以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、本発明に係る情報提供システムの構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る情報提供システムは、複数の車両に搭載された複数の車載装置100と、車両の外部に設置された情報処理装置200とから構成される。情報処理装置200としては、例えば、データセンタに設けられたサーバが挙げられる。
複数の車載装置100と情報処理装置200とは、通信回線を介して各種情報の授受が可能となっている。通信回線としては、例えば、携帯電話網、無線LAN網、DSRC(Dedicated Short Range Communications)網、及び電力線通信網などが挙げられる。また、車載装置100がフラッシュメモリ等の着脱式の記憶媒体に各種情報を記録し、記録した各種情報を、通信機能を有する端末(例えば、パソコンやスマートフォン)経由で送受信する構成としてもよい。なお、図1に示す例では、1つの車両に搭載された1つの車載装置100のみを例示しているが、情報提供システムは、車載装置100を複数備える構成とすることができる。
車載装置100は、図1に示すように、センサ群110、操作機器群120、車載通信装置130、車載制御装置140、および提示装置150を備える。これら装置は、相互に情報の授受を行うためにCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続されている。
センサ群110は、車両の走行状態を検出する装置で構成されている。具体的には、本実施形態のセンサ群110は、撮像装置111、障害物検出装置112、測距装置113、車両位置検出装置114、車速センサ115、運転操作検出装置116で構成されている。
撮像装置111は、例えば、車両の前方、後方、側方にそれぞれ設けられ、自車両の周辺を撮像する。撮像装置111としては、例えば、CCD等の撮像素子を用いたカメラが挙げられる。
障害物検出装置112は、例えば、車両の前方、後方、側方にそれぞれ設けられ、自車両の周辺に存在する障害物を検出する。障害物には、自車両の周辺に存在する他車両(以降、周辺車両)、二輪車、歩行者が含まれる。障害物検出装置112としては、例えば、レーダーやソナーが挙げられる。なお、周辺車両との間で車車間通信が可能な場合、障害物検出装置112は、周辺車両との通信結果から周辺車両が存在することを認識してもよい。
測距装置113は、例えば、車両の前方、後方、側方にそれぞれ設けられ、自車両と自車両の周辺に存在する障害物の位置関係を検出するとともに、自車両から障害物までの距離を測定する。測距装置113としては、例えば、ミリ波レーダーが挙げられる。
なお、障害物が車両の周辺に複数存在する場合、障害物検出装置112は、複数の障害物それぞれを識別して検出し、測距装置113は、自車両と複数の障害物それぞれの間の距離を測定する。
車両位置検出装置114は、自車両の現在位置を検出する。車両位置検出装置114としては、例えば、GPS受信機が挙げられる。
車速センサ115は、例えば、ホイールの近傍に設けられ、自車両の速度を検出する。車速センサ115は、自車両の加速度を検出してもよい。
運転操作検出装置116は、ドライバによる運転操作を検出する。ドライバによる運転操作には、操舵操作、アクセルペダル操作、ブレーキペダル操作が含まれる。運転操作検出装置116は、自車両の操舵量、操舵速度、操舵加速度などの操舵に関する情報を検出する。また、運転操作検出装置116は、ドライバによるアクセルペダルへの踏み込み量を検出する。また、運転操作検出装置116は、ドライバによるブレーキペダルへの踏み込み量を検出する。運転操作検出装置116としては、例えば、操舵角センサ、アクセルセンサ、ブレーキセンサなどが挙げられる。
センサ群110を構成する各装置は、検出結果を車載制御装置140に出力する。
操作機器群120は、ドライバが操作可能な操作部材である。本実施形態の操作機器群120は、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、左右の方向指示器を点滅させるターンシグナルスイッチ、ハザードランプを点滅させるハザードスイッチを少なくとも含む。ドライバが操作機器群120を操作すると、操作機器群120は、操作情報を車載制御装置140に出力する。
車載通信装置130は、電話回線網などを介して、情報処理装置200の通信装置210と通信可能な装置である。車載通信装置130は、車載制御装置140から入力されるプローブデータを情報処理装置200に送信するとともに、情報処理装置200から要注意車両に関する情報(以下、要注意車両情報)を受信し、受信した要注意車両情報を車載制御装置140に出力する。なお、プローブデータ及び要注意車両情報の詳細については後述する。
車載制御装置140は、要注意車両情報をドライバに提示するためのプログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行する動作回路として機能するCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)とから構成される。なお、動作回路としては、CPU(Central Processing Unit)に代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いてもよい。
車載制御装置140は、ROMに格納されたプログラムをCPUにより実行することにより、プローブデータを取得するプローブデータ取得機能と、取得したプローブデータを情報処理装置200に送信するプローブデータ送信機能と、情報処理装置200から受信した情報をドライバに提示する情報提示機能と、を備える。以下に、車載制御装置140が備える各機能について説明する。
