JP7000023B2 - 液化ガス貯蔵タンクの断熱構造 - Google Patents
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しかし、PUFなどの断熱材単体でBOGの低下を図ろうとすると、その厚みが現実的でない厚みとなり、設置スペースを確保できない場合がある。
そこで、特許文献1には、高性能防熱を実現するため、真空断熱材を用いた断熱構造が開示されている。
PUFの熱伝導率は常温(20℃)で約0.02W/mKであるが、独立気泡内に封入された代替フロンなどの低熱伝導率のガスが周囲の空気又は窒素ガスと置換することで、断熱性能が劣化する場合があることが知られている。
液化ガスを貯蔵する液化ガス貯蔵タンクの外壁の表面を覆う断熱層を有する液化ガス貯蔵タンクの断熱構造であって、
前記断熱層は、
独立気泡を有する断熱材である第1層と、
前記第1層の両側に設けられた非通気層と、
を含み、
前記第1層の両側に設けられた非通気層の少なくとも一方は、心材をガスバリア性を有する外被材で覆って封止し前記外被材の内部を減圧した真空断熱材を含む。
また、上記非通気層の少なくとも一方が優れたガスバリア性及び断熱性能を有する真空断熱材を含むことで、断熱性能を向上でき、これによって、BOGの発生率を減少できると共に、設置スペースを低減できる。
前記非通気層は、前記第1層の外側に設けられる外側非通気層を含み、
前記外側非通気層は、前記真空断熱材を含む。
上記(2)の構成によれば、第1層の外側に設けられる上記外側非通気層が優れたガスバリア性及び断熱性能を有する真空断熱材を含むことで、第1層の独立気泡内の低熱伝導率ガスが断熱層外側の周囲空気と置換するのを防止できる。また、真空断熱材の高断熱性能により、断熱層の薄厚化が可能になり、これによって、断熱層の設置スペースを低減できる。
前記非通気層は、前記第1層の内側に設けられる内側非通気層を含み、
前記内側非通気層は、前記真空断熱材を含む。
上記(3)の構成によれば、第1層の内側に設けられる上記内側非通気層が優れたガスバリア性及び断熱性能を有する真空断熱材を含むことで、第1層の独立気泡内の低熱伝導率ガスが不活性ガスなどと置換するのを抑制できる。また、真空断熱材の高断熱性能により、断熱層の薄厚化が可能になり、これによって、断熱層の設置スペースを低減できる。
前記断熱層は、
前記内側非通気層の内側に設けられた独立気泡を有する断熱材である第2層をさらに含む。
上記(4)の構成によれば、真空断熱材の使用可能最低温度が液化ガスの温度より高い場合、真空断熱材を含む内側非通気層の内側に上記第2層を配置することで、内側非通気層が配置される領域を真空断熱材の使用可能最低温度以上とすることができ、これによって、内側非通気層に含まれる真空断熱材の劣化を防止できる。
前記断熱層は、
前記第2層の内側に設けられた非通気性被覆材をさらに含む。
上記(5)の構成によれば、第2層の内側に設けられた上記非通気性被覆材の存在によって、第2層の独立気泡内ガスが不活性ガスと置換するのを抑制できる。従って、この非通気性被覆材を設けることで、第2層の断熱性能の劣化も抑制できる。
前記第1層の両側に設けられた非通気層の他方は、前記真空断熱材を含む。
上記(6)の構成によれば、第1層の両側に設けられた非通気層が優れた断熱性能及びガスバリア性を有する真空断熱材を含むので、第1層の断熱性能の劣化を抑制できると共に、断熱層の断熱性能をさらに向上できる。
前記第1層の両側に設けられた非通気層の他方は、非通気性被覆材である。
上記(7)の構成によれば、非通気層として非通気性被覆材を用いることで、第1層の独立気泡内のガスの置換による断熱性能の劣化を抑制できる。また、厚さが薄い非通気性被覆材を用いることで、断熱層の設置スペースを低減できる。
前記非通気層は、端部が互いに重なるように配置された複数の非通気性被覆材を含む。
上記(8)の構成によれば、複数の非通気性被覆材の端部が互いに重なるように配置されることで、これらの継ぎ目を密閉でき、これによって、第1層を周囲空気及び窒素ガスなどの不活性ガスから遮断できるので、第1層の独立気泡内のガスの置換による断熱性能の劣化を抑制できる。
