実施の形態1に係る画像読取装置の斜視図である。
実施の形態1に係る画像読取装置のフレーム側板を外した状態の主走査方向の側面図である。
実施の形態1に係る画像読取装置のレンズアレイの斜視図である。
実施の形態1に係る画像読取装置のレンズアレイの読取深度方向から見た上面図である。
実施の形態1に係る画像読取装置のスリット部の斜視図である。
実施の形態1に係る画像読取装置のスリット部が設けられたレンズアレイの斜視図である。
実施の形態1に係る画像読取装置のスリット部が設けられたレンズアレイの読取深度方向においてセンサ部側から見た上面図である。
実施の形態1に係る画像読取装置のスリット部が設けられたレンズアレイの側面図である。
実施の形態1に係る画像読取装置のスリット部が設けられたレンズアレイの側面図である。
実施の形態1に係る画像読取装置のスリット部が設けられたレンズアレイの断面の側面図である。
実施の形態2に係る画像読取装置のスリット部の斜視図である。
実施の形態2に係る画像読取装置のスリット部が設けられたレンズアレイの側面図である。
実施の形態3に係る画像読取装置のスリット部の斜視図である。
実施の形態3に係る画像読取装置のスリット部が設けられたレンズアレイの側面図である。
実施の形態3に係る画像読取装置のスリット部の他の構成の斜視図である。
実施の形態4に係る画像読取装置のスリット部の斜視図である。
実施の形態4に係る画像読取装置のスリット部が設けられたレンズアレイの側面図である。
実施の形態4に係る画像読取装置の他の構成のスリット部が設けられたレンズアレイの側面図である。
実施の形態1に係る画像読取装置のスリット部の外観図である。
比較例のスリット部の外観図である。
実施の形態5に係る画像読取装置のレンズアレイ及び保持部の斜視図である。
実施の形態5に係る画像読取装置のレンズアレイの有効読み取り範囲を示す図である。
実施の形態5に係る画像読取装置の斜視図である。
実施の形態5に係る画像読取装置の断面の側面図である。
実施の形態5に係る画像読取装置の拡大図である。
実施の形態5に係る画像読取装置のスリット部が設けられたレンズアレイの読取深度方向においてセンサ部側から見た平面図である。
原稿を読み取る位置と方向とを示す図である。
遮光板の表面に形成された凹凸の算術平均粗さが大きい場合と小さい場合とのフレア性能を比較した図である。
実施の形態6に係る画像読取装置のスリット部の斜視図である。
実施の形態6に係る画像読取装置のスリット部が設けられたレンズアレイ4及び保持部42の斜視図である。
実施の形態6に係る画像読取装置のフレーム側板を外した状態の主走査方向からみた側面図である。
実施の形態6に係る画像読取装置のスリット部とレンズアレイとの固定プレートが設けられていない側の拡大図である。
実施の形態6に係る画像読取装置のスリット部とレンズアレイとの固定プレートが設けられている側の拡大図である。
実施の形態6に係る画像読取装置のスリット部と固定プレートとが設けられたレンズアレイの側面図である。
実施の形態6に係る画像読取装置の固定プレートの主走査方向と交差する方向からみた側面図である。
実施の形態7に係る画像読取装置のスリット部が設けられたレンズアレイ及び保持部の斜視図である。
実施の形態7に係る画像読取装置のフレーム側板を外した状態の主走査方向からみた側面図である。
実施の形態7に係る画像読取装置のスリット部とレンズアレイとの基準プレートが設けられている側の拡大図である。
実施の形態1.
以下、実施の形態1に係る画像読取装置100について、図面を用いて説明する。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示し、それらについての詳細な説明は省略する。各図において、X、Y、Zは座標軸を示す。X軸方向を主走査方向(長手方向)、Y軸方向を副走査方向(短手方向)、Z軸方向を読取深度方向とする。図1は、実施の形態1に係る画像読取装置100の斜視図である。図2は、実施の形態1に係る画像読取装置100のフレーム側板を外した状態の主走査方向の側面図である。
図1および図2に示すように、実施の形態1に係る画像読取装置100は、フレーム1、透明板2、フレーム側板3、レンズアレイ4、レンズアレイ4を保持する保持部42、固定プレート5、スリット部6、受光部7を備えている。画像読取装置100は、読取対象物の画像情報を読み取る。読取対象物は、例えば、紙幣、有価証券、その他の一般文書の画像情報である被読取媒体(被照射体)である。
フレーム1は、読取対象物の側に矩形の開口を有する主走査方向を長手方向とする長方形状のものである。フレーム1の短手方向は、副走査方向(読取対象物の搬送方向)に相当する。フレーム1は、アルミニウムなどの金属や樹脂で形成されている。フレーム1は、レンズアレイ4、保持部42、受光部7、及びスリット部6を収納または保持する。
透明板2は、フレーム1に開口を塞ぐように設けられる。透明板2は、透明ガラスや透明樹脂で形成されている。透明板2は、主走査方向に沿って延在する両面が平坦な平板状の形状を形成している。透明板2においてフレーム1と対面する面とは反対側の面は、読取対象物の読取面である。読取面は、読取対象物の読取位置を規制する。
図3は、レンズアレイ4及び保持部42の斜視図である。図4は、レンズアレイ4及び保持部42の読取深度方向から見た上面図である。レンズアレイ4及び保持部42は、読取対象物と受光部7との間に設置される。レンズアレイ4は、保持部42を介して固定プレート5に接着剤やテープなどで接着される。保持部42に貼り付けられた固定プレート5は、フレーム1にねじ等の締結部品で固定されている。保持部42は、受光部7の側にスリット部6が接続される。
レンズアレイ4は、複数のレンズ体41が主走査方向に沿って配列されたものである。レンズ体41は、読取対象物からの光を収束させる正立等倍光学系のレンズである。保持部42は、主走査方向に延在し、レンズアレイ4の主走査方向と交差する方向における両側に設けられものであり、樹脂などで形成される。保持部42は、ここでは板状であり、レンズアレイ4を主走査方向と交差する方向における両側から保持する。つまり、レンズ体41が主走査方向に沿って一列に隙間なく密接に配置されたレンズアレイ4を樹脂などの保持部42で固定した構成となる。
レンズアレイ4の読取対象物側の面である光入射面43と保持部42の読取対象物側の面である光入射面44とは、精密に表面研磨されており、同一平面上である。同様に、レンズアレイ4の受光部7側の面である光出射面45と保持部42の受光部7側の面である光出射面46とは、精密に表面研磨されており、同一平面上である。保持部42において、受光部7側の面にスリット部6が接続される。
レンズアレイ4は、読取対象をセンサIC8に正立等倍で結像する。ここではロッドレンズアレイである。レンズアレイ4は、マイクロレンズアレイとしてもよい。このように、レンズアレイ4は、正立等倍光学系が好適である。レンズアレイ4は、光軸が読取面に対して垂直に配置されている。レンズアレイ4は、照明装置から出射した光が読取対象物で反射又は透過し、透明板2を通過してきた光を収束し、受光部7に結像させる機能を有する。
受光部7は、レンズ体41が収束した光を受光する。図2に示す通り、受光部7は、センサ基板9とセンサ基板9に設けられたセンサIC8とその他の駆動回路等から構成される。センサIC8は、レンズアレイ4の配列に応じてアレイ上に配列される。センサIC8は、レンズ体41で収束された光を受光し、光電変換して電気信号に変換する。センサIC8は、センサ基板9に接着剤等で固定されている。
センサ基板9は、ガラスエポキシなどの樹脂で形成された基板であり、センサIC8を実装している。センサ基板9は、別の機能を有する基板11と共に、テープ、接着剤、ネジなどで基板支持プレート10に固定される。センサ基板9は、基板支持プレート10の読取対象物側とは反対側の面に固定される。このとき、レンズ体41の光軸が、センサIC8に搭載された半導体チップ等の受光部材に一致している。
