JP7008033B2 - 樹脂組成物 - Google Patents
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Description
従来用いられている軟質塩ビは、耐傷付き性に優れ、更に触感も比較的良好であるのに対して、代替品であるこれら熱可塑性エラストマーは、軟質性、力学強度、低温特性、耐熱性に優れるものの、軟質塩ビと比較すると、弾性が強すぎてゴムに似ており、しっとり感や風合いやグリップ性等の触感、感触に劣るといった指摘がある。一方、ウレタン系の硬化樹脂(架橋樹脂)では、高い軟質性と良好な触感を有するものが市販されているが、その力学強度(引裂性等)は比較的低く課題を有している。また、一般的にウレタン樹脂は耐久性、特に耐加水分解性に課題を有している。そこで、熱可塑性エラストマーの特長(コストや生産性)を生かしつつ、軟質性、力学強度、耐久性、感触や触感に優れた熱可塑性エラストマーが求められている。
<1>成分(A)エラストマー100質量部、成分(B)クロス共重合体5~90質量部及び成分(C)オイル1~1500質量部を含み、厚さ1.0mmのシートの、荷重10gの時の最大静止摩擦力が100gf以上であり、かつ静止摩擦係数が10以上30以下である樹脂組成物。
<2>前記最大静止摩擦力が120gf以上300gf以下、かつ前記静止摩擦係数が12以上30以下である<1>に記載の樹脂組成物。
<3>成分(A)エラストマーが、(A-1)スチレン系ブロック共重合体及び(A-2)エチレン-αオレフィン共重合体から選ばれる1種以上を含有する、<1>又は<2>に記載の樹脂組成物。
<4>成分(A)エラストマーが、(A-1)スチレン系ブロック共重合体を含有する、<1>から<3>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<5>引張弾性率が0.01~10MPaの範囲である、<1>から<4>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<6>糸引裂き強度が2.5N以上である、<1>から<5>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<7>A硬度が80以下である、<1>から<6>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<8>成分(B)クロス共重合体が、配位重合工程とこれに続くアニオン重合工程からなる製造方法により得られ、配位重合工程として、シングルサイト配位重合触媒を用いてエチレンモノマー、芳香族ビニル化合物モノマー及び芳香族ポリエンの共重合を行いエチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体を合成し、次にアニオン重合工程として、このエチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物モノマーの共存下、アニオン重合開始剤を用いて重合することで得られる共重合体であり、さらに以下の(1)~(3)の条件をすべて満たす共重合体である、<1>から<7>のいずれかに記載の樹脂組成物。
(1)配位重合工程で得られるエチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体中の芳香族ビニル化合物ユニットの含量が10モル%以上40モル%以下、芳香族ポリエンユニット含量が0.01モル%以上0.2モル%以下、残部がエチレンユニット含量であり、
(2)配位重合工程で得られるエチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体の重量平均分子量が5万以上30万以下、分子量分布(Mw/Mn)が1.8以上6以下であり、
(3)クロス共重合体中に含まれるエチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体の含量が40質量%以上90質量%以下である。
<9>成分(B)クロス共重合体が、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖とを有する共重合体であり、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖とが芳香族ポリエンユニットを介して結合している構造を有する、<1>~<7>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<10>成分(B)クロス共重合体が、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖のグラフトスルー共重合体である、<1>~<7>のいずれかに項記載の樹脂組成物。
<11>成分(B)クロス共重合体が、以下の(4)~(7)の条件をすべて満たすクロス共重合体である、<1>から<7>のいずれかに記載の樹脂組成物。
(4)1H-NMR測定により、エチレン-芳香族ビニル化合物共重合体及び芳香族ビニル化合物重合体に帰属されるピークが観察され、エチレン-芳香族ビニル化合物共重合体中の芳香族ビニル化合物含量が10~40モル%であり、含まれるエチレン-芳香族ビニル化合物共重合体成分の含量が40~90質量%の範囲であり、
(5)含まれるエチレン-芳香族ビニル化合物共重合体及び芳香族ビニル化合物重合体が結合を有しており、
(6)MFR(200℃、加重49N)が0.05~50g/10分の範囲であり、
