JP6998013B2 - 磁性石こう組成物、磁性石こうボード及び磁性石こう組成物を用いた施工方法 - Google Patents

磁性石こう組成物、磁性石こうボード及び磁性石こう組成物を用いた施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、軟磁性粉を分散・含有させた磁性石こう組成物であり、磁性石こう組成物を用いた磁性石こうボード及び施工方法に関する。
建材や建装材に磁性を付与する技術は、磁性材を後から積層したり貼り付けたり、或いは磁性塗料を塗装する方法の他、建材や建装材そのものに磁性を持たせる方法等がある。
建材や建装材に磁性を付与する技術は、非磁性面の一部または全面に着磁性下地シートを貼ったり、表装紙を貼る接着剤の中に磁性粉を含ませる方法などがある。これらはいずれも、建材や建装材の基材そのものに磁性をもたせる技術では無い。
建材や建装材の基材そのものに磁性を持たせる技術は、例えば、特許文献1のような電磁波吸収の為に金属酸化物を分散させたボード、あるいは特許文献2のような希土類系硬磁性粉体などを水硬性バインダーに分散させるものなどがある。これらはいずれも、珪酸塩や石こうなどの水硬性無機物をバインダーとする、ボンド磁性体の範疇に属している。
特開2000―269680号公報 国際公開第01/84563号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている先行技術は、電磁波を吸収する磁気特性の確保が目的であり、例えば磁性粉がFeの金属単体粉末であれば、金属鉄の錆の発生が磁気特性及び外観を損なってしまう。
特に、水硬性無機バインダーとして石膏を採用すると、ポーラスであることもあって水分の浸透が容易で、水分の存在下で金属鉄の錆は顕著であり、そのままでは採用出来ない。
特許文献2の技術は、硬質磁性粉体を採用する技術である。その中でも好ましくは希土類系硬磁性粉体を用い、コロイダルシリカの添加と高温での養生が必要であり、特殊な製産方法を必要としている。
本技術は、改めて着磁を施して永久磁石として活用するか、又は永久磁石が吸着する軟磁性体として使用することになるが、いずれにせよ高価で特種な建材・建装材となってしまう。また、希土類系硬質磁性粉体は錆が問題となる。
永久磁石が単に磁気吸着する軟磁性面は、例えば鉄粉を樹脂塗料に分散させて石こうボード表面に塗布するか、若しくは後付けで軟磁性シートや鉄板を貼る手段が考えられる。
いずれにせよ、金属鉄を採用すればその錆が現実となる。さらに、本発明で採用する石こうにおいては、水の存在下で半水(焼)石こうが2水石こうに再結晶する現象を利用するので、可使時間が短いという、生産上の制約があった。
上記課題に鑑み本発明は、水硬性無機物であり、かつ建装材として実績のある石こうをバインダーとして、その中に安価で、かつ被磁気吸着力が強い鉄粉を磁性粉として分散させて、錆に強い抵抗を示す被磁着性の磁性石こう組成物を提案する。そして、前記磁性石こう組成物を石こうボードに適用するとともに、磁性石こう塗料や磁性石こうパテとして使用する工法を提案する。
さらに、本発明では、磁性石こう組成物を混ぜ合わせた後の可使時間を現在より長くすることを課題とする。
本発明は、平均粒子径が20μm以上の鉄粉100重量部と、平均粒子径が2μm以上かつ前記鉄粉の平均粒子径の1/10以下の亜鉛粉5~30重量部とを主成分とする混合粉体を、石こうバインダーに分散することにより、前記石こうバインダーを半水石こうの状態として前記混合粉体及び水と共に混合してできるスラリーの可塑性喪失時間を、前記亜鉛紛を混合しないものと比較して50%程度延長させると共に、前記スラリーの乾燥が完了した状態で1年放置したとき、表面及び破断面に殆ど錆が認められないようにした磁性石こう組成物を特徴とする。また、この磁性石こう組成物で形成された磁性石こう層を、石こうボードの片面又は両面に具備していることも特徴としている。
