JP7011457B2 - 純水製造装置の殺菌方法 - Google Patents

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Description

本発明は、純水製造装置の殺菌方法に関する。
従来から、医薬品製造などに使用される純水(精製水)を製造する装置として、逆浸透膜(RO膜)またはナノろ過膜(NF膜)を有し、工業用水、井水、市水などの原水を透過水と濃縮水とに分離する膜ろ過装置と、透過水をイオン交換体に通水することで脱イオン水(純水)を製造する電気式脱イオン水製造装置とを組み合わせた純水製造装置が知られている。このような純水製造装置では、医薬品製造などに使用される純水を製造するという性質上、日本薬局方の要求を担保するために、系内の生菌数を低減させる殺菌処理が定期的に行われている。この殺菌処理は、一般に、例えば60℃以上の熱水を系内に通水することで行われている。
特許文献1には、純水製造装置で製造された純水を加熱して系内に通水する方法が記載されている。具体的には、純水製造装置で製造された純水を原水タンクに一旦貯留し、その純水を加熱して膜ろ過装置と電気式脱イオン水製造装置に順次供給した後、原水タンクに還流させることで、加熱された純水を系内で循環させる方法が記載されている。この方法によれば、膜ろ過装置と電気式脱イオン水製造装置を一括して殺菌することができ、これらを個別に殺菌する場合に比べて、水使用量や工程数を削減することでより効率的な殺菌処理を行うことが可能になる。
特開2004-74109号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、殺菌処理を実施するにあたり、通常運転(純水製造)時に原水タンクに貯留されていた原水を外部に排出してから、加熱される純水を原水タンクに貯留する必要がある。すなわち、特許文献1に記載の方法には、殺菌処理を実施する度にこのような余分な工程が必要になる点や、それに伴って一定量の水が無駄に消費されてしまう点で、依然として改善の余地が残されている。
そこで、本発明の目的は、熱水による殺菌処理のさらなる効率化を実現する純水製造装置の殺菌方法を提供することである。
上述した目的を達成するために、本発明の純水製造装置の殺菌方法は、逆浸透膜またはナノろ過膜を有する膜ろ過装置と、膜ろ過装置の下流側に接続され、膜ろ過装置からの透過水が供給される電気式脱イオン水製造装置であって、陽極と陰極との間に位置し、陽極側のアニオン交換膜と陰極側のカチオン交換膜とで区画され、カチオン交換体とアニオン交換体とが充填された脱塩室を有する電気式脱イオン水製造装置と、を有する純水製造装置の殺菌方法であって、被処理水タンクに貯留されてい純水製造装置で処理されていない被処理水を膜ろ過装置と電気式脱イオン水製造装置に順次供給しつつ外部に排出することなく被処理水タンクに還流させることで、膜ろ過装置と電気式脱イオン水製造装置とを含む循環経路に沿って被処理水を循環させる工程と、循環経路に沿って循環する被処理水を所定の温度まで加熱し、一定時間保持した後に冷却することで、膜ろ過装置と電気式脱イオン水製造装置とを殺菌する工程と、を含み、殺菌する工程は、電気式脱イオン水製造装置の脱塩室に充填されたカチオン交換体とアニオン交換体が破過しない条件の範囲内で行われる。
このような純水製造装置の殺菌方法によれば、通常運転時に被処理水タンク(原水タンク)に貯留されていた被処理水(原水)を外部に排出する必要がなくなり、水使用量と工程数を共に削減することができる。なお、加熱殺菌用の熱水として原水を用いることで、運転再開時の電気式脱イオン水製造装置の処理水質に対する影響が懸念されるが、電気式脱イオン水製造装置の脱塩室に充填されたカチオン交換体とアニオン交換体が破過しない条件の範囲内で原水の循環を行うことで、その影響も最小限に抑えることができる。
以上、本発明によれば、熱水による殺菌処理のさらなる効率化を実現することができる。
