JP7010351B1 - 陰極体及び電解コンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】水素ガス発生を抑制できる陰極体及びこの陰極体を備える電解コンデンサを提供する。【解決手段】電解コンデンサの陰極体は、弁作用金属の陰極箔と、当該陰極箔の表面に形成された導電層とを備えている。この電解コンデンサの陰極体を電解液に浸漬したときの自然浸漬電位は、この陰極体が備えている陰極箔の弁作用金属と同種であり、更に純度が99.99%以上である対照陰極箔を同じ電解液に浸漬したときの自然浸漬電位よりも、貴側である。【選択図】図1

Description

本発明は、電解コンデンサが備える陰極体及び当該電解コンデンサに関する。
電解コンデンサは、タンタルあるいはアルミニウム等のような弁作用金属を陽極箔及び陰極箔として備えている。陽極箔は、弁作用金属を焼結体あるいはエッチング箔等の形状にすることで拡面化され、拡面化された表面に誘電体酸化皮膜層を有する。陽極箔と陰極箔の間には電解液が介在する。電解液は、陽極箔の凹凸面に密接し、真の陰極として機能する。
電解液は、漏れ電流によって、陽極箔に形成された誘電体酸化皮膜の劣化や損傷等の劣化部を修復する。しかし、誘電体酸化皮膜の漏れ電流による皮膜修復を発端にして、水素ガスが発生する。即ち、陽極側では漏れ電流による皮膜修復時に以下の化学反応式(1)で表されるアノード反応が生じる。そして、陰極側では漏れ電流による皮膜修復時に、アノード反応で生じた電子を受け取って、水素イオンを還元する以下の化学反応式(2)で表されるカソード反応が生じる。化学反応式(2)で生じた原子状水素は、以下の化学反応式(3)で表されるように結合し、水素ガスが発生する。
Figure 0007010351000002
水素ガスは電解コンデンサの内圧を上昇させ、コンデンサ素子を収容するケースの膨れや、コンデンサ素子を封止する封口体の膨れや電解コンデンサに設けた圧力開放弁の開弁を引き起こす虞がある。陽極側で漏れ電流が増加し、陽極側の電極面に於ける電荷の移動が激しくなると、ファラデー則に則って、陰極側の反応量も大きくなり、陰極側において水素ガスの発生量が増大する。
電解液にはニトロ化合物が添加されることがある。ニトロ化合物は、陰極側で還元され、水素イオンと反応する。従って、ニトロ化合物は、水素ガスの発生を抑制する。しかしながら、ニトロ化合物の種類によっては、電解コンデンサの耐電圧を低下させてしまうため、使用量が限定的となる。また、経時的にニトロ化合物が陰極側で還元されていき、水素ガス抑制性能が落ちていく。
特開2017-34030号
水素ガスをより好ましく抑制することができる新たな手段が電解コンデンサに要望されている。本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、水素ガス発生を抑制できる陰極体及びこの陰極体を備える電解コンデンサを提供することにある。
上記課題を解決すべく、本発明の電解コンデンサの陰極体は、電解コンデンサの陰極体であって、弁作用金属の陰極箔と、当該陰極箔の表面に形成され、炭素材料を含む導電層と、を備え、電解液に浸漬したときの自然浸漬電位が、前記弁作用金属と同種で純度99.99%以上の対照陰極箔を同じ電解液に浸漬したときの自然浸漬電位よりも、0.4V以上貴側であること、を特徴とする。
電気化学的分極により電解コンデンサの漏れ電流の電流密度の範囲に収まる電流が流れるとき、当該電流に対応する電位が、前記対照陰極箔の自然浸漬電位よりも貴側であるようにしてもよい。
電解液に浸漬したときの自然浸漬電位が、前記対照陰極箔を同じ電解液に浸漬したときの自然浸漬電位よりも、0.6V以上貴側であるようにしてもよい。
電気化学的分極により電解コンデンサの漏れ電流の電流密度の範囲に収まる電流が流れるとき、前記電解液がニトロ化合物を含む場合、当該電流に対応する電位が、前記対照陰極箔の自然浸漬電位よりも0.15V以上貴側であるようにしてもよい。
電気化学的分極により電解コンデンサの漏れ電流の電流密度の範囲に収まる電流が流れるとき、前記電解液がニトロ化合物を含まない場合、当該電流に対応する電位が、前記対照陰極箔の自然浸漬電位よりも0.3V以上貴側であるようにしてもよい。
分極曲線において、電解コンデンサの漏れ電流の電流密度の範囲と、電解液中の溶存酸素を還元するカソード反応により生じる電流が水素イオンを還元するカソード反応により生じる電流よりも大きくなる電位範囲とが対応するようにしてもよい。