車載制御装置140は、プローブデータ取得機能により、センサ群110から各装置の検出結果をプローブデータとして取得する。例えば、車載制御装置140は、撮像装置111から、周辺車両、信号機、道路上の二次元の標識などが特定可能な自車両の周辺の撮像画像を取得する。そして、車載制御装置140は、自車両の周辺の撮像画像から、周辺車両の形状、周辺車両の車種、周辺車両のボディカラー、周辺車両のナンバープレートの情報を含む、周辺車両の外観情報をプローブデータとして取得する。なお、車載制御装置140は、自車両の周辺の撮像画像に対して、画像処理を実行することで、周辺車両の外観情報を取得することができる。また、複数の周辺車両が存在する場合、車載制御装置140は、複数の周辺車両にそれぞれに対応した複数の周辺車両の外観情報を取得する。
また、車載制御装置140は、プローブデータ取得機能により、障害物検出装置112及び測距装置113から、自車両の位置に対する相対的な周辺車両の位置の情報(以下、周辺車両の位置情報という。)、及び自車両から周辺車両までの距離の情報(以下、周辺車両の距離情報という。)を、プローブデータとして取得する。さらに、車載制御装置140は、車両位置検出装置114から自車両の位置情報及び現在の時刻情報を、プローブデータとして取得する。また、車載制御装置140は、車速センサ115から自車両の速度及び加速度を含む自車両の車速情報を、プローブデータとして取得する。
また、車載制御装置140は、プローブデータ取得機能により、運転操作検出装置116から、ドライバによる運転操作の情報をプローブデータとして取得する。例えば、車載制御装置140は、操舵角センサからステアリングホイールの操作の情報、アクセルセンサからアクセルペダルへの踏み込み量の情報、ブレーキセンサからブレーキペダルへの踏み込み量の情報をそれぞれ取得し、一定期間における操舵角の平均値、操舵速度の平均値、操舵加速度の平均値(以下、平均操舵操作情報という。)、一定期間におけるアクセルペダルへの踏み込み量の平均値(以下、平均アクセル操作情報という)、一定期間におけるブレーキペダルへの踏み込み量の平均値(以下、平均ブレーキ操作情報という。)を、それぞれプローブデータとして取得する。
また、車載制御装置140は、プローブデータ取得機能により、所定の期間、測距装置113から周辺車両の位置情報を取得するとともに、車速センサ115から自車両の速度を取得する。そして、車載制御装置140は、取得した情報に基づいて、自車両の速度に対する相対的な周辺車両の速度を算出し、周辺車両の速度の情報(以下、周辺車両の車速情報という。)をプローブデータとする。なお、車載制御装置140は、周辺車両の位置情報及び自車両の加速度から、周辺車両の加速度を算出し、周辺車両の加速度を周辺車両の速度情報に含めてもよい。
さらに、車載制御装置140は、プローブデータ取得機能により、操作機器群120から各操作機器群の操作情報をプローブデータとして取得する。例えば、車載制御装置140は、ターンシグナルスイッチから方向指示器の使用状況を、ハザードスイッチからハザードランプの使用状況を、それぞれプローブデータとして取得する。
そして、車載制御装置140は、プローブデータ取得機能により、センサ群110及び操作機器群120から取得したプローブデータを、車載制御装置140のRAMに一時的に蓄積する。
車載制御装置140は、プローブデータ送信機能により、プローブデータ取得機能により取得され、車載制御装置140のRAMに一時的に蓄積されているプローブデータを、車載通信装置130を介して、情報処理装置200に送信する。例えば、本実施形態において、車載制御装置140は、プローブデータ送信機能により、所定の時間が経過する度に、または、車両が所定の距離走行する度に、車載制御装置140のRAMに蓄積されたプローブデータを情報処理装置200に送信する。なお、本実施形態では、車載制御装置140は、所定の時間が経過する度に、プローブデータを情報処理装置200に送信するものとして説明する。
また、本実施形態では、車載装置100が搭載された車両の車種情報や車両のID情報は、車載制御装置140のRAMに予め記憶されている。車載制御装置140は、自車両の車種情報や車両のID情報を、車載制御装置140のRAMから取得し、プローブデータとして、情報処理装置200に送信する。
車載制御装置140は、情報提示機能により、車載通信装置130を介して、情報処理装置200から要注意車両情報を受信し、受信した要注意車両情報を、提示装置150を介して、ドライバに提示する。なお、詳細は後述するが、要注意車両情報は、ドライバに周辺車両への注意を喚起するための情報である。例えば、車両を急減速させる運転操作(以降、急減速操作という。)の傾向が前方車両のドライバにある場合、前方車両についての要注意車両情報がドライバに提示されると、ドライバは、前方車両に対して注意又は警戒し、前方車両との距離を空ける運転をすることができる。
提示装置150は、車載制御装置140から入力される要注意車両情報をドライバに提示する装置である。提示装置150は、画面表示など視覚的に要注意車両情報をドライバに提示してもよいし、音声により要注意車両情報をドライバに提供してもよい。提示装置150としては、例えば、車両の室内に設けられたディスプレイやスピーカなどが挙げられる。
次に、本実施形態に係る情報処理装置200について説明する。情報処理装置200は、図1に示すように、通信装置210と、制御装置220と、データベース230と、を備えている。
通信装置210は、電話回線網などを介して、車載装置100の車載通信装置130と通信可能な装置である。通信装置210は、複数の車両それぞれに搭載された複数の車載装置100から複数のプローブデータを受信し、受信した複数のプローブデータを制御装置220に出力するとともに、制御装置220から取得した情報を車載装置100に送信する。
データベース230は、複数の車両から取得した複数のプローブデータを格納している。このようなプローブデータには、自車両の周辺の撮像画像の情報と、自車両に関する情報と、周辺車両に関する情報が含まれる。具体的には、自車両に関する情報には、プローブデータが取得された際の自車両の位置、日時、自車両の車種情報、自車両の車速情報、自車両の平均操舵操作情報、自車両の平均アクセル操作情報、自車両の平均ブレーキ操作情報が含まれる。また、周辺車両に関する情報には、プローブデータが取得された際の周辺車両の外観情報、周辺車両の位置情報、周辺車両の距離情報、周辺車両の車速情報と、が含まれる。
