JP6996350B2 - 車両のステアリング制御方法および車両のステアリング制御装置 - Google Patents

車両のステアリング制御方法および車両のステアリング制御装置 Download PDF

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Description

本開示は、車両のステアリング制御方法および車両のステアリング制御装置に関する。
従来、ステアバイワイヤ方式と称される車両のステアリング制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この従来技術では、正常時はステアリングホイールと転舵輪とを機械的に切り離したクラッチ解放状態で転舵アクチュエータの駆動力によって転舵輪を転舵する。一方、非正常時は、ステアリングホイールと転舵輪とを機械的に連結したクラッチ締結状態でステアリングホイールの操舵力によって転舵輪を転舵するようにしている。また、このとき、ステアリングホイールに対する操舵トルクを検出するトルクセンサの検出に基づいて反力モータを駆動させ、操舵を補助するアシストトルクを生じさせるアシスト制御を実行するようにしている。
特開2015-44479号公報
ところで、近年、自動運転制御装置が提案されている。このような自動運転制御装置では、上述の従来の車両のステアリング制御装置の転舵アクチュエータを用い転舵輪の転舵を自動的に行うもので、ステアリングホイールから手を放した状態での転舵を可能としている。
しかしながら、本願発明者は、このような自動運転制御時でクラッチ解放状態のステアバイワイヤ制御時での転舵角制御中に、ステアバイワイヤシステムが非正常と判断して、クラッチを締結し、自動運転制御から手動運転のアシスト制御を開始する際に、下記の問題が生じることを知見した。
すなわち、上述の車両のステアリング制御装置において、自動運転制御を行っている場合、ドライバは手放し状態であるときには、その後、ドライバがハンドルを把持していても、ハンドルを保持する力が小さい場合がある。そのため、ドライバが手放し状態で、ステアバイワイヤシステムが非正常と判断して、クラッチを締結する際、クラッチを挟んでステアリングホイール側と転舵輪側とでは、可変ギア比などの設定もあって、両者の間に角速度差が生じる。このように、ドライバがハンドルを把持していても、ハンドルを保持する力が小さい状態で、かつステアリングホイール側と転舵輪側とに角速度が生じた状態でクラッチを締結すると、その操舵力の伝達系に設けられたトルクセンサに捻じれが生じるとともに、振動が発生する。
このトルクセンサの振動により、ドライバがハンドルを保持する力が小さい状態のステアリングホイールが振動するとともに、この振動の検出トルクに応じたアシストトルクを発生させることで、この振動が助長され運転者に違和感を与えるおそれがあった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、クラッチ締結時のステアリングホイールの振動を抑制し、運転者に与える違和感を抑制可能な車両のステアリング制御方法および車両のステアリング制御装置を提供することを目的とする。
本開示の車両のステアリング制御方法および車両のステアリング制御装置は、ステアリングホイールと転舵輪とを機械的に断接を可能なクラッチを解放して転舵角指令に基づいてステアリングホイールの操舵角および転舵輪の転舵角を制御するステアバイワイヤモードと、前記クラッチを締結してトルクセンサの検出トルクに応じたアシストトルクを前記転舵輪に対して与えるアシスト制御モードと、を有する。
そして、自動運転モードにおけるステアバイワイヤモードから手動運転モードにおけるアシスト制御モードに遷移するにあたり、クラッチを締結した後、所定の打消し制御時間の間、トルクセンサの検出トルクの高周波成分を打ち消す方向に転舵モータを駆動させる。
本開示の車両のステアリング制御方法および車両のステアリング制御装置では、自動運転モードにおけるステアバイワイヤモードから手動運転モードにおけるアシスト制御モードに遷移するにあたり、クラッチを締結する。
さらに、このクラッチを締結した後の所定の打消し制御時間の間、トルクセンサが検出する操舵トルクの高周波成分を打ち消す方向に転舵モータを駆動させる。
したがって、クラッチの締結時にトルクセンサが振動した際に、このトルクセンサの振動を抑制し、ステアリングホイールの振動を抑えることができる。
実施の形態1の車両のステアリング制御方法および車両のステアリング制御装置が適用されたステアリングバイワイヤシステムを示す全体システム図である。 システム正常時(自動運転モードでのステアバイワイヤモード時)の前記ステアリングバイワイヤシステムの機械系の説明図である。 ステアリングフォースコントロールモジュール、メイン転舵角コントロールモジュール、サブ転舵角コントロールモジュールにおけるシステム正常時(自動運転モードでのステアバイワイヤモード時)に動作するモータ/クラッチ制御系の説明図である。 自動運転モードにおける非正常時(アシスト制御モード時)の前記ステアリングバイワイヤシステムの機械系の説明図である。 ステアリングフォースコントロールモジュール、メイン転舵角コントロールモジュール、サブ転舵角コントロールモジュールにおける非正常時(アシスト制御モード時)に動作するモータ/クラッチ制御系の説明図である。 EPS制御部における振動打消し制御の処理の流れを示すフローチャートである。 実施の形態1におけるクラッチのステアリングホイール側とステアリングギアがわとの角速度差を示す説明図である。 実施の形態1における角速度差に応じた手放し時振動打消し制御時間および非手放し時振動打消し制御時間を示す振動打消し制御時間特性図である。 実施の形態1との比較例の動作例を示すタイムチャートである。 実施の形態1の動作例を示すタイムチャートである。 実施の形態1の作用の説明図である。 実施の形態1において、自動運転モード中にEPS制御を開始した際(t11の時点)に、手放し状態である場合と、操舵状態である場合とを比較したタイムチャートである。
