JP7002711B2 - マグネシウム合金 - Google Patents
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一方、押出加工では押出速度が速いほど加工発熱が大きくなるため押出材の結晶粒粗大化が促進される。また、一般に金属材料の室温における降伏応力は結晶粒が微細であるほうが高くなることがホールペッチの法則として知られている。特にマグネシウム合金の結晶構造は最密六方格子であり、ホールペッチ係数kが大きく、結晶粒径が強度に及ぼす影響が大きい。
ホールペッチの式(Hall-Petch relationship)
σy=σ0+kd-1/2
※σy:降伏応力, σ0:摩擦応力, k:結晶粒界のすべりに対する抵抗を示す定数
また、マグネシウムの結晶構造に由来した強度の異方性は結晶粒が大きい程、顕著になる。そのため、結晶粒の粗大化を抑えた機械的性質の良好な押出材を得るためにも押出速度が制限される。
Alは、合金の引張強度等の機械的性質を向上させる効果があるが、過剰に添加すると押出性が低下する。よって、良好な機械的性質が得られ且つ押出性が良好となるように、Alを0.1~3.0wt%とした。
Caは、溶解・鋳造の際にマグネシウムの発火を抑制する働きがあるが、過剰に添加すると押出性が低下する。よって、難燃性が得られ且つ押出性が良好となるように、Caを0.1~0.43wt%とした。
Mnは、再結晶粒の粗大化を抑制し、押出性を向上させる働きがある。Mnが0.15wt%より少ないとこの効果が発揮されないため、Mnを0.15~1.2wt%とした。なお、上限値の1.2wt%は、操業上、これ以上添加できないという値である。
Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%未満であると、マグネシウム母相中のAlやMnの固溶量が十分に減少しておらず、押出荷重の低減効果が小さい場合がある。更に、再結晶粒界のピン止め効果が十分に得られず結晶粒が粗大化する場合もある。
また、Al-Mn系金属間化合物の平均粒子径が120nmより大きいと、押出材の結晶粒が粗大化する。よって、Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上で、平均粒子径が120nm以下とした。
Mg-Al系マグネシウム合金を押出加工に供すると、押出加工時のビレット加熱や加工発熱によって低融点化合物(Mg-Al系金属間化合物)が溶融し、押出材表面に割れ等の欠陥が発生することがある。また、パイプ形状のような中空形材を押出す際には、押出材に溶着不良が発生し、健全な押出材を得ることが困難な場合がある。そのため、押出加工時における上述の不良を防止する目的で、従来、押出加工前のビレットに対して当該低融点化合物をマグネシウム母相中に固溶させる均質化処理を行っており、その条件は約410℃×24時間が一般的となっている。
450~500℃×1~4時間の均質化処理を施すと、マグネシウム母相中に固溶しているAl,MnがAl-Mn系金属間化合物として析出し、マグネシウム母相中のAlやMnの固溶量が減少するため、加工時の変形抵抗が低下し、押出荷重が低減するものである。析出する化合物の量が多いほど、押出性が向上する。
また、450~500℃×1~4時間の均質化処理を施すことで、Al-Mn系金属間化合物が微細且つ高密度に分散するため、押出材の再結晶粒界をピン止めし、結晶粒の粗大化を抑制することができる。
均質化処理後の冷却は、炉冷、空冷、水冷等、いかなる条件であってもよいが、冷却速度が遅いと粗大な化合物が析出し、冷却速度が速いと細かい化合物が析出する。
なお、均質化処理の条件は450~500℃×1~4時間に限定されず、結果的にAl-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上で、平均粒子径が120nm以下になっていればよく、例えば450℃よりも低い温度で、4時間より長く均質化処理を行ってもよい。ただし、450~500℃×1~4時間の高温短時間で均質化処理を行うと、燃料費を削減でき、経済的である。
第1の発明と比較すると、Znを0.15wt%以下含むこと、Al,Caの上限値を小さくした点が異なる。本発明のマグネシウム合金も、第1の発明と同様に、高速押出が可能で、且つ押出荷重を低減することができる。また、押出材の結晶粒の粗大化を抑制できる。
また、400℃で1,4,16時間、450℃で1,4,16時間、500℃で1,4,16時間それぞれ均質化処理したものについて、押出直前のミクロ組織を観察し、Al-Mn系金属間化合物の体積率と平均粒子径を測定した。
図3は均質化処理条件とAl-Mn系金属間化合物の体積率との関係を示すグラフであり、図4は均質化処理条件とAl-Mn系金属間化合物の平均粒子径との関係を示すグラフである。図1は、実験の結果をまとめた表である。
図6は、Al-Mn系金属間化合物の体積率と押出荷重の低減割合(鋳造まま材の押出荷重を100%としたときの低減割合)との関係を示すグラフである。このグラフより明らかなように、Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上である実施例1,2,3,4,5,6,7は、押出荷重を5%以上低減できる。Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%未満である比較例1,2は、押出荷重を5%以上低減することができない。なお、比較例3,4,5,6,7についても押出荷重を5%以上低減できているが、これらは後述するように、押出材の結晶粒が粗大化する。
図13には、各ビレットの組成、および、押出達成速度と押出荷重(最大荷重)を示した。図14は、実施例8~16の押出した形材の外観写真であり、図15は、比較例8~11の押出した形材の外観写真である。
Alの含有量が0.4wt%以下で且つMnの含有量が0.4wt%以上の実施例9,10は、鋳造ままでも28m/minで押出すことができた。
一方、Znを0.15wt%より多く含有する比較例10,11、Caを0.43wt%より多く含有する比較例8,9,11は、いずれも15m/min以上の押出速度の高速化は不可能であった。
図20は、各押出材のEBSD逆極点図マップと(0001)極点図である。同図より明らかなように、Mnの含有量が増加するにつれて、結晶粒径は微細化し集合組織も強くなる傾向がある。
Alを0.1~0.34wt%、Caを0.1~0.35wt%、Mnを0.15~1.2wt%、Znを0.15wt%以下含み、残部がMg及び不可避的不純物からなり、Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上で、平均粒子径が120nm以下であるマグネシウム合金(第2の発明)も、第1の発明と同様に、直接押出で15m/min以上の高速押出が可能であり、且つ押出荷重を低減することができる。また、押出材の結晶粒の粗大化を抑制できる。
均質化処理を450~500℃で1~4時間の高温短時間で行うことで、燃料費を節約でき経済的である。Alを所定量含有することで、一般的な展伸用アルミニウム合金6063合金と同等以上の機械的性質を得ることができる。また、Caを所定量含有することで、難燃性を付与できる。
Claims (2)
- Alを0.1~3.0wt%、Caを0.1~0.43wt%、Mnを0.15~1.2wt%含み、残部がMg及び不可避的不純物からなり、Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上で、平均粒子径が120nm以下であることを特徴とする難燃性マグネシウム合金。
- Alを0.1~0.34wt%、Caを0.1~0.35wt%、Mnを0.15~1.2wt%、Znを0.15wt%以下含み、残部がMg及び不可避的不純物からなり、Al-Mn系金属間化合物の体積率が1.6%以上で、平均粒子径が120nm以下であることを特徴とする難燃性マグネシウム合金。
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