JP6994920B2 - 蒸気弁および蒸気タービン - Google Patents
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Description
本発明の一態様に係る蒸気弁は、蒸気が導入される導入流路及び該蒸気が排出される排出流路を有する弁ケーシングと、該弁ケーシング内に外部から挿入されて軸方向に移動可能な弁棒、及び、該弁棒の軸方向一方側の端部に設けられて、前記弁ケーシング内における弁座に当接可能な弁体を有する止め弁と、前記弁ケーシングに固定されて、内側に前記弁棒を挿通させるとともに該弁棒を軸方向に案内する筒状をなす案内筒と、備え、前記弁棒は、該弁棒の軸方向他方側に向かうにしたがって拡径する肩部と、該肩部の前記軸方向他方側に接続された主外周面と、を有し、前記案内筒の内周面は、前記肩部の移動範囲に対応する大径内周面と、前記大径内周面の前記軸方向他方側に位置し前記主外周面に対向する小径内周面とを有し、前記大径内周面は前記小径内周面よりも前記弁棒との隙間が大きい。
この構成によれば、弁棒の正常動作を確保できるため、蒸気タービンの緊急停止などの際に、案内筒と弁棒との焼き付きを防ぎ、止め弁の急速閉止を確実に行うことができる。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る蒸気弁10(主蒸気弁)の模式図である。図2は、蒸気弁10の一部断面図である。以下の説明において、上下方向は図1および図2に即して定める。上下方向と平行な方向から見ることを平面視という。上方向を高さ方向ともいう。
弁ケーシング1は、本体部11と、導入管路12と、排出管路13と、を備えている。
本体部11の内部には、弁室11aと、弁室11aに通じる主流路11bとが形成されている。弁室11aの出口部には、第1弁座14および第2弁座15が形成されている。本体部11には、主流路11bに面する箇所に、案内筒4を取り付けるための取付孔17が形成されている。符号A11は、本体部11の中心軸である。中心軸A11は上下方向に沿う。
細径部23の外径は軸方向に一定である。テーパー部24は、細径部23と中間部25との外径差によって形成された拡径部である。テーパー部24は、細径部23の下端から中間部25の上端にかけて下方に向かうにしたがって拡径する。テーパー部24は、肩部26よりも上側に形成されている。テーパー部24は、弁体22が第1弁座14から離間した際に(図1参照)、案内筒4のテーパー面44に当接する。
中間部25の外径は、細径部23の外径より大きく、かつ軸方向に一定である。
主部27の外径は、中間部25の外径より大きく、かつ軸方向に一定である。主部27の外周面を主外周面27aという。
弁棒31は、蓋部材5の挿通孔5aを通して外部から弁室11a内に挿入されている。弁棒31は、上下方向に延在する。弁棒31は、上下方向(軸方向)に移動可能である。
弁体32は、弁棒31の下端部に設けられている。弁体32は、天板部33と、天板部33の周縁から垂下する筒部34とを備えている。弁体32は、弁室11a内に設けられている。筒部34の下端部は、第2弁座15に当接可能である。弁体32は、第2弁座15に当接することによって、弁室11aの出口開口を閉止できる。
調整部材42は、上下方向に沿う中心軸A42を有する円筒状に形成されている。調整部材42は、案内筒本体41(大径内周面45)の内周面に設けられている。中心軸A42は、中心軸A4に一致する。調整部材42の内径は、案内筒本体41の大径内周面45の内径より小さい。そのため、調整部材42の上端部は縮径段部46を形成する。調整部材42の内周面は、小径内周面47を形成する。例えば、調整部材42は案内筒本体41とは別体である。
先端部内周面43の内径は軸方向に一定である。テーパー部44は、先端部内周面43と大径内周面45との内径差によって形成された拡径部である。テーパー部44は、先端部内周面43の下端から大径内周面45の上端にかけて下方に向かうにしたがって拡径する。
縮径段部46は、大径内周面45の下端から小径内周面47の上端にかけて縮径する段部である。
