JP7002739B2 - 磁気センサ - Google Patents

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Description

本発明は、磁気センサに関するものであり、特に磁気材料における磁気モーメントの変化に基づいて磁気を検出する磁気検出装置に関する。
例えばピコテスラやナノテスラのような次元での高感度の磁気の計測を行うための磁気計測装置に関する研究が広く行われており、例えば、超伝導量子干渉素子(superconducting quantum interference device;SQUID)や磁気インピーダンスセンサ(MIセンサ)を用いた磁気計測装置が提案されている。
たとえば、MIセンサを用いた磁気センサは、たとえば特許文献1に示すように、MI(Magnetoimpedance)素子に交流電流を通電することにより、表皮効果によりMI素子のインピーダンスが通電した交流電流の周波数に依存して変化する現象を利用するセンサであり、センサを小型化できる、あるいは、精度のよい計測を行うことができるという利点がある。
ところで、MIセンサにおいては、表皮効果を生じさせるためにMI素子に交流電流を通電する必要がある。MI素子には、磁気異方性アモルファスワイヤになどが好適に用いられるが、このアモルファスワイヤの有する電気抵抗により、大電流を通電するのが困難となる場合があった。
特開2003-004830号公報
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、磁性材料を用い、より簡易な構成を可能にする一方で精度のよい計測を可能にする磁気センサを提供することにある。
本願の発明者らは、磁性材料を膜状に形成させる際に、その膜を形成する対象物に電流を印加させることで磁気モーメントの配向を制御しつつ電着をすることが可能であること、また、かかる電着電流の向きを切り換えて電着を行うことで、異なった磁気モーメントの配向を有する電着層を設けること、さらに、それら異なった磁気モーメントの配向を有する複数の電着層を重ねることで全体として磁気異方性を有すること、を見いだした。本発明はかかる知見に基づいて成されたものである。
すなわち、前記目的を達成するための本発明の要旨とするところは、(a)磁性材料部と、該磁性材料部に時間的に変化する印加磁界を加える励磁部と、前記磁性材料部が発生する磁界を検出する磁気検出部と、を備え、前記磁性材料部の磁気モーメントが前記印加磁界の印加されていない状態と前記印加磁界によって磁化させられた状態との間で変化することによって生ずる検出磁界を前記磁気検出部が検出することによって、磁界を計測する磁気センサであって、(b)前記励磁部は、長手状に形成された導電材料を含んで構成され、(c)前記磁性材料部は、複数の層からなる軟磁性膜を含み、前記複数の層の一つは該導電材料の外周側面全体に密着して設けられるとともに、前記複数の層は相互に密着して設けられ、(d)前記磁性材料部の磁気モーメントは、前記導電材料の長手方向に直交する該導電材料の周方向に配向されたものであり、(e)前記複数の層からなる軟磁性膜のそれぞれの層における磁気モーメントは、前記導電材料の長手方向に直交する一の方向もしくは該一の方向と逆方向に配向されており、(f)前記磁性材料部は、磁気モーメントが前記一の方向に配向された第1層と、磁気モーメントが前記一の方向とは逆方向に配向された第2層とを少なくとも一層ずつ有するとともに、(g)前記磁性材料部は、相互に反対向きの磁気モーメントが略等量に分布していること、を特徴とする。
第1の発明に係る磁気センサによれば、前記磁性材料部の磁気モーメントが前記印加磁界の印加されていない状態と前記印加磁界によって磁化させられた状態との間で変化することによって生ずる検出磁界を前記磁気検出部が検出することによって、磁界を計測するものであるところ、前記磁性材料部は、複数の層からなる軟磁性膜を含み、前記複数の層の一つは該導電材料の外周側面全体に密着して設けられるとともに、前記複数の層は相互に密着して設けられるので、前記導電材料に電流を流すことにより前記軟磁性膜に磁界を印加させることができる。また、前記磁性材料部の磁気モーメントは、前記導電材料の長手方向に直交する該導電材料の周方向に配向されたものであり、前記複数の層からなる軟磁性膜のそれぞれの層における磁気モーメントは、前記導電材料の長手方向に直交する一の方向もしくは該一の方向と逆方向に配向されており、前記磁性材料部は、磁気モーメントが前記一の方向に配向された第1層と、磁気モーメントが前記一の方向とは逆方向に配向された第2層とを少なくとも一層ずつ有するとともに、相互に反対向きの磁気モーメントが略等量に分布しているので、磁気センサにより測定しようとする外部磁界に対するセンサ出力の線形性を良好なものとすることができる。
また好適には、(a)前記磁気検出部はソレノイドコイルであり、(b)該ソレノイドコイルは、その円筒状の空間内に前記磁性材料部が設けられた前記導電材料を該ソレノイドコイルの長手方向と該導電材料の長手方向とが一致した状態で収容するように配置され、(c)該ソレノイドコイルの両端に発生する起電力に基づいて磁気検出を行うものである。このようにすれば、前記磁性材料部における磁気モーメントの状態の変化を前記ソレノイドコイルにより精度よく検出することができる。
