JP6991103B2 - バイナリー発電システム、およびバイナリー発電システムの制御方法 - Google Patents
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Description
このようなバイナリー発電システムでは、熱媒体の過熱度の変動を検知して、熱媒体を循環させる熱媒体ポンプの回転数を制御するフィードバック制御が行われることがあった。
また、前述したフィードバック制御では、熱媒体の過熱度が変動してから熱媒体ポンプの回転数を制御するので、蒸発器への入熱量の変動に対して応答性を確保しにくいという問題があった。
すなわち、熱媒体の過熱度を入熱量から予測して、制御部が熱媒体ポンプにフィードフォワード制御を行うことで、入熱量の変動した熱流体が蒸発器内に流入する前に、熱媒体ポンプを制御することが可能になる。
これにより、入熱量の変動に対して熱媒体の流量の調整を適切なタイミングで行うことができ、入熱量の変動に追従して熱媒体の過熱度が大きく変動するのを抑えることができる。
したがって、熱流体の入熱量の変動に対して、応答性を確保して熱媒体ポンプを制御することが可能になり、タービンを安定操業することができる。
このため、例えば蒸発器の経年劣化等により熱交換効率が低下した際に、蒸発器の状態に合わせて、最適な流量の熱媒体を熱媒体ポンプから蒸発器に送り出すことができる。
このため、例えば熱流体配管の内面に付着物が堆積することで熱流体配管の配水能力が低下した場合に、熱流体配管の状態に合わせて、最適な時定数を算出することができる。
このため、より一層効果的に、熱媒体ポンプの制御に高い応答性を具備させることができる。
この場合には、制御部により予測された入熱量に基づいて凝縮器を制御することで、熱媒体ポンプに適切な量の熱媒体を供給することができる。
以下、図1から図4を参照し、本発明の一実施形態に係るバイナリー発電システム1、およびバイナリー発電システム1の制御方法について説明する。まず、バイナリー発電システム1の構成について説明する。
本実施形態に係るバイナリー発電システム1は、熱流体の流路と、熱媒体の循環経路と、の2つの系統の流路間で熱交換を行い、発生した熱媒体の蒸気によりタービン30を回して発電を行う発電システムである。
本実施形態では、熱流体として地下熱水を用いている。熱流体発生部10には、地下熱水を送出する後述する熱水送出ポンプ11(ダウンホールポンプ)11が設けられている。
熱流体配管40は、熱水送出ポンプ11と蒸発器20とを接続する熱水送出ポンプ‐蒸発器間配管41と、蒸発器20で蒸発しなかった熱流体を還元井60に還元する蒸発器‐還元井間配管42と、を備えている。
熱水送出ポンプ‐蒸発器間配管41のうち、蒸発器20の上流近くには、蒸発器入側‐熱流体温度計51Bがさらに設けられている。蒸発器‐還元井間配管42には、蒸発器出側‐熱流体温度計51Cが設けられている。
熱媒体配管70は、蒸発器20とタービン30とを接続する蒸発器‐タービン間配管71と、タービン30と凝縮器80とを接続するタービン‐凝縮器間配管72と、凝縮器80と熱媒体ポンプ90とを接続する凝縮器‐熱媒体ポンプ間配管73と、熱媒体ポンプ90と蒸発器20とを接続する熱媒体ポンプ‐蒸発器間配管74と、を備えている。
タービン30の下流側にはタービン30を通過した熱媒体を凝縮する凝縮器80が設けられている。凝縮器80は、蒸気となった熱媒体を冷却して熱媒体を液体に凝縮する。
熱媒体ポンプ‐蒸発器間配管74のうち、熱媒体ポンプ90の下流側には、熱媒体流量計53B、蒸発器入側‐熱媒体温度計51Fが設けられている。
制御部100は、熱流体配管40内を流下する熱流体の温度、圧力、および流量を、熱流体発生部温度計51A,熱流体圧力計52A、および熱流体流量計53Aそれぞれを用いて把握し、熱流体からの入熱量を算出する。
また、制御部100は入熱量に基づいて凝縮器80を制御している。凝縮器80が凝縮する熱媒体の量を制御することで、適切な量の熱媒体を熱媒体ポンプ90に供給する。
すなわち、制御部100は熱媒体ポンプ90に対してフィードフォワード制御とフィードバック制御との2つの制御を行っている。なお、これら2つの制御のうち、フィードバック制御については行わなくてもよい。
図2(a)に示すように、仮に制御部100がフィードバック制御のみを行っている場合には、入熱量が変動して低下した際に、この変動に追従して熱媒体の過熱度が変動してはじめて、熱媒体ポンプ90の回転数を制御することとなる。
これにより、熱媒体の過熱度が、入熱量の低下に追従するのを抑え、熱媒体の過熱度の変動を抑制することができる。