基板支持プレート10は、テープ、接着剤、ネジなどでフレーム1に固定される。基板支持プレート10とフレーム1とは、外部からの光を遮る材料で形成され、さらにセンサIC8を封止している。よって、基板支持プレート10とフレーム1とは、画像読取装置100の外部からセンサIC8に入射してくる光を遮ると共に、画像読取装置100の内部にゴミなどの異物が侵入することを防止する効果を有する。
図5は、スリット部6の斜視図である。図6は、スリット部6が設けられたレンズアレイ4及び保持部42の斜視図である。図7は、スリット部6が設けられたレンズアレイ4及び保持部42の読取深度方向においてセンサ部7側から見た上面図である。図8は、スリット部6が設けられたレンズアレイ4及び保持部42の主走査方向からみた側面図である。図9は、スリット部6が設けられたレンズアレイ4及び保持部42の副走査方向からみた側面図である。図10は、スリット部6が設けられたレンズアレイ4及び保持部42の図6の点線部分における断面の側面図である。
図6に示す通り、レンズアレイ4と受光部7との間にスリット部6を備える。スリット部6は、主走査方向に沿って複数配列される。スリット部6は、保持部42において受光部7側の面である光出射面46に取り付けられる。スリット部6と保持部42とは、弾性力の小さいテープまたは、シリコン接着剤等の接着剤で接着される。図8、図9は、スリット部6と保持部42とを接着剤13で接続している。
スリット部6は、樹脂または金属などで成形されたものである。スリット部6は、射出成型またはプレス成型などで成型される。スリット部6は、遮光板14と側板15とを有する。詳しくは、スリット部6は、3つ以上の隣り合う遮光板14が側板15により接続されたものである。
遮光板14は、レンズアレイ4と受光部7との間において、1つのレンズ体41と他のレンズ体41の間にそれぞれ設けられる。遮光板14は、1つのレンズ体41と他のレンズ体41との光路を分離するものである。言い換えると、画像読取装置100において、レンズ体41の光軸と一致する空間がそれぞれ遮光板14により分離されている。遮光板14は、それぞれ同一の厚みを有する。側板15は、遮光板14の主走査方向と交差する方向における両側に設けられ、隣り合う遮光板14を接続する。
隣り合うスリット部6は、レンズ体41の光路の一つ分を空けて主走査方向に沿って配列される。つまり、隣り合うスリット部6は互いに側板15により接続されていない。隣り合うスリット部6の対向する遮光板14は、隣り合うスリット部6が空けて配列されている部分のレンズ体41の光路を分離する。
上記の構成によりスリット部6は、隣り合う遮光板14と側板15とで囲まれた領域である貫通穴16が主走査方向に沿って複数形成される構成となる。この複数の貫通穴16は、それぞれレンズ体41の光軸と一致する。
一般的に、レンズアレイを使用する光学系はその隣接するレンズ体との視野の重なりの影響を受け多重像が発生してしまい、焦点深度を長く確保することが難しい。画像読取装置100は、レンズアレイ4と受光部7との間にスリット部6を設け、それぞれのレンズ体41が収束した光の光路を分離する。これにより、レンズ視野の重なりを限定することができる。よって、画像読取装置100は、焦点深度を長くすることが可能である。
スリット部6の主走査方向の長さは、レンズアレイ4とスリット部6との線膨張差で決定される。詳しくは、スリット部6の主走査方向の長さは、あらかじめ指定した使用温度範囲において、あらかじめ選定したスリット部6の線膨張係数でレンズアレイ4とスリット部6との線膨張差が発生しても、スリット部6の遮光板14の位置と、レンズアレイ4の1つのレンズ体41と他のレンズ体41の間の位置とが重なる長さに設定する必要がある。このとき、スリット部6を主走査方向に沿って複数配列する構成にすることで、レンズアレイ4とスリット部6との線膨張差を複数のスリット部6のうち1つ分の長さ単位で考えることができ、適用温度範囲を広げることができる。
スリット部6は、受光部7側の面である光出射面に、受光部7側に向けて突出した第1の凸部17が形成される。図6及び図7に示す通り、第1の凸部17は、スリット部6の受光部7側の面である光出射面に対角線上に2つ形成される。スリット部6は、受光部7側の面である光出射面に、受光部7と反対側に向けて陥没した凹部18が形成される。図6及び図7に示す通り、凹部18は、スリット部6の受光部7側の面である光出射面の第1の凸部17が形成されていない側の対角線上に2つ形成される。第1の凸部17及び、凹部18を形成する位置と個数は任意である。また、スリット部6は、第1の凸部17のみを形成する構成または凹部18のみを形成する構成としてもよい。
スリット部6に形成された第1の凸部17と凹部18とは、鉄材などで作成した治具等を嵌め込むための構造である。スリット部6は、第1の凸部17と凹部18とが形成されることで、スリット部6が変形した場合に、治具を第1の凸部17または凹部18に嵌め込み、正規の形状に矯正することができる。スリット部6は、一般的に遮光板14が0.3mm以下の薄肉成形であるため、そりや変形が発生することがある。また、スリット部6を射出成型などで成形する際に選択する材料によっても、そりや変形が発生することがある。このそりや変形の発生を抑えることが難しい場合は、保持部42にスリット部6を固定するときに、そりや変形を矯正して固定すればよい。上記の構成により、治具を第1の凸部17または凹部18に嵌め込み、スリット部6を正規の形状に矯正した上で、保持部42に固定することができる。このように形状を矯正することができるため、スライドコアを使用する必要がなくなり、スリット部6の金型構造を簡素化することができる。また、スリット部6の姿勢を矯正することも可能となり、フレア特性の向上も図ることができる。
スリット部6は、レンズアレイ4側の面においてレンズアレイ4と対向する部分に凹状の逃げ部19が形成される。これにより、スリット部6は、保持部42とのみ接する構成となる。つまり、レンズ体41の受光部7側の面である光出射面45とスリット部6は、直接接さない構成となる。これにより、レンズ体41にスリット部6が接触することによる傷の発生を抑制することができる。
図10に示すように、スリット部6に形成された貫通穴16はテーパー状の形状である。これは、スリット部6の貫通穴16の成形を容易にするためである。また、スリット部6の保持部42との接着面積を確保するためである。
スリット部6は、ここでは、エッチング処理により表面に凹凸が形成されている。このエッチング処理は、酸性溶液によるエッチング処理またはアルカリ性溶液によるエッチング処理である。詳しくは、スリット部6の遮光板14において外側をなす面と、スリット部6の側板15において外側をなす面とに凹凸が形成される。アルカリ性溶液によるエッチング処理はポリマー中のエステル結合を切ることにより、樹脂の表面を加工するものである。酸性溶液によるエッチング処理は、酸の腐食作用を利用して部材の表面を加工するものである。例えば、過マンガン酸、硫酸、クロム酸などによる酸性溶液によるエッチング処理またはアルカリ性溶液によるエッチング処理を行うと、反射を抑えるために十分な凹凸を遮光板表面に形成することができる。スリット部6の凸凹量が大きい場合、その構造内に光が入射した際に多重反射による吸光効果があり、スリット部6の遮光板14において外側をなす面とスリット部6の側板15において外側をなす面に入射した不要光はそこに形成された凸凹により、吸収されて、フレアを防止することにもなる。凸凹量は算術平均粗さ(Ra)2.5um以上が好適である。望ましくは、算術平均粗さ(Ra)3.5um以上である。なお、メッキプロセスなどで用いられるアルカリ性溶液のエッチング処理(例えば、水酸化ナトリウム)で行ってもよい。また、スリット部6にエッチング処理を行う場合、十分な凹凸を形成するためは、スリット部6は樹脂から形成されることが好ましい。エッチング処理のほかに、表面に凹凸を形成する方法として、つや消しの塗装があげられる。しかし、スリット部6に塗装を施すには遮光板14同士の間隔が狭く、作業が難しい。その点、エッチング処理は薬液に浸すだけで作業が完了するため、作業が簡便である。
