JP7002711B2 - マグネシウム合金 - Google Patents

マグネシウム合金 Download PDF

Info

Publication number
JP7002711B2
JP7002711B2 JP2017176104A JP2017176104A JP7002711B2 JP 7002711 B2 JP7002711 B2 JP 7002711B2 JP 2017176104 A JP2017176104 A JP 2017176104A JP 2017176104 A JP2017176104 A JP 2017176104A JP 7002711 B2 JP7002711 B2 JP 7002711B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
extrusion
intermetallic compound
extruded material
examples
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017176104A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018044244A (ja
Inventor
和紀 清水
泰誠 松本
重晴 鎌土
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nagaoka University of Technology
Sankyo Tateyama Inc
Original Assignee
Nagaoka University of Technology
Sankyo Tateyama Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nagaoka University of Technology, Sankyo Tateyama Inc filed Critical Nagaoka University of Technology
Publication of JP2018044244A publication Critical patent/JP2018044244A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7002711B2 publication Critical patent/JP7002711B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、高速押出が可能なCaを添加した難燃性マグネシウム合金に関する。
マグネシウム合金は軽量で比強度が高いことから、携帯機器や輸送機器等の様々な分野への適用が拡大している。しかし、マグネシウム合金は、例えばアルミサッシ等に使用される6000系アルミニウム合金と比較して塑性加工性が著しく劣るため、アルミニウム合金と同等の速度で押出加工ができなかった。6000系アルミニウム合金は、出口速度にして通常20~30m/minで押出加工が可能であるが、最も汎用的なマグネシウム合金であるAZ31合金は、通常、それよりも遅い5m/min程度の出口速度でしか押出加工が出来ず、難燃合金としてCaを添加したAZX611合金にいたっては、押出速度は1.5m/minとさらに押出速度が制限される。
一方、押出加工では押出速度が速いほど加工発熱が大きくなるため押出材の結晶粒粗大化が促進される。また、一般に金属材料の室温における降伏応力は結晶粒が微細であるほうが高くなることがホールペッチの法則として知られている。特にマグネシウム合金の結晶構造は最密六方格子であり、ホールペッチ係数kが大きく、結晶粒径が強度に及ぼす影響が大きい。
ホールペッチの式(Hall-Petch relationship)
σy=σ0+kd-1/2
※σy:降伏応力, σ0:摩擦応力, k:結晶粒界のすべりに対する抵抗を示す定数
また、マグネシウムの結晶構造に由来した強度の異方性は結晶粒が大きい程、顕著になる。そのため、結晶粒の粗大化を抑えた機械的性質の良好な押出材を得るためにも押出速度が制限される。
本発明は以上に述べた実情に鑑み、押出速度の高速化が可能であると共に押出荷重を低減できる押出性の良好なCaを添加した難燃性マグネシウム合金の提供を目的とする。
第1の発明によるマグネシウム合金は、Alを0.1~3.0wt%、Caを0.1~0.43wt%、Mnを0.15~1.2wt%含み、残部がMg及び不可避的不純物からなり、Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上で、平均粒子径が120nm以下であることを特徴とする。
