JP6995239B1 - 木質座屈拘束ブレース及び木質座屈拘束ブレースの製造方法 - Google Patents

木質座屈拘束ブレース及び木質座屈拘束ブレースの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】芯材の変形による木質拘束材の割裂を防ぐことができる木質座屈拘束ブレースを提供することを目的とする。【解決手段】芯材10と、芯材10の長手方向の端部において、板厚方向の両側面に鉛直に配置される芯材補剛部材20と、芯材10の板厚方向の両側面に配置される木質拘束材30と、を備え、木質拘束材30の長手方向の端部には、芯材補剛部材20との干渉を防ぐためのスリット30sが設けられ、木質拘束材30には、補強部材41が設けられていることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、木質座屈拘束ブレース及び木質座屈拘束ブレースの製造方法に関する。
建物における免制振デバイスとして用いられる座屈拘束ブレースについて、拘束材に木材を用いた木質座屈拘束ブレースが開示されている。例えば、芯材として鋼材を用いて、拘束材に集成材を用いたものが開示されている(例えば、特許文献1)。
また、鋼製の芯材に、一対の拘束板及び一対の側板を備え、これらがボルトとナットとによって締結されたものが開示されている(例えば、特許文献2)。
また、鋼製の芯材及び一対の木製の拘束板にそれぞれ対応したボルト孔を有し、対応したボルト孔を連結ボルトが貫通することで前記一対の拘束板を連結したものが開示されている。(例えば、特許文献3)。
特許第4901491号公報 特許第6745371号公報 特開2019-214881号公報
特許文献3に記載の構造については、芯材と拘束板とを固定するために、芯材にボルト孔を設ける。このことで芯材に応力集中が生じ、疲労性能が低下する。芯材にボルト穴を設けない場合は、芯材を座屈拘束部である拘束板に貫入する必要がある。芯材を拘束板に貫入する場合、拘束板による補剛力を期待できない芯材の端部は、補剛部材を設けて十字断面とする必要がある。
芯材を十字断面にするとき、特許文献2に示すように、芯材と拘束板とが干渉しないように、拘束板にスリットを設けることがある。この構成を備える木質座屈拘束ブレースにおいて、地震等による荷重の負荷によって芯材が変形することがある。このとき、前記従来の木質座屈拘束ブレースでは、変形した芯材が拘束材のスリットに接触することがある。すると、スリットの内壁に対して芯材から荷重が負荷される。結果として、スリットの底部を根元として、拘束材が割裂するおそれがある旨の課題があった。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、芯材の変形による木質拘束材の割裂を防ぐことができる木質座屈拘束ブレースを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る木質座屈拘束ブレースは、芯材と、前記芯材の長手方向の端部において、板厚方向の両側面に鉛直に配置される芯材補剛部材と、前記芯材の前記板厚方向の両側面に配置される木質拘束材と、を備え、前記木質拘束材の前記長手方向の端部には、前記芯材補剛部材との干渉を防ぐためのスリットが設けられ、前記木質拘束材には、補強部材が設けられていることを特徴とする。
この発明によれば、木質拘束材には、芯材補剛部材との干渉を防ぐためのスリットが設けられている。ここで、木質拘束材にスリットを設けたとき、スリットの内壁と芯材補剛部材とが干渉すると、応力によってスリットの内壁から木質拘束材が割裂することがある。
スリットが芯材補剛部材との接触を防ぐ形状、つまりスリットと芯材補剛部材との間に隙間を有した形状とすることで、例えば、荷重等によって芯材が変形した場合であっても、芯材又は芯材補剛部材が木質拘束材に接触することを防ぐことができる。これにより、芯材補剛部材が木質拘束材のスリットに接触することによって、木質拘束材が割裂することを防ぐことができる。
また、木質拘束材には、補強部材が設けられている。これにより、上述の効果に加えて、木質拘束材が割裂することをより確実に防ぐことができる。
また、前記補強部材が、前記木質拘束材の長手方向の端部に設けられていることを特徴としてもよい。
この発明によれば、補強部材が、木質拘束材の長手方向の端部に設けられている。これにより、木質拘束材の端部が割裂することをより確実に防ぐことができる。
また、前記芯材の一方の側面に配置された前記木質拘束材と、前記芯材の他方の側面に配置された前記木質拘束材との間にスペーサが設けられ、前記芯材の前記長手方向の端部側である第1区間における前記芯材と前記スペーサとの隙間は、前記芯材の前記長手方向の中央側である第2区間における前記芯材と前記スペーサとの前記隙間よりも大きいことを特徴としてもよい。
この発明によれば、芯材及び芯材補剛部材と木質拘束材との間の隙間について、第2区間よりも、第1区間の方が大きい。
ここで、荷重等による芯材の変形代は、芯材の長手方向における中央側よりも、芯材の長手方向における端部側の方が大きい。
芯材の中央側の隙間よりも、端部側の隙間を大きくすることで、芯材の変形によって芯材又は芯材補剛部材と木質拘束材とが接触することをより確実に防ぐことができる。
また、前記補強部材が前記第1区間のみに設けられることを特徴としてもよい。
この発明によれば、補強部材が第1区間のみに設けられる。つまり、芯材の長手方向全体に補強部材が設けられる場合と比較して、補強部材の数を必要最小限とすることができる。よって、作業に要する時間及び部材に必要とする費用を抑えることができる。
また、前記第1区間と前記第2区間との境界が前記スリットよりも前記芯材の前記長手方向の中央側に位置し、前記境界を、前記芯材の曲げヒンジとすることを特徴としてもよい。
