(第1の実施形態)
以下、車両用操作装置の第1の実施形態を図1〜図9に従って説明する。
図1には、本実施形態の車両用操作装置20を備える車両システムが図示されている。この車両システムは、車両用操作装置20で演算された要求値を基に車両の駆動装置12を制御する駆動制御装置11と、車両用操作装置20で演算された要求値を基に車両の制動装置16を制御する制動制御装置15とを備えている。
図1に示すように、車両用操作装置20は、ペダル装置30と、統合制御装置21とを備えている。ペダル装置30は、車両の運転者の足100によって操作される操作部材の一例である操作ペダル31を備えている。操作ペダル31は、回転軸32を中心として両方向に回転可能な、いわゆるシーソー型のペダルである。具体的には、操作ペダル31は、運転者の足100の指先側で押されると、図中反時計回り方向である第1の方向C1に回転する。操作ペダル31は、運転者の足100のかかと側で押されると、図中時計回り方向である第2の方向C2に回転する。すなわち、第2の方向C2は、第1の方向C1の反対方向である。
また、ペダル装置30には、運転者によって操作ペダル31に入力される操作力に対する反力として、操作ペダル31に付勢力RFを付与する付勢力付与機構33が設けられている。この付勢力付与機構33は、付勢モータ331と、コイルスプリングとを有している。そして、付勢力付与機構33は、付勢モータ331の駆動及びコイルスプリングの伸縮度合いに応じた付勢力RFを操作ペダル31に付与する。
また、ペダル装置30には、付勢モータ331の駆動を制御する操作用制御装置34と、操作ペダル31の操作位置Xを検出する位置センサ35とが設けられている。位置センサ35は、検出した操作ペダル31の操作位置X(具体的には、操作ペダルの回転角)を統合制御装置21に送信する。操作位置Xは、操作ペダル31が最も第2の方向C2側の回転位置するときに「0」となり、当該回転位置から第1の方向C1に操作ペダル31が回転につれて大きくなる。操作用制御装置34は、統合制御装置21から受信した付勢力要求値RFRを基に付勢モータ331の駆動を制御する。すなわち、操作用制御装置34は、付勢力要求値RFRを基に、操作位置Xを中立位置X0に接近させる付勢力RFが操作ペダル31に付与されるように付勢モータ331を駆動させる。本実施形態では、中立位置X0とは、操作位置Xが「0」となる位置よりも第1の方向C1側であり、且つ、操作位置Xが最大となる位置よりも第2の方向C2側に設定されている位置である。この点で、本実施形態では、付勢力付与機構33及び操作用制御装置34が、「付勢力付与部」の一例の構成要素としてそれぞれ機能する。
統合制御装置21は、車両の車体速度VSaを検出する車速検出系211、車両のピッチング角θeを検出するピッチ角検出系212、及び、車両の重量Weを検出する車重検出系213と通信可能となっている。
そして、統合制御装置21は、受信した各種の情報、すなわち操作ペダル31の操作位置X、車両の車体速度VSa、ピッチング角θe及び重量Weを基に各種の要求値を演算する。
図2及び図3には、統合制御装置21の各種の処理の実施によって実現される、車両の特性、及び、ペダル装置30の操作特性が図示されている。中立位置X0とは、車両の車体速度VSaを保持するための操作ペダル31の位置(回転角)のことである。また、本実施形態では、操作位置Xが中立位置X0よりも第1の方向C1側に位置するときには操作位置Xと中立位置X0との偏差である操作偏差ΔXが正となる一方、操作位置Xが中立位置X0よりも第2の方向C2側に位置するときには操作偏差ΔXが負となるものとする。なお、図2及び図3において、「X0」、「XA1」、「XA2」、「XD1」及び「XD2」を始点とする矢印が示す横軸の座標は、絶対位置(操作位置X)における「X0」、「XA1」、「XA2」、「XD1」及び「XD2」に対応する中立位置X0からの相対位置である。
図2(a)に示すように、中立位置X0を含む所定の保持領域HR内に操作位置Xが位置するときには、操作偏差ΔXの絶対値は小さいため、車両の前後方向の加速度である加速度GXが「0」と等しくなる。すなわち、保持領域HRは、車両の車体速度VSaを保持するための操作位置Xの領域である。また、保持領域HRよりも第1の方向C1側には、車両を加速させるための操作位置Xの領域である加速領域HAが設定されている。保持領域HRよりも第2の方向C2側には、車両を減速させるための操作位置Xの領域である減速領域HDが設定されている。そして、操作位置Xが加速領域HA内に位置しているときには、操作偏差ΔXが正の値であるとともに、操作偏差ΔXが比較的大きくなったため、加速度GXが正の値となる。しかも、操作偏差ΔXが大きいほど、加速度GXが大きくなる。反対に、操作位置Xが減速領域HD内に位置しているときには、操作偏差ΔXが負の値であるとともに、操作偏差ΔXの絶対値が比較的大きくなったため、加速度GXが負の値となる。すなわち、車両が減速する。しかも、操作偏差ΔXの絶対値が大きいほど、加速度GXが小さくなる、すなわち車両の減速度が大きくなる。
なお、保持領域HRは、その中心に中立位置X0が位置するように設定されている。本実施形態では、保持領域HRと加速領域HAとの境界となる位置のことを「加速側境界位置XA1」といい、保持領域HRと減速領域HDとの境界となる位置のことを「減速側境界位置XD1」という。
図2(b)に示すように、操作位置Xが加速領域HAに位置しており、操作偏差ΔXが比較的大きいときには、操作位置Xを中立位置X0に近づけるように、すなわち操作偏差ΔXを「0」に近づけるように操作ペダル31が付勢される。本実施形態では、操作ペダル31に対して第1の方向C1側に作用する力が正となり、操作ペダル31に対して第2の方向C2側に作用する力が負となるものとする。そのため、操作位置Xが加速領域HAに位置しており、操作偏差ΔXが比較的大きい場合、操作ペダル31に付与される付勢力RFは負の値となる。しかも、操作偏差ΔXが大きいほど付勢力RFの絶対値が大きくなる。
また、操作位置Xが減速領域HDに位置しており、操作偏差ΔXの絶対値が比較的大きいときには、操作位置Xを中立位置X0に近づけるように、すなわち操作偏差ΔXを「0」に近づけるように操作ペダル31が付勢される。この場合に操作ペダル31に付与される付勢力RFの向きは、操作位置Xが加速領域HAに位置する場合における付勢力RFの向きと反対である。すなわち、付勢力RFは正の値となる。そして、操作位置Xが減速領域HDに位置する場合、操作偏差ΔXの絶対値が大きいほど付勢力RFの絶対値が大きくなる。
図3に示すように、保持領域HRは、中立位置X0を含む付勢力非付与領域HR1と、付勢力非付与領域HR1と加速領域HAとの間に位置する加速側付勢力付与領域HR2Aと、付勢力非付与領域HR1と減速領域HDとの間に位置する減速側付勢力付与領域HR2Dとに区分けすることができる。具体的には、中立位置X0と加速側境界位置XA1との間に設定されている加速側規定位置XA2と、中立位置X0と減速側境界位置XD1との間に設定されている減速側規定位置XD2との間が付勢力非付与領域HR1である。加速側境界位置XA1と加速側規定位置XA2との間が、加速側付勢力付与領域HR2Aであり、減速側境界位置XD1と減速側規定位置XD2との間が、減速側付勢力付与領域HR2Dである。
