JP2016173099A - 圧縮機用の吸気調整弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】弁体が閉弁位置付近にあるときに発生する気流音と配管等の振動を低減し、吸込量を容易に制御できる圧縮機用の空気調整弁を提供する。
【解決手段】圧縮機用の吸気調整弁100は、弁座112と、弁座112に対して軸線Lの方向に移動して弁座112を開閉する弁体108とを備え、弁座112及び弁体108の形状は、少なくとも閉弁位置付近における弁体108の移動量の増加割合に対する開口面積の増加割合が漸増するように設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、圧縮機用の吸気調整弁に関する。
圧縮機の吸込流路に連通する開口を有する弁座に対して弁体を平行移動させて開口を開閉するリフト式の吸気調整弁が知られている。
例えば、特許文献1に開示された油冷式圧縮機の吸気調節弁では、ガイド棒に沿って弁体が摺動し、異音を伴うハンチングが生じないような弁開度の適正な制御を実現するために、ガイド棒に所定の流れのみを許容する逆止弁部を設けている。
特開2001−90683号公報
特許文献1に開示された吸気調節弁は、ハンチングによる異音について考慮しているが、気流音については考慮していない。特に、弁体が全閉よりわずかに開いた位置(微開位置)にあると、非常に大きな気流音が発生する。また、弁体が閉弁位置から微開位置に移る過程では、急にガス(空気)が流れ込んでしまい、ガスの流速が急上昇するため、圧力容器や配管に振動が生じる。さらに、閉弁位置から微開位置における極少量の吸込量の制御を弁体の移動により行うのは困難である。
本発明は、弁体が閉弁位置付近にあるときに発生する気流音と配管等の振動を低減でき、かつ、吸込量を容易に制御できる圧縮機用の吸気調整弁を提供することを課題とする。
本発明は、弁座と、前記弁座に対して軸線の方向に移動する弁体とを備え、前記弁座及び前記弁体の形状は、少なくとも閉弁位置付近における前記弁体の移動量の増加割合に対する開口面積の増加割合が漸増するように設けられている圧縮機用の吸気調整弁を提供する。
この構成によれば、弁体の開弁方向の移動量の増加割合に対して開口面積の増加割合を漸増させることで、弁体が閉弁位置付近にあるときに発生する気流音と配管等の振動を低減し、吸込量を容易に制御できる。具体的には、気流音は弁体と弁座の隙間が所定の範囲にある場合に発生するため、その範囲に該当する隙間の割合を漸増構造により少なく調整することで気流音を低減できる。また、弁体が閉弁位置付近にある場合に漸増構造により吸い込む空気の量が急増しないため、これに伴う配管等の振動を防止できる。ここで開口面積は、弁体と弁座により形成される開口領域の面積である。また、閉弁位置付近とは、弁体が閉弁状態から開弁方向に少し移動するまでのことであり、吸込量の制御を容易とする上で少なくとも弁体の移動量割合が0%(閉弁位置)〜5%の範囲を含んでおり、気流音や振動を低減する上で少なくとも0%(閉弁位置)〜15%の範囲を含んでいる。この移動量割合は弁体が全開位置にあるとき100%を示す。さらに、弁体が閉弁位置付近にあるとき、同じ量の開口面積に対応する弁体の移動量が従来に比べて増加しているため、微小流量における吸込量の制御を容易にできる。
前記吸気調整弁は、弁座と、前記弁座に対して軸線の方向に移動する弁体とを備え、前記弁座及び前記弁体の形状は、閉弁位置付近において前記弁体が開弁方向に移動する際に、前記軸線に対する周方向について不均一な開口領域が漸増するように設けられている圧縮機用の吸気調整弁であってもよい。
リフト式の吸気調整弁は軸線方向に弁体が移動するため、これに対応するように軸線に対する周方向について弁体又は弁座の形状を変化させ、開口領域の漸増構造を実現させている。
前記弁座は、前記弁座における前記弁体との当接面の外周側に前記軸線方向に延びる弁座側開口限定部を備えてもよい。
この構成によれば、弁座側開口限定部以外は従来の構造と同じであるため、吸気調整弁の主構造を変更することがなく、製造の際の大幅なコストアップを防止できる。
