本発明を実施するための形態を説明する。
<ドットパターン>
本発明において「ドットパターン」とは、複数のドットの配置アルゴリズムにより情報コードを符号化したものである。
ドットパターン101は本発明のいずれの実施形態においても、K成分により印刷される。すなわち、印刷媒体上にはドットパターン101のみがK成分により印刷される。
より好ましい実施形態においては、ドットパターン101はK成分の黒色により印刷される。ただし、ここでいう黒色とは後述するドットパターン101の読取の際に黒色である、とCPUが認識できる範囲のものであれば足りる(すなわち明度の低いグレー等であってもよい)。
また、ドットパターン101はK成分を用いずに、CMY成分を用いた黒色(いわゆるコンポジットブラック)により印刷されてもよい。なお、ドットパターン101をCMY成分の内のいずれかの1成分を高諧調で印刷し、グラフィックは他の成分の内の1成分で印刷してもよい。その場合は、ドットパターン印刷に選択した成分または、当該成分とグラフィック印刷用に選択した成分の合成色を、ドットとして読み取ればよい。さらに、グラフィックのイメージ領域を複数の部分領域で構成して、それらの部分領域の成分は、ドットパターン印刷に選択した1成分以外の2成分の内、いずれかの1成分を使用し、部分イメージ領域毎にその成分が異なっても構わない。つまり、ドットパターン印刷に選択した1成分を含む成分だけを読み取れば、ドットパターンを読み取ることができる。なお、ドットパターン印刷に選択した1成分または、3成分が混合した黒でドットの認識を行う場合は、他の成分はドットパターン印刷に選択した1成分以外の2成分をどのように使用してもよい。
ドットパターンによる情報コードの符号化アルゴリズムについては、グリッドマーク社のGrid Onput(登録商標)、Anoto社のアノトパターン等の、周知のアルゴリズムを用いることができる。
ドットパターン101の符号化アルゴリズム自体は、本発明のように可視光により読み取る場合と、周知技術のように赤外線により読み取る場合と、で共通する。
ドットパターン101はこの他にも、視認できないか、視認できたとしても単なる模様として認識される程度のものであれば、どのようなドットパターンであっても使用することができる。
また、ドットパターン101は座標値を定義することにより、その読み取り位置により異なる情報コードを符号化することができる。
<イメージ領域>
本発明において「イメージ領域」とは、図形や文字、絵文字、画像、写真が印刷された領域を意味する。
イメージ領域102の図形、文字はC成分、M成分、Y成分、CM成分、MY成分、CY成分、のいずれかの成分により印刷される。
「CM成分」とはC成分とM成分の重畳を、「MY成分」とはM成分とY成分の重畳を、「CY成分」とはC成分とY成分の重畳を、それぞれ意味する。
また、イメージ領域102中には、C成分、M成分、Y成分、CM成分、MY成分、CY成分、のいずれかの成分により印刷される部分領域が2以上含まれていてもよい。
ただし、イメージ領域102中にCMY成分すべてが重畳する部分がある場合、その部分はドットパターン101の読取時に黒色のドットとして誤認識されるおそれがある。したがって、図1および図2に示すようにイメージ領域102はいずれの部分領域においても、CMY成分すべてが重畳する領域を設けないようにする必要がある。
<印刷媒体>
本発明においては、図3に示すように印刷媒体103の面全体にドットパターン101を印刷するものとしてもよいし、図4に示すようにイメージ領域102にのみドットパターン101を重畳印刷するものとしてもよい。図示しないが、図3においてドットパターン101は印刷媒体103の面全体でなく任意の領域に印刷してもよい。
また、イメージ領域102にのみドットパターン101を重畳印刷する場合は、図4に示すようにイメージ領域102全体にドットパターン101を重畳印刷するものとしてもよいし、図5に示すようにイメージ領域102の一部にドットパターン101を重畳印刷するものとしてもよい。
また、図6に示すように印刷媒体103の表面に施されたシンボルやロゴ(デザイン化された文字によるロゴに限らず、いわゆる標準文字によるロゴも含む)にドットパターン101を重畳印刷することもできる。
このように、媒体表面に施されたシンボルやロゴにドットパターンを重畳印刷したものを本発明においては「アイコン」という。
<光学的読み取り>
本発明のドットパターン101から情報を復号する際には、カメラによりドットパターン101をイメージ領域102ごと撮影し、CPUにより画像解析をして、撮影した画像から黒色の部分をドットパターン101として抽出する。前述のとおり、イメージ領域102において黒色が表現されることはないため、ドットパターン101を容易に抽出することができる。なお、ドットパターン101をCMY成分の内のいずれかの1成分を高諧調で印刷し、イメージ領域102は他の成分で印刷してもよい。その場合は、ドットパターン印刷に選択した成分または、当該成分とイメージ領域102の印刷用に選択した成分の合成色(インクの混合色)を、ドットパターン101として抽出する。当然ながら、イメージ領域102において当該成分とイメージ領域102の印刷用に選択した成分の合成色が表現されることはないため、ドットパターン101を容易に抽出することができる。
CPUは当該ドットパターン101により符号化された情報コードを、ドットパターンによる情報コードの復号化アルゴリズムに従って復号化する。
<変換方法>
イメージ領域102はCMY成分のうち、C成分、M成分、Y成分、CM成分、MY成分、CY成分、のいずれかの成分により印刷されるように、予めデザインするか、CMY成分により表現された元の画像をC成分、M成分、Y成分、CM成分、MY成分、CY成分、のいずれかの成分により印刷されるように変換する画像処理を施す必要がある。
そこで、通常のCMY値により表現された画像(イラストや写真等)を、C成分、M成分、Y成分、CM成分、MY成分、CY成分、のいずれかの成分により印刷されるイメージ領域102に変換にする方法を説明する。
<第一の変換方法>
通常のCMY値により表現された画像を入力し、部分領域ごとのCMY値を算出する。
そして、部分領域ごとのC成分、M成分、Y成分の値を比較して、最も値の低い成分を無くすことにより、M成分、Y成分、CM成分、MY成分、CY成分、のいずれかの成分により印刷されるイメージ領域102に変換にする。
ここで、「成分を無くす」ことは、当該成分の値をゼロとした印刷データを生成することと、当該成分を印刷しないように信号として印刷手段に送信することと、当該成分を印刷する信号を印刷手段に送信しないこと、の少なくともいずれかを意味する。
<第二の変換方法>
第一の変換方法の変形例として、Y成分が色に与える影響が少ないことに着目した変換方法を説明する。
通常のCMY値により表現された画像を入力し、部分領域ごとのCMY値を算出する。
次に、部分領域ごとのC成分、M成分、Y成分の値を比較し、下記の場合分けにより入力した画像を、M成分、Y成分、CM成分、MY成分、CY成分、のいずれかの成分により印刷されるイメージ領域102に部分領域毎に変換にする。
(1)C≧Y≧Mである場合、
(1-1)かつ、Y≦αMの場合、Y成分を無くす。
(1-2)かつ、Y>αMの場合、M成分を無くす。
(2)M≧Y≧Cである場合、
(2-1)かつ、Y≦αCの場合、Y成分を無くす。
(2-2)かつ、Y>αCの場合、C成分を無くす。
(3)C>M>Yである場合、Y成分を無くす。
(4)M>C>Yである場合、Y成分を無くす。
(5)Y>C>Mである場合、
(5-1)かつ、Y≦αMの場合、Y成分を無くす。
(5-2)かつ、Y>αMの場合、M成分を無くす。
(6)Y>M>Cである場合、
(6-1)かつ、Y≦αCの場合、Y成分を無くす。
(6-2)かつ、Y>αCの場合、C成分を無くす。
なお、上記で示した「α」は任意の係数であり、好ましくは、第二の変換方法はグラフィカルユーザインタフェースにおいて行えるものとし、光学読み取り手段で実際にドットを読みながら、設計者が係数αを調節できるものとする。もしくは、光学読み取り手段の撮像解像度や色諧調、および/または印刷物の印刷精度、再現色諧調をシミュレーションし、最適な「α」を定めればよい。
<第三の変換方法>
第三の変換方法を説明する。
第三の変換方法では通常のCMY値により表現された画像を、テーブルを用いて変換する。
変換の前提として、表1に示すような元の画像のCMY値の比率に対応した変換後のCMY値の比率を記述した比率変換テーブルを作成する。この比率変換テーブルはコンピュータやプリンタのメモリに格納しておき、変換時に参照できるようにしておく。当然ながら変換後のCMY値の比率は、C、M、Yの少なくとも1つの値がゼロになるように記述しておく必要がある。
変換をする際には、通常のCMY値により表現された画像を入力し、部分領域ごとのCMY値を算出する。次に、比率変換テーブルを参照して、当該通常CMY値の比率に対応したCMY値の比率に変換して、当該部分にマッピングする。比率変換テーブルは、光学読み取り手段の撮像解像度や色諧調、および/または印刷物の印刷精度、再現色諧調をシミュレーションして予め作成する。または、実際に様々な条件で印刷された試験媒体を計測して、光学読み取り手段の性能も前提条件に加え、予め比率変換テーブルを作成する。
<第四の変換方法>
第四の変換方法は、通常のCMY成分により表現された画像(イラストや写真等)を、任意の色調に変換することにより、C成分、M成分、Y成分、CM成分、MY成分、CY成分、のいずれかの成分により印刷されるイメージ領域に変換にする方法である。
<1色の色調に変換する場合>
1色の色調に変換する場合は、通常のCMY成分により表現された画像を入力し、当該画像の部分ごとの明度を算出し、当該部分ごとの明度と対応する値のC成分(またはM成分、Y成分)をマッピングすることにより、画像をC成分のみにより印刷されるイメージ領域102に変換にする。
他の1色の色調に変換する方法としては、CMY成分により表現された画像を一旦、グレースケールに変換して、その明度で任意の色調でマッピングしてもよい。マッピングする際、グレースケールの値をK、任意の色調のスケールをCとして、C=F(K)とする、関数Fを使用してもよい。なお、画像からグレースケールへの変換方法は、中間値法、加重平均法、単純平均法、Gチャンネル法などがあり、対象の画像を表現できる最適な方法を選択すればよい。
中間値法は全ての画素のR、G、B値のうちの最大値と最小値を加算して2で除した値とする方法、加重平均法は全ての画素のR、G、B値に重み付けをして、それらの平均値とする方法、単純平均法はR、G、B値の平均値とする方法、Gチャンネル法はR、G、B値のうちのGの値とする方法である。
算出した明度と変換後の値との関係は、色調変換テーブルにより予め記述しておいてもよい。
<2色の色調に変換する場合>
通常のCMY成分により表現された画像を入力し、選択した成分以外の成分を無くす。例えば、CM2色の色調に変換する場合は、Y成分を無くすことにより、C成分、M成分、CM成分、のいずれかの成分により印刷されるイメージ領域102に変換される。
ここで、画像の部分ごとのC成分の値およびM成分の値に、無くしたY成分の値に所定の係数βを乗じた値を加算してもよい。
また、C成分の値とM成分の値とで、異なる係数β1、β2をY成分の値に乗じた値を加算するものとしてもよい。
好ましくは、第四の変換方法はグラフィカルユーザインタフェースにおいて行えるものとし、設計者が係数β、β1、β2を調節できるものとする。
<第五の変換方法>
第五の変換方法では、変換後の画像の色が元の画像の色とできるだけ同じに見えるように変換する。
まず、通常のCMY成分により表現された画像を入力し、当該画像を所定領域1021に分割し、その所定領域1021ごとのC値、M値、Y値を算出する。
なお、所定領域1021ごとの成分値からCMY成分すべてが重畳される領域を減じたC値、M値、Y値を算出するのが望ましい。
次に各所定領域1021を、CMY成分のうち、C成分のみにより印刷されるC成分領域、M成分のみにより印刷されるM成分領域、Y成分のみにより印刷されるY成分領域、のそれぞれの成分領域1022に分割し、それぞれの前記成分領域1022が備える成分の値に、それぞれの前記成分領域1022が備える成分のC値、M値、Y値に該成分領域1022の面積の値を乗じた合計値と、前記所定領域1021のC値、M値、Y値に当該所定領域1021の面積の値を乗じた合計値と、が等しくなるように、それぞれの前記成分領域1022のC値、M値、Y値をマッピングする。
また、所定領域1021を、CMY成分のうち、C成分のみにより印刷されるC成分領域、MY成分のみにより印刷されるMY成分領域、のそれぞれの成分領域1022に分割するものとしてもよいし、または、M成分のみにより印刷されるM成分領域、CY成分のみにより印刷されるCY成分領域のそれぞれの成分領域1022に分割するものとしてもよい。