また、データベース230は、車種情報、地図情報、および道路情報も格納している。車種情報には、車両の種別(例えば、大型車、普通車、小型車など)、メーカーの種別、車両寸法(例えば、全長、全幅、全高、トレッド幅、車両重量、車両総重量など)、車両のエンジン排気量の情報などが含まれる。また、道路情報には、道路の種別(例えば、道路が一般道、自動車専用道路、橋、あるいはトンネルであるか)や、交差点、停止線、信号機、および道路標識などの位置の情報が含まれる。
制御装置220は、要注意車両情報を車載装置100に提供するためのプログラムを格納したROMと、このROMに格納されたプログラムを実行する動作回路として機能するCPUと、アクセス可能な記憶装置として機能するRAMとから構成される。制御装置220は、ROMに格納されたプログラムをCPUにより実行することにより、車載装置100から受信したプローブデータをデータベース230に格納するプローブデータ格納機能と、プローブデータに基づいて、要注意車両の車両属性を算出し、要注意車両の車両属性に対応した緊急動作誘発レベルを算出するプローブデータ解析機能と、要注意車両情報を提供する情報提供機能と、を備える。以下に、制御装置220が備える各機能について説明する。
制御装置220は、プローブデータ格納機能により、車載装置100から受信したプローブデータをデータベース230に格納する。この際に、制御装置220は、プローブデータの識別を容易にするために、複数のプローブデータに漏れなく重複無く番号を割り振る。これにより、制御装置220は、複数の車両から受信した複数のプローブデータを異なるプローブデータとして扱うことができるだけでなく、一の車両から所定期間中に受信した、複数のプローブデータについても異なるプローブデータとして扱うことができる。
また、制御装置220は、プローブデータに含まれる情報の一部が欠落している場合、欠落した情報ついては、情報が存在しないことを示すフラグ(例えば、「None」)を割り当てる。これにより、情報の一部が欠落しているプローブデータであっても、制御装置220は、後述するプローブデータ解析機能により、データベース230に格納された全てのプローブデータを解析の対象とすることができる。プローブデータに含まれる情報の一部が欠落する例としては、センサ群110の一部又は全部が何らかの原因により機能不全の場合、センサ群110に型番が古い装置が含まれている場合、周辺車両がセンサ群110の検出範囲内に存在しない場合、が挙げられる。
制御装置220は、プローブデータ解析機能により、データベース230に格納されている複数のプローブデータに基づいて、要注意車両を抽出し、要注意車両の車両属性を算出し、要注意車両の属性に対応する緊急動作誘発レベルを算出する。本実施形態では、要注意車両とは、自車両の緊急動作を誘発する傾向にある他車両である。要注意車両のドライバには、自車両の乗員がその走行に注意する必要があるような運転操作の傾向がある。なお、緊急動作については後述する。
制御装置220は、プローブデータ解析機能により、要注意車両抽出処理、車両属性算出処理、緊急動作誘発レベル算出処理、を実行する。
まず、要注意車両抽出処理について説明する。制御装置220は、データベース230に蓄積された複数のプローブデータを取得する。そして、制御装置220は、プローブデータに含まれる自車両に関する情報に基づいて、複数のプローブデータの中から、緊急動作が行われた車両のプローブデータを抽出する。
本実施形態では、緊急動作とは、周辺車両の走行に起因して緊急に行われた自車の動作全般を示している。車両がドライバの運転操作により走行する場合には、緊急動作は、ドライバの意に反する運転操作により発生する。ドライバの意に反する運転操作としては、例えば、上述した急減速操作や、ドライバが急加速で行う操舵操作(以降、急操舵操作という。)、が挙げられる。例えば、二車線の道路のうち、一方の車線を自車両が走行し、他方の車線を他車両が走行していたとする。この場面において、他車両が自車両の前方に割り込もうと車線変更を行う場合、自車両のドライバが他車両との接触を回避するために急減速操作及び/又は急操舵操作を行うことで、自車両の緊急動作は発生する。
制御装置220は、プローブデータに含まれる自車両の車速情報、自車両の平均操舵操作情報、自車両の平均アクセル操作情報、自車両の平均ブレーキ操作情報に基づいて、複数のプローブデータの中から、緊急動作が行われた車両のプローブデータを抽出する。例えば、制御装置220は、ブレーキペダルへの踏み込み量が所定の踏み込み量を超えた平均ブレーキ操作情報を含むプローブデータを、急減速操作により緊急動作が行われた車両から取得したプローブデータとする。なお、所定の踏み込み量は、実験的に求められた値である。
次に、制御装置220は、緊急動作が行われた車両のプローブデータに基づいて、緊急動作との関係性が密接な周辺車両を要注意車両として抽出する。要注意車両とは、自車両の緊急動作を引き起こした原因と推定される周辺車両である。例えば、制御装置220は、プローブデータに含まれる周辺車両の外観情報又は自車両の周辺の撮像画像に基づいて、緊急動作が行われた際に存在した周辺車両を検出し、検出した周辺車両について緊急動作との関係性を判断する。
以下、より詳細に要注意車両を特定する方法について説明する。説明の便宜上、緊急動作が行われた際に複数の周辺車両が存在した場合について説明する。まず、制御装置220は、複数の異なる周辺車両の外観情報が存在した場合、緊急動作が行われた際に存在した複数の周辺車両を検出する。また、制御装置220は、自車両の周辺の撮像画像に対して画像処理を実行することで、複数の周辺車両を検出してもよい。次に、制御装置220は、周辺車両ごとに、緊急動作との関係性を判断し、要注意車両を特定する。
例えば、制御装置220は、周辺車両の位置情報及び距離情報から、自車両が緊急動作を行うまでの周辺車両の走行軌跡を推定する。制御装置220は、同一の車載装置100から取得した複数のプローブデータを時系列順に並べ替え、周辺車両の位置の経時的変化や、周辺車両の距離の経時的変化から、周辺車両の走行軌跡を推定する。また、制御装置220は、自車両の緊急動作が行われたタイミングを特定する。そして、制御装置220は、推定した周辺車両の走行軌跡から、自車両の緊急動作との関係性を判断する。制御装置220は、例えば、周辺車両の走行軌跡が車線変更を繰り返す軌跡の場合、該当する周辺車両と緊急動作の関係性は高いものとして判断する。また、制御装置220は、例えば、周辺車両の走行軌跡が隣接車線から自車両の走行車線に進入する軌跡の場合、該当する周辺車両と緊急動作の関係性は高いものとして判定する。
