JP2008298546A - 形状測定装置,形状測定方法 - Google Patents

形状測定装置,形状測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】薄片試料(ウェーハ等)のエッジプロファイルを高精度に測定すること。
【解決手段】LED駆動回路11により,1つの平面内の複数の位置各々に配置された複数のLED12を順次切り替えて点滅させることにより,ウェーハ1の測定部位Pに対し,順次異なる照射角度で光を照射し,その照射ごとに,計算機30’により,測定部位Pからの反射光の輝度分布を表す画像データを,2つのカメラ20R,20Lを通じて取得し,さらに,計算機30’により,各LED12に対応した画像データ(反射光の輝度分布)と光の照射角度φとに基づいて,反射光の輝度がピークとなるときの光の照射角度を推定することにより,測定部位Pの表面角度の分布及びエッジプロファイルの演算を行い,それらエッジプロファイルを,厚み測定システムにより測定したウェーハ1の厚みに基づいてつなぎ合せることにより,測定部位Pの表面形状を測定する。
【選択図】図13

Description

本発明は,半導体ウェーハ,ハードディスク用のアルミサブトレート,ガラスサブストレートなどの薄片試料の端面の形状を測定する形状測定装置及びその方法に関するものである。
半導体ウェーハ(以下,ウェーハという)の製造時や,ウェーハを用いたデバイス製造時において,ウェーハの端部(縁部)が,他の部品やウェーハ保持部材と接触することによって傷ついたり,欠けたりする場合がある。さらに,その傷や欠けが原因で,ウェーハが割れることもある。このウェーハの端部における傷や欠けの生じやすさは,ウェーハの端面(いわゆるエッジプロファイル部)の形状と関係があると考えられている。このため,ウェーハに代表される薄片試料(板状の試料)のエッジプロファイルを正しく測定することは重要である。なお,ここでいう端面の形状は,ウェーハの厚み方向(一次元方向)のプロファイル,即ち,厚み方向断面の形状であり,以下,エッジプロファイルという。
一方,非特許文献1には,ウェーハの縁部を挟む一方の側から光を照射し,他方の側に配置されたカメラによってウェーハの投影映像を撮像し,これにより得られる像の形状(輪郭)によってウェーハのエッジプロファイルを測定する技術が示されている。
また,特許文献1には,試料の傾きを変化させつつ,試料の表面(鏡面)に向けて光を照射するとともに,その照射方向と同軸方向に反射してくる反射光のみの像をテレセントリックレンズを通じて取得し,得られた像から試料表面の角度分布,即ち,試料表面の形状を測定する表面検査装置が示されている。
特開平10−267636号公報 「ウェハのエッジ・ノッチ形状の測定装置」,電子材料,1997年8月号
しかしながら,非特許文献1に示されるような投影方式の形状測定では,エッジプロファイルの測定部位が,投影方向(光照射方向)の前後の部分よりも窪んでいる形状(以下,窪み形状という)を有する場合には,エッジプロファイルを測定できないという問題点があった。例えば,ウェーハには,その結晶方向を示すためのノッチと呼ばれる半円形状の切り欠き部(前記窪み形状の一例)が形成されているが,非特許文献1に示される投影方式の形状測定では,そのノッチ部分のエッジプロファイルを測定できない。
また,特許文献1に示されるように,試料の傾きを変化させつつ,光の照射方向と同軸方向に反射する反射光を検出する測定は,試料表面のわずかな凹凸による微小な表面角度の分布の測定に適用されるものである。この特許文献1に示される測定技術を,エッジプロファイルの測定に適用する場合,表面角度を求めたい複数の測定ポイントに光を照射するごとに,試料の傾きを変化させる必要が生じる。このため,特許文献1に示される測定技術を,表面角度がほぼ180°変化する形状を測定するエッジプロファイルの測定に適用することは,試料の支持機構が複雑になる等の阻害要因があることから,事実上困難であるという問題点があった。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,半導体ウェーハなどの薄片試料のエッジプロファイル(端面の厚み方向断面の形状)の測定に適した形状測定装置及びその方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明(後述する第2発明に相当)に係る形状測定装置は,例えば半導体ウェーハ等の薄片試料の端面の形状を測定する装置であり,以下の(1−1)〜(1−6)に示す各構成要素を備えるものである。
(1−1)一の平面内の複数の位置各々で光源を点灯させることにより,前記薄片試料の端面及びその近傍の厚み方向両側の面を含む測定部位に対して順次異なる照射角度で光を照射する第1の光照射手段。
(1−2)前記測定部位に対して各々異なる方向に配置され,前記第1の光照射手段の光照射による前記測定部位からの略正反射方向への反射光の一次元若しくは二次元の輝度分布を検出する複数の光検出手段。
(1−3)前記第1の光照射手段により順次異なる照射角度で光が照射されるごとに前記測定部位からの反射光の輝度分布を前記光検出手段を通じて取得する反射光輝度取得手段。
(1−4)複数の前記反射光輝度取得手段各々により取得された複数の前記反射光の輝度分布ごとに,その反射光の輝度分布及び前記第1の光照射手段により照射された光の照射角度に基づいて,前記測定部位の一部の領域の表面角度の分布を演算する表面角度分布演算手段。
(1−5)前記測定部位における前記厚み方向両側の面の部分について前記薄片試料の厚みを測定する厚み測定手段。
(1−6)前記表面角度分布演算手段による前記一部の領域の表面角度の分布の演算結果又はその演算結果に基づく前記一部の領域の表面形状各々を,前記薄片試料の厚み方向におけるそれらの相対位置を前記厚み測定手段の測定結果に基づき調整してつなぎ合わせる処理を実行することにより,前記測定部位全体の表面角度の分布又は表面形状を演算するつなぎ合わせ演算手段。
例えば,複数の前記光検出手段が,前記測定部位を基点として約90°をなす方向に配置された2つの光検出手段であることが考えられる。
上記構成を備えた本発明に係る形状測定装置を用いれば,半導体ウェーハなどの薄片試料の表面角度の分布を測定でき,その表面角度の分布に基づいてエッジプロファイル(端面の厚み方向断面の形状)を正しく測定できる。また,半導体ウェーハのノッチ部のような前記窪み形状を有する端面についても,エッジプロファイルを測定できる。
即ち,本発明に係る形状測定装置において,前記反射光輝度取得手段により取得される反射光の輝度分布は,照射光が薄片試料の端面に正反射して前記光検出手段に到達した部分の輝度が最も高くなる。このため,前記表面角度分布演算手段は,光の入射角と反射角とが等しいという正反射の特性に基づいて,測定部位の表面角度の分布を求めることができる。その詳細については後述する。
なお,前記第1の光照射手段における光源の点灯位置と前記光検出手段の配置位置とが,それぞれ略同一の平面内に位置する場合や,或いはそれぞれ異なる平面内に位置する場合が考えられる。
ところで,前記光検出手段としてCCDカメラ等を用いる場合,1つの前記光検出手段による光の検出範囲には制限がある。この制限は,エッジプロファイル測定において測定可能な表面角度の最大範囲の制限につながる。
これに対し,本発明に係る形状測定装置は,複数の前記光検出手段各々を通じて得られた前記反射光の輝度分布ごとに前記測定部位の一部の領域の表面角度の分布を演算し,それら表面角度の分布又はそれに基づく前記一部の領域の表面形状をつなぎ合わせることにより前記測定部位全体の表面角度の分布を演算する。このため,1つの前記光検出手段による光の検出範囲の制限を超えて,エッジプロファイル測定における測定可能な表面角度の最大範囲を広げることができる。しかも,そのつなぎ合わせ処理の際に,表面角度の分布又はそれに基づく前記一部の領域の表面形状を,前記薄片試料の厚み方向におけるそれらの相対位置を厚み測定の結果に基づき調整してつなぎ合わせるので,測定部位全体の表面形状を高精度で測定することができる。
光が照射された前記薄片試料の表裏各面を撮像した場合,得られた像における光照射部の位置(高輝度部分の位置)は,撮像手段(カメラ)と薄片試料の表面との距離に応じて変化し,その光照射部の位置に基づく三角測量処理によって簡易に撮像手段と薄片試料表面との距離を算出できる。