図27及び図28に遮光板14の表面に形成された凹凸の算術平均粗さ(Ra)が大きい場合と小さい場合でのフレア性能を比較した図を示す。図27は、原稿78を読み取る位置と方向とを矢印で示している。図27は、原稿78の図27の矢印の箇所を矢印の方向に読み取る場合のフレアの比較のグラフである。図28は、図27に示すように原稿78の色が、白、黒、白の順で変化する場所を読み取る場合のグラフである。図28は、横軸が画素、縦軸が明出力の値である。縦軸は、上に行くほど明出力の値が大きくなる。遮光板14の表面に形成された凹凸の算術平均粗さ(Ra)が小さい場合の明出力の値を点線79で示す。遮光板14の表面に形成された凹凸の算術平均粗さ(Ra)が大きい場合の明出力の値を実線80で示す。明出力は、読み取る原稿78の白から黒の境界、および、黒から白の境界で急峻な変化をする。図28によると、算術平均粗さ(Ra)が小さい場合、フレアの影響が出てしまい、境界で急峻な明出力変化が得られていないことがわかる。しかしながら算術平均粗さ(Ra)が大きい場合、原稿78の色の変化に追従して、明出力が急峻に変化していることがわかる。このように、図28では、算術平均粗さ(Ra)の大小が原稿の読取性能に大きな影響を及ぼしていることが分かる。
スリット部6の遮光板14及び側板15は、レンズ41の視野重なりを抑制し、焦点深度を長くすることができる。一方でレンズ41からの出射光をカットするため、遮光板14及び側板15はカットした光の反射光を放射する。この遮光板14及び側板15から放射された反射光が、迷光成分として受光部7に入射するとフレアとして観測される。レンズ41から出射される光はレンズ41において、すでに9°~15°程度に絞られているため、遮光板14及び側板15は、深い入射角度でも反射を防ぐ処理が必要となる。スリット部6は、エッチング処理により表面に凹凸が形成されているため、遮光板14及び側板15からの反射を低減させることができ、それによりフレアを低減することができる。特に、スリット部6を表面が光沢のある状態で成形される射出成型で製作する場合に、好適である。
なお、スリット部6の表面に凹凸を形成する方法として、スリット部6を射出成型で製作する際に、成形金型に梨地をかけておく方法が考えられる。この場合、梨地が成形されたスリット部6の表面に転写され、凸凹ができて反射を低減させることができる。しかしながら、金型で凸凹をつけるためには大きな抜き勾配が必要である。スリット部6では、明出力を低下させないようにするため、遮光板14の厚みを0.2mm~0.42mm程度の薄肉とする必要がある。そのため、金型からの成形品を取り出す際に、必要な抜き勾配を大きくとれない。よって、スリット部6に適用することが難しい。また、サンドブラストなどの、粒子を表面に勢いよくぶつけて凸凹をつける方法もある。しかしながら、スリット部6では狭ピッチで遮光板14を設ける必要があるため、遮光板14の表面に粒子をぶつけることが難しく、スリット部6には適用が難しい。つまり、スリット部6は、表面に凹凸が形成する場合に、エッチング処理を行うことで、大きな抜き勾配を必要とせず、また、狭ピッチで遮光板14を設けることが可能である。
ここでは、スリット部6は、粉粒状充填剤が含まれる樹脂から形成される。または、スリット部6は、粉粒状充填剤と繊維状充填材とが含まれる樹脂から形成される。粉粒状充填剤の大きさは直径15umから80umが好適である。含有率は30重量パーセントから50重量パーセントが好適である。スリット部6を射出成型で製作する場合、一般に、スリット部6は、流動性の高いLCP(液晶ポリマー)等の樹脂により形成される。しかし、LCPは高価な樹脂であり、成形異方性の大きい樹脂であるであるため、通常、LCPに充填剤を配合する。図19に、スリット部6を粉粒状充填材(炭酸カルシウム、タルクなど)が含まれる樹脂で成形し、エッチング処理を行った場合のスリット部6の外観を示す。比較例として、図20に、スリット部を繊維状充填材(グラスフィラー)が含まれる樹脂で酸性エッチング処理を行った場合のスリット部6Aの外観図を示す。一般に、充填剤として、繊維状充填材であるグラスフィラー(ガラス繊維)が用いられることがある。グラスフィラーは、エッチング処理をすることにより、樹脂もしくは充填剤を溶かすことで充填剤及び充填剤の形状が表面に残りやすく、表面に凹凸を形成することができる。また、繊維状のグラスフィラーは、安価で樹脂の強度を上げることができる。しかしながら、グラスフィラーは、表面が白いため、反射率が大きくなる。さらに、エッチングによりグラスフィラー周囲の樹脂がなくなることにより、グラスフィラーの毛羽立ちが遮光板14及び側板15の端面でおきる。従って、図20に示すような主走査方向に毛羽立ちが広がることで、遮光板14及び側板15の板厚が厚くなったのと同等の効果が出てしまい、それによりフレアが発生する。そのため、比較例のスリット部6Aように、樹脂の充填剤としてグラスフィラーを適用することは難しい。樹脂の充填剤として粉粒状充填剤を用いた図19のスリット部6は、グラスフィラーを使用した場合に発生した毛羽立ちは起こっていないことがわかる。つまり、スリット部6は、粉粒状充填剤が含まれる樹脂からなることで、フレアを抑制することができる。また、安価に製造することができる。なお、スリット部6は、充填剤として粉粒状充填材を主として使用しているが、ごく少量のグラスフィラーを含有していてもよい。つまり、スリット部6は、粉粒状充填剤と繊維状充填材とが含まれる樹脂からなるものであってもよい。この場合、繊維状充填材よりも粉粒状充填剤の方が多く含有されている。また、粉粒状充填剤は30重量パーセントから50重量パーセントが含有されているのが好適である。また、樹脂は黒色であることが好ましい。
実施の形態1に係る画像読取装置100によれば、フレアの発生を抑制することができる。スリット部6が、主走査方向に沿って複数配列され、それぞれ隣り合うスリット部6がレンズ体41の光路一つ分を空けて配列される構成である。スリット部を複数とせず、1つのスリット部を主走査方向に渡って連続して設けた場合、遮光板14とレンズ体41とのピッチずれが公差の累積により発生し、端部にあるレンズ体41に対して、遮光板14がレンズ内側に入り込む場合がある。このような場合、遮光板14で迷光が多くなり発生するフレアが多くなる。しかし、スリット部を分割し、複数とすることで、それぞれのスリット部でピッチずれを吸収することができ、遮光板14がレンズ内側に入り込むことを抑制することができる。また、スリット(遮光部材)を分割することにより、成形時に金型を小型にすることができる。さらに、複数のスリット部をオーバーラップする構造をとりながら主走査方向に沿って配列する構成と比較して、主走査方向及び読取深度方向の線膨張によるスリット部同士のぶつかりを抑制することができる。これにより、ぶつかりによって遮光板14が傾くことを抑制することができ、遮光板14が傾くことによる迷光を抑制することができ、フレアの発生を抑制することができる。
さらに、それぞれの隣り合うスリット部6の間には、側板15が形成されないため、スリット部6と隣り合うスリット部6との間で副走査方向に発生したフレアは、フレーム1へ逃げていき、撮像の際のフレアを目立たなくすることができる。さらに、スリット部6の長さを短くすることができるため、射出成型やプレス成型など、製造プロセスを容易にすることができる。さらに、レンズアレイ4の受光部7側の面を表面研磨し、同一平面とすることで、受光部7側の面に接続するスリット部6の貫通穴16の中心軸を受光部7側の面に対して垂直に製造することで、容易にスリット部6の貫通穴16の中心軸とレンズ体41の光軸とのずれを抑制することができる。また、同一平面上にスリット部6を設けることで、凸レンズ上にスリット部6を設ける場合と比較して、遮光板14が傾くことを抑制することができる。
さらに、スリット部6は、アルカリ性溶液によるエッチング処理もしくは酸性溶液によるエッチング処理により表面に凹凸が形成されているため、遮光板14及び側板15からの反射を低減させることができ、フレアを抑制することができる。さらに、スリット部6は、粉粒状充填剤が含まれる樹脂から射出成型により形成されるため、安価に製造することができる。
実施の形態2.