なお、蒸気弁10では、小径内周面47は、案内筒本体41と別体である調整部材42の内周面であるが、小径内周面は、案内筒の内面に一体的に形成された膨出部の内周面であってもよい。この膨出部は、例えば、案内筒の内周面に、径方向の内方に膨出して形成される。
隙間C1は、案内筒4と弁棒21とが接触しないように定めることができる。案内筒4と弁棒21とが接触しなければ、弁棒21の動作が妨げられないため、弁棒21の正常動作を確保できる。隙間C1は、案内筒4と弁棒21とが接触してもよいように定めることもできるが、その場合には、案内筒4と弁棒21とが接触した状態でも弁棒21が正常に動作することが必要である。よって、隙間C1は、次に示す方針(1)、(2)のいずれかに従って定めることができる。
図4(A)および図4(B)は、比較形態の蒸気弁の案内筒104、および弁棒21を示す一部断面図である。図4(A)は、未変形の案内筒104、および弁棒21を示す。図4(A)では、案内筒104の中心軸A104は弁棒21の中心軸A21と一致している。案内筒104の内周面は、縮径段部46と、小径内周面47とを備えていない点で、図2に示す案内筒4の内周面と異なる。
なお、図4(B)では、案内筒104が基端104bを支点として傾動する変形を想定したが、案内筒104の変形は、撓み変形を含む変形であってもよい。
案内筒4と弁棒21との接触を許容する場合には、案内筒4と弁棒21とが接触した状態でも弁棒21が正常に動作することが必要である。
図5は、方針(2)における、隙間C1の設計手法の例を示すフロー図である。図5に示すように、まず、温度上昇による案内筒4の変形量を算出する(STEP1)。案内筒4の変形量の算出には、例えば、FEM(Finite Element Method)を用いることができる。
接触PV値が基準値以上であれば(STEP3:No)、案内筒4の内径を小さくするか、または弁棒21の外径を小さくすることによって隙間C1を大きくして(STEP4)、再び接触PV値を算出する(STEP2)。このようにして、接触PV値が基準値を下回る隙間C1を導き出す。これにより、弁棒21が正常に動作できる隙間C1を得る。
図6(A)および図6(B)は、蒸気弁10における調整部材42の設計手法の例を示す図である。図6(A)は、未変形の案内筒104、および弁棒21を示す。図6(B)は、径方向に変形した案内筒104、および弁棒21を示す(矢印参照)。
図6(B)に示すように、案内筒104が、熱変形により、基端104bを支点として傾いたと仮定する(矢印参照)。ここでは、案内筒104が径方向(図6(B)の左方)に傾くことを想定する。「δ」は、肩部26の高さ位置における案内筒104の径方向の変位量である。
Cx=(C0-δ)+x/H・δ ・・・(1)
x=H/δ・(a-C0+δ) ・・・(2)
図1に示すように、止め弁駆動機構6のシリンダ62に制御油を供給すると、ピストン61、弁棒21および弁体22は上昇する。これにより、弁体22は第1弁座14から離れ、止め弁2は開放される。加減弁駆動機構7のシリンダ機構72に制御油を供給すると、動作レバー71の動作により、弁棒31および弁体32は上昇する。これにより、弁体32は第2弁座15から離れ、加減弁3は開放される。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る蒸気弁210の模式図である。図8は、蒸気弁210の一部断面図である。図9は、図8のA-A断面図である。図9は、弁棒21の中心軸A21と平行に見た図である。図10は、蒸気弁210の動作を説明する一部断面図である。なお、第1の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
主内周面245の内径は、先端部内周面43の内径より大きく、かつ軸方向に一定である。主内周面245は、移動範囲R1に対応する範囲を含む。主内周面245は、円筒面をなす。
図7に示すように、止め弁駆動機構6のシリンダ62に制御油を供給すると、ピストン61、弁棒21および弁体22は上昇する。これにより、弁体22は第1弁座14から離れ、止め弁2は開放される。加減弁駆動機構7のシリンダ機構72に制御油を供給すると、動作レバー71の動作により、弁棒31および弁体32は上昇する。これにより、弁体32は第2弁座15から離れ、加減弁3は開放される。