図3において、実線矢印は操作位置Xが中立位置X0から離れる場合、すなわち操作偏差ΔXの絶対値が大きくなる場合であり、破線矢印は操作位置Xが中立位置X0に向かって変位する場合、すなわち操作偏差ΔXの絶対値が小さくなる場合である。操作位置Xが付勢力非付与領域HR1に位置する状況下では、操作偏差ΔXがほぼ「0」であると見なせるため、操作位置Xが中立位置X0から離れる場合であっても、操作位置Xが中立位置X0に接近する場合であっても、付勢力RFが「0」と等しい。
一方、操作位置Xが加速側付勢力付与領域HR2Aに位置する場合、操作偏差ΔXが正の値であるため、付勢力RFが負の値となる。このとき、操作偏差ΔXの絶対値が大きいほど、付勢力RFの絶対値が大きくなる。また、操作位置Xが加速側付勢力付与領域HR2Aに位置する場合、操作偏差ΔXの単位変化量に対する付勢力RFの変化量の比は、操作位置Xが加速領域HAに位置する場合の当該比よりも大きい。さらに、操作位置Xが加速側付勢力付与領域HR2A内で変位する場合、操作偏差ΔXが大きくなっている最中における、操作偏差ΔXの単位変化量に対する付勢力RFの変化量の比は、操作偏差ΔXが小さくなっている最中における当該比よりも大きい。
そして、加速側付勢力付与領域HR2A内で操作偏差ΔXが大きくなるように操作位置Xが変位しているときには、操作偏差ΔXが大きくなるにつれて付勢力RFの絶対値が大きくなる。さらに操作偏差ΔXが大きくなり、操作位置Xが加速側境界位置XA1を越えて操作位置Xが加速領域HAに位置するようになると、付勢力RFの絶対値は、操作位置Xが加速側境界位置XA1を越える直前よりも小さくなる。これにより、車両に定速走行をさせている状態、又は、車両に停止させている状態から、車両を加速させる状態に変わることを、操作ペダル31を通じて車両の運転者に伝えることができる。
また、操作位置Xが減速側付勢力付与領域HR2Dに位置する場合、操作偏差ΔXが負の値であるため、付勢力RFが正の値となる。このとき、操作偏差ΔXの絶対値が大きいほど、付勢力RFの絶対値が大きくなる。また、操作位置Xが減速側付勢力付与領域HR2Dに位置する場合、操作偏差ΔXの単位変化量に対する付勢力RFの変化量の比は、操作位置Xが減速領域HDに位置する場合の当該比よりも大きい。さらに、操作位置Xが減速側付勢力付与領域HR2D内で変位する場合、操作偏差ΔXの絶対値が大きくなっている最中における、操作偏差ΔXの単位変化量に対する付勢力RFの変化量の比は、操作偏差ΔXの絶対値が小さくなっている最中における当該比よりも大きい。
そして、減速側付勢力付与領域HR2D内で操作偏差ΔXの絶対値が大きくなるように操作位置Xが変位しているときには、操作偏差ΔXの絶対値が大きくなるにつれて付勢力RFの絶対値が大きくなる。さらに操作偏差ΔXの絶対値が大きくなり、操作位置Xが減速側境界位置XD1を越えて操作位置Xが減速領域HDに位置するようになると、付勢力RFの絶対値は、操作位置Xが減速側境界位置XD1を越える直前よりも小さくなる。これにより、車両に定速走行をさせている状態から、車両を減速させる状態に変わることを、操作ペダル31を通じて車両の運転者に伝えることができる。
次に、図4を参照し、統合制御装置21の機能構成について説明する。
図4に示すように、統合制御装置21は、図2及び図3に示すように付勢力RF及び車両の加減速度を制御するための各種の機能部を有している。統合制御装置21は、予め設定された中立位置X0を保管している中立位置保持部M21と、操作位置Xから中立位置X0を減じた値である操作偏差ΔXを導出する減算部M22とを有している。
また、統合制御装置21は、減算部M22によって演算された操作偏差ΔXを基に、車両の前後方向の加減速度の指示値である加減速度指示値GXiを演算する加減速度指示値演算部M31を有している。加減速度指示値演算部M31には、図4に示すマップが記憶されている。そのため、加減速度指示値演算部M31は、当該マップを参照し、操作偏差ΔXに応じた値を加減速度指示値GXiとして導出する。すなわち、操作偏差ΔXが「0」以上の値である場合、加減速度指示値演算部M31は、操作偏差ΔXの絶対値が中立位置X0と加速側境界位置XA1との偏差の絶対値以下であるときには加減速度指示値GXiを「0」と等しくする。一方、加減速度指示値演算部M31は、操作偏差ΔXの絶対値が中立位置X0と加速側境界位置XA1との偏差の絶対値よりも大きいときには加減速度指示値GXiを加速側の値(すなわち、正の値)にする。具体的には、加減速度指示値演算部M31は、操作偏差ΔXの絶対値が大きいほど加減速度指示値GXiを大きくする。
また、操作偏差ΔXが「0」未満の値である場合、加減速度指示値演算部M31は、操作偏差ΔXの絶対値が中立位置X0と減速側境界位置XD1との偏差の絶対値以下であるときには加減速度指示値GXiを「0」と等しくする。一方、加減速度指示値演算部M31は、操作偏差ΔXの絶対値が中立位置X0と減速側境界位置XD1との偏差の絶対値よりも大きいときには加減速度指示値GXiを減速側の値(すなわち、負の値)にする。具体的には、加減速度指示値演算部M31は、操作偏差ΔXの絶対値が大きいほど加減速度指示値GXiを小さくする。
また、統合制御装置21は、最大制駆動力演算部M32と、走行抵抗推定部M33と、加減速度制限値演算部M34とを有している。最大制駆動力演算部M32は、現時点の車体速度VSaを基に、現時点において車両で発生させることのできる制駆動力の最大値である最大制駆動力FXmaxを演算する。車両を加速させる場合、制駆動力は車両に発生させる駆動力のことを示す。一方、車両を減速させる場合、制駆動力は車両に発生させる制動力のことを示す。そのため、制駆動力は、車両を加速させる場合には正の値に設定される一方、車両を減速させる場合には負の値に設定される。最大制駆動力演算部M32は、図4に示すマップを記憶している。そして、最大制駆動力演算部M32は、当該マップを参照し、車体速度VSaに応じた値を最大制駆動力FXmaxとして導出する。この場合、図4に示すように、最大制駆動力演算部M32は、車体速度VSaが大きいときには車体速度VSaが大きくないときよりも最大制駆動力FXmaxの絶対値が小さくなるように、最大制駆動力FXmaxを演算する。
走行抵抗推定部M33は、走行している車両に対する現時点の走行抵抗の推定値である走行抵抗Reを演算する。この走行抵抗推定部M33は、車体速度VSa、車両のピッチング角θe、及び、車両の重量Weを基に走行抵抗Reを演算する。なお、走行抵抗Reの具体的な演算方法は、図5を用いて後述する。