以下、実施の形態2に係る画像読取装置200について、図面を用いて説明する。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示し、それらについての詳細な説明は省略する。図11は、実施の形態2に係る画像読取装置200のスリット部20の斜視図である。図12は、実施の形態2に係る画像読取装置200のスリット部20が設けられたレンズアレイ4及び保持部42の側面図である。実施の形態2に係る画像読取装置200は、画像読取装置100のスリット6の構成が異なるものである。その他の構成は、実施の形態1と実質的に同様である。以下、上述の実施の形態で説明した構成と同一又は対応する構成については同一符号を付し、それらの構成の説明を繰り返し行わない。
画像読取装置200は、レンズアレイ4と受光部7との間にスリット部20を備える。スリット部20は、主走査方向に沿って複数配列される。スリット部20は、側板15に、側板15から主走査方向と交差する方向に向けて突出した第2の凸部21が形成される。また、側板15に、レンズアレイ4側から受光部7側へ向かって凹状となる溝部22が形成される。第2の凸部21と溝部22とは、ここでは一体に形成される。第2の凸部21及び、溝部22を形成する位置と個数は任意である。スリット部20は、第2の凸部21のみが形成される構成、または溝部22のみが構成される構成としてもよい。スリット部20は、スリット部6に形成されていた第1の凸部17と凹部18とが形成されない。その他の構成は、スリット部6と実質的に同様である。第2の凸部21と溝部22とは、第1の凸部17と凹部18と同様に、鉄材などで作成した治具等を嵌め込むための構造である。スリット部20は、第2の凸部21と溝部22とが形成されることで、スリット部20が変形した場合に、治具を第2の凸部21または溝部22に嵌め込み、正規の形状に矯正することができる。
スリット部20は、スリット部20の受光部7側の面に第1の凸部17と凹部18とを設けないため、樹脂流動性が悪化することを低減できる。よって、遮光板14の成形性を損なうことない。そのため、スリット部20の変形を容易に抑制することができる。なお、スリット部20は、必要に応じて第1の凸部17と凹部18とが形成される構成としてもよい。
実施の形態2に係る画像読取装置200においても、フレアの発生を抑制することができる。スリット部20が、主走査方向に沿って複数配列され、それぞれ隣り合うスリット部20がレンズ体41の光路一つ分を空けて配列される構成である。スリット部を複数とせず、1つのスリット部を主走査方向に渡って連続して設けた場合、遮光板14とレンズ体41とのピッチずれが公差の累積により発生し、端部にあるレンズ体41に対して、遮光板14がレンズ内側に入り込む場合がある。このような場合、遮光板14で迷光が多くなり発生するフレアが多くなる。しかし、スリット部を分割し、複数とすることで、それぞれのスリット部でピッチずれを吸収することができ、遮光板14がレンズ内側に入り込むのを抑制することができる。また、スリット(遮光部材)を分割することにより、成形時に金型を小型にすることができる。さらに、複数のスリット部をオーバーラップする構造をとりながら主走査方向に沿って配列する構成と比較して、主走査方向及び読取深度方向の線膨張によるスリット部同士のぶつかりを抑制することができる。これにより、ぶつかりによって遮光板14が傾くことを抑制することができ、遮光板14が傾くことによる迷光を抑制することができ、フレアの発生を抑制することができる。
さらに、それぞれの隣り合うスリット部20の間には、側板15が形成されないため、スリット部20と隣り合うスリット部20との間で副走査方向に発生したフレアは、フレーム1へ逃げていき、撮像の際のフレアを目立たなくすることができる。さらに、スリット部20の長さを短くすることができるため、射出成型やプレス成型などの製造プロセスを容易にすることができる。さらに、レンズアレイ4の受光部7側の面を表面研磨し、同一平面とすることで、受光部7側の面に接続するスリット部20の貫通穴16の中心軸を受光部7側の面に対して垂直に製造することで、容易にスリット部20の貫通穴16の中心軸とレンズ体41の光軸とのずれを抑制することができる。また、同一平面上にスリット部20を設けることで、凸レンズ上にスリット部20を設ける場合と比較して、遮光板14が傾くことを抑制することができる。さらに、スリット部20の変形を容易に抑制することができる。
さらに、スリット部20は、アルカリ性溶液によるエッチング処理もしくは酸性溶液によるエッチング処理により表面に凹凸が形成されているため、遮光板14及び側板15からの反射を低減させることができ、フレアを抑制することができる。さらに、スリット部20は、粉粒状充填剤が含まれる樹脂から射出成型により形成されるため、安価に製造することができる。
実施の形態3.
以下、実施の形態3に係る画像読取装置300について、図面を用いて説明する。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示し、それらについての詳細な説明は省略する。図13は、実施の形態3に係る画像読取装置300のスリット部23の斜視図である。図14は、実施の形態3に係る画像読取装置300のスリット部23が設けられたレンズアレイ4及び保持部42の側面図である。実施の形態3に係る画像読取装置300は、画像読取装置100のスリット部6及び画像読取装置200のスリット部20の構成が異なるものである。その他の構成は、実施の形態1及び実施の形態2と実質的に同様である。以下、上述の実施の形態で説明した構成と同一又は対応する構成については同一符号を付し、それらの構成の説明を繰り返し行わない。
画像読取装置300は、レンズアレイ4と受光部7との間にスリット部23を備える。スリット部23は、主走査方向に沿って複数配列される。スリット部23は、スリット部6の以下の点が異なる。スリット部23は両側の側板15にそれぞれ形成され、端部がレンズアレイ4側の面から突出した第2の側板24を有する。第2の側板24は、スリット部23の主走査方向と交差する方向における両側に形成される。側板15と第2の側板24とは、接着剤またはテープ等で接着される。第2の側板24の端部が保持部42において前記受光部7側の面に接続される。この構成により、レンズ体41の受光部7側の面である光出射面45とスリット部23は直接接さない構成となる。よって、スリット部23のレンズアレイ4側の面に逃げ部19を形成する工程が不要となる。また、スリット部23の側板15と第2の側板24とは、主走査方向の長さが同じまたはそれ以上である。このようにした場合、レンズアレイ4とスリット部23との間において主走査方向に沿った面は、第2の側板24により塞がれている。よって、レンズ体41から出射した光がフレーム1側に入ることを防ぐことができる。図13では、第1の凸部17と凹部18とを有さない構成を示しているが、図15に示すように第1の凸部17と凹部18とを有する構成としてもよい。その他の構成は、スリット部6と実質的に同様である。
実施の形態3に係る画像読取装置300においても、フレアの発生を抑制することができる。スリット部23が、主走査方向に沿って複数配列され、それぞれ隣り合うスリット部23がレンズ体41の光路一つ分を空けて配列される構成である。スリット部を複数とせず、1つのスリット部を主走査方向に渡って連続して設けた場合、遮光板14とレンズ体41とのピッチずれが公差の累積により発生し、端部にあるレンズ体41に対して、遮光板14が内側に入り込む場合がある。このような場合、レンズ内側に入り込んだ遮光板14で迷光が多くなり発生するフレアが多くなる。しかし、スリット部を分割し、複数とすることで、それぞれのスリット部でピッチずれを吸収することができ、遮光板14がレンズ内側に入り込むことを抑制することができる。また、スリット(遮光部材)を分割することにより、成形時に金型を小型にすることができる。さらに、複数のスリット部をオーバーラップする構造をとりながら主走査方向に沿って配列する構成と比較して、主走査方向及び読取深度方向の線膨張によるスリット部同士のぶつかりを抑制することができる。これにより、ぶつかりによって遮光板14が傾くことを抑制することができ、遮光板14が傾くことによる迷光を抑制することができ、フレアの発生を抑制することができる。
さらに、それぞれの隣り合うスリット部23の間には、側板15が形成されないため、スリット部23と隣り合うスリット部23との間で副走査方向に発生したフレアは、フレーム1へ逃げていき、撮像の際のフレアを目立たなくすることができる。さらに、スリット部23の長さを短くすることができるため、射出成型やプレス成型などの製造プロセスを容易にすることができる。さらに、レンズアレイ4の受光部7側の面を表面研磨し、同一平面とすることで、受光部7側の面に接続するスリット部23の貫通穴16の中心軸を受光部7側の面に対して垂直に製造することで、容易にスリット部23の貫通穴16の中心軸とレンズ体41の光軸とのずれを抑制することができる。また、同一平面上にスリット部23を設けることで、凸レンズ上にスリット部23を設ける場合と比較して、遮光板14が傾くことを抑制することができる。
さらに、スリット部23は、アルカリ性溶液によるエッチング処理もしくは酸性溶液によるエッチング処理により表面に凹凸が形成されているため、遮光板14及び側板15からの反射を低減させることができ、フレアを抑制することができる。さらに、スリット部23は、粉粒状充填剤が含まれる樹脂から射出成型により形成されるため、安価に製造することができる。
実施の形態4.
