本発明に係る電気掃除機の実施形態について図1から図31を参照して説明する。なお、複数の図面中、同一または相当する構成には同一の符号が付されている。
図1および図2は、本発明の実施形態に係る電気掃除装置を示す斜視図である。
図1および図2に示すように、本実施形態に係る電気掃除装置1は、据置型のステーション2と、ステーション2に連結および切り離し可能な電気掃除機3と、を備えている。
なお、図1には、ステーション2に電気掃除機3が連結された形態が示されている。この形態を電気掃除装置1の収納形態と呼ぶ。図2には、ステーション2から電気掃除機3が切り離された形態が示されている。図2は、電気掃除機3が掃除に使用される形態である。
電気掃除機3は、所謂コードレスタイプである。電気掃除機3は、所謂キャニスタ型であるが、これに限られず、アップライト型、スティック型、またはハンディ型であってもよい。ステーション2に連結および切り離し可能な電気掃除機3は、ステーション2に装着可能であって、ステーション2に載せておくことが可能でもある。ステーション2に電気掃除機3を連結および切り離すこと、ステーション2に電気掃除機3を装着すること、およびステーション2に電気掃除機3を載せておくこと、のいずれの表現もステーション2に電気掃除機3を収納することを表している。
ステーション2は、電気掃除機3の充電機能と、電気掃除機3が捕集した塵埃を回収し、回収した塵埃を蓄積する機能と、を兼ね備えている。ステーション2は、居室の適宜の箇所に配置される。また、ステーション2は、収納形態の電気掃除機3を、単に載せておく台状のものであっても良く、掃除機本体3の全体または一部を納める凹部を有するものであっても良い。さらに、ステーション2は、収納形態の電気掃除機3を覆い隠すものであっても良い。
使用者は、ステーション2に連結された電気掃除機3の掃除機本体7をステーション2から切り離し(図2)、居室の被掃除面で電気掃除機3を走行させ、または電気掃除機3を手に持って移動して、被掃除面を掃除する。この後、使用者は、掃除機本体7をステーション2に戻し(連結し)、収納する(図1)。ステーション2は、掃除機本体7が連結されると、掃除機本体7を充電する一方、電気掃除機3が蓄積している塵埃を適時に回収する。つまり、電気掃除装置1は、電気掃除機3を掃除に用いた後、ステーション2に掃除機本体7が連結される都度、電気掃除機3が捕集した塵埃をステーション2に回収し、電気掃除機3を空にする。
なお、電気掃除機3からステーション2に塵埃を回収する頻度は、電気掃除機3をステーション2に連結する都度でなくても良い。塵埃の回収頻度は、ステーション2に電気掃除機3が複数回連結される都度、例えば電気掃除機3が1日1回使用される前提において1週間毎に塵埃を回収する回数、つまり7回毎であっても良い。
電気掃除機3は、被掃除面を走行可能な掃除機本体7と、掃除機本体7に着脱自在な管部8と、を備えている。管部8は、掃除機本体7に流体的に接続されている。管部8は、掃除機本体7に接続されて塵埃を吸い込む風路体である。
掃除機本体7は、本体ケース11と、本体ケース11の左右それぞれの側部に設けられる一対の車輪12と、本体ケース11に着脱可能に装着される一次塵埃容器13と、本体把手14と、本体ケース11に収容される一次電動送風機15と、主に一次電動送風機15を制御する掃除機制御部16と、一次電動送風機15に供給される電力を蓄える二次電池17と、を備えている。
掃除機本体7は、二次電池17が蓄える電力で一次電動送風機15を駆動させる。掃除機本体7は、一次電動送風機15が発生させる負圧を管部8に作用させる。電気掃除機3は、管部8を通じて被掃除面から塵埃を含む空気(以下、「含塵空気」と呼ぶ。)を吸い込む。電気掃除機3は、吸い込んだ含塵空気から塵埃を分離する。電気掃除機3は、分離後の塵埃を捕集し、蓄積する一方、塵埃を分離した後の清浄な空気を排気する。
本体ケース11の正面部分には、掃除機本体7の吸込口に相当する本体接続口18が設けられている。本体接続口18は、管部8を着脱可能な継手である。本体接続口18は、管部8と一次塵埃容器13とを流体的に接続している。本体接続口18は、本体ケース11の正面に向かって開口している。
なお、本実施形態に係る掃除機本体7は、本体ケース11の正面を進行方向へ向けた姿勢、換言すると本体接続口18を進行方向へ向けた姿勢で使用される。この姿勢を掃除機本体7の使用姿勢と呼ぶ。使用姿勢の掃除機本体7は、使用者が手に持つ管部8に引っ張られて車輪12を中心に俯仰することがある。
また、本実施形態に係る掃除機本体7は、本体ケース11の正面を上方へ向けた姿勢、換言すると本体接続口18を上方へ向けた姿勢でステーション2に載せられる(連結される)。本体接続口18が上方へ向けられている姿勢を、掃除機本体7の収納姿勢と呼ぶ。収納姿勢の掃除機本体7は、上方から下ろされて(降下させられて)ステーション2に載せられる。ステーション2に載せられた掃除機本体7の状態を、掃除機本体7の収納状態と呼ぶ。
車輪12は、掃除機本体7を走行可能に支えている。
一次塵埃容器13は、電気掃除機3に吸い込まれる塵埃を蓄積する。一次塵埃容器13は、掃除機本体7に流れ込む含塵空気から塵埃を分離し、捕集し、蓄積する一方で、塵埃が除去された清浄な空気を一次電動送風機15へ送る。
本体把手14は、掃除機本体7を持ち運ぶときに使用される。本体把手14は、本体ケース11の幅方向に、アーチ状に架け渡されている。
一次電動送風機15は、一次塵埃容器13から空気を吸い込んで負圧(吸込負圧)を発生させる。
掃除機制御部16は、マイクロプロセッサ(図示省略)、およびマイクロプロセッサが実行する各種演算プログラム、パラメータなどを記憶する記憶装置(図示省略)を備えている。記憶装置は、予め設定される複数の運転モードに関連する種々の設定(引数)を記憶している。複数の運転モードは一次電動送風機15の出力に関連付けられている。それぞれの運転モードには、相互に異なる入力値(一次電動送風機15の入力値、一次電動送風機15に流れる電流値)が設定されている。それぞれの運転モードは、管部8が受け付ける操作入力に関連付けられている。掃除機制御部16は、管部8への操作入力に対応する任意の運転モードを、予め設定される複数の運転モードから択一的に選択し、選択した運転モードの設定を記憶部から読み出し、読み出した運転モードの設定にしたがって一次電動送風機15を運転する。
二次電池17は、一次電動送風機15、および掃除機制御部16に電力を供給する。二次電池17は、掃除機本体7に設けられる一対の充電電極19に電気的に接続されている。
管部8は、掃除機本体7から作用する負圧によって、被掃除面から含塵空気を吸い込み掃除機本体7へ導く。管部8は、掃除機本体7に着脱可能な継手としての接続管21と、接続管21に流体的に接続される集塵ホース22と、集塵ホース22に流体的に接続される手元操作管23と、手元操作管23から突出する把持部25と、把持部25に設けられる操作部26と、手元操作管23に着脱可能に連結される延長管27と、延長管27に着脱可能に連結される吸込口体28と、を備えている。
接続管21は、本体接続口18を通じて一次塵埃容器13に流体的に接続される。
集塵ホース22は、長尺で可撓な略円筒形状のホースである。集塵ホース22の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、接続管21に流体的に接続されている。集塵ホース22は、接続管21を通じて一次塵埃容器13に流体的に接続されている。
手元操作管23は、集塵ホース22と延長管27とを繋いでいる。手元操作管23の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、集塵ホース22の他方の端部(ここでは、前方の端部)に流体的に接続されている。手元操作管23は、集塵ホース22および接続管21を通じて一次塵埃容器13に流体的に接続されている。換言すると、接続管21は、集塵ホース22を掃除機本体7に接続する継手部である。
把持部25は、電気掃除機3を操作するために使用者が手で把持する部分である。把持部25は、使用者が手で容易に把持できる適宜の形状で手元操作管23から突出している。
操作部26は、それぞれの運転モードに対応付けられるスイッチを備えている。例えば、操作部26は、一次電動送風機15の運転停止操作に対応付けられる停止スイッチ26aと、一次電動送風機15の運転開始操作に対応付けられる起動スイッチ26bと、吸込口体28への電源供給に対応付けられるブラシスイッチ26cと、を備えている。停止スイッチ26aおよび起動スイッチ26bは、掃除機制御部16に電気的に接続されている。電気掃除機3の使用者は、操作部26を操作して一次電動送風機15の運転モードを択一的に選択できる。起動スイッチ26bは、一次電動送風機15の運転中に、運転モードの選択スイッチとしても機能する。掃除機制御部16は、起動スイッチ26bから操作信号を受け取る度に運転モードを強→中→弱→強→中→弱→………の順に切り換える。なお、操作部26は、起動スイッチ26bに代えて、強運転スイッチ(図示省略)、中運転スイッチ(図示省略)、および弱運転スイッチ(図示省略)を個別に備えていても良い。
複数の筒体を重ね合わせたテレスコピック構造の延長管27は、伸縮可能である。延長管27の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、手元操作管23の他方の端部(ここでは、前方の端部)に着脱可能な継手を備えている。延長管27は、手元操作管23、集塵ホース22および接続管21を通じて一次塵埃容器13に流体的に接続されている。
延長管27は、保持突起27aを備えている。保持突起27aは、管部8の収納に用いられる。保持突起27aは、吸込口体28に設けられていても良い。
吸込口体28は、木床やカーペットなどの被掃除面を走行可能または滑走可能であり、走行状態または滑走状態において被掃除面に対面する底面に吸込口31を有する。また、吸込口体28は、吸込口31に配置される回転可能な回転清掃体32と、回転清掃体32を駆動させる電動機33と、を備えている。吸込口体28の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、延長管27の他方の端部(ここでは、前方の端部)に着脱可能な継手を備えている。吸込口体28は、延長管27、手元操作管23、集塵ホース22および接続管21を通じて一次塵埃容器13に流体的に接続されている。つまり、吸込口体28、延長管27、手元操作管23、集塵ホース22、接続管21、および一次塵埃容器13は、吸込口31から一次電動送風機15へ至る吸込風路である。電動機33は、ブラシスイッチ26cから操作信号を受け取る度に運転開始と停止とを交互に繰り返す。
電気掃除機3は、起動スイッチ26bが操作されると一次電動送風機15を始動させる。例えば、電気掃除機3は、一次電動送風機15が停止している状態で起動スイッチ26bが操作されると、先ず一次電動送風機15を強運転モードで始動させ、再び起動スイッチ26bが操作されると一次電動送風機15の運転モードを中運転モードに変更し、三度、起動スイッチ26bが操作されると一次電動送風機15の運転モードを弱運転モードに変更し、以下同様に繰り返す。強運転モード、中運転モード、および弱運転モードは、予め設定される複数の運転モードである。一次電動送風機15に対する入力値は、強運転モードが最も大きく、弱運転モードが最も小さい。始動した一次電動送風機15は、一次塵埃容器13から空気を吸込み、一次塵埃容器13内を負圧にする。
一次塵埃容器13内の負圧は、本体接続口18、接続管21、集塵ホース22、手元操作管23、延長管27、および吸込口体28を順次に通じて吸込口31に作用する。電気掃除機3は、吸込口31に作用する負圧によって、被掃除面の塵埃を空気とともに吸い込む。一次塵埃容器13は、吸い込まれた含塵空気から塵埃を分離し、捕集し、蓄積する一方で、含塵空気から分離した空気を一次電動送風機15へ送る。一次電動送風機15は、一次塵埃容器13から吸い込んだ空気を掃除機本体7外へ排気する。
ステーション2は、被掃除面の任意の箇所に設置される。ステーション2は、掃除機本体7を連結可能な台座41と、台座41に一体に設けられる塵埃回収部42と、を備えている。また、ステーション2は、電気掃除装置1の収納形態において、電気掃除機3の一次塵埃容器13に接続される塵埃移送管43と、収納姿勢の掃除機本体7が使用姿勢に倒されると、掃除機本体7が進行可能なよう移動する減速機構44と、を備えている。さらに、ステーション2は、電気掃除機3がステーション2に装着されたことを検知する複数の装着検知器45を備えている。
台座41は、電気掃除機3の掃除機本体7を連結および切り離す場所であり、掃除機本体7を装着する場所であり、掃除機本体7を載せておく場所である。台座41は、塵埃回収部42と同程度の幅寸法を有し、塵埃回収部42の前側へ張り出して矩形状に拡がっている。台座41は、平面視において電気掃除機3の掃除機本体7を納めることが可能な形状と寸法とを有している。台座41は、正面を上方へ向けた収納姿勢の掃除機本体7の背面、換言すると本体ケース11の背面に接して掃除機本体7を支える置台面41aを有している。置台面41aの形状は、本体ケース11の背面の形状に倣っていることが好ましい。
台座41は、掃除機本体7に接続可能な充電端子46を備えている。電気掃除機3がステーション2に連結されると、充電端子46は掃除機本体7の充電電極19に接触し、電気的に接続される。
台座41は、電気掃除装置1の収納形態において、掃除機本体7の側面に寄り添うように配置される膨出部47を有している。
塵埃回収部42は、台座41の後方に配置されている。塵埃回収部42は、台座41と一体で被掃除面に置くことができる適宜の形状の箱体である。塵埃回収部42は、台座41よりも上方へ延びている。換言すると、塵埃回収部42は、電気掃除機3の収納場所としての台座41に併設され、かつ収納場所よりも上方に延びる突出部である。塵埃回収部42は、台座41に連結された掃除機本体7に干渉しない適宜の形状を有している。
塵埃回収部42は、ケース48と、塵埃移送管43を通じて一次塵埃容器13から廃棄される塵埃を回収し、回収した塵埃を蓄積する二次塵埃容器49と、塵埃回収部42内に収容され、二次塵埃容器49に流体的に接続される二次電動送風機50と、主に二次電動送風機50を制御するステーション制御部51と、商用交流電源から塵埃回収部42に電力を導く電源コード52と、を備えている。
また、塵埃回収部42は、電気掃除機3の管部8を装着可能な管部取付部53を備えている。
ケース48および台座41の天板は、樹脂の一体成形品である。
二次塵埃容器49は、電気掃除機3から廃棄される塵埃を蓄積する。二次塵埃容器49は、塵埃移送管43に流体的に接続されている。二次塵埃容器49は、塵埃移送管43から流れ込む、塵埃を含む空気から塵埃を分離し、捕集し、蓄積する一方で、塵埃が除去された清浄な空気を二次電動送風機50へ送る。二次塵埃容器49は、塵埃回収部42の左側(正面から向かって右側)に着脱自在に装着され、ステーション2の外観に露出している。
