JP7005006B2 - 電力量計 - Google Patents

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Description

本発明は、電力量計に関し、特に、電力系統から需要家に引き込まれる電線に設けられ、需要家が消費する電力量を計測する電力量計に関するものである。
従来、図14に示すように、電柱1に設けられた柱上変圧器2から家庭などの需要家3内に設けられた分電盤に電線が引き込まれており、この電線により需要家3に電力が送られている。日本においては、一般家庭への配電は単相3線式による低圧配電が多く用いられている。電線の途中には、家庭での消費電力を計測するために、例えば特許文献1に示すような単相3線式の電力量計4が設けられる。
この種の電力量計4は、柱上変圧器2側の電線が接続される一次側端子台5と、分電盤側の電線が接続される二次側端子台6とを備えている。柱上変圧器2からの電力は電力量計4内に引き込まれ、電力量計4から需要家3内に供給される。言い換えれば、柱上変圧器2からの電気は電力量計4内を通って需要家3に送られる。
特開2011―81518号公報
上記の電力量計4を電線に新たに取り付ける場合、電線を途中で切断し、柱上変圧器2側の電線(図14の一次側電線)を一次側端子台5に接続し、需要家3側の電線(図14の二次側電線)を二次側端子台6に接続する。また、電力量計4は有効期限が法律で定められており、定期的に交換されるため、交換工事の際には、各電線を一次側端子台5及び二次側端子台6からいったん取り外し、新たな電力量計の一次側端子台5及び二次側端子台6に再び接続する。
このような電力量計4の取付工事や交換工事は、家庭内を停電させて行う。これは、電線の切断や取り外しを家庭内を停電させずに電力が消費されている状態で行うと、切断された電線と電線を把持している作業者の手との間、又は、電力量計4の一次側及び二次側の各端子台5,6と電線を把持している作業者の手との間でアーク放電が発生し、作業者が感電して怪我や死亡などの事故となる、いわゆるアーク災害が発生する可能性があるためである。しかし、電力量計4の取付工事や交換工事の毎に家庭内を停電させるのは不便である。また、現実には、家庭内の停電を避けるために、アーク災害が発生する可能性を承知で電力量計4の交換工事が行われることがあり、作業員にとって危険であった。
本発明は、上記した課題に着目してなされたものであり、電線の切断や取り外しを行うことなく、停電させずに取付工事や交換工事を行うことができる電力量計を提供することを目的とする。
本発明による電力量計は、複数本の電線の電線間の電圧の値を計測するための電圧計測部と、複数本の電線のうちの電圧線に流れる電流の値を非接触で検出する電流計測部と、前記電圧計測部で取得された電圧の値と前記電流計測部で取得された電流の値とに基づき電力量を算出する電力量算出部とを備え、前記電圧計測部は、各電線の中心を通る導体と導通する電圧検出端子を備え、前記各電圧検出端子は、電線の前記導体を被覆している絶縁層を貫通して前記導体に当接する尖頭部を備えている。
上記の構成によれば、電圧検出端子を外周面より電線に押し込むことで、電圧検出端子の尖頭部が電線の絶縁層を貫通し、尖頭部と電線の導体とが電気的に接続して電線間の電圧計測を行うことが可能になる。また、電流計測部により電線に流れる電流を非接触で計測する。このように計測した電圧値及び電流値に基づいて電力を算出する。このため、本発明の電力量計は、電線に外付けして電力の計測を行うことができる。
従って、本発明の電力量計を電線に取り付ける際に、電力系統から需要家に引き込まれた電線を切断する必要がない。また、本発明の電力量計がすでに電線に取り付けられている場合に、電力量計の交換工事を行うには、電線に押し込まれている古い電力量計の電圧検出端子を抜き取り、新たな電力量計の電圧検出端子を押し込めばよいため、従来技術のように電線を電力量計の一次側及び二次側端子台から取り外す手間が無い。このように、電線の切断や取り外し(電線の「解列」ともいう。)を行う必要がないため、家庭などの需要家側で停電を発生させずに取付工事や交換工事を行うことができる。
