JP6992484B2 - 燃料ポンプ制御装置 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、フィードバック制御に係るゲインを適切に設定できるようにした燃料ポンプの制御装置を提供することにある。
また、請求項2記載の発明によれば、ゲイン変更部は、内燃機関がフューエルカット中であると判定されると、ゲインを最小値より大きくするようにしている。このためフィードバック制御に係るゲインを適切に設定できる。
(第1実施形態)
図1から図5は、第1実施形態の説明図を示している。
<燃料噴射システム1の全体の基本的構成>
図1は、非ハイブリッド車両、所謂コンベンショナル車両に用いられる燃料噴射システム1のブロック構成例を示している。この燃料噴射システム1は、エンジンECU(Electronic Control Unit)2、及びFPC(Fuel Pump Controller)3を制御主体として構成され、その他、コモンレール4、燃料タンク5、フィードポンプ6、高圧燃料ポンプ7、燃圧センサ8、各種センサ9~12、内燃機関(エンジンとも称す)13、及び、内燃機関13の各気筒に設置された燃料噴射弁14~17を組み合わせて構成されている。フィードポンプ6は、高圧燃料ポンプ7よりも低圧条件により燃料18を送出する低圧燃料ポンプとして電動DCポンプにより構成されている。
FPC3は、エンジンECU2からこのエンジン回転数の情報を取得したり、またはネットワークNを通じてクランク角信号を取得することでエンジン回転数を算出できる。アクセルペダルセンサ11は、運転者によるアクセルペダルの踏込量に対応したアクセルセンサ信号を出力するものであり、エンジンECU2及びFPC3は、このアクセルセンサ信号によりアクセルペダルの踏込量、アクセル開度の情報を取得できる。
FPC3は、制御部としてのCPU3a及びメモリ3bを備える制御ロジックを主として構成され、CPU3aが非遷移的実体的記録媒体としてのメモリ3bに記憶されたプログラムに基づいて各種制御を実行するように構成される。CPU3aは、メモリ3bに記憶されたプログラムを実行することで、ゲイン変更部としての機能を実現している。
このFPC3は、フィードポンプ6のポンプDCモータの駆動制御及びその保護処理並びにダイアグノーシス機能を実行する。FPC3は、ネットワークNを介してエンジンECU2との間で通信可能になっており、エンジンECU2からネットワークN経由で入力される指令目標燃圧に基づいて、燃料18を自律的に燃料タンク5から吸い出して圧力を印加し、低圧配管19を通じて高圧燃料ポンプ7に燃料18を送出する。
このFPC3は、エンジンECU2から指令目標燃圧を入力すると、この指令目標燃圧に応じてフィードポンプ6により送出される燃料18の実燃料圧力をフィードバック制御(例えば、PID制御、PI制御又はP制御)する。このときFPC3は、フィードバックゲイン(例えばPゲイン、Iゲイン、Dゲイン)をパラメータとしてフィードバック制御するように構成されている。
以下、前述した基本的構成、機能に応じた特徴的な作用、動作について、図2以降の図面を参照しながら説明する。エンジンECU2は、各種のセンサ9~12からセンサ情報を入力し、内燃機関13の運転状態、動作状態を取得し、コモンレール3の目標燃圧を設定し、燃圧センサ9により検出されたコモンレール4の実際の燃圧を目標燃圧にフィードバック制御する。
図3はフィードポンプ6の実制御動作をタイミングチャートを用いて示している。イグニッションスイッチがACCオンされると、バッテリ電源がエンジンECU2及びFPC3などの各種電子制御装置に供給される。これにより、エンジンECU2及びFPC3は起動する。エンジンECU2は内燃機関13の制御及び燃料噴射弁14~17の噴射制御を実行すると共に、FPC3はエンジンECU2から送信される指令目標燃圧に応じてフィードポンプ6を制御する。このとき、まずFPC3はフィードポンプ6のフィードバック制御処理に必要なパラメータを設定する。
イグニッションスイッチがIGオンされると内燃機関13が始動する。このとき、エンジンECU2は、コモンレール4の内部燃圧を上昇させるため高圧燃料ポンプ7から燃料18をコモンレール4に供給させると共に、図3のt1においてFPC3に指令目標燃圧を出力する。