前記液化ガス貯蔵タンクは液化ガス運搬船に設けられたものである。
上記(9)の構成によれば、上記液化ガス貯蔵タンクは、周囲空気又は窒素ガスとの置換による断熱性能の劣化をなくし、かつ高断熱性能を有するために薄厚化が可能になる。これによって、断熱層の設置スペースを低減できるため、容積や船幅が限られた液化ガス運搬船でも配置の自由度を広げることができる。また、断熱層の重量増加を抑制できるため、液化ガス運搬船の運行性能の悪化を抑制できる。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
また例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
断熱層20(20A、20B、20C、20D、20E、20F)は、図2~図7に示すように、第1層24と、第1層24の両側に設けられた非通気層22及び26とを含む。第1層24は独立気泡bを有する断熱材であり、非通気層22及び26の少なくとも一方は真空断熱材32を含む。
図2~図7は図1中のA部を拡大して示す断面図であり、図2~図7中、oは断熱層20の外側雰囲気を示し、iは液化ガス貯蔵タンク12の内部の液化ガス雰囲気を示す。
一実施形態では、第1層24の独立気泡b内に代替フロンなどの熱伝導率が低いガスが封入されている。独立気泡b内に熱伝導率が低いガスが封入されることで、さらに断熱性能を向上できる。
一実施形態では、図1に示すように、液化ガス貯蔵タンク12は液化ガス運搬船10に搭載される。
また、非通気層22及び26の少なくとも一方が優れたガスバリア性及び断熱性能を有する真空断熱材32を含むことで、断熱性能を向上でき、これによって、BOGの発生率を減少できると共に、断熱層20の薄厚化が可能になり設置スペースを低減できる。
PUFの熱伝導率は常温(20℃)で約0.02W/mKであるのに比べて、真空断熱材の一般的な熱伝導率は0.002W/mK程度であり、優れた断熱性能を有する。
このように、第1層24の外側に優れたガスバリア性及び断熱性能を有する真空断熱材を有することで、第1層24の独立気泡b内の低熱伝導率ガスが断熱層外側の周囲空気と置換するのを抑制でき、かつ真空断熱材の高断熱性能により断熱層20の設置スペースを低減できる。
このように、第1層24の内側に優れたガスバリア性及び断熱性能を有する真空断熱材32を有することで、第1層24の独立気泡b内の低熱伝導率ガスが不活性ガスなどと置換するのを防止でき、かつ真空断熱材32の高断熱性能により断熱層20の設置スペースを低減できる。
一実施形態では、第2層30は、第1層24と同様に、例えば、独立気泡bを有するPUF、EPS等であり、独立気泡bを有することで高い断熱性能を有する。また、独立気泡b内に代替フロンなどの熱伝導率が低いガスが封入され、これによって、さらに断熱性能を向上できる。
一実施形態では、非通気性被覆材34は、アルミシートとプラスチックフィルムとの積層体である。
非通気性被覆材34の存在によって、図4に示す断熱層20(20C)が得られる作用効果に加えて、第2層30の独立気泡内ガスが不活性ガスと置換するのを抑制でき、これによって、第2層30の断熱性能の劣化を抑制できる。
このように、第1層24の両側に優れた断熱性能及びガスバリア性を有する真空断熱材32が配置されるので、第1層24の独立気泡b内の熱伝導率が低いガスと外側の周囲空気及び内側の不活性ガスとの置換を抑制でき、第1層24の断熱性能の劣化を抑制できると共に、断熱層20の断熱性能をさらに向上できる。
このように、非通気層22又は26に厚さが薄い非通気性被覆材34を用いることで、第1層24の独立気泡内のガスの置換による断熱性能の劣化を抑制できると共に、断熱層の薄厚化が可能になり設置スペースを低減できる。
上記構成によれば、第1層24の両側に厚さが薄い非通気性被覆材34を用いることで、第1層24の独立気泡内のガスの置換による断熱性能の劣化を防止できると共に、断熱層の薄厚化が可能になり設置スペースをさらに低減できる。