また好適には、前記磁性材料部は、その組成に鉄(Fe)およびニッケル(Ni)を含むものである。このようにすれば、磁性を有する材料を良好に導電材料の表面に電着することができる。
また好適には、前記磁性材料部は、鉄(Fe)を15~25%の割合で含むものである。このようにすれば、前記磁性材料部を透磁率のよいものとすることができる。
また好適には、外部磁界の大きさが-50[μT]以上、50[μT]以下の範囲内において、前記励磁部による励磁電流の周波数が100[MHz]以下である場合において、前記導電材料のインピーダンス変化量が5%以下である。このようにすれば、測定しようとする外部磁界の範囲において導電材料のインピーダンスの変化量がきわめて小さいので、安定した磁気計測ができる。
また好適には、前記磁気センサ用の磁性材料部は、(a)長手状の導電材料の外周側面全体に磁性材料を形成させて得られるものであって、(b)該導電材料の長手方向の一の向きに形成電流を流し、磁性材料を形成させる第1の形成工程と、(c)該導電材料の長手方向の該一の向きとは逆向きに形成電流を流し、磁性材料を形成させる第2の形成工程と、を含み、(d)前記第1の形成工程において流される形成電流の総量と前記第2の形成工程において流される形成電流の総量とが略等しいこと、を特徴とする。このようにすれば、第1の形成工程と第2の形成工程とのそれぞれにおいて、磁気モーメントが相互に逆向きに配向された磁性材料の層を形成することができるとともに、前記第1の形成工程において流される形成電流の総量と前記第2の形成工程において流される形成電流の総量とが略等しいので、磁性材料部全体として磁気異方性を誘導することができる。
また好適には、前記形成電流は、めっきカソードとしての前記導電材料とメッキアノードとの間に電位差を生じさせるためのめっき電流と、前記磁性材料における磁気モーメントを整列させるためのバイアス電流とを含むものである。このようにすれば、めっき電流とバイアス電流との両方により磁気モーメントを配向しつつめっきにより磁性材料部を形成することができる。
本発明の磁気センサの一実施例における構成を説明する図である。 図1の磁気センサにおけるプローブ部の基本構成を説明する図である。 図2のプローブ部における、軟磁性膜が構成された導体部の一例を説明する図である。 図3の軟磁性膜を形成するめっき加工の概要を説明する図である。 軟磁性膜を生成するための工程を説明するフローチャートである。 本実施例の磁気センサの動作原理を説明する図であって、軟磁性膜における磁化の変化を説明する図である。 本実施例の軟磁性膜44が形成された導体部42のインピーダンス特性を示した図である。 比較対象であるアモルファスワイヤのインピーダンス特性を、図7の実験例と同一の条件で測定した結果である。 本実施例の導体部と比較例であるアモルファスワイヤとについて、外部磁界を異ならせた場合のインピーダンスの変化量を、印加した電流の周波数ごとに示した図である。 本実施例の導体部と比較例であるアモルファスワイヤとについて、図9とは異なる範囲で外部磁界を異ならせた場合のインピーダンスの変化量を、印加した電流の周波数ごとに示した図である。 本実施例の軟磁性膜44を備えた導体部42を製造する別の態様を説明する図である。図4に対応する図である。
以下、本発明の一実施例について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の磁気センサ10の概要を説明する図である。磁気センサ装置10は磁気を検出するためのプローブ部12とそのプローブ部12を駆動するための回路部14とを含んで構成されている。磁気センサ装置10は本発明の磁気センサに相当する。プローブ部12の構成は後述する。
回路部14は、後述するプローブ部12の導体部42に電流を供給するために設けられたクロック部20、電流供給部22を含んで構成されている。クロック部20は例えばCMOS ICなどであり、所定の間隔でパルス信号を出力する。電流供給部22は該クロック部20から出力されるクロック信号に同期させて、図示しない電源から供給される電源電圧に基づいて、周期的に変化する電流Ieをプローブ部12の導体部42に供給する。周期的に変化する電流Ieとは、例えば正弦波やパルス状に変化する方形波である。この電流Ieが本発明の時間的に反転する励磁電流に相当し、所定の周期で変化する電流である。なお、この所定の周期は固定値であってもよいし、可変なものとされてもよい。
また、回路部14は、後述するプローブ部12のコイル50の誘導起電力Eoutを検出するために設けられたサンプルホールド回路24、フィルタ30、アンプ32を有している。サンプルホールド回路24は、コイル50の起電力Ecoilの振幅のピーク(ピーク値)を検出する。なお、前記クロック部20からは、これらサンプルホールド回路24にトリガ信号が供給されるようになっており、サンプルホールド回路24におけるピーク値の検出はこのトリガ信号に同期して所定の位相ごとに行われる。フィルタ30はコイル50の出力Ecoilから高周波成分および低周波成分を除去(ハイカットおよびローカット)し、所望の周波数成分のみを取り出す。アンプ32は、フィルタ30の出力信号を、所定のオフセット電圧Offsetにより例えば1000倍程度に増幅を行う。このようにして出力された信号Eoutが、図示しないモニタなどの表示装置に表示されたり、記録装置に記録されたり、他の装置に送信されるようになっている。なお、図示しないが、フィルタ30の他に、あるいはフィルタ30に代えて、アンプ32の出力信号に対して、所望の周波数成分のみを取り出すフィルタを設けるようにしてもよい。本実施例における回路部14のうちサンプルホールド回路24、フィルタ30、アンプ32が、後述するコイル50とともに磁気検出部を構成する。
