図1~図3を参照して、本発明の実施形態に係る電磁比例制御弁100について説明する。
電磁比例制御弁100は、ソレノイド7に供給される制御電流に応じて、制御対象となる機器へ出力する圧力を制御する。電磁比例制御弁100から出力される制御圧は、機器の圧力室112に供給され、当該機器の動作が制御される。以下では、作動流体として作動油を用いる例について説明するが、作動水等の他の流体を作動流体として用いてもよい。
図1及び図2に示すように、電磁比例制御弁100は、一次圧が供給される一次圧ポート11、制御対象に制御圧としての二次圧を出力する二次圧ポート12及びタンク113に接続されるタンクポート13を有するハウジング1と、ハウジング1の収容孔2に収容されるスリーブ3と、スリーブ3内に摺動自在に設けられるスプール5と、ハウジング1の一端面(図示下端面)1a側に設けられ、スプール5の一端部(図示下端部)に推力Fsを与えるソレノイド7と、ハウジング1の他端面(図示上端面)1b側に設けられ、スプール5の他端部(図示上端部)にソレノイド7による推力Fsに抗した付勢力Fkを与える付勢部材としてのばね4と、ハウジング1の他端面(図示上端面)1b側に設けられ、スプール5に対するばね4の付勢力Fkを調整する調整部材としてのボルト8を含む調整機構9と、を備える。
本実施形態に係る電磁比例制御弁100は、ソレノイド7に供給される電流が高くなるほど、二次圧を上昇させる正比例型の制御弁を構成する第1減圧弁部101と、ソレノイド7に供給される電流が高くなるほど、二次圧を低下させる逆比例型の制御弁を構成する第2減圧弁部102と、を備えている。第1減圧弁部101及び第2減圧弁部102は、それぞれ、スリーブ3と、スプール5と、ソレノイド7と、ばね4と、調整機構9と、を備える。第1減圧弁部101と、第2減圧弁部102とは、スリーブ3、スプール5、ボルト8等の形状が一部異なっているが、同様の構成を有しているので、同じ符号を付して各部の構成について説明する。
ソレノイド7は、外部装置から供給される制御電流に応じて磁力を発生するコイル71と、コイル71の磁力によって励磁される固定鉄心(固定コア)73と、励磁された固定鉄心73に吸引され軸方向に移動する可動鉄心(プランジャ)72と、可動鉄心72に固着され可動鉄心72とともに軸方向に移動するプッシュロッド74と、を備える。ソレノイド7のケース76内には、可動鉄心72を貫通するプッシュロッド74の一端が当接するストッパ部75が設けられる。
一次圧ポート11は、流体圧供給源としての油圧ポンプ111からの供給圧が一次圧として入力される。二次圧ポート12は、制御対象となる機器の圧力室112に制御圧としての二次圧を出力する。タンクポート13は、作動油が貯留されるタンク113に接続される。タンク113に貯留される作動油は、油圧ポンプ111によって吸い上げられ、電磁比例制御弁100に供給され、電磁比例制御弁100を通じて制御対象となる機器の圧力室112に導かれる。
一次圧ポート11及びタンクポート13は、ハウジング1におけるスプール5の両端側のそれぞれに設けられる。本実施形態では、タンクポート13がスプール5の一端側(図示下端側)、すなわちソレノイド7側に設けられ、一次圧ポート11がスプール5の他端側(図示上端側)、すなわち調整機構9側に設けられる。二次圧ポート12は、一次圧ポート11とタンクポート13との間に設けられる。
スリーブ3は、略円筒状の部材であり、軸方向に貫通する摺動孔40と、径方向に貫通する第1連通孔31、第2連通孔32及び第3連通孔33と、を有する。なお、軸方向とは、スリーブ3及びスリーブ3内を摺動するスプール5の中心軸方向である。第1連通孔31は一次圧ポート11とスリーブ3内とを連通し、第2連通孔32は二次圧ポート12とスリーブ3内とを連通し、第3連通孔33はタンクポート13とスリーブ3内とを連通する。
各連通孔31,32,33は、スリーブ3の他端側(図示上端側)から一端側(図示下端側)に向かって、第1連通孔31、第2連通孔32、第3連通孔33の順に設けられる。各連通孔31,32,33は、それぞれ一個ずつ設けてもよいし、図示するように、周方向に沿って複数個ずつ設けてもよい。