この発明によれば、第1区間と第2区間との境界を、芯材の曲げヒンジとする。芯材と木質拘束材との隙間が狭い第2区間において芯材が曲がることを防ぎ、より芯材及び芯材補剛部材と木質拘束材との隙間が大きい第1区間でのみ芯材が曲がるようにすることによって、木質拘束材の割裂等の破損を防ぎ、木質座屈拘束ブレースが構造物に組み込まれた状態において安全に芯材が変形することができる。
また、前記第1区間における前記芯材と前記スペーサとの前記隙間は、前記芯材の想定変形量以上となるように設定されることを特徴としてもよい。
この発明によれば、第1区間における芯材とスペーサとの隙間は、芯材の想定変形量以上となるように設定される。これにより、芯材が変形してスペーサと干渉することで、木質拘束材に応力が発生して破損するといった事を防ぐことができる。
また、前記第1区間における前記隙間は、前記第1区間の側から前記第2区間の側へ向けて縮小するテーパ状となっていることを特徴としてもよい。
この発明によれば、芯材及び芯材補剛部材と木質拘束材との隙間は、第1区間側から第2区間側へ向けて縮小するテーパ状となっている。これにより、芯材及び芯材補剛部材と木質拘束材とが、芯材の変形によって接触することを防ぐために必要な木質拘束材の除去量を必要最小限とすることができる。よって、必要以上に木質拘束材の強度を損なうことなく木質拘束材を形成することができる。
また、前記補強部材を木目栓で隠すことを特徴としてもよい。
この発明によれば、補強部材を木目栓で隠す。これにより、木質座屈拘束ブレースの使用時において、補強部材を目立たなくすることで、意匠性を向上することができる。
また、前記芯材と前記木質拘束材との間に、内挿板を備えていることを特徴としてもよい。
この発明によれば、芯材と木質拘束材との間に内挿板を備えている。これにより、木質拘束材が長手方向に沿って割裂するように作用する力を、内挿板により負担することができる。よって、木質拘束材が割裂することをより確実に防ぐことができる。また、内挿板を芯材と木質拘束材との間に設けることで、外部から内挿板が視認されない。このことで、意匠性を確保しつつ、上述の作用を担保することができる。
また、前記補強部材として、板状補強部材を含むことを特徴としてもよい。
この発明によれば、補強部材として板状補強部材を含む。これにより、木質拘束材の長手方向の端部を補強部材で固定した時、板状補強部材によって木質拘束材を長手方向に直交する方向の外周面から押さえつけるように固定することができる。つまり、丸ワッシャを用いる場合と比較して広範囲を押さえることができ、より固定を強固にすることができる。
また、前記板状補強部材と前記木質拘束材とを、同一の第1ボルトで締結することを特徴としてもよい。
この発明によれば、板状補強部材と、木質拘束材とを同一の第1ボルトで締結する。これにより、板状補強部材と木質拘束材との締結をより確実に行うことができる。板状補強部材を使わず、木質拘束材と丸ワッシャとを第1ボルトで締結する場合は、確実に締結を確保するために次の対策が必要となる。すなわち、互いに直交し、かつ、木質拘束材の長手方向に直交する2つの方向からボルト締結する必要がある。つまり、木質拘束材に対して2つの方向からボルト孔を設ける必要がある。板状補強部材と木質拘束材とを同一の第1ボルトで固定する場合は、丸ワッシャを用いた場合よりも確実に締結できることから、このように2方向のボルト孔を設ける必要がない。よって、より木質座屈拘束ブレースの端部における強度を確保することができる。
また、前記補強部材として螺合部材を含むことを特徴としてもよい。
この発明によれば、補強部材として螺合部材を含む。これにより、木質座屈拘束ブレースの製造において、特殊な工具等を必要とせず、効率的に生産することができる。
また、前記螺合部材は、前記木質拘束材に噛みこんで固定することを特徴としてもよい。
この発明によれば、螺合部材は木質拘束材に噛みこんで固定される。つまり、螺合部材を木質拘束材に固定する際、ナットを必要としない。このため、ナットを用いて固定する場合と比較して、木質拘束材に設ける穴を小さくすることで、意匠性を向上することができる。更に、木質拘束材に直接噛み込むことから、より木質拘束材を強固に固定することができる。
また、本発明に係る木質座屈拘束ブレースの製造方法は、芯材と、前記芯材の長手方向の端部において、板厚方向の両側面に鉛直に配置される芯材補剛部材と、前記芯材の前記板厚方向の両側面に配置される木質拘束材と、を備える木質座屈拘束ブレースの製造方法であって、前記長手方向の両端部である第1区間又は前記長手方向の中央部である第2区間のいずれであるかを判別する判別工程と、前記判別工程において、前記第1区間であると判別された部位に補強部材を取り付ける取付工程と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、第1区間であると判別された部位に補強部材を取り付ける。このように、第1区間にのみ補強部材を設けることによって、必要最小限の部材で十分な強度を備える木質座屈拘束ブレースを、効率的に製造することができる。
本発明によれば、芯材の変形による木質拘束材の割裂を防ぐことができる木質座屈拘束ブレースを提供することができる。
本発明に係る木質座屈拘束ブレースの第1例の正面図である。 図1に示すII-II方向の断面図である。 図1に示すIII-III方向の断面図である。 木質座屈拘束ブレースが建物に組み込まれた状態を示す模式図である。 図4において、建物の構造の変形に伴い木質座屈拘束ブレースが変形する形態を示す模式図である。 図3において内挿板を追加した状態を示す変形例である。 本発明に係る木質座屈拘束ブレースの第2例の正面図である。 図7に示すV-V方向の断面図である。 図7に示すVI-VI方向の断面図である。 本発明に係る木質座屈拘束ブレースの第3例の正面図である。 図10に示すVIII-VIII方向の断面図である。 図10に示すIX-IX方向の断面図である。 本発明に係る木質座屈拘束ブレースの第3例の正面図である。 図13に示すXI-XI方向の断面図である。 図13に示すXII-XII方向の断面図である。 図1に示すXVI部の拡大図である。