エンジンECU2は、燃料18の実噴射量を増加させることでコモンレール4の燃圧が低下するため高圧燃料ポンプ7を動作させると共にフィードポンプ6に指令目標燃圧を上昇させるように指令する。図3のタイミングt6参照。FPC3は、このタイミングt6の前のタイミングt5においてPゲインを大ゲイン定数に設定しているため、燃圧センサ8により検出される実燃圧の変動に対して敏感に追従性良く制御できるようになり、フィードポンプ6の実燃圧を指令目標燃圧以上の大きな燃圧に素早く制御できる。
したがって、エンジン回転数が大きな回転数増加勾配A1(図3参照)に対応して大幅に増加したとしても、この回転数増加勾配A1に対応したエンジン回転数に追従するようにフィードポンプ6の実燃圧を素早く制御できる。図3に示す増加勾配K3参照。
その後、車速が増加すると運転者がアクセルペダルの踏込量を少なくする。図3のタイミングt7において、運転者がアクセルペダルの踏込量を一定量に保ち車両を定速走行させると、エンジン回転数は加速時の回転数より少なくなる。図3のタイミングt8参照。。この定速走行状態では、FPC3は、図3のS3にてNO、S4にてNOと判定し、Pゲインを中ゲイン定数に設定する。
この間、エンジンECU2は、タイミングt9において指令目標燃圧を低くするようにFPC3に指令する。他方、FPC3は、図2のS3にてYESと判定することでPゲインを大ゲイン定数に設定し、そして目標燃圧を低くしてフィードポンプ6の実燃圧をフィードバック制御する。
エンジンECU2は、フューエルカット制御を解除したときには、内燃機関13を再始動し燃料噴射弁14~17から燃料18を噴射開始することになる。このとき、燃料18がコモンレール4から燃料噴射弁14~17に急激に供給されると、燃料18の消費量が急増する。するとコモンレール4の内部の圧力低下に伴い、エンジンECU2は、FPC3に指令目標燃圧を増加指令することになる。また、運転者がアクセルペダルを踏込み急加速した場合、エンジンECU2がこの急発進に対応するため、高圧燃料ポンプ7からコモンレール4を通じて燃料噴射弁14~17に燃料供給すると共に、FPC3に指令目標燃圧を急増指令することになる。
<全動作状態にてPゲインを大ゲイン定数に設定>
図4は、例えばFPC3と同様の構成がPゲインを大ゲイン定数に設定したまま前述の一連の車両制御処理を実行した場合の各値の変化を比較例として示している。このときの「大ゲイン定数」は、例えば燃料18の代表的な温度により決定される定数である。
図4の領域Ra1、Ra3には、動作状態がアイドル状態のときの動作を示している。これらの領域Ra1又はRa3に示すように、特に動作状態がアイドル状態であるときには、FPC3がPゲインを大ゲイン定数に設定していると、フィードポンプ6の実燃圧がエンジンECU2の指令目標燃圧を中心として上下に大きく変動する。すると、このフィードポンプ6の実燃圧に応じて、燃料噴射弁14~17の実噴射量が上下に変動するため、エンジン回転数も上下に大きく変動する。すると、車両の動作安定性が損なわれる。
図4の領域Ra2には、動作状態が定速走行状態のときの動作を示している。この領域Ra2に示すように、動作状態が定速走行状態であるときには、領域Ra2に示すように、FPC3がPゲインを大ゲイン定数に設定していると、フィードポンプ6の実燃圧が指令目標燃圧を中心として上下に大きく変動し、アイドル状態と同様に、実噴射量、エンジン回転数も大きく変動することになり、動作安定性が損なわれてしまう。
他方、図5は、FPC3がPゲインを「小ゲイン定数」に設定したまま一連の車両制御処理を実行した場合の各値の変化を示している。
この図5の領域Rb1には、動作状態がエンジン始動時のときの動作を示している。この領域Rb1において、FPC3がPゲインを小ゲインに設定していると、フィードポンプ6の実燃圧がエンジンECU2の指令目標燃圧に対し早急に追従できなくなる。比較例の初期勾配K1a参照。するとエンジンECU2は、内燃機関13の始動に必要以上に時間を要することがある。また図5の領域Rb2には、動作状態が発進加速状態のときの動作を示している。動作状態が発進加速状態のときには、燃料消費が大きく増加すると共に噴射量が大幅に増加する。このときフィードポンプ6の実燃圧がエンジンECU2の指令目標燃圧に早急に追従できないと、領域Rb2aに示すように、発進加速状態の初期段階において、燃料の実噴射量が大きく低下することになり、エンジン回転数の上昇度も低くなる。エンジン回転数の初期勾配A1a参照。