そして、制御装置220は、複数の周辺車両のうち、緊急動作との関係性が密接な周辺車両を要注意車両として特定する。上述の例を用いると、周辺車両の走行軌跡が隣接車線から自車両の走行車線に進入する軌跡の場合、制御装置220は、周辺車両のドライバが行った割り込み運転操作により、自車両の緊急動作が行われたと推定し、該当する周辺車両を要注意車両として特定する。
また、制御装置220は、周辺車両のドライバによるその他の運転操作により、自車両の緊急動作が行われたと推定し、該当する周辺車両を要注意車両として特定してもよい。例えば、制御装置220は、周辺車両の走行軌跡から、周辺車両のドライバが行った急操舵操作により、自車両の緊急動作が行われたと推定し、該当する周辺車両を要注意車両として特定してもよい。また、例えば、制御装置220は、周辺車両の走行軌跡及び周辺車両の外観情報から、周辺車両のドライバが方向指示器を不点灯のまま車線変更を行った運転操作により、自車両の緊急動作が行われたと推定し、該当する周辺車両を要注意車両として特定してもよい。
なお、要注意車両を特定するにあたって、周辺車両の走行軌跡を推定しなくてもよい。例えば、制御装置220は、時系列順に並べ替えられたプローブデータから、緊急動作が行われるまでの周辺車両の速度を取得し、周辺車両の速度の推移から自車両の緊急動作との関係性を判断して要注意車両を特定してもよい。例えば、自車両の緊急動作が行われる直前に、自車両の前方を走行していた周辺車両の速度が突然所定の速度からゼロに変化した場合、制御装置220は、周辺車両のドライバが行った急減速操作により、自車両の緊急動作が行われたと推定し、該当する周辺車両を要注意車両として特定してもよい。
また、制御装置220は、周辺車両の速度が突然所定の速度からゼロに変化しない場合であっても、車両用の信号機の色又は路面上の標識に基づいて、自車両の前方を走行する周辺車両を要注意車両として特定してもよい。例えば、制御装置220は、自車両の緊急動作が行われる直前に、車両用の信号機が赤色であることを検出したとする。この場合、制御装置220は、周辺車両のドライバが行った信号無視の運転操作により、自車両の緊急動作が行われたと推定し、該当する周辺車両を要注意車両として特定してもよい。また、例えば、制御装置220は、緊急動作が行われる直前に、自車両の前方の路面上に一時停止を示す二次元の標識があることを検出したとする。この場合、制御装置220は、周辺車両のドライバが行った一時停止違反の運転操作により、自車両の緊急動作が行われたと推定し、該当する周辺車両を要注意車両として特定してもよい。
次に、車両属性算出処理について説明する。本実施形態では、制御装置220は、プローブデータ解析機能により、要注意車両についての車両属性を算出するが、車両属性算出処理の対象範囲は要注意車両に限定されない。制御装置220は、要注意車両以外の車両についても車両属性を算出することができる。制御装置220は、後述する情報提供機能により、対象車両に対しても車両属性を算出する。なお、車両属性及び対象車両については後述する。
制御装置220は、プローブデータに含まれる周辺車両に関する情報(例えば、周辺車両の外観情報、周辺車両の車速情報など)から、要注意車両の車両属性を算出する。車両属性について説明する。車両属性とは、所定の条件下で分類された各車両の特徴を示しており、本実施形態では、車両属性は、車両の外観情報及び運転操作情報に大別され、車両の外観情報及び運転操作情報には、複数の情報が含まれる。
車両の外観情報とは、車両そのものが有する特徴であり、車両の外観情報には、車両の形状、車種、ボディカラー、ナンバープレートが含まれる。車種には、車両の種別(例えば、大型車、普通車、小型車など)だけでなく、車両の製造元を示すメーカーの種別も含まれる。また、車両の外装を購入時点から作り変える、いわゆる改造が行われている車両の場合、車両の形状には、改造部が含まれる。また、外装の一部に破損がある車両の場合、車両の形状には、破損部が含まれる。
運転操作情報とは、ドライバが行う運転操作の特徴であり、運転操作情報には、ドライバが行う操舵操作の傾向を示す操舵操作傾向、ドライバが行うアクセル操作の傾向を示すアクセル操作傾向、ドライバが行うブレーキ操作の傾向を示すブレーキ操作傾向、ドライバが行う方向指示器の操作の傾向を示す方向指示器操作傾向、ドライバが行うハザード操作の傾向を示すハザード操作傾向、が含まれる。
制御装置220は、緊急動作が行われた車両のプローブデータに対して、車両属性算出処理を実行する。
制御装置220は、要注意車両に対応する周辺車両の外観情報から、要注意車両の形状、車種、ボディカラー、ナンバープレートを特定し、特定した各情報を要注意車両の車両属性とする。なお、制御装置220は、車両の周辺の撮像画像に対して画像処理を実行して、要注意車両の属性のうち要注意車両の外観に関する各情報を特定してもよい。
また、制御装置220は、プローブデータに含まれる要注意車両の位置情報、距離情報、車速情報に基づいて、要注意車両のドライバが行った運転操作の傾向を推定する。例えば、制御装置220は、要注意車両の走行軌跡を推定することで、要注意車両の操舵操作傾向を推定する。また、例えば、制御装置220は、自車両の加速度に対する相対的な要注意車両の加速度から、要注意車両のアクセル操作傾向、ブレーキ操作傾向を推定する。さらに、例えば、制御装置220は、自車両の周辺の撮像画像を考慮することで、要注意車両の方向指示器操作傾向、ハザード操作傾向を推定する。制御装置220は、推定した要注意車両のドライバの各種の運転操作の傾向を、要注意車両の車両属性とする。なお、制御装置220は、推定できない運転操作については、情報が存在しないことを示すフラグを割り当てる。
また、制御装置220は、自車両に関する情報から、自車両の車両属性を算出する。例えば、制御装置220は、RAMに格納された車両のID情報から、自車両の外観情報を取得し、自車両の車両属性とする。また、制御装置220は、自車両の平均操舵操作情報、平均アクセル操作情報、平均ブレーキ操作情報から、操舵操作傾向、アクセル操作傾向、ブレーキ操作傾向を推定する。制御装置220は、推定した自車両のドライバが行う運転操作の傾向を、自車両の車両属性とする。
