以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態の一例を詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る画像測定装置について、図1~図7を参照して説明する。
最初に、図1(A)、(B)に示す画像測定装置100の全体構成を説明する。
画像測定装置100は、図1(A)、(B)に示す如く、撮像ユニット112と、投光ユニット118と、処理部124と、表示ユニット132と、を備える。これらは、ケーシング102の本体部104に収納されている。画像測定装置100は、軽量小型であり、携帯型の画像測定装置とされている。
具体的な構成は、図1(A)、(B)に示す如く、本体部104の下側に、撮像ユニット112と投光ユニット118とが配置されている。また、本体部104の下側には、脱着可能な2つの補助脚110が設けられている。2つの補助脚110が被測定物W(図4(A))の表面に接触する距離において、投光ユニット118の被測定物Wに向かう光軸Pは、撮像ユニット112の被測定物Wに向かう光軸Oと、撮像ユニット112の焦点位置Qにおいて、角度θで交差するようにされている。なお、撮像ユニット112が被測定物Wと正対する、即ち、撮像ユニット112の光軸Oが被測定物Wの表面にほぼ垂直となるので、角度θは0~90度の範囲となる。一方、本体部104の上側に、表示ユニット132が配置されている(即ち、ケーシング102に表示ユニット132が設けられている)。そして、処理部124は、本体部104の中央に配置されている。なお、被測定物Wは、平面状の構造体である。
なお、ケーシング102は、図1(A)、(B)に示す如く、本体部104以外に、保持部106と、基端部108と、を備える。保持部106は測定者が片手で保持可能な形状とされており、測定者は片手で自在に画像測定装置100を移動させることができる(即ち、ケーシング102は、測定者により保持可能とされている)。基端部108は保持部106よりも太くされていることから、測定者の手から誤って落ちてしまうことが防止可能とされている。保持部106及び基端部108には、内蔵バッテリー140が収納されている。
次に、画像測定装置100の各構成要素について、主に図2を用いて説明する。
撮像ユニット112は、ケーシング102から離間した被測定物Wを撮像し、その撮像した静止画像である測定対象画像PIを出力するようにされている。勿論、撮像ユニット112は、動画像であるリアルタイム画像も出力可能とされている。具体的に、撮像ユニット112は、撮像カメラ112Aと撮像レンズ112Bとを備えている。撮像カメラ112Aは、例えば、カラーのCCDカメラやCMOSカメラであり、モノクロ画像も出力可能とされている。撮像レンズ112Bは、複数枚から構成されているがテレセントリック光学系とはされていない(これに限らず、撮像レンズがテレセントリック光学系とされていてもよい)。なお、投光ユニット118で被測定物Wに特定のパターン光PLの投光された状態で撮像ユニット112で撮像された画像は、基準画像RIと称される。
投光ユニット118は、撮像ユニット112で撮像される測定対象画像PI内の被測定物Wに特定のパターン光PLを投光可能とされている。本実施形態では、特定のパターン光PLは、2つのラインレーザ光LL1、LL2であり、互いに平行とされている(ラインレーザ光は2以上でもよい)。投光ユニット118は、図2に示す如く、補正用投光ユニット120と、計測用投光ユニット122と、を備える。補正用投光ユニット120と計測用投光ユニット122とは同一構成であり、それぞれ1つのラインレーザ光LL1、LL2を投光する。つまり、2つのラインレーザ光LL1、LL2を投光する際には、補正用投光ユニット120と計測用投光ユニット122の両方が動作する。公知の光切断法による、被測定物Wの高さ方向の計測を行う際には、計測用投光ユニット122のみが動作し、ラインレーザ光LL2が投光される。なお、本実施形態では、光切断法を用いるときにも撮像ユニット112を用いるようにしているが、光切断法を用いるときには別の撮像ユニットを設けていてもよい。光切断法自体は、公知の技術であるので、説明を省略する。