前記弁座側開口限定部は、前記弁体の開弁方向に凸形状の少なくとも1つの弁座側凸部を備えてもよい。また、前記弁座側開口限定部は、前記弁体の閉弁方向に凹形状の少なくとも1つの弁座側凹部を備えてもよい。
この構成によれば、弁座側凸部又は弁座側凹部により、弁体の開弁方向の移動量に対して開口面積が漸増する弁座側開口限定部の具体的形状を容易に実現できる。弁座側凸部又は弁座側凹部は弁座とは別体で形成してもよく、その場合、既存の設備に対して弁座側開口限定部を後から設置することも可能である。
また、前記弁座側開口限定部は、前記軸線に対して傾斜した端面を有してもよい。
この構成によれば、弁座側開口限定部を簡易な形状にでき、製造が容易であり、低コストで弁座側開口限定部を実現できる。
前記弁座側開口限定部は、複数の弁座側孔部を備えてもよい。また、前記複数の弁座側孔部は、前記弁体の開弁方向に数が増加するように配置されてもよい。また、前記複数の弁座側孔部は、前記弁体の開弁方向に孔径が大きくなるように形成されてもよい。
この構成によれば、複数の弁座側孔部を設けることで、弁体が閉弁位置付近にあるときの開口方向を一方向ではなく複数方向にできる。気流音は、弁座の端部で剥離した渦と渦が断続的に干渉した際の圧力変動で、高周波の音を発生することで生じる。従って、このように複数方向に開口を設けることで渦の発生場所を分散でき、音源のエネルギーを低下できる。従って、気流音の抑制効果を向上させ、また、弁体が閉弁位置付近にあるときの流量制御も容易である。複数の孔部は、弁座とは別体で形成してもよく、その場合、孔径、孔数及び孔の配置密度、又は孔形状の変更も容易となる。
前記弁体は、前記弁体における前記弁座との当接面の内周側に前記軸線方向に延びる弁体側開口限定部を備えてもよい。また、前記弁体側開口限定部は、前記弁体の閉弁方向に凸形状の少なくとも1つの弁体側凸部を備えてもよい。また、前記弁体側開口限定部は、前記弁体の開弁方向に凹形状の少なくとも1つの弁体側凹部を備えてもよい。また、前記弁体側開口限定部は、前記軸線に対して傾斜した端面を有してもよい。また、前記弁体側開口限定部は、複数の弁体側孔部を備えてもよい。また、前記複数の弁体側孔部は、前記弁体の閉弁方向に数が増加するように配置されてもよい。また、前記複数の弁体側孔部は、前記弁体の閉弁方向に孔径が大きくなるように形成されてもよい。
この構成のように、弁座と同様に、弁体に対しても種々の弁体側開口限定部を設けてもよく、弁座側開口限定部と同様の効果が期待できる。特に、弁体は可動部品であるため、吸気調整弁本体とは別体で形成されることも多く、設計変更が容易である。なお、弁座側開口限定部と弁体側開口限定部を合わせて使用することもできる。
本発明によれば、弁体と弁座の隙間を調整することで、弁体が閉弁位置付近にあるときに発生する気流音を低減できる。また、弁体が閉弁位置にある場合に空気の流量及び流速が急増しないため、配管等の振動を低減できる。さらに、弁体が閉弁位置付近にあるときの弁体の移動量に対する隙間の増加量が減少するため、吸込量の調整範囲が増加し、閉弁位置付近における吸込量を容易に制御できる。
圧縮機の概略を示す模式図。 本発明の第1実施形態に係る吸気調整弁を示す図1の部分拡大断面図。 閉弁位置を表す図2の部分拡大断面図。 閉弁位置付近(微開位置)の開口面積を表す図2の部分拡大断面。 全開位置の開口面積を表す図2の部分拡大断面。 本発明の第1実施形態の圧縮機用の吸気調整弁の弁体移動距離に対する開口面積割合を示すグラフ。 開口面積割合が弁体移動距離割合に対して漸増することを示す弁座の部分拡大図。 従来の圧縮機用の吸気調整弁の弁体及び弁座の一例を示す部分拡大断面図。 図6に対応する弁体移動距離に対する開口面積割合を示すグラフ。 本発明の圧縮機用の吸気調整弁の弁体及び弁座の代案を示す部分拡大断面図。 図8に対応する弁体移動距離に対する開口面積割合の他の一例を示すグラフ。 本発明の第2実施形態に係る圧縮機用の吸気調整弁を示す部分断面図。 本発明の第3実施形態に係る圧縮機用の吸気調整弁を示す部分断面図。 本発明の第4実施形態に係る圧縮機用の吸気調整弁を示す部分断面図。 