JP7008033B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、力学強度と触感に優れる樹脂組成物に関する。
熱可塑性エラストマーなど軟質の樹脂は、自動車内装材、スポーツ用品等のグリップ材等、種々の部材の表皮材として広く使用されている。表皮材とは、例えば、自動車用品、スポーツ用品、家電、建材、家具、ロボット等といった、硬質な各種部材の表面を覆う部材をいう。軟質性と触感、感触が重視されるこれらの用途では、従来天然皮革や軟質ポリ塩化ビニル(塩ビ)樹脂が使用されていた。しかし、前者は高コストであり、後者は可塑剤のブリードアウトの問題や脱塩ビの流れから、石油化学系の熱可塑性エラストマーへの置き換えが進んできた。石油化学系の熱可塑性エラストマーとしては、エチレン系エラストマー、プロピレン系エラストマー、スチレン-ジエン系エラストマーが例示できる。
従来用いられている軟質塩ビは、耐傷付き性に優れ、更に触感も比較的良好であるのに対して、代替品であるこれら熱可塑性エラストマーは、軟質性、力学強度、低温特性、耐熱性に優れるものの、軟質塩ビと比較すると、弾性が強すぎてゴムに似ており、しっとり感や風合いやグリップ性等の触感、感触に劣るといった指摘がある。一方、ウレタン系の硬化樹脂(架橋樹脂)では、高い軟質性と良好な触感を有するものが市販されているが、その力学強度(引裂性等)は比較的低く課題を有している。また、一般的にウレタン樹脂は耐久性、特に耐加水分解性に課題を有している。そこで、熱可塑性エラストマーの特長(コストや生産性)を生かしつつ、軟質性、力学強度、耐久性、感触や触感に優れた熱可塑性エラストマーが求められている。
他方、医療分野では、一般的に手術のなかでも手術用メス等の手術用切除具を用いた執刀は、その執刀によって切開したときの深さが深すぎるとそれが致命傷となることから、慎重で熟練した手技が要求される作業であり、その手技の技術力が外科手術の成否の結果に直結することになると言っても過言ではない。従来、ヒトの手術の練習は、生体を使用できないことから、一般にブタ等の動物の組織、皮膚が用いられている。しかし、これらは鮮度が要求される。また、手技練習をする者が負傷したとき、その傷口から病原菌等に感染する恐れがあると共に、手術用切除具の衛生管理や使用済みの内部組織の廃棄に多大なコストが必要となる。生体の組織の代わりにコンニャクを用いて手技練習を行うことも考えられているが、コンニャクの切開感や触感は人体の切開感や触感とはかなり異なることから、手技練習に適しているとはいえない。そこで、生体の代わりに、生体の組織に類似させた組織モデルを使用することが考えられる。組織モデルとしては、例えば、シリコーン、ウレタンエラストマー、スチレンエラストマー等の軟質樹脂材料、いわゆるドライ系材料からなるモデルが提案されている(特許文献2参照)。しかし、従来の技術によって得られたこれらの材料の切開感や触感は人体組織の切開感や触感とはかなり異なることから手技練習には適しているとはいえない。シリコーンやウレタンエラストマーは後硬化性であり、硬化させるまでに時間がかかり生産性が低いという課題がある。さらに、内型、外型からなる型に注型して組織モデルを作成する際に、内型を取り出す際に切り込みを入れる必要があるが、その切れ込みを再接着する際にこれら後硬化性樹脂は再接着が難しいという課題がある。特定の接着剤を使用すれば接着することも可能ではあるが、接着剤は組織モデル材料と比較し硬質であるために、接着後の感触が異なってしまうといった課題がある。
組織モデルとして、他にポリビニルアルコールを溶解させた溶液を生体軟組織の鋳型に注入した後、冷却させることによってゲル化させ、得られた水性ゲル組成物を鋳型から取り出すことによって得られる生体軟組織の模型を使用することが提案されている(例えば特許文献3参照)。これらは相当量の水分を含む、いわゆるウエット系材料として知られている。しかし、ポリビニルアルコール系の材料は一定の水分含量を維持する必要があるため、保管中の湿度管理や含水量の管理が必要であり、腐敗、カビ等の発生を防ぐための対策、例えば冷蔵庫保管が必要になり、長期の保管が困難で多くの場合数週間程度の使用期限が発生する。従って、近年、ヒトの内部組織に近似した軟質性、伸びや触感等を有し、力学的強度や耐久性に優れ、ヒトの内部組織の手技練習に好適に使用できる、水分を含まない、いわゆるドライ系材料を使用した組織モデル用の材料開発が望まれている。特に、医療用シミュレーター向けの皮膚や血管向けの材料が求められている。特に皮膚の場合、触感やメスによる切開の感覚、血管の場合は触感や針を刺したときの感覚が実際の人体の皮膚や血管に近いことが好ましい。
特許文献1、2には、エチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体からなるソフトセグメントとポリスチレンからなるハードセグメントを有する分岐型共重合体であるクロス共重合体、及び、その製造方法、用途に関する技術が開示されている。本文献には、クロス共重合体の使用による熱可塑性エラストマーの風合いやグリップ性の改善に関する記載はない。
特許文献3には、高分子有機材料と低分子材料とを主成分とし、高分子有機材料の含有割合が低分子材料の含有割合よりも少ない高分子ブレンド材料を用いて構成されてなる生体模擬材が記載されている。特許文献4には、高分子有機材料と軟化剤とを含む熱可塑性材料からなる生体模擬材が記載されている。特許文献3、4はクロス共重合体に関する記載はない。
国際公開第2000/37517号 国際公開第2007/139116号 特開平7-175407号公報 特開平9-208836号公報
本発明は、力学強度に優れ、良好な触感を有する樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、以下の通りである。
<1>成分(A)エラストマー100質量部、成分(B)クロス共重合体5~90質量部及び成分(C)オイル1~1500質量部を含み、厚さ1.0mmのシートの、荷重10gの時の最大静止摩擦力が100gf以上であり、かつ静止摩擦係数が10以上30以下である樹脂組成物。
<2>前記最大静止摩擦力が120gf以上300gf以下、かつ前記静止摩擦係数が12以上30以下である<1>に記載の樹脂組成物。
<3>成分(A)エラストマーが、(A-1)スチレン系ブロック共重合体及び(A-2)エチレン-αオレフィン共重合体から選ばれる1種以上を含有する、<1>又は<2>に記載の樹脂組成物。
<4>成分(A)エラストマーが、(A-1)スチレン系ブロック共重合体を含有する、<1>から<3>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<5>引張弾性率が0.01~10MPaの範囲である、<1>から<4>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<6>糸引裂き強度が2.5N以上である、<1>から<5>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<7>A硬度が80以下である、<1>から<6>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<8>成分(B)クロス共重合体が、配位重合工程とこれに続くアニオン重合工程からなる製造方法により得られ、配位重合工程として、シングルサイト配位重合触媒を用いてエチレンモノマー、芳香族ビニル化合物モノマー及び芳香族ポリエンの共重合を行いエチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体を合成し、次にアニオン重合工程として、このエチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物モノマーの共存下、アニオン重合開始剤を用いて重合することで得られる共重合体であり、さらに以下の(1)~(3)の条件をすべて満たす共重合体である、<1>から<7>のいずれかに記載の樹脂組成物。
