視覚的に、画像データを使用することによって、IPCの物理的寸法に関係するデータを使用することによって、又は刺激が提供又は回避されるべきである(例えば特定の副作用を避けるために)患者の皮膚の表面上の所望される領域を決定する試験ルーチンの間の被験者のフィードバックを使用することによって等の多様な方法で得られるデータに従って整形されてよい。示されるように、蓋テンプレート460は、被験者の皮膚を刺激するシルエット461又は刺激装置402表面の部分だけを可能にする「カットアウト」を有することによって、皮膚場所に設けられるフィールドを整形するために使用できる。蓋テンプレート460は、装置筐体内に構成される蓋受け器構成要素を用いて装置400に付着されてよい。代替実施形態では、ステッカー刺激テンプレート462は、それが刺激装置表面404に一時的に固着できるように接着材を片側に有する、刺激装置表面404と使用されてよい。接着剤を使用するよりむしろ、ステッカー又は蓋テンプレートは、それが一時的に固着され且つ刺激表面404から除去できるように、磁気材料から作り出されてよい。追加実施形態では、ステッカー又は他のテンプレートは、刺激表面にではなく患者の皮膚に固着されてよい。
テンプレートのタイプに関係なく、実施形態では、刺激テンプレートは、テンプレートの非導電表面は乾燥したままである一方でシルエット461がゲルを保持するように、ゲルを塗布できるようにするのに十分な深さを有する必要がある。シルエット461は、シルエット461の形状内にゲルを保持するのを助けるためにわずかな隆起でさらに構成されてよい。「カットアウト」である代わりに、蓋は、隆起だけが蓋表面から突出し被験者の皮膚と係合するように、隆起を付けることができる。さらに、ゲルは、ECG記録中に多くの場合使用される導電ゲルに類似してよく、又はEEG記録を行うためにも使用される導電ペースト等のように、より固くてもよい。ペーストは、刺激装置の所望される形状を保持するのに十分に堅くあるべきである。ヒドロゲル等の導電媒体もまた、シルエット461内に収まって整形されたフィールドを提供するために製造できる。空間を画定するシルエットの代わりに、テンプレートは、面全体402よりもより局所化された方法で接触するために皮膚に突出する1つ以上の導電隆起を有してよい。
IPC構成要素設計
開示される発明のIPCは、多くの形状及び形式を有することがある。図28~図30は、代替の形状、寸法、設計、及びサイズが考えられ、ここに示されていない追加の特徴を有することがあるという理解のある実施形態を示す。
図28aは、非導電材料又は導電材料から成る外側シース502及び導電性である内側部分504を有するロッドである、IPC500を示す。非導電層を有する実施形態の優位点は、刺激装置によって提供される電流が導電部分を通って移動し、導電端縁が2つの異なるポイントとしての機能を果たすことがある点である可能性がある。これは、IPCの各端縁に近い隣接神経組織12の活性化を強化することがある。代わりに、IPC500は、完全に導電性としてコーティング502なしに実現されてよい。図28bは、非導電外側シース502が部分的であり、且つ導電性部分508の大部分を絶縁するにすぎない、代替実施形態を示す。本実施形態では、導電リップ510がシースの外部で伸長し、IPCに垂直に配向して示される神経12を刺激する。実施形態では、これは、刺激の目的が神経12の一部分で神経ブロックを提供することである場合に、好ましい向き/構成であってよい。しかしながら、IPCを神経に沿って縦方向に位置決めすることは、図28aで見られるように埋め込みにとって一般的な構成である。図示されていないが、示されるすべてのIPCは、縫合糸穴、ウィング等の、アンカー要素と構成されると理解される。図28cは、導電ロッド506(図28d、図28c、及び図29aの場合のように、ページから出入りする)として実施されるIPCを示す。IPC506は、第1の伸長部532a、及び任意選択で、標的に対してIPC506を位置決めし配列するのを助けることがある第2の伸長部532bを有する細長いアーム530から成るアンカー要素を含んでよい。図28dは、IPCの表面積/密度を減少させるために役立つ非導電性の外部支持面502を有する導電メッシュ505の環状ロッドとして構成されるIPCを示す。これは、対にされた刺激装置との結合を増強するために役立つことがある。図28eは、IPCが、従来の神経カフ設計で見られることがあるように、部分的に神経12の回りに巻き付けられる中空の導電シリンダ511である実施形態を示す。シリンダは、外科医の誘導の下での埋め込み中に発生することがあるように、IPCの変形の間にサイズが変化することがある、開口部512を有する。システム構成に応じて異なる長さが必要とされることがあるため、IPCの集合は、例えば、この範囲に沿って0.5又は1cmずつで、1cm~4cmの長さの範囲にわたる、長さ及び又は幅のIPCを含むことがある。より多くの数のより一般的なIPCサイズは、例えば、後脛骨神経刺激治療の一部としてIPCを埋め込むクリニックにより在庫に保管される可能性があるように、IPCキットで提供できる。IPCの設計はまた、IPC長さを調整するためにこれらを切断する(例えばロッドの場合)又は折り畳む/曲げる(薄い箔状の表面設計の場合)ことを可能にしてもよい。IPCは、インプラント手術の前又は間にカスタマイズできる。これらの修正は、例えば、この修正中に生じる鋭い端縁から保護するために、生体適合性のあるエポキシ樹脂又はシーラントを使用することにより支援されてよい。
IPCは、通常、OAB患者の一般的な母集団に対して一連の所定の長さとして実現される。人間でのPTN刺激に関係する実施形態では、神経の深さは約0.8~2.5cmの深さであってよい。一般的なIPC設計は、約1.5cmの長さ、厚さ350um、及び内径3mmを有してよい。1つから4つの長さは、患者の母集団全体での解剖学上の多様性におそらく対応できるだろう。画像データは、患者に使用されるIPC設計を選択又は調整するのを助けることがある。PTN神経枝の選択的な刺激のためにIPCを使用する場合、PTNの形状及びサイズは、標的の場所に関連することがある。療法中に、複数の標的を使用できる。表面的に通る傾向があるSAFN神経枝の場合、1つ又は2つのサイズのIPCで十分である可能性が高い。
示される実施形態に加えて、IPCは、導電ロッド、シリンダ、シート、又は標的神経の近くに固定される導電性の可撓ワイヤ縫合糸等の幅広い糸(例えば2~4mm)、メッシュ、その形状を維持できる生体適合性導電ゲル(例えば導電ゲル、標的神経の近くに又はゲルを受け入れるためのポケットを有するレセプタクルの中に外科的に埋め込まれてよいヒドロゲルのスライスの上にパターン化される導電性ポリマーの可撓で有機的な組成物等)、複数の導電粒子(標的神経、標的神経の回りの組織の中に注入されてよい)、生体適合性と適切な導電性の両方を可能にする適切なミクロベース又はナノベースの材料、並びに異なるタイプの導電神経カフ電極として実現できることが理解されるべきである。
図29aは、IPC長さに垂直に任意に配置された神経標的12に対する位置での2つのIPCを示す。第1のIPC500aは、刺激中に異なる外部刺激装置が標的の2つの部分を異なるように刺激できるようにするために、500bとは異なる第1の長さを有する。図29bは、それが休止時に中空シリンダ中へとそれ自体コイル状になるように製作され、且つ内径が神経12の直径に等しいか神経12の直径よりも少し大きいようなサイズで選択される、IPC500cを示す。セルフサイジング特性は、IPCと神経との間に密接した界面を提供し、インプラントに続くIPCによる神経圧迫(例えば膨張に起因する)も防ぐ。
図30aは、標的神経12aの近くに配列される導電性部514と、非導電性部516の両方を有する埋め込まれたIPCの実施形態を示し、それは、非標的神経12bの近くで、刺激フィールドの電気的強化を防ぐコーティングにより実現でき、刺激装置はページの外部に位置する(つまり、図はサイズの図である)。代わりに、非導電性部は、IPCの下側にだけ存在するコーティングによっても実現できる(刺激装置はページの上部に位置する)。IPCが、一方が標的12aであり、他方が非標的隣接神経12bである2つの神経の間に位置する場合、次いで部分シールドが、非標的神経がeTENSにより影響を受けるのを妨げてよい、又は防いでよい。したがって、ページの上部に位置する、又はページの中を見る人の角度で位置決めされる刺激装置は、神経標的12aに好ましく刺激を提供し、一方で非導電部516は、非標的領域12bからフィールドを絶縁するだろう。非導電性部はまた、導電性部より長くてもよい。縫合糸穴等の少なくとも1つの固定要素517が、IPCを神経の領域中の組織に固着できるようにするために、IPC上に設けられてよい。導電部品514の端子側終端は、表面刺激装置との端縁配列の確率を高めるために丸くされており、ここで配列は2つの端縁の重ね合わせの一部分を構成する。
図30bは、導電性である、異なる長さの少なくとも第1の部分519及び第2の部分520を有するIPCの実施形態を示す。この設計は、刺激装置がIPCの導電性部519、520の少なくとも1つの端縁とほぼ並べられる可能性を高めることによって、標的神経の刺激拡張の可能性を高くしてよい。導電素子521は、素子が設けられない場合に比して、神経に隣接し追加の強化を提供する2つの部分519、520を電気的に接続するのに役立ってよい。
実施形態では、刺激ルータシステム(SRS、University of Albertaで開発)は、末梢神経系を電気的に活性化する低侵襲的手段を達成する、埋め込まれた装置の別の例である。SRSは、埋め込まれた神経電極526に送られるリード線524を介して物理的に接続される金属ディスク515(『ピックアップ端子』と呼ばれる)から成る。ピックアップ端子は、皮膚表面の直下に外科的に設置され、外部皮膚適用電極によって印加される電気パルスを『取り込み、別の経路に切り替える』。したがって、神経電極は、経皮結合機構によって動力を供給される。システムは、現在、臨床実現可能性試験を受けているところである。このシステムは、埋め込まれたパルス発生器がないことを除き、従来の神経刺激システムと本質的に同一である。埋め込まれた電源の代わりに、本手法は、外部刺激装置、及びSRSの長期使用に関係する他の潜在的な問題を犠牲にして動力/制御の問題を解決する少なくとも1つの皮下ピックアップ端子を活用する。さらに、SRSシステムの有効性は、その表面電極+ピックアップ端子結合機構の最適ではない設計によって損なわれることがある。本発明の方法及びシステムは、ピックアップ電極が長さ、距離、及び端縁の対形成に関してここに開示される原理に従って構成される場合に、SRSシステムを改善するために使用され得る。
図30cは、第1の導電部品515が、第1の導電部品から離れて位置する電極526に可撓導電素子524によって付着される、IPCの実施形態を示す。あるケースでは、第1の導電部品515は、『ピックアップ』電極として機能し、それは次いでより遠位の場所に電気エネルギーを中継できる。第1の導電素子515又は電極526が皮膚の直下に位置する場合、次いで実施形態はSRSシステムに近づき得る。しかしながら、ピックアップ電極515が皮膚から離れて行くので、eTNSに関係する開示される発明の原理及び指針は、より効率的にIPCを刺激装置と対にするために使用できる。例えば、刺激装置の端縁を導電部品515若しくは電極526と並べること、又は2つのシステム構成要素間の距離に従って刺激装置及び対にされた導電部品515の形状を修正すること、並びに他の要因が開示されている。本発明の原理に従うことによって、療法を達成するため標的組織の十分な刺激を提供しながら、刺激装置とSRS導電部品515間の距離を以前に理解されるより大きくすることがある。
図30dは、その属性522a、522bのない部分(つまり、非導電性)が点在する、特定の属性518a、518b、518c(例えば、属性は導電性であってよい)を有するいくつかの部分がある、IPCの実施形態を示す。この設計は、神経の異なる部分を刺激するため、又は本発明の原理に従って結合を増すために少なくとも1つの刺激装置端縁が導電性部の端縁と並ぶ確率を高めるため、のどちらかのために使用できる。導電性部及び非導電性部の代わりに、特定の属性は、例えば超音波変換器によって提供されるエネルギーに対する音響的な共鳴性であってよい(共鳴部分は、刺激装置エネルギーの振動の固有周波数、又は高調波に一致する周波数でそれらが駆動される場合より多くのエネルギーを吸収できる)。実施形態では、音響共鳴は機械的な共鳴の形であるので、次いでIPC部分の固有周波数をその特定の属性518a、518b、518cと一致させる周波数のエネルギーを生じさせる、任意の刺激装置ソースが使用されてよい。実施形態では、IPCの共鳴部分は、刺激装置によって提供される刺激信号の周波数又は高調波で共鳴する中実又は中空のロッドであってよい。実施形態では、特定の属性518a、518b、518cのある部分は、外部刺激装置が光エネルギー又はレーザーエネルギーを提供する場合に、光を反射するか吸収するかのどちらかを行って隣接する組織の刺激を強化するように構成される。例えば、部分は、送信機から送信される光エネルギーが刺激される組織の特定の領域の上に部分によって反射されるように、反射性であってよく曲げられてよい。さらに、非導電材料から形成される、又は非導電材料から成る少なくとも一部分を有する管又は神経カフは、電場から非標的神経を絶縁するために使用されてよく、一方で導電IPCは、刺激に対する標的神経反応性を増加させるために使用される。実施形態では、IPCは、刺激から非標的組織を遮断するために埋め込み中に配備される、非導電性のアンカー部分(例えば、「シールドフラップ」)で構成できる。IPCの他の構成要素を取り囲む非導電基板516は、IPCが曲げられる場合、IPCにその形状を保持させる又は曲げに抵抗させるためにIPCに追加の剛性を与える外側リングで形成されてよく、円周状に配備されてよく、又はIPCの側面、上部、若しくは底部の一部に沿って存在してもよい。
図31は、IPC10が末梢神経12(例えば、迷走神経又は腎神経)の回りに埋め込まれる、eTENSシステムの経血管実施形態を示す。神経刺激電極533は、神経刺激電極がIPC10の近接にあり、IPC10と適切に配列されるように、血管534の中に挿入され、血管534を通って誘導される。電気刺激は、活性電極接点531及び/又は536から送達できる。電極533は、リードタイプ電極であってよく、又は血管の中への配備のために血管ステントと同様に製作されてよい。さらに、電極533は、リード線545を介して直接的に動力を供給されてよく、又は電極533は、関連回路網を有し、無線で(例えばRF信号)動力を供給されてよい。本実施形態は、標的神経12の選択的な電気活性化を可能にする。
図32は、表面刺激装置528a~528c及び529a~529bの2つのアレイを示す。刺激装置は患者の背中に位置し、少なくとも1つの刺激装置は脊髄神経に最も近く位置する埋め込まれたIPCと対にされる。使い捨ての又は再利用可能な刺激装置528a及び529aを活性化することによって、刺激信号は、少なくとも患者の中に位置するIPCによって調節できる。刺激の多様な空間パターンが装置50によって提供でき、それは刺激装置に接続されてよく、且つIPCに隣接する神経に刺激を提供するために刺激装置の組合せを刺激するよう制御されてよい。実施形態では、528aと529a、及び次いで528aと刺激装置529bの上部導電素子等の、アレイの選択された刺激装置の対を活性化することによって、刺激信号は、患者中で少なくとも1つのIPCに刺激を提供する場合に異なる経路をたどることができる。これは、少なくとも1つの刺激装置の端縁とIPCの端部との間の改善された配列の可能性を高める。刺激装置529bの2つの導電素子があり、それは単一の非導電支持バッキング構造の中に存在し、IPCの長さ又は幅に関係してよい距離「w」で分離される。図32の実施形態では、刺激装置のそれぞれは装置50/400に接続でき、それは装置に記憶される療法プロトコルに従って刺激の空間パターン又は空間時間パターンを提供するために刺激装置を独立して活性化でき、又は各刺激装置を選択的に活性化するために手動制御装置を使用して患者によって制御できる。図中で、ポイント「z」での矢印の端部で患者に埋め込まれる、IPCが示される。IPCは、刺激される脊髄神経根の近くに埋め込まれ、且つIPCは、IPCの形状を維持するのに役立つ相対的により剛性の隆起654を有する非導電支持構造652によって取り囲まれる、導電メッシュ650を含む。