前記弁作用金属はアルミニウムであるようにしてもよい。
前記対照陰極箔は自然酸化皮膜が形成されているようにしてもよい。
この陰極体を備える電解コンデンサも本発明の一態様である。この電解コンデンサは、誘電体酸化皮膜が形成された陽極体と前記陰極体とを含むコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子内に充填された電解質及びニトロ化合物と、を備えるようにしてもよい。
本発明によれば、陰極体の自然浸漬電位を調整するだけで水素ガス発生を抑制できる。
実施例1の陰極体と比較例1の対照陰極箔をニトロ化合物非含有の電解液に浸漬したときの0以上0.4μA・cm-2以下の範囲の分極曲線である。 実施例1の陰極体と比較例1の対照陰極箔をニトロ化合物非含有の電解液に浸漬したときの0.001μA・cm-2以上の範囲の分極曲線である。 実施例1の陰極体と比較例1の対照陰極箔をニトロ化合物含有の電解液に浸漬したときの0以上0.4μA・cm-2以下の範囲の分極曲線である。 実施例1の陰極体と比較例1の対照陰極箔をニトロ化合物含有の電解液に浸漬したときの0.001μA・cm-2以上の範囲の分極曲線である。 実施例2の陰極体と比較例1の対照陰極箔をニトロ化合物非含有の電解液に浸漬したときの0以上0.4μA・cm-2以下の範囲の分極曲線である。 実施例2の陰極体と比較例1の対照陰極箔をニトロ化合物非含有の電解液に浸漬したときの0.001μA・cm-2以上の範囲の分極曲線である。 実施例2の陰極体と比較例1の対照陰極箔をニトロ化合物含有の電解液に浸漬したときの0以上0.4μA・cm-2以下の範囲の分極曲線である。 実施例2の陰極体と比較例1の対照陰極箔をニトロ化合物含有の電解液に浸漬したときの0.001μA・cm-2以上の範囲の分極曲線である。 実施例3の陰極体と比較例1の対照陰極箔をニトロ化合物非含有の電解液に浸漬したときの0以上0.4μA・cm-2以下の範囲の分極曲線である。 実施例3の陰極体と比較例1の対照陰極箔をニトロ化合物非含有の電解液に浸漬したときの0.001μA・cm-2以上の範囲の分極曲線である。 実施例3の陰極体と比較例1の対照陰極箔をニトロ化合物含有の電解液に浸漬したときの0以上0.4μA・cm-2以下の範囲の分極曲線である。 実施例3の陰極体と比較例1の対照陰極箔をニトロ化合物含有の電解液に浸漬したときの0.001μA・cm-2以上の範囲の分極曲線である。 実施例4の陰極体と比較例1の対照陰極箔をニトロ化合物非含有の電解液に浸漬したときの0以上0.4μA・cm-2以下の範囲の分極曲線である。 実施例4の陰極体と比較例1の対照陰極箔をニトロ化合物非含有の電解液に浸漬したときの0.001μA・cm-2以上の範囲の分極曲線である。 実施例4の陰極体と比較例1の対照陰極箔をニトロ化合物含有の電解液に浸漬したときの0以上0.4μA・cm-2以下の範囲の分極曲線である。 実施例4の陰極体と比較例1の対照陰極箔をニトロ化合物含有の電解液に浸漬したときの0.001μA・cm-2以上の範囲の分極曲線である。 実施例5の陰極体と比較例1の対照陰極箔をニトロ化合物非含有の電解液に浸漬したときの0以上0.4μA・cm-2以下の範囲の分極曲線である。 実施例5の陰極体と比較例1の対照陰極箔をニトロ化合物非含有の電解液に浸漬したときの0.001μA・cm-2以上の範囲の分極曲線である。 実施例5の陰極体と比較例1の対照陰極箔をニトロ化合物含有の電解液に浸漬したときの0以上0.4μA・cm-2以下の範囲の分極曲線である。 実施例5の陰極体と比較例1の対照陰極箔をニトロ化合物含有の電解液に浸漬したときの0.001μA・cm-2以上の範囲の分極曲線である。 実施例6の陰極体と比較例1の対照陰極箔をニトロ化合物非含有の電解液に浸漬したときの0以上0.4μA・cm-2以下の範囲の分極曲線である。 実施例6の陰極体と比較例1の対照陰極箔をニトロ化合物非含有の電解液に浸漬したときの0.001μA・cm-2以上の範囲の分極曲線である。 実施例6の陰極体と比較例1の対照陰極箔をニトロ化合物含有の電解液に浸漬したときの0以上0.4μA・cm-2以下の範囲の分極曲線である。 実施例6の陰極体と比較例1の対照陰極箔をニトロ化合物含有の電解液に浸漬したときの0.001μA・cm-2以上の範囲の分極曲線である。