加減速度制限値演算部M34は、車両の前後方向における加減速度に対する制限値である加減速度制限値GXlを演算する。加減速度制限値演算部M34は、最大制駆動力演算部M32によって演算された最大制駆動力FXmax、走行抵抗推定部M33によって演算された走行抵抗Re、及び、車両の重量Weを基に、加減速度制限値GXlを演算する。車両を加速させる場合には加減速度制限値GXlが正の値となる一方、車両を減速させる場合には加減速度制限値GXlが負の値となる。例えば、加減速度制限値演算部M34は、以下に示す関係式(式1)を用いることにより、加減速度制限値GXlを演算することができる。すなわち、車両を加速させる場合、加減速度制限値GXlは、最大制駆動力FXmaxが大きいほど大きくなるとともに、走行抵抗Reが小さいほど大きくなり、さらに、車両の重量Weが小さいほど大きくなる。一方、車両を減速させる場合、加減速度制限値GXlの絶対値は、最大制駆動力FXmaxが小さいほど大きくなるとともに、走行抵抗Reが大きいほど大きくなり、さらに、車両の重量Weが小さいほど大きくなる。
また、統合制御装置21は、車両の前後方向における加減速度の目標値である目標加減速度GXtを演算する目標加減速度演算部M35を有している。目標加減速度演算部M35は、加減速度指示値演算部M31によって演算された加減速度指示値GXi、及び、加減速度制限値演算部M34によって演算された加減速度制限値GXlを基に目標加減速度GXtを演算する。具体的には、目標加減速度演算部M35は、加減速度指示値GXiの絶対値が加減速度制限値GXlの絶対値以下であるときには目標加減速度GXtを加減速度指示値GXiと等しくする。一方、目標加減速度演算部M35は、加減速度指示値GXiの絶対値が加減速度制限値GXlの絶対値よりも大きいときには目標加減速度GXtを加減速度制限値GXlと等しくする。
また、統合制御装置21は、目標制駆動力演算部M36と、第1加算部M37と、目標車速演算部M38と、制駆動力補正量演算部M39と、第2加算部M40と、制駆動力要求値演算部M41とを有している。目標制駆動力演算部M36は、目標加減速度演算部M35によって演算された目標加減速度GXt及び車両の重量Weを基に、制駆動力の目標値である目標制駆動力FXtを演算する。例えば、目標制駆動力演算部M36は、以下に示す関係式(式2)を用いることにより、目標制駆動力FXtを演算することができる。すなわち、車両を加速させるべく目標加減速度GXtが正の値であるときには目標制駆動力FXtもまた正の値となる。一方、車両を減速させるべく目標加減速度GXtが負の値であるときには目標制駆動力FXtもまた負の値となる。また、目標制駆動力FXtの絶対値は、目標加減速度GXtの絶対値が大きいほど大きくなるとともに、車両の重量Weが大きいほど大きくなる。なお、目標加減速度GXtが加減速度指示値GXiと等しい場合、目標制駆動力FXtは、加減速度指示値GXiに応じた値であるということができる。
第1加算部M37は、目標制駆動力演算部M36によって演算された目標制駆動力FXt、及び、走行抵抗推定部M33によって演算された走行抵抗Reを基に、制駆動力フィードフォワード量(以下、「制駆動力FF量」という。)FXffを演算する。具体的には、第1加算部M37は、目標制駆動力FXtと走行抵抗Reとの和を制駆動力FF量FXffとして演算する。
目標車速演算部M38は、目標加減速度演算部M35によって演算された目標加減速度GXtを基に、車両の車体速度VSaの目標値である目標車体速度VStを演算する。例えば、目標車速演算部M38は、以下に示す関係式(式3)を用いることにより、目標車体速度VStを演算することができる。関係式(式3)において、「ST」は目標車体速度VStの演算サイクルの時間的な長さのことである。また、「VSt(N)」は今回の演算サイクルで求める目標車体速度VStのことであり、「VSt(N−1)」は前回の演算サイクルで求めた目標車体速度VStのことである。なお、目標加減速度GXtが加減速度指示値GXiと等しい場合、目標車体速度VStは、加減速度指示値GXiを基に演算した値であるということができる。
制駆動力補正量演算部M39は、目標車速演算部M38によって演算された目標車体速度VStと車体速度VSaとを基に、制駆動力の補正量である制駆動力補正量FXfbを演算する。なお、制駆動力補正量FXfbの具体的な演算方法は、図6を用いて後述する。
第2加算部M40は、第1加算部M37によって演算された制駆動力FF量FXff、及び、制駆動力補正量演算部M39によって演算された制駆動力補正量FXfbを基に、要求制駆動力FXRを演算する。具体的には、第2加算部M40は、制駆動力FF量FXffと制駆動力補正量FXfbとの和を要求制駆動力FXRとして演算する。
制駆動力要求値演算部M41は、第2加算部M40によって演算された要求制駆動力FXRを基に、駆動装置12に対する制駆動力の要求値である駆動装置用制駆動力要求値FXptと、制動装置16に対する制駆動力の要求値である制動装置用制駆動力要求値FXbrとを求める。そして、制駆動力要求値演算部M41は、演算した駆動装置用制駆動力要求値FXptを駆動制御装置11に送信する。また、制駆動力要求値演算部M41は、演算した制動装置用制駆動力要求値FXbrを制動制御装置15に送信する。
また、統合制御装置21は、基本付勢力演算部M51と、保持領域保持付勢力演算部M52と、制限付勢力演算部M53と、第3加算部M54とを有している。基本付勢力演算部M51は、減算部M22によって演算された操作偏差ΔXを基に基本付勢力RFbを演算する。この基本付勢力演算部M51は、図4に示すマップを記憶している。そして、基本付勢力演算部M51は、当該マップを参照し、操作偏差ΔXに応じた値を基本付勢力RFbとして導出する。操作偏差ΔXが「0」以上の値である場合、基本付勢力演算部M51は、以下のようにして基本付勢力RFbを演算する。すなわち、基本付勢力演算部M51は、操作偏差ΔXの絶対値が中立位置X0と加速側規定位置XA2との偏差の絶対値以下であるときには基本付勢力RFbを「0」と等しくする。また、基本付勢力演算部M51は、操作偏差ΔXの絶対値が中立位置X0と加速側規定位置XA2との偏差の絶対値よりも大きいときには、操作偏差ΔXの絶対値が大きいほど基本付勢力RFbを小さくする。具体的には、操作偏差ΔXの絶対値が中立位置X0と加速側境界位置XA1との偏差の絶対値以下であるときにおける、操作偏差ΔXの単位変化量に対する基本付勢力RFbの単位変化量の比は、操作偏差ΔXの絶対値が中立位置X0と加速側境界位置XA1との偏差の絶対値よりも大きいときにおける当該比よりも大きい。
一方、操作偏差ΔXが「0」未満の値である場合、基本付勢力演算部M51は、以下のようにして基本付勢力RFbを演算する。すなわち、基本付勢力演算部M51は、操作偏差ΔXの絶対値が中立位置X0と減速側規定位置XD2との偏差の絶対値以下であるときには基本付勢力RFbを「0」と等しくする。また、基本付勢力演算部M51は、操作偏差ΔXの絶対値が中立位置X0と減速側規定位置XD2との偏差の絶対値よりも大きいときには、操作偏差ΔXの絶対値が大きいほど基本付勢力RFbを大きくする。具体的には、操作偏差ΔXの絶対値が中立位置X0と減速側境界位置XD1との偏差の絶対値以下であるときにおける、操作偏差ΔXの単位変化量に対する基本付勢力RFbの単位変化量の比は、操作偏差ΔXの絶対値が中立位置X0と減速側境界位置XD1との偏差の絶対値よりも大きいときにおける当該比よりも大きい。
