JP6995656B2 - 構造物送出し工法 - Google Patents
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Description
これに対し、既設の構築物の改築や増築に伴い新たな構造物を構築する際に、その構造物を設置する地点では構造物の組み立てが困難である場合に、上記した送出し工法のように構造物の設置地点から離れた箇所で構造物を組み立て、その構造物を所定位置まで送り出すことがあるが、既設の構築物の周囲にはその送り出しの妨げになる既存の支障物があることが多い。
支障物がある現場で構造物を送り出すには、その支障物を一時的に移設するなどの対応が必要になり、工期や工費が増大することになるという問題があった。
そこで、本発明者らが鋭意検討し、既存の支障物を移設することなく、その支障物を回避しながら構造物を所定位置まで送り出すための技術を開発するに至った。
所定位置から離れた箇所で組み立てた構造物を前記所定位置まで送り出して設置する構造物送出し工法であって、
前記構造物を前記所定位置まで送り出す経路に支障物がある場合、前記構造物を送り出す過程で前記支障物に突き当たる前記構造物の一部に、その配置を切り替え可能な可動部材を予め組み付けておき、前記支障物との衝突を回避するように前記可動部材の配置を切り替えて、前記構造物を送り出すようにした。
なお、構造物を送り出した後、配置を切り替えた可動部材を元の配置に戻すように復元する。
前記構造物の一部には、その構造物が送り出される方向に並んだ複数の前記可動部材が組み付けられており、
前記構造物を送り出す過程で、前記複数の可動部材のうち前記支障物に近接した前記可動部材の配置を切り替えて前記構造物を送り出し、前記支障物を通過した前記可動部材を復元させることを繰り返して、前記構造物を前記所定位置まで送り出すようにする。
こうすることで、複数の可動部材のうち、その配置を切り替えた可動部材以外の可動部材が構造体に組み付けられている状態を維持して、その構造体を構造的に安定させることができるので、構造物の送り出しを好適に行うことができる。
前記構造物は、上部構造体と下部構造体に分割された態様を有しており、
前記上部構造体と前記下部構造体の間に前記可動部材が組み付けられているようにする。
前記可動部材は、一端に回動支点を有しており、前記回動支点を中心にして回動されることで、その配置を切り替え可能に構成されているようにする。
前記可動部材は、出没可能なロッド部を有するジャッキ装置であり、その配置の切り替えは前記ロッド部の出没により行われるようにする。
本実施形態では、既設のトンネル緩衝工を延設する際に、トンネル緩衝工の延設部分を既設のトンネル緩衝工上で組み立て、組み立てたトンネル緩衝工(構造物)を所定位置まで送り出して設置する構造物送出し工法を例に説明する。
既設のトンネル緩衝工(図示省略)上で組み立てた構造物であるトンネル緩衝工10を所定位置まで送り出す経路には、例えば、図1に示すように、支障物である電化柱Pが設けられている。
その電化柱Pを一時的に移設することなく、トンネル緩衝工10を所定位置まで送り出すために、トンネル緩衝工10を送り出す過程で電化柱Pに突き当たるトンネル緩衝工10の一部に、その配置を切り替え可能な可動部材である骨組部材20を予め組み付けておくようにする。
具体的には、図1(a)に示すように、天面部11と側面部12とを分割した態様のトンネル緩衝工10を組み立てるにあたって、上部構造体である天面部11と下部構造体である側面部12の間に複数(ここでは左右の側面に4つずつの計8つ)の骨組部材20を組み付けておく。
また、そのトンネル緩衝工10を所定位置まで送り出す経路には、送出し軌条31が敷設されており、トンネル緩衝工10の側面部12の下部には、送出し軌条31に沿って転動する台車30が設けられている。
なお、左右の側面に組み付けられている4つの骨組部材20は、トンネル緩衝工10が送出し軌条31に沿って送り出される方向に並んで、天面部11と側面部12の間に組み付けられている。