本発明の一実施形態に係る純水製造装置の概略構成図である。 実施例および比較例1における処理水比抵抗の時間変化を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る純水製造装置の概略構成図である。図1(b)は、図1(a)の純水製造装置を構成する電気式脱イオン水製造装置の概略構成図である。なお、図示した純水製造装置および電気式脱イオン水製造装置の構成は、それぞれ単なる一例であり、本発明を制限するものではなく、装置の使用目的や用途、要求性能に応じて適宜変更可能であることは言うまでもない。
純水製造装置1は、被処理水(原水)を順次処理して純水を製造するものであり、図1(a)に示すように、原水タンク2と、膜ろ過装置3と、電気式脱イオン水製造装置4とを有している。
膜ろ過装置3は、原水タンク2から供給される原水中の不純物を除去して透過水を生成するものであり、原水を、不純物を含む濃縮水と、不純物が除去された透過水とに分離する逆浸透膜(RO膜)またはナノろ過膜(NF膜)を有している。膜ろ過装置3には、原水タンク2からの原水を膜ろ過装置3に供給する供給ラインL1と、膜ろ過装置3からの透過水を流通させる透過水ラインL2と、膜ろ過装置3からの濃縮水を流通させる濃縮水ラインL3とが接続されている。濃縮水ラインL3は、濃縮水ラインL3を流れる濃縮水の一部または全部を外部に排出する排水ラインL4と、原水タンク2に還流させる還流水ラインL5とに分岐している。原水タンク2には、原水供給ラインL6を通じて、除濁や脱塩素などを行う前処理装置(図示せず)が接続され、前処理された原水(例えば、導電率が1000μS/cm以下の水)が必要に応じて供給されるようになっている。
供給ラインL1には、熱交換器5と加圧ポンプ6とが設けられている。熱交換器5は、後述する殺菌工程時に膜ろ過装置3に供給される原水を加熱して熱水を生成するために設けられている。加圧ポンプ6は、原水タンク2と熱交換器5との間に設けられた送水ポンプ(図示せず)と共に、原水タンク2に貯留された原水を膜ろ過装置3に供給するために設けられている。加圧ポンプ6は、インバータ(図示せず)によって回転数が制御されるようになっており、膜ろ過装置3への原水の供給圧力を調整する機能も有している。排水ラインL4および還流水ラインL5にはそれぞれ、濃縮水ラインL3を流れる濃縮水の流路を切り替えるためのバルブV1,V2が設けられている。
電気式脱イオン水製造装置4は、イオン交換体による被処理水の脱イオン化(脱塩)処理と、イオン交換体の再生処理とを同時に行う装置である。電気式脱イオン水製造装置4は、透過水ラインL2を介して膜ろ過装置3の下流側に接続され、膜ろ過装置3からの透過水が被処理水として供給されるようになっている。電気式脱イオン水製造装置4には、電気式脱イオン水製造装置4からの処理水(脱イオン水)を流通させて処理水タンクまたはユースポイントに供給する処理水ラインL7と、電気式脱イオン水製造装置4からの濃縮水を外部に排出する濃縮水排出ラインL8とが接続されている。
処理水ラインL7にはバルブV3が設けられ、その上流側に、バルブV4を介して処理水還流ラインL9が接続されている。処理水還流ラインL9は、その反対側で原水タンク2に接続されている。これにより、例えば、装置起動時や運転再開時、ユースポイントで処理水(純水)の需要がないときなど、電気式脱イオン水製造装置4で製造される処理水を原水タンク2に還流させる循環運転を行うこともできる。また、濃縮水排出ラインL8にはバルブV5が設けられ、その上流側に、バルブV6を介して濃縮水還流ラインL10が接続されている。濃縮水還流ラインL10は、その反対側で原水タンク2に接続されている。これにより、電気式脱イオン水製造装置4からの濃縮水の水質によっては、その一部または全部を原水タンク2に還流させることもできる。
電気式脱イオン水製造装置4は、図1(b)に示すように、陽極11を備えた陽極室E1と、陰極12を備えた陰極室E2と、陽極室E1と陰極室E2との間に設けられた脱塩室Dと、脱塩室Dの陽極11側でアニオン交換膜a1を介して脱塩室Dと隣接する陽極側濃縮室C1と、脱塩室Dの陰極12側でカチオン交換膜c1を介して脱塩室Dと隣接する陰極側濃縮室C2とを有している。陽極側濃縮室C1は、カチオン交換膜c2を介して陽極室E1と隣接し、陰極側濃縮室C2は、アニオン交換膜a2を介して陰極室E2と隣接している。
