JP7011238B2 - 微生物を用いたアルキルレゾルシノールの高効率生産法 - Google Patents

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本発明は、微生物を用いたアルキルレゾルシノールの高効率生産法に関する。
アルキルレゾルシノール類は、小麦、ライ麦等の食品原料に含まれている化合物である。これら食品原料に含まれるアルキルレゾルルシノール類が、多彩な生理作用、例えば免疫抑制、抗老化、抗炎症、コレステロール排出促進、睡眠改善等の作用を有することが報告されている。アルキルレゾルシノール類には、アルキル基の炭素数の異なる様々な種類が存在する。例えば、小麦に含まれるアルキルレゾルシノール類は、主に炭素数が15、17、19、21、23又は25のアルキル基を有し、なかでも炭素数19又は21のアルキル基を有するものが多い。
食品原料に含まれるアルキルレゾルシノール類の量は少ないため、所望の生理作用のための有効量のアルキルレゾルシノール類を通常の食事から摂取することは困難である。食品原料に含まれるアルキルレゾルシノール類を濃縮することが試みられているが、高額な費用がかかるため、有効量のアルキルレゾルシノール類を安価に提供するには至っていない。
アルキルレゾルシノール類を生産する微生物が報告されている。非特許文献1には、窒素固定細菌の1種であるアゾトバクターがアルキルレゾルシノール類を生産することが記載されている。
Journal of Bacteriology,1981,147(1):91-96
本発明は、アルキルレゾルシノール類を簡便かつ効率的に生産することができる、アルキルレゾルシノール類の微生物学的生産方法に関する。
本発明者らは、アルキルレゾルシノール類の産生能を有する微生物をポリオキシエチレンソルビタンエステルの存在下に培養することで、該微生物にアルキルレゾルシノール類を大量に生産させることができることを見出した。
したがって、本発明は、ポリオキシエチレンソルビタンエステルの存在下でアルキルレゾルシノール類の産生能を有する微生物を培養すること含む、アルキルレゾルシノール類の製造方法を提供する。
本発明によれば、有用な生理作用を有するアルキルレゾルシノール類を簡便かつ効率よく生産することができ、アルキルレゾルシノール類の製造にかかるコストを低減することができる。
本発明で製造されるアルキルレゾルシノール類は、下記式(I)で表される化合物である。
Figure 0007011238000001
式(I)中、R1は飽和又は不飽和のアルキル基を表し、R2は水素原子又はメチル基を表す。
当該式(I)において、R1で表される飽和又は不飽和のアルキル基は、その炭素数により制限されるものではないが、炭素数15~27であることが好ましく、炭素数15~25であることがより好ましい。炭素数15~27の飽和アルキル基としては、代表例として、n-ペンタデシル、n-ヘプタデシル、n-ノナデシル、n-ヘンイコシル、n-トリコシル、n-ペンタコシル、n-ヘプタコシル等の直鎖状の飽和アルキル基が挙げられ、他に、分岐状又は環状の飽和アルキル基も挙げることができる。これらの中でも、炭素数15~25の飽和アルキル基が好ましく、炭素数15~25の直鎖飽和アルキル基がさらに好ましい。炭素数15~27の不飽和アルキル基としては、前記の炭素数15~27の飽和アルキル基に対応する不飽和アルキル基が挙げられる。該不飽和アルキル基に含まれる不飽和結合の数及び位置に特に制限はない。
当該式(I)において、R2は水素原子であることが好ましい。また当該式(I)において、R1はR2に対してパラ位に結合していることが好ましい。
当該式(I)で表されるアルキルレゾルシノール類の好ましい例としては、以下の化合物が挙げられる:
1,3-ジヒドロキシ-5-n-ペンタデシルベンゼン(C15:0);
1,3-ジヒドロキシ-5-n-ヘプタデシルベンゼン(C17:0);
1,3-ジヒドロキシ-5-n-ノナデシルベンゼン(C19:0);
1,3-ジヒドロキシ-5-n-ヘンイコシルベンゼン(C21:0);
1,3-ジヒドロキシ-5-n-トリコシルベンゼン(C23:0);
1,3-ジヒドロキシ-5-n-ペンタコシルベンゼン(C25:0);
1,3-ジヒドロキシ-5-n-ヘプタコシルベンゼン(C27:0)。
好ましくは、本発明で製造されるアルキルレゾルシノール類は、これらの化合物からなる群より選択される1種以上を含む。