第2の発明によるマグネシウム合金は、Alを0.1~0.34wt%、Caを0.1~0.35wt%、Mnを0.15~1.2wt%、Znを0.15wt%以下含み、残部がMg及び不可避的不純物からなり、Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上で、平均粒子径が120nm以下であることを特徴とする。
第1の発明によるマグネシウム合金は、Alを0.1~3.0wt%、Caを0.1~0.43wt%、Mnを0.15~1.2wt%含み、残部がMg及び不可避的不純物からなり、Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上で、平均粒子径が120nm以下であることにより、押出速度の高速化が可能で、且つ押出荷重を低減といった押出性を向上できる。さらに、得られる押出材の結晶粒粗大化も抑制できる。
第2の発明によるマグネシウム合金は、Alを0.1~0.34wt%、Caを0.1~0.35wt%、Mnを0.15~1.2wt%、Znを0.15wt%以下含み、残部がMg及び不可避的不純物からなり、Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上で、平均粒子径が120nm以下であることにより、押出速度の高速化が可能で、且つ押出荷重を低減といった押出性を向上できる。さらに、得られる押出材の結晶粒粗大化も抑制できる。
本発明のマグネシウム合金について行った実験の結果をまとめた表である。 比較例1,2のビレットの押出直前のミクロ組織の写真である。 実施例1,2,3のビレットの押出直前のミクロ組織の写真である。 実施例4,5及び比較例3のビレットの押出直前のミクロ組織の写真である。 比較例4,5,6のビレットの押出直前のミクロ組織の写真である。 実施例6,7及び比較例7のビレットの押出直前のミクロ組織の写真である。 均質化処理の温度及び時間とAl-Mn系金属間化合物の体積率との関係を示すグラフである。 均質化処理の温度及び時間とAl-Mn系金属間化合物の平均粒子径との関係を示すグラフである。 実施例6,7及び比較例4,5,6,7の押出材の外観写真である。 Al-Mn系金属間化合物の体積率と押出荷重の低減割合との関係を示すグラフである。 Al-Mn系金属間化合物の体積率と押出材の結晶粒粗大化率との関係を示すグラフである。 Al-Mn系金属間化合物の平均粒子径と押出材の結晶粒粗大化率との関係を示すグラフである。 押出荷重の低減と押出材の結晶粒粗大化の抑制を両立できるAl-Mn系金属間化合物の体積率と平均粒子径の範囲を示すグラフである。 均質化処理条件と押出加工時の最大押出荷重との関係を示すグラフである。 均質化処理条件と押出加工時の最大押出荷重との関係を示すグラフである。 実施例1,2,3,4,5と比較例1,2,3の押出しまま材のEBSD逆極点図マップである。 実施例6,7と比較例4,5,6,7の押出しまま材のEBSD逆極点図マップである。 均質化処理条件と押出しまま材の平均結晶粒径との関係を示すグラフである。 均質化処理条件と押出しまま材の平均結晶粒径との関係を示すグラフである。 合金成分を種々変化させたマグネシウム合金について行った実験の結果をまとめた表である。 実施例8~16の押出した形材の外観写真である。 比較例8~11の押出した形材の外観写真である。 AlとCaの含有量と押出達成速度との関係を示す図である。 実施例8,9,10,11,13,14の形材性能の測定結果を示す表である。 Mnの含有量を変化させた実験に用いたマグネシウム合金の合金成分を示す表である。 Mnの含有量を変化させた押出しまま材の外観写真である。 Mnの含有量を変化させた押出しまま材のEBSD逆極点図マップと(0001)面の極点図である。 図18中の実施例19について、鋳造ままの状態、および種々の条件で均質化処理を施した後に押出した形材の外観写真である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。第1の発明によるマグネシウム合金は、Alを0.1~3.0wt%、Caを0.1~0.43wt%、Mnを0.15~1.2wt%含み、残部がMg及び不可避的不純物からなることを特徴とする。
Alは、合金の引張強度等の機械的性質を向上させる効果があるが、過剰に添加すると押出性が低下する。よって、良好な機械的性質が得られ且つ押出性が良好となるように、Alを0.1~3.0wt%とした。
Caは、溶解・鋳造の際にマグネシウムの発火を抑制する働きがあるが、過剰に添加すると押出性が低下する。よって、難燃性が得られ且つ押出性が良好となるように、Caを0.1~0.43wt%とした。
Mnは、再結晶粒の粗大化を抑制し、押出性を向上させる働きがある。Mnが0.15wt%より少ないとこの効果が発揮されないため、Mnを0.15~1.2wt%とした。なお、上限値の1.2wt%は、操業上、これ以上添加できないという値である。