次に、緊急動作誘発レベル算出処理について説明する。制御装置220は、自車両の緊急動作が発生する頻度を緊急動作誘発レベルとして算出する。本実施形態では、制御装置220は、車両属性ごとに、緊急動作誘発レベルを算出する。例えば、制御装置220は、データベース230に格納されている複数のプローブデータを対象にして、要注意車両が抽出されたプローブデータの数を集計して、要注意車両の属性ごとに振り分ける。そして、制御装置220は、集計結果に基づいて、要注意車両の車両属性ごとに、緊急動作誘発レベルを算出する。
図2は、車両属性に対する緊急動作誘発レベルの一例を示す図である。図2では、横軸は車両属性を、縦軸は緊急動作誘発レベルを示している。また、図2では、車両属性Aは、「メーカー:○○、車種:大型車、ボディカラー:白色、操舵操作傾向:レベル5、ブレーキ操作傾向:レベル5、・・・」の車両属性を示している。また、車両属性Bは、「メーカー:△△、車種:普通車、ボディカラー:白色、操舵操作傾向:レベル3、ブレーキ操作傾向:レベル3、・・・」の車両属性を示している。さらに、車両属性Aの緊急動作誘発レベルは、車両属性Bの緊急誘発レベルよりも高いことを示しており、車両属性Aの車両の方が車両属性Bの車両よりも、緊急動作を誘発する確率が高いことを示している。なお、説明の便宜上、運転操作の傾向については、5段階のレベルでカテゴライズした表示を行っているが、表示方法は特に限定されるものではない。例えば、「%」単位で表示してもよい。本実施形態では、レベルが高いほど、急操舵操作、急減速操作の傾向があることを示している。
上述の説明では、要注意車両のドライバが行った運転操作の種別(例えば、急減速操作、急操舵操作など)にかかわらず、まとめて一つの要注意車両として扱う例を用いて説明したが、これに限られない。制御装置220は、要注意車両をさらに運転操作の種別でグループ化し、各グループにおいて車両属性ごとに緊急動作誘発レベルを算出してもよい。例えば、制御装置220は、割り込み運転操作による要注意車両、急操舵操作による要注意車両、急減速操作による要注意車両、信号無視の運転操作による要注意車両、一時停止違反の運転操作による要注意車両のように、運転操作の種別でグループ化し、各グループにおいて、車両属性ごとに緊急動作誘発レベルを算出してもよい。
制御装置220は、要注意車両抽出処理、車両属性算出処理、緊急動作誘発レベル算出処理の実行結果をデータベース230に格納する。具体的には、制御装置220は、要注意車両の車両属性及び要注意車両の車両属性に対応する緊急動作誘発レベルを、データベース230に格納する。また、制御装置220は、一定期間毎に、データベース230に格納されている複数のプローブデータを取得し、要注意車両の抽出、要注意車両の車両属性の算出、要注意車両の車両属性ごとの緊急動作誘発レベルの算出の処理を実行することで、データベース230に格納されている要注意車両の情報を逐次更新することができる。データベース230には、要注意車両の車両属性ごとに、要注意車両情報が格納されている。
制御装置220は、情報提供機能により、要注意車両情報を車載装置100に提供する。具体的には、制御装置220は、要注意車両情報を提供する車両(以下、対象車両という。)のプローブデータに基づいて、対象車両の周辺に存在する周辺車両(以下、対象周辺車両という。)の車両属性が要注意車両の車両属性に該当すると判定した場合、該当する要注意車両の情報を、対象車両の車載装置100に送信する。
まず、制御装置220は、対象車両の車載装置100から、対象車両のプローブデータを取得する。そして、制御装置220は、対象車両のプローブデータに含まれる周辺車両に関する情報に基づいて、対象周辺車両の車両属性を算出する。制御装置220は、上述した車両属性算出処理を実行することで、対象周辺車両の車両属性を算出する。
制御装置220は、対象周辺車両の車両属性を算出すると、データベース230の要注意車両の情報を参照し、対象周辺車両の車両属性と、要注意車両の車両属性とを比較する。データベース230には、要注意車両の車両属性ごとに要注意情報が格納されており、制御装置220は、対象周辺車両の車両属性について、要注意車両の車両属性ごとに一致又は不一致の判定を行う。制御装置220は、対象車両の車両属性が要注意車両の車両属性に一致した場合、対象周辺車両の車両属性に該当する要注意車両が存在すると判断し、対象周辺車両を要注意車両として特定する。
具体的には、制御装置220は、車両属性を構成する車両の外観及び運転操作について、対象周辺車両と要注意車両を比較する。例えば、制御装置220は、対象周辺車両の形状と要注意車両の形状とを比較し、対象周辺車両の車種と要注意車両の車種とを比較する。また、例えば、制御装置220は、対象周辺車両の操舵操作傾向と要注意車両の操舵操作傾向とを比較し、対象周辺車両のブレーキ操作傾向と要注意車両のブレーキ操作傾向とを比較する。
そして、制御装置220は、対象周辺車両の車両属性に該当する要注意車両が存在する場合、データベース230から該当する要注意車両の情報を取得する。要注意車両の情報には、対象周辺車両の車両属性と一致した要注意車両の車両属性と、要注意車両属性に対応する緊急動作誘発レベルが含まれる。
制御装置220は、データベース230から要注意車両情報を取得すると、要注意車両情報を対象車両の車載装置100に送信する。なお、制御装置220は、情報提供機能により、緊急動作誘発レベルの大きさが所定のレベルよりも低い場合には、要注意車両情報を、対象車両の車載装置100に送信しない構成にすることができる。また、制御装置220は、複数の周辺車両が存在する場合には、対象周辺車両ごとに、車両属性を算出して対象周辺車両の車両属性に該当する要注意車両が存在するか否かを判定する。
次に、図3、4を参照しながら、本実施形態に係る情報提供システムの動作について説明する。なお、図3は、本実施形態に係るプローブデータ解析を示すフローチャートであり、図4は、本実施形態に係る情報提供処理を示すフローチャートである。