(1)配位重合工程で得られるエチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体中の芳香族ビニル化合物ユニットの含量が10モル%以上40モル%以下、芳香族ポリエンユニット含量が0.01モル%以上0.2モル%以下、残部がエチレンユニット含量であり、
(2)配位重合工程で得られるエチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体の重量平均分子量が5万以上30万以下、分子量分布(Mw/Mn)が1.8以上6以下であり、
(3)クロス共重合体中に含まれるエチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体の含量が40質量%以上90質量%以下である。
<9>成分(B)クロス共重合体が、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖とを有する共重合体であり、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖とが芳香族ポリエンユニットを介して結合している構造を有する、<1>~<7>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<10>成分(B)クロス共重合体が、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖のグラフトスルー共重合体である、<1>~<7>のいずれかに項記載の樹脂組成物。
<11>成分(B)クロス共重合体が、以下の(4)~(7)の条件をすべて満たすクロス共重合体である、<1>から<7>のいずれかに記載の樹脂組成物。
(4)H-NMR測定により、エチレン-芳香族ビニル化合物共重合体及び芳香族ビニル化合物重合体に帰属されるピークが観察され、エチレン-芳香族ビニル化合物共重合体中の芳香族ビニル化合物含量が10~40モル%であり、含まれるエチレン-芳香族ビニル化合物共重合体成分の含量が40~90質量%の範囲であり、
(5)含まれるエチレン-芳香族ビニル化合物共重合体及び芳香族ビニル化合物重合体が結合を有しており、
(6)MFR(200℃、加重49N)が0.05~50g/10分の範囲であり、
(7)含まれるゲル分が0.2質量%以下である。
<12>表皮材に用いられる、<1>から<11>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<13>医療シミュレーター用皮膚又は血管に用いられる、<1>から<11>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<14><1>から<11>のいずれかに記載の樹脂組成物を用いてなる表皮材。
<15><1>から<11>及び<13>のいずれかに記載の樹脂組成物を用いてなる、医療用シミュレーター用皮膚又は血管。
本発明によれば、力学強度に優れ、良好な触感を有するシートを形成可能な樹脂組成物を提供することができる。
以下に本発明の詳細を説明する。以下含量は含有量ということもある。
本実施形態に係る樹脂組成物は、成分(A)エラストマー、成分(B)クロス共重合体、及び成分(C)オイルを含有する。
<成分(A)エラストマー>
成分(A)エラストマーは、スチレン系ブロック共重合体及びエチレン-αオレフィン共重合体から選ばれる樹脂であることが好ましい。これら樹脂は単数でも複数でも良い。以下(A-1)スチレン系ブロック共重合体、(A-2)エチレン-αオレフィン共重合体と記述する。
<成分(A-1)スチレン系ブロック共重合体>
スチレン系ブロック共重合体は、芳香族ビニルから導かれるブロック重合単位(X)と共役ジエンから導かれるブロック重合単位(Y)とからなる芳香族ビニル・共役ジエンブロック共重合体及びその水添物である。
このような構成の芳香族ビニル・共役ジエンブロック共重合体の形態は、たとえばX(YX)n又は(XY)n〔nは1以上の整数〕で示される。これらの中では、X(YX)nの形態のもの、特にX-Y-Xの形態のものが好ましい。Xは芳香族ビニルブロック単位を示し,Yは共役ジエンゴムブロック単位を示す。X-Y-Xの形態のものとしては、ポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレンブロック共重合体、ポリスチレン-ポリイソプレン-ポリスチレンブロック共重合体、ポリスチレン-ポリイソプレン・ブタジエン-ポリスチレンブロック共重合体からなる1種以上が好ましい。
このような芳香族ビニル・共役ジエンブロック共重合体では、ハードセグメントである芳香族ビニルブロック単位(X)が、共役ジエンゴムブロック単位(Y)の橋かけ点として存在して擬似架橋(ドメイン)を形成している。この芳香族ビニルブロック単位(X)間に存在する共役ジエンゴムブロック単位(Y)は、ソフトセグメントであってゴム弾性を有している。
ブロック重合単位(X)を形成する芳香族ビニルとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、3-メチルスチレン、p-メチルスチレン、4-プロピルスチレン、4-ドデシルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、4-(フェニルブチル)スチレン、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン等が挙げられる。これらの中では、スチレンが好ましい。
ブロック重合単位(Y)を形成する共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン及びこれらの組合せ等が挙げられる。これらの中では、ブタジエン、イソプレン、ブタジエンとイソプレン(ブタジエン・イソプレンの共重合)との組み合わせからなる1種以上が好ましい。ブタジエン・イソプレン共重合単位からなる共役ジエンブロック重合単位(Y)は、ブタジエンとイソプレンとのランダム共重合単位、ブロック共重合単位、テーパード共重合(傾斜組成共重合)単位の何れであってもよい。
上記のような芳香族ビニル・共役ジエンブロック共重合体は、芳香族ビニルブロック重合単位(X)含有量が5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、20質量%以上35重量%以下であることがより好ましい。この芳香族ビニル単位の含有量は赤外線分光やNMR分光法等の常法によって測定することができる。成分(A)のメルトフローレート:MFR(JIS K7210 に準拠;温度230℃、2.16kg荷重下)は、1g/10分以下であることが好ましく、0.1g/10分未満であることがより好ましい。MFRを上記範囲にすることで、オイルを添加した際にブリードアウトすることを抑えるとともに、力学強度を高く維持することができる。