以下、本開示の車両のステアリング制御方法および車両のステアリング制御装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1の車両のステアリング制御方法および車両のステアリング制御装置は、ステアリングホイールの動きを電気信号に替えて左右前輪に伝えるステアリングバイワイヤシステムを搭載した車両に適用したものである。以下、実施の形態1の車両のステアリング制御装置を、「全体システム」、「モータ/クラッチ制御系」、「振動打消し制御」に分けて説明する。
[全体システム]
図1は、実施の形態1の車両のステアリング制御方法および車両のステアリング制御装置が適用されたステアリングバイワイヤシステムを示す。以下、図1に基づき、全体システムを説明する。
ステアリングバイワイヤシステムは、機械系として、ステアリングホイール1と、ステアリングフォースアクチュエータ2と、ステアリングクラッチ3と、転舵アクチュエータ4と、左右前輪(転舵輪)5,6と、を備えている。
また、ステアリングバイワイヤシステムは、制御系として、ステアリングフォースコントロールモジュール7と、メイン転舵角コントロールモジュール8と、サブ転舵角コントロールモジュール9と、を備えている。
ステアリングフォースアクチュエータ2は、ステアリングホイール1に対してトルクを入力可能な三相交流の反力モータ10を有する。
なお、ステアリングフォースアクチュエータ2は、ステアリングクラッチ3の解放状態で手動により操舵を行う手動運転モード時(正常時)には、ステアリングフォースコントロールモジュール7からの駆動電流で路面反力に相当するトルクを発生させる。なお、この時の手動運転モードとは、正常時の手動運転モードであり、ステアリングクラッチ3を解放した状態での制御となる。
また、このステアリングフォースアクチュエータ2は、ドライバがステアリングホイール1から手を離した自動運転モード時には、転舵方向にステアリングホイール1を操舵させる操舵アクチュエータとして機能する。
ステアリングクラッチ3は、電磁クラッチ構造であり、ステアリングフォースコントロールモジュール7から通電されるとクラッチ解放とされ、上下のステアリングシャフト11,12が切り離される。なお、システム保護モード時やシステム異常時には、ステアリングフォースコントロールモジュール7からの通電が遮断されてクラッチが結合し、上下のステアリングシャフト11,12を機械的に連結させる。
転舵アクチュエータ4は、左右前輪5,6を転舵可能なアクチュエータであり、メイン転舵モータ13と、サブ転舵モータ14と、ステアリングギア機構15と、を有する。
なお、メイン転舵モータ13は、三相交流モータであり、メイン転舵角コントロールモジュール8からの駆動電流によって操舵トルクを発生させる。サブ転舵モータ14は、三相交流モータであり、サブ転舵角コントロールモジュール9からの駆動電流によって操舵トルクを発生させる。ステアリングギア機構15は、ピニオントルクをラック軸力に変換し、ナックルアームを回転させ、左前輪5と右前輪6の向きを変える。
さらに、後述するが転舵アクチュエータ4は、異常発生時にドライバが操舵する手動運転モードにおけるアシスト制御モード時には、ステアリングクラッチ3の締結状態でステアリングホイール1からの操舵トルクに対してアシストトルクを与える。
ステアリングフォースコントロールモジュール7とメイン転舵角コントロールモジュール8とサブ転舵角コントロールモジュール9は、フレックレイ通信線17を介して相互に情報交換可能に接続されている。
また、ステアリングフォースコントロールモジュール7には、トルクセンサ20の検出トルクと、操舵角センサ21が検出する操舵角と、転舵角センサ22が検出する転舵角とが入力される。
トルクセンサ20は、下側のステアリングシャフト12に設けられ、ステアリングシャフト12における伝達トルク(軸回りトルク)を検出する。また、このトルクセンサ20は、周知のように、ステアリングシャフト12よりも捻じれ剛性が低いトーションバー(不図示)を備え、このトーションバーの捻じれ変位量に基づいてステアリングシャフト12に作用する操舵方向のトルクを検出する。
操舵角センサ21は、上側のステアリングシャフト11などのステアリングホイール1の操舵トルクの伝達系に設けられ、操舵角を検出する。転舵角センサ22は、ステアリングギア機構15の近傍の転舵トルクの伝達系に設けられ、左右前輪5,6の転舵角を検出する。
[モータ/クラッチ制御系]
次に、実施の形態1のステアリングバイワイヤシステムにおけるモータ/クラッチ制御系について説明する。
なお、本実施の形態1では、ステアリングフォースコントロールモジュール7、メイン転舵角コントロールモジュール8、サブ転舵角コントロールモジュール9は、転舵角の制御に関し、それぞれ、並列に制御を実行する。このように並列して制御を行い、各コントロールモジュール7~9の出力値を比較することで、各コントロールモジュール7~9の異常の有無を確認するとともに、そのいずれかが失陥しても、転舵角の制御を継続できるようにしている。
以下に、これら各コントロールモジュール7~9において、システムの正常時(自動運転モードにおけるステアバイワイヤモード時)に動作する構成要素と、非正常時(手動運転モードにおけるアシスト制御モード時)に動作する構成要素とに分けて説明する。
まず、システム正常時(自動運転モードでのステアバイワイヤモード時)に動作する構成要素について説明する。
図2Aはシステム正常時(自動運転モードでのステアバイワイヤモード時)におけるステアリングバイワイヤシステムの機械系の説明図である。また、図2Bは、ステアリングフォースコントロールモジュール7、メイン転舵角コントロールモジュール8、サブ転舵角コントロールモジュール9における正常時(自動運転モードでのステアバイワイヤモード時)に動作するモータ/クラッチ制御系の説明図である。
システム正常時におけるステアバイワイヤモードでは、図2Aに示すように、ステアリングクラッチ3を解放し、上下のステアリングシャフト11,12を切り離した状態とする。
そして、ドライバが操舵を行わない自動運転モードでは、反力モータ10によりステアリングホイール1を操舵するとともに、メイン転舵モータ13およびサブ転舵モータ14により左右前輪5,6を転舵させる制御を行う。