本発明の第4実施形態に係る圧縮機用の吸気調整弁の代案を示す部分断面図。 本発明の第4実施形態に係る圧縮機用の吸気調整弁の他の代案を示す部分断面図。 本発明の第5実施形態に係る圧縮機用の吸気調整弁を示す部分断面図。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の吸気調整弁100を備える圧縮機2の概略を示す模式図である。圧縮機2は、吸気調整弁100と、圧縮機本体4と、油分離器6と、保圧弁8と、制御装置10に電気的に接続された圧力調整弁12とを備える。これらは、流路配管14a〜14eで接続されている。流路配管14a,14c〜14e内は空気が流れ、流路配管14b内には空気及び油が流れている。
圧縮機本体4は油冷式のスクリュー圧縮機であり、吸込口4a及び吐出口4bを備える。圧縮機本体4は、図示しない電動機によって駆動され、吸込口4aから空気を吸引する。吸引された空気は、内部で図示しないスクリューロータにより圧縮されて吐出口4bから圧縮空気として吐出される。吸込口4aには流路配管14aが流体的に接続され、この流路配管14aを通じて空気が圧縮機本体4に供給される。吐出口4bには流路配管14bが流体的に接続されており、この流路配管14bはさらに油分離器6に流体的に接続されている。従って、圧縮機本体4から吐出された圧縮空気は、油分離器6に供給される。なお、圧縮機本体4の種類は油冷式のスクリュー圧縮機に限らず、スクロール式などのいずれの種類を使用してもよい。
流路配管14bを通じて油分離器6に供給される圧縮空気には、多量の油を含み、油分離器6により油と圧縮空気に分離される。油分離器6は、上部に配置された油分離エレメント6aと、下部に配置された油タンク6bとを備える。油分離エレメント6aは気体と液体(圧縮空気と油)を分離する。油分離エレメント6aで分離された油は重力により下部に配置された油タンク6bに一旦溜められ、図示しない油供給路を通じて圧縮機本体4に供給される。
油分離エレメント6aを通過して油を分離された圧縮空気は、流路配管14cを通じて流路配管14dと流路配管14eに供給される。
流路配管14dは、図示しない供給先へ流体的に接続されている。流路配管14dには保圧弁8が設けられており、吐出圧力を所定以上に保持している。保圧弁8は逆止弁であり、空気が逆流することはない。
油分離器6で分離された圧縮空気のうち、供給先に供給されなかった分は、流路配管14eを通じて吸気調整弁100に供給される。流路配管14eには圧力調整弁12が設けられており、吸気調整弁100に供給する空気の圧力は制御装置10により制御される。
吸気調整弁100は、圧縮機本体4の上流側に配置され、流路配管14aを通じて圧縮機本体4の吸込口4aに接続されている。吸気調整弁100は、圧縮機本体4に供給する空気量の調整に使用される。
図2に示すように、吸気調整弁100は、吸込部101及びシリンダー部151を備える。吸込部101は略L字型の吸込ケーシング102を有し、吸込ケーシング102の一端には入口104が形成されている。入口104は大気に開放されており、この入口104から吸込ケーシング102内の第1空間部106に空気を導入する。吸込ケーシング102の他端(図において下端)には、出口105が形成されている。出口105には14aが流体的に接続されている。出口105の周囲には弁体108が当接する弁座112が設けられている。弁座112は、対応する弁体108と当接する当接面112aを有する。弁体108の中央にはガイド棒114が軸線Lと同心に設けられている。ガイド棒114は吸込ケーシング102を貫通して上方へシリンダー部151まで延びている。
