JP6998522B2 - 騒音低減装置、移動体装置、及び、騒音低減方法 - Google Patents

騒音低減装置、移動体装置、及び、騒音低減方法 Download PDF

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Description

本発明は、騒音を能動的に低減する騒音低減装置等に関する。
従来、スピーカから騒音を打ち消すための音を出力することにより、受聴位置における騒音を能動的に低減する騒音低減装置が知られている。このような騒音低減装置として、例えば、特許文献1には、能動型騒音低減装置が開示されている。
特許第5712348号公報
上記のような騒音低減装置は、マイクの位置における騒音を小さくする打ち消し音をスピーカから出力するために、マイクによって出力されるアナログ信号(以下、誤差信号とも記載される)を使用する。誤差信号は、信号処理のためにAD変換器によってデジタル信号に変換された後、信号処理される。このとき、誤差信号の信号レベルが低いと分解能が不足し、打ち消し音を出力するために必要な情報が得られない場合がある。
本発明は、信号レベルが低い誤差信号の分解能を向上することができる騒音低減装置、移動体装置、及び、騒音低減方法を提供する。
本発明の一態様に係る騒音低減装置は、打ち消し音によって騒音を低減する騒音低減装置であって、前記騒音と相関を有する騒音参照信号が入力される第1入力端子と、入力された前記騒音参照信号に基づいて特定される周波数を有する基準信号を生成する基準信号生成部と、生成された前記基準信号にフィルタ係数を適用することにより、前記打ち消し音の出力に用いられる出力信号を生成する適応フィルタ部と、生成された前記出力信号が出力される出力端子と、前記打ち消し音及び前記騒音の干渉により生じる残留音に基づくアナログの誤差信号が入力される第2入力端子と、入力された前記誤差信号にゲインを乗算し、当該ゲインが乗算された前記誤差信号を第1デジタル信号に変換する第1AD(Analog to Digital)変換部と、入力された前記誤差信号を第2デジタル信号に変換する第2AD変換部と、前記第1デジタル信号、及び、前記第2デジタル信号のいずれかが選択的に用いられた対象誤差信号を出力する選択部と、生成された前記基準信号を前記打ち消し音の伝達経路の伝達特性に基づいて補正する補正部と、前記対象誤差信号及び補正された前記基準信号に基づいて、前記フィルタ係数を更新するフィルタ係数更新部とを備える。
本発明の一態様に係る移動体装置は、前記騒音低減装置と、前記出力信号を用いて前記打ち消し音を出力する出音装置と、前記誤差信号を前記第2入力端子に出力する集音装置とを備える。
本発明の一態様に係る騒音低減方法は、打ち消し音によって騒音を低減する騒音低減方法であって、前記騒音と相関を有する騒音参照信号に基づいて特定される周波数を有する基準信号を生成し、生成された前記基準信号にフィルタ係数を適用することにより、前記打ち消し音の出力に用いられる出力信号を生成し、前記打ち消し音及び前記騒音の干渉により生じる残留音に基づくアナログの誤差信号にゲインを乗算し、当該ゲインが乗算された前記誤差信号を第1デジタル信号に変換し、前記誤差信号を第2デジタル信号に変換し、前記第1デジタル信号、及び、前記第2デジタル信号のいずれかが選択的に用いられた対象誤差信号を出力し、生成された前記基準信号を前記打ち消し音の伝達経路の伝達特性に基づいて補正し、前記対象誤差信号及び補正された前記基準信号に基づいて、前記フィルタ係数を更新する。
本発明の騒音低減装置等、移動体装置、及び、騒音低減方法によれば、信号レベルが低い誤差信号の分解能を向上することができる。
図1は、実施の形態に係る騒音低減装置の概要を示す図である。 図2は、マイクの位置において聞こえる騒音の時間波形を示す模式図である。 図3は、実施の形態に係る騒音低減装置を備える車両の模式図である。 図4は、実施の形態に係る騒音低減装置の機能ブロック図である。 図5は、実施の形態に係る騒音低減装置の基本動作のフローチャートである。 図6は、実施の形態に係るAD変換装置の機能構成を示すブロック図である。 図7は、選択部の動作例1のフローチャートである。 図8は、選択部の動作例2のフローチャートである。 図9は、選択部の動作例3のフローチャートである。 図10は、変形例に係るAD変換装置の機能構成を示すブロック図である。 図11は、騒音の音圧レベルが比較的高い場合の、マイクの位置における騒音レベルのシミュレーション結果を示す図である。 図12は、騒音の音圧レベルが比較的高い場合の、実施の形態に係る騒音低減装置の誤差信号のAD変換値を示す図である。 図13は、騒音の音圧レベルが比較的高い場合の、比較例に係る騒音低減装置の誤差信号のAD変換値を示す図である。 図14は、騒音の音圧レベルが比較的低い場合の、マイクの位置における騒音レベルのシミュレーション結果を示す図である。 図15は、騒音の音圧レベルが比較的低い場合の、実施の形態に係る騒音低減装置の誤差信号のAD変換値を示す図である。 図16は、騒音の音圧レベルが比較的低い場合の、比較例に係る騒音低減装置の誤差信号のAD変換値を示す図である。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
(実施の形態)
[概要]
まず、実施の形態に係る騒音低減装置の概要について説明する。まず、図1は、実施の形態に係る騒音低減装置の概要を示す図である。
図1に示される騒音低減装置10は、例えば、車室内に設置され、自動車の走行中に発生する騒音を低減する装置である。エンジン51に起因する騒音は、瞬間的には単一周波数の正弦波に近い音である。そこで、騒音低減装置10は、エンジン51を制御するエンジン制御部52からエンジン51の周波数を示すパルス信号を取得し、スピーカ53から騒音を打ち消すための打ち消し音を出力する。打ち消し音の生成には、適応フィルタが用いられ、受聴者30の近傍に配置されたマイク54によって取得される残留音が小さくなるように打ち消し音が生成される。
図1に示されるように、スピーカ53の位置(以下、出音位置とも記載される)からマイク54の位置(以下、集音位置とも記載される)までの伝達特性はc、打ち消し音を出力するための出力信号はoutの記号で表現される。この場合、マイク54の位置(集音位置)に到達する打ち消し音はc*outと表現される。なお、「*」は、畳み込み演算子を意味し、cは伝達特性のインパルス応答を表し、Cは、周波数領域での伝達特性を表す。
マイク54の位置における騒音Nは、振幅をR、角周波数をω、位相をθとすると、下記の(式1)で表現され、c*outは、下記の(式2-1)、(式2-2)で表される。騒音低減装置10は、(式2-1)、(式2-2)におけるフィルタ係数A及びフィルタ係数Bを、例えば、LMS(Least Mean Square)法によって算出することで、騒音を打ち消すための打ち消し音を出力することができる。
Figure 0006998522000001
このように、騒音Nと逆位相の打ち消し音が出力されることにより、図2に示されるように、マイク54の位置において聞こえる騒音は小さくなっていく。図2は、マイク54の位置において聞こえる騒音の時間波形を示す模式図である。
[騒音低減装置を備える車両の全体構成]
以下、このような騒音低減装置10の詳細について説明する。実施の形態では、騒音低減装置10は、一例として車両に搭載される。図3は、騒音低減装置10を備える車両の模式図である。
車両50は、移動体装置の一例であって、騒音低減装置10と、エンジン51と、エンジン制御部52と、スピーカ53と、マイク54と、車両本体55とを備える。車両50は、具体的には、自動車であるが、特に限定されない。