なお、この際のステアリングホイール1の操舵は、主として左右前輪5,6の転舵方向をドライバに報せるために行う。また、左右前輪5,6の転舵は、主としてメイン転舵モータ13の駆動により行い、転舵に大きなトルクが必要な場合にサブ転舵モータ14を駆動させる。さらに、両転舵モータ13,14のいずれかが失陥した場合は、もう一方のモータにより転舵を行う。このように、両転舵モータ13,14を駆動させる場合、両転舵モータ13,14の一方のみを駆動させる場合や、両転舵モータ13,14を同時に駆動させる場合がある。しかし、以下の説明では、これらの駆動制御状態にかかわらず、単に両転舵モータ13,14を駆動させると表現する。
また、ステアバイワイヤモードでは、ドライバが操舵を行った手動運転モードの際は、ドライバの操舵角に応じて、左右前輪5,6を転舵させる、いわゆるステアバイワイヤ制御も実行する。この手動運転モードでのステアバイワイヤモードにおける操舵時には、ステアリングホイール1の操舵に対し、反力モータ10により操舵反力を与えつつ、操舵角に応じて両転舵モータ13,14を駆動させて、左右前輪5,6を操舵量に応じて転舵させる。
なお、上述のドライバが操舵を行わない自動運転モード時は、図2Bに示す自動運転コントローラ100が、走行状況や周辺環境等の情報に基づいて車両の加速・転舵・制動の制御を行う。この自動運転コントローラ100による自動運転としては、先行車に追従走行する制御や、走行車線からの逸脱防止を行う制御や、予め設定されたルートに沿って走行する制御などがある。
そして、この自動運転モード時には、自動運転コントローラ100により決定された転舵角を指示する転舵角指令値が、ステアリングフォースコントロールモジュール7に入力される。さらに、ステアリングフォースコントロールモジュール7および転舵角をコントロールする両転舵角コントロールモジュール8,9から、転舵角指令値に応じた転舵角および操舵角の指令電流が、反力モータ10および両転舵モータ13,14に出力される。すすなわち、自動運転コントローラ100は、自動運転制御の一部としてステアリング制御を実行する。
図2Bは、ステアリングフォースコントロールモジュール7において、システム正常時の自動運転モードでのステアバイワイヤモード時に、両転舵モータ13,14に指令電流を出力する構成を示している。この構成として、図2Bに示すように、ハンドルタイヤ分配部71、反力モータ制御部72、可変ギア部73、加算部74、転舵モータ制御部75を備える。
ハンドルタイヤ分配部71は、自動運転コントローラ100から出力された転舵角指令値を、ステアリングホイール1の操舵角であるハンドル分指令角と、左右前輪5,6を転舵させるタイヤ分指令角に分配する。
ここで、ハンドル分指令角は、ステアリングホイール1を転舵方向に実際に操舵すべく反力モータ10を駆動させる指令値である。そして、このハンドル分指令角が入力された反力モータ制御部72は、反力モータ10を駆動させることで、ステアリングホイール1を操舵させる。
すなわち、自動運転モードにおけるステアバイワイヤモード時には、左右前輪5,6の転舵を自動的に行うが、その際に、ステアリングホイール1を操舵(回動)させて、車両の転舵が成されていることを、視覚的にドライバに報せるようにしている。
このため、本実施の形態1では、この自動運転モード時のステアリングホイール1の操舵角と、左右前輪5,6の転舵角との関係は、手動運転モードでのステアバイワイヤモードで操舵する場合の関係とは一致するものではない。
つまり、自動運転モードにおけるステアバイワイヤモード時には、上記のようにドライバに転舵方向を報せる目的でステアリングホイール1の操舵を行う。例えば、低速走行時には、転舵角が大きくなる運転状況が生じがちであるが、自動運転モードにおけるステアバイワイヤモード時には、このような転舵の際のステアリングホイール1の操舵角は、転舵に必要な操舵角に比べ低く抑えるよう制御する。また、高速走行時には、修正舵角を与える状況が生じがちであるが、このような修正舵角についてはドライバに報せる必要が無いため、上記と同様に転舵に必要な操舵角に比べ操舵角を低く抑える。このように、自動運転制御時には、実際の転舵に必要な操舵角に対し、ステアリングホイール1の操舵角を低く抑えるように、上記の操舵角と転舵角との分配を行う。なお、この操舵角と転舵角との分配割合は、一定ではなく、走行状況により可変に制御する。
可変ギア部73は、ステアリングホイール1の操舵角度に対する左右前輪5,6の転舵角度に所定のギア比を与える。この可変ギア部73は、手動運転モードでのステアバイワイヤモードでは、操舵角に対する転舵角が車速に応じ所定の関係となるように制御するが、自動運転モードでは、上述のように、転舵角の方向やその角度の大きさを、ドライバに視覚的に報せる目的で制御する。この場合の転舵角と操舵角との関係は、マップあるいは演算式として予め記憶されている。
加算部74は、可変ギア部73から出力されるタイヤ分指令角と、ハンドルタイヤ分配部71から出力される第2のタイヤ分指令角とを加算し、その加算値を最終的な転舵指令電流として、転舵モータ制御部75に出力する。
そして、転舵モータ制御部75は、左右前輪5,6を、転舵指令角に応じた角度だけ転舵させる転舵指令電流を、各転舵モータ13,14に出力する。
次に、ステアリングフォースコントロールモジュール7および両転舵角コントロールモジュール8,9における、システム非正常時(手動運転モードでのアシスト制御モード時)に動作する構成要素について説明する。
ステアリングフォースコントロールモジュール7および両転舵角コントロールモジュール8,9は、非正常時に動作する構成要素として、図3Bに示す、パワーアシスト制御部76(以下、EPS制御部76と称する)、第2の加算部77、ハイパスフィルタ78、第3の加算部79を備える。
EPS制御部76は、自動運転モードにおいて、モータ/クラッチ制御系に何らかの異常が発生した場合、アシスト制御モード(以下、EPS制御モードという)に遷移する制御を行う。このEPS制御モードでは、ステアリングクラッチ3を締結した上で、トルクセンサ20の検出トルクに応じてドライバによる操舵を補助する。