以下では、補正用投光ユニット120の構成を説明し、計測用投光ユニット122の構成については説明を省略する。なお、計測用投光ユニット122の光軸は光軸Pとされ、測定対象画像PIの中心に来るようにされている(つまり、2つのラインレーザ光LL1、LL2のうち、1つのラインレーザ光LL2は、撮像ユニット112の焦点位置Qで測定対象画像PIの中心を通るようにされている)。これに対して補正用投光ユニット120の光軸は、光軸Pとは平行ではなく、若干の角度で発散するようにされている。
補正用投光ユニット120は、図2に示す如く、レーザダイオード(LDと称する)120Aと、投光レンズ120Bとシリンドリカルレンズ120Cとを備える。LD120Aは、ラインレーザ光LL1の光源であり、例えば赤色レーザとされている。投光レンズ120Bは、LD120Aから出射されるレーザ光をシリンドリカルレンズ120C近傍で適切に集光させる。シリンドリカルレンズ120Cは、投光レンズ120Bを通過したレーザ光を1方向のみに集光させて、被測定物Wに投光する。
処理部124は、撮像ユニット112で撮像された測定対象画像PIを処理して被測定物Wを測定するようにされている。具体的には、処理部124は、図2に示す如く、制御部126と、画像演算部128と、通信IF部130と、を備える。
制御部126は、例えばマイコンなどであり、アプリケーションS/W138に従い、それぞれのユニットを制御する。具体的に、制御部126は、図2に示す如く、撮像ユニット制御部126Aと、照明ユニット制御部126Bと、投光ユニット制御部126Cと、表示ユニット制御部126Dと、を備える。
撮像ユニット制御部126Aは、撮像カメラ112Aのゲイン調整やシャッター速度や撮像タイミングなどを制御する。撮像ユニット制御部126Aは、自動撮像が選択された際には、姿勢調整開始後に撮像ユニット112の焦点位置Qにおける仮想平面上の特定のパターン光PLの理想位置に、基準画像RIにおける特定のパターン光PLの位置が適合する際に、基準画像RIの撮像を自動で行う(特定のパターン光PLの理想位置と、基準画像RIにおける特定のパターン光PLの位置が適合するか否かは、後述する画像演算部128で判断される)。また、撮像ユニット制御部126Aは、手動撮像が選択された際には、姿勢調整後に、基準画像RIを手動で撮像することとなる。いずれであっても、撮像ユニット制御部126Aは、測定対象画像PIを基準画像RIの撮像後に自動で撮像する。なお、「適合」は、許容誤差の範囲で一致することをいうものとする。そして、許容誤差は、予め測定者によって設定され、図示しない記憶部に記憶される。また、被測定物Wは、表面が完全な平面となっているわけではない。このため、焦点位置Qにおいては、仮想的な平面(上記仮想平面)を想定して、その仮想平面上で得られる特定のパターン光PLの位置を上記理想位置としている。この理想位置は、予め求めることができ、図示しない記憶部に記憶され、適宜表示ユニット132に表示される。
照明ユニット制御部126Bは、照明ユニット134の点滅タイミングや点灯強度などを制御する。
投光ユニット制御部126Cは、特定のパターン光PLの強度や特定のパターン光PLの投光と投光停止の切り替え周波数(連続投光やパルス投光など)を制御する。投光ユニット制御部126Cは、補正用投光ユニット制御部126CAと計測用投光ユニット制御部126CBとを備える。補正用投光ユニット制御部126CAは、補正用投光ユニット120を制御する。具体的には、補正用投光ユニット制御部126CAは、画像測定を行うための測定対象画像PIを撮像する際に補正用投光ユニット120の動作を停止させ、基準画像RIを撮像する際に補正用投光ユニット120を動作させる。計測用投光ユニット制御部126CBは、計測用投光ユニット122を制御する。具体的には、計測用投光ユニット制御部126CBは、補正用投光ユニット制御部126CAとは異なり、光切断法を用いて画像測定を行うための測定対象画像PIを撮像する際には計測用投光ユニット122を動作させる。勿論、計測用投光ユニット制御部126CBは、基準画像RIを撮像する際にも計測用投光ユニット122を動作させる。