(第1実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る木質座屈拘束ブレースを説明する。
図1、図2、図3に示す第1木質座屈拘束ブレース100は、例えば、建物における柱と梁とからなる構造を補強するために用いられる。第1木質座屈拘束ブレース100は、芯材10と、芯材補剛部材20と、木質拘束材30と、補強部材41と、付勢部材42と、第1スペーサ51(スペーサ)と、第2スペーサ52(スペーサ)と、化粧木60と、を備える。
芯材10は、鋼板により構成された長尺の平板である。芯材10は、両端部が建物の構造に取り付けられることで、建物を補強する。芯材10は、鋼板(平鋼)から形成されている。なお芯材10は、SN材(建築構造用圧延鋼材)や、LYP材(極低降伏点鋼材)等の降伏点の低い鋼材にて形成されていることが好ましい。この場合、芯材10の降伏による地震エネルギー吸収性が良好になる。
図1に示すように、芯材10は、狭幅部11と、広幅部12と、幅変化部13と、を備えている。以下芯材について、狭幅部11と、広幅部12と、幅変化部13と、を区別しない場合は、芯材10と図示あるいは呼称する。
狭幅部11は、芯材10における長手方向の中央に位置している。広幅部12は、芯材10における長手方向の両端に位置している。広幅部12は、狭幅部11よりも板幅が広い。広幅部12は、狭幅部11よりも長手方向に短い。
芯材10における長手方向の中央が狭幅部11であり、長手方向の端部が広幅部12であることで、芯材10における長手方向の中央(狭幅部11)が塑性化し易い領域となり、塑性化領域が前記中央に限定される。
図1に示すように、広幅部12には、芯材補剛部材20が接合されている。芯材補剛部材20は、広幅部12における表裏面(芯材10の板厚方向を向く面)に設けられている。芯材10および芯材補剛部材20は、断面十字状を呈している。
広幅部12と芯材補剛部材20にはそれぞれ、図示しないボルト孔が開設されている。木質座屈拘束ブレースは、ボルト孔に差し込まれる図示しないボルトによって、構造物(建物)に取り付けられる。
図1に示すように、幅変化部13は、広幅部12と狭幅部11との境界領域である。幅変化部13の幅は、長手方向に沿って変化する。幅変化部13の幅は、狭幅部側から広幅部側に向けて広くなる。幅変化部13は、例えば、芯材10に作用する付加曲げモーメントを吸収する。
本実施形態における芯材10の各寸法は、一例として下記の通りである。すなわち、全長は5760mmであり、長手方向の両端部側の幅は240mmである。また、芯材10の長手方向の中央側の幅は110mmである。このような構成を備える芯材10は、両端部側から中央側にかけてはテーパ状に形成されている。なお、芯材10の板厚は一定であり、本実施形態においては25mmである。
芯材補剛部材20は、鋼板により構成された板状の部材である。図2に示すように、芯材補剛部材20は、芯材10の長手方向の端部において、板厚方向の両側面に鉛直に配置される。これにより、芯材10の両端部を補強し、芯材10が板厚方向に折れ曲がることを防ぐ。本実施形態における芯材補剛部材20の各寸法は、一例として下記の通りである。すなわち、芯材10の長手方向の端部から中央側に向けて530mm程度の長さに設けられることが好ましい。なお、本実施形態において、芯材補剛部材20の板厚は芯材10と同様に25mm程度である。
木質拘束材30は、芯材10の板厚方向の両側面に配置される。木質拘束材30は、芯材10の中間部を補剛する。木質拘束材30は、木製である。木質拘束材30は、いわゆるエンジニアードウッドであってもよく、無垢材であってもよい。エンジニアードウッドとは、木を原材料に工場で二次加工された木質部材のうち、特に強度特性が計算・評価・保証された木材製品である。エンジニアードウッドは、互いに積層された複数の木板を備える。エンジニアードウッドとしては、例えば、集成材やLVLなどが挙げられる。図示の例では、木質拘束材30は、集成材である。図2に示すように、木質拘束材30は、複数層のラミナ(木板)を備えている。複数層のラミナは、互いに接着(一次接着)されている。
図1に示すように、木質拘束材30は、芯材10の長手方向に長い角材である。木質拘束材30は、長手方向に連続して延びる。木質拘束材30は、長手方向に複数並んでいない。
木質拘束材30は、芯材10の狭幅部11よりも長手方向に長く、かつ、芯材10の全長よりも長手方向に短い。芯材10の広幅部12は、木質拘束材30から長手方向に張り出している。
また、図2及び図3に示すように、芯材10の両側面に配置された木質拘束材30は、第1ボルトB(補強部材)及びナットN(補強部材)によって締結されることが好ましい。また、本実施形態において、木質拘束材30の長手方向の寸法は、例えば、4350mmである。
木質拘束材30の長手方向の端部、つまり芯材補剛部材20の周辺となる部位には、図2に示すように、芯材補剛部材20との干渉を防ぐためのスリット30sが設けられている。スリット30sには、芯材補剛部材20が配置される。
図2、図3に示すように、長手方向に直交する断面視において、木質拘束材30は、芯材10の板幅方向よりも板厚方向に長い矩形状である。
木質拘束材30は、芯材10の板厚方向の両側面に密接(面接触)している。
木質拘束材30は、芯材10の狭幅部11よりも板幅方向に広い。芯材10は、芯材10の板厚方向の両側面に位置する木質拘束材30同士における板幅方向の中央部の間に配置されている。
ここで、第1木質座屈拘束ブレース100が建物に組み込まれた状態において、図4、図5に示すように、地震等による入力によって芯材10が変形することがある。以下において、入力によって芯材10が変形する際の曲げ点となる部位を、曲げヒンジ10Bと呼称することがある(後述する)。