以下、実施の形態4に係る画像読取装置400について、図面を用いて説明する。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示し、それらについての詳細な説明は省略する。図16は、実施の形態4に係る画像読取装置400のスリット部25の斜視図である。図17は、実施の形態4に係る画像読取装置400のスリット部25が設けられたレンズアレイ4及び保持部42の側面図である。実施の形態4に係る画像読取装置400は、画像読取装置100のスリット部6及び画像読取装置200のスリット部20並びに画像読取装置300のスリット部23の構成が異なるものである。その他の構成は他の実施の形態と実質的に同様である。以下、上述の実施の形態で説明した構成と同一又は対応する構成については同一符号を付し、それらの構成の説明を繰り返し行わない。
画像読取装置400は、レンズアレイ4と受光部7との間にスリット部25を備える。スリット部25は、主走査方向に沿って複数配列される。スリット部25は、スリット部6と以下の点が異なる。スリット部25は、少なくとも一部が、遮光板14のレンズアレイ4側の面の一部に形成された接続部26を有する。接続部26は、スリット部25を保持部42に接続する部材である。接続部26は、保持部42と同じ線膨張係数を持つ材質で形成される。接続部26は、保持部42と線膨張係数が同じであるため、温度が上昇した場合でも接続部26と保持部42との線膨張差を低減できる。また、スリット部25の側板15と接続部26とは、主走査方向の長さが同じまたはそれ以上である。このようにした場合、レンズアレイ4とスリット部25との間において副走査方向に垂直な面は、接続部26により塞がれている。よって、レンズ体41から出射した光がフレーム1側に入ることを防ぐことができ、接続部26と保持部42は面接着され、スリット部25とレンズアレイ4の光軸の傾きを最小限に抑えることができる。
接続部26は、第1の部材27と第2の部材28とを有する。第1の部材27は、保持部42において、受光部側の面である光出射面46と、主走査方向に延在する側面47とに接続される。詳しくは、第1の部材27は、2つの主走査方向に延在する板状の部材がL字形状となるように接続されている。2つの板状の部材は、別体を接着したもの、一体に形成したもののどちらでもよい。2つの板状の部材は、保持部42の光出射面46に接続される面を有する部材と、保持部42の側面47に接続される面を有する部材とである。
第2の部材28は、ここでは、第1の部材27と同様の形状である。第2の部材28は、保持部42において、受光部側の面である光出射面46と、第1の部材27が接続された側面47と反対側の側面48とに接続される。詳しくは、第2の部材28は、第1の部材27と同様に2つの主走査方向に延在する板状の部材がL字形状となるように接続されている。2つの板状の部材は、保持部42の光出射面46に接続される面を有する部材と、保持部42の側面48に接続される面を有する部材とである。
図16の(a)に接続部26が取り外されたスリット部25を示す。図16の(b)に、接続部26が形成されたスリット部25を示す。第1の部材27において、保持部42の受光部側の面である光出射面46に接続される面と反対側の面がスリット部25のレンズアレイ4側の面に形成される。第2の部材28において、保持部42の受光部側の面である光出射面46と反対側の面がスリット部25のレンズアレイ4側の面に形成される。この構成により、レンズ体41の受光部7側の面である光出射面45とスリット部25は直接接さない構成となる。スリット部25のレンズアレイ4側の面に逃げ部19を形成する工程が不要となる。
図16では、第1の凸部17と凹部18とが形成されていない構成を示しているが、第1の凸部17と凹部18とが形成される構成としてもよい。同様に、第2の凸部21と溝部22が形成される構成としてもよい。また、ここでは接続部26は、L字形状の第1の部材27と第2の部材28と有する構成であるが、その他の形状であってもよい。図18は、実施の形態4に係る画像読取装置400の接続部26の他の構成を示す図である。図18のように接続部26は、板状の第1の部材27と、第2の部材28とを有する構成でもよい。板状の第1の部材27は、保持部42の光出射面46と保持部42の側面47との何れかに接続されている。板状の第2の部材28は、保持部42の光出射面46と保持部42の側面48との何れかに接続されている。
スリット部25は、接続部26を有することで、例えばスリット部25の副走査方向の長さが、レンズアレイ4と保持部42との副走査方向の長さよりも長い場合であっても、スリット部25と保持部42とを接続することができる。また、副走査方向の長さが異なるレンズアレイ4に対しても同じサイズのスリット部25を容易に接続することができる。さらに、貫通穴16の副走査方向の長さがレンズ体41の副走査方向の長さよりも長い場合でも、遮光板14のレンズアレイ4側の面の一部に接続部26を形成することで、貫通穴16の入り口を絞ることができる。さらに、接続部26は、第1の部材27と第2の部材28とがL字形状であるため、接続部26を保持部42に接続する際に容易に位置決めできる。
実施の形態4に係る画像読取装置400においても、フレアの発生を抑制することができる。スリット部25が、主走査方向に沿って複数配列され、それぞれ隣り合うスリット部25がレンズ体41の光路一つ分を空けて配列される構成である。スリット部を複数とせず、1つのスリット部を主走査方向に渡って連続して設けた場合、遮光板14とレンズ体41とのピッチずれが公差の累積により発生し、端部にあるレンズ体41に対して、遮光板14が内側に入り込む場合がある。このような場合、レンズ内側に入り込んだ遮光板14で迷光が多くなり発生するフレアが多くなる。しかし、スリット部を分割し、複数とすることで、それぞれのスリット部でピッチずれを吸収することができ、遮光板14がレンズ内側に入り込むことを抑制することができる。また、スリット(遮光部材)を分割することにより、成形時に金型を小型にすることができる。さらに、複数のスリット部をオーバーラップする構造をとりながら主走査方向に沿って配列する構成と比較して、主走査方向及び読取深度方向の線膨張によるスリット部同士のぶつかりを抑制することができる。これにより、ぶつかりによって遮光板14が傾くことを抑制することができ、遮光板14が傾くことによる迷光を抑制することができ、フレアの発生を抑制することができる。
さらに、それぞれの隣り合うスリット部25の間には、側板15が形成されないため、スリット部25と隣り合うスリット部25との間で副走査方向に発生したフレアは、フレーム1へ逃げていき、撮像の際のフレアを目立たなくすることができる。さらに、スリット部25の長さを短くすることができるため、射出成型やプレス成型などの製造プロセスを容易にすることができる。さらに、レンズアレイ4の受光部7側の面を表面研磨し、同一平面とすることで、受光部7側の面に接続するスリット部23の貫通穴16の中心軸を受光部7側の面に対して垂直に製造することで、容易にスリット部25の貫通穴16の中心軸とレンズ体41の光軸とのずれを抑制することができる。また、同一平面上にスリット部25を設けることで、凸レンズ上にスリット部25を設ける場合と比較して、遮光板14が傾くことを抑制することができる。
さらに、スリット部25は、アルカリ性溶液によるエッチング処理もしくは酸性溶液によるエッチング処理により表面に凹凸が形成されているため、遮光板14及び側板15からの反射を低減させることができ、フレアを抑制することができる。さらに、スリット部25は、粉粒状充填剤が含まれる樹脂から射出成型により形成されるため、安価に製造することができる。
実施の形態5.