エンジン51は、車両50の動力源であって、かつ、空間56の騒音源となる駆動装置である。エンジン51は、例えば、空間56とは別の空間内に配置される。エンジン51は、具体的には、車両本体55のボンネット内に形成された空間に設置される。
エンジン制御部52は、車両50の運転手のアクセル操作等に基づいて、エンジン51を制御(駆動)する。また、エンジン制御部52は、エンジン51の回転数(周波数)に応じたパルス信号(エンジンパルス信号)を騒音参照信号として出力する。パルス信号の周波数は、例えば、エンジン51の回転数(周波数)に比例する。パルス信号は、具体的には、TDC(Top Dead Center)センサの出力信号、または、いわゆるタコパルスなどである。なお、騒音参照信号は、騒音と相関を有するのであればどのような態様であってもよい。
スピーカ53は、出音装置の一例であって、出力信号を用いて打ち消し音を出力するスピーカである。スピーカ53は、空間56内の後部座席の後方に位置するが、スピーカ53の位置は、特に限定されない。
マイク54は、集音装置の一例であって、打ち消し音及び騒音の干渉により集音位置において生じる残留音を取得する。また、マイク54は、取得された残留音に基づく誤差信号を出力する。マイク54の位置は、特に限定されないが、例えば、受聴者30の耳の位置の近傍に配置される。
車両本体55は、車両50のシャーシ及びボディなどによって構成される構造体である。車両本体55は、スピーカ53、及び、マイク54が配置される空間56(車室内空間)を形成する。
[騒音低減装置の構成及び基本動作]
次に、騒音低減装置10の構成及び基本動作について説明する。図4は、騒音低減装置10の機能ブロック図である。図5は、騒音低減装置10の基本動作のフローチャートである。
騒音低減装置10は、スピーカ53から出力される打ち消し音によってマイク54の位置における騒音を低減する能動型の騒音低減装置である。
図4に示されるように、騒音低減装置10は、第1入力端子11aと、基準信号生成部12と、適応フィルタ部13と、出力端子11cと、補正部14と、第2入力端子11bと、フィルタ係数更新部15と、記憶部16と、AD(Analog to Digital)変換装置17とを備える。基準信号生成部12、適応フィルタ部13、補正部14、及び、フィルタ係数更新部15のそれぞれは、例えば、マイクロコンピュータなどによって実現されるが、専用回路によって実現されてもよい。以下、図5のフローチャートに示されるステップごとに、関連する構成要素を詳細に説明する。
[基準信号の生成]
まず、基準信号生成部12は、第1入力端子11aに入力された騒音参照信号に基づいて基準信号を生成する(図5のS11)。
第1入力端子11aは、金属等により形成される端子である。第1入力端子11aには、騒音と相関を有する騒音参照信号が入力される。騒音参照信号は、例えば、エンジン制御部52によって出力されるパルス信号である。
基準信号生成部12は、より詳細には、第1入力端子11aに入力された騒音参照信号に基づいて騒音の瞬間的な周波数を特定し、特定した周波数を有する基準信号を生成する。基準信号生成部12は、具体的には、周波数検出部12aと、正弦波生成部12bと、余弦波生成部12cとを有する。
周波数検出部12aは、パルス信号の周波数を検出し、検出した周波数を正弦波生成部12b、余弦波生成部12c、及び、補正部14が備える制御部14aに出力する。周波数検出部12aは、言い換えれば、騒音の瞬間的な周波数を特定する。
正弦波生成部12bは、周波数検出部12aによって検出された周波数の正弦波を、第1基準信号として出力する。第1基準信号は、基準信号の一例であり、周波数検出部12aによって検出された周波数がfの場合には、sin(2πft)=sin(ωt)で表現される信号である。つまり、第1基準信号は、周波数検出部12aによって特定された周波数(騒音と同じ周波数)を有する。第1基準信号は、適応フィルタ部13が備える第1フィルタ13a、及び、補正部14が備える第1補正信号生成部14bに出力される。
余弦波生成部12cは、周波数検出部12aによって検出された周波数の余弦波を、第2基準信号として出力する。第2基準信号は、基準信号の一例であり、周波数検出部12aによって検出された周波数がfの場合には、cos(2πft)=cos(ωt)で表現される信号である。つまり、第2基準信号は、周波数検出部12aによって特定された周波数(騒音と同じ周波数)を有する。第2基準信号は、適応フィルタ部13が備える第2フィルタ13b、及び、補正部14が備える第2補正信号生成部14cに出力される。
[出力信号の生成]
適応フィルタ部13は、基準信号生成部12によって生成された基準信号にフィルタ係数を適用(乗算)することにより、出力信号を生成する(図5のS12)。出力信号は、騒音を低減するための打ち消し音の出力に用いられ、出力端子11cに出力される。適応フィルタ部13は、第1フィルタ13aと、第2フィルタ13bと、加算部13cとを備える。適応フィルタ部13は、いわゆる適応ノッチフィルタである。
第1フィルタ13aは、正弦波生成部12bから出力される第1基準信号に第1のフィルタ係数を乗算する。乗算される第1のフィルタ係数は、上記(式2)のAに対応するフィルタ係数であり、フィルタ係数更新部15が備える第1更新部15aによって逐次更新される。第1のフィルタ係数が乗算された第1基準信号である第1出力信号は、加算部13cに出力される。
第2フィルタ13bは、余弦波生成部12cから出力される第2基準信号に第2のフィルタ係数を乗算する。乗算される第2のフィルタ係数は、上記(式2)のBに対応するフィルタ係数であり、フィルタ係数更新部15が備える第2更新部15bによって逐次更新される。第2のフィルタ係数が乗算された第2基準信号である第2出力信号は、加算部13cに出力される。
加算部13cは、第1フィルタ13aから出力される第1出力信号と、第2フィルタ13bから出力される第2出力信号とを加算する。加算部13cは、第1出力信号と第2出力信号との加算によって得られる出力信号を出力端子11cに出力する。
出力端子11cは、金属等により形成される端子である。出力端子11cには、適応フィルタ部13によって生成された出力信号が出力される。出力端子11cには、スピーカ53が接続される。このため、スピーカ53には出力端子11cを介して出力信号が出力される。スピーカ53は、出力信号に基づいて打ち消し音を出力する。
[基準信号の補正]
補正部14は、生成された基準信号を出力信号の伝達経路の伝達特性Cに基づいて補正した補正後基準信号を生成する(図5のS13)。補正部14は、制御部14aと、第1補正信号生成部14bと、第2補正信号生成部14cとを備える。
なお、伝達特性Cは、スピーカ53の位置からマイク54の位置までの経路を模擬した伝達特性である。伝達特性Cは、具体的には、周波数ごとのゲイン及び位相(位相遅れ)である。伝達特性Cは、例えば、あらかじめ空間56において周波数ごとに実測され、記憶部16に記憶される。つまり、記憶部16には、周波数と、当該周波数の信号を補正するためのゲイン及び位相が記憶される。
制御部14aは、周波数検出部12aによって出力された周波数を取得し、取得した周波数に対応するゲイン及び位相を記憶部16から読み出して(選択して)第1補正信号生成部14b及び第2補正信号生成部14cに出力する。
第1補正信号生成部14bは、制御部14aによって出力されたゲイン及び位相に基づいて第1基準信号を補正した第1補正後基準信号を生成する。第1補正後基準信号は、補正された基準信号の一例である。制御部14aによって出力されたゲインをG、位相をφ1とすると、第1補正後基準信号は、G・sin(ωt+φ1)と表現される。生成された第1補正後基準信号は、フィルタ係数更新部15が備える第1更新部15aに出力される。