より好ましくは、本発明で製造されるアルキルレゾルシノール類は、1,3-ジヒドロキシ-5-n-ノナデシルベンゼン及び1,3-ジヒドロキシ-5-n-ヘンイコシルベンゼンからなる群より選択される1種以上を含む。1,3-ジヒドロキシ-5-n-ノナデシルベンゼン及び1,3-ジヒドロキシ-5-n-ヘンイコシルベンゼンは、小麦に由来するアルキルレゾルシノール類に多く含まれている成分である。
本発明で用いられるアルキルレゾルシノール類の産生能を有する微生物は、任意の条件下でアルキルレゾルシノール類を産生することができる微生物であればよく、その種や分類は特に限定されず、また天然に存在する微生物であっても、人工的に変異させた微生物であってもよい。本発明で用いられるアルキルレゾルシノール類の産生能を有する微生物の例としては、マイコバクテリウム属微生物、シュードモナス属微生物、窒素固定細菌を挙げることができる。当該窒素固定細菌の例としては、アゾトバクター属微生物、一部のクロストリジウム属微生物、一部の光合成細菌、一部の藍藻類、マメ科植物の根粒菌、ヤマノイモ科植物の葉粒菌などが挙げられる。
本発明で用いられるアルキルレゾルシノール類の産生能を有する微生物のさらなる例としては、シスト(cyst)形成微生物が挙げられる。シストとは、微生物が嚢子、被嚢体、胞子嚢とも呼ばれる細胞体が殻に包まれたような形態をとり、一種の休眠状態になっている状態をいう。シスト形成微生物には、微生物の種類に応じて、栄養状態低下等の周囲環境の悪化により一時的にシストを形成するものと、生活環の上で必ずシストを形成するものとがあるが、本発明で用いられるシスト形成微生物には、どちらの種類のものも含まれる。当該シスト形成微生物の例としては、メチロバクター属微生物及びアゾトバクター属微生物が挙げられる。メチロバクター属微生物としては、Methylobacter chroococcum、Methylobacter capsulatus、Methylobacter bovis、Methylobacter vinelandiiなどが挙げられる。アゾトバクター属微生物としては、Azotobacter chroococcum、Azotobacter paspali、Azotobacter salinestris、Azotobacter vinelandiiなどが挙げられる。
本発明で用いられるアルキルレゾルシノール類の産生能を有する微生物の好ましい例としては、アゾトバクター属微生物が挙げられ、より好ましくはAzotobacter chroococcum、Azotobacter paspali、Azotobacter salinestris及びAzotobacter vinelandiiが挙げられる。このうち、Azotobacter vinelandiiがさらに好ましい。
本発明のアルキルレゾルシノール類の製造方法においては、当該アルキルレゾルシノール類の産生能を有する微生物を培養する。本発明の方法において、当該微生物は、ポリオキシエチレンソルビタンエステルの存在下で培養される。
ポリオキシエチレンソルビタンエステルは、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、又はポリソルベートとも呼ばれ、ソルビタン脂肪酸エステルにエチレンオキシドが約20分子縮合した化合物である。エステル結合する脂肪酸の種類(炭素数、分岐等)の異なる多種のポリオキシエチレンソルビタンエステルが存在する。ポリオキシエチレンソルビタンエステルは、例えば、ソルビトールと脂肪酸をアルカリ触媒下で加熱反応させることによって生成するソルビタン脂肪酸エステルに、エチレンオキシドを縮合反応させることによって製造することができ、あるいは市販品(例えばTween(登録商標)シリーズ)を使用することができる。
本発明で用いられるポリオキシエチレンソルビタンエステルの種類は特に限定されないが、好ましい例としては、ポリオキシエチレンソルビタンのモノ-、ジ-、及びトリ-C12~C18脂肪酸エステルが挙げられる。より好ましい例としては、ポリソルベート20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、ポリソルベート60(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート)、ポリソルベート65(ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート)、及びポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)が挙げられる。ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65及びポリソルベート80は、乳化剤等として使用されている食品添加物である。本発明においては、上記に挙げたポリオキシエチレンソルビタンエステルのいずれか1種又は2種以上を使用することができる。好ましくは、本発明で用いられるポリオキシエチレンソルビタンエステルは、ポリソルベート20及びポリソルベート80からなる群より選択される1種以上であり、より好ましくはポリソルベート20である。