そこで,前記光検出手段が,前記測定部位における前記厚み方向両側の面各々の二次元の像を撮像する2つの撮像手段を含む場合に,前記厚み測定手段が,次の(1−7)及び(1−8)に示す構成要素を備えることが考えられる。
(1−7)前記測定部位における前記厚み方向両側の面各々に光を照射する第2の光照射手段。
(1−8)前記第2の光照射手段により光が照射された前記測定部位における前記厚み方向両側の面各々の像を前記2つの撮像手段を通じて取得し,取得した像に基づいて光の照射位置を検出することにより前記薄片試料の厚みを算出する厚み算出手段。
なお,前記測定部位における前記厚み方向両側の面は,前記薄片試料の表裏各面の一部(例えば,半導体ウェーハにおけるエッジプロファイル部の近傍の平坦部分。以下,縁部という)である。
これにより,形状測定用の前記2つの撮像手段(前記光検出手段の一例)を,厚み測定にも兼用することができ,薄片試料の厚みをシンプルな構成によって簡易に測定できる。
ところで,前記光照射手段による光の照射角度の変化幅(変更幅)をごく小さくすれば,光の照射角度を変化させるごとに,反射光の輝度が最も高くなる位置を求めることにより,高い空間分解能で測定部位の表面角度の分布を算出することができる。しかしながら,光の照射角度の変化幅を小さくすることには限界がある。また,光の照射角度の変化幅を小さくするほど,反射光の輝度分布を採取する回数が増え,測定時間が長くなる。さらに,前記反射光輝度取得手段で取得すべきデータの点数が増え,必要メモリ容量の増大にもつながる。
そこで,前記形状測定装置において,前記表面角度分布演算手段が,前記光検出手段の光検出範囲における複数の位置(以下,演算対象位置という)各々について,前記光の照射角度と前記反射光の輝度との対応関係に基づいて前記反射光の輝度がピークとなるときの前記光の照射角度を推定する演算を行うことにより,前記演算対象位置各々の表面角度を算出するものであれば好適である。ここで,前記反射光の輝度がピークとなるときの前記光の照射角度の推定値は,例えば,前記光の照射角度と前記反射光の輝度との対応関係に基づく内挿演算処理などによって求めることができる。
これにより,光の照射角度の変化幅が比較的大きくても,高い空間分解能で測定部位の表面角度の分布を算出することができる。
また,前記第1の光照射手段としては,例えば,一の平面内の複数の位置各々に配置された複数の光源を順次切り替えて点灯させることにより,前記測定部位に対して順次異なる照射角度で光を照射する切替型光照射手段であることが考えられる。この切替型光照射手段を採用する場合,複数の光源が,前記測定部位の配置位置を中心とする円弧上に配置されたものが考えられる。この構成によれば,可動機構のないシンプルかつ位置精度の高い装置を実現できる。
また,前記切替型光照射手段が,複数の光源を順次切り替えて点灯させる過程において,複数の前記光検出手段各々に対応する複数の光源を同時に点灯させるものが考えられる。
これにより,測定時間を短縮できる。
なお,前記第1の光照射手段が,所定の光源を一の平面内の複数の位置各々に順次移動させて点灯させることにより,前記測定部位に対して順次異なる照射角度で光を照射する移動型光照射手段であることも考えられる。この構成によれば,光源の数を少なくできる。
また,後述するように,前記薄片試料が薄板状の半導体ウェーハである場合,前記厚み測定手段が,その半導体ウェーハの表裏両面におけるエッジプロファイル部(面取りされた端面(側面))との境界位置から5mm内側までの範囲,特に,前記境界位置から約1mm内側の位置においてその半導体ウェーハの厚みを測定することが望ましい。
また,本発明(後述する第2発明に相当)は,以上に示した形状測定装置を用いた測定方法として捉えることもできる。
即ち,本発明に係る形状測定方法は,薄片試料の端面の形状を測定する方法であって,以下の(2−1)〜(2−6)に示す各工程を実行するものである。
(2−1)一の平面内の複数の位置各々で光源を点灯させる第1の光照射手段により,前記薄片試料の端面及びその近傍の厚み方向両側の面を含む測定部位に対して順次異なる照射角度で光を照射する第1の光照射工程。
(2−2)前記測定部位に対して各々異なる方向に配置された光検出手段により,前記第1の光照射工程の光照射による前記測定部位からのほぼ正反射方向への反射光の一次元若しくは二次元の輝度分布を検出する光検出工程。
(2−3)前記第1の光照射工程により順次異なる照射角度で光が照射されるごとに前記測定部位からの反射光の輝度分布を前記光検出工程の実行により取得する反射光輝度取得工程。
(2−4)前記反射光輝度取得工程により取得された複数の前記反射光の輝度分布ごとに,その反射光の輝度分布及び前記第1の光照射工程により照射された光の照射角度に基づいて,前記測定部位の一部の領域の表面角度の分布を演算する表面角度分布演算工程。
(2−5)所定の厚み測定手段により前記測定部位における前記厚み方向両側の面の部分について前記薄片試料の厚みを測定する厚み測定工程。
(2−6)所定の演算手段により,前記表面角度分布演算工程による前記一部の領域の表面角度の分布の演算結果又はその演算結果に基づく前記一部の領域の表面形状各々を,前記薄片試料の厚み方向におけるそれらの相対位置を前記厚み測定工程の測定結果に基づき調整してつなぎ合わせる処理を実行することにより,前記測定部位全体の表面角度の分布又は表面形状を演算するつなぎ合わせ演算工程。
また,前記光検出手段が,前記測定部位における前記厚み方向両側の面各々の二次元の像を撮像する2つの撮像手段を含む場合に,前記厚み測定工程において,次の(2−7)及び(2−8)に示す各工程を実行すればなお好適である。
(2−7)所定の第2の光照射手段により前記測定部位における前記厚み方向両側の面各々に光を照射する第2の光照射工程。
(2−8)前記第2の光照射工程により光が照射された前記測定部位における前記厚み方向両側の面各々の像を前記2つの撮像手段を通じて取得し,取得した像に基づいて光の照射位置を検出することにより前記薄片試料の厚みを算出する処理を所定の演算手段により実行する厚み算出工程。
以上に示した各工程を実行する形状測定方法によれば,本発明に係る前記形状測定装置と同様の作用効果が得られる。
本発明(後述する第2発明に相当)によれば,半導体ウェーハなどの薄片試料のエッジプロファイルを正しく(高精度で)測定できる。また,半導体ウェーハのノッチ部のような前記窪み形状を有する端面についても,エッジプロファイルを測定できる。また,光切断法により薄片試料の端面の形状測定を行う手段又は工程を併せ持つことにより,光沢面又は粗面のいずれの測定部位(端面)であってもその形状を測定できる。
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は第1発明の実施形態に係る形状測定装置Z1の概略構成図,図2は光照射角度及び表面角度の定義を表す図,図3は形状測定装置Z1に採用され得るテレセントリックレンズ方式のカメラの特性を表す図,図4は形状測定装置Z1にテレセントリックレンズ方式のカメラを採用した場合の測定部位の表面角度と光路との関係を模式的に表した図,図5は形状測定装置Z1により算出された測定部位の表面角度分布及びエッジプロファイルを表すグラフ,図6は形状測定装置Z1に採用され得る非テレセントリックレンズ方式のカメラの特性を表す図,図7は形状測定装置Z1に非テレセントリックレンズ方式のカメラを採用した場合の測定部位の表面角度と光路との関係を模式的に表した図,図8は測定部位の形状及び形状測定装置Z1のカメラによる撮影画像の第1例を模式的に表した図,図9は測定部位の形状及び形状測定装置Z1のカメラによる撮影画像の第2例を模式的に表した図,図10は形状測定装置Z1による撮影画像の一例を表す図,図11は所定の演算対象位置における光照射角度と反射光輝度との対応関係の一例を表すグラフ,図12は形状測定装置Z1による測定手順を表すフローチャート,図13は第2発明の実施形態に係る形状測定装置Z2の概略構成を表す図,図14は形状測定装置Z2における厚み測定の原理を表す概念図,図15は形状測定装置Z2により得られる2台のカメラ各々に対応する表面角度分布及びエッジプロファイルのフィッティング処理前後の状態を表す図,図16は形状測定装置Z2の応用例である形状測定装置Z2’の概略構成を表す図,図17は形状測定の対象である半導体ウェーハにおける厚み測定に好適な位置を表す断面図である。
[第1発明]