Y成分は黒(ドット)との識別に与える影響が少ないため、C成分とMY成分、またはM成分とCY成分に分割することがより望ましい。どちらを選択するかは、C成分がM成分より大きい場合、C成分とMY成分に分割し、C成分がM成分より小さい場合、M成分とCY成分に分割するのが望ましい。
このように画像を変換しても、図7に示すように人間の目には細かく分割された成分領域1022ごとの色が混ざり合って(これを「ビューミックス」という)、元の所定領域1021の色(もしくはその近似色)として認識されるため、元の画像とほぼ同様の画像として視認させることができる。なお、一般的な印刷方式として網点方式とFMスクリーン方式がある。網点方式では、C、M、Yの成分を所定の規則で配置された位置に各成分色のドットを印刷し、その成分の諧調をドットの大きさ(網点量)で表現する。また、網点量が小さくても所定の規則によりモアレを防止するために各成分が重なる個所が発生する。網点量が大きいと各成分が重なり、その重複部分は色が混ざり合って黒色に近いこげ茶色(コンポジットブラック)となる。一方、FMスクリーン方式では、印刷領域が均一に分割された所定領域内に整列された印刷点に均一な大きさのドットが配置される。各成分の諧調は、所定領域の印刷点に配置されるドットの数によって定まる。明度が低ければ、K成分のドットの数は多くなる。彩度が高ければC、M、Y成分のドットの数は多くなり、K成分のドットの数は少なくなる。網点方式とFMスクリーン方式のいずれであっても、ビューミックスを利用している。ただし、FMスクリーン方式でC、M、Y成分だけで印刷すれば黒色は発生しないが、網点方式ではC、M、Y成分だけで印刷してもコンポジットブラックが発生する。従って、本発明は、C、M、Y成分を含む領域において、網点方式でもコンポジットブラックが発生しないように変換する発明である。さらに、コンポジットブラックを発生させて本来の色を表現するため、コンポジットブラックの代わりにドットパターンの黒色を用いる。その際、ドットパターンのドットの大きさを可変にして、発生するコンポジットブラックと同程度の色彩影響を有するようにドットの大きさを制御してドットパターンを生成すればよい。すなわち、単位面積当たりのドットの面積とコンポジットブラックの面積と同程度になるようドットの大きさを決定すればよい。その際、コンポジットブラックを発生させないように所定領域にC、M、Y成分を配置するが、コンポジットブラックの面積分だけ、各C、M、Y成分から減じる必要がある。画像変換してコンポジットブラックが発生しないような場合は、色彩が人の目に殆ど影響ないようなドットの大きさにすればよい。
すなわち、ドットを認識できる、最少の大きさを有する第一のドットおよび最大の大きさを有する第二のドットの合計面積と、部分領域のうちCMY成分すべてが重畳される領域の合計面積と、を比較する。CMY成分すべてが重畳される領域の合計面積が、第一のドットの合計面積より小さい場合には、部分領域に印刷されるドットパターンを第一のドットとする。CMY成分すべてが重畳される領域の合計面積が、第二のドットの合計面積より大きい場合には、部分領域に印刷されるドットパターンを第二のドットとする。CMY成分すべてが重畳される領域の合計面積が、第一のドットの合計面積より大きく、第二のドットの合計面積より小さい場合には、部分領域に印刷されるドットパターンのドットの合計面積と、CMY成分すべてが重畳される領域の合計面積と、が等しくなるような大きさのドットとする。
この場合CMY成分すべてが重畳される領域の合計面積が、第一のドットの合計面積より小さいか、または第二のドットの合計面積より大きい場合には、所定の範囲でドットパターンのドット間隔の大きさを制御して、第一のドットの合計面積より大きく、第二のドットの合計面積より小さくし、部分領域に印刷されるドットパターンのドットの合計面積と、該CMY成分すべてが重畳される領域の合計面積と、が等しくなるような大きさのドットとする。
ただし、ドットの大きさは、光学読取手段により認識できる大きさの範囲でなければならない。
なお、図7の所定領域1021は矩形であるが、任意の形状でも当然構わない。
図8および9は、図7の所定領域1021の具体例を示す図である。
図8(a)は、ビューミックスにより鮮明な画像を提供する液晶ディスプレイのRGBと同様な配置法則で所定領域1021の形状を矩形としたものである。(b)は、境界において同色が隣り合わないように所定領域1021の形状を六角形としたものである。図8(a)および(b)は、境界において同色が隣り合わないように所定領域1021の形状を三角形としたものである。
このように、所定領域1021は、種々の形状とすることができる。また、図9に示すように、同じ形状であっても、C、M、Yの各ピクセルの形状を任意に設定することができる。
人が所定の印刷物を視認するのに適正な位置または所定の位置において、所定の印刷領域において分割して印刷されたC、M、Yの成分または、C、M、Yの成分とドットが、混ざって所定の色に見えるビューミックスが適正に生じるように、成分分割・マッピングする工程をビューミックス工程という。視点位置は、印刷媒体や対象とするグラフィックの用途・大きさ・形状などによって異なる。ハガキなど比較的小さな印刷媒体では、20~40cm前後離れて見る際に、ビューミックスが生じ、ポスターなどの大型の印刷媒体では、1m以上でビューミックスが生じるよう、所定の印刷領域を定める。すなわち予め視点位置を概ね定めることによって適正な所定領域を定めればよい。
その一方で、カメラを媒体に近づけても、離れて撮影しても、情報処理装置のフレームバッファ(撮像画像データが記録される一時記憶媒体)に記録された画像データにおいて本来のドットパターン101の配置が適正に認識できる解像度であればよい。何らかの光源(自然光、人口光、間接光)により照射され印刷面より各成分の反射光をカメラが撮像することから、光が合成されてコンポジットブラックが発生することはないため、ドットパターン101をイメージ領域102と区別して撮影することができる。つまり、カメラの解像度が低い場合でもCMY成分とインクが乗っていない媒体面の色(白色の紙であれば白色)により媒体面からの反射光が混ざってカメラの素子に撮像されるが、インクが混ざって黒っぽく(コンポジットブラック)なるのとは異なり、単位面積において光が多く混ざることにより明度は高くなり、ドットパターン101をイメージ領域102と区別して撮影することができる。
すなわち、本願の発明者はドットを認識できない人間の目と、ドットを認識できるカメラの視認位置と撮影位置における色の見え方を利用して、ドットパターンの重畳印刷と併存できる印刷技術および可視光によるドットパターン読み取り技術を開発したものである。
本願発明のその他の実施形態について説明する。
図10に示すように、網点印刷で、CMYでグラフィックを表現した場合は図10(a)のように、C、M、Yが配置されて印刷される。なお、網点の形状は丸またはその他の形状でもよい。通常ドットは黒色で図10(b)のように配置されるが、グラフィックと重畳印刷すると図10(c)のように印刷される。
図11に示すように、網点で印刷された場合は、図11(a)のように、C、M、Yが重なった領域はインクが混じり、黒色に近い濃いこげ茶色となる。撮像した(a)の画像からC、M、Y成分だけを画像処理により取り除くと図11(b)のようにC、M、Yが重なった領域の黒色に近い濃いこげ茶色の画像となる。黒色のドットと重畳印刷した場合は、図9(c)のような画像となり、この画像からドットだけを2値化して抽出することは困難になる。なお、印刷されインクが混じり合い黒色に近い濃いこげ茶色の領域が、ドットの大きさと比較して十分小さく(撮像画像で少なくとも面積が1/4程度以下)ドットと判別できる場合のC、M、Y成分の網点量であればよい。なお、ドットの大きさ(直径)の少なくとも1/2程度以下のC、M、Yの各網点量(網点の直径)で且つ、各網点量が50%未満となるようグラフィックを表現すればよい。各網点量が50%未満であればインクが混じり合い黒色に近い濃いこげ茶色の領域がドットの大きさ(面積)の少なくとも1/4程度以下となり、ドットを判別できる。
図12に示すように、網点印刷で、CMYKでグラフィックを表現しドットを重畳印刷した場合は図12(a)のように、C、M、Y、Kが配置されて、ドットが黒色で重畳印刷される。撮像した図12(a)の画像からC、M、Y成分だけを画像処理により取り除くと図12(b)のようにC、M、Yが重なった領域の黒色に近い濃いこげ茶色とKの黒色の画像となり、この画像からドットだけを2値化して抽出することは困難になる。なお、印刷されインクが混じり合い黒色に近い濃いこげ茶色の領域とKの黒色領域が、ドットの大きさと比較して十分小さく(撮像画像で少なくとも面積が1/4程度以下)ドットと判別できる場合のC、M、Y、K成分の網点量であればよい。
図13に示すように、網点印刷で、Cだけでグラフィックを表現しドットを重畳印刷した場合は図13(a)のように、Cが配置されて、ドットが黒色で重畳印刷される。画像処理により、ドットの黒色だけを抽出するが、C成分が大きい場合、簡易な画像処理では、ドットと同色で判断されることもあり、簡易な画像処理を用いる場合は、使用するC成分値を所定値以下にするのが望ましい。同様にMだけ、Yだけで印刷した場合が、図13(b)、図13(c)である。ただし、簡易な画像処理でもYの場合は、Y成分が大きくてもドットを判別しやすい。
図14に示すように網点印刷で、C、Mだけでグラフィックを表現しドットを重畳印刷した場合は図14(a)のように、C、Mが配置されて、ドットが黒色で重畳印刷される。画像処理により、ドットの黒色だけを抽出する。使用する画像処理の方法によって、ドットの判別にはC、Mの成分値を制限するのが望ましい。同様にM、Yだけ、C、Yだけで印刷した場合が、図14(b)、図14(c)であり、使用する画像処理の方法によって、ドットの判別には各成分の成分値を制限するのが望ましい。
図15は、3つの異なる成分による部分領域を含み、3つの成分が重なった領域(CMY領域)を含む図である。図16(a)は、図15のCMY領域およびその近辺の部分領域の拡大図である。図16(b)は、二値化してC,M,Y成分だけを画像処理により取り除いた図である。CMY領域ではドットを判別できない。CMY領域境界付近では、C、M、Yが重なってインクが混じらないよう配置して印刷すれば、CMY領域以外はドットを判別することができる。なお、CMY領域で、C、M、Yが重なってインクが混じった領域(コンポジットブラック)の大きさがドットの大きさと比較して十分小さければ、比較計算をすることによりドットを判別することができる。
ただし、ドットとコンポジットブラックが重なった場合、ドットの中心が本来の位置からずれてしまう。そのずれ方が大きいと情報コードが符号化されたドットパターンの配置を適切に認識できなくなる可能性があるので注意する必要がある。なお、画像処理の際に大きさだけではなく、それらの形状からコンポジットブラックを排除してドットの中心を適切に求めればよいことは言うまでもない。
<印刷システム>
本発明を利用したドットパターン付き画像の印刷システムについて、図17を用いて説明する。
サーバ105にはテンプレートとしてのイラストまたは写真が画像データとして格納される。
この画像データは、CMY成分のうち、C成分、M成分、Y成分、CM成分、MY成分、CY成分、のいずれかの成分により印刷される部分領域を1または複数含み、かつ、CMY成分すべてが重畳される部分を含まないように、予めデザインされるか、または前述の変換方法により画像処理を施されたものである。
顧客は顧客用端末106を操作してイラストまたは写真を掲載したカタログを閲覧する。
顧客はカタログの中からイラストまたは写真を1つ選択し、顧客端末106を操作して選択結果をサーバ105に送信してオーダーを発生させる。なお、顧客自ら用意したイラストまたは写真を顧客用端末106からサーバ105に送信してもよい。
サーバ105は顧客端末106から受信したオーダーを提供者端末107に送信する。
サービスの提供者は提供者端末107を操作して顧客が選択した画像データにドットパターン101を付加してドットパターン付き画像データを生成し、印刷装置108に送信する。この場合、顧客がカタログから選択した画像データは予めC成分、M成分、Y成分、CM成分、MY成分、CY成分の部分領域に分けてドットが判別できるデータであってもよいし、サーバ105で画像変換してもよい。画像変換されたドットパターン付き画像データは、印刷装置108に送信され印刷される。なお、印刷装置108によっては各成分の配色によって自動的にK成分を付加する場合があり、それらを制御するドライバーを印刷装置108に組み込むか、サーバから信号を送信し制御する必要がある。また、印刷装置108が画像変換機能を有し、元のイラストまたは写真の領域をCMY成分のうち、C成分、M成分、Y成分、CM成分、MY成分、CY成分の部分領域に分けて、ドットパターンをK成分により重畳印刷して、ドットが判別できるドットパターン付き画像である印刷媒体103を出力してもよい。なお、上記の画像変換は本発明で提示された、ドットが判別できるどのような方法であってもよい。