このとき、スリット30sの大きさが十分でないと、芯材10及び芯材補剛部材20と木質拘束材30とが接触することがある。この接触は木質拘束材30を割裂させる原因となるため、この芯材10の変形代を考慮してスリット30sの大きさを定めることが好ましい。すなわち、スリット30sの大きさは、芯材10の想定変形量と同値か、あるいはより大きいことが好ましい。すなわち、第1木質座屈拘束ブレース100が施工される建物の個別の設計に合わせ、第1木質座屈拘束ブレース100に求められる層間変形角に対する変形追従性に必要なスリット30sの大きさを検討して設定されることが好ましい。
なお、図6に示すように、芯材10と木質拘束材30との間には、内挿板30pを備えていてもよい。内挿板30pは、木質拘束材30の長手方向に沿って設けられる。これにより、木質拘束材30の長手方向の中間部及びスリット30s付近において、木質拘束材30を割裂させる力を内挿板30pが負担する。これにより、木質拘束材30が長手方向に割裂することを防ぐ役割を備える。
また、芯材10における板厚方向の両表面(表裏面)には、アンボンド材が配置されていてもよい(不図示)。アンボンド材は、例えば、ブチルゴム等の粘弾性材よりなる付着防止皮膜として形成されている。ブチルゴム以外の材料としては、例えば、粘弾性プラスチック、天然ゴム、ポリイソプン、ポリブタジエン、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリクロロプレン、ポリイソブチレン、アスファルト、ペイント、及び、それらの混合物を使用することができる。
アンボンド材は、芯材10の前記両表面の全面にわたって設けられている。アンボンド材は、芯材10の前記両表面のうち、少なくとも芯材10の板厚方向の両側面に配置された2つの木質拘束材30同士の間に位置する部分の全面にわたって設けられていることが好ましい。
なお、芯材10の表面にアンボンド材が設けられている場合、芯材10の厚さとは、芯材10そのものにアンボンド材も加えた全体の厚さを意味する。ただし、アンボンド材の厚さは、芯材10そのものの厚さに比べて、無視できるほど小さい。
補強部材41は、図1に示すように、木質拘束材30に設けられる。本実施形態において、補強部材41は、木質拘束材30の長手方向の端部において、長手方向に間隔をあけて複数設けられている。また、図1に示すように、本実施形態において木質拘束材30の長手方向における補強部材41の位置はスリット30sと重なっているが、これに限らない。すなわち、複数設けられた補強部材41の一部が、スリット30sに対して前記長手方向の中央側に位置していてもよい。
補強部材41は、例えば、長方形状あるいは長丸状の金属板が好適に用いられる(板状補強部材)。特に、金属製のワッシャがより好適に用いられる。補強部材41は、芯材10の両側面に設けられた木質拘束材30を第1ボルトB及びナットNによって締め付けて固定する際に、木質拘束材30の表面に第1ボルトB及びナットNが食い込まないようにするために設けられる。このため、木質拘束材30と補強部材41とは、同一の第1ボルトBで締結されることが好ましい。
これに加えて、補強部材41は木質拘束材30が幅方向に割裂することを防ぐ役割を備える。具体的には、木質拘束材30の長手方向の端部側には上述のようにスリット30sが設けられている。図2に示すように、スリット30sが設けられた部位は木質拘束材30の板厚が薄い。そのため、木質拘束材30におけるスリット30sが設けられた部位の強度は、外部からの入力に対して低くなる。特に、木質拘束材30が幅方向に割裂するように作用する力に対する強度が低くなる。補強部材41は、木質拘束材30の端部に設けられることで、上述の問題を回避する役割を備える。
付勢部材42は、図1に示すように、木質拘束材30の長手方向の中央側に設けられる。付勢部材42は、例えば、金属製の丸ワッシャが好適に用いられる。付勢部材42は、芯材10の両側面に設けられた木質拘束材30を第1ボルトB及びナットNによって締め付けて固定する際に、木質拘束材30の表面に第1ボルトB及びナットNが食い込まないようにするために設けられる。このため、木質拘束材30と補強部材41とは、同一の第1ボルトBで締結されることが好ましい。
第1スペーサ51は、芯材10の一方の板厚方向の側面に配置された木質拘束材30と、芯材10の他方の板厚方向の側面に配置された木質拘束材30との間に設けられる金属製の部材である。つまり、第1スペーサ51は、芯材10の幅方向における両側の側面に設けられている。特に、第1スペーサ51は、木質拘束材30の長手方向における端部側に設けられる。以下、木質拘束材30において、芯材10の長手方向の端部側で、特に第1スペーサ51が位置している領域を第1区間s1と呼称する。本実施形態において、第1区間s1、すなわち第1スペーサ51の長手方向の寸法は、例えば、423mmである。
第2スペーサ52は、芯材10の一方の板厚方向の側面に配置された木質拘束材30と、芯材10の他方の板厚方向の側面に配置された木質拘束材30との間に設けられる金属製の部材である。つまり、第2スペーサ52は、芯材10の幅方向における両側の側面に設けられている。特に、第2スペーサ52は、木質拘束材30の長手方向における中央側に設けられる。以下、木質拘束材30において、芯材10の長手方向の中央側で、特に第2スペーサ52が位置している領域を第2区間s2と呼称する。第2スペーサ52は、第2区間s2と同じ長さを備える一の部材であってもよいし、複数の部材を並べて設けることで形成されていてもよい。第2スペーサ52が芯材10の長手方向に複数配置されていることで、例えば、第2スペーサ52の1つ1つを小型化することが可能になり、製造性を高めること等ができる。
ここで、第1区間s1における芯材10と第1スペーサ51との隙間Sは、第2区間s2における芯材10と第2スペーサ52との間の空隙よりも大きい。具体的には、図16に示すように、第1スペーサ51と芯材10との間には、隙間Sが形成されている。これに対し、第2スペーサ52と芯材10との間には、隙間Sよりも小さい空隙が形成されているか、あるいは形成されていない。