まず,図1を参照しつつ,第1発明の実施形態に係る形状測定装置Z1の構成について説明する。形状測定装置Z1は,薄片試料の一例である半導体ウェーハ1(以下,ウェーハという)の端面(いわゆるエッジプロファイル部)の形状(エッジプロファイル)を測定する装置である。本実施形態に示すウェーハ1は,ほぼ円形板状であるが,矩形の板状など,他の形状の薄片試料を測定対象とすることもできる。なお,図1(a)は,形状測定装置Z1の平面図(一部ブロック図),図1(b)は,形状測定装置Z1の側面図(一部省略)である。
以下,エッジプロファイルの測定対象となるウェーハ1の端面及びその近傍部分(ウェーハ1の表裏各面の縁部)を含む領域を,測定部位Pと称する。この測定部位Pには,ほぼ平行なウェーハ1の表裏それぞれの面の一部(縁部)が含まれる。
図1に示すように,形状測定装置Z1は,光照射装置10と,カメラ20と,パーソナルコンピュータ等の計算機30とを備えている。
光照射装置10は,電子回路基板として構成され,その電子回路基板には,ウェーハ1に光を照射する光源である複数のLED12と,そのLED12各々の点滅を切り替えるLED駆動回路11とが実装されている。なお,図1(b)には,一部のLED12について記載を省略している。
ここで,光照射装置10(電子回路基板)を平面視したときのほぼ中央部における所定位置を基準位置Qと称する。
光照射装置10を構成する電子回路基板には,ウェーハ1の測定部位Pを基準位置Qに配置可能とするために,ウェーハ1が挿入される切り欠き部13が形成されている。即ち,基準位置Qが,測定部位Pの配置位置となる。図1(b)には,ウェーハ1のノッチ部(半円形状の切り欠き部)が,基準位置Qに測定部位Pとして配置されている例を示しているが,これに限るものではない。また,ウェーハ1を回転させることにより,測定部位Pを容易に変更できる。これにより,ウェーハ1の周囲全体,或いは周囲全体のうちの複数箇所のエッジプロファイルを容易に測定できる。
また,全てのLED12は,その発光部が,基準位置Qを含む1つの平面内に位置するように,かつ,基準位置Qを中心とする円弧上に(円弧に沿って)位置するように,電子回路基板に実装されている。ここで,各LED12は,カメラ20と干渉する位置を除き,例えば基準位置Qから見た方向が約2°ずつ異なるように等間隔(等角度の間隔)で配置されている。また,各LED12の基準位置Q(測定部位P)からの距離は,測定部位Pの奥行き寸法に対して十分に長い距離(例えば150mm程度)とする。
また,ウェーハ1は,その面(おもて面及びうら面)が,LED12の発光部が配置される1つの平面に対してほぼ直交し,その面の中央部(円板の中心)が,LED12の発光部が配置される1つの平面内に位置する状態で切り欠き部13に挿入され,その状態で測定が行われる。
LED駆動回路11は,計算機30からの制御指令に従って,このように1つの平面内の複数の位置各々に配置された複数のLED12を順次切り替えて点滅させる。これにより,光照射装置10は,基準位置Qに配置されたウェーハ1の測定部位Pに対し,順次異なる照射角度で光を照射する(第1の光照射手段,切替型光照射手段の一例)。
ウェーハ1の測定部位Pである端面(側面)は,滑らかに加工されており,鏡面或いはそれに近い光沢のある面となっている。このため,LED12から出力された光は,測定部位Pにおいて概ね正反射し,ほとんど乱反射はしない。
カメラ20(後述する2つのカメラ20R,20Lも同様)は,基準位置Qから所定間隔隔てた位置(例えば,50mm〜100mm程度)に固定され,ウェーハ1の測定部位Pからの反射光を受光して光電変換することにより,各LED12から測定部位Pに照射された光の正反射方向への反射光の二次元の輝度分布を検出するもの(撮像手段)である。
図1に示す例では,前記カメラ20は,LED12の発光部が配置される1つの平面(基準位置Qを含む平面)内に配置され,その正面方向が,ウェーハ1の面の中央部に向かうように設置されている。即ち,カメラ20は,その正面方向が,ウェーハ1の厚み方向中央における平断面に沿う方向となるように(ウェーハ1を真横から見るように)設置されている。これにより,カメラ20は,ウェーハ1の端面を,ウェーハ1の厚み方向全体に渡って観測できる。
また,カメラ20の焦点は,基準位置Q(即ち,測定部位P)に設定されている。
計算機30は,光照射装置10におけるLED駆動回路11を制御(LED12の点滅制御)するとともに,カメラ20のシャッター制御とカメラ20による撮影画像の取り込みとを行う。その具体的な動作については後述する。ここで,図1には示していないが,計算機30は,LED駆動回路11やカメラ20との間で,信号の授受や画像データの取得を行うためのインターフェースを備えている。
なお,以下に示す計算機30の処理は,計算機30が備えるMPUが,同じく計算機30が備えるハードディスクドライブなどの記憶手段に予め記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
次に,形状測定装置Z1によるエッジプロファイル測定の原理について説明する。
測定部位Pに光が照射されると,その光は,光沢のある測定部位Pにおいて正反射する。そして,カメラ20による撮影画像は,その反射光の輝度分布を表す像である。
図8は,測定部位Pの形状の一例(a)及びその測定部位Pのカメラ20による撮影画像の一例(b)を模式的に表した図である。
図8(a)には,表面角度が単純増加(或いは,単純減少)するような測定部位Pの形状を示している。なお,図8(a)における上下方向が,ウェーハ1の厚み方向である。
このような測定部位Pを,ある1つのLED12のみによって光を照射しながらカメラ20により撮像すると,図8(b)に示すような像が得られる。その画像において,輝度のピークが生じる位置Xpeak(X座標方向の位置,以下,ピーク輝度位置という)は,LED12から発せられた光線が測定部位Pにおいて正反射した位置(正反射位置)に相当する。
また,測定部位Pにおける正反射位置の面において,その法線方向を基準とした光の入射角度と出射角度(反射方向の角度)とは等しい(左右対称)。このことから,カメラ20の撮影画像におけるピーク輝度位置Xpeakと,測定部位Pに対する光の照射方向(点灯したLED12から測定部位Pへ向かう方向)とに基づいて,測定部位Pにおいて光が正反射する位置(正反射位置)と,その正反射位置の表面角度とを一意に算出することが可能である。
ここで,形状測定装置Z1の測定原理を説明する前に,図2を参照しつつ,光の照射方向などを表す符号について説明する。なお,図2(a)は,形状測定装置Z1を平面視した状態を模式的に表した図であり,図2(b)は,その基準位置Pの部分を拡大して表した図である。
図2に示すように,測定部位Pとカメラ20とを結ぶ直線の方向(以下,カメラ正面方向という)を基準としたときの光の照射角度をφとする。また,測定部位Pにおける光の正反射Pxにおける,カメラ正面方向に直交する面(以下,撮影画像におけるX−Y平面に相当する面という意味で,X−Y面という)を基準とした表面角度をθとする。
続いて,図4を参照しつつ,形状測定装置Z1によるエッジプロファイル測定の原理についてより詳細に説明する。ここでは,カメラ20が,テレセントリックレンズ方式のカメラである場合について説明する。
テレセントリックレンズ方式のカメラは,図3に示すような態様でCCD上に像を結ぶ。
反射光の輝度分布を検出するカメラ20が,図3に示すようなテレセントリックレンズ方式のカメラである場合,図4に示すように,カメラ20のCCD(受光部)に到達する反射光の方向と,カメラ20の正面方向とがほぼ平行となり,撮影画像において高輝のピークが存在するピーク輝度位置Xpeakは,そのまま測定部位Pにおける光の正反射位置Pxを表す。さらに,光の照射方向と反射方向とは,正反射位置Pxの面の法線に対して対称であることから,(90−θ−φ/2)=(90−φ)となり,次の(1)式が成立する。
θ=φ/2 …(1)
従って,撮影画像においてピーク輝度位置Xpeakを画像処理によって特定することにより,正反射位置Pxを特定できる。さらに,点灯したLED12の位置(既知の位置)に応じて定まる光照射角度φ(既知の角度)から,正反射位置Pxにおける表面角度θを特定できる。
次に,図7を参照しつつ,テレセントリックレンズ方式ではない方式(以下,非テレセントリックレンズ方式という)のカメラ20を採用した形状測定装置Z1によるエッジプロファイル測定について説明する。
非テレセントリックレンズ方式のカメラは,図6に示すような態様でCCD上に像を結ぶ。