二次電動送風機50は、二次塵埃容器49から空気を吸い込んで負圧(吸込負圧)を発生させ、一次塵埃容器13から二次塵埃容器49に塵埃を移動させる。換言すると、二次電動送風機50は、二次塵埃容器49を介して一次塵埃容器13に負圧を作用させ、一次塵埃容器13から二次塵埃容器49に塵埃を移動させる。二次電動送風機50は、塵埃回収部42の右側(正面から向かって左側)に収容されている。
ステーション制御部51は、マイクロプロセッサ(図示省略)、およびマイクロプロセッサが実行する各種演算プログラム、パラメータなどを記憶する記憶装置(図示省略)を備えている。ステーション制御部51は、二次電動送風機50の運転性制御、および電気掃除機3の二次電池17の充電制御を行う。
塵埃移送管43は、電気掃除装置1の収納形態において、一次塵埃容器13に繋げられる。塵埃移送管43は、電気掃除機3が捕集した塵埃を二次塵埃容器49に移動させる風路である。塵埃移送管43は、ステーション2に電気掃除機3が連結されると、一次塵埃容器13に接続され、一次塵埃容器13と二次塵埃容器49とを流体的に接続する。
塵埃移送管43は、二次塵埃容器49の吸込側に接続されている。二次電動送風機50が発生させる負圧は、二次塵埃容器49を介して塵埃移送管43に作用する。
塵埃移送管43は、電気掃除機3の一次塵埃容器13に接続される入口と、二次塵埃容器49に接続される出口と、を有している。塵埃移送管43は、台座41に配置される入口から後方へ延びて塵埃回収部42内に至り、塵埃回収部42内で屈曲しつつ上方へ延びて二次塵埃容器49の側方に配置される出口に至る。
充電端子46と塵埃移送管43の入口とは、台座41に併設されている。
管部取付部53は、塵埃回収部42の右側面(正面から向かって左側面)に設けられている。管部取付部53は、延長管27の保持突起27aに適合する形状を有している。管部取付部53は、保持突起27aを介して延長管27を立てた状態で保持する(収納する)。
なお、管部取付部53は、電気掃除機3の掃除機本体7に設けられていても良い。この場合、掃除機本体7は、保持突起27aを介して延長管27を立てた状態で保持する(収納する)。
装着検知器45は、例えば台座41に設けられる第一装着検知器45aと、管部取付部53に設けられる第二装着検知器45bと、を備えている。第一装着検知器45aは、掃除機本体7がステーション2に連結されたこと、換言すると掃除機本体7がステーション2に装着されたこと、もしくは掃除機本体7が台座41に置かれたことを検知する。第二装着検知器45bは、電気掃除機3の管部8がステーション2に装着されたことを検知する。なお、管部取付部53が掃除機本体7に設けられている場合には、第二装着検知器45bは、電気掃除機3の管部8が掃除機本体7に装着されたことを検知する。複数の装着検知器45は、所謂マイクロスイッチである。つまり、第一装着検知器45aは、掃除機本体7がステーション2に連結されると、掃除機本体7に押し込まれてこれを検知する。第二装着検知器45bは、電気掃除機3の管部8がステーション2または掃除機本体7に装着されると、管部8に押し込まれてこれを検知する。
電気掃除機3がステーション2に連結される(装着される、置かれる)と、電気掃除機3の充電電極19は、ステーション2の充電端子46に電気的に接続され、かつステーション2の塵埃移送管43は、一次塵埃容器13に接続される。この後、ステーション2は、電気掃除機3の二次電池17の充電を開始する。また、ステーション2は、二次電動送風機50を適時に始動する。始動した二次電動送風機50は、二次塵埃容器49から空気を吸込み、二次塵埃容器49内を負圧にする。
二次塵埃容器49内の負圧は、塵埃移送管43を通じて一次塵埃容器13に作用する。ステーション2は、一次塵埃容器13に作用する負圧によって、一次塵埃容器13に蓄積された塵埃を空気とともに吸い込む。二次塵埃容器49は、吸い込まれた空気から塵埃を分離し、捕集し、蓄積する一方で、塵埃が分離された空気を二次電動送風機50へ送る。二次電動送風機50は、二次塵埃容器49から吸い込んだ清浄な空気をステーション2外へ排気する。
なお、電気掃除装置1は、電気掃除機3の一次塵埃容器13と一次電動送風機15とを接続する風路を機械的に切り替えてステーション2の二次塵埃容器49と電気掃除機3の一次塵埃容器13とを接続し、一次塵埃容器13を運転することによって電気掃除機3の一次塵埃容器13からステーション2の二次塵埃容器49へ塵埃を移送するものであっても良い。この場合、電気掃除機3の一次塵埃容器13と一次電動送風機15とを接続する風路を、ステーション2の二次塵埃容器49と電気掃除機3の一次塵埃容器13とを接続する風路に切り替える時宜は、塵埃の移送のための一次電動送風機15の運転の直前が好ましい。ステーション2の二次塵埃容器49と電気掃除機3の一次塵埃容器13とを接続する風路を、電気掃除機3の一次塵埃容器13と一次電動送風機15とを接続する風路に切り替える時宜は、塵埃の移送のための一次電動送風機15の運転の直後が好ましい。
次に、本実施形態に係る電気掃除機3の掃除機本体7について詳細に説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る電気掃除装置の掃除機本体の平断面図である。
図4は、本発明の実施形態に係る電気掃除装置の掃除機本体の縦断面図である。
なお、図3に示す掃除機本体7の平断面は、電気掃除装置1の収納形態における正面に実質的に平行な面における断面に相当する。図3には、管部8の接続管21が掃除機本体7から取り外された状態が示されている。図4には、接続管21が掃除機本体7に取り付けられた状態が示されている。
図3および図4に示すように、本発明の実施形態に係る電気掃除装置1の掃除機本体7は、本体ケース11の幅方向に横臥させた筒形の後半部と、平面視において筒形の後半部から前方に向けて弧状に膨出する前半部と、を有する本体ケース11を備えている。本体ケース11の背面は、側面視において円弧形を有している。
本体接続口18は、本体ケース11の幅方向の実質的な中央、かつ高さ方向の実質的な中央を通る線(以下、中心線Cと呼ぶ。)に沿って延び、一次塵埃容器13に達している。図3および図4は、この中心線Cを通る断面図である。
本体接続口18に接続される接続管21は、把手55を備えている。把手55は、電気掃除機3の収納姿勢(図1)でその重心位置よりも上方に配置されている。把手55は、電気掃除機3の進行方向前側に傾斜部55aを備えている。なお、電気掃除機3の進行方向前側は、収納姿勢における掃除機本体7の上側、かつ使用姿勢における掃除機本体7の正面側に相当する。把手55は、本体把手14から見て掃除機本体7の反対側(裏面側)に配置されている。換言すると、本体把手14は、把手55から見て掃除機本体7の反対側(表面側)に配置されている。
それぞれの車輪12は、本体ケース11の筒形の後半部の左右それぞれの端部に配置されている。また、それぞれの車輪12は、本体ケース11の筒形の後半部に同心状に配置されている。車輪12の直径は、本体ケース11の上下方向の寸法、つまり高さ(筒形の後半部の直径に相当する)よりも大きい。また、掃除機本体7の側面視、つまり車輪12の回転中心線方向視において、車輪12は、本体ケース11の背面を覆い隠す。そのため、掃除機本体7は、本体ケース11の上下(表裏)を反転した状態であっても、本体ケース11の上下を反転させる過程であっても、車輪12を被掃除面に接地させることができる。本体ケース11は、背面を被掃除面に干渉させることなく、車輪12の回転中心線を中心に本体ケース11の上下(表裏)を反転させることができる。掃除機本体7には、表側を上方に向けた掃除機本体7を車輪12とともに支える走行輪としての補助輪12aが設けられている。接続管21には、裏側を上方に向けた掃除機本体7を車輪12とともに支える走行輪としての補助輪12bが設けられている。
補助輪12bは、把手55に設けられている。補助輪12bと把手55との間には、衝撃を緩衝するサスペンション機構56が設けられている。
なお、掃除機本体7の上下(表裏)の区別は、説明の便宜のためにある。電気掃除機3は、表側を上方へ向けていても、裏側を上方へ向けていても同様に掃除に使用することができる。また、掃除機本体7は、車輪12の回転中心線を中心に本体ケース11の上下(表裏)を反転させることができるため、その正面を上方に向けた収納姿勢で実質的に自立できない。
ここで、把手55のある側を被掃除面に向けて使用する使用姿勢を第一使用姿勢と呼び、把手55から見て反対側、つまり本体把手14を被掃除面に向けて使用する使用姿勢を第二使用姿勢と呼ぶ。一対の車輪12は、第一使用姿勢、および第二使用姿勢のいずれもで掃除機本体7を被掃除面に支える。換言すると、一対の車輪12は、掃除機本体7を車輪12の回転中心線まわりのどちらの方向へ倒していても、掃除機本体7を走行可能に支える。
二次電池17は、車輪12の回転中心線を挟んで本体接続口18の反対側、つまり本体ケース11の後端中央部に配置されている。つまり、二次電池17は、本体ケース11の筒形の後半部に収容されている。二次電池17は、本体ケース11の形状に倣って配置されている。つまり、二次電池17は、筒形の後半部の内面に倣って配置される円筒形の複数の素電池17aを有している。
二次電池17は、一対の車輪12の回転中心線を実質的な中心とする円弧形を有している。二次電池17の円弧形の中心は、一対の車輪12の回転中心線に直交する面において本体ケース11の中心線Cに直交する方向、つまり本体ケース11の高さ方向の寸法の中央部、具体的には実質的に半分の位置に配置されている。
ここで、本体ケース11の筒形の後半部の中心線、および車輪12の回転中心線は、実質的に同一線上にある。この線を中心とする、本体ケース11の筒形の後半部の内側を領域Aと呼ぶ。車輪12は、領域Aを避けている。つまり、車輪12は、領域Aよりも大きい内径を有する円環形を有している。また、一対の車輪12は、領域Aを間に挟んでいる。
一次塵埃容器13および一次電動送風機15は、領域A内に配置され、かつ本体ケース11の幅方向に並べられている。一次塵埃容器13は、領域Aのうち中央部から一方の車輪12(例えば掃除機本体7をステーション2に連結した状態において右側の車輪12)に達する領域A1に配置されている。一次電動送風機15は、領域Aのうち他方の車輪12(例えば掃除機本体7をステーション2に連結した状態において左側の車輪12)に偏倚する領域A2に配置されている。
二次電池17も、領域A内に配置されている。
本体ケース11は、一次塵埃容器13を着脱可能に収容する塵埃容器室57と、一次電動送風機15を収容する電動送風機室58と、を有している。塵埃容器室57は、領域A1を占めている。電動送風機室58は、領域A2を占めている。
一次電動送風機15は、電動送風機室58に収容されている。一次電動送風機15の吸込口は、塵埃容器室57に向けられている。
塵埃容器室57は、一次塵埃容器13の形状に準じる筒形の塵埃容器配置空間を区画している。つまり、塵埃容器室57を区画する本体ケース11の壁面は、塵埃容器配置空間を囲む壁面である。塵埃容器室57は、本体ケース11の側方へ向かって開放されている。換言すると、塵埃容器室57は、本体ケース11の側面に配置される塵埃容器挿抜口57aを有している。塵埃容器挿抜口57aの開口径は、環状の車輪12の内径よりも小さい。塵埃容器挿抜口57aは、掃除機本体7の側面視において、環状の車輪12の内側に配置されている。
なお、塵埃容器室57は、一次塵埃容器13を露出させる適宜の開口を有していても良い。塵埃容器室57は、一次塵埃容器13の全体を収容するものに限らず、一次塵埃容器13の一部を収容するものであっても良い。つまり、塵埃容器配置空間は、塵埃容器挿抜口57a以外の開口を通じてケース11の外側に通じていても良い。塵埃容器挿抜口57aは、一次塵埃容器13の端面に連接していなくても良い。
一次塵埃容器13は、車輪12の内径よりも小さい外径を有する筒形の外観を有している。一次塵埃容器13は、塵埃容器室57に収容可能であり、かつ挿抜可能である。一次塵埃容器13は、塵埃容器挿抜口57aを通じて塵埃容器室57に挿抜される。つまり、一次塵埃容器13は、掃除機本体7の幅方向に挿抜される。これによって、一次塵埃容器13は、掃除機本体7に着脱される。
把手55は、使用者が把持可能な太さと、掃除機本体7の前後方向へ延びる長さと、を有している。把手55は、実質的に本体接続口18の中心線、または掃除機本体7の中心線Cに平行に延びている。
塵埃容器室57には、塵埃容器室57に収容された一次塵埃容器13を塵埃容器室57の外へ押し出す力を発生させる押出力発生部59と、塵埃容器室57に収容される一次塵埃容器13の移動を案内する容器補助転60と、が設けられている。
押出力発生部59は、塵埃容器室57が区画する塵埃容器配置空間に配置された一次塵埃容器13を塵埃容器配置空間から押し出す力を発生させている。押出力発生部59は、いわゆるプッシュロッドである。押出力発生部59は、一次塵埃容器13に接するロッド部59aと、ロッド部59aに一次塵埃容器13を塵埃容器室57の外へ押し出す力を作用させるコイルばね59bと、を備えている。押出力発生部59は、一次塵埃容器13に設けられていても良い。
容器補助転60は、一次塵埃容器13の外面の適宜の箇所に接して本体ケース11に挿抜される一次塵埃容器13の移動を補助する。容器補助転60は、一次塵埃容器13を部分的に挟み込むように、複数設けられている。容器補助転60は、一次塵埃容器13に設けられていても良い。
容器補助転60は、本体ケース11の内部、つまり塵埃容器室57内に回転可能に設けられている。複数の容器補助転60は、一次塵埃容器13の移動方向、つまり塵埃容器室57への挿抜方向に交差する方向において、一次塵埃容器13を挟んで対向する対を複数含んでいる。一次塵埃容器13は、容器補助転60によって案内され、掃除機本体7から円滑に出し入れされ、換言すると、塵埃容器室57から円滑に挿抜される。一次塵埃容器13は、大まかには円筒形である(図5、図6参照)。複数の容器補助転60は、一次塵埃容器13の径方向において対向する対を含む。そのため、一次塵埃容器13は、掃除機本体7から取り出す際に一次塵埃容器13が挿抜方向に対して傾いて塵埃容器室57に引っ掛かってしまうことが抑止される。
なお、一次塵埃容器13は、詳しくは円筒形を部分的に切り欠いた形状部を有している。この一次塵埃容器13の切欠き形状部を挟むように容器補助転60を設けることもできる。本実施形態に係る容器補助転60は、風路66a、66bを区画する壁を挟み込む位置に設けられている。
電気掃除機3は、塵埃容器室57に収容された一次塵埃容器13を着脱自在に固定する容器ロック機構61を備えている。容器ロック機構61は、押出力発生部59によって押し出される一次塵埃容器13の移動方向とは異なる方向へ移動可能な複数の爪部62と、複数の爪部62のそれぞれを引っ掛ける複数の爪受け部63と、を備えている。
複数の爪部62は、一次塵埃容器13に設けられている。複数の爪受け部63は、本体ケース11に設けられている。爪受け部63は、凹没している。なお、複数の爪部62が本体ケース11に設けられ、複数の爪受け部63が一次塵埃容器13に設けられていても良い。換言すると、複数の爪部62は、本体ケース11および一次塵埃容器13のいずれか一方に設けられていれば良く、複数の爪受け部63は、本体ケース11および一次塵埃容器13のいずれか他方に設けられていれば良い。