臨床応用例
本発明は、任意の形の組織刺激を活用する多数の療法で適用できる。本発明の改良型経皮神経刺激方法及びシステムは神経修飾療法に使用できる。一実施形態は、皮膚表面に相対的に近接して位置する末梢神経の電気刺激を含む。適切な解剖学上の標的のいくつかの例は後頭神経、迷走神経、反回神経、仙骨脊髄神経、陰部神経、後脛骨神経、及び胸郭/腰部神経(腰)を含む。1つ以上の神経標的が、急性/慢性の疼痛、下部膀胱/糞便機能不全、てんかん、鬱病、不全失語症、及び周知である他の障害をを治療するために使用できる。これらの療法実施形態のいくつかでは、埋め込み可能な装置は、電気刺激療法によって提供される治療効果を提供又は補足するために使用されてよい。例えば、OAB治療は、仙骨神経を刺激する埋め込み可能なシステム、およびPTNを刺激する改良型神経刺激システムによって達成することができる。
改良型神経刺激システムは、薬物療法又は従来の経皮刺激療法に抵抗性を示す患者を治療するために使用されてもよい。改良型神経刺激システムはまた、療法を強化するために又は抵抗性を示す患者の応答性を改善するために薬物療法と組み合わせて使用されてもよい。
本開示の実施形態は、電気刺激によって調節される特定の状態を有する患者での使用のためであってよい。実施形態は、脳又は体の神経調節を所望する任意の患者で使用されてよい。閉塞性睡眠時無呼吸、片頭痛、頭痛、低血圧症、高血圧症、中毒、摂食障害等の患者での使用に加えて、実施形態は多くの他の領域で治療を提供するために使用されてよい。応用例は、脳刺激(例えばパーキンソン病及び鬱病の治療)、腹筋刺激(例えば、胃部ペーシング)、肥満、背部痛、失禁、過活動膀胱、月経痛、及び/又は組織調節によって影響を及ぼされることがある他の状態の治療を含むことがあるが、これに限定されない。
本開示発明の実施形態は、失われた機能又は機能障害を回復するために使用される、機能的電気刺激等のリハビリ療法に使用できる(例えば、慢性的な脊髄損傷又は発作)。例は、上肢機能及び下肢機能の電気調節、幹安定性、及び嚥下の電気調節を伴うリハビリ戦略を含む。例えば、不全失語症では、本発明のIPCは、外部刺激装置が選択的に及び標的的に筋肉(複数可)を刺激できるようにすることによって吸引を妨げるために使用できるだろう。
本開示発明はまた、従来の脳刺激及び脳深部刺激(DBS)療法を改善するためにも使用できる。一実施形態は、埋め込まれたDBS電極に物理的に近接する標的神経に1つ以上のIPCを外科的に埋め込むことによって強化される療法を含む。IPCは、最初に埋め込まれたDBS電極によって選択的に活性化することが困難であると見なされる標的領域の適切な電気活性化を可能にするために、標的場所に埋め込まれる。本発明は、DBS電極の任意の次善の設置、又は移動の影響を減少させる。IPCはパルス発生器に接続されていないため、IPCは移動する可能性が低いかもしれない。IPCは任意の方式(例えば、バイポーラモード又はモノポーラモード)で操作されるDBS刺激装置と使用されてよい。バイポーラモードの場合、IPCの長さは好ましくは活性DBS接点間の距離と同じである。モノポーラ刺激の場合、IPCの寸法(例えば、長さ及び厚さ)は、DBS電極とIPCの間の距離の関数として定義されてよい。この新規システム及び方法は、代わりにより高い刺激振幅及び/又はより長いパルス幅を必要とすることがある、不十分な電極設置を補償できる。優位点は、より少ない頻度の電池交換であり、馴化を防ぐことでもある。刺激振幅の低減はまた、刺激により引き起こされる副作用及び非標的組織の刺激を減少させる。
薬物送達の調節
本発明の方法及びシステムは、例えば皮膚障壁を横切って薬物キャリヤを移送するため等の他の先行技術の薬物送達システムに加えて、又は他の先行技術の薬物送達システムの代替策として使用でき、意図された経路に沿って組織標的に薬物を案内するための極微針又は皮下薬剤注入とともに使用できる。
したがって、実施形態では、患者が治療を受けることを希望する疾患、症状、又は状態を経験している患者が選択される。適切な薬物治療計画(例えば、投与量、投与の領域等)が、組織標的への薬物の送達のために選択される。少なくとも1つのIPCが、状態の調節に関係する標的組織がIPCに隣接するように、標的領域に外科的に位置付けられる。薬物は、ナノ粒子の注射を含む多様な方法によって患者に導入される。少なくとも1つの刺激装置は、少なくとも1つのIPCに隣接する組織に刺激を提供するために患者の外部に位置決めされてよい。刺激は、療法を規定する刺激治療方式に従って提供されてよい。結果は評価され、療法は必要な場合調整される。
図23aに示される実施形態では、2つの刺激装置122c、122dは、組織が刺激装置間に存在するように設置される。生じる整形されていない電場230aは、刺激装置よりも幅広く、皮膚組織を含む介在する組織の異種且つ非線形のインピーダンスによって整形されてよい。少なくとも1つのIPC10aを埋め込むことによって、2つの刺激装置間の電気経路が整形されてよい(例えば狭められてよい)。複数のIPCが使用される場合10a、b、c、次いでこれらは導電経路236を形成するために役立ってよく、導電経路236は、整形されていないフィールドに比して経路に沿ってより偏向され及びより狭いことがある、成形された電気フィールド230bを有する。実施形態では、1つの刺激装置は、外部の皮下刺激装置、経皮的刺激装置、又は埋め込まれた刺激装置、及び第2の刺激装置(同じタイプ又は他のタイプであることがある)であってよい。図23bは、IPCを使用する第2の実施形態を示し、整形されていないフィールド(図の左上側)と整形されたフィールド(図の右上側)を比較する。示されるように、患者の組織の中に導入された薬物234は、埋め込まれた少なくとも1つのIPC10も有する(図中、3つある)患者よりも広いフィールドに従ってよい。刺激が与えられると、薬物は、IPC状態で、より多くの有向薬物送達を提供するために、成形された電場に沿って標的232へその分散で誘導される。図中の下部は、薬物234を標的232に誘導するように構成されたモノポーラ刺激装置122d及び2つのIPCを示し、戻り電極は遠位に位置する。実施形態では、薬物は、極性を有するナノ粒子中に含まれてよい。
本発明の追加説明
IPC選択的神経刺激によって提供される治療に関して、例えば、疼痛、運動障害、てんかん、脳血管疾患、自己免疫疾患、睡眠障害、自律神経障害、代謝異常状態、筋肉組織の障害、心臓血管疾患、肺障害、炎症性疾患、及び精神神経疾患のグループから選択される医学的状況の患者が選択できる。しかしながら、明らかであるように、おもな治療焦点は、膀胱機能障害及び排尿障害の治療である。
本発明は、過活動膀胱(OAB)、尿閉(UR)、及び排尿筋活動低下(DU)に関係する下部膀胱機能障害の長期治療を提供するために使用できるシステム及び方法を教示する。治療できる多様な症状は、例えば、排尿する必要性を延期できない等の尿意切迫;1日に少なくとも8回排尿する必要性等の排尿の頻度;排尿する衝動に駆られる場合の尿漏れ等の切迫性失禁、に関係していた。排尿機能を調節するために標的にされる主要な生体基質は伏在神経であり、これは下肢に刺激を与える大腿神経の皮枝である。以前に他者によって報告されておらず且つOAB療法を実施できる方法を指示する、膀胱反射の特定の性質を最初に説明する。その後、臨床医が効果的な長期治療結果を提供できるようにする、神経修飾システムの複数の実施形態を開示する。
「過活動膀胱」(OAB)の治療はまた、尿失禁、高尿意頻数及び尿閉状態、便秘、泌尿器系の問題、及び/又は神経損傷により引き起こされる多様な排尿障害の状態の治療を指すこともある。治療され得る他の障害は、失禁、尿疼痛、勃起不全、突発性便秘(排便及びいきみ努力に使われる時間を減少させ、排便の頻度を増加させることによってもたらされることがあるような)、間質性膀胱炎、高頻度又は低頻度の排尿又は関連症状、膀胱/骨盤圧力/疼痛の症状(及び陰部神経刺激と組み合わせてもたらされてよい)、尿切迫失禁及び/又は排尿筋過反射である。排尿規則性が、性的欲求の増加につながることもある。過活動膀胱の治療はまた、骨盤底又は「骨盤隔膜」等の標的内の収縮を調節する刺激を指すために使用されることもある。経時的に治療は、療法の目標である、このシステム内の器官及び筋肉の強度を回復する収縮を引き起こしてよい。骨盤底、括約筋、又は他の標的の刺激により誘発される調節は、膀胱機能障害/糞便障害の多くの症状を緩和又は排除できる。OAB治療は、便失禁等を含む排便障害等の骨盤床障害の治療を含んでよく、膀胱活動の代わりに、調節は腸活動又は糞便運動、排尿の制御及び封じ込めに関係する筋肉若しくは組織を調節することを求める。
図13a~図13cは、サンプル集団全体で、PTN、及び神経枝MPN、LPNが、平均反応データで見られる差異に寄与する異なる反応を生じさせることがあることを示す。PTN、MPN、及びLPNは、ベースラインに比較して急性の膀胱活動において固有の、周波数依存的変化を示す。図14a~図14c、及び図14d~図14fは、この影響が長期的な反応にも広がることを示す。さらに、急性の応答の場合にMPNは最良の標的であるように思われ、一方で長期間の反応の場合にLPNが最良である。これは、刺激時での症状の緊急性に関係する症状を鎮めるための最良の標的は、刺激が提供されていなくても翌日を通して続く必要がある、夜間の治療のための標的とは異なることがある。
さらに、本発明の実施形態は、例えば、後脛骨神経刺激、背側生殖器神経刺激、陰部神経刺激、及び仙骨脊髄神経刺激で得られる結果と比べて固有な結果を生じる、新規に開示された膀胱抑制反射経路に依存する。これは、下肢内に位置する部位での伏在神経(SAFN)の電気刺激を伴うことがある。先行技術とは対称的に、これは、解剖学的に大腿神経から導出され腰椎(L2~L4神経根)内でおもに近位に分散される、感覚神経の調節を伴う。本書に提供される結果の前には、SAFN刺激が係る反応を引き起こすことは知られていなかった、又は予想されていなかった。実際に、一部の患者及び状況ではSAFNはより簡単な標的としての役割を果たすが、PTNを経皮的に刺激することが一般的な方法であり、一方でSAFNを無視する。ここに開示される新規のデータはまた、腰仙骨神経修飾(L2とL4の間の)が、関連する孔で又は孔の近くで、周波数及び振幅を含む刺激信号の特性に敏感な方法で膀胱機能を確実に調節すること、且つそれが現在依存されるS2-S4仙骨部位よりも確実であり、S3が最も一般的であることを裏付ける。
SAFN刺激により引き起こされる膀胱反射は、図13及び図14のデータを入手するために使用され、且つPTN刺激についての我々の最近公開した研究(Kovacevic及びYoo、2015年)で検討された、同じ麻酔されたラット膀胱モデルを使用して立証された。刺激バイポーラ神経カフ電極がSAFNの回りに埋め込まれ、SAFNは膝の高さのすぐ下で外科的に分離された。膀胱はPE50カテーテルで外科的に計装され、生理食塩水を連続的に注入された(速度=0.08~0.12ml/分)。急性(SAFN刺激の10分間の間)と長期(SAFN刺激の後の10分間)の両方の膀胱応答のの変化が、ベースライン状態(10分間の持続時間、SAFN刺激前)と比較された。
図34~図38は、25μAの振幅、200μsのパルス幅、及び2Hzと50Hzの間の刺激周波数で印加された単相刺激パルスを使用して得られたデータを示す。異なる刺激周波数試験が、無作為にした順序で印加された。
図34は、10分のSAFN刺激に応えて引き起こされた膀胱抑制の特有な例を示す。ベースライン(上部トレース)と比較すると、SAFN刺激(25μA及び20Hz)の間及び後の両方の膀胱収縮率で著しい減少がある。刺激中の急性期(真中のトレース)は、2.5分で開始し約8分で終了する、特に引き伸ばされた膀胱充填を示す。SAFN刺激の抑制的影響は、刺激終了後も持続し長期期間(下部トレース)に入り、ここではベースラインと比較して引き伸ばされた収縮間間隔が継続して観察される。
図35は、反射膀胱興奮を生じさせるSAFN刺激の例を示す。膀胱収縮が急に抑制される10分間の刺激試験の後、膀胱は、興奮を示す膀胱活動(ベースラインと比較した、収縮間間隔の減少)の増加を示す。
実験研究から得られた要約データは、SAFN刺激に応えて観察された3つのタイプの膀胱反応:抑制性(BCRの>10%の減少)、興奮性(BCRの>10%の増加)、及び中性(BCRの<10%の変化)、の分布として図36a、図36bに示される。25μA及び20Hzで印加されたSAFN刺激は、すべての10の実験で急性の膀胱抑制及び長期間の膀胱抑制の両方を生じさせた(つまり、100%の応答率)。10HzでのSAFN刺激はまた、急性状態では抑制だけを示し、長期間では圧倒的に膀胱抑制応答を示した。急性の膀胱抑制応答の応答率は10~20Hzの範囲の上下の周波数で著しく低かったが、2Hzと10Hzの間の長期の膀胱抑制応答は相対的に一貫性があった(63%~78%の応答率)ことに留意されたい。
データは、10HzでのMPN及びLPNの刺激がそれぞれラットの100%で急性の膀胱抑制及び長期の膀胱抑制を達成できることを示す(図14b、図14f)が、単一の中性標的/刺激プロトコル(20HzでのSAFN刺激)は、急性の膀胱抑制と長期の膀胱抑制の両方について100%の応答を達成した。さらに、SAFN刺激は、MPN/LPN刺激に必要とされる刺激振幅の約20%でこれらの抑制応答を達成した。これは、SAFNが、刺激プロトコルにとって良好な、又は少なくとも敏感な候補となるだろうことを示している。減少した振幅は、埋め込まれた装置の電力要件の低減の利点、及び非標的組織の意図しない刺激からの疼痛等の、より少ない副作用の可能性を有する。
抑制に加えて、膀胱興奮応答が、急性応答の10~20Hz範囲の上下、及び長期応答の10Hzの刺激周波数で発生した。興奮性の膀胱反射は実験の13%~29%で観察されたが(5~50Hzの刺激速度の場合)、2Hzの刺激は急性応答での38%の発生率を示した。2Hzの膀胱興奮性反射は、UR及び/又はDU等の、排尿障害のための潜在的な治療を示唆し、それにより、神経刺激システムの刺激プロトコルは、膀胱興奮を生じさせるために少なくとも1つのSAFN標的にこの周波数範囲(例えば、+/-1Hz)を使用する。この反射はまた、LPNの2Hzの刺激に応えて観察された。刺激後興奮もまた、図13a~図13cでのPTN、MPNの電気刺激によっても引き起こされた。さらに、神経刺激システムの刺激プロトコルは、興奮性膀胱応答を生じさせるためにPTN、LPN、又はSAFNの少なくとも1つについて、50Hz範囲以上でより高い周波数の刺激を使用してよい。2Hz範囲及び50Hz範囲での刺激がLPN及びSAFNについて使用でき、最大の急性興奮応答及び/又は長期興奮応答を引き出す部位及び刺激応答のパラメータが、UR/DUの治療における以後の療法のために選択できる。これらの末梢標的に加えて、それらの対応する脊髄神経根の1つ以上が、治療中に脊髄刺激システムの刺激プロトコルによって活性化される療法標的となるために選択されてよい。
図37は、刺激周波数率の関数として10の実験で平均化されたBCRの平均パーセント減少(急性膀胱抑制と長期膀胱抑制の両方)の要約を示し、BCRを増加させたいかなる応答も含んでいない(平均計算で)。図36a、図36bに示されるSAFN刺激に対する異なる「抑制」応答率にも関わらず、抑制応答の大きさ(BCRのデクリメントを引き起こした刺激の)は、すべての周波数で力強い。この調査結果は、20HzのSAFN刺激に耐えられない、又は応答しない患者に使用可能な、他の効果的な刺激パラメータがあることを示唆する。図36bでの長期応答率により示唆されるように、人間の母集団の43%~78%も、20Hz以外の周波数によく(BRCの>10%の減少)応答する可能性がある。