一実施形態においては、前記複数の電線は、2本の電圧線と1本の中性線とを含み、前記電圧計測部は、各電圧線と中性線との間の電圧の値を計測し、前記電流計測部は、各電圧線を流れる電流の値を計測する。
他の実施形態においては、前記複数の電線は、1本の電圧線と1本の中性線とを含み、前記電圧計測部は、前記電圧線と前記中性線との間の電圧の値を計測し、前記電流計測部は、前記電圧線を流れる電流の値を計測する。
前記電圧検出端子は、尖頭部を有する鋲により構成されることが好ましい。
上記の構成によれば、鋲の尖頭部を電線の外周面に突き刺して押し込むだけの簡単な動作で、電圧検出端子を電線の導体に当接させて電圧検出端子と電線の導体とを電気的に接続することができる。
他の実施形態によれば、前記電圧検出端子は、尖頭部を有するネジにより構成される。
さらに他の実施形態によれば、前記電圧検出端子は、尖頭部を有する刃板により構成される。
好ましい実施形態によれば、前記電流計測部は、前記電圧線の周囲を一周する鉄心と、前記鉄心に巻かれたコイルと、前記コイルの両端に接続されるシャント抵抗とを含む。
上記の構成によれば、電流計測部は、電線の導体に非接触で電流を計測することができる。
本発明の電力量計は、より具体的には、複数本の電線を整列状態で固定する電線固定部を有する筐体に、複数本の電線の電線間の電圧の値を計測する電圧計測部と、前記複数本の電線のうち電圧線を流れる電流の値を非接触で計測する電流計測部と、前記電圧計測部で取得された電圧の値と前記電流計測部で取得された電流の値とに基づき電力量を算出する電力量算出部とが組み込まれたものである。前記電圧計測部は、各電線の中心を通る導体と導通する電圧検出端子を備える。前記各電圧検出端子は、対向位置にある電線の前記導体を被覆している絶縁層を貫通して前記導体に当接する尖頭部を備え、前記電線固定部上に固定される端子支持部材に電線の整列間隔に合わせて支持される。
上記の構成によれば、電線固定部に端子支持部材を嵌め合わせて固定するだけの簡単な動作で、電線固定部に固定された電線の外周面に電圧検出端子の尖頭部が押し込まれ、電圧検出端子と電線の導体とが電気的に接続され、電線間の電圧計測を行うことができる。
また、電流計測部により電線に流れる電流を非接触で計測しており、電流検出部が検出した電流値及び電圧検出部が検出した電圧値に基づいて電力を算出するため、本発明の電力量計は、従来技術のように電線を切断して電力を電力量計内に引き込むことなく、電線に外付けして電力の計測を行うことができる。
従って、本発明の電力量計の取付工事や、本発明の電力量計がすでに電線に取り付けられている場合の交換工事の際に、電線を解列する必要がないため、家庭などの需要家側で停電を発生させずに取付工事や交換工事を行うことができる。
好ましい実施形態においては、前記端子支持部材は、前記電線固定部に整列状態で固定された各電線との対向位置に凹溝部を有し、前記各凹溝部の底部より前記尖頭部が突出するように各電圧検出端子が前記端子支持部材に支持されている。
上記の構成によれば、電線固定部に端子支持部材を嵌め合わせたときに、電線が凹溝部によってしっかりと固定されるとともに、固定された電線に尖頭部が確実に押し込まれる。
好ましい実施形態によれば、前記端子支持部材は、複数個の筒状ホルダを有しており、前記各筒状ホルダの端より前記尖頭部が突出するように前記各電圧検出端子が前記各筒状ホルダに支持されている。
電圧検出端子を筒状ホルダで支持することで、端子支持部材に外力が加わった場合であっても電圧検出端子が折れたり変形したりするのを防ぐことができる。
好ましい実施形態によれば、前記各電圧検出端子は、後端部に接続端子がバネにより押圧された状態で当接しており、前記各接続端子は、前記電圧計測部を構成する回路が実装された回路基板に電気接続されている。
上記の構成によれば、電圧検出端子は後端部から接続端子により押圧されているので、尖頭部が電線から外れるのを防ぎ、尖頭部を電線の導体に確実に当接させることができる。また、接続端子と電圧検出端子が電気的に接続されているので、電圧計測部を構成する回路により電圧を計測することができる。
