しかしながら、特許文献2および特許文献3に記載されている板状逆F型アンテナは、パッチアンテナに比べて一辺の等価電気長を、例えば以下に示す如く計算式1によって求められるGPSの電波の波長λ(=20cm)のλ/4のサイズ(5cm)まで短くすることができるが、この長さのアンテナでは、時計のサイズによっては、携帯型電子機器(例えば腕時計)のケース内に納めることができない場合があった。
<計算式1>
c(光の速度)=Freq(GPS周波数)×λ
c=0.3×109(km/秒)、Freq=1.57542×109(Hz)
λ=c/Freq=(0.3×109)/(1.57542×109)=20(cm)
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る携帯型電子機器は、給電部と接続されている板状の第1の導体素子と、平面視で、前記第1の導体素子と重なるように配置され、接地部を含む板状の第2の導体素子と、前記第1の導体素子と前記第2の導体素子とを接続している短絡部と、前記第1の導体素子と前記第2の導体素子との間に配置され、駆動要素が取り付けられている非導電性の地板と、を含む。
本適用例に記載の携帯型電子機器によれば、非導電性の地板を誘電体として見立てて、地板による波長短縮効果を利用することにより、給電部と接続されている板状の第1の導体素子と、接地部を含む板状の第2の導体素子と、第1の導体素子と第2の導体素子とを接続している短絡部とによって構成される板状逆F型アンテナを小型化することができる。これにより、小型の携帯型電子機器(例えば腕時計)のケース内に、板状逆F型アンテナを収容することが可能となる。そして、このような構成の板状逆F型アンテナをケース内に収容すれば、小型の携帯型電子機器を実現することができる。
[適用例2]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、少なくとも前記駆動要素を制御する回路が構成されている回路基板を含むことが好ましい。
本適用例によれば、少なくとも駆動要素を制御する回路(制御回路)が構成された回路基板が含まれることにより、駆動要素の制御を行うことができる。
[適用例3]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、前記地板および前記回路基板は、前記第1の導体素子と前記第2の導体素子との間に配置されていることが好ましい。
本適用例によれば、先行文献1のような、ムーブメントにアンテナを重ねるなどの構造と比較して、第1の導体素子と第2の導体素子との間のスペースに地板および回路基板を配置することにより、配置効率を高めることができ、厚さを低減させた携帯型電子機器とすることができる。
[適用例4]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、第1の耐磁板と、第2の耐磁板と、を含み、前記地板と前記回路基板は、前記第1の耐磁板と前記第2の耐磁板との間に配置されていることが好ましい。
本適用例によれば、第1の耐磁板と第2の耐磁板との間に配置された地板および回路基板の、外部から受ける磁場の影響を低減することができる。
[適用例5]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、前記第1の耐磁板、前記地板、前記回路基板、および前記第2の耐磁板は、前記第1の導体素子と前記第2の導体素子との間に配置されていることが好ましい。
本適用例によれば、第1の導体素子と第2の導体素子との間に、第1の耐磁板、地板、回路基板、および第2の耐磁板を配置することにより、第1の耐磁板、地板、回路基板などと第1の導体素子と第2の導体素子を含むアンテナとを別々に配置する場合に比べて配置効率を高めることができ、厚さを低減させた携帯型電子機器とすることができる。
[適用例6]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、前記第2の導体素子は、前記地板と前記回路基板との間に配置されていることが好ましい。
本適用例によれば、第2の導体素子を地板と回路基板との間に配置することができ、配置のバリエーションを多彩にすることができる。
[適用例7]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、前記第1の導体素子、前記地板、前記第2の導体素子、および前記回路基板は、前記第1の耐磁板および前記第2の耐磁板の間に配置されていることが好ましい。
本適用例によれば、第1の耐磁板および第2の耐磁板との間に、第1の導体素子、地板、第2の導体素子、および回路基板が配置されることにより、電流が耐磁板に流れてしまうことに起因した電流ロスを低減した携帯型電子機器とすることができる。
[適用例8]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、前記駆動要素は、モーターと歯車とを含むことが好ましい。
本適用例によれば、駆動要素にモーターと歯車とが含まれることにより、計時動作を容易に行うことができる。
[適用例9]本適用例に係る携帯型電子機器は、給電部に接続されている板状の第1の導体素子と、平面視で、前記第1の導体素子と重なるように配置され、接地部を含む板状の第2の導体素子と、前記第1の導体素子と前記第2の導体素子とを接続している短絡部と、前記第1の導体素子と前記第2の導体素子との間に配置されている非導電性の日車および非導電性の日車押えと、前記第2の導体素子の前記第1の導体素子側とは反対側に、前記第2の導体素子と重なるように配置されているムーブメントと、を含む。
本適用例に記載の携帯型電子機器によれば、非導電性の日車および日車押えを誘電体として見立てて、日車および日車押えによる波長短縮効果を利用することにより、給電部と接続された板状の第1の導体素子と、接地部を含む板状の第2の導体素子と、第1の導体素子と第2の導体素子とを接続している短絡部とによって構成される板状逆F型アンテナを小型化することができる。また、第2の導体素子の第1の導体素子側とは反対側に、第2の導体素子と重なるようにムーブメントが配置されていることにより、配置効率を高めることができる。これらにより、小型の携帯型電子機器(例えば腕時計)のケース内に、板状逆F型アンテナおよびムーブメントを収容することが可能となる。そして、このような構成の板状逆F型アンテナおよびムーブメントをケース内に収容すれば、小型の携帯型電子機器を実現することができる。
[適用例10]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、回路基板を含み、前記ムーブメントは、前記第2の導体素子と前記回路基板との間に配置されていることが好ましい。
本適用例によれば、第2の導体素子と回路基板との間にムーブメントが配置されていることにより、配置効率を高めることができる。
[適用例11]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、前記第1の導体素子の前記給電部は、前記回路基板の給電端子に接続され、前記第2の導体素子の前記接地部は、前記回路基板のグランド端子に接続されていることが好ましい。
本適用例によれば、このような構成とすることにより、板状逆F型アンテナを構成することができる。
[適用例12]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、前記第1の導体素子および前記第2の導体素子は、金属製、および金属被覆を備えた構成の少なくともいずれかであることが好ましい。
本適用例によれば、より薄型化が可能で、且つ成形を容易に行うことが可能な第1の導体素子および第2の導体素子を構成することができる。
[適用例13]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、前記第1の導体素子、前記第2の導体素子、および前記短絡部は、一体構造で形成されていることが好ましい。
本適用例によれば、第1の導体素子、第2の導体素子、および短絡部をより効率的に形成することができる。
[適用例14]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、前記短絡部は、湾曲部を含むことが好ましい。
本適用例によれば、湾曲部により、外部から受けた衝撃を緩衝する緩衝部として機能することができる。
[適用例15]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、前記短絡部は、複数の接続部を含むことが好ましい。
本適用例によれば、短絡部を複数設けることにより、短絡部の接触抵抗を低減することができ、また、板状逆F型アンテナの抵抗を小さくし、板状逆F型アンテナ自体により多くの電流を幅広く流すことができる。このため、板状逆F型アンテナ自体のロスを低減することができる。