より好ましくは、前記鉄粉の重量は石こうバインダーの重量(半水石こう換算)の2~6倍である。尚、石こうバインダーは半水石こうの状態で混合粉体及び水と共に混合するが、前記半水石こうは、一度水に溶解した後2水石こうとして再結晶化することは述べるまでも無い。石こう組成物は一般に、前記再結晶化までの可使時間が重要である。
また、鉄粉の重量が石こうバインダーの重量の2倍より低いと、磁性石こう層内の鉄粉の比率が低く、磁気吸着力が弱くなってしまう。
他方で、6倍より高いと相対的に石こうの量が少なくなり、鉄粉間をつなぐバインダーとしての役割が果せなくなってしまう。
前記鉄粉が還元鉄粉であることはより好ましい。還元鉄粉は安価であるとともに、その形状が本発明にとって好ましい。すなわち、粉体形状に鋭利な角が無く丸っぽいので、石こうや亜鉛粉、及び他の粉体と水とのスラリーを形成した際の流動性が良く、型に流し込んだり、塗布する場合に好都合である。
さらに、還元鉄粉表面の凹みにバインダーである2水石こう結晶が絡みつき、あるいはアンカー効果をもたらして好都合である。
前記組成物は、ハードフェライト粉、ソフトフェライト粉、四三酸化鉄粉の群から選ばれる1種又は複数の磁性粉が添加されていても良い。上述した3種類の磁性粉は、錆びることが無く、かつ永久磁石を引き付ける。そして、比較的大きな粒径の鉄粉の隙間を埋めるので、好適である。
本発明の磁性石こうボードの磁性石こう層の上に、ハードフェライト粉、ソフトフェライト粉、四三酸化鉄粉の群から選ばれる1種又は複数の混合粉を主成分とする磁性粉を石こうバインダーに分散してなる組成からなる上磁性石こう層を、重ねて積層させて構成しても良い。
これらは被磁気吸着性が鉄粉に比べやや小さい磁性粉であるが、錆びる事が無く、かつ
上磁性石こう層は下層にある磁性石こう層を被覆しており、下層の鉄粉の錆を更に抑制している。
本発明の磁性石こう組成物を塗料用の磁性石こう組成物やパテ用の磁性石こう組成物とすることもできる。
前記塗料用磁性石こう組成物を含有した塗料を磁性石こう塗料とする。また、前記パテ用磁性石こう組成物を含有したパテを磁性石こうパテとする。
前記磁性石こう塗料を石こうボードに塗布して、磁性石こうボードとすることもできる。
本発明の磁性石こうボードを複数枚並べて、壁面を形成する場合、磁性石こうボード同士が当接する場所には隙間が生じることがある。そして、この生じた隙間を本発明の磁性石こう組成物や磁性石こうパテでもって埋めることができる。
本発明によれば、石こうが硬化したそのものの中に鉄粉が分散しているので、石こうボードとしての特性を備えており、かつフックや磁気係留具などの永久磁石を引き付けることができるという機能を持つことができる。
本発明を適用した内装材は、石膏ボードの特性を維持しながら永久磁石を吸引する。そして、鉄粉の錆は押さえられている。
また、本発明において、鉄粉と亜鉛粉とを含む組成物に水を加えて混練してスラリーとした場合、適切な水の量で適切な粘度を保ち、かつ石こうが硬化するまでの可使時間が石こう単独の場合に比して延びており、製造方法等に弾力性を持たせることができる。
本発明の磁性石こう組成物が硬化する際の体積の膨張率若しくは収縮率を小さくすることができるので、隙間を埋めるパテとして適している。さらに、本組成物の可使時間は、塗料やパテとして使用可能な範囲である。
パテとして施工した部分が、石こうボードとしての特徴である断熱性や防音性を有しているので、内装材として好適である。磁性ボード部分と同様に、永久磁石を吸引する機能も有している。