このため、図1に示すように、制御部100は、入熱量と熱媒体ポンプ90の回転数との関係を示す制御関数α~γを、蒸発器20の熱交換効率の程度に応じて、予め複数記憶している。すなわち、熱交換効率に複数の閾値を設定し、対応する制御関数α~γを割り当てている。
また、アラーム機能を設けることで、熱交換効率が一定以下に低下した際に、蒸発器20の内部を洗浄するように促すアラームを表示してもよい。
このため、制御部100は、熱流体の流量と時定数との関係を示す補正関数A~Cを、熱流体が流下する熱流体配管40の内側に付着する付着物の量の程度に応じて、予め複数記憶している。
また、アラーム機能を設けることで、付着物の量が一定以上となったときに、熱流体配管40の内面の洗浄を促すアラームを表示してもよい。
図示の例では、熱水送出ポンプ11は、地中に配置されたダウンホールポンプであり、地下を流れる熱水を地上に汲み上げる。
なお、このような態様に限られず、ポンプ負荷検出部12は、例えば熱水送出ポンプ11の消費電力等を検知して、熱水送出ポンプ11の負荷を把握してもよい。
一方、熱流体の密度が増加した場合には、熱水送出ポンプ11の負荷が増加し、熱水送出ポンプ11に供給される電流値が増加する。
また、制御部100は、予測された入熱量に基づいて、凝縮器80を制御する。このように、凝縮器80を制御することで、熱媒体ポンプ90に供給される熱媒体の流量を確保する。
すなわち、熱媒体の過熱度を入熱量から予測して、制御部100が熱媒体ポンプ90にフィードフォワード制御を行うことで、入熱量の変動した熱流体が蒸発器20内に流入する前に、熱媒体ポンプ90を制御することが可能になる。
したがって、熱流体の入熱量の変動に対して、応答性を確保して熱媒体ポンプ90を制御することが可能になり、タービン30を安定操業することができる。
このため、例えば蒸発器20の経年劣化等により熱交換効率が低下した際に、蒸発器20の状態に合わせて、最適な流量の熱媒体を熱媒体ポンプ90から蒸発器20に送り出すことができる。
このため、例えば熱流体として地下熱水のように比較的汚れた性状の流体を用いた場合に、例えば熱流体配管40の内面に付着物が堆積することで熱流体配管40の配水能力が低下した場合に、熱流体配管40の状態に合わせて、最適な時定数を算出することができる。
また、新たに計測機器を追加することなく、時定数の比較により付着物の体積の程度が判断できるので、簡素な設備構成とすることができる。
また、制御部100により予測された入熱量に基づいて凝縮器80を制御することで、熱媒体ポンプ90に適切な量の熱媒体を供給することができる。
次に、本発明に係るバイナリー発電システム1の制御方法の効果を検証した解析結果について説明する。
この解析では、実施例として、本発明に係るバイナリー発電システム1の制御方法について入熱量が変動した際の熱媒体の変動を解析した。
また、比較例として、熱媒体の過熱度を検知して熱媒体ポンプ90の回転数をフィードバック制御するバイナリー発電システム1の制御方法について、同様に解析した。
ここで、それぞれの解析において、入熱量の変動はステップ関数として入力している。それらの結果を図3および図4に示す。
これはすなわち、入熱量の低下した熱流体が蒸発器20に到達する前にフィードフォワード制御により熱媒体ポンプ90の回転数を制御することができるので、熱媒体の流量を減少した影響により、一時的に熱媒体の過熱度が増加したものと認められる。
また、上記実施形態では、制御部100が、入熱量に基づいて、凝縮器80を制御する構成を示したが、このような態様に限られない。制御部100は凝縮器80を制御しなくてもよい。
10 熱流体発生部
11 熱水送出ポンプ
12 ポンプ負荷検出部
20 蒸発器
30 タービン
40 熱流体配管
80 凝縮器
90 熱媒体ポンプ
100 制御部
Claims (8)
- 熱流体発生部から供給される熱流体を熱源として熱媒体を蒸発させる蒸発器と、
前記蒸発器で蒸発した前記熱媒体が供給されて発電するタービンと、
前記タービンを通過した前記熱媒体を凝縮する凝縮器と、
前記熱媒体を前記凝縮器から前記蒸発器に供給する熱媒体ポンプと、
前記蒸発器内に流入する前記熱流体の入熱量に基づいて、前記熱媒体ポンプを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記入熱量と前記熱媒体ポンプの回転数との関係を示す制御関数を、前記蒸発器の熱交換効率の程度に応じて、予め複数記憶しており、