表示ユニット制御部126Dは、表示ユニット132への表示状態を制御する。具体的には、表示ユニット制御部126Dは、表示ユニット132に電源投入時には、OS136の起動表示をさせる。そして、表示ユニット制御部126Dは、OS136の起動後には、表示ユニット132にアプリケーションS/W138の選択と決定が可能な表示をさせる。表示ユニット制御部126Dは、選択したアプリケーションS/W138の起動後には、表示ユニット132に測定モードの選択と決定が可能な表示をさせる。そして、表示ユニット制御部126Dは、表示ユニット132に、撮像ユニット112の焦点位置Qにおける仮想平面上の特定のパターン光PLの理想位置を、特定のパターン光PLが実際に投光された際の被測定物Wを撮像した基準画像RIとともに表示させる。勿論、表示ユニット制御部126Dは、表示ユニット132に、撮像ユニット112から出力されるリアルタイム画像や測定対象画像PIを表示させることもできる。なお、表示ユニット132からはタッチ入力が可能とされているので、表示ユニット制御部126Dは、表示ユニット132から入力された情報を適宜処理して、適切なユニット制御部に対して指令を出力する。即ち、表示ユニット制御部126Dからは、測定モードの選択、手動撮像や自動撮像の選択などの指令も出力される。
画像演算部128は、例えば、DSPなどであり、撮像ユニット112から出力される画像(リアルタイム画像や基準画像RIや測定対象画像PIなど)を演算処理する。具体的に、画像演算部128は、図2に示す如く、画像処理部128Aと画像補正部128Bとを備える。画像処理部128Aは、撮像ユニット112から出力された画像から、輪郭抽出してその輪郭の座標位置を求めたり、その輪郭から重心や中心や半径や角度や幅を求めたりすることができる。また、画像演算部128は、特定のパターン光PLの理想位置を図示しない記憶部から読み出し、その理想位置に対するリアルタイム画像における特定のパターン光PLの位置の差を求めることができる。この位置の差は、表示ユニット制御部126Dに対して出力され、表示ユニット132ではアライメント用のマーカーとして表示される。そして、画像演算部128は、理想位置とリアルタイム画像における特定のパターン光PLの位置が適合する際には、撮像ユニット制御部126A及び表示ユニット制御部126Dに対して、撮像指令(あるいはアライメント完了の通知)を出力することができる。これにより、自動撮像が選択されている場合には、基準画像RIと測定対象画像PIとが自動で撮像される。手動撮像が選択されている場合には、表示ユニット132に撮像指令が表示される。そして、この撮像指令により、測定者が基準画像RIの撮像を行う。
画像補正部128Bは、撮像ユニット112から出力された画像のうち、基準画像RIにおける特定のパターン光PLの位置に基づき、基準画像RIの位置と姿勢を求める。そして、画像補正部128Bは、仮想平面からの被測定物Wの表面の変位を補正するための補正パラメータを求める。そして、画像補正部128Bは、画像処理部128Aの測定結果を補正する。即ち、画像補正部128Bは、撮像ユニット112の焦点位置Qにおける仮想平面上の特定のパターン光PLの理想位置に対する、特定のパターン光PLが実際に投光された際の被測定物Wを撮像した画像である基準画像RIにおける特定のパターン光PLの位置の差異に基づいて、被測定物Wの測定結果を補正することができる。また、その理想位置と位置の差異がある際の補正パラメータは、その図示せぬ記憶部に、例えば補正テーブルとして記憶されている(これに限らず、数式により補正パラメータが求められてもよい)。