また図5の領域Rb3には、動作状態がフューエルカットからフューエルカット解除に至る際の動作を示している。このフューエルカット解除タイミングt10~t11aにおいても、FPC3がPゲインを小ゲインに設定していると、フィードポンプ6の実燃圧がエンジンECU2の指令目標燃圧に対し早急に追従できないと、燃料噴射を実質的に開始するタイミングが遅れてしまうことになる。図5の領域Rb3のタイミングt11a参照。このような場合に備え、前述したように、Pゲインをアクティブに変化させることが望ましい。
以上説明したように、本実施形態によれば、FPC3は、外部のエンジンECU2から入力される指令目標燃圧に応じてフィードポンプ6の実燃圧をフィードバック制御しているが、FPC3は加速指令情報を入力したときに、図2のS4でYES、S5でNOと判定し、Pゲインを例えば大ゲイン定数に大きく変更している。このため、加速指令情報に応じて適切なPゲインに設定できるようになる。
図6から図8は、第2実施形態の追加説明図を示している。図6は、図1の燃料噴射システム1に代わる車両制御システム201の構成の具体例を示している。この車両制御システム201は、第1実施形態で説明した燃料噴射システム1に加えて、ハイブリッド車両制御に係る構成を備える。
これらのHVECU21及びエンジンECU2が、それぞれ、車輪駆動モータ22及び内燃機関13を制御するときには、当該ECU21及び2同士が各種情報を授受して協働しながら制御する。HVECU21は、車輪駆動モータ22の回転駆動用のトルクと、エンジンECU2への内燃機関13による要求トルクとを合算し、これらのトルクを目標トルクとなるように統合的に制御する。このとき必要なトルクが、車輪駆動モータ22の回転駆動用のトルクを上回ると、要求トルク情報を含むエンジン駆動要求信号をエンジンECU2に加速指令情報として送信する。
FPC3は、S1aにおいて車速センサ12から現在の車速情報を取得すると共に、HVECU21からエンジン駆動要求信号を取得し、このエンジン駆動要求信号に含まれる要求トルク情報を取得する。そしてFPC3は、定期的に取得している要求トルクの差分を算出することで、S2aにおいて前回と今回との差分を差分要求トルクとして算出する。
また、差分要求トルクが予め設定されている差分トルク閾値以上であるときには、FPC3は、S5aにおいてNOと判定してS7においてPゲインを大ゲイン定数とする。逆に、差分要求トルクが予め設定されている差分トルク閾値よりも小さいときには、FPC3は、S5においてYESと判定し、S8においてPゲインを小ゲイン定数とする。すなわち、S5aにおいて、HVECU21からエンジンECU2に要求される要求トルクが所定以上の変動量となれば、S7においてPゲインを大ゲイン定数とし、それ以外の場合にはS8において小ゲイン定数に設定する。
図8は、図3に代わるタイミングチャートを示している。詳細な動作説明は、第1実施形態の「アクセルペダル操作量」を「差分要求トルク」に読み替えた場合と概ね同様となる。このため、必要に応じてその詳細動作説明を省略する。
HVECU21が、車輪駆動モータ22を駆動することで車両がモータ走行しているときには、HVECU21はエンジンECU2への要求トルクを0又は一定範囲に制御している。このため、車両がモータ走行しているときには、図7のS2aにて算出される差分要求トルクは概ね0となり、このときFPC3は、S3aにてエンジンストップ中であると判定することでS3aにてYESと判定し、S9にてPゲインを大ゲイン定数に設定する。このモータ走行状態では、FPC3は、Pゲインを大ゲイン定数に設定しているため、この後の急加速に事前に備えることができる。図8のタイミングt5a参照。この後、例えば、動作状態が発進加速状態に移行し、HVECU21がエンジンECU2への要求トルクを急増させると、図7のS5aにて差分要求トルクが所定の差分トルク閾値を超える。
FPC3は、このタイミングt6aの前のタイミングt5aにおいてPゲインを大ゲイン定数に設定しているため、燃圧センサ8により検出される実燃圧の変動に対して敏感に追従性良く制御できるようになり、フィードポンプ6の実燃圧を指令目標燃圧より大きな燃圧に素早く制御できる。このようにして、動作状態が発進加速状態に至る。動作状態が発進加速状態に移行することで、消費燃料が大幅に増加したとしても、フィードポンプ6は、この消費燃料の増加に追従して、燃料18を低圧配管19ひいては高圧燃料ポンプ7に供給できる。
この後、タイミングt8以降における定速走行状態において、FPC3は、図8のS3aにてNO、S4aにてNOと判定し、Pゲインを中ゲイン定数に設定する。この後の動作は、前述実施形態と概ね同様であるためその詳細説明を省略する。