図38の膀胱興奮応答の類似する調査は、増加した膀胱活動(膀胱収縮率の増加)の大きさも、特に低い方の刺激周波数(2Hz及び5Hz)で、ごく一部の患者で力強いことを示す。SAFN刺激によって引き起こされた急性興奮応答(例えば、25μAで2Hz)の観察は、十分に低い残留膀胱容量が達成される(例えば、50ml未満)ように、少なくとも一部の個人に対して、排尿を開始及び/又は持続する迅速な(オンデマンドの、及び/又は検出されたイベントに応える)方法を提供するためのこの刺激信号/標的の臨床使用を示唆する。実施形態では、この膀胱興奮反射は、UR又はDUの患者が排尿のプロセス(例えば、<1~2分の持続時間)を完了するために要する時間を低減するために刺激プロトコルによって提供される刺激によって引き起こされることがある。例えば、神経標的及び刺激信号は、経時的に膀胱システムでの正常な活動を確立し直すことを目的としたリハビリ療法を提供するために、刺激プロトコルで選択される。別の例では、より効率的な排尿を達成することによって、患者は次の尿サイクルのために以後に必要とされる抑制刺激の持続時間、振幅、又は提供を低減できる。
図36a、図36bのデータは、10~20Hz範囲内の周波数と比べてその範囲外の周波数に異なって応答する(あまり応答しない)いくつかのラット(及びおそらく人間の患者)がいることを示す。SAFN部位で特定の患者に20Hzが使用されるべきではない場合、どのような理由であれ、図37のデータによってさらに裏付けられるように、刺激は10~20Hzで応答する人と同じ治療結果を達成できることがある。したがって、これらの周波数は、10~20Hzに応答しない一部の患者に対するフォールバック刺激プロトコルとして定義できる。
SAFN刺激は非常に低い刺激振幅(25μA、間隔閾値の近く)で力強い膀胱抑制を達成したが、刺激振幅を増加させることの影響は10Hzでも調べられた。図39は、SAFN刺激(振幅=50μA)の間と後の両方での非常に強力な膀胱抑制を示す。この例では、SAFN刺激中のいかなる継続中の膀胱活動(真中のトレースの丸で囲まれた活動)も、刺激の約5分後に消える。この時点を超えると、膀胱は、連続的な上昇したベースライン膀胱圧によって示されるように、非常に高いコンプライアンスで充填し、一方で膀胱の中に注入された生理食塩水は、無作為な滴として尿道口を通って漏れる。図39(下部パネル)に示されるように、この膀胱弛緩状態(つまり不十分な活動)の状態は、SAFN刺激の10分間の持続時間をはるかに超えて持続する。
図40は、SAFN刺激によって引き起こされた抑制の発生率を示し、且つ10Hzで周波数を維持しつつ、刺激振幅を増加させると、急性膀胱抑制(上部パネル)を達成するラット数が増加することを示す。25μAでSAFNによって示される90%の応答率と比較すると、振幅が100μAに増加する場合にすべてのラットは10Hz刺激に応答する(つまり100%応答率)。このデータは、25μAでの20HzのSAFN振幅に加えて、10Hzでのより高振幅のSAFN刺激も、膀胱を急速に抑制する信頼できる手段を提供できる:より高い刺激振幅は、選択された刺激周波数によって引き起こされる膀胱応答を変化させることがある、ことを示唆する。刺激振幅を増加させることは、10HzでSAFN刺激によって引き起こされる長期応答にも影響を及ぼした。下部パネルに示されるように、より大きい刺激振幅で適用された刺激試験は、膀胱機能の刺激後興奮を失わせた。最後に、25μAと50μAの刺激振幅間の膀胱抑制応答率のわずかな増加を注記する。応答率は77%から80%に増加した(これはおそらくノイズであるが)。
より高い刺激信号振幅は、疼痛等の不必要な副作用、又は隣接神経刺激を引き起こす可能性が高い。しかしながら、結果は、振幅が、刺激から生じる膀胱活動の興奮又は抑制のどちらかの量を調節するために刺激プロトコルの一部として使用され得ることを示唆する。所与の刺激周波数の場合、刺激振幅を増加させることは、膀胱の機能状態を、例えば、興奮性である状態から抑制性である状態へシフトさせることがある。
例えば2HzのSAFN刺激によって引き起こされた急性膀胱興奮性の膀胱応答(又は少なくともBCRの増加)の生理学的な証拠は、UR又はDUを有すると診断された患者で急性排尿を提供するのに役立つための刺激プロトコルを有する、神経刺激システムの実施形態を裏付ける。患者は、排尿の前に(例えば数分)又は排尿の開始時のどちらかで「排尿」プロトコルを開始するための刺激プログラムを選択できるだろう。好ましくは、この急性療法は、eTENS又は完全に埋め込まれた神経刺激装置により送達され得る。
逆に、例えば10HzのSAFN刺激によって引き起こされた急性膀胱抑制性の膀胱応答の証拠(図36a及び図38を参照すること)は、神経刺激システムがOAB症状の即時改良のために刺激プロトコルを使用する実施形態を示唆する。これは、失禁エピソードにつながることがある強力な尿意切迫の突然の開始がある患者のためになるだろう。eTENSは、PTN療法によく適し、患者の皮膚に対してより表面的である表面的な枝を有するSATN刺激に関しておそらくさらにより良い。
膀胱機能の変化の大きさの追加の調査は、図41に示される。上部パネルは、急性膀胱性の抑制応答が、増加した刺激振幅でそれほど変化しなかったことを示す。しかしながら、長期膀胱抑制応答は、2つのより高い振幅に対して膀胱抑制応答で顕著な増加を示した。図41の下部パネルは図40の調査結果を反映し、ここでSAFN刺激の増加した振幅は興奮性の膀胱応答を消失させる。
図40及び図41に示されるデータは、まとめて、SAFN刺激の刺激振幅を増加させることが(1)急性膀胱抑制反射の応答率を改善(100μAde100%)し、(2)長期膀胱抑制反射の大きさを増加させる(25μAと50μAとの間で87%の増加)、という証拠を提供する。これらの結果は、図35~図39に示されるような刺激周波数に加えて、パルス振幅もまた、OABの効果的な治療を達成するために刺激プロトコルに対して調整できることを裏付ける。刺激信号振幅の選択又は調整は、療法の効果を抑制性から興奮性へ変化させるのに役立つ、及び/又は、少なくともSAFN刺激の場合、異なる量の膀胱調節を提供することがある。
結果はまた、SAFN刺激の場合、中位の(又は高い)振幅信号が、それが患者によって十分耐えられる限り、低振幅信号(例えば感覚閾値での)よりも優れた療法を提供し得ることも示唆する。一実施形態では、埋め込まれた刺激装置によって提供される信号は、被験者が望ましくない副作用を経験するまで増加し、その後信号は、不必要な感覚9(例えばうずき又は痛み)を生じさせた信号の80%まで等、所与のパーセンテージ、低減される。別の実施形態では、SAFN刺激のための信号の振幅は50と100μAの間である。閾値はある患者から別の患者で大幅に変わる可能性があるので、患者ごとに個別に振幅を設定するのがおそらく最良である。実施形態では、標準療法は、患者が耐えることができる振幅を有する刺激信号を使用して(25uAで開始する)20HzでSAFN刺激を提供する。患者応答は、例えば10又は25uAずつ増加することによって評価される。患者が20HzのSAFN刺激に耐えることができない場合、又はこれが膀胱活動の所望される抑制調節を提供しない場合、次いで10Hzの信号を選択できる。20Hzの信号も10Hzの信号もいくつかのセッション後に治療上の利益を与えない場合、次いで刺激振幅を10Hz信号について増加することができる、又は潜在的に2Hzと50Hzとの間で、異なる刺激周波数を選択できる。さらに、交互の刺激パラメータは、単一の刺激セッション中でも、有利である場合がある。例えば、一部の患者は一定の周波数及び/又は振幅の刺激に耐えることができない場合があり、結果的に、時変刺激パターン(可変の周波数、振幅、パルス幅等)が全体的な治療有効性及び患者コンプライアンスを改善するために選択されてよい。
SAFN刺激が機能しない場合、次いで埋め込み可能な刺激装置又はeTENSシステムのどちらかによって提供されるPTN、LPN、又はMPNの刺激等の、代替の療法がより成功することがある。したがって、治療法では、刺激の部位は、第1の標的神経が療法を提供しない場合、異なる標的神経に調整されてよい。さらに、実施形態では、第1の標的神経と第2の標的神経の両方が、刺激プロトコルによって同時に又は連続して刺激されてよい。これらのオプションのいずれもが効果的でないと判明する場合、次いで臨床医は、脊髄標的に移動すること、及び仮のリード線を用いる経皮的脊髄神経刺激(例えばL2~L14神経根の)を使用する試験期間を提案できる。効果的である場合、患者は、S3等の仙骨根を刺激することもあれば、刺激しないこともある腰髄神経刺激システムを外科的に埋め込まれる。
本発明のいくつかの臨床実施形態は、OAB及びその症状の効果的な治療を提供するのに役立つことがある。療法は、末梢神経系又は中枢神経系(例えば、脊髄)に印加される電気神経刺激によって送達でき、経皮針電極、従来の埋め込み可能なパルス発生器(IPG)、BION(能動モデル又は受動モデル)、eTENS、従来のTENS、磁気刺激、超音波刺激、又は神経活性化の任意の他の臨床的に実現可能な方法により達成できる。一実施形態では、療法は、所定のタイムスケジュール(例えば、日々、週次等)で繰り返される有限持続時間(例えば、30~60分)刺激を伴うことがある。SAFN求心経神経等の、標的を活性化するために使用される神経刺激技術に応じて、療法は臨床の場で、又は自宅システムとして、又は他の方法で提供できる。図34~図41に提示されるデータに基づいて、20Hzの周波数、200μsのパルス持続時間、及び被験者の感覚閾値の約1x~2x(例えば25μA)及び不快感を生じさせる感覚以下の刺激振幅で送達されるSAFN刺激は、OAB症状の改善された抑制、及び多くの患者中で好ましい応答率を提供するはずである。刺激周波数(2Hzと50Hzの間の)、刺激振幅、及びさらに刺激の部位を修正するオプションは、例えばSAFN療法に対する長期のコンプライアンスを改善する刺激プロトコルのために、臨床医が「カスタマイズされた刺激プロファイル」をプログラムするための追加のツールを提供する。刺激波形(例えば、正弦波)及びパルス幅の変化も、効果的な療法の達成に寄与することがある。
通常は感覚神経刺激中に遭遇する-知覚異常と関連付けられる潜在的な問題等のいくつかの副作用は、SAFN及び本明細書に開示される他の標的の場合、刺激の時変パラダイムを有する刺激プロトコルを使用することによって回避されてよい。これは、例えば、刺激振幅、パルス幅、周波数、波形、又は任意の他の関連するパラメータの周期的な増加及び減少を含むことがある。例えば、刺激信号をオフにするよりむしろ、それは選択された間隔について持続時間又は振幅に関して30%~50%低減されてよい。これらの変化は、ミリ秒、秒、分、又は時間の期間にわたって発生することがある。さらに、これらのパラメータの1つ以上は、同時に又は異なる所定の時間で変えられてよい。これらの変化は、装置50の刺激プロトコルによって制御できる。
実施形態では、SAFN刺激療法(例えば30分の神経刺激)は、尿サイクルにわたって無作為な時点で提供されてよく、又はSAFN刺激療法はサイクル内の特定のポイントで送達されるように臨床医によって指示されてよい。例えば、OABを治療するためのSAFN療法は、排尿の直前又は後、膀胱停止期間の初期段階(最高で膀胱容量の50%まで)、膀胱停止期間の後の段階(膀胱容量の50%と100%の間)、又は排尿期間中で、最も効果的であってよい。療法は、埋め込まれた装置若しくは外部装置の療法期間によって自動的に、又は患者によって識別されるサイクル中のポイントで提供できる。例えば、患者は、外部装置72を使用してこれを埋め込まれた装置110に示してよく、又は単に外部神経刺激装置デバイスを操作して療法を提供してよい。
刺激プロトコルの評価及び調整
刺激パラメータは、SAFN療法等の療法の治療効果、患者の快適さ、又は両方を改善するために修正されてよい。図52に示される刺激628の評価は、急性の変化(ほぼ刺激中)について発生することがあり、又は刺激試験が患者に提供された後数分間、数時間、若しくは数日持続することがある長期の「刺激後変化」について発生することがある。評価される測定された変化は、膀胱圧(図53aに見られる1つ以上のセンサ634によって得られる)若しくは最大膀胱容量等、生理的であってよく、又は患者の症状を使用して評価されてよい。評価は、少なくとも2つの異なるタイプの刺激プロトコル(例えば、2つの異なる部位に対する、又は異なる刺激信号を使用する)を提供する刺激プロトコルを活用してよく、患者の応答は、図52の以後の刺激630を調整又は選択するために評価できる。
さらに、図52を参照すると、一方は急性治療のために一方は長期にわたる(又は長期の刺激後の)治療計画のために、2つの異なる刺激プロトコルを誘導するパラメータ値が、独立に実行され626及び/又は評価され628てよい。急性治療は、長期治療のために実施される治療プログラムに加えて、又は治療プログラムの代わりに発生してよい。例えば、周期的な低振幅MPNは特定の患者の連続治療(慢性パラダイム)に最良であってよいが、急性の事象(例えば、膀胱緊急性の感覚の増加)があり、患者が迅速且つ補足的な療法を望む(例えばよりよい症状緩和を得るため)場合、急性刺激プロトコルが、差し迫った症状(複数可)に対処するために選択できる。
一実施形態では、評価は埋め込み後の間隔で発生することがあり、患者はストレス要因としての機能を果たす、ある量の水(例えば、コップ2~5杯)を飲むように依頼されてよい。患者は次いで、排尿の衝動が発生するまで待機する。評価期間は、少なくとも2つの異なる標的に少なくとも1つの標的信号を提供してよく、被験者は、刺激プロトコル中と刺激プロトコル後の両方の「主観的な衝動」を評価するように、刺激中と後(長期影響)の両方で要求されることがある。プロトコルは、少なくとも2つの刺激部位/信号を評価するために使用できる。評価プロトコルの実施形態では、所与の標的のための刺激周波数は、2Hzから25又は50Hzへと、3~4Hzずつ増加される。各設定は所与の持続時間(1分等)続くことがあり、被験者は、衝動の口頭による表示又は他の表示を提供できる。これは、第2の候補部位について繰り返すことができる。これらの術後試験により識別される最も効果的な刺激プロトコル(複数可)が、以後療法中に使用できる。
選択的な神経枝刺激
先行技術は、OAB等の下部尿路機能障害を治療するためのMPN標的、LPN標的、及びPTN標的の刺激間のなんらかの臨床上著しい差異を以前に示していない。PTNよりむしろ、LPN又はMPNの刺激を試みるもっともらしい理由は、これらの標的が、これらの不必要な間隔に寄与するPTN線維の総数を最小限に抑えること、又は踝部位(例えば、腓腹神経)内の非標的神経線維の同時に起こる活性化を回避することのどちらかによって、一部の被験者の疼痛又は不快感のレベルを減少させ得るだろうということかもしれない。別の理由は、足の中のPTN枝の電気活性化がTENSを用いて達成されてよく、したがって経皮PTN刺激より臨床的に実行するのがより容易と見られるだろうということである。しかしながら、本明細書に提示されるデータは、これらの異なる神経標的の電気刺激がOAB患者での異なるレベルの治療効果につながることがあるという臨床上の優位点を示唆し、つまり、1つの刺激部位に対して抵抗性を示す患者は別の標的神経に対して非常に異なって応答することがある。したがって、埋め込み可能な神経刺激装置は、これらの神経標的(PTN、LPN、MPN、及びSAFN)の複数の選択的活性化を可能にすることによって改善されてよい。例は、PTN幹の刺激は療法利益を提供しないが、PTN神経枝の1つが所望される療法を提供する、患者である。
