JP6998577B2 - 解凍装置及び解凍方法 - Google Patents
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Description
ただし、自然解凍や、冷水又は氷水による解凍の場合、冷凍された生鮮海産物等と熱媒体(室温の空気、冷水、氷水)との温度差が小さいため、解凍時間が長くなってしまい、生鮮海産物等の品質が低下する可能性がある。逆に、解凍時間を短くするために温水を用いて流水解凍を行うと、生鮮海産物等の細胞が破壊される可能性がある。
そこで、上記の問題を解決するため、特許文献1には、シャーベット氷を解凍媒体として使用した凍結食品解凍法が記載されている。具体的には、特許文献1には、シャーベット氷(微細流動氷)に真空パック状態で冷凍された魚を投入し、魚の温度と氷水温度の温度差に従って熱を魚から水氷側へ移動させて魚を解凍する手法が提案されている。
即ち、特許文献1に記載された凍結食品解凍法では、冷凍された魚の表面において、接触したシャーベット氷のうち水の部分(液体部分)が冷却されて凝固し、氷(霜)となって付着することとなる。このとき、魚の表面に付着する氷(霜)は、溶質(例えば食塩)を含まない水(真水)の部分が凝固した氷(霜)となる。これは、食塩等の溶質を溶解させた水溶液がそのまま均一に凍結することは殆どなく、まず溶質(例えば食塩)を含まない真水の部分が先に凍結してしまうからである。
このため、特許文献1に記載された凍結食品解凍法では、たとえ塩水を用いたシャーベット氷に冷凍された魚を漬けたとしても、冷凍された魚の表面においてシャーベット氷のうち真水の部分が先に凍結し氷(霜)となって付着する。このとき、-20℃以下で凍結した状態にある魚の表面に付着した氷(霜)は、真水が凝固した氷となるため、塩水のシャーベット氷よりも低い温度の氷(霜)の膜となって魚を包み込むこととなる。
この低温の氷(霜)の膜により、魚とシャーベット氷とが直接接触することができなくなり、塩水のシャーベット氷で魚を効率良く解凍することができなくなる。
冷凍された対象物と、前記対象物よりも温度が高い氷スラリーとを接触させることにより前記対象物を解凍する解凍装置であって、
前記対象物と前記氷スラリーとを所定の相対速度で接触させることにより、前記氷スラリーの溶媒の一部が凝固して冷熱エネルギーの吸収を妨げる氷膜が前記対象物の表面に形成されることを抑制しながら前記氷スラリーに前記対象物の前記冷熱エネルギーを吸収させる冷熱吸収手段と、
前記冷熱吸収手段に対し、前記氷スラリーを供給する氷スラリー供給手段と、
を備える。
前記冷熱吸収手段は、
前記氷スラリー循環手段により前記冷熱吸収手段に送給された前記氷スラリーを所定の相対速度で前記対象物に接触させることができる。
さらに、前記対象物を振動又は搖動させる対象物搖動手段を備えることができる。
前記氷スラリーを構成するフレークアイスを製造するフレークアイス製造手段と、
前記フレークアイス製造手段により製造された前記フレークアイスとブラインとを所定の比率で混合させて前記氷スラリーを製造する氷スラリー製造手段と、
を備えることができ、
前記フレークアイス製造手段は、
製氷面と、前記製氷面を冷却する製氷面冷却手段とを有し、冷却された前記製氷面に前記ブラインを付着させて凍結させた前記ブラインの氷を剥ぎ取ることにより前記フレークアイスを製造することができる。
本発明の解凍装置で使用される氷は、溶質を含有する水溶液(ブラインともいう)を、溶質の濃度が略均一となるように凝固させた氷であって、少なくとも以下の(a)及び(b)の条件を満たす氷(以下「ハイブリッドアイス」と呼ぶ)のことをいう。
(a)融解完了時の温度が0℃未満である
(b)融解過程で氷が融解した水溶液(ブライン)の溶質濃度の変化率が30%以内である
ここで、「ブライン」とは、凝固点の低い水溶液を意味する。具体的には、例えば塩化ナトリウム水溶液(塩水)や塩化カルシウム水溶液、塩化マグネシウム水溶液、エチレングリコール等はブラインの一例である。
ハイブリッドアイスは、フレークアイスとして製造された状態で細かな空隙部(即ち空気の部分)を多く含むため、この空隙部がハイブリッドアイス内で縦横無尽に連結した状態であり、雪状に調製したり、シャーベット状に調製したりすることができる。
ハイブリッドアイスにおける空隙部の空気(気体)は、ハイブリッドアイスとブラインとが混ざり合うと、ブライン(液体)と容易に置き換わることができるという特徴を持つ。
特に、雪状またはシャーベット状に調製されたハイブリッドアイスは、全体として柔軟性を備えているため、対象物を傷つけることがなく、むしろ対象物を保護する緩衝材としてのスポンジのような役割を果たす。