以下、本発明の実施形態に係る陰極体及び電解コンデンサについて説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものでない。
(陰極体)
陰極体は、電解コンデンサの陰極側に配置される電極である。この陰極体が配置される電解コンデンサとしては、例えば、電解液、ゲル電解質又は両方を用いた電解コンデンサ、導電性高分子と電解液又はゲル電解質を含む固体電解質を用いた所謂ハイブリッド型の電解コンデンサが挙げられる。
陰極体は、弁作用金属を材料とする陰極箔を備える。この陰極箔は集電体であり、電解コンデンサに組み込まれる際、引出端子と冷間圧接やステッチ接続等の各種手法を用いて接続される。弁作用金属は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、酸化ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス及びアンチモン等である。陰極箔の純度は、99%以上が望ましいが、ケイ素、鉄、銅、マグネシウム、亜鉛等の不純物が含まれていても良い。なお、陰極箔表面を拡面処理し、陰極箔表面の純度を99.99%以上とすることが好ましい。
例えば、陰極箔としては、JIS規格H0001で規定される調質記号がHであるアルミニウム材、いわゆるH材や、JIS規格H0001で規定される調質記号がOであるアルミニウム材、いわゆるO材を用いてもよい。H材からなる剛性が高い金属箔を用いると、プレス加工による陰極箔の変形を抑制できる。
陰極箔は、弁作用金属が箔状に延伸されている。陰極箔の表面には、拡面処理が施されていてもよい。陰極箔の拡面層は、電解エッチングやケミカルエッチング、サンドブラスト等により形成され、又は金属箔に金属粒子等を蒸着若しくは焼結することにより形成される。電解エッチングとしては、直流エッチング又は交流エッチング等の手法が挙げられる。また、ケミカルエッチングでは、金属箔を酸溶液やアルカリ溶液に浸漬させる。形成された拡面層は、箔表面から箔芯部へ向けて掘り込まれたトンネル状のエッチングピット、又は海綿状のエッチングピットを有する層領域である。尚、エッチングピットは、陰極箔を貫通するように形成されていてもよい。
拡面層には、酸化皮膜が意図的又は自然に形成されていてもよい。自然酸化皮膜は、陰極箔が空気中の酸素と反応することにより形成され、化成皮膜は、アジピン酸やホウ酸等の水溶液等のハロゲンイオン不在の溶液中で電圧印加する化成処理によって意図的に形成される酸化皮膜である。金属箔が例えばアルミニウム箔の場合、この手法による酸化皮膜は拡面層が酸化して成る酸化アルミニウムである。
この陰極体は、陰極箔と導電層の積層構造を有する。導電層は、導電性材料を含有し、酸化皮膜よりも高導電性の層である。この導電層は、陰極箔の片面又は両面に積層され、陰極体の最表層に位置する。導電性材料としては、例えば炭素材、チタン、窒化チタン、炭化チタン、炭化アルミニウム、及びこれらの複合材又は混合材が挙げられる。導電層は複数層が積層されてもよい。
炭素材としては、繊維状炭素、炭素粉末、又はこれらの混合である。賦活処理や孔を形成する開口処理などの多孔質化処理が施された繊維状炭素や炭素粉末であってもよい。炭素粉末は、例えば、やしがら等の天然植物組織、フェノール等の合成樹脂、石炭、コークス、ピッチ等の化石燃料由来のものを原料とする活性炭、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャネルブラックなどのカーボンブラック、カーボンナノホーン、無定形炭素、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化ケッチェンブラック、メソポーラス炭素等である。繊維状炭素は、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ等である。カーボンナノチューブは、グラフェンシートが1層である単層カーボンナノチューブでも、2層以上のグラフェンシートが同軸状に丸まり、チューブ壁が多層をなす多層カーボンナノチューブ(MWCNT)でもよい。