非テレセントリックレンズ方式のカメラ20を採用した場合,図7に示すように,測定部位Pにおける正反射位置Pxで反射し,カメラ20のCCDに到達して像を結ぶ反射光の角度(方向)を,カメラ正面方向を基準とする角度ψxとして表すと,2θ+ψx=φとなり,次の(2)式が成立する。但し,ψxは,カメラ20の座標系における位置(X軸方向の位置)ごとに予め求めておく。
θ=(φ−ψx)/2 …(2)
従って,撮影画像においてピーク輝度位置Xpeakを画像処理によって特定することにより,そのピーク輝度位置Xpeakと角度ψxとカメラ20から測定部位P間での距離とに基づいて,測定部位Pにおける正反射位置Pxを特定できる。さらに,点灯したLED12の位置(既知の位置)に応じて定まる光照射角度φ(既知の角度)から,(2)式に基づいて,正反射位置Pxにおける表面角度θを特定できる。
また,点灯するLED12を順次切り替えるごとに(即ち,光照射角度φを切り替えるごとに)カメラ20を通じて測定部位Pの画像データを取得し,そのときの光照射角度φ及び表面角度θを求めれば,複数の正反射位置Px各々についての表面角度θ,即ち,測定部位Pにおける表面角度θの分布を求めることができる。
図10は,図8(a)に示したのと同様の形状を有する測定部位Pについて,光照射角度φごとに得られた画像データを表す映像(カメラ20の映像)の一例を表す。図10に向かって右方向が,カメラ20の座標系のX軸方向(即ち,ウェーハ1の厚み方向)である。
図10に示すように,光照射角度φの変化に応じて,測定部位Pにおける正反射Pxに対応する高輝度位置Xpeak(X方向の位置)が変化する。この高輝度位置Xpeakが,測定部位Pにおける正反射位置Pxに対応する。
なお,正反射位置Pxは,その位置に応じてLED12との距離が若干異なるため,以上の方法によって求めた表面角度θには,その距離差に応じた誤差が含まれる。しかしながら,測定部位Pの表面変位に対し,LED12と測定部位Pとの距離を十分に長くすることにより,その誤差は無視できる程度に抑えられる。
また,図10において,帯状の高輝度の部分において存在する輝度の分布は,測定部位Pの表面粗さや,カメラ20の実効Fナンバーに起因する。また,テレセントリックレンズ方式のカメラを採用した場合,カメラ正面方向に平行な反射光以外の反射光の一部がカメラ20のCCDに到達することにも起因する。
一方,図9は,測定部位Pの形状の他の一例(a)及びその測定部位Pのカメラ20による撮影画像の一例(b)を模式的に表した図である。
図9(a)には,前記窪み形状を有する測定部位Pを示している。なお,図9(a)における上下方向が,ウェーハ1の厚み方向である。
このような測定部位Pを,ある1つのLED12のみによって光を照射しながらカメラ20により撮像すると,図9(b)に示すように,複数のピーク輝度位置Xpeakを有する像が得られる。この現象は,同じ表面角度φを有する正反射位置Pxが複数存在する場合に生じるが,表面角度の求め方は,測定部位Pが,図8(a)に示したような形状おを有する場合と同様である。
形状測定装置Z1を用いれば,このように測定部位Pが窪み形状を有する場合であっても,表面角度の分布を測定できる。
次に,図12に示すフローチャートを参照しつつ,形状測定装置Z1によるウェーハ1の測定部位Pの測定手順について説明する。以下,S1,S2,…は,処理手順(ステップ)の識別符号を表す。なお,ウェーハ1の測定部位Pが,基準位置Qに位置するように配置された状態で,図12に示す処理が開始されるものとする。
[ステップS1〜S5]
まず,計算機30は,LED12各々を識別する番号iを初期化(i=1)する(S1)。
そして,計算機30は,LED駆動回路11を制御することによるi番目のLED12の点灯(S2),その点灯状態におけるカメラ20による測定部位Pの撮像(シャッターON)及び撮影画像の記憶(S3)を,番号iを順次カウントアップ(S5)しながら,全てのLED12について点灯及び撮像が終了するまで繰り返す(S4)。カメラ20による撮影画像は,計算機30が備えるハードディスクなどの記憶手段に記憶される。
このステップS1〜S4の処理により,光照射装置10によって測定部位Pに対して順次異なる照射角度φで光が照射される(S2)。さらに,異なる照射角度で光が照射されるごとに,計算機30により,測定部位Pからの反射光の輝度分布を表す画像データ(撮影画像)が,カメラ20を通じて取得される。
[ステップS6〜S11]
次に,計算機30は,以下に示すステップS6〜S11の処理を実行することにより,ステップS3の処理により取得された各LED12に対応した画像データ(反射光の輝度分布)と,そのLED12によって測定部位Pに照射された光の照射角度φとに基づいて,測定部位Pの表面角度の分布及びエッジプロファイルを演算する(S11)。
ところで,光照射装置10による光の照射角度φの変化幅(ここでは,LED12の間隔)をごく小さくすれば,光の照射角度φを変化させるごとに,反射光の輝度が最も高くなる位置を求めることにより,高い空間分解能で測定部位Pの表面角度の分布を算出することができる。
しかしながら,光の照射角度φの変化幅を小さくすることには限界がある。また,光の照射角度φの変化幅を小さくするほど,カメラ20による撮像回数(反射光の輝度分布を採取する回数)が増え,測定時間が長くなる。さらに,計算機30でで取得すべき画像データの点数が増え,計算機30における必要メモリ容量の増大にもつながる。
そこで,本実施形態における計算機30は,以下に示す処理により,測定部位Pの表面角度の分布及びエッジプロファイルを求める。
まず,計算機30は,カメラ20の撮像範囲(光検出手段の光検出範囲の一例)において予め定められたX座標方向の複数の位置(以下,演算対象位置Xjという)各々を識別する番号jを初期化(j=1)する(S6)。
そして,演算対象位置Xj各々について,光の照射角度φと反射光の輝度Eとの対応関係(以下,φ−E対応関係という)を導出する(S7)。
図11は,ある演算対象位置Xjにおける,光の照射角度φ(横軸)と反射光の輝度E(縦軸)との対応関係を表すグラフの一例である。
さらに,計算機30は,ステップS7で得られたφ−E対応関係に基づく所定の演算を行うことにより,反射光の輝度Eがピークとなるときの光の照射角度φpeak(以下,推定ピーク時照射角度という)を推定するとともに,その演算対象位置Xjにおける表面角度θjを算出して記憶する(S8)。
図11に示したように,φ−E対応関係は,離散的なデータに基づくものである。ここで,光照射装置10における各LED12が,極端に広い間隔で配置されているような場合を除けば,図11に示したようなφ−E対応関係に基づく内挿演算処理により,推定ピーク時照射角度φpeakを推定することができる。その内挿演算処理の具体例としては,重心法に基づく内挿演算処理や,2次関数やガウス分布関数に回帰するフィッティング処理に基づく内挿演算処理などが考えられる。なお,内挿演算処理を施さず,単に最大の輝度を示すときの光照射角度φを,推定ピーク時照射角度φpeakとすることも考えられる。但し,この場合,各LED12の間隔によっては,誤差が大きくなる点に留意する必要がある。
また,推定ピーク時照射角度φpeakに基づく表面角度θjの算出方法は,前述した光照射角度φに基づく正反射位置Pxの表面角度θの算出方法と同様である。
そして,計算機30は,ステップS7〜S8の処理を,番号jを順次カウントアップ(S10)しながら,予め定められた全ての演算対象位置Xjについて行われるまで繰り返す(S9)。ステップS8で算出された各演算対象位置Xjの表面角度θjは,計算機30が備えるハードディスクなどの記憶手段に記憶される。
以上のステップS1〜S10の処理により,測定部位Pの表面角度θの分布(演算対象位置Xjと表面角度θjとの対応関係を表す情報)が得られる。
このように,計算機30は,カメラ20の撮像範囲(即ち,光検出範囲)における複数の演算対象位置Xj各々について,光照射角度φと反射光の輝度Eとの対応関係に基づいて,推定ピーク時照射角度φpeak(反射光の輝度がピークとなるときの光の照射角度)を推定する演算を行うことにより,演算対象位置Xj各々の表面角度θjを算出する(S7〜S10)。その結果,光照射装置10における各LED12を,非常に密に配置した場合と同様の高い空間分解能で,表面角度θjの分布を測定できる。理論上は,カメラ20の解像度(画素分解能)のレベルまで,表面角度分布の空間分解能を高めることができる。
なお,後述する計算機30’も,以上に示したステップS7〜S10と同様の処理を実行する(前記表面角度分布演算手段の一例)。