なお、印刷の際には、部分領域に印刷されるドットパターンにおいて、ドットを認識できる、最少の大きさを有する第一のドットおよび最大の大きさを有する第二のドットの合計面積と、部分領域のうちCMY成分すべてが重畳される領域の合計面積と、を比較してもよい。
この場合、CMY成分すべてが重畳される領域の合計面積が、第一のドットの合計面積より小さい場合には、部分領域に印刷されるドットパターンを第一のドットとする。CMY成分すべてが重畳される領域の合計面積が、第二のドットの合計面積より大きい場合には、部分領域に印刷されるドットパターンを第二のドットとする。CMY成分すべてが重畳される領域の合計面積が、第一のドットの合計面積より大きく、第二のドットの合計面積より小さい場合には、部分領域に印刷されるドットパターンのドットの合計面積と、CMY成分すべてが重畳される領域の合計面積と、が等しくなるような大きさのドットとする。
CMY成分すべてが重畳される領域の合計面積が、第一のドットの合計面積より小さいか、または第二のドットの合計面積より大きい場合には、所定の範囲でドットパターンのドット間隔の大きさを制御して、第一のドットの合計面積より大きく、第二のドットの合計面積より小さくし、部分領域に印刷されるドットパターンのドットの合計面積と、該CMY成分すべてが重畳される領域の合計面積と、が等しくなるような大きさのドットとしてもよい。
さらには、画像情報のCMY成分すべてが重畳される領域の大きさを、ドットパターンを構成するドットの大きさと比較して認識できる程度のCMY成分の網点量に減じて変換し、第一のドットおよび第二のドットの合計面積と、CMY成分の網点量まで減じた網点量の差分の合計面積と、を比較してもよい。
この場合、CMY成分の網点量まで減じた網点量の差分の合計面積が、第一のドットの合計面積より小さい場合には、CMY成分すべてが重畳される領域のドットパターンを第一のドットとする。CMY成分の網点量まで減じた網点量の差分の合計面積が、第二のドットの合計面積より大きい場合には、該CMY成分すべてが重畳される領域のドットパターンを第二のドットとする。CMY成分の網点量まで減じた網点量の差分の合計面積が、第一のドットの合計面積より大きく、第二のドットの合計面積より小さい場合には、CMY成分すべてが重畳される領域のドットパターンのドットの合計面積と、CMY成分の網点量まで減じた網点量の差分の合計面積と、が等しくなるような大きさのドットとする。
CMY成分の網点量まで減じた網点量の差分の合計面積が、第一のドットの合計面積より小さいか、または第二のドットの合計面積より大きい場合には、所定の範囲でドットパターンのドット間隔の大きさを制御して、第一のドットの合計面積より大きく、第二のドットの合計面積より小さくし、CMY成分すべてが重畳される領域のドットパターンのドットの合計面積と、CMY成分の網点量まで減じた網点量の差分の合計面積と、が等しくなるような大きさのドットとしてもよい。
従来、赤外線でのみ読み取り可能なインクを用いてドットパターンを印刷していた。このため、赤外線での撮影を禁じるための赤外線を遮断するフィルタが用いられている携帯電話等のカメラでは、ドットコードを読み取ることができず、専用のスキャナを用いてドットパターンを読み取る必要があった。
本発明では、可視光で読み取り可能なドットパターンを実現した。そのため、携帯電話、スマートフォン、ウェブカメラ、デジタルカメラ等、通常のカメラでドットパターンを読み取ることが可能となる。これにより、さらに簡易かつ広範囲にドットコードを利用することが可能となる。
<レンズユニットを使用した実施例>
図18~38は、ドットパターン読み取り用のレンズユニット200を用いて、可視光により読み取り可能な、コード情報を符号化したドットパターンを撮影する場合について説明する図である。
本実施例で用いるドットパターン読み取り用のレンズユニット200は、スマートフォン、タブレットPC、カメラ付き携帯電話(以下「スマートフォン等」)等の情報処理装置に装着して使用することを想定したものである。なお、コード情報は、コード値、または座標値、またはコード値および座標値を言う。
しかしながら、このレンズユニット200を通してカメラで撮影された画像データより、情報コードが符号化されたドットパターンを読み取り、そのパターンを情報コードに復号化する読み取り手段と情報コードを送信または対応する情報を出力する情報処理手段を備えた情報処理装置であれば、どのようなものであっても、カメラに装着して使用可能である。レンズユニット200は、カメラの撮影口を囲むように装着する下部開口部と印刷媒体が接面される上部開口部を両端に備える筒状のレンズホルダー201とレンズ202を備えている。なお、レンズユニット200を通してカメラでドットパターンを撮影する際に、上部開口部に接面されたドットパターンが印刷された印刷媒体が被写界深度内となるように、筒状のレンズホルダー201内部の所定位置にレンズ202を備えるよう配置・設計されている。
一方、スマートフォン等は消費者が使用することを前提に人物などの対象物を赤外線領域で撮影できないように、700程度以上の一部可視光を含む赤外線波長を遮断するフィルタが装着されている。
スマートフォン等のカメラで撮影をする場合、多くの場合極小の被写体に接近(1~2cm前後)してピントを合わせて拡大して撮影するように設計されていないため、被写体から一定距離離して撮影する必要がある。そのため、QRコード等の二次元コードをスマートフォン等で撮影するときでさえ、手がぶれるなどして瞬時にピントを合わせるのが難しく拡大倍率も低い。さらに、オートフォーカスでドットにピントを合わせる際、比較的模様の大きいQRコード等の二次元コードと比較してあまりにドットが極小であるために、搭載されたオートフォーカスが作動せずピントが合わない場合が多い。仮にピントが合って撮影されたとしても、撮影解像度の限界から極小のドットからドットコードを解析できるだけの精度でドットパターンを読み取ることができない。従って、スマートフォン等のカメラでは、極小のドットパターンを読み取ることが難しいという問題があった。
しかし、レンズユニット200を用いることにより、レンズユニット200と印刷媒体との接面でピントが合うことと、被写体のドットパターンを拡大して撮影することが可能となり、ドットコードが解析可能な解像度でドットパターンを取り込むことができる。これにより、通常のスマートフォン等でドットパターンを読み取ることが可能になった。なお、被写界深度の大きいレンズユニット200を使用することにより、印刷媒体面と接面しなくてもドットパターンを取り込むことができる。さらに、被写界深度の大きい望遠レンズユニットを使用することにより、離れた位置にあるドットパターン付き印刷媒体を撮影してドットパターンを取り込むことができる。
図18~図19は、本実施例で用いるレンズユニット200の図であり、図18は透視図、図19(a)は側面図、(b)は正面図(媒体接面側)、(c)は背面図(レンズユニット200装着側)である。
レンズユニット200は、上部がテーパ状、下部が円柱状の構造となっている。上部と下部の境界付近には、レンズ202(凸レンズ)が設けられている。また、底面には粘着部材が設けられており、スマートフォン等に装着できる。レンズユニット200の装着側の外周壁内(D)でスマートフォン等のカメラを囲むように取り付ける。レンズユニット200の構造は、装着側の外周壁内(D)でスマートフォン等のカメラを囲むようになっていれば、筒状、円錐上、箱状などどのような形状でも構わない。また、上部開口部または下部開口部の少なくとも一方がテーパ状の形状を呈していてもよい。図示しないが、1枚の凸レンズではなく複数枚レンズや非球面であってもよい。これらにより、レンズの収差を抑え、被写界深度を大きくしピントを合わせ易くすることや、レンズの高さを低くすることもできる。なお、レンズホルダー201およびレンズ202からなるレンズユニット200の材質は撮影する媒体面を明るくするために透明であることが望ましい。
ただしレンズホルダー201は外部光を確保するためのものであるため、被写体のドットパターンを撮影可能な程度の光量さえ確保できれば必ずしも透明である必要はない(半透明等)。
また、レンズ202は製造コストの廉価な透明アクリルを用いるのが望ましいが、精度を高めるためガラスを使用してもよい。さらに、レンズホルダー201を透明アクリル、レンズ202をガラスとしてもよい。全て透明アクリルで製造する場合、開口部方向に広がっていれば一体成型も可能でありさらに廉価に製造できる。
図20は、レンズユニット200の種々の形態について説明する図である。
レンズユニット200は、下部底面の開口部(下部開口部)がカメラに装着し、上部上端の開口部(上部開口部)が媒体面と接面する。
携帯電話やスマートフォンでは、下部開口部の外周壁内はカメラを覆う程度(直径1.5cm程度)の大きさが必要であり、タブレットPCでは、直径3~7mm程度でよい。一方、上部開口部は、(a)~(c)のように、種々の大きさが考えられる。
(a)は、椀状に形成されているレンズユニット200であり、上段の図が正面図(媒体接面側)、中段の図が側面図、下段の図が背面図(レンズ装着側)である。
椀状の場合は、上部開口部、すなわち媒体側の面積が広くなっている。そのため、後述のように、カードやフィギュアを載置して使用する場合に適している。但し、レンズユニット200の装着側である下部開口部の外周壁内(D)の中央にスマートフォン等のカメラが位置しないと、撮影範囲がずれて媒体面に印刷されたドットパターンを上部開口部(W)の一部の領域でしか撮影されない場合もある。
(b)は、円柱状に形成されているレンズユニット200であり、上段の図が正面図(媒体接面側)、中段の図が側面図、下段の図が背面図(レンズ装着側)である。製造のための金型も作り易くコストパフォーマンスが高い。
(c)は、円錐台状に形成されているレンズユニット200であり、上段の図が正面図(媒体接面側)、中段の図が側面図、下段の図が背面図(レンズ装着側)である。
円錐台状の場合は、上部開口部、すなわち媒体側の面積が狭くなっている。そのため、上部開口部内側から見える、ドットパターンが印刷されている印刷媒体の全領域を確実に撮影するのに適している。すなわち、レンズユニット200の装着側である下部開口部の外周壁内(D)のどこにスマートフォン等のカメラが位置しても、確実に媒体面に印刷されたドットパターンを上部開口部(W)の全領域で撮影できるよう設計されている。このような設計は、レンズの取り付け位置、レンズの焦点距離に起因するものであり、上記(a)、(b)も、(c)ほど容易でないが実現可能である。当然、上部開口部を大きくし撮影領域を大きくすればするほど、広角ぎみのレンズを使用する必要がある。
なお、上記(a)、(b)、(c)、いずれの実施形態についても、レンズユニット200の上部開口部周辺に点線で示す台座を設け、フィギアやカードなどを載置し易くしてもよい。
このように、用途によって、種々の読み取り用レンズユニット200を使い分けることができる。
図21は、図20(a)~(c)のレンズユニット200の媒体接面側の上部開口部において、開口を設けたレンズカバー203を設置したものである。
レンズカバー203を設置して、媒体接面側の外周壁内近傍に印刷領域を設け、IDコードやピントを合わせ易くするための模様を印刷する。なお、印刷面は媒体に近いレンズカバー203の媒体接面側がよいが、被写界深度内であれば印刷面が汚れないようレンズ202側でもよい。レンズカバー203にゴミや汚れ、傷が付いて媒体面に印刷されたドットパターンが読みにくくならないように中央部に開口を設け、リング状としている。
図22は、図20(a)~(c)のレンズユニット200の媒体接面側の上部開口部に透明レンズカバー204を設置したものである。媒体接面側の外周壁内近傍に印刷領域を設け、IDコードやピントを合わせ易くするための模様を印刷する。なお、印刷面は媒体に近い透明レンズカバー204の媒体接面側がよいが、被写界深度内であれば印刷面が汚れないようレンズ側でもよい。さらに、レンズ202にゴミが付着しないように防塵装置としても有効である。なお、透明レンズカバー204にゴミや汚れ、傷が付いて媒体面に印刷されたドットパターンが読みにくくならないようにレンズユニット200の媒体接面側の外周枠より一段レンズ側に落とした箇所に透明レンズカバー204を設けている。
図23は、レンズユニット200の、媒体接面側にIDコードを付加した図である。(a)、(b)、(c)は、レンズホルダー201の媒体接面側の内壁に切り欠きが設けられている図である。この切り欠きは、所定の規則によって設けられており、IDコードを付加している。
IDコードとは、レンズユニット200を特定するためのコード情報である。IDコードにコード情報を符号化することにより、ユーザがカメラでドットパターンを撮影したときに、どのレンズユニット200を用いて撮影したのかを識別することが可能となる。スマートフォン等に格納された、ドットパターン読み取り用のソフトウェアは、IDコードが認識できない場合、ソフトウェアを起動しない。IDコードを認識した場合は、読み取ったドットパターンを解析する。これにより、レンズユニット200の偽造や不正使用の防止、撮影画像の品質保証(所定の性能で撮影)、IDコードに対応するソフトウェアの実行などが可能となる。なお、切り欠きは、半円または多角形等の任意の形状、および、任意の大きさを有している。上述の所定の規則に、形状と大きさの組み合わせをさらに加えることにより、より情報コードを増やしたIDコードを符号化することもできる。