第2補正信号生成部14cは、制御部14aによって出力されたゲイン及び位相に基づいて第2基準信号を補正した第2補正後基準信号を生成する。第2補正後基準信号は、補正された基準信号の一例である。制御部14aによって出力されたゲインをG、位相をφ2とすると、第2補正後基準信号は、G・cos(ωt+φ2)と表現される。生成された第2補正後基準信号は、フィルタ係数更新部15が備える第2更新部15bに出力される。
記憶部16は、伝達特性Cが記憶される記憶装置である。上述のように記憶部16には、周波数と、当該周波数の信号を補正するためのゲイン及び位相が記憶される。なお、伝達特性Cは、伝達関数またはフィルタ係数の形式で記憶部16に記憶されてもよい。
記憶部16には、後述する第1のフィルタ係数A及び第2のフィルタ係数Bなども記憶される。記憶部16は、具体的には、半導体メモリなどによって実現される。なお、騒音低減装置10がDSPなどのプロセッサによって実現される場合、記憶部16には、プロセッサによって実行される制御プログラムも記憶される。記憶部16には、騒音低減装置10が行う信号処理に用いられるその他のパラメータが記憶されてもよい。
[誤差信号のAD変換処理]
AD変換装置17は、第2入力端子11bに入力されたアナログの誤差信号をデジタル信号に変換するAD変換処理を行い、デジタル信号に変換された誤差信号が用いられた対象誤差信号を出力する(図5のS14)。騒音低減装置10において、AD変換装置17は、ゲインが乗算された誤差信号をデジタル化した第1デジタル信号、及び、誤差信号がそのままデジタル化された第2デジタル信号が選択的に用いられた対象誤差信号を出力する。AD変換装置17の詳細構成については後述する。
なお、対象誤差信号eは、AD変換後の誤差信号をMic_ADとした場合、係数αを用いて、e=Mic_AD+αと表される。つまり、係数αは、フィルタ係数更新時にAD変換後の誤差信号と加算されて誤差信号eとなる。係数αは、加算部13cからの出力outに擬似伝達特性αを畳み込むことによりフィードバック経路を表すとした場合、α=α*outと表される。
第2入力端子11bは、金属等により形成される端子である。第2入力端子11bには、打ち消し音及び騒音の干渉によりマイク54の位置において生じる残留音に基づく誤差信号が入力される。誤差信号は、アナログ信号であり、マイク54によって出力される。
[フィルタ係数の更新]
フィルタ係数更新部15は、対象誤差信号及び生成された補正後基準信号に基づいて、フィルタ係数を逐次更新する(図5のS15)。
フィルタ係数更新部15は、具体的には、第1更新部15aと、第2更新部15bとを備える。
第1更新部15aは、第1補正信号生成部14bから取得した第1補正後基準信号、及び、AD変換装置17から取得した対象誤差信号に基づいて、第1のフィルタ係数を算出する。第1更新部15aは、具体的には、LMS法を用いて、対象誤差信号が最小になるように第1のフィルタ係数を算出し、算出した第1のフィルタ係数を第1フィルタ13aに出力する。また、第1更新部15aは、第1のフィルタ係数を逐次更新する。第1補正後基準信号をr、対象誤差信号をeと表現すると、第1のフィルタ係数A(上記(式2)のAに相当)は、以下の(式3)で表現される。なお、nは自然数であり、サンプリング周期に相当する。μはスカラ量であり、1サンプリング当たりのフィルタ係数の更新量を決定するステップサイズパラメータである。
Figure 0006998522000002
第2更新部15bは、第2補正信号生成部14cから取得した第2補正後基準信号、及び、AD変換装置17から取得した対象誤差信号に基づいて、第2のフィルタ係数を算出する。第2更新部15bは、具体的には、LMS法を用いて、対象誤差信号が最小になるように第2のフィルタ係数を算出し、算出した第2のフィルタ係数を第2フィルタ13bに出力する。また、第2更新部15bは、第2のフィルタ係数を逐次更新する。第2補正後基準信号をr、対象誤差信号をeと表現すると、第2のフィルタ係数B(上記(式2)のBに相当)は、以下の(式4)で表現される。
Figure 0006998522000003
[AD変換装置の詳細構成]
次に、AD変換装置17の詳細構成について説明する。図6は、AD変換装置17の機能構成を示すブロック図である。
図6に示されるように、AD変換装置17は、誤差信号をデジタル信号に変換する経路を2つ有する。AD変換装置17は、具体的には、入力された誤差信号にゲインを乗算し、当該ゲインが乗算された誤差信号を第1デジタル信号に変換する第1AD変換部171と、入力された誤差信号を第2デジタル信号に変換する第2AD変換部172とを有する。
仮に、AD変換装置17がAD変換部を1つのみ有する場合、当該AD変換部は、想定される誤差信号の信号レベルの上限から下限までをAD変換する。そうすると、誤差信号の信号レベルが低いときに分解能が不足してしまう。また、誤差信号の信号レベルが低いときの分解能を上げると、誤差信号の信号レベルが高いときにデジタル信号が示す値が飽和してしまう可能性がある。このように、AD変換装置17がAD変換部を1つのみ有する場合、実効的なダイナミックレンジが不足してしまうという課題がある。このような課題は、AD変換部のビット数が比較的低い場合に生じやすい。
そこで、騒音低減装置10では、誤差信号の信号レベルが低い場合、つまり、マイク54近傍の騒音のレベルが低い場合、第1AD変換部171が選択される。そうすると、誤差信号はゲインが乗算されて増幅され、増幅後の誤差信号に対してAD変換が行われる。一方、誤差信号の信号レベルが高い場合、つまり、マイク54近傍の騒音のレベルが高い場合、第2AD変換部172が選択され、ゲインが乗算されていない誤差信号にAD変換が行われる。
このような構成により、誤差信号の信号レベルが低いときの分解能を向上させ、かつ、誤差信号の信号レベルが高いときにデジタル値が飽和してしまうことを抑制することができる。したがって、ダイナミックレンジを広げることができる。また、第1AD変換部171及び第2AD変換部172としてビット数の比較的少ない安価な2つのAD変換器が用いられれば、コストの増加を抑制しつつダイナミックレンジを広げることができる。
以下、AD変換装置17のより具体的な構成について説明する。図6に示されるように、AD変換装置17は、ローパスフィルタ170と、第1AD変換部171と、第2AD変換部172と、検出部173と、選択部174とを備える。
ローパスフィルタ170は、第2入力端子11bに入力された誤差信号に適用されるフィルタ回路である。ローパスフィルタ170のカットオフ周波数は、例えば、300Hz程度であるが、特に限定されない。ローパスフィルタ170は、必須の構成要素ではないが、ローパスフィルタ170によれば、量子化時にエイリアシングが発生することが抑制される。
第1AD変換部171は、第2入力端子11bに入力された誤差信号であって、ローパスフィルタ170が適用された誤差信号にゲインを乗算し、当該ゲインが乗算された誤差信号を第1デジタル信号に変換する。第1AD変換部171は、具体的には、誤差信号にゲインを乗算するゲイン調整部171aと、ゲインが乗算された誤差信号を第1デジタル信号に変換する第1AD変換器171bとを有する。ゲイン調整部171aは、例えば、オペアンプ等によって実現される回路である。ゲインは、例えば、30dB程度である。第1AD変換器171bは、例えば、AD変換回路によって実現される。第1AD変換器171bから出力される第1デジタル信号は、選択部174に入力される。