次に、一次塵埃容器13について説明する。
図5は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の一次塵埃容器の斜視図である。
図6は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の一次塵埃容器の側面図である。
図7は、図6のVII-VII線における本発明の実施形態に係る電気掃除機の一次塵埃容器の断面図である。
図3および図4に加え、図5から図7に示すように、本実施形態に係る電気掃除機3の一次塵埃容器13は、電気掃除機3に吸い込まれる塵埃を蓄積する。一次塵埃容器13は、一次電動送風機15が発生させる負圧によって吸い込まれる、塵埃を含んだ空気から塵埃を分離する分離部64と、分離部64で分離された塵埃を蓄積する集塵部65と、集塵部65から流出する空気を一次電動送風機15へ導く連絡風路66と、脚67と、を備えている。
分離部64は、本体接続口18に接続されている。分離部64は、塵埃を含む空気を直進させて塵埃および空気に作用する慣性力の差で空気から塵埃のうち比較的重い塵埃を分離させる第一分離部68と、第一分離部68を通過する比較的軽い塵埃を含む空気から塵埃を分離させる第二分離部としてのフィルタ部69と、を備えている。
集塵部65は、分離部64および連絡風路66に併設されている。集塵部65は、分離部64で分離される塵埃のうち比較的重い塵埃を蓄積する粗塵集塵室71と、フィルタ部69を収容するフィルタ室72と、を備えている。
なお、第一分離部68で分離される比較的重い塵埃を、粗塵と呼ぶ。つまり、第一分離部68は、電気掃除機3に吸い込まれる、塵埃を含んだ空気から粗い塵埃を分離する。粗塵集塵室71は、第一分離部68で分離された粗い塵埃を蓄積する第一集塵室である。フィルタ部69で分離される比較的軽い塵埃を、細塵と呼ぶ。つまり、フィルタ部69は、第一分離部68を通過する空気から細かい塵埃を分離する。フィルタ室72は、フィルタ部69で分離された細かい塵埃を蓄積する第二集塵室である。粗塵集塵室71、およびフィルタ室72を一括して集塵室73と呼ぶ。
本体接続口18から一次塵埃容器13に流れ込む含塵空気は、第一分離部68で粗塵とそれ以外(細塵を含んだ空気)とに分離される。分離された粗塵は、粗塵集塵室71に蓄積される。第一分離部68で分離された細塵を含む空気は、フィルタ室72に流れ込む。粗塵集塵室71に流れ込んだ空気も、フィルタ室72に流れ込む。フィルタ室72に流れ込んだ細塵を含む空気は、フィルタ部69で細塵と空気とに分離される。分離された細塵は、フィルタ部69に捕捉され、フィルタ室72に蓄積される。フィルタ部69を通過した清浄な空気は、連絡風路66を経て一次電動送風機15に吸い込まれる。
第一分離部68は、本体接続口18に接続されるノズル部75と、ノズル部75を内包する円錐台形の一次フィルタ枠体76と、第一メッシュフィルタ77と、を備えている。
ノズル部75は、一次塵埃容器13の外殻に相当する容器本体78の吸込口78aから容器本体78内に延びている。
一次フィルタ枠体76は、容器本体78の内面に設けられている。一次フィルタ枠体76は、一次塵埃容器13が本体ケース11に装着された状態で、本体接続口18の中心線、つまり実質的に掃除機本体7の中心線Cに沿ってテーパ状に延びている。大径の底部は容器本体78の内面に接し、小径の底部は集塵部65の粗塵集塵室71に接続される粗塵吐出口79を有している。大径の底部の直径は、吸込口78aの開口径よりも大きい。粗塵吐出口79の中心線は、実質的に吸込口78aの中心線に沿い、実質的に本体接続口18の中心線に沿っている。粗塵吐出口79は、集塵室73の入口に相当する。
第一メッシュフィルタ77は、一次フィルタ枠体76の側面に設けられている。第一メッシュフィルタ77の外側には、フィルタ室72に接続される中継風路81が区画されている。
第一分離部68は、第一メッシュフィルタ77を通じて一次電動送風機15に吸い込まれる空気の流れ、および粗塵吐出口79を通じて一次電動送風機15に吸い込まれる空気の流れによって負圧になる。
粗塵集塵室71は、第一分離部68で分離される、比較的重い塵埃を蓄積する。粗塵集塵室71は、一次電動送風機15に吸い込まれる空気の風路の一部である。粗塵集塵室71は、第一分離部68の粗塵吐出口79に繋げられている。粗塵集塵室71は、フィルタ室72にも繋げられている。粗塵集塵室71は、本体接続口18の中心線上、つまり実質的に掃除機本体7の中心線C上に配置されている。
また、粗塵集塵室71とフィルタ部69が収容されるフィルタ室72との間には、複数の粗塵集塵室出口82を有する隔壁83が設けられている。隔壁83は、集塵室73の壁の一部である。隔壁83の粗塵集塵室出口82には、第二メッシュフィルタ84が設けられている。粗塵集塵室71は、塵埃を含んだ空気を第二メッシュフィルタ84へ導く上流側風路である。
さらに、粗塵集塵室71は、一次電動送風機15から遠ざかる方向、換言すると、フィルタ部69に近づく方向へ拡張されている。つまり、粗塵集塵室71は、第二メッシュフィルタ84の近傍に風路断面積が急激に拡大する拡張部85を有している。複数の粗塵集塵室出口82を有する隔壁83は、拡張部85とフィルタ室72との間に設けられている。
第二メッシュフィルタ84は、負圧によって粗塵集塵室71に吸い込まれる、粗塵を含んだ空気から塵埃を濾過分離する。第二メッシュフィルタ84は、粗塵が粗塵集塵室71からフィルタ室72へ流出することを防いでいる。第二メッシュフィルタ84は、それを通過する空気の流れによって粗塵集塵室71に蓄積された塵埃を圧縮する。第二メッシュフィルタ84は、第一メッシュフィルタ77と実質的に同じ網目を有している。仮に、第一分離部68で分離されず、粗塵集塵室71に流れ込んだ細塵は、第二メッシュフィルタ84を通過してフィルタ室72に流れ込み、または粗塵集塵室71内でフィルタのように圧縮された粗塵によって捕捉される。
フィルタ部69は、一次電動送風機15が発生させる負圧によって吸い込まれる、塵埃を含んだ空気(含塵空気)から塵埃、特に第一分離部68を通過する細塵を濾過分離する。フィルタ部69は、対面する一対のフィルタ86、87と、一対のフィルタ86、87の形状を維持して支える二次フィルタ枠体88と、を備えている。
一対のフィルタ86、87は、下流側の面を対面させている。それぞれのフィルタ86、87は、一次塵埃容器13に吸い込まれる、塵埃を含んだ空気から塵埃を濾過分離する。フィルタ86、87の網の目は、第一分離部68の第一メッシュフィルタ77、および粗塵集塵室71の第二メッシュフィルタ84よりも細かい。フィルタ86、87は、例えば不織布である。フィルタ86、87に捕捉される細塵には、第一メッシュフィルタ77、および第二メッシュフィルタ84を通過可能な塵埃が含まれている。
フィルタ86、87の一方(フィルタ86)はフィルタ室72に流入する空気に直接的に晒され、フィルタ86、87の他方(フィルタ87)は、フィルタ86、87の一方(フィルタ86)を回り込んだ空気に晒される。つまり、フィルタ86は、第一分離部68とフィルタ部69とを繋ぐ中継風路81を臨み、かつ粗塵集塵室71とフィルタ室72とを繋ぐ粗塵集塵室出口82を臨んでいる。フィルタ87は、フィルタ86に隠れ、中継風路81および粗塵集塵室出口82から見通すことができない箇所に配置されている。
一対のフィルタ86、87は、実質的に同じ広さ(間隔)、かつ同じ深さの折り目(稜線86a、87a)を有するプリーツフィルタである。
なお、中継風路81および粗塵集塵室出口82を臨むフィルタ86は、フィルタ87に比べて広く浅い折り目を有していても良い。フィルタ86が中継風路81および粗塵集塵室出口82を臨んでいるため、第一分離部68を通過する塵埃、および粗塵集塵室71から流出する塵埃、つまり細塵は、先ずフィルタ86に吹き掛かる。そして、フィルタ86は細塵を捕捉して徐々に目詰まりを生じる。フィルタ86が詰まるにしたがって、中継風路81および粗塵集塵室出口82からフィルタ86に吹き掛かる細塵は、フィルタ87へ回り込むようになる。そうすると、フィルタ87の目詰まりも始まる。つまり、フィルタ87に比べてフィルタ86の方が目詰まりし易い。換言すると、塵埃は、フィルタ87に比べてフィルタ86の方に付着し易い。したがって、フィルタ86の折り目をフィルタ87に比べて広く浅くしておくことで、より塵埃が付着しやすいフィルタ86から容易に塵埃を除去できる。
フィルタ86、87は、付着した塵埃を除去しやすいように、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE、いわゆるテフロン(登録商標))の膜を上流側の面に有するものであっても良い。また、フィルタ87に比べて目詰まりしやすいフィルタ86のみが、ポリテトラフルオロエチレンの膜を上流側の面に有するものであっても良い。
フィルタ86、87は、電気掃除装置1の収納形態において、上下方向(鉛直方向)に延びる稜線86a、87a(折り目)を有している。換言すると、フィルタ86、87の稜線86a、87aは、掃除機本体7の前後方向に延びている。フィルタ86、87は、折り目に交差する端面が開放されている。
なお、フィルタ86、87の開放端面は、フィルタ86、87の端面形状に沿って山と谷とを有するジグザク形であっても良いし、隣り合う山と山との間に通風孔(図示省略)を有する板形の枠を介在させるものであっても良い。
二次フィルタ枠体88は、一対のフィルタ86、87を対面させ、かつ離間させて支持している。二次フィルタ枠体88、および一対のフィルタ86、87で区画される空間は、フィルタ部69の下流側の風路に相当する。このフィルタ部69の内部空間は、連絡風路66に繋げられている。二次フィルタ枠体88は、フィルタ86の両側に配置され、連絡風路66に接続される二次フィルタ出口89を有している。二次フィルタ出口89は、フィルタ86、87を通過した空気を連絡風路66へ流出させる。
フィルタ室72は、粗塵集塵室71に隣接している。フィルタ室72は、濾過分離によってフィルタ部69に捕捉される細塵を蓄積する細塵集塵室として機能する。第一メッシュフィルタ77および第二メッシュフィルタ84を通過する細塵は、より網目の細かい一対のフィルタ86、87によって捕捉され、フィルタ室72に蓄積される。つまり、集塵室73(粗塵集塵室71、およびフィルタ室72)は、フィルタ86、87よりも上流側に配置されている。
フィルタ室72は、一次電動送風機15に吸い込まれる空気の風路の一部である。フィルタ室72は、中継風路81に繋げられている。フィルタ室72は、粗塵集塵室71にも繋げられている。
連絡風路66は、分離部64から流出する空気を一次電動送風機15へ導く複数の風路66a、66bである。つまり、連絡風路66は、複数に分岐して一次電動送風機15に達している。連絡風路66は、例えば2つの風路66a、66bに分かれている。複数、例えば2つの風路66a、66bは、分離部64へ空気を導く吸込口78aを間に挟んでいる。2つの風路66a、66bは、それぞれの風路断面積Sが実質的に等しい。2つの風路66a、66bは、一次電動送風機15のファンの回転中心線を含む面について面対称な形状を有している。換言すると、複数の風路66a、66bは、第一メッシュフィルタ77、第二メッシュフィルタ84、およびフィルタ部69の中央よりも縁側に偏倚して相互に離間している。2つの風路66a、66bは、一次電動送風機15に接続される連絡風路66の端部で集合し、合流する。換言すると、2つの風路66a、66bは、連絡風路66の集合風路66cを介して一次電動送風機15に接続されている。なお、連絡風路66は、3つ以上に分岐していても良い。換言すると。連絡風路66は、第一メッシュフィルタ77、第二メッシュフィルタ84、およびフィルタ部69を通過する空気を一次電動送風機15へ導く複数の下流側風路である。
ノズル部75から第一分離部68へ流れ込む含塵空気のうち質量の比較的に大きい粗塵は、ノズル部75から粗塵吐出口79へ慣性力で直進し粗塵集塵室71へ送られる。粗塵吐出口79から粗塵集塵室71に流れ込む塵埃(粗塵)は、粗塵集塵室71に蓄積される。他方、ノズル部75から第一分離部68へ流れ込む含塵空気のうち質量の比較的に小さい細塵および空気は、ノズル部75から放射状に拡がって一次フィルタ枠体76の側面に設けられる第一メッシュフィルタ77を通過し、中継風路81を経てフィルタ室72に流れ込む。粗塵吐出口79から粗塵集塵室71に流れ込む塵埃(粗塵)とともに、空気の一部も粗塵集塵室71に流れ込む。粗塵集塵室71に流れ込んだ空気は、第二メッシュフィルタ84を通過し、フィルタ室72に流れ込む。第一メッシュフィルタ77または第二メッシュフィルタ84を通過してフィルタ室72へ流れ込む空気に含まれる細塵は、フィルタ部69で濾過分離され、一対のフィルタ86、87の表面に捕捉される。フィルタ86、87を通過する清浄な空気は、連絡風路66を介して一次電動送風機15に吸い込まれる。このとき、清浄な空気は、複数の風路66a、66bに一時的に分かれ、集合して一次電動送風機15に吸い込まれる。
容器本体78は、集塵室73、つまり粗塵集塵室71とフィルタ室72とを区画している。分離部64のうち第一分離部68、および連絡風路66は、フィルタ部69と一次電動送風機15との間に配置され、かつ相互に併設されている。換言すると、分離部64、連絡風路66、および一次電動送風機15は、この順に並んでいる。
一対の車輪12は、一次電動送風機15、分離部64(第一分離部68およびフィルタ部69)、集塵部65(粗塵集塵室71およびフィルタ室72)、および連絡風路66を間に挟んでいる。
第一分離部68は、本体ケース11の幅方向中央部に配置され、フィルタ部69は、本体ケースの一方の側部、例えば右側部に偏倚され、一次電動送風機15は、本体ケース11の他方の側部、例えば左側部に偏倚されている。
一次塵埃容器13は、電気掃除機3に吸い込まれる塵埃を蓄積する集塵室73を区画し、かつ集塵室73に蓄積された塵埃を廃棄する廃棄口91を有する容器本体78と、廃棄口91を開閉する廃棄蓋92と、を備えている。
また、一次塵埃容器13は、ステーション2の二次電動送風機50が発生させる負圧によって一次塵埃容器13を含む風路の外側から直接的に空気を導入する吸気口93と、吸気口93を開閉する吸気蓋94と、を備えている。
さらに、一次塵埃容器13は、フィルタ部69に付着した塵埃、つまりフィルタ86、87に付着した塵埃を除塵する除塵機構95と、除塵機構95の除塵動作と廃棄蓋92の開動作とを連動させる動力伝達機構96と、を備えている。
さらにまた、一次塵埃容器13は、集塵室73内に設けられ、廃棄口91に繋がる凹没部97を備えている。
一次塵埃容器13は、一次塵埃容器13に蓄積された塵埃を圧縮する塵埃圧縮機構98を備えていても良い。
容器本体78は、分離部64、つまり第一分離部68、およびフィルタ部69を収容している。容器本体78は、集塵室73、つまり粗塵集塵室71、およびフィルタ室72を区画している。また、容器本体78は、動力伝達機構96を収容する機械室99を区画している。容器本体78は、全体として筒形である。容器本体78は、筒形の中心線を本体ケース11の幅方向へ向けて領域A1に装着されている。