脱塩室Dは、中間イオン交換膜mによって第1の小脱塩室D1と第2の小脱塩室D2とに区画されている。第1の小脱塩室D1は、アニオン交換膜a1を介して陽極側濃縮室C1と隣接し、第2の小脱塩室D2は、カチオン交換膜c1を介して陰極側濃縮室C2と隣接している。中間イオン交換膜mは、例えば、アニオン交換膜またはカチオン交換膜の単一膜、あるいはバイポーラ膜である。
脱塩室Dには、カチオン交換体AEとアニオン交換体CEとが充填されている。具体的には、第1の小脱塩室D1には、アニオン交換体AEが単床形態で充填され、第2の小脱塩室D2には、カチオン交換体CEとアニオン交換体AEとが複床形態で充填されている。より具体的には、第2の小脱塩室D2は、被処理水の流れ方向に沿って2つの領域に区画され、上流側の領域に、カチオン交換体CEが単床形態で充填され、下流側の領域に、アニオン交換体AEが単床形態で充填されている。脱塩室Dに充填されるカチオン交換体としては、カチオン交換樹脂、カチオン交換繊維、モノリス状多孔質カチオン交換体等が挙げられ、最も汎用的なカチオン交換樹脂が好適に用いられる。カチオン交換体の種類としては、弱酸性カチオン交換体、強酸性カチオン交換体等が挙げられる。脱塩室Dに充填されるアニオン交換体としては、アニオン交換樹脂、アニオン交換繊維、モノリス状多孔質アニオン交換体等が挙げられ、最も汎用的なアニオン交換樹脂が好適に用いられる。アニオン交換体の種類としては、弱塩基性アニオン交換体、強塩基性アニオン交換体等が挙げられる。
なお、陽極側濃縮室C1および陰極側濃縮室C2には、電気式脱イオン水製造装置4の電気抵抗を抑えるために、それぞれイオン交換体が充填されていることが好ましい。また、陽極室E1および陰極室E2にも、電気式脱イオン水製造装置4の電気抵抗を抑えるために、それぞれイオン交換体などの導電性物質が充填されていることが好ましい。一例として、陽極側濃縮室C1、陰極側濃縮室C2、および陰極室E2には、アニオン交換体が充填され、陽極室E1には、カチオン交換体が充填されている。
膜ろ過装置3からの透過水ラインL2は複数(図示した例では3つ)に分岐して、第1の小脱塩室D1、陽極側濃縮室C1、および陰極側濃縮室C2にそれぞれ接続されている。第1の小脱塩室D1は、第2の小脱塩室D2と直列流路を形成し、その下流側は、処理水ラインL7に接続されている。陽極側濃縮室C1および陰極側濃縮室C2は並列流路を形成し、その下流側は、濃縮水排出ラインL8に接続されている。こうして、膜ろ過装置3からの透過水が、被処理水として第1および第2の小脱塩室D1,D2に供給され、濃縮水として陽極側濃縮室C1および陰極側濃縮室C2に供給される。なお、図示は省略するが、陽極室E1および陰極室E2にも、電極水を供給および排出するためのラインが接続されている。
透過水ラインL2を通じて膜ろ過装置3から供給される透過水(被処理水)は、脱塩室Dを通過する際にイオン成分が除去され、処理水(脱イオン水)として、処理水ラインL8を通じて処理水タンクまたはユースポイントに供給される。このとき、脱塩室で除去されたイオン成分は、両極11,12間に直流電圧が印加されることで発生する電位差により、脱塩室Dに隣接する濃縮室C1,C2に移動する。具体的には、カチオン成分は、陰極12側に引き寄せられ、カチオン交換膜c1を通過して陰極側濃縮室C2に移動し、アニオン成分は、陽極11側に引き寄せられ、アニオン交換膜a1を通過して陽極側濃縮室C1に移動する。こうして濃縮室C1,C2に移動したイオン成分は、濃縮室C1,C2に供給される濃縮水に取り込まれ、濃縮水排出ラインL8を介して外部に排出される。ただし、濃縮水の水質によっては、その一部または全部が原水タンク2に還流するようになっていてもよい。一方で、脱塩室Dでは、水解離反応(水が水素イオンと水酸化物イオンとに解離する反応)が連続的に進行している。水素イオンは、カチオン交換体に吸着したカチオン成分と交換され、水酸化物イオンは、アニオン交換体に吸着したアニオン成分と交換される。こうして、脱塩室Dに充填されたカチオン交換体およびアニオン交換体がそれぞれ再生される。