通信IF部130は、画像測定装置100の外部にあるデータ解析装置などと通信を行い、画像や補正データや測定結果の送信と、そのデータ解析装置からの指令の受信を行う。通信IF部130は、例えば有線方式のシリアル通信であるが、無線方式でもよい。
表示ユニット132は、LCDやELなどであり、表面にはタッチパネルが一体に設けられている。表示ユニット132は、例えば、動画像であるリアルタイム画像と、静止画像である基準画像RI及び測定対象画像PIを表示することができる。照明ユニット134は、図1(A)、(B)では図示されていないが、脱着可能なLEDを用いたリング照明である。OS136は、アプリケーションS/W138を画像測定装置100上で動かすためのオペレーションシステムである。アプリケーションS/W138は、画像測定装置100を動かすためのソフトウェアである。内蔵バッテリー140は、例えば、充電式のリチウムイオンバッテリーである。
なお、画像測定装置は、図1に示すような形態に限定されるものではなく、図3(A)~(C)に示すバリエーションの形態となる画像測定装置101であってもよい。画像測定装置101では、撮像ユニット113と、投光ユニット119と、処理部125と、表示ユニット133と、を概略的に示している。ただし、画像測定装置101は、傾斜したケーシング103の保持部107を備え、基端部を有さず、さらに補助脚のない、より簡易的な形態とされている。また、画像測定装置101では、例えば測定開始のためのボタンBTを更に設けている(ボタンBTは、基準画像RIや測定対象画像PIの取得をする際に用いられてもよい)。以下、この画像測定装置101を例として、以下に説明する。
画像測定装置101においては、被測定物Wとの距離を一定に保つ手段が設けられていない(これは、補助脚110を備える画像測定装置100であっても、測定精度的には十分とは言えない)。ここで、図4(A)に示すように、被測定物Wの表面に四角形状の枠体QDが設けられている場合を想定する。このとき、画像測定装置101と被測定物Wとが平行に向かい合った状態であるものの、画像測定装置101と被測定物Wとの距離Hが変動することで、測定対象画像PIにおける枠体QDの大きさが変化してしまう。図4(A)では、距離Hが距離H0(焦点位置Qに対応する距離)よりも短いと枠体QDは破線のような像Q1になる。また、距離Hが距離H0よりも長いと枠体QDは破線のような像Q3になる。つまり、距離Hが距離H0のときの枠体QDの像Q2に比べて、距離Hが変動することで、測定対象画像PIにおける枠体QDの大きさが変化してしまう。また、画像測定装置101に対して被測定物Wが相対的に傾斜していることで、測定対象画像PIにおける枠体QDの形状が変化してしまう。図4(B)では、距離が近い側で枠体QDの部分の像は大きくなり、本来枠体QDの像Q5のようになるべきであるところ、枠体QDの像は破線のような台形の像Q4に変化してしまう。
このため、本実施形態では、図5(A)、(B)に示す如く、画像測定装置101の投光ユニット119から、特定のパターン光PLとして、2つのラインレーザ光LL1、LL2を投光することができる。図5(B)において、ラインレーザ光LL2は、撮像ユニット113の焦点位置Qで測定対象画像PIの中心を通るようにされている。このため、基準画像RIにおいて、ラインレーザ光LL2は、中心線FCと重なるようにされている。同時に、ラインレーザ光LL1とラインレーザ光LL2とは平行され、その距離L0は、予め定められた一定の距離となる。
このような構成により、例えば、画像測定装置101と被測定物Wとが平行に向かい合った状態であるものの、画像測定装置101と被測定物Wとの距離Hが距離H0よりも近い場合を図6(A)に示す。この場合には、基準画像RIにおいて、ラインレーザ光LL2は、中心線FCから離れ、それらの間に距離L1が生じる。この距離L1と、距離Hと距離H0との差の距離との関係を求めておくことで、距離Hを求めることも可能となる。なお、同時にラインレーザ光LL2とラインレーザ光LL1との距離L2も距離L0から変化するので、距離L0から距離L2への変化に基づいても、結果的に距離Hを求めることが可能となる。