また、ハイブリッドアイスは、多くの空隙部(空気部分)を有する状態であっても、あるいはハイブリッドアイスの融解によって当該空隙部にブラインが充填された状態であっても、ハイブリッドアイス全体として十分な流動性(柔軟性)を保持することができる。このため、ハイブリッドアイスは、対象物をより効率良く冷却したり解凍したりすることができる。例えば、従来のように冷凍された対象物を氷水に漬けて解凍する場合には、氷が浮いている氷水の上層部分と、氷があまりない水ばかりの下層部では温度が異なるため、解凍された対象物の部分によって品質が異なる場合がある。これに対して、冷凍された対象物を、全体が雪状やシャーベット状に調製されたハイブリッドアイスに漬けて解凍する場合には、上記のような、部分による品質の差は生じない。
また、このフレークアイスと、凍結される前の状態のブラインとを混合させたものを、以下「氷スラリー」と呼ぶ。氷スラリーは、流動性を有するため、硬いフレークアイスの状態よりも対象物に対し万遍なく接触することができる。
なお、氷スラリーに、フレークアイス(個体)を加えることにより、氷スラリーに含まれるフレークアイス(個体)とブライン(液体)との構成比率を容易に調整することもできる。
ここで、固体としての氷が、液体としての水に変化(融解)するときに必要となる熱を「潜熱」という。この潜熱は温度変化を伴わないため、ハイブリッドアイスは、融解時に真水の凝固点(0℃)未満の温度で安定した状態を維持し続けることができる。このため、冷熱エネルギーを蓄えた状態を持続させることができる。また同様に、ハイブリッドアイスは、凍結時に真水の凝固点(0℃)未満の温度で安定した状態を維持し続けるため、冷熱エネルギーを蓄えた状態を持続させることができる。
したがって、従来の技術では凝固点が低い氷を容易に製造することはできなかった。
以下、ハイブリッドアイスの条件である上記(a)及び(b)ついて説明する。
上記(a)は、ハイブリッドアイスの条件のうち、融解完了時の温度が0℃未満であるという条件である。ハイブリッドアイスは、溶質(食塩等)を含む水溶液(塩水等)であるため、ハイブリッドアイスの凝固点は、溶質が溶解していない真水の凝固点よりも低い。このため、融解完了時の温度が0℃未満であるという特徴を有する。なお、「融解完了時の温度」とは、ハイブリッドアイスを融点以上の環境下(例えば、室温、大気圧下)に置くことによりハイブリッドアイスの融解を開始させ、全てのハイブリッドアイスが融解しきって水溶液(ブライン)になった時点におけるその水溶液の温度をいう。
他方、ハイブリッドアイスの凝固点を、対象物の凍結点に近づけた方が好ましい場合もある。例えば、生鮮動植物の損傷を防ぐため等の理由がある場合には、融解完了時の温度が高すぎない方が好ましく、例えば、-21℃以上(-20℃以上、-19℃以上、-18℃以上、-17℃以上、-16℃以上、-15℃以上、-14℃以上、-13℃以上、-12℃以上、-11℃以上、-10℃以上、-9℃以上、-8℃以上、-7℃以上、-6℃以上、-5℃以上、-4℃以上、-3℃以上、-2℃以上、-1℃以上、-0.5℃以上等)であることが好ましい。
上記(b)は、ハイブリッドアイスの条件のうち、融解過程で氷が融解した水溶液の溶質濃度の変化率が30%以内であるという条件である。ハイブリッドアイスは、融解過程で氷が融解した水溶液の溶質濃度の変化率(以下、本明細書において「溶質濃度の変化率」と略称する場合がある)が30%以内であるという特徴を有する。従来からある技術を用いた場合であっても、凝固点が僅かに低下した氷が生成される場合もあるが、その殆どは、溶質を含まない水の氷と溶質の結晶との混合物に過ぎないため、冷却能が十分ではない。このように、溶質を含まない水を凍結させた氷と、溶質の結晶との混合物である場合には、氷を融解条件下に置くと、融解に伴い溶質が溶出する速度が不安定となる。具体的には、融解開始に近いタイミングであればある程、溶質が多く溶出する。そして、融解の進行に伴い、溶質が溶出する量は少なくなっていく。即ち、融解完了に近いタイミングであればある程、溶質の溶出量が少なくなる。
これに対し、ハイブリッドアイスは、溶質を含む水溶液を凍結させた氷であるため、融解過程における溶質の溶出速度の変化が少ないという特徴を有する。具体的には、ハイブリッドアイスが融解する過程でハイブリッドアイスが融解した水溶液の溶質濃度の変化率は30%である。ここで、「融解過程でハイブリッドアイスが融解した水溶液の溶質濃度の変化率」とは、融解過程の任意のタイミングで融解した水溶液における溶質濃度に対する、融解完了時における水溶液の濃度の割合を意味する。なお、「溶質濃度」とは、水溶液に溶解している溶質の質量の割合を意味する。
この観点から、溶質濃度の変化率は、25%以内(24%以内、23%以内、22%以内、21%以内、20%以内、19%以内、18%以内、17%以内、16%以内、15%以内、14%以内、13%以内、12%以内、11%以内、10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以内、0.5%以内等)であることが好ましい。他方、溶質濃度の変化率は、0.1%以上(0.5%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、11%以上、12%以上、13%以上、14%以上、15%以上、16%以上、17%以上、18%以上、19%以上、20%以上等)であってもよい。