すなわち、EPS制御部76は、自動運転コントローラ100からの転舵角指令値により転舵モータ制御部75から出力される転舵指令電流に、さらに、第2の加算部77においてトルクアシスト指令電流を加算することで、操舵トルクを補助して軽減する。
また、ハイパスフィルタ78は、トルクセンサ20の検出トルクの高周波数成分を通過させる。そして、ハイパスフィルタ78を通過して形成される指令電流を、第3の加算部79において逆位相として転舵指令電流から減算することで、トルクセンサ20の検出の高周波成分を打ち消す方向に両転舵モータ13,14を駆動させる。なお、ハイパスフィルタ78が通過させる高周波成分は、人が操舵する際の周波数成分よりも高い周波数領域に設定されており、例えば、10Hz以上の周波数である。
以下、上述のようにハイパスフィルタ78を通過した高周波成分を第3の加算部79において減算し、アシストトルクにおける高周波成分を打ち消す制御を、振動打消し制御と称する。この振動打消し制御は、ステアリングクラッチ3の締結後の所定時間だけ行うもので、この振動打消し制御を実行する時間である振動打消し制御時間は、後述する角速度差および手放しセンサ80の検出に基づいて決定される。
なお、手放しセンサ80は、ドライバがステアリングホイール1から手を放しているか否(非手放し=握っている、手を触れている)かを検出する。この手放しセンサ80による手放しの検出は、例えば、ステアリングホイール1に設けたタッチセンサにより検出したり、操舵反力の大きさが所定値以下であることで検出したりすることができる。また、操舵角度の変化や、反力モータ10のモータ電流の変化や、トルクセンサ20の検出トルク値の変化などで検出することもできる。
また、本システムに何らかの失陥が生じたり、一時的に制御を中断したりして非正常と判定して手動運転モードのアシスト制御モードに遷移する場合、直ちに自動運転コントローラ100による転舵角制御を中止せずに、所定時間継続する。なお、この継続時間は、例えば、数秒程度である。
したがって、自動運転モードのステアバイワイヤモードから手動運転モードのアシスト制御モードへの遷移時には、第2の加算部77では、転舵モータ制御部75の出力と、EPS制御部76との出力とを加算する。すなわち、自動運転コントローラ100による転舵角指令値の出力の継続中は、自動運転制御に基づく転舵角指令電流と、EPS制御に基づくトルクアシスト指令電流とを、第2の加算部77で加算する。そして、この加算値に基づく転舵角の指令電流を両転舵モータ13,14に出力する。また、所定時間が経過して自動運転コントローラ100による転舵角指令値の出力を終了した後は、EPS制御モードに基づくトルクアシスト指令電流のみを両転舵モータ13,14に出力する手動運転モードのEPS制御に移行する。なお、異常の状態によっては、このステアリングクラッチ3を締結した手動運転モードのEPS制御に移行することなく自動運転コントローラ100による制御を継続する場合もある。また、逆に、異常の状態によっては、両転舵モータ13,14に対するトルクアシスト指令電流の出力、すなわち、アシストトルクの出力を停止する場合もある。
[振動打消し制御]
以下に、振動打消し制御について説明する。
上述したように、自動運転モードのステアバイワイヤモードにおいて正常時には、図2Aに示すように、ステアリングクラッチ3を解放し、上下のステアリングシャフト11,12を切り離した状態とする。そして、自動運転コントローラ100で決定された転舵角指令値に基づいて、反力モータ10および各転舵モータ13,14を駆動させる。これにより、必要に応じて左右前輪5,6を転舵させるとともに、その転舵方向が分かるようにステアリングホイール1を操舵させる。
一方、非正常時には、手動運転モードのEPS制御モード(アシスト制御モード)に遷移する。この手動運転モードのEPS制御モードへの遷移の際には、図3Aに示すように、ステアリングクラッチ3を締結し、上下のステアリングシャフト11,12を直結状態する。同時に、あるいは、ステアリングクラッチ3の締結前に、ドライバに手動による操舵を促すための警報や表示などによる報知を行って、本システムが異常であることを報知する。なお、非正常時とは、各センサや各モータのいずれかに何らかの失陥が生じたり、あるいは、各センサや各モータのいずれかの温度が上昇したりし、一時的にその作動を制限する場合などがある。
また、EPS制御モードでは、ドライバがステアリングホイール1を操舵した場合、トルクセンサ20によりその操舵トルクを検出し、この検出トルクに応じて各転舵モータ13,14を駆動させてアシストトルクを発生させ操舵トルクを軽減する。
さらに、自動運転モードのステアバイワイヤモードから、手動運転モードのEPS制御モードに遷移する際には、ステアリングクラッチ3の締結時点から所定時間、振動打消し制御を実行する。そして、この振動打消し制御では、トルクセンサ20の検出トルクの高周波成分を打ち消す方向に転舵モータ13,14を駆動させる。
この振動打消し制御の処理の流れを図4のフローチャートに基づいて説明する。なお、この図4に示す振動打消し制御の処理は、走行中に、所定の周期(例えば、30ms)で繰り返し実行される。
まず、ステップS1では、現在、ドライバが操舵を行っていない自動運転モード中か否か判定し、自動運転モード中であれば、ステップS2に進み、自動運転モード中でなければ、1回の処理を終了する。なお、自動運転モードの場合、正常時には、ステアバイワイヤモードでステアリング制御を行っている。また、自動運転モードではない場合(ステップS1においてNOとの判定の場合)には、前述した正常時の手動運転モードでステアリング制御を行っていると判定したことになる。
自動運転モード中(ステアバイワイヤモード)の場合に進むステップS2では、現在、手放し運転中か否か判定し、手放し運転中であれば、ステップS3に進んで、手放し運転フラグを「手放し」に設定する。また、ステップS2において、手放し運転中でなければ、ステップS4に進んで、手放し運転フラグを「非手放し」に設定する。なお、この手放し運転中か否かは、手放しセンサ80の検出に基づく。また、「非手放し」とは、ドライバが操舵を行っていないが、ステアリングホイール1には、手を触れていたり、握っていたりする状態である。