シリンダー部151は、吸込部101の上方に配置され、吸込ケーシング102と一体に設けられたシリンダーケーシング152を有する。即ち、シリンダーケーシング152と吸込ケーシング102は、一部を共有している。ガイド棒114は、シリンダーケーシング152と吸込ケーシング102の共有部分を貫通している。シリンダー部151内のガイド棒114の上端には、ピストン部材154がねじ止めにより固定されている。ピストン部材154は、ガイド棒114と共にシリンダー部151内に摺動可能に嵌挿されている。また、ピストン部材154は、同じくシリンダー部151に収容されたコイルばね156により隔壁158に向けて(図において上方へ)弾性的に付勢されている。シリンダー部151内の空間は、ピストン部材154により、コイルばね156が配置された第2空間部160と、これとは反対側(隔壁158側)の第3空間部162とに仕切られている。この第3空間部162は、シリンダーケーシング152に形成された貫通孔164を通じて流路配管14eに接続されている。
ガイド棒114の下端に配置された弁体108は、軸線Lに沿って図において上下方向に進退可能である。即ち、弁体108は、ピストン部材154及びガイド棒114と共に上下に可動であり、ピストン部材154がコイルばね156の付勢力に抗して下方へ移動すると、これに応じて弁体108も下方へ移動する構成となっている。
吸気調整弁100を開弁する場合、制御装置10(図1参照)が圧力調整弁12(図1参照)を調整し、高圧の空気が流路配管14e及び貫通孔164を通じて第3空間部162に供給される。第3空間部162の圧力が上昇してコイルばね156の付勢力を上回ると、ピストン部材154はコイルばねを圧縮する方向(図において下方)へ移動を始め、第3空間部162が拡大し、同時に第2空間部160が縮小する。このように弁体108が図において下方へ移動すると弁座112との間に隙間が生じ、出口105が開放される。従って、入口104から吸引された空気は、出口105から流路配管14aを通じて圧縮機本体4へ供給される。
吸気調整弁100を閉弁する場合、制御装置10(図1参照)が圧力調整弁12(図1参照)を調整して第3空間部162を減圧する。第3空間部162の圧力が低下してコイルばね156の付勢力を下回ると、ピストン部材154はコイルばねにより押し戻され、第3空間部162が縮小し、同時に第2空間部160が拡大する。このように弁体108が図において上方へ移動すると、弁体108と弁座112との隙間が減少する。
弁体108は、閉弁位置と全開位置の間を移動する。閉弁位置の弁体108が弁座112の当接面112aに当接し(図3A参照)、出口105を閉鎖する。従って弁体108が閉弁位置であると、圧縮機本体4の吸込口4aに空気が供給されない。これに対して、全開位置の弁体108は弁座112の当接面112aから最も離れている(図2及び図3C参照)。従って、弁体108が全開位置であると、圧縮機本体4の吸込口4aに対する空気供給量が最大となる。本実施形態では、ピストン部材154の下部がシリンダーケーシング152の下部(吸込ケーシング102の上部)に当接することで弁体108全開位置が規定される。さらに言えば、弁体108が機構上、最も上方に位置する場合が閉弁位置であり、最も下方に位置する場合が全開位置である。
本発明は、吸気調整弁100の弁体108及び弁座112の形状に特徴を有する。従って、これらの形状及びこれらの形状により導かれる効果について詳細に説明する。
図2に示すように、弁体108は平面視円形であり、その上面は平坦な面である。弁体108とガイド棒114は、軸線Lを中心として同心に配置されている。
弁座112は、吸込ケーシング102の下端を拡径して設けられており、その内径は弁体108の外径よりも大きい。従って、弁体108と弁座112は径方向に隙間が設けられ、弁体108は弁座112内を摺動して進入でき、弁座112の当接面112aに当接して停止する。当接面112aは、吸込ケーシング102と弁体108の径の違いにより形成される段差により構成されている。また、弁座112は、弁体108の開弁方向(図において下方)へ凸形状の複数の凸部(弁座側凸部)112bを有する。本実施形態の凸部112bは、弁体108の開弁方向に(図において下方へ)先細り形状を有し、弁座112の全周に設けられている。さらに具体的には、複数の凸部112bは、隣接する凸部112bとの間に隙間を有し、その隙間は弁体108の開弁方向へ大きくなっている。本実施形態においては、複数の凸部112bが本発明の弁座側開口限定部を構成している。