ハイブリッドアイスに含まれる溶質の種類は、水を溶媒としたときの溶質であれば特に限定されず、所望の凝固点や使用する氷の用途等に応じて適宜選択することができる。溶質としては、固体状の溶質、あるいは液状の溶質等が挙げられるが、固体状の溶質として代表的なものには、塩類(無機塩、有機塩等)が挙げられる。特に、塩類のうち食塩(NaCl)は、凝固点の温度を過度に低下させることがないため、生鮮動植物又はその一部の冷却に適している。また、食塩は海水に含まれているため、調達が容易であるという点でも適している。また、液状の溶質としては、エチレングリコール等が挙げられる。なお、溶質は1種単独で含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
他方、ハイブリッドアイスを生鮮動植物又はその一部の冷却に用いる場合等においては、凝固点の温度を過度に低下させすぎない方が好ましく、この観点で、23%(w/v)以下(20%(w/v)以下、19%(w/v)以下、18%(w/v)以下、17%(w/v)以下、16%(w/v)以下、15%(w/v)以下、14%(w/v)以下、13%(w/v)以下、12%(w/v)以下、11%(w/v)以下、10%(w/v)以下、9%(w/v)以下、8%(w/v)以下、7%(w/v)以下、6%(w/v)以下、5%(w/v)以下、4%(w/v)以下、3%(w/v)以下、2%(w/v)以下、1%(w/v)以下等)であることが好ましい。
上述したように、ハイブリッドアイスは冷却能に優れているため、対象物を冷却し凍結させるための冷媒として好適である。また、冷凍された対象物の冷熱エネルギーを吸収して解凍する熱媒体としても好適である。特に、ハイブリッドアイスをフレーク状に加工したフレークアイスと、ブラインとを所定の比率で混合させてシャーベット状にした混合物(氷スラリー)は、対象物と接触する面積が大きくなる。このため、対象物を効率良く冷却し凍結させ、また、冷凍された対象物から冷熱エネルギーを効率良く吸収することができる。
なお、対象物を冷却し凍結させるための「冷媒」と、図1に示すフレークアイス製造装置200の内筒32の内周面を冷却するために冷媒クリアランス34に供給される「冷媒」との混同を防ぐために、対象物を冷却し凍結させるための冷媒を、以下「氷スラリー」と呼び、冷媒クリアランス34に供給される冷媒を「内筒冷却冷媒」と呼ぶ。
これに対して、フレークアイスの溶質濃度がブラインの溶質濃度より低い場合、フレークアイスの飽和凍結点よりもブラインの飽和凍結点の方が低くなる。このため、フレークアイスとブラインとを混合させた氷スラリーの温度は低下する。つまり、フレークアイスとブラインとの混合物の状態(氷スラリーの状態)を変動させないようにするためには、上述のとおり、混合するフレークアイスとブラインの溶質濃度を同程度とすることが好ましい。
また、氷スラリーの状態である場合、ブラインは、フレークアイスが融解したものであってもよく、別途調製したものであってもよいが、フレークアイスが融解してなるものであることが好ましい。
通常、短時間で対象物を冷却し、または冷凍された対象物から冷熱エネルギーを吸収して解凍しようとする場合、熱伝導率の高い固体を冷媒または熱媒体として利用することができる。ただし、熱伝導率の高い固体を冷媒として利用した場合、その固体自身も短時間で冷熱エネルギーを失い温度が上がりやすくなるため、長時間の冷却には不適である。また、熱伝導率の高い固体を熱媒体として利用した場合、その固体自身も短時間で冷熱エネルギーを取得し温度が下がりやすくなるため、冷凍された対象物の冷熱エネルギーを長時間かけて吸収するには不適である。
即ち、対象物を長時間の冷却し、または冷凍された対象物から冷熱エネルギーを長時間かけて吸収するには、熱伝導率の高い固体を冷媒または熱媒体として利用しない方がよいということになる。ただし、短時間で対象物を冷却し、または対象物から冷熱エネルギーを短時間で吸収しようとする場合に不適である。
なお、フレークアイスよりも高い熱伝導率を有する固体としては、例えば、金属(アルミニウム、銀、銅、金、ジュラルミン、アンチモン、カドミウム、亜鉛、すず、ビスマス、タングステン、チタン、鉄、鉛、ニッケル、白金、マグネシウム、モリブデン、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ニオブ、クロム、コバルト、イリジウム、パラジウム)、合金(鋼(炭素鋼、クロム鋼、ニッケル鋼、クロムニッケル鋼、ケイ素鋼、タングステン鋼、マンガン鋼等)、ニッケルクロム合金、アルミ青銅、砲金、黄銅、マンガニン、洋銀、コンスタンタン、はんだ、アルメル、クロメル、モネルメタル、白金イリジウム等)、ケイ素、炭素、セラミックス(アルミナセラミックス、フォルステライトセラミックス、ステアタイトセラミックス等)、大理石、レンガ(マグネシアレンガ、コルハルトレンガ等)等が挙げられる。