保持領域保持付勢力演算部M52は、減算部M22によって演算された操作偏差ΔXを基に、操作位置Xが保持領域HRの外まで変位することを抑制するための付勢力である保持領域保持付勢力RFcを演算する。なお、保持領域保持付勢力RFcの具体的な演算方法は、図7を用いて後述する。
制限付勢力演算部M53は、減算部M22によって演算された操作偏差ΔXを基に、操作位置Xの更なる変位を抑制するための付勢力である制限付勢力RFlを演算する。なお、制限付勢力RFlの具体的な演算方法は、図8を用いて後述する。
第3加算部M54は、基本付勢力演算部M51によって演算された基本付勢力RFb、保持領域保持付勢力演算部M52によって演算された保持領域保持付勢力RFc、及び、制限付勢力演算部M53によって演算された制限付勢力RFlを基に、付勢力の要求値である付勢力要求値RFRを演算する。すなわち、第3加算部M54は、基本付勢力RFbと保持領域保持付勢力RFcと制限付勢力RFlとの和を付勢力要求値RFRとして演算する。そして、第3加算部M54は、演算した付勢力要求値RFRを操作用制御装置34に送信する。したがって、本実施形態では、基本付勢力演算部M51、保持領域保持付勢力演算部M52、制限付勢力演算部M53及び第3加算部M54は、付勢力付与機構33及び操作用制御装置34とともに「付勢力付与部」の一例を構成している。
次に、図5を参照し、走行抵抗Reを演算するために走行抵抗推定部M33が実行する処理ルーチンについて説明する。なお、本処理ルーチンは、予め設定された演算サイクル毎に実行される。
図5に示すように、本処理ルーチンにおいて、走行抵抗推定部M33は、車両の車体速度VSaを基に、車両が受ける空気抵抗Raを演算する(S11)。例えば、走行抵抗推定部M33は、以下に示す関係式(式4)を用いることにより、空気抵抗Raを演算することができる。関係式(式4)において、「ρ」は空気の密度であり、「Cd」は空気抵抗係数であり、「Ap」は車両の正面投影面積である。そのため、空気抵抗Raは、車体速度VSaが大きいほど大きくなる。
そして、走行抵抗推定部M33は、車両の重量Weを基に、車両の車輪の転がり抵抗Rrを演算する(S12)。例えば、走行抵抗推定部M33は、以下に示す関係式(式5)を用いることにより、転がり抵抗Rrを演算することができる。関係式(式5)において、「Cr」は転がり抵抗係数である。そのため、転がり抵抗Rrは、車両の重量Weが大きいほど大きくなる。
続いて、走行抵抗推定部M33は、車両の重量We及びピッチング角θeを基に、車両の走行する路面の勾配に起因する抵抗成分である坂路抵抗Rsを演算する(S13)。例えば、走行抵抗推定部M33は、以下に示す関係式(式6)を用いることにより、坂路抵抗Rsを演算することができる。関係式(式6)において、「g」は重力加速度である。また、ピッチング角θeは、車両が登坂路を走行しているときには負の値となり、車両が降坂路を走行しているときには正の値となる。そのため、坂路抵抗Rsは、車両が登坂路を走行しているときには正の値となる。具体的には、坂路抵抗Rsは、車両の重量Weが大きいほど大きくなるとともに、ピッチング角θeの絶対値が大きいほど大きくなる。一方、坂路抵抗Rsは、車両が降坂路を走行しているときには負の値となる。具体的には、坂路抵抗Rsは、車両の重量Weが大きいほど小さくなるとともに、ピッチング角θeが大きいほど小さくなる。
そして、走行抵抗推定部M33は、演算した空気抵抗Raと転がり抵抗Rrと坂路抵抗Rsとの和を走行抵抗Reとして演算する(S14)。その後、走行抵抗推定部M33は、本処理ルーチンを一旦終了する。
次に、図6を参照し、制駆動力補正量FXfbを演算するために制駆動力補正量演算部M39が実行する処理ルーチンについて説明する。なお、本処理ルーチンは、予め設定された演算サイクル毎に実行される。
図6に示すように、本処理ルーチンにおいて、制駆動力補正量演算部M39は、目標車体速度VStから車両の車体速度VSaを減じた値を車速偏差ΔVSとして求める(S21)。車速偏差ΔVSは、目標車体速度VStが車体速度VSaよりも大きいときには正の値となる一方、目標車体速度VStが車体速度VSaよりも小さいときには負の値となる。続いて、制駆動力補正量演算部M39は、演算した車速偏差ΔVSを基に、制駆動力補正量FXfbを演算する(S22)。例えば、以下に示す関係式(式7)を用いることにより、すなわち車速偏差ΔVSを用いたフィードバック制御により、制駆動力補正量FXfbを演算することができる。関係式(式7)において、「Kp」は比例制御ゲインであり、「Ki」は積分制御ゲインであり、「Kd」は微分制御ゲインである。その後、制駆動力補正量演算部M39は、本処理ルーチンを一旦終了する。
次に、図7を参照し、保持領域保持付勢力RFcを演算するために保持領域保持付勢力演算部M52が実行する処理ルーチンについて説明する。なお、本処理ルーチンは、予め設定された演算サイクル毎に実行される。
図7に示すように、本処理ルーチンにおいて、保持領域保持付勢力演算部M52は、操作偏差ΔXを基に、保持領域保持付勢力RFcの候補値である保持付勢力候補値RFcAを演算する(S31)。すなわち、操作位置Xが中立位置X0よりも第1の方向C1側に位置する場合には操作偏差ΔXは正の値となり、操作位置Xが中立位置X0よりも第2の方向C2側に位置する場合には操作偏差ΔXは負の値となる。操作偏差ΔXを基に、減速側規定位置XD2と加速側規定位置XA2との間に操作位置Xが位置していると判断できる場合、保持領域保持付勢力演算部M52は、保持付勢力候補値RFcAを「0」と等しくする。また、操作偏差ΔXを基に、操作位置Xが加速側規定位置XA2よりも第1の方向C1側に位置していると判断できる場合、保持領域保持付勢力演算部M52は、以下に示す関係式(式8)を用いることにより、保持付勢力候補値RFcAを演算することができる。関係式(式8)において、「Kc」は保持領域保持付勢力RFcを演算するための剛性係数であり、「Cc」は保持領域保持付勢力RFcを演算するための減衰係数である。また、「BA」は、加速側規定位置XA2から中立位置X0を減じた値である。この場合、保持付勢力候補値RFcAは、負の値となる。また、保持付勢力候補値RFcAの絶対値は、操作偏差ΔXの絶対値が大きいほど大きくなるとともに、操作偏差ΔXの微分値が大きいほど大きくなる。
また、操作偏差ΔXを基に、操作位置Xが減速側規定位置XD2よりも第2の方向C2側に位置していると判断できる場合、保持領域保持付勢力演算部M52は、以下に示す関係式(式9)を用いることにより、保持付勢力候補値RFcAを演算することができる。関係式(式9)において、「Kc」は保持領域保持付勢力RFcを演算するための剛性係数であり、「Cc」は保持領域保持付勢力RFcを演算するための減衰係数である。また、「BD」は、減速側規定位置XD2から中立位置X0を減じた値である。この場合、保持付勢力候補値RFcAは、正の値となる。また、保持付勢力候補値RFcAは、操作偏差ΔXの絶対値が大きいほど大きくなるとともに、操作偏差ΔXを時間微分した値が小さいほど大きくなる。