図3Aから図3Cは、弁体108が閉弁位置から全開位置まで移動するときの開口面積116の変化を示している。開口面積116とは、弁体108と弁座112により形成される開口領域の面積である。
図3Aは、閉弁位置を示している。このとき、弁体108の上面が弁座112の当接面112aに当接しているため、開口領域は存在しない。
図3Bは、弁体108が図3Aの閉弁位置からわずかに弁体108の開弁方向(図において下方)に移動した閉弁位置付近(微開位置)を示している。このとき、弁体108の上面が弁座112の当接面112aから離れて下方へ移動し、開口領域が形成され、開口面積は図のようにわずかに存在する。微開位置では弁体108が下方へ移動すると、凸部112bが設けられていることにより、開口面積は線形的に増加せず、増加割合を増大させながら増加する。
図3Cは、全開位置を示している。このとき、図2のようにピストン部材154の下端がシリンダーケーシング152の下部に当接しており、これ以上ピストン部材154は下方へ移動せず、弁体108もこれ以上下方へ移動しない。従って開口領域は最大となり、開口面積116が最大値をとる。
図4は、本実施形態の弁体108の移動に対する開口面積116の変化を表すグラフである。横軸が弁体108の全開位置に対する開弁方向の移動量の割合(弁体移動距離割合)を示し、縦軸が全開位置に対する開口面積116の割合(開口面積割合)を示している。
図4に示すように、弁体移動距離割合に対して開口面積割合が部分的に漸増している。弁体108が閉弁位置(図3A参照)から一定速度で開弁方向(図において下方)へ移動すると、開口面積割合は凸部112bの下端(図3Cの位置PTh)までは漸増する。言い換えれば、図4のグラフは、部分的に下に凸のグラフとなる。そして、以降凸部112bが存在しない位置では、開口面積割合は線形的に増加するグラフの結果となる。
図5は、開口面積割合が弁体移動距離割合に対して図4のように漸増することを示す弁座112の部分拡大図である。弁体108の上面が、位置P0から位置P1の位置に距離dだけ移動した場合と、位置P1から位置P2の位置に同じ距離dだけ移動した場合を比較すると、後者の開口面積の増分116bの方が前者の開口面積の増分116aよりも大きい。従って、開口面積の増分は、弁体108が開弁方向(図において下方)へ移動するほど増加しているため、開口面積割合は弁体移動距離割合に対して漸増している。
図6は、本実施形態との比較のため、従来からよく使用される通常の弁体108及び弁座112の一例を示している。また、図7は、図6に対応する弁体移動距離割合に対して開口面積割合が線形的に増加する場合の図4と同様のグラフである。図6に示すように、この種の弁座112は本実施形態のように凸部112bを有していない。従って、弁体108が一定速度で開弁方向(図において下方)へ移動すると、弁体108と弁座112との隙間が一定の割合で増加する。このため、弁体108の移動行程全域で弁体移動距離割合に対して開口面積割合が線形的に増加する。
以上により、この構成によって弁体108の開弁方向の移動量の増加割合に対して開口面積の増加割合を漸増させることで、弁体108が閉弁位置付近(微開位置)にあるときに発生する気流音と流路配管14aや吸込部101の振動を低減し、吸込量容易に制御できる。具体的には、気流音は弁体108と弁座112の隙間が所定の範囲にある場合に発生するため、その範囲に該当する隙間の割合を漸増構造により少なく調整することで気流音を低減できる。また、弁体108が閉弁位置付近(微開位置)にある場合に漸増構造により吸い込む空気の量が急増しないため、これに伴う流路配管14aや吸込部101の振動を防止できる。また、閉弁位置付近(微開位置)において、同じ量の開口面積に対応する弁体108の移動量が従来に比べて増加しているため、微小流量における吸込量を容易に制御できる。
また、弁座112及び弁体108の形状は、閉弁位置付近において弁体108が開弁方向に移動する際に、軸線Lに対する周方向について不均一な開口領域が漸増するように設けられている。リフト式の吸気調整弁100は軸線L方向に弁体108が移動するため、これに対応するように軸線Lに対する周方向について弁体108又は弁座112の形状を変化させ、開口面積の漸増構造を実現させている。