好ましい実施形態によれば、前記電圧計測部は、電圧線の周囲を一周する鉄心と、前記鉄心に巻かれたコイルと、前記コイルの両端に接続されるシャント抵抗とを含み、前記電線固定部と前記鉄心を支持するための鉄心支持部材の一方には、前記鉄心の一部を構成する第1の鉄心部が取り付けられ、他方には前記鉄心の他の一部を構成しコイルが巻かれた第2の鉄心部が取り付けられており、第1、第2の各鉄心部は互いに結合する連結部を備えている。
上記の構成によれば、鉄心は第1、第2の鉄心部に分かれているので、電線固定部に鉄心支持部材を連結させることで、電圧線の周囲に鉄心を一周させることができる。
本発明によれば、電力量計を電線に外付けして電力の計測を行うことができるため、電力量計を電線に取り付ける際に、電線を切断する必要がなく、電力量計の交換工事を行う際にも電線を入出力端子から取り外す手間が無い。このように、電線の切断や取り外しを行う必要がないため、需要家側で停電を発生させずに取付工事や交換工事を行うことができる。
本発明の電力量計の原理を説明する平面図である。 本発明の電力量計の原理を説明する正面図である。 第1の鉄心部と第2の鉄心部の連結を説明する平面図である。 (A)は第1の鉄心部の斜視図、(B)は第1及び第2の各鉄心部の分解斜視図である。 鉄心の他の例を示す平面図である。 電圧検出端子の他の例を示す平面図である。 電力量計の外観を示す斜視図である。 電力量計の分解斜視図である。 電線固定部の斜視図である。 端子支持部材の平面図である。 電線固定部に端子支持部材を嵌め込んだ状態の斜視図である。 箱体の背面図である。 電線固定部及び箱体の平面図である。 従来の電力量計の原理を説明する図である。
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1~4を用いて本実施形態の電力量計10の構成を説明する。本実施形態の電力量計10は、変電所や柱上変圧器などの電力系統から需要家に引き込まれる単相3線式の配電方式で用いられる複数の電線Lに設けられるものである。単相3線式は、2本の電圧線L1,L2と1本の中性線Nとからなる3本の電線を用いて配電する方式であり、中性線Nと一方の電圧線L1との間の電圧V1及び中性線Nと他方の電圧線L2との間の電圧V2はそれぞれ交流100Vであって、電圧V1と電圧V2とは逆位相となっている。以下、電圧線L1,L2と中性線Nとを特に区別する必要がない場合は単に「電線L」と言う。
電力量計10は、各電圧線L1,L2と中性線Nとの間の電圧の値を計測するための電圧計測部20と、各電圧線L1,L2に流れる電流の値を非接触で検出する電流計測部30と、電圧計測部20で取得された電圧の値と電流計測部30で取得された電流の値とに基づき電力量を算出する電力量算出部40とを備えている。
電圧計測部20は、各電圧線L1,L2及び中性線Nの中心を通る導体Laと導通する3個の電圧検出端子21と、電圧検出端子21と接続され電圧検出端子21を介して中性線Nと電圧線L1との間の電圧V1及び中性線Nと電圧線L2との間の電圧を計測する2個の電圧計測回路22とを備えている。各電圧検出端子21は、尖頭部21aを有する鋲により構成されており、尖頭部21aは、電線Lの導体Laを被覆している絶縁層Lbを貫通して導体Laに当接する。
電流計測部30は、各電圧線L1,L2の周囲を一周する鉄心31と、各鉄心31に巻かれたコイル32と、コイル32の両端に接続されるシャント抵抗(図示せず)と、コイル32に接続される電流計測回路33とを含んでいる。
電流計測部30はいわゆるカレントトランス(CT)方式で電流計測を行っている。すなわち、電圧線L1,L2に流れる交流電流により鉄心31に交番磁束が発生し、この交番磁束によりコイル32及びシャント抵抗に電流が流れるので、シャント抵抗の両端に発生する電圧を電流計測回路33により計測することで、電圧線L1,L2に流れる交流電流を計測している。
本実施形態においては、各鉄心31は、図3(A)に示すように、平面形状が矩形状の第1の鉄心部34とU字状の第2の鉄心部35とから構成されている。第2の鉄心部35の一対の脚部35a、35aの間に電圧線L1,L2を位置させ、図3(B)に示すように、一対の脚部35a、35aの先端部を第1の鉄心部34の両端部とそれぞれ連結することで、鉄心31は環状を呈し、電圧線L1,L2の周囲を一周する。