また、例えば、画像測定装置101の光軸O上において画像測定装置101と被測定物Wとが距離H0であるものの、画像測定装置101に対して被測定物WがY軸周りに角度αだけ傾斜している場合を図6(B)に示す。この場合には、基準画像RIにおいて、ラインレーザ光LL2は、中心線FCと一致するが、ラインレーザ光LL2とLL1との距離L3は距離L0よりも長くなるので、距離L3に基づき結果的に角度αを求めることが可能となる。
また、例えば、画像測定装置101の光軸O上において画像測定装置101と被測定物Wとが距離H0であるものの、画像測定装置101に対して被測定物WがX軸周りに角度βだけ傾斜している場合を図6(C)に示す。この場合には、基準画像RIにおいて、ラインレーザ光LL2は、中心線FCと角度γで交差するので、角度γに基づき結果的に角度βを求めることが可能となる。
次に、画像測定装置100における画像測定の手順について、主に図7を用いて以下に説明する(画像測定装置101については、異なることだけ言及し、その他については省略する)。
まず、電源を投入する。そして、OS136を立ち上げ、OS136上でアプリケーションS/W138を動作させる。そして、測定モード/測定の種類を選択する(図7、ステップS12)(以下、単に測定モードと称する)。そして、選択した測定モードを動作させる。なお、すでに行った測定モードを繰り返す場合には、測定条件の呼び出しも行う。画像測定装置101では、ボタンBTによりその選択した測定モードを実行させる。ここでは、例えば2つの円の中心位置間の距離を求めることとする。なお、これに限らず、このような距離を求める測定は、基準画像RI及び測定対象画像PIの撮像後に行ってもよい。
次に、特定のパターン光PLが被測定物Wに自動で投光される(図7、ステップS14)。同時に、表示ユニット132に被測定物Wのリアルタイム画像が表示される。そして、このとき、特定のパターン光PLの投光強度の調整や撮像カメラ112Aのゲイン調整などが自動で行われる。また、被測定物Wと画像測定装置100との位置関係(距離、傾き)をリアルタイムで反映するアライメント用のマーカーも表示される。
次に、そのアライメント用のマーカーを頼りに、測定者は画像測定装置100の姿勢調整(アライメント)する(図7、ステップS16)。同時に、撮像対象となる2つの円を撮像するために、画像測定装置100の位置も調整する。なお、アライメントにより、被測定物Wと画像測定装置100との位置関係が許容範囲に入った際には、アライメント完了の通知が表示ユニット132になされる。
次に、アライメントした結果が許容範囲に入っていることを条件として基準画像RIを撮像する(図7、ステップS18)。この撮像は、手動でもよいし、自動でもよい。撮像された基準画像RIは、表示ユニット132に表示される。このとき、特定のパターン光PLの強度と撮像カメラ112Aの撮像のための露出とが再度調整される。なお、基準画像RIは、撮像カメラ112Aからモノクロ画像として出力される。
次に、特定のパターン光PLの投光を停止する(図7、ステップS20)。この停止は、基準画像RIの撮像後に自動で行われる。
次に、測定対象画像PIを撮像する(図7、ステップS22)。このときも、撮像カメラ112Aの撮像のための露出が再度調整されてから測定対象画像PIを撮像する。撮像カメラ112Aからは、測定対象画像PIがカラー画像として出力される。なお、基準画像RIの撮像と測定対象画像PIの撮像との時間間隔は短いほどよいので、測定対象画像PIの撮像は自動で行われる。このため、例えば、特定のパターン光PLの投光周波数を撮像カメラ112Aのフレームレートの倍数にし、特定のパターン光PLの投光停止時と撮像カメラ112Aの撮像時とを同期させている。