(d)は、レンズユニット200の媒体接面側にレンズカバー203を装着し、上部開口部周辺に回転方向に所定の間隔でドットを配置して、その配置間隔の組み合わせと順番でコードを定義するサークルパターンである。さらに、図示しないが、本発明者によって発明されたストリームドットパターンを回転方向に配置して用いればさらに多くの情報をIDとして使用できる。なお、ストリームドットパターンの詳細は国際公開公報WO2011/007783に開示されている。レンズカバー203は、媒体に印刷されたドットやグラフィックとサークルパターンを判別できる色と素材でなければならない。当然、サークルパターンの撮影には一定の明るさとコントラストが必要であり、サークルパターンが印刷される領域は乳白色のアクリルか白(印刷でもよい)であるのが望ましい。なお、サークルパターンは、円形のドットである必要ではなく、多角形のドット、または線分などの任意の形状と大きさを有する複数のマークで形成され、マークの形状と大きさの組み合わせを所定の規則に加えてIDコードが符号化されたサークルパターンであればよい。さらに、マークに複数の色を使用して組み合わせることにより、さらにIDコードの情報量を増加させることができる。
図24は、レンズユニット200の媒体接面側にレンズカバー203または透明レンズカバー204を装着し、オートフォーカスでピントを合わせるための模様を印刷した図である。携帯電話やスマートフォンのカメラではドットを撮影する場合、ドットが極小であるためピントを合わせることが難しく、正確にドットパターンを撮影することができない、という問題がある。そこで、レンズユニット200に装着したレンズカバー203または透明レンズカバー204にピントを合わせるための模様を付加する。その模様にピントを合わせてドットを撮影すれば、ドットパターンにもピントが合い撮影することが可能となる。当然、レンズカバー204の印刷媒体接面側またはレンズ側表明が前記上部開口部に接面された前記印刷媒体と共に被写界深度内となるようにピントが合うカメラおよびレンズ202の組み合わせと、適切にレンズ202が配置されなければならない。なお、ドットコードの解析は、レンズカバー203の中央の開口を通して撮影されたドットパターンか、透明レンズカバー204の模様もIDコードも印刷されていない中央部で撮影されたドットパターンを対象とする。レンズカバー203は、IDコードが印刷されている場合はドットとIDコードを判別できる色と素材でなければならない。特に、カメラでIDコードを読み取るよう撮影するには、IDコードには一定の明るさとコントラストが必要であり、IDコードが印刷される領域は乳白色のアクリルか白(印刷でもよい)であるのが望ましい。
(a)、(c)は、開口が設けられたレンズカバー203、(b)、(d)は、開口が設けられていない透明レンズカバー204である。
(a)は、開口内周を切り欠き、その外周に同心円状の模様が設けられている。上述のように、切り込みはIDコードとして情報コードを符号化するものである。
(b)は、同心円状の模様のみが外周に設けられている。同心円状の模様をIDコードとして情報コードを符号化する場合は、例えば、模様を形成している色やその領域の大きさの組み合わせ、順番によって情報コードをIDコードに符号化としてもよい。なお、模様はピントが合えばどのような模様であってもよい。ただし、レンズカバー203または透明レンズカバー204を通してドットパターンやグラフィックが重なって撮像されても、IDコードとして認識されなければならない。
(c)および(d)は、内周に所定の規則で形成されたサークルパターン、その外周に同心円状の模様が設けられている。上述のように、サークルパターンはIDコードを符号化するものである。レンズカバー203または透明レンズカバー204を通して媒体に印刷されたドットパターンやグラフィックが重なって撮像され、サークルパターンが読み取れるように、(c)のレンズカバー203は乳白色のアクリル、(d)の透明レンズカバー204はIDコードが印刷される領域の下地を白色(印刷でもよい)にするのが望ましい。しかし、乳白色のアクリルであればさらによい。なぜなら、白色の場合は光の透過率が低くなり、模様の印刷領域や印刷媒体面が乳白色のアクリルに比べ若干暗くなる。撮影面はできるだけ明るい方がピントを合わせ易く、ドットとグラフィックも判別し易い。また、アクリルであればマルチインジェクションにより透明部と同時に成形もできてコストパフォーマンスに優れている。なお、成形時にインクを流し込みアクリルに模様を付けてもよい。全面でフォーカス機能が働くカメラでは、周辺でフォーカスしてもピントが合うため、このようにレンズカバー203または透明レンズカバー204の外周に模様を配置できる。
図25は、中央部でフォーカス機能が働くカメラ用のレンズユニット200に設けられた透明レンズカバー204の中央部にピントを合わせるための透過性のインクで印刷された模様を設けた図である。なお、グラフィック上にドットパターンが重畳印刷された媒体を読み取る場合、透明レンズカバー204を通して読み取ることになり、ドットおよびグラフィックと、ピント合わせのための模様が重なって撮影される。従って、それらが重なった画像からドットだけを抽出しなければならない。例えば、模様が赤(R)の場合、グラフィックがシアン(C)であれば、Cは青(B)と緑(G)を発光しており赤(R)の成分はないため、撮影画像は赤(R)の模様が黒(B)になりドットが黒(B)であればドットを判別できなくなる。一方、模様がシアン(C)の場合、グラフィックが青(B)であれば撮影画像は青(B)、緑であれば緑(G)、黄色(Y)であれば緑(G)、マゼンダ(M)であれば青(B)、シアン(C)または白(W)であればシアン(C)となり、グラフィックが赤(G)であるときだけが撮像画像は黒(B)になりドットが黒(B)であればドットを判別できなくなる。
従って、ピント合わせのための模様をシアン(C)で描きドットを黒(B)で印刷した場合は、グラフィックには赤(R)を使用すべきでない。すなわち、ドットの色と同色にならないようピント合わせのための模様とグラフィックの色を決定する必要がある。なお、常に、ドットのみが印刷される場合には、ピント合わせのための模様とドットが判別されればよい。また、常に、ドットがグラフィックと重畳印刷される場合は、そのグラフィックでオートフォーカスされピントが合わせられるため、ピント合わせのための模様は必要ない。つまり、ピント合わせのための模様はドットのみが印刷される場合と、グラフィックと重畳印刷される場合が混在する際に必要とされる。なお、模様に使用する色は、色温度が低いためグラフィックに青を使用しても濃い黒にはならない黄色を用いるとよい。
(a)は、中央部に同心円状の模様、その周辺にサークルパターンが設けられている。透明レンズカバー204はサークルパターンが印刷される領域の下地を白色(印刷でもよい)にしてもよいが、乳白色のアクリルであるのが望ましい。なぜなら、白色の場合は光の透過率が低くなり、模様の印刷領域や印刷媒体面が乳白色のアクリルに比べ若干暗くなる。撮影面はできるだけ明るい方がピントを合わせ易く、ドットとグラフィックも判別し易い。また、アクリルであればマルチインジェクションにより透明部と同時に成形もできてコストパフォーマンスに優れている。なお、成形時にインクを流し込みアクリルに模様を付けてもよい。
(b)は、中央部に同心円状の模様、レンズホルダー201媒体接面側の内壁に切り欠きが設けられている図である。この切り欠きは、所定の規則によって設けられており、IDコードが符号化されている。
(c)は、中央部に同心円状の模様のみが設けられている。同心円状の模様をIDコードとして情報コードを符号化する場合は、例えば、模様を形成している色やその領域の大きさの組み合わせ、順番によって情報コードをIDコードに符号化してもよい。なお、模様はピントが合えばどのような模様であってもよい。ただし、透明レンズカバー204を通してドットパターンやグラフィックが重なって撮影されてもIDコードとして認識されなければならない。
なお、上記図23~図25で説明したサークルパターンおよび模様は、印刷の他、刻印することにより設けてもよい。刻印された部分は陰影ができ読み取ることができる。ただし、コントラストが低いため認識率は低い。大量生産する場合、刻印は廉価で製造できる。
図26は、照射機能付きのレンズユニット200について説明した図である。
レンズユニット200の構造は、図20と同様であるが、上部開口部に接面した印刷媒体面に概ね均一に照射されるようにレンズホルダーの外周壁の所定位置に光源205およびバッテリー206(ボタン電池等)が設けられている。光源は大きさが小さく省電力であるLEDが望ましい。また、LEDはレンズユニット200と共に廉価であるため電源ボタンを設けず、使い捨てとしてもよい。なお、電池格納ケースはどのような形状でもよく、レンズホルダー201の側面に配置してもよいし、導線を延長してレンズホルダー201とバッテリー206と別体にしてもよい。
(a)は、椀状に形成されているレンズユニット200であり、上段の図が正面図、中段の図が側面図、下段の図が背面図である。
(b)は、円柱状に形成されているレンズユニット200であり、上段の図が正面図、中段の図が側面図、下段の図が背面図である。
(c)は、円錐台状に形成されているレンズユニット200であり、上段の図が正面図、中段の図が側面図、下段の図が背面図である。
なお、同図(a)~(c)では光源205の数は1個であるが、本発明ではこれに限らず、光源205が2個であってもよく、さらに印刷媒体面を均一に照射するため3個以上であってもよい。特に、図29に記載するディフュザー209を設けた場合や拡散発光型LEDを光源205に使用した場合は、光を屈折・拡散させ印刷媒体面を均一に照射できるため、光源205を1個としてもよい。
図27は、照射機能付きのレンズユニット200の他の形態について説明した図である。
(a)は、電源ボタン207が設けられていない照射機能付きレンズユニットである。上述のように、光源205をLEDにすれば、極めて省電力であり、レンズユニット200は廉価であるため、電源ボタンを設けずに使い捨てとすることができる。
(b)は、バッテリー206がレンズホルダー201の外部に設けられている照射機能付きレンズユニットである。レンズユニット200とバッテリー206は、導線により接続されている。これによれば、レンズホルダー201に、バッテリー206を収納するためのスペースを設ける必要が無いため、レンズホルダー201の製造を簡略化することができる。
図28は、照射機能付きレンズユニットにおいて、レンズカバー204を設置した図である。このレンズカバー204の用途は図22と同様である。なお、開口部を設けたレンズカバー203を設置してもよい。その場合の用途は図23と同様である。
図29は、照射機能付きレンズユニットの形態を示した図である。なお、媒体面が均一に照射されるよう光源205を配置するのが望ましい。また、光源近傍のレンズホルダー201に光源205より照射された光を屈折・拡散反射させ、上部開口部に接面した印刷媒体面に均一に照射させる部材からなるディフュザー209を設けてもよいし、拡散発光型LEDを光源205に使用してもよい。
(a)は、照射機能付きレンズユニットにおいて、光源205に白色LED208を用いたものである。ドットを認識できない程度に媒体面が暗くても白色LED208で照射することより媒体面を明るくしてドットコードを読み取ることができる。これにより、(1)周辺環境が暗い場合、(2)レンズホルダー201を光の透過しない色、材質で形成される場合、(3)レンズユニット200をフィギアなどのオブジェクトに内蔵する場合でも、ドットコードの読み取りが可能となる。なお、レンズユニット200によりドットコードを読み取るプログラムを起動させた際に、スマートフォン等のディスプレイが白く明るくなり、媒体面を照らしてもよい。
(b)は、同図(a)に透明レンズカバー204を設置したものであり、レンズ側の外周壁内近傍に印刷領域を設け、IDコードやピント合わせ用の模様を印刷する。なお、図25と同様に透過色で中央部に模様を印刷してもよい。
(c)は、照射機能付きレンズユニットにおいて、透明レンズカバー204を設置し、光源205に所定の波長のIR LED210を用いたものである。透明レンズカバー204にはレンズ202側の外周壁内近傍に印刷領域を設け、IDコードやピント合わせ用の模様を印刷する。透明レンズカバー204の媒体接面側には所定の波長以上の赤外線だけを透過させ他の波長光を遮断するIRフィルタ211を設ける。なお、IDコードやピント合わせ用の模様を設けなければ、IRフィルタ211は透明レンズカバー204からレンズユニット200装着側までのどの位置に設けてもよい。レンズ202の表面にフィルタ加工してもよい。