詳細には、鉄心31は、図4(A)に示すパーツ36を4つ組み合わせたものである。各パーツ36は、同じ長さの帯状の3枚の鋼板36a、36b、36cのうち、中央の鋼板36bを長さ方向にずらして積層したものである。一方の端部には鋼板36a、36cの間に隙間36dが形成され、他方の端部には中央の鋼板36bの先端部による突出部36eが形成されている。各鋼板36a、36b、36cは、それぞれが薄い複数枚の鋼板を積層したものからなる。なお、鉄心31の素材は鋼板に限定されず、例えばパーマロイやファインメットを含む素材であってもよく、交番磁束が発生することができればいずれの素材であってもよい。
図4(B)に示すように、第1の鉄心部34は1つのパーツ36から構成されている。第2の鉄心部35は、3つのパーツ36がU字状に連結されたものであり、各パーツ36は一対の脚部35a、35aと脚連結部35bとを構成している。脚連結部35bの一方の端部の隙間36dに一方の脚部35aのパーツ36の突出部36eが挿入され、脚連結部35bの他方の端部の突出部36eが他方の脚部35aの端部の隙間36dに挿入され、それぞれ接着剤等で固定されている。
第1の鉄心部34の一端部の隙間36dに第2の鉄心部35の一方の脚部35aの突出部36eが挿入され、第1の鉄心部34の他端部の突出部36eが第2の鉄心部35の他方の脚部35aの隙間36dに挿入されることで、第1の鉄心部34と第2の鉄心部35とが連結され、環状の鉄心31が形成される。第1の鉄心部34の隙間36dと突出部36e、第2の鉄心部35の一方の脚部35aの突出部36eと他方の脚部35aの隙間36dとは連結部37を構成する。
図1、図3においては、鉄心31は平面形状が矩形状であるが、これに限定されず、円形状、楕円形状、D字状など、電圧線L1,L2の周囲を一周することができればどのような形状であってもよい。
また、図1、図3においては、コイル32は各鉄心31の上下方向の2箇所に分かれて巻かれ、電導線32aで直列に接続されているが、1箇所に巻かれていてもよく、3箇所、4箇所に巻かれていてもよい。
電流計測回路33、電圧計測回路22は、電力量算出部40に接続されている。電力量算出部40においては、電流計測回路33、電圧計測回路22により計測された電流の値、電圧の値を用いて電力量が算出される。
本実施形態では、鉄心31は第1の鉄心部34と直線状の第2の鉄心部35とを連結させて環状としているが、図5(A)に示すように、U字状の鉄心31の両方の先端部31aを回動可能に軸支し、図5(B)に示すように、各先端部31aを90度回動させて先端同士を当接させることで鉄心31を環状としてもよい。
電圧検出端子21は、図6(A)に示すように尖頭部21aを有するネジにより構成されていてもよい。電圧検出端子21を回転させると尖頭部21aは絶縁層Lbを貫通して導体Laに当接する。また、電圧検出端子21は、図6(B)、(C)に示すように、尖頭部21aとしての刃部を有する刃板により構成されていてもよい。刃板を電線Lの径方向にスライドさせると、尖頭部21aは絶縁層Lbを貫通して導体Laに当接する。図6(B)に示すように、刃板の尖頭部21aは平面視において導体Laの片側に位置するように設けられていてもよく、図6(C)に示すように、導体Laの両側に位置するように設けられていてもよい。
電力量計10は、単相2線式の配電方式で用いられる複数の電線Lに設けられていてもよく、この場合、電線Lは、1本の電圧線L1と1本の中性線Nとからなる。また、電力量計10は、三相3線式または三相4線式の配電方式で用いられる複数の電線Lに設けられていてもよい。
図1~図4に示す電力量計10の具体例の構成を図7~図13を用いて説明する。
電力量計10は、電線Lを整列状態で固定する電線固定部200を有する筐体100の内部に、電線L間の電圧の値を計測する電圧計測部20と、電圧線L1,L2を流れる電流の値を非接触で計測する電流計測部30と、電圧計測部20で取得された電圧の値と電流計測部30で取得された電流の値とに基づき電力量を算出する電力量算出部40とが組み込まれている。