(7)含まれるゲル分が0.2質量%以下である。
<12>表皮材に用いられる、<1>から<11>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<13>医療シミュレーター用皮膚又は血管に用いられる、<1>から<11>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<14><1>から<11>のいずれかに記載の樹脂組成物を用いてなる表皮材。
<15><1>から<11>及び<13>のいずれかに記載の樹脂組成物を用いてなる、医療用シミュレーター用皮膚又は血管。
本実施形態に係る樹脂組成物は、成分(A)エラストマー、成分(B)クロス共重合体、及び成分(C)オイルを含有する。
成分(A)エラストマーは、スチレン系ブロック共重合体及びエチレン-αオレフィン共重合体から選ばれる樹脂であることが好ましい。これら樹脂は単数でも複数でも良い。以下(A-1)スチレン系ブロック共重合体、(A-2)エチレン-αオレフィン共重合体と記述する。
スチレン系ブロック共重合体は、芳香族ビニルから導かれるブロック重合単位(X)と共役ジエンから導かれるブロック重合単位(Y)とからなる芳香族ビニル・共役ジエンブロック共重合体及びその水添物である。
エチレン-αオレフィン共重合体としては、公知のエチレン-αオレフィン共重合体を使用することができるが、エチレンと炭素数3~10のαオレフィンの共重合体が好ましい。また、他に少量のポリエンが共重合されてもよい。エチレン-αオレフィン共重合体は、軟質性及び力学物性の点で、密度が0.850~0.900g/cm3であることが好ましい。エチレン-αオレフィン共重合体は、例えば、軟質化するために使用するオイルとの相溶性(耐ブリードアウト性)の点で、JIS K7210に準じて測定される190℃、荷重2.16kgでのMFRが0.01~20であることが好ましく、0.01~5であることがより好ましい。軟質性と力学物性及び耐寒性(低温での耐衝撃性)の点で、αオレフィンは1-オクテンであることが好ましい。これらエチレン-αオレフィン共重合体は、メタロセン系触媒を用いた公知の方法により製造することができる。
成分(B)クロス共重合体(以下、クロス共重合体ということもある)とは、配位重合工程とこれに続くアニオン重合工程又はラジカル重合工程からなる製造方法により得られる共重合体である。本実施形態のクロス共重合体及びこのクロス共重合体を主体とする樹脂組成物は、力学物性、風合い、耐傷摩耗性に優れる。
(1)エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体中の芳香族ビニル化合物ユニットの含量が10モル%以上40モル%以下、芳香族ポリエンユニット含量が0.01モル%以上0.2モル%以下、残部がエチレンユニット含量である。芳香族ビニル化合物ユニットの含量は10モル%以上が好ましい。芳香族ビニル化合物ユニットの含量は40モル%未満が好ましく、30モル%以下がより好ましい。エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体(エチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体)中の芳香族ポリエン含量は、好ましくは0.01モル%以上0.2モル%以下であり、0.2モル%以上0.1モル%以下であることがより好ましい。上記範囲にすることで、クロス共重合体の物性が発現せず単なるエチレン-芳香族ビニル化合物共重合体と芳香族ビニル化合物重合体の混合物としての物性が発現することを防ぐことができるとともに、ゲル分が一定量以上含まれることも防ぐことができ、さらに、成形加工性が低下する(例えばクロス共重合体のMFR(200℃、49N)も、0.05g/10分未満となってしまう)ことを防ぐことができる。
(2)エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体の重量平均分子量が5万以上30万以下、分子量分布(Mw/Mn)が1.8以上6以下である。分子量分布は1.8以上3以下が好ましい。
(3)クロス共重合体中に含まれるエチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体の含量が40質量%以上90質量%以下である。エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体の含量は、60質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
なお、クロス共重合体を1H-NMR測定すると、含まれる芳香族ポリエン(ジビニルベンゼン)ユニットは、芳香族ビニル化合物(スチレン)ユニットと比較し著しくその量が少なく、ピーク位置が芳香族ビニル化合物(スチレン)ユニットと重なることから、そのピークを直接確認することはできない。そのため、本クロス共重合体の1H-NMR測定では、エチレン-芳香族ビニル化合物共重合体(エチレン-スチレン共重合体)に由来するピークと芳香族ビニル化合物重合体(ポリスチレン)に由来するピークが観察され、これからクロス共重合体のエチレン-芳香族ビニル化合物共重合体(エチレン-スチレン共重合体)に由来するエチレンユニット含量、芳香族ビニル化合物(スチレン)ユニット含量、及び芳香族ビニル化合物重合体(ポリスチレン)の含量を求めることができる。