前記制御部は、前記蒸発器の熱交換効率の変化に応じて、複数の前記制御関数から前記制御関数を選択することを特徴とするバイナリー発電システム。 - 熱流体発生部から供給される熱流体を熱源として熱媒体を蒸発させる蒸発器と、
前記蒸発器で蒸発した前記熱媒体が供給されて発電するタービンと、
前記タービンを通過した前記熱媒体を凝縮する凝縮器と、
前記熱媒体を前記凝縮器から前記蒸発器に供給する熱媒体ポンプと、
前記蒸発器内に流入する前記熱流体の入熱量に基づいて、前記熱媒体ポンプを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記熱流体発生部から前記蒸発器に向かう前記熱流体の流量と、前記熱媒体ポンプから前記蒸発器に向かう前記熱媒体の流量と、に基づいて、前記熱媒体ポンプを制御するタイミングを補正するための時定数を算出することを特徴とするバイナリー発電システム。 - 前記制御部は、前記熱流体の流量と前記時定数との関係を示す補正関数を、前記熱流体が流下する熱流体配管の内側に付着する付着物の量の程度に応じて、予め複数記憶しており、
前記制御部は、前記熱流体配管の内側に付着する付着物の量に応じて、複数の前記補正関数から前記補正関数を選択することを特徴とする請求項2に記載のバイナリー発電システム。 - 熱流体発生部から供給される熱流体を熱源として熱媒体を蒸発させる蒸発器と、
前記蒸発器で蒸発した前記熱媒体が供給されて発電するタービンと、
前記タービンを通過した前記熱媒体を凝縮する凝縮器と、
前記熱媒体を前記凝縮器から前記蒸発器に供給する熱媒体ポンプと、
前記蒸発器内に流入する前記熱流体の入熱量に基づいて、前記熱媒体ポンプを制御する制御部と、
前記熱流体発生部に設けられ、前記熱流体を送出する熱水送出ポンプと、
前記熱水送出ポンプに設けられ、前記熱水送出ポンプの負荷を検出するポンプ負荷検出部と、を備え、
前記制御部は、前記ポンプ負荷検出部で検出された前記熱水送出ポンプの負荷に基づいて、前記入熱量を予測することを特徴とするバイナリー発電システム。 - 前記制御部は、前記入熱量に基づいて、前記凝縮器を制御することを特徴とする請求項4に記載のバイナリー発電システム。
- 熱流体発生部から供給される熱流体を熱源として熱媒体を蒸発させる蒸発器と、
前記蒸発器で蒸発した前記熱媒体が供給されて発電するタービンと、
前記タービンを通過した前記熱媒体を凝縮する凝縮器と、
前記熱媒体を前記凝縮器から前記蒸発器に供給する熱媒体ポンプと、を備えるバイナリー発電システムの制御方法であって、
前記蒸発器の熱交換効率の程度に応じて予め複数設定された制御関数であって、前記蒸発器内に流入する前記熱流体の入熱量と前記熱媒体ポンプの回転数との関係を示す複数の制御関数から、前記蒸発器の熱交換効率の変化に応じて前記制御関数を選択し、
前記入熱量に基づいて、前記熱媒体ポンプを、前記制御関数を用いて制御することを特徴とするバイナリー発電システムの制御方法。 - 熱流体発生部から供給される熱流体を熱源として熱媒体を蒸発させる蒸発器と、
前記蒸発器で蒸発した前記熱媒体が供給されて発電するタービンと、
前記タービンを通過した前記熱媒体を凝縮する凝縮器と、
前記熱媒体を前記凝縮器から前記蒸発器に供給する熱媒体ポンプと、を備えるバイナリー発電システムの制御方法であって、
前記熱流体発生部から前記蒸発器に向かう前記熱流体の流量と、前記熱媒体ポンプから前記蒸発器に向かう前記熱媒体の流量と、に基づいて、前記熱媒体ポンプを制御するタイミングを補正するための時定数を算出し、
前記蒸発器内に流入する前記熱流体の入熱量に基づいて、前記熱媒体ポンプを、前記時定数を用いて制御することを特徴とするバイナリー発電システムの制御方法。 - 熱流体発生部から供給される熱流体を熱源として熱媒体を蒸発させる蒸発器と、
前記蒸発器で蒸発した前記熱媒体が供給されて発電するタービンと、
前記タービンを通過した前記熱媒体を凝縮する凝縮器と、
前記熱媒体を前記凝縮器から前記蒸発器に供給する熱媒体ポンプと、
前記熱流体発生部に設けられ、前記熱流体を送出する熱水送出ポンプと、
前記熱水送出ポンプに設けられ、前記熱水送出ポンプの負荷を検出するポンプ負荷検出部と、を備えるバイナリー発電システムの制御方法であって、
前記ポンプ負荷検出部で検出された前記熱水送出ポンプの負荷に基づいて、前記蒸発器内に流入する前記熱流体の入熱量を予測し、前記入熱量に基づいて、前記熱媒体ポンプを制御することを特徴とするバイナリー発電システムの制御方法。
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