図8は、本実施形態の代案である弁体108及び弁座112を示している。また、図9は、図8に対応する弁体移動距離割合に対して開口面積割合が漸増する場合の図4と同様のグラフである。図8に示すように、弁座112は複数の凸部112bを有しており、図8に示す全開位置においても凸部112bの先端は弁体108まで延びている。従って、弁体108が一定速度で開弁方向(図において下方)へ移動すると、弁体108と弁座112との隙間が漸増する。このため、弁体108の移動行程全域で弁体移動距離割合に対して開口面積割合が漸増する。言い換えれば、図9のグラフは、全域で下に凸のグラフとなる。
(第2実施形態)
図10に示す本実施形態の吸気調整弁100は、弁体108及び弁座112に関する部分以外の構成は図1及び図2の第1実施形態と同様である。従って、図1及び図2に示した構成と同様の部分については同様の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の吸気調整弁100は、第1実施形態と異なり、弁座112には凸部112b(図2参照)が設けられておらず、弁体108の閉弁方向(図において上方)に凹形状の複数の凹部112cが設けられている。複数の凹部112cは、弁体108の閉弁方向(図において上方)に先細り形状を有し、弁座112の全周に設けられている。本実施形態においては、複数の凹部112cが本発明の弁座側開口限定部を構成している。
弁体108は、径方向に拡張したフランジ部108aと、軸線L方向(図において上方)に延びる突出部108bとを有している。本実施形態ではフランジ部108aの上面が弁座112の当接面112aと当接する位置が閉弁位置である。弁体108の突出部108bの外径は弁座112の内径よりも小さく形成されており、突出部108bは弁座112内に進入して、フランジ部108aの上面が当接面112aと当接する。
この構成によれば、第1実施形態と同様に図4のように開口面積割合が弁体移動距離割合に対して漸増する構造を実現できる。
(第3実施形態)
図11に示す本実施形態の吸気調整弁100は、弁体108及び弁座112に関する部分以外の構成は図1及び図2の第1実施形態と同様である。従って、図1及び図2に示した構成と同様の部分については同様の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の吸気調整弁100は、第1実施形態と異なり、弁座112には凸部112b(図2参照)が設けられておらず、軸線Lに対して傾斜した端面112dを有する。本実施形態においては、傾斜した端面112dが本発明の弁座側開口限定部を構成している。
この構成によれば、傾斜した端面112dを有することで、第1実施形態と同様に図4のように開口面積割合が弁体移動距離割合に対して漸増する構造を実現できる。特に、本実施形態は、弁座112を簡易な形状にでき、製造が容易であり、低コストで実現できる。
(第4実施形態)
図12Aに示す本実施形態の吸気調整弁100は、弁体108及び弁座112に関する部分以外の構成は図1及び図2の第1実施形態と同様である。従って、図1及び図2に示した構成と同様の部分については同様の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の吸気調整弁100は、第1実施形態と異なり、弁座112には凸部112b(図2参照)が設けられておらず、複数の孔部(弁座側孔部)112eが設けられている。孔部112eは円形であり、吸込ケーシング102を貫通し、弁体108の開弁方向(図において下方)に孔径が徐々に大きくなるように設けられている。本実施形態においては、複数の孔部112eが本発明の弁座側開口限定部を構成している。