本発明は前述実施形態に限定されるものではなく例えば以下に示す変形または拡張が可能である。
燃料18が燃料タンク5からフィードポンプ6及び高圧燃料ポンプ7を通じてコモンレール4に供給され、このコモンレール4から燃料噴射弁14~17に供給される形態を示したが、これに限定されるものではない。
例えば、燃料18が一つのポンプ6を通じて燃料噴射弁14~17に直接供給される形態にも適用できる。また前述実施形態では、フィードポンプ6の制御に特徴的な処理を施す形態を示したが、これに限定されるものではなく、前述実施形態の構成を採用したときに、高圧燃料ポンプ7の制御に特徴的な処理を施すようにしても良い。
このとき、アクセルペダルの操作量、車速、アクセルペダルの踏込量、の各変化に対応したゲイン補正係数のマップをFPC3のメモリ3bに記憶させておき、当該アクセルペダルの操作量、車速、アクセルペダルの踏込量の各変化に対応したゲイン補正係数をこのマップから算出し、このゲイン補正係数を演算してPゲインのパラメータとして算出することが望ましい。
Claims (9)
- 車両の内燃機関(13)に燃料を供給するための燃料ポンプ制御装置(3)であって、
外部から入力される指令目標燃圧に応じて燃料ポンプの実燃料圧力をフィードバック制御する制御部(3a)を備え、
前記制御部は、前記内燃機関を用いて加速するための加速指令情報を入力すると前記制御部による実燃料圧力のフィードバック制御に用いられるゲインを少なくとも最小値よりも大きく変更するゲイン変更部(S4、S5、S7;S4a、S5a、S7)を備え、
前記車両の速度を表す車速情報又は前記内燃機関のエンジン回転数情報に応じて前記内燃機関が停止していると判定されたとき(t5a~t8)に、前記ゲイン変更部は前記ゲインを前記最小値より大きく設定する燃料ポンプ制御装置。 - 車両の内燃機関(13)に燃料を供給するための燃料ポンプ制御装置(3)であって、
外部から入力される指令目標燃圧に応じて燃料ポンプの実燃料圧力をフィードバック制御する制御部(3a)を備え、
前記制御部は、前記内燃機関を用いて加速するための加速指令情報を入力すると前記制御部による実燃料圧力のフィードバック制御に用いられるゲインを少なくとも最小値よりも大きく変更するゲイン変更部(S4、S5、S7;S4a、S5a、S7)を備え、
前記ゲイン変更部は、前記内燃機関がフューエルカット中であると判定される(S3、t9~t10)と、前記ゲインを前記最小値より大きくする(S9)燃料ポンプ制御装置。 - 前記ゲイン変更部は、外部から指令目標燃圧の上昇指令を入力するタイミング(t6)の前に前記加速指令情報を入力したとき(t5)に、前記ゲインを前記最小値より大きく設定する請求項1又は2記載の燃料ポンプ制御装置。
- 前記内燃機関の動作状態としてアイドル状態を超える一定トルクを保持する状態であると判定されたときに(t8~t9)は、前記ゲイン変更部は、前記ゲインを前記最小値より大きくする(S6)請求項1から3の何れか一項に記載の燃料ポンプ制御装置。
- 前記内燃機関の動作状態としてアイドル状態(t3~t5)であると判定され、当該アイドル状態に応じたトルクを保持するときには、前記ゲイン変更部は、前記ゲインを直前の値より小さくする(S8)請求項1から4の何れか一項に記載の燃料ポンプ制御装置。
- 前記指令目標燃圧はエンジンECU(2)から入力され、
前記ゲイン変更部が、前記ゲインを変更するときには、前記エンジンECUが前記内燃機関を制御するために用いるセンサ信号と同じセンサ信号を入力しこのセンサ信号に応じて前記加速指令情報を入力する請求項1から5の何れか一項に記載の燃料ポンプ制御装置。 - 前記ゲイン変更部は、前記加速指令情報についてアクセルセンサ信号を用いて判定する請求項1から6の何れか一項に記載の燃料ポンプ制御装置。
- 前記ゲイン変更部は、前記加速指令情報についてエンジン駆動要求信号を用いて判定する請求項1から6の何れか一項に記載の燃料ポンプ制御装置。
- 高圧燃料ポンプ(7)が燃料を燃料噴射弁(14~17)に供給するように構成され、
前記燃料ポンプは、燃料タンクに蓄積された燃料に圧力を印加することで低圧配管を通じて前記高圧燃料ポンプに前記燃料を供給する低圧燃料ポンプ(6)である請求項1から8の何れか一項に記載の燃料ポンプ制御装置。
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