[適用例16]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、前記短絡部は、複数配置され、一方の端に位置する前記短絡部と前記第1の導体素子の中心とを結ぶ第1仮想線と、他方の端に位置する前記短絡部と前記第1の導体素子の中心とを結ぶ第2仮想線と、のなす角θは、0度<θ≦90度を満たしていることが好ましい。
本適用例によれば、短絡部を複数設けることにより、短絡部の接触抵抗を低減することができ、また、板状逆F型アンテナの抵抗を小さくし、板状逆F型アンテナ自体により多くの電流を幅広く流すことができる。このため、板状逆F型アンテナ自体のロスを低減することができる。また、一方の端に位置する短絡部と第1の導体素子の中心とを結ぶ第1仮想線と、他方の端に位置する短絡部と第1の導体素子の中心とを結ぶ第2仮想線と、のなす角度を角θとしたとき、一方の端に位置する短絡部と、他方の端に位置する短絡部とを、0度<θ≦90度を満たす位置に配置することにより、板状逆F型アンテナの共振周波数を高くして、受信する衛星電波の周波数に共振できるようにすることができる。
[適用例17]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、前記短絡部は、複数配置され、一方の端に位置する前記短絡部と前記第1の導体素子の中心とを結ぶ第1仮想線と、他方の端に位置する前記短絡部と前記第1の導体素子の中心とを結ぶ第2仮想線と、のなす角θは、0度<θ≦170度を満たしていることが好ましい。
本適用例によれば、短絡部を複数設けることにより、短絡部の接触抵抗を低減することができ、また、板状逆F型アンテナの抵抗を小さくし、板状逆F型アンテナ自体により多くの電流を幅広く流すことができる。このため、板状逆F型アンテナ自体のロスを低減することができる。また、一方の端に位置する短絡部と第1の導体素子の中心とを結ぶ第1仮想線と、他方の端に位置する短絡部と第1の導体素子の中心とを結ぶ第2仮想線と、のなす角度を角θとしたとき、一方の端に位置する短絡部と、他方の端に位置する短絡部とを、0度<θ≦170度を満たす位置に配置することにより、板状逆F型アンテナの共振周波数を高くして、受信する衛星電波の周波数に共振できるようにすることができる。
[適用例18]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、前記第1の導体素子の前記第2の導体素子側とは反対側に、前記第1の導体素子と重なるように配置されている文字板と、前記文字板と前記第1の導体素子との間に配置され、前記文字板側から入射した光を受光して発電するソーラーパネルと、を含むことが好ましい。
本適用例によれば、第1の導体素子の第2の導体素子側とは反対側に第1の導体素子と重なるように配置されている文字板と、文字板と第1の導体素子との間に配置され、文字板側から入射した光を受光して発電するソーラーパネルと、を配置効率よく構成することができる。
また、第1の導体素子の大きさをソーラーパネルのサイズ以上とすることにより、ソーラーパネルの影響を受けずに、電波を受信することができる。また、ソーラーパネルの金属面を第1の導体素子と見立てて共用することにより、共用しない場合と比較して小型化することができる。
[適用例19]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、金属製のケースを含み、前記ケースの内側に収容されている前記第1の導体素子の外縁と、前記ケースの内壁との間の距離は、平面視で、1mm以上であることが好ましい。
本適用例によれば、ケースの内側に収容されている第1の導体素子の外縁と、ケースの内壁との間の距離を、平面視で1mm以上とすることにより、金属製のケースであっても第1の導体素子の外縁におけるGPS電波の受信を確実に行うことができる。なお、金属ケースを用いることにより、放射効率を高く(例えば74%)することができ、板状逆F型アンテナとしての受信性能を向上させることができる。
[適用例20]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、前記第1の導体素子が、第1の耐磁板であることが好ましい。
[適用例21]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、前記第2の導体素子が、第2の耐磁板であることが好ましい。
[適用例22]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、前記地板および前記回路基板は、前記第1の耐磁板および前記第2の導体素子の間に配置されていることが好ましい。
[適用例23]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、前記第2の耐磁板は、前記地板と前記回路基板との間に配置されていることが好ましい。
上記適用例20~適用例23の構成を用いることにより、それぞれ板状逆F型アンテナを含む構成であって、より薄型の内部構造体を実現することができる。
[適用例24]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、支持部によって支持されているソーラーパネルを備え、前記支持部が、前記第1の導体素子を兼ねることが好ましい。
本適用例によれば、ソーラーパネルの支持部を第1の導体素子と兼用することにより、兼用しない場合と比較して、内部構造体を小型化することができる。
[適用例25]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、平面視で、前記第1の導体素子の少なくとも一部は、前記ソーラーパネルの外縁よりも外側にあることが好ましい。
本適用例によれば、第1の導体素子の大きさをソーラーパネルのサイズ以上とすることにより、ソーラーパネルの影響を受けずに、電波を受信することができる。また、ソーラーパネルの金属面を第1の導体素子と見立てて共用することにより、共用しない場合と比較して小型化することができる。
[適用例26]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、前記第1の導体素子は、貫通孔が形成され、前記貫通孔の中に、回転軸が配置されていることが好ましい。
本適用例によれば、第1の導体素子の設けられた貫通孔の中に、回転軸が配置されることから、指示針を用いたアナログ表示を行うことができる。
[適用例27]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、前記ソーラーパネルで発電された電力は、前記短絡部に沿って配置された導通部により前記回路基板に入力されることが好ましい。
本適用例によれば、導通部を短絡部に沿って配置することにより、ソーラーパネルのアンテナに対する影響を小さくすることができる。
[適用例28]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、前記導通部は、コイルを含むことが好ましい。
本適用例によれば、短絡部に沿って配置された導通部に含まれているコイルにより、ソーラーパネルにおける高周波成分をカットすることができ、ソーラーパネルのアンテナに対する影響を低減することができる。
[適用例29]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、前記コイルは、一方の端部が前記ソーラーパネルに接続され、他方の端部が前記回路基板に接続されていることが好ましい。
本適用例によれば、一方の端部がソーラーパネルに接続され、他方の端部が回路基板に接続されているコイルにより、ソーラーパネルにおける高周波成分をカットすることができ、ソーラーパネルのアンテナ性能に対する影響を低減することができる。
[適用例30]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、前記第1の導体素子と前記第2の導体素子との間に配置された非導電性のスペーサーを備え、前記スペーサーは、前記第1の導体素子に対向する側と、前記第2の導体素子に対向する側とが、略平行に構成されていることが好ましい。
本適用例によれば、第1の導体素子と第2の導体素子との間に配置された非導電性のスペーサーによって、第1の導体素子と第2の導体素子とを略平行に支持することができる。これにより、第1の導体素子と第2の導体素子との平行度が保てなくなることによるアンテナ感度の低下や共振周波数のばらつきなどを低減することができる。
[適用例31]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、前記スペーサーは、前記日車押えよりも誘電正接の値が小さな樹脂を用いて構成されていることが好ましい。