これら導電性材料は、陰極箔に塗布、蒸着又は熱処理等によって付着させる。塗布方法は、例えば炭素材料の導電層を形成する場合に好適であり、導電材料、バインダー及び溶媒を含むスラリーをスラリーキャスト法、ドクターブレード法又はスプレー噴霧法等によって陰極体に塗布及び乾燥させ、必要に応じてプレスにより陰極箔と導電層を密着させる。蒸着方法は、例えばチタン等の金属系の導電層を形成する場合に好適であり、真空アーク蒸着、スパッタ蒸着又は電子ビーム蒸着が挙げられる。熱処理は、陰極箔の表面に導電材料の粉末を付着させ、焼結させる。
真空アーク蒸着は、真空チャンバ内で材料源に電圧をかけて溶融及び蒸発させ、蒸発した材料源を反応ガスと反応させ、反応ガスと反応した材料源を陰極箔に成膜する。スパッタ蒸着は、ターゲットが配置され、反応ガスが充填された環境下でプラズマを発生させ、ターゲットから材料源を叩き出しつつ、叩き出した材料源を反応ガスと反応させ、反応ガスと反応した材料源を陰極箔に成膜する。電子ビーム蒸着は、真空チャンバ内で材料源に電子ビームを照射して溶融及び蒸発させ、蒸発した材料源を反応ガスと反応させ、反応ガスと反応した材料源を陰極箔に成膜する。
ここで、この陰極体の自然浸漬電位は、対照陰極箔と当該陰極体とを別々に同一の電解液に浸漬したとき、対照陰極箔の自然浸漬電位よりも貴側になるように調整されている。対照陰極箔は、陰極体に対する自然浸漬電位の比較対象である。この対照陰極箔は、陰極体の陰極箔と同種の弁作用金属により成る箔であり、純度99.99%以上である。陰極体の自然浸漬電位は、例えば、陰極箔に対する導電層の被覆率、導電層の表面積、又は導電層の構成材料や含有比率等によって調整すればよい。
対照陰極箔は、自然酸化皮膜が形成されており、水素イオンを還元するカソード反応が優位的に生じているときに現れる自然浸漬電位を有する。一方、この陰極体は、対照陰極箔よりも貴側の自然浸漬電位を有する。自然浸漬電位が対照陰極箔よりも貴側であれば、陰極体が電解コンデンサに組み込まれ、漏れ電流が生じた際にも、陰極体の電位は、対照陰極箔の自然浸漬電位よりも貴側を維持する。換言すれば、この陰極体の電位は、漏れ電流が生じた際にも、水素イオンを還元するカソード反応が優位的に生じる電位よりも貴側を維持する。
即ち、電解コンデンサに漏れ電流が生じているとき、陰極体の電位は、水素イオンを還元するカソード反応が生じる電位よりも貴側にあり、次の化学反応式(4)に示すような、溶存酸素を還元するカソード反応が優位的に生じる電位範囲にある。そのため、この陰極体では水素イオンを還元するカソード反応が抑えられ、水素ガスの発生は抑制されている。
Figure 0007010351000003
要するに、陰極体は、電解コンデンサの漏れ電流の電流密度の範囲に収まる電流が流れるとき、当該電流に対応する電位が、対照陰極箔の自然浸漬電位よりも貴側になるように、直接的に調整すればよい。その調整手法として、陰極体の自然浸漬電位を対照陰極箔の自然浸漬電位よりも貴側になるように調整すればよい。
好ましくは、陰極体の自然浸漬電位は、対照陰極箔の自然浸漬電位より0.4V以上貴側にする。対照陰極箔の自然浸漬電位より0.4V以上貴側の自然浸漬電位を有する陰極体は、漏れ電流が流れているとき、溶存酸素を還元するカソード反応が大部分を占め、水素イオンを還元するカソード反応が大きく抑えられ、対照陰極箔における水素ガス発生量と比べて、水素ガス発生の抑制効果が特に良好になる。
対照陰極箔の自然浸漬電位より0.4V以上貴側にすることで、漏れ電流が流れているときの電位は、電解液がニトロ化合物を含む場合、対照陰極箔の自然浸漬電位よりも0.15V以上貴側を確保でき、対照陰極箔における水素ガス発生量と比べて、水素ガス発生の抑制効果が特に良好になる。
また、対照陰極箔の自然浸漬電位より0.4V以上貴側にすることで、漏れ電流が流れているときの電位は、電解液がニトロ化合物を含まない場合、対照陰極箔の自然浸漬電位よりも0.3V以上貴側を確保でき、対照陰極箔における水素ガス発生量と比べて、水素ガス発生の抑制効果が特に良好になる。
以上の陰極体は、この陰極体を作用電極とし、銀-塩化銀電極を参照電極とし、分極曲線を測定したとき、自然浸漬電位は対照陰極箔の自然浸漬電位より高く、分極曲線は、溶存酸素を還元するカソード反応がより優位的に生じ、水素イオンを還元するカソード反応が弱い電位範囲と、電解コンデンサの漏れ電流が生じる電流範囲とで画成される領域を通る。
尚、電解コンデンサの漏れ電流の電流密度の一般的な範囲は、0.1μAcm-2以上0.3μAcm-2以下とする。
(電解コンデンサ)