最後に,計算機30は,ステップS6〜S10の処理によって得られた表面角度θjの分布に基づいて,測定部位Pのエッジプロファイル(表面形状)を算出して記憶し(S11),測定処理を終了させる。このとき,計算機30は,必要に応じて,測定部位Pのエッジプロファイルをその表示部に表示させる。
ここで,測定部位Pにおけるある演算対象位置Xjの表面高さと,その隣りの演算対象位置Xj+1の表面高さとの差Δhjは,次の(3)式により計算できる。
Δhj=d・tanθj …(3)
ただし,dは,測定部位Pにおける隣り合う演算対象位置Xjの距離(X軸方向の距離)である。ここでは,カメラ20のX軸方向の画素間距離を,実空間にに換算した距離である。
この(3)式を,演算対象位置Xjの基点から順次適用することにより,測定部位Pの高さ分布,即ち,エッジプロファイルを算出できる。
図5は,あるウェーハ1の測定部位Pを形状測定装置Z1で測定することによって得られた表面角度φ(x)の分布及びエッジプロファイルの一例を表すグラフである。横軸は,ウェーハ1の厚み方向の位置を表し,左縦軸は測定部位の表面位置(即ち,エッジプロファイル),右縦軸は表面角度θ なお,図5において細い実線グラフで表す表面角度θ(x)は,その各々の演算対象位置Xjを,測定部位Pにおける実空間の位置に置き換えたものである。また,太い実線グラフで表すエッジプロファイルは,(3)式に基づいて算出したものである。
このように,形状測定装置Z1を用いれば,ウェーハ1などの薄片試料のエッジプロファイルを高精度で測定することができる。
[第2発明]
次に,図13を参照しつつ,第2発明の実施形態に係る形状測定装置Z2について説明する。以下,形状測定装置Z2について,前述した形状測定装置Z1と異なる点についてのみ説明する。なお,図13において,図1に示した構成要素と同じものについては,同じ符号を記している。なお,図13(a)は,形状測定装置Z2の平面図(一部ブロック図),図13(b)は,形状測定装置Z2の側面図(一部省略)である。
図13に示すように,形状測定装置Z2は,測定部位Pからの反射光の輝度分布を検出するカメラ20として2台のカメラ20R,20Lを備え,それらが,測定部位Pに対して各々異なる方向に配置されている。以下,それぞれ第1カメラ20R,第2カメラ20Lと称する。これら2台のカメラ20R,20Lは,測定部位Pにおける端面の近傍部分の厚み方向両側の面各々(ウェーハ1の表裏各面の縁部)の二次元の像を撮像するカメラである(前記2つの撮像手段の一例)。
図13に示す例では,2台のカメラ20R,20Lが,基準位置Q(即ち,測定部位P)を基点として90°をなす方向(ウェーハ1の面方向に対して±45°の方向)に配置されている。これにより,両カメラ20R,20L各々は,測定部位Pの全領域(全面)のうちの一部の領域(各々の配置位置から見える領域)で反射した反射光の輝度を検出する。
ところで,図1に示したように,前記形状測定装置Z1においては,全てのLED12の発光部が,前記基準位置Qを含み,ウェーハ1(薄片試料)の面に直交する1つの平面内,即ち,基準位置Q(測定部位P)におけるウェーハ1(薄片試料)の厚み方向の断面を含む平面内に位置するように配置されていた。
一方,図13(b)に示すように,形状測定装置Z2においては,基準位置Q(測定部位P)におけるウェーハ1(薄片試料)の厚み方向の断面を含む平面50の両側のうちの一方に各LED12の点灯位置が,他方にカメラ20(前記光検出手段の一例)の配置位置がそれぞれ位置している。なお,平面50は,基準位置Q(測定部位P)を含み,ウェーハ1(薄片試料)の表裏の面にほぼ直交する平面である。
そして,形状測定装置Z2において,各LED12の点灯位置が並ぶ平面に対し直交する方向から見たときの各LED12及びカメラ20の位置関係(図15(a))は,前記形状測定装置Zにおけるそれらの位置関係(図1(a))と同じである。
この形状測定装置Z2においては,測定部位Pの正面方向においてLED12を連続的に並べても,そのLED12がカメラ20と干渉しないように配置できるため,測定部位Pの正面方向の一部の範囲について,表面形状測定の空間分解能をより高めることができる。
さらに,形状測定装置Z2は,前述の計算機30の代わりに,実行するプログラムの一部が異なる計算機30’を備えている。
そして,計算機30’は,前述したステップS3(図12参照)において,光照射角度φが変更されるごとに,2台のカメラ20R,20L(前記光検出手段及び前記撮像手段の一例)両方により画像データの撮像(二次元の輝度分布の検出)及び記憶を行うよう制御する。
さらに,計算機30’は,前述したステップS7及びS8(図12参照)において,2台のカメラ20R,20L各々を通じて得られた画像データ(反射光の輝度分布を表すデータ)ごとに,その画像データ及び光の照射角度(推定ピーク時照射角度φpeak)に基づいて,測定部位Pの一部の領域の表面角度θjの分布を算出する。図13に示す例では,計算機30’は,第1カメラ20Rを通じて得た画像データに基づいて,図13に示すウェーハ1の右側の面(一方の面)に近い側の領域の表面角度θjの分布を算出する。同様に,計算機30’は,第2カメラ20Lを通じて得た画像データに基づいて,同ウェーハ1の左側の面(他方の面)に近い側の領域の表面角度θjの分布を算出する。ここで,それら両領域の一部は重複している。
従って,形状測定装置Z2において,ステップS1〜S4の処理により,光照射装置10によって測定部位Pに対して順次異なる照射角度φで光が照射され,さらに,異なる照射角度で光が照射されるごとに,計算機30’により,測定部位Pからの反射光の輝度分布を表す画像データ(撮影画像)が,カメラ20を通じて取得される(前記反射光輝度取得手段の一例)。
さらに,形状測定装置Z2は,測定部位Pにおける端面の近傍部分(ウェーハ1の表裏各面の縁部)についてウェーハ1の厚みを測定する厚み測定システムを備えている。
前記厚み測定システムは,ウェーハ1の表裏両側それぞれに配置された2つの厚み測定用光源40(40Rと40L)と,前記2つのカメラ20(20Rと20L)と,前記計算機30’とにより実現されている。
前記厚み測定用光源40は,測定部位Pにおける端面の近傍部分の厚み方向両側の面各々(ウェーハ1の表裏各面の縁部)に,十分細くコリメートされたスポット光,又はウェーハ1表面において十分細く集光されたスポット光を照射する光源である。図13には示されていないが,必要に応じてコリメータレンズや集光レンズが光源とウェーハとの間に配置される(前記第2の光照射手段の一例)。
また,前記厚み測定システムの構成要素として機能する前記計算機30’は,前記厚み測定用光源40R,40Lにより光が照射された測定部位Pにおける端面の近傍部分の厚み方向両側の面各々(ウェーハ1の表裏各面の縁部)の像の画像データを2つのカメラ20R,20Lを通じて取得し,取得した画像データに基づいて,前記厚み測定用光源40R,40L各々により照射された光の照射位置(座標)を検出し,その検出位置に基づく三角測量計算を実行することにより,ウェーハ1の厚みDを算出し,算出結果をその記憶部に記録する(前記厚み算出手段の一例)。
図13に示す例は,前記厚み測定用光源40R,40Lそれぞれにより,測定部位Pにおける端面の近傍部分の厚み方向両側の面各々にライン光をほぼ垂直に照射し,その散乱反射光を前記2つのカメラ20R,20Lそれぞれによって受光することにより,ウェーハ1表面の光切断線の像(前記ライン光の像)を得る厚み測定システムの例である。
図14は,形状測定装置Z2における厚み測定の原理を表す概念図である。
形状測定装置Z2においては,前記計算機30’が,テレセントリックレンズを備えた前記カメラ20による撮像画像から光切断線の像(ライン光の像)を抽出し,所定の基準位置(基準座標)に対するその光切断線の像の位置(座標)の所定方向(例えば,X軸方向)におけるずれ量hccd(例えば,X軸方向のずれ量)を検出する。なお,前記基準位置は,ウェーハ1の表面高さが所定の基準高さh0であるときのウェーハ1上の光切断線の位置Ps0の撮像位置である。また,図14において,ウェーハ1上の実際の光切断線の位置はPs1と表記されている。
ここで,ウェーハ1表面の実際の高さh1と前記基準高さh0の差をΔh01,光切断線とカメラ20の光軸とのなす角度をθL,測定部位Pからカメラ20の撮像素子へ至る経路の光学系の倍率をMとすると,Δh01は,次の(4)式に基づいて算出することができる。
Δh01=hccd/(M・sinθL) …(4)