本適用例によれば、スペーサーの誘電正接によるアンテナの受信の損失を低減することができる。一般的に、誘電正接が大きいと電力損失が増加するため、アンテナにとっては不利になるが、スペーサーの材質を、日車押えよりも誘電正接の小さな(例えば、1×10-4程度)樹脂とすることにより、アンテナの受信の損失を低減することができる。
[適用例32]上記適用例に記載の携帯型電子機器において、前記スペーサーと前記日車押えとは、前記樹脂によって一体的に構成されていることが好ましい。
本適用例によれば、スペーサーと日車押えとを、誘電正接の小さな(例えば、1×10-4程度)樹脂により一体構成することにより、誘電正接が大きいことによる電力損失を低減することができ、アンテナの受信の損失を低減することができる。
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施の形態を説明する。なお、図面において各部の寸法や縮尺は実際のものと適宜異なる。また、以下に記載する実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
<実施形態>
図1、図2、図3、図4、図5A、および図5Bを参照して、本発明の携帯型電子機器としての電子時計について説明する。図1は、本発明の携帯型電子機器としての電子時計を含むGPSの全体図である。図2は、第1実施形態に係る電子時計の概略を示す斜視図である。図3は、第1実施形態に係る電子時計の内部構成を示す断面図である。図4は、第1実施形態に係る電子時計の内部構造体の概略を示す斜視図である。図5Aは、第1実施形態に係る電子時計に用いられる板状逆F型アンテナを示す斜視図である。図5Bは、板状逆F型アンテナの変形例を示す図5AのP視図に相当する図である。
携帯型電子機器としての電子時計Wは、GPS衛星8からの電波(衛星信号)を受信して内部時刻を修正する腕時計の機能と、GPS時刻情報と軌道情報とを使用して測位計算(位置情報の取得)機能と、を少なくとも備えている。そして、電子時計Wは、ユーザーの腕と接触する側の面と反対側に位置する表示部5において、時刻の情報、および位置情報などを、指示針74などによって表示する。なお、以降の説明では、電子時計Wのユーザーの腕と接触する側を裏面側、その反対側を表面側と称する場合がある。また、裏面側から表面側に向かう方向に沿って、表面側から見た場合を「平面視」と称することがある。
(第1実施形態)
図1に示すように、GPS衛星8は、地球の上空において、所定の軌道上を周回する位置情報衛星の一例である。GPS衛星8は、航法メッセージが重畳された高周波の電波、例えば1.57542GHzの電波(L1波)を地上に送信している。以降の説明では、航法メッセージが重畳された1.57542GHzの電波を衛星信号という。衛星信号は、右旋偏波の円偏波である。
現在、複数のGPS衛星8(図1においては、4個のみを図示)が存在している。衛星信号がどのGPS衛星8から送信されたかを識別するために、各GPS衛星8は、C/Aコード(Coarse/Acquisition Code)と呼ばれる1023chip(1ms周期)の固有のパターンを衛星信号に重畳する。C/Aコードは、各chipが+1、または-1のいずれかであり、ランダムパターンのように見える。したがって、衛星信号と各C/Aコードのパターンの相関をとることにより、衛星信号に重畳されているC/Aコードを検出することができる。
GPS衛星8は原子時計を搭載している。衛星信号には、原子時計で計時された極めて正確なGPS時刻情報が含まれている。地上のコントロールセグメントにより、各GPS衛星8に搭載されている原子時計のわずかな時刻誤差が測定されている。衛星信号には、その時刻誤差を補正するための時刻補正パラメーターも含まれている。電子時計Wは、1つのGPS衛星8から送信された衛星信号(電波)を受信し、その中に含まれるGPS時刻情報と時刻補正パラメーターとを使用して時刻情報を取得する。この時刻情報を取得することができる動作モードを「測時モード」と称し、所得した時刻情報を使用して電子時計Wの内部時刻(分と秒)を修正することができる。
衛星信号には、GPS衛星8の軌道上の位置を示す軌道情報も含まれている。電子時計Wは、GPS時刻情報と軌道情報とを使用して測位計算を行うことができる。測位計算は、電子時計Wの内部時刻にある程度の誤差が含まれていることを前提として行われる。すなわち、電子時計Wの三次元の位置を特定するためのx,y,zパラメーターに加えて時刻誤差も未知数になる。そのため、電子時計Wは、例えば三つ以上のGPS衛星8からそれぞれ送信された衛星信号(電波)を受信し、その中に含まれるGPS時刻情報と軌道情報を使用して測位計算を行い、現在地の位置情報を取得する。この位置情報を取得することができる動作モードを、「測位モード」と称し、取得した位置情報に基づいて時差が修正され、自動的に現地時刻を表示することができる。測位モードでの受信動作は、前記した測時モードでの受信動作と比較して消費電力が大きいため、時差修正が必要のない使用環境での内部時刻の修正動作(手動受信あるいは自動受信)は、測時モードで実行されることが好ましい。
図2に示すように、電子時計Wは、ユーザーの所与の部位(例えば、手首)に装着され、現在時刻、およびユーザーの位置情報や移動情報(物理量の情報)などを表示する。電子時計Wは、ユーザーに装着されて現在時刻、およびユーザーの位置情報や移動情報(物理量の情報)などを検知したり表示したりする機器本体10と、機器本体10に取り付けられ機器本体10をユーザーに装着するためのバンド部35,36と、を有する。なお、電子時計Wには、現在時刻、およびユーザーの位置情報や移動情報(物理量の情報)に加えて、例えば脈波センサーによって脈波情報などの生体情報を検出し、表示する機能を設けてもよい。
機器本体10は、ケース30として、ユーザーへの装着側にボトムケース33が配置され、ユーザーへの装着側と反対側には、トップケース32が配置されている。ボトムケース33およびトップケース32は、例えばステンレススチールなどの金属、もしくは樹脂などによって形成することができるが、金属によって構成することが好ましい。ボトムケース33およびトップケース32が金属によって構成されていることにより、ボトムケース33およびトップケース32に収容されている種々の構成要素に係る計測精度に影響する外部からの外乱ノイズを遮蔽することができる。また、高級感を感じさせたりファッション性を高めたりすることができる。また、トップケース32とボトムケース33とに分離される態様のものでなくてもよく、一体構造であったり、ユーザーへの装着側に裏蓋が設けられていたりする構成でもよい。
図3に示すように、トップケース32は、トップケース32の外縁側に位置し、表面側に向かって開口する有底の凹部31を有している。凹部31は、トップケース32の外縁に沿ったリング状に設けられている。凹部31の内周側には、表面側に向かって突出する突起部39が立設されている。凹部31には、ベゼル75の少なくとも一部が挿入され、固着されている。ベゼル75は、ガラス板71側に張り出す庇部75aを有している。ベゼル75は、例えばステンレス材や真鍮(黄銅)材の表面にメッキ処理を施した材料で形成することができる。このベゼル75の内側には、内部構造体1を保護するガラス板71が設けられている。ガラス板71は、突起部39の内周面に接合部材78を介して接続されている。
機器本体10は、ガラス板71の直下に設けられる文字板70を含む表示部5(図2参照)を備え、表示部5の表示をガラス板71を介してユーザーが閲覧可能な構成となっている。つまり本実施形態の電子時計Wでは、検出した位置情報や移動情報(物理量の情報)、或いは時刻情報などの種々の情報を表示部5に表示し、当該表示を機器本体10のトップ側からユーザーに提示するものであってもよい。なお、表示部5に表示される情報は、例えば受信部で受信した衛星信号に含まれる情報そのもの、受信した衛星信号を処理して得られた現在時刻、現在位置、移動距離や速度などである。また、機器本体10の側面には、例えば表示部5に表示される表示モードを切り替えたり、指示針74の運針の開始や停止を切り替えたりする複数のボタン13,15(図2参照)が設けられている。
なお、ここでは機器本体10の天板部分をガラス板71により実現する例を示したが、ユーザーが表示部5を閲覧可能な透光性を有する部材であり、トップケース32とボトムケース33の内部に含まれる表示部5などの構成を保護可能な程度の強度を有する部材であれば、透明のプラスチックなど、ガラス以外の材料により天板部分を構成することが可能である。また、ベゼル75が設けられた構成例を示したが、ベゼル75の設けられていない構成であってもよい。また、ベゼル75の表面もしくは文字板70の表面や裏面に太陽光などによる発電機能を有する不図示のソーラーパネルを配置してもよい。