なお、冒頭でも述べたように、電気式脱イオン水製造装置4の図示した構成は、あくまで一例であり、装置の使用目的や用途、要求性能に応じて、各室の構成(数、配置など)や流路構成を変更したり、バルブや計測器などを追加したりするなどの変更が適宜可能である。例えば、脱塩室は2つ以上設けられていてもよい。この場合、脱塩室と濃縮室とは、カチオン交換膜またはアニオン交換膜を介して交互に設けられ、2つ以上の脱塩室は、直列または並列流路を形成することになる。また、脱塩室におけるカチオン交換体およびアニオン交換体の充填形態も、図示したものに限定されず、例えば、第1の小脱塩室にカチオン交換体が単床形態で充填され、第2の小脱塩室にアニオン交換体とカチオン交換体とがそれぞれ単床形態で充填されていてもよい。
本実施形態の純水製造装置1は、医薬品製造などに使用される純水を製造するものである。そのため、本実施形態では、通常運転時の純水製造の合間に、熱水によって系内の生菌数を低減させる殺菌工程が定期的に行われる。以下、この殺菌工程について説明する。
殺菌工程は、原水タンク2に貯留された原水を系内で循環させつつ、熱交換器5によって60℃程度以上、好ましくは90℃程度まで加熱し、一定時間保持した後、系内の温度が純水製造に適した温度になるまで冷却する工程である。殺菌工程が実行されることで、供給ラインL1、膜ろ過装置3、透過水ラインL2、電気式脱イオン水製造装置4、処理水ラインL7、および処理水還流ラインL9を含む純水製造装置1の系内が殺菌される。
殺菌工程が開始されると、電気式脱イオン水製造装置4の運転(直流電圧の印加)が停止され、純水製造が停止される。そして、処理水ラインL7のバルブV3が閉鎖され、処理水還流ラインL9のバルブV4が開放される。これにより、原水タンク2内の原水は、膜ろ過装置3と電気式脱イオン水製造装置4に順次供給された後、原水タンク2に還流することで、供給ラインL1、膜ろ過装置3、透過水ラインL2、電気式脱イオン水製造装置4、処理水ラインL7、および処理水還流ラインL9を含む循環経路に沿って循環される。それと同時に、熱交換器5により、循環する原水が60℃~90℃になるまで加熱され、その温度で保持される。こうして、高温に保持された原水(熱水)の循環により、純水製造装置1の系内が殺菌される。なお、このとき、排水ラインL4のバルブV1が閉鎖され、還流水ラインL5のバルブV2が開放されることで、濃縮水ラインL3および還流水ラインL5も熱水により殺菌される。さらに、濃縮水排出ラインL8のバルブV5が閉鎖され、濃縮水還流ラインL10のバルブV6が開放されることで、濃縮水還流ラインL10も熱水により殺菌される。
熱水の循環が一定時間行われた後、熱交換器5により、循環する熱水が例えば45℃未満になるまで冷却されて、殺菌工程が終了する。そして、純水製造装置1において通常運転が再開される前に、原水タンク2に接続された排水ライン(図示せず)を通じて、熱水殺菌に使用された原水タンク2内の原水が外部に排出される。その後、原水供給ラインL6を通じて原水タンク2に新たに原水が供給され、純水製造装置1において通常運転が再開される。通常運転が再開されると、処理水還流ラインL9のバルブV4が閉鎖されるとともに、処理水ラインL7のバルブV3が開放され、純水製造装置1で製造された純水が処理水タンクまたはユースポイントに供給される。
上述したように、本実施形態では、通常運転時に原水タンク2に貯留されていた原水をそのまま加熱して循環させるため、殺菌工程の前に原水タンク2内の原水を外部に排出する必要がない。すなわち、原水ではなく純水を用いた熱水殺菌では、原水タンクに貯留されていた原水を純水で置換する工程が必要になるが、本実施形態では、そのような余分な工程は必要がなく、これに伴って一定量の水が無駄になることもない。その結果、水使用量と工程数を共に削減することができ、熱水による殺菌処理のさらなる効率化を実現することができる。
ただし、原水を加熱して殺菌処理を行うことには、次のような懸念がある。詳細な説明は省略するが、原水が高温になると、RO膜またはNF膜の構造上、膜ろ過装置への原水の供給圧力を低下させる必要がある。その結果、膜ろ過装置で分離される透過水の水質が悪化して、電気式脱イオン水製造装置への給水の水質基準を超えてしまう可能性があり、これが、運転再開時に電気式脱イオン水製造装置の処理水質に何らかの影響を与えることが懸念される。そのため、電気式脱イオン水製造装置を備えた純水製造装置では、特許文献1に記載されているように、純水を用いて熱水殺菌を行うことが一般的である。