ステップS3、S4に続くステップS5では、非正常か否かを判定し、非正常時はステップS6に進み、正常時にはステップS7に進む。なお、前述したように、非正常とは、本システムに何らかの失陥が生じた場合や、各モータ10,13,14やバッテリ(不図示)などの温度上昇により、この温度が低下するまで、一時的に一部モータなどの駆動を停止する場合などがある。
ステップS5において正常との判定時に進むステップS9は、ステアリングクラッチ3を挟んで、ステアリングホイール1側の操舵角速度と、ステアリングギア機構15側の転舵角速度との角度差を記憶する処理を行った上で、一回の処理を終了する。なお、操舵角速度は、操舵角センサ21の検出値から求める。また、転舵角速度は、転舵角センサ22の検出値から求める。
図5は、ステアリングクラッチ3を挟んだステアリングギア機構15側の角速度(転舵角速度)と、ステアリングホイール1側の角速度(操舵角速度)との差を表す図である。前述したように、ステアリングクラッチ3を解放した状態では、転舵時に、ステアリングホイール1側の角速度(操舵角速度)と、ステアリングギア機構15側の角速度(転舵角速度)とに角速度差が生じる。そこで、ステップS9では、その時点で最新の角速度差を記憶する。
一方、ステップS5において非正常(手動運転モードのEPS制御モードへ遷移)と判定した場合に進むステップS6では、現在記憶されている最新の操舵角速度と転舵角速度との角度差を取得し、ステップS7に進む。また、非正常との判定によりEPS制御モードへ遷移する際には、振動打消し制御と並行して実施する制御により、直ちに、ステアリングクラッチ3を締結する。
ステップS7では、振動打消し制御時間を決定する。この振動打消し制御時間としては、手放し時振動打消し制御時間と、非手放し時振動打消し制御時間とがある。すなわち、手放し時振動打消し制御時間は、ドライバが、ステアリングホイール1から手を放している状態であるときに設定する振動打消し制御時間である。一方、非手放し時振動打消し制御時間は、ドライバがステアリングホイール1を握っているか手を触れている状態であるときに設定する振動打消し制御時間である。
手放し時振動打消し制御時間は、手放し運転フラグが「手放し」にセットされている場合に設定される振動打消し制御時間であり、図6に示す、マップあるいは演算式に基づいて、角速度差に応じて設定する。
非手放し時振動打消し制御時間は、手放し運転フラグが「非手放し」にセットされている場合に設定される振動打消し制御時間であり、図6に示す、マップあるいは演算式に基づいて、角速度差に応じて設定する。
図6に示すように、手放し時振動打消し制御時間および非手放し時振動打消し制御時間は、角速度差が大きいほど長く設定する。また、手放し時振動打消し制御時間は、非手放し時振動打消し制御時間よりも、角速度差に対する時間(振動打消し制御時間)を長く設定する。
すなわち、非手放しと判定した場合、すなわち、ドライバがステアリングホイール1に手を触れているか握っているかの場合は、手放しと判定した場合に比べて、打消し制御時間を短くする。
ステップS7において振動打消し制御時間を決定した後に進むステップS8では、ステアリングクラッチ3の締結時点から振動打消し制御時間が経過する間、振動打消し制御を実行する。
すなわち、図3Bに示すハイパスフィルタ78を通過したトルクセンサ20の検出トルク(トルクセンサ値)の高周波成分に応じた指令電流を逆位相として両転舵モータ13,14に与える。
(実施の形態1の作用)
以下に、実施の形態1の車両のステアリング制御装置および車両のステアリング制御装置の作用を説明する。
この作用の説明において、まず、実施の形態1の車両のステアリング制御装置および車両のステアリング制御装置の解決課題を比較例に基づいて説明する。
この比較例は、自動運転モードにおけるステアバイワイヤモード中に、異常発生に伴い、EPS制御モードに遷移した際に、振動打消し制御を実行することなく、直ちにトルクセンサ20の検出トルクに応答するアシストトルクを出力するようにした例である。
自動運転モードでの転舵角制御中には、ステアリングホイール1側の操舵角速度と、ステアリングギア機構15側の転舵角速度とに角速度差が生じる(図5参照)。
この状態で、なんらかの異常が生じ、非正常との判定によりEPS制御モードに遷移しステアリングクラッチ3を締結すると、トルクセンサ20のトーションバー(不図示)の捻じれの反力が生じトルクセンサ20に振動が発生する(図3B参照)。
図7は、この比較例における動作状態を示すタイムチャートであり、自動運転制御を実行中のt01の時点で、ステアバイワイヤモードからEPS制御モードに遷移し、この時点で、解放状態のステアリングクラッチ3を締結する。したがって、t01の時点から、上述のトルクセンサ20の振動により、トルクセンサ20が検出するトルクセンサ値(高周波成分)が図示のように変化する。また、この振動の時間は、角速度差が大きい程長くなるもので、図示の例では、t02の時点で収束している。
そして、このトルクセンサ20の検出トルク(トルクセンサ値)に応じてアシストトルクを発生させた場合、ステアリングホイール1では、トルクセンサ20の振動およびこれのアシスト力により、図3Aに示すような振動が生じる。同様に、左右前輪5,6においても、トルクセンサ20の振動およびアシスト力により微振動が生じる。
したがって、比較例では、このようなステアリングホイール1の振動および左右前輪5,6の振動により、ドライバに違和感を与えるおそれがある。
次に、本実施の形態1において、ドライバが操舵を行わない自動運転モードにおけるステアバイワイヤモードから、ドライバが操舵を行う手動運転モードにおけるEPS制御モードに遷移する場合について説明する。
本実施の形態1では、自動運転モード中にステアバイワイヤモードからEPS制御モードに遷移する際は、最新の記憶したステアリングホイール1側の操舵角速度とステアリングギア機構15側の転舵角速度との角速度差を取得する(S9)。そして、この角速度差に応じ、ドライバがステアリングホイール1に手を触れていない手放し時には、手放し時振動打消し制御時間を決定し、ドライバがステアリングホイール1に手を触れている非手放し時には、非手放し時振動打消し制御時間を決定する。