なおここでは、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体(エチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体)中に、実際には0.01モル%以上0.2モル%以下含まれる芳香族ポリエン(ジビニルベンゼン)の含量は、1H-NMR測定で検出されないことから除外して、前記各含量を求めている。また、クロス共重合体の大部分を占める上記アセトン不溶部には、エチレン-芳香族ビニル化合物共重合体(エチレンースチレン共重合体)と芳香族ビニル化合物重合体(ポリスチレン)が共に含まれ、これをさらなる分別操作によって分離することができない。それ故、本クロス共重合体において、エチレン-芳香族ビニル化合物共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖とが結合を有している(一例としてエチレン-スチレン共重合体鎖とポリスチレン鎖とが結合を有している)ことを立証することができる。本クロス共重合体は、エチレン-芳香族ビニル化合物共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖とが結合を有しているにも関わらず、ゲル分が実質的に含まれず、かつ熱可塑性樹脂としての実用的な成形加工性、すなわち特定のMFR値を示すことができる。
(4)1H-NMR測定により、エチレン-芳香族ビニル化合物共重合体及び芳香族ビニル化合物重合体に帰属されるピークが観察され、エチレン-芳香族ビニル化合物中の芳香族ビニル化合物含量が10~40モル%、より好ましくは10~30モル%であり、含まれるエチレン-芳香族ビニル化合物共重合体成分の含量が40~90質量%、より好ましくは60~90質量%の範囲であり、
(5)含まれるエチレン-芳香族ビニル化合物共重合体及び芳香族ビニル化合物重合体が結合を有しており、
(6)MFR(200℃、加重49N)が0.05~50g/10分の範囲、より好ましくは0.1~20g/10分の範囲であり、
(7)含まれるゲル分が0.2質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。
成分(C)オイルとしては、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系プロセスオイルや流動パラフィン等の鉱物油系オイル、フタル酸系、トリメリット酸系、ピロメリット酸系、アジピン酸系、またはクエン酸系の各種エステル系可塑剤、シリコーンオイル、ヒマシ油、アマニ油、オレフィン系ワックス、鉱物系ワックス等が挙げられる。これらは、単独で用いても、複数を用いても良い。これらの中では、パラフィン系及び/又はナフテン系のプロセスオイルが好ましい。プロセスオイルとしては、ダイアナプロセスオイルシリーズ(出光興産社製)、JOMOプロセスP(ジャパンエナジー社製)等が挙げられる。
成分(C)オイルを含有することで、熱可塑性樹脂組成物を軟質化し、弾性率、硬度を調整することができる。上記のうち1種以上を組み合わせて用いることもできる。成分(C)オイルは、作業性の点で、事前に成分(A)エラストマーに吸収させておくことが、好ましい。
<フィラー>
フィラーとしては、無機フィラー又は有機フィラー等が挙げられる。無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、マイカ、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、カーボンブラック等が挙げられる。繊維状やコイル状のセラミックファイバー、ガラス繊維、公知の黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、コイル状カーボンファイバー等の導電性フィラーも用いることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
成分(A-1)
・水添ブロック共重合体:SEEPS(SEPTON4055、クラレ社製)、MFR(温度230℃、荷重2.16kg)0g/10分(0g/10分とは流動しないことをいう)、スチレン含有量30質量%、水添率90モル%以上
・水添ブロック共重合体:SEEPS(SEPTON4033、クラレ社製)、MFR(温度230℃、荷重2.16kg)0.1g/10分未満、スチレン含有量30質量%、水添率90モル%以上
・水添ブロック共重合体:SEPSとSEEPSからなる群の1種以上(SEPTON-J3341、クラレ社製)、MFR(温度230℃、荷重2.16kg)0g/10分(0g/10分とは流動しないことをいう)、スチレン含有量40質量%、水添率90モル%以上
成分(A-2)
エチレン-αオレフィン共重合体:エチレンと1-オクテンの共重合体(エンゲージ8100、ダウケミカル社製)、密度0.870g/cm3、MFR(温度190℃、荷重2.16kg)1.0g/10分
成分(B-1)クロス共重合体(デンカ株式会社製):主鎖スチレン含量17モル%、ジビニルベンゼン含量0.05モル%、主鎖分子量Mw10.1万、Mw/Mn=2.2、クロス共重合体中に含まれる主鎖エチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体の割合は82質量%、A硬度70、本クロス共重合体はWO2007/139116号公報記載の方法で得られ、本クロス共重合体のジビニルベンゼンユニットのビニル基水素(プロトン)ピーク強度(面積)が、配位重合工程で得られたエチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体のジビニルベンゼンユニットの同ピーク強度(面積)と比較して20%未満であった。実際にはジビニルベンゼンユニットのビニル基の水素(プロトン)ピークはアニオン重合後のクロス共重合体では実質的に消失していた。