UFCパネルを用いたことで、天面部11や側面部12の薄肉化・軽量化を図るとともに、より高い疲労耐久性を有するトンネル緩衝工10を構築することができる。
ここでは、骨組部材20の下端が側面部12に当接し、骨組部材20の上端が天面部11に当接した状態で組み付けられている。
なお、ジャッキを伸ばした状態で骨組部材20を天面部11と側面部12の間に取り付けることができ、ジャッキを縮めた状態で骨組部材20を天面部11と側面部12の間から取り外すことができるようになっている。
本実施形態のトンネル緩衝工10には、8つの骨組部材20が組み付けているが、左右の側面に3つずつの計6つの骨組部材20が組み付けられていればトンネル緩衝工10が構造的に安定し、そのトンネル緩衝工10の送り出しが可能であることが強度計算などによって確認されている。
次いで、図1(b)に示すように、天面部11と側面部12の間に組み付けられている骨組部材20のうち、電化柱Pに近接した骨組部材20を取り外すように、その骨組部材20の配置を切り替えてトンネル緩衝工10を送り出す。
ここでは、電化柱Pに近接した骨組部材20を取り外すことで、その骨組部材20が電化柱Pと衝突するのを回避している。
このとき天面部11は左右の電化柱Pの内側を通過し、側面部12は電化柱Pの外側を通過するようになっている。
そして、その次に電化柱Pに近接した骨組部材20を取り外すように、その配置を切り替える。
こうして、複数の骨組部材20のうち電化柱Pに近接した骨組部材20が電化柱Pと衝突するのを回避するように、その骨組部材20の配置を切り替えてトンネル緩衝工10を送り出し、電化柱P部分を通過した骨組部材20を復元させることを繰り返して、図1(d)に示すように、トンネル緩衝工10を所定位置まで送り出す。
つまり、このような構造物送出し工法であれば、トンネル緩衝工10を送り出す過程で、電化柱Pを天面部11と側面部12の間を通すように、トンネル緩衝工10を所定位置まで送り出すことができる。
そして、台車30を外してそのトンネル緩衝工10を所定位置に据え付けて設置するようにする。
つまり、電化柱Pを一時的に移設することなく、トンネル緩衝工10を所定位置まで送り出すことができるので、工期や工費を抑えることができる。
こうすることで、所定位置にトンネル緩衝工10を送り出した後に天面部11と側面部12の間に骨組材(主構)とUFCパネルを組み付ければ、トンネル緩衝工10の組み立てを速やかに終えることができる。
なお、仮設の骨組部材20の組み付け位置と、緩衝工の骨組みとなる鋼材の組み付け位置が同一ではなくてもよいので、緩衝工の骨組みとなる鋼材の組み付け位置からずらした位置に仮設の骨組部材20を組み付けておけば、その骨組部材20を撤去する前に緩衝工の骨組みとなる鋼材を天面部11と側面部12の間の面内に組み付けることができる。
次に、本発明に係る構造物送出し工法の実施形態2について説明する。なお、実施形態1と同一部分には同符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
つまり、この骨組部材20はトンネル緩衝工10の側面部12に回動可能に軸着されており、ジャッキを伸ばした状態で骨組部材20を天面部11と側面部12の間に配置させることができ、ジャッキを縮めた状態で骨組部材20を天面部11と側面部12の間から退避させることができるようになっている。
なお、この骨組部材20は、その下端に回動支点を有しており、トンネル緩衝工10の側面部12に軸着された箇所を回動支点として回動し、その配置を切り替え可能としている。
次いで、図2(b)に示すように、天面部11と側面部12の間に組み付けられている骨組部材20のうち、電化柱Pに近接した骨組部材20の姿勢を変えるように、その骨組部材20の配置を切り替えてトンネル緩衝工10を送り出す。
ここでは、電化柱Pに近接した骨組部材20を回動させて、その電化柱Pをかわすように姿勢を切り替えることで、その骨組部材20が電化柱Pと衝突するのを回避している。
なお、天面部11と側面部12の間の面内から骨組部材20を面外に退避させる方向に回動させることに限らず、天面部11と側面部12の間に空間をつくるように、天面部11と側面部12の間の面内で骨組部材20を側面部12側に倒して収納する方向に回動させるようにしてもよい。