図8は、実施の形態1の動作例をタイムチャートである。
この図8に示す動作例では、自動運転モード中においてt1の時点で非正常との判定により、手動運転モードでのEPS制御モードに遷移し、ステアリングクラッチ3を締結する。このステアリングクラッチ3の締結時には、比較例と同様に、操舵角速度と転舵角速度との角速度差によりトルクセンサ20の検出トルク(トルクセンサ値)が振動する。なお、トルクセンサ値としては、振動成分である高周波成分のみを示している。
また、この高周波の振動は、図示のように、角速度差が小さい場合は、t2の時点で収束しているのに対し、角速度差が大きい場合は、t3の時点で収束している。このように、相対的に角速度差が大きい場合は、角速度が小さい場合と比較して振幅が大きくなるとともに、その収束に要する時間(振動時間)が長くなる。
そこで、本実施の形態1では、EPS制御モードに遷移してステアリングクラッチ3を締結した時点から、角速度差に応じて設定した振動打消し制御時間(ts1、ts2)が経過するまでの間、振動打消し制御を実行する。そして、図示のように、相対的に角速度差が小さい場合には、相対的に振動打消し時間ts1を短く設定し、相対的に角速度差が大きい場合には、相対的に振動打消し時間ts2を長く設定する。
この振動打消し制御の動作について、図9により説明する。
図9は、両転舵モータ13,14により左右前輪5,6を右方向に転舵した場合を示している。
ステアリングギア機構15を、停止状態から両転舵モータ13,14により左右前輪5,6を図9に示す例のように右方向に転舵した場合、トルクセンサ20において捻じれが生じ、転舵に遅れてステアリングホイール1が回動する。このトルクセンサ20による捻じれによる角度差が、トルクセンサ20の検出トルク(トルクセンサ値)として検出される。
図9の最下段は、右転舵時におけるトルクセンサ20の検出トルク(トルクセンサ値)の高周波成分を示している。この図において、プラス側は、転舵角が右方向に大きく、ステアリングホイール1の操舵角が右方向に小さい状態で捻じれている領域である。この場合、転舵モータ13,14を左転舵方向に駆動させ、この捻じれを抑制する。
一方、マイナス側は、転舵角が右方向に小さく、ステアリングホイール1の操舵角が右方向に大きい状態で捻じれている領域である。この場合、転舵モータ13,14を右転舵方向に駆動させ、この捻じれを抑制する。
したがって、トルクセンサ20に高周波の振動が生じた場合、このトルクセンサ20の検出値を無くすように両転舵モータ13,14を駆動させ、ステアリングホイール1の振動を抑制できるとともに、左右前輪5,6における微振動を抑制できる。
そして、このように、ステアリングクラッチ3の締結直後のステアリングホイール1の振動および左右前輪5,6の振動を抑えることができるため、ドライバに与える違和感も抑えることができる。
しかも、このように振動打消し制御を実行する時間(振動打消し制御時間)は、図6に示すように、操舵角速度と転舵角速度との角速度差に応じて決定する。すなわち、ステアリングクラッチ3を挟んで、ステアリングホイール1側と左右前輪5,6側との角速度差が大きいほど、トルクセンサ20における捻じれが大きくなり、その振幅が大きくなるとともに、その収束に要する時間が長くなる。
よって、角速度差が大きいほど、振動打消し制御の実行時間を長く確保することで、トルクセンサ20の振動を原因とする上記のステアリングホイール1の振動および左右前輪5,6の振動をより確実に抑えることができる。
一方、ステアリングクラッチ3を締結するt1の時点で、ドライバがステアリングホイール1に触っている場合(非手放しの場合)は、振動打消し制御時間として手放し時振動打消し制御時間よりも短い非手放し時振動打消し制御時間に設定する。すなわち、ドライバがステアリングホイール1に手を触っている場合、ドライバの手によりステアリングホイール1の振動が抑えられ、その振幅が小さいとともに、振動時間も短く、振動が視覚的に現れにくい。したがって、トルクセンサ20が実際に振動している短時間のみ、振動打消し制御を行うようにすることができる。
さらに、ステアリングクラッチ3を締結するt1の時点の前であるステアバイワイヤモードにおいて、自動運転制御をキャンセルしドライバがステアリングホイール1を手動操作している状態である手動運転モード(正常時)の場合は、本システムになんらかの異常が生じ非正常との判定がされると、ステアリングクラッチ3を締結するt1の時点から、操舵時振動打消し制御を実行せずに、転舵モータ13、14は、トルクセンサ20の検出トルクに応じたアシストトルクのみを出力する。つまり、既にドライバによってステアリングホイール1を手動操作しており、ステアリングクラッチ3が締結されても、締結直後のステアリングホイール1の振動が発生しにくいことから、トルクセンサ20の検出トルクに応じたアシストトルクを出力する。 これは、手動運転モードの場合、図4のフローチャートにおいてステップS1においてNOと判定し(S10にて手動運転モードと判定とする)、この場合、振動打消し制御を実行しないことによる。
図10は、自動運転モード中にEPS制御モードに遷移した際(t11の時点)に、手放し状態である場合と、正常時の手動運転モードでの操舵状態の場合とを比較したタイムチャートである。
この図に示すように、トルクセンサ20の検出トルク(トルクセンサ値)は、手放し状態では、図において実線により示すように、ステアリングクラッチ3の締結後、t13の時点まで振動する。
そこで、この場合、締結時点(t11)から、振動打消し制御時間が経過するt14の時点まで振動打消し制御を行い(振動打消し制御フラグON)、上述したように、トルクセンサ20の振動を打ち消すように転舵モータ13,14を駆動させる。
一方、EPS制御モードに遷移した時点で、既に操舵を行っている手動運転モードの場合、トルクセンサ20の検出トルク(トルクセンサ値)は、図において点線により示すように、締結後の僅かな時間だけ立ち上がるが、その直後のt12の時点で、収束する。