例えば、図7に示す蒸気弁210では、調整部材は用いられていないが、第1の実施形態の蒸気弁10と同様に、調整部材を用いてもよい。
図11は、図7に示す蒸気弁210の変形例である蒸気弁310の一部断面図である。図12は、図11のB-B断面図である。
図11および図12に示すように、蒸気弁310では、排出流路13aから最も近い部位P1(図12参照)を含む位置において、案内筒204の内周面に、調整部材242が設けられている。調整部材242は、中心軸A204に直交する断面が円弧状に形成されている。調整部材242は、部位P1(図12参照)に近いほど厚みを増す形状となっている。
2 止め弁
4,204 案内筒
10,210 蒸気弁
12a 導入流路
13a 排出流路
14 第1弁座(弁座)
21 弁棒
22 弁体
26 肩部
27a 主外周面
42,242 調整部材
44 テーパー面(当接段部)
45 大径内周面
47 小径内周面
C1 大径内周面と弁棒との隙間
C2 小径内周面と弁棒との隙間
C11 排出流路に最も近い部位における弁棒との隙間
C12 排出流路から最も遠い部位における弁棒との隙間
P1 排出流路に最も近い部位
P2 排出流路から最も遠い部位
R1 移動範囲
S 蒸気
Claims (8)
- 蒸気が導入される導入流路及び該蒸気が排出される排出流路を有する弁ケーシングと、
該弁ケーシング内に外部から挿入されて軸方向に移動可能な弁棒、及び、該弁棒の軸方向一方側の端部に設けられて、前記弁ケーシング内における弁座に当接可能な弁体を有する止め弁と、
前記弁ケーシングに固定されて、内側に前記弁棒を挿通させるとともに該弁棒を軸方向に案内する筒状をなす案内筒と、
を備え、
前記弁棒は、
該弁棒の軸方向他方側に向かうにしたがって拡径する肩部と、
該肩部の前記軸方向他方側に接続された主外周面と、
を有し、
前記案内筒の内周面は、
前記肩部の移動範囲に対応する大径内周面と、
前記大径内周面の前記軸方向他方側に位置し前記主外周面に対向する小径内周面とを有し、
前記大径内周面は前記小径内周面よりも前記弁棒との隙間が大きい、蒸気弁。 - 前記案内筒は、筒状の案内筒本体と、前記案内筒本体の内周面に設けられた調整部材とを備え、
前記小径内周面は、前記調整部材の内周面である、請求項1に記載の蒸気弁。 - 前記弁棒は、前記弁体が前記弁座から離間した際に、前記案内筒の内面に当接する当接段部をさらに備え、
前記当接段部は、前記肩部よりも前記軸方向一方側に形成されている、請求項1または2に記載の蒸気弁。 - 蒸気が導入される導入流路及び該蒸気が排出される排出流路を有する弁ケーシングと、
該弁ケーシング内に外部から挿入されて軸方向に移動可能な弁棒、及び、該弁棒の軸方向一方側の端部に設けられて、前記弁ケーシング内における弁座に当接可能な弁体を有する止め弁と、
前記弁ケーシングに固定されて、内側に前記弁棒を収容するとともに該弁棒を軸方向に案内する筒状をなす案内筒と、
を備え、
前記弁棒は、
該弁棒の軸方向他方側に向かうにしたがって拡径する肩部と、
該肩部の前記軸方向他方側に接続された主外周面と、
を有し、
前記肩部の移動範囲に対応する前記案内筒の内周面は、前記弁棒に対して前記排出流路側に偏心している、蒸気弁。 - 前記弁棒の軸方向と平行に見て、前記肩部の移動範囲に対応する前記案内筒の内周面のうち、前記排出流路に最も近い部位における前記弁棒との隙間は、前記排出流路から最も遠い部位における前記弁棒との隙間より大きい、請求項4に記載の蒸気弁。
- 前記案内筒は、筒状の案内筒本体と、前記案内筒本体の内周面に設けられた調整部材とを備え、
前記調整部材は、前記排出流路に最も近い部位を含む位置に設けられている、請求項5に記載の蒸気弁。 - 前記弁棒は、前記弁体が前記弁座から離間した際に、前記案内筒の内面に当接する当接段部をさらに備え、
前記当接段部は、前記肩部よりも前記軸方向一方側に形成されている、請求項4~6のうちいずれか1項に記載の蒸気弁。 - 請求項1~7のうちいずれか1項に記載の蒸気弁を備える、蒸気タービン。
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