摺動孔40は、第1摺動部41、第2摺動部42、第3摺動部43及び第4摺動部44を有する。各摺動部41,42,43,44は、その断面がスリーブ3の中心軸を中心とする円形状の開口とされ、後述する各ランド部51,52,53,54に対応して設けられる。各摺動部41,42,43,44は、スリーブ3の他端側(図示上端側)から一端側(図示下端側)に向かって、第1摺動部41、第2摺動部42、第3摺動部43、第4摺動部44の順に設けられる。各摺動部41,42,43,44は、軸方向に互いに離間して設けられる。各摺動部41,42,43,44間は、径方向外方に窪む環状溝とされる。
第1摺動部41の内径と第2摺動部42の内径は同一であり、第3摺動部43の内径と第4摺動部44の内径は同一である。第1減圧弁部101では、第3摺動部43の内径は、第2摺動部42の内径よりも大きい。第2減圧弁部102では、第3摺動部43の内径は、第2摺動部42の内径よりも小さい。
第1摺動部41と第2摺動部42との間の環状溝には、第1連通孔31が設けられる。第2摺動部42と第3摺動部43との間の環状溝には、第2連通孔32が設けられる。第3摺動部43と第4摺動部44との間の環状溝には、第3連通孔33が設けられる。
スプール5は、一端部(図示下端部)がソレノイド7のプッシュロッド74に固定される軸状部材である。スプール5には、第1ランド部51、第2ランド部52、第3ランド部53、第4ランド部54がスプール5の他端側(図示上端側)から一端側(図示下端側)に向かって、この順に設けられる。各ランド部51,52,53,54は、径方向外方に突出する。各ランド部51,52,53,54は、その断面がスプール5の中心軸を中心とする円形状である。各ランド部51,52,53,54は、軸方向に互いに離間して設けられる。各ランド部51,52,53,54間は、径方向内方に窪む環状溝とされる。
第1ランド部51は、スリーブ3の第1摺動部41に沿って摺動し、第2ランド部52は、スリーブ3の第2摺動部42に沿って摺動する。第3ランド部53は、スリーブ3の第3摺動部43に沿って摺動し、第4ランド部54は、スリーブ3の第4摺動部44に沿って摺動する。第1ランド部51の外径と第2ランド部52の外径は同一であり、第3ランド部53の外径と第4ランド部54の外径は同一である。第1減圧弁部101では、第3ランド部53の外径は、第2ランド部52の外径よりも大きい。第2減圧弁部102では、第3ランド部53の外径は、第2ランド部52の外径よりも小さい。
第1減圧弁部101の第3ランド部53は、二次圧ポート12の圧力(二次圧)が軸方向一方(矢印Aの方向)に作用する受圧部を構成する。軸方向一方(矢印Aの方向)とは、ばね4がスプール5を付勢する方向であって、ソレノイド7の推力に抗する方向(ハウジング1の他端面1b側から一端面1a側に向かう方向)である。同様に、第2減圧弁部102の第2ランド部52は、二次圧ポート12の圧力(二次圧)が軸方向他方(矢印Bの方向)に作用する受圧部を構成する。軸方向他方(矢印Bの方向)とは、ソレノイド7の推力の方向であって、ばね4の付勢力に抗する方向(ハウジング1の一端面1a側から他端面1b側に向かう方向)である。
第1減圧弁部101では、大径の第3ランド部53の受圧面積が小径の第2ランド部52の受圧面積よりも大きい。このため、第1減圧弁部101のスプール5には、二次圧ポート12の圧力(二次圧)による推力Fa、すなわち大径の第3ランド部53と小径の第2ランド部52の受圧面積差分の推力Faが、軸方向一方(矢印Aの方向)に向かって作用する。一方、第2減圧弁部102では、大径の第2ランド部52の受圧面積が小径の第3ランド部53の受圧面積よりも大きい。このため、第2減圧弁部102のスプール5には、二次圧ポート12の圧力(二次圧)による推力Fa、すなわち大径の第2ランド部52と小径の第3ランド部53の受圧面積差分の推力Faが、軸方向他方(矢印Bの方向)に向かって作用する。