つまり、第1区間s1に位置する芯材10は変形代があるのに対し、第2区間s2に位置する芯材10は第2スペーサ52によって拘束され、変形代がない。よって、上述の曲げヒンジ10Bは、第1区間s1と第2区間s2の境界に位置している。
曲げヒンジ10B、すなわち前記境界は、木質拘束材30に設けられたスリット30sの、長手方向における中央側の端部よりも更に中央側に位置していることが好ましい。このような位置関係において、上述の補強部材41は、第1区間s1にのみ設けられることが好ましい。また、第1区間s1における隙間Sは、第1区間s1の側から第2区間s2の側へ向けて縮小するテーパ状となっていることがより好ましい。
また、第1区間s1における芯材10とスペーサとの隙間Sは、芯材10の想定変形量と同値か、あるいはそれ以上となるように設定されることが好ましい。具体的には、第1木質座屈拘束ブレース100が施工される建物の個別の設計に合わせ、第1木質座屈拘束ブレース100に求められる層間変形角に対する変形追従性に必要な隙間Sを検討して設定されることが好ましい。
第1スペーサ51の厚さおよび第2スペーサ52の厚さは、いずれも芯材10の厚さ以下である。本実施形態では、第1スペーサ51の厚さおよび第2スペーサ52の厚さはいずれも、芯材10の厚さ未満である。そのため、各スペーサと各拘束材との間には、板厚方向の空隙が生じている。この空隙には、プレート(不図示)が配置されていてもよい。プレートは、例えば鋼製である。図6に示すように、2つの木質拘束材30の間に内挿板30pが設けられている場合には、内挿板30pと第1スペーサ51及び第2スペーサ52との間にプレートが設けられていてもよい。
本実施形態では、前記空隙にプレートが配置されている。プレートは、例えば鋼製である。プレートの材質は、芯材10の材質やスペーサの材質と同一であってもよく、異なっていてもよい。プレートが配置される場合は、(1)木質拘束材30と第1スペーサ51との間、(2)木質拘束材30と第2スペーサ52との間、(3)内挿板30pと第1スペーサ51との間、(4)内挿板30pと第2スペーサ52との間、のうちの少なくとも1つに配置される。各座屈拘束ブレースは、複数のプレートを備えていてもよい。各プレートは、前記空隙を埋める。各プレートは、第1スペーサ51及び第2スペーサ52や木質拘束材30に密接している。
化粧木60は、木質座屈拘束ブレースにおける木質拘束材30の意匠性を向上するために設けられた木材か、あるいは木質拘束材30と同様の外観をしたその他の部材である。化粧木60は、図2及び図3に示すように、芯材10の板厚方向の両側面に配置された木質拘束材30同士の間に設けられる。化粧木60が設けられていない場合は、木質拘束材30同士の間に位置している第1スペーサ51及び第2スペーサ52が、外部から見える状態となる。化粧木60によって第1スペーサ51及び第2スペーサ52が見えないようにすることで、芯材10の周囲全体が木製の柱状の外観となる。これにより、意匠性を向上する役割を備える。
本実施形態において、化粧木60は木製である。化粧木60の厚さは、芯材10の厚さと同等か、芯材10の厚さよりわずかに薄い。化粧木60は、木質拘束材30に接着されていてもよい。あるいは、木質拘束材30の間に単に嵌め込まれているだけでもよい。化粧木60は、木質拘束材30にビス止めされていてもよい。
また、化粧木60は、木質拘束材30における芯材10の板幅方向の端面と面一であることが好ましい。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2木質座屈拘束ブレース200を、図7、図8、図9を参照して説明する。なお、この第2木質座屈拘束ブレース200においては、上述の構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
第2木質座屈拘束ブレース200は、芯材10と、芯材補剛部材20と、木質拘束材30と、補強部材41と、付勢部材42と、第1スペーサ51と、第2スペーサ52と、化粧木60と、第1木目栓41cと、第2木目栓42cと、を備える。第2座屈拘束ブレースは、第1木目栓41c及び第2木目栓42cを備える点を除き、第1木質座屈拘束ブレース100と同じ構成である。
第1木目栓41cは、補強部材41を外部から見えないようにすることで、木質拘束材30の外観を向上して意匠性を向上する役割を有する。第1木目栓41cは、木質拘束材30の外周面側において目立たない色調であることが好ましく、木目調の加工がされたもの(木目栓)であることがより好ましい。第1木目栓41cは、補強部材41及び第1ボルトB又はナットNの上に設けられる。このとき、図7及び図8に示すように、補強部材41は長丸状の形状を備え、木質拘束材30の外周面に設けられた長穴状の第1座繰穴41hの底に取り付けられる。第1座繰穴41hを設ける際は、木質拘束材30の強度に影響を与えないことに留意して設けることが好ましい。この上から第1木目栓41cに取り付けることで、木質拘束材30及び第1木目栓41cの外側の表面が面一になるように取り付ける。
第2木目栓42cは、付勢部材42を外部から見えないようにすることで、木質拘束材30の外観を向上して意匠性を向上する役割を有する。第2木目栓42cは、木質拘束材30の外周面側において目立たない色調であることが好ましく、木目調の加工がされたもの(木目栓)であることがより好ましい。第2木目栓42cは、付勢部材42及び第1ボルトB又はナットNの上に設けられる。このとき、図7及び図9に示すように、付勢部材42は円状の形状を備え、木質拘束材30の外周面に設けられた円状の第2座繰穴42hの底に取り付けられる。この上から第2木目栓42cに取り付けることで、木質拘束材30及び第2木目栓42cの外側の表面が面一になるように取り付ける。