しかしながら、本発明者が発明し既に特許出願済み(例えば特願2016-103637)のフレークアイス製造装置によれば、溶質を含有するブラインを噴射することで霧状にし、これをブラインの凝固点以下の温度に予め冷却された壁面に接触させることによって凍結させ、そのまま壁面に付着させることができる。これにより、上記(a)及び(b)の条件を満たす冷却能の高い氷(ハイブリッドアイス)を生成することができる。
なお、本発明者が発明し既に特許出願済みのフレークアイス製造装置については、図1のフレークアイス製造装置200、及び図2のフレークアイス製造システム300を参照して後述する。
付着したブラインを凍結させるために予め冷却される壁面は特に限定されない。ブラインの凝固点以下の温度を保持できるような壁面であればよい。例えば、後述する図1におけるドラム21のような円筒型の構造物の内周面(例えば後述する図1の内筒32の内周面)等が挙げられる。
壁面の温度は、ブラインの凝固点以下の温度で保持されていれば特に限定されないが、上記(a)及び(b)の条件を満たす氷(ハイブリッドアイス)の純度を高くできるという点で、ブラインの凝固点よりも1℃以上低い温度(2℃以上低い温度、3℃以上低い温度、4℃以上低い温度、5℃以上低い温度、6℃以上低い温度、7℃以上低い温度、8℃以上低い温度、9℃以上低い温度、10℃以上低い温度、11℃以上低い温度、12℃以上低い温度、13℃以上低い温度、14℃以上低い温度、15℃以上低い温度、16℃以上低い温度、17℃以上低い温度、18℃以上低い温度、19℃以上低い温度、20℃以上低い温度、21℃以上低い温度、22℃以上低い温度、23℃以上低い温度、24℃以上低い温度、25℃以上低い温度等)に保持されることが好ましい。
この場合において、噴射する際の圧力は、例えば、0.001MPa以上(0.002MPa以上、0.005MPa以上、0.01MPa以上、0.05MPa以上、0.1MPa以上、0.2MPa以上等)であってもよく、1MPa以下(0.8MPa以下、0.7MPa以下、0.6MPa以下、0.5MPa以下、0.3MPa以下、0.1MPa以下、0.05MPa以下、0.01MPa以下等)であってもよい。また、噴射する際の圧力を可変制御できるようにしてもよい。
上述した製氷工程の後に、壁面に生成されたハイブリッドアイスは適宜回収される。ハイブリッドアイスの回収方法は特に限定されず、例えば壁面に生成されたハイブリッドアイスを図1に示すブレード25によって剥ぎ取り、剥ぎ取られることでフレーク状になって落下したハイブリッドアイス(即ち、フレークアイス)を回収してもよい。また、壁面に付着したハイブリッドアイスにエアーを吹きかけることによりハイブリッドアイスを剥ぎ取ってもよい。これにより壁面に傷を与えることなく効率良くハイブリッドアイスをフレークアイスとして回収することができる。
冷媒クリアランス34には、冷媒供給部39から冷媒配管45を介して内筒冷却冷媒が供給される。これにより内筒32の内周面が冷却される。
噴射部23は、内筒32の壁面に向けてブラインを噴射する噴射孔23aを先端部に有する複数のパイプで構成され、回転軸22と共に回転する。噴射孔23aから噴射されたブラインは、冷媒によって冷却された内筒32の壁面に付着し、溶質と溶媒とに分離する時間も与えられずに急速に凍結する。
噴射部23を構成する複数のパイプは、回転軸22からドラム21の半径方向に放射状に延出している。
剥取部24を構成する複数のアームは、回転軸22に関して対称となるように装着されている。なお、図1に示すフレークアイス製造装置200の剥取部24は、2本のアームによって構成されているが、アームの本数は特に限定されない。
また、アームの先端に装着されているブレード25は、内筒32の全長(全高)に略等しい長さを有する部材からなり、内筒32の内周面に対向する端部には複数の鋸歯25aが形成されている。
内筒32の内周面に生成されたハイブリッドアイスは、ブレード25によって剥取られることによりフレークアイスとなる。フレークアイスは、フレークアイス排出口26から落下する。フレークアイス排出口26から落下したフレークアイスは、フレークアイス製造装置200の直下に配置されたフレークアイス貯留タンク44(図2参照)内に貯えられる。
また、噴射部23から噴射されるブラインの量を調節することにより、製造されるフレークアイスの量を調節してもよい。即ち、噴射部23から噴射されるブラインの量を増やすことにより、製造されるフレークアイスの量を増やすことができる。また反対に、噴射部23から噴射されるブラインの量を減らすことにより、製造されるフレークアイスの量を減らすことができる。