図8、図9に示すように、電線固定部200は、前面が開放された横長の略矩形状のケース201を有し、ケース201の内部が仕切板202により上下の第1、第2の空間203、204に仕切られている。ケース201の上下壁205、206及び仕切板202には、それぞれ3つの切り欠き205a~205c、206a~206c、202a~202cが等間隔に設けられている。切り欠き205a、206a、202aに電圧線L1を貫通させ、切り欠き205b、206b、202bに中性線Nを貫通させ、切り欠き205c、206c、202cに電圧線L2を貫通させることで、電圧線L1,L2及び中性線Nは長さ方向が図9における上下方向に沿うように整列状態に位置決め固定される。
第1の空間203は後述する端子支持部材300が挿入される空間である。第1の空間203を形成するケース201の背壁207には、端子支持部材300をネジ308で固定するための4つのネジ穴208が等間隔に設けられている。ネジ穴208は電圧線L1,L2及び中性線Nが切り欠き205a~205c、206a~206c、202a~202cに位置決めされた状態で、電圧線L1,L2及び中性線Nの両側に位置する。また、第1の空間203の左右の両端には、後述する箱体400がネジ414で固定されるためのネジ穴209が設けられている。
第2の空間204には鉄心挿入部材210が挿入され固定されている。鉄心挿入部材210には、電流計測部30の2つの第1の鉄心部34がそれぞれ収容される収容部211、211が2つ横並びに形成されている。鉄心挿入部材210の前面は、各第1の鉄心部34の両端の連結部37が露出するように開放されている。また、鉄心挿入部材210の前面であって、切り欠き205a~205c、206a~206c、202a~202cと対応する位置に、電線Lを支持するための電線支持部212が形成されている。電線支持部212の前面は、電線Lの形状に沿って凹状となっている。鉄心挿入部材210は、図8に示すように、上下方向に分割された一対の半割体210a、210bからなる。
図8、図10、図11に示すように、端子支持部材300は、電圧検出端子21を電線Lの整列間隔に合わせて支持するものであり、電線固定部200の第1の空間203に嵌め込まれる。端子支持部材300の背面301は、電線固定部200の第1の空間203の背壁207と対向する面であり、電線固定部200に整列状態で固定された各電線Lとの対向位置には、上下が開放された凹溝部302がそれぞれ形成されている。電圧検出端子21は導電性を有し、尖頭部21aと鍔部21bとを備える鋲により構成されている。鍔部21bは外側に凸となる半球状に形成されている。
端子支持部材300の前面303は、凹溝部302が設けられた面と反対側の面であって、凹溝部302と対応する位置には、後述する接続端子404をガイドするための円筒部304が設けられている。凹溝部302の底部には、円筒部304の中空部と凹溝部302とを連通する連通孔305が形成されており、連通孔305に筒状ホルダ306が嵌め込まれている。各電圧検出端子21は、鍔部21bが筒状ホルダ306の円筒部304側の端面に当接し、凹溝部302の底部側の端面より尖頭部21aが突出するように各筒状ホルダ306に抜け止め状態で支持されている。
また、端子支持部材300には、前後方向に貫通する4つのネジ挿通孔307が等間隔に形成されている。ネジ挿通孔307は、電線固定部200の第1の空間203に端子支持部材300が嵌め込まれた際に、第1の空間203の背面に設けられたネジ穴208に対応する位置に設けられており、図11に示すように、端子支持部材300の前面303から端子支持部材300のネジ挿通孔307と電線固定部200のネジ穴208とにネジ308を通してネジ止めすることで、端子支持部材300が電線固定部200に固定される。
端子支持部材300が嵌め込まれた電線固定部200は、箱体400に取り付けられる。箱体400は、ベース体401とカバー体402(図8)とからなり、図12に示すように、ベース体401の背面401aの外面には、円筒部304と対応する位置に円形凹溝部403が形成されている。円形凹溝部403の内径は、端子支持部材300の円筒部304の外周径よりも若干大きく、箱体400に電線固定部200を取り付ける際に、円筒部304がベース体401の円形凹溝部403の内部に入り込むことが可能である。