スリーブ3の一端面(図示下端面)には、第4摺動部44の開口が設けられる。スリーブ3の一端面(図示下端面)とソレノイド7の固定鉄心73との間には、プッシュロッド74が出入りするロッド室21が画成される。スリーブ3の他端側(図示上端側)では、第1ランド部51と摺動孔40の内周面と調整機構9を構成するボルト8とにより、ばね4を収容するばね室22が画成される。ばね4は、ボルト8と第1ランド部51との間に圧縮した状態で介装され、スプール5をソレノイド7に向けて軸方向一方(矢印Aの方向)に付勢する。このため、スプール5には、ばね4の弾性変形量(圧縮量)に応じた弾性力が付勢力として軸方向に作用する。
スプール5には、ソレノイド7による推力Fsが軸方向他方(矢印Bの方向)に作用し、ばね4による付勢力Fkが軸方向一方(矢印Aの方向)に作用する。さらに、第1減圧弁部101では、スプール5に対し、二次圧ポート12の圧力(二次圧)による推力Faが軸方向一方(矢印Aの方向)に作用し、第2減圧弁部102では、スプール5に対し、二次圧ポート12の圧力(二次圧)による推力Faが軸方向他方(矢印Bの方向)に作用する。
第1減圧弁部101及び第2減圧弁部102は、それぞれ、スプール5に対するソレノイド7による推力Fs、ばね4による付勢力Fk及び二次圧による推力Faのバランス(釣り合い)によって、一次圧ポート11及びタンクポート13に対する二次圧ポート12の連通を調整することにより、二次圧ポート12の圧力、すなわち圧力室112に出力する二次圧(制御圧)を制御する。
電磁比例制御弁100に作動油が供給されておらず、かつ、ソレノイド7に電流が流れていない非通電状態のときには、ばね4の付勢力によってスプール5が初期位置に配置される。スプール5の初期位置は、プッシュロッド74がソレノイド7のケース76内のストッパ部75に当接している位置である。初期位置では、ばね4のセット長に応じた初期荷重がスプール5に作用する。
第1減圧弁部101では、スプール5が初期位置に配置されているとき、第2ランド部52が第2摺動部42内に位置し、第1連通孔31と第2連通孔32との連通を遮断する。このとき、第1減圧弁部101では、第3ランド部53が第3摺動部43外に位置し、第2連通孔32と第3連通孔33とが連通する。第1減圧弁部101では、スプール5が初期位置から所定量図示上方に移動した状態では、第2ランド部52が第2摺動部42外に位置し、第1連通孔31と第2連通孔32とが連通する。このとき、第1減圧弁部101では、第3ランド部53が第3摺動部43内に位置し、第2連通孔32と第3連通孔33との連通を遮断する。
第2減圧弁部102では、スプール5が初期位置に配置されているとき、第3ランド部53が第3摺動部43内に位置し、第2連通孔32と第3連通孔33との連通を遮断する。このとき、第2減圧弁部102では、第2ランド部52が第2摺動部42外に位置し、第1連通孔31と第2連通孔32とが連通する。第2減圧弁部102では、スプール5が初期位置から所定量図示上方に移動した状態では、第3ランド部53が第3摺動部43外に位置し、第2連通孔32と第3連通孔33とが連通する。このとき、第2減圧弁部102では、第2ランド部52が第2摺動部42内に位置し、第1連通孔31と第2連通孔32との連通を遮断する。
つまり、第2ランド部52は、一次圧ポート11から二次圧ポート12への作動油の流れを許容する位置と、一次圧ポート11から二次圧ポート12への作動油の流れを禁止する位置との間で移動する。また、第3ランド部53は、二次圧ポート12からタンクポート13への作動油の流れを許容する位置と、二次圧ポート12からタンクポート13への作動油の流れを禁止する位置との間で移動する。
スプール5には、軸方向に貫通する縦孔35が設けられる。縦孔35は、一端側(図示下端側)がロッド室21に開口し、他端側(図示上端側)がばね室22に開口する。また、縦孔35には、径方向に貫通する横孔36が設けられる。横孔36は、スプール5の移動量にかかわらず、縦孔35とタンクポート13とを連通する。このため、ばね室22及びロッド室21は、それぞれタンクポート13に常時連通する。
電磁比例制御弁100の第1減圧弁部101の動作について説明する。