廃棄口91および吸気口93は、容器本体78の側面に設けられている。吸気蓋94と廃棄蓋92とは、一括して開閉される。廃棄口91は、掃除機本体7からステーション2へ塵埃を移動させる時を除いて廃棄蓋92によって閉じられている。吸気口93は、掃除機本体7からステーション2へ塵埃を移動させる時を除いて吸気蓋94によって閉じられている。
廃棄口91は、吸気口93から導入される空気とともに一次塵埃容器13に蓄積された塵埃を廃棄する。廃棄口91は、本体ケース11の後端部に配置されている。廃棄口91は、ステーション2と掃除機本体7とが接する部位に配置されている。つまり、廃棄口91は、本体ケース11の背面に配置されている。なお、本体ケース11の背面は、電気掃除装置1の収納形態(図2)において本体ケース11の最下端に位置する。廃棄口91は、電気掃除装置1の収納形態においてフィルタ部69の下方に配置される。また、廃棄口91は、電気掃除装置1の収納形態においてフィルタ部69の下方へ向かって開いている。
本体ケース11の後端部には、廃棄口91よりも大きい本体ケース廃棄口100が設けられている。本体ケース廃棄口100は、電気掃除装置1の収納形態においてステーション2の塵埃移送管43を通過させ、塵埃移送管43の入口を廃棄口91に接続させる。
廃棄口91は、粗塵集塵室71に繋がる粗塵廃棄口101と、フィルタ室72に繋がる細塵廃棄口102と、を含んでいる。粗塵廃棄口101は、粗塵集塵室71から粗塵を流出させる第一廃棄口である。細塵廃棄口102は、フィルタ室72から細塵を流出させる第二廃棄口である。粗塵廃棄口101および細塵廃棄口102は、本体ケース11の幅方向、つまり容器本体78の中心線方向に並んでいる。粗塵廃棄口101および細塵廃棄口102は、電気掃除機3がステーション2に連結された状態で下方へ向かって開いている。細塵廃棄口102は、粗塵廃棄口101よりも開口面積が小さい。換言すると、廃棄口91の開口面積に占める比率は、粗塵廃棄口101よりも細塵廃棄口102の方が小さい。粗塵集塵室71およびフィルタ室72は、隔壁83を共有し、隣接している。
廃棄蓋92および吸気蓋94は、容器本体78の側面の一部である。吸気蓋94は、筒形の容器本体78の周方向へ往復移動可能に設けられている。廃棄蓋92は、ヒンジ機構(図示省略)によって、容器本体78に支えられている。廃棄蓋92は、一次塵埃容器13の外側へ向かって開く外開き式である。廃棄蓋92は、粗塵廃棄口101および細塵廃棄口102を一括して開閉する。廃棄蓋92が開かれると、粗塵廃棄口101および細塵廃棄口102は、塵埃移送管43に一括して接続される。
粗塵廃棄口101および細塵廃棄口102の開口幅は、本体ケース11の周方向、つまり容器本体78の中心線方向に交差する方向へ実質的に等しく、本体ケース11の幅方向、つまり容器本体78の中心線方向へ粗塵廃棄口101の方が大きい。このような開口形状は、粗塵廃棄口101および細塵廃棄口102を一括して開閉する廃棄蓋92の形状の簡素化に寄与し、廃棄蓋92の開閉機構の簡素化にも寄与する。
なお、廃棄口91にはパッキン103が適宜に設けられている。パッキン103は一体成形品である。パッキン103は、廃棄蓋92と容器本体78との間に挟まり、粗塵廃棄口101および細塵廃棄口102を一括して密封する。
凹没部97は、容器本体78、隔壁83、および廃棄蓋92によって画定される窪みである。換言すると、容器本体78、隔壁83、および廃棄蓋92のそれぞれが凹没部97壁の一部を担っている。凹没部97は、集塵室73内の塵埃、具体的には粗塵集塵室71内の塵埃を納める。
吸気口93は、掃除機本体7外から、または本体ケース11内であって一次電動送風機15に繋がる風路の外側からフィルタ室72に空気を取り入れる入口である。吸気口93は、掃除機本体7からステーション2へ塵埃を移動させる際に、空気の流れを生じさせる吸込口である。
吸気口93は、容器本体78の周方向に見て廃棄口91から最も遠い箇所、つまり180度離れた箇所、換言すると容器本体78の中心線を対称線とする線対称位置に配置されている。つまり、吸気口93は、電気掃除装置1の収納形態(図1)においてフィルタ部69の上方に配置されている。換言すると、フィルタ86、87は、吸気口93と廃棄口91とに挟まれて配置されている。
また、吸気口93は、フィルタ86、87の上流側(一次電動送風機15が生じさせる流れの上流側)の風路に配置されている。
吸気口93から導入される空気は、フィルタ86、87に濾過される細塵と一次塵埃容器13に蓄積される粗塵とを一括して廃棄口91から流出させる。塵埃移送管43から細塵廃棄口102を通じてフィルタ室72に負圧が作用すると、吸気口93は、フィルタ86、87に空気を吹き掛ける。フィルタ86、87に吹き掛かった空気は、フィルタ86、87表面に捕捉された塵埃を吹き飛ばし、細塵廃棄口102へ案内する。フィルタ86、87は、除塵時、つまり電気掃除装置1の収納形態で上下方向に延びる稜線86a、87aを有し、また、折り目に交差する端面が開放されている。このため、フィルタ86、87に吹き掛けられた空気は、折り目に沿って流れやすく、また剥離した細塵を、折り目の端部から円滑に流出させることができる。
このとき、塵埃移送管43から粗塵廃棄口101を通じて粗塵集塵室71にも負圧が作用する。粗塵集塵室71は、フィルタ室72に直接的に、また第一分離部68を介してフィルタ室72に間接的に繋がっているため、吸気口93から流れ込む空気の一部は、粗塵集塵室71にも流れ込む。粗塵集塵室71に流れ込んだ空気は、粗塵集塵室71に蓄積された粗塵を粗塵廃棄口101から流出させる(廃棄させる)。
なお、本実施形態に係る吸気口93は、一次塵埃容器13の容器本体78に設けられ、フィルタ86、87よりも上流側の風路に配置されているが、フィルタ86、87の下流側(一次電動送風機15が生じさせる流れの下流側)の風路に設けられていても良い(図6に二点鎖線で示される吸気口93および吸気蓋94)。この場合、吸気口93は、フィルタ86、87から一次電動送風機15までの風路、例えば、連絡風路66に通じる。
容器ロック機構61は、一次塵埃容器13が掃除機本体7の塵埃容器室57に収容された状態において掃除機本体7の外部に露出する部分に操作部105を備えている。操作部105は、ロック機構61の解除操作の入力部である。操作部105は、爪部62を爪受け部63から離脱させる力を受け取る。
脚67は、粗塵吐出口79から粗塵集塵室71の拡張部85へ延びる容器本体78の塵埃案内面108の外側の面に設けられている。脚67は、塵埃案内面108の外側の面に沿う収納位置と、一次塵埃容器13を自立させる使用位置との間で揺動する。脚67は、一次塵埃容器13の把手としても利用できる。
脚67は、一次塵埃容器13が塵埃容器室57に収納された状態で押出力発生部59が発生させる一次塵埃容器13を押し出す力を受ける。脚67と一次塵埃容器13との間には、捻りばね(図示省略)が設けられている。この捻りばねは、一次塵埃容器13が塵埃容器室57から取り出され、脚67に外力が働かなくなった状態で、脚67を使用位置へ移動させる力を発生させている。
一次塵埃容器13が塵埃容器室57に収容される過程において、脚67は、塵埃容器室57の内壁面に案内されて使用姿勢から収容姿勢へと揺動する。一次塵埃容器13が塵埃容器室57に収容された状態では、収容姿勢の脚67の先端に押出力発生部59のロッド部59aが接触し、一次塵埃容器13に押し出す力が作用する。
一次塵埃容器13が塵埃容器室57に収容された状態で容器ロック機構61のロックが解除されると、押出力発生部59の押し出し力によって一次塵埃容器13は塵埃容器室57から押し出される。このとき脚67は、捻りばねのばね力によって塵埃容器室57の内壁面に倣いながら収容姿勢から使用姿勢へと揺動する。使用姿勢の脚67は、掃除機本体7から取り出された一次塵埃容器13を自立した状態(図6で数字が読める向きに見て左端部を下にした状態)で支える。
二次電池17は、粗塵集塵室71を囲んでいる。つまり、二次電池17に含まれる複数の素電池17aは、本体ケース11の筒形の後半部の内面に沿って配置され、粗塵集塵室71の周囲を囲んでいる。
塵埃圧縮機構98は、粗塵集塵室71に設けられている。塵埃圧縮機構98は、例えば粗塵集塵室71のいずれかの壁面との間に粗塵を挟み込んでこれを圧縮し、体積を減少させる。
次に、本実施形態に係る電気掃除機3の粗塵集塵室71について説明する。
図8は、本実施形態に係る電気掃除機の一次塵埃容器の分解斜視図である。
図8に示すように、本実施形態に係る電気掃除機3の一次塵埃容器13は、第一分離部68を含む第一半体13aと、フィルタ部69を含む第二半体13bと、第一半体13aを第二半体13bに固定するロック機構107と、を備えている。
そして、図3に加えて図8に示すように、本実施形態に係る電気掃除機3の粗塵集塵室71は、集塵室73の入口としての粗塵吐出口79から凹没部97へ塵埃を案内する塵埃案内面108を備えている。
塵埃案内面108は、粗塵吐出口79の開口方向、つまり掃除機本体7の中心線Cに交差する斜面である。塵埃案内面108は、粗塵吐出口79から凹没部97へ向かって実質的に平面状に延びている。塵埃案内面108は、空気の流れが粗塵吐出口79から凹没部97へ向かうように案内する風路の一部分である。掃除機本体7に吸い込まれた粗塵の大部分は粗塵吐出口79を通過して粗塵集塵室71に流れ込む。塵埃案内面108は、粗塵吐出口79を通過して粗塵集塵室71に流れ込む、塵埃を含む空気の流れを斜めに誘導する。
凹没部97は、隔壁83に設けられてフィルタ部69へ向かって窪んでいる第一部位97aと、粗塵集塵室71から廃棄蓋92へ向かって一次塵埃容器13の径方向外側へ向かって窪んでいる第二部位97bと、を含んでいる。第一部位97aおよび第二部位97bは繋がっている。第一部位97aの壁面は、第二部位97bへ向かって滑らかな局面を描く。換言すると、隔壁83は、粗塵集塵室71からフィルタ室72へと向かう空気の流れの下流側に向かって窪んだ部分を有している。この窪んだ部分が第一部位97aである。また、粗塵集塵室71の内壁は、廃棄口91に向かって窪んだ部分を有している。この窪んだ部分が第二部位97bである。凹没部97は、互いに異なる方向に窪み、かつ相互に繋がる第一部位97aと第二部位97bを含んでいる。
粗塵集塵室出口82は、凹没部97の壁に設けられる下段側粗塵集塵室出口82aと、凹没部97の壁から離間されて集塵室73の壁に設けられる上段側粗塵集塵室出口82bと、を含んでいる。下段側粗塵集塵室出口82aは、もっぱら凹没部97から空気を流出させる第一集塵室出口である。上段側粗塵集塵室出口82bは、粗塵集塵室71のうち、もっぱら凹没部97以外の部位から空気を流出させる第二集塵室出口である。下段側粗塵集塵室出口82aは、凹没部97へ向かう塵埃案内面108に近く、上段側粗塵集塵室出口82bは、塵埃案内面108との間に凹没部97を間に挟み、下段側粗塵集塵室出口82aよりも塵埃案内面108から遠い。
第二メッシュフィルタ84は、下段側粗塵集塵室出口82aに設けられる下段側第二メッシュフィルタ84aと、上段側粗塵集塵室出口82bに設けられる上段側第二メッシュフィルタ84bと、を含んでいる。
下段側粗塵集塵室出口82aは、凹没部97の壁面の1つに設けられている。下段側粗塵集塵室出口82aは、凹没部97の壁面の幅方向に並ぶ複数の開口82cを含んでいる。下段側粗塵集塵室出口82aは、粗塵集塵室71とフィルタ室72とを隔てる隔壁83のうち、フィルタ室72に向かって窪む部分、すなわち第一部位97aに設けられている。複数の開口82cは、凹没部97の壁面の全幅に渡って並んでいる。
上段側粗塵集塵室出口82bは、隔壁83の壁の幅方向に並ぶ複数の開口82dを含んでいる。上段側粗塵集塵室出口82bは、凹没部97を隔てて塵埃案内面108から離間している。上段側粗塵集塵室出口82bは、凹没部97よりも広い範囲に設けられている。複数の開口82dは、隔壁83の全幅に渡って設けられている。
集塵室73の壁の一部である隔壁83のうち、塵埃案内面108から凹没部97へ向かう塵埃の流れの向きに見て、凹没部97の両側方部分83aは、否開口の壁面を有している。
フィルタ部69は、粗塵集塵室出口82、つまり下段側粗塵集塵室出口82a、および上段側粗塵集塵室出口82bから流れ出る空気から細塵を濾過分離して清浄な空気を連絡風路66へ流出させる。
第一分離部68の粗塵吐出口79から粗塵集塵室71に流れ込む、塵埃を含んだ空気は、粗塵吐出口79から直進して塵埃案内面108に吹き掛かる。塵埃案内面108に達した、塵埃を含んだ空気は、塵埃案内面108に沿うように流れて凹没部97へ向かう。粗塵集塵室71に流れ込んだ空気は、下段側粗塵集塵室出口82aへ吸い込まれる一方、上段側粗塵集塵室出口82bへも吸い込まれる。そして、粗塵集塵室71内における空気の拡がり、および分岐、換言すると粗塵集塵室71内の流れ場は、空気に含まれる粗塵のうち、比較的に質量の大きい塵埃(大質量粗塵)を、その慣性力で塵埃案内面108に沿うように直進させる一方、質量の小さい粗塵(小質量粗塵)を上段側粗塵集塵室出口82bへ押し流す。そのため、大質量粗塵は、主に塵埃案内面108の先に配置される凹没部97に納まる一方、小質量塵埃は、主に上段側第二メッシュフィルタ84bに捕捉される。
次に、本実施形態に係る電気掃除機3の除塵機構95について説明する。
図9は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の除塵機構の斜視図である。
図9に示すように、本実施形態に係る電気掃除機3の除塵機構95は、一対のフィルタ86、87の間に配置されている。換言すると、除塵機構95は、フィルタ部69の内部空間に配置されている。除塵機構95は、一対のフィルタ86、87を一括して除塵する。
除塵機構95は、連結された複数のラック111を含む被動部112と、一方向に回転しながら複数のラック111に順次に噛み合って予め定められる軌道に沿って被動部112を移動させる歯車113と、を備えている。
被動部112は、ラック111に加えて複数のラック111を一体に連結させるフレーム115と、ラック111の移動方向を規定する機構、例えばスライダ116と、それぞれのフィルタ86、87に接する除塵子117と、を備えている。
本実施形態の複数のラック111は、平行に配置される一対のラック111である。被動部112は、歯車113を一対のラック111に交互に噛み合わせて往復運動する。
フレーム115は、一対のラック111のそれぞれの端部を繋いでいる。一対のラック111とフレーム115とは、全体で矩形を描いている。
スライダ116は、ラック111の孔111aと、孔111aに挿し通され、かつフィルタ部69の二次フィルタ枠体88に固定される棒状のレール118と、を有している。スライダ116は、例えばフレーム115やラック111に設ける長穴と、長穴に挿し通され、二次フィルタ枠体88に固定されるビスやリベットなどのピン部材と、を有するものであっても良い。
歯車113は、フィルタ部69の中央部に配置されている。換言すると、歯車113は、一対のフィルタ86、87の間に挟まれ、かつフィルタ86、87の投影面の中央部に配置されている。