電解コンデンサは、この陰極体を備えるコンデンサ素子をケースに収容して、封口体でケース開口を封止して成る。ケースは、アルミニウム、アルミニウム若しくはマンガンを含有するアルミニウム合金、又はステンレス製であり、有底及び他端が開口の例えば筒体である。このケースは、加締め加工によって、ケースの開口が内側へ折り曲げて潰され、封口体が密着する。封口体は、例えばフェノール樹脂などの樹脂を含む樹脂板、またはゴムなどの弾性体により形成される。
コンデンサ素子は、陰極体の他、陽極体及びセパレータを備えている。また、コンデンサ素子は、コンデンサ素子内の空隙やセパレータに充填される電解質を備えている。陽極体は、表面に誘電体酸化皮膜を有する。電解質は、陽極体と陰極体との間に介在し、誘電体酸化皮膜と密着する。
(陽極体)
陽極体は、弁作用金属を材料とする陽極箔の表面に誘電体酸化皮膜が形成されて成る。弁作用金属は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、酸化ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス及びアンチモン等である。純度は、陽極箔に関して99.9%以上が望ましいが、ケイ素、鉄、銅、マグネシウム、亜鉛等の不純物が含まれていても良い。
陽極箔は、弁作用金属の粉体を成形した成形体、成形体を焼結した焼結体、又は圧延された箔にエッチング処理を施したエッチング箔として、表面が拡面化される。拡面構造は、トンネル状のピット、海綿状のピット、又は密集した粉体間の空隙により成る。拡面構造は、典型的には、塩酸等のハロゲンイオンが存在する酸性水溶液中で直流又は交流を印加する直流エッチング又は交流エッチングにより形成され、若しくは芯部に金属粒子等を蒸着又は焼結することにより形成される。陰極箔についても、エッチングによって拡面構造を有するようにしてもよい。
誘電体酸化皮膜は、典型的には、陽極箔の表層に形成される酸化皮膜である。例えば、陽極箔がアルミニウム箔であれば、誘電体酸化皮膜は、拡面構造を酸化させた酸化アルミニウムである。誘電体酸化皮膜は、アジピン酸、ホウ酸又はリン酸等の水溶液中で電圧印加する化成処理により形成される。また、陰極箔の表層に必要に応じて化成処理により薄い誘電体酸化皮膜(1~10V程度)を形成しても良い。さらに、誘電体酸化皮膜は、蒸着法やゾルゲル法、液相析出法などを用いて作出してもよい。
(セパレータ)
セパレータは、クラフト、マニラ麻、エスパルト、ヘンプ、レーヨン等のセルロース及びこれらの混合紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、それらの誘導体などのポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ビニロン系樹脂、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、トリメチルペンテン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられ、これらの樹脂を単独で又は混合して用いることができる。
(電解質)
電解質は、電解液を用いた電解コンデンサの場合、溶媒に対して溶質を溶解し、また必要に応じて添加剤が添加された電解液である。溶媒はプロトン性の極性溶媒又は非プロトン性の極性溶媒の何れでもよい。プロトン性の極性溶媒として、一価アルコール類、及び多価アルコール類、オキシアルコール化合物類、水などが代表として挙げられる。非プロトン性の極性溶媒としては、スルホン系、アミド系、ラクトン類、環状アミド系、ニトリル系、オキシド系などが代表として挙げられる。
電解液に含まれる溶質は、アニオン及びカチオンの成分が含まれ、典型的には、有機酸若しくはその塩、無機酸若しくはその塩、又は有機酸と無機酸との複合化合物若しくはそのイオン解離性のある塩であり、単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。アニオンとなる酸及びカチオンとなる塩基を溶質成分として別々に電解液に添加してもよい。
さらに、電解液には他の添加剤を添加することもできる。添加剤としては、ポリエチレングリコール、ホウ酸と多糖類(マンニット、ソルビットなど)との錯化合物、ホウ酸と多価アルコールとの錯化合物、ホウ酸エステル、ニトロ化合物、リン酸エステル、コロイダルシリカなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ニトロ化合物は、電解コンデンサ内の水素ガスの発生量を抑制する。ニトロ化合物としては、o-ニトロ安息香酸、m-ニトロ安息香酸、p-ニトロ安息香酸、o-ニトロフェノール、m-ニトロフェノール、p-ニトロフェノール等が挙げられる。