ソレノイド7のコイル71に電流が通電されていない状態では、スプール5は、ばね4による付勢力によって軸方向一方(矢印Aの方向)に付勢され、初期位置に位置する。初期位置では、第3ランド部53が、第3摺動部43と第4摺動部44との間に配置され、第2連通孔32と第3連通孔33とが連通している。つまり、第2連通孔32及び第3連通孔33を通じて、二次圧ポート12とタンクポート13とが連通している。一方、第2ランド部52は、第2摺動部42内に配置されており、第1連通孔31と第2連通孔32との連通は遮断されている。つまり、一次圧ポート11と二次圧ポート12との連通が遮断されている。したがって、二次圧ポート12に接続される圧力室112の圧力(二次圧)は、タンク圧P0となっている。
ソレノイド7のコイル71に制御電流が供給されると、コイル71の周囲に発生した磁界によって固定鉄心73が励磁され、可動鉄心72は固定鉄心73に向けて軸方向に引き寄せられる。ソレノイド7は、コイル71を流れる電流値に応じた電磁力により、プッシュロッド74を介してスプール5に対して推力Fsを与える。スプール5に対するソレノイド7による推力Fsが、ばね4による付勢力Fkを上回ると、スプール5が軸方向他方(矢印Bの方向)へと移動する。
これにより、第2ランド部52が、第1摺動部41と第2摺動部42との間に配置され、第1連通孔31と第2連通孔32とが連通する。つまり、第1連通孔31及び第2連通孔32を通じて、一次圧ポート11と二次圧ポート12とが連通する。一方、第3ランド部53が、第3摺動部43内に配置され、第2連通孔32と第3連通孔33との連通が遮断される。つまり、二次圧ポート12とタンクポート13との連通が遮断される。
したがって、一次圧ポート11に供給される作動油は、第1連通孔31を通じてスリーブ3とスプール5との間に導かれ、第2連通孔32を通じて二次圧ポート12から排出され、圧力室112へと導かれる。圧力室112に作動油が供給されることにより、圧力室112内の圧力、すなわち二次圧が上昇する。
スプール5には、二次圧によって、第3ランド部53と第2ランド部52の受圧面積差分の油圧力が、スプール5を軸方向一方(矢印Aの方向)に押圧する推力Faとして作用する。二次圧による推力Faとばね4による付勢力Fkとの和が、ソレノイド7による推力Fsよりも小さい間は、スプール5は軸方向他方(矢印Bの方向)へと移動する。つまり、一次圧ポート11と二次圧ポート12との間の開口面積が増加し、二次圧が上昇する。
二次圧が上昇し、二次圧による推力Faとばね4による付勢力Fkとの和が、ソレノイド7による推力Fsよりも大きくなると、スプール5は軸方向一方(矢印Aの方向)に押し戻される。これにより、第2ランド部52が第2摺動部42内に戻るとともに、第3ランド部53が第3摺動部43と第4摺動部44との間に戻る。これにより、一次圧ポート11と二次圧ポート12との連通が遮断され、二次圧ポート12とタンクポート13とが再び連通する。したがって、圧力室112の作動油は、二次圧ポート12及びタンクポート13を通じてタンク113に排出され、二次圧が低下する。
スプール5は、スリーブ3内を軸方向に往復するような動作を繰り返し、圧力室112内には作動油の流入、排出が繰り返される。このため、二次圧は、スプール5に対するソレノイド7による推力Fsと、スプール5に対するばね4による付勢力Fk及び二次圧による推力Faと、が釣り合うように制御される。つまり、一次圧ポート11から二次圧ポート12への作動油の漏れ量と、二次圧ポート12からタンクポート13への作動油の漏れ量とがバランスして二次圧が保持される。
ソレノイド7への制御電流の供給が停止すると、ソレノイド7が消磁され、ソレノイド7による推力Fsが無くなる。このため、スプール5は、ばね4の付勢力Fk及び二次圧による推力Faによって軸方向一方(矢印Aの方向)へと移動し、プッシュロッド74がストッパ部75に当接した状態の初期位置へ戻る。初期位置では、二次圧ポート12とタンクポート13とが連通するので、圧力室112の圧力(二次圧)はタンク圧P0まで低下する。
電磁比例制御弁100の第2減圧弁部102の動作について説明する。
ソレノイド7のコイル71に電流が通電されていない状態では、スプール5に対して、ばね4による付勢力Fkが軸方向一方(矢印Aの方向)に向かって作用し、かつ、二次圧による推力Faが軸方向他方(矢印Bの方向)に向かって作用している。したがって、二次圧ポート12に接続される圧力室112の圧力(二次圧)は、スプール5に対する二次圧による推力Faとスプール5に対する付勢力Fkとが釣り合う最高圧Pmaxとなっている。