即ち、ドラム21の下方には、ブレード25によって剥ぎ取られたフレークアイスが落下する際に障害となる物がないため、ドラム21の下面はフレークアイスを排出するフレークアイス排出口26となる。
また、噴射制御部28は、噴射部23によるブラインの噴射時に、噴射圧力の可変制御を実行する。ブラインの噴射圧力を可変制御できるようにすることにより、内筒32の内周面に付着するブラインの体積をコントロールすることができる。即ち、ブラインを強い圧力で霧状に噴射させた場合に比べ、ブラインを弱い圧力で液状に噴射させた場合の方が、内筒32の内周面に付着するブラインの粒子が大きくなる。このため、ブラインを弱い圧力で液状に噴射させることにより生成されるハイブリッドアイスは、内筒32の内周面の温度よりも高いドラム21内部の空気の温度の影響を受け難くなる。
これにより、ブラインを弱い圧力で液状に噴射させることにより生成されるハイブリッドアイスは、ブラインを強い圧力で霧状に噴射させることにより生成される場合よりも溶け難いものとなる。なお、噴射制御部28がブラインの噴射圧力を可変制御する具体的な手法は特に限定されない。例えば、ブラインを噴射させる複数のパイプの噴射口(図示なし)の口径を調節することにより噴射圧力を可変制御してもよい。
冷媒供給部39は、冷媒クリアランス34に対して、内筒32の内周面を冷却する内筒冷却冷媒を、冷媒配管45を介して供給する。
冷媒クリアランス34に供給される冷媒は、冷媒クリアランス34と冷媒供給部39との間を冷媒配管45を介して循環する。これにより、冷媒クリアランス34に供給された内筒冷却冷媒を冷却能が高い状態で維持させることができる。
図2は、図1のフレークアイス製造装置200を含むフレークアイス製造システム300の全体の概要を示すイメージ図である。
ブライン貯留タンク40は、ハイブリッドアイスの原料となるブラインを貯える。ブライン貯留タンク40に貯えられたブラインは、ポンプ41を作動させることにより、ブライン配管42を介して噴射部23に供給される。噴射部23に供給されたブラインは、ハイブリッドアイスを生成するための原料となる。
なお、内筒32の内周面で凍結することなく流下したブラインは、ブライン貯留タンク40に貯えられ、ポンプ41が作動されることによって再びブライン配管42を介して噴射部23に供給される。
フレークアイス貯留タンク44は、フレークアイス製造装置200の直下に配置され、フレークアイス製造装置200のフレークアイス排出口26から落下したフレークアイスを貯える。
まず、冷媒供給部39は、冷媒クリアランス34に冷媒を供給し、内筒32の内周面の温度を塩水の凍結点より-10℃程度低くなるように設定する。これにより、内筒32の内周面に付着した塩水を凍結させることができる。
内筒32の内周面が冷却されると、ポンプ41は、ブライン貯留タンク40からブライン配管42を介して、噴射部23にブラインである塩水を供給する。
噴射部23に塩水が供給されると、噴射部23は、内筒32の内周面に向けて塩水を噴射する。噴射部23から噴射された塩水は、内筒32の内周面に接触すると、溶質である塩と溶媒である水とに分離する時間を与えられる間もなく瞬時に凍結しハイブリッドアイスとなる。このようにしてハイブリッドアイスが生成される。
内筒32の内周面に生成されたハイブリッドアイスは、内筒32内を下降する剥取部24によって剥ぎ取られる。剥取部24によって剥ぎ取られたハイブリッドアイスは、フレークアイスとしてフレークアイス排出口26から落下する。フレークアイス排出口26から落下したフレークアイスは、フレークアイス製造装置200の直下に配置されたフレークアイス貯留タンク44内に貯えられる。
また上述したように、凍結してハイブリッドアイスになることなく内筒32の内周面を流下した塩水は、ブライン貯留タンク40に貯えられ、ポンプ41を作動させることによりブライン配管42を介して噴射部23に再び供給される。なお、ブライン貯留タンク40内の塩水が少なくなると、ブラインタンク43からブライン貯留タンク40に塩水が供給される。
本発明の一実施形態である解凍装置1は、図1のフレークアイス製造装置200、及び図2のフレークアイス製造システム300により製造されたフレークアイスを含む氷スラリーを、冷凍された対象物に接触させることにより、効率良く当該対象物を解凍する装置である。
以下、本発明の一実施形態である解凍装置1を図面に基づいて説明する。
ここで、-21℃に冷凍された魚101の体内の各位置の温度変化を計測するために、魚101の体内の2箇所に温度計a及びbを設置して実験を行った。具体的には、魚101の魚体の表面から8cmの位置に温度計aを設置し、魚101の魚体の表面から2cmの位置に温度計bを設置した。なお、実験結果については図7を参照して後述する。
このため、貯留された氷スラリーSに魚101を漬けたとしても、魚101の表面において、氷スラリーSのうち真水の部分が先に凍結し氷(霜)となって付着する。このとき、魚101の表面に付着した氷(霜)は、真水が凝固した氷であり、氷スラリーSの温度(-1℃)よりも低い温度の氷(霜)の膜となって魚101を包み込む。