以下、実施の形態5に係る画像読取装置500について、図面を用いて説明する。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示し、それらについての詳細な説明は省略する。図21は、画像読取装置500のレンズアレイ4及び保持部42の斜視図である。図21では、スリット部として実施の形態2のスリット部20が設けられた場合を示しているが、スリット部6、スリット部23、またはスリット部25が設けられていてもよい。図22は、レンズアレイ4の有効読み取り範囲49を示す図である。図23は、画像読取装置500の斜視図である。実施の形態5に係る画像読取装置500は、画像読取装置100または画像読取装置200または画像読取装置300または画像読取装置400において、レンズアレイ4に遮光部材60がさらに形成されたものである。その他の構成は他の実施の形態と実質的に同様である。以下、上述の実施の形態で説明した構成と同一又は対応する構成については同一符号を付し、それらの構成の説明を繰り返し行わない。
スリット部20は、図21のようにレンズアレイ4上に主走査方向に沿って配列される。レンズアレイ4には、図22に示すように有効読み取り範囲49がある。有効読み取り範囲49は、レンズアレイ4の主走査方向の長さであるレンズアレイ4全長50よりも短い。図24は、図23の画像読取装置500の点線部分Sの断面の側面図である。図25は、図24の点線部分Aの拡大図である。図26は、画像読取装置500のスリット部20が設けられたレンズアレイ4の読取深度方向においてセンサ部7側から見た平面図である。図25と図26とに示す通り、スリット部20は、レンズアレイ4の有効読み取り範囲49にスリット部20による視野角制限を考慮した長さ分を配列する。つまり、主走査方向に複数配列されたスリット部20において、一方の端部となる遮光板14(起点遮光板56)と他方の端部となる遮光板14(終点遮光板57)との間の長さは、レンズアレイ4の主走査方向の長さであるレンズアレイ全長50よりも短い。
図25と図26とに示す通り、レンズアレイ4の受光部側の面において、複数のスリット部20の一方の端部となる遮光板14(起点遮光板56)とレンズアレイ4の一端(レンズアレイ端面58)との間の面に遮光部材60が形成される。また、レンズアレイ4の受光部側の面において、複数のスリット部20の他方の端部となる遮光板14(終点遮光板57)とレンズアレイ4の他端(レンズアレイ端面59)との間の面に遮光部材60が形成される。遮光部材60は、ここでは、黒色のテープまたはポッティング材である。
レンズアレイ4に遮光部材60を設けない場合、図25に示す通り、遮光板14が設けられていないレンズ体53の出射光52の視野角は制限されず、また遮光板14による光の吸収効果もない。そのため、遮光板14が設けられているレンズ体54の出射光55と比較して、強い光がセンサ部7へ出射する。特に、センサ部7において、スリット部20の起点遮光板56及び終点遮光板57と対向する部分であるスリット設置端部55に強い光が回り込み、フレアとなって観測される。画像読取装置500は、遮光部材60を備えることにより、レンズアレイ4において、遮光板14が設けられていない部分のレンズ体53から、出射する光が受光部7に入射することを抑制することができる。そのため、フレアを抑制することができる。また、レンズアレイ4の両端部まで、スリット部20を配列する場合と比較して、スリット部20の部材費用、および加工費用を低減することが可能である。
実施の形態5に係る画像読取装置500においても、フレアの発生を抑制することができる。スリット部20が、主走査方向に沿って複数配列され、それぞれ隣り合うスリット部20がレンズ体41の光路一つ分を空けて配列される構成である。スリット部を複数とせず、1つのスリット部を主走査方向に渡って連続して設けた場合、遮光板14とレンズ体41とのピッチずれが公差の累積により発生し、端部にあるレンズ体41に対して、遮光板14が内側に入り込む場合がある。このような場合、レンズ内側に入り込んだ遮光板14で迷光が多くなり発生するフレアが多くなる。しかし、スリット部を分割し、複数とすることで、それぞれのスリット部でピッチずれを吸収することができ、遮光板14がレンズ内側に入り込むことを抑制することができる。また、スリット(遮光部材)を分割することにより、成形時に金型を小型にすることができる。さらに、複数のスリット部をオーバーラップする構造をとりながら主走査方向に沿って配列する構成と比較して、主走査方向及び読取深度方向の線膨張によるスリット部同士のぶつかりを抑制することができる。これにより、ぶつかりによって遮光板14が傾くことを抑制することができ、遮光板14が傾くことによる迷光を抑制することができ、フレアの発生を抑制することができる。
さらに、それぞれの隣り合うスリット部20の間には、側板15が形成されないため、スリット部20と隣り合うスリット部20との間で副走査方向に発生したフレアは、フレーム1へ逃げていき、撮像の際のフレアを目立たなくすることができる。さらに、スリット部20の長さを短くすることができるため、射出成型やプレス成型などの製造プロセスを容易にすることができる。さらに、レンズアレイ4の受光部7側の面を表面研磨し、同一平面とすることで、受光部7側の面に接続するスリット部23の貫通穴16の中心軸を受光部7側の面に対して垂直に製造することで、容易にスリット部25の貫通穴16の中心軸とレンズ体41の光軸とのずれを抑制することができる。また、同一平面上にスリット部25を設けることで、凸レンズ上にスリット部20を設ける場合と比較して、遮光板14が傾くことを抑制することができる。
さらに、スリット部20は、アルカリ性溶液によるエッチング処理もしくは酸性溶液によるエッチング処理により表面に凹凸が形成されているため、遮光板14及び側板15からの反射を低減させることができ、フレアを抑制することができる。さらに、スリット部20は、粉粒状充填剤が含まれる樹脂から射出成型により形成されるため、安価に製造することができる。
さらに、遮光部材60を備えることにより、レンズアレイ4において、遮光板14が設けられていない部分のレンズ体53から、出射する光が受光部7に入射することを抑制することができる。そのため、フレアの発生を抑制することができる。
実施の形態6.
以下、実施の形態6に係る画像読取装置600について、図面を用いて説明する。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示し、それらについての詳細な説明は省略する。図29は、実施の形態6に係る画像読取装置600のスリット部61の斜視図である。図30は、実施の形態6に係る画像読取装置600のスリット部61が設けられたレンズアレイ4及び保持部42の斜視図である。図31は、実施の形態6に係る画像読取装置600のフレーム側板を外した状態の主走査方向からみた側面図である。実施の形態6に係る画像読取装置600は、画像読取装置100のスリット部6及び画像読取装置200のスリット部20及び画像読取装置300のスリット部23並びに画像読取装置400のスリット部25の構成が異なるものである。また、画像読取装置100から画像読取装置500の固定プレート5の構成が異なるものである。その他の構成は他の実施の形態と実質的に同様である。以下、上述の実施の形態で説明した構成と同一又は対応する構成については同一符号を付し、それらの構成の説明を繰り返し行わない。
画像読取装置600は、固定プレート5を有さないが、固定プレート64を有する。固定プレート64の受光部7側の面は、平面に加工されている面である当て面65である。当て面65の読取深度方向の位置は、ここでは、レンズアレイ4の受光部7側の面である光出射面45及び保持部42の受光部7側の面である光出射面46よりも、受光部7から離れた位置である。当て面65の読取深度方向の位置は、レンズアレイ4の受光部7側の面である光出射面45及び保持部42の受光部7側の面である光出射面46と同じであってもよい。固定プレート64は、保持部42において、主走査方向に延在する側面のうち、一方の側に設けられる。また、固定プレート64は、フレーム1にねじ等の締結部品で固定されている。
画像読取装置600は、レンズアレイ4と受光部7との間にスリット部61を有する。スリット部61は、主走査方向に沿って複数配列される。スリット部61は、遮光板63と側板73とを有する。詳しくは、スリット部61は、3つ以上の隣り合う遮光板63が側板73により接続されたものである。スリット部61は、図29に示す通り、両側の側板73のレンズアレイ4側の面において、主走査方向と交差する方向からみた両端の部分にそれぞれ形成され、レンズアレイ4側に突出した基準突起62を有する。つまり、基準突起62は、一方の側の側板73のレンズアレイ4側の面において、主走査方向と交差する方向からみた両端の部分に各1つ設けられる。また、基準突起62は、他方の側の側板70のレンズアレイ4側の面において、主走査方向と交差する方向からみた両端に各1つ設けられる。よって、基準突起62は、スリット部61のレンズアレイ4側の面に合計4つ形成される。ここでは、遮光板63と側板73と基準突起62とは一体に形成している。両側の側板73の間の長さは、レンズアレイ4の主走査方向と交差する方向の長さよりも長い。また、基準突起62の読取深度方向の位置は、基準突起62の一部がレンズアレイ4の受光部7側の面である光出射面45及び保持部42の受光部7側の面である光出射面46よりも、受光部4から離れた位置となるように設けられている。これらにより、主走査方向と交差する方向において、レンズアレイ4の両側に基準突起62が形成される構成となる。つまり、主走査方向と交差する方向において、一方の側の側板73に形成された基準突起62と、他方の側の側板73に形成された基準突起62との間にレンズアレイ4が配置される。スリット部61は、スリット部6と同様に、第1の凸部17及び凹部18をさらに備える構成としてもよい。また、スリット部61は、スリット部20と同様に、第2の凸部21及び溝部22をさらに備える構成としてもよい。図39では、スリット部61が、第2の凸部21を備える構成を示している。スリット部61のその他の構成は、他の実施の形態と実質的に同様である。
一方の側板73に形成された基準突起62において、受光部7と反対側の面は、固定プレート64の受光部7側の面(当て面65)と接するように設置される。つまり、スリット部61は、固定プレート64の受光部7の側の面である当て面65に接するように設置される。これにより、スリット部61がレンズアレイ4の受光部7側の面である光出射面45と接していない場合であっても、固定プレート64に接続されているレンズアレイ4に対してのスリット部61の読取深度方向の位置を合わせることができる。このとき、スリット部61と固定プレート64との接している部分は、接着剤などで固定されていない。これは、固定プレート64が主走査方向に連続した部材であるため、それぞれのスリット部61を固定プレート64に固定した場合、接着剤の熱膨張によりレンズアレイ4のロッドレンズ41とスリット部61の遮光板63との相対位置関係が変わることを抑制するためである。レンズアレイ4のロッドレンズ41と遮光板63との相対位置関係が変わった場合、上述の通り光学特性が悪化する。