ソレノイド7のコイル71に制御電流が供給されると、ソレノイド7による推力Fsが発生する。これにより、ソレノイド7による推力Fsと二次圧による推力Faとの和が、ばね4による付勢力Fkを上回り、スプール5が軸方向他方(矢印Bの方向)へと移動する。
これにより、第3ランド部53が、第2摺動部42と第3摺動部43との間に配置され、第2連通孔32と第3連通孔33とが連通する。つまり、第2連通孔32及び第3連通孔33を通じて、二次圧ポート12とタンクポート13とが連通する。一方、第2ランド部52が、第2摺動部42内に配置され、第1連通孔31と第2連通孔32との連通が遮断される。つまり、一次圧ポート11と二次圧ポート12との連通が遮断される。
したがって、圧力室112からの作動油が、第2連通孔32を通じてスリーブ3とスプール5との間に導かれ、第3連通孔33を通じてタンクポート13から排出される。圧力室112の作動油が排出されることにより、圧力室112内の圧力、すなわち二次圧が低下する。
二次圧による推力Faとソレノイド7による推力Fsとの和が、ばね4による付勢力Fkよりも大きい間は、スプール5は軸方向他方(矢印Bの方向)へと移動する。つまり、二次圧ポート12とタンクポート13との間の開口面積が増加し、二次圧が低下する。
二次圧が低下し、二次圧による推力Faとソレノイドによる推力Fsとの和が、ばね4による付勢力Fkよりも小さくなると、スプール5は軸方向一方(矢印Aの方向)に押し戻される。これにより、第3ランド部53が第3摺動部43内に配置されるとともに、第2ランド部52が第2摺動部42と第3摺動部43との間に配置される。これにより、二次圧ポート12とタンクポート13との連通が遮断され、一次圧ポート11と二次圧ポート12とが連通する。したがって、油圧ポンプ111から一次圧ポート11及び二次圧ポート12を通じて導かれる作動油が、圧力室112に供給され、二次圧が上昇する。
スプール5は、スリーブ3内を軸方向に往復するような動作を繰り返し、圧力室112内には作動油の流入、排出が繰り返される。このため、二次圧は、スプール5に対するソレノイド7による推力Fs及び二次圧による推力Faと、スプール5に対するばね4による付勢力Fkと、が釣り合うように制御される。つまり、一次圧ポート11から二次圧ポート12への作動油の漏れ量と、二次圧ポート12からタンクポート13への作動油の漏れ量とがバランスして二次圧が保持される。
ソレノイド7への制御電流の供給が停止すると、ソレノイド7が消磁され、ソレノイド7による推力Fsが無くなる。このため、二次圧は、スプール5に対する二次圧による推力Faと、スプール5に対するばね4による付勢力Fkと、が釣り合うように制御され、最高圧Pmaxまで上昇する。
以上のとおり、第1減圧弁部101及び第2減圧弁部102において、ソレノイド7による推力Fsは、ソレノイド7へ供給する制御電流の値によって調整される。つまり、圧力室112へ出力する二次圧(制御圧)は、ソレノイド7への制御電流の値によって制御される。
このように、第1減圧弁部101及び第2減圧弁部102の収容孔2には、軸方向に沿って、一次圧ポート11、二次圧ポート12、タンクポート13が設けられ、二次圧ポート12が、一次圧ポート11とタンクポート13との間に設けられている。したがって、正比例型の第1減圧弁部101及び逆比例型の第2減圧弁部102のいずれの場合であっても、スプール5の軸方向の移動量に応じて、一次圧ポート11及びタンクポート13のいずれか一方のポートを二次圧ポート12に連通させ、他方のポートと二次圧ポート12との連通を遮断する構成とすることができる。つまり、ハウジング1の収容孔2には、第1減圧弁部101を構成する各部材(スリーブ3、スプール5、ボルト8、ソレノイド7)及び第2減圧弁部102を構成する各部材(スリーブ3、スプール5、ボルト8、ソレノイド7)のいずれも装着することが可能である。