IR LED210でグラフィック上にドットパターンが重畳印刷された媒体面を照射すると、赤外線を吸収するインク(カーボンブラック等)でドットを印刷すれば、カメラの撮像画像ではドットの部分のみ黒く撮影されることになり、容易にドットコードを読み取ることができる。なお、同図のIR LED照射機能付きレンズユニットは、スマートフォン等に赤外線遮断フィルタが使用されていない場合か、使用されていても完全に赤外線が遮断されない場合に用いる。
なお、同図(a)~(c)では光源205の数は2個であるが、本発明ではこれに限らず、性能の高いディフュザー209を設けた場合や拡散発光型LEDを光源205に使用した場合は、光を屈折・拡散させ印刷媒体面を均一に照射できるため、光源205が1個であってもよい。
図30は、白色LED208と携帯電話やスマートフォン内蔵カメラのフィルタ、赤外線のフィルタ、IR LEDの波長と透過率との関係について説明する図である。
スマートフォン等のカメラには、赤外線遮断フィルタが設けられている。一方、図26および図29(c)に示す照射機能付きレンズユニットには、IRフィルタ211(可視光遮断フィルタ)が設けられている。赤外線遮断フィルタは、700nm以上の波長をカットする。一方、IRフィルタは、700nm程度以下の波長をカットする。IR LEDで850nm程度の波長の強い赤外光を照射することにより、5%前後透過される赤外線を利用してスマートフォン等のカメラであっても、赤外線を吸収するインクで印刷されたドットパターンを読み取ることができる。
図31はレンズユニット200をタブレット型PC212のカメラに取り付けた状態を示す正面図および側面図である。
このように、レンズユニット200は、タブレット型PC212との接触面に塗布された図示しない粘着部材により脱着可能である。もちろん、取り外しできないように、レンズユニット200を完全に接着するか、タブレット型PC212と一体成型にしてもよい。
なお、同図ではタブレット型PC212のカメラにレンズユニット200を取り付けた例を説明したが、スマートフォン222のカメラ部分に取り付けてもよいことはもちろんである。
図32、図33は、レンズユニット200の形態および取付け方法について説明した図である。
図32(a)のレンズユニット200は、底面の下部開口部に粘着部材が設けられている。そして、タブレット型PC212またはスマートフォン222のカメラ部分に直接取り付け、脱着が可能である。もちろん、取り外しできないようにレンズユニット200を完全に接着するか、タブレット型PC212またはスマートフォン222と一体成型にしてもよい。
図32(b)では、クリップ213とレンズユニット200が一体になっている。クリップ213の、レンズユニット200の底部と接する部分は、印刷媒体面を撮影するための穴が開いているか、または、透明になっている。ユーザは、タブレット型PC212またはスマートフォン222のカメラ部分をクリップで挟むことにより、レンズユニット200の取り付け・取り外しが容易となる。また、使っているうちに粘着力が低下する粘着部材に比べ耐用期間も相当長くなる。
図32(c)は、図26等で説明した照射機能付きレンズユニットとクリップ213が一体になっている。クリップ213には電源供給ケーブル(USBやイヤフォン、専用携帯コネクタ付きケーブル等を含む)が設けられている。クリップ213を取り付ける際に、ケーブルのコネクタをタブレット型PC212またはスマートフォン222のコネクタに挿入する。これにより、タブレット型PC212やスマートフォン222から電源を取ることが可能となる。なお、クリップが設けられていない照射機能付きレンズユニットでも同様に上記電源供給ケーブルにより電源を取ることができる。
図33(a)~(c)は、カートリッジ状のケース221とレンズユニット200が一体になっている実施例について説明する図である。本ケースはスマートフォン222や携帯電話に用いられる。ケース221の、レンズユニット200の底部と接する部分は、印刷媒体面を撮影するための穴が開いているか、または、透明になっている。ユーザは、レンズユニット200がスマートフォン222の裏側(ディスプレイと反対側)に位置するように、スマートフォン222や携帯電話にケースをはめ込むことにより、レンズユニット200の取り付け・取り外しが容易となる。また、使っているうちに粘着力が低下する粘着部材に比べ耐用期間も相当長くなる。さらに、レンズユニット200の装着位置が固定されることにより、毎回取り付けの際に位置決めをしなくても正確に取り付けられる。
同図(b)は、照射機能付きレンズユニットとケース221が一体になっている状態を説明する図である。この場合は、ケース221にバッテリー206およびスイッチが設けられている。なお、図32(c)のように、電源供給ケーブルが設けられていてもよい。
同図(c)は、スマートフォン222や携帯電話から電源を取る照射機能付きレンズユニットについて説明する図である。これによれば、ケース222に電源を設ける必要がなくなるため、より安価かつ簡易にケース222を製造することが可能となる。なお、図32(c)のように、電源供給ケーブルが設けられていてもよい。また、同図(a)のように、LED無しのレンズユニット装着用として携帯電話保護ケースとして兼用してもよい。
図34はタブレット型PCのカメラに取り付けられたレンズユニット200により、カード214に印刷されたドットパターンを読み取る実施形態を示す図である。
(a)は、カード214の一面全体にドットパターンを設けた場合について説明した図である。ユーザは、カード214のドットパターンが設けられた面を、レンズユニット200に接面させる。カード214に印刷されたドットパターンは、レンズ202により拡大して撮影される。
ユーザがカード214をレンズユニット200上に載置すると、読み取ったコード情報に対応するコンテンツの出力もしくは操作命令が実行される。さらに、載置したカード214を回転させることにより、ドットパターンの向きとカメラのアングル(カメラ上向き方向)との回転角によって出力する情報を変化させることができる。例えば、カード214をカメラに対して30度の向きで載置した場合には、「こんにちは」との音声が図示しないスピーカから出力され、それからカード214を回転させて90度の向きで載置した場合には、「さようなら」との音声が出力される。もちろん、対応する映像コンテンツがディスプレイに表示されてもいい。さらに、読み取ったコード情報をインターネットや携帯電話網を介して、ドットコード管理サーバに送信して対応するコンテンツを閲覧またはダウンロードしたり、コード情報に対応する操作命令によりタブレット型PCが制御されてもいい。スマートフォンを使用した場合も同様である。
また、コード情報にXY座標も加えて定義されている場合には、カード214のどの部分をレンズユニット200上に載置するかにより、入力されるXY座標値に対応して出力する情報を変化させることができる。同時に上記回転角に対応する情報も選択条件としてよい。
なお、光源205に白色LED208を用いた照射機能付きレンズユニットを使用すれば、周辺がドットパターンを読み取れない環境でも確実にコード情報を読み取ることができる。さらに、光源205にIR LED210を用いた照射機能付きレンズユニットを使用して赤外線を吸収するインク(カーボンブラック等)でドットを印刷した印刷媒体を撮影すれば、撮像画像ではドットの部分のみ黒く撮影されることになり、容易にドットコードを読み取ることができる。なお、IR LED照射機能付きレンズユニットは、スマートフォン等に赤外線遮断フィルタが使用されていない場合か、使用されていても完全に赤外線が遮断されない場合に用いる。
(b)は、カード214の一面にガード215が設けられており、ガード215の中にのみドットパターンが印刷されている場合について説明した図である。ガード215は、ドットパターン読み取り用レンズにはまる構造になっている。ユーザが、ガード215をドットパターン読み取り用レンズにはめると、カード214に印刷されたドットパターンは、レンズ202により拡大して撮影される。
ユーザがガード215をレンズユニット200にはめてからカード214を回転させることにより、入出力される情報を変化させることができる。(a)では、カード214を回転させる場合に、カード214がずれてしまい、うまく回転でないという問題がある。(b)のようにガード215を設けることにより、この問題が解決され、カード214がずれることなく回転でき、ユーザが希望する操作を行うことが容易となる。さらに、視覚障害者にもガード215を確認でき容易に操作できる。(a)および(b)で説明した、ドットパターンの読み取りにより入出力情報を変化させる技術については、特許第4465016号公報等に記載されている。また、視覚障害者にとって、このガードはドットパターンが印刷媒体に設けられていることが認識でき、容易に操作できる。
図35はフィギュア216に設けられたドットパターンを読み取る実施形態について説明した図である。
(a)は、タブレット型PCのカメラに取り付けられたドットパターン読み取り用レンズの上に、フィギュア216を載置した図である。このフィギュア216の底部にはドットパターンが印刷されており、カメラはフィギュア216底部のドットパターンを読み取って情報を復号する。
なお、レンズユニット200上でフィギュア216を回転させることにより、入出力される情報を変化させることができる。例えば、フィギュア216を載置した時には「こんにちは」との音声が図示しないスピーカから出力され、90度回転した場合には、「さようなら」との音声が出力される。
(b)は、フィギュア216とドットパターン読み取り用レンズが一体となった図である。同図のフィギュア216は、台座下部にレンズユニット200が取り付けられている。台座の裏側に、ドットパターンが設けられている。フィギュア216をタブレット型PC212のカメラの上に載置すると、カメラは、フィギュア216のレンズを介して、フィギュア216に設けられたドットコードを読み取る。
なお、カメラ上でフィギュア216を回転させることにより、(a)と同様に入出力される情報を変化させることができる。
(a)および(b)のような、フィギュア216の回転により出力情報を変化させる技術については、特許第4465016号公報等に記載されている。
なお、上記の操作および読み取ったコード情報に対しての情報処理、および光源205に白色LED208やIR LED210を使用した場合に関して、図34の説明と同様な操作・処理の全てが可能である。
図36は、白色LED照射機能付きレンズユニット200を内蔵したフィギュア216について説明する図である。
フィギュア216の台座には、レンズユニット200と白色LED208とバッテリー206が内蔵されている。ユーザがフィギュア216をスマートフォン等のカメラに載置すると、カメラは、フィギュア216のレンズユニット200を介して、フィギュア216に設けられたドットコードを読み取る。レンズユニット200がフィギュア216に内蔵され外部からの光が遮断されても、白色LED208が印刷媒体面を照射しドットコードを読み取ることができる。また、白色LED208のバッテリー206はフィギアに内蔵し、電源ボタン207はフィギアの目立たない箇所に備えるのが望ましい。図示しないがフィギアを持ち上げるか、フィギアに触れた際に起動するようなセンサー型の電源スィッチにしてもよい。
なお、上記の操作および読み取ったコード情報に対しての情報処理、および光源205に白色LED208やIR LED210を使用した場合に関して、図34の説明と同様な操作・処理の全てが可能である。
図37~図38は、スマートフォン222のカメラに取り付けられたレンズユニット200により、カード214に印刷されたドットパターンを読み取る実施形態を示す図であり、図37はレンズユニット200に接面する前の状態、図38は接面している状態である。
この場合は、カード214を固定し、スマートフォン222を持って、カード214の一部をタッチしてドットパターンを読み取る。
また、図38に示すように、レンズユニット200を用いて撮影したドットパターンを、スマートフォン222またはタブレット型PC212のディスプレイにそのまま表示してもよい。もちろん、読み取ったドットコードに対応したコンテンツを表示してもよい。スマートフォン222を持ってカード214のドットパターンを読み取る場合、読み取ったコード情報に対応するコンテンツの出力もしくは操作命令が実行される。さらに、スマートフォン222を回転させることにより、ドットパターンの向きとカメラのアングル(カメラ上向き方向)との回転角によって出力する情報を変化させることができる。また、コード情報にXY座標が加えて定義されている場合には、カード214のどの部分をレンズユニット200上で撮影するかにより、入力されるXY座標値に対応して出力する情報を変化させることができる。同時に上記回転角に対応する情報も選択条件としてよい。