前記計算機30’は,この(4)式を用いて,2つのカメラ20R,20Lそれぞれの撮像画像に基づいて,ウェーハ1両面それぞれの高さΔh01R,Δh01Lを算出する。
ところで,2つのカメラ20R,20Lそれぞれについて(即ち,ウェーハ1の表裏各面について),前記基準高さh0を高精度で一致させることは難しい。
そこで,前記計算機30’は,ウェーハ1の厚みD(厚みの測定値)を,予め設定された校正値αを用いて,次の(5)式により算出する。
D = Δh01R − Δh01L + α …(5)
前記校正値αは,当該厚み測定システムにより,予め厚みDが既知の校正用試料について厚み測定を行うことによって予め設定する。
即ち,前記計算機30’により,予め厚みDが既知の校正用試料についての撮像画像に基づいてΔh01R及びΔh01Lを算出するとともに,その算出値を(5)式に適用することによって前記校正値αを算出し,その算出値を記憶部に記録する。
さらに,計算機30’は,前述したステップS6〜S11と同様の処理を実行することにより,ステップS3の処理により取得された各LED12に対応した画像データ(反射光の輝度分布)と,そのLED12によって測定部位Pに照射された光の照射角度φとに基づいて,測定部位Pの表面角度の分布及びエッジプロファイルを演算する(S11,前記表面角度分布演算手段の一例)。
また,計算機30’は,前述したステップS11において,両カメラ20R,20Lに対応する前記一部の領域の表面角度θjの分布(ステップS8の処理での演算結果)の各々に基づいて,その一部の領域各々についてのエッジプロファイル(表面形状)を算出するとともに,それらをつなぎ合わせる処理を行うことによって測定部位P全体のエッジプロファイルを算出する(つなぎ合わせ演算手段の一例)。
或いは,計算機30’は,前述したステップS11において,両カメラ20R,20Lに対応する前記一部の領域の表面角度θjの分布(ステップS8の処理での演算結果)の各々をつなぎ合わせる処理(以下,つなぎ合わせ処理という)を行うことによって測定部位P全体の表面角度分布θjを算出し,その算出結果に基づいて測定部位P全体のエッジプロファイルを算出する(つなぎ合わせ演算手段の一例)。
その際,計算機30’は,前記一部の領域の表面角度θjの分布の演算結果又はその演算結果に基づく前記一部の領域各々についてのエッジプロファイル(表面形状)を,ウェーハ1の厚み方向におけるそれらの相対位置を前記厚み測定システムの測定結果(厚みD)に基づき調整しながら前記つなぎ合わせ処理を実行する。
このように,各領域のエッジプロファイルを求めてからその各々をつなぎ合わせる方法,或いは各領域の表面角度θjの分布をつなぎ合わせてから全領域のエッジプロファイルを求める方法の2通りの方法が考えられる。
形状測定装置Z2によれば,例えば,1台のカメラの視野範囲(光の検出範囲)が±60°程度であっても,一般的なエッジプロファイル測定で必要となる±90°(計180°)の範囲での表面角度分布測定を行うことができる。
以下,計算機30’による前記つなぎ合わせ処理について説明する。
計算機30’は,前記つなぎ合わせ処理において,両カメラ20R,20L各々に対応する前記一部の領域の重複部分について,各カメラ20R,20Lに対応するエッジプロファイル或いは表面角度θjの分布の差が最小となるように周知のフィッティング処理を実行する。
前記フィッティング処理において,各カメラ20R,20Lに対応するエッジプロファイル或いは表面角度θjの分布の相対位置の調整パラメータとして,ウェーハ1の厚み方向(ここでは,カメラ20R,20Lの撮像画像のX軸方向)のオフセット,及び厚み方向に直交する方向(ここでは,カメラ20R,20Lの撮像画像のY軸方向)のオフセットのそれぞれを調整パラメータとすることが考えられる。
形状測定装置Xにおいては,前記厚み測定システムによって予めウェーハ1の厚みDを測定し,前記厚み方向のオフセットについては,厚みD(測定値)に基づいて調整する。
また,前記フィッティング処理における調整パラメータに,前記厚み方向のオフセット(X軸座標)及びそれに直交する方向のオフセット(Y軸座標)の他,各カメラ20R,20Lに対応するエッジプロファイル或いは表面角度θjの分布の相対的な傾き(角度)を加えることも考えられる。
図15は,形状測定装置Z2により得られる2台のカメラ各々に対応する表面角度分布及びエッジプロファイルのフィッティング処理前後の状態を表す図である。図15(a)はフィッティング処理前,図15(b)はフィッティング処理後を表す。
また,図中,「表面角度分布R」及び「エッジプロファイルR」と表記するものは,第1カメラ20Rに対応する表面角度θjの分布及びエッジプロファイルを表す。同様に,「表面角度分布L」及び「エッジプロファイルL」と表記するものは,第2カメラ20Lに対応する表面角度θjの分布及びエッジプロファイルを表す。
図15(a)に示すように,第1カメラ20Rに対応する領域の表面角度分布R及びこれに基づくエッジプロファイルRと,第2カメラ20Lに対応する領域の表面角度分布L及びこれに基づくエッジプロファイルLとの間にはずれが生じ得る。
これらの結果を,重複する領域の部分についてフィッティング処理を行うことによってつなぎ合わせれば,図15(b)に示すように,測定部位Pの全領域の表面角度分布(全体)或いはエッジプロファイル(全体)が得られる。
以下,前記厚み方向オフセット及びそれに直交する方向のオフセット,並びに前記相対的な傾き(角度)を調整パラメータとする前記フィッティング処理の具体例について説明する。なお,前記厚み方向オフセットの調整量をΔXc,厚み方向に直交する方向のオフセットの調整量をΔYc,前記相対的な傾き(角度)の調整量をΔψ(以下,相対角度調整量という)とする。また,以下は,前記エッジプロファイルR及び前記エッジプロファイルLのつなぎ合わせについて説明するが,前記表面角度分布R及び前記表面角度分布Lのつなぎ合わせも同様の処理により実現できる。
計算機30’は,前記相対角度調整量ΔYcを,所定範囲において順次異なる値に設定し,一方の前記エッジプロファイルRを固定した状態で,他方の前記エッジプロファイルLの角度を設定した前記相対角度調整量ΔYcの分だけ補正(修正)する。前記相対角度調整量ΔYcは,例えば,−1°〜+1°の範囲において0.01°刻みで順次設定される値である。
さらに,計算機30’は,前記相対角度調整量ΔYcに従った角度補正を行うごとに,前記エッジプロファイルRと角度補正後の前記エッジプロファイルLとに基づく厚みDx(以下,プロファイル上での厚みという)が,前記厚み測定システムにより予め測定した厚みDと一致するように,前記厚み方向オフセットΔXcを調整する。
図15において,前記厚み方向オフセットΔXcの調整前のプロファイル上での厚みがDx1(=D+ΔXc),同調整後のプロファイル上での厚みがDx2(=D)と表記されている。
そして,計算機30’は,オフセットΔXcの調整を行うごとに,前記エッジプロファイルR及びオフセットΔXcを調整後の前記エッジプロファイルLの差が最小となるように,オフセットΔYcの調整を行い,そのときの両エッジプロファイルの差ΔPfminを記憶部に記録する。
ここで,両エッジプロファイルの差を表す指標値は,例えば,両エッジプロファイルのウェーハ厚み方向(X軸方向)の重複範囲における,一方のエッジプロファイルR上の各座標位置から他方のエッジプロファイルLまでの距離(エッジプロファイルR上の座標位置に最も接近している部分までの距離)の平均値等である。
最後に,計算機30’は,以上のようにして記録された両エッジプロファイルの差ΔPfminが最小となるときの前記相対角度調整量ΔYc及びオフセットΔXc,ΔYcに従って前記エッジプロファイルLを補正し,補正後の前記エッジプロファイルLと前記エッジプロファイルRとを統合したエッジプロファイルを,測定部位P全体のエッジプロファイルとし,これを記憶部に記録する。
以上に示したつなぎ合わせ処理(フィッティング処理)により,高精度で厚み方向のオフセット調整を行うことができ,その結果,測定部位P全体の表面形状を高い精度で測定できる。
なお,前記校正値α及び前記相対角度調整量Δψは,主としてカメラ20R,20Lの設置誤差に起因するものである。従って,カメラ20R,20Lの位置調整が行われた後,最初に一回だけ前記校正値α及び両エッジプロファイルの差ΔPfminが最小となるときの前記相対角度調整量ΔYcを算出して記憶しておけば,以後はそれらの値を用いて前記つなぎ合わせ処理(フィッティング処理)を行うことができる。