第2AD変換部172は、第2入力端子11bに入力された誤差信号であって、ローパスフィルタ170が適用された誤差信号を、ゲインを乗算することなくそのまま第2デジタル信号に変換する。第2AD変換部172は、具体的には、入力された誤差信号をデジタル信号に変換する第2AD変換器172bを有する。第2AD変換器172bは、例えば、AD変換回路によって実現される。第2AD変換器172bから出力される第2デジタル信号は、選択部174に入力される。
検出部173は、騒音のレベルを検出する。検出部173は、例えば、騒音のレベルが第1所定レベル以上であるか否かを検出する。検出部173は、例えば、ゲイン調整部171aによってゲインが乗算された誤差信号の信号レベルを騒音のレベルとみなし、ゲインが乗算された誤差信号が第1所定レベル以上であるか否かを検出する。検出部173は、言い換えれば、ゲインが乗算された誤差信号が飽和しているか否かを検出する。検出部173は、例えば、ゲインが乗算された誤差信号の信号レベルと第1所定レベルとを比較する比較回路である。
なお、検出部173は、ゲインが乗算された誤差信号が第1所定レベル以上である期間が一定期間以上続く場合に、騒音のレベルが第1所定レベル以上であると検出してもよい。また、検出部173は、アナログ信号であるゲインが乗算された誤差信号に代えて、第1デジタル信号が示すデジタル値に基づいて、騒音のレベルの検出を行ってもよい。具体的には、デジタル値が第1所定レベルの対応する値以上の値であるか否か、つまり、デジタル値が飽和しているか否かを検出してもよい。
[選択部の動作例1]
選択部174は、第1デジタル信号、及び、第2デジタル信号が選択的に用いられた対象誤差信号を出力する。選択部174は、例えば、第1デジタル信号を出力するか、第2デジタル信号を出力するかを切り替える選択回路を含む。図7は、選択部174の動作例1のフローチャートである。
選択部174は、検出された騒音のレベルが第1所定レベル以上であるか否かを判定する(S21)。選択部174は、検出された騒音のレベルが第1所定レベル以上である場合(S21でYes)、第2デジタル信号が用いられた対象誤差信号(以下、第2対象誤差信号とも記載される)を出力する(S22)。一方、選択部174は、検出された騒音のレベルが第1所定レベル未満である場合(S21でNo)、第1デジタル信号が用いられた対象誤差信号(以下、第1対象誤差信号とも記載される)として出力する(S23)。つまり、誤差信号の信号レベルが低い場合には1よりも大きいゲインが乗算されて増幅された誤差信号に対してAD変換が行われ、誤差信号の信号レベルが高い場合にはゲインが乗算されていない誤差信号にAD変換が行われる。
これにより、誤差信号の信号レベルが低いときの分解能を向上させ、かつ、誤差信号の信号レベルが高いときにデジタル値が飽和してしまうことを抑制することができる。したがって、ダイナミックレンジを広げることができる。
[選択部の動作例2]
次に、選択部174の動作例2について説明する。図8は、選択部174の動作例2のフローチャートである。
選択部174は、例えば、第1デジタル信号が用いられた第1対象誤差信号を出力しているときに(S31)、検出部173によって検出された騒音のレベルが第1所定レベル以上であるか否かを判定する(S32)。
選択部174は、検出部173によって検出された騒音のレベルが第1所定レベル未満である場合(S32でNo)、第1対象誤差信号を出力する(S31)。つまり、選択部174は、第1対象誤差信号の出力を継続する。
一方、選択部174は、検出された騒音のレベルが第1所定レベル以上である場合(S32でYes)、第2対象誤差信号を出力する(S33)。つまり、選択部174は、第1対象誤差信号を第2対象誤差信号に切り替える。
選択部174は、第2対象誤差信号を出力しているときには、検出部173によって検出された騒音のレベルが第1所定レベルよりも低い第2所定レベル未満であるか否かを判定する(S34)。選択部174は、検出された騒音のレベルが第2所定レベル以上である場合(S34でNo)、第2対象誤差信号を出力する。つまり、選択部174は、第2対象誤差信号の出力を継続する。
一方、選択部174は、検出された騒音のレベルが第2所定レベル未満である場合(S34でYes)、第1対象誤差信号を出力する(S31)。つまり、選択部174は、第2対象誤差信号を第1対象誤差信号に切り替える。
このように第1対象誤差信号の出力及び第2対象誤差信号の出力を切り替えるための閾値(具体的には、第1所定レベル及び第2所定レベル)がヒステリシスを有していれば、騒音低減装置10は、第1対象誤差信号の出力及び第2対象誤差信号の出力が頻繁に切り替えられることを抑制することができる。
[選択部の動作例3]
次に、選択部174の動作例3について説明する。図9は、選択部174の動作例3のフローチャートである。
選択部174は、例えば、第1デジタル信号が用いられた第1対象誤差信号を出力しているときに(S31)、検出部173によって検出された騒音のレベルが第1所定レベル以上であるか否かを判定する(S32)。
選択部174は、検出部173によって検出された騒音のレベルが第1所定レベル未満である場合(S32でNo)、第1対象誤差信号を出力する(S31)。つまり、選択部174は、第1対象誤差信号の出力を継続する。
一方、選択部174は、検出された騒音のレベルが第1所定レベル以上である場合(S32でYes)、第1対象誤差信号の出力を開始してから所定期間が経過したか否かを判断する。つまり、選択部174は、第2対象誤差信号の出力を第1対象誤差信号の出力に切り替えてから所定期間が経過したか否かを判断する(S35)。所定期間は、0よりも長い期間である。選択部174は、例えば、タイマ回路を含み、当該タイマ回路によって所定期間を計測する。
選択部174は、上記所定期間が経過していないと判断すると(S35でNo)、第1対象誤差信号を出力する(S31)。つまり、選択部174は、第2対象誤差信号への出力の切り替えを禁止し、第1対象誤差信号の出力を継続する。
一方で、選択部174は、上記所定期間が経過したと判断すると(S35でYes)、第2対象誤差信号を出力する(S33)。つまり、選択部174は、第1対象誤差信号を第2対象誤差信号に切り替える。その後、ステップS32の判断及びステップS35の判断が行われる。このとき、ステップS35では、選択部174は、第1対象誤差信号の出力を第2対象誤差信号の出力に切り替えてから所定期間が経過したか否かを判断する。
このように、選択部174は、第1対象誤差信号及び第2対象誤差信号のうちの一方から他方に出力を切り替えてから所定期間が経過するまでの間は、第1対象誤差信号及び第2対象誤差信号の上記一方への出力の切り替えを禁止してもよい。
これにより、騒音低減装置10は、第1対象誤差信号の出力及び第2対象誤差信号の出力が頻繁に切り替えられることを抑制することができる。
[フィルタ係数の更新例1]
選択部174は、第2デジタル信号を選択した場合、第2デジタル信号に係数αを加算した信号を対象誤差信号として出力する。この場合の対象誤差信号eは、第2デジタル信号をMic_AD2と表現すると以下の(式5)で表される。
Figure 0006998522000004
この場合、フィルタ係数更新部15は、(式3)~(式5)に基づいて第1のフィルタ係数A及び第2のフィルタ係数Bを更新する。
一方、選択部174は、第1デジタル信号を選択した場合、AD変換前に誤差信号に乗算されたゲインを相殺するために、第1のデジタル信号にゲインを相殺するための値を乗算した後、係数αを加算した信号を対象誤差信号として出力する。この場合の対象誤差信号eは、第1デジタル信号をMic_AD1と表現すると以下の(式6)で表される。なお、(式6)における1/32(=-30.103dB)は、誤差信号に乗算されたゲインが30dBである場合の値である。