次に、基準画像RIの特定のパターン光PLの位置に基づき、画像測定装置100に対する測定対象画像PIの距離および傾きを補正するための補正パラメータを算出する(図7、ステップS24)。
次に、測定対象画像PIを処理して、対象となる測定を行う。例えば、測定対象画像PI上の2つの円の中心位置間の距離を計測する場合には、まず2つの円の輪郭を抽出する。そして、2つの円それぞれの中心位置を求める。そして、それぞれの中心位置間の距離を求める。このとき、この中心位置間の距離は、測定対象画像PIが焦点位置Qで、且つ被測定物Wに対して正対しているとして求める。そして、上記補正パラメータを用いて、この処理結果を補正する(図7、ステップS26)。そして、その補正した結果を表示ユニット132に表示する。
このように、本実施形態では、投光ユニット118の光軸Pが撮像ユニット112の光軸Oと交差するようにされている。このため、被測定物Wと画像測定装置100との距離Hと角度が変化すると、投光ユニット118から投光される特定のパターン光PLの位置が撮像ユニット112による測定対象画像PI内で変化する。したがって、特定のパターン光PLの理想位置を定めておき、その理想位置からの特定のパターン光PLの変化を追うことで、被測定物Wと画像測定装置100とが最適な位置関係にあるかどうかを判断することができる。同時に、特定のパターン光PLの理想位置からの特定のパターン光PLの変化を少なくするように姿勢調整が可能であるので、相応の精度で測定することが可能である。
同時に、本実施形態では、画像測定装置100、101が測定者により保持可能なケーシング102、103に収納されている。このため、測定者が画像測定装置100、101を容易かつ手軽に移動でき、測定場所にあまり制限されず、迅速に測定を行うことができる。
また、本実施形態では、特定のパターン光PLは、2つのラインレーザ光LL1、LL2であり、互いに平行とされている。このため、特定のパターン光PLを簡単な光学系で投光でき且つ被測定物Wと画像測定装置100との位置関係を3方向で相応の精度で決めることができる。なお、これに限らず、例えば1つのラインレーザ光であってもよい。この場合には、ラインレーザ光と直交する方向への測定を行わないようなときに有効であり、投光ユニットをより簡易的且つ低コストにすることができる。あるいは、特定のパターン光PLが2つのラインレーザ光LL1、LL2であっても、互いに平行でなくてもよい。
また、本実施形態では、2つのラインレーザ光LL1、LL2の光軸は、平行ではない。このため、この2つのラインレーザ光LL1、LL2の被測定物Wの位置関係を計測することで、被測定物Wと画像測定装置100との位置を把握することもできる。なお、これに限らず、2つのラインレーザ光LL1、LL2の光軸が平行とされていてもよい。
また、本実施形態では、1つのラインレーザ光LL2は、撮像ユニット112の焦点位置Qで測定対象画像PIの中心を通るようにされている。このため、アライメントが容易であり、且つ距離をより正確に調整することができる。なお、これに限らず、ラインレーザ光LL2は、測定対象画像PIの中心以外を通っていてもよい。
また、本実施形態では、ケーシング102に表示ユニット132が設けられ、処理部124が、表示ユニット132に、仮想平面上の特定のパターン光PLの理想位置を、特定のパターン光PLが実際に投光された際の基準画像RIとともに表示させる。このため、測定者は、表示ユニット132を見て、画像測定装置100の姿勢を容易に調整することができる。なお、これに限らず、表示ユニットが設けられていなくてもよい。この場合には、測定者が直接被測定物を観察することで、姿勢調整をしてもよい。あるいは、姿勢を変化させて、その姿勢が適切であることを、音などで知らせるようにしてもよい。あるいは、表示ユニットの機能が、画像測定装置の外部にあって、その外部にある表示ユニットを用いるようにしてもよい。