なお、実施の形態6では、レンズアレイ4の読取対象物側の面である光入射面43と保持部42の読取対象物側の面である光入射面44とは、同一平面上でなくてもよい。同様に、レンズアレイ4の受光部7側の面である光出射面45と保持部42の受光部7側の面である光出射面46とは、同一平面上ででなくてもよい。また、スリット部61は、保持部42において、受光部7側の面である光出射面46に取り付けられていない。後述するように、スリット部61は、保持部42において、主走査方向に延在する側面に取り付けられている。
レンズアレイ4と、スリット部61とは接着剤で固定される。ここでは、第1の接着剤72と第2の接着剤74とを併用している。第1の接着剤72はここでは紫外線を受光することで硬化するアクリル系の接着剤である。第2の接着剤74は、第1の接着剤72よりも硬化する時間が長いものである。また、第2の接着剤74は第1の接着剤72よりも、弾性率が高いものである。第2の接着剤74は、ここでは湿気により硬化するシリコン接着剤である。好ましくは、第2の接着剤74は、レンズアレイ4の保持部42と熱膨張率が同等程度のものである。図32は、スリット部61とレンズアレイ4の固定プレート64が設けられていない側の拡大図(接着剤の塗布例を示した図)である。図33は、スリット部61とレンズアレイ4の固定プレート64が設けられている側の拡大図(接着剤の塗布例を示した図)である。図34は、スリット部61と固定プレート64とが設けられたレンズアレイ4の側面図(接着剤の塗布例を示した図)である。少なくとも1つの基準突起62は、保持部42において主走査方向に延在する側面と、第1の接着剤72により固定される。ここでは、固定プレート64に接していない基準突起62である、他方の側板73に形成された基準突起62が、保持部42において主走査方向に延在する側面と、第1の接着剤72により固定されている。詳しくは、他方の側板73に形成された基準突起62において、保持部42の側面と対向する面が、保持部42の側面と第1の接着剤72により固定される。また、側板73のレンズアレイ4側の面において基準突起62が設けられていない部分は、保持部42において主走査方向に延在する側面と、第2の接着剤74により固定される。
第1の接着剤72と第2の接着剤74とは、ここでは以下の通り塗布する。まず、図32に示すように、固定プレート64に接していない基準突起62(他方の側板73に形成された基準突起62)に、紫外線により硬化する第1の接着剤72を塗布し、紫外線を照射して第1の接着剤72を硬化させる。その後、固定プレート64が設けられていない側のレンズアレイ4の保持部42において、基準突起62が第1の接着剤72で接着されていない部分に、湿気により硬化するシリコン接着剤である第2の接着剤74を塗布して硬化させる。その後、図33に示すように、固定プレート64が設けられている側のレンズアレイ4の保持部42において、側板73のレンズアレイ4側の面において基準突起62が設けられていない部分と対向する面に、湿気により硬化するシリコン接着剤である第2の接着剤74を塗布して硬化させる。なお、固定プレート64が設けられている側のレンズアレイ4の保持部42においても、基準突起62と保持部42とを第1の接着剤72で固定してもよい。なお、図34に示すように、固定プレート64が設けられている側のスリット部61の基準突起62が接している固定プレート64の当て面65には、接着剤は塗布しない。
一般的に、第1の接着剤72である紫外線硬化タイプのアクリル系接着剤は熱膨張を起こす。その熱膨張率は、レンズアレイ4の保持部42の熱膨張率よりも大きい。そのため、第1の接着剤72を主走査方向に長く使用すると、周囲温度が変化した際、レンズアレイ4とスリット部61との剥がれが起こることがある。しかし、スリット部61の主走査方向全長にわたり第1の接着剤72を塗布しない構成であるため、線膨張差によるレンズアレイ4のロッドレンズ41とスリット部61の遮光板63の相対位置関係のずれ及びレンズアレイ4とスリット部61との剥がれが起こることを低減することが可能となる。また、第1の接着剤72を使用することで、短い時間で、レンズアレイ4とスリット部61とを接着することが可能となる。さらに、熱膨張率の低い第2の接着剤74を併用することで、接着強度を強化することが可能となる。また、第1の接着剤72でレンズアレイ4とスリット部61とを接着し固定した後、第2の接着剤74でレンズアレイ4とスリット部61とを接着するため、硬化に時間がかかる第2の接着剤74であっても容易に接着することが可能である。なお、窒素雰囲気下にする必要があり、さらに空気中では薄肉のもの以外の硬化は難しいが、第1の接着剤72として紫外線硬化タイプのアクリル接着剤の代わりに、紫外線硬化タイプのシリコン接着剤を用いることも可能である。
図35は、固定プレート64の主走査方向と交差する方向からみた側面図である。固定プレート64は、主走査方向に延在する側面に、円状の穴と、楕円状の穴とが形成されている。円状の穴は、固定プレート64をフレーム1に固定するための複数のタップ66と嵌め合い用穴67である。また、楕円状の穴は、嵌め合い用長穴68である。タップ66は、ねじ等の締結部品が挿入されることで、固定プレート64とフレーム64とを固定するためのものである。嵌め合い用穴67と嵌め合い用長穴68とは、それぞれ1つ以上形成されていればよい。嵌め合い用穴67と嵌め合い用長穴68とは、レンズアレイ4に固定プレート64を取り付ける際と、レンズアレイ4にスリット部61を取り付ける際とに、位置決め及び固定プレート64の反りを抑制するために使用するものである。具体的には、取り付けの際に使用する治具に設けられた突起が、固定プレート64の嵌め合い用穴67に挿入されることで主走査方向及び読取深度方向の位置を合わせることができる。また、治具に設けられた突起が、嵌め合い用長穴68に挿入されることで、固定プレート64の読取深度方向の位置を合わせることができる。さらに、固定プレート64の反りを抑制することができる。なお、固定プレート64をフレーム1の固定にねじを使用しない場合など、タップ66が不要な場合は、嵌め合い用66と嵌め合い用長穴68のみが固定プレート64に形成された構成としてもよい。
スリット部61の基準突起62は、固定プレート64の当て面65に接している。そのため、当て面65に接しているスリット部61が傾かないように、レンズアレイ4と固定プレート64とを平行に貼り付けする必要がある。レンズアレイ4と固定プレート64とが平行に貼りついていない場合、レンズアレイ4とスリット部61とが傾いて固定されることとなる。また、固定プレート64が反りを持っている場合も、画像読取装置600を組み立てる際に使用する治具に固定プレート64を据え付けた際のレンズアレイ4に対する傾きの原因になる。ここでは、固定プレート64は、円状の穴と楕円状の穴とを有しているため、レンズアレイ4の保持部42とレンズ固定プレート64の取り付け時の傾き及びレンズ固定プレート64とスリット部61の取り付け時の傾きを抑制できる。そのため、スリット部61の遮光板63をレンズアレイ4のロッドレンズ41の光軸方向に対して、容易に平行に組立することが可能となり、フレアを抑制することができる。
実施の形態6に係る画像読取装置600においても、フレアの発生を抑制することができる。スリット部61が、主走査方向に沿って複数配列され、それぞれ隣り合うスリット部61がレンズ体41の光路一つ分を空けて配列される構成である。スリット部を複数とせず、1つのスリット部を主走査方向に渡って連続して設けた場合、遮光板63とレンズ体41とのピッチずれが公差の累積により発生し、端部にあるレンズ体41に対して、遮光板63がレンズ内側に入り込む場合がある。このような場合、遮光板63で迷光が多くなり発生するフレアが多くなる。しかし、スリット部を分割し、複数とすることで、それぞれのスリット部でピッチずれを吸収することができ、遮光板63がレンズ内側に入り込むのを抑制することができる。また、スリット(遮光部材)を分割することにより、成形時に金型を小型にすることができる。さらに、複数のスリット部をオーバーラップする構造をとりながら主走査方向に沿って配列する構成と比較して、主走査方向及び読取深度方向の線膨張によるスリット部同士のぶつかりを抑制することができる。これにより、ぶつかりによって遮光板63が傾くことを抑制することができ、遮光板63が傾くことによる迷光を抑制することができ、フレアの発生を抑制することができる。
さらに、それぞれの隣り合うスリット部61の間には、側板73が形成されないため、スリット部61と隣り合うスリット部61との間で副走査方向に発生したフレアは、フレーム1へ逃げていき、撮像の際のフレアを目立たなくすることができる。さらに、スリット部61の長さを短くすることができるため、射出成型やプレス成型などの製造プロセスを容易にすることができる。さらに、スリット部61は、保持部42において、受光部7側の面である光出射面46に取り付けられていないため、レンズアレイ4の受光部7側の面を表面研磨し、同一平面としなくてもよい。また、凸レンズ上にスリット部61を設ける場合と比較して、遮光板73が傾くことを抑制することができる。さらに、スリット部61の変形を容易に抑制することができる。
さらに、スリット部61は、アルカリ性溶液によるエッチング処理もしくは酸性溶液によるエッチング処理により表面に凹凸が形成されているため、遮光板63及び側板73からの反射を低減させることができ、フレアを抑制することができる。さらに、スリット部61は、粉粒状充填剤が含まれる樹脂から射出成型により形成されるため、安価に製造することができる。
さらに、スリット部61がレンズアレイ4の受光部7側の面である光出射面45と接していない場合であっても、固定プレート64に接続されているレンズアレイ4に対してのスリット部61の読取深度方向の位置を合わせることができる。さらに、スリット部61の主走査方向全長にわたり第1の接着剤72を塗布しない構成であるため、線膨張差によるレンズアレイ4のロッドレンズ41とスリット部61の遮光板63の相対位置関係のずれ及びレンズアレイ4とスリット部61との剥がれが起こることを低減することが可能となる。また、短い時間で、レンズアレイ4とスリット部61とを接着することが可能となる。さらに、熱膨張率の低い第2の接着剤74を併用することで、接着強度を強化することが可能となる。さらに、固定プレート64は、円状の穴と、楕円状の穴とが形成されている。これにより、スリット部61の遮光板63をレンズアレイ4のロッドレンズ41の光軸方向に対して、容易に平行に取り付けることが可能となり、フレアを抑制することができる。
実施の形態7.