電子時計Wは、さらに、図3に示すように、文字板70と、文字板70とガラス板71との間に設けられた見切り板72と、文字板70、トップケース32およびボトムケース33によって構成される内部空間34に収容された内部構造体1を有している。内部構造体1は、図3および図4に示すように、第1の導体素子51および第2の導体素子52を含む板状逆F型アンテナと、回路基板45と、回路基板押え43と、地板60と、第1の耐磁板46と、第2の耐磁板47と、電源部としての電池48と、を備えている。なお、第1の導体素子51と第1の耐磁板46との間にあって、図4に示す位置に日車376を設けることができるが、図3に示す構成では図示および説明を省略している。また、第1の導体素子51には、日車376の一部を視認させるための開口部90が設けられ、文字板70の第1の導体素子51の開口部90に対応する箇所には、日窓(不図示)が設けられる。
電子時計Wは、内部構造体1として、さらに、表示部5の指示針74(時針、分針、秒針などを含む)を駆動する駆動要素としてのステップモーター(モーター)58と、ステップモーター58の回転を回転軸としての軸59に伝える中間車(歯車)56,57と、を含む動力伝達機構を備えている。電子時計Wでは、駆動源であるステップモーター58の回転を、中間車(歯車)56,57などによって減速して軸59に伝え、軸59が回転することによって指示針74が回転移動することができる。なお、ステップモーター58と、中間車(歯車)56,57と、軸59とを含む動力伝達機構は、地板60に固定されている。
図5A、および図5Bも併せて参照しながら、板状逆F型アンテナの構成を説明する。板状逆F型アンテナ(PIFA(Plate Inverted F Antenna、またはPlanar Inverted F Antenna))は、GPS衛星8からのGPS時刻情報と軌道情報とを含む高周波の電波(衛星信号)を受信するアンテナとして機能する。板状逆F型アンテナは、給電部としての給電素子54と接続された板状の第1の導体素子(放射板)51と、平面視で、第1の導体素子51と重なるように対向配置され、接地部55を含む板状の第2の導体素子(グランド板)52と、第1の導体素子51と第2の導体素子52とを短絡している短絡部53と、を含み構成されている。なお、「平面視」は、内部構造体1、文字板70、およびガラス板71の配列された方向において、ガラス板71の側から見た場合と言い換えることができる。板状逆F型アンテナは、短絡部53を用いて第1の導体素子51と第2の導体素子52とを短絡すると共に、給電素子54により回路基板45に給電して電波放射を得る構造となっている。また、第1の導体素子51の、動力伝達機構を構成する軸59などと平面視で重なる位置には、貫通孔51Hが設けられており、この貫通孔51Hの中に軸59が配置されることによって、第1の導体素子51の裏面側から表面側(文字板70側)に軸59を挿通させることができる。
ここで、金属製のケース30を用いる場合、平面視で、第1の導体素子51の外縁とケース30の内壁との間の距離Dが、1mm以上であることが好ましい。このような配置によれば、金属製のケース30であっても第1の導体素子51の外縁におけるGPS電波の受信を確実に、且つ効率よく行うことができる。なお、樹脂製のケースの場合は、GPS電波が樹脂製のケースを通過しユーザーの所与の装着部位である手首に吸収されるなどによる影響が大きく放射効率が低く(例えば、45%程度)なる。これに対し、金属製のケース30を用いることにより、GPS電波が金属製のケースによって反射されるため、装着部位による影響を抑えることができ、放射効率を高く(例えば74%)することができ、板状逆F型アンテナとしての受信性能を向上させることができる。
板状逆F型アンテナを構成する第1の導体素子51および第2の導体素子52は、例えば銅、銅合金、アルミ、アルミ合金などの金属薄板で形成されることが好ましい。このように第1の導体素子51および第2の導体素子52を金属製とすることにより、薄型化が可能で、且つ成形を容易に行うことができる。なお、第1の導体素子51および第2の導体素子52は、非導電性の薄板を基材とし、その表面に金属被覆を備えた構成とすることができる。金属被覆は、例えば銅、銀、ニッケル、アルミなどのメッキ処理によって形成することができる。また、第1の導体素子51および第2の導体素子52のうち、いずれか一方を金属製とし、他方を基材に金属皮膜を施した構成としてもよい。
第1の導体素子51および第2の導体素子52は、外縁部に設けられた複数の短絡部53によって接続されている。短絡部53は、第1の導体素子51および第2の導体素子52と同様な材質によって形成することができる。なお、短絡部53は、第1の導体素子51と第2の導体素子52とを垂直に接続するように直線状に形成されてもよいし、図3に示すように外周側に膨らんだ湾曲部53pを含んで形成されてもよい。このような湾曲部53pを設けることにより、外部から受けた衝撃を緩衝する緩衝部として湾曲部53pが機能することができる。
なお、短絡部53は、図5Bに示すように、複数の接続部531,532,533を含んでもよい。このように、短絡部53が、複数の接続部531,532,533を含むことにより、短絡部53の接触抵抗を低減することができるので、第1の導体素子51および第2の導体素子52に対してより多くの電流を流すことができる。
また、第1の導体素子51、第2の導体素子52、および短絡部53は、例えば金属薄板をプレス加工によって折り曲げ成形する方法などを用いた、所謂一体構造で形成されていることが好ましい。このような構成を適用すれば、板状逆F型アンテナを、より効率的に形成することができる。
また、第2の導体素子52に含まれている接地部55は、回路基板45に設けられているグランド端子(接地端子)41に、接続端子61を介して電気的に接続されている。
給電部としての給電素子54は、第1の導体素子51と回路基板45との間に配置される。給電素子54は、回路基板45上に設けられた給電端子42に接続され、第1の導体素子51および第2の導体素子52により受信した信号を、回路基板45上の回路に供給する機能を有している。
回路基板45は、第1の導体素子51と第2の導体素子52との間に配置され、絶縁基板上に種々の導通配線や導通端子が形成されている。具体的に、回路基板45には、前述した板状逆Fアンテナとの接続端子として、グランド端子41、および給電端子42が設けられている。グランド端子41は、第2の導体素子52の接地部55と接続され、給電端子42は、給電素子54を介して第1の導体素子51と接続されている。回路基板45は、板状逆Fアンテナの受信した衛星信号を処理する受信回路や、指示針74を回転移動させる駆動要素を構成するステップモーター58の駆動などを制御する制御回路などの回路を含んでいる。そして、回路基板45は、回路基板押え43によって、地板60に取り付けられている。
なお、回路基板45に含まれている制御回路は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)、CPU(Central Processing Unit)、SRAM(Static Random Access Memory)、RTC(Real Time Clock)温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO:Temperature Compensated Crystal Oscillator)、フラッシュメモリーなどの回路素子44を含み構成されている。このような制御回路を含む回路基板45により、ステップモーター58などの駆動要素の制御を行うことができる。
地板60は、例えばプラスチックなどの非導電性の材料によって構成され、第1の導体素子51と第2の導体素子52との間に配置されている。地板60には、駆動要素としてのステップモーター58、中間車(歯車)56,57、および軸59などを含む動力伝達機構が取り付けられている。ここで、地板60に用いられるプラスチックの原料となる樹脂としては、例えばアクリル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂(PF)、エポキシ樹脂(EP)、メラミン樹脂(MF)、ポリウレタン樹脂(PUR)、シリコン樹脂(SI)などの熱硬化性樹脂を例示することができる。
地板60を非導電性の材料によって構成し、第1の導体素子51と第2の導体素子52との間に配置することによって、非導電性の地板60を誘電体として見立てて、地板60による波長短縮効果を利用することができる。これにより、第1の導体素子51、第2の導体素子52、および短絡部53などによって構成される板状逆F型アンテナを小型化することができる。
第1の耐磁板46、および第2の耐磁板47は、ステップモーター58の動作などを外部磁場から保護するために用いられ、透磁率の高い、例えば純鉄やフェライト系ステンレスで形成された板状の部材であり、地板60と回路基板45とを間に位置させて配置されている。このような配置とすることにより、第1の耐磁板46と第2の耐磁板47との間に配置された地板60および回路基板45の、外部から受ける磁場の影響を低減することができる。なお、第1の耐磁板46、および第2の耐磁板47は、第1の導体素子51と第2の導体素子52との間に配置されている。