円形凹溝部403には、導電性を有する接続端子404が円形凹溝部403の底部から突出するように設けられており、図13に示すように、接続端子404の先端部には中央部が内側に凹となる鍔部404bが形成されている。円筒部304がベース体401の円形凹溝部403の内部に嵌め込まれると、接続端子404が円筒部304の内部に進入し、接続端子404の凹状の鍔部404bが端子支持部材300の電圧検出端子21の後端部の凸状の鍔部21bと当接して電気的に接続される。接続端子404の軸の周囲には、接続端子404を電線固定部200側に向けて付勢するバネ405を配置し、バネ405により接続端子404の鍔部404bを電圧検出端子21の後端部の鍔部21bに押圧している。このため、接続端子404と電圧検出端子21とが離れることなく確実に電気的に接続される。接続端子404の前端部は、箱体400内に設けられ、電圧計測回路22が実装された回路基板406(図8)に電気接続されている。
箱体400のベース体401の背面401aの外面であって円形凹溝部403の下方には鉄心支持部材407が取り付けられている。鉄心支持部材407は、ベース体401の背面401aに設けられたピン孔(図示せず)に鉄心支持部材407の前面に設けられたピン408(図8)が挿入されることによりベース体401に固定されている。図8に示すように、鉄心支持部材407は前面が開放しており、内部に、電流計測部30の2つの第2の鉄心部35が挿入される第1、第2の空間409、410が左右方向に並んで形成されている。鉄心支持部材407の上下の壁411、412には、それぞれ切り欠き411a~411c、412a~412cが設けられている。切り欠き411a、412a及び411c、412cは、2つの第2の鉄心部35の一対の脚部35a、35aの間に形成され、切り欠き411b、412bは2つの第2の鉄心部35の間に形成されており、箱体400に電線固定部200が取り付けられた状態で電線固定部200の上下の壁205、206及び仕切板202の切り欠き205a~205c、206a~206c、202a~202cと揃う。電圧線L1,L2及び中性線Nは、鉄心支持部材407の切り欠き411a~411c、412a~412c、電線固定部200の切り欠き205a~205c、206a~206c、202a~202cに囲まれた空間を貫通する。
鉄心支持部材407の背面の一部が開放され、各第2の鉄心部35の一対の脚部35a、35aの先端部である連結部37が突出している。箱体400に電線固定部200を取り付けた際に、鉄心支持部材407が電線固定部200の第2の空間204に挿入され、第2の鉄心部35の連結部37が第1の鉄心部34の両端部の連結部37と連結される。
各第2の鉄心部35の一対の脚部35a、35aに巻かれたコイル32にはシャント抵抗が接続されるとともに、電流計測回路33が実装された回路基板406(図8)に電気接続され、電流計測回路33により電流が計測される。
電流計測回路33、電圧計測回路22が実装された回路基板406は、箱体400の内部に収容されている。また、回路基板406には電力量算出部40を構成する回路や、電力量算出部40で算出された電力量を表示する表示部416が実装されている。
箱体400は、ベース体401にカバー体402がネジ417(図8)により取り付けられたものである。また、ベース体401、カバー体402には、電線固定部200のネジ穴209に対応する位置にネジ穴413a、413bが設けられており、カバー体402の前側からネジ414をネジ穴413a、413b、209に挿入して箱体400に電線固定部200を取り付けている。
カバー体402の前面には電力量計10の種々の定格値等が記載されたプレート415が貼り付けられており、カバー体402の前面及びプレート415には表示部416の表示面を露出させるための開口402a、415aが設けられている。
なお、本実施形態では第1の鉄心部34が電線固定部200に取り付けられ、第2の鉄心部35が鉄心支持部材407に取り付けられているが、第2の鉄心部35が電線固定部200に取り付けられ、第1の鉄心部34が鉄心支持部材407に取り付けられていてもよい。
本実施形態の電力量計10を、変電所や柱上変圧器から家庭などの需要家に引き込まれている電線Lに取り付ける方法について説明する。