なお、上記の操作および読み取ったコード情報に対しての情報処理、および光源205に白色LED208やIR LED210を使用した場合に関して、図34の説明と同様な操作・処理の全てが可能である。
<サークルパターン>
図39~図50は、IDコードが符号化されたサークルパターンの概念および実例である。これらは、円周上、楕円の周上、または所定の閉じた曲線の周上(以下「円周上等」)に印刷または刻印された隣り合うマークとマークの間の円周上等の複数の長さの周長、または隣り合うマークとマークの複数の距離の直線距離(以下「マーク間の距離」)の組み合わせおよび/または並び方で符号化したサークルパターンである。
図39は、サークルパターン300の具体例を示す図である。同図(a)は円形状のサークルパターン、(b)は楕円形状のサークルパターン、(c)はその他の閉曲線により形成されたサークルパターンである。
このように、サークルパターン300は、任意の閉曲線上にマーク301を配置して形成することが可能である。
図40は、サークルパターンの他の形態を示す図である。同図は、閉曲線の図心に1個のマーク301を配置した図であり(a)が円形状のサークルパターンの場合、(b)が楕円形状のサークルパターンの場合、(c)がその他の閉曲線形状のサークルパターンの場合である。
このように、図心にマーク301を配置することにより、カメラにより撮影されたサークルパターン300をCPUが画像解析をする際に、サークルパターン300の領域を判定することが容易となる。
なお、マーク301を配置する場所は、閉曲線の図心の他、閉曲線の中心でもよい。また、図心または中心に配置するマーク300の数は、図示しないが1個に限らず、複数でもよい。特に、閉曲線の形状や大きさ等のパラメータが予め定義されていない場合、閉曲線内のマークにそれらの情報を与えて、当該特定して使用コードを復号化することが可能となる。楕円形は、2つのマーク300を与えることによって、楕円を特定でき容易にコードを復号化できる。なお、周上のマーク300と区別するため、マーク300の大きさ、形状、色を変えるのが望ましい。
図41~図50は、さらに他の実施例を説明する図である。
ここで、図41以降は、サークルパターンが円形状である場合について説明しているが、いずれの実施例も、楕円形状、その他任意の閉曲線形状のサークルパターンについても適用されることはもちろんである。
図41は、マークとして始点マーク302および符号化マーク(情報ドット303)を配置したサークルパターン300について説明する図である。
図41に示すように、所定の円周上に符号化するための始点を定める始点マーク302を配置し、右回りに符号化マークとして情報ドット303を配置して、各隣り合うマーク間の所定の間隔が始点マーク302から右回りに並ぶ組み合わせでIDコードを符号化する。なお、左回りで符号化してもよいことはいうまでもない。また、マーク間の所定の間隔は、隣り合うマークとマークの間の円周上の複数の周長を有する情報ドット間周長、または情報ドット間距離とする。組み合わせの指標は、情報ドット間周長304、情報ドット間距離305のいずれでもよい。
(a)は始点マーク302が情報ドット303よりも大きな形状のマーク、(b)は始点マーク302が情報ドット303とは異なる形状のマーク、(c)は始点マーク302が情報ドット303と同じ形状のマークが2個並んで配置されたマーク、(d)は始点マーク302が情報ドット303と同じ形状であるが色で識別されたマーク、(e)は始点マーク302が情報ドット303と同じ形状のマークが外周方向にずれて配置されたマーク、(f)は始点マーク302が情報ドット303と同じ形状のマークが外周方向に2個並んで配置されたマークである。いずれも、情報処理装置の読み取り手段で始点マーク302として情報ドットと判別できるように形成されている。なお、(c)および(f)は3個以上並んで始点マーク302を形成してもよいし、(e)内周方向にずれて配置されてもよい。
(g)~(i)は同心円の直径が異なるサークルパターン300が2個形成された例である。すなわち、大きさが異なる相似形の円を同心円状に並べて形成したものである。これにより、より多くの情報量を定義できる。もちろん、さらに情報量を増やすために複数のサークルパターン300を形成してもよい。(g)は情報ドット303が全て同一形状であり、外周のサークルパターン300に情報ドット303と大きさが異なるドットを始点マーク302としている。その内側の位置に内周の始点マーク302として情報ドット303が配置されている。(h)は外周と内周を容易に判別するため、外周と内周の情報ドット303の大きさを異ならせ、始点マーク302は情報ドット303とは異なる形状のマークとしている。(i)も外周と内周を容易に判別するため、外周と内周の情報ドット303の形状を異ならせ、始点マーク302は情報ドット303とは異なる大きさのマークとしている。
なお、(g)~(i)の実施例において、上述のように、サークルパターン300が円形状の場合は、大きさが異なる相似形の円の中心を一致させて、小さい円を大きい円に内包させる。しかし、楕円形状や任意の閉曲線形状の場合は、大きさが異なる相似形の楕円または閉曲線の図心を一致させて、小さい方の楕円または閉曲線を、大きい方の楕円または閉曲線に内包させる。
図42は、始点マーク302が1個と情報ドット303が2個の計3個のマークを配置した例である。各マーク間の間隔は1~3種類の間隔となるよう情報ドット303を配置している。なお、円周上の3個の座標値が求まれば、中心位置と半径が求まり各マーク間の間隔が容易に計算できる。
(a)は3種類の間隔を形成して情報ドット303が配置されており、最も短い間隔を(1)(同図丸付き数字の1に該当、以下同様)、2番目に短い間隔を(2)、最も長い間隔を(3)とした場合の組合せであり、始点マークから右回りに6種類の組み合わせがある。
(b)は2種類の間隔を形成して情報ドット303が配置されており、最も短い間隔を(1)、2番目に短い間隔を(2)とした場合の組合せであり、始点マーク302から右回りに6種類の組み合わせがある。このように、(1)と(2)のいずれかが同一の間隔であってもよい。
(c)は1種類の間隔を形成して情報ドット303が配置されており、その間隔を(1)とした場合の組合せであり、当然、組み合わせは1種類しかない。上記(a)~(c)で合計の組み合わせは13種類あり、13個のIDコードが符号化できる。これを2個のサークルパターンで形成すると、13×13=169個のIDコードが符号化できる。
図42では計3個のマークを配置したが、IDコードが符号化できるコード数は、
Nが4の場合は、
Nが3または5の場合は、
従って、4個のマークでは75個となる。ここで、サークルパターン300に3個と4個のマーク301の両方を含むようにマーク301を配置した場合は、13+75=88個のIDコードが符号化できる。なお、5個のマーク301では541個、6個のマーク301では4683個、10個のマーク301では22174447個のIDコードが符号化できる。
図43は、図42で示した3個のマーク301を配置した場合の組み合わせにコード値を割り当てた表である。組み合わせのケースにどのようなコード値を割り当てるかは任意である。
図44は、複数のマーク301を含むことで1つのコードが符号化されたサークルパターンについて説明する図である。
本実施例では、サークルパターン300に連続するL個からM個までのマーク300を配置することができる。すると、M-L+1種類のサークルパターン300を有することとなる。
例えば同図では、(a)はマーク301を3個配置した場合、(b)はマーク301を4個配置した場合、(c)はマークを5個配置した場合を示している。つまり、L=3、M=5である。したがって、サークルパターン300の種類は5-3+1=3種類である。
そして、3種類のそれぞれにおいて、図42~図43で説明した組み合わせにより、IDコードが符号化できる。上述のように、(a)の場合は、マーク301が3個であり、13個のIDコードが符号化できる。(b)の場合は、マーク301が4個であり、88個のIDコードが符号化できる。(c)の場合は、マーク301が5個であり、541個のIDコードが符号化できる。したがって、サークルパターン300が3個から5個までのマーク301を含むようにした場合には、13+75+541=629個のIDコードを符号化できる。
このように、異なる個数のマーク301を配置することができるように設定することにより、サークルパターン300がより多くのIDコードを符号化できるようになる。
図45は、始点マーク302を配置しない4個の情報ドット303の配置のみで、各情報ドット303の間隔は1~4種類の間隔となるよう情報ドット303を配置し、複数の情報ドット間円周または情報ドット間距離の組み合わせのみでコードを符号化している。これは始点マーク302がないことによって、情報量は少なくなるものの、同一形状の情報ドットのみで形成することができて見た目に美しく、情報処理装置の読み取り手段で始点マーク302と情報ドット303の判別が必要ないため容易にIDコードに復号化できる。なお、右回りまたは左回りのいずれで符号化してもよいことはいうまでもない。
(a)は4種類の間隔を形成して情報ドット303が配置されており、最も短い間隔を(1)、2番目に短い間隔を(2)、3番目に短い間隔を(3)、最も長い間隔を(4)とした場合の組合せであり、右回りで6種類の組み合わせがある。
(b)は3種類の間隔を形成して情報ドット303が配置されており、最も短い間隔を(1)、2番目に短い間隔を(2)、最も長い間隔を(3)とした場合の組合せであり、右回りで9種類の組み合わせがある。このように、(1)~(3)のいずれかまたは2つが同一の間隔であってもよい。
(c)は2種類の間隔を形成して情報ドット303が配置されており、最も短い間隔を(1)、2番目に短い間隔を(2)とした場合の組合せであり、始点マーク302から右回りに4種類の組み合わせがある。このように、(1)と(2)のいずれかが同一の間隔であってもよい。
(d)は1種類の間隔を形成して情報ドット303が配置されており、その間隔を(1)とした場合の組合せであり、当然、組み合わせは1種類しかない。上記(a)~(d)で合計の組み合わせは20種類あり、20個のIDコードが符号化できる。これを2個のサークルパターン300で形成すると、20×20=400個のIDコードが符号化できる。なお、始点マーク302が無くても、基準の方向を定めておく(例えば同図のように上向き)ことにより、図42~43と同様に順列組み合わせにより符号化することができる。
図46は、図45で示した4個のマークを配置した場合の組み合わせにコード値を割り当てた表である。組み合わせのケースにどのようなコード値を割り当てるかは任意である。
図47は、同一のサークルパターン300を複数並べて配置した実施例について説明する図である。
このように、サークルパターン300は、複数並べて配置してもよい。これにより、印刷物等、一定の面積を有する媒体に連続的に配置し、どこを読み取っても同一の情報が出力されるようにすることが可能となる。
なお、もっと円の直径を小さくして、間隔を空けてサークルパターンを配置しても良い。
図48~図50は、複数のサークルパターン300で1つのコードを符号化する実施例について説明する図である。
本実施例では、異なる位置に配置された複数(図では9個)のサークルパターン300で1つのデータブロックを構成する。そして、1つのデータブロックが1つのコードを符号化している。
図48は、データブロックの領域を定義する方法について説明する図である。
本実施例のサークルパターン300では、同一のデータブロックを、印刷物等に複数繰り返し印刷することができる。その場合、どれが1つのデータブロックの領域であるかを認識できないと、CPUはサークルパターン300を正確に解析し、コードに対応する処理を実行することができない。そこで、データブロックの領域を定義する必要がある。
同図(a)は、所定のサークルパターン300の始点マーク302を、他のサークルパターン300の始点マーク302と異ならせた図である。同図では、左上のサークルパターン300のみ、情報ドット303と大きさの異なる始点マーク302を有しており、他のサークルパターン300は、情報ドット303と形状の異なる始点マーク302を有している。これにより、始点マーク302の異なるサークルパターン300を基準にしてデータブロックの領域を認識することができる。
(b)は、所定のサークルパターン300のマーク301の形状を、他のサークルパターン300のマーク301の形状と異ならせた図である。同図では、左上のサークルパターン300のみ、三角形のマーク301が配置されており、他のサークルパターン300は、円形のマーク301が配置されている。これにより、三角形のマーク301が配置されているサークルパターン300を基準にしてデータブロックの領域を認識することができる。