また、本実施形態では、処理部124が、特定のパターン光PLの理想位置に基準画像RIにおける特定のパターン光PLの位置が適合する際に、基準画像RIの撮像を自動で行う場合には、測定者の熟練度に依存しない均質な測定を実現することができる。なお、これに限らず、基準画像RIの撮像がすべて手動で行われてもよい。
また、本実施形態では、測定対象画像PIと基準画像RIとが別々とされている。このため、基準画像RIの特定のパターン光PLの位置及び撮像のための露出を被測定物W上の測定対象位置を気にすることなく、適切な位置に投光でき且つ適切に露出できる。さらに、被測定物W上の測定対象領域が特定のパターン光PLの位置に制限されず、広い範囲とすることができる。なお、これに限らず、測定対象画像PIと基準画像RIとが同一であってもよい。この場合には、基準画像RIの補正により、測定対象画像PIの補正がなされるので、補正工程が迅速で且つ容易である。
また、本実施形態では、処理部124が、測定対象画像PIの撮像を自動で行う。このため、測定対象画像PIの撮像時の手ぶれを防止することができる。なお、これに限らず、手動で測定対象画像PIが撮像されてもよい。
また、本実施形態では、処理部124が、更に、焦点位置Qにおける仮想平面上の特定のパターン光PLの理想位置に対する、特定のパターン光PLが実際に投光された際の基準画像RIにおける特定のパターン光PLの位置の差異に基づいて、被測定物Wの測定結果を補正する。このため、基準画像RIの画像測定装置100、101の被測定物Wに対する位置関係を正確に求めることができ、基準画像RIに基づく補正パラメータを正確に求めることができる。なお、これに限らず、基準画像RIからは補正パラメータを求めずに、単に基準画像RIの特定のパターン光PLと理想の位置との比較をし、その比較結果が許容誤差に入らない場合には、再度の測定を支持するといった構成でもよい。
また、本実施形態では、投光ユニット118が画像測定装置100の位置補正だけに使用されるのではなく、光切断法による計測用にも使用される。このため、画像測定装置100は、小型軽量でありながら、平面的な測定だけでなく、奥行き方向に対しての測定も可能とされている。
即ち、本実施形態では、相応の精度でありながらより手軽に被測定物Wを測定することが可能となる。
本発明について第1実施形態を挙げて説明したが、本発明は第1実施形態に限定されるものではない。即ち本発明の要旨を逸脱しない範囲においての改良並びに設計の変更が可能なことは言うまでもない。
例えば、第1実施形態では基準画像RIが測定対象画像PIの撮像前に撮像されていただけであるが、本発明はこれに限定されず、図8に示す第2実施形態の如くであってもよい。
第2実施形態では、処理部が、基準画像RIが被測定物Wを撮像した測定対象画像PIと異なる際には、測定対象画像PIの撮像の前後で撮像された2つの基準画像(第1基準画像、第2基準画像)RI1、RI2から、測定対象画像PIの撮像時の特定のパターン光PLの位置を演算するようにされている。
以下に、画像測定装置100における処理手順について、主に図8を用いて以下に説明する(画像測定装置101については、異なることだけ言及し、その他については省略する)。
まず、電源を投入する。そして、OS136を立ち上げ、OS136上でアプリケーションS/W138を動作させる。そして、測定モード/測定の種類を選択する(図8、ステップS30)(以下、単に測定モードと称する)。そして、選択した測定モードを動作させる。なお、すでに行った測定モードを繰り返す場合には、測定条件の呼び出しも行う。画像測定装置101では、ボタンBTによりその選択した測定モードを実行させる。ここでは、例えば2つの円の中心位置間の距離を求めることとする。
次に、特定のパターン光PLが被測定物Wに自動で投光される(図8、ステップS32)。同時に、表示ユニット132に被測定物Wのリアルタイム画像が表示される。そして、このとき、特定のパターン光PLの投光強度の調整や撮像カメラ112Aのゲイン調整などが自動で行われる。また、被測定物Wと画像測定装置100との位置関係(距離、傾き)をリアルタイムで反映するアライメント用のマーカーも表示される。