さらに、操作偏差ΔXを基に操作位置Xが加速領域HAに位置すると判断できる場合、保持領域保持付勢力演算部M52は、保持付勢力候補値RFcAを「0」と等しくする。同様に、操作偏差ΔXを基に操作位置Xが減速領域HDに位置すると判断できる場合、保持領域保持付勢力演算部M52は、保持付勢力候補値RFcAを「0」と等しくする。
そして、保持領域保持付勢力演算部M52は、保持領域保持付勢力RFcを決定する(S32)。すなわち、保持付勢力候補値RFcAが「0」と等しい場合、保持領域保持付勢力演算部M52は、保持領域保持付勢力RFcを保持付勢力候補値RFcA(=0)と等しくする。また、ステップS31で関係式(式8)又は(式9)を用いて保持付勢力候補値RFcAを演算した場合、保持領域保持付勢力演算部M52は、操作偏差ΔXの絶対値の変化速度(=d|ΔX|/dt)が正の値であるとき、すなわち操作位置Xが中立位置X0から離れているとき、保持領域保持付勢力RFcを保持付勢力候補値RFcAと等しくする。一方、保持領域保持付勢力演算部M52は、操作偏差ΔXの絶対値の変化速度(=d|ΔX|/dt)が負の値である場合、すなわち操作位置Xが中立位置X0に接近している場合、保持付勢力候補値RFcAを「0」と等しくする。つまり、保持領域保持付勢力RFcは、操作位置Xが付勢力付与領域HR2A,HR2D内に位置し、且つ、操作位置Xが中立位置X0から離れているときに、「0」とは異なる値に設定される。その後、保持領域保持付勢力演算部M52は、本処理ルーチンを一旦終了する。
次に、図8を参照し、制限付勢力RFlを演算するために制限付勢力演算部M53が実行する処理ルーチンについて説明する。なお、本処理ルーチンは、予め設定された演算サイクル毎に実行される。
図8に示すように、本処理ルーチンにおいて、制限付勢力演算部M53は、操作位置Xが中立位置X0からさらに離れるような変位を規制するか否かを判断するための操作偏差ΔXである制限操作偏差ΔXlを演算する(S41)。制限付勢力演算部M53は、加減速度制限値GXlを基に、制限操作偏差ΔXlを演算する。制限付勢力演算部M53は、加減速度制限値GXlが正の値であるときには制限操作偏差ΔXlを正の値とし、加減速度制限値GXlが負の値であるときには制限操作偏差ΔXlを負の値とする。また、制限付勢力演算部M53は、加減速度制限値GXlの絶対値が小さいほど制限操作偏差ΔXlの絶対値が小さくなるように制限操作偏差ΔXlを演算する。
続いて、制限付勢力演算部M53は、制限操作偏差干渉量ΔDXを演算する(S42)。すなわち、制限付勢力演算部M53は、操作偏差ΔXの絶対値が制限操作偏差ΔXlの絶対値以下であるときには、制限操作偏差干渉量ΔDXを「0」と等しくする。一方、制限付勢力演算部M53は、操作偏差ΔXの絶対値が制限操作偏差ΔXlの絶対値よりも大きいときには、制限操作偏差干渉量ΔDXが操作偏差ΔXから制限操作偏差ΔXlを減じた値と等しくなるように制限操作偏差干渉量ΔDXを演算する。
そして、制限付勢力演算部M53は、演算した制限操作偏差干渉量ΔDXを基に、制限操作偏差干渉速度ΔVDXを演算する(S43)。制限付勢力演算部M53は、制限操作偏差干渉量ΔDXの絶対値が増大していないときには制限操作偏差干渉速度ΔVDXを「0」と等しくする。一方、制限付勢力演算部M53は、制限操作偏差干渉量ΔDXの絶対値が増大しているときには、制限操作偏差干渉量ΔDXを時間微分した値(=dΔDX/dt)を制限操作偏差干渉速度ΔVDXとする。
続いて、制限付勢力演算部M53は、制限操作偏差干渉量ΔDX、及び、制限操作偏差干渉速度ΔVDXを基に、制限付勢力RFlを演算する(S44)。例えば、制限付勢力演算部M53は、以下に示す関係式(式10)を用いることにより、制限付勢力RFlを演算することができる。関係式(式10)において、「Kl」は剛性係数であり、「Cl」は減衰係数である。そのため、制限付勢力RFlの絶対値は、制限操作偏差干渉量ΔDXの絶対値が大きいほど大きくなるとともに、制限操作偏差干渉速度ΔVDXの絶対値が大きいほど大きくなる。その後、制限付勢力演算部M53は、本処理ルーチンを一旦終了する。
次に、図9を参照し、本実施形態の車両用操作装置20を搭載する車両が走行する際の作用を効果とともに説明する。
図9(a),(b),(c),(d),(e),(f)に示すように、タイミングt10以前では操作位置Xが中立位置X0で保持されており、車両が停止している。この場合、操作偏差ΔXが「0」であるため、付勢力要求値RFRは「0」である。その結果、操作ペダル31に付勢力RFが付与されない。
本実施形態では、操作位置Xが保持領域HR内に位置する場合、車両の車体速度VSaを保持するように車両が制御される。そのため、操作位置Xが保持領域HR内に位置しているために車体速度VSaが保持されている状況下において、操作位置Xが変位したとしても操作位置Xが保持領域HR内に位置する限り、車体速度VSaを車両に保持させることが可能である。すなわち、運転者の意図に反して操作偏差ΔXが変わったとしても、操作位置Xが保持領域HR内に位置する限り、車体速度VSaを車両に維持させることができる。タイミングt11以前の状態にあっては、車両が停止している状態を保持させることができる。したがって、車体速度VSaを維持させる場合における操作ペダル31の操作性を向上させることができる。
図9に示す例では、タイミングt10から車両を発進させるために、運転者による操作によって操作ペダル31が第1の方向C1に回転される。タイミングt11以前では、操作位置Xが加速領域HAまで変位していないため、車両の停止状態が保持される。また、操作位置Xが中立位置X0から離れるように変位していると、図9(f)に示すように、操作位置Xを中立位置X0に戻すように操作ペダル31が付勢されるようになる。すなわち、操作偏差ΔXの絶対値の増大を抑制するように操作ペダル31が付勢される。
ここで、操作位置Xが中立位置X0に位置している状況下で、運転者の意志とは無関係に操作ペダル31に外力が入力されることがある。この場合、操作ペダル31に対する付勢力RFが「0」と等しいため、操作位置Xが変位することがある。こうした操作位置Xの変位によって、操作位置Xが保持領域HRの外に位置するようになると、運転者の意図に反して車両が加速してしまうおそれがある。この点、本実施形態では、中立位置X0から離れるように操作位置Xが変位するときには、操作偏差ΔXの絶対値が大きくなることを抑制するように操作ペダル31が付勢される。すなわち、付勢力RFが負の値となる。これにより、操作位置Xが加速領域HAまで変位しにくくなるため、運転者の意図に反して車両が加速することを抑制できる。
その一方で、運転者の意図によって操作位置Xを変位させている状況下で、操作位置Xが加速側付勢力付与領域HR2A内又は減速側付勢力付与領域HR2D内に位置している場合、保持領域保持付勢力RFcは、その絶対値が「0」よりも大きくなるように設定される。しかも、保持領域保持付勢力RFcの絶対値は、操作偏差ΔXの変化速度の絶対値が大きいほど大きくなるとともに、操作位置Xが中立位置X0から離れるほど大きくなる。その結果、操作位置Xが中立位置X0から離れるに従い、操作ペダル31が大きく付勢される。すなわち、付勢力RFの絶対値が大きくなる。したがって、車両が停止している状態から、車両を加速させる状態に移行することを、操作ペダル31を通じて運転者に伝えることができる。