MFR(200℃、加重49N):2.2g/10分、ASTM-D2765-84で測定したゲル分は検出下限の0.05質量%以下であった。
成分(B-2)クロス共重合体2(デンカ株式会社製):主鎖スチレン含量28モル%、ジビニルベンゼン含量0.06モル%、主鎖分子量Mw12.1万、Mw/Mn=2.1、クロス共重合体中に含まれる主鎖エチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体の割合は70質量%、A硬度75、本クロス共重合体はWO2007/139116号公報記載の方法で得られ、本クロス共重合体のジビニルベンゼンユニットのビニル基水素(プロトン)ピーク強度(面積)が、配位重合工程で得られたエチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体のジビニルベンゼンユニットの同ピーク強度(面積)と比較して20%未満であった。実際にはジビニルベンゼンユニットのビニル基の水素(プロトン)ピークはアニオン重合後のクロス共重合体では実質的に消失していた。
MFR(200℃、加重49N):5.0g/10分、ASTM-D2765-84で測定したゲル分は検出下限の0.05質量%以下であった。
成分(C)パラフィンオイル(出光興産社製PW-90)
成分(A-1)水添ブロック共重合体は、無定形の粉末でメーカーより供給される。混練数日前に、水添ブロック共重合体に対し、所定量のオイルを滴下し十分に染みこませておいた。ブラベンダープラスチコーダー(ブラベンダー社製PL2000型)を使用し、原料を投入し、180℃、回転速度50回/分、6分間混練しサンプルを作製した。
サンプルシート作製
物性評価用の試料は加熱プレス法(180℃、時間5分、圧力50kg/cm2)により成形した各種厚さ(1.0mm、5.0mm)のシートを用いた。
A硬度
JIS K-7215プラスチックのデュロメーター硬さ試験法に準じ、23±1℃の条件にてタイプAのデュロメーター硬度を求めた。なお、この硬度は瞬間値である。
E硬度
5.0mm厚シートを重ね、JIS K7215プラスチックのデュロメーター硬さ試験法に準じ、23±1℃の条件にてタイプEのデュロメーター硬度を求めた。尚、この硬度は瞬間値である。
JIS K6251に準拠し、1.0mm厚さシートを2号1/2号型テストピース形状にカットし、島津製作所AGS-100D型引張試験機を用い、23±1℃の条件にて引張速度100mm/minにて測定した。引張弾性率は、初期引張弾性率である。
縦35mm、横25mm、1.0mm厚さのシートに縦方向5mm、横方向12.5mmの位置にマニーアイド縫合針(外科直弾4丸針)、手術用糸(ブレードシルク3号)を通し、その糸を速度100mm/minで引張材料が破断するまでの強度と伸びを測定した。
縦75mm、横25mm、1.0mm厚さのシートをチャック間距離25mm、引張速度100mm/minで50%延伸させ、30秒間保持し、その後100mm/minの速度で降下させた際に荷重ゼロに戻るときの伸びの値を残留ひずみとして評価した。
触感評価には厚さ1.0mmのシートを使用した。株式会社トリニティラボ社製トライボマスターType:TL201Ts、指モデル触覚接触子(ウレタン樹脂製,指紋を模倣した溝が等間隔に刻まれている)を使用し、荷重10g、速度10mm/sec.、データ取り込み速度1ミリsec.、測定長30mmで測定し、時間に対する摩擦力の関係を測定し、最大静止摩擦力、静止摩擦係数を求めた。測定は測定場所を変え5回行いその平均値を求めた。
成分(A)エラストマーとして、表1に示す水添ブロック共重合体SEEPS(SEPTON4055、SEPTON4033、SEPTON-J3341、いずれもクラレ社製)100質量部、表1に示す量の成分(B)クロス共重合体として、(B-1)クロス共重合体、表1に示す量の成分(C)オイルを配合し、混練を行い、熱可塑性樹脂組成物を得て各物性の評価を行った。物性測定結果を表2に示す。
表1に示すポリウレタン樹脂を使用したこと以外は、実施例1と同様に行った。ウレタン樹脂として、従来の良触感樹脂組成物に用いられている下記ウレタン樹脂を使用した。物性測定値を表2に示す。
・市販の軟質ポリウレタン樹脂(粉付き)
・市販の三液式の後硬化軟質ウレタン樹脂(平泉洋行社ハイキャスト3400N)。後硬化軟質ウレタン樹脂の配合比を変えることにより、A硬度がそれぞれ9、24である軟質ポリウレタン樹脂を得た。軟質ポリウレタン樹脂からシートを得た。
成分(A)エラストマーとして、表3に示す成分(A-2)エチレン-αオレフィン共重合体を用いた以外は、実施例1~5と同様にして樹脂組成物を得た。実施例1~5と同様にして各物性の評価を行った。結果を表4に示す。
成分(B)クロス共重合体として、表3に示す成分(B-2)クロス共重合体2を用いた以外は、実施例1~5と同様にして樹脂組成物を得た。実施例1~5と同様にして各物性の評価を行った。結果を表4に示す。
実施例1、2、4及び比較例1の樹脂組成物を用い、縦150mm、横90mm、厚さ2.0mmのシートを皮膚として用い、スポンジ状の下地の上に皮膚シートを固定し医師により手術用のメスを用い切り込みを入れた。実施例1及び2、4の場合は、比較的人体に近い感触で切り込みを入れることができたが、比較例1の場合、弾性が強くゴムのような感触(ぷるぷる感)で人体とは違う感触であった。