このため、振動打消し制御を行うことはなく(振動打消し制御フラグOFFとする)、転舵モータ13,14は、トルクセンサ20の検出トルク(トルクセンサ値)に応じたアシストトルクのみを出力する。
よって、ステアリングクラッチ3を締結しても、ステアリングホイール1の振動が現れることが無く、無駄な振動打消し制御の実行を省略することができる。
(実施の形態1の効果)
以下に、実施の形態1の車両のステアリング制御方法および車両のステアリング制御装置の効果を列挙する。
1)実施の形態1の車両のステアリング制御方法は、
ステアリングホイール1と、
ステアリングホイール1と左右前輪5,6とを機械的に断接を可能なステアリングクラッチ3と、
ステアリングホイール1に対してトルクを与える操舵アクチュエータとしての反力モータ10と、
左右前輪5,6輪を転舵させるメイン転舵モータ13およびサブ転舵モータ14と、
ステアリングホイール1と左右前輪5.6との間のトルク伝達系の伝達トルクを検出するトルクセンサ20と、
を備えた車両において、
ステアリングクラッチ3を解放して転舵角指令に基づいてステアリングホイール1の操舵角および左右前輪5,6の転舵角を制御するステアバイワイヤモードと、
ステアリングクラッチ3を締結してトルクセンサ20の検出トルクに応じたアシストトルクを左右前輪5,6に対して与えるEPS制御モードと、
を有し、
ドライバが操舵を行わない自動運転モードにおけるステアバイワイヤモードから、ドライバが操舵を行う手動モードにおけるEPS制御モードに遷移するにあたり、ステアリングクラッチ3を締結した後、所定の打消し制御時間の間、トルクセンサ20の検出トルクの高周波成分を打ち消す方向に両転舵モータ13,14を駆動させる。
したがって、ステアリングクラッチ3の締結直後のステアリングホイール1の振動および左右前輪5,6の振動を抑え、ドライバに与える違和感を抑えることができる。
2)実施の形態1の車両のステアリング制御方法は、
検出トルクの高周波成分は、人の操舵時の周波数よりも高周波の成分とした、
したがって、ドライバの操舵のアシストは行いつつ、ステアリングクラッチ3の締結時のトルクセンサ20の振動によるステアリングホイール1の振動および左右前輪5,6の振動を抑えることができる。
3)実施の形態1の車両のステアリング制御方法は、
振動打消し制御時間は、ステアリングクラッチ3を挟んでステアリングホイール1側の角速度である操舵角速度と左右前輪5,6側の角速度である転舵角速度との角速度差に応じた時間とする。
したがって、トルクセンサ20の振動の大きさおよび時間は、角速度差に応じるため、トルクセンサ20の振動を原因とするステアリングホイール1の振動および左右前輪5,6の振動をより確実に抑えつつアシストトルクの打消し時間を短く抑えることができる。
4)実施の形態1の車両のステアリング制御方法は、
ステアリングホイール1にドライバが手を触れているか否かを判定し、手を触れていると判定した場合は、手を触れていないと判定した場合に比べて、打消し制御時間を短くする(図6参照)。
したがって、ドライがステアリングホイール1に手を触れてトルクセンサ20の締結時に振動が生じにくい場合は、振動打消し制御の実行時間を短くし、無駄な振動打消し制御の実行を抑制できる。
5)実施の形態1の車両のステアリング制御方法は、
ステアリングクラッチ3の締結前に、ドライバが操舵を行う手動運転モードの場合は、振動打消し制御を実行することなく、直ちにトルクセンサ20の検出トルクに応じてアシストする。
したがって、ドライバの操舵中は、ステアリングクラッチ3に角速度差が生じていてもドライバによる操舵トルクによってトルクセンサ20の振動が抑制され、トルクセンサ20の検出トルク(トルクセンサ値)の振動は小さい。よって、振動打消し制御を実行しなくても、ステアリングホイール1の振動や左右前輪5,6の振動を生じさせないようにすることができる。
これにより、無駄に振動打消し制御を実行することを抑制できる。
6)実施の形態1の車両のステアリング制御方法は、
振動打消し制御を実行する際には、トルクセンサ20の検出値のハイパスフィルタ78を通過した値の逆位相の指令値を転舵モータ13,14に与える。
したがって、ステアリングクラッチ3の締結時の角速度差に基づく振動のみを、振動打消し制御により抑制することができる。
7)実施の形態1の車両のステアリング制御装置は、
ステアリングホイール1と、
ステアリングホイール1と左右前輪5,6とを機械的に断接を可能なステアリングクラッチ3と、
ステアリングホイール1に対してトルクを与える操舵アクチュエータとしての反力モータ10と、
左右前輪5,6輪を転舵させるメイン転舵モータ13およびサブ転舵モータ14と、
ステアリングホイール1と左右前輪5,6との間のトルク伝達系の伝達トルクを検出するトルクセンサ20と、
ステアリングクラッチ3を解放して自動運転コントローラ100からの転舵角指令に基づいてステアリングホイール1の操舵角および左右前輪5.6の転舵角を制御するステアバイワイヤモードと、ステアリングクラッチ3を締結してトルクセンサ20の検出トルクに応じたアシストトルクを左右前輪5.6に対して与えるEPS制御モードと、を有した転舵制御部としてのステアリングフォースコントロールモジュール7およびメイン転舵角コントロールモジュール8,サブ転舵角コントロールモジュール9と、
を備え、
各コントロールモジュール7~9は、ドライバが操舵を行わない自動運転モードにおけるステアバイワイヤモードから、ドライバが操舵を行う手動運転モードにおけるEPS制御モードに遷移するにあたり、ステアリングクラッチ3を締結した後、所定の打消し制御時間の間、トルクセンサ20の検出トルクの高周波成分を打ち消す方向に両転舵モータ13,14を駆動させる振動打消し制御を実行する。
したがって、ステアリングクラッチ3の締結直後のステアリングホイール1の振動および左右前輪5,6の振動を抑え、ドライバに与える違和感を抑えることができる。
以上、本開示の車両のステアリング制御方法および車両のステアリング制御装置を実施の形態に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施の形態では、振動打消し制御時に、トルクセンサの振動の高周波成分を打ち消すのにあたり、ハイパスフィルタを用いたが、これに限定されず、所望の周波数成分を通過させるバンドパスフィルタなどの他の手段を用いることができる。