つまり、本実施形態に係るハウジング1は、ソレノイド7に供給される電流が高くなるほど、二次圧を上昇させる正比例型の電磁比例制御弁のハウジングとして用いることができるとともに、ソレノイド7に供給される電流が高くなるほど、二次圧を低下させる逆比例型の電磁比例制御弁のハウジングとして用いることもできる。このように、本実施形態に係るハウジング1は、正比例型の電磁比例制御弁及び逆比例型の電磁比例制御弁のいずれにも対応が可能であるので、電磁比例制御弁100の設計自由度を向上することができる。なお、収容孔2に組み込む各部材(スリーブ3、スプール5、ソレノイド7)は、予め組み立てておくことができるカートリッジタイプの減圧弁部とすることにより、収容孔2の組み込みが容易となる。
スプール5に対するばね4の初期荷重は、ばね4の製造のばらつきに加え、ばね4のセット長のばらつきの影響を受ける。また、圧力室112へ出力する圧力、すなわち制御電流に応じた二次圧を保持しているときのスプール5に対するばね4の荷重は、上記ばらつきに加え、スプール5のストローク量のばらつきの影響を受ける。
そこで、本実施形態では、ハウジング1の他端面(図示上端面)1b側に、ばね4の付勢力Fkを調整する調整機構9を備えている。図2に示すように、調整機構9は、調整部材としてのボルト8と、ナット90と、ワッシャ95と、ばね受け部84と、を含む。ボルト8は、ナット90のめねじ部が螺合する第1おねじ部81と、収容孔2の内周に設けられためねじ部に螺合する第2おねじ部82と、を有する。
ハウジング1の他端面1bには、ワッシャ95が配置される段部が設けられる。ワッシャ95は、ハウジング1の段部とナット90との間で挟まれることにより、ハウジング1に固定される。ワッシャ95と収容孔2とボルト8とによって画成される空間には、ボルト8と収容孔2との間をシールするシール部材83が設けられる。つまり、ボルト8、ナット90、ワッシャ95及びシール部材83は、収容孔2の開口を塞ぐ閉塞部材として機能する。
ボルト8の一端部(図示下端部)には、スプール5の他端部(図示上端部)との間でばね4を挟持する支持部としてのばね受け部84が取り付けられる。ばね受け部84は、円筒状の筒部84aと、筒部84aの一端から径方向外方に延在する円環状の鍔部84bと、を有する。ばね4は、ばね受け部84とスプール5との間の距離に応じて、弾性変形量(自然長からの圧縮量)が定まるので、ばね受け部84の軸方向の位置によって、ばね4の付勢力(ばね荷重)が変化する。本実施形態では、ボルト8をスプール5の軸方向に移動させ、ばね受け部84の位置を変化させることにより、ばね受け部84とスプール5の他端部(図示上端部)との間に設けられるばね4の付勢力Fkを調整する。
第1おねじ部81は、ボルト8の他端部(図示上端部)に設けられ、第2おねじ部82は、第1おねじ部81とばね受け部84との間に設けられる。ボルト8は、他端部(図示上端部)が収容孔2から露出し、ハウジング1の外部から操作可能とされている。ボルト8の他端面(図示上端面)には六角穴が設けられている。
本実施形態では、ナット90を緩めた状態で、ボルト8の六角穴に六角棒スパナ等の工具を差し込み、ボルト8を回転することで、ボルト8の軸方向の移動量の調整が可能である。例えば、ボルト8を一方に回転することでボルト8を軸方向一方(矢印Aの方向)に移動させることができ、ボルト8を他方に回転することでボルト8を軸方向他方(矢印Bの方向)に移動させることができる。さらに、スパナ等の工具により、ナット90を一方に回転し、ワッシャ95上に締め付けることでボルト8の軸方向位置を固定することができる。
図3を参照して、ばね4の付勢力Fkの調整方法について説明する。
図3は、逆比例型の第2減圧弁部102の制御電流に対する二次圧(制御圧)の特性を示す図であり、横軸がコイル71に供給される制御電流、縦軸が二次圧を表している。図中、目標とする特性を実線で示し、制御電流に対する二次圧のばらつきの上限及び下限を破線で示している。上限及び下限は、上述したように、ばね4の製造のばらつき、ばね4のセット長のばらつき、スプール5のストローク量のばらつき、及び、ソレノイド7の吸引力特性のばらつきによって定まる。