上記のような芳香族ビニル・共役ジエンブロック共重合体の製造方法は、種々の方法を用いることができる。製造方法としては、(1)n-ブチルリチウム等のアルキルリチウム化合物を開始剤として、芳香族ビニル化合物、次いで共役ジエンを逐次重合させる方法、(2)芳香族ビニル化合物、次いで共役ジエンを重合させ、これをカップリング剤によりカップリングさせる方法、(3)リチウム化合物を開始剤として、共役ジエン、次いで芳香族ビニル化合物を逐次重合させる方法等を挙げることができる。
水添物としては、水添ブロック共重合体が挙げられる。水添ブロック共重合体は、上記のような芳香族ビニル・共役ジエンブロック共重合体を公知の方法により水添した物であって、水添の度合いは任意であるが、好ましい水添率は90モル%以上である。この水添率は、共役ジエンブロック重合単位(Y)中の炭素-炭素二重結合の全体量を100モル%としたときの値であり、公知の方法により求めることができる。このような水添ブロック共重合体(A)としては、ポリスチレン-ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック(SEP)、ポリスチレン-ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック-ポリスチレン(SEPS)、ポリスチレン-ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック-ポリスチレン(SEBS)、ポリスチレン-ポリ(エチレン-エチレン/プロピレン)ブロック-ポリスチレン(SEEPS)等が挙げられる。より具体的には、HYBRAR(クラレ(株)社製)、SEPTON(クラレ(株)社製)、クレイトン(Kraton;シェル化学(株)社製)、クレイトンG(シェル化学(株)社製)、タフテック(旭化成(株)社製)(以上商品名)等が挙げられる。
<成分(A-2)エチレン-αオレフィン共重合体>
エチレン-αオレフィン共重合体としては、公知のエチレン-αオレフィン共重合体を使用することができるが、エチレンと炭素数3~10のαオレフィンの共重合体が好ましい。また、他に少量のポリエンが共重合されてもよい。エチレン-αオレフィン共重合体は、軟質性及び力学物性の点で、密度が0.850~0.900g/cm3であることが好ましい。エチレン-αオレフィン共重合体は、例えば、軟質化するために使用するオイルとの相溶性(耐ブリードアウト性)の点で、JIS K7210に準じて測定される190℃、荷重2.16kgでのMFRが0.01~20であることが好ましく、0.01~5であることがより好ましい。軟質性と力学物性及び耐寒性(低温での耐衝撃性)の点で、αオレフィンは1-オクテンであることが好ましい。これらエチレン-αオレフィン共重合体は、メタロセン系触媒を用いた公知の方法により製造することができる。
<成分(B)クロス共重合体>
成分(B)クロス共重合体(以下、クロス共重合体ということもある)とは、配位重合工程とこれに続くアニオン重合工程又はラジカル重合工程からなる製造方法により得られる共重合体である。本実施形態のクロス共重合体及びこのクロス共重合体を主体とする樹脂組成物は、力学物性、風合い、耐傷摩耗性に優れる。
成分(B)クロス共重合体の使用量は、成分(A)エラストマー100質量部に対して、5~90質量部の範囲であり、好ましくは10~80質量部の範囲である。
クロス共重合体は、具体的には、以下の共重合体をいう。まず配位重合工程において、シングルサイト配位重合触媒を用い、オレフィン、芳香族ビニル化合物、芳香族ポリエンモノマーからオレフィン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体を製造し、本オレフィン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体及び芳香族ビニル化合物モノマーの共存下で、アニオン重合又はラジカル重合を行うことにより得られる共重合体である。このクロス共重合体は、オレフィン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体鎖(主鎖と記載される場合もある)と芳香族ビニル化合物重合体鎖(側鎖と記載される場合もある)とを有する共重合体である。クロス共重合体及びその製造方法は、WO2000/37517号公報、USP6559234号公報、WO2007/139116号公報に記載されている。成分(B)クロス共重合体を使用することにより、組織等の組織モデルの感触を人体の組織等の組織に近づけることができる。
ここで芳香族ビニル化合物としては、スチレン及び各種の置換スチレン、例えば、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン、o-メチルスチレン、o-t-ブチルスチレン、m-t-ブチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、p-クロロスチレン、o-クロロスチレン等のモノマーが挙げられる。これらの中では、工業的な観点から、スチレン、p-メチルスチレン、p-クロロスチレンからなる1種以上が好ましく、スチレンが最も好ましい。これらのうち1種以上を組み合わせて用いることもできる。
ここでオレフィンとしては、エチレン、炭素数3~20のα-オレフィン等といったモノマーが挙げられる。炭素数3~20のα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテンが挙げられる。本実施形態においてはオレフィンの範疇に環状オレフィンも含まれる。環状オレフィンとしては、ビニルシクロヘキサン、シクロペンテン、ノルボルネン等が挙げられる。これらの中では、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンからなる1種以上が好ましく、エチレンがより好ましい。これらのうち1種以上を組み合わせて用いることもできる。
ここで芳香族ポリエンとは、10以上30以下の炭素数を持ち、複数の二重結合(ビニル基)と単数又は複数の芳香族基を有し、かつ、配位重合可能なモノマーであり、二重結合(ビニル基)の1つが配位重合に用いられて重合した状態において、残された二重結合がアニオン重合可能な芳香族ポリエンである。これらの中では、ジビニルベンゼンが好ましい。ジビニルベンゼンとしては、オルトジビニルベンゼン、パラジビニルベンゼン、メタジビニルベンゼンからなる1種以上が好ましい。これらのうち1種以上を組み合わせて用いることもできる。