図2はプローブ部12の基本構成を概念的に説明する図である。プローブ部12は、長手状の導体である導体部42とコイル50とを含んで構成されている。導体部42は本発明の導電材料に相当するもので、略円柱や角柱などの長手形状を有しており(図2の例においては導体部42は円柱形状とされている)、その両端面に導線26が接続されている。導線26により前述の電流供給部22と電気的に接続されることで、電流Ieを導体部42の両端間に流すことができる。導体部42はたとえば銅やニッケルなどの電気伝導性のよい物質から選択されうるが、後述するように、導体部42には軟磁性膜44がめっきにより電着されるため、めっきが着きやすい物質が好ましい。また好適には、導体部42は、軟磁性膜44に比べて電気抵抗率の小さい導電材料である。このようにすることで、外部磁場に対するインピーダンスの変化が小さくなるため、外部磁場によらず安定して励磁電流を流すことができる。また、導電体42は、たとえば直径が10~500[μm]、好適には30~100[μm]の円柱状のワイヤとされる。直径が細すぎると強度が小さくなって取り扱いが難しくなる一方、太すぎると後述する印加磁界Beを生ずるための電流Ieとして大きい電流を必要とすることとなるためである。
コイル50は、長手円筒形状を有するいわゆるソレノイドコイルである。コイル50の円筒内部に前記導体部42が略同心となるように配設されている。図2の例においては、コイル50の長手方向の長さと導体部42の長手方向の長さとが略同一とされているが、これに限定されず、後述する導体部42に設けられた軟磁性膜44が生ずる磁界の変化を十分に検出可能なものであれば、コイル50の長手方向の長さは導体部42の長手方向の長さに比べて長くても短くてもよい。コイル50の一端は接地されており、他端は導線28により前述の回路部14、具体的にはそのサンプルホールド回路24に接続されており、コイル50の起電力Ecoilの値が検出可能とされている。
導体部42の表面のうち、円筒形状となる側面においては、複数の層からなる軟磁性膜44が設けられている。図3はこの軟磁性膜44の構成された導体部42の一例を説明する図である。なお、図3においてはコイル50は省略されている。図3の例においては、軟磁性膜44として、第1層44aと第2層44bとの2つの層が設けられている。この軟磁性膜44が本発明の軟磁性膜および磁性材料部に相当する。本実施例においては、これら第1層44aおよび第2層44bはそれぞれ、めっき加工により形成、すなわち電着された磁性材料である。軟磁性膜44は磁性体であり、具体的にはたとえば、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)を含んで構成される。具体的には鉄の含有量が15~25(重量%)とされ、より好適には18~22(重量%)とされる。このようにすれば、磁性膜44の透磁率を高いものとすることができ、磁気センサ10の感度を高めることができる。また、磁性膜44の厚さはたとえば1~50[μm]であり、また好適には1~15[μm]とされる。このようにすることで磁気センサ10の感度が向上することが実験的に得られている。なお、第1層44aと第2層44bとは、それぞれは同じ組成とされる。
図4は、軟磁性膜44としての第1層44aおよび第2層44bを形成するためのいわゆるめっき加工の概要を説明する図である。めっき槽58において、導体部42とめっき材料52とがめっき液に浸されている。めっき材料52は前述のとおり鉄およびニッケルを含む金属であり、めっき工程においてめっきアノードとして作用する。このめっき材料52は、前述のとおり軟磁性膜44における組成が所望のものとなるように、たとえば、軟磁性膜における組成と同じ比率となるように金属を組み合わせて用いられる。
導体部42の両端は、それぞれ導線60および61により、スイッチ56の端子aおよび56bに電気的に接続されている。図4の例に示すように、スイッチ56がめっき電源54と端子56aとを接続すると、図中Ipで示すようにめっき電流が流れることとなる。これによりめっきアノード52を形成する金属が酸化されてイオン化してめっき液に溶け出る。溶け出た金属イオンは導体部42の表面で還元されて薄膜状の金属となり、導体部42はめっきアノード52を構成する金属、すなわち、鉄およびニッケルを含む金属によりめっきされた状態となる。
ここで、導体部42には、その長手方向に、図4に示すようにめっき電流Ipが流れるので、長手形状の導体部42を回り込む方向の磁界Bpが発生することとなる。そのため、めっき液中の金属イオンが導体部42の表面において還元されて固定される際に、その磁化方向が磁界Bpの影響を受けることとなる。具体的には、金属イオンの磁化方向(磁気モーメントの方向)が磁界Bpの向きに揃った状態(配向された状態)でめっきが構成される。これが第1めっき工程であり、本発明の第1の形成工程に対応し、めっき電流Ipが形成電流に対応する。