この構成によれば、複数の孔部112eを設けることで、第1実施形態と同様に図4のように開口面積割合が弁体移動距離割合に対して漸増する構造を実現できる。さらに、弁体が閉弁位置付近(微開位置)にあるときの開口方向を一方向ではなく複数方向にできる。気流音は、弁座112の端部で剥離した渦と渦が断続的に干渉した際の圧力変動で、高周波の音を発生することで生じる。従って、このように複数方向に孔部112eを設けることで渦の発生場所を分散でき、音源のエネルギーを低下できる。このため気流音の抑制効果を向上でき、また閉弁位置付近(微開位置)での流量制御も容易にできる。
また、図12Bに示すように、第4実施形態の変形例として、孔数を変更することで開口面積割合の漸増構造を実現してもよい。具体的には、弁体108の開弁方向(図において下方)に孔数を例えば3個、4個、及び5個と増加させている。孔径は全て同一であるが、このように孔数を変更することで図4に示す漸増構造を実現することもできる。
また、図12Cに示すように、第4実施形態の他の変形例として、孔部112eの形状を変更することで図4に示す漸増構造を実現してもよい。具体的には、弁体108の開弁方向(図において下方)に孔部112eの大きさを大きくするように、例えば略三角形状に孔部112eを形成する。孔部112eの形状は三角形状に限らず、漸増構造を実現できれば任意の構造としてよい。
なお、孔部112eの数、大きさ、及び形状は、任意の組み合わせで使用してもよく、例えば、孔部112eの大きさを図12Aのように変更しつつ、同時に孔部112eの数も図12Bのように変更してもよい。
(第5実施形態)
図13に示す本実施形態の吸気調整弁100は、弁体108及び弁座112に関する部分以外の構成は図10の第2実施形態と同様である。従って、図10に示した構成と同様の部分については同様の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の吸気調整弁100は、第2実施形態と異なり、弁座112には凹部112cが設けられておらず、弁体108に複数の凸部(弁体側凸部)108cが設けられている。複数の凸部108cは、弁体108の閉弁方向(図において上方)に先細り形状を有し、弁体108の全周に設けられている。弁座112は、平坦な当接面112aが最下面に形成されている。本実施形態においては、複数の凸部108cが本発明の弁体側開口限定部を構成している。
この構成のように、弁体108に対して弁座112と同様に凸部108cを設けることで、弁体が閉弁位置付近(微開状態)にあるときに発生する気流音を低減し、流路配管14aや吸込部101の振動を低減し、吸込量を容易に制御できる効果がある。特に、弁体108は可動部品であるため、別体で形成されることも多く、設計変更が容易である。
また、弁体108に対して、弁座112と同様に、図10に示す弁座112のように凹部(弁体側凹部)、図11に示す弁座112のように傾斜した端面、又は図12Aから図12Cに示す弁座112のように孔部(弁体側孔部)を設けることで図4に示す漸増構造を実現してもよい。なお、弁体側孔部の数、大きさ、及び形状は、図12Aから図12Cの弁座側孔部112eのように変更されてもよく、これらは任意の組み合わせで使用されてもよい。これらの実施形態においては、弁体側凹部、傾斜した端面、又は弁体側孔部が弁体側開口限定部を構成する。
上記の全ての実施形態において、弁座側開口限定部又は弁体側開口限定部は、弁座112又は弁体108と別部材で形成されていてもよい。この場合、既存の設備に対して設置することも可能であり、低コストで実現できる。また、弁座側開口限定部又は弁体側開口限定部は組み合わせて使用することもできる。
2 圧縮機
4 圧縮機本体
4a 吸込口
4b 吐出口
6 油分離器
6a 油分離エレメント
6b 油タンク
8 保圧弁
10 制御装置
12 圧力調整弁
14a,14b,14c,14d,14e 流路配管
100 吸気調整弁
101 吸込部
102 吸込ケーシング
104 入口
105 出口
106 第1空間部
108 弁体
108a フランジ部
108b 突出部
108c 凸部(弁体側凸部)
112 弁座
112a 当接面
112b 凸部(弁座側凸部)
112c 凹部(弁座側凹部)
112d 傾斜した端面
112e 孔部(弁座側孔部)
114 ガイド棒