そして、その次に電化柱Pに近接した骨組部材20を回動させて、その電化柱Pをかわす配置に切り替える。
こうして、複数の骨組部材20のうち電化柱Pに近接した骨組部材20が電化柱Pと衝突するのを回避するように、その骨組部材20の配置を切り替えてトンネル緩衝工10を送り出し、電化柱P部分を通過した骨組部材20を復元させることを繰り返して、図2(d)に示すように、トンネル緩衝工10を所定位置まで送り出す。
こうすることで、所定位置にトンネル緩衝工10を送り出した後に天面部11と側面部12の間に骨組材(主構)とUFCパネルを組み付ければ、トンネル緩衝工10の組み立てを速やかに終えることができる。
なお、仮設の骨組部材20の組み付け位置と、緩衝工の骨組みとなる鋼材の組み付け位置が同一ではなくてもよいので、緩衝工の骨組みとなる鋼材の組み付け位置からずらした位置に仮設の骨組部材20を組み付けておけば、その骨組部材20を撤去する前に緩衝工の骨組みとなる鋼材を天面部11と側面部12の間の面内に組み付けることができる。
次に、本発明に係る構造物送出し工法の実施形態について説明する。なお、実施形態1と同一部分には同符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
つまり、ジャッキ装置22がロッド部21を突出させた配置にすることで、そのジャッキ装置22が天面部11と側面部12の間に組み付けられた状態となり、ジャッキ装置22がロッド部21を没入させた配置に切り替えることで、天面部11と側面部12の間に空間をつくることができるようになっている。
次いで、図3(b)に示すように、天面部11と側面部12の間に組み付けられているジャッキ装置22のうち、電化柱Pに近接したジャッキ装置22のロッド部21を没入させるように、その配置を切り替えてトンネル緩衝工10を送り出す。
ここでは、電化柱Pに近接したジャッキ装置22のロッド部21を没入させて、その電化柱Pをかわすようにすることで、そのジャッキ装置22(ロッド部21)が電化柱Pと衝突するのを回避している。
そして、その次に電化柱Pに近接したジャッキ装置22のロッド部21を没入させて、その電化柱Pをかわす配置に切り替える。
こうして、複数のジャッキ装置22のうち電化柱Pに近接したジャッキ装置22が電化柱Pと衝突するのを回避するように、そのジャッキ装置22のロッド部21の配置を切り替えてトンネル緩衝工10を送り出し、電化柱P部分を通過したジャッキ装置22を復元させることを繰り返して、図3(d)に示すように、トンネル緩衝工10を所定位置まで送り出す。
なお、例えば、送出し軌条31に沿って送り出されるトンネル緩衝工10のジャッキ装置22と電化柱Pとの距離を測定するセンサと、そのセンサが測定した距離に応じてジャッキ装置22を作動させる制御部等を備えるシステムを構築すれば、トンネル緩衝工10が送り出される過程で自動的にジャッキ装置22のロッド部21を出没させて、電化柱Pとの衝突を回避するようにトンネル緩衝工10の送り出す作業を容易に行うことが可能になる。このとき、トンネル緩衝工10が送出し軌条31に沿って自走するシステムとすれば、その送り出し作業をほぼ自動化することが可能になる。
こうすることで、所定位置にトンネル緩衝工10を送り出した後に天面部11と側面部12の間に骨組材(主構)とUFCパネルを組み付ければ、トンネル緩衝工10の組み立てを速やかに終えることができる。
なお、仮設のジャッキ装置22の組み付け位置と、緩衝工の骨組みとなる鋼材の組み付け位置が同一ではなくてもよいので、緩衝工の骨組みとなる鋼材の組み付け位置からずらした位置に仮設のジャッキ装置22を組み付けておけば、そのジャッキ装置22を撤去する前に緩衝工の骨組みとなる鋼材を天面部11と側面部12の間の面内に組み付けることができる。
次に、本発明に係る構造物送出し工法の実施形態4について説明する。なお、実施形態1と同一部分には同符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