そして、操作位置Xが加速側境界位置XA1を越えると、タイミングt11以降のように、車両が発進する。すなわち、操作偏差ΔXに基づき、加減速度指示値GXi及び目標加減速度GXtが演算される。そして、車両の前後方向の加速度GXが目標加減速度GXtに追随するように大きくなる。
車両が走行している状況下では、車両の車体速度VSaが大きくなると、最大制駆動力FXmaxが徐々に小さくなる。
車両が加速している最中において、タイミングt12以前では制限付勢力RFlが「0」であったが、タイミングt12以降では制限付勢力RFlの絶対値が大きくなる。その結果、操作ペダル31に付与される付勢力RFの絶対値が大きくなるため、操作ペダル31を第1の方向C1に回転させにくくなる。これにより、操作偏差ΔXが過剰に大きくなることが抑制されるため、車両の現時点での限界を超えるような加速が車両に要求されることを抑制できる。
そして、このように制限付勢力RFlの絶対値が「0」よりも大きい状態が継続されていると、操作ペダル31への付勢力RFの付与によって操作位置Xが中立位置X0側に戻されるため、操作偏差ΔXの絶対値が小さくなる。その結果、車両の加速度GXが徐々に小さくなる。そして、タイミングt13で操作位置Xが中立位置X0に達し、すなわち操作偏差ΔXが「0」と等しくなる。その結果、目標加減速度GXtが「0」となり、車両が定速走行するようになる。この場合、付勢力RFが「0」であるため、操作位置Xを中立位置X0で運転者に保持させやすい。すなわち、車両に定速走行をさせる場合における操作ペダル31の操作性を向上させることができる。
車両が定速走行している最中のタイミングt14で、走行抵抗Reが大きくなる。すると、操作偏差ΔXが「0」と等しいにも拘わらず、図9(d)に示すように車体速度VSaが低下する。すると、制駆動力補正量FXfbが、目標車体速度VStから車両の車体速度VSaを減じた値である車速偏差ΔVSに応じた値に設定される。その結果、要求制駆動力FXRが大きくなる。これにより、操作位置Xを加速領域HAに向けて変位させなくても、加速度GXを調整し、車体速度VSaを目標車体速度VStに戻すことができる。
車両が定速走行している最中のタイミングt15の少し前から車両を減速させるべく運転者による操作ペダル31の操作が開始される。すなわち、操作ペダル31が第2の方向C2に回転し始める。このように操作位置Xが中立位置X0から離れるように変位していると、図9(f)に示すように操作ペダル31が付勢されるようになる。この場合、付勢力RFは正の値となる。すなわち、操作偏差ΔXの絶対値の増大を抑制するように操作ペダル31が付勢される。
運転者の意図によって操作位置Xを変位させている状況下で、操作位置Xが減速側付勢力付与領域HR2D内に位置している場合、保持領域保持付勢力RFcは、その絶対値が「0」よりも大きくなるように設定される。しかも、保持領域保持付勢力RFcの絶対値は、操作偏差ΔXの変化速度の絶対値が大きいほど大きくなるとともに、操作位置Xが中立位置X0から離れるほど大きくなる。その結果、操作位置Xが中立位置X0から離れるに従い、付勢力RFが大きくなる。したがって、車両が定速走行している状態から、車両を減速させる状態に移行することを、操作ペダル31を通じて運転者に伝えることができる。
そして、操作位置Xが減速側境界位置XD1を越えると、タイミングt15以降のように、車両が減速する。すなわち、操作偏差ΔXに基づき、加減速度指示値GXi及び目標加減速度GXtが演算される。そして、車体速度VSaが目標車体速度VStに追随するように小さくなる。
車体速度VSaが小さくなると、タイミングt16で運転者による操作によって操作ペダル31が第1の方向C1に回転される。すなわち、操作位置Xが中立位置X0に接近し、操作偏差ΔXの絶対値が小さくなる。すると、車両の減速度が小さくなる。そして、タイミングt17で操作位置Xが減速側境界位置XD1を越え、操作位置Xが保持領域HR内に位置するようになると、車両が停止する。
なお、車両を減速させる場合、操作位置Xを中立位置X0に向けて変位させているときには、操作偏差ΔXの絶対値が小さくなるにつれて操作ペダル31に付与される付勢力RFが小さくなる。そして、操作位置Xが中立位置X0に位置しているときには、操作ペダル31に付勢力RFが付与されなくなる。すなわち、操作位置Xが中立位置X0に近いほど操作ペダル31に付与される付勢力RFが小さくなる分、操作位置Xを中立位置X0まで変位させる際における操作ペダル31の操作を運転者に行わせやすくなる。したがって、車両を減速させている状態から、車両が停止する状態に移行させる際における操作ペダル31の操作性を高めることができる。
(第2の実施形態)
次に、車両用操作装置の第2の実施形態を図10〜図13に従って説明する。第2の実施形態では、操作ペダル31の中立位置X0が可変である点が第1の実施形態と相違している。そこで、以下の説明においては、第1の実施形態と相違している部分について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
図10には、統合制御装置21の機能構成を示すブロック図のうち、中立位置X0を設定する部分とその周辺が図示されている。
図10に示すように、統合制御装置21は、上記中立位置保持部M21の替わりに、遅延部M211と、中立位置演算部M212とを有している。遅延部M211には、目標車速演算部M38によって演算された目標車体速度VStが入力される。そして、遅延部M211は、目標車体速度VStの一回の演算サイクルの間、入力された目標車体速度VStを保持し、その後、保持した目標車体速度VStを中立位置演算部M212に出力する。
中立位置演算部M212は、遅延部M211から入力された目標車体速度VStを基に、中立位置X0を演算する。すなわち、目標車速演算部M38によって演算された目標車体速度VStの最新値を目標車体速度VSt(N)とした場合、中立位置演算部M212は、目標車体速度の前回値VSt(N−1)を基に、中立位置X0を演算することとなる。中立位置演算部M212は、目標車体速度の前回値VSt(N−1)を変数とする演算式を用いることにより、中立位置X0を演算する。すなわち、中立位置演算部M212は、当該演算式を用いることにより、目標車体速度の前回値VSt(N−1)が大きくなっているときには、中立位置X0が第1の方向C1側に変位するように中立位置X0を演算する。一方、中立位置演算部M212は、目標車体速度の前回値VSt(N−1)が小さくなっているときには、中立位置X0が第2の方向C2側に変位するように中立位置X0を演算する。そして、減算部M22は、中立位置演算部M212によって演算された中立位置X0と操作位置Xとを基に、操作偏差ΔX(=X−X0)を演算する。
ここで、図12及び図13を参照し、目標車体速度VStを基に中立位置X0を可変させる場合における、車体速度VSaの推移と、操作ペダル31に付与される付勢力RFの推移について説明する。なお、図12に示す例は、目標車体速度VStではなく車体速度VSaを基に中立位置X0を可変させる場合の比較例であり、図13に示す例は、目標車体速度VStを基に中立位置X0を可変させる場合の本実施形態である。