ところで,ウェーハ1は,エッジプロファイル部(面取りされた端面)に近いほど厚みの個体差が大きく,中心に近いほど(エッジプロファイル部から内側へ離れるほど)厚みの個体差が小さい。前記厚み測定システムによる1回の(ある1つのウェーハ1の)測定結果(厚みD)を,複数のウェーハ1の形状測定において共用する場合,個体差の小さい位置で厚み測定を行うことが望ましい。
一方,ウェーハ1の中心に近い位置(端面から離れた位置)では,本発明による形状測定(正反射光の像に基づく形状測定)が難しくなる。
図17は,形状測定の対象であるウェーハ1(半導体ウェーハ)における厚み測定に好適な位置を表す断面図である。なお,図17に示されるエッジプロファイル部の突出寸法(0.5mm)及びウェーハ1の厚み(0.7mm)は一例を表すものである。
経験上,図17に示すように,薄板状(例えば,厚みが0.7mm程度)のウェーハ1の表裏両面(図中の「おもて面」及び「うら面」)におけるエッジプロファイル部(表裏各面のベベル部を含む部分)との境界位置から約1mm内側の位置Qdは,厚みの個体差が比較的小さく,かつ,本発明による形状測定も可能な位置である。
そこで,測定対象(薄片試料)が薄板状の半導体ウェーハ1である場合,前記厚み測定システムにより,そのウェーハ1の表裏両面におけるエッジプロファイル部(端面)との境界位置から約1mm内側の位置Qdに前記厚み測定用光源40の光を照射することにより,その位置Qdにおいてそのウェーハ1の厚みを測定することが望ましい。なお,半導体ウェーハ1のサイズによっては,前記境界位置から約3mm〜約5mm内側の位置でウェーハ1の厚みを測定しても,前記オフセット調整に有効な測定値が得られる。
図16は,以上に示した形状測定装置Z2の応用例である形状測定装置Z2’(第2発明の実施形態に係る形状測定装置の一例)の概略構成を表す図である。
以下,形状測定装置Z2’について,前述した形状測定装置Z2と異なる点についてのみ説明する。なお,図16において,図1及び図13に示した構成要素と同じものについては,同じ符号を記している。なお,図16(a)は,形状測定装置Z2’の平面図(一部ブロック図),図16(b)は,形状測定装置Z2’の側面図(一部省略)である。
形状測定装置Z2’は,前記形状測定装置Z2に対し,前記厚み測定用光源40(40R,40L)の位置が異なる以外は同じ構成を備えている。
図16に示すように,形状測定装置Z2’における前記厚み測定システムは,前記厚み測定用光源40R,40Lそれぞれにより,測定部位Pにおける端面の近傍部分の厚み方向両側の面各々に対してライン光を斜め方向から照射し,その正反射光を前記2つのカメラ20R,20Lそれぞれによって受光することにより,ウェーハ1表面の光切断線の像(前記ライン光の像)を得る。
このような形状測定装置Z2’においても,前記形状測定装置Z2と同様に,前記計算機30’が2つのカメラ20R,20Lの撮像画像に基づいて簡易な三角測量計算を実行することにより,ウェーハ1の厚みDを算出することができる。
また,計算機30’は,LED駆動回路11を通じて複数のLED12を順次切り替えて点灯させる過程(ステップS1〜S5)において,一部のLED12については,各カメラ20R,20Lに対応する複数のLED12を同時に点灯させるよう制御する(切替型光照射手段の一例)。
図13に示すように,円弧上に複数配列されたLED12のうち,第1カメラ20Rに対し,第2カメラ20Lとは反対側に配置されているLED12Rの一部(例えば,LED12Ra)については,その出力光は,ウェーハ1により遮断されて第2カメラ20Lには到達しない(検出されない)。
同様に,第2カメラ20Lに対し,第1カメラ20Rとは反対側に配置されているLED12Lの一部(例えば,LED12La)については,その出力光は,ウェーハ1により遮断されて第2カメラ20Lには到達しない。
そこで,計算機30’は,ステップS2において,第1カメラ20Rに対応する一部のLED(LED12Raなど)と,第2カメラ20Lに対応する一部のLED(LED12Laなど)とが同時に点灯するようLED駆動回路11を制御する。
これにより,測定時間を短縮できる。
なお,図13に示した形状測定装置Z2は,2台のカメラ20を備えるものであるが,3台以上のカメラ20を備えた構成としても,同様の作用効果が得られる。
以上に示した実施形態では,拡散光源であるLED12をそのまま光源として採用している。このような構成を採用できる理由は,各LED12が,測定部位Pの大きさ(奥行きの長さ)に比べて十分に遠い距離に配置されており,各LED12の光が測定部位Pにおいて平行光とみなせるためである。
一方,LED12等の光源を測定部位Pに近づけて配置する場合,その光源の光を,レンズを用いて平行光とした上で測定部位Pに照射することが望ましい。
また,前述した実施形態では,光源としてLED12を採用しているが,レーザダイオードや白熱電球,蛍光灯など,他の種類の光源を採用してもかまわない。
また,カメラ20は,目的に応じて前述の実施形態とは異なる位置及び向きで設置されることも考えられる。
また,一般的なエッジプロファイル測定では,測定部位P各々について,一次元方向(ウェーハ1の厚み方向)の表面角度分布を測定できれば十分である。このため,測定部位Pからの反射光の輝度を検出する手段として,複数の光電変換素子が一列に(1次元方向に)配列されて構成された一次元の受光器を用いることも考えられる。但し,その場合,前記形状測定装置Z2においては,前記厚み測定システムを構成するカメラ(撮像手段)を別途設ける必要がある。
また,前記形状測定装置X2は,前記厚み測定用光源40と2つのカメラ20R,20Lとを用いて光学的にウェーハ1の厚みを測定する前記厚み測定システムを備えるものであるが,超音波等を利用した非接触式の厚み計を備えた形状測定装置も考えられる。
なお,本発明に係る形状測定装置は,アルミサブストレート,ガラスサブストレートなどの薄片試料についても,同様にエッジプロファイルの測定が可能である。
また,前述した実施形態では,測定部位Pからの反射光を直接的にカメラ20に入射させる構成を示した。しかしながら,測定部位Pからの反射光を変向させる光学機器(ミラーなど)を設け,その光学機器により変向された反射光をカメラ20に入射させる構成も考えられる。これにより,光源(LED12)が配置される平面に沿う方向への反射光を検出したい場合に,設置スペースが比較的大きいカメラ20と光源との干渉を回避できる。これにより,光照射角度の範囲を拡大でき,測定部位Pの表面角度の測定範囲をより広げることができる。
また,前述した実施形態における光照射装置10は,複数の光源(LED12)を順次切り替えて点灯させる切替型の光照射装置であった。しかしながら,光照射装置としては,1つ又は比較的少数の光源(LED等)を一の平面内の複数の位置(例えば,光照射装置10において各LED12が配置された位置)各々に順次移動させる光源移動機構を備え,その移動先の各位置で光源を点灯させる移動型の光照射装置も考えられる。このような移動型の光照射装置によっても,前記光照射装置10と同様に,測定部位Pに対して順次異なる照射角度φで光を照射する装置を構成できる。
この移動型の照明装置としては,例えば,基準位置Qを中心とする円弧状にレールと,そのレールに沿ってLED等の光源を移動させる移動機構と,この移動機構によってLEDが予め定められた複数の位置各々に到達したことを検知する位置センサと,光源がその位置センサにより検知される各位置へ順次移動するよう前記移動機構を制御する制御装置とを備えたものが考えられる。
ところで,複数の光源(前述の実施形態ではLED12)を切り替えて測定部位Pに光を照射する光照射装置10を用いる場合,光源それぞれの個体差により,各光源から基準位置Qの測定部位Pに照射される光の光量(強度)にばらつきが生じ得る。そこで,そのばらつきが極力小さくなるよう予め調整することが重要である。
具体的には,測定部位Pが配置される基準位置Qに光センサを配置し,各光源を順次切り替えて点灯させたときに,その光センサで検出される光強度がほぼ一定のレベルとなるように各光源に供給する電力(電圧や電流),即ち,各光源の発光量(発光強度)を予め調整しておく。
例えば,光源がLEDである場合,各LEDに対する電力供給ラインに可変抵抗を設け,この可変抵抗の抵抗値を調整することによって各LEDへの供給電流を予め調整する。或いは,各LEDに対する電力供給をパルス幅変調(PWM)によって制御可能とするパルス幅変調装置を設け,これによって各LEDへの供給電力を予め調整する。