本発明の実施例1の硬化物である磁性石こう層の断面電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例1の硬化物である磁性石こう層の断面電子顕微鏡写真の他の視野である。 本発明の実施例1の磁性石こう組成物の滴状物を硬化乾燥させてから1年間以上室内に放置した後の写真である。 本発明の実施例1の磁性石こう組成物を硬化させたままの塊を1年間以上放置後、機械的に破断させた破片の写真である。 本発明の比較例1の硬化物である組成物の断面電子顕微鏡写真である。実施例1と同様に、紙コップから取り出し放置し、1年以上経過後に硬化物を破断した断面の電子顕微鏡写真である。 本発明の比較例1の組成物の滴状物を硬化乾燥させてから、1年間以上室内に放置した後の写真である。観察し易くする目的で破断している。 本発明で使用した半水石こうの電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例2の構成を説明する図である。 本発明の実施例3の構成を説明する図である。 磁性石こうボード内装材を下地壁面に並べて敷設した正面図である。 磁性石こうボード間の隙間を埋めるパテを示す断面図である。
すなわち、本発明は、建材として実績があり様々な特徴を有する石こうをバインダーとする系において、特定の粒子径の金属鉄粉の比較的近傍に特定粒径の亜鉛粉を特定量存在させることによって、鉄粉の錆を抑制する技術を確立したのである。
さらに、従来は、半水石こうの水和反応開始が早いので半水石こうスラリーを素早く型に流し込むことなどで成型する方法が採用されていた。本発明の亜鉛粉を含む磁性石こう組成物はスラリーが流動性を失うまでの時間(可使時間)が長く延びるので、本発明の組成物を従来の非磁性の石こうボードの硬化途上の石こう表面に塗布したり、硬化済みの石こう表面に塗布するなど、従来出来なかった方法をゆとりを持って実施することができる。
本願の具体的な発明は、平均粒子径が20μm以上の鉄粉100重量部と、平均粒子径が2μm以上かつ前記鉄粉の平均粒子径の1/10以下の亜鉛粉5~30重量部とを主成分とする混合粉体を石こうバインダーに分散した磁性石こう組成物である。また、この磁性石こう組成物からなる磁性石こう層が、石こうボードの片面又は両面に具備されているものでもある。鉄粉は還元鉄粉、鉄粉の重量は石こうバインダーの重量(半水石こう換算)の2~6倍とする。組成物はハードフェライト粉、ソフトフェライト粉、四三酸化鉄粉の群から選ばれる1種または複数の磁性粉が添加されても良い。以下実施例で説明する。
<実施例1>
水(飲料用)10グラムを紙コップに採り、亜鉛粉末(銘柄はF末。粒子径3~5ミクロン。ハクスイテック株式会社が販売。)4グラムを投入して撹拌した。その後、還元鉄粉(銘柄はDR。平均粒子径D50は98ミクロン程度。DOWA IP CREATION社製。)を40グラム加えて撹拌した。
次に、半水石膏(家庭化学工業社製高級工作石こう。電子顕微鏡写真を図6に示す。)を10グラム、パラパラと投入後スパチラで約2分半の間撹拌し、その後撹拌を止めてそのまま放置硬化させた。
他方で、撹拌終了後スパチラに付着していた組成物を紙の上に落として、滴下した状態のまま放置して硬化・乾燥させた。
また、紙コップを傾けて観察し、スパチラで表面を押し、さらに時々手のひらでコップに触ることによって、紙コップ内での組成物スラリーの粘度の変化や発熱を確認し、記録した。
次いで、スラリーを紙コップ内で放置して約2時間経過後紙コップから取り出し、3時間放置乾燥させた。その後、エアコン設備の無い倉庫の棚で1年間以上放置させた後に、破断してその面を観察した。
図1及び図2に拠れば、鉄粉とその周辺及び鉄粉同士を繋ぐ様に、棒状に結晶した石こう(2水石こう)が絡んでいると共に、亜鉛粒子がランダムに散在している。そして、石こうバインダーは隙間を縦横に横断しており、更に鉄粉の一部や亜鉛粉がむき出しになっていて、湿気を含む大気と接触していることが判る。
図3‐(1)は、観察する為に一部故意に破断している。肉眼観察と同様、鉄粉の錆は殆ど確認出来ない。
図3‐(2)においても、錆は殆ど認められない。
<比較例1>
亜鉛粉の添加を零としたこと以外は、実施例1と同様にしてスパチラで約2分半の間撹拌後そのまま紙コップを放置する一方、スパチラに付着した組成物を紙の上に落とし、この後、紙コップ内のスラリーの粘性と発熱を観察した。
スパチラから区分した小塊の1年以上経過後に破断した外観写真が図5である。