第1の発明によるマグネシウム合金は、上記の合金組成であることに加え、Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上で、平均粒子径が120nm以下であることを特徴とする。これにより本発明のマグネシウム合金は、マグネシウム母相中に固溶しているAl,MnがAl-Mn系金属間化合物として析出し、マグネシウム母相中のAlやMnの固溶量が減少するため、加工時の変形抵抗が低下し、押出荷重が低減するものである。また、Al-Mn系金属間化合物が微細且つ高密度に分散するため、押出材の再結晶粒界をピン止めし、結晶粒の粗大化を抑制することができる。
Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%未満であると、マグネシウム母相中のAlやMnの固溶量が十分に減少しておらず、押出荷重の低減効果が小さい場合がある。更に、再結晶粒界のピン止め効果が十分に得られず結晶粒が粗大化する場合もある。
また、Al-Mn系金属間化合物の平均粒子径が120nmより大きいと、押出材の結晶粒が粗大化する。よって、Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上で、平均粒子径が120nm以下とした。
Al-Mn系金属間化合物の体積率及び平均粒子径が、上記範囲にあるマグネシウム合金得るためには、例えば鋳造後のビレットに450~500℃×1~4時間の均質化処理を施すことができる。
Mg-Al系マグネシウム合金を押出加工に供すると、押出加工時のビレット加熱や加工発熱によって低融点化合物(Mg-Al系金属間化合物)が溶融し、押出材表面に割れ等の欠陥が発生することがある。また、パイプ形状のような中空形材を押出す際には、押出材に溶着不良が発生し、健全な押出材を得ることが困難な場合がある。そのため、押出加工時における上述の不良を防止する目的で、従来、押出加工前のビレットに対して当該低融点化合物をマグネシウム母相中に固溶させる均質化処理を行っており、その条件は約410℃×24時間が一般的となっている。
450~500℃×1~4時間の均質化処理を施すと、マグネシウム母相中に固溶しているAl,MnがAl-Mn系金属間化合物として析出し、マグネシウム母相中のAlやMnの固溶量が減少するため、加工時の変形抵抗が低下し、押出荷重が低減するものである。析出する化合物の量が多いほど、押出性が向上する。
また、450~500℃×1~4時間の均質化処理を施すことで、Al-Mn系金属間化合物が微細且つ高密度に分散するため、押出材の再結晶粒界をピン止めし、結晶粒の粗大化を抑制することができる。
均質化処理後の冷却は、炉冷、空冷、水冷等、いかなる条件であってもよいが、冷却速度が遅いと粗大な化合物が析出し、冷却速度が速いと細かい化合物が析出する。
なお、均質化処理の条件は450~500℃×1~4時間に限定されず、結果的にAl-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上で、平均粒子径が120nm以下になっていればよく、例えば450℃よりも低い温度で、4時間より長く均質化処理を行ってもよい。ただし、450~500℃×1~4時間の高温短時間で均質化処理を行うと、燃料費を削減でき、経済的である。
第2の発明によるマグネシウム合金は、Alを0.1~0.34wt%、Caを0.1~0.35wt%、Mnを0.15~1.2wt%、Znを0.15wt%以下含み、残部がMg及び不可避的不純物からなり、Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上で、平均粒子径が120nm以下であることを特徴とする。
第1の発明と比較すると、Znを0.15wt%以下含むこと、Al,Caの上限値を小さくした点が異なる。本発明のマグネシウム合金も、第1の発明と同様に、高速押出が可能で、且つ押出荷重を低減することができる。また、押出材の結晶粒の粗大化を抑制できる。
本発明に係るマグネシウム合金は、所定の組成となるように配合された原料を熔解し、鋳造することにより得られる。鋳造方法は、特に限定されるものではないが、金型鋳造法や連続鋳造法を用いることができる。
均質化処理を施したビレットは、押出加工を行って種々の断面形状の形材に加工することができる。押出方法は、特に限定されるものではなく、例えば直接押出法、間接押出法を用いることができる。