歯車113の歯113aは、部分的に設けられている。換言すると、歯車113は、部分的に歯113aが無い。歯車113の歯113aは、歯車113が1回転する過程で、複数のラック111に順次に噛み合う。歯車113の歯113aは、2つ以上のラック111に同時に噛み合うことのない範囲(歯数)に限定されている。
さらに詳細に説明すると、ラック111の歯111bは、歯車113の歯113aよりも1つ多い。つまり、ラック111の歯111bと歯111bとの間の溝は、歯車113の歯113aと同数ある。例えば、歯車113の歯113aは4つ、ラック111の歯111bは5つある。一対のラック111の溝の底から溝の底までの距離は、歯車113の最外径よりも若干大きい。この差(隙間)は、歯車113の歯113aとラック111の歯111bとの噛み合いと、抜け出しの円滑を図る。
部分的に歯113aのない歯車113が半回転するうち、歯113aはいずれか一方のラック111に噛み合い、被動部112を往路で移動させる。歯車113の回転が進む(約180度進む)と、歯113aは、一方のラック111から抜け出し、他方のラック111に噛み合い、被動部112を復路で移動させる。なお、歯車113は、被動部112の往路と復路との間で、一時的に歯113aをいずれのラック111にもかみ合わせていない期間があってもよい。
なお、3つ以上のラック111を有する除塵機構95は、ラック111の移動方向を規定するスライダ116以外の機構と、歯を全周に有する歯車113と、を備えていても良い。3つ以上のラック111を有する除塵機構95は、被動部112を軌道上で一巡させるにあたり、歯車113を1回転以上させるものであっても良い。
次に、本実施形態に係る電気掃除機3の動力伝達機構96について説明する。
図10から図13は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の動力伝達機構の図である。
図10および図12には、動力伝達機構96によって廃棄蓋92および吸気蓋94が閉鎖されている状態が示されている。図11および図13には、動力伝達機構96によって廃棄蓋92および吸気蓋94が開放されている状態が示されている。また、図12および図13には、第二歯車132を省いた動力伝達機構96が示されている。
図3および図5に加えて、図10から図13に示すように、本実施形態に係る電気掃除機3の動力伝達機構96は、ステーション2から除塵機構95、廃棄蓋92、および吸気蓋94の駆動力を受け、除塵機構95、廃棄蓋92、および吸気蓋94のそれぞれへ分配し、伝達する。なお、動力伝達機構96を介してステーション2から駆動力を得るこれら除塵機構95、廃棄蓋92、および吸気蓋94を、一括して従動機構120と呼ぶ。従動機構120は、ステーション2から駆動力を利用して電気掃除機3の一次塵埃容器13からステーション2の二次塵埃容器49へ塵埃を移し換えることが可能な状態と、電気掃除機3を使用できる状態と、に状態を変化させる。
動力伝達機構96は、継手半体121と、継手半体121から除塵機構95へ駆動力を伝達する第一伝達機構126と、継手半体121から廃棄蓋92へ駆動力を伝達する第二伝達機構127と、継手半体121から吸気蓋94へ駆動力を伝達する第三伝達機構128と、を備えている。
動力伝達機構96は、ステーション2から受け取る駆動力を塵埃圧縮機構98へも分配する。
継手半体121は、回転駆動力を伝達する軸継手129の一部である。継手半体121は、ステーション2の継手半体122に連結される。
第一伝達機構126は、継手半体121に入力される駆動力を常に除塵機構95の歯車113へ伝達する。第一伝達機構126は、継手半体121に入力される回転駆動力を単純に伝達して歯車113を回転させる。つまり、第一伝達機構126は、継手半体121が正転していれば歯車113を逆転させ、継手半体121が逆転していれば歯車113を正転させる。
第一伝達機構126は、継手半体121に回転一体の第一歯車131と、第一歯車131に噛み合わされた大径の第二歯車132と、を備えている。第二歯車132は、フィルタ部69の二次フィルタ枠体88を貫き、除塵機構95の歯車113に回転一体の軸133によって、回転可能に支えられている。つまり、第二歯車132と除塵機構95の歯車113とは回転一体である。第一歯車131に比べて第二歯車132の方が大きいため、フィルタ86、87を弾いたり、変形させたりしながら動作する除塵機構95をより小さい出力のモータ(後述するステーション2の駆動源169)で駆動させることができる。
第二伝達機構127は、継手半体121に入力される駆動力によって廃棄蓋92を開閉させる。第三伝達機構128は、継手半体121に入力される駆動力によって吸気蓋94を開閉させる。吸気蓋94と廃棄蓋92とが一括して開閉される。換言すると、第二伝達機構127が廃棄蓋92を開くとき、第三伝達機構128も吸気蓋94を開く。また、第二伝達機構127が廃棄蓋92を閉じるとき、第三伝達機構128も吸気蓋94を閉じる。
第三伝達機構128は、第一伝達機構126と共有する第一歯車131と、円弧状に配置され第一歯車131に噛み合わされる歯134aを有するレバー部134と、レバー部134の揺動を案内するガイド部135と、レバー部134の揺動範囲を規定する一対のストッパ136と、を備えている。
レバー部134は、第二歯車132の回転中心に一致する揺動中心を有している。つまり、レバー部134は、第二歯車132を回転可能に支える軸によって、第二歯車132とともに支えられている。レバー部134は、吸気蓋94に直結されている。
ガイド部135は、容器本体78に設けられる溝137と、溝137に配置される案内板138と、を備えている。溝137は、レバー部134の揺動の軌跡に応じて円弧形に延びている。案内板138は、レバー部134に一体化されている。
ストッパ136は、廃棄蓋92および吸気蓋94の全閉位置および全開位置に応じてレバー部134の揺動範囲を規定(規制)している。
第二伝達機構127は、第一伝達機構126および第三伝達機構128と共有する第一歯車131と、第三伝達機構128と共有するレバー部134、ガイド部135、およびストッパ136と、レバー部134の揺動を往復運動に変換して廃棄蓋92に伝達するスライダ139と、廃棄蓋92を全閉させるばね力を発生させる廃棄蓋閉鎖ばね140と、を備えている。スライダ139は、廃棄蓋閉鎖ばね140のばね力に押し勝って廃棄蓋92を開く。また、スライダ139は、廃棄蓋閉鎖ばね140のばね力を利用して廃棄蓋92を閉じる。
ここで、動力伝達機構96は、適宜の期間にわたってステーション2から除塵機構95へ駆動力を伝達する一方、廃棄蓋92および吸気蓋94が全開、または全閉した後、除塵機構95が駆動最中である適宜の期間内であってもステーション2から廃棄蓋92および吸気蓋94への動力伝達を遮断する(縁切りする)。
つまり、第二伝達機構127は、廃棄蓋92が全開または全閉すると継手半体121から廃棄蓋92への駆動力の伝達を遮断する。また、第三伝達機構128は、吸気蓋94が全開または全閉すると継手半体121から吸気蓋94への駆動力の伝達を遮断する。
具体的には、第二伝達機構127、および第三伝達機構128は、廃棄蓋92および吸気蓋94が全開または全閉すると、レバー部134の歯134aと第一歯車131との噛み合わせを解除する。つまり、円弧形に並ぶ歯134aは、廃棄蓋92および吸気蓋94が全開または全閉すると、第一歯車131から抜け出る範囲に設けられている(限定されている)。
レバー部134の歯134aは、廃棄蓋92が全閉または全開すると、移動が妨げられる廃棄蓋92に抗しきれず、第一歯車131から抜け出て駆動力(トルク)の伝達を遮断する。レバー部134の歯134aは、吸気蓋94が全閉または全開すると、第一歯車131から抜け出て駆動力(トルク)の伝達を遮断する。
なお、動力伝達機構96は、レバー部134の歯134aと第一歯車131との噛み合わせを復帰させる際、両者の円滑な噛み合わせを促す駆動源、例えば復帰ばね154を備えている。復帰ばね154は、廃棄蓋92および吸気蓋94が全開、または全閉すると押し潰されてエネルギーを蓄える。また、復帰ばね154は、廃棄蓋92および吸気蓋94を開け始める際、または閉め始める際に、エネルギーを消費してレバー部134を押し返し、レバー部134の歯134aと第一歯車131との噛み合わせの復帰を助ける。
また、除塵機構95が適宜の期間にわたって作動、フィルタ86、87を除塵する最中、廃棄蓋92および吸気蓋94は全開の状態を維持していることが好ましい。仮に、モータ(後述するステーション2の駆動源169)の正転と逆転とを切り替えて除塵機構95を往復運動させると、廃棄蓋92および吸気蓋94は、モータの正転と逆転とが切り替えられる都度、開いたり閉じたりすることになり好ましくない。そこで、本実施形態に係る除塵機構95は、一方向に回転する歯車113によって被動部112を往復運動可能な構成を有している。
次に、本発明の実施形態に係る電気掃除機3の容器ロック機構61について説明する。
図14は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の容器ロック機構の分解斜視図である。
図14に示すように、本実施形態に係る電気掃除機3の容器ロック機構61は、複数の爪部62と、複数の爪受け部63と、操作可能な操作部105と、操作部105が操作されると複数の爪部62を実質的に同時に爪受け部63から離脱させる離脱力伝達機構141と、爪部62が爪受け部63に引っ掛かるように突出させておく力を発生させる弾性部材142と、を備えている。
複数の爪部62は、爪受け部63に引っ掛かる際と、爪受け部63から離脱する際とに相互に反対方向へ移動する対143を含んでいる。爪受け部63の対143は複数ある。それぞれの対143の爪部62は、押出力発生部59から押し出し力が作用する箇所に対して均等に配置されていることが好ましい。また、複数の対143は、任意の1つの爪部62を共有していても良い。例えば3つの爪部62が、2つの対143をなしていても良い。この場合、1つの爪部62は、2つの対143に属する。
操作部105は、複数の爪部62のいずれか1つに一体化されている。
離脱力伝達機構141は、爪部62を溝部63から離脱させる力を操作部105から複数の爪部62へ実質的に同時に伝達する。離脱力伝達機構141は、対143をなす爪部62の組合せを別々に有する一対のスライダ部145、146と、一対のスライダ部145、146を連結し、かつ一方のスライダ部145の動作を他方のスライダ部146へ伝達するリンク147と、を備えている。
一対のスライダ部145、146は、実質的に同一線上を往復動することができる。
リンク147は一対あって、一方のスライダ部145の動きを反転させて他方のスライダ部146へ伝達する。リンク147は、一方のスライダ部145に連結させる第一ジョイント部147aと、他方のスライダ部146に連結させる第二ジョイント部147bと、リンク147の中央部に設けられるピン穴147cと、を備えている。ピン穴147cは、一次塵埃容器13に設けられるピン147dに嵌め込まれている。リンク146は、ピン147dを中心に揺動する。ピン147dは、機械室99を確定する壁面に設けられている。
複数の爪部62、および離脱力伝達機構141は、実質的に同一面上を移動する。
弾性部材142は、例えばコイルばねである。弾性部材142は、爪受け部63から爪部62が離脱する際、一対のスライダ部145、146の一方、または両方の変位によってエネルギーを蓄積する一方、操作部105に加わる操作力が失われる、もしくは操作力に打ち勝って爪部62が爪受け部63へ引っ掛かる方向へ一対のスライダ部145、146の一方、または両方を移動させる。
複数の爪部62、操作部105、離脱力伝達機構141、および弾性部材142は、一次塵埃容器13に設けられ、爪受け部63は、本体ケース11に設けられている。なお、複数の爪部62、操作部105、離脱力伝達機構141、および弾性部材142が本体ケース11に設けられ、複数の爪受け部63が一次塵埃容器13に設けられていても良い。換言すると、複数の爪部62、操作部105、離脱力伝達機構141、および弾性部材142は、本体ケース11および一次塵埃容器13のいずれか一方に設けられていれば良く、複数の爪受け部63は、本体ケース11および一次塵埃容器13のいずれか他方に設けられていれば良い。
操作部105は、一次塵埃容器13に設けられる容器把手148を兼ねていても良い。この場合、操作部105は、容器把手148を持って一次塵埃容器13を塵埃容器室57から取り出す力を、爪受け部63から爪部62を離脱させる力に利用する。操作部105、つまり容器把手148は、収納位置から使用位置へ引き起こされる動作を、リンク機構149を介して一対のスライダ部145、146の一方に伝達し、爪受け部63から爪部62を離脱させる力に利用する。
本体ケース11の塵埃容器室57に一次塵埃容器13が収納されているとき、複数の爪部62は、爪受け部63に引っ掛かることによって、塵埃容器室57から一次塵埃容器13を押し出そうとする力を制して一次塵埃容器13を本体ケース11に固定している。
操作部105に爪部62を爪受け部63から離脱させる力が作用すると、容器ロック機構61は、離脱力伝達機構141を介して複数の爪部62を実質的に同時に爪受け部63から離脱させる。そうすると、塵埃容器室57から一次塵埃容器13を押し出そうとする力を制して一次塵埃容器13を本体ケース11に固定している力が失われる。そうすると、一次塵埃容器13は、本体ケース11の塵埃容器室57から浮き上がって(所謂ポップアップして)離脱可能になる。
次に、本発明の実施形態に係る掃除機本体7の車輪12およびに本体把手14ついて説明する。
図15は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の本体把手を引き出した状態の斜視図である。
図16は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の本体把手および車輪の内部構造の斜視図である。
図17は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の本体把手および車輪の分解斜視図である。
図18から図21は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の本体把手および車輪の断面図である。
図15から図21に示すように、本実施形態に係る電気掃除機3は、本体ケース11と、本体ケース11を支える車輪12と、本体ケース11に設けられる本体把手14と、本体把手14に一体の基部151と、を備えている。
車輪12は、被掃除面に接地される環形の接地壁12cと、接地壁12cに連接し、車輪12の回転中心へ向かって延びる側壁12dと、を備えている。