Figure 0006998522000005
(式6)のように表現される対象誤差信号が用いられれば、フィルタ係数更新部15は、(式3)及び(式4)をそのまま使用して第1のフィルタ係数A及び第2のフィルタ係数Bを更新することができる。
なお、誤差信号に乗算されたゲインが2のn乗(n:自然数)であれば、ゲインを相殺するための値の乗算を、第1デジタル信号が示すデジタル値のビットシフトにより実現することができる。つまり、ゲインを相殺するための演算を簡素化できる。なお、誤差信号に乗算されたゲインが2のn乗である場合、デシベル表示における当該ゲインは、6、12、18、24、30・・[dB]である。つまり、デシベル表示における当該ゲインは、6×n[dB](n:自然数)であることを意味する。
[フィルタ係数の更新例2]
誤差信号に乗算されたゲインは、フィルタ係数更新部15によって相殺されてもよい。この場合、選択部174が出力する第1デジタル信号が用いられた対象誤差信号eは、以下の(式7)で表現される。
Figure 0006998522000006
この場合、フィルタ係数更新部15は、選択部174から第1デジタル信号が用いられた対象誤差信号が出力される場合には(式3)~(式5)に基づいて第1のフィルタ係数A及び第2のフィルタ係数Bを更新する。一方で、フィルタ係数更新部15は、選択部174から第1デジタル信号が用いられた対象誤差信号が出力される場合には(式7)~(式9)に基づいて第1のフィルタ係数A及び第2のフィルタ係数Bを更新する。つまり、フィルタ係数更新部15は、フィルタ係数の更新式を切り替える。なお、(式8)及び(式9)における1/32(=-30.103dB)は、誤差信号に乗算されたゲインが30dBである場合の値である。
Figure 0006998522000007
このように、フィルタ係数更新部15は、(式8)及び(式9)に基づいて、ゲイン調整部171aによって乗算されたゲインを相殺するための信号処理を行ってもよい。これにより、対象誤差信号の値が小さくなりすぎることが抑制される。
なお、選択部174は、選択部174によって出力される対象誤差信号が、第1デジタル信号が用いられたものであるか第2デジタル信号が用いられたものであるかを示す情報(例えば、フラグ)をフィルタ係数更新部15に送信してもよい。これにより、フィルタ係数更新部15は、フィルタ係数の更新式として、(式3)及び(式4)を用いるか、(式8)及び(式9)を用いるかを切り替えることができる。
[フィルタ係数の更新例3]
誤差信号に乗算されたゲインは、選択部174及びフィルタ係数更新部15の両方によって相殺されてもよい。この場合、選択部174が出力する第1デジタル信号が用いられた対象誤差信号eは、例えば、以下の(式10)で表現される。
Figure 0006998522000008
この場合、フィルタ係数更新部15は、選択部174から第1デジタル信号が用いられた対象誤差信号が出力される場合には(式3)~(式5)に基づいて第1のフィルタ係数A及び第2のフィルタ係数Bを更新する。また、フィルタ係数更新部15は、選択部174から第1デジタル信号が用いられた対象誤差信号が出力される場合には(式10)~(式12)に基づいて第1のフィルタ係数A及び第2のフィルタ係数Bを更新する。つまり、フィルタ係数更新部15は、フィルタ係数の更新式を切り替える。なお、誤差信号に乗算されたゲインが30dBである場合には、第1デジタル信号の値が、合計で1/32(=-30.103dB)されればよい。
Figure 0006998522000009
このように、選択部174は、誤差信号にゲイン調整部171aによって乗算されたゲインの少なくとも一部を相殺するための信号処理を行うことにより、第1デジタル信号が用いられた対象誤差信号を生成してもよい。これにより、対象誤差信号の値の調整が可能となる。
なお、乗算されたゲインの相殺は、選択部174及びフィルタ係数更新部15以外に、適応フィルタ部13または補正部14などによって行われてもよい。例えば、乗算されたゲインの相殺は、選択部174、フィルタ係数更新部15、適応フィルタ部13、及び、補正部14のいずれかによって行われてもよい。また、乗算されたゲインの相殺は、選択部174、フィルタ係数更新部15、適応フィルタ部13、及び、補正部14のうち2つ以上の構成要素によって行われてもよい。選択部174、フィルタ係数更新部15、適応フィルタ部13、及び、補正部14のそれぞれは、乗算されたゲインの少なくとも一部を相殺する信号処理を行ってもよい。
[変形例]
AD変換装置17の構成は一例である。例えば、AD変換装置17では、第1AD変換部171及び第2AD変換部172によって1つのローパスフィルタ170が共用されたが、第1AD変換部171及び第2AD変換部172のそれぞれが個別にローパスフィルタを有していてもよい。図10は、変形例に係るAD変換装置の機能構成を示すブロック図である。
図10に示されるように、変形例に係るAD変換装置17aは、第1AD変換部171cと、第2AD変換部172cと、検出部173と、選択部174とを備える。
第1AD変換部171cは、第1ローパスフィルタ171dと、ゲイン調整部171aと、第1AD変換器171bとを有する。ゲイン調整部171aは、第2入力端子11bに入力された誤差信号であって、第1ローパスフィルタ171dが適用された誤差信号にゲインを乗算する。第1AD変換器171bは、当該ゲインが乗算された誤差信号を第1デジタル信号に変換する。
第2AD変換部172cは、第2ローパスフィルタ172dと、第2AD変換器172bとを有する。第2AD変換器172bは、第2入力端子11bに入力された誤差信号であって、かつ、第2ローパスフィルタ172dが適用された誤差信号を第2デジタル信号に変換する。
第1ローパスフィルタ171d及び第2ローパスフィルタ172dのそれぞれは、第2入力端子11bに入力された誤差信号に適用されるフィルタ回路である。第1AD変換部171及び第2AD変換部172のそれぞれが個別にローパスフィルタを有していれば、第1ローパスフィルタ171d及び第2ローパスフィルタ172dを互いに異なるカットオフ周波数のローパスフィルタとすることができる。
[シミュレーション結果]
騒音低減装置10を用いた場合の騒音低減量のシミュレーション結果について比較例に係る騒音低減装置と比較しながら説明する。なお、比較例に係る騒音低減装置は、騒音レベルによらず誤差信号をそのままAD変換する構成である点が騒音低減装置10と異なる。つまり、比較例に係る騒音低減装置では、誤差信号にゲインが乗算されない。
シミュレーションは、マイク感度:-5dB[V/Pa]、AD変換精度:10bit、基準電圧:5[V]、解像度:4.88[mV](=5/(2^10))、誤差信号に乗算されるゲイン:30[dB](=32倍)、C(ω)=1の条件で行った。AD変換精度は、汎用マイコンを想定したものである。C(ω)=1は、伝達特性の影響を無視するための条件である。
まず、騒音が40Hzの正弦波であり、その音圧レベルが90[dBSPL]である場合、つまり、騒音の音圧レベルが比較的高い場合について説明する。図11は、騒音の音圧レベルが比較的高い場合の、マイク54の位置における騒音レベルのシミュレーション結果を示す図である。なお、図11において、「ANCなし」は、騒音低減制御が行われない場合の騒音レベルを意味し、「本発明」は、騒音低減装置10の騒音レベルを意味し、「比較例」は、比較例に係る騒音低減装置の騒音レベルを意味する。
図11に示されるように、騒音の音圧レベルが高い場合には、実施の形態に係る騒音低減装置10及び比較例に係る騒音低減装置のいずれが用いられても同等の良好な騒音低減効果が得られている。ここで、図12は、騒音の音圧レベルが比較的高い場合の、騒音低減装置10の誤差信号のAD変換値を示す図であり、図13は、騒音の音圧レベルが比較的高い場合の、比較例に係る騒音低減装置の誤差信号のAD変換値を示す図である。なお、図12及び図13においてAD変換値の具体的な値は、右側の縦軸に示されている。