116 開口面積
116a,116b 開口面積の増分
151 シリンダー部
152 シリンダーケーシング
154 ピストン部材
156 コイルばね
158 隔壁
160 第2空間部
162 第3空間部
164 貫通孔

Claims (16)

  1. 弁座と、
    前記弁座に対して軸線の方向に移動する弁体と
    を備え、
    前記弁座及び前記弁体の形状は、少なくとも閉弁位置付近における前記弁体の移動量の増加割合に対する開口面積の増加割合が漸増するように設けられている、圧縮機用の吸気調整弁。
  2. 弁座と、
    前記弁座に対して軸線の方向に移動する弁体と
    を備え、
    前記弁座及び前記弁体の形状は、閉弁位置付近において前記弁体が開弁方向に移動する際に、前記軸線に対する周方向について不均一な開口領域が漸増するように設けられている、圧縮機用の吸気調整弁。
  3. 前記弁座は、前記弁座における前記弁体との当接面の外周側に前記軸線方向に延びる弁座側開口限定部を備える、請求項1又は請求項2に記載の圧縮機用の吸気調整弁。
  4. 前記弁座側開口限定部は、前記弁体の開弁方向に凸形状の少なくとも1つの弁座側凸部を備える、請求項3に記載の圧縮機用の吸気調整弁。
  5. 前記弁座側開口限定部は、前記弁体の閉弁方向に凹形状の少なくとも1つの弁座側凹部を備える、請求項3に記載の圧縮機用の吸気調整弁。
  6. 前記弁座側開口限定部は、前記軸線に対して傾斜した端面を有する、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の圧縮機用の吸気調整弁。
  7. 前記弁座側開口限定部は、複数の弁座側孔部を備える、請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の圧縮機用の吸気調整弁。
  8. 前記複数の弁座側孔部は、前記弁体の開弁方向に数が増加するように配置されている、請求項7に記載の圧縮機用の吸気調整弁。
  9. 前記複数の弁座側孔部は、前記弁体の開弁方向に孔径が大きくなるように形成されている、請求項7又は請求項8に記載の圧縮機用の吸気調整弁。
  10. 前記弁体は、前記弁体における前記弁座との当接面の内周側に前記軸線方向に延びる弁体側開口限定部を備える、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の圧縮機用の吸気調整弁。
  11. 前記弁体側開口限定部は、前記弁体の閉弁方向に凸形状の少なくとも1つの弁体側凸部を備える、請求項10に記載の圧縮機用の吸気調整弁。
  12. 前記弁体側開口限定部は、前記弁体の開弁方向に凹形状の少なくとも1つの弁体側凹部を備える、請求項10に記載の圧縮機用の吸気調整弁。
  13. 前記弁体側開口限定部は、前記軸線に対して傾斜した端面を有する、請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の圧縮機用の吸気調整弁。
  14. 前記弁体側開口限定部は、複数の弁体側孔部を備える、請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の圧縮機用の吸気調整弁。
  15. 前記複数の弁体側孔部は、前記弁体の閉弁方向に数が増加するように配置されている、請求項14に記載の圧縮機用の吸気調整弁。
  16. 前記複数の弁体側孔部は、前記弁体の閉弁方向に孔径が大きくなるように形成されている、請求項14又は請求項15に記載の圧縮機用の吸気調整弁。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109372735A (zh) * 2018-12-24 2019-02-22 沈阳远大压缩机有限公司 往复活塞式高转速压缩机手动余隙调节装置
WO2019093060A1 (ja) * 2017-11-09 2019-05-16 株式会社神戸製鋼所 弁システム及び圧縮機

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