制御電流に対する二次圧が、目標とする特性に対して大きい場合、ボルト8を軸方向他方(矢印Bの方向)に移動させることにより、ばね4のセット荷重を小さくする方向に付勢力を調整する。一方、制御電流に対する二次圧が、目標とする特性に対して小さい場合、ボルト8を軸方向一方(矢印Aの方向)に移動させることにより、ばね4のセット荷重を大きくする方向に付勢力を調整する。
これにより、制御電流に対する二次圧を、目標とする特性に近づけることができる。例えば、制御電流がI1であるときの二次圧の目標値がP1である場合であって、全測定範囲が数MPa程度であるとき、目標値(仕様値)P1に対して±5%F.S.(Full Scale)の範囲に収めることが容易となる。したがって、本実施形態によれば、制御電流に応じて保持される二次圧の精度を向上することができる。
特に、逆比例型の第2減圧弁部102のばね4は、正比例型の第1減圧弁部101のばね4に対して、特性上、ばね定数が大きくなる。つまり、逆比例型の第2減圧弁部102により制御する二次圧は、正比例型の第1減圧弁部101により制御する二次圧に比べて、ばね4の付勢力Fkのばらつきによる影響が大きくなる。このため、調整機構9による付勢力Fkの調整は、特に、逆比例型の第2減圧弁部102による二次圧の精度の向上に大きく寄与する。
上記ばね4に代えて、ソレノイド7のプッシュロッド74を付勢するばねと、このばねの付勢力を調整する調整機構と、を設ける場合、ソレノイドのコネクタをケースの側部に設ける必要がある。これに対して、本実施形態では、図1に示すように、ばね4及びばね4の付勢力Fkを調整する調整機構9が、スプール5の軸方向他端側(図示上端側)に設けられる。したがって、ソレノイド7のコネクタ77をケース76の軸方向端部に設けることができる。本実施形態では、ソレノイド7のコネクタ77をケース76の側部及び軸方向端部のいずれにも設けることができ、コネクタ77の配置の自由度が高い。
特許文献1に記載の電磁弁装置では、スプールを付勢するばねが、スリーブのソレノイド側の端部に設けられるばね収容穴部に設けられている。このため、特許文献1に記載の電磁弁装置において、制御電流に対する制御圧のばらつきを小さくするためには、例えば、ソレノイドのプッシュロッドを付勢するばねを新たに追加し、この新たに追加したばねの付勢力を調整する調整機構を設ける。この場合、ばねを新たに追加する必要があり、部品点数が増加し、製造コストの増加を招いてしまう。これに対して、本実施形態では、調整機構9により、ソレノイド7の推力Fsに抗する付勢力Fkを発生させるばね4のセット長を調整することができるので、ばね4とは別のばねを新たに追加する必要がなく、ばねの追加に起因する製造コストの増加を防止することができる。
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
二次圧ポート12の圧力(二次圧)は、スプール5に対するソレノイド7による推力Fs、ばね4による付勢力Fk及び二次圧ポート12の圧力(二次圧)による推力Faのバランスによって、一次圧ポート11及びタンクポート13に対する二次圧ポート12の連通を調整することにより制御される。調整機構9は、ハウジング1におけるソレノイド7の取付面とは反対側の面(他端面1b)に設けられる。調整機構9を構成するボルト8の先端部には、スプール5との間でばね4を挟持するばね受け部84が取り付けられ、ばね受け部84の位置を変化させることにより、ばね4の付勢力Fkを調整する。調整機構9によって、ソレノイド7の推力Fsに抗してスプール5を付勢するばね4の付勢力Fkを調整することができ、ソレノイド7の吸引力のばらつきも含めた調整ができるので、電磁比例制御弁100が保持する二次圧の精度を向上することができる。
ハウジング1が、ソレノイド7に供給される電流が高くなるほど、二次圧を上昇させる正比例型の電磁比例制御弁、及び、ソレノイド7に供給される電流が高くなるほど、二次圧を低下させる逆比例型の電磁比例制御弁のいずれにも対応が可能であるので、電磁比例制御弁100の設計自由度を向上することができる。
このように、本実施形態では、ハウジング1に組み付けられるカートリッジ式の減圧弁部としては、正比例型及び逆比例型のどちらでも対応が可能であり、かつ、ばね4の付勢力Fkの調整により、どちらも特性の高精度設定が可能となる。