ここに示される新規の結果は、PTN、LPN、MPN、及びSATNの電気刺激が、膀胱機能/失禁、及び関連して、例えば膀胱、尿道括約筋、腸、子宮(女性では)、直腸、及び肛門括約筋等の、他の腹部臓器及び/又は骨盤臓器内の他の機能標的の制御を独立に且つ固有に提供する(又は制御に関して効能が少なくとも異なる)ことを支持する。これらの末梢神経標的のいずれか1つに、又はその対応する脊髄根の1つ以上に選択的な神経刺激を提供するシステムは、固有の且つ効果的な療法結果を達成するために使用できる。さらに、治療応答は、周波数依存的及び/又は振幅依存的な様式で、神経標的で変わることがある。さらに、これらの神経標的の少なくとも2つの内の少なくとも1つを弁別的に且つ独立して調節するために異なる刺激入力(複数可)を提供することは、それ自体で治療結果を達成してよく、又はさらにPTN等の単一の神経標的を電気的に刺激することの治療有効性を増強する。経時的に刺激部位を交互にすることにより電気的な神経収縮療法を送達することは、交互作用効果のリスクを減少させること(例えば、正味刺激結果が、神経標的の1つだけが刺激される場合に得られるものと比較して、膀胱調節有効性の減少を生じさせる場合に発生することがある)、及び2つの部位が同時に刺激される場合に電池等の電源に対する需要を減少させること等の、優位点を提供してよい。神経標的を交互にすることはまた、単一の標的の長期神経刺激に関係する適応プロセス、馴化プロセス、又は補償プロセスのリスクを減少させるのに役立つこともある。
例えば、図13、図14、図36、及び図38に提示されるデータは、LPN、NPM、SAFN、若しくはPTNの第1の神経標的を刺激することによって得られる治療効果が、効果的でないことがあり、又は代替の神経標的を刺激することよりも効果的ではないことがあることを示す。第1の標的が療法基準を満たさない場合に第2の標的を刺激するように構成されるシステムは、利益の改善を提供できる。候補標的を評価するために、方法は、連続的に、同時に、及び独立しての少なくとも1つで複数の神経標的の少なくとも2つを刺激する、少なくとも1つの刺激装置電極を埋め込むこと30を含むことがある。実施形態では、評価プロトコル34は、5Hz、10Hz、15Hz、20Hz、25Hz、及び30Hz等の2つ以上の周波数又は速度で第1の標的を刺激する等の、評価プロトコルを使用して動作する。療法は、刺激中に、又はこれらの周波数の少なくとも2つのそれぞれが患者の刺激を提供するために使用された後の数分、数日、数週、若しくは数カ月等の間隔の後に、評価されてよい。さらに、評価34は次いで第2の標的について繰り返されることがある。少なくとも2つの標的を刺激することの結果は、次いで日々の肺雹の緊急性及び頻度等の基準について評価できる。実施形態では、信号の周波数が選択される場合(例えば、最良の標的と第2の最良の標的を独立して生じさせた2つのプロトコル及び部位を使用して)、標的のそれぞれが単独で刺激され次いで両方の標的が組み合わせて刺激される、追加のステップが達成される。刺激プロトコルは、1つの刺激部位又は両方の刺激部位のどちらかで最大の治療応答を生じさせた、神経刺激626を提供できる。代わりに、1つの部位のみが療法を生じた場合、次いで第2の部位は使用されないことがある。治療効果の評価は、刺激中又は刺激後のどちらかにプロトコルで使用された異なる刺激信号について評価できる。評価が刺激中に発生する場合、評価は、例えば、被験者の主観的な格付けを測定することを含んでよく、又はセンサによって検知されるデータであることがある。刺激後では、評価は排尿日誌又はオンラインデータベースに記録されるデータを含んでよい。
実施形態では、PTNの少なくとも1つの神経枝の刺激のための埋め込み可能なシステムは、距骨より遠位である患者の足の中の部位の標的の近くに埋め込まれる刺激装置なしに発生することがある。PTN枝は遠位に足の中で物理的に別々になるが、IPCとともにこの領域を使用することは不快であることがあり、部品の移動に繋がる傾向があり、圧力及び進路変更に起因してシステム構成要素及び周辺組織の損傷及び複雑化のリスクを高めることがある。さらに、踝の近くに位置する神経刺激装置から足の場所へリード線を進めることは、リード線の脱落及び破砕等の問題が起きる傾向がある。各PTN神経枝に外科的にアクセスすること(例えば内果場所の高さで又はわずかに下で)、及びこの単一の解剖学的な領域内で選択的な枝刺激を提供することは、足の中でより遠位に刺激部位に依存することより、より適切であることがある。PTN枝は、LPNを刺激するために第1の神経カフを、及び次いでMPNを刺激するために第2の神経カフを使用して、外科的にアクセスされてよく、又は多接点神経カフ、リード線、又は電極アレイ662の異なる接点が、PTNがこれらの枝に分かれる部位の近くで使用されてよい。代わりに、少なくとも1つの導電性の「歯」又は楔で構成される電極リード線は、例えば、神経組織の過剰な損傷を避けるために神経外科医によって、埋め込まれる場合に、PTNの少なくとも1つの神経枝を刺激するために便利に使用できる。複数の歯は、複数のPTN枝を選択的に刺激するために使用できる。例えば、複数の歯は、長手方向維管束内電極(longitudinal intrafascicular electrode)(LIFE)等の装置を使用して提供できる。代わりに、より問題があるが(上述されたように)、足自体での1つ又は複数の標的神経枝もまた、少なくとも1つの埋め込み可能な刺激装置による選択的なPTN神経枝刺激を提供するために使用されてもよい。
本明細書に提供される新規の神経枝データが、一部の患者にとって、少なくとも所与の周波数及び振幅(及び標的に刺激を与えるために使用される1つ以上の電極接点の集合)について、選択的な神経枝刺激が完全PTN幹刺激よりもより効果的な膀胱活動の急性又は長期の調節を生じさせることがあることを示したので、本発明の主要な優位点は、完全なPTN幹よりむしろPTN神経枝の1つを刺激することに依存する、刺激プロトコルを提供することである。開示されたシステム及び方法は、少なくともいくつかの動物について、刺激信号が、刺激周波数、刺激振幅、及び神経標的の少なくとも1つに基づいて興奮又は抑制のどちらかを生じさせることがあるという調査結果に基づく刺激プロトコルを実現するように設計されてもよい。特定の神経枝又は関連する脊髄根は、1つ以上の刺激パラメータに応じて膀胱の興奮又は抑制を生じさせてよい。本明細書に開示されるデータは末梢神経系の遠位部位での電気神経刺激から導出されたが、本発明は、これらの末梢経路に相当し、且つ本明細書に示されるものとうまく並べられる結果を生じさせることがある、脊髄標的のための新規の刺激パラダイムも裏付ける。さらに、ちょうどLPN刺激が患者で効果的でないことがあり、MPN等の異なる標的が、選択的に刺激される場合によりよい療法を提供できるように、これは脊髄刺激場所に当てはまってよい。末梢又は脊髄の両方、又は2つの混合について、少なくとも2つの標的の組合せ療法は、単一の部位よりも優れた療法を提供してよい。
埋め込み後に、1つのみが患者に利益を提供することが判明する場合、1つのみに依存するかもしれないが、システムは、少なくとも2つの神経標的に独立した刺激を与えてよい。いくつかの例では、LPN刺激及びMPN刺激の組合せは療法利益を提供しないことがあり、又はより劣った利益を提供することがあり、次いで同じ刺激周波数が療法の標的を調節するために使用される。実施形態では、埋め込まれた神経刺激装置の刺激プロトコルによって使用される方法は、意図された膀胱調節を生じさせるための成功した刺激パラメータ(例えば周波数、振幅)を引き出すために第1の標的の刺激を提供し評価する第1のステップを有する。このステップは、次いで第2の標的候補について繰り返される。2つの標的は次いで、改善された療法を提供するためにともに使用されてよい。しかしながら、療法はまた、単独で提供されるどちらの刺激に対し組み合わされた刺激(例えば、同時に、周期的に、又は交互に等で提供される)が改善された治療効果を提供することを保証するために、成功する刺激信号を使用して標的を組み合わせる場合に評価されるべきである。さらに、療法の過程で、十分な治療上の利益が持続されない場合、次いで第2の標的を追加する又は刺激プロトコルから除去する(すでに存在している場合)ことができる。
本明細書に提示される結果は、PTN及びSAFNの刺激が、少なくとも部分的に異なる膀胱調節機構/経路に関係することを示唆する。例えば、大幅に低い刺激振幅は、PTNに比較してSAFNを使用して膀胱活動を調節するために効果的であり、その枝は異なる膀胱反射機構を示唆している。周辺標的部位で見られる差異は、対応する脊髄神経根が異なる中枢反射系及び末梢反射系を通して膀胱活動も調節することを示唆する。したがって、L2、L3、及びL4(SAFN神経根)は、膀胱機能を調節するために一般的に使用されるS3からの異なる感覚入力を提供してよい。さらに、この特性は、L5~S4(つまり、脛骨神経根)を含む脊髄根の完全な集合にも及ぶことがある。S3若しくは他の脛骨神経根の代わりに、又はS3若しくは他の脛の神経根との組み合わせでL2及び/又はL3、及び/又はL4の刺激は、異なる仕組みを使用して障害を治療することによって過活動膀胱等の骨盤底障害の一部の患者での療法を改善し得るという結果になる。係る調節は同様に、膀胱活動の抑制又は興奮のどちらかを提供してよい刺激信号特性-少なくとも刺激周波数及び振幅を含む-に敏感であることがある。SAFNは、おもにL3神経根及びL4神経根を介して、及びより低い程度に周囲のL2根及びL5根を介して膀胱調節効果を生じさせる可能性がある。複数の脊髄神経根の電気活性化は、複数の脊髄標的を活性化する、下腿での末梢SAFN刺激により生じる治療効果に類似する治療効果を生じさせるために必要とされることがある。実施形態では、神経刺激装置は、第1の電極刺激装置に第1の刺激信号を提供してL3又はL4神経脊髄根標的の少なくとも1つを刺激し、第2の電極に第2の刺激信号を提供してS3脊髄根神経標的を刺激する、刺激プロトコルで構成される。
異なる振幅及び周波数の組合せを有する刺激信号の、同じ刺激部位で膀胱興奮又は膀胱抑制のどちらかを引き起こす能力は、上記で開示される部位以外の他の脊髄神経根刺激部位に及ぶことがあり、係る標的はT1~S4の間で選択される。下腿で周辺で刺激されるSAFNは、これまで膀胱活動を調節するための刺激の最も効果的な部位であると示され、L3根~L4根がより敏感であってよいことも示唆する。2Hz及び50HzでのLPNデータは、最も強力な興奮の急性応答及び長期応答を示す。PTN刺激はこの反射も示すが、これはおもにLPNによって伝達されると考えられる。つまり、LPNの選択的刺激は、興奮を生じさせる上でより効果的であってよい。
刺激プロトコルの実施形態は、脊髄神経集合3(S1根、S2根を含む)に対応してよいLPN刺激結果、及び脊髄根集合4(L4根、L5根を含む、Atlas of Human Anatomy,Frank Netterを参照)に対応してよいMPN刺激結果に基づいてよい。脊髄神経根のこれらの2つの集合は、LPN刺激及びMPN刺激について本明細書に提示されるデータに示される応答差を利用するために、集合3から選択される少なくとも第1の神経標的、及び集合4から選択される第2の神経標的を刺激するように構成される刺激プロトコルで使用されてよい。これはLPNについて見られたので、例えば、S1及びS2は、特に2Hz及び50Hzの刺激周波数で、他の標的よりも膀胱興奮を提供するのにより有用であってよい。
LPNは本明細書に提示されるラットデータ結果で効果的であると判明したので、LPNと腓腹神経の両方がS1、S2脊髄根で終端するので、腓腹神経(及び対応するL5、S1、S2脊髄神経とともにその皮神経枝)も効果的な末梢標的であってよいことを示す。同様に、坐骨神経、大腿神経、及び外側皮大腿神経の枝も、それらの脊髄根の起源のため、適切であってよい。個々の神経枝を選択的に刺激することは本発明の新規の特徴である。なぜなら、末梢神経枝、特にLPN及びMPN等の下肢の末梢神経枝の選択的な活性化は、神経幹全体の刺激とは異なる/より優れた結果を生じさせると示されているからである。さらに、2つ以上の枝は異なる結果を生じさせることがあるので、刺激プロトコル及び関係する評価は、別々の神経枝を異なる標的候補として扱う刺激プロトコルの中にこの調査結果を取り入れるべきである。
実施形態では、評価処置は、患者の治療刺激の開始前に提供される。評価処置では、被験者は、少なくとも2つの一時刺激リード線を使用して刺激される。リード線は、第1がL2~L4の部位を刺激するために埋め込まれ、第2がL5~s5の部位で刺激するために埋め込まれる、L2~S5であるように選択される少なくとも2つの神経標的を刺激するように構成される。刺激の提供中、及び刺激の提供後の両方で、検知されたデータ及び/又は患者による主観的な評価は、膀胱機能及び関係する症状に対する急性の影響及び/又は長期の影響を評価するために患者から入手されてよい。治療中に、評価処置中に改善された療法結果を提供した1つ以上の標的及び刺激信号が、治療プロトコルによって提供される以後の療法のために選択される。
実施形態では、OABを治療するためのシステム及び方法は、Botoxの膀胱壁629の中への経尿道的注入、髄膜注射、又は経口消費等の薬物療法を含む。薬物は、効果的な膀胱調節を提供し、且つまた神経刺激によって引き出される不要な副作用を減少させるより幅広い範囲の神経刺激パラメータを可能にするために、提供又は調整されてよい。例えば、薬物を提供することは、より低い刺激レベルで療法利益を得ることを可能にしてよい。薬物に対する調整は、例えば経口投薬、注入あたりの量、薬物濃度、及び注入の場所の数を含んでよい。さらに、電気刺激の提供は、必要とされる薬物の量、及び過活動膀胱を治療するために使用される薬物療法の関連する副作用を減少させることがある。電気療法及び薬物療法の組合せは、薬物使用の減少、又は刺激中の電気エネルギーの振幅の低減、又は両方を必要とする相乗的な治療結果を生じさせてよい。
多様な刺激
神経刺激は、多様なモダリティの刺激信号に依存することがある。超音波を送達して組織を刺激するために使用できる超音波変換器の例は、(ともに「Methods and Devices for Modulating Cellular Activity Using Ultrasound」と題する)米国特許出願第20150025422号及び第20140094720号、並びに第20110213200号(「Orgasmatron via deep-brain neuromodulation」)に開示されている。先行技術は、いかなる方法でも刺激エネルギーを吸収する、反射する、又は集中させるために埋め込まれた受動素子を使用しない。供給されたエネルギーと共鳴するように設計されるIPCの提供はない。米国特許出願公報第20140316499号及び第20130096656号(ともに「Neurostimulator」と題する)及び第20100130867号(「Ultrasound frequency resonant dpole for medical use」)は、音を電気刺激に変換するために使用されてよい、有益な特性及び構成を有する材料を開示する。これらの特許公報は、すべての目的のためにその全体として参照により本明細書に援用される。本発明の原理に従ってOABの治療で末梢神経刺激を生じさせるために等、局所的な組織内で調節エネルギーを集中させるために音を吸収又は反射することの使用は、上述の先行技術によって開示されていない。IPCは、ポリフッ化ビニリデン、セラミック、結晶金属石英を含む材料から作られるように選択されてよい。IPCは、実際には超音波に対して透明である生体適合性コーティングを有することがある。2つのIPCが別々に活性化される場合、第1の材料及び第2の材料は、第1の及び第2のIPCが第1のIPCの共鳴周波数に類似する周波数を有する信号に露呈される場合に、第2のIPCが著しい振動を生じさせない、十分に異なる共鳴周波数(及び音を吸収する又は反射することに関係する他の関連音特性)を有するべきである。先行技術は組織を刺激するために適している超音波の周波数を示唆するが、十分に低い音又は振動の他の周波数も本願では有用であってよい。IPCのサイズ、形状、及び密度は、IPCが入信エネルギーによって最大限に活性化されるように調整できる。
追加の刺激装置実施形態