上記実施形態によれば、非通気層22及び26の少なくとも一方が真空断熱材32及び非通気性被覆材34が積層されて構成されることで、断熱性能及びガスバリア性をさらに向上できる。
上記実施形態によれば、非通気層22及び26が真空断熱材32と非通気性被覆材34とが積層されて構成されることで、断熱性能及びガスバリア性をさらに向上できる。
上記実施形態によれば、複数の非通気性被覆材34(34a、34b)の端部が互いに重なるように配置されることで、第1層24の継ぎ目36を密閉でき、これによって、第1層24の独立気泡内のガスの置換による断熱性能の劣化を防止できる。
これによって、継ぎ目36と継ぎ目38が重なることによる継ぎ目の断熱性能の低下を抑制できる。
上記幾つかの実施形態に係る断熱層20は、周囲空気又は窒素ガスなどの不活性ガスとの置換による断熱性能の劣化をなくし、かつ高断熱性能を有して薄厚化が可能になり設置スペースを低減できるため、船幅及び船内容積が限られたスペースの液化ガス運搬船でも配置の自由度を広げることができる。また、断熱層20の重量増加を抑制できるため、液化ガス運搬船の運行性能の悪化を抑制できる。
12 液化ガス貯蔵タンク
20(20A、10B、10C、10D、20E,20F) 断熱層
22 外側非通気層
24 第1層
26 内側非通気層
28 外壁
30 第2層
32 真空断熱材
34(34a、34b) 非通気性被覆材
36、38 継ぎ目
b 独立気泡
s 隙間
Claims (10)
- 液化ガスを貯蔵する液化ガス貯蔵タンクの外壁の表面を覆う断熱層を有する液化ガス貯蔵タンクの断熱構造であって、
前記断熱層は、
独立気泡を有する断熱材である第1層と、
前記第1層とは別体に前記第1層の両側に接するように設けられた非通気層と、
を含み、
前記第1層の両側に接するように設けられた非通気層の少なくとも一方は、心材がガスバリア性を有する外被材で覆われるとともに前記外被材の内部が減圧された真空断熱材であることを特徴とする液化ガス貯蔵タンクの断熱構造。 - 前記非通気層は、前記第1層の外側に設けられる外側非通気層を含み、
前記外側非通気層は、前記真空断熱材を含むことを特徴とする請求項1に記載の液化ガス貯蔵タンクの断熱構造。 - 前記非通気層は、前記第1層の内側に設けられる内側非通気層を含み、
前記内側非通気層は、前記真空断熱材を含むことを特徴とする請求項1に記載の液化ガス貯蔵タンクの断熱構造。 - 前記断熱層は、
前記内側非通気層の内側に設けられた独立気泡を有する断熱材である第2層をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の液化ガス貯蔵タンクの断熱構造。 - 前記断熱層は、
前記第2層の内側に設けられた非通気性被覆材をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の液化ガス貯蔵タンクの断熱構造。 - 前記第1層の両側に設けられた非通気層の他方は、前記真空断熱材を含むことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の液化ガス貯蔵タンクの断熱構造。
- 前記第1層の両側に設けられた非通気層の他方は、非通気性被覆材であることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の液化ガス貯蔵タンクの断熱構造。
- 前記非通気層は、端部が互いに重なるように配置された複数の非通気性被覆材を含むことを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の液化ガス貯蔵タンクの断熱構造。
- 前記外壁と前記断熱層との間に不活性ガスを供給可能な隙間が形成されていることを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の液化ガス貯蔵タンクの断熱構造。
- 前記液化ガス貯蔵タンクは液化ガス運搬船に設けられたものであることを特徴とする請求項1から9の何れか一項に記載の液化ガス貯蔵タンクの断熱構造。
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