本体把手14は、左右の車輪12の間にアーチ形に架け渡されている。本体把手14は、未使用時、本体ケース11の天面の前縁部に設けられる把手収納凹部11bに納められている(図2)。本体把手14は、使用時、把手収納凹部11bから引き出され、本体ケース11の後端部に移動する。また、本体把手14の形状は、本体ケース11の弧状の前半部の前縁部の形状に適合している。本体把手14は、最も引き出されたとき、掃除機本体7の後端部に達する。本体把手14は、水平面に掃除機本体7を配置した状態において、実質的に掃除機本体7の真上(図15)を超えて掃除機本体7の後方へ移動することができる。
基部151は、本体ケース11に回転可能に支えられている。車輪12は、基部151に回転可能に支えられている。つまり、車輪12は、基部151を介して本体ケース11に回転可能に支えられている。基部151の回転範囲は規制されている。基部151は、本体把手14が本体ケース11の把手収納凹部11bから本体ケース11の後端部に達する範囲で回転する。
車輪12の回転中心線と基部151の回転中心線とは、実質的に同一線上に配置されている。つまり、本体把手14は、車輪12の回転中心線のまわりを回転するように移動して本体ケース11の把手収納凹部11bに納められたり、把手収納凹部11bから引き出されたりする。
車輪12および基部151は、環形である。車輪12および基部151は、本体ケース11の塵埃容器室57に一次塵埃容器13を掃除機本体7の幅方向に挿抜可能にするため、一次塵埃容器13が通過可能な内径を有している。なお、一次塵埃容器13の着脱に関係しない車輪12および基部151、本実施形態では掃除機本体7の左側の車輪12および基部151は、環形でなくても良い。
基部151には、車輪12を回転可能に支える複数の第一転152aが設けられている。複数の第一転152aは、基部151の外周に設けられている(図18)。
また、電気掃除機3は、本体ケース11と基部保持体153との間に挟まれて基部151および車輪12を回転可能に支える複数の第二転152bを備えている。
複数の第二転152bは、基部151の一方の側面に設けられて基部保持体153に接する第三転152cと(図19)、基部151の他方の側面に設けられて車輪12の側壁12dに接する第四転142dと(図20)、を含んでいる。第三転152cと第四転142dとは、回転中心線方向における基部151の位置を拘束している。第三転152cおよび第四転142dは、基部151の周方向へ交互に配置されている。
さらに、複数の第二転152bは、基部151の内周に設けられて基部保持体153に接する複数の第五転142eを含んでいる(図21)。
さらにまた、複数の第二転152bは、本体ケース11に設けられて車輪12に接する第六転142fを含んでいる。第六転142fと基部151の第四転142dとは、車輪12の側壁12dを挟み込んでいる。第六転142fは、車輪12が回転中心線方向へ基部151から抜け出すことを防いでいる。換言すると、第四転142dと第六転142fとは、回転中心線方向における車輪12の位置を拘束している。そして、第三転152c、第四転142d、および第六転142fは、回転中心線方向における基部151および車輪12の位置を拘束している。
基部保持体153は、基部151同様に環形である。基部保持体153は、本体ケース11に固定されている。基部保持体153は、基部151の内周に入り込み、複数の第五転142eに接するフランジ部153aを有している。
基部保持体153は、基部151の第三転152c(図19)および第五転142e(図21)に接し、本体ケース11の第六転142fは、車輪12に接している。基部151の第一転152a(図18)および第四転142d(図20)は車輪12に接している。基部保持体153および本体ケース11は、基部151、本体把手14、車輪12を一括して支持している。
なお、本実施形態に係る基部保持体153は、本体ケース11の内側に配置され、本体ケース11に固定されているが、本体ケース11の外側に配置されていても良い。つまり、基部151、本体把手14、および車輪12を支える転(第一転、第二転)の構造は、本体ケース11の外側に配置されていても良い。この場合、基部保持体153は、転の構造の蓋の役割を担うことが好ましい。
複数の第一転152a、第二転152bのうち第三転152c、第四転142d、および第五転142eは、それぞれ、環形の基部151の周方向に、実質的に等間隔に並んでいる。また、複数の第一転152a、第二転152bのうち、第三転152c、第四転142d、および第五転142eは、互いに車輪12の回転中心線、および基部151の回転中心線に対する位置(位相)がずらされている。このずれは、基部151の内径と外径との寸法差、および基部151の掃除機本体7の幅方向における厚さ寸法の低減に寄与している。
図22は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の把手復帰部の斜視図である。
図16および図17に加え、図22に示すように、本実施形態に係る電気掃除機3は、本体把手14を引き起こすとエネルギーを蓄える一方、蓄えられたエネルギーを消費して本体把手14を収納する力を発生させる把手復帰部155を備えている。把手復帰部155は、一次塵埃容器13の着脱に影響のない掃除機本体7の左側に設けられている。
把手復帰部155は、基部151に設けられる第一歯車157aと、本体ケース11に回転可能に支えられ、第一歯車157aに噛み合わされる第二歯車157bと、本体ケース11に回転可能に支えられ、第二歯車157bに噛み合わされる第三歯車157cと、第三歯車157cの回転によってエネルギーを蓄える復帰ばね158と、を備えている。
第一歯車157aは、第一転152a、および第二転152bの無い、基部151の内周に設けられている。つまり、第一歯車157aは、所謂内歯車である。第一歯車157aは、第五転142eに接するフランジ部153aを避けて設けられている。換言すると、第一歯車157aおよび第五転142eは、基部151の内周に併設されている。
第二歯車157bは、第一歯車157a、および第三歯車157cに比べて小径である。
第三歯車157cは、環形の基部151の内側に配置されている。第三歯車157cの回転中心線は、車輪12の回転中心線、および基部151の回転中心線の実質的な同一線上に配置されている。
復帰ばね158は、いわゆる捻りばねである。復帰ばね158は、第三歯車157cの回転によってエネルギーを蓄える。
把手復帰部155は、本体把手14が本体ケース11の把手収納凹部11bから本体ケース11の後端部へ向かって引き出されるとき、基部151と一体で回転する第一歯車157aと、第一歯車157aの回転を第三歯車157cに伝える第二歯車157bと、第三歯車157cと、を回転させ、復帰ばね158にエネルギーを蓄える。また、把手復帰部155は、本体把手14が無負荷の状態、つまり、使用者が力を加えていない状態になると、復帰ばね158が蓄えたエネルギーを消費して第三歯車157cを回転させ、第二歯車157bおよび第一歯車157aを介して本体把手14を把手収納凹部11bへ収納する。
掃除機本体7は、持ち上げられている最中、集塵ホース22の重みで正面を下げ、背面を上げた前屈み姿勢になる。そこで、本体把手14および基部151は、使用者がこれを掴み、掃除機本体7を持ち上げている最中、掃除機本体7に対して移動する。換言すると、掃除機本体7は、使用者が掴んでいる本体把手14に対して揺動する。この掃除機本体7の揺動は、管部8の操作にともなう集塵ホース22の屈曲が使用者に伝わることを緩和する。
なお、車輪12と基部151とは、それぞれが個別に本体ケース11に回転可能に指示されていても良い。
また、車輪12と基部151とは、一次塵埃容器13が本体ケース11に一体化されていたり、一次塵埃容器13が本体ケース11の天面や底面から着脱可能であったりする場合には、環形でなくても良い。この場合、車輪12と基部151とは、回転中心部にハブ(図示省略)を有しても良いし、単なる円盤形であっても良い。図16および図17の本体ケース11は、一次塵埃容器13の着脱に関係しない、掃除機本体7の左側面である。このため、図16および図17の本体ケース11には、一次電動送風機15の排気を流出させるディフューザーを有する排気口蓋11aが設けられている。
次に、本発明の実施形態に係るステーション2について詳細に説明する。
図23および図24は、本発明の実施形態に係る電気掃除装置のステーションの斜視図である。
なお、図24は、台座41の天板、および塵埃回収部42のケース48が取り外されたステーション2の斜視図である。
図23および図24に示すように、本実施形態に係るステーション2の二次塵埃容器49は、塵埃移送管43から流れ込む塵埃を空気から遠心分離する遠心分離部163を備えている。遠心分離部163は多段型であり、塵埃移送管43から流れ込む塵埃を空気から遠心分離する第一遠心分離部164と、第一遠心分離部164を通過する塵埃を空気から遠心分離する第二遠心分離部165と、を備えている。
第一遠心分離部164は、二次塵埃容器49に流れ込む塵埃のうち粗い塵埃を遠心分離する。第二遠心分離部165は、第一遠心分離部164を通過する細かい塵埃を遠心分離する。なお、粗い塵埃とは、もっぱら糸くずや綿埃などの繊維状の塵埃や砂粒のような質量の大きい塵埃であり、細かい塵埃とは、粒子状または粉末状で質量の小さい塵埃である。
二次電動送風機50は、下流風路管166を介して二次塵埃容器49に接続されている。二次電動送風機50は、下流風路管166、二次塵埃容器49、および塵埃移送管43を介して一次塵埃容器13に負圧を作用させ、一次塵埃容器13に蓄積された塵埃を空気とともに二次塵埃容器49に移動させる。
また、ステーション2は、台座41に設けられる連結案内部168と、電気掃除機3の一次塵埃容器13の廃棄蓋92の開駆動力および閉駆動力を発生させる駆動源169と、駆動源169から電気掃除機3に駆動力を伝える動力伝達機構171と、を備えている。
連結案内部168は、掃除機本体7がステーション2に連結される際、ステーション2の充電端子46が掃除機本体7の充電電極19に好適に接続され、かつ塵埃移送管43が掃除機本体7の廃棄口91に好適に接続される位置へ、掃除機本体7を案内する。
なお、掃除機本体7がステーション2に連結され、ステーション2の充電端子46が掃除機本体7の充電電極19に好適に接続され、かつ塵埃移送管43が掃除機本体7の廃棄口91に好適に接続された形態が、電気掃除装置1の収納形態である。
連結案内部168は、掃除機本体7の本体ケース11の後端部の形状に適合して窪んでいる。つまり、連結案内部168は、本体ケース11の筒形の後半部に適合し、ステーション2の側方視において円弧形に窪んでいる。掃除機本体7は、台座41の上方から下ろされて(降下させられて)ステーション2に連結するため、掃除機本体7の後端部の形状に適合する連結案内部168は、電気掃除装置1の収納形態における掃除機本体7の位置決めを確実にする。
充電端子46と塵埃移送管43の入口とは、連結案内部168に配置されている。塵埃移送管43の入口には、塵埃移送管43と電気掃除機3との接続部分、つまり塵埃移送管43と一次塵埃容器13との接続部分をシールするシール部材173が設けられている。
駆動源169は、例えば電動機である。駆動源169は、ステーション制御部51に電気的に接続されている。駆動源169は、二次電動送風機50同様に、ステーション制御部51に制御される。
駆動源169は、電気掃除機3の吸気蓋94の開駆動力および閉駆動力を発生させる。駆動源169は、電気掃除機3の除塵機構95の駆動力を発生させる。つまり、駆動源169は、廃棄蓋92、吸気蓋94、および除塵機構95の駆動力を発生させる。換言すると、駆動源169は、従動機構120の駆動力を発生させる。駆動源169は、塵埃移送管43の入口と塵埃回収部42との間に設けられている。駆動源169は、電気掃除機3の塵埃圧縮機構98の駆動力を発生させる。
動力伝達機構171は、駆動源169、つまり電動機の出力軸から電気掃除装置1の収納形態における掃除機本体7の継手半体121の中心線上へ、駆動源169の動力を伝える適宜の機構である。本実施形態に係る動力伝達機構171は、相互に噛み合わされた複数、例えば3つの歯車171a、171b、171cと、これらの歯車171a、171b、171cを回転可能に支え、かつ収容するギアボックス(図示省略)と、を備えている。動力伝達機構171は、プーリーとベルトとを組み合わせた機構や、チェーンとスプロケットとを組み合わせた機構であっても良い。
次に、ステーション2から掃除機本体7へ駆動源169の駆動力を伝える動力伝達経路について説明する。
図25は、本発明の実施形態に係る電気掃除装置の動力伝達経路の斜視図である。
なお、図25は、動力伝達経路175のうち、ステーション2側のみ、つまりステーション2の動力伝達機構171を示している。
図10および図24に加えて、図25に示すように、本実施形態に係る電気掃除装置1は、ステーション2の駆動源169から掃除機本体7の廃棄蓋92に駆動力を伝える動力伝達経路175と、ステーション2と電気掃除機3との間で動力伝達経路175の連結と切り離しとを行う連結器176と、を備えている。
動力伝達経路175は、電気掃除機3側の動力伝達機構96と、ステーション2側の動力伝達機構171と、を含んでいる。連結器176は、電気掃除機3側の動力伝達機構96とステーション2側の動力伝達機構171とを連結して動力伝達経路175を機能させる。動力伝達経路175は、ステーション2側の駆動源169から電気掃除機3側の従動機構120、つまり除塵機構95、廃棄蓋92、および吸気蓋94へ駆動力を伝達する。
動力伝達機構171、および掃除機本体7の継手半体121を除く連結器176は、台座41の膨出部47に覆われている。連結器176は、電気掃除機3をステーション2に装着するときには、電気掃除機3との接触を回避可能な退避位置にある一方、電気掃除機3をステーション2に装着した状態では駆動源169の駆動力を電気掃除機3に伝達可能な連結位置へ移動する。膨出部47は、継手半体122を出没可能に収容している。
連結器176は、軸継手129と、軸継手129を断絶させる力を発生させる駆動源、例えば継手切断ばね177と、駆動源169が発生させる駆動力で軸継手129を接続するカム機構178と、を備えている。連結器176は、駆動源169の駆動力で軸継手129を接続させ、継手切断ばね177のばね力で軸継手129を断絶(縁切り)させる。
軸継手129は、いわゆるドグクラッチやカップリングである。軸継手129は、電気掃除機3の動力伝達機構96に設けられる継手半体121と、ステーション2の動力伝達機構171に設けられる継手半体122と、を備えている。
継手半体121は、円形に並ぶ複数の弧形溝181を備えている。継手半体122は、円形に並ぶ複数の軸182を備えている。それぞれの軸182は、弧形溝181に出入り可能な径寸法を有している。軸182は、弧形溝181へ差し込み易いよう、先細ったテーパ形であることが好ましい。