クロス共重合体は、配位重合により得られるエチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体及びスチレンモノマーの共存下で、アニオン重合を行うことにより得られる共重合体であることが好ましい。この場合のクロス共重合体は、エチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体鎖(主鎖と記載される場合もあり、軟質成分)とポリスチレン鎖(側鎖と記載される場合もあり、硬質成分)とを有する共重合体である。特に本クロス共重合体の軟質性は、その軟質ポリマー鎖成分(ソフトセグメント)であるエチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体鎖のスチレン含量、軟質成分と硬質成分の含まれる比率、軟質成分鎖と硬質成分鎖を結合するジビニルベンゼン成分の含量、エチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体鎖やポリスチレン鎖の分子量と前記ジビニルベンゼン含量により規定されるクロス共重合体全体の分子流動性(MFR値)といった、様々なパラメーターにより決定される。樹脂組成物の貯蔵弾性率は、エチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体鎖のスチレン含量が高くなりエチレン鎖の結晶性が下がる程、又は軟質成分であるエチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体鎖の含量が増加する程低下する。
クロス共重合体は、更に以下の(1)~(3)の条件をすべて満たすクロス共重合体が好ましい。
(1)エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体中の芳香族ビニル化合物ユニットの含量が10モル%以上40モル%以下、芳香族ポリエンユニット含量が0.01モル%以上0.2モル%以下、残部がエチレンユニット含量である。芳香族ビニル化合物ユニットの含量は10モル%以上が好ましい。芳香族ビニル化合物ユニットの含量は40モル%未満が好ましく、30モル%以下がより好ましい。エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体(エチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体)中の芳香族ポリエン含量は、好ましくは0.01モル%以上0.2モル%以下であり、0.2モル%以上0.1モル%以下であることがより好ましい。上記範囲にすることで、クロス共重合体の物性が発現せず単なるエチレン-芳香族ビニル化合物共重合体と芳香族ビニル化合物重合体の混合物としての物性が発現することを防ぐことができるとともに、ゲル分が一定量以上含まれることも防ぐことができ、さらに、成形加工性が低下する(例えばクロス共重合体のMFR(200℃、49N)も、0.05g/10分未満となってしまう)ことを防ぐことができる。
(2)エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体の重量平均分子量が5万以上30万以下、分子量分布(Mw/Mn)が1.8以上6以下である。分子量分布は1.8以上3以下が好ましい。
(3)クロス共重合体中に含まれるエチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体の含量が40質量%以上90質量%以下である。エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体の含量は、60質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
クロス共重合体は、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖を有する共重合体であり、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖とが芳香族ポリエンユニットを介して結合している構造を有することが好ましい。エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖とが芳香族ポリエンユニットを介して結合していることは、以下の観察可能な現象で証明できる。ここでは代表的なエチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体鎖とポリスチレン鎖がジビニルベンゼンユニットを介して結合している例について示す。即ち、配位重合工程で得られたエチレンースチレンージビニルベンゼン共重合体と、このエチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体とスチレンモノマーの存在下でのアニオン重合を経て得られるクロス共重合体のH-NMR(プロトンNMR)を測定し、両者のジビニルベンゼンユニットのビニル基水素(プロトン)ピーク強度を適当な内部標準ピーク(エチレンースチレンージビニルベンゼン共重合体に由来する適当なピーク)を用いて比較する。ここで、クロス共重合体のジビニルベンゼンユニットのビニル基水素(プロトン)ピーク強度(面積)が、エチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体のジビニルベンゼンユニットの同ピーク強度(面積)と比較して50%未満、好ましくは20%未満である。アニオン重合(クロス化工程)の際にスチレンモノマーの重合と同時にジビニルベンゼンユニットも共重合し、エチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体鎖とポリスチレン鎖とがジビニルベンゼンユニットを介して結合されるために、アニオン重合後のクロス共重合体ではジビニルベンゼンユニットのビニル基の水素(プロトン)ピーク強度は大きく減少する。実際にはジビニルベンゼンユニットのビニル基の水素(プロトン)ピークはアニオン重合後のクロス共重合体では実質的に消失している。詳細は公知文献「ジビニルベンゼンユニットを含有するオレフィン系共重合体を用いた分岐型共重合体の合成」、荒井亨、長谷川勝、日本ゴム協会誌、p382、vol.82(2009)に記載されている。
別な観点から、本クロス共重合体において、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖が芳香族ポリエンユニットを介して結合している(一例としてエチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体鎖とポリスチレン鎖とがジビニルベンゼンユニットを介して結合している)ことは、以下の観察可能な現象で証明できる。即ち、本クロス共重合体に対し、適当な溶媒を用いソックスレー抽出を十分な回数行った後においても、含まれるエチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体鎖とポリスチレン鎖を分別することができない。通常、本クロス共重合体に含まれるエチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体鎖と同一組成のエチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体(あるいはエチレン-スチレン共重合体)とポリスチレンは、沸騰アセトンによるソックスレー抽出を行うことで、アセトン不溶部としてエチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体(あるいはエチレン-スチレン共重合体)に、アセトン可溶部としてポリスチレンに分別できる。しかし、本クロス共重合体に同様のソックスレー抽出を行った場合、アセトン可溶部としてクロス共重合体に含まれる比較的少量のポリスチレンホモポリマーが得られるが、大部分の量を占めるアセトン不溶部には、NMR測定を行うことでエチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体鎖とポリスチレン鎖が共に含まれていることが示され、これらはソックスレー抽出で分別できないことがわかる。これについてもその詳細は公知文献「ジビニルベンゼンユニットを含有するオレフィン系共重合体を用いた分岐型共重合体の合成」、荒井亨、長谷川勝、日本ゴム協会誌、p382、vol.82(2009)に記載されている。