以下、本発明のマグネシウム合金について行った実験の結果を説明する。図1に示す組成のマグネシウム合金ビレットを鋳造し、鋳造まま材、および、400℃,450℃,500℃で1,4,16時間それぞれ均質化処理したビレットについて押出加工を行った。均質化処理後の冷却は水冷で行った。押出加工は、間接押出にて行い、押出温度は350℃、押出速度は60m/min、押出比は20とした。なお、図1に示す組成のマグネシウム合金は、第1の発明において特定された合金成分の範囲内ものである。また、実施例1~5は、Znを含有しないことを除けば、第2の発明の合金成分の範囲にも含まれるものである。
また、400℃で1,4,16時間、450℃で1,4,16時間、500℃で1,4,16時間それぞれ均質化処理したものについて、押出直前のミクロ組織を観察し、Al-Mn系金属間化合物の体積率と平均粒子径を測定した。
図2-1は400℃で1,4時間均質化処理したビレット(比較例1、比較例2)の押出直前のミクロ組織を、図2-2は450℃で1,4,16時間均質化処理したビレット(実施例1、実施例2、実施例3)の押出直前のミクロ組織を、図2-3は500℃で1,4,16時間均質化処理したビレット(実施例4、実施例5、比較例3)の押出直前のミクロ組織を、図2-4は400℃で1,4,16時間均質化処理したビレット(比較例4、比較例5、比較例6)の押出直前のミクロ組織を、図2-5は500℃で1,4,16時間均質化処理したビレット(実施例6、実施例7、比較例7)の押出直前のミクロ組織を示している。図中に白く見える点がAl-Mn系金属間化合物であり、400℃で均質化処理したもの(図2-1、図2-4)では、Al-Mn系金属間化合物がほとんど見られないが、450℃で均質化処理したもの(図2-2)、500℃で均質化処理したもの(図2-3、図2-5)では、Al-Mn系金属間化合物が細かく分散して析出していることが分かる。また、図2-2,図2-3,図2-5から明らかなように、均質化処理時間が長くなるほどAl-Mn系金属間化合物が大きくなり、500℃で16時間均質化処理したもの(比較例3、比較例7)は、Al-Mn系金属間化合物が粗大化している。
図3は均質化処理条件とAl-Mn系金属間化合物の体積率との関係を示すグラフであり、図4は均質化処理条件とAl-Mn系金属間化合物の平均粒子径との関係を示すグラフである。図1は、実験の結果をまとめた表である。
図3,4より明らかなように、均質化処理の温度が高いほど、均質化処理の時間が長いほど、Al-Mn系金属間化合物の体積率が増加し、平均粒子径が大きくなる。また、図1の表より明らかなように、450℃で1,4,16時間均質化処理したもの(実施例1,2,3)、500℃で1,4時間均質化処理したもの(実施例4,5,6,7)が、第1及び第2の発明において特定されたAl-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上で、平均粒子径が120nm以下の条件を満足する。400℃で1,4,16時間均質化処理したもの(比較例1,2,4,5,6)は、Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%未満であった。500℃で16時間均質化処理したもの(比較例3,7)は、Al-Mn系金属間化合物の平均粒子径が120nmを超えていた。
押出試験の結果、Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%未満の比較例1,2,4,5,6は、図5の左側の写真のように、表面に亀裂が発生した。一方、Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上で、平均粒子径が120nm以下を満足する実施例1,2,3,4,5,6,7は、図5の右側の写真のように、表面に割れ等の欠陥の全くない、良好な外観の押出材が得られた。
図6は、Al-Mn系金属間化合物の体積率と押出荷重の低減割合(鋳造まま材の押出荷重を100%としたときの低減割合)との関係を示すグラフである。このグラフより明らかなように、Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上である実施例1,2,3,4,5,6,7は、押出荷重を5%以上低減できる。Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%未満である比較例1,2は、押出荷重を5%以上低減することができない。なお、比較例3,4,5,6,7についても押出荷重を5%以上低減できているが、これらは後述するように、押出材の結晶粒が粗大化する。
押出した各押出材について、押出材の結晶粒径、引張強さ、降伏応力、破断伸びを測定した。測定結果を図1の表に示す。図7は、Al-Mn系金属間化合物の体積率と押出材の結晶粒粗大化率(鋳造まま材の結晶粒径を100%としたときの粗大化率)との関係を示すグラフであり、図8は、Al-Mn系金属間化合物の平均粒子径と押出材の結晶粒粗大化率との関係を示すグラフである。
