JP6989367B2 - 電力制御システム - Google Patents
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Description
図1は、本発明に係る実施形態としての電力制御システムを備えた車両1の構成概要を示した図である。なお、図1では、車両1の構成のうち主に本発明に係る要部の構成のみを抽出して示している。
本実施形態の車両1は、走行動力源としてのエンジン2と、トルクコンバータ4、前後進切替機構5、及び無段変速機6を有する動力伝達装置3と、動力伝達装置3における作動油の油圧制御を行う油圧制御部7と、ギヤ8及びギヤ9と、デファレンシャルギヤ10と、駆動輪11a及び駆動輪11bと、エンジン制御ユニット12と、伝達装置制御ユニット13と、バス14とを備えている。
本実施形態では、油圧制御部7が作動油の吐出源として備えるポンプとして、エンジン2の動力に基づき駆動される機械式ポンプ(以下「機械ポンプ」と表記)71と、モータを動力源として駆動される電動ポンプ72とを備えており、車両1には、電動ポンプ72についての制御を行うポンプ制御部15が備えられている。
また、車両1には、例えば鉛バッテリとされたメインバッテリ16と、メインバッテリ16とは別途に設けられたサブバッテリ17とが備えられている。
動力伝達装置3においては、エンジン2のクランクシャフト2aと無段変速機6のインプットシャフトPsとがトルクコンバータ4、前後進切替機構5等を介して接続され、無段変速機構6のアウトプットシャフトSsがギヤ8及びギヤ9、デファレンシャルギヤ10等を介して駆動輪11a、11bに接続されている。
ここで、以下、上記のような前進クラッチCL及び後退ブレーキBRの係合/解除の制御を行う制御系をまとめて「CB制御系5b」と表記する。
油圧制御部7は、動力伝達装置3のケース(外筐)内に設けられた各種の油路や、オイルリザーバ、オイルポンプ、複数の電磁弁などを含んで構成され、伝達装置制御ユニット13からの信号に応じて、動力伝達装置3内の各機構部に供給される作動油の流量や油圧を制御する。また、油圧制御部7は、動力伝達装置3内の所定の箇所の潤滑や冷却を行う潤滑・冷却油供給装置としても機能する。なお、油圧制御部7の構成については改めて説明する。
エンジン制御ユニット12は伝達装置制御ユニット13と通信を行っており、必要に応じてエンジン2の運転状態に関するデータを伝達装置制御ユニット13に出力する。また、必要に応じ、伝達装置制御ユニット13からの各種信号に基づいてエンジン2の運転制御を行う。
具体的に、本例のエンジン制御ユニット12は、アイドリングストップ機能の作動許可条件として定められた所定条件(例えば、エンジン2が充分に暖機されている、全てのドアが閉まっている、運転席シートベルトが着用されている等の条件)が成立しているか否かを判定する。そして、該作動許可条件が成立している下で、アイドリングストップ機能の作動条件として定められた所定条件、すなわち車速条件を含む所定条件が成立したことに応じて、アイドリングストップ機能を作動する。すなわち、エンジン2を停止させる。
本例の場合、車速条件としては、例えば車速が10km/h等の所定閾値以下であることを条件としている。車速以外の作動条件としては、少なくともブレーキペダルが踏まれていることを条件としている(他にも例えばステアリングが操作されていない、急坂でない等の条件を付加することもできる)。
また、本実施形態の伝達装置制御ユニット13は、アイドリングストップ機能によりエンジン2が停止中の状態において、必要に応じて電動ポンプ72を駆動させるための制御を行う。なお、この点については後述する。
メインバッテリ16は、例えば車両1のエンジンルーム内やトランクルーム床下等、車両1における車室外の空間に設置されている。
図2は、油圧制御部7の概略構成、及び実施形態としての電力制御システムの構成を説明するための図である。
先ず、油圧制御部7の概略構成について説明する。
油圧制御部7には、上述した機械ポンプ71及び電動ポンプ72と共に、ライン圧調整バルブ73、副調圧バルブ74、各種の油路Y(Y1〜Y8)、及びタービン75が備えられている。
機械ポンプ71は、例えばトロコイドポンプ等の内接歯車式ポンプやベーンポンプ等とされ、エンジン2の動力によりロータが回転されることで作動油の吐出を行う。
ライン圧調整バルブ73は機械ポンプ71で発生された油圧を調圧する。ライン圧調整バルブ73によりライン圧に調整された油圧は、油路Y3を介してロックアップクラッチ4dの駆動機構やCB制御系5b、無段変速機6の各油圧室(前述したプライマリ油圧室やセカンダリ油圧室)等、動力伝達装置3における必要各部に供給される。
図示は省略するが、油路Y3の先には、油路Y3から供給されるライン圧をさらに調圧するための各種のバルブ等の油圧調整部が設けられ、図1に示した伝達装置制御ユニット13は該油圧調整部の制御を行うことで、ロックアップクラッチ4dの締結/解除や前後進切替クラッチCL、前後進切替ブレーキBRの動作制御、及び無段変速機6の変速制御等を実現する。