以下、実施の形態7に係る画像読取装置700について、図面を用いて説明する。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示し、それらについての詳細な説明は省略する。図36は、実施の形態7に係る画像読取装置700のスリット部61が設けられたレンズアレイ4及び保持部42の斜視図である。図37は、実施の形態7に係る画像読取装置700のフレーム側板を外した状態の主走査方向からみた側面図である。実施の形態7に係る画像読取装置700は、画像読取装置600にさらに基準プレート76を備えるものである。その他の構成は他の実施の形態と実質的に同様である。以下、上述の実施の形態で説明した構成と同一又は対応する構成については同一符号を付し、それらの構成の説明を繰り返し行わない。
画像読取装置700は、保持部42において主走査方向に延在する側面のうち、固定プレート64が設けられた側と反対側の側面に基準プレート76が設けられる。基準プレート76の受光部7側の面は、平面に加工されている面である当て面77である。当て面77の読取深度方向の位置は、ここでは、レンズアレイ4の受光部7側の面である光出射面45及び保持部42の受光部7側の面である光出射面46よりも、受光部7から離れた位置である。当て面65の読取深度方向の位置は、レンズアレイ4の受光部7側の面である光出射面45及び保持部42の受光部7側の面である光出射面46と同じであってもよい。固定プレート64に接していない基準突起62である、他方の側板73に形成された基準突起62において、受光部7と反対側の面は、基準プレート76の受光部7側の面(当て面77)と接するように設置される。つまり、スリット部61は、基準プレート76の受光部7の側の面である当て面77に接するように設置される。このとき、固定プレート64と同様に、スリット部61と基準プレート76との接している部分は、接着剤などで固定されていない。これにより、スリット部61がレンズアレイ4の受光部7側の面である光出射面45と接していない場合であっても、基準プレート76に接続されているレンズアレイ4に対してのスリット部61の読取深度方向の位置を合わせることができる。また、実施の形態6の固定プレート64のみを設ける場合と比較して、スリット部61をレンズアレイ4に固定する際により安定的に仮置きすることができる。
図38は、スリット部61とレンズアレイ4の基準プレート76が設けられている側の拡大図(接着剤の塗布例を示した図)である。固定プレート64と同様に、基準プレート76は、スリット部61の基準突起62と直接接着しない。そのため、スリット部61とレンズアレイ4の固定プレート64が設けられている側と同様に、レンズアレイ4の保持部42とスリット部61の基準突起62及び側板73とを接着する。ここでは、固定プレート64に接していない基準突起62(基準プレート76に接している基準突起62)である、他方の側板73に形成された基準突起62は、保持部42において主走査方向に延在する側面と、第2の接着剤74により固定される。詳しくは、他方の側板73に形成された基準突起62の保持部42の側面と対向する面が、保持部42の側面と第2の接着剤74により固定される。また、側板73のレンズアレイ4側の面において基準突起62が設けられていない部分は、保持部42において主走査方向に延在する側面と、第2の接着剤74により固定される。このとき、硬化の時間を短くするために、上記の第2の接着剤74で固定した箇所において、第1の接着剤72を少なくとも一か所に使用することが好ましい。なお、実施の形態6と同様に、固定プレート64に接していない基準突起62である、他方の側板73に形成された基準突起62(基準プレート76に接している基準突起62)は、保持部42において主走査方向に延在する側面と、第1の接着剤72により固定される構成としてもよい。詳しくは、他方の側板73に形成された基準突起62の保持部42の側面と対向する面が、保持部42の側面と第1の接着剤72により固定される構成としてもよい。このとき、側板73のレンズアレイ4側の面において基準突起62が設けられていない部分は、保持部42において主走査方向に延在する側面と、第2の接着剤74により固定される。
実施の形態7に係る画像読取装置700においても、フレアの発生を抑制することができる。スリット部61が、主走査方向に沿って複数配列され、それぞれ隣り合うスリット部61がレンズ体41の光路一つ分を空けて配列される構成である。スリット部を複数とせず、1つのスリット部を主走査方向に渡って連続して設けた場合、遮光板63とレンズ体41とのピッチずれが公差の累積により発生し、端部にあるレンズ体41に対して、遮光板63がレンズ内側に入り込む場合がある。このような場合、遮光板63で迷光が多くなり発生するフレアが多くなる。しかし、スリット部を分割し、複数とすることで、それぞれのスリット部でピッチずれを吸収することができ、遮光板63がレンズ内側に入り込むのを抑制することができる。また、スリット(遮光部材)を分割することにより、成形時に金型を小型にすることができる。さらに、複数のスリット部をオーバーラップする構造をとりながら主走査方向に沿って配列する構成と比較して、主走査方向及び読取深度方向の線膨張によるスリット部同士のぶつかりを抑制することができる。これにより、ぶつかりによって遮光板63が傾くことを抑制することができ、遮光板63が傾くことによる迷光を抑制することができ、フレアの発生を抑制することができる。
さらに、それぞれの隣り合うスリット部61の間には、側板73が形成されないため、スリット部61と隣り合うスリット部61との間で副走査方向に発生したフレアは、フレーム1へ逃げていき、撮像の際のフレアを目立たなくすることができる。さらに、スリット部61の長さを短くすることができるため、射出成型やプレス成型などの製造プロセスを容易にすることができる。さらに、スリット部61は、保持部42において、受光部7側の面である光出射面46に取り付けられていないため、レンズアレイ4の受光部7側の面を表面研磨し、同一平面としなくてもよい。また、凸レンズ上にスリット部61を設ける場合と比較して、遮光板73が傾くことを抑制することができる。さらに、スリット部61の変形を容易に抑制することができる。
さらに、スリット部61は、アルカリ性溶液によるエッチング処理もしくは酸性溶液によるエッチング処理により表面に凹凸が形成されているため、遮光板63及び側板73からの反射を低減させることができ、フレアを抑制することができる。さらに、スリット部61は、粉粒状充填剤が含まれる樹脂から射出成型により形成されるため、安価に製造することができる。
さらに、スリット部61がレンズアレイ4の受光部7側の面である光出射面45と接していない場合であっても、固定プレート64に接続されているレンズアレイ4に対してのスリット部61の読取深度方向の位置を合わせることができる。さらに、スリット部61の主走査方向全長にわたり第1の接着剤72を塗布しない構成であるため、線膨張差によるレンズアレイ4のロッドレンズ41とスリット部61の遮光板63の相対位置関係のずれ及びレンズアレイ4とスリット部61との剥がれが起こることを低減することが可能となる。また、短い時間で、レンズアレイ4とスリット部61とを接着することが可能となる。さらに、熱膨張率の低い第2の接着剤74を併用することで、接着強度を強化することが可能となる。さらに、固定プレート64は、円状の穴と、楕円状の穴とが形成されている。これにより、スリット部61の遮光板63をレンズアレイ4のロッドレンズ41の光軸方向に対して、容易に平行に取り付けることが可能となり、フレアを抑制することができる。さらに、基準プレート76を備えるため、固定プレート64のみを備える場合と比較して、スリット部61をレンズアレイ4に固定する際により安定的に仮置きすることができる。