しかしながら、本発明者らの検証により、膜ろ過装置からの透過水の水質が悪化して、電気式脱イオン水製造装置への給水の水質基準を超えてしまう場合でも、ある条件の範囲内であれば、運転再開時の電気式脱イオン水製造装置の処理水質に対する影響が最小限に抑えられることが見出されている。その条件とは、電気式脱イオン水製造装置の脱塩室に充填されたカチオン交換体とアニオン交換体が破過しない条件である。すなわち、透過水の水質悪化によりカチオン交換体とアニオン交換体が破過してしまうと、後述する比較例に示すように、運転再開後の水質の立ち上がりに長時間かかる可能性があるが、カチオン交換体とアニオン交換体が破過しない限り、そのような問題を回避することができる。
したがって、本実施形態の殺菌工程では、電気式脱イオン水製造装置の脱塩室に充填されたカチオン交換体とアニオン交換体が破過しない条件の範囲内で、熱水(加熱された原水)の循環を行うようになっている。これにより、水質の立ち上がりに関する問題を回避して、運転再開後の電気式脱イオン水製造装置の処理水質に対する影響を最小限に抑えることができる。ここで、カチオン交換体とアニオン交換体が破過しないための具体的な条件は、実験により決定することもできるが、装置構成や運転条件から決定されるパラメータが以下の条件を満すかどうかを予め計算により確認することが好ましい。その条件は、脱塩室に充填されたカチオン交換体の体積(L)と総交換容量(eq/L-R)との積に対する、殺菌工程の間に脱塩室に供給される原水に含まれるカチオンの当量数(eq)の合計の割合と、脱塩室に充填されたアニオン交換体の体積と総交換容量との積に対する、殺菌工程の間に脱塩室に供給される原水に含まれるアニオンの当量数の合計の割合とが共に所定値以下となる条件である。なお、上記所定値は、後述する実施例に示すように、例えば50%である。
上述の条件において、殺菌工程の間に脱塩室に供給される原水に含まれるカチオンおよびアニオンのそれぞれの当量数の合計(殺菌工程中のカチオン負荷およびアニオン負荷のそれぞれの合計)は、以下のようにして算出される。まず、前処理装置から供給される原水に含まれるカチオンおよびアニオンの当量濃度を予め測定し、測定したカチオンおよびアニオンの当量濃度と、RO膜またはNF膜の阻止率の温度依存性から、殺菌工程時の各温度において脱塩室に供給される熱水に含まれるカチオンおよびアニオンの当量濃度を算出する。そして、算出したカチオンおよびアニオンの当量濃度と、殺菌工程時に脱塩室に供給される熱水の流量と、殺菌工程の所要時間(通水時間)とから、殺菌工程の間に脱塩室に供給される熱水に含まれるカチオンおよびアニオンの当量数の合計が算出される。なお、測定対象となるカチオンおよびカチオンは、理想的には、原水中の全てのアニオンおよびカチオンである。
次に、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
(実施例)
本実施例では、図1に示す純水製造装置を用いて、上述した殺菌工程を実施し、通常運転の再開後から24時間後までの処理水質(処理水比抵抗)を2時間ごとに測定した。被処理水タンク(原水タンク)として、容積が200Lのものを用い、被処理水(原水)として、導電率が約300μS/cmのRO透過水(逆浸透膜によって分離された透過水)を用いた。なお、原水中のナトリウム濃度は、電気式脱イオン水製造装置への給水の水質基準の約17倍であった。
脱塩室に充填されるカチオン交換体およびアニオン交換体として、それぞれH形カチオン交換樹脂およびOH形アニオン交換樹脂を用い、殺菌工程時の第1の小脱塩室および第2の小脱塩室での通水線速度(LV)は、それぞれ63m/hおよび72m/hであった。殺菌工程の所要時間は、原水の昇温、温度保持、および降温にそれぞれ1時間、合計3時間であり、原水の最高到達温度は87℃である。
上述した装置構成および運転条件において、脱塩室に充填されたカチオン交換体の体積と総交換容量との積に対する、殺菌工程中のカチオン負荷の合計の割合は43%、脱塩室に充填されたアニオン交換体の体積と総交換容量との積に対する、殺菌工程中のアニオン負荷の合計の割合は15%であった。