あるいは、付勢部材42を設ける部位、すなわち付勢部材42が設けられた部位に対しては、図9の左側に示すように、木質拘束材30に長穴状の第1座繰穴41hを設け、第1木目栓41cを取り付けてもよい。
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3木質座屈拘束ブレース300を、図10、図11、図12を参照して説明する。
なお、この第3木質座屈拘束ブレース300においては、上述の構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
第3木質座屈拘束ブレース300は、芯材10と、芯材補剛部材20と、木質拘束材30と、付勢部材42と、第2スペーサ52と、化粧木60と、第2木目栓42cと、を備える。第3木質座屈拘束ブレース300の備える各構成部品は、第2木質座屈拘束ブレース200と比較して補強部材41及び第1木目栓41cを備えていない点で相違する。
上述のように、補強部材41は、木質拘束材30の長手方向の端部において、長手方向に間隔をあけて複数設けられている。また、複数設けられた補強部材41の一部が、スリット30sに対して前記長手方向の中央側に位置している。
これにより、木質拘束材30の端部を補強して木質拘束材30が割裂することを防ぐ役割を備える。これに対し、第3木質座屈拘束ブレース300は、木質拘束材30の割裂を以下の構造により防止する。
すなわち、図10および図11に示すように、木質拘束材30の長手方向の両端部において、第1ボルトB、ナットN及び付勢部材42を、芯材10の板厚方向に間隔をあけて複数設けることに加えて、芯材10の幅方向、すなわち芯材10の板厚方向に直交するように間隔をあけて複数設ける。言い換えれば、第1ボルトB、ナットN及び付勢部材42を、木質拘束材30の幅方向の側面において、長手方向に間隔をあけて複数設けられる。また、上述のように長手方向に間隔をあけて複数設けられた第1ボルトB、ナットN及び付勢部材42の一部が、スリット30sに対して長手方向の中央側に位置していてもよい。
これにより、上述の補強部材41によって担っていた木質拘束材30の割裂防止の役割を、第1ボルトBとナットNとによる構造で担保する。
図11及び図12において、付勢部材42と第1ボルトB及びナットNは木質拘束材30に設けられた第2座繰穴42hに設けられ、その上には第2木目栓42cが設けられているが、これに限らない。例えば、第2木目栓42cを備えない外観としてもよいし、木質拘束材30に第2座繰穴42hを設けずに付勢部材42と第1ボルトB及びナットNを取り付けてもよい。
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4木質座屈拘束ブレース400を、図13、図14、図15を参照して説明する。
なお、この第4木質座屈拘束ブレース400においては、上述の構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
第4木質座屈拘束ブレース400は、芯材10と、芯材補剛部材20と、木質拘束材30と、付勢部材42と、第2スペーサ52と、化粧木60と、第2木目栓42cと、螺合部材RB(補強部材)と、を備える。第4木質座屈拘束ブレース400は、第3木質座屈拘束ブレース300と比較して、螺合部材RBを備える点で相違する。
螺合部材RBは、ネジ部を備える部材で、前記ネジ部を木質拘束材30に直接噛み込ませることで固定する。図15に示すように、螺合部材RBは、芯材10の幅方向、すなわち芯材10の板厚方向に直交するように間隔をあけて複数設けられる。言い換えれば、螺合部材RBは、木質拘束材30の幅方向の側面において、長手方向に間隔をあけて複数設けられる。また、複数設けられた螺合部材RBの一部が、スリット30sに対して長手方向の中央側に位置していてもよい。これにより、上述の補強部材41によって担っていた木質拘束材30の割裂防止の役割を、螺合部材RBによって担保する。
上述のように、螺合部材RBは、木質拘束材30に噛み込んで固定する。このため、螺合部材RBを設ける際は、木質拘束材30の幅方向における片側の側面から螺入することで固定を完了できる。なお、図13に示すように、木質拘束材30の端部において、複数の螺合部材RBを木質拘束材30の一方の側面及び他方の側面から交互に螺入してもよいし、一方の側面からのみ螺入する構造としてもよい。なお、一方の側面からのみ螺合部材RBを螺入した場合は、他方の側面からは螺合部材RBが見えないことで、意匠性の向上に寄与できる。
(木質座屈拘束ブレースの製造方法)
次に、上述の各実施形態に係る木質座屈拘束ブレースの製造方法について説明する。本実施形態における製造方法は、判別工程と、取付工程と、を備える。なお、以下において、第1木質座屈拘束ブレース100を例に挙げて説明する。これに加えて、第2木質座屈拘束ブレース200、第3木質座屈拘束ブレース300、第4木質座屈拘束ブレース400のそれぞれ個別に適用される製造方法を個別に説明する。
(判別工程)
木質拘束材30について、当該部位が長手方向における第1区間s1又は第2区間s2のいずれであるかを判別する工程である。この工程による判別の結果によって、当該部位に取り付ける補強部材を選定する。判別の方法には、スケールによる計測が挙げられる。また、目視確認あるいは画像処理その他の任意の方法で判別してもよい。
(取付工程)
判別工程において第1区間s1であると判別された部位に、補強部材を取り付ける工程である。具体的には、第1木質座屈拘束ブレース100及び第2木質座屈拘束ブレース200においては、木質拘束材30の板厚方向の両側面に補強部材41を第1ボルトB及びナットNを介して取付ける。第3木質座屈拘束ブレース300においては、木質拘束材30の厚さ方向の両側面及び幅方向の両側面に、付勢部材42を第1ボルトB及びナットNを介して取付ける。第4木質座屈拘束ブレース400においては、木質拘束材30の厚さ方向の両側面に付勢部材42を第1ボルトB及びナットNを介して取付け、木質拘束材30の幅方向のいずれかあるいは両側面から螺合部材RBを螺入する。