また、トルクセンサの検出トルクの高周波成分を打ち消す方向に転舵モータを駆動させる時間である振動打消し制御時間を、角速度に応じ、一次比例的に増加させる例を示したが、これに限定されない。例えば、振動打消し制御時間を、角速度差に応じ、段階的に変化させてもよいし、あるいは、角速度差に応じた振動打消し制御時間を、角速度差が小さい領域では短く抑え、角速度差が大きくなるに連れて、二次関数的に増加さえるようにしてもよい。
さらに、本実施の形態の課題であるトルクセンサの振動は、転舵中にステアリングホイール側と転舵輪側とで角速度差が生じている状態でステアリングクラッチを締結した際に生じるものである。したがって、トルクセンサの検出トルクの高周波成分を打ち消す方向に転舵モータを駆動させる制御開始条件として、転舵中であるか否か、あるいは、角速度差が生じているか否かを加えてもよい。
1 ステアリングホイール
2 ステアリングフォースアクチュエータ
3 ステアリングクラッチ
4 転舵アクチュエータ
5 左前輪(転舵輪)
6 右前輪(転舵輪)
7 ステアリングフォースコントロールモジュール(転舵制御部)
8 メイン転舵角コントロールモジュール(転舵制御部)
9 サブ転舵角コントロールモジュール(転舵制御部)
10 反力モータ
13 メイン転舵モータ
14 サブ転舵モータ
15 ステアリングギア機構
20 トルクセンサ
21 操舵角センサ
22 転舵角センサ
76 EPS制御部(パワーアシスト制御部)
78 ハイパスフィルタ
80 手放しセンサ
100 自動運転コントローラ
ts1 振動打消し制御時間
ts2 振動打消し制御時間

Claims (7)

  1. ステアリングホイールと、
    前記ステアリングホイールと転舵輪とを機械的に断接を可能なクラッチと、
    前記ステアリングホイールに対してトルクを与える操舵アクチュエータと、
    前記転舵輪を転舵させる転舵アクチュエータと、
    前記ステアリングホイールと前記転舵輪との間のトルク伝達系の伝達トルクを検出するトルクセンサと、
    を備えた車両において、
    前記クラッチを解放して転舵角指令に基づいて前記ステアリングホイールの操舵角および前記転舵輪の転舵角を制御するステアバイワイヤモードと、
    前記クラッチを締結して前記トルクセンサの検出トルクに応じたアシストトルクを前記転舵輪に対して与えるアシスト制御モードと、
    を有し、
    自動運転モードにおける前記ステアバイワイヤモードから手動運転モードにおける前記アシスト制御モードに遷移するにあたり、前記クラッチを締結した後、所定の打消し制御時間の間、前記トルクセンサが検出する前記検出トルクの高周波成分を打ち消す方向に前記転舵アクチュエータを駆動する車両のステアリング制御方法。
  2. 請求項1に記載の車両のステアリング制御方法において、
    前記検出トルクの高周波成分は、人の操舵時の周波数よりも高周波の成分とした車両のステアリング制御方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の車両のステアリング制御方法において、
    前記打消し制御時間は、前記クラッチを挟んで前記ステアリングホイール側の角速度である操舵角速度と前記転舵輪側の角速度である転舵角速度との角速度差に応じた時間とする車両のステアリング制御方法。
  4. 請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の車両のステアリング制御方法において、
    前記ステアリングホイールにドライバが手を触れているか否かを判定し、手を触れていると判定した場合は、手を触れていないと判定した場合に比べて、前記打消し制御時間を短くする車両のステアリング制御方法。
  5. 請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の車両のステアリング制御方法において、
    前記クラッチの締結前に、ドライバが操舵を行う前記手動運転モードにおける前記ステアバイワイヤモードであった場合は、前記クラッチを締結した後、前記検出トルクの高周波成分を打ち消す方向に前記転舵アクチュエータを駆動させることなく、直ちに前記トルクセンサが検出する前記検出トルクに応じたアシストトルクを与える車両のステアリング制御方法。
  6. 請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の車両のステアリング制御方法において、
    前記トルクセンサが検出する前記検出トルクの高周波成分を打ち消す方向に前記転舵アクチュエータを駆動させる際には、前記トルクセンサの検出値のハイパスフィルタを通過した値の逆位相の指令値を前記転舵アクチュエータに与える車両のステアリング制御方法。
  7. ステアリングホイールと、
    前記ステアリングホイールと転舵輪とを機械的に断接を可能なクラッチと、
    前記ステアリングホイールに対してトルクを与える操舵アクチュエータと、
    前記転舵輪を転舵させる転舵アクチュエータと、
    前記ステアリングホイールと前記転舵輪との間のトルク伝達系の伝達トルクを検出するトルクセンサと、
    前記クラッチを解放して転舵角指令に基づいて前記ステアリングホイールの操舵角および前記転舵輪の転舵角を制御するステアバイワイヤモードと、前記クラッチを締結して前記トルクセンサの検出トルクに応じたアシストトルクを前記転舵輪に対して与えるアシスト制御モードと、を有する転舵制御部と、
    を備え、
    前記転舵制御部は、自動運転モードにおける前記ステアバイワイヤモードから手動運転モードにおける前記アシスト制御モードに遷移するにあたり、前記クラッチを締結した後、所定の打消し制御時間の間、前記トルクセンサが検出する前記検出トルクの高周波成分を打ち消す方向に前記転舵アクチュエータを駆動させる車両のステアリング制御装置。
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