図3を参照しながら、情報処理装置200の制御装置220において、車載装置100から受信したプローブデータを解析するプローブデータ解析処理を説明する。なお、図3に示すプローブデータ解析処理は、情報処理装置200の制御装置220により、一定の時間間隔で繰り返し行われる。
ステップS101では、制御装置220は、プローブデータ解析機能により、複数の車載装置100から送信された複数のプローブデータを受信し、受信したプローブデータをデータベース230に蓄積する。また、制御装置220は、プローブデータに含まれる情報の一部が欠落している場合、欠落した情報ついては、情報が存在しないことを示すフラグを割り当てる。なお、ステップS101の処理は、車載装置100からプローブデータが送信される度に逐次実行される。
ステップS102では、制御装置220は、プローブデータ解析機能により、プローブデータの蓄積をしてから一定期間が経過したか否かを判断する。一定期間が経過するまでは、ステップS101におけるプローブデータの蓄積を繰り返し、一定期間が経過した場合には、ステップS103へ進む。
ステップS103では、制御装置220は、プローブデータ解析機能により、データベース230に蓄積された複数のプローブデータの中から、緊急動作が行われた車両のプローブデータを抽出する。例えば、制御装置220は、ブレーキペダルへの踏み込み量が所定の踏み込み量を超えた平均ブレーキ操作情報を含むプローブデータを、緊急動作が行われた車両のプローブデータとして特定する。
ステップS104では、制御装置220は、プローブデータ解析機能により、ステップS103で抽出した緊急動作が行われた車両のプローブデータに基づいて、周辺車両の中から、緊急動作との関係性が密接な周辺車両を、要注意車両として抽出する。例えば、制御装置220は、プローブデータに含まれる自車両の周辺の撮像画像から、複数の周辺車両を検出し、周辺車両ごとに、緊急動作との関係性を判断する。緊急動作との関係性を判断する方法の一例として、周辺車両の走行軌跡を推定する方法が挙げられる。例えば、制御装置220は、プローブデータに含まれる周辺車両の位置情報及び距離情報から、周辺車両の走行軌跡を推定する。そして、制御装置220は、推定した車両の走行軌跡から、例えば、周辺車両のドライバが行った急操舵操作により、自車両の緊急動作が行われたと推定し、該当する周辺車両を要注意車両として特定する。制御装置220は、ステップS103において緊急動作が行われた車両のプローブデータを複数抽出した場合、プローブデータごとに、要注意車両を特定する。
ステップS105では、制御装置220は、プローブデータ解析機能により、ステップS104で抽出した要注意車両について、車両の外観情報及び運転操作情報で構成される車両属性を算出する。制御装置220は、ステップS104で抽出した要注意車両に対応する周辺車両の外観情報から、要注意車両の形状、車種、ボディカラー、ナンバープレートを特定し、特定した各種情報を要注意車両の車両属性とする。また、制御装置220は、プローブデータに含まれる要注意車両の位置情報、距離情報、車速情報に基づいて、要注意車両のドライバが行う運転操作の傾向を推定する。例えば、制御装置220は、要注意車両の速度情報から、要注意車両のドライバのブレーキ操作の傾向を推定する。制御装置220は、同様に、要注意車両のドライバが行うアクセル操作の傾向、方向指示器の操作の傾向、ハザード操作の傾向を推定し、推定した要注意車両のドライバの各種の運転操作の傾向を、要注意車両の車両属性とする。
ステップS106では、制御装置220は、プローブデータ解析機能により、要注意車両の属性に対応する緊急動作誘発レベルを算出する。本実施形態では、制御装置220は、ステップS105で算出した要注意車両の車両属性ごとに、緊急動作誘発レベルを算出するが、要注意車両以外の車両の車両属性を含めて、車両属性ごとに緊急動作誘発レベルを算出してもよい。
ステップS107では、制御装置220は、プローブデータ解析機能により、ステップS105及びステップS106にて算出した、要注意車両の車両属性及び要注意車両の車両属性に対応する緊急動作誘発レベルを、要注意車両情報としてデータベース230に格納する。要注意車両の車両属性には、車両の形状、車種、ボディカラー、ナンバープレート、操舵操作傾向、アクセル操作傾向、ブレーキ操作傾向、方向指示器操作傾向、ハザード操作傾向、が含まれる。データベース230には、要注意車両の車両属性ごとに、要注意車両情報が格納される。
次に、図4を参照しながら、要注意車両情報をドライバに提供する情報提供処理について説明する。なお、図4に示す情報提供処理のうち、ステップS201~S206は情報処理装置200により実行され、ステップS207、S208は車載装置100により実行される。また、図4に示す例では、要注意動作情報が提供される車両を対象車両として説明する。
ステップS201では、情報処理装置200の制御装置220は、情報提供機能により、対象車両の車載装置100から送信された対象車両のプローブデータを受信する。
ステップS202では、制御装置220は、情報提供機能により、ステップS201にて受信した対象車両のプローブデータに含まれる周辺車両に関する情報に基づいて、対象周辺車両の車両属性を算出する。
ステップS203では、制御装置220は、情報提供機能により、ステップS202で算出した対象周辺車両の車両属性と、データベース230に格納されている要注意車両の車両属性とを比較する。データベース230には、要注意車両の車両属性ごとに要注意車両が格納されており、制御装置220は、対象周辺車両の車両属性について、要注意車両の車両属性ごとに一致又は不一致の判定を行う。
ステップS204では、制御装置220は、情報提供機能により、対象周辺車両の車両属性に該当する要注意車両が存在するか否か判定する。制御装置220は、対象周辺車両の車両属性に一致する要注意車両の車両属性が存在した場合、対象周辺車両の車両属性に該当する要注意車両が存在すると判定する。反対に、制御装置220は、対象周辺車両の車両属性に一致する要注意車両の車両属性が存在しない場合、対象周辺車両の車両属性に該当する要注意車両は存在しないと判定する。対象周辺車両の車両属性に該当する要注意車両が存在する場合、ステップS205へ進み、対象周辺車両の車両属性に該当する要注意車両が存在しない場合、ステップS201へ戻る。