図7,8のグラフより明らかなように、Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上で、且つ平均粒子径が120nm以下である実施例1,2,3,4,5,6,7は、押出材の結晶粒粗大化率が150%以下に抑えられている。図7に示すように、Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%未満である比較例4,5,6、及び図8に示すように、Al-Mn系金属間化合物の平均粒子径が120nmを超える比較例3,7は、押出材の結晶粒粗大化率が150%を超えている。
図9は、押出荷重を5%以上低減でき、且つ押出材の結晶粒粗大化率を150%以下にできるAl-Mn系金属間化合物の体積率、平均粒子径の範囲をグラフ化したものである。このグラフより明らかなように、Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上で、平均粒子径が120nm以下のときに、押出荷重を5%以上低減でき、且つ押出材の結晶粒粗大化率を150%以下にできる。
また、図1の表に示すように、Al-Mn系金属間化合物の平均粒子径が120nmを超える比較例3,7は、押出材の結晶粒が粗大化することに加え、引張強さ及び降伏応力が、実施例1~5、実施例6,7と比べて低下している。比較例4~6は、押出材の結晶粒が粗大化し、破断伸びが実施例6,7と比べて小さくなっている。Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上で、平均粒子径が120nm以下である実施例1,2,3,4,5,6,7は、押出材の結晶粒の粗大化が抑制されている。
図10-1,図10-2は、均質化処理条件と押出加工時の最大押出荷重との関係を示している。これらのグラフからも、本願発明の実施例は比較例と比べて最大押出荷重が小さくなっていることが分かる(特に、図10-2参照)。
図11-1,図11-2は、実施例と比較例の押出しまま材のEBSD(Electron Back Scattered Diffraction:電子線後方散乱回折)逆極点図マップであり、図12-1,図12-2は、均質化処理条件と押出しまま材の平均結晶粒径との関係を示すグラフである。これらの結果からも、本願発明の実施例は比較例と比べて押出しまま材の平均結晶粒径が小さくなることが分かる(特に、図11-2,図12-2参照)。
次に、図13に示すように合金成分を種々変化させたマグネシウム合金のビレットを鋳造し、鋳造まま材と均質化処理を施したビレットについて、割れ等の欠陥を生じることなく押出せる最も速い押出速度(押出達成速度)を求める実験を行った。実施例8~15は、Al、Ca、Mnの含有量が第1の発明の範囲内のものであり、実施例16は、Al、Ca、Mn,Znの含有量が第2の発明の範囲内のものである。比較例8,9は、第1の発明の比較例であって、Caの含有量が第1の発明の範囲を超えるものである。比較例10,11は、第2の発明の比較例であって、Al、Zn及びCaの含有量が、第2の発明の範囲を超えるものである。表中に示した主要成分以外の成分は、Mg及び不可避的不純物である。ビレットは、断熱鋳型を用いた連続鋳造法にて鋳造した。ビレットの直径は76mmであった。均質化処理は、500℃で1時間行った。均質化処理後の冷却は、ビレットを炉から出してファン空冷にて行った。このときの冷却速度は、300℃/hであった。押出しは、直接押出法にて行い、ビレット温度350℃、金型温度350℃、押出形状は幅30mm、厚さ2mmの板状であり、押出比は47である。
図13には、各ビレットの組成、および、押出達成速度と押出荷重(最大荷重)を示した。図14は、実施例8~16の押出した形材の外観写真であり、図15は、比較例8~11の押出した形材の外観写真である。
図13,14,15より明らかなように、実施例8~16は鋳造ままの状態で押出加工を行っても10m/min以上で押出しが可能であり、均質化処理を施したものについては、何れの実施例も15m/min以上での高速押出が可能であり、特に実施例8,9,10,11,14,16は、28m/minの高速での押出しが可能であった。また均質化処理を施すと、押出速度をより速くできると同時に、押出荷重が低減することを確認した。均質化処理を施すことで、押出荷重は概ね10~20%低減し、Alの含有量が2.69wt%と多い実施例14は、荷重低減割合が23%と大きくなった。なお、実施例8~16の500℃で1時間の均質化処理を行ったものは、Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上で、平均粒子径が120nm以下を満足することが、先に示した実験の結果(図1,3,4)より明らかである。