即ち、第1実施形態の内部構造体1において、第1の導体素子51および第2の導体素子52は、第1の耐磁板46、地板60、回路基板45、および第2の耐磁板47を間に配置している。このような配置とすることにより、第1の耐磁板46、地板60、回路基板45などと第1の導体素子51と第2の導体素子52を含む板状逆F型アンテナとを別々に配置する場合に比べて配置効率を高めることができ、内部構造体1の厚さを低減させることができる。
電池48は、両極の端子が、接続基板(不図示)などによって回路基板45に接続され、電源を制御する回路へ電源を供給する。電源は、この回路で所定の電圧に変換されるなどして各回路へ供給され、各回路や各回路を制御する制御回路などを動作させる。なお、ここでは電池48として一次電池を例示したが、電池48には、充電が可能な二次電池を用いてもよい。
以上説明したような内部構造体1を備えた実施形態1に係る機器本体10(電子時計W)によれば、非導電性の地板60を誘電体として見立てて、地板60による波長短縮効果を利用することにより、給電部としての給電素子54と接続されている板状の第1の導体素子51と、接地部55を含む板状の第2の導体素子52と、第1の導体素子51と第2の導体素子52とを接続している短絡部53とによって構成される板状逆F型アンテナを小型化することができる。これにより、小型の携帯型電子機器としての電子時計Wのケース30内に、板状逆F型アンテナを収容し、GPSアンテナとして機能させることが可能となる。そして、このような構成の板状逆F型アンテナをケース30(ボトムケース33およびトップケース32)内に収容すれば、小型の電子時計Wを実現することができる。
なお、上述の第1実施形態に係る内部構造体1では、板状逆F型アンテナを以下に示す変形例のような構成とすることができる。以下、図6A、図6B、および図6Cを参照して板状逆F型アンテナの変形例について説明する。図6Aは、第1実施形態に係る電子時計に用いられる板状逆F型アンテナの変形例を示す斜視図である。図6Bは、図6Aに示す板状逆F型アンテナの平面図である。図6Cは、板状逆F型アンテナを示す図6Bの正面図である。なお、変形例の板状逆F型アンテナは、前述の第1実施形態の構成と、短絡部の構成が異なっている。他の構成である第1の導体素子、第2の導体素子、および給電部としての給電素子は、第1実施形態と同様の構成であるので、同符号を付しその説明を省略する。
変形例の板状逆F型アンテナは、給電部としての給電素子54と接続されている板状の第1の導体素子(放射板)51と、平面視で、第1の導体素子51と重なるように対向配置され、接地部55を含む板状の第2の導体素子(グランド板)52と、第1の導体素子51と第2の導体素子52とを短絡している棒状の複数の短絡部53a,53b,53c,53d,53eと、を含み構成されている。第1実施形態では、第1の導体素子51と第2の導体素子52と短絡部53とを一体構造で形成していたが、変形例ではこれらを別体で形成している。
複数の短絡部53a,53b,53c,53d,53eは、第1の導体素子51の外縁部に沿って、それぞれ間隔を有して配置されている。このような複数の短絡部53a,53b,53c,53d,53eの配置において、一方の端に位置する短絡部53aと第1の導体素子51の中心Gとを結ぶ第1仮想線Q1と、他方の端に位置する短絡部53eと第1の導体素子51の中心Gとを結ぶ第2仮想線Q2とのなす角θが、0度<θ≦170度を満たして配置されていることが好ましい。なお、一方の端に位置する短絡部53aと他方の端に位置する短絡部53eとの間に、他の短絡部53b,53c,53dが配置される。
このように、複数の短絡部53a,53b,53c,53d,53eを設けることにより、板状逆F型アンテナの抵抗を小さくし、板状逆F型アンテナ自体のロスを低減することができる。また、第1の導体素子51および第2の導体素子52との間に、第1の耐磁板46、地板60、回路基板45、および第2の耐磁板47を配置している構成において、上述のように短絡部53a,53b,53c,53d,53eを配置することにより、板状逆F型アンテナの共振周波数を高くして、受信する衛星電波の周波数に共振できるようにすることができる。これらにより、本変形例に示す板状逆F型アンテナは、小型、且つ受信性能を高めたアンテナとすることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の携帯型電子機器の第2実施形態に係る電子時計の構成について、図7を参照して説明する。図7は、第2実施形態に係る電子時計の内部構成を示す断面図である。図7に示す第2実施形態に係る電子時計の機器本体100は、前述の第1実施形態の機器本体10と、構成要素の配置位置が異なっている。以下の説明では、上述の第1実施形態と異なる配置構成を中心に説明し、同様な形態や構成については、同符号を付し、その説明を省略する。
第2実施形態に係る機器本体100は、図7に示すように、内部構造体として、指示針174(時針、分針、秒針などを含む)を駆動する駆動要素としてのステップモーター(モーター)158と、ステップモーター158の回転を軸159に伝える中間車(歯車)156,157と、を含む動力伝達機構を備えている。さらに、機器本体100は、文字板70と、文字板70とガラス板71との間に設けられた見切り板72と、文字板70、トップケース32およびボトムケース33によって構成される内部空間34に収容された内部構造体を備えている。内部構造体は、給電素子154と接続された板状の第1の導体素子151および接地部155を含む板状の第2の導体素子152と、第1の導体素子151および第2の導体素子152を短絡する短絡部153を含む板状逆F型アンテナ、回路基板145、回路基板押え143、地板160、第1の耐磁板146、第2の耐磁板147、および電池48と、を備えている。なお、内部構造体としての、第1の導体素子151および第2の導体素子152を含む板状逆F型アンテナ、回路基板145、回路基板押え143、地板160、第1の耐磁板146、第2の耐磁板147、および電池48の構成は、第1実施形態と同様であるので、以下での説明を省略する。
機器本体100では、第1の導体素子151、地板160、回路基板145、回路基板押え143、および第2の導体素子152が、第1の耐磁板146、および第2の耐磁板147との間に配置されている。即ち、第2実施形態の機器本体100の内部構造体は、第1の導体素子151と第2の導体素子152との間に、地板160、回路基板145、および回路基板押え143が配置され、第1の導体素子151の文字板70側に第1の耐磁板146が位置し、第2の導体素子152のボトムケース33側に第2の耐磁板147が位置している。そして、第1の導体素子151は、給電素子154によって回路基板145と接続されている。また、第2の導体素子152は、接続端子61によって回路基板145と接続されている。
このような第2実施形態に係る機器本体100の内部構造体の構成によれば、第1実施形態と同様な効果を奏することができる。また、第1の耐磁板146と第2の耐磁板147との間に、第1の導体素子151、地板160、回路基板145、および第2の導体素子152を配置することにより、電流が第1の耐磁板146および第2の耐磁板147に流れてしまうことに起因した電流ロスを低減することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の携帯型電子機器の第3実施形態に係る電子時計の構成について、図8を参照して説明する。図8は、第3実施形態に係る電子時計の内部構成を示す断面図である。図8に示す第3実施形態に係る電子時計の機器本体200は、前述の第1実施形態の機器本体10と、構成要素の配置位置が異なっている。以下の説明では、上述の第1実施形態と異なる配置構成を中心に説明し、同様な形態や構成については、同符号を付し、その説明を省略する。
第3実施形態に係る機器本体200は、図8に示すように、内部構造体として、指示針274(時針、分針、秒針などを含む)を駆動する駆動要素としてのステップモーター(モーター)258と、ステップモーター258の回転を軸259に伝える中間車(歯車)256,257と、を含む動力伝達機構を備えている。さらに、機器本体200は、文字板70と、文字板70とガラス板71との間に設けられた見切り板72と、文字板70、トップケース32およびボトムケース33によって構成される内部空間34に収容された内部構造体を備えている。内部構造体は、給電素子254と接続された板状の第1の導体素子251および接地部255を含む板状の第2の導体素子252と第1の導体素子251および第2の導体素子252を短絡する短絡部253を含む板状逆F型アンテナ、回路基板245、回路基板押え243、地板260、第1の耐磁板246、第2の耐磁板247、および電池48と、を備えている。なお、内部構造体としての、第1の導体素子251および第2の導体素子252を含む板状逆F型アンテナ、回路基板245、回路基板押え243、地板260、第1の耐磁板246、第2の耐磁板247、および電池48の構成は、第1実施形態と同様であるので、以下での説明を省略する。