電解コンデンサに固体電解質を用いる場合は、共役系高分子又はドーピングされた共役系高分子である導電性ポリマーを電解質層に含有させればよい。共役系高分子としては、公知のものを特に限定なく使用することができる。この共役系高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリチオフェンビニレンなどが挙げられ、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)等が好ましい。これら共役系高分子は、単独で用いられてもよく、2種類以上を組み合わせても良く、更に2種以上のモノマーの共重合体であってもよい。
電解コンデンサにゲル電解質を用いる場合は、ポリビニルアルコールを電解液に添加させて高粘度化させたり、電解液と当該電解液を保持する三次元網目構造のポリマーにより電解質を構成すればよい。三次元網目構造のポリマーは、ゲルネットワークの主鎖となるモノマーと、当該モノマーを重合するための重合開始剤と、当該ポリマーを架橋する架橋剤とを用い、当該モノマーが重合されて成るポリマーが架橋されることで形成される。
以下、実施例に基づいて本発明の陰極体と電解コンデンサをさらに詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものでない。
(実施例1乃至6)
下表1に示す実施例1乃至実施例6の陰極体及び比較例1の対照陰極箔を作製した。
Figure 0007010351000004
表1に示すように、実施例1乃至6の陰極体が備える陰極箔及び比較例1の対照陰極箔は、同形同大のアルミニウム箔である。実施例1乃至3及び5並びに比較例1の陰極箔には、エッチング処理によって拡面層が形成されている。実施例4及び6の陰極箔には拡面層を形成していない。
また、実施例1の陰極箔の表面には、塗布法により炭素材料としてカーボンブラックを含む導電層を積層し、積層後、実施例1の陰極体をプレス成形した。実施例2の陰極箔の表面には、真空アーク蒸着法により窒化チタンを含む導電層を積層した。実施例3の陰極箔の表面には、真空アーク蒸着法により炭化チタンを含む導電層を積層した。実施例4の陰極箔の表面には、スパッタ蒸着法によりチタンの下地層と炭素材料の上地層とから成る2層構造の導電層を形成した。実施例5の陰極箔の表面には、熱処理によりアルミニウム箔の表面を炭化させ、更に酸化チタンの粉末でコーティングすることで、炭化アルミニウムと酸化チタンの2層構造を有する導電層を形成した。実施例6の陰極箔の表面には、電子ビーム蒸着法により窒化チタンを含む導電層を積層した。
更に、表1に示すように、実施例1乃至6の陰極体の自然浸漬電位を比較例1の自然浸漬電位よりも高くした。自然浸漬電位の確認においては、ニトロ化合物を含んでいない電解液と、ニトロ化合物を含む電解液の両方に浸漬して、それぞれ自然浸漬電位を測定した。
実施例1乃至6の陰極体及び比較例1の対照陰極箔を作製した後、これら実施例1乃至6の陰極体及び比較例1の対照陰極箔の分極曲線を測定した。尚、表1の自然浸漬電位は、分極曲線の測定の際に同時に測定して得た。また、実施例1乃至実施例6の陰極体及び比較例1の対照陰極箔を用いて電解コンデンサを作製し、水素ガスの発生量を測定した。
分極曲線は、3電極式によって測定した。具体的には、各陰極体及び対照陰極箔を2×5cmの大きさに切り取って作用極とし、参照極を銀-塩化銀電極とし、対極をSUS304のステンレスメッシュとし、これら電極を電解液に浸漬した。電解液は、溶存酸素濃度を0.4~1.0mgL-1の範囲に調整された。各電極をポテンショスタットに接続し、自然浸漬電位が安定した後、当該自然浸漬電位の値を得た。自然浸漬電位が安定した後、自然浸漬電位から卑方向へ50mV刻みで-1.7Vまで分極させていった。50mV間隔の各電位を10分保持し、最後の1分間の平均電流値を測定した。