以上から、成分(B)のクロス共重合体は、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖とを有する共重合体であり、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖とが芳香族ポリエンユニットを介して結合している構造を有している。本クロス共重合体には、比較的少量の芳香族ビニル化合物(ポリスチレン)ホモポリマーが含まれていても良い。
更に別な観点から、本クロス共重合体を説明する。本クロス共重合体は、配位重合工程とクロス化工程からなる重合工程を含む製造方法で得られ、配位重合工程として、シングルサイト配位重合触媒を用いてエチレンモノマー、芳香族ビニル化合物モノマー及び芳香族ポリエンの共重合を行ってエチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体を合成し、次にクロス化工程として、このエチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物モノマーの共存下、アニオン重合開始剤によるアニオン重合により製造される共重合体とすることもできる。芳香族ビニル化合物モノマーは、配位重合工程で重合液中に残留する未反応モノマーを用いても、これに新たに芳香族ビニル化合物モノマーを添加しても良い。重合液へのアニオン重合開始剤の添加により、アニオン重合が開始されるが、この場合重合液中に、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体の芳香族ポリエンユニットと比較し、圧倒的に多く含まれる芳香族ビニル化合物モノマーから実質的にアニオン重合が開始し、芳香族ビニル化合物モノマーを重合しながら、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体の芳香族ポリエンユニットのビニル基も共重合しつつ、重合は進行する。そのため、公知文献及び当業者の知識からは、得られるクロス共重合体は、主鎖であるエチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体とクロス鎖である芳香族ビニル化合物重合体鎖とがグラフトスルー形式(Grafting through)で結合した構造(交差結合)が多く含まれると考えられる。
以上から、クロス共重合体を規定する表現として、成分(B)のクロス共重合体は、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖のグラフトスルー共重合体であり、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖が芳香族ポリエンユニットを介して結合していてもよい。
なお、クロス共重合体をH-NMR測定すると、含まれる芳香族ポリエン(ジビニルベンゼン)ユニットは、芳香族ビニル化合物(スチレン)ユニットと比較し著しくその量が少なく、ピーク位置が芳香族ビニル化合物(スチレン)ユニットと重なることから、そのピークを直接確認することはできない。そのため、本クロス共重合体のH-NMR測定では、エチレン-芳香族ビニル化合物共重合体(エチレン-スチレン共重合体)に由来するピークと芳香族ビニル化合物重合体(ポリスチレン)に由来するピークが観察され、これからクロス共重合体のエチレン-芳香族ビニル化合物共重合体(エチレン-スチレン共重合体)に由来するエチレンユニット含量、芳香族ビニル化合物(スチレン)ユニット含量、及び芳香族ビニル化合物重合体(ポリスチレン)の含量を求めることができる。なおここでは、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体(エチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体)中に、実際には0.01モル%以上0.2モル%以下含まれる芳香族ポリエン(ジビニルベンゼン)の含量は、H-NMR測定で検出されないことから除外して、前記各含量を求めている。また、クロス共重合体の大部分を占める上記アセトン不溶部には、エチレン-芳香族ビニル化合物共重合体(エチレンースチレン共重合体)と芳香族ビニル化合物重合体(ポリスチレン)が共に含まれ、これをさらなる分別操作によって分離することができない。それ故、本クロス共重合体において、エチレン-芳香族ビニル化合物共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖とが結合を有している(一例としてエチレン-スチレン共重合体鎖とポリスチレン鎖とが結合を有している)ことを立証することができる。本クロス共重合体は、エチレン-芳香族ビニル化合物共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖とが結合を有しているにも関わらず、ゲル分が実質的に含まれず、かつ熱可塑性樹脂としての実用的な成形加工性、すなわち特定のMFR値を示すことができる。
以上、クロス共重合体は、検出性という観点からは、以下の(4)~(7)の条件をすべて満たす共重合体として規定できる。
(4)H-NMR測定により、エチレン-芳香族ビニル化合物共重合体及び芳香族ビニル化合物重合体に帰属されるピークが観察され、エチレン-芳香族ビニル化合物中の芳香族ビニル化合物含量が10~40モル%、より好ましくは10~30モル%であり、含まれるエチレン-芳香族ビニル化合物共重合体成分の含量が40~90質量%、より好ましくは60~90質量%の範囲であり、
(5)含まれるエチレン-芳香族ビニル化合物共重合体及び芳香族ビニル化合物重合体が結合を有しており、
(6)MFR(200℃、加重49N)が0.05~50g/10分の範囲、より好ましくは0.1~20g/10分の範囲であり、
(7)含まれるゲル分が0.2質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。
<成分(C)オイル>
成分(C)オイルとしては、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系プロセスオイルや流動パラフィン等の鉱物油系オイル、フタル酸系、トリメリット酸系、ピロメリット酸系、アジピン酸系、またはクエン酸系の各種エステル系可塑剤、シリコーンオイル、ヒマシ油、アマニ油、オレフィン系ワックス、鉱物系ワックス等が挙げられる。これらは、単独で用いても、複数を用いても良い。これらの中では、パラフィン系及び/又はナフテン系のプロセスオイルが好ましい。プロセスオイルとしては、ダイアナプロセスオイルシリーズ(出光興産社製)、JOMOプロセスP(ジャパンエナジー社製)等が挙げられる。