ここで開示される方法及びシステムは、選択的神経刺激を提供するためにいくつかの代替実施形態を活用してよい。下腿の神経標的は互いに非常鬼近いことがあるため、多様な実施形態が、本開示発明の原理に従って選択的刺激を提供する上での優位点を提供してよい。図42~図51では、神経及びシステム構成要素の相対的なサイズ、位置、及び形状は制限的であると意図されず、説明のためだけに提示される。図42は、選択的神経刺激を提供するための多様な戦略を実行するために使用できる、いくつかのシステム構成要素を示す。実施形態では、刺激装置は、壁内面582a及び壁外面582bを有する、上面580aと底面580bとの間に非導電壁のある上面580a及び底面580bを含む可撓の環状又は半環状(つまり凹状)の神経カフを含む。複数の電極接点586が内側壁582aに配置される場合、このようなものは、埋め込み中、神経幹、例えばMPN及びLPNの中の標的神経又は神経束の近くに位置決めされてよい(それは内果に近い高さでは見えることもあれば、見えないこともある)。導電経路584は絶縁されてよく、接点586に電力を供給できる。代わりに、接点586が設けられていない場合、次いで導電経路は、電極接点自体として機能を果たすために設置されないことがある(又は部分的に絶縁されることがある)。各導電経路584は複数の導電コンジットを含んでよく、示される2つの接点586の集合よりも多く独立して動作できる。電極接点586の標的神経に対する物理的な近接は単純であり、埋め込み中の設置は、標的神経枝が接点によって直接的に刺激できるようにしてよいが、別の実施形態では、刺激プロトコルは、選択された神経又は神経幹内の神経枝を標的にするよう(例えば、PTN内のLPNを標的にするよう)電場を誘導するために、異なるパターンの電気接点586を活性化する。電極アレイを使用する電流ステアリング(電場の空間バイアス)は周知であるが、PTN全体よりむしろ神経選択枝を刺激する利点は、ここに提示されるデータの以前には既知でなかった。「Electrode arrangements for medical lead」と題する米国第8509920号は、この特徴を可能にし得、参照により本明細書に援用されるシステムを開示する。電気信号は、神経刺激装置から刺激信号を伝達するマルチストランドケーブル588によって、電気接点586及び経路584に伝送できる。代わりに、超小型回路網が、多重化及び信号ルーティングを可能にするために底部側580bとストランドケーブル588との接合部に設けられてよい。信号ルータ及びストランドケーブル588と導電経路584都の間の経路は、明確にするために図42には示されていない。さらに、神経カフは、埋め込み中より完全に閉じられるように設計されてよいが、説明のために本形式で図示される。実施形態では、1つだけ又は2つの電極接点が使用され、これらのそれぞれは、全長、全幅、又は神経カフの内面全体の大部分に沿って伸長する等、カフの大きな面積内に存在するように実現されてよい。
実施形態では、少なくとも一部の電気接点586及び経路584は、神経カフの外側壁582bに位置決めされる。したがって、図42の例では、内側壁電気接点刺激装置は、PTN、LPN、又はMPN等の第1の神経標的で刺激するために役立ち、外壁刺激装置は、SAFN等の第2の神経標的で刺激できる。内側壁及び外側壁582a、582bは導電性ではないので、接点が端縁から離れて位置決めされる場合、次いで標的#1の刺激は、十分に絶縁されるべきであり、且つ第2の標的#2の調節を防ぐべきである。図42は原寸に比例して描かれておらず、左を向く矢印は、神経カフが、埋め込み中に外科医によりPTN神経の近くに位置決めされ、さらにPTN神経に巻き付けることもできることを示す。いくつかの解剖学上の領域では、SAFNはPTNよりもはるかに遠く、したがってより適切な実施形態が、例えば、PTN陰茎幹の残りから切断された可能性がある、LPNである左の神経線維及びMPNである右の神経線維を示すだろう。カフは、LPN枝及びMPN枝へとPTNが分岐する部位の近くに埋め込まれる場合に、選択的なLPN/MPN刺激にとって役立つことが判明することもある。
図42はまた、例えばStimwaveによって生産される装置に類似することがある、電池式の無線電力型(例えば、RF/磁気/マイクロ波)駆動装置等のマイクロニューロスティミュレータ装置638も示す。装置628は、無線電力信号及びデータ信号646を提供するために構成される、図53aに示される外部装置636から無線で電力を入手するために、RFエネルギーを活用してよい。ここに示される神経刺激装置638、640は、それらの筐体上に電極をもたないが、これら、並びに他の図で図示されるものが、それらの筐体上に1つ以上の電極接点を配置させてよいこと、及びこれらがそれらの外部の回りで放射状に伸長してよい、又は多極パドル電極上に見られる構成に近づくその表面上の電極グリッドアレイとして実現されてよく、さらに装置638が刺激を提供するために電極リード線と通信できることが理解される。実施形態では、装置638又は装置の少なくとも一部分は、埋め込み中のPTN等の神経幹の中に注入でき、又はPTNの近くの組織の中に注入できる。装置638は、その上面及び底面に刺激を提供できる電極接点を有してよく、又は接点は、装置638の長さに沿って存在してよいが、これらは各図に示されていない。単一の装置が使用される場合、1対の接点は、埋め込まれた装置から空間的に配置された(例えば左に)神経標的を刺激するために装置638の表面の特定の部分に存在してよく、一方で他の接点は装置の位置に対して異なる神経標的(例えば右側)を刺激するために反対面に存在する。IPC設計と同様に、装置638は、装置を定位置に固着するために歯、又はアンカーを具備してよく、及び装置が次いで定位置の中に縫合され得るように縫合糸が通ることを可能にする、その本体に沿った少なくとも1つの輪等の他の取付け手段を有する。複数の装置638が具備される実施形態では、第1の装置はMPN等の第1の標的を刺激するために埋め込まれてよく、且つ第2の装置640はLPN等の第2の標的を刺激するために埋め込まれてよい。2つ以上の神経刺激装置638、640が設けられる場合、これらは、分散型神経刺激システム642を実現するために、2つ以上の装置を操作することによって組合せ刺激プロトコルを提供するように構成される同じ外部装置EXD636から、動力を得て且つ制御され得る。
すべての目的のためにその全体として参照により本明細書に援用される、「Electrode arrangements for medical lead」と題する米国特許第8509920号は、その内面に沿って長手方向に配置される複数の接点を有する電極リード線を開示する。本発明に関係する実施形態では、1つ又は複数の電極は、神経の特定の集合に、又は神経の束の中の神経線維に電気信号を選択的に印加するために利用されてよい。
代替神経カフ設計は図42の右側に示され、独立して操作可能な電気接点586及び経路584a、bを有する、第1のカフエンクロージャ592及び第2のカフエンクロージャ594を含む(追加の接点及び経路は、明確にするために図示されない)。ルーティング経路590は、刺激信号588がそれらの意図された神経標的に到達するように、マルチストランド刺激装置電極588(神経刺激装置に接続される)と導電経路584a、584bとの間で信号を通信する。
図43は埋め込み可能な神経カフの代替実施形態を示し、ここで電極接点620a、620bは第1の神経標的1を刺激するように位置してよく、且つ620c、620dは、刺激装置コンジット588cによって供給される刺激信号を使用して、第2の神経標的2を刺激する。す電極接点は、カフが外科医によってどのようにして埋め込まれるのかに応じて、カフの内部又は外部だけに存在してよい。神経カフ自体は、導電材料から作られてよい(及び部分的に又は完全に非導電材料で被覆されてよい)。
図44に示される代替実施形態では、剛性であってよい、又はシリコン等の可撓材料から部分的に作られてよい非導電バックプレート602上に存在する2つ以上の非導電分離壁604a、604b、604cを有してよい神経カフ電極設計が示される。2つ以上の神経のそれぞれは、壁604によって分離される管の1つの中にそれぞれが存在するように神経カフの中に設置される。実施形態では、第2の(完全な又は部分的な)バックプレートは、埋め込み中に第1のバックプレート602の反対に設けられる。このようにして、壁は包囲された経路を画定できる。チャネルは平行でなくてよく、選択された神経標的に適合するように不揃いに間隔をおいて配置されることがある。
図45に示される代替実施形態では、埋め込み可能な神経刺激装置600は、神経カフ598a、598b内の電極接点にマルチストランド経路588a、588bを通じて固有の信号を送信することによって、独立したやり方で2つの神経標的、例えばLPN及びMPN(この場合は神経1及び神経2と名付けられる)を調節するために信号を送信できる。神経カフ598a、598bが導電材料を使用して単に実現される実施形態では、これらは刺激装置自体として機能を果たしてよく、接点は設けられない。神経カフ598a、598bは、埋め込み可能な装置600と連動するよりむしろ外部刺激装置と連動するために対にされる、IPCとして機能してよい。どちらの場合も、部分的なカフ若しくは完全なカフが、形成される、又は内側空間が神経標的を収容できる半径を有するように、閉じられた位置でそれらを偏向する材料から製作されることがある。実施形態では、カフは、カフを神経に緩やかに巻き付けることを可能にする、薄い可撓導電材料から作られてもよい。IPCは、eTENSを提供できるように、導電性である少なくとも1つの表面を有することがある。実施形態では、弾性ケーブル又は変形可能なケーブルが、神経に対してそれを偏向させ移動を防ぐために、カフの回りに巻き付けられてよい。IPCは2つの異なる長さを使用して実現されてよく、選択的な神経枝刺激を提供する容易さ及び精度を高めるために、図示されるよりも遠く離れて埋め込まれてよい。さらに、神経カフを使用する神経刺激装置を示す図では、これは、脳、脊髄、又は末梢の標的の刺激を提供するため多くの場合に使用されるように、リード型の単一接点電極アレイ又は多接点電極アレイを使用して実現できるだろうことが理解される。例えば、電極は、手術後の回復を改善するために、ステロイド溶出コーティングを有する1つ又は2つの列パドル型リード線又は受動先端リード線として実現できる。実施形態では、神経カフは、埋め込み可能なパルス発生器がその後刺激を提供するためにeTENSの後にカフを使用してよい場合に、神経刺激装置によって提供されるコンジットに付着するアダプタで構成できる。
図46に示される代替実施形態では、埋め込み可能な神経刺激装置600は、例えばPTN及びSAFN(この場合、神経1及び神経2)を調節して選択的な神経刺激プロトコルを実現するために刺激信号を提供できる。これは、膝下の場所に、及びSAFN刺激が効果的であることが分かっている場所の近くに神経刺激装置600を位置決めすることによって達成できる。電極接点589aは、神経刺激装置600のケーシングの導電領域、又は陰極電極となるように設計される刺激グリッドアレイを使用してSAFN(神経2)に刺激を提供でき、接点598aは、陽極又はその逆として機能を果たすことがある。代わりに、接点589a及び589bは、提供されるバイポーラ刺激のより限局的な場を可能にするために、筐体上に、又はグリッドアレイを使用して、ともに設けられてよい。したがって、一実施形態では、神経刺激装置600は、踝の近くに位置し且つ神経1を刺激するように構成されてよい神経カフ598a内の電極接点に、マルチストランド経路588を通じて、刺激信号を提供でき、一方で神経刺激装置は脚でより高く位置し、神経刺激装置筐体又は後退上の接点は、SAFNの少なくとも1つの枝の刺激を提供する。
代替実施形態では、刺激装置カフ598aは、MPN及びLPNの束等の異なる束の軸索のサブセットを選択的に活性化するために、PTN等の末梢神経のために横断方向で挿入できる横断方向維管束内マルチチャネル電極(transverse intrafascicular electrode)「TIME」として実現されてよい。他の実施形態は、長手方向維管束内電極(LIFE)、マルチチャネル電極を使用してよく、又は多極カフ電極も使用できる(Badiaら、Comparative analysis of transverse intrafascicular multichannel, longitudinal intrafascicular and multipolar cuff electrodes for the selective stimulation of nerve fascicles, J.Neural Eng 2011年8(3):036023)。実施形態では、カフは血管束の回りに完全に又は部分的に巻き付けられ、少なくとも1つの電極接点刺激装置は、その標的を刺激するためにカフの表面から伸長し神経標的の中に又は神経標的の近くで投射するように構成される。これは達成するのに外科的により容易であってよく、例えば、神経枝の選択的な神経刺激を提供する場合に、神経損傷を生じさせることのリスクがより少ない。療法の提供中に、電極接点が神経束のどの神経標的を刺激しているのかは既知でないことがあることに留意されたい。例えば、4つの接点があり接点#3がうまく療法を生じさせる場合、次いでこれがMPNを介して発生するのか、LPNを介して発生するのか、両方を介して発生するのか、それともそれ以外で発生するのかは既知ではないことがある。刺激プロトコル又は評価手順は、接点又は接点の組合せが刺激を提供するために使用されるように単に構成されてよい。本明細書に開示される結果は、異なる神経枝を選択的に刺激するために刺激プロトコル及び刺激装置を使用する、システムの使用を裏付けるために役立つ。したがって、一組の接点の特定の電極接点、又はより大きな組からの接点の特定の組を使用する(例えば、電界ステアリングを提供する)実施形態が指示される。本明細書中に提示される結果に先立ち、PTN及びその枝は、刺激のために類似の結果をもたらす同等の標的として処理された。
実施形態では、少なくとも第1の神経標的に選択的に刺激を提供するために、少なくとも1つの刺激信号を少なくとも1つの刺激装置に提供するための刺激プロトコルを操作するために構成されたプロセッサを有する神経刺激装置を含む、過活動膀胱状態を有する患者を治療するためのシステムが提供される。少なくとも1つの刺激装置は、患者の中に埋め込まれるように適応され、且つ実質的に患者の膝と踵との間の場所で脛骨神経幹の一部分である少なくとも1つの第1の神経標的を選択的に刺激するように構成される。刺激装置は、適切な標的であるとして評価された(評価処置中に)後脛骨神経の一部分の隣に物理的に位置する、少なくとも1つの単一の電極接点を有してよい。代わりに、複数の接点が使用されてよい。刺激信号特性(例えば、周波数、振幅、極性)及び治療結果を生じさせることが判明している2つ以上の電極の集合の組合せの使用は、以後患者に療法を提供する刺激プロトコルでの値として設定できる。本実施形態では、刺激システムは、特定の電極接点が概念的に又は別の方法で特定の神経標的に位置づけられることを必要とせずに、後脛骨神経の異なる枝が異なる治療効果を生じさせることがあることを認識する戦略で動作する。成功する刺激パラメータは、試行錯誤によって評価され、その後使用できる。それにも関わらず、利用できる場合に、電極接点を特定の神経枝と並べるために解剖学的ランドマーク又は画像データを使用することは、システムの性能を改善し、且つ成功する刺激プロトコルを引き出すために必要とされる時間を減少させてよい。
図47に示される代替実施形態では、神経カフ598c、598dが示され、ここでカフ自体は非導電材料から作られる、又は金属核を有し、非金属材料で絶縁されることがある。この例では、電極接点586は、神経カフにとって外部である神経を刺激するように構成される。代わりに又はさらに、接点は、カフ内で神経を刺激するために、神経カフの内側壁上に位置してよい。内側電極接点及び外側電極接点586は、いくつかの異なる刺激信号を提供するよう独立して作動してよい。神経カフ598c、598dは、完全に閉じられたシリンダとして示されるが、これはそれらの閉じられた位置に近づくためであり、これらは、技術で周知であるように、その偏向され、閉じられた位置に対してカフを開放することによって解くことができる。標的神経1及び2は、互いの近くに、又は本体の左側及び右側のLPN枝等、遠く離れて位置してよく、且つ2つの異なる神経刺激装置によって駆動されてよい。