次に、そのアライメント用のマーカーを頼りに、測定者は画像測定装置100の姿勢調整(アライメント)する(図8、ステップS34)。同時に、撮像対象となる2つの円を撮像するために、画像測定装置100の位置も調整する。なお、アライメントにより、被測定物Wと画像測定装置100との位置関係が許容範囲に入った際には、アライメント完了の通知が表示ユニット132になされる。
次に、アライメントした結果が許容範囲に入っていることを条件として第1基準画像RI1を撮像する(図8、ステップS36)。この撮像は、手動でもよいし、自動でもよい。撮像された第1基準画像RI1は、表示ユニット132に表示される。このとき、特定のパターン光PLの強度と撮像カメラ112Aの撮像のための露出とが再度調整される。なお、第1基準画像RI1は、撮像カメラ112Aからモノクロ画像として出力される。
次に、特定のパターン光PLの投光を停止する(図8、ステップS38)。この停止は、第1基準画像RI1の撮像後に自動で行われる。
次に、測定対象画像PIを撮像する(図8、ステップS40)。このときも、撮像カメラ112Aの撮像のための露出が再度調整されてから測定対象画像PIを撮像する。撮像カメラ112Aからは、測定対象画像PIがカラー画像として出力される。なお、第1基準画像RI1の撮像と測定対象画像PIの撮像との時間間隔は短いほどよいので、測定対象画像PIの撮像は自動で行われる。このため、例えば、特定のパターン光PLの投光周波数を撮像カメラ112Aのフレームレートの倍数にし、特定のパターン光PLの投光停止時と撮像カメラ112Aの撮像時とを同期させている。
次に、特定のパターン光PLが再び投光される(図8、ステップS42)。この投光も自動で行われる。
次に、第2基準画像RI2を撮像する(図8、ステップS44)。この撮像も自動で行われる。撮像された第2基準画像RI2は、表示ユニット132に表示される。このときも、特定のパターン光PLの強度と撮像カメラ112Aの撮像のための露出とが再度調整される。なお、第2基準画像RI2は、撮像カメラ112Aからモノクロ画像として出力される。
次に、第1、第2基準画像RI1、RI2の特定のパターン光PLの位置に基づき、画像測定装置100に対する測定対象画像PIの距離および傾きを補正するための補正パラメータを算出する(図8、ステップS46)。例えば、第1、第2基準画像RI1、RI2の丁度間の時間に測定対象画像PIが撮像されたと仮定できる。このため、第1、第2基準画像RI1、RI2の特定のパターン光PLの位置の中間を求めることで、測定対象画像PIの撮像時の特定のパターン光PLの位置を演算することができる。そして、この演算で得られた特定のパターン光PLの位置から補正パラメータを求める。
次に、測定対象画像PIを処理して、対象となる測定を行う。例えば、測定対象画像PI上の2つの円の中心位置間の距離を計測する場合には、まず2つの円の輪郭を抽出する。そして、2つの円それぞれの中心位置を求める。そして、それぞれの中心位置間の距離を求める。このとき、この中心位置間の距離は、測定対象画像PIが焦点位置Qで、且つ被測定物Wに対して正対しているとして求める。そして、上記補正パラメータを用いて、この処理結果を補正する(図8、ステップS48)。そして、その補正した結果を表示ユニット132に表示する。
上記実施形態では、特定のパターン光PLが2つのラインレーザ光LL1、LL2とされていたが、本発明はこれに限定されず、図9(A)に示す第3実施形態の如くであってもよい。第3実施形態では、特定のパターン光PL1が例えば矩形パターンとされている。あるいは、図9(B)に示す第4実施形態の如くであってもよい。第4実施形態では、特定のパターン光PL2が例えば縦横に複数配列されたドットパターンとされている。もちろん、これに限らず、特定のパターン光PLとして1つの大きな円や星や四角などを1つのLDで投光する構成であってもよい。