この脚部材25の上端部は天面部11に軸着されており、例えば、図示しないウインチによるワイヤー操作によって下端部(台車30)を上げ下げするように、脚部材25の配置が切り替えられるようになっている。
なお、脚部材25の配置の切り替えにウインチを用いることに限らず、例えば、モーター駆動されるギアなどによって下端部(台車30)を上げ下げする切り替えを行ってもよい。
次いで、図4(b)に示すように、天面部11に組み付けられている脚部材25のうち、電化柱Pに近接した脚部材25を上昇させるように、その脚部材25の配置を切り替えてトンネル緩衝工10を送り出す。
ここでは、電化柱Pに近接した脚部材25を回動させて、支障物である電化柱Pと電化柱PのビームBをかわす配置に切り替えることで、その脚部材25が電化柱PやビームBと衝突するのを回避している。特に、脚部材25を上昇させる際、台車30が設けられている下端部を左右の送出し軌条31よりも内側に寄せるようにして、脚部材25を左右の電化柱Pの内側に配するようにその配置を切り替えている。
このとき天面部11と天面部11側に上昇している脚部材25は左右の電化柱Pの内側であってビームBの上側を通過するようになっている。
そして、その次に電化柱Pに近接した脚部材25を上昇させるように回動させて、その電化柱PとビームBをかわす配置に切り替える。
こうして、複数の脚部材25をのうち電化柱Pに近接した脚部材25が電化柱Pと衝突するのを回避するように、その脚部材25の配置を切り替えてトンネル緩衝工10を送り出し、電化柱P部分を通過した脚部材25を復元させることを繰り返して、図4(d)(e)に示すように、トンネル緩衝工10を所定位置まで送り出す。
なお、所定位置にトンネル緩衝工10を送り出した後、脚部材25に換えて、天面部11の両側に緩衝工の骨組みとなる鋼材と緩衝工の側面部となるUFCパネルを組み付けて、トンネル緩衝工10の組み立てを終え、そのトンネル緩衝工10を所定位置に据え付けるようにする。
11 天面部(上部構造体)
12 側面部(下部構造体)
20 骨組部材(可動部材)
21 ロッド部
22 ジャッキ装置(可動部材)
25 脚部材(可動部材)
30 台車
31 送出し軌条
P 電化柱(支障物)
B ビーム(支障物)
Claims (5)
- 所定位置から離れた箇所で組み立てた構造物を前記所定位置まで送り出して設置する構造物送出し工法であって、
前記構造物を前記所定位置まで送り出す経路に支障物がある場合、前記構造物を送り出す過程で前記支障物に突き当たる前記構造物の一部に、その配置を切り替え可能な可動部材を予め組み付けておき、前記支障物との衝突を回避するように前記可動部材の配置を切り替えて、前記構造物を送り出すことを特徴とする構造物送出し工法。 - 前記構造物の一部には、その構造物が送り出される方向に並んだ複数の前記可動部材が組み付けられており、
前記構造物を送り出す過程で、前記複数の可動部材のうち前記支障物に近接した前記可動部材の配置を切り替えて前記構造物を送り出し、前記支障物を通過した前記可動部材を復元させることを繰り返して、前記構造物を前記所定位置まで送り出すことを特徴とする請求項1に記載の構造物送出し工法。 - 前記構造物は、上部構造体と下部構造体に分割された態様を有しており、
前記上部構造体と前記下部構造体の間に前記可動部材が組み付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の構造物送出し工法。 - 前記可動部材は、一端に回動支点を有しており、前記回動支点を中心にして回動されることで、その配置を切り替え可能に構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の構造物送出し工法。
- 前記可動部材は、出没可能なロッド部を有するジャッキ装置であり、その配置の切り替えは前記ロッド部の出没により行われることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の構造物送出し工法。
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