本発明の方法において、アルキルレゾルシノール類の産生能を有する微生物の培養の条件は、当該微生物が増殖し、アルキルレゾルシノール類を産生することを可能にする条件であれば、特に限定されない。例えば、培養する微生物の種又は菌株を選択し、次いで、ポリオキシエチレンソルビタンエステルを培地に添加する以外は選択した微生物についての通常の培養方法に従って、培地の組成、培養の温度や時間等の条件を適宜選択することができる。一般的には、培養温度は20~45℃、好ましくは26~42℃であり、培養時間は6時間~14日間、好ましくは20時間~7日間である。
本発明の方法において、ポリオキシエチレンソルビタンエステルは、微生物を培養する培地に添加すればよい。該培地中におけるポリオキシエチレンソルビタンエステルの濃度は、培養開始時の濃度として、好ましくは0.01~5質量%、より好ましくは0.05~1質量%であればよい。
培養する微生物がシスト形成微生物である場合、シスト形成させるような条件で該微生物を培養することが好ましい。必要に応じて、該微生物をシスト形成させるような条件で培養する前に、予め培養して増殖させてもよい。例えば、培養する微生物がアゾトバクター属微生物である場合、微生物の増殖及びシスト形成のための培地及び培養条件は、当業者に周知である(例えば、Bacteriological Reviews, 1975, 39(4):516-539、Journal of Bacteriology, 1979, 139(2):448-453、J Bacteriol, 2009, 191(9):3142-3148等を参照)。アゾトバクター属微生物の増殖用の培地としては、例えばBS培地(例えば、2%蔗糖含有Burk’s N-Free medium、1%グルコース含有Burk’s N-Free medium等)などを用いることができる。アゾトバクター属微生物のシスト形成用の培地としては、n-ブタノール、β-ヒドロキシ酪酸などを含有するシスト誘導培地であれば特に限定されないが、例えばBBOH培地(例えば、0.2%n-ブタノール含有Burk’s N-Free medium等)などを用いることができる。Burk’s N-Free mediumは、好ましくは以下を有する:培地1L中、KH2PO4 0.41g、K2HPO4 0.52g、Na2SO4 0.05g、CaCl2 0.2g、MgSO4・7H2O 0.1g、FeSO4・7H2O 0.005g、Na2MoO4・2H2O 0.0025g(pH7.0)。増殖のための培養の条件は、20~40℃で2~6日間が好ましい。増殖した微生物をシスト形成用培地に移した後、さらに26~42℃で20時間~7日間培養してシスト形成させることが好ましい。当該アゾトバクター属微生物の培養において、ポリオキシエチレンソルビタンエステルは、シスト形成用培地のみに添加してもよく、又は増殖用培地とシスト形成用培地の両方に添加してもよいが、好ましくはシスト形成用培地に添加され、増殖用培地には添加されない。
上記の培養で得られた培養物は、アルキルレゾルシノール類の原料として利用することができる。例えば、培養後の培養物又は微生物細胞からアルキルレゾルシノール類を回収すればよい。あるいは、該培養物が生体への安全性が確認されている微生物の培養物であれば、該培養物そのものをアルキルレゾルシノール類の原料として用いることができる。
培養物からのアルキルレゾルシノール類の回収には、公知の方法(例えば、J Bacteriol, 2009, 191(9):3142-3148等に記載の手法)を用いることができる。例えば、培養後の微生物細胞からアルキルレゾルシノール類を回収する場合、ろ過、遠心等により細胞を分離した後、細胞を破砕又は溶解し、次いでアセトン、メタノール、メタノール-酢酸エチル混合溶媒などの有機溶媒によりアルキルレゾルシノール類を回収すればよい。