成分(C)オイルを含有することで、熱可塑性樹脂組成物を軟質化し、弾性率、硬度を調整することができる。上記のうち1種以上を組み合わせて用いることもできる。成分(C)オイルは、作業性の点で、事前に成分(A)エラストマーに吸収させておくことが、好ましい。
成分(C)オイルの使用量は、成分(A)エラストマー100質量部に対して、1質量部以上、好ましくは100質量部以上である。成分(C)オイルの使用量は、成分(A)エラストマー100質量部に対して、1500質量部以下であり、好ましくは1200質量部以下である。オイルの使用量は上記の範囲内で、表皮材等の目的に応じて調整できる。1質量部未満だと軟質性が不足する場合があり、1500質量部を超えるとオイルが染み出す(ブリードアウト)場合がある。
本実施形態の樹脂組成物には、必要に応じ以下の成分を使用できる。
<フィラー>
フィラーとしては、無機フィラー又は有機フィラー等が挙げられる。無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、マイカ、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、カーボンブラック等が挙げられる。繊維状やコイル状のセラミックファイバー、ガラス繊維、公知の黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、コイル状カーボンファイバー等の導電性フィラーも用いることができる。
有機フィラーとしては、ニトリルゴム、ブタジエンゴム等の架橋ゴムや、繊維状やコイル状の樹脂ファイバー等が挙げられる。繊維状の樹脂ファイバーとしては、ポリエチレンファイバー、ポリプロピレンファイバー、ポリビニールアルコールファイバー(ビニロン繊維)、ナイロンファイバーやセルロースファイバー挙げられる。樹脂ファイバーを用いる場合は、樹脂ファイバーのガラス転移温度や結晶融点、分解温度よりも、成形加工の温度を低くする必要がある。フィラーは、樹脂組成物の触感の向上や、伸びと応力の調整のために用いることができる。
フィラーの使用量は、成分(A)エラストマー100質量部に対して、10質量部以上が好ましい。フィラーの使用量は、成分(A)エラストマー100質量部に対して、300質量部以下が好ましく、100質量部以下がより好ましい。
本発明の目的を阻害しない範囲で、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、可塑剤、安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、導電材、耐候剤、老化防止剤、充填剤、着色剤、滑剤、防曇剤、発泡剤、ブロッキング防止剤、結晶核剤、架橋剤等の添加物を配合することが出来る。
本実施形態に係る樹脂組成物は、軟質(一定範囲の、引張弾性率、50%モジュラス、E硬度、A硬度)であり、実用的な力学強度(一定範囲の、糸引裂き強度や糸引裂き伸び)を有し、更に良好な感触、触感、グリップ性、しっとり感を有するので、家電、建材、家具、ロボット、その他の表皮材や、自動車内装材、スポーツ用品等のグリップ材用の熱可塑性樹脂組成物として好適である。樹脂組成物の物性は、例えば、表皮材として使用する場合、引張弾性率は0.01MPa~10MPa(E硬度3以上、A硬度80以下)が好ましい。中でも介護機材、機器やロボット等の人体に接する表皮材、特に最表皮材用としては、0.01~1MPa(E硬度3以上、A硬度50以下)が好ましい。医療用シミュレーター用皮膚又は血管の材料としては、同様に0.01~1MPa(E硬度3以上、A硬度50以下)が好ましい。特に自動車内装表皮材としては、A硬度としては50~80が好ましく、引張弾性率は1MPa~10MPaが好ましい。例えば、樹脂組成物を表皮材として使用する場合、50%モジュラス(引張試験における伸び50%の時点での応力)は0.005~2MPaが好ましく、0.005~1MPaがより好ましい。表皮材として、応力が解放された後の形状回復性は高い方が好ましく、残留ひずみは小さい方が好ましい。例えば、樹脂組成物の戻り試験後残留ひずみは本実施例の測定方法で15%以下が好ましい。樹脂組成物の糸引裂き強度や糸引裂き伸びは、皮革や合成皮革で採用される縫製加工、植毛加工への適性という意味で重要であり、耐糸引裂性の点で、糸引裂き強度や糸引裂き伸びは高い方が好ましい。例えば、樹脂組成物は、本実施例の測定方法で2.5N以上、好ましくは3.0N以上の糸引裂き強度、30mm以上の糸引裂き伸びを有するので好適である。
更に樹脂組成物は、上記の軟質性と力学物性に加え、感触や触感が良好であるという特徴を有する。ここでいう感触や触感とは、握ったり、触ったりした際のグリップ感やしっとり感であり、この触感の数値化について、好ましくは最大静止摩擦力または静止摩擦係数で表現できる。厚さ1mmのシートに対し、荷重10gの時の最大静止摩擦力は100gf(gfはg重、以下単にgということもある)以上が好ましく、120gf以上300gf以下がより好ましい。即ち、静止摩擦係数は10以上が好ましく、12以上30以下がより好ましい。ここで静止摩擦係数とは、最大静止摩擦力/加重で示される。本条件を満たすことにより、良好なグリップ感やしっとり感を有することができる。これら最大静止摩擦力、または静止摩擦係数は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。本実施形態に係る樹脂組成物は、上記力学物性と感触故に、医療用シミュレーター用の表皮、血管へ好ましく用いられる。
樹脂組成物を製造するには、公知の適当なブレンド方法や混練方法を用いることができる。例えば、単軸のスクリュー押出機、二軸のスクリュー押出機、バンバリー型ミキサー、プラストミル、コニーダー、加熱ロールなどで溶融混合を行うことができる。溶融混合を行う前に、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、スーパーミキサー、タンブラーなどで各原料を均一に混合しておくこともよい。溶融混合温度は特に制限はないが、100~300℃が好ましく、150~250℃がより好ましい。
樹脂組成物は、公知の成形方法により成形することができる。カレンダー成形、押出し成形、注型成形、射出成形、真空成形、ブロー成形等、目的の材料、例えば、表皮材に合わせ様々な成形方法を用いることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明の理解のために実施例を示すが、本発明は本実施例に限定されるものではない。特記しない限り、試験は温度23℃、湿度50%で行った。
(1)材料
成分(A-1)
・水添ブロック共重合体:SEEPS(SEPTON4055、クラレ社製)、MFR(温度230℃、荷重2.16kg)0g/10分(0g/10分とは流動しないことをいう)、スチレン含有量30質量%、水添率90モル%以上
・水添ブロック共重合体:SEEPS(SEPTON4033、クラレ社製)、MFR(温度230℃、荷重2.16kg)0.1g/10分未満、スチレン含有量30質量%、水添率90モル%以上