まず、所定の壁面等に電線固定部200を固定し、電線固定部200の切り欠き205a~205c、206a~206c、202a~202cに電圧線L1,L2及び中性線Nを押し込む。そして、端子支持部材300を電線固定部200の第1の空間203に嵌め込む。このとき、端子支持部材300に支持された各電圧検出端子21の尖頭部21aが、対向位置にある電線Lの導体Laを被覆している絶縁層Lbに突き刺さって貫通し、導体Laに当接する。
次に、箱体400を電線固定部200に取り付ける。具体的には、箱体400のベース体401の背面401aに設けられた円形凹溝部403に端子支持部材300の円筒部304が入り込み、鉄心支持部材407が電線固定部200の第2の空間204に挿入されるように箱体400と電線固定部200とが嵌め合わされる。このとき、円形凹溝部403に設けられた接続端子404の鍔部21bが、端子支持部材300に支持された電圧検出端子21の後端部の鍔部21bに当接して電気的に接続される。また、鉄心支持部材407に支持された第2の鉄心部35の脚部35a、35aの連結部37が、電線固定部200の第1の鉄心部34の連結部37と連結され、電圧線L1,L2の周囲を囲む鉄心31を形成する。
このように、電線Lに電力量計10が取り付けられた後、電圧計測回路22により中性線Nと各電圧線L1,L2との間の電圧が計測され、電流計測回路33により電圧線L1,L2を流れる電流が計測され、計測された電圧の値、電流の値から電力量算出部40で電力量が算出される。算出された電力量は、表示部416に表示される。
本実施形態によれば、電力量計10を電線Lに外付けして電力の計測を行うことができる。このため、電力量計10を電線Lに取り付ける際に、電線Lを切断する必要がない。また、本実施形態の電力量計10がすでに電線Lに取り付けられている場合に電力量計10の交換工事を行うには、電線Lに突き刺さっている古い電力量計10の電圧検出端子21を抜き取り、新たな電力量計10の電圧検出端子21を突き刺せばよいため、電線Lを電力量計の一次側及び二次側端子台から取り外す手間が無い。このように、電線Lの解列を行う必要がないため、アーク災害が発生することがなく、家庭などの需要家側で停電を発生させずに取付工事や交換工事を行うことができる。
また、従来技術における電力量計は、柱上変圧器からの電力が全て電力量計を経由しており、電力量計内において、一次側及び二次側端子台にバスバーが接続されてバスバーに電流が流れる。このとき、バスバーの抵抗と、電力量計内を流れる電流とに応じて発熱する。このため、発熱を抑制するためには、電力量計内のバスバーの抵抗をできるだけ小さくする必要がある。抵抗を小さくするためには、バスバーの断面積が大きく容積の大きいバスバーを用いる必要があり、電力量計が大型化する。
本実施形態の電力量計10は、電力を電力量計内に引き込むことなく電力の計測を行うことができるため、電力量計10内に電流を流すためのバスバーを設ける必要がなく、小型化が可能となる。
また、従来、日本における電力量計においては、一般的に定格電流30A,60A,120Aの電力量計が用いられており、需要家は契約アンペアに応じて電力量計を選択している。電力量計は定格電流が大きくなるほど大型化するため、例えば契約アンペアが小さい場合には定格電流が小さい電力量計を用いることで、省スペース化を図っている。しかし、本実施形態の電力量計10は上述したようにバスバーを設ける必要がなく、定格電流が120Aの電力量計10であっても十分に小型である。このため、本発明の電力量計10によれば、従来のように定格電流に応じた電力量計を用意しなくとも、最大の定格電流の電力量計10を用意すれば、省スペースを図ることができる。なお、最大の定格電流の電力量計10を用いれば、定格電流より小さい電流値は測定可能である。
また、従来においては、電力量計の交換工事の際に、一次側及び二次側端子台に電線Lを接続するが、接続が不完全な場合には、電線Lと一次側及び二次側端子台との接触抵抗が大きくなり、発火や発煙が生じる可能性がある。本実施形態の電力量計10においては、電力は電力量計10に引き込まれず大きな電流が電力量計10内を流れないため、電圧検出端子21と電線Lの導体Laとの接続が不完全であったとしても、発火や発煙が発生しにくくなる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