機器本体200では、第1の導体素子251が、第1の耐磁板246と地板260との間に配置され、第2の導体素子252が、地板260と回路基板245との間に配置されている。回路基板245は、第2の耐磁板247と第2の導体素子252との間に配置されている。即ち、第1の耐磁板246および第2の耐磁板247との間に、地板260と、第1の導体素子251および第2の導体素子252と、回路基板245と、を配置している。なお、本形態において、回路基板押え243は、第2の耐磁板247のボトムケース33側に配置されている。
このような第3実施形態に係る機器本体200の内部構造体の構成によれば、第1実施形態と同様な効果を奏することができる。また、第1の耐磁板246および第2の耐磁板247との間に、地板260を間に配置した第1の導体素子251および第2の導体素子252と、回路基板245とを配置することにより、電流が第1の耐磁板246および第2の耐磁板247に流れてしまうことに起因した電流ロスを低減することができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の携帯型電子機器の第4実施形態に係る電子時計の構成について、図9を参照して説明する。図9は、第4実施形態に係る電子時計の内部構成を示す断面図である。図9に示す第4実施形態に係る電子時計の機器本体300は、前述の第1実施形態の機器本体10と、構成要素の配置位置が異なっている。以下の説明では、上述の第1実施形態と異なる配置構成を中心に説明し、同様な形態や構成については、同符号を付し、その説明を省略する。
第4実施形態に係る機器本体300は、図9に示すように、内部構造体として、指示針374(時針、分針、秒針などを含む)を駆動する駆動要素としてのステップモーター(モーター)358と、ステップモーター358の回転を軸359に伝える中間車(歯車)356,357と、を含む動力伝達機構を備えている。さらに、機器本体300は、文字板70と、文字板70とガラス板71との間に設けられた見切り板72と、文字板70、トップケース32およびボトムケース33によって構成される内部空間34に収容された内部構造体とを備えている。内部構造体は、給電素子354に接続された板状の第1の導体素子351、接地部355を含む板状の第2の導体素子352、第1の導体素子351および第2の導体素子352を短絡する短絡部353、板状逆F型アンテナ、回路基板345、回路基板押え343、地板360、地板360に接続された日車376、日車押え377、および電池48、を備えている。なお、内部構造体としての、第1の導体素子351および第2の導体素子352を含む板状逆F型アンテナ、回路基板345、回路基板押え343、地板360、および電池48の構成は、第1実施形態と同様であるので、以下での説明を省略する。
機器本体300では、文字板70と地板360との間に、第1の導体素子351および第1の導体素子351と対向する第2の導体素子352が配置されている。そして、第1の導体素子351と第2の導体素子352との間には、非導電性の材料で構成された日車376および日車押え377が配置されている。また、第2の導体素子352の第1の導体素子351側とは反対側に、第2の導体素子352と重なるように配置されている地板360、地板360に接続されている駆動要素としてのステップモーター358、中間車(歯車)356,357、および軸359を含む動力伝達機構、回路基板345、および回路基板押え343などを含むムーブメント362が配置されている。
換言すれば、機器本体300は、非導電性の材料で構成された日車376と日車押え377とを間に配置した第1の導体素子351および第2の導体素子352を含む板状逆F型アンテナと、地板360、地板360に接続されている駆動要素としてのステップモーター358、中間車(歯車)356,357、および軸359を含む動力伝達機構、回路基板345、および回路基板押え343などを含むムーブメント362とが、平面視で重なるように、配置されている。なお、図示されていない第1の耐磁板および第2の耐磁板を配置した構成とすることとしてもよい。
なお、非導電性の材料で構成される日車376および日車押え377は、その材料として、例えばアクリル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)などの熱可塑性樹脂、もしくはフェノール樹脂(PF)、エポキシ樹脂(EP)、メラミン樹脂(MF)、ポリウレタン樹脂(PUR)、シリコン樹脂(SI)などの熱硬化性樹脂を例示することができる。
このような第4実施形態の機器本体300によれば、非導電性の日車376および日車押え377を誘電体として見立てて、日車376および日車押え377による波長短縮効果を利用することにより、板状の第1の導体素子351と、板状の第2の導体素子352と、第1の導体素子351と第2の導体素子352とを接続している短絡部353とを含み構成されている板状逆F型アンテナを小型化することができる。また、第2の導体素子352の第1の導体素子351側とは反対側に、第2の導体素子352と重なるようにムーブメント362が配置されていることにより、配置効率を高めることができる。これらにより、小型の携帯型電子機器(例えば腕時計)のケース内に、板状逆F型アンテナおよびムーブメント362を収容することが可能となる。
なお、上述の第4実施形態に係る内部構造では、板状逆F型アンテナを以下に示す変形例のような構成とすることができる。以下、図10A、図10B、および図10Cを参照して板状逆F型アンテナの変形例について説明する。図10Aは、第4実施形態に係る電子時計に用いられる板状逆F型アンテナの変形例を示す斜視図である。図10Bは、図10Aに示す板状逆F型アンテナの平面図である。図10Cは、板状逆F型アンテナを示す図10Bの正面図である。なお、変形例の板状逆F型アンテナは、前述の第4実施形態の短絡部353との構成が異なっている。他の構成である第1の導体素子351、第2の導体素子352、および給電部としての給電素子354は、第4実施形態と同様の構成であるので、同符号を付しその説明を省略する。
変形例の板状逆F型アンテナは、給電部としての給電素子354および開口部390を含む板状の第1の導体素子(放射板)351と、平面視で、第1の導体素子351と重なるように対向配置され、接地部355を含む板状の第2の導体素子(グランド板)352と、第1の導体素子351と第2の導体素子352とを短絡している複数の短絡部353a,353b,353cと、を含み構成されている。ここで、変形例の板状逆F型アンテナを構成する第1の導体素子351および第2の導体素子352は、非導電性の材料で構成された日車376および日車押え377を間に配置している(図9参照)。
複数の短絡部353a,353b,353cは、第1の導体素子351の外縁部に沿って、それぞれ間隔を有して配置されている。このような複数の短絡部353a,353b,353cの配置において、一方の端に位置する短絡部353aと第1の導体素子351の中心Gとを結ぶ第1仮想線Q3と、他方の端に位置する短絡部353cと第1の導体素子351の中心Gとを結ぶ第2仮想線Q4とのなす角θが、0度<θ≦90度を満たして配置されていることが好ましい。なお、一方の端に位置する短絡部353aと他方の端に位置する短絡部353cとの間に、他の短絡部353bが配置される。
このように、複数の短絡部353a,353b,353cを設けることにより、板状逆F型アンテナの抵抗を小さくし、板状逆F型アンテナ自体のロスを低減することができる。また、第1の導体素子351および第2の導体素子352との間に、非導電性の材料で構成された日車376および日車押え377を配置している構成において、上述のように短絡部353a,353b,353cを配置することにより、板状逆F型アンテナの共振周波数を高くして、受信する衛星電波の周波数に共振できるようにすることができる。これらにより、本変形例に示す板状逆F型アンテナは、受信性能を高めたアンテナとすることができる。
(第5実施形態)
次に、本発明の携帯型電子機器の第5実施形態に係る電子時計の構成について、図11を参照して説明する。図11は、第5実施形態に係る電子時計の内部構成を示す断面図である。図11に示す第5実施形態に係る電子時計の機器本体10aは、前述の第1実施形態の機器本体10と、文字板70に係る構成が異なっている。以下の説明では、上述の第1実施形態と異なる配置構成を中心に説明し、同様な形態や構成については、同符号を付し、その説明を省略する。