比較例では、目標車体速度の前回値VSt(N−1)ではなく、車体速度VSaの前回値VSa(N−1)が中立位置演算部M212に入力される。そのため、車体速度VSaが可変すると、中立位置X0が変位する。操作位置Xが加速領域HA内に位置しており、図12(a)に示すように車両が加速している場合、車体速度VSaが大きくなる。なお、図12(a)における破線は、操作偏差ΔXに応じた車体速度VSaの指示値である指示車体速度VSiである。
操作位置Xが加速領域HA内に位置している場合、操作位置Xを中立位置X0に接近させるように操作ペダル31が付勢される。そして、操作位置Xが中立位置X0に位置してときには、車両が定速走行しているとともに、操作ペダル31が付勢されない。こうした状態のタイミングt31で車両の走行抵抗Reが大きくなり、図12(a)に示すように車体速度VSaが低下すると、中立位置X0が第2の方向C2側に変位する。すると、操作位置Xを中立位置X0に接近させるべく操作ペダル31が付勢される。すなわち、図12(b)に示すように、付勢力RFが負の値となる。このように付勢力RFが負の値となり、操作ペダル31が第2の方向C2に回転すると、操作偏差ΔXが小さくなるため、指示車体速度VSi及び目標車体速度VStが小さくなる。そして、このように小さくなった目標車体速度VSt(及び指示車体速度VSi)に車体速度VSaが達すると、操作位置Xが中立位置X0と一致するようになる、すなわち操作偏差ΔXが「0」と等しくなる(タイミングt32)。そして、操作ペダル31が付勢されなくなる。この場合、図12(a)に示すように、タイミングt32以降では、タイミングt31以前よりも小さい値で車体速度VSaが保持されることとなる。
これに対し、図13(a),(b)に示す本実施形態では、中立位置X0は、車体速度VSaではなく目標車体速度VStに応じた位置に設定される。そのため、操作位置Xが中立位置X0に位置しているときには、比較例の場合と同様に、車両が定速走行しているとともに、操作ペダル31が付勢されない。
しかし、こうした状態のタイミングt41で車両の走行抵抗Reが大きくなり、車体速度VSaが低下しても、目標車体速度VStが変化していないときには中立位置X0は保持される。さらに、中立位置X0が変位していないために、操作偏差ΔXが「0」である状態も保持される。すなわち、図13(b)に示すように、操作ペダル31に付勢力RFが付与されない状態が保持される。そして、操作位置Xが保持された状態のまま、車体速度VSaが目標車体速度VSt(及び指示車体速度VSi)に戻される(タイミングt42)。この場合、図13(a)に示すように、タイミングt42以降では、タイミングt41以前と同じ車体速度VSaが保持されることとなる。
次に、図11を参照し、本実施形態の車両用操作装置20を搭載する車両が走行する際の作用のうち、上記第1の実施形態の場合とは相違する点を中心に効果とともに説明する。
図11(a),(b),(c),(d),(e),(f)に示すように、タイミングt20以前では操作位置Xが中立位置X0で保持されており、車両が停止している。この場合、操作偏差ΔXが「0」であるため、付勢力要求値RFRは「0」である。すなわち、操作ペダル31は付勢されていない。
なお、本実施形態では、車両が停止している場合、操作位置Xを変位させることのできる最も第2の方向C2側の位置に中立位置X0が設定されている。すなわち、車両が停止しているときには、操作ペダル31を第2の方向C2に回転させることができない。
図11に示す例では、タイミングt20から車両を発進させるために、運転者による操作によって操作ペダル31が第1の方向C1に回転される。タイミングt21以前では、操作位置Xが加速領域HAまで変位していないため、車両の停止状態が保持される。また、操作位置Xが中立位置X0から離れるように変位していると、図11(f)に示すように操作偏差ΔXの絶対値の増大を抑制するように操作ペダル31が付勢されるようになる。つまり、付勢力RFが負の値となる。
操作位置Xが加速側境界位置XA1を越えると、タイミングt21以降のように、付勢力RFの絶対値が小さくなる。このように付勢力RFを変化させることにより、車両が停止している状態から、車両を加速させる状態に移行することを、操作ペダル31を通じて運転者に伝えることができる。また、操作位置Xが加速側境界位置XA1を越えると、車両が発進する。すなわち、操作偏差ΔXに基づき、加減速度指示値GXi及び目標加減速度GXtが演算される。そして、車両の前後方向の加速度GXが目標加減速度GXtに追随するように大きくなる。
本実施形態では、目標車体速度VStが大きくなっているときには、図11(a)に示すように中立位置X0が第1の方向C1側に変位する。そして、タイミングt22よりも少し前から運転者による操作ペダル31の操作によって、操作位置Xが中立位置X0に接近する。タイミングt22で操作位置Xが保持領域HR内に位置するようになるため、車両が定速走行するようになる。
車両が定速走行している最中のタイミングt23で、走行抵抗Reが大きくなる。すると、操作偏差ΔXが「0」と等しいにも拘わらず、図11(d)に示すように車体速度VSaが低下する。すると、制駆動力補正量FXfbが、目標車体速度VStから車両の車体速度VSaを減じた値である車速偏差ΔVSに応じた値に設定される。その結果、要求制駆動力FXRが大きくなる。これにより、操作位置Xを変位させなくても、車体速度VSaを目標車体速度VStに戻すことができる。
また、本実施形態では、中立位置X0は、実際の車体速度VSaではなく、目標車体速度VStを基に設定される。そのため、このように車体速度VSaが変化しても、目標車体速度VSt自体が変わったわけではないため、中立位置X0の位置は変わらない。したがって、車体速度VSaが変わっても、操作ペダル31が付勢されない状態を継続させることができる。すなわち、走行抵抗Reの変化によって車体速度VSaが変わったときでも、操作ペダル31が付勢されない状態が継続する分、操作位置Xの変位を抑制することができる。その結果、目標車体速度VStは変わらないため、走行抵抗Reの変化に合わせ、車体速度VSaが目標車体速度VStと等しい状態に速やかに戻すことができる。すなわち、目標車体速度VStの変動に起因する車体速度VSaの振動の発生を抑制することができる。
車両が定速走行している最中のタイミングt24の少し前から車両を減速(停止)させるべく運転者によって操作ペダル31が操作される。すると、操作位置Xが第2の方向C2側に変位する。そして、タイミングt24で操作位置Xが減速領域HD内に位置するようになる。その結果、操作偏差ΔXが負の値であるため、加減速度指示値GXi及び目標加減速度GXtが負の値となる。これにより、目標車体速度VStの低下に合わせ、車体速度VSaが小さくなる。