ここで、電動ポンプ72は、ロータ72mrを有するモータ72mと、ロータ72mrの回転が伝達されて回転するロータ72rを有するポンプ部72pとを備えている。ポンプ部72pは、例えばトロコイドポンプ等の内接歯車式ポンプやベーンポンプとされ、モータ72mによりロータ72rが回転されることで作動油を吐出する。モータ72mは、ポンプ制御部15に設けられたモータ駆動部15aからの駆動信号により駆動される。
なお、本例の電動ポンプ72に対しては、モータ72mの回転(モータ72mが有するロータmrの回転)をポンプ部72pのロータ72rに伝達するための機構としてワンウェイクラッチ72cが設けられているが、これについては後述する。
タービン75は、余剰流が流れることに応じて、ロータ72mrを駆動時とは逆回転させるように構成されている。なお、ここでの「逆回転」とは、電動ポンプ72駆動時におけるモータ72m(ロータ72mr)の回転方向とは逆方向の回転を意味している。
このようにロータ72mrを逆回転させることで、モータ72mにおいては電磁誘導により電力が生じる。
モータ駆動部15aは、モータ72mについてのドライバ回路を有し、伝達装置制御ユニット13からの指示に基づきモータ72mの駆動信号を出力する。本例のモータ駆動部15aは、サブバッテリ17の出力電圧を電源電圧として入力し上記の駆動信号を生成する。つまりこの場合、モータ72mの駆動信号の電源電圧はサブバッテリ17から供給される。
従って、充電/駆動切替スイッチSW1は、伝達装置制御ユニット13からの指示に基づき、モータ駆動部15aからの駆動信号をモータ72mに出力する第一状態と、モータ72mで発電された電力を充電部15bに出力する第二状態との切り替えを行うものである。
一方、エンジン2が作動中である場合には、伝達装置制御ユニット13は充電/駆動切替スイッチSW1を第二状態に制御する。エンジン2が作動中であれば機械ポンプ71が駆動されて帰還油路Y8に余剰流が生じ得る。余剰流が生じることでタービン75が回転し、タービン75の回転に伴いロータ72mrが逆回転され、モータ72mにおいて発電が行われる。この発電された電力は、第二状態に制御された充電/駆動切替スイッチSW1を介して充電部15bに供給され、充電部15bが該電力に基づいてサブバッテリ17を充電する。
そこで本実施形態では、モータ72mにおけるロータ72mrとポンプ部72pにおけるロータ72rとの間の動力伝達を、ワンウェイクラッチ72cを介して行うものとしている。ワンウェイクラッチ72cは、モータ72mの駆動時におけるロータ72mrの回転(つまり正回転)のみをロータ72rに伝達し、逆回転時におけるロータ72mrの回転はロータ72rに伝達しないように構成されている。
これにより、上記のような吸入油路Y6側への作動油の逆流の防止が図られる。
これにより、上記のような吸入油路Y6側への作動油の逆流の防止効果を高めることができる。
図3は、第一変形例としての電力制御システムを備えた車両1Aの構成概要を示した図である。なお、以下の説明において既に説明済みとなった部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
図示のように車両1Aは、車両1と比較して、伝達装置制御ユニット13に代えて伝達装置制御ユニット13Aが、ポンプ制御部15に代えてポンプ制御部15Aが設けられた点が異なる。この場合、ポンプ制御部15Aは、サブバッテリ17と共にメインバッテリ16が接続されている。
なお、伝達装置制御ユニット13Aは、伝達装置制御ユニット13と比較して、後述する駆動元バッテリ、充電先バッテリを切り替えるためのスイッチ制御を行う点が異なる。
図示のようにポンプ制御部15Aは、ポンプ制御部15と同様にモータ駆動部15a、充電部15b、及び充電/駆動切替スイッチSW1を備えるが、駆動元切替スイッチSWdと充電先切替スイッチSWcとが追加されたものとなる。
駆動元切替スイッチSWd、充電先切替スイッチSWcは、それぞれ端子t1、t2、t3を有する3端子スイッチとされ、端子t1に対し端子t2を接続する状態と、端子t1に対し端子t3を接続する状態とを択一的に切り替えることが可能とされている。
この際、駆動元バッテリの切り替え、充電先バッテリの切り替えについては、例えばメインバッテリ16とサブバッテリ17の充電率(バッテリ残量)に応じた切り替えとすること等が考えられる。すなわち、駆動元バッテリの切り替えについては、基本的にサブバッテリ17を選択するものとしておき、サブバッテリ17の充電率が所定値以下に低下した場合にメインバッテリ16を選択する等が考えられる。
また、充電先バッテリの切り替えについては、基本的にサブバッテリ17を選択するものとしておき、サブバッテリ17の充電率が所定値以上となった場合にメインバッテリ16を選択する等が考えられる。
図示のように車両1Bにおいては、伝達装置制御ユニット13の電源電圧がサブバッテリ17から供給される。すなわち、この場合の伝達装置制御ユニット13は、余剰流を利用して発電された電力に基づいて駆動されるものである。