スパチラに付着した組成物中に亜鉛粉が無く、放置すれば表面層に錆があり、内部も錆が進行している。錆の色は一部が黒っぽく又他部分は赤褐色である。破断粉を容器に集め改めて水に接触させると、前面赤褐色の錆になった。
比較の目的で比較例1と同様な手順で、比較例2として鉄粉と亜鉛粉とを零として水と石こうのみの組成物、比較例3として鉄粉を零として水と石こうと亜鉛粉の組成物についても観察した。
実施例1、比較例1、比較例2、及び比較例3の、見かけの粘性や発熱の現象を表1に纏めた。
Figure 0006998013000001
実施例1は、スラリーの粘稠化開始時間が、比較例1に比べ2倍近く長く、また完全に可塑性を失う時間は5割程長い。鉄粉を含まない石こうだけの場合に比しても4割長い。
表2に、本実施例1及び比較例1の硬化物の外観の錆の度合いを目視で評価した結果を示す。
Figure 0006998013000002
表2及び図3‐(1)、図3‐(2)から明らかな様に、実施例1は鉄粉表面が大気に曝されるにも拘らず1年以上経過後も錆は殆ど発生せず、かつ進行が観察されない。
表1から明らかな様に、水―石こう系の組成物に対して、鉄粉のみを添加した比較例1では、粘度上昇開始が早まり、可塑性を失う時間は短めで、発熱開始が最も早い。他方で水―石こう系の組成物に対して、亜鉛粉のみを添加した組成では、粘度上昇開始が最も早く可塑性を失う時間は殆ど変わらず、発熱開始は同等である。発熱終了は最も早い。
鉄粉と亜鉛粉とを合わせて添加した実施例1は、上述した鉄粉の影響、亜鉛粉の影響からは想像が出来ない結果となる。即ち、粘度上昇開始は最も遅く、可塑性を失う時間も最も遅い。発熱開始についても一番遅い。
これらの現象は、半水石こうの水和反応に対する鉄と亜鉛の複雑な影響を示していると考えられる。
他方で、表2によれば、亜鉛が有する犠牲防食効果によって鉄の錆を防ぐ働きが発揮されたと考えられる。
本発明の組成物は、通常の半水石こうの硬化と同様に、添加した半水石こうが水に溶解した後2水石こうとして再結晶することで硬化する。そのため、石こうボードと同様の製造方法が適用できるのみならず、本発明の組成物は石こうボート゛の石こう層との馴染みが良い。
さらに、本発明の磁性石こうボードは、石こうボード本来の特徴を備えている。すなわち、耐火性、遮音性、断熱性などを損なうことが殆ど無い。
<実施例2>
市販の石こうボード(厚さ約12mm)の片側表面の原紙を取り除いた石こう層表面に、実施例1の組成物を硬化前に約1.0mmの厚さに塗布すると共に、その上に新しい原紙を接触させて平面を保持した状態で組成物を硬化させて磁性石こう層を形成させた。
その結果、市販の石こうボードの石こう層と塗布した磁性石こう層とが一体化するとともに、磁性石こう組成物が接着剤の様な作用を及ぼして新しい原紙とも一体化した。磁性石こう層を形成する際に、水和2水石こうの棒状結晶が原紙の繊維の隙間に入り込んだと考えられる。
実施例2で採用した磁性石こう組成物の可使時間は長く、組成物を塗布し、原紙を接触させる作業は余裕を持って実施できた。石こうボードを工業的に生産する場合に石こうの水和反応時間を遅延させる目的で採用する添加剤を、減少させるか、若しくは無くす事も可能である。
本磁性石こうボードの磁性石こう層には、原紙を介して永久磁石が強く吸着した。なお、本実施例2は図7に示す構成を有している。
本発明の組成物に、ハードフェライト粉、ソフトフェライト粉、及び四三酸化鉄の群から選ばれる1種以上の磁性粉を添加しても良い。
本発明のバインダーは石こうであり図1に示した様に空隙が多いので、該空隙を埋めて全体の透磁率を高める目的で好適である。錆びないという特徴も好適である。
添加量は、鉄粉100重量部に対して50部以下が良い。これを越えると、金属鉄の磁気吸着力に比べて低い磁性成分が無視出来なくなり、低下してしまうからである。ただし、添加する重量と鉄粉の重量との和が、石こう(半水石こうに換算)バインダーの重量の2倍以上6倍以下が好ましい。
<実施例3>
実施例2において、原紙を採用せずロールでもって塗布厚を調整したあと、そのまま硬化させた。