第5実施形態に係る機器本体10aは、図11に示すように、内部構造体として、指示針74(時針、分針、秒針などを含む)を駆動する駆動要素としてのステップモーター(モーター)58と、ステップモーター58の回転を軸59に伝える中間車(歯車)56,57と、を含む動力伝達機構を備えている。さらに、機器本体10aは、文字板70と、文字板70とガラス板71との間に設けられた見切り板72と、文字板70、トップケース32およびボトムケース33によって構成される内部空間34に収容された内部構造体を備えている。内部構造体は、第1の導体素子51および第2の導体素子52と第1の導体素子51および第2の導体素子52を短絡する短絡部53を含む板状逆F型アンテナ、回路基板45、回路基板押え43、地板60、第1の耐磁板46、第2の耐磁板47、および電池48と、を備えている。なお、内部構造体としての、第1の導体素子51および第2の導体素子52を含む板状逆F型アンテナ、回路基板45、回路基板押え43、第1の耐磁板46、第2の耐磁板47、地板60、および電池48の構成は、第1実施形態と同様であるので、以下での説明を省略する。
第5実施形態に係る機器本体10aは、文字板70と第1の導体素子51との間に、第1の導体素子51と重なるように、太陽光などによる発電機能を有するソーラーパネル73を配置している。したがって、ガラス板71を透過した太陽光をソーラーパネル73に照射させるため、文字板70のソーラーパネル73に対向する位置には、太陽光を通過させる貫通孔70aが設けられている。なお、文字板70を、太陽光を透過する、所謂光透過性を有する材料を用いて構成することも可能であり、このような構成の文字板70とすれば、貫通孔70aを必ずしも設ける必要はない。また、ガラス板71側から見た平面視で、第1の導体素子51の少なくとも一部は、ソーラーパネル73の外縁よりも外側にあることが好ましい。換言すれば、第1の導体素子51の大きさを、ソーラーパネル73の大きさ(サイズ)以上とすることが好ましい。
第5実施形態に係る機器本体10aによれば、第1の導体素子51の第2の導体素子52側とは反対側に、第1の導体素子51と重なるように配置されている文字板70と、文字板70と第1の導体素子51との間に配置され、文字板70側から入射した光を受光して発電するソーラーパネル73と、を配置効率よく構成することができる。
また、第1の導体素子51の大きさを、ソーラーパネル73の大きさ(サイズ)以上とすることにより、ソーラーパネル73の影響を受けずに、電波を受信することができる。また、ソーラーパネル73を支持する支持部として、金属製、もしくは金属被覆された支持基板(不図示)を備え、該支持基板を第1の導体素子51と兼用するようにしてもよい。この場合、兼用しない場合と比較してアンテナを小型化することができる。
また、図12のソーラーパネル73と回路基板45との導通部を説明する部分断面図のように、ソーラーパネル73で発電された電力は、短絡部53に沿って配置されている導通部77により回路基板45に入力されることが好ましい。ソーラーパネル73に含まれる金属部分(透明電極や金属電極)がアンテナの特性に影響を与えてしまうことがあるが、このように、導通部77を短絡部53に沿って配置することにより、ソーラーパネル73のアンテナ(第1の導体素子51および第2の導体素子52)に対する影響を小さくすることができる。
また、導通部77には、一方の端部がソーラーパネル73に接続され、他方の端部が回路基板45に接続されているコイル(不図示)を含むことが好ましい。このように、一方の端部がソーラーパネル73に接続され、他方の端部が回路基板45に接続されているコイル(不図示)により、ソーラーパネル73における高周波成分をカットすることができ、ソーラーパネル73のアンテナ(第1の導体素子51および第2の導体素子52)に対する影響を低減することができる。
(第6実施形態)
次に、本発明の携帯型電子機器の第6実施形態に係る電子時計の構成について、図13を参照して説明する。図13は、第6実施形態に係る電子時計の内部構成を示す断面図である。図13に示す第6実施形態に係る電子時計の機器本体400は、前述の第4実施形態の機器本体300と、構成要素の配置位置が異なっている。以下の説明では、上述の第4実施形態と異なる構成を中心に説明し、同様な形態や構成については、同符号を付し、その説明を省略する。
第6実施形態に係る機器本体400は、図13に示すように、内部構造体として、指示針374(時針、分針、秒針などを含む)を駆動する駆動要素としてのステップモーター(モーター)358と、ステップモーター358の回転を軸359に伝える中間車(歯車)356,357と、を含む動力伝達機構を備えている。さらに、機器本体300は、文字板70と、文字板70とガラス板71との間に設けられた見切り板72と、文字板70、トップケース32およびボトムケース33によって構成される内部空間34に収容された内部構造体とを備えている。そして、内部構造体は、給電素子354と接続された板状逆F型アンテナと、回路基板345と、回路基板押え343と、地板360と、第2の導体素子352の表面側に配置された日車376と、日車押え377と、第1の導体素子351および第2の導体素子352との間に配置された非導電性のスペーサー378と、電池48と、を備えている。なお、内部構造体としての、第1の導体素子351および第2の導体素子352を含む板状逆F型アンテナ、回路基板345、回路基板押え343、地板360、および電池48の構成は、第4実施形態と同様であるので、以下での説明を省略する。なお、図示されていない第1の耐磁板および第2の耐磁板を配置した構成としてもよい。
機器本体400では、文字板70と地板360との間に、第1の導体素子351および第1の導体素子351と対向する第2の導体素子352が配置されている。そして、第1の導体素子351と第2の導体素子352との間には、非導電性の材料で構成された日車376、日車押え377、およびスペーサー378が配置されている。日車押え377は、日車376よりも第1の導体素子351側の中央側に配置され、日車376を表面から摺動可能に保持している。また、日車押え377の中央部には、貫通孔が設けられており、軸359が挿通している。
スペーサー378は、第1の導体素子351および第2の導体素子352の間の日車押え377の外周側に配置され、日車376に対向する位置に段部が設けられている。スペーサー378は、第1の導体素子351に対向する側と、第2の導体素子352に対向する側とが、略平行に構成されている。このようなスペーサー378により、第1の導体素子351と第2の導体素子352との平行度を保持することができる。また、スペーサー378は、非導電性の材料によって構成されている。
また、スペーサー378は、日車押え377よりも誘電正接の値が小さな樹脂を用いて構成されていることが好ましい。このように、スペーサー378の誘電正接を日車押え377よりも小さくすることにより、スペーサー378の誘電正接による板状逆F型アンテナの損失を低減することができる。一般的に、誘電正接が大きいと電力損失が増加するため、板状逆F型アンテナにとっては不利になるが、スペーサー378の材質を、日車押え377よりも誘電正接の小さな(例えば、1×10-4程度)樹脂とすることにより、板状逆F型アンテナの損失を低減することができる。
なお、非導電性の材料で構成される日車376、日車押え377、およびスペーサー378は、その材料として、例えばアクリル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)などの熱可塑性樹脂、もしくはフェノール樹脂(PF)、エポキシ樹脂(EP)、メラミン樹脂(MF)、ポリウレタン樹脂(PUR)、シリコン樹脂(SI)などの熱硬化性樹脂を例示することができる。
また、第2の導体素子352の第1の導体素子351側とは反対側に、第2の導体素子352と重なるように配置されている地板360、地板360に接続されている駆動要素としてのステップモーター358、中間車(歯車)356,357、および軸359を含む動力伝達機構、回路基板345、および回路基板押え343などを含むムーブメント362が配置されている。
このような第6実施形態の機器本体400によれば、非導電性の日車376、日車押え377、およびスペーサー378を誘電体として見立てて、日車376、日車押え377、およびスペーサー378による波長短縮効果を利用することにより、板状の第1の導体素子351と、板状の第2の導体素子352と、第1の導体素子351と第2の導体素子352とを接続している短絡部353とを含み構成されている板状逆F型アンテナを小型化することができる。また、第1の導体素子351と第2の導体素子352との間に配置された非導電性のスペーサー378によって、第1の導体素子351と第2の導体素子352とを略平行に支持することができる。これにより、第1の導体素子351と第2の導体素子352との平行度が保てなくなることによるアンテナ感度の低下や共振周波数のばらつきなどを低減することができる。