Claims (14)
- 成分(A)エラストマー100質量部、成分(B)クロス共重合体5~90質量部及び成分(C)オイル1~1500質量部を含み、厚さ1.0mmのシートの、荷重10gの時の最大静止摩擦力が100gf以上であり、かつ静止摩擦係数が10以上30以下である樹脂組成物であって、
成分(A)エラストマーが、(A-1)スチレン系ブロック共重合体及び(A-2)エチレン-αオレフィン共重合体から選ばれる1種以上を含有し、
成分(B)クロス共重合体は、オレフィン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体鎖を主鎖として有し、芳香族ビニル化合物重合体鎖を側鎖として有する、樹脂組成物。 - 前記最大静止摩擦力が120gf以上300gf以下であり、かつ前記静止摩擦係数が12以上30以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 成分(A)エラストマーが、(A-1)スチレン系ブロック共重合体を含有する請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 引張弾性率が0.01~10MPaの範囲である、請求項1から3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 糸引裂き強度が2.5N以上である、請求項1から4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- A硬度が80以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 成分(B)クロス共重合体が、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体を主鎖として有し、芳香族ビニル化合物重合体鎖を側鎖として有する共重合体であり、さらに以下の(1)~(3)の条件をすべて満たす共重合体である、請求項1から6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
(1)エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体中の芳香族ビニル化合物ユニットの含量が10モル%以上40モル%以下、芳香族ポリエンユニット含量が0.01モル%以上0.2モル%以下、残部がエチレンユニットであり、
(2)エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体の重量平均分子量が5万以上30万以下、分子量分布(Mw/Mn)が1.8以上6以下であり、
(3)クロス共重合体中に含まれるエチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体の含量が40質量%以上90質量%以下である。 - 成分(B)クロス共重合体が、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖とを有する共重合体であり、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖とが芳香族ポリエンユニットを介して結合している構造を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 成分(B)クロス共重合体が、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖とが、交差結合した共重合体を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 成分(B)クロス共重合体が、エチレン-芳香族ビニル化合物-芳香族ポリエン共重合体鎖と芳香族ビニル化合物重合体鎖とを有する共重合体であり、以下の(4)~(7)の条件をすべて満たすクロス共重合体である、請求項1から7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
(4)1H-NMR測定により、エチレン-芳香族ビニル化合物共重合体及び芳香族ビニル化合物重合体に帰属されるピークが観察され、エチレン-芳香族ビニル化合物共重合体中の芳香族ビニル化合物含量が10~40モル%であり、含まれるエチレン-芳香族ビニル化合物共重合体成分の含量が40~90質量%の範囲であり、
(5)含まれるエチレン-芳香族ビニル化合物共重合体及び芳香族ビニル化合物重合体が結合を有しており、
(6)MFR(200℃、加重49N)が0.05~50g/10分の範囲であり、
(7)含まれるゲル分が0.2質量%以下である。 - 表皮材に用いられる、請求項1から10のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 医療シミュレーター用皮膚又は血管に用いられる、請求項1から10のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1から11のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いてなる表皮材。
- 請求項1から10及び12のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いてなる、医療シミュレーター用皮膚又は血管。
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