上述の工程の後、必要に応じて第1木目栓41c又は第2木目栓42cを取り付ける。この場合は、予め木質拘束材30に第1座繰穴41h又は第2座繰穴42hを設けておくことが好ましい。
なお、木質座屈拘束ブレースの製作にあたっては、上述の工程に合わせて、各構成部品を適宜組み合わせる工程や、ボルト及びナットNを締め付ける工程や、木質拘束材30の第2区間s2における板厚方向の両側面に付勢部材42をボルト及びナットNを介して取り付ける工程を適宜行うものとする。
以上説明したように、本実施形態に係る第1木質座屈拘束ブレース100、第2木質座屈拘束ブレース200、第3木質座屈拘束ブレース300、第4木質座屈拘束ブレース400によれば、木質拘束材30には、芯材補剛部材20との干渉を防ぐためのスリット30sが設けられている。ここで、木質拘束材30にスリット30sを設けたとき、スリット30sの内壁と芯材補剛部材20とが干渉すると、応力によってスリット30sの内壁から木質拘束材30が割裂することがある。
スリット30sが芯材補剛部材20との接触を防ぐ形状、つまりスリット30sと芯材補剛部材20との間に隙間Sを有した形状とすることで、例えば、荷重等によって芯材10が変形した場合であっても、芯材10又は芯材補剛部材20が木質拘束材30に接触することを防ぐことができる。これにより、芯材補剛部材20が木質拘束材30のスリット30sに接触することによって、木質拘束材30が割裂することを防ぐことができる。
また、木質拘束材30には、補強部材41が設けられている。これにより、上述の効果に加えて、木質拘束材30が割裂することをより確実に防ぐことができる。
また、補強部材41が、木質拘束材30の長手方向の端部に設けられている。これにより、木質拘束材30の端部が割裂することをより確実に防ぐことができる。
また、芯材10及び芯材補剛部材20と木質拘束材30との間の隙間Sについて、第2区間s2よりも、第1区間s1の方が大きい。
ここで、荷重等による芯材10の変形代は、芯材10の長手方向における中央側よりも、芯材10の長手方向における端部側の方が大きい。
芯材10の中央側の隙間Sよりも、端部側の隙間Sを大きくすることで、芯材10の変形によって芯材10又は芯材補剛部材20と木質拘束材30とが接触することをより確実に防ぐことができる。
また、補強部材が第1区間s1のみに設けられる。つまり、芯材10の長手方向全体に補強部材が設けられる場合と比較して、補強部材の数を必要最小限とすることができる。よって、作業に要する時間及び部材に必要とする費用を抑えることができる。
また、第1区間s1と第2区間s2との境界を、芯材10の曲げヒンジ10Bとする。芯材10と木質拘束材30との隙間Sが狭い第2区間s2において芯材10が曲がることを防ぎ、より芯材10及び芯材補剛部材20と木質拘束材30との隙間Sが大きい第1区間s1でのみ芯材10が曲がるようにすることによって、木質拘束材30の割裂等の破損を防ぎ、第1木質座屈拘束ブレース100、第2木質座屈拘束ブレース200、第3木質座屈拘束ブレース300、第4木質座屈拘束ブレース400が構造物に組み込まれた状態において安全に芯材10が変形することができる。
また、第1区間s1における芯材10とスペーサとの隙間Sは、芯材10の想定変形量以上となるように設定される。これにより、芯材10が変形してスペーサと干渉することで、木質拘束材30に応力が発生して破損するといった事を防ぐことができる。
また、芯材10及び芯材補剛部材20と木質拘束材30との隙間Sは、第1区間側から第2区間側へ向けて縮小するテーパ状となっている。これにより、芯材10及び芯材補剛部材20と木質拘束材30とが、芯材10の変形によって接触することを防ぐために必要な木質拘束材30の除去量を必要最小限とすることができる。よって、必要以上に木質拘束材30の強度を損なうことなく木質拘束材30を形成することができる。
また、補強部材を第1木目栓41c又は第2木目栓42cで隠す。これにより、第2木質座屈拘束ブレース200、第3木質座屈拘束ブレース300、第4木質座屈拘束ブレース400の使用時において、補強部材を目立たなくすることで、意匠性を向上することができる。
また、芯材10と木質拘束材30との間に内挿板30pを備えている。これにより、木質拘束材30が長手方向に沿って割裂するように作用する力を、内挿板30pにより負担することができる。よって、木質拘束材30が割裂することをより確実に防ぐことができる。また、内挿板30pを芯材10と木質拘束材30との間に設けることで、外部から内挿板30pが視認されない。このことで、意匠性を確保しつつ、上述の作用を担保することができる。
また、補強部材として板状補強部材(補強部材41)を含む。これにより、木質拘束材30の長手方向の端部を補強部材で固定した時、板状補強部材によって木質拘束材30を長手方向に直交する方向の外周面から押さえつけるように固定することができる。つまり、丸ワッシャを用いる場合と比較して広範囲を押さえることができ、より固定を強固にすることができる。
また、板状補強部材と、木質拘束材30とを同一の第1ボルトBで締結する。これにより、板状補強部材と木質拘束材30との締結をより確実に行うことができる。板状補強部材を使わず、木質拘束材30と丸ワッシャとを第1ボルトBで締結する場合は、確実に締結を確保するために次の対策が必要となる。すなわち、第3木質座屈拘束ブレース300のように、互いに直交し、かつ、木質拘束材30の長手方向に直交する2つの方向からボルト締結する必要がある。つまり、木質拘束材30に対して2つの方向からボルト孔を設ける必要がある。板状補強部材と木質拘束材30とを同一の第1ボルトBで固定する場合は、丸ワッシャを用いた場合よりも確実に締結できることから、このように2方向のボルト孔を設ける必要がない。よって、より木質座屈拘束ブレースの端部における強度を確保することができる。