実施例1乃至6及び比較例1の分極曲線の測定結果を図1乃至24のグラフに示す。図(4n-3)はニトロ化合物を含まない電解液に実施例n(n=1,2,3・・・)の陰極体を浸漬させたときの分極曲線を、自然浸漬電位がプロットされる0以上0.4μA・cm-2以下の電流密度の範囲で示す。図(4n-2)はニトロ化合物を含まない電解液に実施例n(n=1,2,3・・・)の陰極体を浸漬させたときの分極曲線を、0.001μA・cm-2以上の電流密度の範囲で示す。また、図(4n-1)はニトロ化合物を含む電解液に実施例n(n=1,2,3・・・)の陰極体を浸漬させたときの分極曲線を、自然浸漬電位がプロットされる0以上0.4μA・cm-2以下の電流密度の範囲で示す。図(4n)はニトロ化合物を含む電解液に実施例n(n=1,2,3・・・)の陰極体を浸漬させたときの分極曲線を、0.001μA・cm-2以上の電流密度の範囲で示す。図(4n-3)及び図(4n-2)には、ニトロ化合物を含まない電解液に関する比較例1の対照陰極箔の分極曲線も併記し、図(4n-1)及び図(4n)には、ニトロ化合物を含む電解液に関する比較例1の対照陰極箔の分極曲線も併記してある。
更に、実施例1乃至6の陰極体及び比較例1の対照陰極箔を用いて電解コンデンサを作製した。各電解コンデンサは、陰極体及び対照陰極箔の違い以外は全て同一である。各電解コンデンサの陽極体は、アルミニウム箔が用いられ、拡面化層が形成され、更に誘電体酸化皮膜が形成された。陰極体と陽極体との間にクラフト製のセパレータが挟み込まれ、陽極体とセパレータと陰極体の積層体を巻回した。巻回体に電解液を含浸させてコンデンサ素子を完成させた。電解液は、エチレングリコールにアゼライン酸を添加して作製された。電解液は、二種類とし、一方の電解液にはニトロ化合物としてパラニトロベンジルアルコールを2wt%の割合で添加した。このコンデンサ素子をアルミニウム製のケースに収容し、封口体で封止した。
実施例1乃至6及び比較例1の電解コンデンサには、105℃の温度環境下で450Vの直流電圧を2000時間印加して、電流密度が0.1~0.3μAcm-2の漏れ電流を発生させた。水素ガスの発生量は、直流電圧の印加前後のケースの高さを測定し、印加前と印加後の高さの差によって測定した。水素ガスの発生量の評価方法として、水素発生量大、水素発生量中及び水素発生量小の3つの区分に分類した。比較例1の電解コンデンサのケース膨れの比率を水素発生量大に区分して基準とし、比較例1を基準とした相対評価により実施例1乃至6が属する区分を決定した。
実施例1乃至6及び比較例1の自然浸漬電位と水素ガスの発生量の測定結果を下表2に示す。表中、水素ガスの発生量はバツ印と三角印と丸印で表されている。バツ印は電解コンデンサのケースの膨れが大きく、水素ガスの発生量が大であり、水素ガスの抑制効果が無いことを示している。三角印は電解コンデンサのケースの膨れが中程度であり、水素ガスの発生量が中程度であり、水素ガスの抑制効果があることを示している。丸印は電解コンデンサのケースの膨れが小さく、水素ガスの発生量が少量であり、水素ガスの抑制効果が大きかったことを示している。
Figure 0007010351000005
図(4n-3)と図(4n-1)の分極曲線において最左のプロットが自然浸漬電位である。図1乃至24に示すように、比較例1の対照陰極箔よりも自然浸漬電位が貴側の実施例1乃至6の陰極体は、電解コンデンサの漏れ電流の電流密度範囲である0.1μAcm-2以上0.3μAcm-2以下の範囲においても、比較例1の対照陰極箔の自然浸漬電位よりも貴側の電位になっていることが確認できる。
つまり、電解コンデンサにおいて漏れ電流が流れている状態では、実施例1乃至6の陰極体は、水素イオンを還元するカソード反応が起こる電位よりも貴側になっており、水素イオンを還元するカソード反応が進行し難くなっていることが推測できる。実際、表2に示すように、実際に水素ガスの発生量を測定すると、実施例1乃至6の陰極体を備える電解コンデンサは、比較例1の対照陰極箔を備える電解コンデンサよりも水素ガスの発生量が少なく、水素ガスの抑制効果が生じていることが確認された。
実施例1、5及び6の陰極体を備えた電解コンデンサは、ニトロ化合物が含まれない電解液が用いられていても、水素ガスの抑制効果が特に良好であった。電解液にニトロ化合物が含まれていない場合、実施例1、5及び6の陰極体の自然浸漬電位は、比較例1の対照陰極箔の自然浸漬電位よりも0.6V以上貴側であり、漏れ電流が流れているときの電位は、比較例1の対照陰極箔の自然浸漬電位よりも0.3V以上貴側を確保できていた。