図12及び図13に示されるように、騒音の音圧レベルが比較的高い場合には、騒音低減装置10及び比較例に係る騒音低減装置のいずれも誤差信号にゲインを乗算せずにAD変換を行うため、AD変換値に差はなく同等である。
次に、騒音が40Hzの正弦波であり、その音圧レベルが55[dBSPL]である場合、つまり、騒音の音圧レベルが比較的低い場合について説明する。図14は、騒音の音圧レベルが比較的低い場合の、マイク54の位置における騒音レベルのシミュレーション結果を示す図である。なお、図14において、「ANCなし」は、騒音低減制御が行われない場合の騒音レベルを意味し、「本発明」は、騒音低減装置10の騒音レベルを意味し、「比較例」は、比較例に係る騒音低減装置の騒音レベルを意味する。
図14に示されるように、騒音の音圧レベルが比較的低い場合に騒音低減装置10が用いられると、良好な騒音低減効果が得られるが、比較例に係る騒音低減装置が用いられると良好な騒音低減効果が得られていない。ここで、図15は、騒音の音圧レベルが比較的低い場合の騒音低減装置10の誤差信号のAD変換値を示す図であり、図16は、騒音の音圧レベルが比較的低い場合の、比較例に係る騒音低減装置の誤差信号のAD変換値を示す図である。なお、図15及び図16においてAD変換値の具体的な値は、右側の縦軸に示されている。
図15に示されるように、騒音の音圧レベルが比較的低い場合に騒音低減装置10を用いると、誤差信号にゲインが乗算されてからAD変換が行われるため、分解能が高められている。一方、図16に示されるように、騒音の音圧レベルが比較的低い場合に比較例に係る騒音低減装置を用いると、騒音レベルが±1の範囲でしか検出できず、騒音低減制御に必要十分な情報を得ることができていない。この結果、図14に示されるように良好な騒音低減効果が得られない。
このように、騒音低減装置10は、比較例に係る騒音低減装置では低減が難しい低い音圧レベルの騒音についても十分に低減することができる。つまり、騒音低減装置10は、消音性能を幅広いダイナミックレンジで発揮することができる。
[効果等]
以上説明したように、騒音低減装置10は、打ち消し音によって騒音を低減する騒音低減装置である。騒音低減装置10は、騒音と相関を有する騒音参照信号が入力される第1入力端子11aと、入力された騒音参照信号に基づいて特定される周波数を有する基準信号を生成する基準信号生成部12と、生成された基準信号にフィルタ係数を適用することにより、打ち消し音の出力に用いられる出力信号を生成する適応フィルタ部13と、生成された出力信号が出力される出力端子11cと、打ち消し音及び騒音の干渉により生じる残留音に基づくアナログの誤差信号が入力される第2入力端子11bと、入力された誤差信号にゲインを乗算し、当該ゲインが乗算された誤差信号を第1デジタル信号に変換する第1AD変換部171と、入力された誤差信号を第2デジタル信号に変換する第2AD変換部172と、第1デジタル信号、及び、第2デジタル信号のいずれかが選択的に用いられた対象誤差信号を出力する選択部174と、生成された基準信号を出力信号の伝達経路の伝達特性に基づいて補正する補正部14と、対象誤差信号及び補正された基準信号に基づいて、フィルタ係数を更新するフィルタ係数更新部15とを備える。
これにより、騒音のレベルが低いときの誤差信号がゲインの乗算によって増幅されてから第1デジタル信号に変換されれば、誤差信号の信号レベルが低いときの分解能を向上させることができる。そうすると、誤差信号の信号レベルが低いときにも十分な情報量の誤差信号が得られるため、騒音低減装置10は、誤差信号の信号レベルが低いときの騒音低減効果を向上させることができる。また、騒音低減装置10は、低減の対象となる騒音の実効的なダイナミックレンジを広げることができる。
また、例えば、第1AD変換部171は、入力された誤差信号にゲインを乗算することにより誤差信号を増幅し、増幅後の誤差信号を第1デジタル信号に変換する。例えば、騒音低減装置10は、さらに、騒音のレベルを検出する検出部173を備える。例えば、選択部174は、検出された騒音のレベルが第1所定レベル以上である場合、第2デジタル信号が用いられた第1対象誤差信号を出力し、検出された騒音のレベルが第1所定レベル未満である場合、第1デジタル信号が用いられた第2対象誤差信号を出力する。
これにより、騒音のレベルが低いときの誤差信号が増幅されてから第1デジタル信号に変換されるため、誤差信号の信号レベルが低いときの分解能を向上させることができる。そうすると、誤差信号の信号レベルが低いときにも十分な情報量の誤差信号が得られるため、誤差信号の信号レベルが低いときの騒音低減効果を向上させることができる。また、実効的なダイナミックレンジを広げることができる。
また、例えば、選択部174は、第1対象誤差信号を出力しているときに、検出された騒音のレベルが第1所定レベル以上である場合、第2対象誤差信号を出力し、検出された騒音のレベルが第1所定レベル未満である場合、第1対象誤差信号を出力する。例えば、選択部174は、第2対象誤差信号を出力しているときに、検出された騒音のレベルが第1所定レベルよりも低い第2所定レベル以上である場合、第2対象誤差信号を出力し、検出された騒音のレベルが第2所定レベル未満である場合、第1対象誤差信号を出力する。
これにより、騒音低減装置10は、第1対象誤差信号の出力及び第2対象誤差信号の出力が頻繁に切り替えられることを抑制することができる。
また、例えば、選択部174は、第1デジタル信号が用いられた対象誤差信号及び第2デジタル信号が用いられた対象誤差信号のうちの一方から他方に出力を切り替えてから所定期間が経過するまでの間は、第1デジタル信号が用いられた対象誤差信号及び第2デジタル信号が用いられた対象誤差信号の一方への出力の切り替えを禁止する。
これにより、騒音低減装置10は、第1対象誤差信号の出力及び第2対象誤差信号の出力が頻繁に切り替えられることを抑制することができる。
また、例えば、選択部174は、第1デジタル信号にゲインの少なくとも一部を相殺するための信号処理を行うことにより、第1デジタル信号が用いられた対象誤差信号を生成する。
これにより、最終的に誤差信号に乗算されたゲインが相殺されることで、騒音低減装置10は、適切な騒音低減を行うことができる。
また、例えば、フィルタ係数更新部15は、ゲインの少なくとも一部を相殺するための信号処理を行う。
これにより、誤差信号に乗算されたゲインがフィルタ係数更新部15によって相殺されることで、騒音低減装置10は、適切な騒音低減を行うことができる。
また、例えば、適応フィルタ部13は、ゲインの少なくとも一部を相殺するための信号処理を行う。
これにより、誤差信号に乗算されたゲインが適応フィルタ部13によって相殺されることで、騒音低減装置10は、適切な騒音低減を行うことができる。
また、例えば、補正部14は、ゲインの少なくとも一部を相殺するための信号処理を行う。
これにより、誤差信号に乗算されたゲインが補正部14によって相殺されることで、騒音低減装置10は、適切な騒音低減を行うことができる。
また、例えば、ゲインは、2のn乗(n:自然数)である。
これにより、ゲインを相殺するための値の乗算する際に、当該乗算を第1デジタル信号が示すデジタル値のビットシフトにより実現することができる。つまり、ゲインを相殺するための演算を簡素化できる。