(比較例1)
殺菌工程を実施する前に、原水タンクに貯留されていた原水を純水で置換する工程を行い、加熱殺菌用の熱水として純水を用いたこと以外、実施例と同様の条件で測定を行った。
(比較例2)
脱塩室に充填されるカチオン交換体およびアニオン交換体として、それぞれ塩形のものを用いたこと以外、実施例と同様の条件で測定を行った。
図2は、実施例および比較例1における測定結果を示すグラフであり、通常運転再開後の経過時間に対する処理水比抵抗を示している。また、表1に、実施例および比較例1,2における測定結果、具体的には、運転再開2時間後での処理水比抵抗を示す。
Figure 0007011457000001
実施例は、加熱殺菌用の熱水として純水を用いた比較例1と比べて、殺菌工程にかかる水使用量を原水タンクの容積分(200L)だけ削減でき、純水の置換工程に要する時間を削減できる点で有利である(この効果は、装置の規模が大きくなるほど大きくなる)が、図2から分かるように、運転再開後の処理水質の点でも、比較例1と比べて遜色がないことが確認された。また、表1に示すように、実施例では、塩形のイオン交換樹脂を用いた比較例2と比べて、水質の立ち上がりに関して良好な結果が得られていることが確認された。比較例2は、電気式脱イオン水製造装置の脱塩室内のイオン交換体が破過した状態を模擬したものであることから、実施例において水質の立ち上がりが良好であることは、殺菌工程において電気式脱イオン水製造装置の脱塩室内のイオン交換体が破過しなかったためであると考えられる。
1 純水製造装置
2 原水タンク
3 膜ろ過装置
4 電気式脱イオン水製造装置
5 熱交換器
6 加圧ポンプ
11 陽極
12 陰極
D 脱塩室
D1 第1の小脱塩室
D2 第2の小脱塩室
C1 陽極側濃縮室
C2 陰極側濃縮室
E1 陽極室
E2 陰極室
a1,a2 アニオン交換膜
c1,c2 カチオン交換膜
m 中間イオン交換膜
L1 供給ライン
L2 透過水ライン
L3 濃縮水ライン
L4 排水ライン
L5 還流水ライン
L6 原水供給ライン
L7 処理水ライン
L8 濃縮水排出ライン
L9 処理水還流ライン
L10 濃縮水還流ライン
V1~V6 バルブ

Claims (3)

  1. 逆浸透膜またはナノろ過膜を有する膜ろ過装置と、前記膜ろ過装置の下流側に接続され、前記膜ろ過装置からの透過水が供給される電気式脱イオン水製造装置であって、陽極と陰極との間に位置し、前記陽極側のアニオン交換膜と前記陰極側のカチオン交換膜とで区画され、カチオン交換体とアニオン交換体とが充填された脱塩室を有する電気式脱イオン水製造装置と、を有する純水製造装置の殺菌方法であって、
    被処理水タンクに貯留されてい前記純水製造装置で処理されていない被処理水を前記膜ろ過装置と前記電気式脱イオン水製造装置に順次供給しつつ外部に排出することなく前記被処理水タンクに還流させることで、前記膜ろ過装置と前記電気式脱イオン水製造装置とを含む循環経路に沿って前記被処理水を循環させる工程と、
    前記循環経路に沿って循環する前記被処理水を所定の温度まで加熱し、一定時間保持した後に冷却することで、前記膜ろ過装置と前記電気式脱イオン水製造装置とを殺菌する工程と、を含み、
    前記殺菌する工程は、前記電気式脱イオン水製造装置の前記脱塩室に充填された前記カチオン交換体と前記アニオン交換体が破過しない条件の範囲内で行われる、純水製造装置の殺菌方法。
  2. 前記条件は、前記脱塩室に充填された前記カチオン交換体の体積と総交換容量との積に対する、前記殺菌する工程の間に前記脱塩室に供給される前記被処理水に含まれるカチオンの当量数の合計の割合と、前記脱塩室に充填された前記アニオン交換体の体積と総交換容量との積に対する、前記殺菌する工程の間に前記脱塩室に供給される前記被処理水に含まれるアニオンの当量数の合計の割合とが共に所定値以下となる条件である、請求項1に記載の純水製造装置の殺菌方法。
  3. 前記所定値が50%である、請求項2に記載の純水製造装置の殺菌方法。
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