Alの含有量が0.4wt%以下で且つMnの含有量が0.4wt%以上の実施例9,10は、鋳造ままでも28m/minで押出すことができた。
一方、Znを0.15wt%より多く含有する比較例10,11、Caを0.43wt%より多く含有する比較例8,9,11は、いずれも15m/min以上の押出速度の高速化は不可能であった。
図16は、AlとCaの含有量と押出達成速度との関係を示す図である。同図より明らかなように、Alが3.0wt%以下で且つCaが0.43wt%以下の領域では、15m/min以上の押出速度の高速化が可能である。Caが0.43wt%を超えると、15m/min以上の高速押出はできなくなる。
実施例8,9,10,11,13,14の押出した形材をT5処理したものについて引張試験を行い、機械的性質を測定した。また、それらの形材のミクロ組織を観察し、結晶粒度を測定した。測定結果を図17に示す。
図17に示すように、Mnの含有量が0.2wt%と少ない実施例8は、結晶粒度が50μm程度と粗大であるが、Mnを0.4wt%以上含有する実施例9,10,11,13,14は、結晶粒の粗大化が抑制され、且つ機械的性質も向上している。Alの含有量が増加するにつれて、引張強さは向上する。
次に、図18に示すように、Mnの含有量の異なる3種類のマグネシウム合金ビレット(実施例17,18,19)を鋳造し、各ビレットに450℃×1時間の均質化処理を施し、そのビレットを押出加工し、押出材の外観及びミクロ組織を観察した。押出しは、間接押出法にて行い、押出温度は400℃、押出速度は60m/minとした。なお、実施例17,18,19は、Al,Ca,Mnの含有量が、第1及び第2の発明の範囲内のものである。
図19は、上記の各マグネシウム合金の押出しまま材の外観写真である。同図より明らかなように、Mnの含有量が増加するにつれて、押出材の表面性状が改善する。
図20は、各押出材のEBSD逆極点図マップと(0001)極点図である。同図より明らかなように、Mnの含有量が増加するにつれて、結晶粒径は微細化し集合組織も強くなる傾向がある。
図18中の実施例19について、鋳造ままのビレット、および、500℃×1時間、450℃×1時間、400℃×1時間の各条件で均質化処理を施したものについて、間接押出による押出加工を行い、各材の押出性の評価を行った。押出速度は、60m/minとした。
図21は、押出材の外観の写真である。同図に示すとおり、鋳造まま材の場合は表面に割れが大きく発生し、400℃×1時間の均質化処理を施した場合は、鋳造まま材ほどではないが表面に割れが発生した。500℃×1時間、450℃×1時間の均質化処理を施した場合では、表面に割れ等の欠陥のまったくない、良好な外観の押出材を得た。これは、先の実験の結果(図1,3,4)に示すように、500℃×1時間、450℃×1時間の均質化処理をしたことで、マグネシウム母相中に固溶しているAl,MnがAl-Mn系金属間化合物として析出し、Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上で、平均粒子径が120nm以下となったためである。
以上に述べたように、Alを0.1~3.0wt%、Caを0.1~0.43wt%、Mnを0.15~1.2wt%含み、残部がMg及び不可避的不純物からなり、Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上で、平均粒子径が120nm以下であるマグネシウム合金(第1の発明)は、直接押出で15m/min以上の高速押出が可能であり、且つ押出荷重を低減することができる。また、押出材の結晶粒の粗大化を抑制できる。
Alを0.1~0.34wt%、Caを0.1~0.35wt%、Mnを0.15~1.2wt%、Znを0.15wt%以下含み、残部がMg及び不可避的不純物からなり、Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上で、平均粒子径が120nm以下であるマグネシウム合金(第2の発明)も、第1の発明と同様に、直接押出で15m/min以上の高速押出が可能であり、且つ押出荷重を低減することができる。また、押出材の結晶粒の粗大化を抑制できる。
均質化処理を450~500℃で1~4時間の高温短時間で行うことで、燃料費を節約でき経済的である。Alを所定量含有することで、一般的な展伸用アルミニウム合金6063合金と同等以上の機械的性質を得ることができる。また、Caを所定量含有することで、難燃性を付与できる。
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。本発明のマグネシウム合金は、押出加工用のものに限定されるものではなく、圧延、プレス成型、鍛造に用いることもできる。