本発明の方法で製造されたアルキルレゾルシノール類は、医薬組成物、食品組成物、飼料組成物等に添加することができる。好ましくは、本発明の方法で製造されたアルキルレゾルシノール類は経口投与又は経口摂取される。本発明で得られたアルキルレゾルシノール類を含有する医薬組成物の剤型としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、液剤及び懸濁剤等の経口剤、ならびに吸入剤及び坐剤等の経腸製剤などが挙げられる。これらの剤型は公知の賦形剤等と混合し、必要に応じて圧縮成型やカプセル化などの工程を経て製造することができる。
本発明で得られたアルキルレゾルシノール類を含有する食品組成物及び飼料組成物の種類は特に制限されず、アルキルレゾルシノール類を配合可能なあらゆる食品もしくは飲料、又は飼料が包含される。あるいは、当該食品組成物は、栄養機能食品、特定保健用食品、機能性表示食品等の保健機能食品、又は経管経腸栄養剤であってもよい。当該食品組成物の形態は、パン類、米飯類、麺類、菓子類、スプレッド類(バター、ジャム、ふりかけ、マーガリンなど)、ドレッシング類、各種飲料等の通常の食品の形態であってもよく、流動食、錠剤、錠菓、チュアブル錠、粉剤、カプセル剤、顆粒剤等の製剤形態であってもよい。これらの形態の食品組成物は、通常の手順に従って製造することができる。当該飼料組成物の製造についても同様である。
当該組成物におけるアルキルレゾルシノール類の含有量は、該組成物の種類又は形状、目的の効果を得るための有効量、アルキルレゾルシノール類の種類などを考慮して適宜設定することができる。例えば、当該組成物におけるアルキルレゾルシノール類の含有量は、該組成物の乾燥質量中、好ましくは0.001~20質量%、より好ましくは0.005~10質量%、さらに好ましくは0.01~5質量%である。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(参考例1)培養物中のアルキルレゾルシノール類の抽出及び測定
(1)アルキルレゾルシノール類の抽出
培養物を遠心分離(6500rpm、30分)し、細胞を含む沈殿と培養上清(菌体外液)を分離した。培養上清は、そのままアルキルレゾルシノール量の測定に供した。沈殿は、蒸留水に懸濁後、遠心分離(6500rpm、30分)にかけ、次いで、得られた沈殿(シストを含む菌体)を遠心濃縮(30℃、2時間)により乾燥させた。乾燥物を秤量後、メタノール:酢酸エチル=1:1液を添加して30分間撹拌し、次いで10分間超音波(38kHz)にかけてアルキルレゾルシノール類を抽出した。抽出物から遠心分離(6500rpm、30分)により上清を回収し、アルキルレゾルシノール量の測定に供した。
(2)アルキルレゾルシノールの定量
(1)で分離した上層(メタノール:酢酸エチル層)10μLを下記の条件の高速液体クロマトグラフィーにかけた。得られた値から、標準品からの検量線に基づいてアルキルレゾルシノール類(C-19アルキルレゾルシノール及びC-21アルキルレゾルシノール)を定量した。
(高速液体クロマトグラフィー条件)
カラム:ODS-80A、5um、4.6×250mm(GLサイエンス株式会社製)
カラム温度:30℃
移動相:メタノール100%
流量:1ml/分
検出波長:275nm
定量方法:外部標準法
標準品:
1,3-ジヒドロキシ-5-n-ノナデシルベンゼン(C-19アルキルレゾルシノール)〔Reseachem Lifescience、純度>99%〕
1,3-ジヒドロキシ-5-n-ヘンイコシルベンゼン(C-21アルキルレゾルシノール)〔Reseachem Lifescience、純度98.5%〕
(参考例2)培地調製
(1)ポリソルベート含有培地
ポリソルベート含有BBOH寒天培地を調製した。KH2PO4 0.41g、K2HPO4 0.52g、MgSO4・7H2O 1.0g、Na2SO4 0.05g、寒天22g、蒸留水890mL(pH7.0に調整)をフラスコに加え、オートクレーブ滅菌した。これに10mLの滅菌微量ミネラル溶液(CaCl2 20g、FeSO4・7H2O 0.5g、Na2MoO4・2H2O 0.25g/H2O 1L)と無菌n-ブタノール 2mLを加え、さらに予め濾過滅菌したポリソルベート20(Sigma-Aldrich,P-7949)又はポリソルベート80(Sigma-Aldrich,P-8074)の溶液を、ポリソルベートの最終濃度が0.1質量%になり、かつ合計用容量が1Lになるように添加し、よく撹拌した。得られた培地溶液をシャーレに分注し、固化させて寒天培地を作製した。
(2)ポリソルベート不含有培地
(1)と同様の手順で、但しポリソルベート溶液を添加せずに培地溶液を調製し、これをシャーレに分注し、固化させてポリソルベート不含有BBOH寒天培地を作製した。
(参考例3)前培養