並行して、平均粒子径が約1.8μmのハードフェライト粉と平均粒子径が約5μmの四三酸化鉄粉とを重量で1対1に混合した磁性粉40グラムに対して、水(飲料用湧水)10グラムを紙コップに採り撹拌しながら、実施例1で用いた半水石膏10グラムを、パラパラと投入後スパチラで約2分半の間撹拌し、スラリーを得た。
続いて、上述した磁性石こう層の上に、上述したスラリーを素早く塗布し、約0.5mmの上磁性石こう層を形成し、硬化・乾燥させた。
上磁性石こう層は磁性石こう層と一体化した。且つ錆びることが無い上磁性石こう層でもって下層にある磁性石こう層を被覆しており、下層の鉄粉の錆を抑制している。
なお、本実施例3は図8に示す構成を有している。実施例3の磁性石こうボードは、永久磁石を強く吸着した。
本発明で採用する鉄粉は限定されないが、市販されている還元鉄粉は比較的粒度が揃っていて、かつ鋭利な角が無く丸っぽいので好適である。
還元鉄粉の形状や石こう結晶との絡み具合いは、図1、図2、及び図4に示されている。
還元鉄粉の粒径が20μmより小さいと高価であり、採用出来ない。粒径が大きいことは本発明には重要では無いが、磁性石こう層表面が粗くなるので、実用性でもって判断する。
鉄粉と亜鉛粉のそれぞれの粒経、及び重量比は重要である。それは亜鉛イオンによる防錆効果が有効になるか否かを支配していると考えられる。
鉄粉と亜鉛粉とのそれぞれの総表面積の比が重要だと考えられるが、バインダー中に散在することも必要だと考えられる。
また、図1及び図2の視野を詳細に観察すると、亜鉛粉はランダムに分布していて、さらに局部的には濃淡がある。しかし、防錆効果があることが表2から判る。亜鉛粉は鉄粉の表面には殆ど存在せず、見かけ上の写真での面積は鉄粉の1/10をはるかに下回っている。
従来の石こうボードを製造する方法において、原紙の役割は重要であるが、本発明の特徴の1つが、この原紙を採用できることである。
原紙の片面に内装用の表装材を積層しておけば、本発明の実施例2の磁性石こうボードは、そのまま内装ボードとして採用できる。そして、さらに、該表装材表面に磁石を磁着させることができる。
本発明の磁性石こう組成物でもって、厚さが1.5mm~15mmの磁性石こうボードを成型する事ができる。
また、石こうボードを生産する従来のラインで、図7または図8の構成の磁性石こうボードを生産することができる。
なお、本発明における磁性石こう組成物は、塗料やパテとしての用途に採用することができる。
実施例2は、石こう層表面に磁性石こう組成物を塗布した例である。
さらに、本発明の磁性石こうボードを複数枚並べて、壁面を形成する(図9-(1))場合、磁性石こうボード同士が当接又は隣接する場所には隙間が生じることがある。そして本発明の磁性石こう組成物は、該隙間を埋めることができる(図9-(2))のである。
本発明の磁性石こう組成物が硬化する際の体積の膨張率若しくは収縮率を小さくすることができるので、隙間を埋めるパテとして適している。さらに、本組成物の可使時間は、塗料やパテとして使用可能な範囲である。
パテとして施工した部分が、石こうボードとしての特徴である断熱性や防音性を有しているので、内装材として好適である。磁性ボード部分と同様に、永久磁石を吸引する機能も有している。
ここで、塗料やパテとして採用する磁性石こう組成物とは、平均粒子径が20μm以上の鉄粉100重量部と、平均粒子径が2μm以上かつ前記鉄粉の平均粒子径の1/10以下の亜鉛粉5~30重量部とを主成分とする混合粉体を、石こうバインダーに分散してなる組成物であり、ハードフェライト粉、ソフトフェライト粉、四三酸化鉄粉の群から選ばれる1種又は複数の磁性粉が添加されていても良い。
前記鉄粉の重量は石こうバインダーの重量(半水石こう換算)の2~6倍が好ましい。
本発明の磁性石こうボードを複数枚隣接して配置した壁面の、磁性石こうボード間の隙間を本発明の磁性石こう組成物で埋めるとともに、その上面に本発明の上磁性石こう層を積層することは好ましい。