・水添ブロック共重合体:SEPSとSEEPSからなる群の1種以上(SEPTON-J3341、クラレ社製)、MFR(温度230℃、荷重2.16kg)0g/10分(0g/10分とは流動しないことをいう)、スチレン含有量40質量%、水添率90モル%以上
成分(A-2)
エチレン-αオレフィン共重合体:エチレンと1-オクテンの共重合体(エンゲージ8100、ダウケミカル社製)、密度0.870g/cm、MFR(温度190℃、荷重2.16kg)1.0g/10分
成分(B-1)クロス共重合体(デンカ株式会社製):主鎖スチレン含量17モル%、ジビニルベンゼン含量0.05モル%、主鎖分子量Mw10.1万、Mw/Mn=2.2、クロス共重合体中に含まれる主鎖エチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体の割合は82質量%、A硬度70、本クロス共重合体はWO2007/139116号公報記載の方法で得られ、本クロス共重合体のジビニルベンゼンユニットのビニル基水素(プロトン)ピーク強度(面積)が、配位重合工程で得られたエチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体のジビニルベンゼンユニットの同ピーク強度(面積)と比較して20%未満であった。実際にはジビニルベンゼンユニットのビニル基の水素(プロトン)ピークはアニオン重合後のクロス共重合体では実質的に消失していた。
MFR(200℃、加重49N):2.2g/10分、ASTM-D2765-84で測定したゲル分は検出下限の0.05質量%以下であった。
成分(B-2)クロス共重合体2(デンカ株式会社製):主鎖スチレン含量28モル%、ジビニルベンゼン含量0.06モル%、主鎖分子量Mw12.1万、Mw/Mn=2.1、クロス共重合体中に含まれる主鎖エチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体の割合は70質量%、A硬度75、本クロス共重合体はWO2007/139116号公報記載の方法で得られ、本クロス共重合体のジビニルベンゼンユニットのビニル基水素(プロトン)ピーク強度(面積)が、配位重合工程で得られたエチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体のジビニルベンゼンユニットの同ピーク強度(面積)と比較して20%未満であった。実際にはジビニルベンゼンユニットのビニル基の水素(プロトン)ピークはアニオン重合後のクロス共重合体では実質的に消失していた。
MFR(200℃、加重49N):5.0g/10分、ASTM-D2765-84で測定したゲル分は検出下限の0.05質量%以下であった。
成分(C)パラフィンオイル(出光興産社製PW-90)
(2)混練方法
成分(A-1)水添ブロック共重合体は、無定形の粉末でメーカーより供給される。混練数日前に、水添ブロック共重合体に対し、所定量のオイルを滴下し十分に染みこませておいた。ブラベンダープラスチコーダー(ブラベンダー社製PL2000型)を使用し、原料を投入し、180℃、回転速度50回/分、6分間混練しサンプルを作製した。
(3)試験片作成方法
サンプルシート作製
物性評価用の試料は加熱プレス法(180℃、時間5分、圧力50kg/cm)により成形した各種厚さ(1.0mm、5.0mm)のシートを用いた。
(4)硬度
A硬度
JIS K-7215プラスチックのデュロメーター硬さ試験法に準じ、23±1℃の条件にてタイプAのデュロメーター硬度を求めた。なお、この硬度は瞬間値である。
E硬度
5.0mm厚シートを重ね、JIS K7215プラスチックのデュロメーター硬さ試験法に準じ、23±1℃の条件にてタイプEのデュロメーター硬度を求めた。尚、この硬度は瞬間値である。
(5)引張試験(引張弾性率、50%モジュラス)
JIS K6251に準拠し、1.0mm厚さシートを2号1/2号型テストピース形状にカットし、島津製作所AGS-100D型引張試験機を用い、23±1℃の条件にて引張速度100mm/minにて測定した。引張弾性率は、初期引張弾性率である。
(6)糸引裂き試験(糸引裂き強度、糸引裂き伸び)
縦35mm、横25mm、1.0mm厚さのシートに縦方向5mm、横方向12.5mmの位置にマニーアイド縫合針(外科直弾4丸針)、手術用糸(ブレードシルク3号)を通し、その糸を速度100mm/minで引張材料が破断するまでの強度と伸びを測定した。
(7)戻り試験(戻り試験後残留ひずみ)
縦75mm、横25mm、1.0mm厚さのシートをチャック間距離25mm、引張速度100mm/minで50%延伸させ、30秒間保持し、その後100mm/minの速度で降下させた際に荷重ゼロに戻るときの伸びの値を残留ひずみとして評価した。
(8)触感評価
触感評価には厚さ1.0mmのシートを使用した。株式会社トリニティラボ社製トライボマスターType:TL201Ts、指モデル触覚接触子(ウレタン樹脂製,指紋を模倣した溝が等間隔に刻まれている)を使用し、荷重10g、速度10mm/sec.、データ取り込み速度1ミリsec.、測定長30mmで測定し、時間に対する摩擦力の関係を測定し、最大静止摩擦力、静止摩擦係数を求めた。測定は測定場所を変え5回行いその平均値を求めた。
[実施例1~5、比較例1~3]
成分(A)エラストマーとして、表1に示す水添ブロック共重合体SEEPS(SEPTON4055、SEPTON4033、SEPTON-J3341、いずれもクラレ社製)100質量部、表1に示す量の成分(B)クロス共重合体として、(B-1)クロス共重合体、表1に示す量の成分(C)オイルを配合し、混練を行い、熱可塑性樹脂組成物を得て各物性の評価を行った。物性測定結果を表2に示す。
[比較例4~6]
表1に示すポリウレタン樹脂を使用したこと以外は、実施例1と同様に行った。ウレタン樹脂として、従来の良触感樹脂組成物に用いられている下記ウレタン樹脂を使用した。物性測定値を表2に示す。
・市販の軟質ポリウレタン樹脂(粉付き)
・市販の三液式の後硬化軟質ウレタン樹脂(平泉洋行社ハイキャスト3400N)。後硬化軟質ウレタン樹脂の配合比を変えることにより、A硬度がそれぞれ9、24である軟質ポリウレタン樹脂を得た。軟質ポリウレタン樹脂からシートを得た。
[実施例6]
成分(A)エラストマーとして、表3に示す成分(A-2)エチレン-αオレフィン共重合体を用いた以外は、実施例1~5と同様にして樹脂組成物を得た。実施例1~5と同様にして各物性の評価を行った。結果を表4に示す。
[実施例7]
成分(B)クロス共重合体として、表3に示す成分(B-2)クロス共重合体2を用いた以外は、実施例1~5と同様にして樹脂組成物を得た。実施例1~5と同様にして各物性の評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 0007008033000001
Figure 0007008033000002
Figure 0007008033000003
Figure 0007008033000004