(c)は、所定のサークルパターン300の配置方法を、他のサークルパターン300の配置方法と異ならせた図である。同図では、左上のサークルパターン300のみ、始点マーク302が円形、情報ドット303が三角形であり、他のサークルパターン300は、始点マーク302が三角形、情報ドット303が円形である。これにより、始点マーク302が円形、情報ドット303が三角形のサークルパターン300を基準にしてデータブロックの領域を認識することができる。
なお、(a)~(c)以外にも、種々の方法によりデータブロックの領域を定義することが可能である。
図49は、データブロックの方向を定義する方法について説明する図である。
同じサークルパターン300であっても、どの方向を正位、すなわちサークルパターン300を認識するための基準とするかにより、CPUの解析結果、および、実行される処理の結果が異なってくる。したがって、どの方向を基準にサークルパターン300が形成されているかを認識させるため、データブロックの方向を定義することが必要である。
同図(a)は、始点マーク302の位置によりデータブロックの方向を定義したものである。同図では、始点マーク302が左に位置している。これにより、データブロックが左向きであることが認識できる。
同図(b)は、マーク301の配置方法によりデータブロックの方向を定義したものである。この場合、ある特定のマーク間隔の組み合わせを有するサークルパターン300の位置をデータブロックの方向と定義する。特定の組み合わせは、データブロックの方向を定義するサークルパターン300以外のサークルパターン300には用いられない。例えば(b)では、左上のサークルパターン300のみ、(1)(2)(3)(4)(それぞれ同図の丸付き数字に該当)の組み合わせとなるようにマーク301が配置されている。他のサークルパターンに(1)(2)(3)(4)の組み合わせが用いられることはない。これにより、データブロックが上向きであることが認識できる。図示しないが、左上のサークルパターン300のみ、マーク301を4個として、他を4個以外のマーク301で形成してもよい。
同図(c)は、特定のサークルパターン300のみ始点マーク302を設けることにより、データブロックの方向を定義したものである。同図では、左上のサークルパターン300にのみ、始点マーク302が上部に配置されている。他のサークルパターン300には、始点マーク302が配置されていない。これにより、データブロックが上向きであることが認識できる。これによれば、左上のサークルパターン300によりデータブロックの方向が定義されるため、他のサークルパターンは、始点マーク302を設けなくても、コードを符号化することが可能である。したがって、データブロックの生成アルゴリズムを簡素化することができる。
図50は、データブロックの3×3のサークルパターンを連続的に配置した実施例について説明する図である。
データブロックは、上下左右方向に連続して配置される。従って、カメラで読み取る場合は、1つのデータブロックを読み取る必要がある。なお、隣接する各データブロックが同一である場合は、同図の一点鎖線で示すように、カメラで読み取る中心周辺のデータブロックと同数の3×3サークルパターン300を読み取ればよい。ただし、それぞれのサークルパターン300は、どの位置に配置されているかを認識しなければならない。すなわち、図49のようにデータブロックの領域を定義するための手段が必要である。同図では、左上のサークルパターン300の始点マーク302のみ大きさが異なっている。これにより、データブロックの領域および方向を定義している。図中の+をカメラで読み取る中心とすると、周辺の3×3のサークルパターンには、必ず始点マーク302のみ大きさが異なっているサークルパターン300が含まれており、これにより領域と方向が分かり、予め定められた順番に従って当該3×3の各サークルパターンのコードを復号化し、一つのコードを読み取ることができる。
1個の円周上に多くの情報ドット303を配置すれば、サークルパターン300の情報量を増やすことができる。しかし、情報ドット303の数が多くなると、情報ドット303同士の間隔が密になり、見た目が悪くなり、印刷精度や読み取精度により情報ドット303が繋がってしまい、コードを正確に読み取り、解析することができないという問題が生じる。そこで、上述のように個数の異なるサークルパターン300を並べて1つのコードを符号化することにより、上述の問題を解決しながら、データブロックとしてサークルパターン300の情報量を増やすことが可能になる。
なお、サークルパターン300のマーク301は、印刷または刻印の他、切り欠きによって設けてもよい。具体的には図23(a)~(c)に記載したものである。
このような切り欠きを設けることによっても、図39~図50で説明したサークルパターン300を実現することが可能である。
従来、ドットパターン等の2次元コードは、直線または矩形状の平面上に配置することに適しているが、円形状やドーナツ状の媒体に配置することは困難であった。本件発明のサークルパターン300では、円や楕円、さらには、不規則な閉曲線の形状にも容易にマークを配置し、2次元コードを形成することが可能である。したがって、本件発明のレンズユニット200に用いられるレンズカバー203を識別するためのIDコードとして用いられる。その他、円形状やドーナツ状の媒体用に2次元コードとして使用できる。また、サークルパターン300は、マーク301間の距離の比較でコードを符号化するため、曲面上に配置されていても正確にコードを復号化でき、従来2次元コードを配置することが困難であった曲面にも配置することができる。さらに、光学読取手段を傾斜して読み取ってドットパターン(サークルパターン300)が大きく変形しても、上記理由でコードの復号化が正確に実施できる。
<レンズユニットの他の実施例>
図51~図58は、ドットパターン読み取り用のレンズユニット200の他の実施例について説明するものである。
なお、以下のレンズユニット200は、以下で説明する実施例に限定されるものではない。以下のレンズユニット200と、上記で説明したあらゆる実施例とを組み合わせて実施できることはもちろんである。
(IDコードおよびクリップ)
上述の実施例では、印刷されたIDコード401を使用する場合には、レンズカバー203または透明レンズカバー204にIDコード401を印刷していた。しかし、IDコード401は、それ以外の方法によっても設けることができる。
図51は、IDコード401をレンズホルダーの上部開口部に直接印刷した状態を示す図である。同図では、IDコード401としてサークルパターン300を直接印刷しているが、他のIDコード401を印刷してもよいことはもちろんである。
また、IDコード401をシールに印刷し、レンズホルダー201の上部開口部に貼付してもよい。
また、IDコードは、レンズカバー201とレンズ202の間にはめ込むか、ねじ込んでもよい。
図52~53は、IDコード401が印刷された媒体を挟み込み可能なレンズカバー203を設けた、クリップ付きレンズユニットについて説明する図である。
本クリップ213は、図32(b)で説明したクリップの変形例である。すなわち、タブレット型PC212またはスマートフォン222のカメラ部分を挟むためのクリップ213が、レンズユニット200と一体になって設けられている。このクリップ213の構造については後述する。
図52(a)は、クリップ付きレンズユニットの斜視図、(b)は正面図である。本レンズユニット200は、レンズカバー203、レンズホルダー201、クリップ213を備えている。レンズカバー203とレンズホルダー201は分離可能であり、(b)に示すように、レンズカバー203とレンズホルダー201上部の間に、IDコード401が印刷された媒体であるID媒体402が挟み込まれている。
レンズホルダー201は、中央が開口部403、またはフィルム等の透明シートを設けた透明領域となっており、被写体を撮影するのに必要な領域が確保されている。
このような構造とすることにより、IDコード401を有するレンズユニット200を簡易に製造することが可能となる。また、製造業者は、ユーザが不要になったレンズユニット200を回収して、使用されていたID媒体402を外し、新たなID媒体402を挟みこんで他のユーザに提供することができるため、地球環境および経済性に配慮したレンズユニットを実現できる。
なお、図52は、ID媒体を挟みこみ可能なレンズカバー203を設けたレンズユニット200の一例であり、この形態に限定されないことはもちろんである。たとえば、クリップ213を有さない形態でもよい。
図53は、図52のレンズホルダー201に用いるID媒体402について説明する図である。
ID媒体402は、円形の媒体にIDコード401を印刷したものである。媒体中央は、開口部となっており、被写体を撮影するのに必要な領域が確保されている。開口部の周辺にIDコード401が印刷されている。同図(a)は、IDコード401であるサークルパターン300が印刷されたID媒体402である。同図(b)は、オートフォーカスでピントを合わせるためのピント合わせ用模様404とサークルパターン300が印刷されたID媒体402である。
ピント合わせ用模様404は、赤外線および可視光を透過するインクで印刷されていることが好ましい。これにより、ピント合わせ用模様404はカメラにより撮影されないため、カメラは、必要なIDコード401および被写体のドットパターンのみを撮影することができる。
なお、媒体中央は、開口部403に代えて、フィルム等の透明シートを設けた透明領域としてもよい。透明シートを設けることにより、レンズ202が汚れることを防止することができる。
また、ID媒体402は、レンズホルダー201と一体成型されていてもよい。
(アジャスタおよび滑り止め)
図54~56は、アジャスタ406および滑り止め407について説明する図である。
(アジャスタ)
アジャスタとは、高さや長さを調節するための装置であり、本発明のアジャスタ406は、レンズユニット200の高さを調節するために設けられている。
図54は、クリップを有さないレンズユニット200、図55~56は、クリップを有するレンズユニット200の場合である。図57は、アジャスタ406の構造を示す斜視図である。
図57に示すように、アジャスタ406は、中央に開口部403を有する円筒状構造となっている。アジャスタ406の内壁には複数の溝が設けられている。一方、レンズホルダー201にも溝が設けられており、アジャスタ406と嵌合するようになっている。
図54(a)に示すように、レンズユニット200は、レンズ一体型レンズホルダー405と、アジャスタ406から構成されている。同図(b)は、本発明の最もよく使用される実施例であり、ID媒体402、レンズカバー203、レンズ一体型レンズホルダー405、ネジ状留め具408、アジャスタ406、滑り止め407を備えている。レンズ一体型レンズホルダー405の上部には、ネジ状留め具408(ネジ付きキャップ)が固定して装着されている。一方、アジャスタ406は、レンズ一体型レンズホルダー405の下部に装着されている。
図55は、アジャスタ406および滑り止め407を有するクリップ付きレンズユニット200の斜視図、(b)は正面図である。図56は、クリップ付きレンズユニット200において、アジャスタ406で高さを調節する場合について説明する図である。
レンズホルダー201本体の基本的な構造は図54のレンズユニット200と同様である。クリップ213は、ネジ状留め具408とアジャスタ406の間に設けられる。カメラとレンズ202の距離を近くする場合には、図56(a)に示すように、アジャスタ406を下部に移動させる。距離を遠くする場合には、図56(b)に示すように、アジャスタ406を上部に移動させる。アジャスタ406を最大限上部に移動させた場合と、最大限下部に移動させた場合との距離の差は約2センチである。
スマートフォン222等に設けられたカメラの最適なピントは、機種によって異なる場合がある。その場合、レンズからカメラまでの最適な距離も異なってくる。したがって、レンズユニット200の構造によっては、ピントが正確に合わず、最適な撮影ができないという問題があった。一方、ピントが正確に合うように、機種毎に個別のレンズユニット200を製造すると非常にコストがかかる。
さらに、ユーザは、スマートフォン222等にカバー(保護ケース)をつけて使用する場合が多い。カバーの厚さは、製品によって異なるため、使用するカバーによっては、ピントが正確に合わなくなってしまい、最適な撮影ができないという問題があった。
本発明のアジャスタ406は、このような問題を解決するものである。すなわち、このようにアジャスタ406を設けることにより、どのようなカメラであっても、また、どのようなカバーを用いてもレンズ202からカメラまでの距離を最適に調整し、被写体を正確に撮影することが可能となる。
なお、被写体の撮影については、レンズユニット200の上部開口部を被写体に接面させて撮影する他、レンズユニット200と被写体を一定距離離して撮影することもできる。接面させるか、あるいは、どれだけ離して撮影するかは、各被写体のドットパターンの大きさ等によって決定することである。
なお、アジャスタ406中央は、開口部403に代えて、透明シート等を設けた透明領域としてもよい。透明シート等を設けることにより、レンズ202が汚れることを防止することができる。