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせたりすることも可能である。
<変形例1>
調整機構9は、上記実施形態で説明したものに限定されず、ばね4の付勢力Fkを外部からの操作により調整可能な種々の形態を採用することができる。例えば、上記実施形態では、ばね受け部84がボルト8の先端部に取り付けられる例について説明したが、ボルト8の先端部にばね4を直接接触させる構成としてもよい、すなわちボルト8とばね受け部84とを一体に成形してもよい。この場合、ボルト8の先端部が、スプール5の端部との間でばね4を挟持する支持部として機能する。
<変形例2>
上記実施形態では、ハウジング1の一端面1a側から他端面1b側に向かって、タンクポート13、二次圧ポート12、一次圧ポート11の順に各ポートが設けられる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ハウジング1の一端面1a側から他端面1b側に向かって、一次圧ポート11、二次圧ポート12、タンクポート13の順に各ポートを設けてもよい。
<変形例3>
上記実施形態では、ハウジング1に正比例型の第1減圧弁部101と逆比例型の第2減圧弁部102とを一つずつ設ける例について説明したが、本発明はこれに限定されない。ハウジング1に正比例型の第1減圧弁部101を2つ設けてもよいし、逆比例型の第2減圧弁部102を2つ設けてもよい。いずれの場合であってもハウジング1の構成は、上記実施形態と同じである。
<変形例4>
ハウジング1に設けられる減圧弁部101,102の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
<変形例5>
図1に示す第2減圧弁部102のばね受け部84の筒部84a及び鍔部84bの内径を小さくすることで、第1減圧弁部101のボルト8を、第2減圧弁部102のボルト8として使用することもできる。
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、および効果をまとめて説明する。
電磁比例制御弁100は、一次圧ポート11、二次圧ポート12及びタンクポート13を有するハウジング1と、ハウジング1の収容孔2に収容されるスリーブ3と、スリーブ3内に摺動自在に設けられ、二次圧ポート12の圧力による推力Faが軸方向に作用するスプール5と、ハウジング1の一端面1a側に設けられ、スプール5の一端部に推力Fsを与えるソレノイド7と、ハウジング1の他端面1b側に設けられ、スプール5の他端部にソレノイド7による推力Fsに抗した付勢力Fkを与える付勢部材としてのばね4と、ハウジング1の他端面1b側に設けられ、スプール5に対するばね4の付勢力Fkを調整する調整機構9と、を備え、二次圧ポート12の圧力は、スプール5に対するソレノイド7による推力Fs、ばね4による付勢力Fk及び二次圧ポート12の圧力による推力Faのバランスによって、一次圧ポート11及びタンクポート13に対する二次圧ポート12の連通を調整することにより制御され、調整機構9は、スプール5の他端部との間でばね4を挟持する支持部としてのばね受け部84を有し、ばね受け部84の位置を変化させることにより、ばね4の付勢力を調整する。
この構成では、ソレノイド7の推力に抗してスプール5を付勢するばね4の付勢力を調整することができる。その結果、電磁比例制御弁100が保持する二次圧(制御圧)の精度を向上することができる。
電磁比例制御弁100は、一次圧ポート11及びタンクポート13が、ハウジング1におけるスプール5の両端側のそれぞれに設けられ、二次圧ポート12が、一次圧ポート11とタンクポート13との間に設けられることを特徴とする。
この構成では、ハウジング1が、ソレノイド7に供給される電流が高くなるほど、二次圧を上昇させる正比例型の電磁比例制御弁、及び、ソレノイド7に供給される電流が高くなるほど、二次圧を低下させる逆比例型の電磁比例制御弁のいずれにも対応が可能であり、電磁比例制御弁100の設計自由度を向上することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。