表2,4に示された結果から、各実施例で得られた樹脂組成物は何れも軟質性(引張弾性率、50%モジュラス、A硬度、E硬度)と高い力学強度(糸引裂き強度、糸引裂き伸び)を有する。この樹脂組成物は、触感評価(最大静止摩擦力、静止摩擦係数)の値が大きく、良好な触感(グリップ性、しっとり感)を有する。比較例1,2,4の樹脂組成物は、触感評価(最大静止摩擦力、静止摩擦係数)の値が小さく、触感の点で課題を有している。比較例3~6のポリウレタン樹脂は、力学強度(糸引裂き強度や糸引裂き伸び)が低く、課題を有している。
従って、本実施例の樹脂組成物は、優れた軟質性や力学物性、良好な触感や感触を有しており、例えば、表皮材やグリップ材として好適である。本実施例の樹脂組成物は、良触感樹脂組成物として使用できる。本実施例の樹脂組成物は、小さい残留ひずみを有しており、例えば、表皮材として好適である。
(切込み感触の評価)
実施例1、2、4及び比較例1の樹脂組成物を用い、縦150mm、横90mm、厚さ2.0mmのシートを皮膚として用い、スポンジ状の下地の上に皮膚シートを固定し医師により手術用のメスを用い切り込みを入れた。実施例1及び2、4の場合は、比較的人体に近い感触で切り込みを入れることができたが、比較例1の場合、弾性が強くゴムのような感触(ぷるぷる感)で人体とは違う感触であった。
実施例1、2、4の樹脂組成物を用い、チューブ成形機を用いて外径8mm、肉厚2mmのチューブを作成した。中に血液を模した赤く着色した水を空気が入らないように、定量ポンプにて液を充填させチューブの両端をクリップで閉塞した後に、医師により針17G外形1.4mmの針をつけた注射器にて突き刺し試験を行ったところ、実際の血管に近い感触が得られ、また、針を抜き取った際に針により形成された穴は自然に閉塞し、中の模擬血液が流出することは無かった。

Claims (14)

  1. 成分(A)エラストマー100質量部、成分(B)クロス共重合体5~90質量部及び成分(C)オイル1~1500質量部を含み、厚さ1.0mmのシートの、荷重10gの時の最大静止摩擦力が100gf以上であり、かつ静止摩擦係数が10以上30以下である樹脂組成物であって、
    成分(A)エラストマーが、(A-1)スチレン系ブロック共重合体及び(A-2)エチレン-αオレフィン共重合体から選ばれる1種以上を含有し、
    成分(B)クロス共重合体は、オレフィン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体鎖を主鎖として有し、芳香族ビニル化合物重合体鎖を側鎖として有する、樹脂組成物。
  2. 前記最大静止摩擦力が120gf以上300gf以下であり、かつ前記静止摩擦係数が12以上30以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 成分(A)エラストマーが、(A-1)スチレン系ブロック共重合体を含有する請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 引張弾性率が0.01~10MPaの範囲である、請求項1からのいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 糸引裂き強度が2.5N以上である、請求項1からのいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. A硬度が80以下である、請求項1からのいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  7. 成分(B)クロス共重合体が、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体を主鎖として有し、芳香族ビニル化合物重合体鎖を側鎖として有する共重合体であり、さらに以下の(1)~(3)の条件をすべて満たす共重合体である、請求項1からのいずれか一項に記載の樹脂組成物。
    (1)エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体中の芳香族ビニル化合物ユニットの含量が10モル%以上40モル%以下、芳香族ポリエンユニット含量が0.01モル%以上0.2モル%以下、残部がエチレンユニットであり、
    (2)エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体の重量平均分子量が5万以上30万以下、分子量分布(Mw/Mn)が1.8以上6以下であり、
    (3)クロス共重合体中に含まれるエチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体の含量が40質量%以上90質量%以下である。
  8. 成分(B)クロス共重合体が、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖とを有する共重合体であり、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖とが芳香族ポリエンユニットを介して結合している構造を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  9. 成分(B)クロス共重合体が、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖とが、交差結合した共重合体を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  10. 成分(B)クロス共重合体が、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖とを有する共重合体であり、以下の(4)~(7)の条件をすべて満たすクロス共重合体である、請求項1から7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
    (4)H-NMR測定により、エチレン-芳香族ビニル化合物共重合体及び芳香族ビニル化合物重合体に帰属されるピークが観察され、エチレン-芳香族ビニル化合物共重合体中の芳香族ビニル化合物含量が10~40モル%であり、含まれるエチレン-芳香族ビニル化合物共重合体成分の含量が40~90質量%の範囲であり、
    (5)含まれるエチレン-芳香族ビニル化合物共重合体及び芳香族ビニル化合物重合体が結合を有しており、
    (6)MFR(200℃、加重49N)が0.05~50g/10分の範囲であり、
    (7)含まれるゲル分が0.2質量%以下である。
  11. 表皮材に用いられる、請求項1から10のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  12. 医療シミュレーター用皮膚又は血管に用いられる、請求項1から10のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  13. 請求項1から11のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いてなる表皮材。
  14. 請求項1から10及び12のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いてなる、医療シミュレーター用皮膚又は血管。
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