この氷(霜)の膜により、魚101と氷スラリーSとは直接接触することができなくなり、氷スラリーSの温度(-1℃)で魚を効率良く解凍することができなくなる。
つまり、-1℃の氷スラリーSと-21℃の魚101との間に十分な温度差があったとしても、魚101の表面部に、真水が凝固した-1℃よりも低い温度の氷の膜が形成されてしまう。この氷の膜が、氷スラリーSによる魚101からの冷熱エネルギーの吸収を妨げてしまう。
そこで、本発明者は、この問題を解消し、冷凍された対象物を効率良く解凍することができる解凍装置1を発明した。
図5(B)は、本発明の一実施形態である解凍装置1の正面図を含むイメージ図である。
図5(A)及び(B)に示すように、解凍装置1は、冷熱吸収部11と、氷スラリー供給部12と、氷スラリー循環部13と、フレークアイス抽出部14と、氷スラリー製造部15とを備える。
具体的には、冷熱吸収部11は、魚101を固定させる対象物固定部51に固定させた魚101と、所定の相対速度で冷熱吸収部11の内部を流れる氷スラリーSとを接触させることにより魚101から冷熱エネルギーを奪い解凍する。
即ち、冷熱吸収部11の中の氷スラリーSは、図3の氷スラリーSのように貯留されておらず、後述する氷スラリー循環部13によって所定の相対速度で絶えず流動させられている。このため、魚101の表面部に、-1℃よりも低い温度の真水の氷の膜が形成される暇を与えることなく、流動する-1℃の氷スラリーSが絶えず魚101に接触している状態を維持させることができる。
また、魚101の表面部に、-1℃よりも低い温度の真水の氷膜を形成させないという観点から、氷スラリーSを流動させるだけではなく、魚101自体を氷スラリーSの中で動かしてもよい。例えば、固定させた魚101を振動又は搖動させる機能を対象物固定部51に設けてもよい。これにより、魚101の表面部に、-1℃よりも低い温度の真水の氷の膜を形成させないようにすることができる。
具体的には、氷スラリー供給部12は、後述する氷スラリー製造部15により製造された氷スラリーSを、後述する氷スラリー循環部13を介して冷熱吸収部11に供給する。
また、氷スラリー供給部12は、氷スラリーSの供給を行う際、実際に冷熱吸収部11の内部及び後述する氷スラリー循環部13の内部を流動する氷スラリーSの量を適量となるように調節する。
これにより、冷熱吸収部11において、氷スラリーSの供給過多によって冷熱吸収部11から氷スラリーSが溢れ出てしまう事態や、氷スラリーSの供給不足によって冷熱吸収部11において魚101に氷スラリーSが接触しないといった事態が生じる事を防止することができる。
具体的には、氷スラリー循環部13は、スクリューコンベア52を回転させることにより、氷スラリー供給部12から供給された氷スラリーSを冷熱吸収部11に送給し、また、送給した氷スラリーSを冷熱吸収部11から排出させる。これにより、冷熱吸収部11に送給された氷スラリーSは、冷熱吸収部11において魚101に接触し又は接触することなく通過して冷熱吸収部11から排出される。そして、氷スラリー循環部13は、スクリューコンベア52を回転させることにより、冷熱吸収部11から排出された氷スラリーSを冷熱吸収部11に送還する。
このように、氷スラリー循環部13は、スクリューコンベア52を回転させることにより、解凍装置1内に氷スラリーSを循環させる。
ここで、図5(A)の破線で囲まれた部分は、氷スラリー循環部13の内部の様子を示している。なお、破線で囲まれた部分は、図5(A)において氷スラリー循環部13の一部に過ぎないが、氷スラリー循環部13の他の部分についても、破線で囲まれた部分と同様に、内部にスクリューコンベア52が配置されているものとする。
ここで、冷熱吸収部11から排出された氷スラリーSに含まれるフレークアイスがフレークアイス抽出部14によって抽出される理由について説明する。
まず、氷スラリーSに含まれるフレークアイスとブラインとの混合比率は特に限定されない。用途に応じて最適となる混合比率を採用してよい。ただし、魚101を解凍する処理を繰り返すと、氷スラリーSのうちブラインの部分(液体部分)が対象物から冷熱エネルギーを吸収して凝固する。これにより、解凍装置1内を循環する氷スラリーSにおけるフレークアイスとブラインとの混合比率は、時間の経過と共にフレークアイスの部分(固体部分)の割合が増加し、ブラインの部分(液体部分)の割合が減少する。
このため、フレークアイス抽出部14は、冷熱吸収部11から排出された氷スラリーSに含まれるフレークアイスを抽出することにより、循環する氷スラリーSにおけるフレークアイスとブラインとの混合比率が最適となるように維持する。
これにより、循環する氷スラリーに含まれるフレークアイスとブラインとの混合比率を一定に保つことができると共に、氷スラリーSの一部が凝固することにより得られるフレークアイスを効率良く再利用することができる。