一方、スイッチ56を、めっき電源54と端子56bとを接続する状態に切り換えると、この場合のめっき電流Ip’は、めっき電源54からめっきアノード52、導体部42、導線61、スイッチ56の順で流れることとなる。この場合、導体部42についていえば、めっき電流Ip’が流れる向きは前述のスイッチ56がめっき電源54と端子56aとを接続する状態におけるめっき電流Ipとは逆の向きとなる。したがって、めっき電流Ip’に起因する磁界Bp’の向きも、図4に破線矢印で示すようになり、前述の磁界Bpの向きとは円柱状の導体部42の周方向の逆向きとなる。このようにしておこなわれためっき工程を第2めっき工程とすれば、第2めっき工程によって得られるめっき層の磁化方向は、第1めっき工程とは導体部42の周方向において逆向き、すなわち180度異なる方向となる。この第2めっき工程が、本発明の第2の形成工程に対応する。
なお、上記第1めっき工程および第2めっき工程におけるめっき電流Ipの大きさは、めっき加工のために十分な大きさであり、かつ、金属イオンをその磁化が所望の方向に配向されるのに十分な磁界Bpを生ずるのに十分な大きさとなるように定められる。
上述のとおり、第1層44aに含まれる磁化のそれぞれと第2層44bに含まれる磁化のそれぞれとは、相互に導体部42の周方向の逆向きとされているが、好適には、第1層44aに含まれる磁化の量と、第2層44bに含まれる磁化の量とが略等しくなるようにされる。具体的には、第1めっき工程を実行する時間におけるめっき電流Ipの積算量(単位はクーロン(=アンペア秒))と、第2めっき工程を実行する時間におけるめっき電流Ip’の積算量とが等しくなるようにする。これにより軟磁性膜44は磁気異方性を有したものとなる。
図5は、軟磁性膜44を生成するための工程を説明するフローチャートである。ステップS10(以下「ステップ」を省略する)においては、めっき槽58にめっきカソードとしての導体部42とめっきアノードとしてのめっき材料52とが配置され、図4に示すように電気的に配線がなされる。
S20においては、第1めっき工程が実行される。たとえば図4に示すように、スイッチ56を端子56a側とすることで、めっき電流Ipを導体部42に流すことで第1めっき工程が実行され、第1層44aが形成される。第1めっき工程の実行時間は、前述のように第1めっき工程を実行する時間におけるめっき電流Ipの積算量を考慮して定められる。所定の実行時間が経過すると、第1めっき工程が終了させられる。
S30においては、続いて第2めっき工程が実行されるか否かが判断される。第2めっき工程が実行される場合には、続いてS40が実行され、実行されない場合には、本フローチャートは終了させられる。
S40においては第2めっき工程が実行される。たとえば図4に破線で示すように、スイッチ56を端子56b側とすることで、めっき電流Ip’を導体部42に流すことで第2めっき工程が実行され、第2層44bが形成される。第2めっき工程の実行時間は、第2めっき工程を実行する時間におけるめっき電流Ip’の積算量を考慮して定められる。所定の実行時間が経過すると、第2めっき工程が終了させられる。
S50においては、再度第1めっき工程が実行されるか否かが判断される。第1めっき工程が実行される場合には、S20が再び実行され、実行されない場合には、本フローチャートは終了させられる。
このようにすることで、軟磁性膜44における第1層44aと第2層44bとを所望の厚さに設けることができ、また、所望の回数だけ繰り返し設けることができるので、それら第1層44aおよび第2層44bにそれぞれ含まれる磁化の量を適宜調整しうる。
図6は、上述のようにして構成されるプローブ部12を用いた磁気センサ10の動作原理を説明する図であって、プローブ部12の軟磁性膜44における磁化(磁気モーメント)の変化の様子を説明する図である。なお、図6においては、軟磁性膜44を構成する第1層44aおよび第2層44bのそれぞれの磁化の状態を説明するため、プローブ部12を切り欠いて表している。
図6(a)は、プローブ部12に磁界が印加されていない状態の第1層44aおよび第2層44bのそれぞれの磁化の状態を説明する図である。第1めっき工程および第2めっき工程によりそれぞれ形成された第1層44aおよび第2層44bの磁化は、それぞれ導体部42の円筒面の周方向、すなわち、導体部42の長手方向に直交する方向であって、相互に反対の向きとなる方向とされている。
図6(b)は、プローブ部12に外部磁界Bexが加えられた場合を説明する図である。図6(b)に示すように外部磁界Bexが加えられると、その外部磁界Bexの影響を受けた状態となる。具体的には、図6(b)に示すように、図における左向きに外部磁界Bexが加えられると、第1層44aおよび第2層44bのそれぞれの磁化は、図6(a)に示す磁界が印加されていない状態と比べて、それぞれ図の左方向に傾いた状態となる。この傾きの大きさは、外部磁界Bexの大きさに依存する。なお、この外部磁界Bexはたとえば、磁気センサ10が測定しようとする測定対象が生ずる磁界に相当する。