継手半体122は、動力伝達機構171が伝達する駆動力によって常に回転する。継手半体121は、軸継手129が継がれることによって継手半体122とともに回転する。継手半体122は、ステーション2の膨出部47から突き出して継手半体121に連結する。継手半体122は、掃除機本体7の側方に配置される膨出部47から掃除機本体7の幅方向に突出して継手半体121に連結する。換言すると、連結器176は、掃除機本体7をステーション2から切り離す際、および掃除機本体7をステーション2に戻す際に、掃除機本体7が移動する方向、つまり上下方向に対して交差する方向へ継手半体122を膨出部47から出没させて軸継手129を連結する。つまり、電気掃除機3をステーション2に装着する際の電気掃除機3の移動方向は、連結器176が退避位置と連結位置との間で移動する方向に交差している。そのため、連結器176は、膨出部47と継手半体122との隙間からステーション2内に例えば塵埃が侵入することを防ぎ、動力伝達機構171の良好な作動を保証できる。
なお、継手半体122は、膨出部47から掃除機本体7の幅方向に突出して継手半体121に連結するものの他、連結案内部168に突出させて設けられ、ステーション2に掃除機本体7を連結すると、同時に継手半体121に連結されるものであっても良い(図23中、二点鎖線の継手半体122)。また、継手半体122は、塵埃回収部42に配置され、ステーション2の前方に突出して継手半体121に連結されるものであっても良い(図23中、二点鎖線の継手半体122)。
継手切断ばね177は、軸継手129を断絶させる方向、つまり継手半体121から引き離す方向へ継手半体122を引っ張っている。換言すると、継手切断ばね177は、膨出部47に埋没させる方向へ継手半体122を引き込んでいる。
カム機構178は、ステーション2側に設けられている。カム機構178は、いわゆる端面カムである。カム機構178は、動力伝達機構171の回転運動を継手半体122の直線運動、つまり、継手半体122が膨出部47に出没する運動に変換し、かつ継手半体122の直線運動が適宜に進行すると継手半体122を回転運動させる。カム機構178は、動力伝達機構171によって回転する原節183と、継手半体122に設けられる従節184と、を備えている。従節184は、継手半体122の軸182に最も近く、継手半体122の周方向、つまり継手半体122の回転中心線に直交する方向に延びる第一カム面184aと、継手半体122の回転中心線に対して傾いて継手半体122の軸182の反対方向に延びる第二カム面184bと、第二カム面184bの頂部につながり第一カム面184aから遠ざかる方向へ延びる第三カム面184cと、を有している。第三カム面184cは、継手半体122の回転中心線に対して実質的に平行に延びている。原節183は、第一カム面184aおよび第二カム面184bに線接触可能であり、かつ第三カム面184cに面接触可能な形状を有している。
連結器176は、非連結時、カム機構178の従節184の第一カム面184aに原節183を当て、または第一カム面184aに原節183を最も近づけている。この状態で、継手半体122は、ステーション2の膨出部47に最も入り込んで、隠れている。駆動源169が始動すると、動力伝達機構171の歯車171cとともに原節183が回転する。回転する原節183は、従節184の第一カム面184aを移動し、第二カム面184bに近づき、いずれ第二カム面184bに乗り上げる。そうすると、継手半体122は、原節183が第二カム面184bを押す力によって膨出部47から迫り出し、継手半体121に連結される。継手半体122の回転が進んで原節183が第三カム面184cに面接触すると、連結器176全体が、原節183に同期して回転する。
なお、継手半体122は、継手切断ばね177のばね力によって膨出部47に引き込まれている。このばね力は、原節183と従節184との間に適宜の摩擦力を発生させ、原節183を従節184の第二カム面184bに確実に乗り上がらせる。
カム機構178は、ステーション2の継手半体122から掃除機本体7の継手半体121を見て、継手半体122を正転(時計回り)、および逆転(反時計回り)させるいずれの回転方向にも、第二カム面184bおよび第三カム面184cを有している。換言すると、カム機構178は、第一カム面184aを間に挟む一対の第二カム面184bおよび第三カム面184cを有している。
ここで、例えば、動力伝達経路175は、継手半体122を正転させることで廃棄蓋92および吸気蓋94を開き、継手半体122を逆転させることで廃棄蓋92および吸気蓋94を閉じるとして説明する。一方の第二カム面184bおよび一方の第三カム面184cは、継手半体122の正転にともなって連結器176を繋ぎ、廃棄蓋92および吸気蓋94を開く。他方の第二カム面184bおよび他方の第三カム面184cは、継手半体122の逆転にともなって連結器176を繋ぎ、廃棄蓋92および吸気蓋94を閉じる。
なお、連結器176は、ステーション2から二次電池17へ電力を供給して二次電池17を充電する充電端子186を備えていても良い。この充電端子186は、台座41に設けられる充電端子46に代わって二次電池17を充電する。充電端子186は、掃除機本体7の継手半体121と、ステーション2の継手半体122との両方に設けられている。充電端子186は、連結器176が連結されたとき、つまりステーション2の継手半体122と掃除機本体7の継手半体121とが連結しているときに電気的に接続される。
図26は、本発明の実施形態に係る電気掃除装置のブロック図である。
図26に示すように、本実施形態に係る電気掃除装置1は、電気掃除機3側の制御回路191と、ステーション2側の制御回路192と、を備えている。
電気掃除機3側の制御回路191は、もっぱら一次電動送風機15の運転を制御する。電気掃除機3側の制御回路191は、二次電池17に直列に接続される一次電動送風機15と、二次電池17と一次電動送風機15とを接続する電路を開閉するスイッチング素子195と、二次電池17の電圧を変換して掃除機制御部16へ電力を供給する制御用電源部196と、一次電動送風機15の運転を制御する掃除機制御部16と、を備えている。
スイッチング素子195は、掃除機制御部16に接続されるゲートを備えている。スイッチング素子195は、ゲート電流の変化に応じて一次電動送風機15の入力を変える。
制御用電源部196は、掃除機制御部16の制御電源を発生させる電源回路である。
ステーション2側の制御回路192は、もっぱら二次電動送風機50の運転を制御する。ステーション2側の制御回路192は、商用交流電源Eへ直列に接続される二次電動送風機50と、商用交流電源Eと二次電動送風機50とを接続する電路を開閉するスイッチング素子197と、商用交流電源Eを変換してステーション制御部51へ電力を供給する制御用電源部198と、電気掃除機3がステーション2に装着されたことを検知する複数の装着検知器45と、二次電動送風機50の運転を制御するステーション制御部51と、ステーション制御部51に接続される報知部199と、を備えている。なお、ステーション2側の制御回路192は、電気掃除機3の二次電池17の充電回路(図示省略)も備えている。
スイッチング素子197は、双方向サイリスタや逆阻止3端子サイリスタなどの素子である。スイッチング素子197は、ステーション制御部51に接続されるゲートを備えている。スイッチング素子197は、ゲート電流の変化に応じて二次電動送風機50の入力を変える。
制御用電源部198は、ステーション制御部51の制御電源を発生させる電源回路である。
装着検知器45は、検知対象が収納状態にあるとき電路を開き、検知対象が収納状態にないとき、換言すると検知対象が使用状態にあるとき電路を閉じるよう制御回路192に接続されていることが好ましい。
つまり、第一装着検知器45aは、電気掃除機3がステーション2に連結された場合、換言すると電気掃除機3がステーション2に装着された場合、もしくは電気掃除機3が台座41に置かれた場合に電路を開く。他方、第一装着検知器45aは、電気掃除機3がステーション2から切り離された場合、換言すると電気掃除機3がステーション2から離脱した場合、もしくは電気掃除機3が台座41から離れた場合に電路を閉じる。第二装着検知器45bは、電気掃除機3の管部8がステーション2に装着された場合、電路を開く。また、第二装着検知器45bは、電気掃除機3の管部8がステーション2から離脱した場合、電路を閉じる。なお、管部取付部53が掃除機本体7に設けられている場合にも同様である。この場合、第二装着検知器45bが開閉する電路は、電気掃除機3側の制御回路191に含まれる。
ステーション制御部51は、ステーション2に電気掃除機3が装着されたことを複数の装着検知器45のうち少なくとも2つの装着検知器45が検知した場合に、一次塵埃容器13から二次塵埃容器49への塵埃の移送を許可する。そして、ステーション制御部51は、塵埃の移送の許可から予め定める遅延時間が経過した後に、換言すると、ステーション2に電気掃除機3が装着されたことを複数の装着検知器45のうち少なくとも2つの装着検知器45が検知してから予め定める遅延時間が経過した後に、二次電動送風機50を始動させて塵埃の移送を開始する。
複数の装着検知器45は、電気掃除機3の本体把手14が収納位置にあることを検知する第三装着検知器45cを含んでいても良い。複数の装着検知器45は、第一装着検知器45a、および第二装着検知器45bに加えて第三装着検知器45cを備えていても良い。また、複数の装着検知器45は、第二装着検知器45bに代えて第三装着検知器45cを備えていても良い。複数の装着検知器45が、第一装着検知器45a、第二装着検知器45b、および第三装着検知器45cを含んでいる場合、ステーション制御部51は、3つ全ての装着検知器45がステーション2に電気掃除機3が装着されたことを検知した場合に、一次塵埃容器13から二次塵埃容器49への塵埃の移送を許可するものであっても良い。また、ステーション制御部51は、3つの装着検知器45のうち2つ、つまり、第一装着検知器45aと第二装着検知器45bとの組、第一装着検知器45aと第三装着検知器45cとの組、または第二装着検知器45bと第三装着検知器45cとの組、がステーション2に電気掃除機3が装着されたことを検知した場合に、一次塵埃容器13から二次塵埃容器49への塵埃の移送を許可するものであっても良い。さらに、ステーション制御部51は、3つの装着検知器45のうち第一装着検知器45aを必ず含み、第二装着検知器45bまたは第三装着検知器45cを加えた2つの装着検知器45が、ステーション2に電気掃除機3が装着されたことを検知した場合に、一次塵埃容器13から二次塵埃容器49への塵埃の移送を許可するものであっても良い。
本体把手14は、使用位置と収納位置との間で移動可能である。なお、本体把手14の収納位置とは、本体把手14が本体ケース11の把手収納凹部11bに納められている状態における本体把手14の位置である。一方、本体把手14の使用位置とは、本体把手14が本体ケース11の把手収納凹部11bから引き出された状態における本体把手14の位置である。
報知部199は、複数の装着検知器45の少なくとも1つが、他の装着検知器45がステーション2に電気掃除機3が装着されたことを検知してから予め定める所定の時間以内にステーション2に電気掃除機3が装着されたことを未検知の場合には、報知を行う。つまり、報知部199は、複数の装着検知器45の少なくとも1つが、他の装着検知器45がステーション2に電気掃除機3が装着されたことを検知してから予め定める所定の時間以内にステーション2に電気掃除機3が装着されたことを未検知の場合には、ステーション2に装着された電気掃除機3の装着状態が、不完全であることを報知する。報知部199は、例えば、文字などの情報を表示するディスプレイ、点灯または点滅するランプやLED(Light Emitting Diode)など電気掃除装置1の使用者の視覚に訴えるもの、電気的に合成された音声やブザー音などを発する発音器など電気掃除装置1の使用者の聴覚に訴えるもの、バイブレータなど電気掃除装置1の使用者の触覚に訴えるものなどを用いて構成される。
ステーション2に掃除機本体7が連結されて電気掃除装置1は収納形態に移行する。そうすると、掃除機本体7の充電電極19は、ステーション2の充電端子46に接触し、充電端子46に電気的に接続される。塵埃移送管43の入口は、掃除機本体7の本体ケース廃棄口100を通じて一次塵埃容器13の容器本体78の外面に密着する。
図27は、本実施形態に係る電気掃除装置による電気掃除機からステーションへの塵埃の移動に係るシーケンス図である。
図27に示すように、本実施形態に係る電気掃除装置1の駆動源169は、電気掃除機3がステーション2に収納された後、一次塵埃容器13から二次塵埃容器49へ塵埃の移送が開始されるまでは、停止を維持して廃棄蓋92、および吸気蓋94を閉じておく。
ステーション制御部51は、複数の装着検知器45の検知結果に基づいて、ステーション2に掃除機本体7が連結されたことを検知する。ステーション制御部51は、ステーション2に掃除機本体7が連結されたことを複数の装着検知器45のうち少なくとも2つの装着検知器45が検知すると、予め定める遅延時間が経過した後に、駆動源169を始動させる。駆動源169が始動すると、ステーション2の継手半体122が膨出部47から突出し、掃除機本体7の継手半体121に連結される。つまり、連結器176が連結される(図27中のタイムラグα)。ステーション制御部51は、連結器176が連結された後も駆動源169の運転を継続する。連結器176が連結された動力伝達経路175は、駆動源169の駆動力を廃棄蓋92、吸気蓋94、および除塵機構95へ分配して伝達する。
動力伝達経路175から伝わる駆動力によって、廃棄蓋92、および吸気蓋94は全開する。つまり、二次塵埃容器49は、ステーション2に電気掃除機3が収納されると廃棄口91、および塵埃移送管43を介して一次塵埃容器13に流体的に接続される。
また、動力伝達経路175から伝わる駆動力によって、除塵機構95はフィルタ86、87に付着した細塵を除去する。ステーション制御部51は、除塵機構95がフィルタ86、87に付着した細塵を除去する適宜の期間、例えば10秒間、継続して駆動源169を運転した後、駆動源169を一旦停止させる。
次いで、二次電動送風機50は、駆動源169が廃棄蓋92、および吸気蓋94を全開させた後、負圧を発生させる。ステーション制御部51は、二次電動送風機50を始動させる。始動した二次電動送風機50は二次塵埃容器49から空気を吸い込んで負圧を発生させる。つまり、二次電動送風機50は、駆動源169が廃棄蓋92を開いた後、二次塵埃容器49に負圧を作用させる。二次電動送風機50は、駆動源169が吸気蓋94を開いた後、二次塵埃容器49に負圧を作用させる。二次電動送風機50は、駆動源169が除塵機構95を駆動させた後、二次塵埃容器49に負圧を作用させる。
なお、図27に示した例では、駆動源169が除塵機構95を停止させてから二次電動送風機50を起動させているが、駆動源169が廃棄蓋92を開き、かつ吸気蓋94を開いた後であれば、除塵機構95の駆動中に二次電動送風機50を起動させてもよい。
二次塵埃容器49に作用する負圧は、塵埃移送管43および廃棄口91を通じて一次塵埃容器13に作用する。そうすると、一次塵埃容器13は、吸気口93から空気を吸い込む。このとき、本体接続口18からも空気が吸い込まれる。一次塵埃容器13に吸い込まれた空気は、粗塵集塵室71内の粗塵を粗塵廃棄口101から塵埃移送管43へ流出させ、かつフィルタ室72内の細塵を細塵廃棄口102から塵埃移送管43へ流出させる。塵埃移送管43に流れ込んだ塵埃(粗塵および細塵が混合した塵埃)は、塵埃移送管43を通じて二次塵埃容器49に吸い込まれる。