なお、冷熱吸収部11から排出された氷スラリーSに含まれるフレークアイスをフレークアイス抽出部14が抽出する具体的手法は特に限定されない。例えば、比重による分離機によって、氷スラリーからフレークアイスを分離させる手法を用いてもよい。
上述したように、氷スラリーSを製造する際のフレークアイスとブラインとの混合比率は特に限定されない。氷スラリーSの用途に応じて最適となる混合比率を採用してよい。
また、氷スラリー製造部15は、氷スラリーSを製造する際、氷スラリーSの空隙率を可変設定することができる。
図6は、上記構成を有する解凍装置1が行う処理の流れを説明するフローチャートである。
工程K1において、氷スラリー製造部15は、フレークアイス製造装置200により製造されたフレークアイスと、当該フレークアイスの原料であるブラインとを所定の割合で混合させることにより氷スラリーSを製造する。
工程K2において、氷スラリー供給部12は、工程K1で製造された氷スラリーSを、氷スラリー循環部13を介して冷熱吸収部11に供給する。
工程K3において、氷スラリー循環部13は、スクリューコンベア52を回転させることにより、氷スラリー供給部12から供給された氷スラリーSを冷熱吸収部11に送給する。
工程K4において、冷熱吸収部11は、魚101を固定させる対象物固定部51に固定させた魚101と、所定の相対速度で冷熱吸収部11の内部を流れる氷スラリーSとを接触させることにより、氷スラリーSに魚101の冷熱エネルギーを吸収させて解凍する。
工程K5において、氷スラリー循環部13は、スクリューコンベア52を回転させることにより、冷熱吸収部11において魚101に接触し又は接触することなく通過した氷スラリーSを、冷熱吸収部11から排出させる。
工程K6において、フレークアイス抽出部14は、工程K5で冷熱吸収部11から排出された氷スラリーSに含まれるフレークアイスのうち一部を抽出し、当該フレークアイスを、氷スラリーSの製造に用いられる原料として、氷スラリー製造部15に提供する。
工程K7において、氷スラリー循環部13は、スクリューコンベア52を回転させることにより、工程K5で冷熱吸収部11から排出された氷スラリーSを冷熱吸収部11に送還する。なお、冷熱吸収部11から排出された氷スラリーSのうち一部のフレークアイスは、工程K6においてフレークアイス抽出部14により抽出される。これにより、処理は終了となる。
ここで、曲線Aaは、貯留された氷スラリーに、-21℃に冷凍された魚101を漬けて解凍した場合における、魚101の魚体の表面から8cmの位置に配置された温度計a(図3参照)が示す魚体内の温度を示している。
曲線Abは、貯留された氷スラリーSに、-21℃に冷凍された魚101を漬けて解凍した場合における、魚101の魚体の表面から2cmの位置に配置された温度計b(図3参照)が示す魚体内の温度を示している。
曲線Baは、-21℃に冷凍された魚101を、解凍装置1を用いて解凍した場合における、魚101の魚体の表面から8cmの位置に配置された温度計a(図3参照)が示す魚体内の温度を示している。
曲線Bbは、-21℃に冷凍された魚101を、解凍装置1を用いて解凍した場合における、魚101の魚体の表面から2cmの位置に配置された温度計b(図3参照)が示す魚体内の温度を示している。
まず、-21℃に冷凍された魚101の魚体内の各位置おける温度が、冷熱エネルギーが吸収されることによって-15℃に達するタイミングの時間差を見てみる。すると、貯留された氷スラリーSに魚101を漬けた場合には、温度計aとbとの間にX1の時間差が生じる。これに対して、解凍装置1を用いた場合には、温度計aとbとの間にはY1の時間差が生じるに過ぎない。
また、-21℃に冷凍された魚101の魚体内の各位置おける温度が、冷熱エネルギーが吸収されることによって-10℃に達するタイミングの時間差を見てみる。すると、貯留された氷スラリーSに魚101を漬けた場合には、温度計aとbとの間にX2という大きな時間差が生じる。これに対して、解凍装置1を用いた場合には、温度計aとbとの間にはY2の時間差が生じるに過ぎない。
さらに、-21℃に冷凍された魚101の魚体内の各位置おける温度が、冷熱エネルギーが吸収されることによって-5℃に達するタイミングの時間差を見てみる。すると、貯留された氷スラリーSに魚101を漬けた場合には、温度計aとbとの間にX3というさらに大きな時間差が生じる。これに対して、解凍装置1を用いた場合には、温度計aとbとの間にはY3の時間差が生じるに過ぎない。
このように、-21℃に冷凍された魚101を、貯留された氷スラリーSに漬けた場合と、解凍装置1を用いた場合とでは、解凍装置1を用いた場合の方が魚体内の各位置における温度差が小さいということがわかる。つまり、解凍装置1を用いて魚101を解凍した方が、魚101の細胞を破壊し難く、解凍による品質の低下も少ないということになる。