また、アジャスタ406の構造は上記で説明したものに限られず、レンズホルダー201と一体に形成されていてもよい。また、レンズ202からカメラまでの距離を適正に調整できるものであれば、どのような構造としてもよいことはもちろんである。
(滑り止め)
次に、滑り止め407について説明する。
滑り止めは、中央に開口部403を有するドーナツ状の構造をしており、レンズホルダー201の下部に設けられる。本実施例では、アジャスタ406の下部に嵌合されている。また、ゴム等の粘性のある材質で形成される。
スマートフォン222等の表面はつるつるした材質でできているため、レンズユニット200を装着しても滑り落ちてしまうという問題がある。また、滑り止め防止のためにクリップ213等で固定しても、レンズユニット200がわずかにぶれてしまい、ピントが正確に合わない場合が生じる。このように滑り止めを設けることにより、スマートフォン222等から滑り落ちたりぶれたりすることを防止することができる。
なお、滑り止め407は、本発明のようにアジャスタ406の下部に嵌合する他、アジャスタ406に貼付するかねじ込むかによって設けてもよい。また、レンズユニット200の下部に直接貼付したりはめ込んだり、ねじ込んだりすることにより設けてもよい。また、アジャスタ406とレンズホルダー201の間に装着することにより設けてもよい。さらには、アジャスタ406と滑り止め407を一体成型してもよい。
(クリップ)
次に、上述したクリップ213について、図58を用いて説明する。
クリップ213の一方の端部はレンズホルダー201に取り付けられており、もう一方の端部は、カメラが備えられた側の裏側を挟みこむように形成されている。
クリップ213は、アーム410と留め具を備えている。留め具は、レンズホルダー201を取り付けるためのものであり、アーム410の一方の端部に設けられている。留め具には、同図(a)に示すリング状留め具409、および同図(b)に示すU型状留め具411がある。リング状留め具409は、レンズホルダー201を抜き取る時に、先ず、リングを外してから、クリップ213を外す必要があるため、利便性に欠けるという問題はあるが、強度が強いという利点がある。一方、U型状留め具411は、強度が弱いという問題があるが、レンズホルダー201を簡単に抜き取ることができ、利便性が高いという利点がある。
アーム410のもう一方の端部は、スマートフォン222等の裏側を挟みこむように形成されている。
なお、留め具の上部には、第2の留め具を取り付けてもよい。第2の留め具は、図54,55で図示したように、ネジ状のネジ状留め具408であることが好ましいが、他の形態でもよい。第2の留め具を取り付けることにより、クリップ213の留め具409,411をよりしっかりと固定することが可能となる。
また、留め具409、411とアジャスタ406の間、または、留め具409,411と第2の留め具との間に、Oリング412を取り付けてもよい。これにより、アジャスタ406や第2の留め具をしっかりと固定することが可能となる。
また、クリップ213は、レンズホルダー201、レンズカバー203、またはアジャスタ406のうち一つまたは複数と一体成型されていてもよい。
図58および59は、レンズユニット200の各構成を示す斜視図である。
図58に示すように、レンズユニット200は、レンズカバー203、ID媒体402、ネジ状留め具408、レンズ一体型レンズホルダー405、アジャスタ406、滑り止め407から構成される。これにさらに、上述のクリップ213が設けられる場合がある。
図59は、さらにOリング412を設けた例である。Oリング412は、ネジ状留め具408とアジャスタの間406に挿入される。
なお、レンズホルダー201にねじ山を設け、アジャスタ406をネジで脱着するようにしてもよい。
また、レンズホルダー405は、レンズ202と一体型ではなく、別々に設けられていてもよいことはもちろんである。
(その他の構造)
その他、本実施例のレンズユニット200には、種々の構造が考えられる。
図61は、レンズ一体型レンズホルダー405の上部開口部の外周壁周辺に台座413を設けたものである。台座413を設けることにより、被写体を安定して載置することができ、撮影時のぶれを防ぐことができる。
台座は、レンズホルダー201,405またはレンズカバー203と一体成型されていてもよい。また、台座とレンズカバー203とレンズホルダー201,405が一体成型されていてもよい。
また、レンズユニット200には、図29(c)で説明したようなIRフィルタを設けてもよい。
また、レンズユニットには、図26~29で説明したような光源および電源を設けてもよい。
(利用形態)
図62は、上述したレンズユニット200の最も好適な利用形態について説明する図である。
同図(a)は、図54で示した、クリップ213を有さないレンズユニット200の利用形態である。
クリップ213を有さないレンズユニット200は、タブレット型PC212への利用に適している。タブレット型PC212は、机に載置して利用することが多く、レンズユニット200を安定して配置できるからである。
同図(b)(c)は、図52,55で示した、クリップ213を有するレンズユニット200の利用形態である。
クリップ213を有するレンズユニット200は、スマートフォン222や携帯電話への利用に適している。スマートフォン222や携帯電話は、手に持って利用することが多いため、レンズユニット200をただ配置するだけでは、レンズユニット200がずれたり外れたりしてしまう可能性が高いからである。
同図(b)は、アジャスタ406を下部に移動させた場合である。カメラとレンズ202の距離が近すぎると、ピントが正確に合わず、適切な撮影画像を得られない。そこで、アジャスタ406を移動させることにより、カメラとレンズの距離を適正に保つ。
同図(c)は、アジャスタ406を上部に移動させた場合である。同図では、スマートフォン222にスマートフォン用カバー414が設けられている。カメラとスマートフォン用カバー414の間には、すでに一定の距離が生じている。そのため、アジャスタ406を上部に移動させ、カメラとレンズ202の距離が遠くならないようにする。
このようにアジャスタを用いることにより、カメラのレンズの表面から本レンズユニット200のレンズ202の下端までの距離Hを最適距離に保つことができる。
このように、本発明のレンズユニット200は、タブレット型PC212、スマートフォン22、携帯電話の状態に合わせて用いることができるため、非常に柔軟性、利便性に優れている。
なお、レンズユニット200の利用形態は上述したものに限られず、ユーザの好みや使用状況等に応じて種々変更できることはもちろんである。
(人体部位の撮影)
さらに本発明のレンズユニット200は、ドットパターンだけでなく、人体の部位を撮影することも可能である。
人体の部位では、肌、頭皮、毛、爪、目等である。人体を例示したが、所定の部位としては、人に限らず生物の部位全てが対象となり得る。さらに、所定の部位としては、固有の特徴を有する被写体または撮影画像であれば何でもよく、固有のIDコードと対応付けすることができれば、どのような被写体であってもよい。
一例として、人体の肌を撮影する場合について説明する。
肌のコンデションを正確に診断するには、30倍程度に拡大した高精度の肌画像が不可欠である。これまで高額な肌診断機で撮影しないと正確な肌診断は不可能とされていたが、本発明のレンズユニット200をスマートフォン222に取り付けることによって簡易に高精度の肌画像の撮影が可能となる。殆どの女性は保護ケースに入れてスマートフォン222を使用するが、ケースの上から取り付けても焦点が合うアジャスト機能を搭載することにより、保護ケースを外すことなく最適な撮影が可能となった。また、レンズ開口部にドットコードによるIDを設け、肌と共にドットコードを撮影して個人の肌診断を実施することにより、適切なエイジングケアを提供することが可能となる。ここで、撮影された肌画像は、撮影環境、つまり屋外における朝夕や周辺環境(夕焼けや曇り、雨、雪、建物の色、緑の森の中など)の撮影や、屋内における照明や周辺環境(壁の色や照明の色・強さ・配置など)の撮影によって、レンズに入り込む光色が変化するため、適正な肌診断が困難となる。なお、撮影環境以外にも、スマートフォン222の機種によって若干青っぽく、赤っぽく、白っぽく映るようにカメラの性能の差異がある。そこで、本発明では、媒体自身の色を白色とし、撮影された肌画像と同時に撮影されたID媒体402の画像において、ID媒体402の白色がどのように変化しているかを画像解析し肌画像の補正量を求め、この補正量を基に肌画像の補正を行う。また、レンズの周辺から入り込む光は均一ではなく、方向によっても差異が生じるため、図63のように、少なくともサークルドット300が形成されている周囲の4~8方向における媒体の画像を基に画像解析して肌画像の補正量を定める必要がある。図63では、右下から光が強く入射している事例である。これらの4~8方向における補正量を基に、肌撮影領域全域の補正量を補間して肌画像の補正を行う。補正量の最も簡易な計算方法は、白色はR、G、Bが100%でるため、撮影されたID媒体画像をR´、G´、B´とすると、補正量はその差分であるΔR =R- R´、ΔG =G- G´、ΔB =B- B´となり、撮影された肌画像にΔR、ΔG、ΔBを加算すればよい。さらに、画像解析の精度を高めるためには、肌診断を行うための最適な光環境とカメラにおいてID媒体402の白色を撮影し、撮影されたR、G、Bの値を基準に補正量を計算することが望ましい。また、サークルドット300のドットを黒色で印刷し、撮影されたID媒体402の白色とドットの黒色を使用して補正量を計算すればさらに精度が向上する。黒色はR、G、Bが0%でるあるため、撮影されたID媒体402上のサークルドット画像をR”、G”、B”とすると、白色を基にした補正量ΔR、ΔG、ΔBと、黒色を基にした補正量R”、G”、B”で補完される補正量(撮影された肌画像は、R、G、Bのレベルによって補正量が異なる)をR、G、Bレベルの全域で求め、肌画像を補正すればよい。このためには、肌撮影領域の周辺のID媒体402のドットが4~8方向の位置に形成されている必要がある。
なお、ID媒体を黒色、ドットを白色とし、同様に補正量を計算してもよい。また、ドットを黒色ではなくR、G、Bを用いて、各色で補正量を計算して肌画像を補正してもよい。
ここで、肌撮影領域の周辺のID媒体の4~8方向の位置にドットを必ず配置するには、下記に示す第2のサークルドットパターンを用いればよい。
図64のように、サークルドットパターンは、サークル状の仮想閉鎖曲線上に所定間隔で基準ドットを配置して、基準ドットの少なくとも1個を他のドットと識別できるような形態のキードットとして、サークルドットパターンの配置方向と始点を定義し、仮想的に基準ドットにより定義されたサークル(仮想閉鎖曲線)上において、基準ドットの配置から定められる仮想点を始点とし、距離と方向の少なくともいずれか1つで定められた位置に情報ドットを配置して情報を定義する。キードットは、他の情報ドットと識別するためには、(1)ドットの大きさを変える。(2)ドットの形状を変える。(3)所定の方向にドットをずらす。(4)複数のドットを配置する。(5)ドットの色を変える。のいずれか少なくとも1以上でキードットを表現する。さらに加えて仮想点にドットを配置するか否かでも情報を定義できる。同図のa)では、基準ドットの上方に1個のドットを配置して、この2個のドットでキードットを定義している。情報ドットはキードットの向き(上方)を基準として斜め4方向に配置している。同図のb)では、サークル(仮想閉鎖曲線)を挿むように2個のドットをサークルの法線方向に配置してキードットを定義している。情報ドットはサークルの法線方向外向きを基準として斜め4方向に配置している。また、情報ドットは、キードットの向き(上方)を基準として上下左右方向に配置してもよい。また、サークルの法線方向を基準として上下左右方向に配置してもよい。その際、左右方向はサークルに沿って配置してもよい。もちろん、上下方向を無くしてサークル方向のみに情報ドットを配置してもよい。なお、全ての情報ドットの配置は任意の方向にしてもよいことは言うまでもない。
同65は、情報ドットの配置で定義される数値情報を示している。同図のa)は斜め4方向、同図のb)は上下4方向、同図のc)は斜め4方と上下4方向の8方向の数値情報を示している。図示しないが、仮想点からの距離を変化させることにより、さらに多くの情報を定義できる。また、さらに情報量を増やすために、相似形で大きさの異なるサークルドットを同一の中心点で複数配置してもよい。
なお、肌診断は直接肌画像を撮影しないで、角質チェッカーを肌に貼り付け、肌より角層を採取した角質チェッカーを本発明のレンズユニット200を使用して撮影してもよい。いずれにしても、撮影画像を外部データベースに送信する。外部データベース側で画像処理及びパターン認識を行って肌画像のデータベースと照合、肌診断を行い、結果をユーザに返信するサービスは極めてユーザのニーズに合致したものである。