図6(c)および(d)はそれぞれ、プローブ部12、特に軟磁性膜44に印加磁界が印加された場合を説明する図である。本実施例においては、プローブ部12の導体部42に電流Ieを流すことにより軟磁性膜44に印加磁界Beを印加することができる。すなわち、図6(c)においては図の右から左に向かって電流Ieを流す例を示している。かかる電流Ieにより同図に示すように印加磁界Beが印加される。この印加磁界Beは、前述の外部磁界Bexに比べて、プローブ部12に与える影響がより大きくなるようにされているので、外部磁界Bexの存在の有無によらず、印加磁界Beが印加されると第1層44aおよび第2層44bのそれぞれの磁化は、図6(c)に示すように、印加磁界Beに揃う向きとされる。
図6(d)は、図6(c)とは逆の方向に電流Ieを流した場合の例を説明する図である。電流Ieが図6(c)の場合と逆向きとなるので、印加磁界Beも導体部42の周方向(長手方向を軸と見立てた場合のその軸回りの方向)に関して逆向きに発生しており、第1層44aおよび第2層44bのそれぞれの磁化も、印加磁界Beに揃う向きとされ、図6(c)に示す場合とは導体部42の周方向に関して逆向きとなる。
ここで、電流Ieは前述のとおり、電流供給部22によって発生させられるものであり、周期的に変化させられる。たとえば電流Ieが時間的に判定する正弦波である場合には、軟磁性膜44における磁化は、外部磁界Bexが存在しない場合には、図6(a)→図6(c)→図6(a)→図6(d)→図6(a)のように、また、外部磁界Bexが存在する場合には、図6(b)→図6(c)→図6(b)→図6(d)→図6(b)のように、それぞれ繰り返し変化することとなる。
このように軟磁性膜44における磁化が印加磁界Beにより整列したり(図6(c)、(d))、解放されたり(図6(a)、(b))を繰り返すことで、時間的に変化する微小な磁界を生ずることになる。そして、その微小な磁界の大きさは、解放された場合の磁化の状態によって、たとえば、解放された際の状態が図6(a)であるか図6(b)であるか、あるいは、図6(b)のように磁化が傾いた状態であっても、その傾きの程度などに応じて異なる。したがって、該時間的に変化する微小な磁界をコイル50によってその起電力Ecoilとして検出し、その起電力Ecoilの大きさを評価することで、プローブ部12における外部磁界Bexの大きさを測定することが可能となる。
なお、導体部42として銅のような非磁性の物質が用いられる場合、導体部42に残留磁界が残ることがないので、プローブ部12に印加される外部磁界Bexに対するコイル50の出力Ecoilの関係がヒステリシスを生じにくいという利点がある。
また、前述のように、第1層44aに含まれる磁化の量と、第2層44bに含まれる磁化の量とが略等しくされることにより、プローブ部12に印加される外部磁界Bexに対するコイル50の出力Ecoilの関係が、特に外部磁界Bexの方向が異なる磁界に対しても、線形性(リニアリティ)の点において好ましい特性となる。
図7は、本実施例のプローブ部12における、軟磁性膜44が形成された導体部42のインピーダンス特性を示した図である。図7には、プローブ部12に印加される外部磁界Bexの大きさに対する導体部42のインピーダンスの大きさの関係を、導体部42の両端に印加する電流Ieの周波数を1~100[MHz]の範囲で異ならせて得られたものを、それぞれの周波数ごと示したものである。
図7に示すように、本実施例の導体部42によれば、電流Ieの周波数が1~100[MHz]の範囲内においては、導体部42に印加される外部磁界Bexの大きさが少なくとも-50~50[μT]の範囲で変化しても、導体部42のインピーダンスの変化量は5%以下となっており、外部磁界Bexの影響を受けにくいことがわかる。
図8は、上記図7に比較するための実験例であって、本実施例の導体部42と比較対象となるアモルファス素材からなるワイヤ(以下、アモルファスワイヤという。)のインピーダンスを、図7の実験例と同一の条件で測定した結果を示している。すなわち、アモルファスワイヤに印加される外部磁界Bexの大きさに対する、そのアモルファスワイヤのインピーダンスの大きさの関係を、アモルファスワイヤの両端に印加する電流Ieの周波数を1~100[MHz]の範囲で異ならせて得られたものを、それぞれの周波数ごと示したものである。
図8に示すように、アモルファスワイヤを用いた場合には、電流Ieの周波数が1~100[MHz]のいずれの周波数の場合においても、アモルファスワイヤに印加される外部磁界Bexの大きさが-50~50[μT]の範囲で変化すると、アモルファスワイヤのインピーダンスが変化することがわかる。
図9は、図7の例、すなわち本実施例の導体部42と、図8の例、すなわち比較例であるアモルファスワイヤとのそれぞれについて、外部磁界Bexを-78[μT]から+78[μT]まで変化させた場合のインピーダンスの変化量の変化割合、すなわち、当該変化量のうち最大値の、外部磁界Bexが0[μT]である場合のインピーダンスの大きさに対する割合(%)を示した図である。図9(a)は印加した電流Ieの周波数ごとに折れ線グラフにより示した図であり、図9(b)は具体的な数値を示した表である。なお、外部磁界Bexが負の値であることは外部磁界の向きが逆向きであることを示している。