即ち、本発明が適用される解凍装置(例えば図5の解凍装置1)は、
冷凍された対象物と氷スラリーとを接触させることにより前記対象物を解凍する解凍装置であって、
前記対象物と前記氷スラリーとを所定の相対速度で接触させることにより、前記氷スラリーに前記対象物の冷熱エネルギーを吸収させる冷熱吸収手段(例えば図5の冷熱吸収部11)と、
前記冷熱吸収手段に対し、前記氷スラリーを供給する氷スラリー供給手段(例えば図5の氷スラリー供給部12)と、
を備える。
これにより、冷凍された対象物の表面に氷(霜)を付着させることなく当該対象物を低コストで効率良く短時間で解凍することができる。
前記冷熱吸収手段は、
前記氷スラリー循環手段により前記冷熱吸収手段に送給された前記氷スラリーを所定の相対速度で前記対象物に接触させることができる。
これにより、さらに低コストで効率良く対象物を解凍することができる。
さらに、前記対象物を振動又は搖動させる対象物搖動手段(例えば図5の対象物固定部51が備える搖動機能)を備えることができる。
これにより、さらに効率良く対象物を解凍することができる。
前記氷スラリーを構成するフレークアイスを製造するフレークアイス製造手段(例えば図1のフレークアイス製造装置200)と、
前記フレークアイス製造手段により製造された前記フレークアイスとブライン(例えば塩水)とを所定の比率で混合させて前記氷スラリーを製造する氷スラリー製造手段(例えば図5の氷スラリー製造部15)と、
を備えることができ、
前記フレークアイス製造手段は、
製氷面(例えば図1の内筒32の内周面)と、前記製氷面を冷却する製氷面冷却手段(例えば図1の冷媒クリアランス34に供給される内筒冷却冷媒)とを有し、冷却された前記製氷面に前記ブラインを付着させて凍結させた前記ブラインの氷を剥ぎ取ることにより前記フレークアイスを製造することができる。
これにより、氷スラリーの原料となるフレークアイスを製造する工程を含む一連の処理によって、さらに効率良く対象物を解凍することができる。
これにより、循環する氷スラリーの混合比率を一定に保つことができると共に、対象物の解凍時にブラインが凍結することによって得られるフレークアイスを効率良く再利用することができる。
Claims (6)
- 冷凍された対象物と、前記対象物よりも温度が高い氷スラリーとを接触させることにより前記対象物を解凍する解凍装置であって、
前記対象物と前記氷スラリーとを所定の相対速度で接触させることにより、前記氷スラリーの溶媒の一部が凝固して冷熱エネルギーの吸収を妨げる氷膜が前記対象物の表面に形成されることを抑制しながら前記氷スラリーに前記対象物の前記冷熱エネルギーを吸収させる冷熱吸収手段と、
前記冷熱吸収手段に対し、前記氷スラリーを供給する氷スラリー供給手段と、
を備える解凍装置。 - 前記氷スラリーを前記冷熱吸収手段に送給すると共に、前記冷熱吸収手段から排出された前記氷スラリーを前記冷熱吸収手段に送還することにより前記氷スラリーを循環させる氷スラリー循環手段をさらに備え、
前記冷熱吸収手段は、
前記氷スラリー循環手段により前記冷熱吸収手段に送給された前記氷スラリーを所定の相対速度で前記対象物に接触させる、
請求項1に記載の解凍装置。 - 前記冷熱吸収手段は、
さらに、前記対象物を振動又は搖動させる対象物搖動手段を備える、
請求項1又は2に記載の解凍装置。 - 前記氷スラリー供給手段は、さらに、
前記氷スラリーを構成するフレークアイスを製造するフレークアイス製造手段と、
前記フレークアイス製造手段により製造された前記フレークアイスとブラインとを所定の比率で混合させて前記氷スラリーを製造する氷スラリー製造手段と、
を備え、
前記フレークアイス製造手段は、
製氷面と、前記製氷面を冷却する製氷面冷却手段とを有し、冷却された前記製氷面に前記ブラインを付着させて凍結させた前記ブラインの氷を剥ぎ取ることにより前記フレークアイスを製造する、
請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の解凍装置。 - 前記氷スラリーに含まれる前記フレークアイスを抽出し、当該フレークアイスを、前記氷スラリー製造手段に対し、前記氷スラリーの製造に用いられる原料として提供するフレークアイス抽出手段をさらに備える、
請求項4に記載の解凍装置。 - 冷熱吸収手段において、冷凍された対象物と、前記対象物よりも温度が高い氷スラリーとを接触させることにより前記対象物から冷熱エネルギーを吸収する解凍方法において、
前記対象物と前記氷スラリーとを所定の相対速度で接触させて、前記氷スラリーの溶媒の一部が凝固して冷熱エネルギーの吸収を妨げる氷膜が前記対象物の表面に形成されることを抑制しながら前記対象物から前記冷熱エネルギーを吸収する冷熱吸収工程と、
前記冷熱吸収手段に対し、前記氷スラリーを供給する氷スラリー供給工程と、
を含む解凍方法。
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