図48に示される代替実施形態では、神経カフ606が示され、シリコーン等の非導電性で可撓性の基板又は被覆金属箔のどちらかから作ることができる。カフ606は、少なくとも2つの電極接点608a、608b、及び608cを有し、それらは、この例では、3つの神経又は神経束を刺激するように構成される。例えば、接点608a及び608cは、それらの破線により示されるようにページの中に向くカフ606の第1の側面上に配置され、一方608bは第2の側面、つまりページの外へ向く側面上にある。他の設計でのように、マルチストランドケーブル588cは、刺激装置接点に刺激信号を提供することがあり、追加の接点がバイポーラ刺激プロトコルを可能にするために提供されてもよい。カフの右端縁609は、カフをより確かに定位置に固定するためにカフをすべての3つの神経の回りに少なくとも1回、2回、又は3回巻き付けるのに十分な材料を提供するために、伸長されてよい。カフはまた、テクスチャで布に類似する生物適合性材料から作られることもあり、神経が緩く巻かれることを可能にする。縫合糸穴がまた、巻き付けを固定するため、及び適切な隣接するアンカーポイントにカフを固定するために提供されてもよい。実施形態では、電極接点のそれぞれは、代わりに、神経の回りに巻き付けられてよい非導電可撓材料中に存在する、外部で動力を供給される神経刺激装置によって実現できる。
平面図である図49に示される実施形態では、神経カフ606が示され、接点608は3つの神経又は神経枝の回りに同心円状に巻き付けられているカフの第1の(内側)表面に存在する。接点に電気刺激を提供することに関係する要素は、見やすくするために図から省略されている。代わりに、PTN、LPN、及びMPNに個々に係合する3つのループを含む螺旋リードアレイは、選択的な神経刺激を提供するためにうまく機能してよい実施形態である。
システムは、図42~図47に開示されるカフ設計を使用するいくつかの方法でLPN及びMPN及びSAFNの少なくとも1つ等の神経枝を刺激するために、1つ又は複数の刺激装置電極を使用してよい。一実施形態では、LPN及びMPN等の、少なくとも1つの神経枝は、完全後脛骨神経幹から標的神経枝の部分を分離することによって、又は分岐に隣接する神経にアクセスすることによって外科的にアクセスされる。例えば、神経カフは標的神経枝の部分に取り付けられ、電極接点は、外科的にアクセスされた後脛骨神経幹の一部分(例えば踝に近い)を使用して、神経枝をほぼ選択的に刺激するように構成される。この例では、図484に示されるように、1つの神経カフ598aはLPN(この例では神経1)の断面に又は断面近くに付けられ、陽極598bはMPN(この例では神経2)の断面を刺激するために使用できる。神経カフが、埋め込まれた神経刺激装置デバイス600とともに使用されない受動IPCとして機能する場合、次いで598a、598bは単に、少なくとも1つの外部刺激装置と連動するように対にされる導電スリーブとして実現されることがある。2つの神経枝の2つの断面がPTN神経幹を切断することによって人間の踝の近くで標的にされる場合、次いで埋め込み中にLPN及びMPNは視覚的に確認できる。さらに、分離された神経断面を刺激すること、及び関連する検出されたEMG活動(又は視覚的に見られる筋肉運動)がそれぞれの筋肉グループ(例えば、MPNの場合脚の親指、又はLPNの場合3つの小さな指)で記録されることを保証することによって、視覚的に行われた選択の正しい設置を確認できる。このようにして、PTN、MPN、及びLPNはすべて単一の領域から刺激できる。
別の実施形態では、1つ以上の神経カフ598(例えば、図47の598c及び598d)は、経皮的刺激を使用して神経枝の選択的な活性化を容易にするために使用でき、これによって経皮的針は、LPN、MPN、伏在神経、又は他の標的の選択的な調節を可能にし且つ選択的な神経枝刺激の一貫した提供を容易にするために埋め込まれている少なくとも1つの神経カフと電気的接触を行うために、患者の中に位置決めされる。明確にするために、経皮的刺激は、神経カフ等のIPCなしでは、神経は手術なしに発見するのは困難であることがあるので、踝近くの単一の進入点を使用する場合、患者に選択的な神経枝刺激を提供するのが困難であることがある。1つ以上のIPCは、神経標的上で又は近くで構成され、針を受け入れるように構成されてよい。患者又は医師は、針の先端が埋め込み可能なIPCに触れるときを感じることができる。別の実施形態では、1つ以上の刺激装置は、意図された標的に対して埋め込まれた装置によって等、刺激を提供するために、神経幹の切断なしに、各標的神経又は神経枝に隣接して単に位置決めされる。
図41の結果は、伏在神経を刺激するために使用される電流のサイズが、LPN又はMPN等の他の神経標的を刺激するために使用されるより少ない振幅(例えば16%~50%)であることがあることを示す。実施形態では、ラットでの約0.12~0.18mAの代わりに、約0.025~0.10mAの範囲が使用されてよい。この低い方の閾値が人間でも見られる場合、次いでこれはエネルギー量(例えば電圧/電流)の減少、したがって神経刺激装置に電力を供給する電池の減りの少なさ、より小型の電池を使用する能力、再充電間のより長いサイクルの提供、及び下部の非標的下肢筋肉の意図しない刺激に起因する疼痛等の副作用のより少ないリスク、の優位点を提供してよい。代わりに、より高い振幅刺激が使用されてよい。選択的刺激が神経枝に向けられる場合、目的はその神経枝を刺激することであって、意図されない隣接する標的を刺激することではない。本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、後脛骨幹の選択的な刺激は、個々の枝ではなくむしろ完全な幹の意図的な刺激を示す。
刺激パラメータ(例えば振幅、パルス幅、及び周波数)を調整することの代替策として、SAFN線維の1つ以上のサブセットの選択的な電気活性化が、膀胱機能不全の効果治療を達成する効果的な手段を提供してよい。例として、図50aは、膝の高さの下の下腿の高さでこれを達成するためのシステムを示す。人間では、SAFNは、下腿、踝、及び脚の異なる皮膚領域に刺激を与える複数の遠位枝を生じさせる複数の分割を示す。内側腓腹筋の高さで、電極の少なくとも1つの上面又は底面で少なくとも2つの接点を有する、多接点電極グリッドアレイ610は、筋肉層と皮膚層との間で皮下に埋め込むことができ、且つ埋め込まれた神経刺激装置632の刺激モジュール54(図18a及び図18bに図示される)によって動力を供給されることがある。このアレイ610は、グリッドが神経刺激装置のハウジングの上に形成されない場合に、マルチストランドリード線611を介して接続される多様なタイプのエネルギー源(例えば、電池式刺激モジュール又は無線電力式刺激モジュール)によって動力を供給されることがある。神経刺激装置632は、グリッドアレイの上の1つ以上の列又は接点に少なくとも1つの刺激信号を提供して、療法SAFN刺激が得られるように空間的に集中又は分散した刺激信号を提供するようプログラムできる。例えば、活性電気接点の数及び間隔は、患者の応答プロファイルの優先順位に一致するように漸増できる。患者はうずき等の主観的な経験に基づいて手動で使用される接点を調整してよく、又はこれは検知されたデータを使用して、若しくは別の方法で行うことができる。このタイプの手法は、1つ以上の特定のSAFN枝(複数可)の電気活性化が、例えば下腿の対応する部位又は取り囲む部位に対するケガに関係することがある(例えば異痛症)、厳しい痛みの感覚を引き起こす場合に、特に有効であることがある。
図50aは、内果の高さに又は近くに埋め込むことができる、本発明の多極電極の別の実施形態を示す。この解剖学上の場所は、SAFNとPTNの両方へのアクセスを提供する。この場合、線形(リード型)電極アレイ614は、電極接点の1つ以上が1つ以上のSAFN枝及びPTNに近接して位置してこれらの標的の少なくとも1つに刺激を提供するように、皮下に埋め込まれてよい。リード線611を介して接続される刺激装置632(例えば図53aに示される刺激装置等の)は、膀胱症状の効果的な治療が達成されるように、これらの神経標的の1つ又は複数の電気パルスを送達するようにプログラムできる。2つの神経刺激装置638、640では、膝の高さ又はそれより下であってよい、SAFNと関連付けられる刺激する2つの枝も示される。
システム及び方法の追加の代替実施形態は、図50b~図50eに示される。図50bは埋め込み可能な神経刺激装置670を示し、モジュールは、他のモジュールを制御するためのプロセッサ及び回路網を有する制御モジュール672、電池及び/又はアンテナ及び/又は誘導コイルを含む電力モジュール674、並びに無線電力ハーベスティング、調節、及び変換のための他の回路網、刺激が安全に提供されることを保証するための安全回路を含むことがあり制御モジュール672により指示されるように療法プロトコルの制御下で刺激動作及び検知動作を実施するために構成されるAD/DAモジュール676、及び外部装置(不図示)等の神経刺激システムの他の装置との通信を可能にするように構成される通信モジュール678を含む。少なくとも2つの刺激装置680a、680bは神経刺激装置の筐体682の上に設けられる。少なくとも2つの刺激装置は、2つの電極接点のそれぞれに2つの行を含む刺激グリッドアレイ内で、又は神経刺激装置670の筐体の回りに部分的に又は完全に伸長する2つのリング電極等、多様な方法で実現できる。
本発明の実施形態では、神経刺激装置は、刺激装置よりも大きい部位の上で空間内に分布されてよい1つ以上の神経枝に刺激を提供するための形状又はサイズに作られないことがある。この問題に対処するために、神経刺激装置は、より大きな領域にわたって刺激フィールドを拡張できる構成要素と協調して操作できる。図50cは、少なくとも:例えば形状を維持するのを支援するために内部骨格構成要素又は外部骨格構成要素を有する、又は有さないシリコンディスクとして実現されてよい支持構造686、神経刺激装置670を受け入れるための受入れコンパートメント688、及び神経刺激装置に設けられる刺激装置と接続するように構成される電極受け器接点690、を含むために実現できる電極グリッドアレイ付属品684を示す。神経刺激装置と付属品との間に密閉された接続を提供するためのカバー、及び付属品等の位置を維持するための縫合糸穴等の、追加の要素が含まれてよい。さらに、図50dに示されるように、付属品の多様な要素は、刺激が隣接する組織に提供されるのに役立つことがある。図50dは、電極受け器690のそれぞれを692a、692b等の電極接点に接続する、多様な信号ルーティング経路694を表す破線を示す。信号ルーティング経路694及び関連する刺激装置692a、692bは柔軟に動作でき、又は神経刺激システムのAD/DAモジュール676の一部分は付属品684内で及び神経刺激装置670又は外部患者装置72の制御下で配置できる。電極接点692a、692bの1つ以上は、付属品の第1の表面(ページから外を向く)に、第1の表面とは反対である第2の表面に、又は両方に位置することがある。
図50eは、SAFNの刺激のために相対的に前方(例えば、内果の前方)に埋め込まれるように構成される少なくとも1つの電極を有する第1の刺激装置652、及びPTNの刺激のために相対的に後方(例えば、内果の後方)に埋め込まれるように構成される少なくとも1つの電極を有する第2の刺激装置654を有する、SAFT及びPTNの両方を刺激するための埋め込まれた神経刺激装置650の実施形態を示す。第3の電極は、陽極電極としての機能を果たすために第1の刺激装置と第2の刺激装置との間の途中に位置する第3の刺激装置656に位置決めされてよく、一方で第1の刺激装置及び/又は第2の刺激装置上の電極は、陰極としての機能を果たす(又は逆の場合も同じである)。代わりに、単一の電極接点の代わりに、第1の刺激装置及び第2の刺激装置652、654は、それぞれバイポーラ様式でPTN及びSAFNを刺激するための、2つの局所化されたフィールドを提供するために、それぞれが2つ以上の電極接点で構成されてよい。実施形態では、1対のバイポーラ電極が、神経活性化の局所化された領域(例えば、3mmと5mmの間の各バイポーラの電極間距離、及び最大で10mAの刺激振幅)を生成し、且つそれにより各神経標的を独立して刺激するために、使用できる。3つの刺激装置652、654、656は、逆さまの「Y」構成で構成されるが、PTN及びSAFNの両方の刺激を可能にするために他の構成も可能である。例えば、実施形態では、マイクロニューロスティミュレータ660に接続された658神経刺激装置又は刺激装置が、下腿の内側面に埋め込まれる(前方から後方への向きで)多接点パドル電極として実現でき、これによりそれは患者の内果の頭側の領域に及び、接点659の第1の集合はSAFNを刺激するために前方に位置し、接点の第2の集合はPTNを刺激するために後方に構成される。神経刺激装置650と同様に、神経刺激装置660は、PTNとSAFNの両方の刺激を可能にするために整形でき、電極接点は筐体上に存在できる。
さらに、グリッド電極アレイ662を有する神経刺激装置は、前方場所でSAFNを、及び後方場所でSAFNを刺激するために位置決めされてよく、療法中に活性化される電極接点は、埋め込み後に選択又は調整できる。グリッドアレイ662を有する係る神経刺激装置は、内果より下の場所でLPN及び/又はMPNを刺激するために図に示されている。図50c~図50dのグリッドアレイ刺激装置に類似するグリッドアレイ刺激装置が使用される場合、電極接点の位置は、患者に関係する画像データ又は他のデータのために選択された場所で支持構造へと形成できる。
神経刺激システムはそれぞれ相対的に前方場所及び後方場所でSAFN枝及びPTN枝を刺激するために提供できるが、神経刺激システム構成は脛骨/内果の後方の場所だけに位置する電極を活用できる。例えば、その筐体上で円周上に配置されるリング電極を有する神経刺激装置660は、内果の後方に位置決めされ、PTNに表面的な皮膚を刺激するか皮下で刺激電極場所の尾の方(又は遠位)の皮膚領域を刺激し続けるかのどちらかであるPIN線維及びSAFN線維の両方を刺激するように構成できる。実施形態では、神経刺激装置600は、PTNの電気活性化を標的にするために皮膚の約1.5~2.5cm下に位置決めされるが、振幅は、PTNに対して表面的に位置するSAFN枝又は線維を同時に刺激するほど十分なレベルに増加される。代替実施形態では、神経刺激装置は、皮膚の中で終端する又は皮膚の下を通るSAFN枝又は線維を刺激するために皮膚の0.5~1.5cm下に位置決めされるが、振幅は、下にあるPTNを同時に刺激するほど十分なレベルに増加される。電場が両方の神経標的を刺激できるようにするために、埋め込まれた刺激装置(例えば、パドル型電極)は、SAFNを刺激するために皮膚に向く側面及び、PTNに向く反対の側面の両方で構成された電極を有するべきである。さらに、円周状のリング電極を有する神経刺激装置は、SAFN線維及びPTN線維の同時活性化を達成するために使用できる。PTN及び/又はSAFN枝/線維の両方を同時に刺激できるフィールドを生じさせるように設計される実施形態では、神経刺激装置660の表面に配置される活性電極接点間の電極間の間隔は、少なくとも5mmである必要があるが、より大きい刺激フィールドを生じさせるためには好ましくは10mmより大きい必要がある。
2つ以上の電極接点から成る電極の単一の集合が同じ刺激信号フィールドからPTNとSAFN両方の枝/線維を刺激するために使用される実施形態では、方法は、刺激が存在しない場合に発生する活動に比して、同じフィールドからの時間の少なくとも50%、脛骨及びSAFNの両方の皮膚終末線維を活性化するために埋め込まれた装置の1つ以上の電極接点に電気パルスを印加することを含んでよい。代わりに、少なくとも2つの異なる電極は、それぞれPTN線維及び皮膚SAFN線維を選択的に調節するために配向される2つのフィールドを、同時に又は選択的に生じさせるように、埋め込まれ、且つ構成されてよい。