また、補強部材として螺合部材RBを含む。これにより、第4木質座屈拘束ブレース400の製造において、特殊な工具等を必要とせず、効率的に生産することができる。
また、螺合部材RBは木質拘束材30に噛みこんで固定される。つまり、螺合部材RBを木質拘束材30に固定する際、ナットNを必要としない。このため、ナットNを用いて固定する場合と比較して、木質拘束材30に設ける穴を小さくすることで、意匠性を向上することができる。更に、木質拘束材30に直接噛み込むことから、より木質拘束材30を強固に固定することができる。
また、第1区間s1であると判別された部位に補強部材を取り付ける。このように、第1区間s1にのみ補強部材を設けることによって、必要最小限の部材で十分な強度を備える第1木質座屈拘束ブレース100、第2木質座屈拘束ブレース200、第3木質座屈拘束ブレース300、第4木質座屈拘束ブレース400を、効率的に製造することができる。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述の各構造はそれぞれ組み合わせて用いてもよい。具体的には、例えば、芯材10の長手方向の一方の端部を第1木質座屈拘束ブレース100に相当する構造として、他方の端部を第2木質座屈拘束ブレース200に相当する構造とする等してもよい。
また、第4木質座屈拘束ブレース400について、長手方向の一方の端部において螺合部材RBを一方の側面から螺入し、他方の端部において螺合部材RBを両側面から螺入するといった構造としてもよい。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
10 芯材
10B 曲げヒンジ
11 狭幅部
12 広幅部
13 幅変化部
20 芯材補剛部材
30 木質拘束材
30p 内挿板
30s スリット
41 補強部材
41c 第1木目栓
41h 第1座繰穴
42 付勢部材
42c 第2木目栓
42h 第2座繰穴
51 第1スペーサ
52 第2スペーサ
60 化粧木
100 第1木質座屈拘束ブレース
200 第2木質座屈拘束ブレース
300 第3木質座屈拘束ブレース
400 第4木質座屈拘束ブレース
B 第1ボルト
N ナット
RB 螺合部材
S 隙間
s1 第1区間
s2 第2区間

Claims (12)

  1. 芯材と、
    前記芯材の長手方向の端部において、板厚方向の両側面に垂直に配置される芯材補剛部材と、
    前記芯材の前記板厚方向の両側面に配置される木質拘束材と、
    を備え、
    前記木質拘束材の前記長手方向の端部には、前記芯材補剛部材との干渉を防ぐためのスリットが設けられ、
    前記芯材の一方の側面に配置された前記木質拘束材と、前記芯材の他方の側面に配置された前記木質拘束材との間にスペーサが設けられ、
    前記芯材の前記長手方向の端部側である第1区間における前記芯材と前記スペーサとの隙間は、前記芯材の前記長手方向の中央側である第2区間における前記芯材と前記スペーサとの前記隙間よりも大きいことを特徴とする、
    木質座屈拘束ブレース。
  2. 補強部材が、前記木質拘束材の前記第1区間のみに設けられることを特徴とする、
    請求項に記載の木質座屈拘束ブレース。
  3. 前記第1区間と前記第2区間との境界が前記スリットよりも前記芯材の前記長手方向の中央側に位置し、前記境界を、前記芯材の曲げヒンジとすることを特徴とする、
    請求項又はに記載の木質座屈拘束ブレース。
  4. 前記第1区間における前記芯材と前記スペーサとの前記隙間は、前記芯材の想定変形量以上となるように設定されることを特徴とする、
    請求項からのいずれか1項に記載の木質座屈拘束ブレース。
  5. 前記第1区間における前記隙間は、前記第1区間の側から前記第2区間の側へ向けて縮小するテーパ状となっていることを特徴とする、
    請求項からのいずれか1項に記載の木質座屈拘束ブレース。
  6. 芯材と、
    前記芯材の長手方向の端部において、板厚方向の両側面に垂直に配置される芯材補剛部材と、
    前記芯材の前記板厚方向の両側面に配置される木質拘束材と、
    を備え、
    前記木質拘束材の前記長手方向の端部には、前記芯材補剛部材との干渉を防ぐためのスリットが設けられ、
    前記木質拘束材には、補強部材が設けられ、
    前記補強部材として、板状補強部材を含み、
    前記板状補強部材が金属製であることを特徴とする、
    木質座屈拘束ブレース。
  7. 前記板状補強部材と前記木質拘束材とを、同一の第1ボルトで締結することを特徴とする、
    請求項に記載の木質座屈拘束ブレース。
  8. 芯材と、
    前記芯材の長手方向の端部において、板厚方向の両側面に垂直に配置される芯材補剛部材と、
    前記芯材の前記板厚方向の両側面に配置される木質拘束材と、
    を備え、
    前記木質拘束材の前記長手方向の端部には、前記芯材補剛部材との干渉を防ぐためのスリットが設けられ、
    前記木質拘束材には、補強部材が設けられ、
    前記補強部材が、前記木質拘束材の長手方向の端部のみに設けられていることを特徴とする、
    木質座屈拘束ブレース。
  9. 前記補強部材を木目栓で隠すことを特徴とする、
    請求項6からのいずれか1項に記載の木質座屈拘束ブレース。
  10. 前記補強部材として螺合部材を含むことを特徴とする、
    請求項6からのいずれか1項に記載の木質座屈拘束ブレース。
  11. 前記螺合部材は、前記木質拘束材に噛みこんで固定することを特徴とする、
    請求項10に記載の木質座屈拘束ブレース。
  12. 前記芯材と前記木質拘束材との間に、内挿板を備えていることを特徴とする、
    請求項1から11のいずれか1項に記載の木質座屈拘束ブレース。
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