ステップS205では、制御装置220は、情報提供機能により、対象周辺車両を、要注意車両として特定する。なお、特定された要注意車両は、ステップS204での判定において対象周辺車両の車両属性と一致した要注意車両である。
ステップS206では、制御装置220は、情報提供機能により、ステップ205で特定された要注意車両の情報を、対象車両の車載装置100に送信する。要注意情報には、車両属性及び緊急動作誘発レベルが含まれる。
ステップS207、S208は、対象車両の車載装置100により実行される。まず、ステップS207では、車載制御装置140は、情報提示機能により、情報処理装置200から送信された要注意車両情報を受信する。
ステップS208では、車載制御装置140は、情報提示機能により、要注意車両情報をドライバに提示する。
このように、周辺車両の車両属性から、周辺車両を要注意車両として特定すると、ドライバには、周辺車両についての要注意車両情報が提示される。これにより、ドライバは、周辺車両が急減速したり割り込んできたりする前に、例えば、要注意車両として特定された周辺車両と距離を空けるような運転をすることができる。その結果、仮に周辺車両が自車両と前方車両との間に突然割り込んできたとしても、急減速操作や急操舵操作をドライバにさせることを防ぐことができる。
次に、図5、6を参照しながら、要注意車両情報を提示されたドライバが行うことができる運転操作について説明する。図5は、要注意車両情報が提示されないドライバが行う運転操作の一例である。図6は、要注意車両情報が提示されたドライバが行う運転操作の一例である。図5(A)(B)、図6(A)(B)に示す車両V3は、車両V1の斜め前方を走行し、車線変更を繰り返す傾向にある車両とする。また、車線Aは、車両V1、V2が走行する車線とし、車線Bは、車両V3が走行する車線Aの隣接車線とする。また、図5(B)は、図5(A)の場面から所定時間が経過した場面を示し、図6(B)は、図6(B)の場面から所定時間が経過した場面を示している。
図5(A)(B)に示す車両V1は、車載装置100を備えない比較例に係る車両であり、車両V1のドライバには、車両V3についての要注意車両情報が提示されていない。車両V1のドライバは、車両V2との車間距離を距離L1(車両一台分程度の距離)に維持しながら、車両V2を追従する運転を行っている。この場面において、車両V3のドライバが車両V1と車両V2の間に割り込もうとして車線変更の運転操作を行うと、図5(B)に示すように、車両V3が車両V1の前方に進入する。車両V1と車両V2の車間距離は、車両一台分程度の距離であったため、車両V1と車両V3が接近する。車両V1のドライバは、車両V3との接触を回避するために急減速操作を行う必要がある。
図6(A)(B)に示す車両V1’は、車載装置100を備える本実施形態に係る車両(対象車両)である。車両V1’の車載装置100は、センサ群110により検出した車両V2、V3の外観情報等をプローブデータとして、情報処理装置200に送信し、情報処理装置200から、車両V3についての要注意車両情報(要注意車両の車両属性及び緊急動作誘発レベル)を受信してドライバに提示している。車両V1’のドライバは、車両V3が要注意車両に該当する車両であることを認識しており、図6(A)に示すように、車両V2との車間距離を距離L2(>L1)に維持しながら、車両V2を追従する運転を行っている。この場面において、車両V3のドライバが割り込み運転を行うと、図6(B)に示すように、車両V3が車両V1の前方に進入する。しかし、車両V1’は、予め車両V2と車両一台以上の距離を空けて走行しており、車両V3と接近しない。このため、車両V1’のドライバは、車両V3が前方へ割り込んできたとしても、急減速操作を行わず余裕のある運転をすることができる。
以上のように、本実施形態では、情報処理装置200は、車両の走行状態に関する情報と車両の周辺の画像情報とを含む複数のプローブデータを複数の車両から収集し、複数のプローブデータに基づいて、緊急動作が行われた車両のプローブデータを抽出する。そして、情報処理装置200は、緊急動作が行われた際に車両の周辺に存在した周辺車両のうち、緊急動作との関係性が密接な周辺車両を、要注意車両として抽出し、要注意車両の特徴を示す要注意車両の車両属性を特定する。これにより、周辺車両の車両属性と要注意車両の車両属性を比較することで、周辺車両が要注意車両に該当することを短時間で特定することができる。
また、本実施形態では、情報処理装置200は、要注意車両の属性ごとに、緊急動作誘発レベルを算出する。これにより、情報処理装置200は、要注意車両の属性ごとに、緊急動作誘発レベルに応じた適切な処理を実行することができる。
さらに、本実施形態では、情報処理装置200は、対象車両の周辺を走行する対象周辺車両に関する情報を含むプローブデータを対象車両から取得し、対象周辺車両に関する情報に基づいて、対象周辺車両の車両属性を特定する。そして、情報処理装置200は、要注意車両の車両属性と対象周辺車両の車両属性とを比較し、対象周辺車両の属性が要注意車両の属性に該当する場合、対象周辺車両の属性に該当する要注意車両の情報を出力する。これにより、対象周辺車両の車両属性が要注意車両の車両属性に該当する場合に、要注意車両情報をドライバに提示することができ、対象周辺車両への注意又は警戒をドライバにさせることができる。その結果、対象周辺車両から離れる等の適切な運転操作をドライバにさせることができる。
また、本実施形態では、プローブデータは、車両の位置に対する相対的な周辺車両の位置、車両の速度に対する相対的な周辺車両の速度、周辺車両の外観を含む。情報処理装置200は、プローブデータに含まれるこれらの情報に基づいて、要注意車両を抽出する。これにより、周辺車両の外観からだけでなく、周辺車両の挙動に基づいて高精度に要注意車両を抽出することができる。
さらに、本実施形態では、プローブデータには、周辺車両の車種、色、ナンバープレート、外装のうち少なくとも一つが含まれ、情報処理装置200は、プローブデータに含まれるこれらの情報に基づいて、要注意車両の属性のうち要注意車両の外観に関する属性を特定する。これにより、要注意車両の外観の特徴を把握することができ、周辺車両の外観から、周辺車両が要注意車両に該当することを容易に特定することができる。