PTN線維と隣接するSAFN線維の両方を刺激するために電極接点の単一の集合を使用することは、被験者の不快感等の不必要な副作用を生じさせ得る可能性がある。これは、同じ電極からPTNとSAFNの両方を刺激するために必要とされる振幅が被験者の不快感又は疼痛を生じさせることがある他の感覚神経の刺激のリスクを高めるためである。実施形態では、神経刺激装置は、刺激装置の内側に向く表面に配置される内側に向く電極を使用してPTNを刺激するための第1のフィールド、及び刺激装置の外向きの方面に配置される外向きの電極を使用してPTNを刺激するための第2のフィールドを提供するために使用される。刺激装置は、第1のフィールド及び第2のフィールドをそれらのそれぞれの神経標的に向かって誘導し偏向するために、第1の表面及び第2の表面に配置された電極を有する、図50dに示されるもの等の、非導電基板(例えばシリコーン)内で実現されてよい。
PTNを分離して刺激することを目的とするマイクロニューロスティミュレータ(例えばBION)等の神経刺激装置は、刺激過剰により引き起こされるあらゆる潜在的な副作用を最小限に抑えながら、刺激の意図された治療効果を最大限にするためにPTNの近くに埋め込まれる可能性がある。これはPTNの刺激を改善することがあるが、それは刺激電極に近接して位置するSAFN枝/線維を活性化もすることによって治療結果をさらに増強する神経刺激装置の能力を減ずることがある。したがって、方法は、PTN神経及びSAFN神経の両方を刺激する可能性を改善するために、PTNから表面的に少なくとも1cmに神経刺激装置を位置決めすることを含んでよい。PTNとSAFNの両方を刺激するための代替方法は、2つの神経の1つを刺激するためだけに刺激装置を位置決めし配列するよりむしろ、患者のSAFN若しくはPTNに隣接して又は近くに埋め込み可能な装置の少なくとも1つの第1の刺激装置を位置決めすること、次いで他の神経標的の刺激を提供するために神経刺激装置を曲げることも含んでよい。実施形態では、神経刺激装置の一端、又は刺激装置の電極/接点は、PTNから多くても約1.5cmに埋め込まれ、神経刺激装置の他端は、SAFN又はその皮膚神経末端から多くても約1.5cmに位置決めされる。例えば、その表面に電極を有する神経刺激装置は、刺激装置の一端がSAFNよりもPTNにより近く、且つ他端がPTNよりSAFNにより近くなるように埋め込むことができる。刺激振幅は、次いでSAFNとPTNの両方の刺激を引き起こすよう設定できる。実施形態は、患者のSAFN枝又はPTN枝に隣接して又は近くに埋め込み可能な装置の1つ以上の電極を位置決めすること、及び刺激が存在しない場合に発生する少なくとも50%だけ両方の神経活性化を増加させる振幅で刺激することを含む。
患者にSAFN刺激を提供するために経皮的針電極657を使用する、経皮的治療システムの実施形態も示される。針657が、例えば内果の頭側且つ前方の位置で挿入された後、装置50は、PTN刺激のために使用される刺激プロトコルに類似する刺激プロトコルを提供するために使用でき、約30分間持続する治療セッション中に刺激を提供するために約0.5~9mAの電流(患者が皮膚感覚を感じるまで増加される)が10又は20Hzで提示される。少なくとも1つの導電性部を有する導電パッドは、戻り電極として機能を果たすことができ、及び又は接地は踵骨の内面上に設置され、装置50に接続もされる。治療は、毎週又は隔週の刺激セッションでの誘導間隔と、後に続くより頻度の低い治療の維持間隔の両方を有してよい。刺激装置は、ユーザが追加のプロトコルを選択又は較正できるようにしてよい。例えば、ユーザは、値を変更するためにグラフィック制御及び「+」「-」ボタンを使用して、周波数、振幅、及び時間を独立して変更できる。さらに、ユーザは、追加のプロトコルから選ぶ、又は追加のプロトコルを作成できる。プロトコルパラメータは「ランプモード」と呼ばれることがあり、それは、選択されると、刺激振幅等の選択された刺激パラメータを、一定値を維持する代わりにセッション中に+/-2uA等の範囲で変化させる。一方のプロトコルは、10Hzで時間の50%の間刺激する「10/20」と呼ばれることがあり、他方は20Hzで50%刺激する。
図54に示される実施形態では、埋め込まれた神経刺激装置デバイス632bは、刺激装置コンジット84bを使用してPTN又はSAFN等の踝領域の内面で標的を刺激するように構成された、IPC神経カフ又はリード線タイプ多接点電極アレイ598fに刺激信号を提供できる。神経カフ598fは、標的神経の局所化されたバイポーラ刺激を提供するために2つ以上の独立して操作可能な電極で構成されることがあり、又は単一の電極だけを含んでよく、戻り経路は神経刺激装置デバイス632bでの刺激装置によって提供される。後者の場合、カフ598fは、内果の近くでPTN又はSAFNを電気的に活性化するように埋め込まれ構成されることがあり、一方で神経刺激装置デバイス632bに設けられる刺激装置は、例えば皮膚で終端するSAFN神経又はその枝等、脚でのSAFNを刺激するために役立つことがある。一実施形態では、神経刺激装置は、モノポーラ電極を使用して神経カフにPTNを刺激させるように埋め込まれ操作され、戻り経路は、神経刺激装置と神経カフとの間にある。刺激振幅は次いで、被験者がそれらの脚でうずきを検知するまで増加され、次いでより多い量、より少ない量、又は等しい量の刺激が以後の療法中に提供される。さらに、神経刺激装置デバイスの近くで刺激を提供するために使用される少なくとも1つの電極は、SAFNの皮枝を刺激する可能性を高めるためにより大きくされることがある。
追加のシステム実施形態
実施形態では、SAFN求心性神経の電気活性化が、脊髄の高さで刺激を送達することによって達成される。図51に示されるように、少なくとも2つの接点を有する多接点グリッド電極アレイ612は、1つ以上の電極接点が電気パルスで神経組織を選択的に活性化できるように腰髄の背面の近くに埋め込むことができる。単一の電極アレイ612はL2~L4部位全体に沿った標的で電気パルスを提供するのに十分に大きく構築されてよく、又はそれはそれぞれの孔を通して又はそれぞれの孔に隣接して埋め込まれ、且つ特定の部位(例えばL4)を刺激のに十分に小さいことがある。単一のアレイ又は複数のアレイが、標的解剖学的場所に位置する神経根の相補的なサブセットを取り込むために使用されてよい(例えば、L2及びL4刺激)。アレイ612は、より選択的な電気神経刺激を提供するために硬膜の外部に又は硬膜の下に埋め込まれてよい。
実施形態は、リード型多接点電極アレイ614を使用して、腰髄の部位の中の脊髄神経根を電気的に活性化する方法を含む。機械的な安定性は歯のあるアレイ設計を使用して、改善されてよい。図51では、リード型アレイ614は、1つ以上の脊髄神経根(例えばL3及びL4)が選択的に活性化されるように位置決めされる(例えば体軸方向で)。臨床医は、2つ以上の神経根を同期して、交互に、位相はずれで刺激するように神経刺激装置をプログラムしてよく、又はただ1つの神経根の刺激を選択できる。代わりに、リード型アレイ614は、1つの脊髄神経根(例えばL4)だけが標的にされるように位置決めされる(例えば前方-後方方向)が、複数の刺激部位は膀胱症状の治療のために1つ以上のチャネル(例えば、モノポーラ、バイポーラ、又はトリポーラ)を選択することを提供する。実施形態では、リードアレイ614又は刺激装置638は、関連する孔に隣接する埋め込みにより脊髄標的を刺激してよく、且つ硬膜外の空間に存在してよい。リード線はらせん状であり、神経根の回りに、腰椎の上に、又は仙骨の回りに存在することがある。
図52は、埋め込み部位及びパラメータを評価するステップ622と、少なくとも1つの刺激装置を含む神経刺激システム構成要素を埋め込むステップ624と、療法を提供するステップ626とを含む、神経刺激を提供するための方法を示す。実施形態では、部位及びパラメータを評価すること628、及び部位及びパラメータの少なくとも1つを調整すること630を含むステップが、治療上の利益を有する刺激を提供するために行われてよい。刺激評価プロトコルは、1つ以上の「評価間隔」の前、間、又は後に刺激される患者を含む。治療基準を満たす刺激信号は改善された療法を提供し、その後治療中に使用される治療プロトコルの信号及び部位を定義するために選択され、記憶される。
実施形態では、OABを治療する方法は、組合せ療法を含む。少なくとも1つの神経標的の選択的な刺激を提供するための少なくとも1つの刺激装置に少なくとも1つの刺激信号を提供する刺激プロトコルを操作するために構成されたプロセッサを有する神経刺激装置の提供及び動作;及び、少なくとも1つの刺激装置はSAFNの少なくとも1つの第1の神経枝神経標的又は膝と踵とのほぼ間の場所の1つのPTN枝を選択的に刺激するように構成され;及び、少なくとも1つの刺激装置は少なくとも1つの第1の神経枝に、効果的であると評価された少なくとも1つの電気刺激パラメータを提供する。薬物療法の提供629も発生することがある。末梢部位又は関連付けられた脊髄根にあるPTN、MPN、LPN、SAFN等の標的。薬物療法629は、抗コリン作用薬等の薬物の経口摂取、又は膀胱壁の中へのボトックス等の薬物の経尿道的注入又は髄膜注射(例えばintra-vescicleで発生するような)を伴うことがある。薬物療法は、膀胱抑制及び刺激に対する患者の忍耐において神経刺激をより効果的にできる。薬物療法は、効果的な膀胱抑制を提供するため幅広い範囲の末梢神経刺激パラメータを使用できるようにするために、ボトックス等の薬物の投与量(例えば、注入あたりの量、薬物濃度、膀胱の中の場所の数)を漸増することを含んでよい。電気刺激は、OABの治療を持続するために必要とされる薬物療法のより少ない投与量又は頻度を可能にしてよい。電気シミュレーションは、尿閉の発生率(つまり導尿の必要)を最小限に抑えるため等に、膀胱内に注入されるボトックスのより少ない量、又はより低い濃度で薬物療法が発生できるようにする。
図53aは、神経刺激装置632及びセンサ634を有し、無線信号646を使用して外部プログラマEXD636と通信するように構成される神経刺激装置システム644を示す。一実施形態では、EXD636は、電力を提供するために通信無線信号と電力無線信号646の両方を提供できる。神経刺激装置632は、少なくとも1つの標的神経(T1~T4)に刺激を提供するために複数のコンジットで構成できる。EXD患者プログラマ636又は神経刺激装置632は、プロトコル及びパラメータモジュール66に定義される履歴患者レコードアルゴリズムを部分的に使用して療法プログラムを提供するためにプロセッサを操作できる。アルゴリズムは、履歴患者レコードを入手し、評価し、例えばメモリ60の中に記憶するために動作できる。メモリ60に記憶される履歴レコードは、スケジュールに従って、及び/又はEXDによって(又は患者の携帯電話で動作中のスマートフォンアプリケーションによって実現される)患者に提起された質問に応えて、排尿、排尿緊急性に関係する主観的なスコア、疼痛、感受性等について、例えば1)刺激に関係するすべてのパラメータ、調整、及び回数、2)例えば、EXD636に通信信号を送信することによって患者に警告する、又は期限切れになる時間間隔、時刻、又は1つ以上の治療基準を満たす検知されたデータによってトリガされる、システムのレコード、3)刺激を遅延させるEXD636中への患者による入力を含む、患者入力データ、4)自然発生的に発生することがあるようにEXD636を使用して患者によって入力される主観的な情報等の患者日誌情報、を含むことがある。
実施形態では、失禁を治療するためのシステムは、膀胱又は腸の活動に関係する患者の状態に応じて信号を生成するように適応される検知モジュール55の一部であるセンサ634と、電極を有する少なくとも1つの刺激装置114であって、刺激装置はL2、L3、L4等の少なくとも1つの脊髄標的の刺激によって患者の骨盤底活動を調節するように適応される刺激装置と、検知モジュールから信号を受信して、膀胱活動又は腸活動に関係する事象を検出するために信号を分析し、事象の検出に応えて、プロトコル及びパラメータモジュール66の刺激プロトコルの調整を行うために動作して、少なくとも1つの電極に提供された神経調節の変化を生じさせるように適応される神経刺激装置デバイス632の制御モジュール52、を含むことがある。刺激プロトコルに対する調整は、事象が検出されると調節を開始する又は調節の強度を増すことである場合がある。制御モジュール52は、検出された事象が差し迫っている失禁事象に関係すると判断することに応えて刺激装置に第1の波形を印加するように適応でき、ここで制御モジュールは、事象が差し迫っていないと判断することに応えて、第1の波形とは異なる第2の波形を印加するように適応される。検出される事象は、重要であり、且つ検知された活動が患者について設定された閾値を超えている場合に検出される、失禁事象に関係することがある。実施形態では、第1の波形は刺激に対する膀胱の急性応答を防ぐことに関係し、第2の波形は刺激に対する膀胱の長期応答を防ぐことに関係する。センサは、排便又は排尿に関係する筋肉活動を測定するために、埋め込み構成することができる。膀胱調節の代わりに、又は膀胱調節に加えて、刺激は他の組織の調節に配向されてもよく、例えば、それは肛門括約筋の筋肉収縮を促進してよい。
センサが使用されない場合、患者を治療する方法は、療法プロトコルに従って、排尿に関係する抑制膀胱活動又は興奮膀胱活動を生じさせるために、制御モジュール52のプロセッサを用いて、周波数に依存した方法で、神経刺激装置632の刺激生成器を制御して、患者のL2からS4の1つ以上の脊髄神経に最も近い1つ以上の組織部位に電気刺激を送達することを単に含む。システム644によって実行される刺激プロトコルは、1つ以上の組織部位の1つで送達される電気刺激が、排尿活動を減少させるためにプロセッサによって提供される膀胱弛緩療法プロトコルの一部として膀胱収縮の減少につながると患者で示される周波数を有する刺激信号であるように構成される。プロトコルモジュール66で定義される刺激プロトコルは、1つ以上の組織部位の1つで送達される電気刺激が、排尿活動を増加させるために膀胱興奮療法プロトコルの一部として膀胱収縮の増加につながると患者で示される周波数を有する刺激信号を備えるように構成される。
図53bは、少なくとも1つの第1の神経標的を刺激するために無線電力を採取してよい無線電力装置等の神経刺激装置デバイス638を有するシステムを示す。外部装置636は、刺激プロトコルを実現するために無線電力信号及びデータ信号646を装置638に提供するために構成される。第2の神経刺激装置デバイス640はまた、第2の標的を刺激するために提供されてもよい。2つ以上のマイクロニューロスティミュレータ装置638、640が提供される場合、これらは電力を入手でき、同じ外部装置EXD636から独立して制御できる。EXD636は、分散神経刺激システム642として機能する2つ以上の埋め込まれた装置を操作することによって刺激プロトコルを提供するためにEXDを操作するように構成されるプロセッサを有する。複数の装置638、640が少なくとも1つの刺激プロトコルを提供する場合、これらは、例えば複数のSAFN枝の刺激を提供するために協調できる。
図54は、刺激装置コンジット84aを使用してIPC神経カフ598eに刺激信号を提供する神経刺激装置デバイス632aを有する、患者8の脚での第1の神経刺激装置システム644を示す。刺激装置コンジット84bを使用してPTN又はSAFN等の内果の標的を刺激するように構成されたIPC神経カフ598fに刺激信号を提供する神経刺激装置デバイス632bを有する、第2の神経刺激装置システム644も患者8の下腿に示される。参照により本明細書に援用されるHauglandに対する米国特許出願第20080234782号は、患者の脚に本発明の刺激プロトコル及びシステムを実行する場合に使用できる、多様なシステム及び方法を開示する。