その他,測定部位Pが配置される基準位置Qに反射方向や反射率が既知の反射部材(鏡など)を配置し,各光源を順次切り替えて点灯させたときにカメラ20で検出される光強度のばらつきに基づいて,光源ごとの光強度の補正係数を予め算出して記憶しておくことも考えられる。そして,実際の測定時には,その補正係数に基づく補正後の測定値(光強度分布)を用いて測定する。
以上に示すような調整を行うことにより,光源の特性のばらつきに起因する測定誤差が発生することを回避できる。
本発明は,半導体ウェーハ,ハードディスク用のアルミサブストレートやガラスサブストレート等の薄片試料の形状測定装置への利用が可能である。
第1発明の実施形態に係る形状測定装置Z1の概略構成図。 光照射角度及び表面角度の定義を表す図。 形状測定装置Z1に採用され得るテレセントリックレンズ方式のカメラの特性を表す図。 形状測定装置Z1にテレセントリックレンズ方式のカメラを採用した場合の測定部位の表面角度と光路との関係を模式的に表した図。 形状測定装置Z1により算出された測定部位の表面角度分布及びエッジプロファイルを表すグラフ。 形状測定装置Z1に採用され得る非テレセントリックレンズ方式のカメラの特性を表す図。 形状測定装置Z1に非テレセントリックレンズ方式のカメラを採用した場合の測定部位の表面角度と光路との関係を模式的に表した図。 測定部位の形状及び形状測定装置Z1のカメラによる撮影画像の第1例を模式的に表した図。 測定部位の形状及び形状測定装置Z1のカメラによる撮影画像の第2例を模式的に表した図。 形状測定装置Z1による撮影画像の一例を表す図。 所定の演算対象位置における光照射角度と反射光輝度との対応関係の一例を表すグラフ。 形状測定装置Z1による測定手順を表すフローチャート。 第2発明の実施形態に係る形状測定装置Z2の概略構成を表す図。 形状測定装置Z2における厚み測定の原理を表す概念図。 形状測定装置Z2により得られる2台のカメラ各々に対応する表面角度分布及びエッジプロファイルのフィッティング処理前後の状態を表す図。 形状測定装置Z2の応用例である形状測定装置Z2’の概略構成を表す図。 形状測定の対象である半導体ウェーハにおける厚み測定に好適な位置を表す断面図。
符号の説明
Z1,Z2,Z2’:形状測定装置
1 :ウェーハ
10:光照射装置
11:LED駆動回路
12:LED
13:切り欠き部
20,20R,20L:カメラ
30,30’:計算機
40(40R,40L):厚み測定用光源
50…測定部位におけるウェーハの厚み方向の断面を含む平面

Claims (9)

  1. 薄片試料の端面の形状を測定する形状測定装置であって,
    一の平面内の複数の位置各々で光源を点灯させることにより,前記薄片試料における端面及びその近傍の厚み方向両側の面を含む測定部位に対して順次異なる照射角度で光を照射する第1の光照射手段と,
    前記測定部位に対して各々異なる方向に配置され,前記第1の光照射手段の光照射による前記測定部位からの略正反射方向への反射光の一次元若しくは二次元の輝度分布を検出する複数の光検出手段と,
    前記第1の光照射手段により順次異なる照射角度で光が照射されるごとに前記測定部位からの反射光の輝度分布を前記光検出手段を通じて取得する反射光輝度取得手段と,
    複数の前記反射光輝度取得手段各々により取得された複数の前記反射光の輝度分布ごとに,該反射光の輝度分布及び前記第1の光照射手段により照射された光の照射角度に基づいて,前記測定部位の一部の領域の表面角度の分布を演算する表面角度分布演算手段と,
    前記測定部位における前記厚み方向両側の面の部分について前記薄片試料の厚みを測定する厚み測定手段と,
    前記表面角度分布演算手段による前記一部の領域の表面角度の分布の演算結果又は該演算結果に基づく前記一部の領域の表面形状各々を,前記薄片試料の厚み方向におけるそれらの相対位置を前記厚み測定手段の測定結果に基づき調整してつなぎ合わせる処理を実行することにより,前記測定部位全体の表面角度の分布又は表面形状を演算するつなぎ合わせ演算手段と,
    を具備してなることを特徴とする形状測定装置。
  2. 前記光検出手段が,前記測定部位における前記厚み方向両側の面各々の二次元の像を撮像する2つの撮像手段を含み,
    前記厚み測定手段が,
    前記測定部位における前記厚み方向両側の面各々に光を照射する第2の光照射手段と,
    前記第2の光照射手段により光が照射された前記測定部位における前記厚み方向両側の面各々の像を前記2つの撮像手段を通じて取得し,取得した像に基づいて光の照射位置を検出することにより前記薄片試料の厚みを算出する厚み算出手段と,
    を具備してなる請求項1に記載の形状測定装置。
  3. 前記表面角度分布演算手段が,前記光検出手段の光検出範囲における複数の演算対象位置各々について,前記光の照射角度と前記反射光の輝度との対応関係に基づいて前記反射光の輝度がピークとなるときの前記光の照射角度を推定する演算を行うことにより,前記演算対象位置各々の表面角度を算出してなる請求項1又は2のいずれかに記載の形状測定装置。
  4. 前記第1の光照射手段が,前記一の平面内の複数の位置各々に配置された複数の光源を順次切り替えて点灯させることにより,前記測定部位に対して順次異なる照射角度で光を照射する切替型光照射手段である請求項1〜3のいずれかに記載の形状測定装置。
  5. 前記切替型光照射手段における複数の光源が,前記測定部位の配置位置を中心とする円弧上に配置されてなる請求項4に記載の形状測定装置。
  6. 複数の前記光検出手段が,前記測定部位を基点として約90°をなす方向に配置された2つの光検出手段である請求項1〜5のいずれかに記載の形状測定装置。
  7. 前記薄片試料が薄板状の半導体ウェーハであり,
    前記厚み測定手段が,前記半導体ウェーハの表裏両面におけるベベル部との境界位置から略1mm内側の位置において前記半導体ウェーハの厚みを測定してなる請求項1〜6のいずれかに記載の形状測定装置。
  8. 薄片試料の端面の形状を測定する形状測定方法であって,
    一の平面内の複数の位置各々で光源を点灯させる第1の光照射手段により,前記薄片試料の端面及びその近傍の厚み方向両側の面を含む測定部位に対して順次異なる照射角度で光を照射する第1の光照射工程と,
    前記測定部位に対して各々異なる方向に配置された光検出手段により,前記第1の光照射工程の光照射による前記測定部位からの略正反射方向への反射光の一次元若しくは二次元の輝度分布を検出する光検出工程と,
    前記第1の光照射工程により順次異なる照射角度で光が照射されるごとに前記測定部位からの反射光の輝度分布を前記光検出工程の実行により取得する反射光輝度取得工程と,
    前記反射光輝度取得工程により取得された複数の前記反射光の輝度分布ごとに,該反射光の輝度分布及び前記第1の光照射工程により照射された光の照射角度に基づいて,前記測定部位の一部の領域の表面角度の分布を演算する表面角度分布演算工程と,
    所定の厚み測定手段により前記測定部位における前記厚み方向両側の面の部分について前記薄片試料の厚みを測定する厚み測定工程と,
    所定の演算手段により,前記表面角度分布演算工程による前記一部の領域の表面角度の分布の演算結果又は該演算結果に基づく前記一部の領域の表面形状各々を,前記薄片試料の厚み方向におけるそれらの相対位置を前記厚み測定工程の測定結果に基づき調整してつなぎ合わせる処理を実行することにより,前記測定部位全体の表面角度の分布又は表面形状を演算するつなぎ合わせ演算工程と,
    を実行してなることを特徴とする形状測定方法。
  9. 前記光検出手段が,前記測定部位における前記厚み方向両側の面各々の二次元の像を撮像する2つの撮像手段を含み,
    前記厚み測定工程において,
    所定の第2の光照射手段により前記測定部位における前記厚み方向両側の面各々に光を照射する第2の光照射工程と,
    前記第2の光照射工程により光が照射された前記測定部位における前記厚み方向両側の面各々の像を前記2つの撮像手段を通じて取得し,取得した像に基づいて光の照射位置を検出することにより前記薄片試料の厚みを算出する処理を所定の演算手段により実行する厚み算出工程と,
    を実行してなる請求項8に記載の形状測定方法。
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