また、例えば、騒音低減装置10は、さらに、入力された誤差信号に適用されるローパスフィルタ170を備えてもよい。第1AD変換部171は、入力された誤差信号であって、ローパスフィルタ170が適用された誤差信号にゲインを乗算し、当該ゲインが乗算された誤差信号を第1デジタル信号に変換し、第2AD変換部172は、入力された誤差信号であって、ローパスフィルタ170が適用された誤差信号を第2デジタル信号に変換する。
これにより、1つのローパスフィルタ170を第1AD変換部171及び第2AD変換部172によって共用することができる。
また、騒音低減装置10aにおいては、第1AD変換部171cは、第1ローパスフィルタ171dを有し、入力された誤差信号であって、第1ローパスフィルタ171dが適用された誤差信号にゲインを乗算し、当該ゲインが乗算された誤差信号を第1デジタル信号に変換する。第2AD変換部172cは、第2ローパスフィルタ172dを有し、入力された誤差信号であって、第2ローパスフィルタ172dが適用された誤差信号を第2デジタル信号に変換する。
これにより、第1ローパスフィルタ171d及び第2ローパスフィルタ172dを互いに異なるカットオフ周波数のローパスフィルタとすることができる。
また、例えば、車両50は、騒音低減装置10(または騒音低減装置10a)と、出力信号を用いて打ち消し音を出力するスピーカ53と、誤差信号を第2入力端子に出力するマイク54とを備える。車両50は、移動体装置の一例であり、スピーカ53は、出音装置の一例であり、マイク54は、集音装置の一例である。
これにより、騒音のレベルが低いときの誤差信号がゲインの乗算によって増幅されてから第1デジタル信号に変換されれば、誤差信号の信号レベルが低いときの分解能を向上させることができる。そうすると、誤差信号の信号レベルが低いときにも十分な情報量の誤差信号が得られるため、車両50は、誤差信号の信号レベルが低いときの騒音低減効果を向上させることができる。また、車両50は、低減の対象となる騒音の実効的なダイナミックレンジを広げることができる。
また、本発明は、騒音低減方法として実現されてもよい。騒音低減方法は、打ち消し音によって騒音を低減する騒音低減方法である。騒音低減方法は、騒音と相関を有する騒音参照信号に基づいて特定される周波数を有する基準信号を生成し、生成された基準信号にフィルタ係数を適用することにより、打ち消し音の出力に用いられる出力信号を生成し、打ち消し音及び騒音の干渉により生じる残留音に基づくアナログの誤差信号にゲインを乗算し、当該ゲインが乗算された誤差信号を第1デジタル信号に変換し、誤差信号を第2デジタル信号に変換し、第1デジタル信号、及び、第2デジタル信号のいずれかが選択的に用いられた対象誤差信号を出力し、生成された基準信号を打ち消し音の伝達経路の伝達特性に基づいて補正し、対象誤差信号及び補正された基準信号に基づいて、フィルタ係数を更新する。
これにより、騒音のレベルが低いときの誤差信号がゲインの乗算によって増幅されてから第1デジタル信号に変換されれば、誤差信号の信号レベルが低いときの分解能を向上させることができる。そうすると、誤差信号の信号レベルが低いときにも十分な情報量の誤差信号が得られるため、騒音低減方法は、誤差信号の信号レベルが低いときの騒音低減効果を向上させることができる。また、騒音低減方法は、低減の対象となる騒音の実効的なダイナミックレンジを広げることができる。
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
上記実施の形態に係る騒音低減装置は、車両以外の移動体装置に搭載されてもよい。移動体装置は、例えば、航空機または船舶であってもよい。また、本発明は、このような車両以外の移動体装置として実現されてもよい。
また、上記実施の形態では、騒音源としてエンジンが例示されたが、騒音源についても特に限定されない。騒音源は、例えば、モータなどであってもよい。
また、上記実施の形態に係る騒音低減装置の構成は、一例である。例えば、騒音低減装置は、D/A変換器、ローパスフィルタ(LPF)、ハイパスフィルタ(HPF)、電力増幅器、または、A/D変換器などの構成要素を含んでもよい。
また、上記実施の形態に係る騒音低減装置が行う処理は、一例である。例えば、上記実施の形態で説明された一部の処理が、デジタル信号処理ではなくアナログ信号処理によって実現されてもよい。
また、例えば、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
また、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの非一時的な記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及びコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
例えば、本発明は、騒音低減装置が実行する騒音低減方法として実現されてもよいし、上記騒音低減方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。また、本発明は、上記実施の形態に係る騒音低減装置と、スピーカ(出音装置)と、マイク(集音装置)とを備える騒音低減システムとして実現されてもよい。
また、上記実施の形態において説明された騒音低減装置の動作における複数の処理の順序は一例である。複数の処理の順序は、変更されてもよいし、複数の処理は、並行して実行されてもよい。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
本発明の騒音低減装置は、例えば、車室内の騒音を低減する装置として有用である。
10、10a 騒音低減装置
11a 第1入力端子
11b 第2入力端子
11c 出力端子
12 基準信号生成部
12a 周波数検出部
12b 正弦波生成部
12c 余弦波生成部
13 適応フィルタ部
13a 第1フィルタ
13b 第2フィルタ
13c 加算部
14 補正部
14a 制御部
14b 第1補正信号生成部
14c 第2補正信号生成部
15 フィルタ係数更新部
15a 第1更新部
15b 第2更新部
16 記憶部
17、17a AD変換装置
30 受聴者
50 車両(移動体装置)
51 エンジン
52 エンジン制御部
53 スピーカ(出音装置)
54 マイク(集音装置)
55 車両本体
56 空間
170 ローパスフィルタ
171、171c 第1AD変換部
171a ゲイン調整部
171b 第1AD変換器
171d 第1ローパスフィルタ
172、172c 第2AD変換部
172b 第2AD変換器
172d 第2ローパスフィルタ
173 検出部
174 選択部

Claims (10)

  1. 打ち消し音によって騒音を低減する騒音低減装置であって、
    前記騒音と相関を有する騒音参照信号が入力される第1入力端子と、
    入力された前記騒音参照信号に基づいて特定される周波数を有する基準信号を生成する基準信号生成部と、
    生成された前記基準信号にフィルタ係数を適用することにより、前記打ち消し音の出力に用いられる出力信号を生成する適応フィルタ部と、
    生成された前記出力信号が出力される出力端子と、
    前記打ち消し音及び前記騒音の干渉により生じる残留音に基づくアナログの誤差信号が入力される第2入力端子と、
    入力された前記誤差信号にゲインを乗算し、当該ゲインが乗算された前記誤差信号を第1デジタル信号に変換する第1AD(Analog to Digital)変換部と、
    入力された前記誤差信号を第2デジタル信号に変換する第2AD変換部と、
    前記第1デジタル信号、及び、前記第2デジタル信号のいずれかが選択的に用いられた対象誤差信号を出力する選択部と、
    生成された前記基準信号を前記打ち消し音の伝達経路の伝達特性に基づいて補正する補正部と、