図10は、図9と同様にして、図7の例、すなわち本実施例の導体部42と、図8の例、すなわち比較例であるアモルファスワイヤとのそれぞれについて、外部磁界Bexを-50[μT]から+50[μT]まで変化させた場合のインピーダンスの変化量の変化割合(%)を示した図である。図10(a)は印加した電流Ieの周波数ごとに折れ線グラフにより示した図であり、図10(b)は具体的な数値を示した表である。
図9および図10に示すように、本実施例の導体部42によれば、印加する電流Ieの周波数によらず、外部磁界Bexが-78~78[μT]、あるいは-50~50[μT]の範囲においてインピーダンスの変化量がほとんどない、すなわち、ほぼ一定のインピーダンスを保つ傾向がある。一方、比較対象のアモルファスワイヤは印加する電流Ieの周波数によって外部磁界Bexの大きさによってインピーダンスが大きく変動するものであり、特に低周波数であるほど顕著であることがわかる。
このように、本実施例の導体部42は、印加する電流Ieの周波数によらず、ほぼ一定のインピーダンスを保つ傾向が確認できる。より具体的には、外部磁界Bexが-78から78[μT]の範囲で、あるいは-50から50[μT]の範囲で変化した場合のインピーダンスの変化量の割合は5%を超えることがないことがわかる。
ここで、図8で比較対象として用いたアモルファスワイヤは、MIセンサ(磁気インピーダンスセンサ)におけるMI素子として好適に用いられるものである。具体的には、MI素子としてのアモルファスワイヤの両端に高周波電流を通電し、その表皮効果によりアモルファスワイヤのインピーダンスが該高周波電流の周波数に依存して変化する現象を利用して磁気検出が行なわれる。
一方、本実施例の導体部42について検討すると、図7乃至図9に示すように、印加する電流Ieの周波数のそれぞれについて、導体部42に影響する外部磁界Bexの大きさによらず、導体部42のインピーダンスの値が変動しないものであるので、本実施例の導体部42を用いた磁気センサ10は、前述のMIセンサとは全く異なる動作原理によって磁気検出を可能にしていることがわかる。
前述の実施例の磁気センサ10によれば、磁気異方性を有する軟磁性膜44と、軟磁性膜44に時間的に反転する印加磁界Beを加える導体部42と、軟磁性膜44が発生する磁界を検出するコイル50と、を備え、軟磁性膜44の磁気モーメントが印加磁界Beの印加されていない状態と印加磁界Beによって磁化させられた状態との間で変化することによって生ずる検出磁界をコイル50が検出するものであって、長手状に形成された導体部42と導体部42に時間的に反転する電流Ieを印加する電流供給部22とを含んで構成され、軟磁性膜44は、導体部42の表面に電着されたものであり、軟磁性膜44の磁気モーメントは、導体部42の長手方向に直交する導体部42の周方向に配向されたものであり、相互に反対向きの磁気モーメントが略等量に分布しており、電流供給部22は、導体部42に時間的に反転する電流Ieを印加することによって軟磁性膜44に印加磁界Beを加えるものである。このようにすれば、軟磁性膜44は、導体部42の表面に電着されているので、電流供給部22が導体部42に電流Ieを流すことにより軟磁性膜44に磁界Beを発生させることができる。また、軟磁性膜44の磁気モーメントは、導体部42の長手方向に直交する導体部42の周方向に配向されたものであり、相互に反対向きの磁気モーメントが略等量に分布しているので、磁気センサ10により測定しようとする外部磁界Bexに対するセンサ出力の線形性を良好なものとすることができる。また、また、電流供給部22は、電気抵抗の少ない導体部42に電流Ieを印加するものであるので、大きな電流を流して印加磁界Beを生じさせることができる。
また前述の実施例の磁気センサ10によれば、軟磁性膜44は、複数の層からなり、個々の層における磁気モーメントは前記導電材料の長手方向に直交する一の方向もしくは該一の方向と逆方向に配向されており、磁気モーメントが前記一の方向に配向された第1層44aと、磁気モーメントが前記一の方向とは逆方向に配向された第2層44bとを少なくとも一層ずつ有している。このようにすれば、磁気モーメントの方向がそれぞれ一定の方向に配向された第1層44aと第2層44bとを個々に順次設けることにより、それら第1層44aと第2層44bとの複数の層によって構成された軟磁性膜44全体で磁気異方性を誘導することができる。
また前述の実施例の磁気センサ10によれば、コイル50はソレノイドコイル50であり、ソレノイドコイル50は、その円筒状の空間内に軟磁性膜44が設けられた導体部42をソレノイドコイル50の長手方向と導体部42の長手方向とが一致した状態で収容するように配置され、ソレノイドコイル50の両端に発生する起電力Ecoilに基づいて磁気検出を行うものであるので、軟磁性膜44における磁気モーメントの状態の変化をソレノイドコイル50により精度よく検出することができる。
また前述の実施例の磁気センサ10によれば、軟磁性膜44は、その組成に鉄(Fe)およびニッケル(Ni)を含むので、磁性を有する材料を良好に導電材料の表面に電着することができる。
また前述の実施例の磁気センサ10によれば、軟磁性膜44は、鉄(Fe)を15~25%の割合で含むので、軟磁性膜44を透磁率のよいものとすることができる。