(第7実施形態)
次に、本発明の携帯型電子機器の第7実施形態に係る電子時計の構成について、図14を参照して説明する。図14は、第7実施形態に係る電子時計の内部構成を示す断面図である。図14に示す第7実施形態に係る電子時計の機器本体500は、前述の第6実施形態の機器本体400のうち、日車押え377およびスペーサー378の構成が異なっている。以下の説明では、上述の第6実施形態と異なる日車押え377およびスペーサー378を中心に説明し、同様な形態や構成については、同符号を付し、その説明を省略する。
第7実施形態に係る機器本体500は、文字板70と、文字板70とガラス板71との間に設けられた見切り板72と、文字板70、トップケース32およびボトムケース33によって構成される内部空間34に収容された内部構造体は、日車押え377およびスペーサー378の構成以外、前述の第6実施形態の機器本体400と同様であるのでその説明は省略する。なお、図示されていない第1の耐磁板および第2の耐磁板を配置した構成としてもよい。
図14に示すように、第7実施形態の内部構造体を構成するスペーサー577は、図13に示した第6実施形態の日車押え377とスペーサー378とが、非導電性であり且つ誘電正接の小さな(例えば、1×10-4程度)樹脂により一体的に構成されている。スペーサー577は、第1の導体素子351および第2の導体素子352の間に配置され、日車376よりも中央側に位置し、日車376を表面側から摺動可能に保持する部分と、第1の導体素子351および第2の導体素子352の外周部分を略平行に保持する部分とを有している。なお、スペーサー577は、日車376に対向する位置に段部が設けられている。また、スペーサー577の中央部には、貫通孔が設けられており、軸359が挿通している。
本適用例によれば、スペーサーと日車押えとを、誘電正接の小さな(例えば、1×10-4程度)樹脂により一体構成としたスペーサー577により、板状逆F型アンテナを小型化することができる。また、スペーサー577の誘電正接が小さいことから、誘電正接が大きいことによる電力損失を低減することができ、アンテナの損失を低減することができるとともに、スペーサーと日車押えとを一つの部品にするため、部品数を減少させることができる。
(第8実施形態)
次に、本発明の携帯型電子機器の第8実施形態に係る電子時計の構成について、図15を参照して説明する。図15は、第8実施形態に係る電子時計の内部構成を示す断面図である。図15に示す第8実施形態に係る電子時計の機器本体600は、前述の第6実施形態の機器本体400と、ケース30の構成が異なり、加えてソーラーパネル373が配置されている。以下の説明では、上述の第6実施形態と異なる構成を中心に説明し、同様な形態や構成については、同符号を付し、その説明を省略する。なお、図示されていない第1の耐磁板および第2の耐磁板を配置した構成としてもよい。
図15に示すように、第8実施形態に係る機器本体600は、外装ケース630を構成するケース633と、ベゼル632と、透光性を有するガラス板671と、裏蓋634とを備えている。外装ケース630は、例えばステンレススチールなどの金属で形成された円筒状のケース633に、セラミックで形成されたベゼル632が嵌合されて構成されている。このベゼル632の内周側に、透光性を有する円盤状の文字板70が配置されている。
機器本体600は、ケース633の二つの開口のうち、表面側の開口は、ベゼル632を介してガラス板671で塞がれており、裏面側の開口は金属で形成された裏蓋634で塞がれている。透光性の文字板70の直下、換言すれば、文字板70と内部構造体を構成する板状逆F型アンテナの第1の導体素子351との間には、ソーラーパネル373が配置されている。ソーラーパネル373は、透光性のガラス板671および透光性の文字板70を透過した例えば太陽光などの光によって発電を行うことができる。ソーラーパネル373の裏蓋634側の内部空間34には、前述の第6実施形態と同様な内部構造体が設けられている。
第8実施形態に係る機器本体600は、図15に示すように、内部構造体として、指示針374(時針、分針、秒針などを含む)を駆動する駆動要素としてのステップモーター(モーター)358と、ステップモーター358の回転を軸359に伝える中間車(歯車)356,357と、を含む動力伝達機構を備えている。さらに、機器本体800は、文字板70と、文字板70とガラス板671との間に設けられた見切り板72と、文字板70、外装ケース630によって構成される内部空間34に収容された内部構造体とを備えている。そして、内部構造体は、給電素子354と接続された板状逆F型アンテナと、回路基板345と、回路基板押え343と、地板360と、第2の導体素子352の表面側に配置された日車376と、日車押え377と、第1の導体素子351および第2の導体素子352との間に配置された非導電性のスペーサー378と、電池48と、を備えている。なお、内部構造体としての、第1の導体素子351および第2の導体素子352を含む板状逆F型アンテナ、回路基板345、回路基板押え343、地板360、および電池48を含む内部構造体の構成は、第6実施形態と同様であるので詳細な説明は省略する。
また、第2の導体素子352の第1の導体素子351側とは反対側に、第2の導体素子352と重なるように配置されている地板360、地板360に接続されている駆動要素としてのステップモーター358、中間車(歯車)356,357、および軸359を含む動力伝達機構、回路基板345、および回路基板押え343などを含むムーブメント362が配置されている。
このような第8実施形態の機器本体600によれば、ケース633と、ベゼル632と、ガラス板671と、裏蓋634とを含み構成された外装ケース630の内側に配置された非導電性の日車376、日車押え377、およびスペーサー378を誘電体として見立てて、日車376、日車押え377、およびスペーサー378による波長短縮効果を利用することにより、板状の第1の導体素子351と、板状の第2の導体素子352と、第1の導体素子351と第2の導体素子352とを接続している短絡部353とを含み構成されている板状逆F型アンテナを小型化することができる。また、第1の導体素子351と第2の導体素子352との間に配置された非導電性のスペーサー378によって、第1の導体素子351と第2の導体素子352とを略平行に支持することができる。これにより、第1の導体素子351と第2の導体素子352との平行度が保てなくなることによるアンテナ感度の低下や共振周波数のばらつきなどを低減することができる。
なお、上述した各実施形態の機器本体10,10a,100,200,300,400,500,600において、第1の耐磁板46,146,246を、第1の導体素子51,151,251と共通化した構成とすることができる。また、同様に、第2の耐磁板47,147,247を、第2の導体素子52,152,252と共通化した構成とすることができる。このような構成にすれば、より薄型の内部構造体とすることができる。また、第2の耐磁板47,147,247は、地板60,160,260,360と回路基板45,145,245,345との間に配置されていてもよい。
また、上述した各実施形態では、表示部5を文字板70や指示針74などを用いたアナログ表示式の構成で説明したが、これに限らない。例えば、表示部5として、例えば液晶ディスプレイ(LCD)などを用いて表示するデジタル表示式の構成においても、上述の各実施形態と同様の板状逆F型アンテナなどを備えた内部構造体の構成を適用することができる。
また、上述では、全地球的航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)が備える位置情報衛星としてGPS衛星8を用いたGPSを例示して説明したが、これはあくまで一例である。全地球的航法衛星システムは、ガリレオ(EU)、GLONASS(ロシア)、北斗(中国)などの他のシステムや、SBASなどの静止衛星や準天頂衛星などの衛星信号を発信する位置情報衛星を備えるものであればよい。即ち、電子時計Wは、GPS衛星8以外の衛星を含む位置情報衛星からの電波(無線信号)を処理して把握される日付情報、時刻情報、位置情報および速度情報のいずれか一つを取得する構成であってもよい。なお、全地球的航法衛星システムは、地域航法衛星システム(RNSS:Regional Navigation Satellite System)とすることができる。この場合、上述したアンテナ構造体は、種々の地域航法衛星システム(RNSS:Regional Navigation Satellite System)に対応したアンテナとすることができる。