    前記対象誤差信号及び補正された前記基準信号に基づいて、前記フィルタ係数を更新するフィルタ係数更新部とを備え
    前記選択部は、前記第1デジタル信号に前記ゲインの少なくとも一部を相殺するための信号処理を行うことにより、前記第1デジタル信号が用いられた前記対象誤差信号を生成し、
    前記ゲインは2のn乗(n:自然数)である
    騒音低減装置。
  2. 打ち消し音によって騒音を低減する騒音低減装置であって、
    前記騒音と相関を有する騒音参照信号が入力される第1入力端子と、
    入力された前記騒音参照信号に基づいて特定される周波数を有する基準信号を生成する基準信号生成部と、
    生成された前記基準信号にフィルタ係数を適用することにより、前記打ち消し音の出力に用いられる出力信号を生成する適応フィルタ部と、
    生成された前記出力信号が出力される出力端子と、
    前記打ち消し音及び前記騒音の干渉により生じる残留音に基づくアナログの誤差信号が入力される第2入力端子と、
    入力された前記誤差信号にゲインを乗算し、当該ゲインが乗算された前記誤差信号を第1デジタル信号に変換する第1AD(Analog to Digital)変換部と、
    入力された前記誤差信号を第2デジタル信号に変換する第2AD変換部と、
    前記第1デジタル信号、及び、前記第2デジタル信号のいずれかが選択的に用いられた対象誤差信号を出力する選択部と、
    生成された前記基準信号を前記打ち消し音の伝達経路の伝達特性に基づいて補正する補正部と、
    前記対象誤差信号及び補正された前記基準信号に基づいて、前記フィルタ係数を更新するフィルタ係数更新部とを備え
    前記フィルタ係数更新部または前記適応フィルタ部は、前記ゲインの少なくとも一部を相殺するための信号処理を行い、
    前記ゲインは2のn乗(n:自然数)である
    騒音低減装置。
  3. 打ち消し音によって騒音を低減する騒音低減装置であって、
    前記騒音と相関を有する騒音参照信号が入力される第1入力端子と、
    入力された前記騒音参照信号に基づいて特定される周波数を有する基準信号を生成する基準信号生成部と、
    生成された前記基準信号にフィルタ係数を適用することにより、前記打ち消し音の出力に用いられる出力信号を生成する適応フィルタ部と、
    生成された前記出力信号が出力される出力端子と、
    前記打ち消し音及び前記騒音の干渉により生じる残留音に基づくアナログの誤差信号が入力される第2入力端子と、
    入力された前記誤差信号にゲインを乗算し、当該ゲインが乗算された前記誤差信号を第1デジタル信号に変換する第1AD(Analog to Digital)変換部と、
    入力された前記誤差信号を第2デジタル信号に変換する第2AD変換部と、
    前記第1デジタル信号、及び、前記第2デジタル信号のいずれかが選択的に用いられた対象誤差信号を出力する選択部と、
    生成された前記基準信号を前記打ち消し音の伝達経路の伝達特性に基づいて補正する補正部と、
    前記対象誤差信号及び補正された前記基準信号に基づいて、前記フィルタ係数を更新するフィルタ係数更新部とを備え
    前記補正部は、前記ゲインの少なくとも一部を相殺するための信号処理を行い、
    前記ゲインは2のn乗(n:自然数)である
    騒音低減装置。
  4. 前記第1AD変換部は、入力された前記誤差信号に前記ゲインを乗算することにより前記誤差信号を増幅し、増幅後の前記誤差信号を前記第1デジタル信号に変換し、
    前記騒音低減装置は、さらに、前記騒音のレベルを検出する検出部を備え、
    前記選択部は、
    検出された前記騒音のレベルが第1所定レベル以上である場合、前記第2デジタル信号が用いられた第1対象誤差信号を出力し、
    検出された前記騒音のレベルが前記第1所定レベル未満である場合、前記第1デジタル信号が用いられた第2対象誤差信号を出力する
    請求項1~3のいずれか1項に記載の騒音低減装置。
  5. 前記選択部は、
    前記第1対象誤差信号を出力しているときに、
    検出された前記騒音のレベルが前記第1所定レベル以上である場合、前記第2対象誤差信号を出力し、
    検出された前記騒音のレベルが前記第1所定レベル未満である場合、前記第1対象誤差信号を出力し、
    前記第2対象誤差信号を出力しているときに、
    検出された前記騒音のレベルが前記第1所定レベルよりも低い第2所定レベル以上である場合、前記第2対象誤差信号を出力し、
    検出された前記騒音のレベルが前記第2所定レベル未満である場合、前記第1対象誤差信号を出力する
    請求項に記載の騒音低減装置。
  6. 前記選択部は、前記第1デジタル信号が用いられた前記対象誤差信号及び前記第2デジタル信号が用いられた前記対象誤差信号のうちの一方から他方に出力を切り替えてから所定期間が経過するまでの間は、前記第1デジタル信号が用いられた前記対象誤差信号及び前記第2デジタル信号が用いられた前記対象誤差信号の前記一方への出力の切り替えを禁止する
    請求項に記載の騒音低減装置。
  7. さらに、入力された前記誤差信号に適用されるローパスフィルタを備え、
    前記第1AD変換部は、入力された前記誤差信号であって、前記ローパスフィルタが適用された前記誤差信号にゲインを乗算し、当該ゲインが乗算された前記誤差信号を第1デジタル信号に変換し、
    前記第2AD変換部は、入力された前記誤差信号であって、前記ローパスフィルタが適用された前記誤差信号を前記第2デジタル信号に変換する
    請求項1~のいずれか1項に記載の騒音低減装置。
  8. 前記第1AD変換部は、
    第1ローパスフィルタを有し、
    入力された前記誤差信号であって、前記第1ローパスフィルタが適用された前記誤差信号にゲインを乗算し、当該ゲインが乗算された前記誤差信号を第1デジタル信号に変換し、
    前記第2AD変換部は、
    第2ローパスフィルタを有し、
    入力された前記誤差信号であって、前記第2ローパスフィルタが適用された前記誤差信号を前記第2デジタル信号に変換する
    請求項1~のいずれか1項に記載の騒音低減装置。
  9. 請求項1~のいずれか1項に記載の騒音低減装置と、
    前記出力信号を用いて前記打ち消し音を出力する出音装置と、
    前記誤差信号を前記第2入力端子に出力する集音装置とを備える
    移動体装置。
  10. 打ち消し音によって騒音を低減する騒音低減方法であって、
    前記騒音と相関を有する騒音参照信号に基づいて特定される周波数を有する基準信号を生成し、
    生成された前記基準信号にフィルタ係数を適用することにより、前記打ち消し音の出力に用いられる出力信号を生成し、
    前記打ち消し音及び前記騒音の干渉により生じる残留音に基づくアナログの誤差信号に2のn乗(n:自然数)のゲインを乗算し、当該ゲインが乗算された前記誤差信号を第1デジタル信号に変換し、
    前記誤差信号を第2デジタル信号に変換し、
    前記第1デジタル信号、及び、前記第2デジタル信号のいずれかが選択的に用いられた対象誤差信号を出力し、
    前記第1デジタル信号に前記ゲインの少なくとも一部を相殺するための信号処理を行い、
    前記第1デジタル信号が用いられた前記対象誤差信号を生成し、
    生成された前記基準信号を前記打ち消し音の伝達経路の伝達特性に基づいて補正し、
    前記対象誤差信号及び補正された前記基準信号に基づいて、前記フィルタ係数を更新する
    騒音低減方法。
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