本発明では、磁性を有する粉末のバインダーとして採用したのが、半水石こうを水和させ結晶水として2分子を取り込んでいる石こうである。それゆえに、磁性石こう層は石こうボードとしての断熱性や防音性は勿論、耐熱性に対しても石こうボードの特徴が発揮される。すなわち、結晶水が気体に相転換する際の、大きな潜熱を奪うからである。
本発明は、永久磁石を自在に吸着させることが可能な磁性表面を具備する建材・建装材に適用することができる。
1 鉄粉
2 2水石こう
3 亜鉛粉
4 石こう層
5 磁性石こうボード
6 磁性石こう層
7 上磁性石こう層
8 原紙
9 隙間(当接部)
10 パテとして隙間を埋めた磁性石こう組成物
11 下地壁面

Claims (15)

  1. 平均粒子径が20μm以上の鉄粉100重量部と、平均粒子径が2μm以上かつ前記鉄粉の平均粒子径の1/10以下の亜鉛粉5~30重量部とを主成分とする混合粉体を、石こうバインダーに分散してなる磁性石こう組成物であって、
    前記鉄粉の重量は石こうバインダーの重量(半水石こう換算)の2~6倍とすることを特徴とする磁性石こう組成物。
  2. 前記鉄粉は還元鉄粉である請求項1の磁性石こう組成物。
  3. ハードフェライト粉、ソフトフェライト粉、四三酸化鉄粉、の群から選ばれる1種又は複数の磁性粉が添加されている請求項1又は請求項2の磁性石こう組成物。
  4. 請求項1から請求項までのいずれかの磁性石こう組成物を含有する塗料用磁性石こう組成物。
  5. 請求項1から請求項までのいずれかの磁性石こう組成物を含有するパテ用磁性石こう組成物。
  6. 請求項の塗料用磁性石こう組成物を含有する磁性石こう塗料。
  7. 請求項のパテ用磁性石こう組成物を含有する磁性石こうパテ。
  8. 平均粒子径が20μm以上の鉄粉100重量部と、平均粒子径が2μm以上かつ前記鉄粉の平均粒子径の1/10以下の亜鉛粉5~30重量部とを主成分とする混合粉体を、石こうバインダーに分散すると共に、前記鉄粉の重量を石こうバインダーの重量(半水石こう換算)の2~6倍とする磁性石こう組成物からなる磁性石こう層が、石こうボードの片面又は両面に具備されていることを特徴とする磁性石こうボード。
  9. 前記鉄粉は還元鉄粉である請求項の磁性石こうボード。
  10. 前記組成物は、ハードフェライト粉、ソフトフェライト粉、四三酸化鉄粉、の群から選ばれる1種又は複数の磁性粉が添加されている請求項8又は請求項9の磁性石こうボード。
  11. 石こうボードに請求項の磁性石こう塗料を塗布したことを特徴とする磁性石こうボード。
  12. 請求項から請求項11までのいずれかに記載の磁性石こうボードの磁性石こう層の上に、ハードフェライト粉、ソフトフェライト粉、四三酸化鉄粉の群から選ばれる1種又は複数の混合粉を主成分とする磁性粉を石こうバインダーに分散してなる組成からなる上磁性石こう層を積層させて構成する磁性石こうボード。
  13. 請求項から請求項12までのいずれかの磁性石こうボードを複数枚隣接して配置し壁面を形成し、前記磁性石こうボードが隣接した隙間を、請求項1から請求項までのいずれかの磁性石こう組成物でもって埋めることを特徴とする施工方法。
  14. 請求項から請求項12までのいずれかの磁性石こうボードを複数枚隣接して配置し壁面を形成し、前記磁性石こうボードが隣接した隙間を、請求項の磁性石こうパテでもって埋めることを特徴とする施工方法。
  15. 請求項13又は請求項14に記載された施工方法で得られた壁面の上に、ハードフェライト粉、ソフトフェライト粉、四三酸化鉄粉の群から選ばれる1種又は複数の混合粉を主成分とする磁性粉を石こうバインダーに分散してなる組成からなる上磁性石こう層を積層させて構成することを特徴とする施工方法。
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Citations (3)

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