また前述の実施例の磁気センサ10によれば、外部磁界Bexの大きさが-50[μT]以上、50[μT]以下の範囲内において、電流供給部22から導体部42に印加される励磁電流Ieの周波数が100[MHz]以下である場合において、軟磁性膜44を形成した導体部42のインピーダンス変化量が5%以下であるので、測定しようとする外部磁界の範囲において軟磁性膜44を形成した導体部42のインピーダンスの変化量がきわめて小さく、安定した磁気計測ができる。
また前述の実施例においては、磁気センサ10用の軟磁性膜44は、長手状の導体部42の表面に磁性材料を電着させて得られるものであって、導体部42の長手方向の一の向きにめっき電流Ipを流し、磁性材料を電着させる第1めっき工程(S20)と、導体部42の長手方向の該一の向きとは逆向きにめっき電流Ip’を流し、磁性材料を電着させる第2めっき工程(S40)と、を含み、前記第1めっき工程において流されるめっき電流Ipの該第1めっき工程における時間積算値と、前記第2めっき工程において流されるめっき電流Ip’の該第2めっき工程における時間積算値とが略等しいものであるので、第1めっき工程と第2めっき工程とのそれぞれにおいて、磁気モーメントが相互に逆向きに配向された磁性材料の層をめっきにより設けることができるとともに、前記第1めっき工程において流されるめっき電流の時間積算値と前記第2めっき工程において流されるめっき電流の時間積算値とが略等しいので、それら磁性材料の層を複数有する軟磁性膜44全体として磁気異方性を誘導することができる。
続いて、本発明の別の実施例について説明する。以下の説明において、実施例相互に共通する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図11は、本実施例の磁気センサ装置10におけるプローブ部12を構成する、軟磁性膜44を備えた導体部42の別の製造装置を説明する図である。図11は前述の実施例の図4に対応する。
図11の装置においては、図4の装置に加え、バイアス回路63が設けられている。バイアス回路63は、バイアス電源64、スイッチ66および67を含み、バイアス回路63とめっきカソードとしての導体部42とは導線68および69で電気的に接続されており、バイアス電源64と導体部42とを直列に接続することができるものとされている。また、スイッチ66および67を切り換えることにより、導体部42の両端のうち、いずれをバイアス電源64の高電位側とするかを選択することができるようにされている。言い換えれば、バイアス電流Ibを導体部42の両端間でいずれの向きで流すかを選択可能とされている。
図11の例においては、図4の例と同様に、スイッチ56が端子56aとめっき電源54とを接続する、前述の第1めっき工程を実行する状態とされている。一方、図11に示すバイアス回路63においては、スイッチ66は端子66aとバイアス電源64の正極とを接続し、端子66aは導線68を介してめっきカソードとしての導体部42の右端部と接続されている。また、スイッチ67は端子67aとバイアス電源64の負極とを接続し、端子67aは導線69を介して導体部42の左端部と接続されている。このようにすることで、導体部42の右端部から左端部に向けてバイアス電流Ibが流れるようになっている。
ここで、バイアス電流Ibの大きさは、めっき電流Ipの大きさに比べて大きいものとされる。また、バイアス電流Ibはめっきの電着に寄与しないものであるので、めっき電流Ipの大きさはめっき処理を行うのに最小限のものとすることができるのに加え、金属イオンが導体部42の表面にめっきされる際に、めっき電流Ipとバイアス電流Ibとの両方によりその磁化が揃えられるので、より磁気異方性を誘導しやすくなる。すなわち、本実施例においては、めっき電流Ipとバイアス電流Ibとを合わせたものが本発明の形成電流に相当する。
なお、図11に示すバイアス回路63において破線で示すように、、スイッチ66を端子66bとバイアス電源64の正極とを接続し、スイッチ67を端子67bとバイアス電源64の負極とを接続するように切り換えることにより、導線69、68を介して、導体部42の左端部から右端部に向けて、すなわち、前記バイアス電流Ibと逆向きにバイアス電流Ib’が流すことができる。前述の第2めっき工程を行う場合には、このようにバイアス電流Ib’を流すことにより、生成される第2層における磁化を、第1めっき工程により生成される第1層の磁化とは逆向きのものとすることができる。
本実施例によれば、めっきカソードとしての導電材料42とメッキアノード52との間に電位差を生じさせるためのめっき電流Ipと、前記軟磁性膜44における磁気モーメントを整列させるためのバイアス電流Ibの両方により磁気モーメントを配向しつつ,めっきにより軟磁性膜44を形成することができる。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
例えば、前述の実施例では1つのプローブ部12により磁気センサ10が構成されたが、このような態様に限定されず、たとえば、2つのプローブ部12を用い、それら2つのプローブ部12の出力を差動させることによりグラジオセンサを構成する磁気センサとすることもできる。
また、前述の実施例においては、相互に磁化の向きが反対向きである第1層44aと第2層44bとが1つづつ設けられたが、このような態様に限定されない。すなわち、各方向の磁化の量が略等しくなるように設けられる限り、第1層44aと第2層44bとの層の数は限定されない。同様に第1層44aと第2層44bとの厚さについても限定されない。