また、本実施形態では、情報処理装置200は、プローブデータに含まれるセンサ群110の検出結果に基づいて、周辺車両のドライバが行った運転操作を推定する。そして、情報処理装置200は、周辺車両のドライバが行った運転操作に基づいて、要注意車両の車両属性のうち要注意車両のドライバが行う運転操作に関する属性を特定する。これにより、要注意車両のドライバの運転特性を把握することができ、周辺車両のドライバの運転特性から、周辺車両が要注意車両に該当することを高精度に特定することができる。
さらに、本実施形態では、情報処理装置200は、周辺車両のドライバが行った、ブレーキ操作、操舵操作、方向指示器の操作、ハザードの操作を推定し、これらの操作に基づいて、要注意車両の車両属性のうち要注意車両のドライバが行う運転操作に関する属性を特定する。これにより、要注意車両のドライバの運転特性を詳細に把握することができ、周辺車両のドライバの運転特性から、周辺車両が要注意車両に該当することを高精度に特定することができる。
また、本実施形態では、情報処理装置200は、プローブデータに含まれるセンサ群110の検出結果に基づいて、周辺車両のドライバの運転操作が、車両の急減速操作、車両の急操舵操作、方向指示器を不点灯の状態で車線変更を行う運転操作、信号無視の運転操作、一時停止違反の運転操作のうち少なくとも一つを含む運転操作に該当した場合、周辺車両を要注意車両として抽出する。これにより、要注意車両をドライバの運転特性に応じて分類することができ、その結果、要注意車両のドライバの運転特性に応じた適切な処理を実行することができる。例えば、要注意車両のドライバの運転特性に応じた要注意車両情報をドライバに提示することができる。
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、上述した実施形態では、プローブデータに含まれる車両の走行状態の情報に基づいて、緊急動作が行われた車両のプローブデータを抽出する構成を例に挙げて説明したがこれに限られない。例えば、車両に設けられ、ドライバ又はその他車両の乗員の生体信号(例えば、脈拍数の変化や発汗の程度など)を検出する生体センサがセンサ群110に含まれていてもよい。そして、車載制御装置140は、生体センサの検出結果をプローブデータとして取得し、情報処理装置200に送信する。情報処理装置200は、生体信号に基づいて、緊急動作が行われた車両のプローブデータを抽出してもよい。情報処理装置200は、例えば、ドライバの脈拍数に急峻な変化があった生体信号のプローブデータを、緊急動作が行われた車両のプローブデータとして抽出してもよい。
また、例えば、上述した実施形態では、情報処理装置200は、要注意車両情報を、車載装置100に送信し、車載装置100は受信した要注意車両情報をドライバに提示する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、車両の運転を自動的に実行することが可能な走行制御装置を車載装置100が備えている場合、車載装置100は、要注意車両情報に基づいて、車両の走行を制御してもよい。例えば、車載装置100は、前方車両が要注意車両であることを知らせる要注意車両情報を受信すると、前方車両との車間距離を、それまで維持していた車間距離よりも広く設定して車両を走行させてもよい。また、例えば、車載装置100は、要注意車両が走行する車線やその車線の隣接車線を走行しないように運転計画の変更を行ってもよい。
また、例えば、上述した実施形態では、対象周辺車両の車両属性が要注意車両の車両属性に該当するかの判断として、車両属性を構成する各情報が一致する方法を用いて説明したがこれに限られない。例えば、車両属性のうち車両の外観の情報同士を比較して一致した場合に、対象周辺車両が要注意車両に該当すると判断してもよい。また、例えば、車両属性のうちドライバの運転操作の傾向同士を比較して一致した場合に、対象周辺車両が要注意車両に該当すると判断してもよい。また、例えば、車両属性のうち一部の情報が欠落している場合には、欠落した情報を比較対象から除外してもよい。また、対象周辺車両の車両属性が要注意車両の車両属性に類似している場合にも、対象周辺車両が要注意車両に該当すると判断してもよい。
また、例えば、上述した実施形態では、情報処理装置200によって、緊急動作が行われた車両のプローブデータを抽出する処理、抽出されたプローブデータに基づいて、要注意車両を抽出する処理が実行される構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、車載装置100が上述した処理を実行してもよい。車載装置100が搭載された対象車両を例に挙げて説明する。
例えば、車載装置100は、運転操作検出装置116が検出した運転操作に基づいて、対象車両が緊急動作を行ったか否かを判定する。そして、車載装置100は、緊急動作が行われたと判定した場合、撮像装置111が撮像した撮像画像に基づいて、緊急動作が行われた際に存在した対象周辺車両を検出する。障害物検出装置112、測距装置113、車速センサ115、及び運転操作検出装置116の検出結果に基づいて、対象周辺車両の走行軌跡や対象周辺車両のドライバが行った運転操作を推定する。そして、車載装置100は、推定した走行軌跡や運転特性に基づいて、対象周辺車両のうち、緊急動作との関係性が密接な対象周辺車両を要注意車両として特定する。この構成の場合、車載装置100は、要注意車両の外観情報、要注意車両の走行軌跡、要注意車両のドライバが行った運転操作、要注意車両の相対的な速度などを含むプローブデータを、情報処理装置200に送信する。このような構成にすることで、情報処理装置200は、要注意車両の情報を含むプローブデータを受信する。これにより、情報処理装置200が行う処理の負担を軽減させることができる。
また、例えば、本明細書では、本発明に係る情報処理装置を、情報処理装置200を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、例えば、本明細書では、本発明に係るコントローラを、制御装置220を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。