Claims (2)

  1. Alを0.1~3.0wt%、Caを0.1~0.43wt%、Mnを0.15~1.2wt%含み、残部がMg及び不可避的不純物からなり、Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上で、平均粒子径が120nm以下であることを特徴とする難燃性マグネシウム合金。
  2. Alを0.1~0.34wt%、Caを0.1~0.35wt%、Mnを0.15~1.2wt%、Znを0.15wt%以下含み、残部がMg及び不可避的不純物からなり、Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上で、平均粒子径が120nm以下であることを特徴とする難燃性マグネシウム合金。
JP2017176104A 2016-09-13 2017-09-13 マグネシウム合金 Active JP7002711B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016179035 2016-09-13
JP2016179035 2016-09-13

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018044244A JP2018044244A (ja) 2018-03-22
JP7002711B2 true JP7002711B2 (ja) 2022-02-04

Family

ID=61693672

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017176104A Active JP7002711B2 (ja) 2016-09-13 2017-09-13 マグネシウム合金

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7002711B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108570583B (zh) * 2018-06-08 2020-06-09 哈尔滨工业大学 不含稀土低合金超高强韧镁合金及其制备方法
CN114703412B (zh) * 2022-03-29 2022-08-30 吉林大学 一种高性能微合金化Mg-Al-Ca-Mn合金及其制备方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012097309A (ja) 2010-10-29 2012-05-24 Sanden Corp マグネシウム合金部材、エアコン用圧縮機及びマグネシウム合金部材の製造方法
CN105296831A (zh) 2015-11-05 2016-02-03 南阳师范学院 一种高室温延伸率的变形镁合金及其制备方法
JP2016169431A (ja) 2015-03-13 2016-09-23 三協立山株式会社 マグネシウム合金
CN109266931A (zh) 2018-08-23 2019-01-25 江苏理工学院 一种高性能镁合金及其制备方法
CN109439989A (zh) 2019-01-08 2019-03-08 苏州大学 一种镁合金及其制备方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012097309A (ja) 2010-10-29 2012-05-24 Sanden Corp マグネシウム合金部材、エアコン用圧縮機及びマグネシウム合金部材の製造方法
JP2016169431A (ja) 2015-03-13 2016-09-23 三協立山株式会社 マグネシウム合金
CN105296831A (zh) 2015-11-05 2016-02-03 南阳师范学院 一种高室温延伸率的变形镁合金及其制备方法
CN109266931A (zh) 2018-08-23 2019-01-25 江苏理工学院 一种高性能镁合金及其制备方法
CN109439989A (zh) 2019-01-08 2019-03-08 苏州大学 一种镁合金及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018044244A (ja) 2018-03-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6955483B2 (ja) 耐食性に優れ、良好な焼入れ性を有する高強度アルミニウム合金押出材及びその製造方法
JP6412103B2 (ja) 構造用アルミニウム合金板及びその製造方法
WO2012165086A1 (ja) アルミニウム合金及びそれを用いた押出形材の製造方法
JPWO2019017307A1 (ja) マグネシウム基合金展伸材及びその製造方法
JP2018012888A (ja) マグネシウム基合金伸展材及びその製造方法
WO2020203980A1 (ja) 強度-延性バランスと常温加工性に優れたマグネシウム合金板
JP2011144396A (ja) 耐応力腐食割れ性に優れた高強度アルミニウム合金押出材
JP7002711B2 (ja) マグネシウム合金
JP6644376B2 (ja) 成形性に優れた高強度アルミニウム合金押出材の製造方法
JP6452042B2 (ja) マグネシウム合金の製造方法
JP6638192B2 (ja) アルミニウム合金加工材及びその製造方法
JP2016017183A (ja) マグネシウム基合金展伸材及びその製造方法
EP3176274B1 (en) Aluminium alloy extruded material with excellent machinability and manufacturing method thereof
JP2016169431A5 (ja)
JP4864413B2 (ja) 高強度マグネシウム合金押出し材
JP5777782B2 (ja) 切削性に優れたアルミニウム合金押出材の製造方法
JP2016108654A (ja) マグネシウム合金押出し材およびその製造方法
JP5823010B2 (ja) 耐応力腐食割れ性に優れた自動車構造部材用高強度アルミニウム合金押出材
JP6015536B2 (ja) 冷間塑性加工用熱処理型アルミニウム合金及びその製造方法
JP5631379B2 (ja) 耐応力腐食割れ性に優れたバンパーレインフォース用高強度アルミニウム合金押出材
JP5435266B2 (ja) 疲労強度,靭性及び光輝性に優れたアルマイト処理用アルミニウム合金展伸材及びその製造方法
JP2016151044A (ja) 切削性に優れたアルミニウム合金押出材及びその製造方法
JP2009221531A (ja) 冷間加工用Al−Mg系アルミニウム合金押出材及びその製造方法
WO2021215241A1 (ja) マグネシウム合金、マグネシウム合金板、マグネシウム合金棒およびこれらの製造方法、マグネシウム合金部材
JP6638193B2 (ja) アルミニウム合金加工材及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
AA64 Notification of invalidation of claim of internal priority (with term)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A241764

Effective date: 20171004

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171010

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20171010

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171109

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20171109

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200901

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210420

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210427

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210622

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211124

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211208

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7002711

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150