なお、このように目標車体速度VStが小さくなっているときには、中立位置X0が第2の方向C2側に変位する。そして、操作位置Xが最も第2の方向C2側の位置に達したタイミングよりも後に、中立位置X0もまた最も第2の方向C2側の位置に設定される。その後、タイミングt25で車両が停止する。
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記第2の実施形態では、車両が停止している場合、中立位置X0が最も第2の方向C2側の位置に設定されている。しかし、これに限らず、車両が停止している場合、中立位置X0を、操作ペダル31を第1の方向C1にも第2の方向C2にも回転させることのできる位置に設定するようにしてもよい。
・操作位置Xが加速領域HA内に位置する場合、操作位置Xを中立位置X0に接近させるように操作ペダル31を付勢することができるのであれば、付勢力RFを操作偏差ΔXに応じた大きさとしなくてもよい。例えば、操作位置Xが加速領域HA内に位置する場合に操作ペダル31に付与する付勢力RFを、操作偏差ΔXによらず、所定値で固定するようにしてもよい。
・操作位置Xが減速領域HD内に位置する場合、操作位置Xを中立位置X0に接近させるように操作ペダル31を付勢することができるのであれば、付勢力RFを操作偏差ΔXに応じた大きさとしなくてもよい。例えば、操作位置Xが減速領域HD内に位置する場合に操作ペダル31に付与する付勢力RFを、操作偏差ΔXによらず、所定値で固定するようにしてもよい。
・操作位置Xが加速側境界位置XA1に向かって変位する場合において、操作位置Xが加速側付勢力付与領域HR2A内に位置するときには、操作位置Xの変位速度の絶対値が大きいほど付勢力RFの絶対値を大きくすることができるのであれば、上記各実施形態で説明した方法とは異なる方法で付勢力要求値RFRを演算するようにしてもよい。例えば、保持領域保持付勢力RFcを、操作偏差ΔXを変数としない一方で、操作位置Xの変位速度を変数とする演算式で演算するようにしてもよい。この場合であっても、操作位置Xの変位速度の絶対値が大きいほど、保持領域保持付勢力RFcの絶対値を大きくすることができる。
・操作位置Xが減速側境界位置XD1に向かって変位する場合において、操作位置Xが減速側付勢力付与領域HR2D内に位置するときには、操作位置Xの変位速度の絶対値が大きいほど付勢力RFの絶対値を大きくすることができるのであれば、上記各実施形態で説明した方法とは異なる方法で付勢力要求値RFRを演算するようにしてもよい。例えば、保持領域保持付勢力RFcを、操作偏差ΔXを変数としない一方で、操作位置Xの変位速度を変数とする演算式で演算するようにしてもよい。この場合であっても、操作位置Xの変位速度の絶対値が大きいほど、保持領域保持付勢力RFcの絶対値を大きくすることができる。
・操作位置Xが加速側境界位置XA1に向かって変位する場合において、操作位置Xが加速側付勢力付与領域HR2A内に位置するときには、操作偏差ΔXの絶対値が大きいほど付勢力RFの絶対値を大きくすることができるのであれば、上記各実施形態で説明した方法とは異なる方法で付勢力要求値RFRを演算するようにしてもよい。例えば、保持領域保持付勢力RFcを、操作偏差ΔXを変数とする一方で、操作位置Xの変位速度を変数としない演算式で演算するようにしてもよい。この場合であっても、操作偏差ΔXの絶対値が大きいほど、保持領域保持付勢力RFcの絶対値を大きくすることができる。
・操作位置Xが減速側境界位置XD1に向かって変位する場合において、操作位置Xが減速側付勢力付与領域HR2D内に位置するときには、操作偏差ΔXの絶対値が大きいほど付勢力RFの絶対値を大きくすることができるのであれば、上記各実施形態で説明した方法とは異なる方法で付勢力要求値RFRを演算するようにしてもよい。例えば、保持領域保持付勢力RFcを、操作偏差ΔXを変数とする一方で、操作位置Xの変位速度を変数としない演算式で演算するようにしてもよい。この場合であっても、操作偏差ΔXの絶対値が大きいほど、保持領域保持付勢力RFcの絶対値を大きくすることができる。
・上記各実施形態において、付勢力要求値RFRの演算に際し、保持領域保持付勢力RFcを用いなくてもよい。
・上記各実施形態では、保持領域HRを、付勢力非付与領域HR1と、加速側付勢力付与領域HR2Aと、減速側付勢力付与領域HR2Dとに区分けしている。そして、操作位置Xが中立位置X0から離れている場合、操作位置Xが付勢力非付与領域HR1内に位置するときには操作ペダル31を付勢しない一方、操作位置Xが加速側付勢力付与領域HR2A又は減速側付勢力付与領域HR2D内に位置するときには操作ペダル31を付勢するようにしている。これに限らず、操作位置Xが保持領域HR内に位置する状況下で操作位置Xが中立位置X0から離れる方向に操作位置Xが変位しているときには、加速側規定位置XA2や減速側規定位置XD2よりも中立位置X0側に操作位置Xが位置する場合であっても、操作位置Xを中立位置X0に戻すように操作ペダル31を付勢するようにしてもよい。
・車両用操作装置を、操作部材を第1の方向及び第2の方向に変位させることができるのであれば、上記ペダル装置30とは異なる他の入力装置を備えた構成であってもよい。こうした入力装置としては、例えば、図14に示すような入力装置を挙げることができる。
図14に示す入力装置30Aは、運転者の手101で操作することのできる装置である。当該入力装置30Aは、速度設定用操作部510と、方向設定用操作部520と、減速度設定用操作部530とを備えている。速度設定用操作部510は、車両前後方向にスライド移動するアームレスト511と、アームレスト511に対して付勢力を付与する付勢力付与部とを有している。例えば、アームレスト511を車両前方にスライド移動させることで、加減速度指示値GXiを加速側に変更することができる一方、アームレスト511を車両後方にスライド移動させることで、加減速度指示値GXiを減速側に変更することができる。すなわち、このアームレスト511が、「操作部材」の一例である。付勢力付与部は、アームレスト511の操作位置から中立位置を減じた値である操作偏差に応じた付勢力をアームレスト511に付与する。
なお、方向設定用操作部520は、運転者の手101で操作することのできる操作レバー521を有している。操作レバー521は、車両前後方向に延びる回転軸線を中心に両方向に回転可能となっている。そして、一方に操作レバー521を回転させることにより、車両を左方に旋回させることができ、他方に操作レバー521を回転させることにより、車両を右方に旋回させることができる。
また、当該入力装置30Aを備える車両用操作装置にあっては、減速度設定用操作部530が操作されているときには、アームレスト511の操作位置に拘わらず、減速度設定用操作部530に応じた減速度を車両に発生させることとなる。
また、上記ペダル装置30とは異なる他の入力装置として、例えば特開2012−128797号公報に開示されているように、運転者の操作によって車両の床面に沿って操作部材を車両前後方向に移動させる装置であってもよい。また、他の入力装置として、例えば特開2014−229162号公報に開示されているように、複数のリンクに摺動可能に支持されている操作部材を回動させる装置であってもよい。