前述の実施例においては、電源供給部22から導体部42に供給される電流Ieは時間的に変化する電流とされたが、この電流Ieは、その絶対値が等しい所定の正値と負値との間を時間的に交互に反転するものであってもよいし、所定の正値と0とを時間的に反転するものであっても一定の効果を得ることができる。また、変化の態様も、反転、すなわち、方形波状に変化するものであってもよいし、正弦波状に変化するものであってもよい。
また、前述の実施例においては、導電材料の表面に形成される軟磁性膜44の一態様として、軟磁性膜44がめっき加工により設けられる例を説明したが、このような態様に限定されるものではない。すなわち、イオンプレーティングやスパッタリングにより蒸着された軟磁性膜44であっても磁気異方性が誘導される。
また、前述の実施例においては、導体部42として銅あるいはニッケルを用いるものとされたが、これは例示にすぎず、めっきなどにより軟磁性膜44を電着可能な導体であれば、非金属の物質が用いられてもよい。たとえば炭素などが用いられることも可能である。
10:磁気センサ装置(磁気センサ)
14:回路部(励磁部・磁気検出部)
22:電流供給部(電源装置)
42:導体部(めっきカソード)
44:軟磁性膜(磁性材料部)
44a:第1層
44b:第2層
50:コイル(磁気検出部)
52:めっき材料(めっきアノード)
Be:印加磁界
Ip:めっき電流(電着電流)
Ib:バイアス電流(電着電流)

Claims (7)

  1. 磁性材料部と、
    該磁性材料部に時間的に変化する印加磁界を加える励磁部と、
    前記磁性材料部が発生する磁界を検出する磁気検出部と、を備え、
    前記磁性材料部の磁気モーメントが前記印加磁界の印加されていない状態と前記印加磁界によって磁化させられた状態との間で変化することによって生ずる検出磁界を前記磁気検出部が検出することによって、磁界を計測する磁気センサであって、
    前記励磁部は、長手状に形成された導電材料を含んで構成され、
    前記磁性材料部は、複数の層からなる軟磁性膜を含み、前記複数の層の一つは該導電材料の外周側面全体に密着して設けられるとともに、前記複数の層は相互に密着して設けられ、
    前記磁性材料部の磁気モーメントは、前記導電材料の長手方向に直交する該導電材料の周方向に配向されたものであり、
    前記複数の層からなる軟磁性膜のそれぞれの層における磁気モーメントは、前記導電材料の長手方向に直交する一の方向もしくは該一の方向と逆方向に配向されており、
    前記磁性材料部は、磁気モーメントが前記一の方向に配向された第1層と、磁気モーメントが前記一の方向とは逆方向に配向された第2層とを少なくとも一層ずつ有するとともに、
    前記磁性材料部は、相互に反対向きの磁気モーメントが略等量に分布していること、
    を特徴とする磁気センサ。
  2. 前記磁気検出部はソレノイドコイルであり、
    該ソレノイドコイルは、その円筒状の空間内に前記磁性材料部が設けられた前記導電材料を該ソレノイドコイルの長手方向と該導電材料の長手方向とが一致した状態で収容するように配置され、
    該ソレノイドコイルの両端に発生する起電力に基づいて磁気検出を行うこと、
    を特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
  3. 前記磁性材料部は、その組成に鉄(Fe)およびニッケル(Ni)を含むこと、
    を特徴とする請求項1または2に記載の磁気センサ。
  4. 前記磁性材料部は、鉄(Fe)を15~25%の割合で含むこと、
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の磁気センサ。
  5. 外部磁界の大きさが-50[μT]以上、50[μT]以下の範囲内において、前記励磁部による励磁電流の周波数が100[MHz]以下である場合において、前記導電材料のインピーダンス変化量が5%以下であること
    を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の磁気センサ。
  6. 長手状の導電材料の外周側面全体に磁性材料を形成させて得られる、磁気センサ用磁性材料部の製造方法であって、
    該導電材料の長手方向の一の向きに形成電流を流し、磁性材料を形成させる第1の形成工程と、
    該導電材料の長手方向の該一の向きとは逆向きに形成電流を流し、磁性材料を形成させる第2の形成工程と、を含み、
    前記第1の形成工程において流される形成電流の総量と前記第2の形成工程において流される形成電流の総量とが略等しいこと、
    を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1の磁気センサ用の磁性材料部の製造方法。
  7. 前記形成電流は、めっきカソードとしての前記導電材料とメッキアノードとの間に電位差を生じさせるためのめっき電流と、前記磁性材料における磁気モーメントを整列させるためのバイアス電流とを含むこと、
    を特徴とする請求項6に記載の磁気センサ用磁性材料部の製造方法。
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