実施形態では、膀胱機能不全又は膀胱機能障害を有する患者を治療するために膀胱活動を調節するためのシステムは、刺激信号を提供するために刺激プロトコルに従って刺激モジュールの信号発生器を操作するためのプロセッサ、及びSAFNを刺激するために患者の膝の下且つ患者のSAFNの一部分に隣接して位置決めされるように適応された刺激装置に刺激信号を提供するように構成された神経刺激装置を含み、これによって膀胱活動は調節される。刺激プロトコルは、刺激信号が、10Hz~20Hzの適切な範囲内等で膀胱活動の抑制効果を提供するために選択された周波数、膀胱活動に興奮効果を提供するために実質的に2Hz範囲及び50Hz範囲の少なくとも1つであるように選択される周波数を有すると定義する。刺激信号は、前の評価間隔の間に患者の膀胱活動を増加又は減少させると判断された又は膀胱活動を増加又は減少させると患者の以前のサンプルで示された周波数及び振幅の所定の組合せを有するように選択できる。刺激装置は、1~3cmの概算範囲内で内果の頭側且つ内果の前方である、又は1~2cmの概算範囲内の変位距離で内果の頭側且つ伏在静脈の後方であり、且つ0.5cmと1.5cmの概算範囲内の皮下深さである場所で又は内果の前方側若しくは後方側に隣接し、内果の後方側に隣接する場所で、刺激を提供するために患者のSAFNの一部に隣接して位置決めされるように調整される。代わりに、刺激装置は、患者の内果に近く、且つ患者のSAFNの一部分に隣接する位置で埋め込まれる神経刺激装置の筐体上に位置決めされる。位置はまた、PTNの一部分にも隣接し、神経刺激装置は、少なくとも5mmの接点間の距離で構成された刺激装置上の少なくとも2つの電極接点を使用して刺激を提供するように構成される。さらに、刺激信号は、PTN及びPTNに対して表面的に位置するSAFNの少なくとも1つの枝の同時刺激を提供するのに十分な振幅を有することがある。さらに、実施形態では、刺激プロトコルに従って刺激モジュールの信号発生器を操作するためのプロセッサを有するシステムは、患者の膝下且つ患者の後脛骨神経の一部分に隣接して位置決めされるように適応され、且つ膀胱活動を調節するために後脛骨神経の刺激を提供するように構成された第2の刺激装置から、少なくとも1つの第2の刺激装置を提供するように構成できる。刺激モジュールは、第1の刺激信号と第2の刺激信号の間の相互作用効果を防ぐために実質的に同時に又は異なる時間で第1の刺激信号及び第2の刺激信号を提供するように構成された、刺激プロトコルを使用できる。第1の刺激信号及び第2の刺激信号は、同じ周波数又は異なった周波数で発生することがあり、刺激パラメータで固有であってよい。実施形態では、第1の刺激装置は、患者の内果の約3cm~5cm頭側且つ患者の内果の1cm~2cm前方である場所で埋め込まれる電極であり、第2の電極は、内果の約3cm~5cm頭側且つ内果の約1cm~3cm後方である場所で埋め込まれる。システムは、患者の脚の内側且つ患者の膝下3cm~10cmの概算範囲内である場所で皮膚刺激を提供するために、患者の伏在神経の一部分に隣接して位置決めされるように適応される1つの刺激装置を有してよい。さらに、刺激装置は、患者の膝下3~10cmの概算範囲内で足の内側にある場所で皮膚刺激を提供するために、患者の伏在神経の一部分に隣接して位置決めされるように適応されてよく、刺激信号は、患者の脚の下部で皮膚感覚を生じさせるほぼ振幅で伏在神経の少なくとも1つの枝に提供される。
実施形態では、刺激標的神経は、患者のSAFNを標的とし刺激するための実質的に膝より上で患者の大腿神経の近く等の、患者の骨盤領域より下の場所で選択できる。伏在神経の刺激を提供することは、膀胱活動をわずか25uAで調節することが示されているので、SAFNを刺激するために25uA~75uAの範囲内で低い振幅刺激を提供することを伴うことがある。代わりに、システムは、SAFNと関連付けられる少なくとも脊髄根を刺激するために、実質的に脊髄の高さで刺激を提供できる。刺激療法は、ほぼ刺激間隔の間に膀胱活動に急性変化を引き起こすための第1のプロトコル、又は刺激間隔の終了後も続く膀胱活動に対する長期変化を引き起こすように設計された第2のプロトコル、又は両方に従って提供でき、そこで急性刺激が必要に応じて起こる。例えば、システムは、埋め込み時に、センサ及び検知モジュール並びに、検知されたデータを処理し、検知されたデータで事象を検出し、且つ刺激モジュールによって提供される刺激を調整して、例えば膀胱活動及び膀胱容量に関係する検知されたデータでの少なくとも1つの事象の検出に基づいて急性膀胱調節に関係する刺激を提供するように構成された制御モジュールを含むことがある。代わりに、刺激プロトコルは、第1の刺激プロトコルが膀胱活動の十分な調節を提供しない場合、刺激特性を単に調整できる。刺激を調整することは、調節の周波数を調整すること、又はチャープ等の、経時的に変化する刺激信号を実行することを含むことがある。膀胱活動の調節は、不必要な症状に応えて患者に療法を提供するために提供され、療法を提供することの結果は、実施形態で、膀胱活動の調節から生じると見なすことができる症状を緩和することである場合がある。
実施形態では、過活動膀胱を治療するための方法は、SAFNを調節するために刺激装置で、及びまた実質的に患者の膝と踵との間の場所でPTN、又はLPN/MPN枝を刺激するために第2の刺激装置でも刺激を提供する、刺激プロトコルを提供するように構成されたプロセッサを有する神経刺激装置を確立することを含む。方法は、神経標的の少なくとも1つに対して効果的であると判明したパラメータを使用して刺激信号を印加すること、及び患者に薬物療法を提供することもさらに含む。
実施形態では、OAB状態の患者を治療するためのシステムは、第1の神経標的に選択的な刺激を提供するための刺激信号を刺激装置に独立して提供する刺激プロトコルを提供するように構成されたプロセッサを有する神経刺激装置を含み、刺激装置は患者の中に埋め込まれるように適応され、実質的に患者の膝と踵との間の場所でPTN、LPN、又はMPNである第1の神経標的を選択的に刺激するように構成される。システムは、SAFNとPTN、LPN、及びMPNの少なくとも1つとの同時に起こる電気活性化の組合せを提供するために、SAFNの追加の標的を刺激するように埋め込まれた刺激装置でさらに構成される。刺激装置は、非導電内側環状壁、及び第1の標的神経枝を刺激するように構成された第1の電極接点、及び非導電性である外側環状壁、及び第2の標的を刺激するために位置決めされる第1の電極接点を有する神経カフを使用して供給される、第1の電極接点及び第2の電極接点を有することがある。
実施形態では、システムは、患者に埋め込まれ、且つ少なくとも第1の神経標的及び第2の神経標的に刺激を選択的に提供するように構成された第1の刺激装置を含む、過活動膀胱障害を患う患者に療法を提供するように構成される。第1の神経標的は、神経標的:PTN、LPN、MPN、及びSAFNのグループから選択され、第2の神経標的は、第1の神経標的に選択された標的とは異なる、標的のグループの中の標的であるように選択される。さらに、少なくとも1つの神経刺激装置は、第1の神経標的に印加される少なくとも1つの第1の刺激信号、及び第2の神経標的に印加される第2の信号で構成される刺激プロトコルを提供するために構成され、ここで刺激プロトコルは、第1の信号に関する第1のパラメータ値及び第2の信号に関する第2のパラメータ値を定義し、第1のパラメータ値及び第2のパラメータ値は、(1)2つの刺激信号の周波数を決定するための刺激周波数、及び(2)2つの刺激シングの電流又は電圧の内の少なくとも1つを決定するための刺激振幅、のグループからの少なくとも1つのパラメータ値を含むように選択される。第1の刺激信号及び第2の刺激信号は、患者において又は同じ試料の母集団において膀胱活動の所望される調節を提供すると評価された信号であるように選択される。実施形態では、第2の刺激信号は、SAFNに刺激プロトコルによって印加され、刺激信号の電流又は電圧は、第1の刺激信号に使用される値の約30%~60%未満である。第1の刺激信号及び第2の刺激信号は、2つの標的神経のそれぞれに対して組み合わされて提示される場合に患者の治療効果を有するとして評価された信号である場合がある。
実施形態では、システムは、患者において骨盤底機能不全を治療する又は症状の軽減を提供するように構成され、第1の神経標的を第1の刺激信号で刺激し、第2の神経標的を第2の刺激信号で刺激するように構成された刺激装置を有する神経刺激装置を含み、ここで第1の刺激信号は第1の刺激標的で治療的であるるように選択され、第2の刺激信号は第2の刺激標的で治療的であるように選択され、第1の刺激標的及び第2の刺激標的は、PTN、LPN、MPN、及びSAFNを含む集合の少なくとも2つであるように選択される。
実施形態では、システムは、膀胱障害を治療するように構成され、且つ刺激プロトコルを有する埋め込まれた神経刺激装置を含み、刺激プロトコルは第1の信号を第1の神経標的に印加し、この信号は膀胱活動の抑制を生じさせるとして以前に評価されており、膀胱活動の興奮を生じさせるために第2の標的に第2の信号をさらに印加するように構成される。第1の刺激装置は患者に埋め込まれ、PTN、LPN、MPN、及びSAFNのグループから選択される少なくとも第1の神経標的を選択的に刺激するように構成できる。第1の神経標的及び第2の神経標的は、同じ神経の異なる標的であることがある。さらに、第2の刺激信号は、膀胱活動の興奮を引き起こすために、ほぼ35Hzより大きく且つ100Hz未満であるように選択される。
実施形態では、システムは患者の排尿活動及び/又は関係する症状を調節するように構成される。システムは、排尿活動を増加させるために選択される第1の刺激パターンを有する第1の刺激信号を使用して第1の刺激部位に刺激を提供するように構成される第1の療法プロトコル、及び排尿活動を減少させるために選択される第2の刺激パターンを有する第2の刺激信号を使用して刺激部位に刺激を提供するように構成される第2の療法プロトコルを提供するために信号発生器で刺激モジュールを制御するように構成された制御モジュールプロセッサを有する神経刺激装置を含むことがあり;刺激装置は神経刺激装置から刺激信号を受信し、少なくとも1つの刺激部位のために神経標的を刺激するように構成される。第1の刺激信号のための少なくとも1つの刺激部位は、PTN、LPN、MPN、及びSAFNを含む神経の集合から選択される神経標的を刺激するために選択される部位である。
実施形態では、過活動膀胱を治療するためのシステムは、神経刺激装置、患者プログラマである外部装置、患者に提供される刺激を定義し、神経刺激装置から信号を受信する少なくとも1つの第1の刺激装置に印加される少なくとも1つの第1の候補刺激信号で第1の候補神経標的部位を刺激し、第1の候補神経標的部位又は第1の候補刺激信号の少なくとも1つを調整するように構成される刺激プロトコルを実施するためのプロセッサ、を含み、ここで候補神経標的部位に対する調整が、PTN、LPN、MPN、及びSAFNのグループから選択される少なくとも2つの候補神経標的の間で切り替えることを含む。さらに、刺激プロトコルは、少なくとも第1の刺激装置を使用して部位の少なくとも2つを刺激するように構成される。刺激プロトコル調整は、療法の提供中に偶然に発生することがある。刺激プロトコルは、第1の候補刺激信号で第1の候補神経標的部位を刺激し、次いで治療基準を満たす治療上の利益があるかどうかを判断した後に発生することがあり;基準が満たされる場合に第1の候補神経標的部位及び第1の候補刺激信号を使用して刺激し続け;基準が満たされない場合にプロトコルを調整して刺激を提供するステップを実行する。さらに、プロトコルの調整は、療法の提供の前に、又は間に間欠的に、偶然に発生することがあり、且つ第1の候補刺激信号で第1の候補神経標的を刺激することと、障害を治療する際に刺激の効能に関係する治療データを収集し記憶することと、一連の刺激部位及び刺激信号を実現するために定義されるプロトコルに従って治療部位と刺激信号の組合せを実現するためにプロトコルを調整することと、改善された療法を患者に提供した少なくとも1つの刺激部位と刺激信号の組合せを選択するために治療データを評価することとを含む。第1の候補刺激信号の調整は、刺激信号の周波数を調整することを含むことがある。第1の候補刺激信号の調整はまた、2Hz、5Hz、10Hz、15Hz、20Hz、及び50Hzのグループから選択される周波数の少なくとも2つの間で切り替えることと、さらに、2つ以上の周波数が治療効果を生じさせない場合、次いでこの範囲の上又は下のどちらかの周波数を評価することを含むことがある。
実施形態では、システムはOABを患う患者を治療するように構成され、患者に埋め込まれL2、L3、及びL4の神経グループから選択される第1の脊髄神経根を刺激するように構成される刺激装置を含む。刺激は5と50Hzの間で発生することがあり、膀胱抑制が所望される場合は10Hz~20Hzで好ましく発生してよい。埋め込まれた神経刺激装置は、第1の刺激信号を第1の脊髄神経根標的に印加して、膀胱活動を調節する及び又は症状を緩和するように構成された刺激プロトコルを有する。少なくとも第1の脊髄神経根標的は、2つの異なる刺激プロトコルを使用することによって膀胱活動の抑制と興奮の療法を提供するために選択できる。代わりに、脊髄神経根標的は、それぞれ膀胱活動の抑制及び興奮の内の少なくとも1つを提供するために選択される少なくとも2つの脊髄神経根標的を含む。2つの異なる刺激プロトコルは、1また2について異なる周波数及び/又は振幅で刺激信号を定義できる。第1の刺激信号は、患者で少なくとも膀胱活動の抑制又は興奮を生じさせる周波数を有するように選択できる。システムは、L3及びL4である標的の神経グループから第2の神経根標的を刺激するために選択される第2の刺激装置を含むことがある。第2の刺激装置は、患者に埋め込まれ、好ましくはS3である、L5、S1、S2、S3、及びS4のグループから選択される第2の脊髄神経標的を刺激するように構成できる。
実施形態では、システムは、OABを患う患者を治療するように構成され、患者に埋め込まれL2、L3、L4のグループから選択される少なくとも1つの第1の脊髄神経根を刺激するように構成される第1の刺激装置、及び患者に埋め込まれL5、S1、S2、S3、及びS4のグループから選択される少なくとも1つの第2の脊髄神経根を刺激するように構成された第2の刺激装置を含む。埋め込まれた神経刺激装置は、第1の脊髄神経根標的を調節するために第1の刺激装置に少なくとも1つの第1の調節信号を、第2の脊髄神経根標的を調節するために第2の刺激装置に第2の調節信号を印加するように構成される刺激プロトコルを実施するように構成されたプロセッサを有する制御モジュールを有する。第1の脊髄神経根及び第2の脊髄神経根を調節するための調節信号は、刺激プロトコルによって独立して設定及び/又は調整できる。第1の調節信号は、患者で治療効果を生じさせると評価され、又はサンプル集団で治療効果を生じさせると評価された信号であるように選択される。さらに、第1の調節信号及び第2の調節信号は、組み合わせて提示される場合に患者で治療効果を生じさせると評価された信号であるように選択できる。さらに、第1の調節信号及び第2の調節信号は、単独で提示される場合の第1の調節信号及び第2の調節信号の効能と比較して、ともに提示される場合に患者で治療効果を生じさせると評価された信号であるように選択できる。さらに、第1の刺激装置で提供される第1の調節信号は、L2、L3、L4のグループから選択される少なくとも1つの第1の脊髄神経根を刺激するように構成できる。刺激振幅は、調節効果を達成するために使用される体性線維の活性化を生じさせるほど十分にすることができる。
同等物
本発明は、その精神又は基本的な特徴から逸脱することなく他の特定の形式で実施されてよい。したがって、上記実施形態はすべての点において、本明細書に説明される本発明に対して制限的よりむしろ、例示的と見なされるべきである。
本明細書に開示される多様なステップ(非制限例として、機能又はプロセスを実行する論理など)は、その挙動特性及び/又は他の特性に関して多様なコンピュータ可読媒体で実施されるデータ及び/又は命令として説明されてよい。本明細書に記載される論理及び方法は、本発明の多様な実施形態に従って、ソフトウェア、ハードウェア、又はソフトウェア及びハードウェアの組合せを含んでよい。
文脈上明らかに他の意味に解釈すべき場合を除いて、本明細書及び特許請求の範囲を通して、単語「含む」、「含んでいる」等は排他的又は網羅的意味と対照的に包括的な意味、つまり「を含むが、これに限定されるものではない」の意味で解釈されるべきである。また、単数又は複数を使用する単語は、それぞれ複数又は単数を含む。単語「又は」が2つ以上の項目のリストを参照して使用される場合、その単語は単語の以下の解釈、つまりリスト中の項目のいずれか、リスト中の項目のすべて、及びリスト中の項目の任意の組合せのすべてを対象とする。