即ち、電解液にニトロ化合物が含まれていない場合、漏れ電流が流れているときの陰極体の電位が、比較例1の対照陰極箔の自然浸漬電位よりも0.3V以上貴側を確保できていれば、水素ガスの抑制効果が特に良好になることが確認された。また、電解液にニトロ化合物が含まれていない場合、陰極体の自然浸漬電位を対照陰極箔の自然浸漬電位よりも0.6V以上貴側にすれば、漏れ電流が流れているときの陰極体の電位を、対照陰極箔の自然浸漬電位よりも0.3V以上貴側にすることができることが確認された。
また、実施例1、5及び6の陰極体を備えた電解コンデンサは、ニトロ化合物を含有する電解液が用いられていても、水素ガスの抑制効果が特に良好であった。電解液にニトロ化合物が含まれている場合、実施例1、5及び6の陰極体の自然浸漬電位は、比較例1の対照陰極箔の自然浸漬電位よりも0.4V以上貴側であり、漏れ電流が流れているときの電位は、比較例1の対照陰極箔の自然浸漬電位よりも0.15V以上貴側を確保できていた。
即ち、電解液にニトロ化合物が含まれている場合、漏れ電流が流れているときの陰極体の電位が、比較例1の対照陰極箔の自然浸漬電位よりも0.15V以上貴側を確保できていれば、水素ガスの抑制効果が特に良好になることが確認された。また、電解液にニトロ化合物が含まれている場合、陰極体の自然浸漬電位を対照陰極箔の自然浸漬電位よりも0.4V以上貴側にすれば、漏れ電流が流れているときの陰極体の電位を、対照陰極箔の自然浸漬電位よりも0.15V以上貴側にすることができることが確認された。

Claims (10)

  1. 電解コンデンサの陰極体であって、
    弁作用金属の陰極箔と、
    当該陰極箔の表面に形成され、炭素材料を含む導電層と、
    を備え、
    電解液に浸漬したときの自然浸漬電位が、前記弁作用金属と同種で純度99.99%以上の対照陰極箔を同じ電解液に浸漬したときの自然浸漬電位よりも、0.4V以上貴側であること、
    を特徴とする陰極体。
  2. 電気化学的分極により電解コンデンサの漏れ電流の電流密度の範囲に収まる電流が流れるとき、当該電流に対応する電位が、前記対照陰極箔の自然浸漬電位よりも貴側であること、
    を特徴とする請求項1記載の陰極体。
  3. 電解液に浸漬したときの自然浸漬電位が、前記対照陰極箔を同じ電解液に浸漬したときの自然浸漬電位よりも、0.6V以上貴側であること、
    を特徴とする請求項1又は2記載の陰極体。
  4. 電気化学的分極により電解コンデンサの漏れ電流の電流密度の範囲に収まる電流が流れるとき、前記電解液がニトロ化合物を含む場合、当該電流に対応する電位が、前記対照陰極箔の自然浸漬電位よりも0.15V以上貴側であること、
    を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の陰極体。
  5. 電気化学的分極により電解コンデンサの漏れ電流の電流密度の範囲に収まる電流が流れるとき、前記電解液がニトロ化合物を含まない場合、当該電流に対応する電位が、前記対照陰極箔の自然浸漬電位よりも0.3V以上貴側であること、
    を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の陰極体。
  6. 分極曲線において、電解コンデンサの漏れ電流の電流密度の範囲と、電解液中の溶存酸素を還元するカソード反応により生じる電流が水素イオンを還元するカソード反応により生じる電流よりも大きくなる電位範囲とが対応すること、
    を特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の陰極体。
  7. 前記弁作用金属はアルミニウムであること、
    を特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の陰極体。
  8. 前記対照陰極箔は自然酸化皮膜が形成されていること、
    を特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の陰極体。
  9. 請求項1乃至8の何れかに記載の陰極体を備える電解コンデンサ。
  10. 誘電体酸化皮膜が形成された陽極体と前記陰極体とを含むコンデンサ素子と、
    前記コンデンサ素子内に充填された電解質及びニトロ化合物と、
    を備えること、
    を特徴とする請求項9記載の電解コンデンサ。
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