図5の例では、伝達装置制御ユニット13の電源電圧をサブバッテリ17のみから供給するものとし、メインバッテリ16からは供給しないものとしている。
また、これまでの説明では、メインバッテリ16とサブバッテリ17とを備えた構成において、サブバッテリ17、メインバッテリ16の何れか一方のみを充電する構成を例示したが、サブバッテリ17とメインバッテリ16の双方を同時充電可能な構成を採ることもできる。
上記のように実施形態の電力制御システムは、作動油の吐出源としてエンジン動力に基づき駆動される機械ポンプ(同71)と電動ポンプ(同72)とが設けられると共に、作動油の油圧回路内に生じた作動油の余剰流を機械ポンプの吸入路に帰還させる余剰流帰還路(帰還油路Y8)が形成された動力伝達装置(同3)を有する車両における電力制御システムであって、余剰流帰還路により帰還される余剰流によって電動ポンプが有するモータ(同72m)のロータ(同72mr)を回転させ電磁誘導により電力を発生させる発電部(タービン76、モータ72m)と、発電部により得られた電力によってバッテリ(サブバッテリ17、メインバッテリ16)を充電する充電部(同15b)と、を備えている。
従って、オルタネータを用いたメインバッテリの充電頻度を低下させることができ、燃費向上を図ることができる。
従って、電動ポンプの駆動に係る電力収支の改善を図ることができ、オルタネータを用いたメインバッテリの充電頻度を低下させて燃費向上を図ることができる。
従って、アイドリングストップ中にバッテリ残量が一定量以下に低下しオルタネータによるメインバッテリの充電を開始すべき状態となる可能性、すなわちエンジンが再始動される可能性をより低くすることができ、アイドリングストップ時間の延長化を図ることができる。
従って、作動油が電動ポンプの吸入側に逆流してしまうことの防止を図ることができ、該逆流に起因した動力伝達装置の誤動作防止を図ることができる。
従って、動力伝達装置の誤動作防止効果を高めることができる。
メインバッテリには各種の車載電子機器が接続されるため、メインバッテリの出力ラインにはノイズが混入し易く、メインバッテリの電力により電動ポンプを駆動する場合にはノイズの影響により電動ポンプ(モータ)の動作が不安定になる虞がある。
上記構成によれば、電動ポンプの電源供給ラインにノイズが混入する可能性を低減することができ、従って、電動ポンプの動作安定性向上を図ることができる。
従って、伝達装置制御部を動作させるにあたってメインバッテリからの電力持ち出し量を抑えることができるため、オルタネータを用いたメインバッテリの充電頻度を低下させることができ、燃費向上を図ることができる。
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上記した具体例に限定されず多様な構成を採り得るものである。
例えば、上記では、本発明がアイドリングストップ機能を有する車両に適用される例を挙げたが、アイドリングストップ機能を有さない車両にも本発明は好適に適用できる。
Claims (5)
- 作動油の吐出源としてエンジン動力に基づき駆動される機械ポンプと電動ポンプとが設けられると共に、前記作動油の油圧回路内に生じた前記作動油の余剰流を前記機械ポンプの吸入路に帰還させる余剰流帰還路が形成された動力伝達装置を有する車両における電力制御システムであって、
前記余剰流帰還路により帰還される前記余剰流によって前記電動ポンプが有するモータのロータを回転させ電磁誘導により電力を発生させる発電部と、
前記発電部により得られた電力によってバッテリを充電する充電部と、を備え、
バッテリとして少なくともメインバッテリとサブバッテリを備え、
前記充電部は、前記発電部により得られた電力によって前記サブバッテリを充電し、
前記サブバッテリが前記電動ポンプに対してのみ電力供給を行う
電力制御システム。 - 前記車両は前記エンジンのアイドリングストップ機能を有し、
前記電動ポンプは、
前記アイドリングストップ機能により前記エンジンが停止された状態において前記バッテリにより駆動される
請求項1に記載の電力制御システム。 - 前記電動ポンプは、前記モータによってポンプ部のロータが回転されることで前記作動油を吐出する構成とされ、
前記モータの駆動時の回転力を当該ロータに伝達させ、前記モータの発電時の回転力を当該ロータに伝達させない伝達制御機構を備えた
請求項1又は請求項2に記載の電力制御システム。 - 前記動力伝達装置は、
前記機械ポンプが前記作動油を吐出する機械ポンプ側油路と、前記電動ポンプが前記作動油を吐出し前記機械ポンプ側油路に合流される電動ポンプ側油路とを有し、
前記電動ポンプ側油路に挿入され前記機械ポンプ側油路から前記電動ポンプ側への前記作動油の流入を阻止する逆止弁を備えた
請求項3に記載の電力制御システム。 - 前記電動ポンプを前記サブバッテリの電力のみにより駆動可能に構成された
請求項1から請求項4の何れかに記載の電力制御システム。
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