二次塵埃容器49の第一遠心分離部164は、塵埃移送管43から流れ込んだ塵埃から粗塵を分離し、蓄積する。第二遠心分離部165は、第一遠心分離部164を通過する細塵埃を分離し、蓄積する。
ステーション制御部51は、二次電動送風機50を適宜の継続時間、例えば10秒間、運転して、一次塵埃容器13が蓄積した塵埃の実質的な全量を二次塵埃容器49へ移し替えた後、二次電動送風機50を停止させる。また、ステーション制御部51は、二次電動送風機50が停止して二次塵埃容器49が正圧(つまり大気圧、図27中のタイムラグβ)に戻ったら、一時停止している駆動源169を逆転させる。駆動源169が逆転し始めると、ステーション2の継手半体122が掃除機本体7の継手半体121から離れ、膨出部47に一旦引き込まれる。つまり、連結器176の連結が一旦解除される。ステーション制御部51は、駆動源169の逆転を継続する。駆動源169の逆転が継続すると、ステーション2の継手半体122が膨出部47から再度突出し、掃除機本体7の継手半体121に連結される(図27中のタイムラグγ)。つまり、連結器176が連結される。ステーション制御部51は、駆動源169の運転を継続する。連結器176が連結された動力伝達経路175は、駆動源169の駆動力を廃棄蓋92、吸気蓋94、および除塵機構95へ分配して伝達する。
駆動源169は、二次電動送風機50が塵埃を移送するために負圧を発生させる運転を停止した後、廃棄蓋92の閉駆動力を発生させて廃棄口91を閉じる。また、駆動源169は、二次電動送風機50が塵埃を移送するために負圧を発生させる運転を停止した後、吸気蓋94の閉駆動力を発生させて吸気口93を閉じる。動力伝達経路175から伝わる駆動力によって、廃棄蓋92、および吸気蓋94は全閉する。ステーション制御部51は、廃棄蓋92、および吸気蓋94が全閉する適宜の期間、例えば3秒間、継続して駆動源169を逆転させる。
そして、ステーション制御部51は、廃棄蓋92、および吸気蓋94が全閉した後、駆動源169を一旦停止させる。そして、ステーション制御部51は、駆動源169を再度正転させる。駆動源169が正転し始めると、ステーション2の継手半体122が掃除機本体7の継手半体121から離れ、膨出部47に一旦引き込まれる。つまり、連結器176の連結が再度解除される。ステーション制御部51は、ステーション2の継手半体122が膨出部47に引き込まれた後、駆動源169を停止させる。換言すると、連結器176は、除塵機構95、廃棄蓋92、および吸気蓋94、つまり、従動機構120を動作させたら退避位置へ移動する。
次に、本実施形態に係る電気掃除機3の把手55、ステーション2の台座41、および減速機構44について説明する。
図28は、本発明の実施形態に係る電気掃除装置の側面図である。
図29は、本発明の実施形態に係る電気掃除装置の減速機構の斜視図である。
図30および図31は、本発明の実施形態に係る電気掃除装置の減速機構の断面図である。
なお、図30には、跳ね上がって掃除機本体7に近づき、待機している減速機構44が示されている。図31には、掃除機本体7がステーション2から分離されるとき、掃除機本体7が進行可能なように移動した減速機構44が示されている。
図1および図2に加え、図28から図31に示すように、本実施形態に係る電気掃除装置1の把手55は、電気掃除機3がステーション2に載せておかれる収納姿勢で上下方向に延びている。把手55は、電気掃除機3がステーション2に載せておかれる収納状態で塵埃回収部42の反対側に設けられている。換言すると、把手55は、電気掃除機3がステーション2に載せておかれる収納状態でステーション2の正面側に配置されている。
電気掃除装置1は、使用姿勢の掃除機本体7を起立させて掃除機本体7の姿勢を収納姿勢に変更し、この収納姿勢の掃除機本体7をステーション2の上方から台座41に降ろすことで収納形態になる。このとき、把手55を持って掃除機本体7を引き上げると、電気掃除機3の姿勢は、把手55、掃除機本体7の重心、および車輪12の位置関係によって、掃除機本体7の正面を上方へ向け、背面を下方へ向ける収納姿勢に容易に変わる(起立する)。つまり、掃除機本体7は、把手55を引き上げられると、車輪12を接地させたまま、車輪12の回転中心線まわりに起き上がる。使用者は、把手55に手指を掛け、引き上げる単純な動作で、掃除機本体7を起立させ、そのまま把手55を持って掃除機本体7を持ち上げることができる。そのため、掃除機本体7をステーション2の台座41に載せる際に、使用者の負担を軽減し、利便性に優れている。
台座41は、置台面41aと、収納姿勢の掃除機本体7が倒れる過程で車輪12に接する接地案内面201と、を備えている。また、台座41は、収納姿勢の掃除機本体7が倒れる際に掃除機本体7を支える転倒支点部202を備えている。
電気掃除装置1は、転倒支点部202または掃除機本体7に設けられて収納姿勢の掃除機本体7が倒れる際に掃除機本体7と転倒支点部202との滑りを阻害する滑止部203を備えている。
置台面41aは、掃除機本体7の背面の形状、つまり円弧形に倣う円弧形を有している。置台面41aは水平面に対して円弧形に窪んでいる。
接地案内面201は、収納姿勢から使用姿勢へ倒れる掃除機本体7がステーション2の正面へ向かって進行しやすいよう、ステーション2の正面へ向かって下る傾斜面である。接地案内面201は、ステーション2に収納される掃除機本体7の車輪12を納める円弧状の車輪配置凹部205に連接している。そのため、車輪12は、掃除機本体7が収納姿勢から使用姿勢へ倒れる過程で円滑に接地案内面201に接地し、掃除機本体7を支える。
転倒支点部202は、置台面41aの最下部よりも上方に設けられている。そのため、収納姿勢の掃除機本体7を倒すと、掃除機本体7は、転倒支点部202を中心に梃子のように倒れ込み、使用姿勢へ円滑に移行する。
ところで、掃除機本体7が使用姿勢へ倒れる際、転倒支点部202と掃除機本体7との接触箇所は、滑らないことが好ましい。転倒支点部202と掃除機本体7との接触箇所が滑ると、掃除機本体7が倒れる際の挙動、あるいは倒れる軌道、軌跡が定まりにくくなる。そのため、転倒支点部202と掃除機本体7との接触箇所は、少々の滑りを許容しつつも大きく滑らないことが好ましい。そこで、塵埃移送管43の入口に設けられているシール部材173が、転倒支点部202を兼ねている。シール部材173は、塵埃移送管43の正面側の辺部43bをシールする箇所を転倒支点部202として機能させる。シール部材173は、塵埃移送管43と一次塵埃容器13との接続部分をシールするため、天然ゴムやシリコンゴムなどの合成ゴムであることが好ましい。このシール部材173は、掃除機本体7に対して滑りにくく、かつ、収納状態の掃除機本体7に接しているため、転倒支点部202として好適であり、滑止部203としても機能する。
なお、転倒支点部202は、シール部材173以外の部材であっても良い。つまり、転倒支点部202は、台座41にもうけられるリブ状の突起であっても良い。また、滑止部203も、シール部材173以外の部材であっても良い。滑止部は、掃除機本体7と転倒支点部202とに挟み込まれていれば良く、掃除機本体7側に設けられていても良いし、ステーション2側に設けられていても良い。
減速機構44は、ステーション2の台座41の先端部に設けられている。減速機構44は、収納姿勢の掃除機本体7が使用姿勢へ移動する、つまり倒れる過程で掃除機本体7の移動速度を低減させる。減速機構44は、ヒンジ211と、ヒンジ211によって揺動可能に支えられる支持板部212と、掃除機本体7が進行可能なよう移動する際、エネルギーを蓄え、蓄えたエネルギーを消費して減速機構44を待機位置へ復帰させる弾性部材213と、を備えている。
ヒンジ211は、ステーション2の台座41に支持される軸215と、支持板部212が固定される板部216と、を備えている。板部216は、軸215を配置する孔217を有している。板部216は、軸215を中心に揺動する。つまり、減速機構44は、ヒンジ211によって掃除機本体7に近づく待機位置と掃除機本体7が進行可能な展開位置との間で倒れるように移動する。軸215は、収納状態の掃除機本体7の幅方向に延びている。換言すると、軸215と台座41に載せられた掃除機本体7の車輪12の回転中心線とは、実質的に平行に配置される。このため、減速機構44が倒れると、掃除機本体7は、使用姿勢になる。
支持板部212は、収納状態から使用状態へ移動する、つまり倒れる本体ケース11に接して掃除機本体7を支える。支持板部212は、移動する掃除機本体7を安定的に支えられるよう、本体ケース11の幅方向に拡がっている。支持板部212は、掃除機本体7に接する面に保護材、例えば起毛を有していることが好ましい。
また、支持板部212は、掃除機本体7が進行可能なよう移動すると、換言すると、掃除機本体7が収納姿勢から使用姿勢へ倒れると、掃除機本体7が台座41から離脱しやすいよう連結案内部168から被掃除面へ向かう下り傾斜面になる。
なお、減速機構44は、所謂ブレーキ機構218で移動速度を制限しても良い。減速機構44は作動油を収容するオイルダンパー(図示省略)を備えていても良い。
弾性部材213は、使用者が電気掃除機3の管部8のいずれかの箇所、好ましくは手元操作管23、または把持部25を引っ張ると、使用者の操作力と掃除機本体7の転倒モーメントに負けて、減速機構44を移動させる(倒す)。この移動により、弾性部材213は、減速機構44を引き起こすためのエネルギーを蓄える。
また、弾性部材213は、例えば捻りばねである。弾性部材213は、台座41に収納姿勢で載せられた掃除機本体7が外力の印加によって倒れ込むことを妨げず、かつステーション2から掃除機本体7が離れた後に減速機構44を待機位置へ引き起こす。
ステーション2の充電端子46は、収納状態の掃除機本体7に接続可能であり、かつ掃除機本体7が使用姿勢に倒される際に掃除機本体7との接続が解除される。このため、充電端子46の端子カバー219は、ステーション2の上方に向くスリット219aと、電気掃除機3をステーション2から離脱させる方向、つまりステーション2の正面方向に向くスリット219bと、を有している(図24)。充電端子46は、これらスリット219a、219bに挿入される掃除機本体7の充電電極19に接続される。
ところで、収納姿勢の掃除機本体7をステーション2の上方へ台座41から持ち上げ、被掃除面(床面)で使用姿勢に倒すことによって、電気掃除機3は使用することができる。しかしながら、電気掃除機3を使用する折、掃除機本体7を持ち上げて移動させることは、利便性に劣る。
そこで、本実施形態に係る電気掃除装置1は、収納姿勢の掃除機本体7を傾けて倒し、電気掃除機3の使用を始めることができる。例えば、使用者が電気掃除機3の管部8のいずれかの箇所、好ましくは手元操作管23、または把持部25を持って集塵ホース22をステーション2の正面方向へ引っ張ると、掃除機本体7は使用姿勢へ倒れ込む。転倒支点部202は、掃除機本体7が収納姿勢から使用姿勢へと移行する際の支点として機能する。すなわち、使用者の操作によって、転倒支点部202を乗り越えるほどの力が掃除機本体7に加えられると、掃除機本体7は、転倒支点部202を支点にして向きを変えながら、収納姿勢から使用姿勢へと移行する。このとき、減速機構44は、倒れ込む掃除機本体7の移動速度を減じて、掃除機本体7への衝撃を低減する。また、電気掃除機3の補助輪12bが接地する際には、補助輪12bと把手55との間に設けられているサスペンション機構56(図4)が、掃除機本体7への接地を緩衝する。
使用者が、さらに管部8を引っ張ると、掃除機本体7はステーション2から離れる。つまり、使用者は、管部8を引っ張るだけで電気掃除機3を、速やか、かつ円滑に掃除を開始できる。
また、電気掃除装置1は、ステーション2の正面に向かって管部8を引っ張ることで電気掃除機3をステーション2の正面に向かって倒し、さらにステーション2の正面に向かって管部8を引っ張ることで電気掃除機3をステーション2から離脱させる。そのため、電気掃除装置1は、ステーション2の正面に向かって管部8を引っ張るという動作のみで、掃除機本体7の姿勢変更(収納姿勢から使用姿勢への姿勢変更)と、使用の開始とが一連に行われる。
なお、減速機構44は、充電機能および塵埃回収機能を有するステーション2の他に、これらの機能を有さない、単なる収納台であっても適用できる。
本実施形態に係る電気掃除機3は、塵埃容器配置空間に配置された一次塵埃容器13を塵埃容器室57から押し出す力を発生させる押出力発生部59と、本体ケース11および一次塵埃容器13のいずれか一方に設けられて押出力発生部59によって押し出される一次塵埃容器13の移動方向とは異なる方向へ移動可能な複数の爪部62と、本体ケース11および一次塵埃容器13のいずれか他方に設けられて複数の爪部62のそれぞれを引っ掛ける複数の爪受け部63と、操作部105が操作されると複数の爪部62を実質的に同時に爪受け部63から離脱させる離脱力伝達機構141と、を備えている。そのため、電気掃除機3は、塵埃容器配置空間に配置された一次塵埃容器13をポップアップさせて容易に取り出すことが可能であり、かつ、一次塵埃容器13をポップアップさせる際に、塵埃容器室57内の一次塵埃容器13が傾くことを防いで円滑に移動させる。
また、本実施形態に係る電気掃除機3は、複数の爪部62のいずれか1つに一体化される操作部105を備えている。そのため、電気掃除機3は、総部品点数の増加を抑制し、構造の簡素化が図られる。
さらに、本実施形態に係る電気掃除機3は、爪受け部63に引っ掛かる際と、爪受け部63から離脱する際とに相互に反対方向へ移動する爪部62の対143、144を備えている。そのため、電気掃除機3は、一次塵埃容器13をポップアップさせる際に、塵埃容器室57内の一次塵埃容器13が傾くことをより確実に防いで円滑に移動させる。
さらにまた、本実施形態に係る電気掃除機3は、実質的に同一面上を移動する複数の爪部62、および離脱力伝達機構141を備えている。そのため、電気掃除機3は、容器ロック機構61の小型化、収納容積の薄型化を図ることができる。
また、本実施形態に係る電気掃除機3は、一次塵埃容器13に設けられる爪部62、操作部105、および離脱力伝達機構141と、本体ケース11に設けられる爪受け部63と、を備えている。そのため、電気掃除機3は、本体ケース11側の構造の簡素化と、小型化とを図ることができる。
さらに、本実施形態に係る電気掃除機3は、塵埃容器室57に収容される一次塵埃容器13の移動を案内する容器補助転60を備えている。そのため、電気掃除機3は、一次塵埃容器13をポップアップさせる際に、塵埃容器室57内の一次塵埃容器13をより円滑に移動させる。
さらにまた、本実施形態に係る電気掃除機3は、容器把手148を兼ねる操作部105を備えている。そのため、電気掃除機3は、容器把手148を引き上げる一連の動作で塵埃容器室57から一次塵埃容器13を取り出すことができる。
以上説明したように、本実施形態に係る電気掃除機3によれば、本体ケース11に一次塵埃容器13を円滑に出し入れすることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。