2.2%寒天含有BS培地(BS寒天培地)上で培養しておいたAzotobacter vinelandii NBRC13581(NBRC)の一白金耳を、2%スクロース含有BS培地3mLに接種し、30℃、3日間培養した。
(実施例1)ポリソルベート20含有培地を用いたアルキルレゾルシノール類の製造
参考例2(1)で調製したポリソルベート20含有寒天培地の上に、予めオートクレーブしておいたセロハン膜を、培地を完全に覆うように注意深く被せ、静置した。この寒天培地に参考例3で調製したAzotobacter vinelandiiの培養液100μLをセロハン膜が損なわれないように注意深く播き、30℃で5日間培養した。
(実施例2)ポリソルベート80含有培地を用いたアルキルレゾルシノール類の製造
培地に参考例2(1)で調製したポリソルベート80含有寒天培地を用いた以外は、実施例1と同様の条件でアゾトバクターを培養した。
(比較例1)ポリソルベート不含有培地を用いたアルキルレゾルシノール類の製造
培地に参考例2(2)で調製したポリソルベート不含有寒天培地を用いた以外は、実施例1と同様の条件でアゾトバクターを培養した。
(試験例1)
(1)シスト形成の観察
実施例1~2及び比較例1の培養物において、シストの有無を観察した。シスト形成の有無は、ファストブルー染色法(培養物をファストブルー染色液に加え、紫色に染色することでシスト形成を確認)によって判別した。実施例1~2及び比較例1のいずれにおいてもシスト形成が観察された。
(2)アルキルレゾルシノール類の定量
実施例1~2及び比較例1で培養したシャーレのセロハン膜を空の滅菌シャーレに移した。セロハン膜上の培養物(細胞又はシスト)をかきとり、さらにセロハン膜を0.01%Tween(登録商標)20溶液2mLで洗浄して、セロハン膜上の培養物を回収した。回収した培養物から、参考例1の手順で細胞を含む沈殿を分離し、そこに含まれるアルキルレゾルシノール類を抽出及び定量した。その結果を表1に示す。ポリソルベート含有培地では、ポリソルベート不含有培地と比べて、アルキルレゾルシノール類の生産量が顕著に向上していた。
Figure 0007011238000002
(試験例2)
(1)前培養
2.2%寒天含有BS培地(BS寒天培地)上で培養しておいたAzotobacter vinelandii NBRC13581(NBRC)の一白金耳を、2%スクロース含有BS培地3mLに接種し、30℃、3日間培養した。
(2)増殖用培地での培養
(1)で得られた培養物50μLを、表2に示す増殖用培地5mLを含有する試験管に添加し、30℃で3日間培養して菌を十分に増殖させた。
(3)シスト形成用培地での培養
(2)で得られた培養物を7500rpmで10分間遠心分離した。得られた沈殿物(培養細胞)を、Burk’s N-Free mediumで1回洗浄後、5mLのBurk’s N-Free mediumに懸濁した。細胞懸濁液を滅菌試験管に移し、ブタノール及びポリソルベート20を表2記載の最終濃度になるように加え、30℃で4日間培養して、実施例3の培養物を得た。同様の手順で、ただしポリソルベート20を含まない培地を用いて、比較例2の培養物を得た。
Figure 0007011238000003
(4)シスト形成の観察
(3)で得られた各培養物から0.3mLをマイクロチューブに取り、3μLのファストブルーで染色してシスト形成を観察した。実施例3及び比較例2のいずれにおいてもシスト形成が観察された。
(5)アルキルレゾルシノール類の定量
(3)で得られた各培養物から4mLを取り、参考例1の手順で細胞を含む沈殿と培養上清を分離し、それぞれについてアルキルレゾルシノール類を抽出及び定量した。結果を表3に示す。ポリソルベート含有培地を用いて得られた実施例3の培養物では、アルキルレゾルシノール類の生産量が顕著に向上しており、また細胞及び培養上清のいずれからもアルキルレゾルシノール類が検出された。
Figure 0007011238000004

Claims (3)

  1. ポリオキシエチレンソルビタンエステルの存在下でアゾトバクター属微生物を培養すること含む、アルキルレゾルシノール類の製造方法。
  2. 前記ポリオキシエチレンソルビタンエステルがポリオキシエチレンソルビタンのモノ-、ジ-、及びトリ-C12~C18脂肪酸エステルからなる群より選択される1種以上である、請求項1記載の方法。
  3. 前記ポリオキシエチレンソルビタンエステルがポリソルベート20及びポリソルベート80からなる群より選択される1種以上である、請求項1記載の方法。
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