10 電力量計
20 電圧計測部
21 電圧検出端子
21a 尖頭部
30 電流計測部
31 鉄心
32 コイル
34 第1の鉄心部
35 第2の鉄心部
37 連結部
40 電力量算出部
100 筐体
200 電線固定部
300 端子支持部材
302 凹溝部
306 筒状ホルダ
404 接続端子
406 回路基板
L 電線
La 導体
Lb 絶縁層
L1,L2 電圧線
N 中性線

Claims (12)

  1. 複数本の電線の電線間の電圧の値を計測するための電圧計測部と、
    前記複数本の電線のうちの電圧線に流れる電流の値を非接触で検出する電流計測部と、
    前記電圧計測部で取得された電圧の値と前記電流計測部で取得された電流の値とに基づき電力量を算出する電力量算出部とを備え、
    前記電圧計測部は、各電線の中心を通る導体と導通する電圧検出端子を備え、
    前記各電圧検出端子は、電線の前記導体を被覆している絶縁層を貫通して前記導体に当接する尖頭部を備え
    前記電流計測部は、前記電圧線の周囲を一周する鉄心を含み、前記鉄心は、U字状部の両方の先端に回動可能に軸支された一対の先端部が90度回動し、前記先端部の先端同士が当接して環状に形成されている、
    電力量計。
  2. 前記複数の電線は、2本の電圧線と1本の中性線とを含み、前記電圧計測部は、各電圧線と中性線との間の電圧の値を計測し、前記電流計測部は、各電圧線を流れる電流の値を計測する請求項1に記載の電力量計。
  3. 前記複数の電線は、1本の電圧線と1本の中性線とを含み、前記電圧計測部は、前記電圧線と前記中性線との間の電圧の値を計測し、前記電流計測部は、前記電圧線を流れる電流の値を計測する請求項1に記載の電力量計。
  4. 前記電圧検出端子は、尖頭部を有する鋲により構成される請求項1に記載の電力量計。
  5. 前記電圧検出端子は、尖頭部を有するネジにより構成される請求項1に記載の電力量計。
  6. 前記電圧検出端子は、尖頭部を有する刃板により構成される請求項1に記載の電力量計。
  7. 前記電流計測部は、前記鉄心に巻かれたコイルと、前記コイルの両端に接続されるシャント抵抗とをさらに含む請求項1に記載の電力量計。
  8. 複数本の電線を整列状態で固定する電線固定部を有する筐体に、複数本の電線の電線間の電圧の値を計測する電圧計測部と、前記複数本の電線のうち電圧線を流れる電流の値を非接触で計測する電流計測部と、前記電圧計測部で取得された電圧の値と前記電流計測部で取得された電流の値とに基づき電力量を算出する電力量算出部とが組み込まれており、
    前記電圧計測部は、各電線の中心を通る導体と導通する電圧検出端子を備え、前記各電圧検出端子は、対向位置にある電線の前記導体を被覆している絶縁層を貫通して前記導体に当接する尖頭部を備え、前記電線固定部上に固定される端子支持部材に電線の整列間隔に合わせて支持され
    前記電流計測部は、前記電圧線の周囲を一周する鉄心を含み、前記鉄心は、U字状部の両方の先端に回動可能に軸支された一対の先端部が90度回動し、前記先端部の先端同士が当接して環状に形成されている、
    電力量計。
  9. 前記端子支持部材は、前記電線固定部に整列状態で固定された各電線との対向位置に凹溝部を有し、前記各凹溝部の底部より前記尖頭部が突出するように各電圧検出端子が前記端子支持部材に支持されている請求項8に記載の電力量計。
  10. 前記端子支持部材は、複数個の筒状ホルダを有しており、前記各筒状ホルダの端より前記尖頭部が突出するように前記各電圧検出端子が前記各筒状ホルダに支持されている請求項8または9に記載の電力量計。
  11. 前記各電圧検出端子は、後端部に接続端子がバネにより押圧された状態で当接しており、前記各接続端子は、前記電圧計測部を構成する回路が実装された回路基板に電気接続されている請求項8から10のいずれかに記載の電力量計。
  12. 前記電流計測部は、前記鉄心に巻かれたコイルと、前記コイルの両端に接続されるシャント抵抗とをさらに含む請求項8に記載の電力量計。
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